JP2003200017A - 植物を使用した駐車場の空気浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物を利用した駐車場の空気浄化装置におい
て、小型の装置で効率よく浄化を行い、植物の生育に対
する悪影響を防止し、運転コストを低減する。 【解決手段】 駐車場の駐車スペースの奥側の床面に近
い底部に開口１３する吸気ダクト１１と、この吸気ダク
トの開口部近くに位置する入庫検出センサ１４と、植物
２３を根付かせた土壌を収容する一部に通気性の隔壁４
を備えた植生室３と、この隔壁に隣接する空気室５と、
前記吸気ダクトの空気を空気室に送るファン１０と、前
記センサが排気ガスを検出する間又は車両を検出してか
ら所定時間前記ファンを駆動する制御器とを備えてい
る。駐車場内の車両の入出庫の頻度に応じてファンが駆
動されるため、不必要な運転を避けることができる。植
物２３を含む全体を駐車場内に設置することにより、駐
車場内の空気を浄化して循環させることが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、駐車場の空気を
浄化する空気浄化装置に関するもので、植物を根付かせ
た土壌中に汚染された空気を通過させることにより、植
物の根及びその近くに生息する微生物の生物化学的な作
用並びに土壌粒子の吸着作用や土壌中の水分の溶解作用
により、汚染物質を除去して空気を浄化する装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】植物を根付かせた土壌中に汚染空気を通
過させて、当該空気中の汚染物質を除去する方法ないし
装置は、特開平１１−２９０４３７号公報、特開２００
０−１６６３８８号公報、特開２００１−３７８５６号
公報などに開示されている。また、駐車場内の空気をフ
ァンで吸引して土壌中を通過させて大気放出することに
より、駐車場から排出される空気の浄化を行う方法ない
し装置が特開平５−９８８２９号公報、特開平７−２４
２４２号公報などに開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、植物を根
付かせた土壌に空気を通過させることにより、汚染物質
の除去を行う駐車場用の空気浄化装置において、小型の
装置でより効率よく汚染空気の浄化を行うことができ、
土壌が過度に乾燥することによって生ずる植物の生育に
対する悪影響を防止することができ、かつ運転コストも
安価な上記装置を提供することを課題としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明の植物を利用し
た駐車場の空気浄化装置は、駐車場の駐車スペースの奥
側の床面に近い底部に開口１３する吸気ダクト１１と、
この吸気ダクトの開口部近くに位置する入庫検出センサ
１４と、植物２３を根付かせた土壌２２を収容するため
の少なくとも一部に通気性の隔壁４を備えた植生室３
と、この植生室の前記通気性を備えた隔壁に隣接する空
気室５と、前記植生室３への給水手段１５、１６と、前
記吸気ダクトの空気を空気室に送る駆動モータを備えた
ファン１０と、前記センサが排気ガスを検出する間又は
車両を検出してから所定時間前記モータを駆動する制御
器３０とを備えている。

【０００５】可搬式の空気浄化装置では、前記植生室
３、給水手段１５、１６、空気室５、駆動モータを備え
たファン１０及び制御器３０が外箱１に収容され、この
外箱に支持した支柱２１の上端部に植生室３の土壌に根
付かせた植物に光エネルギーを供給する光源２４が設け
られる。

【０００６】

【作用】土壌中の微生物は、その土壌に根付いている植
物の根と共生しており、生きた植物の根の存在によって
微生物の生息可能な土壌環境が整えられている。土壌中
に優先的に増殖する微生物の種類は、根付いている植物
の種類によって変化し、空気中や水中の汚染物質をより
有効に除去するための植物の種類が何であるかの研究成
果も報告されている（例えば、ドラセナ、ヤシ）。従っ
て、このような研究成果を踏まえて、自動車の排気ガス
中に多く含まれる汚染物質をより効果的に除去すること
が可能な植物を根付かせた土壌中に駐車場の空気を通過
させることで、より効率よく空気浄化を図ることができ
る。

【０００７】駐車場の空気汚染の最大の要因は、自動車
から排出される排気ガスである。自動車のエンジンが停
止しているときは、排気ガスは発生しない。駐車場の自
動車は、入出庫のときのみエンジンが駆動されて排気ガ
スを発生するのであるから、入出庫が少なければ空気汚
染は少なく、多ければ空気汚染も大きくなる。

【０００８】従来のこの種空気浄化装置は、入出庫車両
の多少にかかわらず、常時運転されているか、あるいは
その多少を人間が判断して装置の運転停止を行うかのい
ずれかの方法で運転されている。しかし、このような運
転方法では、必要以上に運転されることが多く、運転コ
ストに無駄が生ずる。また、土壌中に必要以上の空気を
通過させると、土壌が過度に乾燥し、植物を枯れ死させ
たり、土壌中の微生物を死滅させる危険が高くなる。こ
れを避けるためには、水遣りを頻繁に行ったり、土壌を
積極的に加湿する手段を採用する必要が生じ、装置コス
トの増大や運転コストの更なる増大を招く。

【０００９】この発明の装置では、駐車場内の車両の排
気ガスの排出状態や入出庫の頻度を検出して、汚染空気
を吸引するファンを駆動しているため、ファンの不必要
な運転を避けることができる。また、このファンと連動
させて、給水装置１６の運転停止を行うことにより、土
壌への過剰な空気の供給と共に、過剰な水の供給をも防
止することができる。

【００１０】また、この発明の装置は、植物２３を含む
全体を駐車場内に設置することにより、駐車場内の汚染
空気を外部に排出するのではなく、空気中の汚染物質を
除去すると共に、植物の葉の作用により、炭酸ガスを吸
収して酸素を放出する機能が得られ、駐車場内の空気を
浄化して循環させることが可能になる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施例を参照し
て、この発明を更に説明する。図示実施例のものは、駐
車場内に設置可能にしたもので、植物２３の光合成に必
要な光エネルギーを供給する光源を備えたものである。

【００１２】図１及び図２は、実施例で用いる浄化器の
縦断面図及び横断面図である。図３は制御系を含んで示
すブロック図である。

【００１３】図の浄化器は可搬式のもので、外箱１の底
部にキャスタ２が設けられている。外箱１の上部には、
上面が開口する植生室３が設けられている。この植生室
の底面は、多数の小孔を設けたステンレス板や網目状に
貫通孔を有する合成樹脂板などで形成した通気性の隔壁
となっている。この隔壁４の下部は、植生室３の側壁と
一体の側壁及び底面を有する空気室５が形成されてい
る。

【００１４】空気室５には、底面から空気パイプ６が貫
通しており、この空気パイプは空気室５内で横パイプ７
に連結され、この横パイプに上方を向いた４個の排気口
８が開口している。これらの排気口の上方には、植生室
３から流出する水の浸入を防止するためのカバー９が設
けられている。空気パイプ６は、外箱１の底部に配置し
た駆動モータ付きのファン１０の吐出口に連通してい
る。ファン１０の給気口は、外箱１の側面を貫通する吸
気ダクト１１で、図３に示すように、駐車場１２の駐車
スペースの奥側（通路と反対の側）の床面近くの底部、
すなわち自動車の排気口の高さに開口１３している。こ
の開口に近接して、入庫検出センサ１４が配置されてい
る。このセンサは、例えば自動車の排ガスを検出する熱
センサや化学センサ、自動車本体を検出する近接センサ
や磁気センサなどである。

【００１５】植生室３の中央部には、長手方向に給水パ
イプ１５が配置されている。この給水パイプは、周面に
設けた多数の小孔から水を流出するものである。給水パ
イプ１５の一端は、外箱１の底部に配置した水ポンプ１
６に連結され、この水ポンプの吸入口は、外箱１内に設
けられた水タンク１７の底部に連通している。図３に示
すように、この水タンク１７には水ポンプ１６に空気が
吸引されるのを防止するための最低水位センサ１８が設
けられており、水位がこのセンサより低くなると、水ポ
ンプ１６の電源回路１９が遮断されるようになってい
る。また、この水タンク１７は、空気室５の底部とドレ
ン管２０で連結されており、植生室３から空気室５へ流
出した余分の水は、ドレン管２０で水タンク１７に返送
される。

【００１６】外箱１の上部には、支持枠２１が設けら
れ、この支持枠に植生室３に充填した土壌２２に根付か
せた植物２３に光エネルギーを供給するための蛍光灯２
４が設けられている。

【００１７】外箱１内には、制御器２５が設けられてい
る。この制御器には、ファン１０の駆動モータをオンオ
フする開閉器２６と、水ポンプ１６をオンオフする開閉
器２７と、ファンの運転時間を設定するタイマ２８と、
水ポンプの運転時間を設定するタイマ２９と、水ポンプ
１６の運転時間間隔を設定するタイマ２９と、ファン１
０の運転制御器３０と、水タンク１７の運転制御器３１
とが設けられている。ファンの運転制御器３０は、入庫
検出センサ１４が排ガスないし自動車を検出したとき
に、開閉器２６を閉成し、タイマ２８のタイムアップ信
号で開閉器２６を開成する。タイマ２８はセンサ１４が
自動車本体を検出したときから経時動作を開始する。セ
ンサ１４が排気ガスを検出するセンサであるときは、タ
イマ２８を設けないで、センサ１４が排気ガスを検出し
なくなったときに、開閉器２６を開成してやればよい。

【００１８】水ポンプ制御器３１は、運転時間間隔設定
タイマ３２で設定された時間間隔毎に開閉器２７を閉成
し、その信号を運転時間設定タイマ２９に送って経時動
作を開始させる。そして、運転時間設定タイマ２９がタ
イムアップしたときに、開閉器２７を閉成する。

【００１９】植生室３には植物２３の根を配置し、肥料
分を含んだ土壌を充填する。土壌は必ずしも天然の土壌
でなくてもよく、好ましくは植物２３の種類に応じて適
切なものを選んで使用する。土壌２２には水ポンプ１６
で水が供給され、余分の水は通気性の隔壁４を通過して
ドレン管２０を通って水タンク１７に返送される。これ
により土壌２２中の適切な湿潤状態が保持される。植物
２３の根とその根と共生する微生物が土壌中に増殖す
る。駐車場に自動車が入庫すると、それをセンサ１４が
検出して、排気ガスが排出されている間又はタイマ２８
に設定された時間、ファン１０が運転されて排気ガスを
その排出口からもっとも近い位置で吸引して空気室５に
送る。タイマ２８に設定される時間は、駐車スペースに
車が入庫してからエンジンが停止するまでの時間を余裕
を持たせて設定しておく。空気室５に供給された汚染空
気は、土壌２２を通過し、その間に植物２３の根及び土
壌中の微生物並びに湿潤状態の土壌粒子によって浄化さ
れ、植生室の上方へと流出する。蛍光灯２４により照明
されている植物２３は、光合成を行い、空気中の炭酸ガ
スを取り込んで酸素を排出する。駐車スペースへの自動
車の出入がなければ、ファン１０は停止したままであ
り、土壌２２中に過剰な空気が供給されることがないた
め、不必要な運転コストが削減され、かつ土壌２２が過
度に乾燥する危険も防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例装置の縦断面図

【図２】実施例装置の横断面図

【図３】実施例装置の制御系を含むブロック図

【符号の説明】

１ 外箱 ３ 植生室 ４ 隔壁 ５ 空気室 10 ファン 11 吸気パイプ 14 入庫センサ 15 給水パイプ 16 水ポンプ 21 支持枠 30 運転制御器

フロントページの続き Ｆターム(参考） 3L053 BD10 4D002 AA09 AC10 BA17 BA20 CA13 DA35 DA58 GA02 GA03 GB02 GB20

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 駐車場の駐車スペースの奥側の床面に近
   い底部に開口する吸気ダクト(11)と、この吸気ダクトの
   開口部近くに位置する入庫検出センサ(14)と、植物(23)
   を根付かせた土壌(22)を収容するための少なくとも一部
   に通気性の隔壁(4)を備えた植生室(3)と、この植生室の
   前記通気性を備えた隔壁に隣接する空気室(5)と、前記
   植生室への給水手段(15,16)と、前記吸気ダクトの空気
   を空気室に送る駆動モータを備えたファン(10)と、前記
   センサが排気ガスを検出する間又は車両を検出してから
   所定時間前記モータを駆動する制御装置(30)とを備え
   た、植物を利用した駐車場の空気浄化装置。
2. 【請求項２】 前記植生室(3)、給水手段(15,16)、空気
   室(5)、駆動モータを備えたファン(10)及び制御器(30)
   が外箱(1)に収容され、この外箱に支持した支柱(21)の
   上端部に植生室の土壌に根付かせた植物に光エネルギー
   を供給する光源(24)が設けられている、請求項１記載の
   空気浄化装置。