JP2003195084A - 微細周期構造体の製造方法 - Google Patents

微細周期構造体の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周期構造に意図しない欠陥を生じさせること
なく、製造コストの低減および作業時間の短縮を図る。 【解決手段】 所定の配列ピッチで複数の柱状体がベー
ス部に立設された微細周期構造体を製造する製造方法で
あって、複数の柱状体を成型するための複数の貫通孔1
1b,11b・・が所定の配列ピッチで形成されたモー
ルド本体11と、貫通孔11b,11b・・閉塞する底
板12とを微細周期構造体成型用の溶液R中に沈め、貫
通孔11b,11b・・に溶液Rを含浸させた後に溶液
R中においてモールド本体11の一面に底板12を密着
させることにより底板12によって貫通孔11b,11
b・・を閉塞し、その状態のモールド本体11および底
板12を溶液Rの外に取り出して貫通孔11b,11b
・・内の溶液Rを硬化させ、モールド本体11から底板
12を剥離すると共にモールド本体11を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の配列ピッチ
で複数の柱状体がベース部に立設された微細周期構造
体、および所定の配列ピッチで複数の貫通孔が形成され
た微細周期構造体を製造する微細周期構造体の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の微細周期構造体の製造方法とし
て、特開2001−91777号公報に開示されている
フォトニック結晶の製造方法が知られている。この場
合、フォトニック結晶は、微細周期構造体の一例であっ
て、互いに屈折率が異なる2種類の光学材料(一方が空
気である場合を含む)を光の波長オーダーで周期的に配
列されて構成されている。この製造方法では、まず、口
径が数十μm程度の有底円筒形の孔(1)を所定の配列
ピッチで金属板に複数形成することにより、キャスティ
ング用の鋳型(2)を製作する。次に、この鋳型(2)
を容器(3)内に収容した後に、鋳型(2)に形成され
ている複数の孔(1)に液状高分子(4、フォトニック
結晶成型用の溶剤)を流し込む。次いで、液状高分子
(4)が硬化した後に、その硬化物から鋳型(2)およ
び容器(3)を取り去る。これにより、フォトニック結
晶(5)が完成する。また、同公報には、上記した孔
(1)に代えて、無底円筒形の孔(6)を複数形成した
鋳型(7)を用いた製造方法も開示されている。この製
造方法では、鋳型(7)を容器(8)内に収容すること
により、容器(8)の底板によって鋳型(7)の孔
(6)を閉塞し、この状態で、孔(6)に液状高分子
(4)を流し込む。次に、液状高分子(4)が硬化した
後に、その硬化物から鋳型(7)および容器(8)を取
り去る。これにより、フォトニック結晶(5)が完成す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のフォ
トニック結晶の製造方法には、以下の問題点がある。す
なわち、従来のフォトニック結晶の製造方法では、有底
円筒状の孔(1)が形成された鋳型(2)、または容器
(3)の底板によって閉塞される無底円筒状の孔(6)
が形成された鋳型(7)に液状高分子(4)を流し込む
ことにより、フォトニック結晶(5)を製造している。
この場合、両鋳型(2,7)に形成されている孔(1,
6)は、例えば、その口径が48μmでその深さが50
0μm程度と非常に小さく形成されている。したがっ
て、この孔(1,6)内に液状高分子(4)を流し込ん
だ際に、孔(1,6)から空気が抜けずに、気泡となっ
て孔(1,6)内に残留する。かかる状態で液状高分子
(4)を硬化させた場合には、その光学的特性を著しく
低下させる要因となる意図しない欠陥(一例として柱状
体の欠落)がフォトニック結晶(5)の結晶構造内に生
じるという問題点がある。この場合、同公報には、孔
(1,6)内への気泡の残留を防止するために、容器と
鋳型とを真空装置内に配設して真空引きした状態で液状
高分子を流し込む方法も開示されている。しかし、この
製造方法には、高価な真空装置を使用することに起因し
てフォトニック結晶の製造コストが高騰するという問題
点がある。また、液状高分子を流し込む都度、真空装置
内を真空状態にしなくてはならないため、フォトニック
結晶の製造に長時間を要するという問題点もある。
【0004】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされた
ものであり、周期構造に意図しない欠陥を生じさせるこ
となく、製造コストの低減および作業時間の短縮を図り
得る微細周期構造体の製造方法を提供することを主目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく請
求項1記載の微細周期構造体の製造方法は、所定の配列
ピッチで複数の柱状体がベース部に立設された微細周期
構造体を製造する微細周期構造体の製造方法であって、
前記複数の柱状体を成型するための複数の貫通孔が前記
所定の配列ピッチで形成された型本体と、当該型本体に
おける前記複数の貫通孔を閉塞する底板とを微細周期構
造体成型用の溶液中に沈め、前記型本体における前記複
数の貫通孔に前記溶液を含浸させた後に当該溶液中にお
いて当該型本体の一面に前記底板を密着させることによ
り当該底板によって当該複数の貫通孔を閉塞し、その状
態の当該型本体および当該底板を前記溶液の外に取り出
して前記貫通孔内の溶液を硬化させ、前記型本体から前
記底板を剥離すると共に当該型本体を除去することによ
り前記微細周期構造体を製造する。
【0006】請求項2記載の微細周期構造体の製造方法
は、請求項1記載の微細周期構造体の製造方法におい
て、前記溶液の外に取り出した前記型本体の上面に平板
状の基板を密着させ、その状態の前記型本体、前記底板
および前記基板を反転させた後に前記貫通孔内の溶液を
硬化させる。
【0007】請求項3記載の微細周期構造体の製造方法
は、所定の配列ピッチで複数の貫通孔が形成された微細
周期構造体を製造する微細周期構造体の製造方法であっ
て、前記複数の貫通孔を成型するための複数の柱状体が
底面開口の容器体における天板の下面に前記所定の配列
ピッチで立設されると共に複数の連通孔が当該天板に形
成された型本体と、当該型本体における前記柱状体の下
端部に当接可能に形成されると共に当該型本体における
底面開口部位を閉塞する底板とを微細周期構造体成型用
の溶液中に沈め、前記型本体における前記複数の柱状体
の間隙に前記溶液を含浸させた後に当該溶液中において
当該型本体の一面に前記底板を密着させることにより当
該底板によって前記底面開口部位を閉塞し、その状態の
当該型本体および当該底板を前記溶液の外に取り出して
前記容器体内の溶液を硬化させ、前記型本体から前記底
板を剥離すると共に当該型本体を除去することにより前
記微細周期構造体を製造する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に係る微細周期構造体の製造方法の好適な実施の形態
について説明する。
【0009】最初に、本発明に係る微細周期構造体の製
造方法に従って製造されたフォトニック結晶1につい
て、図面を参照して説明する。
【0010】フォトニック結晶1は、本発明における微
細周期構造体の一例であって、光合分波器、波長多重合
分波器および分光器(回折格子)などの光回路部品に用
いられる超小型光回路としての使用を初めとして、フォ
トルミネッセンスやレーザービーム用の発光素子または
受光素子、各種センサ(ガス、歪み、温度、電圧および
電流などの検出素子)、並びにミリ波およびマイクロ波
用のシールド材やアンテナとして使用される。このフォ
トニック結晶1は、図1に示すように、基板13の上に
形成された平板状のベース部2と、ベース部2の上に所
定の配列ピッチで立設された複数の柱状部3,3・・と
が一体成型して構成されている。この場合、基板13
は、フォトニック結晶1の製作時には、フォトニック結
晶1(ベース部2および柱状部3,3・・)を成型する
際の支持体として機能すると共に、フォトニック結晶1
が完成した状態では、ベース部2と相俟ってフォトニッ
ク結晶1の基部としても機能する。
【0011】また、このフォトニック結晶1は、後述す
るように、有機系材料溶液、無機系材料溶液および有機
無機複合材料溶液などのフォトニック結晶材料溶液(以
下、「溶液」ともいう)R(図3参照)を硬化させるこ
とによって形成され、フォトニック結晶1に求められる
光学的特性に応じて、溶液Rとして使用する材料や、柱
状部3の形状、直径、高さ、配列パターンおよび立設本
数などが適宜規定されて製造される。なお、本発明の実
施の形態では、一例として、柱状部3の直径を50μ
m、高さを500μm、形状を円柱状として規定すると
共に、隣合う柱状部3,3の間隔を50μmとしてフォ
トニック結晶1を製造する。また、図1〜図6では、本
発明についての理解を容易とするために、16本の柱状
部3,3・・をベース部2に立設した状態を図示してい
るが、実際には、無数の柱状部3,3・・がベース部2
に立設されている。また、後述する製造方法において使
用するモールド10(図2参照)についても、実際に
は、無数の柱状部3,3・・を形成可能に構成されてい
る。
【0012】次に、上記したフォトニック結晶1の製造
方法を例に挙げて本発明に係る微細周期構造体の製造方
法について、図面を参照して説明する。
【0013】まず、図2に示すように、フォトニック結
晶1を成型するためのモールド10を製作する。このモ
ールド10は、本発明における型本体に相当するモール
ド本体11と、モールド本体11の下面(一面)に面的
接触可能に形成された平板状の底板12とを備えてい
る。この場合、モールド本体11および底板12は、S
iO、Si、SiC、金属、金属酸化物などの無機系
材料や、無機系材料と有機系材料とを複合化したナノコ
ンポジット材料(ナノメートルサイズの複合材料)で形
成されている。また、モールド本体11には、フォトニ
ック結晶1のベース部2を成型するための凹部11aが
上面に形成されると共に、柱状部3,3・・を成型する
ための複数の貫通孔11b,11b・・が凹部11aの
底部からモールド本体11の下面にかけて連通形成され
ている。この場合、貫通孔11b,11b・・は、上記
した材料に対してレーザービーム描画装置、電子線描画
装置および反応性イオンエッチング装置などの微細構造
加工装置を用いて複数の孔を所定の配列ピッチで形成し
た後に、ウェットエッチングやドライエッチングによっ
て高精度に加工することにより、その直径が50μm、
長さが500μmの円筒状で、かつ隣合う貫通孔11
b,11bの間隔が50μmとなるように形成される。
また、モールド本体11は、その下面(図2において下
側の面)が平坦に形成される。一方、底板12は、モー
ルド本体11の下面(一面)に面的に接触して各貫通孔
11b,11b・・を閉塞可能に平坦面に形成される。
【0014】次に、図3に示すように、まず、溶液Rの
中に底板12、モールド本体11の順にモールド10を
沈め、モールド本体11の貫通孔11b,11b・・に
溶液Rを含浸させる。この際に、モールド本体11の貫
通孔11b,11b・・が凹部11aの底部からモール
ド本体11の下面にかけて連通形成されているため、貫
通孔11b,11b・・内の空気がスムーズに排出され
る。したがって、貫通孔11b,11b内に溶液Rが確
実に含浸する。次いで、溶液R中においてモールド本体
11の下面に底板12を密着させることにより、底板1
2によって貫通孔11b,11b・・の各一端部を閉塞
する。次に、図4に示すように、底板12を密着させた
状態でモールド本体11を溶液Rの外に取り出した後、
モールド本体11の上面に基板13を密着させる。これ
により、基板13によってモールド本体11における凹
部11aの上方開口部位が閉塞される。
【0015】次いで、図5に示すように、その状態のモ
ールド本体11、底板12および基板13を反転させた
後、溶液Rを硬化させる。この際には、溶液Rとして用
いた材料の特性に応じて、モールド10の外部から溶液
Rに光や熱を加えたり、溶液Rを加水分解(いわゆる、
ゾル−ゲル法)させたりすることで溶液Rを硬化(架
橋)させる。この場合、モールド本体11、底板12お
よび基板13を反転させた状態で溶液Rを硬化させるこ
とにより、溶液Rが自重によって基板13に密着した状
態で硬化するため、完成状態におけるフォトニック結晶
1のベース部2と基板13とが確実に固着する。次に、
溶液Rが硬化した後、図6に示すように、モールド本体
11から底板12を剥離し、次いで、硬化した溶液Rか
らモールド本体11を取り外す。これにより、硬化した
溶液Rとモールド10とが分離させられて基板13上に
ベース部2が形成され、かつベース部2上に柱状部3,
3・・が立設されてフォトニック結晶1が構成される。
なお、底板12を剥離した後に、硬化した溶液Rと一体
のモールド本体11、および基板13を剥離液に浸すこ
とにより、モールド本体11のみを溶融して除去するこ
ともできる。
【0016】このように、このフォトニック結晶の製造
方法によれば、複数の貫通孔11b,11b・・が形成
されたモールド本体11と、底板12とを溶液Rの中に
沈めて貫通孔11b,11b・・に溶液Rを含浸させた
後に、溶液Rの中でモールド本体11の下面に底板12
を密着させて貫通孔11b,11b・・を閉塞すること
により、従来の製造方法とは異なり、貫通孔11b,1
1b・・内の空気をスムーズに排出させつつ溶液Rを確
実に含浸させることができる。このため、高価な真空装
置を用いた真空引きを行うことなく貫通孔11b,11
・・から空気を確実に排出することができる結果、フォ
トニック結晶の結晶構造に意図しない欠陥(柱状体3の
欠落等)を生じさせることなく、設計通りの理想的な光
学的特性を有するフォトニック結晶1を安価かつ短時間
で製造することができる。また、溶液Rが未硬化の状態
において、モールド本体11、底板12および基板13
を反転させることにより、フォトニック結晶1のベース
部2と基板13とを確実に固着させることができる。
【0017】なお、本発明は、上記した本発明の実施の
形態に示した構成に限定されない。例えば、本発明の実
施の形態では、同形状の柱状部3,3・・を50μmピ
ッチで等間隔に多数立設したフォトニック結晶1を製造
する製造方法を説明したが、図7に示すように、柱状部
3,3・・のピッチ等が互いに異なるクラッド部31a
とコア部(導波部)31bとを有する光合分波器31の
製造方法にも適用が可能である。この光合分波器31で
は、クラッド部31aが特定波長の光を反射し、コア部
31bがその特定波長の光を所定方向に導波するための
導波部として機能する。このため、クラッド部31aに
おける柱状部3,3・・の立設位置や形状等の周期的構
造と、コア部31bにおける柱状部3,3・・の立設位
置や形状等の周期的構造とを互いに変えて製造する必要
がある。したがって、本発明に係るフォトニック結晶1
の製造方法を適用する際には、クラッド部31aに対応
する部分と、コア部31bに対応する部分とで、モール
ド本体11における貫通孔11b,11b・・の形成ピ
ッチ等を適宜変更することで、柱状部3,3・・の周期
的構造を変更することができる。なお、同図では、柱状
部3,3・・の個々の図示を省略している。さらに、本
発明の実施の形態では、溶液Rからモールド本体11お
よび底板12を取り出した後にモールド本体11の上面
に基板13を密着させた例を説明したが、本発明はこれ
に限定されず、溶液Rの中で底板12および基板13の
双方をモールド本体11に密着させてもよい。さらに、
本発明の実施の形態に例示した柱状部3の大きさ、形お
よび立設ピッチ等については、特に限定されず、フォト
ニック結晶1に求められる光学的特性に応じて適宜変更
することができる。
【0018】また、本発明に係る微細周期構造の製造方
法では、例えば、図8に示すモールド60を用いて図9
に示すフォトニック結晶51が製造される。この場合、
フォトニック結晶51は、上記したフォトニック結晶1
における柱状部3,3・・に代えて複数の貫通孔53,
53・・が所定の配列ピッチで形成された微細周期構造
体であって、前述したフォトニック結晶1と同様にし
て、各種の超小型光回路、発光素子、受光素子、各種セ
ンサ、シールド材およびアンテナなどとして使用され
る。一方、フォトニック結晶51を成型するためのモー
ルドは、図8に示すように、本発明における型本体に相
当するモールド本体61と、底板12とを備えている。
この場合、モールド本体61は、底面開口の容器体にお
ける天板62に、フォトニック結晶の貫通孔53,53
・・を形成するための複数の柱状部63,63・・が立
設されると共に、柱状部63,63・・間の空気を天板
62の上方に排出するための複数の空気孔(本発明にお
ける連通孔)62a,62a・・が天板62に形成され
て構成されている。
【0019】このモールド60を用いてフォトニック結
晶を製造する際には、まず、溶液Rの中に底板12、モ
ールド本体61の順にモールド60を沈め、モールド本
体61における柱状部63,63・・の間隙に溶液Rを
含浸させる。この際に、モールド本体61の空気孔62
a,62aから柱状部63,63・・間の空気がスムー
ズに排出される。したがって、柱状部63,63・・の
間隙に溶液Rが確実に含浸する。次に、溶液R中におい
てモールド本体61の下面に底板12を密着させること
により、この底板12によってモールド本体61の底面
開口部位を閉塞する。この際には、柱状部63,63・
・の下端部に底板12が当接させられる。次いで、底板
12を密着させた状態でモールド本体61を溶液Rの外
に取り出した後、モールド60内の溶液Rを硬化(架
橋)させる。続いて、溶液Rが硬化した後にモールド本
体61から底板12を剥離し、次いで、硬化した溶液R
からモールド本体61を取り外す。これにより、硬化し
た溶液Rとモールド60とが分離させられ、複数の貫通
孔53,53・・が形成されたフォトニック結晶51が
成型される。このように、このモールド60を用いたフ
ォトニック結晶51の製造方法によれば、上記したフォ
トニック結晶1の製造方法と同様にして、柱状部63,
63・・間の空気をスムーズに排出させつつ溶液Rを確
実に含浸させることができるため、フォトニック結晶5
1の結晶構造に意図しない欠陥を生じさせることなく、
設計通りの理想的な光学的特性を有するフォトニック結
晶51を安価かつ短時間で製造することができる。
【0020】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の微細周期
構造の製造方法によれば、複数の柱状体を成型するため
の複数の貫通孔が所定の配列ピッチで形成された型本体
と、複数の貫通孔を閉塞する底板とを微細周期構造成型
用の溶液中に沈め、複数の貫通孔に溶液を含浸させた後
に溶液中において型本体の一面に底板を密着させて底板
で複数の貫通孔を閉塞し、その状態の型本体および底板
を溶液の外に取り出して貫通孔内の溶液を硬化させるこ
とによって微細周期構造を製造することにより、高価な
真空装置などを使用することなく貫通孔内の空気をスム
ーズに排出させつつ溶液を確実に含浸させることができ
るため、設計通りの理想的な周期構造を有する微細周期
構造体を安価かつ短時間で製造することができる。この
場合、この微細周期構造体の製造方法に従ってフォトニ
ック結晶を製造することにより、理想的な光学的特性を
有するフォトニック結晶を安価かつ短時間で製造するこ
とができる。
【0021】また、請求項2記載の微細周期構造体の製
造方法によれば、溶液の外に取り出した型本体の上面に
平板状の基板を密着させ、その状態の型本体、底板およ
び基板を反転させた後に貫通孔内の溶液を硬化させるこ
とにより、微細周期構造体(硬化した溶液)と基板とを
確実に固着させることができる。
【0022】さらに、請求項3記載の微細周期構造の製
造方法によれば、複数の貫通孔を成型するための複数の
柱状体が底面開口の容器体における天板の下面に所定の
配列ピッチで立設されると共に複数の連通孔が天板に形
成された型本体と、型本体における柱状体の下端部に当
接可能に形成されると共に型本体における底面開口部位
を閉塞する底板とを微細周期構造体成型用の溶液中に沈
め、複数の柱状体の間隙に溶液を含浸させた後に溶液中
において型本体の一面に底板を密着させて底板で底面開
口部位を閉塞し、その状態の型本体および底板を溶液の
外に取り出して容器体内の溶液を硬化させることによっ
て微細周期構造体を製造することにより、請求項1記載
の微細周期構造体の製造方法と同様にして、高価な真空
装置などを使用することなく柱状体の間の空気をスムー
ズに排出させつつ溶液を確実に含浸させることができる
ため、設計通りの理想的な周期構造を有する微細周期構
造体を安価かつ短時間で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るフォトニック結晶
(微細周期構造体)の製造方法に従って製造されたフォ
トニック結晶1の外観斜視図である。
【図2】フォトニック結晶1を製造するためのモールド
10の外観斜視図である。
【図3】フォトニック結晶1の製造工程において、溶液
Rの中にモールド10を沈めた状態の側面断面図であ
る。
【図4】フォトニック結晶1の製造工程において、溶液
Rからモールド10を取り出した状態の側面断面図であ
る。
【図5】溶液Rから取り出した基板13を密着させたモ
ールド10を基板13と共に反転させた状態の側面断面
図である。
【図6】硬化した溶液R(フォトニック結晶1)からモ
ールド10を取り外した状態の側面断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係るフォトニック結
晶(微細周期構造体)の製造方法に従って製造されたフ
ォトニック結晶31の外観斜視図である。
【図8】フォトニック結晶51を製造するためのモール
ド60の外観斜視図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係るフォトニック結
晶(微細周期構造体)の製造方法に従って製造されたフ
ォトニック結晶51の外観斜視図である。
【符号の説明】
1,31,51 フォトニック結晶 2 ベース部 3 柱状部 10,60 モールド 11,61 モールド本体 11a 凹部 11b 貫通孔 12 底板 13 基板 31a 導波部 53 貫通孔 62 天板 62a 空気孔 63 柱状部 R 溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29L 31:00 G02B 6/12 Z N (72)発明者 谷口 彬雄 長野県上田市中央3−14−2−602 (72)発明者 小山 和也 長野県上田市国分1798−3 Fターム(参考) 2H047 KA03 LA18 PA26 QA01 2H049 AA31 AA44 AA58 AA59 AA62 4F204 AA36 AA44 AD04 AD05 AG03 AG28 AH73 AM32 EA03 EA04 EB01 EB11 EF01 EF23 EK13 EK17 EK18 EK19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の配列ピッチで複数の柱状体がベー
    ス部に立設された微細周期構造体を製造する微細周期構
    造体の製造方法であって、 前記複数の柱状体を成型するための複数の貫通孔が前記
    所定の配列ピッチで形成された型本体と、当該型本体に
    おける前記複数の貫通孔を閉塞する底板とを微細周期構
    造体成型用の溶液中に沈め、前記型本体における前記複
    数の貫通孔に前記溶液を含浸させた後に当該溶液中にお
    いて当該型本体の一面に前記底板を密着させることによ
    り当該底板によって当該複数の貫通孔を閉塞し、その状
    態の当該型本体および当該底板を前記溶液の外に取り出
    して前記貫通孔内の溶液を硬化させ、前記型本体から前
    記底板を剥離すると共に当該型本体を除去することによ
    り前記微細周期構造体を製造する微細周期構造体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記溶液の外に取り出した前記型本体の
    上面に平板状の基板を密着させ、その状態の前記型本
    体、前記底板および前記基板を反転させた後に前記貫通
    孔内の溶液を硬化させる請求項1記載の微細周期構造体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 所定の配列ピッチで複数の貫通孔が形成
    された微細周期構造体を製造する微細周期構造体の製造
    方法であって、 前記複数の貫通孔を成型するための複数の柱状体が底面
    開口の容器体における天板の下面に前記所定の配列ピッ
    チで立設されると共に複数の連通孔が当該天板に形成さ
    れた型本体と、当該型本体における前記柱状体の下端部
    に当接可能に形成されると共に当該型本体における底面
    開口部位を閉塞する底板とを微細周期構造体成型用の溶
    液中に沈め、前記型本体における前記複数の柱状体の間
    隙に前記溶液を含浸させた後に当該溶液中において当該
    型本体の一面に前記底板を密着させることにより当該底
    板によって前記底面開口部位を閉塞し、その状態の当該
    型本体および当該底板を前記溶液の外に取り出して前記
    容器体内の溶液を硬化させ、前記型本体から前記底板を
    剥離すると共に当該型本体を除去することにより前記微
    細周期構造体を製造する微細周期構造体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020522021A (ja) * 2017-06-02 2020-07-27 ディスペリックス オーイー 回折格子の製造方法

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