JP2003197684A - 超音波ボンディング装置および超音波ボンディング方法 - Google Patents

超音波ボンディング装置および超音波ボンディング方法

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JP2003197684A JP2001391460A JP2001391460A JP2003197684A JP 2003197684 A JP2003197684 A JP 2003197684A JP 2001391460 A JP2001391460 A JP 2001391460A JP 2001391460 A JP2001391460 A JP 2001391460A JP 2003197684 A JP2003197684 A JP 2003197684A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボンディングツールの面状態の修正作業を適
正に効率よく行うことができる超音波ボンディング装置
および超音波ボンディング方法を提供する。 【解決手段】 ボンディングツール6の接合作用面6b
によって電子部品3を基板2に押圧してボンディングす
る超音波ボンディング装置において、接合作用面6bを
面状態計測部1bの計測面に押圧した状態で超音波振動
子7を駆動してこのときの駆動状態を示すインピーダン
スを計測部16によって計測し、制御部12によってこ
の計測結果を記憶部13に記憶された判定データと比較
することにより、接合作用面6bの面状態の良否を判定
し、不良と判定されたならば研磨部1cに接合作用面6
bを押圧して研磨し、面状態の修正を行う。これによ
り、ボンディングツール6を取り外すことなく面状態の
修正・確認が可能となり、接合作用部の面状態の修正を
適正に効率よく行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品を基板な
どのワークに超音波振動によりボンディングする超音波
ボンディング装置および超音波ボンディング方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】バンプ付電子部品などの電子部品を基板
などのワークにボンディングする方法として超音波圧接
を用いる方法が知られている。この方法は、電子部品に
当接して超音波振動を印加する接合作用面を備えたボン
ディングツールを用い、バンプと基板の電極などの接合
面を相互に摩擦させてボンディングするものである。こ
のボンディング過程において良好な接合品質を確保する
ためには、接合作用面を介して電子部品に押圧荷重や超
音波振動が安定した状態で伝達されることが必要であ
る。
【0003】ところが、接合作用面には荷重と超音波振
動が繰り返し伝達されるため、ボンディング作業を反復
する過程において接合作用面には電子部品が摩耗するこ
とによって生じた微細な異物が付着しやすい。この付着
物は使用時間の累積とともに部分的に堆積して突起状に
成長する。そしてボンディング時に接合作用面によって
電子部品を押圧する際には、この突起部分が電子部品に
局部的に当接して荷重が集中することによる割れなどの
不具合が生じやすい。このため、同一のボンディングツ
ールを所定時間使用した後には、接合作用面の面状態を
修正する作業が必要となる。
【0004】従来よりこの面状態の修正は、ボンディン
グツールを装置から取り外し接合作用面を砥石などによ
って研磨することにより行われていた。そしてこの研磨
作業後には、粗さ測定器や実体顕微鏡などによって修正
後の面状態の良否を確認する作業を必要としていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の方法は、ボンディングツールが装置に装着された状態
で接合作用部の面状態を確認することができなかった。
このため、面状態が不良のまま生産を継続して不良品を
増加させたり、また不良を心配するあまり不必要な頻度
で研磨作業を行って結果的に装置稼動率を低下させるな
どの不都合を生じていた。さらに研磨作業においても、
適正な修正作業にはどの程度研磨する必要があるか判ら
ないため、過度に研磨することによる時間のロスが発生
していた。このように、従来の超音波ボンディング装置
においては、接合作用部の面状態の修正を適正に効率よ
く行うことが困難であった。
【0006】そこで本発明は、ボンディングツールの面
状態の修正作業を適正に効率よく行うことができる超音
波ボンディング装置および超音波ボンディング方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の超音波ボ
ンディング装置は、ボンディングツールによって電子部
品をワークに押圧して超音波振動を印加することにより
この電子部品をボンディングする超音波ボンディング装
置であって、前記ワークを保持するワーク保持部と、前
記電子部品に当接して超音波振動を伝達する接合作用面
を有するボンディングツールと、電気的に駆動されて前
記ボンディングツールに超音波振動を付与する振動付与
手段と、ボンディングツールを押圧対象面に対して押圧
する押圧手段と、前記接合作用面を計測面に押圧した状
態における前記振動付与手段の駆動状態を示す電気的駆
動特性の計測結果に基づいて接合作用面の面状態の良否
を判定する面状態判定手段とを備えた。
【0008】請求項2記載の超音波ボンディング装置
は、ボンディングツールによって電子部品をワークに押
圧して超音波振動を印加することによりこの電子部品を
ボンディングする超音波ボンディング装置であって、前
記ワークを保持するワーク保持部と、前記電子部品に当
接して超音波振動を伝達する接合作用面を有するボンデ
ィングツールと、電気的に駆動されて前記ボンディング
ツールに超音波振動を付与する振動付与手段と、ボンデ
ィングツールを押圧対象面に対して押圧する押圧手段
と、前記接合作用面を計測面に押圧した状態における前
記振動付与手段の駆動状態を示す電気的駆動特性の計測
結果を表示する表示手段とを備えた。
【0009】請求項3記載の超音波ボンディング装置
は、請求項1または2記載の超音波ボンディング装置で
あって、前記計測面は、前記接合作用面を研磨する研磨
部の研磨面である。
【0010】請求項4記載の超音波ボンディング方法
は、ボンディングツールの接合作用面を電子部品に当接
させてこの電子部品をワークに押圧するとともに、電気
的に駆動される振動付与手段によって前記ボンディング
ツールに超音波振動を付与することによりこの電子部品
をボンディングする超音波ボンディング方法であって、
前記接合作用面を計測面に押圧した状態で前記振動付与
手段を駆動し、この振動付与手段の駆動状態を示す電気
的駆動特性の計測結果に基づいて前記接合作用面の面状
態の良否を判定する。
【0011】請求項5記載の超音波ボンディング方法
は、請求項4記載の超音波ボンディング方法であって、
前記接合作用面を研磨部の研磨面に対して相対的に押圧
し摺動させることにより接合作用面を研磨する研磨工程
の後に前記面状態の良否を判定し、この判定結果に基づ
いて前記研磨工程を反復実行する。
【0012】請求項6記載の超音波ボンディング方法
は、請求項4記載の超音波ボンディング方法であって、
前記計測面は、前記接合作用面を研磨する研磨部の研磨
面であり、接合作用面をこの研磨面に対して相対的に押
圧し摺動させることにより接合作用面を研磨する研磨過
程において、前記面状態の良否の判定を行う。
【0013】本発明によれば、ボンディングツールの接
合作用面を計測面に押圧した状態で振動付与手段を駆動
し、この振動付与手段の駆動状態を示す電気的駆動特性
に基づいて接合作用面の面状態の良否を判定することに
より、ボンディングツールを取り外すことなく面状態の
修正・確認が可能となり、接合作用部の面状態の修正を
適正に効率よく行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の超
音波ボンディング装置の構成を示すブロック図、図2
(a)は本発明の一実施の形態の超音波ボンディング装
置の面状態計測部の断面図、図2(b)は本発明の一実
施の形態の超音波ボンディング装置の研磨部の断面図、
図2(c)は本発明の一実施の形態の超音波ボンディン
グ装置の洗浄部の断面図、図3は本発明の一実施の形態
の超音波ボンディング装置によるボンディング作業のフ
ローチャート、図4は本発明の一実施の形態の超音波ボ
ンディング装置による面状態修正作業の説明図、図5、
図6、図7は本発明の一実施の形態の超音波ボンディン
グ装置による面状態良否判定の説明図である。
【0015】まず図1を参照して超音波ボンディング装
置の構成を説明する。図1において、移動テーブル1上
には、基板保持部1a(ワーク保持部)、面状態計測部
1b、研磨部1c、洗浄部1dが設けられている。基板
保持部1aは、電子部品3が実装される基板2(ワー
ク)を保持する。面状態計測部1b、研磨部1c、洗浄
部1dについては後述する。移動テーブル1はテーブル
駆動部9によって駆動されて水平方向に移動し、これに
より基板保持部1aに保持された基板2、面状態計測部
1b、研磨部1c、洗浄部1dの各部を以下に説明する
ボンディング機構5に対して相対移動させることができ
る。
【0016】移動テーブル1の上方に配設されたボンデ
ィング機構5は、ボンディングツール6によりボンディ
ング対象物である電子部品3をボンディングする。ボン
ディングツール6には下方に突出した接合作用部6aが
設けられており、接合作用部6aは下面の接合作用面6
bによって電子部品3の上面に当接し、電子部品3を真
空吸着により保持する。またボンディングツール6の一
方側の端部には振動付与手段である超音波振動子7が装
着されており、振動子駆動部11によって超音波振動子
7を電気的に駆動することにより、ボンディングツール
6には超音波振動が付与される。
【0017】ボンディングツール6は昇降ブロック8a
に装着され、更に昇降ブロック8aは昇降駆動部8に結
合されている。接合作用部6aに電子部品3を保持した
状態で、制御部12によって昇降駆動部8を制御するこ
とにより、電子部品3を基板2に対して昇降させること
ができるとともに、電子部品3を基板2に対して所定の
荷重で押圧することができる。そしてこの状態で超音波
振動子7を駆動することにより、電子部品3は基板2に
荷重と超音波振動によりボンディングされる。
【0018】また同様に電子部品3を保持していない状
態のボンディングツール6の接合作用面6bを、面状態
計測部1b、研磨部1cなどの押圧対象面に押圧するこ
とができる。したがって、昇降駆動部8はボンディング
ツール6を押圧対象物に対して押圧する押圧手段となっ
ている。
【0019】次に、面状態計測部1b、研磨部1c、洗
浄部1dについて説明する。ボンディングツール6によ
って電子部品3のボンディングを反復しておこなう過程
では、接合作用面6bの平面度が損なわれる面状態の劣
化が進行する。この面状態の劣化は、接合作用面6bに
電子部品などが摩耗することによって生じた微細な異物
が付着し、付着物が部分的に堆積することによって生じ
る。面状態計測部1b、研磨部1c、洗浄部1dは、こ
の接合作用面6bの面状態の判定を行うための計測、面
状態修正のための研磨、研磨後の洗浄の各作業を行うた
めのステージである。
【0020】図2(a)に示すように、面状態計測部1
bは板部材20より成り、板部材20の上面は高精度の
平滑面に仕上げられた計測面20aとなっている。ボン
ディングツール6の接合作用面6bを計測面20aに押
圧した状態で超音波振動子7を駆動し、このときの超音
波振動子7の駆動状態を示す電気的駆動特性を計測する
ことにより、接合作用面6bの面状態を計測する。
【0021】研磨部1cは、図2(b)に示すように、
保持部材21の上面に平滑な研磨面22aを有する研磨
部材22を装着した構成となっており、接合作用面6b
をこの研磨面22aに対して相対的に押圧・摺動するこ
とにより、接合作用面6bが研磨される。洗浄部1d
は、エタノールなどの洗浄液24を収容する容器23を
備えている。ボンディングツール6の接合作用部6aを
洗浄液24中に浸漬した状態で、超音波振動子7を駆動
してボンディングツール6に超音波振動を付与すること
により、接合作用部6aの超音波洗浄が行われる。容器
23はエア源26からの空気を噴出させるエアブローノ
ズル25を備えており、エアブローノズル25の噴出口
25aから噴出したエアを接合作用部6aに吹き付ける
ことにより、洗浄後の液切り乾燥が行われる。
【0022】再び図1に戻り制御系について説明する。
図1において、テーブル駆動部9、振動子駆動部11お
よび昇降駆動部8は制御部12によって制御される。制
御部12によってテーブル駆動部9を制御することによ
り、基板2をボンディング機構5に対して相対的に位置
決めし、また上述の面状態計測や、研磨、洗浄の各作業
時には、それぞれの作業ステージをボンディング機構5
の下方に位置させる。
【0023】制御部12は振動子駆動部11に対して駆
動指令値を送出し、振動子駆動部11はこの駆動指令値
に基づいた電力で超音波振動子7を駆動する。これによ
り、超音波振動子7は駆動指令値に応じた超音波出力で
ボンディングツール6に対して超音波振動を付与する。
このときの駆動電圧Vおよび駆動電流Iは計測部16に
よって検出され、これらの計測値より接合作用面を計測
面に押圧した状態における超音波振動子7の駆動状態を
示す電気的駆動特性としてのインピーダンスが求められ
る。
【0024】求められたインピーダンス計測結果は制御
部12に送られ、制御部12はこのインピーダンス計測
結果を予め設定され記憶されている判定データと比較す
ることにより、接合作用面6bの面状態の良否を判定す
る。したがって制御部12は、超音波振動子7の駆動状
態を示す電気的駆動特性に基づいて面状態の良否を判定
する面状態判定手段となっている。この判定結果は、後
述するように表示部14の画面に表示される。
【0025】また制御部12は昇降駆動部8に対して荷
重指令値を送出し、昇降駆動部8はこの荷重指令値に応
じた荷重でボンディングツール6を基板2または面状態
計測部1bの計測面や、研磨部1cの研磨面に対して押
圧する。
【0026】制御部12には記憶部13、表示部14、
操作・入力部15が接続されている。記憶部13は、ボ
ンディング動作などの各種動作プログラムや、電子部品
種類毎のボンディング条件などのボンディング実行用デ
ータを記憶するほか、前述の面状態の良否判定に用いら
れる各種データを記憶する。すなわち記憶部13は、計
測部16によって計測されたインピーダンスの計測結果
を記憶するほか、この計測結果に基づいて面状態判定を
行うための判定データを記憶する。
【0027】操作・入力部15は、駆動指令値や荷重指
令値などのボンディング装置の操作入力や記憶部13に
記憶されるデータ入力を行う。表示部14は、操作・入
力部15によるデータ入力時の案内画面の表示や、面状
態測定画面30(図5、図6参照)の表示を行う。面状
態測定画面30には、図5、図6に示すように、インピ
ーダンス計測結果を示すグラフ31およびこの計測結果
に基づく良否判定結果(判定表示枠32参照)が表示さ
れる。表示部14は、接合作用面6bを計測面20aに
押圧した状態における振動付与手段の駆動状態を示すイ
ンピーダンスの計測結果を、面状態測定画面30上で表
示する表示手段となっている。
【0028】ここで面状態測定および良否判定について
説明する。超音波振動子7を駆動してボンディングツー
ル6に超音波振動を印加する場合に、超音波振動子7の
駆動電源のインピーダンスは、ボンディングツール6の
接合作用面6bの拘束状態によって大きく変化する。こ
のとき、基準押圧面として表面が平滑に仕上げられた同
一の計測面に、同一の押圧荷重でボンディングツールを
押しつけたときのインピーダンスは、接合作用面6bと
計測面20aとの接触状態に依存する。
【0029】従って、任意の計測時に得られたインピー
ダンスの計測結果を、接合作用面6bの面状態が良好な
ときに取得された基準データ(判定データ)と比較する
ことにより、面状態の良否を判定することができる。こ
のとき、比較の対象となる判定データとして、計測時に
おけるインピーダンスの時間的変化を示す計測波形から
抽出された時間平均値、変動幅などの判定用パラメータ
を用いる方法や、計測波形そのものと基準波形パターン
との一致度を求める方法など、各種の手法を選択して用
いる。
【0030】ここでは、判定データとしてインピーダン
スの変動範囲の上限しきい値TH(U)、下限しきい値
TH(L)を設定し、インピーダンス計測結果を示すグ
ラフが、上限しきい値TH(U)、下限しきい値TH
(L)の間にあれば、面状態が良好であると判定するよ
うにしている。そして、面状態測定画面30において、
上限しきい値TH(U)、下限しきい値TH(L)をイ
ンピーダンス計測結果を示すグラフに重ね合わせて表示
するようにしている。
【0031】なお上記例では、面状態の良否判定を制御
部12によって自動的に行い、判定結果を表示させる例
を示しているが、インピーダンス計測結果を表示部14
に表示させ、作業者が表示結果を観察して良否を判定す
るようにしてもよい。このとき、上限しきい値TH
(U)、下限しきい値TH(L)などの判定データを同
一画面上に表示するようにすれば、良否判定を容易に行
うことができる。
【0032】この超音波ボンディング装置は上記のよう
に構成されており、以下ボンディング作業フローチャー
トについて図3を参照して説明する。まず、ボンディン
グ作業の開始に際しては、ボンディングツールの面状態
測定が行われる(ST1)。次いでこの測定結果に基づ
いて、面状態の判定を行う(ST2)。ここで、面状態
がNGであると判定されたならば、面状態修正が行われ
る(ST3)。この後、再び(ST1)、(ST2)を
経て再び面状態判定を行い、ここでOKならば次工程に
移行しボンディング動作を実行する(ST4)。
【0033】そして予め設定された生産枚数のボンディ
ングが完了したか否かを判定し(ST5)、設定枚数完
了ならば(ST1)に戻って面状態測定を行う。なお
(ST5)において、判定基準に生産枚数を用いる代わ
りに、ボンディング装置の稼動時間を用いてもよい。す
なわち、ボンディング装置の正味稼動時間を計時し、稼
動累積時間が設定時間を経過するたびに、面状態測定を
行うようにしてもよい。
【0034】ここで、(ST1)、(ST2)において
行われる面状態の測定および判定について説明する。こ
こではまずボンディングツール6の下方に面状態計測部
1bを移動させ、ボンディングツール6を下降させて接
合作用面6bを計測面20aに所定荷重で押圧する。そ
してこの状態で超音波振動子7を駆動し、計測部16で
超音波振動子7の駆動時のインピーダンスを検出する。
そしてこのインピーダンス検出結果に基づき、制御部1
2によって面状態の判定が行われる。
【0035】この判定について、図5、図6を参照して
説明する。図5は、面状態が良好な場合を示している。
すなわち、図5(a)、(b)に示すように、接合作用
部6aの下面の接合作用面6bには付着物がなく平滑な
状態が保たれている。接合作用面6bの中央の開口は、
真空吸着のための吸着孔6cである。
【0036】接合作用面6bがこのような良好な状態に
おけるインピーダンス計測結果は、図5(c)に示す面
状態測定画面30に現れているグラフ31のように、イ
ンピーダンス値Zが安定しており時間的な変動が少な
く、しかも上限しきい値TH(U)と下限しきい値TH
(L)の間の許容範囲内にある。計測波形がこの範囲内
にある場合には、面状態は合格(OK)と判定され、判
定表示枠32にその旨表示される。
【0037】これに対し、図6は、面状態が不良の場合
を示している。すなわち、図6(a)、(b)に示すよ
うに、接合作用部6aの下面の接合作用面6bには電子
部品3から剥離した微細な異物が付着して部分的に堆積
した堆積層27が存在している。接合作用面6bがこの
ような良好な状態でのインピーダンス計測結果は、図6
(c)に示す面状態測定画面30に現れているグラフ3
1のように、接合作用面6bと計測面との接触状態が不
安定でしかも振動が阻害されることから、インピーダン
ス値Zは図5に示す状態と比較して高く、しかも時間的
に大きく変動している。このため、計測波形は上限しき
い値TH(U)と下限しきい値TH(L)の範囲から外
れており、面状態は不合格(NG)と判定され、判定表
示枠32にその旨表示される。
【0038】次に、(ST3)に示す面状態修正工程に
ついて、図4を参照して説明する。(ST2)にて面状
態不良と判定されたならば、まず研磨部1cをボンディ
ングツール6の下方に移動させ、ボンディングツール6
を研磨部材22に対して下降させて図4(a)に示すよ
うに接合作用面6bを研磨部材22の研磨面22aに対
して押圧する。
【0039】そして超音波振動子7を駆動して接合作用
部6aに超音波振動を印加することにより、接合作用面
6bを研磨する。または、移動テーブル1を駆動して研
磨部材22を接合作用面6bに対して水平方向に往復動
させ、接合作用面6bを研磨面22aに対して摺動させ
ることにより接合作用面の研磨を行う(研磨工程)。こ
れにより、接合作用面6bが研磨され、付着した堆積層
が除去されるとともに、表面が平滑化される。なお、超
音波振動の印加と研磨部材22の研磨面22aに対する
摺動を併用して行うと、研磨をより迅速に行うことがで
きる。
【0040】次いで、研磨後の接合作用面6bに付着し
た研磨くずなどの異物除去のための洗浄が行われる。図
4(b)に示すように、洗浄部1dをボンディングツー
ル6の下方に移動させ、ボンディングツール6を容器2
3に対して下降させて、図4(b)に示すように接合作
用部6aの下部を容器23内の洗浄液24内に浸漬す
る。そして超音波振動子7を駆動することにより、接合
作用部6aが洗浄液24内で超音波振動する。これによ
り、接合作用面6bは超音波洗浄され、研磨くずなどの
微細な異物が除去される。
【0041】洗浄後には、液切り・乾燥が行われる。図
4(c)に示すように、洗浄後のボンディングツール6
を容器23の液面から上昇させ、接合作用部6aをエア
ブローノズル25の先端付近に位置させる。そして超音
波振動子7を駆動した状態で、エアブローノズル25か
らエアを噴出させる。またこれとともに接合作用部6a
に設けられた吸着孔6c(図5参照)からエアブローす
る。これにより、接合作用部6aや、吸着孔6c内部に
付着した洗浄液24の液滴は、振動とエアブローにより
吹き飛ばされて除去される。
【0042】なお、上記面状態修正工程において、図4
(c)に示す液切り・乾燥を、基板保持部1aに備えら
れたヒータからの輻射熱によって行うようにしてもよ
い。また図4(a)に示す研磨後の接合作用部6aの異
物付着状態によっては、洗浄液による超音波洗浄を行わ
ず、エアブローや真空吸引によって異物を除去するよう
にしてもよい。
【0043】そして上記研磨による面状態修正の後、前
述のように再び(ST1)、(ST2)の面状態測定お
よび良否判定が実行され、この判定結果がNGならば、
研磨工程が反復実行される。
【0044】なお上記実施の形態では、面状態判定のた
めの計測と、面状態修正のための研磨とをそれぞれ専用
ステージで行う例を示しているが、研磨と計測とを研磨
部1cによって同時に行うようにしてもよい。すなわち
この場合には、研磨部1cによって接合作用面6bの研
磨を実行する過程において、計測部16によって超音波
振動子7の駆動電源のインピーダンスの計測を連続して
行い、計測結果の変化に注目する。
【0045】図7は、この場合の面状態測定画面30を
示している。TH(U)、TH(L)は、図5、図6と
同様に面状態判定のために設定された上限しきい値、下
限しきい値である。図7のグラフ31に示すように、研
磨開始当初は、図6に示す例と同様にインピーダンス値
Zは安定せず、TH(U)、TH(L)の範囲から外れ
て変動を示す(時間範囲(a))。この状態では判定表
示枠32には、NG表示がなされる。
【0046】この後研磨時間が経過して面状態が改善さ
れるとともにインピーダンス値Zが次第に低下するよう
になる(時間範囲(b))。そしてさらに研磨時間が経
過すると、インピーダンス値ZはTH(U)、TH
(L)の範囲内で安定し、図5に示す例とほぼ同様の状
態となったならば、判定表示枠32がOK表示に切り換
わる。
【0047】すなわちこの例では、接合作用面6bを研
磨する研磨部1cの研磨面22aが、計測面を兼ねてお
り、接合作用面6bをこの研磨面22aに対して相対的
に押圧し摺動させることにより接合作用面6bを研磨す
る研磨過程において、面状態の良否の判定を行うように
なっている。このような方法を採用することにより、研
磨と計測を反復する必要がなく、短時間で面状態の修正
を行うことが可能となる。
【0048】なおこの場合においても、良否判定を自動
的に行わずに、作業者がインピーダンス計測結果を示す
グラフを目視で観察してインピーダンスが安定状態とな
ったことを確認することにより、ボンディングツール6
の接合作用面の面状態が良好である判定するようにして
もよい。
【0049】上記説明したように、本実施の形態に示す
超音波ボンディング装置では、ボンディングツールの面
状態の劣化を簡便な方法で検出することができるととも
に、面状態の劣化が進行して面状態修正のための研磨を
行う際に、ボンディングツールを装置から取り外す手間
を必要としない。また修正後の面状態の確認を容易に反
復して行えることから、常に過不足のない研磨を行って
適性品質の修正を適正頻度で効率よく行うことができ
る。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、ボンディングツールの
接合作用面を計測面に押圧した状態で振動付与手段を駆
動し、この振動付与手段の駆動状態を示す電気的駆動特
性に基づいて接合作用面の面状態の良否を判定するよう
にしたので、ボンディングツールを取り外すことなく面
状態の確認が可能となり、接合作用部の面状態の修正を
適正に効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の超音波ボンディング装
置の構成を示すブロック図
【図2】(a)本発明の一実施の形態の超音波ボンディ
ング装置の面状態計測部の断面図 (b)本発明の一実施の形態の超音波ボンディング装置
の研磨部の断面図 (c)本発明の一実施の形態の超音波ボンディング装置
の洗浄部の断面図
【図3】本発明の一実施の形態の超音波ボンディング装
置によるボンディング作業のフローチャート
【図4】本発明の一実施の形態の超音波ボンディング装
置による面状態修正作業の説明図
【図5】本発明の一実施の形態の超音波ボンディング装
置による面状態良否判定の説明図
【図6】本発明の一実施の形態の超音波ボンディング装
置による面状態良否判定の説明図
【図7】本発明の一実施の形態の超音波ボンディング装
置による面状態良否判定の説明図
【符号の説明】
1 移動テーブル 1a 基板保持部 1b 面状態計測部 1c 研磨部 1d 洗浄部 2 基板 3 電子部品 5 ボンディング機構 6 ボンディングツール 6a 接合作用部 6b 接合作用面 7 超音波振動子 11 振動子駆動部 12 制御部 14 表示部 16 計測部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ボンディングツールによって電子部品をワ
    ークに押圧して超音波振動を印加することによりこの電
    子部品をボンディングする超音波ボンディング装置であ
    って、前記ワークを保持するワーク保持部と、前記電子
    部品に当接して超音波振動を伝達する接合作用面を有す
    るボンディングツールと、電気的に駆動されて前記ボン
    ディングツールに超音波振動を付与する振動付与手段
    と、ボンディングツールを押圧対象面に対して押圧する
    押圧手段と、前記接合作用面を計測面に押圧した状態に
    おける前記振動付与手段の駆動状態を示す電気的駆動特
    性の計測結果に基づいて接合作用面の面状態の良否を判
    定する面状態判定手段とを備えたことを特徴とする超音
    波ボンディング装置。
  2. 【請求項2】ボンディングツールによって電子部品をワ
    ークに押圧して超音波振動を印加することによりこの電
    子部品をボンディングする超音波ボンディング装置であ
    って、前記ワークを保持するワーク保持部と、前記電子
    部品に当接して超音波振動を伝達する接合作用面を有す
    るボンディングツールと、電気的に駆動されて前記ボン
    ディングツールに超音波振動を付与する振動付与手段
    と、ボンディングツールを押圧対象面に対して押圧する
    押圧手段と、前記接合作用面を計測面に押圧した状態に
    おける前記振動付与手段の駆動状態を示す電気的駆動特
    性の計測結果を表示する表示手段とを備えたことを特徴
    とする超音波ボンディング装置。
  3. 【請求項3】前記計測面は、前記接合作用面を研磨する
    研磨部の研磨面であることを特徴とする請求項1または
    2記載の超音波ボンディング装置。
  4. 【請求項4】ボンディングツールの接合作用面を電子部
    品に当接させてこの電子部品をワークに押圧するととも
    に、電気的に駆動される振動付与手段によって前記ボン
    ディングツールに超音波振動を付与することによりこの
    電子部品をボンディングする超音波ボンディング方法で
    あって、前記接合作用面を計測面に押圧した状態で前記
    振動付与手段を駆動し、この振動付与手段の駆動状態を
    示す電気的駆動特性の計測結果に基づいて前記接合作用
    面の面状態の良否を判定することを特徴とする超音波ボ
    ンディング方法。
  5. 【請求項5】前記接合作用面を研磨部の研磨面に対して
    相対的に押圧し摺動させることにより接合作用面を研磨
    する研磨工程の後に前記面状態の良否を判定し、この判
    定結果に基づいて前記研磨工程を反復実行することを特
    徴とする請求項4記載の超音波ボンディング方法。
  6. 【請求項6】前記計測面は、前記接合作用面を研磨する
    研磨部の研磨面であり、接合作用面をこの研磨面に対し
    て相対的に押圧し摺動させることにより接合作用面を研
    磨する研磨過程において、前記面状態の良否の判定を行
    うことを特徴とする請求項4記載の超音波ボンディング
    方法。
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