JP2003200532A - ポリアニリンを含む皮膜を表面に備える基材および基材の表面に形成された皮膜の成膜方法 - Google Patents
ポリアニリンを含む皮膜を表面に備える基材および基材の表面に形成された皮膜の成膜方法Info
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Abstract
いポリアニリン膜を皮膜として有する熱交換器を提供す
る。 【解決手段】 成形加工されたチューブおよびフィン等
の伝熱面を含んでなる熱交換器10において、チューブ
およびフィンの表面には、ポリアニリンおよび/または
その誘導体からなるポリアニリン膜が形成されており、
このポリアニリン膜には、第1アミノ基、第2アミノ
基、第3アミノ基、アンモニウム基、硝酸基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、および水酸基か
らなる群から選ばれる少なくとも一種類の親水性官能基
が付与されている。
Description
ィン等を有する熱交換器の伝熱面などの基材表面にポリ
アニリンを含む皮膜を形成したもの、および、この基材
の表面に皮膜を成膜する方法に関し、例えば、カーエア
コンやエアコン等の熱交換器のように、臭気物質の分解
脱臭機能や有害微生物の殺菌機能を有する熱交換器等に
適用される。
汚れの成分となる物質に対して、付着を防止する皮膜材
料が用いられている。しかし、熱交換器のチューブやフ
ィン等の表面形状が複雑な金属基材には、官能基を有し
極性の高い物質は付着しやすく、一度付着しだすと防止
するのは難しい。よって、初期の状態から付着した物質
を分解できる機能が必要である。
付与したものとして、特開平8−296992号公報や
特開平12−24512号公報に記載のように、熱交換
器のアルミフィン表面に光触媒(二酸化チタンの膜)を
塗布したものが提案されている。
来、皮膜(高分子膜)成分に殺菌剤としての銀類を添加
して、付着した微生物を殺菌することにより、これらに
よる臭気の発生を防止しようというものがある。
に記載のものにおいては、光触媒用のランプ(紫外線を
照射するランプ等)の増設が必要であり、コスト増やラ
ンプの耐久性、特にカーエアコンの場合には振動に対す
る耐久性が問題である。さらに、送風機からのほこり等
がランプに付着して照射強度が低下する恐れもある。
光触媒としてアルミ表面へ成膜しているため、剥がれが
生じやすく耐久性が低いといったことから、熱交換器の
基本性能や生産性を維持することが困難である。特に、
二酸化チタン等の無機物が温調機の風により飛散すると
埃臭を招く恐れがある。
通り高分子膜を成膜して、その高分子膜に殺菌剤(上記
銀類等)等を添加することが考えられるが、殺菌剤の溶
出などに伴い、能力や耐久性に問題が生じる。
酸素発生機能を有し、活性酸素によって脱臭や殺菌を行
うことのできる高分子皮膜として、ポリアニリン膜(特
開平9−175801号公報参照)に着目した。ポリア
ニリン膜は、通常の殺菌剤よりも多種の臭気物質に対し
て分解機能を有するスーパーオキシドを発生する能力が
高い。
水性であることが必要であるが、一方でポリアニリン膜
は元来、疎水性であり、それをそのまま皮膜として用い
ると、皮膜に付着する水滴の濡れ性が悪いものになる。
そのため、送風によって水滴飛散などが発生し、熱交換
器の基本性能を維持することができない。例えば、上記
の水滴飛散が発生すると、使用者側へ水蒸気の混じった
風が送られる等の不具合が生じる。
殺菌機能を維持しつつ水の濡れ性が良いポリアニリン膜
を皮膜として有する基材およびそのような皮膜を基材の
表面に成膜する成膜方法を提供することを目的とする。
め、請求項1に記載の発明では、表面に皮膜を備える基
材において、当該皮膜として、ポリアニリンおよび/ま
たはその誘導体からなるポリアニリン膜が形成されてお
り、このポリアニリン膜には、第1アミノ基、第2アミ
ノ基、第3アミノ基、アンモニウム基、硝酸基、カルボ
キシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、および水酸基
からなる群から選ばれる少なくとも一種類の親水性官能
基が付与されていることを特徴とする。
親水性官能基が付与されることによって、ポリアニリン
膜の水濡れ性を向上させることができる。よって、脱臭
・殺菌機能を維持しつつ水の濡れ性が良いポリアニリン
膜を皮膜として有する基材を提供することができる。
備える基材において、当該皮膜として、ポリアニリンお
よび/またはその誘導体からなるポリアニリン膜が形成
されており、このポリアニリン膜には、第1アミノ基、
第2アミノ基、第3アミノ基、アンモニウム基、硝酸
基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、お
よび水酸基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の
親水性官能基が付与されているバインダが含まれている
ことを特徴とする。
れる親水性官能基は、ポリアニリン膜中に介在するバイ
ンダ中の含有物として付与されていても良い。このと
き、バインダそのものが親水性官能基を有した化合物で
も良いし、バインダ化合物中に親水性官能基を有する化
合物を混合させても良い。
ン膜に、親水性官能基が付与されることによって、請求
項1に記載の発明と同様、脱臭・殺菌機能を維持しつつ
水の濡れ性が良いポリアニリン膜を皮膜として有する基
材を提供することができる。
ポリアニリン膜には、このポリアニリン膜を不溶化させ
るための不溶化剤が含まれていることが好ましい。その
ような不溶化剤としてはカルボジイミド基を含むものを
採用することができる。
付与されて、ポリアニリン膜自体が水に溶けやすい性質
のものとなる場合があり、そのような場合不溶化剤を含
有させれば、不溶化されたポリアニリン膜にすることが
できるためである。
皮膜を備える基材において、この基材は成形加工された
熱交換器の伝熱面であり、伝熱面の表面には、ポリアニ
リンおよび/またはその誘導体からなるポリアニリン膜
が形成されており、このポリアニリン膜の接触角が60
°以下となっていることを特徴とする。
いて検証した結果に基づくものである。それによれば、
ポリアニリン膜の接触角を60°以下とすることで、脱
臭・殺菌機能を維持しつつ水の濡れ性が良いポリアニリ
ン膜を皮膜として有する基材としての熱交換器を提供す
ることができる。
上記の接触角は40°以下となっていればより好まし
い。また、請求項7に記載の発明のように、熱交換器と
して、その内部を熱交換流体が循環する蒸発器を用いれ
ば有効である。
材としては、請求項8に記載の発明のように、成形加工
された熱交換器の伝熱面とすることができる。
項9に記載の発明のように、アルミニウムを含有する金
属からなるものにできる。
アニリンおよび/またはその誘導体はドーパントを有す
るものであることを特徴とする。それによれば、ポリア
ニリン膜を構成するポリアニリンやポリアニリン誘導体
が陰イオンが付与されたドープ型のものとなり、親水性
や活性酸素発生能力をより高いものにでき、好ましい。
基材の表面と皮膜との間には、層間膜が介在しているも
のであっても良い。このような層間膜としては、請求項
12に記載の発明のように、基材の表面に対してリン酸
亜鉛処理、リン酸チタン処理、クロメート処理、モリブ
デン酸系処理、塩化セレン系処理、およびシラン化合物
処理のうち少なくとも1種類の処理を施すことにより生
成された膜を採用することができる。
表面粗さを粗くすることができるので、その上に形成さ
れるポリアニリン膜の密着性を向上させることができ、
好ましい。
の表面に形成された皮膜を成膜する方法において、第1
アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、アンモニウム
基、硝酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン
酸基、および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも
一種類の親水性官能基が付与されたアニリンを重合する
ことにより、ポリアニリンを形成し、このポリアニリン
を用いて基材の表面に皮膜を成膜することを特徴とす
る。
ポリアニリンおよび/またはその誘導体からなる皮膜を
成膜することができ、成膜された皮膜の水濡れ性を向上
させることができる。よって、脱臭・殺菌機能を維持し
つつ水の濡れ性が良い皮膜を基材の表面に成膜すること
のできる皮膜の成膜方法を提供することができる。
項13に記載の成膜方法において、基材の表面にポリア
ニリンを用いて皮膜を成膜した後、皮膜を加熱処理する
ことを特徴とする。
である皮膜を加熱処理することにより、皮膜のポリアニ
リンの架橋が促進されると考えられ、実際に、より強固
で耐久性の向上した膜を実現することができる。
の表面に形成された皮膜を成膜する方法において、皮膜
として、第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、
アンモニウム基、硝酸基、カルボキシル基、スルホン酸
基、ホスホン酸基、および水酸基からなる群から選ばれ
る少なくとも一種類の親水性官能基が付与されたポリア
ニリン膜を成膜した後、ポリアニリン膜を硬化または不
溶化することを特徴とする。
たアニリンを重合することにより、ポリアニリン膜を形
成しても良いし、親水性官能基が付与されていないポリ
アニリン膜に親水性官能基を付与しても良い。
ポリアニリン膜を成膜した後、ポリアニリン膜を硬化ま
たは不溶化することにより、脱臭・殺菌機能を維持しつ
つ水の濡れ性が良く、且つ、より強固で耐久性の向上し
た皮膜を基材の表面に成膜することのできる皮膜の成膜
方法を提供することができる。
の表面に形成された皮膜を成膜する方法において、第1
アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、アンモニウム
基、硝酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン
酸基、および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも
一種類の親水性官能基が付与された添加物とポリアニリ
ンとを混合した溶液を、基材の表面に塗布することによ
り皮膜を成膜することを特徴とする。
リアニリンとを混合した溶液を、基材の表面に塗布する
ことにより、ポリアニリン膜への親水性官能基の付与を
容易に行うことができ、成膜されたポリアニリン膜の水
濡れ性を向上させることができる。よって、脱臭・殺菌
機能を維持しつつ水の濡れ性が良い皮膜を基材の表面に
成膜することのできる皮膜の成膜方法を提供することが
できる。
アニリンを用いて基材の表面に皮膜としてのポリアニリ
ン膜を成膜する工程と、この後、ポリアニリン膜を親水
化する工程とを備えることを特徴とする。
リアニリン膜が親水性を持つものになる。よって、本発
明によれば、脱臭・殺菌機能を維持しつつ水の濡れ性が
良い皮膜を基材の表面に成膜することのできる皮膜の成
膜方法を提供することができる。
項17に記載の成膜方法において、ポリアニリン膜を親
水化する方法が、オゾン暴露、プラズマ暴露、熱処理、
紫外線照射、溶液浸漬から選ばれる少なくとも一種類で
あることを特徴とする。
項17に記載の成膜方法において、ポリアニリン膜を親
水化する方法が、ポリアニリン膜が成膜された基材をプ
ロトン酸水溶液に浸漬させるものであることを特徴とす
る。
によれば、ポリアニリン膜の親水化を適切に行うことが
できる。
項19に記載の成膜方法において、基材をプロトン酸水
溶液に浸漬させた後、この基材を水洗いすることを特徴
とする。
であるため、親水化処理後に残存すると基材を腐食させ
やすいが、水洗いしてプロトン酸を除去することで、基
材の腐食を防止することができる。
アニリン膜を成膜する工程の前に、基材の表面に酸化防
止皮膜を形成することを特徴とする。
ルが存在しても基材の表面は露出しないため、ピンホー
ルの制御が困難であるような場合に、その後の親水化処
理によって基材が腐食するといった問題を防止すること
ができる。
項21に記載の酸化防止皮膜が、基材の表面に対してリ
ン酸亜鉛処理、リン酸チタン処理、クロメート処理、モ
リブデン酸系処理、塩化セレン系処理、およびシラン化
合物処理のうち少なくとも1種類の処理を施すことによ
り生成された膜であることを特徴とする。それにより、
請求項12の発明と同様にポリアニリン膜の密着性向上
の効果が得られる。
項13〜請求項22のいずれか一つに記載の成膜方法に
おいて、金属基材として、成形加工された伝熱面を有す
る熱交換器における伝熱面を用いることを特徴としてい
る。
つ水の濡れ性が良いポリアニリン膜が成膜された熱交換
器を得ることのできるポリアニリン膜の成膜方法を提供
することができる。
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一
例である。
について説明する。図1は本発明の実施形態に係る熱交
換器10を有する温調装置1であり、この温調装置1は
カーエアコン等に適用されるものである。
けられた熱交換器10と、ヒータ12と、空気吸入装置
13と、空気吹き出し口14とからなる。また、熱交換
器10は、アルミ材を成形加工してなるチューブとフィ
ンとがろう付けされたものであり、例えばコルゲートフ
ィンタイプの熱交換器である。この熱交換器10はチュ
ーブ内をフロンなどの熱交換流体が循環する蒸発器とし
て構成されている。
された空気は、熱交換器10にて冷却され、ヒータ12
にて温められるようになっている。そして、温風と冷風
とが適宜ミックスされて空気吹き出し口14から吹き出
され、例えば車室内へ送られるようになっている。
ィンが基材としての伝熱面であり、この伝熱面の表面に
は、ポリアニリン、またはポリアニリン誘導体、または
ポリアニリンとポリアニリン誘導体と混合物からなるポ
リアニリン膜が形成されており、このポリアニリン膜に
は、親水性官能基が付与されている。なお、熱交換器1
0において、チューブおよびフィン以外にも伝熱面が存
在すれば、上記ポリアニリン膜を形成して良い。
ノ基、第3アミノ基、アンモニウム基、硝酸基、カルボ
キシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、および水酸基
からなる群(以下、親水性官能基群という)から選ばれ
る少なくとも一種類である。
を構成するポリアニリンやポリアニリン誘導体に化学的
に結合したものでも良いし、ポリアニリン膜中に混合さ
れるバインダ中の含有物として膜中に存在していても良
い。
リアニリンやその誘導体の間に介在するものであり、こ
のバインダ自体が親水性官能基を有する化合物であって
も良いし、バインダ中に親水性官能基を有する化合物が
混合されていても良い。
基を有するポリアクリルアミド等を用いることができ
る。また、親水性官能基を有する化合物としては、例え
ば、硝酸、硫酸、塩酸、カルボン酸、p−スチレンスル
ホン酸等を用いることができる。
としては、限定するものではないが、次の化学式1に示
すドープ型のものや化学式2に示す非ドープ型のものを
用いることができる。
いて、Aは陰イオンを表し、nは2以上5000以下の
範囲の整数を表し、xとyは、x+y=1および0≦y
≦0.5を同時に満たす数である。
誘導体に静電相互作用にて付着したドーパント(上記化
学式1,2中の陰イオンA)を有するものであり、通
常、非ドープ型よりも、活性酸素の発生能力や親水性に
優れる。
成された熱交換器10では、温調装置1が作動すると、
水蒸気を含んだ空気が熱交換器10を通過する。この
際、熱交換器10と空気とが接触すると空気の露点が下
がり、空気中の水蒸気が水滴となって、熱交換器10の
チューブやフィンの表面(ポリアニリン膜の表面)に凝
縮水として付着する。
と、ポリアニリンが凝縮水中の溶存酸素を還元し、活性
酸素であるスーパーオキシドアニオンラジカルとなる。
そして、この活性酸素が凝縮水中の臭気物質や微生物、
細菌などの物質を分解する。その結果、熱交換器10を
通過した空気は、脱臭・殺菌されたものとなり、クリー
ンな空気が車室内へ送られる。
膜に親水性官能基が付与され、ポリアニリン膜が親水化
されることによって、ポリアニリン膜の水濡れ性を向上
させている。そのため、熱交換器10を通過する風によ
って水滴飛散が発生するのが抑制される。このようにし
て、脱臭・殺菌機能を維持しつつ水の濡れ性が良いポリ
アニリン膜を皮膜として有する熱交換器10を提供する
ことができる。
ニリン膜の成膜方法について述べる。上記親水性官能基
群から選ばれた親水性官能基を有するアニリンを用意
し、これを重合反応させて、親水性官能基を有するポリ
アニリンを得る。このポリアニリンを溶剤に溶かしたも
のを、ろう付けされてできあがった熱交換器10のチュ
ーブやフィンに塗布し、乾燥させる(第1の成膜方
法)。
リアニリン膜が形成される。それによれば、親水性官能
基が付与されたポリアニリンおよび/またはその誘導体
からなるポリアニリン膜を成膜することができるため、
脱臭・殺菌機能を維持しつつ水の濡れ性が良いポリアニ
リン膜を成膜することができる。
チューブおよびフィン(金属基材)の表面にポリアニリ
ン膜を成膜した後、ポリアニリン膜を加熱処理(例えば
200℃以上)することが好ましい。それにより、ポリ
アニリン膜が硬化、不溶化し、加熱処理しない場合に比
べて、より強固で耐久性の向上した膜を実現することが
できる。
記親水性官能基群群から選ばれた親水性官能基が付与さ
れた添加物とポリアニリンとを混合した溶液を、チュー
ブおよびフィンの表面に塗布し、乾燥させることにより
成膜することができる(第2の成膜方法)。もちろん、
この場合にも、成膜されたポリアニリン膜を加熱処理等
により、硬化、不溶化しても良い。
を有するポリアクリルアミド等のバインダや、親水性官
能基を有する化合物(p−スチレンスルホン酸等)や、
親水性官能基を有する化合物が混合されたバインダを用
いることができる。
とを混合した溶液を金属基材の表面に塗布することによ
り、ポリアニリン膜への親水性官能基の付与を容易に行
うことができるため、脱臭・殺菌機能を維持しつつ水の
濡れ性が良いポリアニリン膜を成膜することができる。
は、ポリアニリン膜の成膜と同時に親水性官能基の付与
すなわちポリアニリン膜の親水化を行っていたが、ポリ
アニリンを用いて金属基材の表面にポリアニリン膜を成
膜する工程の後に、ポリアニリン膜を親水化する工程を
行う方法(第3の成膜方法)であっても良い。
は、オゾン暴露、プラズマ暴露、熱処理、紫外線照射、
溶液浸漬から選ばれる少なくとも一種類を採用すること
ができる。また、ポリアニリン膜が成膜されたチューブ
およびフィンをプロトン酸水溶液に浸漬させることによ
っても、親水化は行える。
たポリアニリン膜が親水性を持つものになるため、脱臭
・殺菌機能を維持しつつ水の濡れ性が良いポリアニリン
膜を成膜することができる。
酸水溶液に浸漬させる方法である場合、プロトン酸水溶
液への浸漬を行った後、チューブおよびフィンを水洗い
することが好ましい。さらに、この水洗い後の乾燥方法
は100℃以下の熱風で行うことが好ましい。
リン膜を親水化する工程の前に、乾燥炉中で100℃以
上でポリアニリン膜を乾燥し、成膜されたポリアニリン
膜を十分に乾燥させることが好ましい。
の前に、チューブおよびフィンの表面におけるポリアニ
リン膜の被覆状態を顕微鏡観察等により評価し、ポリア
ニリン膜が金属基材の表面の全てを覆っているか否かを
判断し、ピンホールの発生があるものは除くことが好ま
しい。ポリアニリン膜にピンホールが存在し、下地のア
ルミ表面が露出していると、その後の親水化処理でアル
ミが腐食する等の不具合が発生する恐れがあるためであ
る。
るような場合には、ポリアニリン膜を成膜する工程の前
に、チューブやフィンの表面にクロメート(クロムメッ
キ)等の酸化防止皮膜を形成し、その上にポリアニリン
膜を形成することが好ましい。
には、このポリアニリン膜を不溶化させるための不溶化
剤が含まれていることが好ましい。そのような不溶化剤
としてはカルボジイミド基を含むものを採用することが
できる。カルボジイミド基を含む化合物の一般的な化学
構造式を次の化学式3に示す。
素基である。
付与されて、ポリアニリン膜自体が水に溶けやすい性質
のものとなる場合があり、そのような場合不溶化剤を含
有させれば、不溶化されたポリアニリン膜にすることが
できるためである。
合、カルボジイミド基中の二重結合がポリアニリン末端
と反応して、ポリアニリンが架橋してさらに分子量が大
きくなり、不溶化すると考えられる。
ィンといった基材の表面とポリアニリン膜との間には、
層間膜が介在しているものであっても良い。このような
層間膜としては、基材の表面すなわち本例ではアルミ表
面に対してリン酸亜鉛処理、リン酸チタン処理、クロメ
ート処理、モリブデン酸系処理、塩化セレン系処理、お
よびシラン化合物処理のうち少なくとも1種類の処理を
施すことにより生成された膜を採用することができる。
表面粗さを粗くすることができるので、その上に形成さ
れるポリアニリン膜の密着性を向上させることができ、
好ましい。
してより具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施
例に限定されるものではない。
リアニリン膜の成膜後に親水化する)を適用した具体例
を示すものである。まず、アルミ材を、チューブやフィ
ン等の熱交換器10の部品に成形加工し、これらを60
0℃以上の温度にてろう付けしてろう付け部材を得た。
は、ろう付け部材の表面をアルカリ洗浄することで行っ
た。洗浄に用いるアルカリ溶液は、15重量%のNa2
SiO3と、59重量%のノニオン界面活性剤と、1重
量%のカチオン界面活性剤とを含有する溶液を、さらに
水で希釈した4%希釈液であった。次に、ろう付け部材
を流水にて水洗し、液きり、乾燥を行った。
膜に用いる溶剤の一例としては、1−メチル−2−ピロ
リドン(以下、NMPと略す)を用い、これに可溶なポ
リアニリンを常温で限界量になるまで溶解させた。この
溶液中に上記ろう付け部材を浸漬させた後、液きり、乾
燥を実施した。
℃、乾燥時間15分で行った。成膜されたポリアニリン
膜の乾燥状態が不十分であると、以降の親水化する工程
において膜剥がれを生じる恐れがある。すると、硝酸に
よってチューブとフィンが腐食する恐れがある。本例で
は、上記乾燥条件にて乾燥状態が十分であった。
ン)の表面におけるポリアニリン膜に未成膜部分(ピン
ホール)が無いか否かを評価した。ピンホール検知方法
としては、決められた測定ポイントを光学顕微鏡にて観
察し、画像を電子データとして取り込み、画像処理ソフ
トで2値化(白:アルミおよびピンホール、黒:ポリア
ニリン)した後に白部分を検知させることにより短時間
で容易にピンホールを発見することができた。
ンホールの無いものについて親水化処理を進めた。ポリ
アニリン膜が成膜されたろう付け部材(熱交換器)を1
0%硝酸水溶液に1分間浸漬し、純水で数秒間水洗いし
た後、窒素ブローにて乾燥させた。硝酸水溶液への浸漬
時間はアルミ基材(チューブとフィン)への影響を考え
て1分以内に抑えた。なお、浸漬時間は、ポリアニリン
膜の膜厚に応じて調整し、厚いときには浸漬時間を長く
し、薄いときには短くするのがよい。
した酸が乾燥後に表面に残り、乾燥時に濃縮され、熱交
換器(ろう付け部材)のポリアニリン膜およびアルミ基
材を侵食するのを防ぐためである。
ーではなく高温下にて乾燥させても良いが、ドーピング
された硝酸イオンの熱による消失が考えられるために、
なるべく低温・短時間で行うのがよい。硝酸水溶液への
浸漬は、ポリアニリンを親水化するとともに、硝酸イオ
ンをドーパントとしたドープ型のポリアニリンとして活
性酸素の発生能力を向上させるものである。
ったものではなく、硫酸や塩酸、クロム酸等でも良い。
特に硫酸は熱による蒸発を避けるという意味では良いド
ーパントである。しかし、これらプロトン酸類は強酸で
あるため、親水化処理後に残存するとアルミ基材を腐食
させやすいので注意を要する。そこで、本例では、水洗
いしてプロトン酸を除去することで、当該腐食を防止し
ている。
の浸漬、水洗、乾燥)を行って得られた本例のろう付け
部材について調べた。その結果、まず、ポリアニリンの
色の変化(紫から黄緑へ変化した)が見られた。色の変
化は、硝酸基のドーピングによる変化と考えられる。な
お、塩酸や硫酸イオンのドーピングでも、ポリアニリン
の色変化は同様に確認され、ドープ型となっていること
が確認できた。
上における水の接触角の低下も見られた。図2では、親
水化処理を行わないポリアニリン膜(比較例)と親水化
処理を行った本例のポリアニリン膜(10%硝酸に1分
浸漬)とで、それぞれ接触角計(協和界面科学社製)に
て測定した接触角を示す図である。比較例の80°から
本例では55°〜60°となり、20°程度の水濡れ性
の向上が実現できた。
記図1に示したように温調装置1に装着し、このカーエ
アコンとして使用したところ、親水化処理を行わない熱
交換器(比較例)よりも水滴飛散を大幅に抑制すること
ができた。
は、良好な温度調整を行いながら、そのときに発生する
水分を飛散させることなく、周辺環境の汚れ、臭い、有
害微生物の原因となる有機物などの浄化、分解、無臭
化、殺菌を行うことができる。このため、周辺環境をク
リーンな状態に保持することができる。
上記第3の成膜方法を適用した具体例を示すものである
が、親水化工程で用いる酸溶液の種類が異なる。上記実
施例1と同様に、ろう付け部材の洗浄、ポリアニリン膜
の成膜、ピンホールの検知までを行った。
け部材(熱交換器)を10%p−スチレンスルホン酸水
溶液に浸漬することにより親水化処理(スルホン酸基の
付与)を行った。
レンスルホン酸水溶液に2日〜3日間浸漬させた後の上
記接触角の変化(図中、10%溶液浸漬時間(日)の期
間の白丸プロット)が示されており、浸漬前の80°か
ら20°以下に大幅に低下し、水濡れ性の向上が実現で
きた。
−スチレンスルホン酸水溶液に3日間浸漬させて親水化
させた後に、これを純水中に浸漬(水浸漬、図中、実線
のグラフ線に沿った黒丸プロット)および大気中に放置
(大気放置、図中、破線のグラフ線に沿った黒丸プロッ
ト)し、接触角の変化を調べた結果も示してある。長期
間水に浸漬させておいても接触角40°以下を維持する
ことができた。つまり、長期間、良好な水濡れ性を確保
できている。
記実施例1と同様に、カーエアコンとして使用したとこ
ろ、水滴飛散は確認されなかった。また、本例の熱交換
器を設けた温調装置は、良好な温度調整を行いながら、
そのときに発生する水分を飛散させることなく、周辺環
境の汚れ、臭い、有害微生物の原因となる有機物などの
浄化、分解、無臭化、殺菌を行うことができる。このた
め、周辺環境をクリーンな状態に保持することができ
る。
酸を用いて親水化する場合、更なる変形例として、p−
スチレンスルホン酸を添加物として用いることで上記第
2の製造方法(親水性官能基が付与された添加物とポリ
アニリンとを混合した溶液を用いる)を適用することも
できる。
に溶解させた中に、ポリアニリンを混合した溶液を作製
し、この溶液に上記ろう付け部材を浸漬し、液きり、乾
燥を実施することで、同様の水濡れ性の向上を実現した
ポリアニリン膜を成膜することもできる。
れるため40℃〜80℃で行った。乾燥時間は乾燥温度
に応じて異なるが、乾燥時間が早すぎると、以降の工程
で膜剥がれを生じる恐れがあり、乾燥状態は十分である
ことを確認する必要がある。
上記第3の成膜方法を適用した具体例を示すものである
が、親水化工程で用いる方法が溶液浸漬ではなくオゾン
暴露を用いたことが異なる。上記実施例1と同様に、ろ
う付け部材の洗浄、ポリアニリン膜の成膜、ピンホール
の検知までを行った。
け部材(熱交換器)を、オゾナイザ(朝日理化硝子製)
につないだ個室に入れ、1時間から5時間、100mg
/hでオゾンを流した。流し初めから5分ほどでビーカ
ー内オゾン濃度は一定になり、約150ppmであった
(ガステック検知管(18M、18L)(商品名)での
測定)。
行った熱交換器の一部について上記接触角を測定した。
その結果を図4に示す。上記オゾン処理を行った熱交換
器表面のポリアニリン膜の接触角は、オゾン処理時間と
ともに低下し、5時間処理した直後は接触角が2〜3°
となり、水滴を垂らすと膜全体に水が広がる状態までに
なった。
面結合状態を、XPS(X線光電子分光法)、FT−I
R(フーリエ変換赤外分光法)で確認したところ。C=
O、N−O、OHといった含有酸素基(親水性官能基)
が確認された。これらの官能基が、ポリアニリン膜の水
濡れ性の向上(接触角の低下)を実現し、カーエアコン
用熱交換器の水滴飛散防止機能を実現する要因となって
いる。
を有する熱交換器の一部を、5mm角の切片として切り
取り、この切片を水0.5ml(ミリリットル)に5時
間浸漬させた。それによってできた溶液中の過酸化水素
濃度を測定したところ、スーパーオキシド(活性酸素)
の発生が確認できた。
記実施例1と同様に、カーエアコンとして使用したとこ
ろ、水滴飛散は確認されなかった。また、本例の熱交換
器を設けた温調装置は、良好な温度調整を行いながら、
そのときに発生する水分を飛散させることなく、周辺環
境の汚れ、臭い、有害微生物の原因となる有機物などの
浄化、分解、無臭化、殺菌を行うことができる。このた
め、周辺環境をクリーンな状態に保持することができ
る。
(親水性官能基を有するアニリンを重合させてポリアニ
リン膜を成膜する)を適用した具体例を示すものであ
る。上記実施例1と同様に、ろう付け部材の洗浄までを
行った。
ニリン(アニリンスルホン酸)20gと1M塩酸300
mlとを混合し、氷塩浴上で攪拌する。一方、過硫酸ア
ンモニウムを12g/50mlの割合で1M塩酸に加え
て溶解させ、氷塩浴上で十分に冷却する。
2時間攪拌することにより沈殿物(重合したポリアニリ
ン)を得た。この沈殿物を、NMPに常温で限界量にな
るまで溶解させた。そして、この溶液中に、上記ろう付
け部材を浸漬させた後、液きり、乾燥を実施した。こう
して、親水性官能基が付与されたポリアニリン膜が成膜
されたろう付け部材(熱交換器)ができあがる。
測定した。その結果を図5に示す。本例の熱交換器表面
のポリアニリン膜(アニリンスルホン酸)の接触角は、
比較例のポリアニリン膜の接触角80°から20°以下
と大幅に低下し、水滴を垂らすと膜全体に水が広がる状
態までになった。
ポリアニリン膜を有する熱交換器の5mm角の切片を水
0.5mlに5時間浸漬させた溶液中の過酸化水素濃度
を測定したところ、スーパーオキシドの発生が確認でき
た。
記実施例1と同様に、カーエアコンとして使用したとこ
ろ、水滴飛散は確認されなかった。また、本例の熱交換
器を設けた温調装置は、良好な温度調整を行いながら、
そのときに発生する水分を飛散させることなく、周辺環
境の汚れ、臭い、有害微生物の原因となる有機物などの
浄化、分解、無臭化、殺菌を行うことができる。このた
め、周辺環境をクリーンな状態に保持することができ
る。
様、上記第1の成膜方法を適用した具体例を示すもので
あるが、ポリアニリン膜を成膜した後、より強固で耐久
性の向上した膜を実現すべく加熱処理したところが異な
る。
浄までを行った。一方、スルホン酸基もしくは水酸基等
の親水性官能基を有するアニリンを重合することにより
作られた水分散性ポリアニリン(ORMECON P9
004W(商品名))を純水に常温で限界量になるまで
溶解させた。
を浸漬させた後、液きり、乾燥を実施した。こうして、
親水性官能基が付与されたポリアニリン膜が成膜された
ろう付け部材(熱交換器)ができあがる。次に、できあ
がった熱交換器を、140℃、200℃、250℃、3
00℃の炉にそれぞれ放置し、各温度で加熱処理を行っ
た。放置時間は15分間と60分間とした。
一部を5mm×10mmの切片として切り取り、この切
片を0.5mlの純水に浸漬させ、24時間浸漬させた
後の純水の吸光度を測定した。処理温度毎の吸光度を比
較した結果を図6に示す。上記の処理温度のうち高い温
度であるほど、吸光度のピークが低く、ポリアニリンの
溶出が少ないことがわかる。
記接触角との関係を、放置時間(15分間:黒丸プロッ
ト、60分間:黒三角プロット)の違いも比べて示し
た。図7からわかるように、接触角の変化は、処理温度
が200℃〜250℃の間で上昇している。それでも、
疎水性であるポリアニリン膜(上記図2等の比較例)と
比較して、大きく接触角を低減できた(80°から約4
0°へ)。
するアニリンを重合させてポリアニリン膜を成膜し、さ
らにポリアニリン膜を加熱処理することによって、濡れ
性を向上させつつ、親水性もしくは水分散性のポリアニ
リンを成膜しただけの場合と比較して、より強固で耐久
性の向上した膜を実現することができる。
記実施例1と同様に、カーエアコンとして使用したとこ
ろ、親水化処理を行わない熱交換器(比較例)よりも水
滴飛散を抑制することができた。
は、良好な温度調整を行いながら、そのときに発生する
水分を飛散させることなく、周辺環境の汚れ、臭い、有
害微生物の原因となる有機物などの浄化、分解、無臭
化、殺菌を行うことができる。このため、周辺環境をク
リーンな状態に保持することができる。
ン膜の接触角と水飛び量との関係)図8は、上記各実施
例1〜5において熱交換器10の伝熱面に成膜したポリ
アニリン膜の接触角(フィン接触角、単位:°)と、こ
の熱交換器10に送風を行った時の水飛び量(単位:
g)との関係を示す図である。送風量は、3m/s、5
m/s、7m/sと変えて行った。
黒三角プロットが5m/sの場合、黒四角プロットが7
m/sの場合である。また、図中、フィン接触角が60
°を超えているものは、親水化処理を行わないポリアニ
リン膜(比較例)である。そして、各実施例1〜5に対
応するフィン接触角の範囲および値は、60°以下の範
囲において、図8中に示してある。
ニリン膜においては、その接触角を60°以下とするこ
とで、水滴飛散を大幅に抑制することができており、脱
臭・殺菌機能を維持しつつ水の濡れ性が良いポリアニリ
ン膜を皮膜として有する熱交換器熱を提供することがで
きる。なお、接触角は40°以下となっていればより好
ましいと言える。
(ポリアニリン膜の成膜後に親水化する)を適用し、さ
らに基材の表面とポリアニリン膜との間に、ポリアニリ
ン膜の密着性を向上させるための層間膜を介在させた具
体例を示すものである。
10のフィンに用いるアルミニウム含有金属としてのフ
ィン材を基材として用いた。このフィン材の形状は、3
0mm×70mmの四角形片とした。このフィン材につ
いて、上記実施例1と同様に、その表面をアルカリ溶液
にて洗浄処理した後、流水にて水洗した。
処理を行う。水洗されたフィン材を0.3%硝酸水溶液
に30秒間浸し、水洗して酸を除去した後、化成処理に
より層間膜としてのリン酸チタン皮膜を形成する。
ン材の表面にポリアニリン膜の成膜を行った。上記実施
例1と同様に、成膜に用いる溶剤としてNMPを用い、
これに可溶なポリアニリンを常温で限界量になるまで溶
解させた。本例では2重量%のポリアニリンを溶解させ
た。
後、液きり、乾燥を実施した。乾燥条件は上記と同様、
乾燥温度140℃、乾燥時間15分で行い、十分に乾燥
させた。そして、上記実施例1と同様、ポリアニリン膜
のピンホール検査を行い、ピンホールの無いポリアニリ
ン膜について10%硝酸水溶液を用いた親水化処理を行
い、水洗、乾燥を行った。
実施例1と同様に、ポリアニリンはドープ型となってお
り、接触角が低下して水濡れ性の向上が実現できたこと
を確認した。
を用いて上記リン酸チタン処理を行わない以外は、本例
と同様の手順で、ポリアニリン膜を有するフィン材を形
成した。これを「ベアアルミ材」と表すこととし、本例
のフィン材は「ベアアルミ/リン酸チタン」と表すこと
とする。
「ベアアルミ/リン酸チタン」についてポリアニリン膜
の密着性を評価した。その評価方法を図9に示す。図9
(a)に示すように、カッターナイフを用いてポリアニ
リン膜の下地が露出するようにポリアニリン膜に縦横1
mm間隔の平行線を引き、碁盤目を形成する。この碁盤
目は縦横11本の平行線で区画され、ポリアニリン膜は
1mm×1mmの大きさで100個の単位Uに分断され
る。
盤目部分を覆うようにフィン材20上のポリアニリン膜
21の表面に粘着テープ22を十分に密着させる。この
粘着テープ22のポリアニリン膜21上への密着領域の
大きさは、例えば図9中(b)に数値として示すように
20mm×24mm程度とする。
す。そのとき、テープ22にくっついて一緒に剥がれた
ポリアニリン膜21の単位Uの個数をカウントする。こ
のカウントされた単位Uの個数が多いほどポリアニリン
膜の密着性が悪く、少ないほど密着性が良いことにな
る。
アアルミ材」および「ベアアルミ/リン酸チタン」につ
いてポリアニリン膜の密着性を評価した結果を示す図で
ある。n数は4にて行った。図10から、層間膜を介在
させたフィン材では、層間膜を介在させないフィン材に
比べて大幅にポリアニリン膜の密着性が向上できてい
る。
理を施して形成された層間膜をポリアニリン膜と基材と
の間に介在させることで、ポリアニリン膜は物理的に強
固な剥がれにくい膜とすることができる。
を適用して親水性官能基を有するポリアニリン膜を成膜
する際に、不溶化剤を含むものとすることで膜を不溶化
し、濡れ性が良く且つより強固なポリアニリン膜を実現
するものである。
10のフィンに用いるアルミニウム含有金属としてのフ
ィン材を基材として用いた。このフィン材の形状は、1
0mm×10mmの四角形片とした。
様に、その表面をアルカリ溶液にて洗浄処理した後、流
水にて水洗した後、上記実施例6と同様に、リン酸チタ
ン処理を行い、フィン材の表面に層間膜としてのリン酸
チタン皮膜を形成する。
ン材の表面にポリアニリン膜の成膜を行った。用いたポ
リアニリンは、親水性官能基としてのスルホン酸基を有
するポリアニリンであり、このポリアニリン自身は水溶
性である。
水に5重量%溶解させた。このポリアニリン溶解液に対
して、カルボジイミド基を含む不溶化剤を水に40%溶
解させた液を、体積比にして1:1の割合で混合した。
フィン材を浸漬し、液きり、乾燥を行った。乾燥条件に
ついては、乾燥温度(熱処理温度)が60℃、100
℃、140℃、200℃の各温度であり、これら各々の
温度について、乾燥時間(熱処理時間)を30分、12
0分とした。
ン膜を有するフィン材を、72時間水に浸漬させた後、
ポリアニリン膜の水への溶解度を評価した。評価方法
は、72時間浸漬後のポリアニリン膜の様子を目視にて
確認することと、72時間浸漬を行った水の吸光度を測
定することにより行った。
ているポリアニリン膜が溶解していると470nm付近
にピークが確認される。吸光度測定の結果を図11に示
す。図11では、乾燥時間すなわち熱処理時間が30分
の場合と120分の場合とで、乾燥温度毎の吸光度スペ
クトルを示している。
0℃以上の場合は、上記の470nm付近のピークがみ
られず、ポリアニリン膜が溶解していないことが確認さ
れた。また、目視でも同様に溶解していないことを確認
した。
含む不溶化剤を親水性官能基を有するポリアニリン膜に
混合させて成膜することにより、膜を不溶化し、濡れ性
が良く且つより強固なポリアニリン膜を実現することが
できる。これは、上述したように、不溶化剤によってポ
リアニリンが架橋してさらに分子量が大きくなり、高分
子化されて溶出されにくくなったためと考えられる。
アニリン膜を有するフィン材のうち、140℃、30分
の条件で成膜したものと200℃、30分の条件で成膜
したものとについて、活性酸素発生能の測定を行った。
この測定は、フィン材を水に入れ、浸漬時間が1時間、
3時間、5時間毎に水を取り出し、この水をESRで測
定して過酸化水素(H2O2)発生量を調べるものであ
る。
生していれば、ESR測定により過酸化水素が検出され
る。よって、過酸化水素の発生量が多いほど、活性酸素
発生能が高いということになる。
を示す図である。図12では、基準例として、一般的な
ポリアニリンをNMPに溶かしてフィン材上に成膜した
ポリアニリン膜についても同様に活性酸素発生能を測定
した結果を並記してある。本例の不溶化剤を含む親水性
のポリアニリン膜においても、過酸化水素の発生が確認
でき、十分な活性酸素発生能を有することが確認でき
た。
アニリン膜を有するフィン材のうち、乾燥温度すなわち
熱処理温度が140℃のものと200℃のものについ
て、乾燥時間すなわち熱処理時間に対する接触角の変化
を上記実施例1と同様の装置にて測定した。
親水性官能基を持たないポリアニリンをNMPに溶解さ
せ、これを上記リン酸チタン処理が施されたフィン材の
表面に熱処理温度140℃にて成膜したものについて
も、同様にして接触角を測定した。
である。図13では、各乾燥温度および比較例(図中、
「ポリアニリンのみ」と示す)ごとに、熱処理時間が3
0、60、120分のときの接触角を示している。
ち親水性官能基を持たない比較例が、接触角80°強で
あるのに対し、本例の各乾燥温度にて不溶化されたスル
ホン酸基を持つポリアニリン膜は、それを下回り、親水
化されているすなわち濡れ性が向上していることがわか
る。
持つ化合物において、上記化学式3中のR1、R2に、
第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、アンモニ
ウム基、硝酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホス
ホン酸基、および水酸基からなる群から選ばれる少なく
とも一種類の親水性官能基を導入すれば、さらに接触角
を低下できると考えられる。
示す図である。
向上効果を示す図である。
向上効果を示す図である。
関係を示す図である。
向上効果を示す図である。
ポリアニリン膜の耐久性を吸光度変化として示す図であ
る。
との関係を示す図である。
と水飛び量との関係を示す図である。
方法を示す図である。
した結果を示す図である。
である。
を示す図である。
である。
ヒータ、13…空気吸入装置、14…空気吹き出し口。
Claims (23)
- 【請求項1】 表面に皮膜を備える基材において、 前記皮膜として、ポリアニリンおよび/またはその誘導
体からなるポリアニリン膜が形成されており、 このポリアニリン膜には、第1アミノ基、第2アミノ
基、第3アミノ基、アンモニウム基、硝酸基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、および水酸基か
らなる群から選ばれる少なくとも一種類の親水性官能基
が付与されていることを特徴とする基材。 - 【請求項2】 表面に皮膜を備える基材において、 前記皮膜として、ポリアニリンおよび/またはその誘導
体からなるポリアニリン膜が形成されており、 このポリアニリン膜には、第1アミノ基、第2アミノ
基、第3アミノ基、アンモニウム基、硝酸基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、および水酸基か
らなる群から選ばれる少なくとも一種類の親水性官能基
が付与されているバインダが含まれていることを特徴と
する基材。 - 【請求項3】 前記ポリアニリン膜には、このポリアニ
リン膜を不溶化させるための不溶化剤が含まれているこ
とを特徴とする請求項1または2に記載の基材。 - 【請求項4】 前記不溶化剤はカルボジイミド基を含む
ものであることを特徴とする請求項3に記載の基材。 - 【請求項5】 表面に皮膜を備える基材において、 前記基材は成形加工された熱交換器の伝熱面であり、 前記伝熱面の表面には、ポリアニリンおよび/またはそ
の誘導体からなるポリアニリン膜が形成されており、 このポリアニリン膜の接触角が60°以下となっている
ことを特徴とする基材。 - 【請求項6】 前記接触角が40°以下となっているこ
とを特徴とする請求項5に記載の基材。 - 【請求項7】 前記熱交換器は、その内部を熱交換流体
が循環する蒸発器であることを特徴とする請求項5また
は6に記載の基材。 - 【請求項8】 前記基材は成形加工された熱交換器の伝
熱面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれ
か一つに記載の基材。 - 【請求項9】 前記伝熱面はアルミニウムを含有する金
属からなることを特徴とする請求項5ないし8のいずれ
か一つに記載の基材。 - 【請求項10】 前記ポリアニリンおよび/またはその
誘導体は、ドーパントを有するものであることを特徴と
する請求項1ないし9のいずれか一つに記載の基材。 - 【請求項11】 前記基材の表面と前記皮膜との間に
は、層間膜が介在していることを特徴とする請求項1な
いし10のいずれか一つに記載の基材。 - 【請求項12】 前記層間膜は、前記基材の表面に対し
てリン酸亜鉛処理、リン酸チタン処理、クロメート処
理、モリブデン酸系処理、塩化セレン系処理、およびシ
ラン化合物処理のうち少なくとも1種類の処理を施すこ
とにより生成された膜であることを特徴とする請求項1
1に記載の基材。 - 【請求項13】 基材の表面に形成された皮膜を成膜す
る方法において、第1アミノ基、第2アミノ基、第3ア
ミノ基、アンモニウム基、硝酸基、カルボキシル基、ス
ルホン酸基、ホスホン酸基、および水酸基からなる群か
ら選ばれる少なくとも一種類の親水性官能基が付与され
たアニリンを重合することにより、ポリアニリンを形成
し、 このポリアニリンを用いて前記基材の表面に前記皮膜を
成膜することを特徴とする皮膜の成膜方法。 - 【請求項14】 前記基材の表面に前記ポリアニリンを
用いて前記皮膜を成膜した後、前記皮膜を加熱処理する
ことを特徴とする請求項13に記載の皮膜の成膜方法。 - 【請求項15】 基材の表面に形成された皮膜を成膜す
る方法において、 前記皮膜として、第1アミノ基、第2アミノ基、第3ア
ミノ基、アンモニウム基、硝酸基、カルボキシル基、ス
ルホン酸基、ホスホン酸基、および水酸基からなる群か
ら選ばれる少なくとも一種類の親水性官能基が付与され
たポリアニリン膜を成膜した後、前記ポリアニリン膜を
硬化または不溶化することを特徴とする皮膜の成膜方
法。 - 【請求項16】 基材の表面に形成された皮膜を成膜す
る方法において、第1アミノ基、第2アミノ基、第3ア
ミノ基、アンモニウム基、硝酸基、カルボキシル基、ス
ルホン酸基、ホスホン酸基、および水酸基からなる群か
ら選ばれる少なくとも一種類の親水性官能基が付与され
た添加物とポリアニリンとを混合した溶液を、前記基材
の表面に塗布することにより前記皮膜を成膜することを
特徴とする皮膜の成膜方法。 - 【請求項17】 ポリアニリンを用いて基材の表面に皮
膜としてのポリアニリン膜を成膜する工程と、この後、
前記ポリアニリン膜を親水化する工程とを備えることを
特徴とする皮膜の成膜方法。 - 【請求項18】 前記ポリアニリン膜を親水化する方法
が、オゾン暴露、プラズマ暴露、熱処理、紫外線照射、
溶液浸漬から選ばれる少なくとも一種類であることを特
徴とする請求項17に記載の皮膜の成膜方法。 - 【請求項19】 前記ポリアニリン膜を親水化する方法
が、前記ポリアニリン膜が成膜された前記基材をプロト
ン酸水溶液に浸漬させるものであることを特徴とする請
求項17に記載の皮膜の成膜方法。 - 【請求項20】 前記基材を前記プロトン酸水溶液に浸
漬させた後、前記基材を水洗いすることを特徴とする請
求項19に記載の皮膜の成膜方法。 - 【請求項21】 前記ポリアニリン膜を成膜する工程の
前に、前記基材の表面に酸化防止皮膜を形成することを
特徴とする請求項17ないし20のいずれか一つに記載
の皮膜の成膜方法。 - 【請求項22】 前記酸化防止皮膜が、前記基材の表面
に対してリン酸亜鉛処理、リン酸チタン処理、クロメー
ト処理、モリブデン酸系処理、塩化セレン系処理、およ
びシラン化合物処理のうち少なくとも1種類の処理を施
すことにより生成された膜であることを特徴とする請求
項21に記載の皮膜の成膜方法。 - 【請求項23】 前記基材は、成形加工された伝熱面を
有する熱交換器における前記伝熱面であることを特徴と
する請求項13ないし22のいずれか一つに記載の皮膜
の成膜方法。
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