JP2003197902A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP2003197902A
JP2003197902A JP2001393510A JP2001393510A JP2003197902A JP 2003197902 A JP2003197902 A JP 2003197902A JP 2001393510 A JP2001393510 A JP 2001393510A JP 2001393510 A JP2001393510 A JP 2001393510A JP 2003197902 A JP2003197902 A JP 2003197902A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】能動素子部の逆方向バイアス電流による破壊を
回避すると共に、前記能動素子部の高耐圧化と大電流化
を共に実現できる半導体装置を提供する。 【解決手段】能動素子部であるSIThy12と、整流
部であるダイオード14と、前記SIThy12とダイ
オード14とを電気的に絶縁する分離層16から半導体
装置10を構成する。ダイオード14において、第1ア
ノード電極26下にp+型半導体領域48を形成する。
また、p+型半導体領域48から距離L1を隔てて埋め
込み型のp+型半導体領域50を形成する。埋め込み型
のp+型半導体領域50と、SIThy12に形成され
ているp+型半導体領域36と、埋め込み型のp+型半導
体領域38とを電気的に接続する。これに対して、ダイ
オード14の第2アノード電極30下、n型半導体領域
42による欠落部52を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1導電型半導体
基板を有する能動素子部における逆方向バイアス電流に
よる破壊を回避するために、前記逆方向バイアス電流を
導通させる整流部を、前記能動素子部と隣接、かつ、並
列に前記第1導電型半導体基板中に形成する半導体装置
であって、特に、前記整流部に埋め込み型の第2導電型
半導体を形成して前記逆方向バイアス電流の導通を容易
にすることで、前記能動素子部の高耐圧化と大電流化を
共に達成できる半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、核融合プラズマ装置、高出力レー
ザ光源、電子加速器、X線発生装置等では、プラズマ、
レーザ、放電等を発生するのに必要なパルス高電圧又は
パルス大電流を出力する電源装置を備えている。
【0003】前記パルスは、前記電源装置に内蔵されて
いるコンデンサの充電及び放電の現象を利用して発生さ
れる。前記充電及び放電を効率よく行うためには、前記
充電及び放電の切り換えを迅速に行えるスイッチが必要
である。前記スイッチに用いられる装置としては、従来
より放電ギャップ、水銀整流器、熱陰極放電管等が知ら
れているが、近年は、切り換え時間が短く、高電圧大電
流に耐え、かつ、小型軽量化が容易である電力用半導体
装置が頻繁に使用されている。
【0004】図10は、前記電力用半導体装置の一つで
ある静電誘導型サイリスタ(以下、SIThyという)
100の断面構造を示す。
【0005】前記SIThy100は、n-型半導体か
らなる基板102と、該基板102の一方の表面104
に形成される金属製のカソード電極106及びゲート電
極108と、前記基板102の他方の表面110に形成
される金属製のアノード電極112とによって構成され
ている。そして、前記カソード電極106と前記ゲート
電極108と前記アノード電極112とは、それぞれ電
気的に絶縁されている。なお、前記カソード電極106
にはカソード端子Kが、前記ゲート電極108にはゲー
ト端子Gが、前記アノード電極112にはアノード端子
Aがそれぞれ接続されている。
【0006】また、前記カソード電極106に対向する
前記一方の表面104側には、n+型半導体領域114
が形成されている。また、前記ゲート電極108に対向
する前記一方の表面104側にはp+型半導体領域11
6が形成されている。さらに、前記n+半導体領域11
4を介して、前記カソード電極106の近傍には、少な
くとも1以上の埋め込み型のp+型半導体領域118が
形成されている。なお、前記埋め込み型のp+型半導体
領域118と、ゲート電極108側に形成された前記p
+型半導体領域116とは電気的に接続されている。
【0007】これに対して、前記他方の表面110側で
は、n型半導体領域120が形成されると共に、前記ア
ノード電極112に対向してp+型半導体領域122
が、欠落部124を挟んで断続的に形成されている。
【0008】図11は、図10のSIThy100の図
記号を示す。前記SIThy100のオン状態とオフ状
態は、前記ゲート端子Gに印加される電圧(以下、ゲー
ト信号という)の極性と大きさとによって切り換えられ
る。すなわち、前記ゲート端子Gに正極性のゲート信号
を印加すると、アノード端子Aからカソード端子Kの順
方向バイアス電流IFの導通が開始され、SIThy1
00はオン状態となる。これに対して、前記ゲート端子
Gに負のゲート信号を印加すると、アノード端子Aから
カソード端子Kの方向への順方向バイアス電流IFの導
通は阻止され、SIThy100はオフ状態となる。つ
まり、前記SIThy100は、ゲート信号によってオ
ン状態とオフ状態との切り換えを可能とする不純物半導
体のpn接合で形成されたスイッチング素子として機能
する。
【0009】なお、前記SIThy100は、アノード
端子Aからカソード端子Kの方向に電流IFを導通させ
る、いわゆる、一方向性を有するn-型半導体の基板1
02から形成されているので、前記ゲート信号の極性と
大きさに関わらず、前記SIThy100の順方向は、
前記アノード端子Aからカソード端子Kの方向である。
【0010】図12は、前記SIThy100をスイッ
チング素子として用いたパルス大電流発生装置126の
回路図を示す。
【0011】前記パルス大電流発生装置126は、直流
電源128とスイッチ130と電流制限抵抗132と出
力端子134及び136を備えた充電器138と、前記
SIThy100と、第1コイル140と、第1コンデ
ンサ142とから構成されている。
【0012】さらに、前記第1コンデンサ142と並列
に、第2コンデンサ144と、第1コイル140のイン
ダクタンス値よりも十分に大きなインダクタンス値を有
する第2コイル146とが接続されている。また、前記
第2コイル146と並列に、前記パルス大電流発生装置
126が発生するパルス大電流を流す放電ギャップ14
8が接続されている。なお、前記SIThy100のゲ
ート端子Gには、ゲート信号を発生するゲート駆動回路
150が接続され、該SIThy100のオン状態とオ
フ状態の切り換えを行う。
【0013】次に、前記パルス大電流発生装置126の
回路動作について説明する。先ず、SIThy100を
オフ状態に保持した状態で、スイッチ130を閉じ、充
電制限抵抗132と第1コイル140を介して、直流電
源128から第1コンデンサ142に電荷が充電され
る。このとき、第2コンデンサ144にも第2コイル1
46を介して電荷が充電される。そのため、前記第1コ
ンデンサ142及び前記第2コンデンサ144の電圧
は、前記電荷の充電によって、前記直流電源128の電
圧値Eにまで充電される。
【0014】次いで、第1コンデンサ142の電圧と第
2コンデンサ144の電圧が、直流電源128の電圧値
Eにまで充電された段階で、前記スイッチ130を開く
と共に、ゲート駆動回路150から正のゲート信号をゲ
ート端子Gに印加して、SIThy100をオン状態に
する。前記オン状態によって、前記SIThy100は
電流を導通できる状態となる。すなわち、前記SITh
y100は短絡状態になる。前記SIThy100と充
電器138は並列に接続され、かつ、前記SIThy1
00が短絡状態であるため、前記SIThy100と前
記充電器138の合成インピーダンスは、アノード端子
Aとカソード端子Kとの間で構成されるインピーダンス
にほぼ等しくなる。従って、SIThy100がオン状
態に変化することによって、パルス大電流発生装置12
6の回路定数は急変する。
【0015】前記回路定数の急変に伴い、第1コンデン
サ142の放電と第2コンデンサ144の放電がそれぞ
れ発生する。すなわち、第1コンデンサ142の放電に
よって、放電電流I1が、該第1コンデンサ142の一
端152から第1コイル140とSIThy100を経
由して前記第1コンデンサ142の他端154にまで流
れ、該第1コンデンサ142の電圧はEから−Eにまで
変化する。このとき、前記放電電流I1は、第1コンデ
ンサ142と第1コイル140で決まる第1周波数を有
する振動性の電流である。
【0016】一方、第2コンデンサ144の放電によっ
て、放電電流I2が、該第2コンデンサ144の一端1
56から第1コイル140とSIThy100と第2コ
イル146を経由して前記第2コンデンサ144の他端
158にまで流れ、該第2コンデンサ144の電圧はE
から−Eにまで変化する。このとき、前記放電電流I2
は、第2コンデンサ144と第1コイル140と第2コ
イル146とで決まる第2周波数を有する振動性の電流
である。
【0017】ただし、前記第2コイル146のインダク
タンス値が前記第1コイル140のインダクタンス値よ
りも十分に大きいため、前記第2周波数は前記第1周波
数と比較して非常に低い値となる。従って、第2コンデ
ンサ144の放電はゆるやかな放電となり、第2コイル
146及び放電ギャップ148には、−2Eの電圧が発
生する。
【0018】前記放電ギャップ148において、−2E
の電圧が前記放電ギャップ148のギャップ間160の
耐電圧よりも大きい場合、前記ギャップ間160におけ
る絶縁破壊が発生する。前記絶縁破壊の発生によって、
前記放電ギャップ148には極めて大きなパルス電流が
流れる。このパルス電流が放電ギャップ148を流れる
ことによって、前記第1コンデンサ142と前記第2コ
ンデンサ144に充電された電荷は放電されて、大部分
が消滅するに至る。
【0019】前記パルス電流の大きさとパルス幅は、直
流電源128から第1コンデンサ142及び第2コンデ
ンサ144に充電される電荷に変化がなければ、パルス
大電流発生装置126の回路定数、すなわち、第1コイ
ル140、第1コンデンサ142、第2コンデンサ14
4、第2コイル146の大きさ、直流電源128の直流
電圧の大きさ、SIThy100のターンオン時間によ
って自由に変更することが可能である。従って、前記パ
ルス大電流発生装置126は、図13に示すように、パ
ルス電流の値が数万Aでパルス幅が100ns程度のパ
ルス電流162から、パルス電流の値が数百Aでパルス
幅が数μsのパルス電流164までの短時間のパルス電
流を発生することが可能である。
【0020】なお、前記パルス電流が発生して、前記電
荷が消滅した後は、再度、スイッチ130を閉じると共
に、SIThy100をゲート信号によってオフ状態に
戻し、直流電源128から第1コンデンサ142及び第
2コンデンサ144への充電が再び行われる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】ところで、パルス大電
流発生装置126において、放電ギャップ148のギャ
ップ間160における絶縁破壊が発生しない場合があ
る。前記絶縁破壊が発生しない原因としては、前記放電
ギャップ148のギャップ間160を構成する空気等の
絶縁物の温度及び湿度等の周辺環境、又は前記放電ギャ
ップ148の表面状態等によって、前記ギャップ間16
0の耐電圧が変化し、前記ギャップ間160の電圧が−
2Eの大きさであっても、該ギャップ間160の絶縁破
壊が発生しないためである。
【0022】このように、前記絶縁破壊が発生しない状
態で、SIThy100をオン状態にした場合、パルス
大電流発生装置126の回路定数の変化によって、SI
Thy100に流れる放電電流I3は放電電流I1と放
電電流I2とが重ね合せられた電流であり、図14に示
すように、時間変化に対して振動性を有する電流とな
る。
【0023】すなわち、第1コイル140と第1コンデ
ンサ142とによる第1過渡現象と、第1コイル140
と第2コンデンサ144と第2コイル146とによる第
2過渡現象がそれぞれ発生する。前記第1過渡現象によ
って、SIThy100には、第1コンデンサ142か
ら第1コイル140を介して第1コイル140と第1コ
ンデンサ142で決まる周波数を第1周波数とする放電
電流I1が流れる。また、前記第2過渡現象によって、
SIThy100には、第2コンデンサ144から第1
コイル140と第2コイル146を介して第1コイル1
40と第2コンデンサ144と第2コイル146で決ま
る周波数を第2周波数とする放電電流I2が流れる。そ
のため、放電電流I1、I2を重ね合わせた放電電流I
3が前記SIThy100に流れる。
【0024】具体的には、図14に示すように、前記放
電電流I3は、第1コンデンサ142及び第2コンデン
サ144の充電時には、アノード端子Aからカソード端
子Kの方向に流れる順方向バイアス電流IFとして機能
するが、絶縁破壊の不発による第1過渡現象及び第2過
渡現象の発生によってIF=0の後には、カソード端子
Kからアノード端子Aの方向に逆方向バイアス電流IR
が流れる。逆方向バイアス電流IRが流れることによっ
て、前記SIThy100は逆方向バイアスの状態とな
る。
【0025】前記逆方向バイアス電流IRの大きさは、
前記順方向バイアス電流IFの大きさにほぼ等しい。例
えば、IF=10000Aの場合、IRは−9000A
〜−10000Aである。
【0026】通常、半導体装置が逆方向バイアスに至る
場合、pn接合部を介して小さな漏れ電流が流れるのみ
であるので、半導体装置の整流作用は発生しない。しか
し、前記半導体装置が降伏電圧を超え、かつ、逆方向バ
イアス電流の値又は逆方向バイアス電流の時間的変化が
大きい場合、pn接合部の温度上昇と、それによる熱降
伏が発生し、該半導体装置が熱的に破壊される現象があ
る。
【0027】SIThy100においても、カソード端
子Kからアノード端子Aへの前記逆方向バイアスの印加
に加え、カソード端子Kからゲート端子Gにも逆方向バ
イアス電圧V1が印加される。そのため、前記電圧V1
が降伏電圧VBを超え、かつ、放電電流I3が高周波の
振動性電流で逆方向バイアス電流IRの時間的変化も大
きい場合、ゲート電極108のp+型半導体領域11
6、118とカソード電極106のn+型半導体領域1
14との間に形成されるpn接合部166又はチャンネ
ル168において温度上昇が生じ、熱降伏に基づく前記
pn接合部166又は前記チャンネル168の破壊が発
生するおそれがある。従って、前記逆方向バイアス電流
IRの発生は、SIThy100を破壊させ、パルス大
電流発生装置126におけるパルス大電流の発生に大き
な影響を及ぼす。
【0028】なお、前記破壊は、前記逆方向バイアス電
流IRの時間的変化が1010A/s以上の大きさにおい
てが発生し得るとされている。また、前記降伏電圧VB
は通常−50V程度であるが、前記逆方向バイアス電流
IRの導通によって、pn接合部166又はチャンネル
168には−100V〜−200Vの降伏電圧VBが印
加されるので、熱降伏は容易に発生する。また、前記破
壊は、主としてpn接合部166又はチャンネル168
において発生し、カソード電極106とアノード電極1
12との間で形成されるpn接合部ではほとんど発生し
ない。
【0029】このような破壊を回避する目的で、SIT
hy200と並列に第1導通型半導体素子を接続し、逆
方向バイアスが前記SIThy200に印加された場
合、逆方向バイアス電流IRを前記1導通型半導体素子
に導通させる試みがなされている(平成8年電気学会全
国大会講演論文集講演番号761及び特開2001−2
23354号公報参照)。
【0030】図15は、SIThy200の機能を有す
る能動素子部202と、前記能動素子部202に隣接し
てダイオード部204を共にn-型半導体の基板206
に形成した半導体装置208の断面構造を示す。ここ
で、前記ダイオード部204は、前記基板206の一方
の表面210に形成される金属製のアノード電極212
と前記基板206の他方の表面214に形成される金属
製のカソード電極216とによって構成されている。そ
して、基板206の一方の表面210のうち、前記アノ
ード電極212に対向する部分には、p+型半導体領域
218が形成されている。また、基板206の他方の表
面214のうち、前記カソード電極216に対向する部
分には、n+型半導体領域220が形成されている。
【0031】そして、前記ダイオード部204のアノー
ド電極212と前記能動素子部202のカソード電極2
22とは、第1電極224を介して接続されている。ま
た、前記ダイオード部204のカソード電極216と前
記能動素子部202のアノード電極226とは、第2電
極228を介して接続されている。
【0032】従って、図16に示すように前記半導体装
置208は、順方向SIThy200の機能を有する能
動素子部202と並列にダイオード部204が接続され
ていると共に、前記能動素子部202が逆方向バイアス
であるとき、前記ダイオード部204が順方向バイアス
であるように接続されている。そのため、第1アノード
端子A1から第1カソード端子K1の方向に順方向バイ
アス電流IFが流れたとき、前記順方向バイアス電流I
Fは能動素子部202を導通して流れる。また、第1カ
ソード端子K1から第1アノード端子A1の方向に逆方
向バイアス電流IRが流れたとき、前記逆方向バイアス
電流IRは、前記ダイオード部204の第2アノード端
子A2から第2カソード端子K2を導通して流れる。そ
のため、SIThy200は逆方向バイアスの状態に至
っても、逆方向バイアス電流IRによる熱降伏等による
不都合を回避できる可能性がある。
【0033】しかし、前記半導体装置208を図12に
示すパルス大電流発生装置126のスイッチング素子に
使用したとしても、パルス幅が数μs以下の逆方向バイ
アス電流IRの時間的変化は極めて大きいので、前記逆
方向バイアス電流IRの時間的変化は1010A/s以上
を容易に超えるおそれがある。従って、逆方向バイアス
電流IRは前記ダイオード部204を導通せず、図15
に示すように、カソード電極222からゲート電極23
0の方向に流れる。すなわち、前記逆方向バイアス電流
IRは、基板206の一方の表面210のうち、カソー
ド電極222に対向する部分に形成されたn+型半導体
領域232から、前記一方の表面210のうち、ゲート
電極230に対向する部分に形成されたp+型半導体領
域234の方向及び/又はp+型半導体領域234と電
気的に接続された埋め込み型のp+型半導体領域236
の方向に流れる。
【0034】さらに、ダイオード部204の耐電圧を確
保するために、前記耐電圧を能動素子部202の耐電圧
に近づける程、前記逆方向バイアス電流IRが前記ダイ
オード部204を導通しなくなる現象が本出願人によっ
て確認されている。
【0035】従って、前記p+型半導体領域234、2
36と前記n+型半導体領域232との間に形成される
pn接合層238又はチャンネル240において、逆方
向バイアス電圧V1が印加されることによる熱降伏の破
壊が容易に発生するおそれがある。
【0036】また、従来では、逆方向バイアス電流IR
を有効にダイオード部に流すように、図17に示すよう
に、能動素子部242及び第1ダイオード部244と並
列に、前記能動素子部242よりも耐電圧の低いダイオ
ード246を複数個直列に接続して構成された第2ダイ
オード部248を接続して構成された半導体装置250
が開示されている(特開2001−223354号公報
参照)。
【0037】この半導体装置250は、図18に示すよ
うに、n-型半導体の基板252において、前記基板2
52の一方の表面254に形成される第1ダイオード部
244に隣接して、複数個のダイオード246が前記一
方の表面254に形成され第2ダイオード部248を構
成している。そして、前記第2ダイオード部248の一
端256は、第1ダイオード部244のアノード電極2
58と接続されている。また、前記第2ダイオード部2
48の他端260は、金属製の側面電極262を介して
前記第1ダイオード部244のカソード電極264に接
続されている。
【0038】耐電圧の低いダイオード246が複数個接
続されているので、逆方向バイアス電流IRが前記半導
体装置250を流れたとしても、前記逆方向バイアス電
流IRは確実に第1ダイオード部244及び第2ダイオ
ード部248を導通する。そのため、前記能動素子部2
42の破壊を阻止することが可能であるとされている。
【0039】しかしながら、前記半導体装置250の場
合、複数個のダイオード246を使用するため、半導体
装置250の構造が複雑となる。また、前記半導体装置
250の作製工程で使用されるマスクパターンの枚数が
増加すると共に、該マスクパターンも複雑なものとな
り、製造コストが増大する欠点がある。
【0040】また、前記能動素子部242より耐電圧の
低いダイオード246を複数個接続した第2ダイオード
部248の耐電圧が前記能動素子部242の耐電圧を超
える場合、p+型半導体領域266とn+半導体領域26
8との間に形成されるpn接合部270又はチャンネル
272で破壊が容易に発生するおそれがある。従って、
第2ダイオード部248の接続だけであっても、前記破
壊を回避することは困難である。
【0041】本発明はこのような課題を考慮してなされ
たものであり、例えば逆導通サイリスタ等の半導体装置
において、逆方向バイアス電流の導通を容易にすること
で、高耐圧化と大電流化を共に達成することができる半
導体装置を提供することを目的とする。
【0042】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明に係る半導体装置は、第1導電型半導体
基板の一方の表面に形成された第1電極と、前記半導体
基板の他方の表面に形成された第2電極とを備え、か
つ、前記一方の表面側において、前記第1電極と電気的
に絶縁して形成されていると共に、前記半導体基板を介
して前記第2電極から前記第1電極に流れる電流の導通
を制御する制御電極とを有する能動素子部と、前記第1
電極と前記第2電極との間で、前記能動素子部と並列
に、前記半導体基板を介して前記第1電極から前記第2
電極に電流を導通させる逆導通機能を備えた整流部とを
備え、前記整流部は第1導電型半導体と第2導電型半導
体による複数の接合層から構成され、前記整流部の第1
電極近傍には、第2導電型半導体からなる埋め込み型の
第2導電型半導体領域が形成されていると共に、前記能
動素子部の第1電極と前記整流部の第1電極との間を電
気的に絶縁する分離層が前記半導体基板表面に形成され
ていることを特徴とする。
【0043】前記整流部における第1導電型半導体と第
2導電型半導体による複数の接合層の構成は、前記半導
体装置が逆方向バイアスの状態のとき、前記整流部が逆
導通、すなわち、順方向バイアスとなるように構成され
る。すなわち、前記半導体装置が逆方向バイアスの状態
である場合、前記半導体装置の能動素子部には逆方向バ
イアス電流が流れると共に、前記制御電極と前記第1電
極との間には、逆方向バイアス電圧が発生し、第1半導
体領域と第2半導体領域との間に形成される接合層にお
ける熱降伏と、前記熱降伏による破壊とを発生させるお
それがある。しかし、前記能動素子部と並列に整流部が
接続され、かつ、前記整流部は順方向バイアス状態であ
るので、前記逆方向バイアス電流は、前記整流部を介し
て流れ、前記能動素子の破壊は発生しない。
【0044】また、前記能動素子の破壊の回避を整流部
の配設によって実現するので、半導体装置は簡単な構造
となり、製造コストの削減も実現することが可能であ
る。
【0045】また、前記整流部の第1電極近傍に埋め込
み型の第2導電体層を形成することによって、前記複数
の接合層を構成することが可能となる。すなわち、前記
整流部は略複数の整流素子から構成されている。従っ
て、前記破壊を回避する効果をさらに促進することが可
能となる。なお、前記整流部としては、pn接合ダイオ
ードに限定されるものではなく、耐電圧を確保できる整
流素子であればよく、ショットキーバリアダイオード、
トンネルダイオード等も使用できる。
【0046】なお、前記能動素子とは、前記課題で取り
上げたSIThyに限らず、静電誘導型トランジスタ、
ゲートオンサイリスタ(GTO)等の電力用半導体装置
を始めとして、逆方向バイアス電流による熱破壊が発生
する全ての半導体デバイスを意味する。
【0047】また、前記半導体装置とは、前記半導体デ
バイスを含むと共に、前記半導体デバイスと並列に整流
部を接続している装置を意味する。
【0048】また、前記第1導電型半導体とは、不純物
半導体のことであり、p型半導体又はn型半導体であ
り、場合によっては、不純物密度が高いp+型半導体又
はn+型半導体、さらには不純物密度の低いp-型半導体
又はn-型半導体であっても構わない。
【0049】また、前記第2導電型半導体とは、その多
数キャリアが前記第1導電型半導体の多数キャリアと異
なる半導体を意味し、前記第1導電型半導体を限定すれ
ば、第2導電型半導体は直ちに決定される。例えば、前
記第1導電型半導体がp型半導体であれば、前記第2導
電型半導体はn型半導体となる。
【0050】また、第1電極と第2電極は対になってお
り、順方向バイアス電流が流れる方向は第2電極から第
1電極の方向である。例えば、SIThyの場合、第2
電極はアノードであり、第1電極はカソードになる。ま
た、トランジスタの場合、第2電極はコレクタであり、
第1電極はエミッタとなる。
【0051】また、前記制御電極とは、スイッチング素
子としての半導体装置における第2電極から第1電極へ
の電流の導通を制御する電極であり、例えば、SITh
yの場合、前記制御電極はゲートになる。また、トラン
ジスタの場合には、前記制御電極はベースである。
【0052】また、前記分離層とは、前記能動素子部と
前記整流部を電気的に絶縁する層であると共に、前記能
動素子部又は前記整流部を流れる電子、正孔等のキャリ
ア又は電流を前記整流部又は前記能動素子部に流さない
ようにする層である。この場合、前記分離層には、前記
第1導電型半導体基板表面の漏れ電流を防止する目的で
絶縁層を形成するようにしてもよい。
【0053】また、前記整流部において複数の接合層を
形成するために、第1電極に対向する前記第1導電型半
導体基板表面には、第2導電型半導体からなる第2導電
型半導体領域を形成させるようにしてもよい。
【0054】そして、前記埋め込み型の第2導電型半導
体領域は、前記整流部の第1電極に対向する半導体基板
表面に形成される第2導電型半導体領域と電気的に絶縁
されていると共に、前記制御電極に対向する半導体基板
表面に形成される第2導電型半導体からなる第2導電体
型半導体領域と電気的に接続するようにしてもよい。
【0055】前記第1電極に対向する第2導電型半導体
領域と前記第1導電型半導体基板の第1導電型半導体と
によって第1の接合層が形成され、前記埋め込み型の第
2導電型半導体領域と前記第1導電型半導体基板の第1
導電型半導体とによって第2の接合層及び第3の接合層
を形成することができる。そして、前記第1〜第3の接
合層の配置は、能動素子部が逆方向バイアス状態に至っ
たとき、逆方向バイアス電流を前記接合層における順方
向バイアス電流として導通することが可能であるように
配置する。例えば、前記第1導電型半導体領域をn型半
導体領域とし、前記第2導電型半導体領域をp型半導体
領域とした場合、第1電極の表面と前記第2電極の近傍
にはそれぞれp型半導体領域が形成される。従って、第
1電極から第2電極の方向に少なくとも3個のpn接合
層が形成されることになる。それ故、前記整流部は少な
くとも3個のpn接合ダイオードを内蔵することにな
る。
【0056】このように、第1電極の近傍に複数個の接
合部を形成することによって、能動素子部における制御
電極と第1電極との間の逆方向バイアス電圧の印加と、
逆方向バイアス電流の導通とをそれぞれ阻止することが
できると共に、前記能動素子部の破壊の回避を実現する
ことができる。
【0057】さらに、前記埋め込み型の第2導電型半導
体領域と制御電極に対向して形成されている第2導電型
半導体領域とを電気的に接続することによって、逆方向
バイアス電流の前記整流部における導通はより一層促進
される。
【0058】また、前記埋め込み型の第2導電型半導体
領域と、前記整流部の第1電極に対向する半導体基板表
面に形成される第2導電型半導体領域との距離L1を1
0μm以下の範囲内に形成する。前記L1が10μmを
超えても接合層は形成されるが、埋め込み型の第2導電
型半導体領域による導通の促進の効果が容易に得られな
いおそれがある。
【0059】他方、前記整流部の第2電極と前記第2電
極に対向する半導体基板表面との間に、ショットキー接
合を形成するようにしてもよい。前記ショットキー接合
は1導通型接合であるため、第1電極から第2電極の方
向に逆方向バイアス電流が導通できるように前記接合を
形成すればよい。従って、前記能動素子部が順方向バイ
アス状態である場合、前記ショットキー接合は逆導通状
態となるので、順方向バイアス電流を導通せず、前記能
動素子部に前記順方向バイアス電流が流れる。また、前
記ショットキー接合による第2電極からのキャリア注入
によって、前記第2電極近傍における再結合を促進し、
逆方向バイアス電流の前記整流部における導通を容易に
することが可能となる。
【0060】さらに、ショットキー接合に代えてオーミ
ック接合を形成してもよく、前記第1導電型半導体基板
の第1導電型半導体とは不純物濃度が異なる第1導電型
半導体を形成して、前記第2電極との間にオーミック接
合を形成してもよい。特に不純物濃度が大きな第1導電
型半導体領域を前記第2電極表面に形成すれば、能動素
子部が逆方向バイアス状態になった場合、前記第1導電
型半導体領域の多数キャリアが整流部の第1電極の方向
に大量に移動するため、逆方向バイアス電流は整流部に
より一層導通しやすい。
【0061】また、前記分離層に対向する半導体基板中
には、整流部に形成された埋め込み型の第2導電型半導
体領域を延在させるようにしてもよい。前記第2導電型
半導体領域の延在によって、逆方向バイアス電流の整流
部への導通をより一層促進することが可能となる。
【0062】また、前記能動素子部の第1電極近傍に形
成される埋め込み型の第2導電型半導体領域は少なくと
も1個以上の半導体領域であると共に、制御電極に対向
する前記第1導電型半導体基板表面に形成される第2導
電体型半導体領域とは電気的に接続されている。
【0063】前記埋め込み型の第2導電型半導体領域と
制御電極における第2半導体領域を電気的に接続するこ
とによって、制御電極から印加される能動素子部におけ
るターンオン状態とターンオフ状態のスイッチングを短
時間で切り換えることが可能となる。
【0064】さらに、前記分離層の幅をL2とし、前記
能動素子部の第1電極に対向する半導体基板表面に形成
される第1導電型半導体領域と、前記埋め込み型の第2
導電型半導体領域との距離をL3とした場合、L2>L
3となるように前記埋め込み型の第2導電型半導体領域
を形成する。L2>L3とすることによって、半導体装
置が逆方向バイアス状態となり、逆方向バイアス電圧が
前記能動素子部の第1電極と制御電極に印加されたとし
ても、逆方向バイアス電流が分離層を介して能動素子か
ら離間している整流部を導通するので、能動素子部の破
壊は惹起しない。従って、半導体装置の高電圧化と大電
流化を共に達成することが可能となる。なお、L2≦L
3である場合、前記整流部を流れる逆方向バイアス電流
が分離層を介して能動素子部の第2導電型半導体領域と
導通して、前記能動素子部を破壊するおそれがある。そ
のため、能動素子部における短時間のスイッチングを阻
害することになる。
【0065】また、前記整流部を前記制御電極の近傍に
形成すれば、逆方向バイアス電流及び逆方向バイアス電
圧による破壊を回避することが可能である。前記破壊は
制御電極に対向する第2導電型半導体領域と第1導電型
半導体領域との間で発生する場合が多いためである。
【0066】ここで、幅L2を20μm以下の範囲内、
望ましくは20μm程度に設定することによって、前記
破壊の回避の効果が容易に得られる。
【0067】また、能動素子部の第1電極近傍に形成さ
れた埋め込み型の第2導電型半導体領域同士の距離をL
4、分離層に最も近い前記第2導電型半導体領域と整流
部に形成されている埋め込み型の第2導電型半導体領域
との距離をL5とした場合、L4≧L5であることが望
ましい。距離L4を距離L5より大きくすることによっ
て、能動素子部が順方向バイアス状態である場合には、
第2導電型半導体領域の間における多数キャリアの通過
が容易となり、順方向バイアス電流の導通が促進され
る。一方、前記能動素子部が逆方向バイアス状態である
場合には、整流部に形成されている埋め込み型の第2導
電型半導体領域が分離層にまで延在するので、整流部に
おける逆方向バイアス電流の導通が促進され、破壊の回
避を達成することが可能となる。
【0068】また、幅L2と距離L4、L5の間では、
L2>L4、L2>L5であることが望ましい。L2≦
L4、L2≦L5では分離層の幅は非常に小さい。この
ような状態で半導体装置が逆方向バイアス状態に至った
場合、整流部の第1電極に対向する第2導電型半導体領
域又は前記整流部に形成された埋め込み型の第2導電型
半導体領域と、能動素子部の第1電極に対向する第1導
電型半導体領域との間には逆方向バイアス電流の分流が
発生する。この分流によって、能動素子部の破壊を回避
する目的で整流部に流れている逆方向バイアス電流が、
前記能動素子部にも流れることになり、破壊を促進させ
るおそれがある。また、前記能動素子部の埋め込み型の
第2導電型半導体領域の間の第1導電型半導体領域を電
子が導通しやすくなり、逆方向バイアス電流の導通を助
長させ、能動素子部における破壊が発生するおそれもあ
る。従って、L2>L4、L2>L5であれば、逆方向
バイアス状態においても、半導体装置における破壊の回
避を実現することが可能となる。
【0069】上記した効果を奏するためには、距離L4
は3μm以下とし、距離L5を0.1μm以下とするこ
とが望ましい。
【0070】また、L1>L3とすることによって、逆
方向バイアス状態における能動素子部の第1電極と制御
電極との間で発生する短絡状態を回避することが可能と
なる。すなわち、半導体装置が逆方向バイアス状態に至
った場合、L1>L3であれば、整流部の第1電極に対
向する第2導電型半導体領域と前記整流部に形成された
埋め込み型の第2導電型半導体領域との間の電圧降下
が、能動素子部の第1電極に対向する第1導電型半導体
領域と埋め込み型の第2導電型半導体領域との間の逆方
向バイアス電圧よりも高くなるため、逆方向バイアス電
流は整流部に導通し、能動素子部に逆方向バイアス電流
が導通する可能性がないためである。
【0071】さらに、前記整流部は前記能動素子部の中
央部に形成される。前記整流部を前記能動素子部の側部
に配置すると、破壊の回避の効果があまり得られない。
【0072】また、前記整流部は、前記半導体基板に形
成された複数の能動素子部の間に形成するようにしても
よい。
【0073】そして、前記整流部の第1電極が前記半導
体基板の一方の表面側を占有する割合は、0.5%以
上、10%以下の範囲内であればよい。前記割合が10
%以上である場合、能動素子部のターンオン電圧が、従
来技術に係る半導体装置と比較して5%以上も増加す
る。そのような半導体装置をスイッチング素子として使
用した機器は信頼性の低下を招くおそれがある。
【0074】また、上記した半導体装置における能動素
子部の第1電極から前記第2電極の方向に電流を導通さ
せた場合、前記能動素子部の第1電極と前記整流部の第
1電極との間に発生する逆方向バイアス電圧V1と、前
記能動素子部の第1電極と前記制御電極との間で発生す
る逆方向バイアス電圧V2との間は、V1>V2とす
る。例えば、L2=4μm、L3=2μmである場合、
V1=65V、V2=60Vとなり、能動素子部の破壊
を回避することが可能となる。なお、V1≦V2である
場合、逆方向バイアス電流が整流部を導通しなくなる結
果、能動素子部における破壊を促進させるおそれがあ
る。また、前記逆方向バイアス電圧V1とV2の関係に
よって、能動素子部の降伏電圧を増加させることができ
るので、半導体装置の高電圧化と大電流化を共に実現す
ることが可能となる。
【0075】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る半導体装置
を、静電誘導型サイリスタ(SIThy)に適用した好
適な実施の形態を図1〜図9を参照しながら説明する。
【0076】本実施の形態に係る半導体装置10は、図
1に示すように、能動素子部であるSIThy12と、
整流部であるダイオード14と、SIThy12とダイ
オード14とを電気的に絶縁する分離層16とから構成
されている。前記SIThy12と前記ダイオード14
と前記分離層16は、第1導電型半導体のn-型半導体
からなる基板18に形成される。
【0077】基板18の一方の表面20には、SITh
y12の第1電極である金属製、例えばアルミニウム製
のカソード電極22と、SIThy12の制御電極であ
る金属製のゲート電極24と、ダイオード14の第1電
極である金属製の第1アノード電極26がそれぞれ形成
されている。これに対して、基板18の他方の表面28
には、SIThy12及びダイオード14の第2電極で
ある金属製の第2アノード電極30が形成されている。
また、カソード電極22とゲート電極24とはSiO2
膜32によって電気的に絶縁されている。また、カソー
ド電極22と第1アノード電極26とは分離層16を構
成する例えばSiO2膜32によって電気的に絶縁され
ており、n+型半導体領域34の側面とp+型半導体領域
48の側面との間の距離がL2として規定されている。
【0078】そして、SIThy12のカソード電極2
2にはカソード端子Kが、ゲート電極24にはゲート端
子Gが、第2アノード電極30には第2アノード端子A
2がそれぞれ接続されている。また、ダイオード14の
第1アノード電極26には第1アノード端子A1が接続
されている。そして、カソード端子Kと第1アノード端
子A1は電気的に接続されると共に、カソード端子Kと
ゲート端子Gと第2アノード端子A2は互いに電気的に
絶縁されている。
【0079】また、SIThy12において、基板18
の一方の表面20のうち、カソード電極22に対向する
部分には、n+型半導体領域34が形成され、前記一方
の表面20のうち、ゲート電極24に対向する部分に
は、p+型半導体領域36が形成されている。
【0080】さらに、前記n+型半導体領域34の拡散
底部(n+−n-接合部分)から距離L3を隔てて複数の
埋め込み型のp+型半導体領域38が形成されている。
そして、埋め込み型のp+型半導体領域38の間に形成
されているn-型半導体は、該n-型半導体の多数キャリ
アである電子が導通するチャンネル40として機能す
る。なお、ゲート電極24下のp+型半導体領域36と
埋め込み型のp+型半導体領域38とはマスクパターン
形成の方法等により、電気的に接続されている。
【0081】これに対して、第2アノード電極30に対
向する他方の表面28には不純物濃度が異なるn型半導
体領域42が形成されている。また、前記n型半導体領
域42のうち、埋め込み型のp+型半導体領域38に対
向する部分にはp+型半導体領域44が形成されてい
る。従って、ゲート電極24に対向するn型半導体領域
42の部分には、n型半導体領域42による欠落部46
が形成されている。
【0082】また、ダイオード14において、基板18
の一方の表面20のうち、第1アノード電極26に対向
する部分には、p+型半導体領域48が形成されてい
る。また、第1アノード電極26下においては、p+
半導体領域48の拡散底部(pn接合部分)から距離L
1を隔てて埋め込み型のp+型半導体領域50が形成さ
れている。この埋め込み型のp+型半導体領域50は、
予めSIThy12におけるp+型半導体領域36及び
埋め込み型のp+型半導体領域38と電気的に接続され
ている。また、埋め込み型のp+型半導体領域50はダ
イオード14から分離層16にまたがって形成されてい
る。
【0083】これに対して、基板18の他方の表面28
のうち、ダイオード14における第2アノード電極30
に対向する部分においては、n型半導体領域42による
欠落部52が形成されている。従って、ダイオード14
は、第1アノード電極26から第2アノード電極30の
方向に、p+型半導体領域48と基板18のn-型半導体
領域による第1のpn接合部54と、基板18のn-
半導体領域と埋め込み型のp+型半導体領域50とによ
る第2のpn接合部56と、埋め込み型のp+型半導体
領域50と基板18のn-型半導体領域とによる第3の
pn接合部58とが直列に形成されている。そのため、
ダイオード14は、pn接合ダイオードが3個直列に接
続された構造になっている。
【0084】一方、基板18の他方の表面28のうち、
分離層16と対向する部分には、n型半導体領域42と
+型半導体領域44とが重なった形態となっている。
さらに、分離層16下には、埋め込み型のp+型半導体
領域50が延在して形成されている。延在して形成する
ことによって、ダイオード14における逆方向バイアス
電流IRの導通が促進され、半導体装置10の高電圧化
と大電流化を実現できる。ただし、SIThy12にお
ける埋め込み型のp+型半導体領域38、又はダイオー
ド14における埋め込み型のp+型半導体領域50に相
当する半導体領域を分離層16に対向して形成した場
合、分離層16の幅L2が小さいとダイオード14を導
通している逆方向バイアス電流IRが前記半導体領域を
介して埋め込み型のp+型半導体領域38からn+型半導
体領域34へと分流され、チャンネル40において破壊
が発生することが予想される。従って、幅L2はできる
限り拡張する必要がある。
【0085】本実施の形態に係る半導体装置10は、図
2に示すように、SIThy12にダイオード14が並
列に接続されただけの簡単な構成である。すなわち、S
IThy12のカソード端子Kとダイオード14の第1
アノード端子A1が接続され、また、SIThy12の
アノードとダイオード14のカソードが接続され、第2
アノード端子A2として構成されている。そのため、従
来技術に係る半導体装置208、250よりも簡単な構
成となっている。
【0086】ここで、SIThy12のゲート端子Gに
印加されるゲート信号の極性と大きさとによって、SI
Thy12のオン状態とオフ状態を切り換えることがで
きる。すなわち、ゲート端子Gに正極性のゲート信号を
印加すると、該SIThy12はオン状態となり、第2
アノード端子A2からカソード端子Kの方向への順方向
バイアス電流IFの導通が開始される。順方向バイアス
電流IFが導通する方向が、SIThy12の順方向で
ある。
【0087】これに対して、前記ゲート端子Gに負のゲ
ート信号を印加すると、SIThy12はオフ状態とな
り、アノード端子Aからカソード端子Kの方向への逆方
向バイアス電流IRの導通は阻止される。この場合、前
記導通の阻止は、逆方向バイアス電流IRがダイオード
14を経由して導通することによって達成される。すな
わち、SIThy12に接続されているダイオード14
の順方向は、第1アノード端子A1から第2アノード端
子A2の方向であるので、逆方向バイアス電流IRは、
ダイオード14を経由して導通する。
【0088】図3は、SIThy12をオン状態にし
て、SIThy12を順方向バイアス状態にしたときの
第2アノード端子A2とカソード端子Kとの間の電圧降
下V3と、第2アノード端子A2からカソード端子Kの
方向に流れる順方向バイアス電流IFの関係を示す。こ
の図3において、曲線(実線)64は、本実施の形態に
係る半導体装置の特性を示し、曲線(破線)66は、従
来例に係る半導体装置の特性を示す。これらの特性64
及び66を比較した場合、例えばIF=10000A、
V3=10Vのとき、電圧降下V3の変動は、約5%以
内に収まっている。
【0089】一般に、電圧降下V3の変動は、前記半導
体装置10又はSIThy12を、例えば図12のパル
ス大電流発生装置126に導入する際に問題となる。す
なわち、何らかの原因でSIThy100を交換する場
合、交換する前のSIThy100の電圧降下V3と交
換後の新たなSIThy12の電圧降下V3のばらつき
が大きいと、パルス大電流発生装置126が発生するパ
ルス大電流の大きさ及びパルス幅が変化し、パルス大電
流発生装置126の信頼性が低下する。この問題は、前
記半導体装置10又はSIThy12を、市販のパルス
電源の構成部品として使用する場合においても同様であ
り、順方向バイアス状態における特性を、できる限り市
場に流通している半導体装置又はSIThyの特性に合
わせていくことが必要である。
【0090】上記した観点から、図3に示すように、本
実施の形態に係る半導体装置10は、従来例に係る既に
市販された前記半導体装置と比較して、電圧降下V3の
変動が約5%以内と小さく、市販品の交換部品として好
適であるといえる。
【0091】このような低い変動を達成させるために
は、前記ダイオード14の第1アノード電極26が基板
18の一方の表面20を占有する割合が、0.1%以上
であり、かつ、10%以下であることが望ましい。10
%を超えるとカソード電極22の領域が減縮され、順方
向バイアス電流IFの導通を阻害し、電圧降下V3の変
動をもたらす。また、0.1%以下である場合には、逆
方向バイアス電流IRをダイオード14に有効に導通さ
せることが困難となる。
【0092】図4は、SIThy12が逆方向バイアス
状態に至ったときに、カソード端子Kと第1アノード端
子A1との間に発生する逆方向バイアス電圧V1と、カ
ソード端子Kから第1アノード端子A1に導通する逆方
向バイアス電流IR1との関係を示す特性68と、カソ
ード端子Kとゲート端子Gとの間に発生する逆方向バイ
アス電圧V2と、カソード端子Kからゲート端子Gに流
れる逆方向バイアス電流IR2との関係を示す特性70
とをそれぞれ示している。
【0093】ここで、逆方向バイアス電圧V1とは、よ
り詳細には、図1のn+型半導体領域34とp+型半導体
領域48との間に印加される電圧であり、逆方向バイア
ス電流IR1はn+型半導体領域34からp+型半導体領
域48の方向に流れる電流である。また、逆方向バイア
ス電圧V2とは、n+型半導体領域34とp+型半導体領
域36、38との間に印加される電圧であり、逆方向バ
イアス電流IR2はn+型半導体領域34からp+型半導
体領域36、38の方向に流れる電流である。
【0094】図4において、逆方向バイアス電圧V1の
降伏電圧をV1Bとし、逆方向バイアス電圧V2の降伏
電圧をV2Bとした場合、V1B=65Vであり、V2
B=50Vとなる。すなわち、V1B>V2Bであり、
+型半導体領域34とp+型半導体領域36、38との
間の降伏電圧V2BがV1Bより低い値となる。これに
より、チャンネル40での熱降伏による破壊を回避する
ことが可能となる。なお、半導体装置10において、V
1B=65V、V2B=50Vにおける逆方向バイアス
電流である降伏電流IBは、IB=約5mAである。
【0095】なお、V1B≦V2Bである場合、チャン
ネル40の破壊のおそれが高まると共に、降伏電圧V2
Bの電圧降下によってゲート信号によるSIThy12
のオン状態とオフ状態を切り換えることができなくなる
おそれがある。
【0096】ところで、V1B>V2Bの場合、n+
半導体領域34とp+型半導体領域48との間において
熱降伏による破壊が発生するおそれが予想される。しか
し、分離層16下におけるn+型半導体領域34とp+
半導体領域48間の幅L2と、カソード電極22下にお
けるn+型半導体領域34と埋め込み型のp+型半導体領
域38との距離L3との関係を、L2>L3とするよう
に半導体装置10を形成しても、V1B>V2Bとな
り、熱降伏による破壊を回避することが可能となる。例
えば、半導体装置10において、L2=4μm、L3=
2μmと設定すれば、V1B=65V、V2B=60V
となり、V1B>V2Bとなるので、前記破壊の回避を
容易に達成することができる。なお、L2≦L3の場
合、ダイオード14を流れている逆方向バイアス電流I
Rが分離層16を介してp+型半導体領域36又は埋め
込み型のp+型半導体領域38を分流して導通するおそ
れがある。そのため、L2≦L3とならないように半導
体装置10を設計することが望ましい。上記した結果よ
り、V1B>V2Bと、L2>L3の条件を満足するこ
とによって半導体装置10の高電圧化と大電流化を実現
することが可能となる。
【0097】また、V1B>V2Bの場合でも、ダイオ
ード14は順方向バイアス状態であるから、パルス大電
流である逆方向バイアス電流IRはダイオード14の第
1アノード端子A1から第2アノード端子A2の方向に
流れる。従って、逆方向バイアス電流IR1及びIR2
は、逆方向バイアス電流IRと比較して極めて小さい値
に抑制することが可能である。すなわち、図4に示すよ
うに、逆方向バイアス電流IRは、IR=数百A〜数万
Aの大きさであるのに対して、降伏電流IBの大きさは
約5mA程度の大きさにまで抑制されている。
【0098】また、L1>L3とすることで、逆方向バ
イアス電流IRによる半導体装置10の破壊を回避する
ことができる。例えば、L1=4μm、L2=2μmと
した場合、V2B=50V、p+型半導体領域48と埋
め込み型のp+型半導体領域50との間の電圧降下は7
0Vとなり、逆方向バイアス電流IRはより一層ダイオ
ード14を導通するようになる。従って、SIThy1
2における破壊は回避できる。なお、L1≦L3で半導
体装置10が逆方向バイアス状態に至った場合、降伏電
圧V2Bの値がp+型半導体領域48と埋め込み型のp+
型半導体領域50との間の電圧降下よりも大きくなるの
で、逆方向バイアス電流IRがSIThy12を導通
し、チャンネル40における破壊が発生するおそれがあ
る。
【0099】また、図1に示すように、埋め込み型のp
+型半導体領域50を分離層16まで延在させることに
よって、半導体装置10の高電圧化及び大電流化を図る
ことができる。この場合、分離層16まで延在させるこ
とにより、逆方向バイアス電流IRの導通がより一層容
易となり、逆方向バイアス状態における半導体装置10
の耐電圧は向上し、チャンネル40における破壊を回避
することが可能となる。
【0100】また、埋め込み型のp+型半導体領域38
同士の距離をL4とし、分離層16に最も近いSITh
y12における埋め込み型のp+型半導体領域38と埋
め込み型のp+型半導体領域50との距離をL5とした
場合、L4≧L5とすることでも半導体装置10の高電
圧化及び大電流化を実現可能である。特に幅L2との関
連において、L2>L4、L2>L5とすれば、上記し
た破壊を回避する効果がより一層顕著なものとなる。す
なわち、幅L2と比較して距離L4とL5を小さくする
ことによって、SIThy12が逆方向バイアス状態に
至ったときに、チャンネル40を通過する電子76の導
通を阻止し、結果的に逆方向バイアス電流IRの導通を
阻止することが可能となる。従って、逆方向バイアス電
流IRはダイオード14を導通する。例えば、距離L4
を2μm〜3μm、距離L5を0.1μm以下にそれぞ
れ設定し、幅L2を20μm程度まで拡張して半導体装
置10を構成した場合、順方向バイアス状態では、チャ
ンネル40を電子76が容易に通過することが可能とな
り、順方向バイアス電流IFの導通を促進させることが
できる。一方、逆方向バイアス状態では、L2>L4で
あるので、チャンネル40における電子76の導通は阻
止され、逆方向バイアス電流IRはダイオード14を導
通する。
【0101】これに対して、半導体装置10においてL
2≦L4、L2≦L5の場合、逆方向バイアス状態で
は、ダイオード14に逆方向バイアス電流IRが流れ
る。しかし、p+型半導体領域48又は埋め込み型のp+
型半導体領域50とn+型半導体領域34とは近接する
ため、p+型半導体領域48、50からn+型半導体領域
34への前記逆方向バイアス電流の分流が発生する。こ
の分流によって、SIThy12における破壊は促進さ
れるおそれがある。さらに、チャンネル40を電子76
が導通しやすくなり、逆方向バイアス電流IRの導通が
助長され、チャンネル40における破壊が発生するおそ
れは高まる。
【0102】また、距離L4が3μmを超えたとき、又
は距離L5が0.1μmを超えたときには、上記したお
それがより一層高まる。
【0103】図5は、本実施の形態に係る半導体装置1
0をスイッチング素子として図12のパルス大電流発生
装置126のSIThy100と交換し、かつ、放電ギ
ャップ148における絶縁破壊が不発であったときに半
導体装置10を流れる放電電流I3の時間的変化72
と、逆方向バイアス電圧V2の時間的変化74を示す。
【0104】図12のパルス大電流発生装置126のス
イッチング素子がSIThy100のみである場合、図
14に示すように逆方向バイアス電流IRが流れ、か
つ、逆方向バイアス電圧V1が降伏電圧VBを超えると
SIThy100の破壊が発生する。ところが、半導体
装置10を使用した場合、逆方向バイアス電流IRが降
伏電流IBに達したとしても逆方向バイアス電圧V2は
増加せず、SIThy12のチャンネル40における破
壊は発生しない。すなわち、絶縁破壊が失敗したとして
も、その影響を半導体装置10が被ることはない。
【0105】そこで、図5の結果について、半導体装置
10が順方向バイアス状態である場合と、逆方向バイア
ス状態である場合についてそれぞれ考察する。
【0106】図6は、半導体装置10が順方向バイアス
状態であるときの電子76と正孔78の動作を概略的に
示したものである。この場合、SIThy12は順方向
バイアス状態となり、SIThy12の第2アノード電
極30からカソード電極22の方向に順方向バイアス電
流IFが流れる。このとき、p+型半導体領域44から
n型半導体領域42と基板18のn-型半導体を介して
埋め込み型のp+型半導体領域38へ正孔78が移動す
る。これに対して、電子76は、n+型半導体領域34
からチャンネル40を経由してp+型半導体領域44の
方向に移動する。なお、このとき、ダイオード14は逆
方向バイアス状態である。
【0107】図7は、半導体装置10が逆方向バイアス
状態であるときの電子76と正孔78の動作を概略的に
示したものである。この場合、SIThy12は逆方向
バイアス状態となると共に、ダイオード14は順方向バ
イアス状態となる。従って、逆方向バイアス電流IR
は、第1アノード電極26からダイオード14のpn接
合部54、56、58を介して第2アノード電極30に
流れる。そのため、逆方向バイアス電流IRはSITh
y12を流れない。
【0108】逆方向バイアス電流IRの導通について、
電子76の移動と正孔78の移動の観点から考察する。
【0109】図7に示すように、SIThy12が逆方
向バイアス状態である場合、SIThy12の内部に存
在する電子76と正孔78の移動は抑制される。すなわ
ち、図6の順方向バイアス状態における電子76の移動
と比較して、逆方向バイアス状態に置かれた電子76
は、チャンネル40の近傍からn+型半導体領域34に
移動するのみである。また、逆方向バイアス状態に置か
れた正孔78も、埋め込み型のp+型半導体領域50か
らn型半導体領域42の方向へ、又は基板18のn-
半導体からn型半導体領域42のわずかな距離を移動す
るのみである。
【0110】ところが、ダイオード14においては、逆
方向バイアス電流IRの導通方向と、pn接合部54、
56、58の順方向が一致しているので、前記ダイオー
ド14は順方向バイアス状態となり、多数の正孔78が
+型半導体領域48又は埋め込み型のp+型半導体領域
50から欠落部52の方向に向かって移動する。
【0111】一方、欠落部52と第2アノード電極30
とのショットキー結合80が形成されているので、ショ
ットキー効果によって電子76が第2アノード電極30
から欠落部52へ注入される。電子76はp+型半導体
領域48又は埋め込み型のp+型半導体領域50の方向
に向かって移動し、電子76と正孔78は、欠落部52
又は基板18において再結合に至る。前記ショットキー
効果とその効果による前記再結合によって、ダイオード
14における逆方向バイアス電流IRがより一層促進さ
れる。従って、ショットキー接合80を形成することに
よって、半導体装置10の高電圧化と大電流化を実現す
ることが可能となる。
【0112】なお、仮に、欠落部52が存在せず、第2
アノード電極30に対向する他方の表面28にp+型半
導体領域44が形成されていた場合、p+型半導体領域
48又は埋め込み型のp+型半導体領域50から移動し
てくる正孔78とp+型半導体領域44の多数キャリア
である正孔78との間にクーロン力による反発力が作用
するので、逆方向バイアス電流IRの導通が妨げられ
る。そのため、逆方向バイアス電流IRは、SIThy
12のn+型半導体領域34からチャンネル40を経由
してp+型半導体領域36又は埋め込み型のp+型半導体
領域38に流れる。従って、チャンネル40は熱降伏と
破壊に至るおそれがある。
【0113】ショットキー接合80を利用することによ
って、ダイオード14における逆方向バイアス電流IR
の導通は促進されるが、もう一つの効果として、半導体
装置10が順方向バイアス状態であるとき、順方向バイ
アス電流IFのダイオード14への導通を阻止する効果
も併せ持つ。すなわち、ショットキー接合80は1導通
型接合であるため、半導体装置10が順方向バイアス状
態である場合、順方向バイアス電流のダイオード14へ
の導通を阻止し、ダイオード14における熱降伏と破壊
を回避する効果を達成することができる。
【0114】このようなショットキー接合80を構成す
るには、図7に示すn型半導体領域42と第2アノード
電極30に限定されるものではなく、種々の構成を取り
得ることは勿論である。
【0115】図8Aは、ショットキー接合80を基板1
8のn-型半導体と第2アノード電極30とによって形
成した第1の変形例を示す。
【0116】図8Bは、ショットキー接合80をn+
半導体領域82と第2アノード電極30とによって形成
した第2の変形例を示す。n+型半導体領域82は不純
物濃度の高いn型半導体の層であるため、n型半導体又
はn-型半導体よりも多数キャリアである電子が豊富に
存在する。そのため、逆方向バイアス電流IRの導通時
には、第2アノード電極30からの電子76の注入に加
え、n+型半導体領域82の電子76のドリフトによっ
て正孔78との再結合がより一層促進される。
【0117】また、ショットキー接合80に代えてオー
ミック接合84を選択することも可能である。この場合
には、順方向バイアス状態及び逆方向バイアス状態であ
っても、該オーミック接合84を介して電流は導通す
る。しかし、半導体装置10が順方向バイアス状態の場
合には、順方向バイアス電流IFがSIThy12を流
れ、逆方向バイアス状態の場合には、逆方向バイアス電
流IRがダイオード14を流れるので、オーミック接合
84を選択することが可能である。
【0118】図8Cは、オーミック接合84を基板18
のn-型半導体と第2アノード電極30とによって形成
した第3の変形例を示す。
【0119】図8Dは、オーミック接合84をn型半導
体領域86と第2アノード電極30とによって形成した
第4の変形例を示す。
【0120】図8Eは、オーミック接合84をn+型半
導体領域88と第2アノード電極30とによって形成し
た第5の変形例を示す。
【0121】図9は、埋め込み型のp+型半導体領域5
0を円形状に構成した第6の変形例を示す。この場合、
L4<L5とならないように分離層16の幅L2を調整
する。
【0122】ところで、半導体装置10におけるダイオ
ード14の配置箇所は、図1に示したSIThy12の
中心に限定されないことは勿論である。すなわち、前記
ダイオード14をゲート電極24の近傍に配置しても構
わない。この場合には、主としてp+型半導体領域36
を保護する目的で使用される。また、複数の半導体装置
10が存在する場合には、半導体装置10の間に該ダイ
オード14を構成するようにしてもよい。
【0123】なお、本実施の形態では、能動素子部とし
てSIThy12を使用した半導体装置10についての
好適な実施の形態を示したが、前記能動素子部として
は、前記SIThy12に限定されることはなく、静電
誘導型トランジスタ、電力用サイリスタ、電力用トラン
ジスタ等、制御電極によってオン状態とオフ状態の切り
換えが可能である能動素子部にも適用可能であることは
勿論である。
【0124】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る半導
体装置によれば、例えば逆導通サイリスタ等の半導体装
置に用いた場合において、逆方向バイアス電流の導通を
容易にすることで、高耐圧化と大電流化を共に達成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を
示す断面図である。
【図2】本実施の形態に係る半導体装置を示す等価回路
図である。
【図3】半導体装置における順方向バイアス状態の特性
を示す図である。
【図4】半導体装置における逆方向バイアス状態の特性
を示す図である。
【図5】半導体装置における逆方向バイアス状態の時間
的変化を示す図である。
【図6】順方向バイアス電流が導通したときの電子及び
正孔の移動を示す説明図である。
【図7】逆方向バイアス電流が導通したときの電子及び
正孔の移動を示す説明図である。
【図8】図8Aは半導体装置の第1の変形例を示す説明
図であり、図8Bは半導体装置の第2の変形例を示す説
明図であり、図8Cは半導体装置の第3の変形例を示す
説明図であり、図8Dは半導体装置の第4の変形例を示
す説明図であり、図8Eは半導体装置の第5の変形例を
示す説明図である。
【図9】半導体装置の第6の変形例を示す説明図であ
る。
【図10】従来技術に係る静電誘導型サイリスタ(SI
Thy)の構造を示す断面図である。
【図11】従来技術に係るSIThyを示す等価回路図
である。
【図12】パルス大電流発生装置を示す回路図である。
【図13】パルス大電流のパルス幅と大きさを示す図で
ある。
【図14】SIThyを流れる放電電流とゲート端子と
カソード端子との間に発生する電圧の時間変化を示す図
である。
【図15】従来技術に係るSIThyの構造を示す断面
図である。
【図16】図15のSIThyを示す等価回路図であ
る。
【図17】従来技術に係るSIThyの構造を示す断面
図である。
【図18】図17のSIThyを示す等価回路図であ
る。
【符号の説明】
10…半導体装置 12、100…
SIThy 14…ダイオード 16…分離層 18…基板 22…カソード
電極 24…ゲート電極 26…第1アノ
ード電極 30…第2アノード電極 34、82、88…n+型半導体領域 36、44、48…p+型半導体領域 38、50…埋め込み型のp+型半導体領域 40…チャンネル 42、86…n
型半導体領域 46、52…欠落部

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1導電型半導体基板の一方の表面に形成
    された第1電極と、前記第1導電型半導体基板の他方の
    表面に形成された第2電極とを備え、かつ、前記一方の
    表面側において、前記第1電極と電気的に絶縁して形成
    されていると共に、前記第1導電型半導体基板を介して
    前記第2電極から前記第1電極に流れる電流の導通を制
    御する制御電極とを有する能動素子部と、 前記第1電極と前記第2電極との間で、前記能動素子部
    と並列に、前記第1導電型半導体基板を介して前記第1
    電極から前記第2電極に電流を導通させる逆導通機能を
    備えた整流部とを備え、 前記整流部は第1導電型半導体と第2導電型半導体によ
    る複数の接合部から構成され、 前記整流部の第1電極近傍には、第2導電型半導体から
    なる埋め込み型の第2導電型半導体領域が形成されてい
    ると共に、 前記能動素子部の第1電極と前記整流部の第1電極との
    間を電気的に絶縁する分離層が前記第1導電型半導体基
    板表面に形成されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の半導体装置において、 前記整流部の第1電極に対向する第1導電型半導体基板
    表面には、第2導電型半導体からなる第2導電型半導体
    領域が形成されていることを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の半導体装置において、 前記埋め込み型の第2導電型半導体領域は、前記整流部
    の第1電極に対向する第1導電型半導体基板表面に形成
    される第2導電型半導体領域と電気的に絶縁されている
    と共に、 前記制御電極に対向する第1導電型半導体基板表面に形
    成される第2導電型半導体からなる第2導電体型半導体
    領域と電気的に接続されていることを特徴とする半導体
    装置。
  4. 【請求項4】請求項2又は3記載の半導体装置におい
    て、 前記埋め込み型の第2導電型半導体領域と、前記整流部
    の第1電極に対向する第1導電型半導体基板表面に形成
    される第2導電型半導体領域との距離L1は、10μm
    以下であることを特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導
    体装置において、 前記整流部の第2電極と前記第2電極に対向する第1導
    電型半導体基板表面との間には、ショットキー接合が形
    成されていることを特徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導
    体装置において、 前記整流部の第2電極と前記第2電極に対向する第1導
    電型半導体基板表面との間には、オーミック接合が形成
    されていることを特徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導
    体装置において、 前記整流部の第2電極に対向する第1導電型半導体基板
    表面には、前記第1導電型半導体基板を構成する第1導
    電型半導体とは不純物濃度が異なる第1導電型半導体が
    形成されると共に、 前記不純物濃度が異なる第1導電型半導体と前記整流部
    の第2電極との間にはオーミック接合が形成されている
    ことを特徴とする半導体装置。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導
    体装置において、 前記分離層に対向する第1導電型半導体基板中に、整流
    部に形成された埋め込み型の第2導電型半導体領域が延
    在していることを特徴とする半導体装置。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導
    体装置において、 前記能動素子部の第1電極近傍に、少なくとも1以上の
    埋め込み型の第2導電型半導体領域が形成され、前記埋
    め込み型の第2導電型半導体領域と前記制御電極に対向
    する第1導電型半導体基板表面に形成される第2導電体
    型半導体領域とは電気的に接続されていると共に、 前記分離層の幅L2と、前記能動素子部の第1電極に対
    向する第1導電型半導体基板表面に形成される第1導電
    型半導体領域と、前記能動素子部の近傍に形成された埋
    め込み型の第2導電型半導体領域との距離L3との間で
    は、L2>L3であることを特徴とする半導体装置。
  10. 【請求項10】請求項9記載の半導体装置において、 幅L2は20μm以下であることを特徴とする半導体装
    置。
  11. 【請求項11】請求項9又は10記載の半導体装置にお
    いて、 前記能動素子部の第1電極近傍に形成された埋め込み型
    の第2導電型半導体領域同士の距離L4と、分離層に最
    も近い前記第2導電型半導体領域と整流部に形成されて
    いる埋め込み型の第2導電型半導体領域との距離L5と
    の間では、L4≧L5であり、L2>L4であることを
    特徴とする半導体装置。
  12. 【請求項12】請求項11記載の半導体装置において、 距離L4は3μm以下であることを特徴とする半導体装
    置。
  13. 【請求項13】請求項11又は12記載の半導体装置に
    おいて、 距離L5は0.1μm以下であることを特徴とする半導
    体装置。
  14. 【請求項14】請求項9〜13のいずれか1項に記載の
    半導体装置において、 L1>L3であることを特徴とする半導体装置。
  15. 【請求項15】請求項1〜14のいずれか1項に記載の
    半導体装置において、 前記整流部は、前記制御電極の近傍に形成されているこ
    とを特徴とする半導体装置。
  16. 【請求項16】請求項1〜14のいずれか1項に記載の
    半導体装置において、 前記整流部は、前記能動素子部の中央部に形成されてい
    ることを特徴とする半導体装置。
  17. 【請求項17】請求項1〜14のいずれか1項に記載の
    逆導通機能を有する半導体装置において、 前記整流部は、前記第1導電型半導体基板に形成された
    複数の能動素子部の間に形成されていることを特徴とす
    る半導体装置。
  18. 【請求項18】請求項1〜17のいずれか1項に記載の
    半導体装置において、 前記整流部の第1電極が前記第1導電型半導体基板の一
    方の表面側を占有する割合は、10%以下であることを
    特徴とする半導体装置。
  19. 【請求項19】請求項1〜18のいずれか1項に記載の
    半導体装置において、 前記能動素子部の第1電極から前記第2電極の方向に電
    流を導通させた場合、 前記能動素子部の第1電極と前記整流部の第1電極との
    間に発生する逆方向バイアス電圧V1と、前記能動素子
    部の第1電極と前記制御電極との間で発生する逆方向バ
    イアス電圧V2との間では、V1>V2であることを特
    徴とする半導体装置。
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