JP2003197951A - 火炎センサ - Google Patents

火炎センサ

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JP2003197951A
JP2003197951A JP2001397111A JP2001397111A JP2003197951A JP 2003197951 A JP2003197951 A JP 2003197951A JP 2001397111 A JP2001397111 A JP 2001397111A JP 2001397111 A JP2001397111 A JP 2001397111A JP 2003197951 A JP2003197951 A JP 2003197951A
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JP2001397111A
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Hikari Hirano
光 平野
Satoshi Kamiyama
智 上山
Hiroshi Amano
浩 天野
Isamu Akasaki
勇 赤崎
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波長選択性が良好な火炎センサを提供する。 【解決手段】 火炎センサが、単数または複数の半導体
層を有する半導体受光素子構造を備え、前記半導体受光
素子構造中の単数または複数の半導体層に受光領域が形
成されてなり、前記半導体受光素子構造上に、複数の光
透過層が堆積されてなる多層膜光フィルタ構造が直接積
層され、前記半導体受光素子構造と前記多層膜光フィル
タ構造とが一体形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は照射された光の一部
を除去可能な光フィルタ構造を備えた火炎センサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】火炎センサは、火炎からの光に対して良
好な感度を示すことが求められるが、設置される場所に
よっては各種照明機器からの光(室内光)や太陽光など
の照射を受けてノイズを発生することもあるため、検出
対象とする火炎の波長範囲に感度を有しつつ、室内光や
太陽光の波長範囲においては感度を有さないような波長
選択性を有することが必要である。また、現在はその受
光部に直接ギャップ形の半導体を用い、その半導体のバ
ンドギャップエネルギを調整することで吸収端波長(カ
ットオフ波長)が調整された受光素子を用いて火炎セン
サが構成されている。ここで、感度(単位はA/W)と
は、火炎センサに照射される光強度(W)に対して、ど
れだけの光電流(A)が発生したかを示すものであり、
同じ強度の光が照射された場合、発生する光電流が大き
いほど感度が高いと言える。
【0003】ここで、受光素子が備える受光層に直接ギ
ャップ形の半導体を用いるのは、その受光層における光
吸収過程が直接遷移によって行われるため、吸収係数の
波長特性を調べた場合、その吸収係数が特定の吸収端波
長(受光層のバンドギャップエネルギに相当)で急激に
変化し、吸収端波長前後の波長を選択的に分離して光吸
収することができるという波長選択性が大きく見られる
からである。他方で、受光層に間接ギャップ形の半導体
を用いた場合、その受光層における光吸収過程が間接遷
移によって行われるために、吸収係数は波長に対して緩
やかに変化する。従って、間接ギャップ形の半導体を受
光層に用いた受光素子においては、波長選択性が大きく
見られない。
【0004】従来は、火炎の発光の内で紫外域に存在す
る発光を検出対象とし、その検出対象波長域の火炎の光
にのみ感度を有するような火炎センサを構成するため
に、受光素子の光入射面側を覆うようにして火炎センサ
とは別の1枚の光学フィルタを装着して検出対象としな
い光を遮断し、その光学フィルタを通過した検出対象波
長域にある火炎の光のみが受光素子に照射されるように
構成していた。ここで、受光素子を覆うように光学フィ
ルタを設けた場合の火炎センサの感度(A/W)は、光
学フィルタの部分に照射される光強度(W)に対して、
光学フィルタを通過した光を受光した受光素子において
どれだけの光電流(A)が発生したかで導出される。従
って、光学フィルタの透過率スペクトルを調整すること
で、受光層に照射される光のスペクトルも調整されるこ
とから、結果として得られる火炎センサの波長感度も変
えることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、受光層
に直接ギャップ形の半導体を用い、且つ光学フィルタを
受光素子の光入射面側に備えた火炎センサを構成したと
しても、各種照明機器からの室内光や太陽光からの光に
対する感度を完全に除去するには至らなかった。具体的
には、検出対象波長域にある火炎の光と、太陽光および
室内光との境界波長域である波長300nm〜400n
m、更には320nm〜400nmの波長範囲におい
て、光の遮断が不十分であること、並びに図8(a)お
よび図8(b)に示すような光学フィルタとしての色ガ
ラスフィルタの透過率スペクトルの立ち上がりが緩やか
であることに問題がある。また、受光層となる半導体層
自体についても、検出対象波長域にある火炎に対する感
度の値が、検出対象波長域よりも長波長側にある検出対
象波長域外での感度の値の一万分の一以下の値とさせる
ことができない。その結果、光学フィルタによる遮光が
不十分であるために、火炎センサが太陽光や室内光に対
して光電流を発生させるという問題があることが分かっ
た。
【0006】従来は、光学フィルタとして色ガラスフィ
ルタが、受光層である直接ギャップ形の半導体層を有す
る受光素子と共に用いられ、全ての波長域で同じ光強度
の光を照射して測定した場合には、検出対象波長域外で
の感度が、検出対象波長域にある火炎の光に対する感度
の値の百分の一〜一万分の一程度となるような感度比を
得ることができた。しかし、実際には検出対象波長域外
での光の強度(例えば、波長400nm前後における太
陽の光強度)は、検出対象波長域にある火炎の光強度
(例えば、波長300nm前後の火炎の光強度)に比べ
て非常に大きいものとなり、実際の火炎センサの使用状
況において得られる検出対象波長域外での感度は、検出
対象波長域にある火炎の光に対する感度の値の百分の一
〜千分の一となっていた。
【0007】更に、波長選択性のある1枚の光学フィル
タを火炎センサの入射光側に設けたにも拘わらず、光透
過率スペクトルの立ち上がりが緩やかであることによっ
て火炎センサが太陽光や室内光に対しても感度を有して
しまうのは以下の理由によるものがあることが見出され
た。
【0008】従来は、光学フィルタを用いたとしても検
出対象波長域以外の光が完全には除去されないことを考
慮して、光学フィルタを設けると同時に、光学フィルタ
によって除去しきれなかった光が受光層で吸収されるこ
とを防止する目的で、受光層、および受光層よりも光入
射面側に設けられた半導体層のバンドギャップエネルギ
を所定のカットオフ波長に調整して、それらの半導体層
自体を光学フィルタとして作用させて、検出対象波長域
よりも長波長の光を完全に除去しようとしていた。しか
しながら、それらの半導体層中には欠陥準位などが存在
し、その欠陥準位においてはバンドギャップエネルギに
満たないエネルギの光(検出対象波長域よりも長波長の
光)が吸収されることでノイズとなる光電流が発生され
ていた。その結果、所定のカットオフ波長よりも長い波
長の光に対しても感度を有し、完全な波長選択性を達成
することができないという問題が生じていた。
【0009】具体的には、受光素子としてのPINフォ
トダイオードをGaN系材料で作製する場合、受光層
(i型半導体層)よりも光入射面側に設けられたp型半
導体層を構成するp−AlxGa1-xNに含まれる欠陥準
位、並びに三元混晶系の組成ずれによるGaNの光吸収
(吸収端波長は約360nm)や、p電極を形成するた
めのp型コンタクト層を構成するp−GaNの光吸収に
よって、検出対象波長域よりも長波長側の光が吸収され
ていた。そのため、p型半導体層およびi型半導体層の
バンドギャップエネルギを調整して、280nm〜33
0nm付近にカットオフ波長を設けたとしても、そのカ
ットオフ波長から波長400nmの間の光に対して、ノ
イズとなる程度の感度を有してしまうという問題が生じ
ていた。
【0010】このように、受光素子の光入射面側に光学
フィルタを備えて構成された従来型の火炎センサでは、
半導体層中の欠陥準位に起因する感度が問題となること
が認識されておらず、その対策も採られていなかった。
そのため、検出対象波長域にある火炎の光だけを感度良
く検知することのできる火炎センサを作製することがで
きていなかった。
【0011】また、感度の良好な火炎センサを構成する
ためには、発生する暗電流のレベルを低減させる必要が
ある。暗電流が発生する原因としては、受光素子構造中
の半導体層間の接合部の空乏層を通り抜けるトンネル電
流(接合部漏れ電流)によるものと、受光素子側面を流
れる沿面電流(メサ周囲漏れ電流)によるものとがあ
る。上記トンネル電流は、半導体層内部に含まれる欠陥
密度、欠陥の種類などに依存しており、電極間にバイア
ス電圧を印加した場合にはトンネル電流を完全に無くす
ことは出来ない。上記沿面電流は、受光素子の表面の状
態に依存しており、特に湿度の変動に大きく依存する。
【0012】従来は沿面電流を低減させるために受光素
子の表面に水素や窒素などの不純物を注入して高抵抗化
することが行われていたが、不純物を注入することで半
導体内部の特性が変化し、結果として、上述したような
トンネル電流が増大するという問題があった。
【0013】また、火炎センサは、その特殊な用途か
ら、高温多湿の環境下で使用されることが多く、そのよ
うな環境下でも安定した動作をすることが求められる。
しかし、高温下では熱電子放出によって暗電流が大きく
観測されるのは当然のことであり、更に、上述したよう
に、高湿度下では火炎センサ表面を流れる沿面電流が増
大することで暗電流が大きく観測されるという問題があ
る。
【0014】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、波長感度が調整された火炎セン
サを提供する点にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明に係る火炎センサの第一の特徴構成は、特許請
求の範囲の欄の請求項1に記載の如く、単数または複数
の半導体層を有する半導体受光素子構造を備え、前記半
導体受光素子構造中の単数または複数の半導体層に受光
領域が形成されてなり、前記半導体受光素子構造上に、
複数の光透過層が堆積されてなる多層膜光フィルタ構造
が直接積層され、前記半導体受光素子構造と前記多層膜
光フィルタ構造とが一体形成された点にある。
【0016】上記課題を解決するための本発明に係る火
炎センサの第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項2に記載の如く、単数または複数の半導体層を有す
る半導体受光素子構造を備え、前記半導体受光素子構造
中の単数または複数の半導体層に受光領域が形成され、
前記半導体受光素子構造の一部を所定の深さまで除去し
て形成された段差を挟む、前記半導体受光素子構造の2
つの面上の一方に第1電極が設けられ、他方に第2電極
が設けられてなり、前記第1電極と前記第2電極との間
の前記段差の断面の少なくとも一部、および前記半導体
受光素子構造上の光入射面に、複数の光透過層が堆積さ
れてなる絶縁性の多層膜光フィルタ構造が直接堆積さ
れ、前記半導体受光素子構造と前記多層膜光フィルタ構
造とが一体形成された点にある。
【0017】上記課題を解決するための本発明に係る火
炎センサの第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項3に記載の如く、上記第一または第二の特徴構成に
加えて、前記受光領域の形成に係る単数または複数の半
導体層がInxAlyGa1-x- yN(0≦x≦1、0≦y
≦1)から形成される点にある。
【0018】上記課題を解決するための本発明に係る火
炎センサの第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項4に記載の如く、上記第三の特徴構成に加えて、前
記受光領域の形成に係るInAlGaNのバンドギャッ
プエネルギが3.6eV以上である点にある。
【0019】上記課題を解決するための本発明に係る火
炎センサの第五の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項5に記載の如く、上記第四の特徴構成に加えて、前
記受光領域の形成に係るInAlGaNのバンドギャッ
プエネルギが4.0eV以下である点にある。
【0020】上記課題を解決するための本発明に係る火
炎センサの第六の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項6に記載の如く、上記第四の特徴構成に加えて、前
記受光領域の形成に係るInAlGaNのバンドギャッ
プエネルギが4.1eV以上である点にある。
【0021】上記課題を解決するための本発明に係る火
炎センサの第七の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項7に記載の如く、上記第六の特徴構成に加えて、前
記受光領域の形成に係るInAlGaNのバンドギャッ
プエネルギが4.4eV以上である点にある。
【0022】上記課題を解決するための本発明に係る火
炎センサの第八の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項8に記載の如く、上記第一から第七の何れかの特徴
構成に加えて、光入射面側に単数または複数のフィルタ
装置を更に備えてなる点にある。
【0023】上記課題を解決するための本発明に係る火
炎センサの第九の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請
求項9に記載の如く、上記第八の特徴構成に加えて、検
出対象波長域にある所定の第1波長における第1感度の
値が、検出対象波長域外にあり、前記第1波長より50
nm長波長の第2波長における第2感度の値の1万倍以
上である点にある。
【0024】以下に作用並びに効果を説明する。本発明
に係る火炎センサの第一の特徴構成によれば、受光領域
を含む半導体受光素子構造に入射される光の一部を、上
記多層膜光フィルタ構造によって高い波長選択性をもっ
て遮断することができるので、結果として、火炎センサ
の感度をカットオフ波長において急峻に変化させること
ができる。つまり、波長選択性の高い火炎センサを提供
することができる。具体的には、多層膜光フィルタ構造
を構成する上記光透過層の各界面で発生する光の干渉作
用によって特定の波長範囲の光を打ち消し合わせること
ができる。ここで、干渉作用によって打ち消される光の
波長範囲は、上記光透過層の厚さや組成(屈折率)を変
えることで自在に調整可能である。更に、上記多層膜光
フィルタ構造は、上記半導体受光素子構造上に直接積層
され、上記半導体受光素子構造と上記多層膜光フィルタ
構造とが一体形成されるので、火炎センサの作製プロセ
スを簡略化することができる。
【0025】本発明に係る火炎センサの第二の特徴構成
によれば、電界が印加される上記第1電極と上記第2電
極との間の段差の断面の少なくとも一部、および上記半
藤愛受光素子構造上の光入射面に、絶縁性の多層膜光フ
ィルタ構造が直接堆積されて一体形成されているので、
受光領域を含む半導体受光素子構造に入射される光の一
部を、上記多層膜光フィルタ構造によって高い波長選択
性をもって遮断することができ、更に、第1電極と第2
電極との間の半導体受光素子構造表面に生じる沿面電流
を低減させることができる。
【0026】更に具体的には、第1に、火炎センサの波
長感度特性をカットオフ波長において急峻に変化させる
ことができる。つまり、波長選択性の高い火炎センサを
提供することができる。例えば、多層膜光フィルタ構造
を構成する上記光透過層の各界面で発生する光の干渉作
用によって特定の波長範囲の光を打ち消し合わせること
ができる。ここで、干渉作用によって打ち消される光の
波長範囲は、上記光透過層の厚さや組成(屈折率)を変
えることで自在に調整可能である。更に、上記多層膜光
フィルタ構造は、上記半導体受光素子構造上に直接積層
され、上記半導体受光素子構造と上記多層膜光フィルタ
構造とが一体形成されるので、火炎センサの作製プロセ
スを簡略化することができる。
【0027】第2に、高抵抗な部位が火炎センサを構成
する半導体受光素子構造の内部構造を変化させて設けら
れるのではないことから、従来のように不純物の注入に
よる高抵抗部を設けた場合に発生する欠陥密度の上昇
や、それに伴うトンネル電流の増大などの問題が発生す
ることもない。更に、火炎センサが火炎に曝される高温
多湿の環境下に配置され、第1電極と第2電極との間に
電界が印加されたとしても、電極間に形成された絶縁性
の多層膜光フィルタ構造によって、第1電極と第2電極
との間の半導体積層構造の表面経路上の抵抗値を高くす
ることができ、火炎センサの半導体積層構造の表面を流
れる沿面電流のレベルを大幅に低減させることができ
る。従って、火炎を受光して発生した光電流を暗電流と
区別して感度良く検出することのできる火炎センサを提
供することができる。
【0028】本発明に係る火炎センサの第三の特徴構成
によれば、上記受光領域の形成に係る単数または複数の
半導体層が、直接ギャップ形の半導体であるInxAly
Ga 1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)によって形成
されるので、インジウム組成比xおよびアルミニウム組
成比yを変えて成膜を行うことで、受光領域のハンドギ
ャップエネルギを約1.9eV〜約6.2eVの間で調
整することができる。また、直接ギャップ形の半導体が
使用されることから、上記バンドギャップエネルギによ
って設定されるカットオフ波長において、光の吸収係数
が急峻に変化する受光領域を形成することができる。従
って、良好な波長選択性を有する火炎センサが提供され
る。
【0029】本発明に係る火炎センサの第四の特徴構成
によれば、上記受光領域において3.6eV以上のエネ
ルギを有する光が吸収されることで、波長約344nm
(3.6eV)以下の波長の光、即ち、波長約344n
m以下の波長域に比較的大きい強度で現れる火炎の光を
上記受光領域によって選択的に検出することができる火
炎センサを得ることができる。
【0030】本発明に係る火炎センサの第五の特徴構成
によれば、上記受光領域において3.6eV以上4.0
eV以下のエネルギを有する光が吸収されることで、波
長約310nm(4.0eV)〜344nm(3.6e
V)の範囲の波長の光、即ち、火炎の光の中でも特に炭
化水素を含む化合物を燃焼させた場合に観測されるOH
ラジカルの発光に起因する発光ピークを良好に検出する
ことができる火炎センサを得ることができる。特に、火
炎センサの設置場所がエンジン内部などの閉鎖された空
間である場合には、屋外に設置された場合には同時に観
測される各種照明機器からの室内光や太陽光といった外
乱光が存在することがないため、火炎の光のみを良好に
検出することができる。
【0031】本発明に係る火炎センサの第六の特徴構成
によれば、上記受光領域において4.1eV以上のエネ
ルギを有する光が吸収されることで、波長約300nm
(4.1eV)以下の波長の光、即ち、火炎の光を上記
受光領域によって検出することができる火炎センサを得
ることができる。更に、波長約300nmを超える波長
の光、即ち、各種照明機器などからの室内光に対しては
上記受光領域が感度を有さないので、火炎の光に対して
選択的に感度を有する火炎センサを得ることができる。
【0032】本発明に係る火炎センサの第七の特徴構成
によれば、上記受光領域において4.4eV以上のエネ
ルギを有する光が吸収されることで、波長約280nm
(4.4eV)以下の波長の光、即ち、火炎の光を上記
受光領域によって検出することができる火炎センサを得
ることができる。更に、波長約280nmを超える波長
の光、即ち、各種照明機器などからの室内光および太陽
光(自然光)に対しては上記受光領域が感度を有さない
ので、火炎の光に対して選択的に感度を有する火炎セン
サを得ることができる。
【0033】本発明に係る火炎センサの第八の特徴構成
によれば、単数または複数のフィルタ装置を光入射側に
備えてなるで、半導体受光素子構造上に堆積された上記
光フィルタ構造と、このフィルタ装置とを併用して、更
に波長選択性の高い火炎センサを構成することができ
る。
【0034】本発明に係る火炎センサの第九の特徴構成
によれば、火炎の検出対象波長域にある所定の第1波長
における第1感度の値が、検出対象波長域外にあり、第
1波長より50nm長波長の第2波長における第2感度
の値の1万倍以上にすることができることから、検出対
象とする火炎の光のみを高い波長選択性を持って検出す
ることができる。その結果、検出対象波長域にある火炎
の光が微弱であっても、その存在を良好に検出すること
ができる火炎センサを提供することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】図1に例示する火炎センサは、下
地構造と、デバイス構造と、多層膜光フィルタ構造とを
順次堆積して形成され、デバイス構造はPIN接合型で
ある。下地構造は、基板1上に、低温堆積緩衝層2と、
結晶改善層3と、低温堆積中間層4とを順次堆積して形
成される。デバイス構造は、下地構造上に、n型半導体
層5と、受光領域として作用するi型半導体層6と、p
型半導体層7とを順次積層して形成される。多層膜光フ
ィルタ構造は、光透過層8と光透過層9とを交互に積層
して形成される。電極10は、デバイス構造がエッチン
グなどによって部分的に除去されることで露出されたn
型半導体層5の表面にオーミック接触となるように形成
される。電極11は、p型半導体層7の表面の一部分に
オーミック接触となるように形成される。以上のように
構成することで、i型半導体層6において光吸収と光キ
ャリアの発生とが行われた場合、その光キャリアが電極
10および電極11によって光電流として取り出され、
火炎の検知が行われる。
【0036】上述した各部材の材料は具体的には、基板
1はサファイアであり、低温堆積緩衝層2はAlN(厚
さ20nm)であり、結晶改善層3はGaN(厚さ1μ
m)であり、低温堆積中間層4はAlN(厚さ20n
m)であり、n型半導体層5(厚さ1μm)とi型半導
体層6(厚さ100〜200nm)とp型半導体層7
(厚さ80nm)とは単結晶InxAlyGa1-x-y
(0≦x≦1、0≦y≦1)である。更に、光透過層8
はAlNであり、光透過層9はAlGaNである。但
し、p型半導体層7上に形成された多層膜光フィルタ構
造の最下層の光透過層8は低温堆積されたAlNであ
る。また、電極10および電極11はTi、Ni、A
l、Auなどの金属を使用して形成される。また、電極
11とp型半導体層7との間の電気的な特性をオーミッ
クなものとするために、p型半導体層7上にp−GaN
やアルミニウム組成比の小さいAlGaNからなるp型
コンタクト層を形成してもよい。尚、上述した膜厚の値
は用途に応じて他の値に変更可能である。
【0037】多層膜光フィルタ構造(光透過層8および
光透過層9)側から照射された光は、まず多層膜光フィ
ルタ構造中に入射するのだが、光透過層8および光透過
層9の各界面では反射光と入射光とが干渉し合うため、
特定の波長範囲の光が打ち消されることとなる。ここ
で、どの波長範囲の光を打ち消すかは、光透過層8およ
び光透過層9の組成(屈折率)および膜厚によって決定
されるため、成膜時にそれらを変えることで、打ち消さ
れる波長範囲の調整を行うことができる。
【0038】図2に示す火炎センサも、図1に示した火
炎センサと同様に下地構造と、デバイス構造と、多層膜
光フィルタ構造とを順次堆積して形成され、デバイス構
造はショットキーダイオード型である。下地構造は、基
板1上に、低温堆積緩衝層2と、結晶改善層3と、低温
堆積中間層4とを順次堆積して形成される。デバイス構
造は、下地構造上に、n型半導体層5と、受光領域とし
て作用するi型半導体層6とを順次積層して形成され
る。多層膜光フィルタ構造は、光透過層14と光透過層
15とを交互に積層して形成される。電極10は、デバ
イス構造がエッチングなどによって部分的に除去される
ことで露出されたn型半導体層5の表面にオーミック接
触となるように形成される。電極12は、i型半導体層
6の表面に対してショットキー接合となるような光透過
率の高い材料で形成される。また、電極12上の一部分
にワイヤボンディング用の電極13が形成される。以上
のように構成することで、i型半導体層6において光吸
収と光キャリアの発生とが行われた場合、その光キャリ
アが電極10および電極12によって光電流として取り
出され、火炎の検知が行われる。
【0039】上述した各部材の材料は具体的には、基板
1はサファイアであり、低温堆積緩衝層2はAlNであ
り、結晶改善層3はGaNであり、低温堆積中間層4は
AlNであり、n型半導体層5とi型半導体層6とは単
結晶InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦
1)である。更に、光透過層14はMgF2であり、光
透過層15はSiO2である。また、電極10はTi、
Ni、Al、Auなどの金属を使用して形成され、電極
12はITOやSnO2等の透明導電性膜を使用して形
成される。ワイヤボンディング用の電極13は導電率の
高いAuなどの金属が使用される。各半導体層の厚さは
図1(a)に示した場合と同様である。
【0040】多層膜光フィルタ構造(光透過層14およ
び光透過層15)側から照射された光は、まず多層膜光
フィルタ構造中に入射するのだが、光透過層14および
光透過層15の各界面では反射光と入射光とが干渉し合
うため、特定の波長範囲の光が打ち消されることとな
る。ここで、どの波長範囲の光を打ち消すかは、光透過
層14および光透過層15の組成(屈折率)および膜厚
によって決定されるため、成膜時にそれらを変えること
で、打ち消される波長範囲の調整を行うことができる。
【0041】尚、上述した多層膜光フィルタ構造(光透
過層8、光透過層9、光透過層14、および光透過層1
5)の材料は上述したものに限定されず、光透過性の材
料であれば他の様々な材料を使用することもできる。例
えば、BN、BP、CaF2、Al23、LiF、P2
5、ZnSiOx、CaSiO3、(Ca、Zn)(P
4xなどを光透過層として使用することができる。
【0042】以上のようなIn、Al、Ga、Nを含む
下地構造およびデバイス構造をMOCVD装置の反応室
内に設置されたサファイア基板1上に順次堆積させる際
の原料ガスとしては、トリメチルインジウム(インジウ
ム源)、トリメチルアルミニウム(アルミニウム源)、
トリメチルガリウム(ガリウム源)、NH3(窒素源)
を使用することができる。また、n型不純物としてはS
iがSiH4(シランガス)の形態で供給され、p型不
純物としてはMgがCP2Mg(シクロペンタンマグネ
シウム)の形態で供給される。ここで、基板温度を調整
することが可能であり、低温堆積緩衝層2や低温堆積中
間層4を堆積させる場合には基板温度を約400℃〜約
600℃に調整し、結晶改善層3や他の半導体層を堆積
させる場合には基板温度を約900℃〜1100℃に調
整することが行われる。
【0043】多層膜光フィルタ構造をAlNやAlGa
Nを用いて構成する場合には、上述した下地構造および
デバイス構造と同じ成膜方法を用いることで、図1に示
した素子構造を一連の成膜プロセスで作製することがで
きる。また、BNを備えた多層膜光フィルタ構造を作製
する場合には、原料ガス(ホウ素源)としてトリメチル
ボロンをMOCVD装置に更に追加することで、下地構
造およびデバイス構造の成膜工程に引き続く一連の成膜
プロセスにおいてBN膜を成膜することができる。同様
に、BPを備えた多層膜光フィルタ構造を作製する場合
には、原料ガス(リン源)としてPH3、TMP(トリ
メチルホスフィン):P(CH33などをMOCVD装
置に更に追加すればよい。
【0044】CaF2、Al23、LiF、P25、Z
nSiOx、CaSiO3、(Ca、Zn)(PO4x
どの材料からなる薄膜(光透過層)は、抵抗加熱、電子
ビーム加熱などの真空蒸着法やスパッタリングによって
成膜することで得られる。その際に使用される各蒸着源
またはターゲットは、市販されているものを使用するこ
ともできる。
【0045】図3に示す火炎センサの構成は、図1に例
示した火炎センサと基板、各半導体層、および電極の構
成は同様であるが、多層膜光フィルタ構造の構成が異な
る。具体的には、図3に例示する火炎センサにおいて
は、デバイス構造を部分的にエッチングすることで露出
されたn型半導体層5の表面に電極10がオーミック接
触となるように形成され、上記n型半導体層5とは段差
のあるp型半導体層7上に電極11がオーミック接触と
なるように形成される。ここで、火炎センサに対しては
電極11側から光が照射されるのだが、受光領域(i型
半導体層6)に対して大きな強度の光が入射されるよう
に、電極9は入射光を遮断しないような構成であること
が要求される。
【0046】電極10と電極11との間の段差の断面
(基板1面に対して垂直な、メサ構造の側面)の少なく
とも一部、および各半導体層が積層されてなる半導体積
層構造上の光入射面(p型半導体層7の上面)に、光透
過層8と光透過層9とが交互に積層された絶縁性の多層
膜光フィルタ構造が形成されており、図1および図2を
参照して説明したのと同様に、受光領域を含む半導体受
光素子構造に入射される光の一部を、上記多層膜光フィ
ルタ構造によって高い波長選択性をもって遮断すること
ができる。更に、電極10と電極11との間に電界を印
加した場合に火炎センサの表面(段差の断面を含む)に
流れる沿面電流の経路の抵抗値を大幅に高くし、且つ湿
度の影響を低減させることで、電極10と電極11との
間の半導体受光素子構造表面に生じる沿面電流を低減さ
せることができる。
【0047】図4に示すのは受光領域の形成に係る単結
晶InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)
のバンドギャップエネルギを示すグラフであり、インジ
ウム組成比xおよびアルミニウム組成比yを変えること
で、バンドギャップエネルギが約1.9eV〜約6.2
eVの間で調整可能であることが分かる。尚、図4にお
いてはインジウムとアルミニウムとが同時に含まれる場
合の例は簡略化のため除外している。
【0048】次に、受光領域の形成に係る単結晶Inx
AlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)のバンド
ギャップエネルギ、即ちカットオフ波長をどの波長に設
定することが好ましいかが問題となる。図5に示すの
は、炭化水素を燃焼させた場合に発生した火炎の光、太
陽光、および各種照明機器を起源とする室内光の発光ス
ペクトルである。火炎の光は、波長約344nm以下の
範囲で比較的大きな強度を示し、太陽光は波長約280
nm以上の範囲に大きく現われ、室内光は波長約300
nm以上の範囲に大きく現れている。
【0049】従って、波長約344nm以下の波長域に
比較的大きい強度で現れる火炎の光を選択的に受光する
ことのできる火炎センサを作製したい場合には、受光領
域のバンドギャップエネルギが3.6eV以上となるよ
うにアルミニウム組成比y=0.05、或いはそれ以上
とすればよい。或いは、約300nm以上の波長域に含
まれる、各種照明機器からの光(室内光)を受光せず
に、検出対象波長範囲にある火炎の光を受光するような
火炎センサを作製したい場合には、受光領域のバンドギ
ャップエネルギが4.1eV以上となるようにアルミニ
ウム組成比y=0.25、或いはそれ以上とすればよ
い。また或いは、約280nm以上の波長域に含まれ
る、太陽光からの光を受光せずに、検出対象波長範囲に
ある火炎の光のみを受光するような火炎センサを作製し
たい場合には、受光領域のバンドギャップエネルギが
4.4eV以上となるようにアルミニウム組成比y=
0.35、或いはそれ以上とすればよい。
【0050】或いは、弱い光強度であれば太陽光などの
外乱光が受光領域において吸収されても構わない場合に
は、受光領域のバンドギャップエネルギが4.3eV以
上(波長約290nm以下)となるようにアルミニウム
組成比y=0.31、或いはそれ以上とすればよい。波
長約290nm以下では図5に示すようにそれらの外乱
光の光強度が非常に小さくなり、他方で火炎の光は大き
いので、結果として火炎の光が存在することを検知する
ことができる。
【0051】更に、火炎センサがエンジン内部などの閉
鎖空間に設置され、そこで燃焼される燃料の発光を検出
したい場合には、上述した室内光や太陽光が存在しない
ため、それらを排除するような大きいバンドギャップエ
ネルギを設定する必要はない。そのため、検出対象波長
範囲にある火炎の光の中でも特に炭化水素を含む化合物
(エンジンで燃焼される燃料)を燃焼させた場合に観測
されるOHラジカルの発光に起因する発光ピーク(波長
約310nm(310nm±10nm):4.0eV)
の光(波長310nm以上344nm以下の火炎の光)
を選択的に受光することのできる火炎センサを作製する
場合には、受光領域のバンドギャップエネルギが3.6
eV以上4.0eV以下となるように、アルミニウム組
成比yを0.05以上0.23以下とすればよい。
【0052】また、受光領域(i型半導体層6)のバン
ドギャップエネルギを調整するだけでなく、i型半導体
層6の周囲に設けられる半導体層のバンドギャップエネ
ルギを調整することを行ってもよい。例えば、図1に示
したPIN型の火炎センサにおいてi型半導体層6より
も光入射面側に配置されたp型半導体層7のバンドギャ
ップエネルギがi型半導体層6のバンドギャップエネル
ギよりも大きく調整された場合には、そのp型半導体層
7が、i型半導体層6で吸収されるべき波長の光にとっ
ての透過窓として作用し、受光領域であるi型半導体層
6に大きな強度の光が入射される。更に、i型半導体層
6よりも基板1側に配置されたn型半導体層5のバンド
ギャップエネルギがi型半導体層のバンドギャップエネ
ルギよりも大きく設定された場合には、受光領域で吸収
される光よりも低エネルギ側の光(長波長側の光)を吸
収して、検出対象波長範囲以外の光(この場合は太陽
光)に対しても感度を有するという問題が発生しない火
炎センサを構成することができる。
【0053】尚、上述したアルミニウム組成比yとバン
ドギャップエネルギとの関係は理論値に基づいて説明し
たものであり、アルミニウム組成比yを理論値通りにし
て成膜を行ったとしても実際に得られるAlGaN層の
バンドギャップエネルギが異なる可能性もある。例え
ば、三元混晶化合物であるAlGaNの場合には、二元
化合物であるGaNが生成され易く、その結果、バンド
ギャップエネルギが低エネルギ側(長波長側)にシフト
する傾向にある。従って、理論値通りのバンドギャップ
エネルギを得たい場合には、アルミニウム組成比を予め
大きく設定した上で成膜することが行われることもあ
る。
【0054】次に、多層膜光フィルタ構造(光透過層8
および光透過層9、または光透過層14および光透過層
15)の光学特性について説明する。多層膜光フィルタ
の例として図6(a)および図6(b)に示すのは、朝
日分光株式会社から販売されている光学フィルタ(多層
膜フィルタ)の透過率特性であり、例として、UV30
0(図6(a))とUV325(図6(b))と表記さ
れる光学フィルタの透過率特性を示す。従って、図1
(a)および図1(b)において説明した多層膜光フィ
ルタ構造の光学的な特性は、図6(a)および図6
(b)に示す光学フィルタと同様の光学特性を示すと考
えてもよい。
【0055】図6(a)および図6(b)中から明らか
であるように、透過率特性のグラフには光の干渉を利用
していることを示す干渉縞が現れており、その干渉の効
果として特定の波長範囲においては透過率を極めて小さ
くすることができる。また、透過率スペクトルは極めて
急峻に変化し、高い波長選択性を示すことが分かる。例
えば、UV300では、波長325nm〜370nmの
波長範囲の透過率がほぼ零であり、UV325では、波
長340nm〜390nmの波長範囲の透過率がほぼ零
であり、更に立ち上がりは極めて急峻である。
【0056】図6(a)および図6(b)に示した多層
膜フィルタは、弗化マグネシウム:MgF2、SiO2
アルミナ等の紫外域においても透過率の高い材料を複数
枚重ねて構成されている。その原理は、上述したように
所定の厚さの材料を重ねて構成することで、それらの間
で光の干渉が生じ、特定波長の光が打ち消されるという
ものである。従って、特定の波長範囲の光の透過率を下
げるためには、多数の材料を重ねて、何度も干渉を生じ
させることで、光を何度も打ち消し合わせればよい。こ
の場合、上述のような透過率の高い材料を使用している
ことから、干渉が生じない波長範囲の光の透過率は高い
まま維持され、その結果、検出対象波長における透過率
と、検出対象波長域よりも長波長側にある検出対象波長
域外における透過率との比が5桁程度になるまで設定す
ることができる。
【0057】図7に示すのは、半導体受光素子構造の上
方の光入射面側にフィルタ装置16を備えてなる火炎セ
ンサの構成図である。従って、図7に示した火炎センサ
は、多層膜光フィルタ構造(光透過層8および光透過層
9)と、フィルタ装置16という2つのフィルタを備え
て構成されている。フィルタ装置16には、図8(a)
および図8(b)に透過率特性を示すような色ガラスフ
ィルタが使用される。従って、火炎センサに照射された
光は、まずフィルタ装置16によって所定の波長範囲の
光(例えば可視光)が効果的に遮断され、次に、多層膜
光フィルタ構造(光透過層8および光透過層9、並びに
光透過層14および光透過層15)によって、カットオ
フ波長付近の光が急峻に遮断された後で、受光領域(i
型半導体層6)に入射される。
【0058】図8(a)に示すのは、HOYA株式会社
から販売されている光学フィルタ(色ガラスフィルタ)
の透過率特性であり、例として、U−330、U−34
0、U−350、およびU−360と表記される光学フ
ィルタの透過率特性を示す。ここで、各光学フィルタに
付記された数字は、透過率が最高になる波長を表してい
る。図示するような波長選択性を有する光学フィルタを
用いて光を透過させることで、特定の波長範囲の光の光
強度が好適に低減される。例えば、U−330の透過率
特性に着目すると、透過ピークの短波長側の透過限界波
長が約210nmに位置し、長波長側の透過限界波長が
約425nmに位置することから、波長210nm〜4
25nmの範囲以外の光の光強度が低減される。更に、
波長280nmにおいて透過率が30%を超えており、
波長270nm〜波長370nmの範囲において透過率
が70%を超えており、波長280nm〜波長300n
mの範囲において透過率が80%を超えていることか
ら、火炎の光の波長範囲(200nm〜340nm)の
光は、その強度がほとんど低減されること無しに光学フ
ィルタを透過することができる。
【0059】図8(b)に示すのは、HOYA株式会社
から販売されている別の光学フィルタ(色ガラスフィル
タ)の透過率特性であり、例として、UV−28、UV
−30、UV−32、UV−34、UV−36と表記さ
れる光学フィルタの透過率特性を示す。ここで、各光学
フィルタに付記された数字は、透過限界波長の1/10
の数字に相当しており、UV−28であれば透過限界波
長が280nmであることを示している。ここで、UV
−28は燐酸塩ガラスなどを用いて作製され、UV−3
0、UV−32、UV−34、UV−36は珪酸塩ガラ
スなどを用いて作製される。この色ガラスフィルタは、
図8(a)に示したフィルタと異なり、透過率限界波長
よりも短波長側の光を遮断し、長波長側の光を透過させ
る単純な特性を有している。
【0060】図9には、図7に例示した構造の火炎セン
サを使用して火炎の光の検出性能を測定した場合の測定
結果(図中の実線A)を示す。尚、比較例として多層膜
光フィルタ構造(光透過層8および光透過層9)および
フィルタ装置16を共に備えていない受光素子の光検出
性能を測定した場合の測定結果(図中の破線B)につい
ても示す。実線Aで示すように、検出対象とする波長域
の感度の値は、検出対象としない波長域の感度の値の約
10000倍となっており、非常に波長選択性の高い火
炎センサが構成されている。例えば、カットオフ波長
(第1波長:約270nm)付近における感度の値は、
そのカットオフ波長から約50nmだけ長波長側の波長
(第2波長:約320nm)における感度の値の約10
000倍以上となっている。一方で、破線Bの比較例で
は、検出対象とする波長域の感度の値(波長270nm
における感度の値)は、検出対象としない波長域の感度
の値(波長320nmにおける感度の値)の約1000
倍程度であり、波長選択性は大きく見られない。
【0061】以上のように、図7に例示した構造の火炎
センサを用いた場合には、検出対象波長域における感度
の値と、検出対象波長域外の感度の値との間の感度差を
大きく設定することができるので、検出対象波長域に現
れる火炎の光を高感度で検出することの出来る火炎セン
サを構成することができる。
【0062】以上の実施形態では、PIN接合型および
ショットキーダイオード型のデバイス構造を備えた火炎
センサについて説明したが、本発明に係る火炎センサは
デバイス構造に限定されるものではない。例えば、PN
接合型、フォトトランジスタ型、フォトFET型のデバ
イス構造を備えた火炎センサを構成した場合であって
も、上述した火炎センサと同様の効果を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】火炎センサの構成図である。
【図2】火炎センサの別の構成図である。
【図3】火炎センサの別の構成図である。
【図4】InAlGaNのバンドギャップエネルギを示
すグラフである。
【図5】火炎の光、太陽光、および室内光のスペクトル
を示すグラフである。
【図6】(a)および(b)は多層膜フィルタの透過率
特性を示すグラフである。
【図7】火炎センサの別の構成図である。
【図8】(a)および(b)は色ガラスフィルタの透過
率特性を示すグラフである
【図9】火炎センサの波長感度特性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 低温堆積緩衝層 3 結晶改善層 4 低温堆積中間層 5 n型半導体層 6 i型半導体層 7 p型半導体層 8 光透過層 9 光透過層 10 電極 11 電極 12 電極 13 電極 14 光透過層 15 光透過層 16 フィルタ装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天野 浩 愛知県名古屋市天白区塩釜口1―501 名 城大学 理工学部内 (72)発明者 赤崎 勇 愛知県名古屋市天白区塩釜口1―501 名 城大学 理工学部内 Fターム(参考) 2G065 AA04 AB05 BA09 BB27 DA06 5C085 AA14 AB01 BA31 DA08 FA38 5F049 MA02 MA04 MA05 MA14 MB07 NA05 NA17 NB10 SE03 SE04 SZ07 SZ08 WA05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単数または複数の半導体層を有する半導
    体受光素子構造を備え、前記半導体受光素子構造中の単
    数または複数の半導体層に受光領域が形成されてなり、 前記半導体受光素子構造上に、複数の光透過層が堆積さ
    れてなる多層膜光フィルタ構造が直接積層され、前記半
    導体受光素子構造と前記多層膜光フィルタ構造とが一体
    形成された火炎センサ。
  2. 【請求項2】 単数または複数の半導体層を有する半導
    体受光素子構造を備え、前記半導体受光素子構造中の単
    数または複数の半導体層に受光領域が形成され、前記半
    導体受光素子構造の一部を所定の深さまで除去して形成
    された段差を挟む、前記半導体受光素子構造の2つの面
    上の一方に第1電極が設けられ、他方に第2電極が設け
    られてなり、 前記第1電極と前記第2電極との間の前記段差の断面の
    少なくとも一部、および前記半導体受光素子構造上の光
    入射面に、複数の光透過層が堆積されてなる絶縁性の多
    層膜光フィルタ構造が直接堆積され、前記半導体受光素
    子構造と前記多層膜光フィルタ構造とが一体形成された
    火炎センサ。
  3. 【請求項3】 前記受光領域の形成に係る単数または複
    数の半導体層がIn xAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、
    0≦y≦1)から形成される請求項1または請求項2に
    記載の火炎センサ。
  4. 【請求項4】 前記受光領域の形成に係るInAlGa
    Nのバンドギャップエネルギが3.6eV以上である請
    求項3に記載の火炎センサ。
  5. 【請求項5】 前記受光領域の形成に係るInAlGa
    Nのバンドギャップエネルギが4.0eV以下である請
    求項4に記載の火炎センサ。
  6. 【請求項6】 前記受光領域の形成に係るInAlGa
    Nのバンドギャップエネルギが4.1eV以上である請
    求項4に記載の火炎センサ。
  7. 【請求項7】 前記受光領域の形成に係るInAlGa
    Nのバンドギャップエネルギが4.4eV以上である請
    求項6に記載の火炎センサ。
  8. 【請求項8】 光入射面側に単数または複数のフィルタ
    装置を更に備えてなる請求項1から請求項7の何れか1
    項に記載の火炎センサ。
  9. 【請求項9】 検出対象波長域にある所定の第1波長に
    おける第1感度の値が、検出対象波長域外にあり、前記
    第1波長より50nm長波長の第2波長における第2感
    度の値の1万倍以上である請求項8に記載の火炎セン
    サ。
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