JP2003195023A - プラスチック透過型回折格子及びその製造方法 - Google Patents

プラスチック透過型回折格子及びその製造方法

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JP2003195023A
JP2003195023A JP2002113478A JP2002113478A JP2003195023A JP 2003195023 A JP2003195023 A JP 2003195023A JP 2002113478 A JP2002113478 A JP 2002113478A JP 2002113478 A JP2002113478 A JP 2002113478A JP 2003195023 A JP2003195023 A JP 2003195023A
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refractive index
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plastic
irradiation
diffraction grating
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Application number
JP2002113478A
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English (en)
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Shigeru Katayama
茂 片山
Mika Horiike
美華 堀池
Yutaka Moroishi
裕 諸石
Masakatsu Urairi
正勝 浦入
Kazuyuki Hirao
一之 平尾
Naoto Tsutsumi
直人 堤
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い回折効率を有しているとともに、容易に
製造することができるプラスチック透過型回折格子及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】 プラスチック透過型回折格子は、プラス
チック構造体の内部に、屈折率が変化した複数の屈折率
変化部を有するプラスチック透過型回折格子であって、
複数の屈折率変化部が互いに平行である、または、隣接
する屈折率変化部の間隔が一方の側から他方の側にかけ
て変化していることを特徴とする。前記屈折率変化部
は、パルス幅が10-12秒以下のレーザーをプラスチッ
ク構造体に照射することにより形成されていてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザーの照射に
よりプラスチック構造体の内部の屈折率が部分的に変化
されてなる格子を有するプラスチック透過型回折格子、
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチック構造体(部品)の表
面や内部を高機能化する要求が高まってきている。この
ような高機能化の要求に対して、プラスチック構造体自
身をポリマーアロイ化又は複合化する材料面での技術対
応と、要求に合わせて機能部位を組み込んだり、構造の
制御を行ったりする加工面での技術対応との2つの面で
の取り組みが行われている。例えば、プラスチック構造
体の表面の高機能化・高性能化では、表面の化学的、電
気的、光学的、物理的等の特性改良・改質を目的に、材
料、加工両面から色々と技術的な取り組みがなされてい
る。また、プラスチック構造体の内部(バルク)の高機
能化・高性能化では、電気や光の伝導性、光の透過性又
は遮断性、水分やガスの透過性又は遮断性、熱・光・応
力等の外部刺激に対する応答性又は記憶性などの様々な
特性の要求に対応して、材料・加工面の両面から種々の
技術的な取り組みがなされている。具体的には、プラス
チック構造体の内部に、元のプラスチック内部の構造と
異なった構造部位を形成する方法(技術)として、熱を
加えることにより相分離(組成変化)、再結晶化(密度
や結晶化度の変化)や熱反応を生じさせる方法、圧力や
応力を加えることにより分子配向(配向度、光学的・機
械的異方性)を促進したり電気的・光学的変化を促進し
たりする方法、光を照射することにより光反応(電気的
化学結合反応)・光架橋(架橋や硬化)・光分解(結合
の開裂)などを生じさせる方法が検討されてきている。
このような方法(技術)の中で、熱や圧力などは、プラ
スチック構造体全体に作用させる場合が多く、プラスチ
ック構造体内部における任意の場所(部位)に限定して
作用させ、元のプラスチック構造体内部と異なる構造を
有する内部に形成するのは不向きである。一方、光は、
本質的に、プラスチック構造体内部の任意の場所への作
用させることに適した手段であり、より微細な構造制御
による高機能化・高性能化の技術のトレンドに貢献でき
る可能性がある。
【0003】一方、レーザー光源に対する技術進歩は著
しく、特に、パルスレーザーでは、ナノ秒(10-9秒)
のオーダーのパルス幅から、ピコ秒(10-12秒)のオ
ーダーのパルス幅へと超短パルス化が進んでおり、更に
最近では、チタン・サファイア結晶などをレーザー媒質
とするフェムト秒(10-15秒)のオーダーのパルス幅
を有するパルスレーザーなども開発されてきている。パ
ルス幅が10-12秒以下である(例えば、パルス幅がフ
ェムト秒のオーダーである)超短パルスレーザー又はそ
のシステムは、通常のレーザーが持つ、指向性、空間的
・時間的なコヒーレントなどの特徴を有するとともに、
パルス幅が極めて狭いことから、同じ平均出力であって
も、単位時間・単位空間当たりの電場強度が極めて高い
という特徴を有している。そのため、この高い電場強度
を利用して、超短パルスレーザーを物質中に照射して新
たな構造(誘起構造)を形成させる試みが、無機ガラス
材料を主な対象物として行われてきている。
【0004】また、高分子材料であるアモルファス・プ
ラスチック等は、無機ガラス材料と比較して、ガラス転
移温度が低い。これは、無機ガラス材料が共有結合で三
次元的に結合してアモルファス構造が形成されているの
に対して、高分子材料は、一次元的に共有結合で繋がっ
た高分子鎖が三次元的に絡み合ってアモルファス構造が
形成されていることを反映した結果である。従って、無
機ガラス材料に対しては、大きな照射エネルギーで照射
しないと、誘起構造が形成されないが、高分子材料で
は、高いエネルギーの照射は材料の劣化を引き起こす虞
があるので、高いエネルギーの照射は回避する必要があ
る。
【0005】一方で、高分子材料は、熱伝導性が低いと
いう特徴を有しており、蓄熱し易い傾向がある。すなわ
ち、高分子材料は熱運動が無機ガラス材料に比べて容易
に起こり、運動や反応に必要な熱量が少なくて済むの
で、無機ガラス材料に比べて、比較的低い照射エネルギ
ーでも誘起構造が形成される可能性がある。しかし、パ
ルス幅が10-12秒以下である(例えば、パルス幅がフ
ェムト秒のオーダーである)超短パルスレーザーの単位
時間・単位空間当たりの電場強度が極めて高いため、レ
ーザーの照射による高分子材料の損傷が起こりやすいこ
とにより、高分子材料の誘起構造の形成に必要な高分子
材料の設計についての把握が困難であり、その結果とし
て、高分子材料であるプラスチック構造体に関して、超
短パルスレーザーの照射による誘起構造形成の検討は、
現在まで、無機ガラス材料ほどには行われていなかっ
た。
【0006】一方、光学素子の一例として、光の回折現
象を利用して光の進行する方向を任意に変える目的で使
用される回折格子には、表面の凹凸を利用して表面反射
により光の進行方向を変える反射型回折格子と、内部に
形成されている屈折率の異なる格子の中を光を通すこと
により光の進行方向を変える透過型回折格子との二種類
がある。この内、透過型回折格子は、従来、無機ガラス
材料などからなる屈折率の異なる複数の材料を精密に平
行関係を保つ様に積層して作製されている。透過型回折
格子としては、出来るだけ入射エネルギーが損なわれる
ことなく光が回折格子中を透過し、回折格子から光が所
望する方向に出来るだけ高いエネルギーを保って出射す
ることが望まれている。そのエネルギーの保持する割合
は、(所望する方向での出射光強度)/(入射光強度)
で定義される回折効率(η)の大きさで表現される。回
折効率(η)が低下する要因の1つとしては、回折格子
を光が透過する過程で起こる光の散乱が挙げられる。こ
のような光の散乱は、回折格子を構成する材料に含まれ
る気泡や微結晶などの微粒子や異種材料間の界面などの
散乱因子によってもたらされるので、それらの散乱因子
は極力低減しておく必要がある。
【0007】また、回折効率(η)を低下させる他の要
因としては、所望する方向以外の回折が起こることが挙
げられる。一般に、回折には、図18(a)で示される
ような一次の回折のみを起こすBragg回折と、図1
8(b)で示されるような一次を含めて高次の回折まで
起こすRaman−Nath回折がある。図18は回折
格子中を透過する光が回折を起こす状態を示す概略図で
あり、図18(a)はBragg回折を示し、図18
(b)はRaman−Nath回折を示している。Br
agg回折の場合、図18(a)で示されるように、入
射角θ1で入射した光は、透過光(ゼロ次の回折)と、
θ2=θ1を満足する方向の一次回折光が回折格子から出
射される。一方、Raman−Nath回折の場合、図
18(b)で示されるように、ゼロ次回折(n0)およ
び一次回折光(n1)以外に、高次の回折光(n2
3、n4など)が回折格子から出射される。
【0008】このように、Raman−Nath回折は
入射エネルギーが多くの方向に分散されることにより、
所望する一次の方向の出射エネルギーが低くなり、その
結果として、所望する一次の方向の回折効率(η1)が
小さくなる。Braggタイプの回折が起こるか、Ra
man−Nathタイプの回折が起こるかは、無次元数
Q=2πλL/nΛ2の大きさで判別することができ
る。ここで、Qにおいて、Λは隣接した複数の格子の間
隔(ピッチ間隔)、Lは複数の格子の対向する面の奥行
き長さ、λは回折される光の波長、nは回折格子を構成
する媒質材料の屈折率である。Q>1であれば、Bra
ggタイプの回折が起こり易くなり、Q≦1であれば、
Raman−Nathタイプの回折が起こり易くなる。
【0009】従来の透過型回折格子の作製方法は、上述
の様に、充分に大きい回折効率(η)を確保するため
に、Braggタイプの回折が起こる様に、回折格子が
使用される光の波長λに合わせてL、n、Λを設計し、
設計仕様に適した材料を準備して、気泡や界面による内
部散乱などが生じないように精密に平行関係を保ちなが
ら格子を積層することにより行われており、Custo
m−Made(あつらえ)の製造方法である。すなわ
ち、従来の製造方法は、高い精度が要求される難しい製
造方法である。また、材質的には、無機ガラスなどが用
いられているため、透過型回折格子の重量は、重く、軽
量化や小型化が望まれている。なお、軽量で柔軟性・屈
曲性・強靱性に優れたプラスチック材料は、光学部品の
軽量化や小型化の要請にも適合出来る可能性を有してい
る。
【0010】また、回折格子以外の他の光学素子とし
て、光導波路は平面状、埋め込み型、ストリップ型やレ
ンズ型の形状を有しており、高屈折率部材の中に低屈折
率部材が挟み込まれた形状を有している。このように、
光導波路等の他の光学素子も、高屈折率部材と低屈折率
部材とが組み合わされた形態を有しており、高屈折率部
材と低屈折率部材との屈折率差が、光学素子としての機
能に寄与している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高い回折効率を有しているとともに、容易に製造す
ることができるプラスチック透過型回折格子及びその製
造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、プ
ラスチック構造体の内部における任意の部位に、透過型
回折格子として利用可能な誘起構造が形成されたプラス
チック透過型回折格子及びその製造方法を提供すること
にある。本発明のさらに他の目的は、パルス幅が10
-12秒以下である超短パルスレーザーの照射により、高
い回折効率を有する実用性が優れているプラスチック透
過型回折格子及びその製造方法を提供することにある。
【0012】また、前述のように、従来の透過型回折格
子では、Braggタイプの回折が起こる様に、光の波
長λに合わせて、L、n、Λを設計して最適化してい
る。そのため、ある1つの透過型回折格子は、特定の波
長を有する光に対して最適化されており、他の波長を有
する光に対しては最適化されておらず、他の波長を有す
る光に対しては他の透過型回折格子が通常用いられてい
る。従って、本発明の目的は、高い回折効率を有してい
るとともに、容易に製造することができ、しかも、最適
な出力で回折することができる光が特定の波長に限定さ
れないプラスチック透過型回折格子及びその製造方法を
提供することにある。本発明の他の目的は、プラスチッ
ク構造体の内部における任意の部位に、透過型回折格子
として利用可能な誘起構造が形成されているとともに、
入射光の入射位置を調整するだけで出射光の出力を最適
化することが可能なプラスチック透過型回折格子及びそ
の製造方法を提供することにある。本発明のさらに他の
目的は、パルス幅が10-12秒以下である超短パルスレ
ーザーの照射により作製され、ある特定の波長を有する
光のみではなく、他の波長を有する光に対しても高い回
折効率を有する実用性が優れているプラスチック透過型
回折格子及びその製造方法を提供することにある。
【0013】さらにまた、従来の透過型回折格子では、
格子は互いに平行となっており、交差しているものはな
く、特に格子が交差してなるプラスチック透過型回折格
子は製造されていない。従って、本発明の目的は、高い
回折効率を有しているとともに、容易に製造することが
でき、しかも、互いに平行な複数の屈折率変化部ととも
に、該屈折率変化部に対して交差し且つ互いに平行な複
数の屈折率変化部を有しているプラスチック透過型回折
格子及びその製造方法を提供することにある。本発明の
他の目的は、プラスチック構造体の内部における任意の
部位に、透過型回折格子として利用可能な誘起構造が形
成されているとともに、該誘起構造が格子状に形成され
ているプラスチック透過型回折格子及びその製造方法を
提供することにある。本発明のさらに他の目的は、さら
に、パルス幅が10-12秒以下である超短パルスレーザ
ーの照射により作製され、高い回折効率を有する実用性
が優れているプラスチック透過型回折格子及びその製造
方法を提供することにある。
【0014】また、パルス幅が10-12秒以下のレーザ
ーの照射により、プラスチック構造体の内部に、屈折率
が変化した互いに平行な複数の屈折率変化部が形成され
たプラスチック透過型回折格子では、屈折率変化部間の
平行間隔Λを精度よく小さくするには限度がある。ま
た、より一層小さな平行間隔Λを有する屈折率変化部間
を形成することができる方法として、2方向から光を照
射し、その交点に屈折率変化部を形成する2光束干渉方
法を利用する方法もあるが、該方法では回折格子のでき
る領域がプラスチック構造体の内部において狭いという
問題がある。従って、本発明の目的は、パルス幅が10
-12秒以下である超短パルスレーザーの照射により、高
い回折効率を有しているプラスチック透過型回折格子を
容易に製造することができ、しかも、プラスチック透過
型回折格子の格子のピッチ間隔を容易に調整することが
できるプラスチック透過型回折格子の製造方法、及び該
製造方法によるプラスチック透過型回折格子を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、プラスチック構造体
の内部における任意の部位に、透過型回折格子として利
用可能な誘起構造が形成されているとともに、プラスチ
ック透過型回折格子の格子のピッチ間隔を優れた精度で
より一層小さくすることができるプラスチック透過型回
折格子の製造方法、及び該製造方法によるプラスチック
透過型回折格子を提供することにある。
【0015】さらにまた、従来では格子は互いに平行と
なっており、互いに平行な複数の格子を有する格子群が
それぞれ層状に形成され、さらには各格子群中の互いに
平行な複数の屈折率変化部における互いに対向している
面の面方向が、隣接する格子群の間で互いに非平行とな
っているプラスチック透過型回折格子は製造されていな
い。従って、本発明の目的は、互いに平行な複数の屈折
率変化部を有する格子群がそれぞれ層状に形成されてい
るプラスチック透過型回折格子及びその製造方法を提供
することにある。本発明の他の目的は、互いに平行な複
数の屈折率変化部を有する格子群がそれぞれ層状に形成
されているとともに、各格子群中の互いに平行な複数の
屈折率変化部における互いに対向している面の面方向
が、隣接する格子群の間で互いに非平行となっているプ
ラスチック透過型回折格子及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0016】特に、前述のような、互いに平行な複数の
格子を有する格子群がそれぞれ層状に形成され、さらに
は各格子群中の互いに平行な複数の屈折率変化部におけ
る互いに対向している面の面方向が、隣接する格子群の
間で互いに非平行となっているプラスチック透過型回折
格子において、屈折率変化部の大きさが小さい(例え
ば、奥行き長さが短い)と、積層する際にコンパクトに
することができるという利点がある。従って、本発明の
目的は、互いに平行な複数の屈折率変化部を有する格子
群がそれぞれ層状に形成され、且つ格子の大きさが小さ
いプラスチック透過型回折格子を容易に製造することが
できるプラスチック透過型回折格子の製造方法、及び該
製造方法によるプラスチック透過型回折格子を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、互いに平行な複数の
屈折率変化部を有する格子群がそれぞれ層状に形成され
ているとともに、各格子群中の互いに平行な複数の屈折
率変化部における互いに対向している面の面方向が、隣
接する格子群の間で互いに非平行となっており、さらに
格子の大きさが小さいプラスチック透過型回折格子の製
造方法、及び該製造方法によるプラスチック透過型回折
格子を提供することにある。
【0017】また、前述のように、高屈折率部材と低屈
折率部材との屈折率差が、光学素子としての機能に寄与
しており、前記屈折率差を大きくすることができるプラ
スチック光学素子を製造する方法が求められている。従
って、本発明の目的は、パルス幅が10-12秒以下であ
る超短パルスレーザーの照射により、プラスチック構造
体の内部における任意の部位に、光学素子として利用可
能な誘起構造部が形成され、しかも該誘起構造部の屈折
率の変調度合いが大きいプラスチック光学素子を製造す
ることができる方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため鋭意検討した結果、パルス幅が10
-12秒以下である超短パルスレーザーを、プラスチック
構造体の内部の部位に焦点を合わせて照射すると、プラ
スチック構造体の内部において、前記パルスレーザーに
より照射された部位及びその周辺部の屈折率が変化し、
この屈折率変化部を回折格子として利用することができ
ることを見出した。
【0019】さらに、特定の照射方法によりパルスレー
ザーを照射すると、屈折率変化部間の間隔が一方の側か
ら他方の側にかけて連続的に変化させることができ、し
かも1つのプラスチック透過型回折格子により、入射位
置を調整するだけで、ある特定の波長のみではなく、他
の波長を有する光に対しても、その出力を最適化するこ
とができることを見出した。
【0020】すなわち、本発明は、プラスチック構造体
の内部に、屈折率が変化した複数の屈折率変化部を有す
るプラスチック透過型回折格子であって、複数の屈折率
変化部が互いに平行である、または、隣接する屈折率変
化部の間隔が一方の側から他方の側にかけて変化してい
ることを特徴とするプラスチック透過型回折格子を提供
する。前記屈折率変化部は、パルス幅が10-12秒以下
のレーザーをプラスチック構造体に照射することにより
形成されていてもよい。
【0021】なお、一方の側から他方の側にかけて変化
している複数の屈折率変化部を有するプラスチック透過
型回折格子において、隣接する屈折率変化部間の間隔に
おける最小間隔Λminと最大間隔Λmax(=Λmin+Δ
Λ)との差ΔΛは、0.01×Λmin〜5×Λminである
ことが好ましい。
【0022】また、本発明者らは、特定の照射方法によ
りパルスレーザーを照射すると、互いに平行な複数の屈
折率変化部とともに、前記屈折率変化部に対して交差し
且つ互いに平行な複数の屈折率変化部を形成することが
できることを見出した。すなわち、本発明は、屈折率が
変化した互いに平行な複数の屈折率変化部を有するプラ
スチック透過型回折格子であって、互いに平行な複数の
屈折率変化部を有するとともに、前記屈折率変化部に対
して交差し且つ互いに平行な複数の屈折率変化部を有し
ているプラスチック透過型回折格子を提供する。
【0023】また、本発明者らは、該屈折率変化部を有
するプラスチック構造体を変形させることにより、屈折
率変化部間の平行間隔をコントロールすることができる
ことを見出した。すなわち、本発明は、屈折率が変化し
た互いに平行な複数の屈折率変化部を有するプラスチッ
ク透過型回折格子であって、互いに平行な複数の屈折率
変化部を形成した後、前記屈折率変化部間の平行間隔が
変化するようにプラスチック構造体を変形させることに
より、互いに平行な複数の屈折率変化部が形成されてい
るプラスチック透過型回折格子を提供する。
【0024】また、本発明者らは、特定の照射方法によ
りパルスレーザーを照射すると、互いに平行な複数の屈
折率変化部を有する格子群をそれぞれ層状に形成するこ
とができ、しかも各格子群中の互いに平行な複数の屈折
率変化部における互いに対向している面の面方向が、隣
接する格子群の間で互いに非平行となるように形成する
ことができることを見出した。すなわち、本発明は、屈
折率が変化した互いに平行な複数の屈折率変化部を有す
るプラスチック透過型回折格子であって、互いに平行な
複数の屈折率変化部を有する格子群を複数有し、且つ前
記複数の格子群がそれぞれ層状に形成されているととも
に、各格子群中の互いに平行な複数の屈折率変化部にお
ける互いに対向している面の面方向が、隣接する格子群
の間で互いに非平行となっているプラスチック透過型回
折格子を提供する。
【0025】また、本発明者らは、さらに、2方向から
光を照射し、その交点に屈折率変化部を形成する2光束
干渉方法を利用してパルスレーザーを照射すると、1光
束で照射する場合よりも、さらに屈折率変化部の奥行き
長さを短くすることができることを見出した。すなわ
ち、本発明は、前記プラスチック構造体の内部に、屈折
率が変化した複数の屈折率変化部を有するプラスチック
透過型回折格子であって、屈折率変化部が、パルス幅が
10-12秒以下のレーザーをプラスチック構造体に1光
束又は2光束干渉で照射することにより形成されている
プラスチック透過型回折格子を提供する。
【0026】また、本発明者らは、パルス幅が10-12
秒以下である超短パルスレーザーを、プラスチック構造
体の内部の部位に焦点を合わせて照射し、さらに同一の
部位に1回以上再照射すると、プラスチック構造体の内
部において、前記パルスレーザーにより照射された部位
及びその周辺部の屈折率がさらに大きく変化することを
見出した。すなわち、本発明は、プラスチック構造体の
内部に、屈折率が変化した複数の屈折率変化部を有する
プラスチック透過型回折格子であって、パルス幅が10
-12秒以下のレーザーを照射したプラスチック構造体の
部位に、パルス幅が10-12秒以下のレーザーをさらに
1回以上再照射して、屈折率をさらに変調させることに
より、屈折率が変化した複数の屈折率変化部が形成され
ているプラスチック透過型回折格子を提供する。
【0027】本発明では、下記式(1)で表される無次
元数Qが、Q>1の関係を有していることが望ましい。 Q=2πλL/nΛ2 (1) (式(1)において、Λは隣接した屈折率変化部間の間
隔、Lは複数の屈折率変化部の対向する面の奥行き長
さ、λは回折される光の波長、nは屈折率未変化部の屈
折率である。)
【0028】また、本発明では、下記式(2)で表され
る一次の回折効率η1が0.05以上であることが望ま
しい。 一次の回折効率η1=(一次の回折光強度)/(入射光強度) (2)
【0029】さらに、隣接する屈折率変化部間の間隔
が、50μm以下であることが好ましく、屈折率変化部
の対向する面の奥行き長さが、3μm以上であることが
好ましく、屈折率変化部の厚みが、屈折率変化部間の間
隔Λまたは最小間隔Λminの1/3以上であることが好
ましい。
【0030】本発明には、パルス幅が10-12秒以下の
レーザーをプラスチック構造体の内部に焦点を合わせて
照射して、前記プラスチック透過型回折格子を製造する
方法も含まれる。なお、本発明者らは、屈折率が変化し
た互いに平行な複数の屈折率変化部を有するプラスチッ
ク透過型回折格子を製造する際に、さらに、該屈折率変
化部を有するプラスチック構造体を変形させることによ
り、屈折率変化部間の平行間隔をコントロールすること
ができることを見出した。
【0031】前記プラスチック透過型回折格子の製造方
法としては、 (A)パルス幅が10-12秒以下のレーザーをプラスチ
ック構造体の内部に焦点を合わせるとともに、その焦点
位置を、該焦点位置の移動により形成される屈折率変化
部が互いに平行な複数のものができるように移動させて
照射することにより、またはパルス幅が10-12秒以下
のレーザーをプラスチック構造体の内部に焦点を合わせ
て照射して互いに平行な複数の屈折率変化部を形成した
後、前記屈折率変化部間の平行間隔が変化するようにプ
ラスチック構造体を変形させることにより(該方法で
は、互いに平行な複数の屈折率変化部を有するプラスチ
ック構造体の変形が、熱及び/又は圧力による収縮であ
ることが好適である)、屈折率が変化した互いに平行な
複数の屈折率変化部を有するプラスチック透過型回折格
子を製造する方法 (B)パルス幅が10-12秒以下のレーザーをプラスチ
ック構造体の内部に焦点を合わせるとともに、その焦点
位置を、該焦点位置の移動により形成される屈折率変化
部間の間隔が一方の側から他方の側にかけて変化するよ
うに移動させて照射することにより、または、パルス幅
が10-12秒以下のレーザーをプラスチック構造体の内
部に焦点を合わせて照射して複数の屈折率変化部を形成
した後、該屈折率変化部間の間隔が一方の側から他方の
側にかけて変化するようにプラスチック構造体を変形さ
せることにより、隣接する屈折率変化部の間隔が一方の
側から他方の側にかけて変化しているプラスチック透過
型回折格子を製造する方法 (C)パルス幅が10-12秒以下のレーザーをプラスチ
ック構造体の内部に焦点を合わせるとともに、その焦点
位置を、該焦点位置の移動により形成される屈折率変化
部が互いに平行な複数のものと、前記屈折率変化部に対
して交差し且つ互いに平行な複数のものとができるよう
に移動させて照射することにより、互いに平行な複数の
屈折率変化部を有するとともに、前記屈折率変化部に対
して交差し且つ互いに平行な複数の屈折率変化部を有し
ているプラスチック透過型回折格子を製造する方法 (D)パルス幅が10-12秒以下のレーザーをプラスチ
ック構造体の内部に焦点を合わせるとともに、その焦点
位置を、該焦点位置の移動により形成される屈折率変化
部を互いに平行に複数有している格子群がそれぞれ層状
となるように、且つ各格子群中の互いに平行な複数の屈
折率変化部における互いに対向している面の面方向が、
隣接する格子群の間で互いに非平行となるように、移動
させて照射することにより、互いに平行な複数の屈折率
変化部を有する格子群を複数有し、且つ前記複数の格子
群がそれぞれ層状に形成されているとともに、各格子群
中の互いに平行な複数の屈折率変化部における互いに対
向している面の面方向が、隣接する格子群の間で互いに
非平行となっているプラスチック透過型回折格子を製造
する方法などを採用することができる。
【0032】本発明者らは、さらに、2方向から光を照
射し、その交点に屈折率変化部を形成する2光束干渉方
法を利用してパルスレーザーを照射すると、互いに平行
な複数の屈折率変化部を有する格子群をそれぞれ層状に
形成することができ、しかも各格子群中の互いに平行な
複数の屈折率変化部における互いに対向している面の面
方向が、隣接する格子群の間で互いに非平行となるよう
に形成することができ、さらに屈折率変化部の奥行き長
さを短くすることができることを見出した。すなわち、
本発明の製造方法では、パルス幅が10-12秒以下のレ
ーザーを1光束または2光束干渉でプラスチック構造体
に照射して、屈折率変化部を形成する製造方法を提供す
る。
【0033】また、本発明者らは、パルス幅が10-12
秒以下である超短パルスレーザーを、プラスチック構造
体の内部の部位に焦点を合わせて照射し、さらに同一の
部位に1回以上再照射すると、プラスチック構造体の内
部において、前記パルスレーザーにより照射された部位
及びその周辺部の屈折率がさらに大きく変化することを
見出した。すなわち、本発明の製造方法では、パルス幅
が10-12秒以下のレーザーを照射したプラスチック構
造体の部位に、パルス幅が10-12秒以下のレーザーを
さらに1回以上再照射して、屈折率をさらに変調させる
製造方法を提供する。
【0034】
【発明の実施の態様】以下に、本発明を必要に応じて図
面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の部材につ
いては、同一の符号を付している場合がある。
【0035】[プラスチック透過型回折格子] (プラスチック透過型回折格子A)図1は本発明のプラ
スチック透過型回折格子の一例を示す概略鳥瞰図であ
る。具体的には、図1は、屈折率が変化した互いに平行
な複数の屈折率変化部を有するプラスチック透過型回折
格子(「プラスチック透過型回折格子A」と称する場合
がある)の一例を示している。図1において、A1はプ
ラスチック透過型回折格子、A1aは光が入射する入射
面(上面)、A21,A22,・・,A2xはそれぞれ
屈折率変化部(回折格子)、A2aは屈折率変化部(A
21,A22,・・,A2x)の対向する面、A3は屈
折率未変化部である。なお、屈折率変化部(A21,A
22,・・,A2x)を屈折率変化部A2と総称する場
合がある。また、ΛAは隣接した屈折率変化部(A2
1,A22,・・,A2x)間の間隔(平行間隔;ピッ
チ間隔)、LAは屈折率変化部(A21,A22,・
・,A2x)の対向する面A2aの奥行き長さ、dA
屈折率変化部(A21,A22,・・,A2x)の厚み
を示す。また、WAは屈折率変化部(A21,A22,
・・,A2x)の対向する面A2aの幅を示す。
【0036】図1に係るプラスチック透過型回折格子A
1は、略直方体であり、その上面は、X−Y平面に対し
て平行(又はZ軸に対して垂直)となっている。このプ
ラスチック透過型回折格子A1は、互いに平行な複数の
屈折率変化部A2を有している。該屈折率変化部A2
は、略直方体であり、屈折率変化部A2の対向する面A
2aは、X−Z面に対して平行(又はY軸に対して垂
直)となっている。該屈折率変化部A2は、屈折率
(n)を有するプラスチック構造体の内部における特定
の部位に、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレー
ザーの焦点を合わせて照射することにより、屈折率が変
化した部位である。従って、屈折率変化部A2は、超短
パルスレーザーが照射された(レーザーの焦点が合わせ
られた)レーザー照射部であり、超短パルスレーザー照
射前のプラスチック構造体の屈折率(n)と異なる屈折
率(n´)を有している。一方、屈折率未変化部A3
は、超短パルスレーザーが照射されていない(レーザー
の焦点が合わせられていない)レーザー未照射部であ
り、超短パルスレーザー照射前のプラスチック構造体の
屈折率(n)と同じ屈折率(n)を有している。
【0037】前記屈折率変化部A2において、隣接した
各屈折率変化部(A21,A22,・・,A2x)の間
の平行間隔(格子のピッチ間隔)ΛAとしては、例え
ば、50μm以下(好ましくは30μm以下、さらに好
ましくは15μm以下)程度であることが望ましい。
【0038】また、各屈折率変化部(A21,A22,
・・,A2x)の奥行き長さLAとしては、3μm以上
(好ましくは5μm以上、さらに好ましくは20μm以
上、特に50μm以上)程度であることが好適である。
【0039】また、各屈折率変化部(A21,A22,
・・,A2x)の厚み(格子の厚み)dAとしては、格
子のピッチ間隔の1/3以上(好ましくは1/2以上)
であることが望ましい。
【0040】なお、各屈折率変化部(A21,A22,
・・,A2x)の幅WAは、入射光の特性等に応じて適
宜選択することができる。
【0041】図1では、プラスチック透過型回折格子A
1および各屈折率変化部(A21,A22,・・,A2
x)は、説明を容易にするために、それぞれ直方体とし
て表現しているが、それぞれ、如何なる形状のものであ
ってもよく、またその大きさも特に制限されない。本発
明では、プラスチック透過型回折格子A1としては、略
直方体(特に、すべての面が直角で交わっている直方
体)の形状を有していることが好ましい。また、各屈折
率変化部(A21,A22,・・,A2x)としては、
略直方体(特に、すべての面が直角で交わっている直方
体)の形状を有していることが好ましい。なお、各屈折
率変化部(A21,A22,・・,A2x)の合計数
(すなわち、屈折率変化部A2に含まれる各屈折率変化
部の数)は特に制限されない。
【0042】(プラスチック透過型回折格子B)図2は
本発明のプラスチック透過型回折格子の他の例を示す概
略鳥瞰図である。具体的には、図2は、隣接する屈折率
変化部の間隔が一方の側から他方の側にかけて変化して
いるプラスチック透過型回折格子(「プラスチック透過
型回折格子B」と称する場合がある)の一例を示してい
る。図2において、B1はプラスチック透過型回折格
子、B1aは光が入射する入射面(上面)、B1bは下
面、B1cは側面、B1dは側面B1cに対向する側
面、B21,B22,・・,B2xはそれぞれ屈折率変
化部(回折格子)、B2aは屈折率変化部(B21,B
22,・・,B2x)の対向する面、B3は屈折率未変
化部である。なお、屈折率変化部(B21,B22,・
・,B2x)を屈折率変化部B2と総称する場合があ
る。また、ΛBは隣接した屈折率変化部(B21,B2
2,・・,B2x)間の間隔(ピッチ間隔)であり、Λ
minはピッチ間隔ΛBの最小間隔、Λmaxはピッチ間隔ΛB
の最大間隔である。なお、Λmax=Λmin+ΔΛとして表
される。LBは屈折率変化部(B21,B22,・・,
B2x)の対向する面B2aの奥行き長さ、dBは屈折
率変化部(B21,B22,・・,B2x)の厚みを示
す。また、WBは屈折率変化部(B21,B22,・
・,B2x)の対向する面B2aの幅を示す。
【0043】図2に係るプラスチック透過型回折格子B
1は、略直方体であり、その上面は、X−Y平面に対し
て平行(又はZ軸に対して垂直)となっている。このプ
ラスチック透過型回折格子B1は、複数の屈折率変化部
B2を有している。該屈折率変化部B2は、略直方体で
ある。該屈折率変化部B2は、屈折率(n)を有するプ
ラスチック構造体の内部における特定の部位に形成され
た屈折率が変化した部位である。このような屈折率変化
部B2は、例えば、プラスチック構造体の内部に、パル
ス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーの焦点を合
わせて、特定の方法により照射することにより形成する
ことができる。図2に係る屈折率変化部B2は、パルス
幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーを用いて形成
されている。すなわち、屈折率変化部B2は、超短パル
スレーザーが照射された(レーザーの焦点が合わせられ
た)レーザー照射部であり、超短パルスレーザー照射前
のプラスチック構造体の屈折率(n)と異なる屈折率
(n´)を有している。一方、屈折率未変化部B3は、
超短パルスレーザーが照射されていない(レーザーの焦
点が合わせられていない)レーザー未照射部であり、超
短パルスレーザー照射前のプラスチック構造体の屈折率
(n)と同じ屈折率(n)を有している。
【0044】前記屈折率変化部B2において、隣接した
各屈折率変化部(B21,B22,・・,B2x)の間
の間隔(格子のピッチ間隔)ΛBは、一方の側(側面B
1c側)の最小間隔Λminから他方の側(側面B1d
側)の最大間隔Λmax(Λmin=+ΔΛ)まで変化してい
る。このようなピッチ間隔ΛBの変化は、連続的であっ
てもよく、非連続的であってもよい。なお、本発明で
は、ピッチ間隔ΛBの変化は、屈折率変化部の一方の側
(端部)から他方の側(端部)に一方向に連続的(特に
一定の割合で一方向に連続的)であることが好ましい。
【0045】より具体的には、屈折率変化部B2におい
て、隣接した各屈折率変化部(B21,B22,・・,
B2x)の間の間隔(格子のピッチ間隔)ΛB(特に、
ピッチ間隔ΛBの最大間隔Λmax)としては、例えば、5
0μm以下(好ましくは30μm以下、さらに好ましく
は15μm以下)程度であることが望ましい。
【0046】特に、屈折率変化部B2において、最小間
隔Λminと、最大間隔Λmax(=Λmi n+ΔΛ)との差Δ
Λとしては、例えば、0.01×Λmin〜5×Λmin程度
の範囲から選択することができ、好ましくは0.01×
Λmin〜3×Λmin(さらに好ましくは0.01×Λmin
〜2×Λmin)である。すなわち、最大間隔Λmaxは、最
小間隔Λminの1.01〜6倍程度の範囲から選択する
ことができる。
【0047】また、屈折率変化部B2において、ピッチ
間隔ΛBが、最小間隔Λminから最大間隔Λmaxにかけて
増加している増加割合(特に、一定の割合)としては、
例えば、ΔΛ/Λminが0.0001〜0.1(好まし
くは0.0001〜0.05、さらに好ましくは0.0
001〜0.03)程度である範囲から選択することが
できる。
【0048】また、各屈折率変化部(B21,B22,
・・,B2x)の奥行き長さLBとしては、3μm以上
(好ましくは5μm以上、さらに好ましくは20μm以
上、特に50μm以上)程度であることが好適である。
【0049】また、各屈折率変化部(B21,B22,
・・,B2x)の厚み(格子の厚み)dBとしては、格
子のピッチ間隔における最小間隔Λminの1/3以上
(好ましくは1/2以上)であることが望ましい。
【0050】なお、各屈折率変化部(B21,B22,
・・,B2x)の幅WBは、入射光の特性等に応じて適
宜選択することができる。
【0051】図2では、プラスチック透過型回折格子B
1および各屈折率変化部(B21,B22,・・,B2
x)は、説明を容易にするために、それぞれ直方体とし
て表現しているが、それぞれ、如何なる形状のものであ
ってもよく、またその大きさも特に制限されない。本発
明では、プラスチック透過型回折格子B1としては、略
直方体(特に、すべての面が直角で交わっている直方
体)の形状を有していることが好ましい。また、各屈折
率変化部(B21,B22,・・,B2x)としては、
略直方体(特に、すべての面が直角で交わっている直方
体)の形状を有していることが好ましい。なお、各屈折
率変化部(B21,B22,・・,B2x)の合計数
(すなわち、屈折率変化部B2に含まれる各屈折率変化
部の数)は特に制限されない。また、このような複数の
屈折率変化部は、一方向にその間隔が変化しているた
め、放射状に形成されていてもよい。すなわち、放射状
に間隔が拡がった位置関係を有する複数の屈折率変化部
が形成されていてもよい。
【0052】(プラスチック透過型回折格子C)図3は
本発明のプラスチック透過型回折格子の他の例を示す概
略鳥瞰図である。具体的には、図3は、互いに平行な複
数の屈折率変化部を有するとともに、前記屈折率変化部
に対して交差し且つ互いに平行な複数の屈折率変化部を
有しているプラスチック透過型回折格子(「プラスチッ
ク透過型回折格子C」と称する場合がある)の一例を示
している。図3において、C1はプラスチック透過型回
折格子、C1aは光が入射する入射面(上面)、C1b
は下面である。C2a1,C2a2,・・,C2axは
それぞれ屈折率変化部(回折格子)であり、これらの屈
折率変化部(C2a1,C2a2,・・,C2ax)
は、X軸方向と平行な方向で、互いに平行な位置関係で
形成されている。また、C2b1,C2b2,・・,C
2bxはそれぞれ屈折率変化部(回折格子)であり、こ
れらの屈折率変化部(C2b1,C2b2,・・,C2
bx)は、Y軸方向と平行な方向で、互いに平行な位置
関係で形成されている。なお、屈折率変化部(C2a
1,C2a2,・・,C2ax)を屈折率変化部C2a
と総称する場合がある。屈折率変化部(C2b1,C2
b2,・・,C2bx)を屈折率変化部C2bと総称す
る場合がある。屈折率変化部(C2a,C2b)を屈折
率変化部C2と総称する場合がある。
【0053】さらにまた、C3は屈折率未変化部であ
る。また、ΛCは平行に隣接した屈折率変化部C2間の
間隔(ピッチ間隔)、LCは屈折率変化部C2の奥行き
長さ、dCは屈折率変化部C2の厚み、WCは屈折率変化
部C2の幅を示す。
【0054】図3に係るプラスチック透過型回折格子C
1は、略直方体であり、その上面は、X−Y平面に対し
て平行(又はZ軸に対して垂直)となっている。このプ
ラスチック透過型回折格子C1は、複数の屈折率変化部
C2を有している。具体的には、屈折率変化部C2にお
いて、屈折率変化部(C2a,C2b)は、それぞれ、
互いに平行な複数の屈折率変化部からなっており、ま
た、屈折率変化部C2aと屈折率変化部C2bとは互い
に交差している。また、該屈折率変化部C2は、略直方
体である。該屈折率変化部C2は、屈折率(n)を有す
るプラスチック構造体の内部における特定の部位に形成
された屈折率が変化した部位である。このような屈折率
変化部C2は、例えば、プラスチック構造体の内部に、
パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーの焦点
を合わせて、特定の方法により照射することにより形成
することができる。図3に係る屈折率変化部C2は、パ
ルス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーを用いて
形成されている。すなわち、屈折率変化部C2は、超短
パルスレーザーが照射された(レーザーの焦点が合わせ
られた)レーザー照射部であり、超短パルスレーザー照
射前のプラスチック構造体の屈折率(n)と異なる屈折
率(n´)を有している。一方、屈折率未変化部C3
は、超短パルスレーザーが照射されていない(レーザー
の焦点が合わせられていない)レーザー未照射部であ
り、超短パルスレーザー照射前のプラスチック構造体の
屈折率(n)と同じ屈折率(n)を有している。
【0055】前記屈折率変化部C2において、隣接した
各屈折率変化部(C2a1,C2a2,・・,C2a
x)の間の間隔(格子のピッチ間隔)ΛC、および隣接
した各屈折率変化部(C2b1,C2b2,・・,C2
bx)の間の間隔(格子のピッチ間隔)ΛCとしては、
例えば、50μm以下(好ましくは30μm以下、さら
に好ましくは15μm以下)程度であることが望まし
い。
【0056】また、各屈折率変化部(C2a1,C2a
2,・・,C2ax、C2b1,C2b2,・・,C2
bx)の奥行き長さLCとしては、3μm以上(好まし
くは5μm以上、さらに好ましくは20μm以上、特に
50μm以上)程度であることが好適である。
【0057】また、各屈折率変化部(C2a1,C2a
2,・・,C2ax、C2b1,C2b2,・・,C2
bx)の厚み(格子の厚み)dCとしては、格子のピッ
チ間隔の1/3以上(好ましくは1/2以上)であるこ
とが望ましい。
【0058】なお、各屈折率変化部(C2a1,C2a
2,・・,C2ax、C2b1,C2b2,・・,C2
bx)の幅WCは、入射光の特性等に応じて適宜選択す
ることができる。
【0059】なお、本発明では、屈折率変化部C2aの
ピッチ間隔ΛCと、屈折率変化部C2bのピッチ間隔ΛC
とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。ま
た、同様に、厚みdC、奥行き長さLC、幅WC等につい
ても、屈折率変化部C2aと、屈折率変化部C2bとに
関して同一であってもよく、異なっていてもよい。図3
では、屈折率変化部C2aと、屈折率変化部C2bとに
関して、ピッチ間隔Λ C、厚みdC、奥行き長さLCは、
すべて同一となっている。本発明では、ピッチ間隔
ΛC、厚みdC、奥行き長さLCに関しては、屈折率変化
部C2aと、屈折率変化部C2bとで同一であることが
好ましい。
【0060】屈折率変化部C2aと屈折率変化部C2b
とは交差している。このような互いに交差している屈折
率変化部の交差は、直交していなくてもよいが、図3で
示されているように直交していることが好ましい。すな
わち、屈折率変化部C2aと屈折率変化部C2bとは、
格子状の形態となるように交差していることが好まし
い。従って、本発明では、屈折率変化部C2は格子状に
形成されていることが好ましい。
【0061】本発明では、屈折率変化部C2aと屈折率
変化部C2bとが交差している部位は、両方の屈折率変
化部に属しているとみなすことができる。なお、前記交
差している部位は何れか一方の屈折率変化部に属してい
るとみなしてもよい。
【0062】図3では、プラスチック透過型回折格子C
1および各屈折率変化部(C2a1,C2a2,・・,
C2ax、C2b1,C2b2,・・,C2bx)は、
説明を容易にするために、それぞれ直方体として表現し
ているが、それぞれ、如何なる形状のものであってもよ
く、またその大きさも特に制限されない。本発明では、
プラスチック透過型回折格子C1としては、略直方体
(特に、すべての面が直角で交わっている直方体)の形
状を有していることが好ましい。また、各屈折率変化部
C2としては、略直方体(特に、すべての面が直角で交
わっている直方体)の形状を有していることが好まし
い。
【0063】なお、各屈折率変化部(C2a1,C2a
2,・・,C2ax)の合計数(すなわち、屈折率変化
部C2aに含まれる各屈折率変化部の数)や、各屈折率
変化部(C2b1,C2b2,・・,C2bx)の合計
数(すなわち、屈折率変化部C2bに含まれる各屈折率
変化部の数)は特に制限されない。また、屈折率変化部
C2aに含まれる屈折率変化部の数と、屈折率変化部C
2bに含まれる屈折率変化部の数とは、同一であっても
よく、異なっていてもよい。
【0064】(プラスチック透過型回折格子D)図4は
本発明のプラスチック透過型回折格子の他の例を示す概
略鳥瞰図である。具体的には、図4は、互いに平行な複
数の屈折率変化部を有する格子群を複数有し、且つ前記
複数の格子群がそれぞれ層状に形成されているととも
に、各格子群中の互いに平行な複数の屈折率変化部にお
ける互いに対向している面の面方向が、隣接する格子群
の間で互いに非平行となっているプラスチック透過型回
折格子(「プラスチック透過型回折格子D」と称する場
合がある)の一例を示している。図4において、D1は
プラスチック透過型回折格子、D1aは光が入射する入
射面(上面)、D1bは下面である。D2a1,D2a
2,・・,D2axはそれぞれ屈折率変化部(回折格
子)であり、これらの屈折率変化部(D2a1,D2a
2,・・,D2ax)は、Y軸方向と平行な方向で、互
いに平行な位置関係で形成されている。FD2aは、屈折
率変化部(D2a1,D2a2,・・,D2ax)にお
ける互いに対向している面であり、該面FD2aの面方向
はY−Z平面と平行な方向となっている。D3aは格子
群であり、屈折率変化部(D2a1,D2a2,・・,
D2ax)を有している。また、D2b1,D2b2,
・・,D2bxはそれぞれ屈折率変化部(回折格子)で
あり、これらの屈折率変化部(D2b1,D2b2,・
・,D2bx)は、X軸と平行な方向で、互いに平行な
位置関係で形成されている。FD2bは、屈折率変化部
(D2b1,D2b2,・・,D2bx)における互い
に対向している面であり、該面FD2bの面方向はX−Z
平面と平行な方向となっている。D3bは格子群であ
り、屈折率変化部(D2b1,D2b2,・・,D2b
x)を有している。
【0065】さらにまた、D4は屈折率未変化部であ
る。また、ΛDは各格子群中の平行に隣接した屈折率変
化部D2間の平行間隔(ピッチ間隔)、LDは屈折率変
化部D2の奥行き長さ、dDは屈折率変化部D2の厚
み、WDは屈折率変化部D2の幅を示す。
【0066】また、図5は本発明のプラスチック透過型
回折格子の他の例を示す概略鳥瞰図である。具体的に
は、図5は、プラスチック透過型回折格子Dの他の例を
示している。図5において、D11はプラスチック透過
型回折格子、D11aは光が入射する入射面(上面)、
D11bは下面である。D2c1,D2c2,・・,D
2cxはそれぞれ屈折率変化部(回折格子)であり、こ
れらの屈折率変化部(D2c1,D2c2,・・,D2
cx)は、X−Y平面上においてX軸と55°をなす角
度の方向で、互いに平行な位置関係で形成されている。
D2cは、屈折率変化部(D2c1,D2c2,・・,
D2cx)における互いに対向している面であり、該面
D2cの面方向はX−Z平面と55°の面角をなす方向
となっている。D3cは格子群であり、屈折率変化部
(D2c1,D2c2,・・,D2cx)を有してい
る。なお、(D2a1,D2a2,・・,D2ax)、
(D2b1,D2b2,・・,D2bx)、FD2a、F
D2b、D4、ΛD、LD、dD、WDなどは、図4と同様で
ある。
【0067】図4及び5において、屈折率変化部(D2
a1,D2a2,・・,D2ax)を屈折率変化部D2
aと総称する場合がある。屈折率変化部(D2b1,D
2b2,・・,D2bx)を屈折率変化部D2bと総称
する場合がある。屈折率変化部(D2c1,D2c2,
・・,D2cx)を屈折率変化部D2cと総称する場合
がある。また、屈折率変化部(D2a,D2b,D2
c,・・)を屈折率変化部D2と総称する場合がある。
さらにまた、格子群(D3a,D3b,D3c,・・)
を格子群D3と総称する場合がある。各格子群中の屈折
率変化部における互いに対向している面(FD2a
D2b,FD2c,・・)を、面FD2と総称する場合があ
る。
【0068】図4又は5に係るプラスチック透過型回折
格子(D1,D11)は、略直方体であり、その上面
は、X−Y平面に対して平行(又はZ軸に対して垂直)
となっている。このプラスチック透過型回折格子(D
1,D11)は、層状に形成された(積層された)複数
の格子群D3を有しており、例えば、プラスチック透過
型回折格子D1では、格子群D3a及び格子群D3bが
それぞれ層状に形成されており、また、プラスチック透
過型回折格子D11では、格子群D3a、格子群D3b
及び格子群D3cがこの順でそれぞれ層状に形成されて
いる。
【0069】該複数の格子群D3における各格子群(D
3a,D3b,D3c)は、それぞれ、互いに平行な複
数の屈折率変化部(D2a,D2b,D2c)を有して
いるとともに、各格子群(D3a,D3b,D3c)中
の屈折率変化部(D2a,D2b,D2c)における互
いに対向している面(FD2a,FD2b,FD2c)の面方向
が、隣接する格子群の間で互いに非平行となっている。
具体的には、面FD2aの面方向と、面FD2bの面方向と
は、異なる方向[これらの面方向間の面角(鋭角)は9
0°となっている]であり、面FD2bの面方向と、面F
D2cの面方向とは、異なる方向[これらの面方向間の面
角(鋭角)は55°となっている]である。隣接する格
子群の間において、面(FD2a,FD2b,FD2c,・・)
の面方向の面角(鋭角)としては、0°でなければ目的
とする回折格子に応じて適宜選択することができ、0°
より大きく90°以下(例えば、1〜90°)の範囲か
ら選択することができる。なお、面角とは、それぞれの
面の法線間の角度を意味している。
【0070】また、屈折率変化部D2は、略直方体であ
る。該屈折率変化部D2は、屈折率(n)を有するプラ
スチック構造体の内部における特定の部位に形成された
屈折率が変化した部位である。このような屈折率変化部
D2は、例えば、プラスチック構造体の内部に、パルス
幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーの焦点を合わ
せて、特定の方法により照射することにより形成するこ
とができる。図4に係る屈折率変化部D2は、パルス幅
が10-12秒以下の超短パルスレーザーを用いて形成さ
れている。すなわち、屈折率変化部D2は、超短パルス
レーザーが照射された(レーザーの焦点が合わせられ
た)レーザー照射部であり、超短パルスレーザー照射前
のプラスチック構造体の屈折率(n)と異なる屈折率
(n´)を有している。一方、屈折率未変化部D4は、
超短パルスレーザーが照射されていない(レーザーの焦
点が合わせられていない)レーザー未照射部であり、超
短パルスレーザー照射前のプラスチック構造体の屈折率
(n)と同じ屈折率(n)を有している。
【0071】前記屈折率変化部D2において、各格子群
中の隣接した屈折率変化部D2のピッチ間隔ΛDとして
は、例えば、50μm以下(好ましくは30μm以下、
さらに好ましくは15μm以下)程度であることが望ま
しい。
【0072】また、各格子群中の各屈折率変化部D2の
奥行き長さLDとしては、3μm以上(好ましくは5μ
m以上、さらに好ましくは20μm以上、特に50μm
以上)程度であることが好適である。
【0073】また、各格子群中の各屈折率変化部D2の
厚み(格子の厚み)dDとしては、格子のピッチ間隔の
1/3以上(好ましくは1/2以上)であることが望ま
しい。
【0074】なお、各格子群中の各屈折率変化部(D2
a1,D2a2,・・,D2ax、D2b1,D2b
2,・・,D2bx、D2c1,D2c2,・・,D2
cx・・)の幅WDは、入射光の特性等に応じて適宜選
択することができる。
【0075】なお、本発明では、各格子群中の屈折率変
化部のピッチ間隔ΛDは、すべての格子群間で同一であ
ってもよく、各格子群間で異なっていてもよく、あるい
は、一部の格子群間で同一であってもよい。また、同様
に、厚みdD、奥行き長さLD、幅WD等についても、す
べての格子群間で同一であってもよく、各格子群間で異
なっていてもよく、あるいは、一部の格子群間で同一で
あってもよい。図4や図5では、屈折率変化部(D2
a,D2b,D2c,・・)に関して、ピッチ間隔
ΛD、厚みdD、奥行き長さLDは、すべて同一となって
いる。本発明では、ピッチ間隔ΛD、厚みdD、奥行き長
さLDに関しては、屈折率変化部(D2a,D2b,D
2c,・・)で同一であることが好ましい。
【0076】図4及び5では、プラスチック透過型回折
格子(D1,D11)および各屈折率変化部D2は、説
明を容易にするために、それぞれ直方体として表現して
いるが、それぞれ、如何なる形状のものであってもよ
く、またその大きさも特に制限されない。本発明では、
プラスチック透過型回折格子(D1,D11)として
は、略直方体(特に、すべての面が直角で交わっている
直方体)の形状を有していることが好ましい。また、各
屈折率変化部D2としては、略直方体(特に、すべての
面が直角で交わっている直方体)の形状を有しているこ
とが好ましい。
【0077】なお、各屈折率変化部(D2a1,D2a
2,・・,D2ax)の合計数(すなわち、屈折率変化
部D2aに含まれる各屈折率変化部の数)などの各格子
群(D3a,D3b,D3c,・・)に含まれる屈折率
変化部の数は特に制限されない。また、各格子群(D3
a,D3b,D3c,・・)に含まれる屈折率変化部の
数は、各格子群間で同一であってもよく、異なっていて
もよい。
【0078】さらにまた、格子群の数は特に制限されな
い。例えば、図4で示されているように格子群の数が2
であってもよく、図5で示されているように格子群の数
が3であってもよい。本発明では、格子群の数として
は、例えば、2〜10(好ましくは2〜4)程度の範囲
から選択してもよい。なお、格子群の数が3以上である
場合、各格子群中の互いに平行な複数の屈折率変化部に
おける互いに対向している面FD2の面方向は、隣接する
格子群の間で互いに非平行となっていれば、隣接してい
ない格子群の間では非平行、平行のいずれであってもよ
い。
【0079】層状に形成されている複数の格子群におけ
る格子群間の距離(層間距離)は、特に制限されず、例
えば、5〜100μm、好ましくは5〜50μm程度の
範囲から選択することができる。
【0080】従って、本発明のプラスチック透過型回折
格子では、隣接する屈折率変化部間の間隔Λ(ΛA
ΛB,ΛC,ΛDなど)(なお、隣接する屈折率変化部の
間隔が一定である場合は、平行間隔であり、一方、隣接
する屈折率変化部の間隔が一方の側から他方の側にかけ
て変化している場合は、最大間隔Λmaxであってもよ
い)は、50μm以下(好ましくは30μm以下、さら
に好ましくは15μm以下)程度の範囲から選択するこ
とができる。
【0081】また、屈折率変化部の対向する面の奥行き
長さL(LA,LB,LC,LDなど)としては、3μm以
上(好ましくは5μm以上、さらに好ましくは20μm
以上、特に50μm以上)程度の範囲から選択すること
ができる。なお、屈折率変化部の対向する面の奥行き長
さLとしては、後述するように、超短パルスレーザーを
1光束で照射して屈折率変化部を形成する場合は、5μ
m以上(好ましくは20μm以上)であることが望まし
く、多光束干渉(2光束干渉など)により照射して屈折
率変化部を形成する場合は、3μm以上(好ましくは3
μm以上20μm未満)であることが望ましい。
【0082】さらにまた、屈折率変化部の厚みd
(dA,dB,dC,dDなど)としては、屈折率変化部間
の間隔Λ(ΛA,ΛB,ΛC,ΛDなど)または最小間隔Λ
minの1/3以上(好ましくは1/2以上)程度の範囲
から選択することができる。
【0083】なお、本発明では、隣接する屈折率変化部
間の間隔(ΛA,ΛB,ΛC,ΛDなど)をΛと総称する場
合がある。屈折率変化部の対向する面の奥行き長さ(L
A,LB,LC,LDなど)をLと総称する場合がある。屈
折率変化部間の間隔(ΛA,ΛB,ΛC,ΛDなど)をΛと
総称する場合がある。
【0084】また、本発明では、下記式(1)で表され
る無次元数Qが、Q>1の関係を有していることが好ま
しい。 Q=2πλL/nΛ2 (1) (式(1)において、Λは隣接した屈折率変化部間の間
隔、Lは複数の屈折率変化部の対向する面の奥行き長
さ、λは回折される光の波長、nは屈折率未変化部の屈
折率である。)
【0085】前記式(1)において、Qが1を越えてい
ると、Braggタイプの回折が起こり、一次の方向の
回折効率(η1)を高めることができる。もちろん、Q
は1以下であってもよく、この場合は、Raman−N
athタイプの回折が起こりやすくなり、一次の方向の
回折効率(η1)が低下する。
【0086】本発明では、Qは5以上(特に8以上)で
あることが望ましい。
【0087】一次の方向の回折効率(η1)は、下記式
(2)で表すことができる。 一次の回折効率η1=(一次の回折光強度)/(入射光強度) (2)
【0088】本発明では、一次の方向の回折効率
(η1)としては、例えば、0.05以上(好ましくは
0.3以上、さらに好ましくは0.5以上)の範囲から
選択することができる。
【0089】このように、本発明のプラスチック透過型
回折格子(A1,B1,C1,D1など)において、屈
折率変化部(A21,A22,・・,A2x;B21,
B22,・・,B2x;C2a1,C2a2,・・,C
2ax、C2b1,C2b2,・・,C2bx;D2a
1,D2a2,・・,D2ax、D2b1,D2b2,
・・,D2bx、D2c1,D2c2,・・,D2c
x)は、回折格子としての機能を有している。なお、例
えば、プラスチック透過型回折格子A1を回折格子とし
て利用する場合、上面(入射面)A1aを光の入射面と
するとともに、屈折率変化部A2の対向する面A2a
(XZ平面に対して平行な面)に対して平行な方向(X
軸に対して平行な方向およびZ軸に対して平行な方向)
以外の方向から光を入射させることにより、回折格子と
して有効に利用することができる。
【0090】[作製方法] (プラスチック透過型回折格子Aの作製方法)前記プラ
スチック透過型回折格子A1は、例えば、図6で示され
るように、屈折率(n)を有するプラスチック構造体A
11の内部における特定の部位に、パルス幅が10-12
秒以下の超短パルスレーザーA4の焦点を合わせてプラ
スチック構造体A11の外部から照射することにより、
屈折率が変化した屈折率変化部A2を互いに平行に複数
形成させて作製することができる。
【0091】図6は本発明のプラスチック透過型回折格
子A1を作製する方法の一例を示す概略図である。図6
において、A1、A1a、(A21,A22,・・,A
2x)、A2、A3は、それぞれ、図1と同様である。
A11はプラスチック構造体、A4はパルス幅が10
-12秒以下である超短パルスレーザー(単に「レーザ
ー」と称する場合がある)、A4aはレーザーA4の照
射方向であり、A5はレンズである。プラスチック構造
体A11は、プラスチック透過型回折格子A1を作製す
るための材料となるものであり、屈折率がnであるプラ
スチック材料から形成されている。そして、プラスチッ
ク構造体A11の内部に屈折率変化部A2が形成された
ものが、プラスチック透過型回折格子A1となる。屈折
率変化部A2は、レーザーA4の照射による影響を受け
て屈折率が変化した部位であり、隣接する同様の屈折率
変化部A2と互いに平行な位置関係を有している。ま
た、屈折率未変化部A3は、レーザーA4の照射による
影響を受けておらず、屈折率が変化していない部位であ
り、元の屈折率(構造)を保持している。すなわち、屈
折率未変化部A3は、元の状態又は形態を保持してい
る。従って、プラスチック透過型回折格子A1は、屈折
率未変化部A3内に、特定のピッチ間隔を隔てて互いに
平行な屈折率変化部A2が複数形成されている形態を有
している。
【0092】レーザーA4は、プラスチック構造体A1
1に向けて、照射方向A4aの向きで(すなわち、Z軸
と平行な方向で)照射している。なお、レーザーA4は
レンズA5を用いることにより焦点を絞って合わせるこ
とができる。従って、レーザーA4の焦点を絞って合わ
せる必要がない場合などでは、レンズA5を用いる必要
がない。
【0093】また、プラスチック構造体A11は略直方
体であり、その上面はX−Y平面と平行(またはZ軸と
垂直)となっている。なお、プラスチック構造体A11
としては、直方体を用いているが、如何なる形状のもの
であってもよく、その大きさも特に制限されない。
【0094】また、図6において、A61a,A62
a,・・,A6xaはそれぞれレーザーA4の照射をし
始めたときの焦点を合わせた最初の位置又はその中心位
置(「照射開始位置」と称する場合がある)である。照
射開始位置(A61a,A62a,・・,A6xa)
は、同一のX−Y面上でかつX軸上の位置が同じである
とともに、Y軸上の位置が異なり、特定の間隔があけら
れている。すなわち、照射開始位置(A61a,A62
a,・・,A6xa)は、プラスチック構造体A11の
上面A1aから一定の深さに設定され、且つ同一のY軸
方向に等間隔の間隔で設けられている。
【0095】一方、A61b,A62b,・・,A6x
bはそれぞれレーザーA4の照射を終えたときの焦点を
合わせた最終の位置又はその中心位置(「照射終了位
置」と称する場合がある)である。該照射終了位置(A
61b,A62b,・・,A6xb)も、前記照射開始
位置(A61a,A62a,・・,A6xa)と同様
に、プラスチック構造体A11の上面A1aから一定の
深さに設定され、且つ同一のY軸方向に等間隔の間隔で
設けられている。
【0096】A61c,A62c,・・,A6xcはそ
れぞれレーザーA4の照射の焦点又はその中心位置(単
に「焦点位置」と称する場合がある)が照射開始位置
(A61a,A62a,・・,A6xa)から照射終了
位置(A61b,A62b,・・,A6xb)に移動す
る移動方向であり、X軸と平行な方向である。A61,
A62,・・,A6xはそれぞれ照射開始位置(A61
a,A62a,・・,A6xa)のレーザーA4の照射
の焦点位置又は焦点の中心位置が移動した軌跡(「焦点
位置軌跡」と称する場合がある)である。A7は隣接し
た照射開始位置(A61a,A62a,・・,A6x
a)間の距離(最短距離)である。
【0097】図6では、レーザーA4の焦点位置を、そ
れぞれ、照射開始位置(A61a,A62a,・・,A
6xa)から照射終了位置(A61b,A62b,・
・,A6xb)にかけて、焦点位置の移動方向(A61
c,A62c,・・,A6xc)の方向で、連続的に直
線的に移動させており、該移動した焦点位置の軌跡が焦
点位置軌跡(A61,A62,・・,A6x)となって
いる。該焦点位置軌跡(A61,A62,・・,A6
x)において、焦点位置が移動した方向(A61c,A
62c,・・,A6xc)は、レーザーA4の照射方向
A4aと垂直な方向(図6では、X軸と平行な方向)で
ある。従って、屈折率変化部A2の長手方向は、移動方
向(A61c,A62c,・・,A6xc)の方向であ
る。また、照射開始位置(A61a,A62a,・・,
A6xa)間の距離A7は、照射終了位置(A61b,
A62b,・・,A6xb)間の距離や、焦点位置軌跡
(A61,A62,・・,A6x)間の距離(最短距
離)に相当している。従って、隣接した照射開始位置
(A61a,A62a,・・,A6xa)間の距離A7
は、格子のピッチ間隔ΛAと格子の厚みdAとを足した距
離(ΛA+dA)に相当している。
【0098】より具体的には、まず、照射開始位置A6
1aから照射終了位置A61bにかけて焦点の移動方向
A61cの方向で、レーザーA4の焦点位置を連続的に
直線的に移動させて、レーザーの照射を行う。その後、
前記照射開始位置A61aと同じX−Y面上にありかつ
X軸上の位置が同じでY軸上の位置が距離A7だけ移動
した位置である焦点開始位置A62aから、前記移動方
向A61cと平行な方向である移動方向A62cの方向
で、前記照射終了位置A61bと同一のX軸の位置とな
る照射終了位置A62bまで、レーザーA4の焦点位置
を連続的に直線的に移動させて、レーザーの照射を行
う。以下、同様にして、順次、レーザーの照射を行うこ
とにより、プラスチック構造体A11の中にピッチ間隔
ΛAの距離を保って、互いに平行な位置関係を有する複
数の屈折率変化部(A21,A22,・・,A2x)を
形成して、回折格子として利用できるプラスチック透過
型回折格子A1を作製することができる。
【0099】本発明では、屈折率変化部(A21,A2
2,・・,A2x)はそれぞれお互いに平行な位置関係
を保つように形成されていればよく、レーザーA4の焦
点の位置を、レーザーA4の照射方向A4aに対して、
平行な方向や垂直な方向や斜め方向等に移動させること
が出来る。また、本発明では、レーザーA4の焦点位置
は、連続的又は間欠的に移動させることもできる。この
様に、レーザーA4の焦点位置を移動させながら照射す
ることにより、焦点位置の移動方向に連続的に形成され
た屈折率変化部A2を形成させることが出来る。
【0100】特に、パルス幅が10-12秒以下のレーザ
ーをプラスチック構造体の内部に焦点を合わせて照射し
て、互いに平行な複数の屈折率変化部を形成した後、該
屈折率変化部間の平行間隔が変化するようにプラスチッ
ク構造体を変形させることにより、高い回折効率を有し
且つ屈折率変化部間の間隔(格子のピッチ間隔)が調整
されたプラスチック透過型回折格子(「プラスチック透
過型回折格子Aa」と称する場合がある)を作製するこ
とができる。
【0101】より具体的には、例えば、図7で示される
ように、屈折率(n)を有するプラスチック構造体Aa
11の内部における特定の部位に、パルス幅が10-12
秒以下の超短パルスレーザーの焦点を合わせてプラスチ
ック構造体Aa11の外部から照射して該焦点位置を移
動させることにより屈折率が変化した屈折率変化部Aa
2を互いに平行に複数形成し、その後、図8で示される
ように、プラスチック構造体Aa11の内部に屈折率変
化部Aa2aが形成されたプラスチック構造体Aa12
を、隣接する屈折率変化部間の平行間隔が変化するよう
に変形(例えば、収縮又は延伸、特に収縮)させること
により、プラスチック透過型回折格子Aa1を作製する
ことができる。
【0102】図7は、プラスチック透過型回折格子Aa
1を作製するために、プラスチック構造体の内部に屈折
率変化部を作製する方法の一例を示す概略図である。図
7において、Aa2a1,Aa2a2,・・,Aa2a
xは屈折率変化部であり、屈折率変化部(Aa2a1,
Aa2a2,・・,Aa2ax)を屈折率変化部Aa2
aと総称する場合がある。また、Aa11はプラスチッ
ク構造体、Aa12はプラスチック構造体Aa11に屈
折率変化部Aa2aが形成された状態のプラスチック構
造体、Aa1aはプラスチック構造体Aa11の上面、
Aa1bはプラスチック構造体Aa11の下面、Aa3
は屈折率未変化部、Aa4はパルス幅が10-12秒以下
である超短パルスレーザー(単に「レーザー」と称する
場合がある)、Aa4aはレーザーAa4の照射方向で
あり、Aa5はレンズである。プラスチック構造体Aa
11は、プラスチック透過型回折格子Aa1を作製する
ための材料となるものであり、屈折率がnであるプラス
チック材料から形成されている。そして、プラスチック
構造体Aa11の内部に屈折率変化部Aa2aが形成さ
れたものが、プラスチック構造体Aa12となる。屈折
率変化部Aa2aは、レーザーAa4の照射による影響
を受けて屈折率が変化した部位であり、隣接する同様の
屈折率変化部Aa2aと互いに平行な位置関係を有して
いる。また、屈折率未変化部Aa3は、レーザーAa4
の照射による影響を受けておらず、屈折率が変化してい
ない部位であり、元の屈折率(構造)を保持している。
すなわち、屈折率未変化部Aa3は、元の状態又は形態
を保持している。なお、プラスチック構造体Aa11の
内部に屈折率変化部Aa2aを形成させた後、該屈折率
変化部Aa2a間の平行間隔が変化するように、屈折率
変化部Aa2aを有するプラスチック構造体Aa12を
変形させたものが、プラスチック透過型回折格子Aa1
となる。従って、プラスチック透過型回折格子Aa1
は、屈折率未変化部Aa3内に、特定のピッチ間隔を隔
てて互いに平行な屈折率変化部Aa2が複数形成されて
いる形態を有している。
【0103】レーザーAa4は、プラスチック構造体A
a11に向けて、照射方向Aa4aの向きで(すなわ
ち、Z軸と平行な方向で)照射している。なお、レーザ
ーAa4はレンズAa5を用いることにより焦点を絞っ
て合わせることができる。従って、レーザーAa4の焦
点を絞って合わせる必要がない場合などでは、レンズA
a5を用いる必要がない。
【0104】また、プラスチック構造体Aa11は略直
方体であり、その上面はX−Y平面と平行(またはZ軸
と垂直)となっている。なお、プラスチック構造体Aa
11としては、直方体を用いているが、如何なる形状の
ものであってもよく、その大きさも特に制限されない。
【0105】また、図7において、Aa61a,Aa6
2a,・・,Aa6xaはそれぞれレーザーAa4の照
射をし始めたときの焦点を合わせた最初の位置又はその
中心位置(「照射開始位置」と称する場合がある)であ
る。照射開始位置(Aa61a,Aa62a,・・,A
a6xa)は、同一のX−Y面上でかつX軸上の位置が
同じであるとともに、Y軸上の位置が異なり、特定の間
隔があけられている。すなわち、照射開始位置(Aa6
1a,Aa62a,・・,Aa6xa)は、プラスチッ
ク構造体Aa11の上面Aa1aから一定の深さに設定
され、且つ同一のY軸方向に等間隔の間隔で設けられて
いる。
【0106】一方、Aa61b,Aa62b,・・,A
a6xbはそれぞれレーザーAa4の照射を終えたとき
の焦点を合わせた最終の位置又はその中心位置(「照射
終了位置」と称する場合がある)である。該照射終了位
置(Aa61b,Aa62b,・・,Aa6xb)も、
前記照射開始位置(Aa61a,Aa62a,・・,A
a6xa)と同様に、プラスチック構造体Aa11の上
面Aa1aから一定の深さに設定され、且つ同一のY軸
方向に等間隔の間隔で設けられている。
【0107】Aa61c,Aa62c,・・,Aa6x
cはそれぞれレーザーAa4の照射の焦点又はその中心
位置(単に「焦点位置」と称する場合がある)が照射開
始位置(Aa61a,Aa62a,・・,Aa6xa)
から照射終了位置(Aa61b,Aa62b,・・,A
a6xb)に移動する移動方向であり、X軸と平行な方
向である。Aa61,Aa62,・・,Aa6xはそれ
ぞれ照射開始位置(Aa61a,Aa62a,・・,A
a6xa)のレーザーAa4の照射の焦点位置又は焦点
の中心位置が移動した軌跡(「焦点位置軌跡」と称する
場合がある)である。Aa7は隣接した照射開始位置
(Aa61a,Aa62a,・・,Aa6xa)間の距
離(最短距離)である。
【0108】図7では、レーザーAa4の焦点位置を、
それぞれ、照射開始位置(Aa61a,Aa62a,・
・,Aa6xa)から照射終了位置(Aa61b,Aa
62b,・・,Aa6xb)にかけて、焦点位置の移動
方向(Aa61c,Aa62c,・・,Aa6xc)の
方向で、連続的に直線的に移動させており、該移動した
焦点位置の軌跡が焦点位置軌跡(Aa61,Aa62,
・・,Aa6x)となっている。該焦点位置軌跡(Aa
61,Aa62,・・,Aa6x)において、焦点位置
が移動した方向(Aa61c,Aa62c,・・,Aa
6xc)は、レーザーAa4の照射方向Aa4aと垂直
な方向(図7では、X軸と平行な方向)である。従っ
て、屈折率変化部Aa2の長手方向は、移動方向(Aa
61c,Aa62c,・・,Aa6xc)の方向であ
る。また、照射開始位置(Aa61a,Aa62a,・
・,Aa6xa)間の距離Aa7は、照射終了位置(A
a61b,Aa62b,・・,Aa6xb)間の距離
や、焦点位置軌跡(Aa61,Aa62,・・,Aa6
x)間の距離(最短距離)に相当している。従って、隣
接した照射開始位置(Aa61a,Aa62a,・・,
Aa6xa)間の距離Aa7は、屈折率変化部Aa2a
間の平行間隔と屈折率変化部Aa2aとを足した距離に
相当している。
【0109】より具体的には、まず、照射開始位置Aa
61aから照射終了位置Aa61bにかけて焦点の移動
方向Aa61cの方向で、レーザーAa4の焦点位置を
連続的に直線的に移動させて、レーザーの照射を行う。
その後、前記照射開始位置Aa61aと同じX−Y面上
にありかつX軸上の位置が同じでY軸上の位置が距離A
a7だけ移動した位置である焦点開始位置Aa62aか
ら、前記移動方向Aa61cと平行な方向である移動方
向Aa62cの方向で、前記照射終了位置Aa61bと
同一のX軸の位置となる照射終了位置Aa62bまで、
レーザーAa4の焦点位置を連続的に直線的に移動させ
て、レーザーの照射を行う。以下、同様にして、順次、
レーザーの照射を行うことにより、プラスチック構造体
Aa11の中に、一定の平行間隔の距離を保って、互い
に平行な位置関係を有する複数の屈折率変化部(Aa2
a1,Aa2a2,・・,Aa2ax)を形成して、プ
ラスチック構造体Aa12を作製することができる。
【0110】そして、屈折率変化部(Aa2a1,Aa
2a2,・・,Aa2ax)を有するプラスチック構造
体Aa12を、該屈折率変化部Aa2a間の平行間隔が
変化(減少又は増大)するように変形させることによ
り、図1で示されるようなプラスチック透過型回折格子
Aa1が得られる。このような変形としては、例えば、
延伸、収縮を採用することができる。本発明では、屈折
率変化部Aa2間のピッチ間隔が小さい方が好ましいの
で、変形としては収縮を好適に採用することができる。
プラスチック構造体Aa12を収縮させて変形させる際
には、例えば、プラスチック構造体Aa12に対して熱
及び/又は圧力をかけることができる。この収縮は、圧
力を必要とする強制収縮であってもよいが、熱のみによ
る収縮であることが好ましい。プラスチック構造体Aa
12を熱のみにより収縮させるためには、プラスチック
構造体Aa11として予め延伸されたものを用いること
が重要である。このように、予め延伸されているプラス
チック構造体Aa11中に屈折率変化部Aa2aを形成
してプラスチック構造体Aa12を作製し、該プラスチ
ック構造体Aa12を熱により収縮させることにより、
プラスチック透過型回折格子Aa1を作製する方法とし
ては、例えば、図8に示されているような方法が挙げら
れる。
【0111】図8はプラスチック透過型回折格子Aa1
を作製する方法の一例を示す概略図である。図8におい
て、(a)はプラスチック透過型回折格子Aa1を作製
するための材料となる延伸させたプラスチック構造体A
a11aを示しており、(b)は(a)に係る延伸させ
たプラスチック構造体Aa11aの内部に屈折率変化部
Aa2aを形成させたプラスチック構造体Aa12aを
示しており、(c)は(b)に係る屈折率変化部Aa2
aを有する延伸されているプラスチック構造体Aa12
aを収縮させて得られたプラスチック透過型回折格子A
a1を示している。
【0112】図8において、Aa1、(Aa2a1,A
a2a2,・・,Aa2ax)、Aa2a、(Aa2
1,Aa22,・・,Aa2x)、Aa2は、それぞ
れ、図7と同様である。Aa11aは予め1軸延伸され
たプラスチック構造体であり、図7におけるプラスチッ
ク構造体Aa11が予め1軸延伸されているものに相当
している。Aa12aはプラスチック構造体Aa11a
の内部に屈折率変化部Aa2aが形成された状態のプラ
スチック構造体であり、図7におけるプラスチック構造
体Aa12が1軸延伸されているものに相当している。
また、MDは延伸方向、TDは直交方向である。すなわ
ち、直交方向TDは、プラスチック構造体Aa11aに
おける1軸延伸の延伸方向MDと直交している方向であ
る。
【0113】図8に係るプラスチック透過型回折格子A
a1を作製する方法では、図8(a)で示されるような
延伸されたプラスチック構造体Aa11aに対して、図
7と同様の方法で、超短パルスレーザーを照射して、プ
ラスチック構造体Aa11aの内部に互いに平行な屈折
率変化部(Aa2a1,Aa2a2,・・,Aa2a
x)を複数形成して、図8(b)で示されるようなプラ
スチック構造体Aa12aを作製し、さらに、該屈折率
変化部Aa2aを有するプラスチック構造体Aa12a
を熱により収縮させることにより、図8(c)で示され
るようなプラスチック透過型回折格子Aa1を作製する
ことができる。
【0114】図8(a)では、プラスチック透過型回折
格子Aa1を作製するための材料としてのプラスチック
構造体としては、1軸延伸されたプラスチック構造体A
a11aが用いられているが、2軸延伸されたプラスチ
ック構造体であってもよい。また、延伸倍率としては、
特に制限されず、1軸延伸の場合、例えば、1.01〜
3倍(好ましくは1.2〜2倍)程度の範囲から選択す
ることができる。また、2軸延伸の場合、それぞれの方
向(縦方向、横方向)の延伸倍率としては、前記1軸延
伸の場合における延伸倍率と同様の範囲から選択するこ
とができる。
【0115】なお、プラスチック構造体の延伸に際して
は、熱や圧力をかけることができる。プラスチック構造
体の延伸方法としては、例えば、プラスチック構造体に
熱をかけた後、一方向又は二方向に引っ張る延伸方法を
採用することができる。
【0116】また、プラスチック構造体Aa12aの収
縮に際しては熱がかけられているが、プラスチック構造
体Aa12aを収縮させる際には熱及び/又は圧力をか
けることができる。プラスチック構造体Aa12aは予
め延伸されているので、熱(必要に応じて熱及び圧力)
をかけることによって、収縮させることができる。な
お、プラスチック構造体Aa12aが予め延伸されてい
ない場合は、屈折率変化部Aa2aを形成した後、例え
ば、熱とともに圧力をかけて強制的に収縮させることも
可能である。
【0117】なお、図8(b)では、屈折率変化部Aa
2aが延伸方向MDに対して直交する直交方向TDに平
行に並ぶような形態で形成されているが、延伸方向MD
に平行に並ぶような形態で形成されていてもよい。すな
わち、1軸延伸されたプラスチック構造体を用いる場
合、レーザーAa4の照射における焦点位置の移動方向
は、直交方向TDに平行な方向であってもよく、延伸方
向MDに平行な方向であってもよい。また、両方向(直
交方向TD及び延伸方向MD)に平行な方向でなくても
よい。しかし、図8で示されるように、1軸延伸の場合
は、直交方向TDに平行に並ぶような形態で屈折率変化
部Aa2aを形成すると、屈折率変化部Aa2a間の平
行間隔が延伸方向MDと平行な方向となるので、収縮に
より、屈折率変化部Aa2の平行間隔(ピッチ間隔)を
より一層狭めることが可能となる。
【0118】このように、本発明では、超短パルスレー
ザーの照射後に、照射により形成された互いに平行な複
数の屈折率変化部間の平行間隔が変化するように、プラ
スチック構造体を変形(例えば、延伸や収縮、特に収
縮)させることにより、本発明のプラスチック透過型回
折格子Aaを作製することができる。
【0119】なお、レーザーAa4の焦点の位置を、レ
ーザーAa4の照射方向Aa4aに対して、平行な方向
や垂直な方向や斜め方向等に移動させることが出来る。
また、レーザーAa4の焦点位置は、連続的又は間欠的
に移動させることもできる。この様に、レーザーAa4
の焦点位置を移動させながら照射することにより、焦点
位置の移動方向に連続的に形成された屈折率変化部を形
成させることが出来、照射後にプラスチック構造体に変
形を加えることにより、屈折率変化部間の間隔が調整さ
れたプラスチック透過型回折格子Aaを作製することが
できる。
【0120】(プラスチック透過型回折格子Bの作製方
法)前記プラスチック透過型回折格子B1としては、そ
の作製方法は特に制限されず、例えば、パルス幅が10
-12秒以下のレーザーをプラスチック構造体の内部に焦
点を合わせて照射して複数の屈折率変化部を形成するこ
とにより作製することができ、この照射の際に、屈折率
変化部間の間隔が一方向に変化するように照射するか、
または、照射後に、屈折率変化部間の間隔が一方向に変
化するようにプラスチック構造体を変形させること等に
より、作製することができる。すなわち、(B1)パル
ス幅が10-12秒以下のレーザーをプラスチック構造体
の内部に焦点を合わせるとともに、その焦点位置を、該
焦点位置の移動により形成される屈折率変化部間の間隔
が一方の側から他方の側にかけて変化するように移動さ
せて照射する方法、(B2)パルス幅が10-12秒以下
のレーザーをプラスチック構造体の内部に焦点を合わせ
て照射して複数の屈折率変化部を形成した後、該屈折率
変化部間の間隔が一方の側から他方の側にかけて変化す
るようにプラスチック構造体を変形させる方法などを用
いることができる。
【0121】より具体的には、前記製造方法(B1)と
しては、例えば、図9で示されるように、屈折率(n)
を有するプラスチック構造体B11の内部における特定
の部位に、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレー
ザーB4の焦点を合わせてプラスチック構造体B11の
外部から照射して該焦点位置を移動させることにより屈
折率が変化した屈折率変化部B2を複数形成し、この
際、その焦点位置を、隣接する屈折率変化部間の間隔が
一方の側から他方の側にかけて変化するように移動させ
る方法が挙げられる。
【0122】また、前記製造方法(B2)としては、例
えば、図10で示されるように、屈折率(n)を有する
プラスチック構造体B81の内部における特定の部位
に、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーの
焦点を合わせてプラスチック構造体B81の外部から照
射して該焦点位置を移動させることにより屈折率が変化
した屈折率変化部B9aを複数形成し、その後、屈折率
変化部B9aを有するプラスチック構造体B81を、隣
接する屈折率変化部間の間隔が一方の側から他方の側に
かけて変化するように変形させる方法などが挙げられ
る。
【0123】図9は本発明のプラスチック透過型回折格
子Bを作製する方法の一例を示す概略図である。図9に
おいて、B1、B1a、(B21,B22,・・,B2
x)、B2、B3は、それぞれ、図2と同様である。1
1はプラスチック構造体、B4はパルス幅が10-12
以下である超短パルスレーザー(単に「レーザー」と称
する場合がある)、B4aはレーザーB4の照射方向で
あり、B5はレンズである。プラスチック構造体B11
は、プラスチック透過型回折格子B1を作製するための
材料となるものであり、屈折率がnであるプラスチック
材料から形成されている。そして、プラスチック構造体
B11の内部に屈折率変化部B2が形成されたものが、
プラスチック透過型回折格子B1となる。屈折率変化部
B2は、レーザーB4の照射による影響を受けて屈折率
が変化した部位であり、隣接する同様の屈折率変化部B
2とその間隔が一方の側から他方の側にかけて変化して
いる関係を有している。また、屈折率未変化部B3は、
レーザーB4の照射による影響を受けておらず、屈折率
が変化していない部位であり、元の屈折率(構造)を保
持している。すなわち、屈折率未変化部B3は、元の状
態又は形態を保持している。従って、プラスチック透過
型回折格子B1は、屈折率未変化部B3内に、一方向に
変化しているピッチ間隔を隔てて屈折率変化部B2が複
数形成されている形態を有している。
【0124】レーザーB4は、プラスチック構造体B1
1に向けて、照射方向B4aの向きで(すなわち、Z軸
と平行な方向で)照射している。なお、レーザーB4は
レンズB5を用いることにより焦点を絞って合わせるこ
とができる。従って、レーザーB4の焦点を絞って合わ
せる必要がない場合などでは、レンズB5を用いる必要
がない。
【0125】また、プラスチック構造体B11は略直方
体であり、その上面はX−Y平面と平行(またはZ軸と
垂直)となっている。なお、プラスチック構造体B11
としては、直方体を用いているが、如何なる形状のもの
であってもよく、その大きさも特に制限されない。
【0126】また、図9において、B61a,B62
a,・・,B6xaはそれぞれレーザーB4の照射をし
始めたときの焦点を合わせた最初の位置又はその中心位
置(「照射開始位置」と称する場合がある)である。照
射開始位置(B61a,B62a,・・,B6xa)
は、同一のX−Y面上にあり、特定の間隔があけられて
いる。すなわち、照射開始位置(B61a,B62a,
・・,B6xa)は、プラスチック構造体B11の上面
B1aから一定の深さに設定され、且つ等間隔の間隔で
設けられている。なお、該照射開始位置(B61a,B
62a,・・,B6xa)間の間隔は、屈折率変化部
(B21,B22,・・,B2x)間の間隔の最小間隔
となっている。
【0127】一方、B61b,B62b,・・,B6x
bはそれぞれレーザーB4の照射を終えたときの焦点を
合わせた最終の位置又はその中心位置(「照射終了位
置」と称する場合がある)である。該照射終了位置(B
61b,B62b,・・,B6xb)も、前記照射開始
位置(B61a,B62a,・・,B6xa)と同様
に、プラスチック構造体B11の上面B1aから一定の
深さに設定され、且つ等間隔の間隔で設けられている。
なお、該照射終了位置(B61b,B62b,・・,B
6xb)間の間隔は、屈折率変化部(B21,B22,
・・,B2x)間の間隔の最大間隔となっている。
【0128】B61c,B62c,・・,B6xcはそ
れぞれレーザーB4の照射の焦点又はその中心位置(単
に「焦点位置」と称する場合がある)が照射開始位置
(B61a,B62a,・・,B6xa)から照射終了
位置(B61b,B62b,・・,B6xb)に移動す
る移動方向である。B61,B62,・・,B6xはそ
れぞれ照射開始位置(B61a,B62a,・・,B6
xa)のレーザーB4の照射の焦点位置又は焦点の中心
位置が移動した軌跡(「焦点位置軌跡」と称する場合が
ある)である。B7aは隣接した照射開始位置(B61
a,B62a,・・,B6xa)間の距離(最短距離)
であり、B7bは隣接した照射終了位置(B61b,B
62b,・・,B6xb)間の距離である。
【0129】図9では、レーザーB4の焦点位置を、そ
れぞれ、照射開始位置(B61a,B62a,・・,B
6xa)から照射終了位置(B61b,B62b,・
・,B6xb)にかけて、焦点位置の移動方向(B61
c,B62c,・・,B6xc)の方向で、連続的に直
線的に移動させており、該移動した焦点位置の軌跡が焦
点位置軌跡(B61,B62,・・,B6x)となって
いる。該焦点位置軌跡(B61,B62,・・,B6
x)において、焦点位置が移動した方向(B61c,B
62c,・・,B6xc)は、レーザーB4の照射方向
B4aと垂直な方向(図9では、X軸と平行な方向)で
ある。従って、屈折率変化部B2の長手方向は、移動方
向(B61c,B62c,・・,B6xc)の方向であ
る。また、照射開始位置(B61a,B62a,・・,
B6xa)間の距離B7aよりも、照射終了位置(B6
1b,B62b,・・,B6xb)間の距離B7bのほ
うが大きく、焦点位置軌跡(B61,B62,・・,B
6x)間の距離は照射開始位置(B61a,B62a,
・・,B6xa)から照射終了位置(B61b,B62
b,・・,B6xb)にかけて連続的に増加して変化し
ている。なお、隣接した照射開始位置(B61a,B6
2a,・・,B6xa)間の距離B7aは、格子のピッ
チ間隔ΛBの最小間隔Λminと格子の厚みdBとを足した
距離(Λmin+dB)に相当している。また、隣接した照
射終了位置間の距離B7bは、格子のピッチ間隔ΛB
最大間隔Λmaxと格子の厚みdBとを足した距離(Λmax
+dB)に相当している。
【0130】より具体的には、まず、照射開始位置B6
1aから照射終了位置B61bにかけて焦点の移動方向
B61cの方向で、レーザーB4の焦点位置を連続的に
直線的に移動させて、レーザーの照射を行う。その後、
前記照射開始位置B61aと同じX−Y面上にありかつ
該照射開始位置B61aから距離B7aだけ移動した位
置である焦点開始位置B62aから、移動方向B62c
の方向で、照射終了位置B62bまで、レーザーB4の
焦点位置を連続的に直線的に移動させて、レーザーの照
射を行う。以下、同様にして、順次、レーザーの照射を
行うことにより、プラスチック構造体B11の中に、一
方の側から他方の側にかけて、ピッチ間隔ΛB(Λmin
Λmax)が変化している位置関係を有する複数の屈折率
変化部(B21,B22,・・,B2x)を形成して、
回折格子として利用できるプラスチック透過型回折格子
B1を作製することができる。
【0131】図10は本発明のプラスチック透過型回折
格子Bを作製する方法の他の例を示す概略図である。図
10において、(a)はプラスチック透過型回折格子B
1を作製するための材料となるプラスチック構造体を示
しており、(b)は(a)に係るプラスチック構造体を
延伸させた状態を示しており、(c)は(b)に係る延
伸させたプラスチック構造体の内部に屈折率変化部を形
成させた状態を示しており、(d)は(c)に係る屈折
率変化部を有する延伸されたプラスチック構造体を収縮
させて得られたプラスチック透過型回折格子を示してい
る。
【0132】図10において、B8はプラスチック構造
体、B8aはプラスチック構造体B8の一方の側(固定
する側)の面、B8bはプラスチック構造体B8の他方
の側(延伸する側)の面、B81は延伸されたプラスチ
ック構造体(「延伸プラスチック構造体」と称する場合
がある)、B8cは延伸プラスチック構造体B81の延
伸した方の面、B82は収縮されたプラスチック構造体
(「収縮プラスチック構造体」と称する場合がある)、
B8dは収縮プラスチック構造体B82の収縮した方の
面である。また、(B9a1,B9a2,・・,B9a
x)は延伸プラスチック構造体B81における屈折率変
化部(「屈折率変化部B9a」と総称する場合がある)
であり、(B9b1,B9b2,・・,B9bx)は収
縮プラスチック構造体B82における屈折率変化部
(「屈折率変化部B9b」と総称する場合がある)であ
る。さらに、DB8はプラスチック構造体B8の幅、D
B81は延伸プラスチック構造体B81の延伸した方の面
B8cの幅、DB82は収縮プラスチック構造体B82の
収縮した方の面B8dの幅である。なお、プラスチック
構造体B8は、前記図9に係るプラスチック構造体B1
1と同様のものである。
【0133】図10に係るプラスチック透過型回折格子
Bを作製する方法では、図10(a)で示されるような
プラスチック構造体B8の一方の側の面B8aを固定し
て、他方の面B8bを延伸させることにより、図10
(b)で示されるような延伸プラスチック構造体B81
を作製する。その後、図9と同様の方法で、超短パルス
レーザーを照射して、延伸プラスチック構造体B81の
内部に屈折率変化部B9aを複数作製する。なお、この
際、屈折率変化部B9a間の間隔は、一方の側から他方
の側にかけて変化していないことが好ましい。すなわ
ち、屈折率変化部B9aは互いに平行な関係を有してい
ることが好ましい。そして、屈折率変化部B9aを有す
る延伸プラスチック構造体B81を収縮させて、収縮プ
ラスチック構造体B82を作製することにより、プラス
チック構造体B82の中に、一方の側から他方の側にか
けて、ピッチ間隔ΛB(Λmin〜Λmax)が変化している
位置関係を有する複数の屈折率変化部(B9b1,B9
b2,・・,B9bx)が形成された、回折格子として
利用できるプラスチック透過型回折格子B82を作製す
ることができる。
【0134】なお、プラスチック構造体B8の延伸に際
しては、熱や圧力をかけることができる。プラスチック
構造体B8の延伸方法としては、例えば、プラスチック
構造体B8に熱をかけた後、一方の側の面B8aを固定
し、他方の側の面B8bを引っ張ることにより、延伸を
行うことができる。この延伸では、少なくともピッチ間
隔の方向に延伸されていることが重要である。このよう
に、ピッチ間隔の方向に延伸されていると、後の収縮
で、ピッチ間隔が縮まり、ピッチ間隔を一方向に変化さ
せることが可能となる。
【0135】また、延伸プラスチック構造体B81の収
縮に際しても、熱や圧力をかけることができる。例え
ば、延伸プラスチック構造体B81に熱をかけて、収縮
をさせることにより、収縮を行うことができる。なお、
本発明では、屈折率変化部を複数有するプラスチック構
造体を収縮させて、一方の側から他方の側にかけて、ピ
ッチ間隔ΛB(Λmin〜Λmax)が変化している位置関係
を有する複数の屈折率変化部を形成させる際には、図1
0で示されているように、屈折率変化部B9aを複数有
するプラスチック構造体B81は、屈折率変化部B9a
を形成させる前に予めプラスチック構造体B81の所定
部位が延伸されていてもよく(例えば、延伸させる割合
が部位により異なるようにして延伸されていてもよ
く)、すべての部位が延伸されていなくてもよい。延伸
されている場合は、例えば、前述のように熱をかけるこ
とによる熱収縮を利用して、図10(d)で示されるよ
うな屈折率変化部間の間隔が一方の側から他方の側にか
けて変化しているプラスチック透過型回折格子を作製す
ることができる。一方、延伸されていない場合は、屈折
率変化部B9aを形成した後、例えば、熱及び/又は圧
力をかけることにより、所定部位を収縮させて又は収縮
させる割合を部位により変化するような形態で収縮させ
て、本発明のプラスチック透過型回折格子Bを作製する
ことができる。しかし、図10(b)や(c)で示され
ているように、延伸されている(特に、不均一に延伸さ
れている)ことが好ましい。その延伸の程度(延伸倍
率)としては、特に制限されない。該延伸倍率として
は、例えば、延伸後の辺の長さが延伸前の辺の長さに対
して1.01〜3倍(好ましくは1.2〜2倍)程度で
あるような倍率であってもよい。
【0136】なお、本発明では、一方の側から他方の側
にかけて、ピッチ間隔ΛB(Λmin〜Λmax)が変化して
いる位置関係を有する複数の屈折率変化部を形成させる
方法として、屈折率変化部を複数有するプラスチック構
造体を延伸させる方法も用いることができる。
【0137】このように、本発明では、超短パルスレー
ザーの照射後に、照射により形成された複数の屈折率変
化部間の間隔が一方向に変化するように、プラスチック
構造体を変形(例えば、延伸や収縮など)させることに
よっても、本発明のプラスチック透過型回折格子Bを作
製することができる。
【0138】本発明では、屈折率変化部(例えば、図9
ではB21,B22,・・,B2xで示されている)
は、最終的にその間隔が一方の側から他方の側にかけて
変化して形成されればよく、レーザーB4の焦点の位置
を、レーザーB4の照射方向B4aに対して、平行な方
向や垂直な方向や斜め方向等に移動させることが出来
る。また、本発明では、レーザーB4の焦点位置は、連
続的又は間欠的に移動させることもできる。この様に、
レーザーB4の焦点位置を移動させながら照射すること
により、焦点位置の移動方向に連続的に形成された屈折
率変化部を形成させることが出来、必要に応じて照射後
にプラスチック構造体に変形を加えることにより、一方
向に屈折率変化部間の間隔が変化しているプラスチック
透過型回折格子Bを作製することができる。
【0139】(プラスチック透過型回折格子Cの作製方
法)前記プラスチック透過型回折格子C1は、前記プラ
スチック透過型回折格子A1の作製方法と同様の方法に
して、例えば、パルス幅が10-12秒以下のレーザーを
プラスチック構造体の内部に焦点を合わせて照射して複
数の屈折率変化部を形成することにより作製することが
できる。具体的には、前記プラスチック透過型回折格子
C1は、パルス幅が10-12秒以下のレーザーをプラス
チック構造体の内部に焦点を合わせるとともに、その焦
点位置を、該焦点位置の移動により形成される屈折率変
化部が互いに平行な複数のものと、前記屈折率変化部に
対して交差し且つ互い平行な複数のものとができるよう
に移動させて照射することにより、製造することができ
る。より具体的には、例えば、図11で示されるよう
に、プラスチック透過型回折格子C1は、屈折率(n)
を有するプラスチック構造体C11の内部における特定
の部位に、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレー
ザーC4の焦点を合わせてプラスチック構造体C11の
外部から照射して該焦点位置を移動させることにより、
屈折率が変化した屈折率変化部C2aを互いに平行に複
数形成させた後、さらに、屈折率変化部C2bを、前記
屈折率変化部C2aに対して互いに交差し、且つ該屈折
率変化部C2b内では互いに平行になるように複数形成
させて、作製することができる。
【0140】図11は本発明のプラスチック透過型回折
格子Cを作製する方法の一例を示す概略図である。図1
1において、C1a、(C2a1,C2a2,・・,C
2ax)、C2a、C3は、それぞれ、図3と同様であ
る。C11はプラスチック構造体、C12はプラスチッ
ク構造体C11に屈折率変化部C2aのみが形成された
状態のプラスチック構造体、C4はパルス幅が10-12
秒以下である超短パルスレーザー(単に「レーザー」と
称する場合がある)、C4aはレーザーC4の照射方向
であり、C5はレンズである。プラスチック構造体C1
1は、プラスチック透過型回折格子C1を作製するため
の材料となるものであり、屈折率がnであるプラスチッ
ク材料から形成されている。そして、プラスチック構造
体C11の内部に屈折率変化部C2aが形成されてプラ
スチック構造体C12となり、さらに該プラスチック構
造体C12に屈折率変化部C2bが形成されたものが、
プラスチック透過型回折格子C1となる。屈折率変化部
C2(C2a,C2b)は、レーザーC4の照射による
影響を受けて屈折率が変化した部位であり、屈折率変化
部C2a内では、隣接する同様の屈折率変化部(C2a
1,C2a2,・・,C2ax)は互いに平行な位置関
係を有しているとともに、屈折率変化部C2b内では、
隣接する同様の屈折率変化部(C2b1,C2b2,・
・,C2bx)は互いに平行な位置関係を有し、且つ屈
折率変化部C2aと屈折率変化部C2bとは交差してい
る(図3では直交している)位置関係を有している。ま
た、屈折率未変化部C3は、レーザーC4の照射による
影響を受けておらず、屈折率が変化していない部位であ
り、元の屈折率(構造)を保持している。すなわち、屈
折率未変化部C3は、元の状態又は形態を保持してい
る。従って、プラスチック透過型回折格子C1は、屈折
率未変化部C3内に、特定のピッチ間隔を隔てて互いに
平行な屈折率変化部C2aと、特定のピッチ間隔を隔て
て互いに平行な屈折率変化部C2bとが複数形成されて
いるとともに、屈折率変化部C2aと屈折率変化部C2
bとが交差(特に直交)している形態を有している。
【0141】レーザーC4は、プラスチック構造体C1
1に向けて、照射方向C4aの向きで(すなわち、Z軸
と平行な方向で)照射している。なお、レーザーC4は
レンズC5を用いることにより焦点を絞って合わせるこ
とができる。従って、レーザーC4の焦点を絞って合わ
せる必要がない場合などでは、レンズC5を用いる必要
がない。
【0142】また、プラスチック構造体C11は略直方
体であり、その上面はX−Y平面と平行(またはZ軸と
垂直)となっている。なお、プラスチック構造体C11
としては、直方体を用いているが、如何なる形状のもの
であってもよく、その大きさも特に制限されない。
【0143】また、図11において、C61a,C62
a,・・,C6xaはそれぞれレーザーC4の照射をし
始めたときの焦点を合わせた最初の位置又はその中心位
置(「照射開始位置」と称する場合がある)である。照
射開始位置(C61a,C62a,・・,C6xa)
は、同一のX−Y面上でかつX軸上の位置が同じである
とともに、Y軸上の位置が異なり、特定の間隔があけら
れている。すなわち、照射開始位置(C61a,C62
a,・・,C6xa)は、プラスチック構造体C11の
上面C1aから一定の深さに設定され、且つ同一のY軸
方向に等間隔の間隔で設けられている。
【0144】一方、C61b,C62b,・・,C6x
bはそれぞれレーザーC4の照射を終えたときの焦点を
合わせた最終の位置又はその中心位置(「照射終了位
置」と称する場合がある)である。該照射終了位置(C
61b,C62b,・・,C6xb)も、前記照射開始
位置(C61a,C62a,・・,C6xa)と同様
に、プラスチック構造体C11の上面C1aから一定の
深さに設定され、且つ同一のY軸方向に等間隔の間隔で
設けられている。
【0145】C61c,C62c,・・,C6xcはそ
れぞれレーザーC4の照射の焦点又はその中心位置(単
に「焦点位置」と称する場合がある)が照射開始位置
(C61a,C62a,・・,C6xa)から照射終了
位置(C61b,C62b,・・,C6xb)に移動す
る移動方向であり、X軸と平行な方向である。C61,
C62,・・,C6xはそれぞれ照射開始位置(C61
a,C62a,・・,C6xa)のレーザーC4の照射
の焦点位置又は焦点の中心位置が移動した軌跡(「焦点
位置軌跡」と称する場合がある)である。C7は隣接し
た照射開始位置(C61a,C62a,・・,C6x
a)間の距離(最短距離)である。
【0146】図11では、レーザーC4の焦点位置を、
それぞれ、照射開始位置(C61a,C62a,・・,
C6xa)から照射終了位置(C61b,C62b,・
・,C6xb)にかけて、焦点位置の移動方向(C61
c,C62c,・・,C6xc)の方向で、連続的に直
線的に移動させており、該移動した焦点位置の軌跡が焦
点位置軌跡(C61,C62,・・,C6x)となって
いる。該焦点位置軌跡(C61,C62,・・,C6
x)において、焦点位置が移動した方向(C61c,C
62c,・・,C6xc)は、レーザーC4の照射方向
C4aと垂直な方向(図11では、X軸と平行な方向)
である。従って、屈折率変化部C2aの長手方向は、移
動方向(C61c,C62c,・・,C6xc)の方向
である。また、照射開始位置(C61a,C62a,・
・,C6xa)間の距離C7は、照射終了位置(C61
b,C62b,・・,C6xb)間の距離や、焦点位置
軌跡(C61,C62,・・,C6x)間の距離(最短
距離)に相当している。従って、隣接した照射開始位置
(C61a,C62a,・・,C6xa)間の距離C7
は、格子のピッチ間隔ΛCと格子の厚みdCとを足した距
離(ΛC+dC)に相当している。
【0147】より具体的には、まず、照射開始位置C6
1aから照射終了位置C61bにかけて焦点の移動方向
C61cの方向で、レーザーC4の焦点位置を連続的に
直線的に移動させて、レーザーの照射を行う。その後、
前記照射開始位置C61aと同じX−Y面上にありかつ
X軸上の位置が同じでY軸上の位置が距離C7だけ移動
した位置である焦点開始位置C62aから、前記移動方
向C61cと平行な方向である移動方向C62cの方向
で、前記照射終了位置C61bと同一のX軸の位置とな
る照射終了位置C62bまで、レーザーC4の焦点位置
を連続的に直線的に移動させて、レーザーの照射を行
う。以下、同様にして、順次、レーザーの照射を行うこ
とにより、プラスチック構造体C11の中にピッチ間隔
ΛCの距離を保って、互いに平行な位置関係を有する複
数の屈折率変化部(C2a1,C2a2,・・,C2a
x)を形成する。そして、前記屈折率変化部(C2a
1,C2a2,・・,C2ax)のレーザーの照射によ
る作製方法と同様にして、該屈折率変化部(C2a1,
C2a2,・・,C2ax)と交差するとともに、互い
に平行な位置関係を有している複数の屈折率変化部(C
2b1,C2b2,・・,C2bx)を形成させること
により、回折格子として利用できるプラスチック透過型
回折格子C1を作製することができる。
【0148】本発明では、屈折率変化部(C2a1,C
2a2,・・,C2ax)や屈折率変化部(C2b1,
C2b2,・・,C2bx)は、屈折率変化部C2a又
は屈折率変化部C2b内で、それぞれお互いに平行な位
置関係を保つように形成され、且つ屈折率変化部C2a
と屈折率変化部C2bとが交差するように形成されてい
ればよく、レーザーC4の焦点の位置を、レーザーC4
の照射方向C4aに対して、平行な方向や垂直な方向や
斜め方向等に移動させることが出来る。また、本発明で
は、レーザーC4の焦点位置は、連続的又は間欠的に移
動させることもできる。この様に、レーザーC4の焦点
位置を移動させながら照射することにより、焦点位置の
移動方向に連続的に形成された屈折率変化部C2aや屈
折率変化部C2bを形成させることが出来る。
【0149】(プラスチック透過型回折格子Dの作製方
法)前記プラスチック透過型回折格子D1は、前記プラ
スチック透過型回折格子A1の作製方法と同様の方法に
して、例えば、パルス幅が10-12秒以下のレーザーを
プラスチック構造体の内部に焦点を合わせて、その焦点
位置を移動させて照射することにより屈折率変化部を形
成し、さらに、屈折率変化部が特定の位置関係を有する
ように屈折率変化部を複数形成することにより、作製す
ることができる。
【0150】この際、パルス幅が10-12秒以下のレー
ザーは、単数で用いても、複数で用いてもよい。しか
し、パルス幅が10-12秒以下のレーザーを照射する際
には、1光束で照射すること(すなわち、複数のレーザ
ーを多方向から照射して、その交点又はその近傍に屈折
率変化部を形成するような光の干渉を利用せずに照射す
ること)が好ましい。このように、レーザーを1光束で
(又は単一で)照射することにより、屈折率変化部の奥
行き長さLを長くすることができ、より大きな屈折率変
化部を形成することができる。また、略直方体の屈折率
変化部を形成することも可能となる。
【0151】具体的には、前記プラスチック透過型回折
格子D1は、例えば、パルス幅が10-12秒以下のレー
ザーをプラスチック構造体の内部に焦点を合わせるとと
もに、その焦点位置を、該焦点位置の移動により形成さ
れる屈折率変化部を互いに平行に複数有している格子群
がそれぞれ層状となるように、且つ各格子群中の互いに
平行な複数の屈折率変化部における互いに対向している
面の面方向が、隣接する格子群の間で互いに非平行とな
るように、移動させて照射する(特に、1光束照射で照
射する)ことにより、製造することができる。
【0152】さらに具体的には、例えば、図12で示さ
れるように、プラスチック透過型回折格子D1は、屈折
率(n)を有するプラスチック構造体D12の内部にお
ける特定の部位に、パルス幅が10-12秒以下の超短パ
ルスレーザーD5の焦点を合わせてプラスチック構造体
D12の外部から1光束で照射して該焦点位置を移動さ
せることにより、屈折率が変化した屈折率変化部D2b
を互いに平行に複数形成させた後、さらに、前記屈折率
変化部D2bより上方又は表面側に、屈折率変化部D2
aを互いに平行に複数形成するとともに、該互いに平行
な複数の屈折率変化部D2aにおける互いに対向してい
る面FD2aの面方向が、前記互いに平行な複数の屈折率
変化部D2bにおける互いに対向している面FD2bの面
方向と異なっているように形成させて、作製することが
できる。
【0153】図12は図4に係るプラスチック透過型回
折格子D1を作製する方法の一例を示す概略図である。
図12において、D1、D1a、(D2a1,D2a
2,・・,D2ax)、D2a、D3a、(D2b1,
D2b2,・・,D2bx)、D2b、D3b、
D2a、FD2bは、それぞれ、図4と同様である。D12
はプラスチック構造体、D5はパルス幅が10-12秒以
下である超短パルスレーザー(単に「レーザー」と称す
る場合がある)、D5aはレーザーD5の照射方向であ
り、D6はレンズである。プラスチック構造体D12
は、プラスチック透過型回折格子D1を作製するための
材料となるものであり、屈折率がnであるプラスチック
材料から形成されている。そして、プラスチック構造体
D12の内部に格子群D3aと、格子群D3bとが形成
されたものが、プラスチック透過型回折格子D1とな
る。屈折率変化部D2(D2a,D2b)は、レーザー
D5の照射による影響を受けて屈折率が変化した部位で
あり、格子群D3a内では、隣接する屈折率変化部(D
2a1,D2a2,・・,D2ax)は互いに平行な位
置関係を有しているとともに、格子群D3b内では、隣
接する屈折率変化部(D2b1,D2b2,・・,D2
bx)は互いに平行な位置関係を有し、且つ格子群D3
a中の屈折率変化部(D2a1,D2a2,・・,D2
ax)における互いに対向している面FD2aの面方向
と、格子群D3b中の屈折率変化部(D2b1,D2b
2,・・,D2bx)における互いに対向している面F
D2bの面方向とは非平行な[図4ではこれら2つの面方
向間の面角は90°となっている]位置関係を有してい
る。また、屈折率未変化部D4は、レーザーD5の照射
による影響を受けておらず、屈折率が変化していない部
位であり、元の屈折率(構造)を保持している。すなわ
ち、屈折率未変化部D4は、元の状態又は形態を保持し
ている。従って、プラスチック透過型回折格子D1は、
屈折率未変化部D4内に、特定のピッチ間隔を隔てて互
いに平行な屈折率変化部(D2a1,D2a2,・・,
D2ax)からなる格子群D3aと、特定のピッチ間隔
を隔てて互いに平行な屈折率変化部(D2b1,D2b
2,・・,D2bx)からなる格子群D3bとが、格子
群D3a中の屈折率変化部(D2a1,D2a2,・
・,D2ax)における互いに対向している面FD2a
面方向と、格子群D3b中の屈折率変化部(D2b1,
D2b2,・・,D2bx)における互いに対向してい
る面FD2bの面方向とが非平行な位置関係で、形成され
ている(積層されている)。
【0154】レーザーD5は1光束でプラスチック構造
体D12に向けて、照射方向D5aの向きで(すなわ
ち、Z軸と平行な方向で)照射している。なお、レーザ
ーD5はレンズD6を用いることにより焦点を絞って合
わせることができる。従って、レーザーD5の焦点を絞
って合わせる必要がない場合などでは、レンズD6を用
いる必要がない。
【0155】また、プラスチック構造体D12は略直方
体であり、その上面はX−Y平面と平行(またはZ軸と
垂直)となっている。なお、プラスチック構造体D12
としては、直方体を用いているが、如何なる形状のもの
であってもよく、その大きさも特に制限されない。
【0156】また、図12において、D71a,D72
a,・・,D7xaは、格子群D3bを形成するため
に、それぞれレーザーD5の照射をし始めたときの焦点
を合わせた最初の位置又はその中心位置(「照射開始位
置」と称する場合がある)である。照射開始位置(D7
1a,D72a,・・,D7xa)は、同一のX−Y面
上でかつX軸上の位置が同じであるとともに、Y軸上の
位置が異なり、特定の間隔があけられている。すなわ
ち、照射開始位置(D71a,D72a,・・,D7x
a)は、プラスチック構造体D12の上面D1aから一
定の深さに設定され、且つ同一のY軸方向に等間隔の間
隔で設けられている。
【0157】一方、D71b,D72b,・・,D7x
bはそれぞれレーザーD5の照射を終えたときの焦点を
合わせた最終の位置又はその中心位置(「照射終了位
置」と称する場合がある)である。該照射終了位置(D
71b,D72b,・・,D7xb)も、前記照射開始
位置(D71a,D72a,・・,D7xa)と同様
に、プラスチック構造体D12の上面D1aから一定の
深さに設定され、且つ同一のY軸方向に等間隔の間隔で
設けられている。
【0158】D71c,D72c,・・,D7xcはそ
れぞれレーザーD5の照射の焦点又はその中心位置(単
に「焦点位置」と称する場合がある)が照射開始位置
(D71a,D72a,・・,D7xa)から照射終了
位置(D71b,D72b,・・,D7xb)に移動す
る移動方向であり、X軸と平行な方向である。D71,
D72,・・,D7xはそれぞれ照射開始位置(D71
a,D72a,・・,D7xa)のレーザーD5の照射
の焦点位置又は焦点の中心位置が移動した軌跡(「焦点
位置軌跡」と称する場合がある)である。D8は隣接し
た照射開始位置(D71a,D72a,・・,D7x
a)間の距離(最短距離)である。
【0159】図12では、レーザーD5の焦点位置を、
それぞれ、照射開始位置(D71a,D72a,・・,
D7xa)から照射終了位置(D71b,D72b,・
・,D7xb)にかけて、焦点位置の移動方向(D71
c,D72c,・・,D7xc)の方向で、連続的に直
線的に移動させており、該移動した焦点位置の軌跡が焦
点位置軌跡(D71,D72,・・,D7x)となって
いる。該焦点位置軌跡(D71,D72,・・,D7
x)において、焦点位置が移動した方向(D71c,D
72c,・・,D7xc)は、レーザーD5の照射方向
D5aと垂直な方向(図12では、X軸と平行な方向)
である。従って、屈折率変化部D2bの長手方向は、移
動方向(D71c,D72c,・・,D7xc)の方向
(X軸と平行な方向)であり、一方、屈折率変化部D2
bにおける互いに対向している面の面方向は、X−Z平
面と平行な方向である。
【0160】また、照射開始位置(D71a,D72
a,・・,D7xa)間の距離D8は、照射終了位置
(D71b,D72b,・・,D7xb)間の距離や、
焦点位置軌跡(D71,D72,・・,D7x)間の距
離(最短距離)に相当している。従って、隣接した照射
開始位置(D71a,D72a,・・,D7xa)間の
距離D8は、格子のピッチ間隔ΛDと格子の厚みdDとを
足した距離(ΛD+dD)に相当している。
【0161】より具体的には、まず、照射開始位置D7
1aから照射終了位置D71bにかけて焦点の移動方向
D71cの方向で、レーザーD5の焦点位置を連続的に
直線的に移動させて、レーザーの照射を行う。その後、
前記照射開始位置D71aと同じX−Y面上にありかつ
X軸上の位置が同じでY軸上の位置が距離D8だけ移動
した位置である焦点開始位置D72aから、前記移動方
向D71cと平行な方向である移動方向D72cの方向
で、前記照射終了位置D71bと同一のX軸の位置とな
る照射終了位置D72bまで、レーザーD5の焦点位置
を連続的に直線的に移動させて、レーザーの照射を行
う。以下、同様にして、順次、レーザーの照射を行うこ
とにより、プラスチック構造体D12の中にピッチ間隔
ΛDの距離を保って、互いに平行な位置関係を有する複
数の屈折率変化部(D2b1,D2b2,・・,D2b
x)を形成して、格子群D3bを形成する。そして、前
記格子群D3bの屈折率変化部(D2b1,D2b2,
・・,D2bx)のレーザーの照射による作製方法と同
様にして、照射開始位置のプラスチック構造体D12の
上面からの深さや、焦点位置が移動する方向などを適宜
調整してレーザーを照射して、互いに平行な位置関係を
有する複数の屈折率変化部(D2a1,D2a2,・
・,D2ax)からなる格子群D3aを、該格子群D3
aの屈折率変化部(D2a1,D2a2,・・,D2a
x)における互いに対向している面の面方向が、前記格
子群D3bの屈折率変化部(D2b1,D2b2,・
・,D2bx)における互いに対向している面の面方向
と非平行な方向[図4ではこれら2つの面方向間の面角
は90°となっている]となるように形成させることに
より、回折格子として利用できるプラスチック透過型回
折格子D1を作製することができる。
【0162】図12では、格子群(D3a,D3b)の
うち、レーザーD5を照射している側の面D1aから見
て下層側(遠方側)である格子群D3bを、上層側(近
方側)である格子群D3aより先に形成している。これ
は、上層側の格子群D3aを先に形成すると、後で下層
側の格子群D3bを形成する際のレーザーD5の照射に
よる影響を、先に形成されている格子群D3aが受ける
可能性があるためである。従って、本発明では、レーザ
ーの照射する側の面から最も遠い側(最下層側)の格子
群から順に、格子群をそれぞれ層状に複数形成すること
が好ましい。
【0163】なお、図5で示されるプラスチック透過型
回折格子D11は、前記プラスチック透過型回折格子D
1の作製方法と同様にして、例えば、屈折率(n)を有
するプラスチック構造体の内部における特定の部位に、
パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーの焦点
を合わせてプラスチック構造体の外部から1光束で照射
して該焦点位置を移動させることにより、屈折率が変化
した屈折率変化部D2cを互いに平行に複数形成させた
後、さらに、前記屈折率変化部D2cより上方又は表面
側に、屈折率変化部D2bを互いに平行に複数形成する
とともに、該互いに平行な複数の屈折率変化部D2bに
おける互いに対向している面FD2bの面方向が、前記互
いに平行な複数の屈折率変化部D2cにおける互いに対
向している面FD2cの面方向と異なっているように形成
させ、さらにまた、前記屈折率変化部D2bより上方又
は表面側に、屈折率変化部D2aを互いに平行に複数形
成するとともに、該互いに平行な複数の屈折率変化部D
2aにおける互いに対向している面FD2aの面方向が、
前記互いに平行な複数の屈折率変化部D2bにおける互
いに対向している面FD2bの面方向と異なっているよう
に形成させて、作製することができる。
【0164】本発明のプラスチック透過型回折格子Dで
は、各格子群において、屈折率変化部が互いに平行な位
置関係を保つように形成されていればよく、レーザーD
5の焦点の位置を、レーザーD5の照射方向D5aに対
して、平行な方向や垂直な方向や斜め方向等に移動させ
ることが出来る。また、本発明では、レーザーD5の焦
点位置は、連続的又は間欠的に移動させることもでき
る。この様に、レーザーD5の焦点位置を移動させなが
ら照射することにより、焦点位置の移動方向に連続的に
形成された屈折率変化部D2を形成させることが出来
る。
【0165】(2光束干渉による作製方法)本発明で
は、超短パルスレーザーは、単数で用いてもよく、複数
で用いてもよい。すなわち、超短パルスレーザーを照射
する際には、1光束で照射する方法や、多光束干渉で照
射する方法を採用することができる。ここで、多光束干
渉で照射する方法とは、複数のレーザーを多方向から照
射して、その交点又はその近傍に誘起構造部を形成する
ような光の干渉を利用して照射する方法を意味してお
り、一光束で照射する方法とは、前記のような光の干渉
を利用せずに、単一のレーザー(単光源)で照射する方
法を意味している。例えば、2光束干渉でレーザーを照
射する方法としては、2台のレーザーを用いて照射する
方法や、ビームスプリッター(例えば、ハーフミラー、
プリズム、グレーティングなど)を用いて1台のレーザ
ーによる光を分光して照射する方法などを採用すること
ができる。
【0166】本発明では、特に、パルス幅が10-12
以下の超短パルスレーザーを1光束で照射することによ
り、屈折率変化部の奥行き長さ(例えば、図4で示され
るように互いに平行な複数の屈折率変化部を有する格子
群が形成されている場合、各格子群中の各屈折率変化部
の奥行き長さLD)を長くすることができる。一方、2
光束干渉などの多光束干渉で照射することにより、屈折
率変化部の奥行き長さ(例えば、図4で示されるように
互いに平行な複数の屈折率変化部を有する格子群が形成
されている場合、各格子群中の各屈折率変化部の奥行き
長さLD)を短くすることができる。
【0167】従って、プラスチック透過型回折格子が、
屈折率が変化した互いに平行な複数の屈折率変化部を有
するとともに、該互いに平行な複数の屈折率変化部を有
する格子群を複数有し、且つ前記複数の格子群がそれぞ
れ層状に形成されているとともに、各格子群中の互いに
平行な複数の屈折率変化部における互いに対向している
面の面方向が、隣接する格子群の間で互いに非平行とな
っているプラスチック透過型回折格子の場合(具体的に
は、前記プラスチック透過型回折格子D1などのような
場合)、パルス幅が10-12秒以下のレーザーをプラス
チック構造体の内部に焦点を合わせて、その焦点位置を
移動させて照射することにより屈折率変化部を形成し、
さらに、屈折率変化部が特定の位置関係を有するように
屈折率変化部を複数形成する際に、パルス幅が10-12
秒以下のレーザーを複数用いて、多方向から光を照射
し、その交点又はその近傍に屈折率変化部を形成する多
光束干渉(特に、2方向から光を照射して行う2光束干
渉)を利用して照射することが好ましい。
【0168】このように、レーザーを多光束干渉で(例
えば、2光束干渉で)照射することにより、屈折率変化
部の奥行き長さ(LA、LB、LC、LDなど)を短くする
ことができ、より小さな屈折率変化部を形成することが
できる。さらにまた、2光束干渉等の多光束干渉を利用
することにより、1光束の場合に比べ、屈折率変化部を
形成する位置の位置決めや、屈折率変化部の大きさのコ
ントロールが行いやすくなる。
【0169】(プラスチック透過型回折格子Da及びそ
の作製方法)例えば、プラスチック透過型回折格子が、
屈折率が変化した互いに平行な複数の屈折率変化部を有
するとともに、該互いに平行な複数の屈折率変化部を有
する格子群を複数有し、且つ前記複数の格子群がそれぞ
れ層状に形成されているとともに、各格子群中の互いに
平行な複数の屈折率変化部における互いに対向している
面の面方向が、隣接する格子群の間で互いに非平行とな
っているプラスチック透過型回折格子の場合、例えば、
図13や図14で示されるような、各格子群中の各屈折
率変化部の奥行き長さが短くなっているプラスチック透
過型回折格子(「プラスチック透過型回折格子Da」と
称する場合がある)は、図15で示されるように、パル
ス幅が10-12秒以下のレーザーを2光束干渉でプラス
チック構造体に照射して屈折率変化部を形成することに
より、作製することができる。
【0170】図13は本発明のプラスチック透過型回折
格子Dの他の例を示す概略鳥瞰図である。図13は、プ
ラスチック透過型回折格子Daの一例を示している。図
13において、Da1はプラスチック透過型回折格子、
Da1aは光が入射する入射面(上面)、Da1bは下
面である。Da2a1,Da2a2,・・,Da2ax
はそれぞれ屈折率変化部(回折格子)であり、これらの
屈折率変化部(Da2a1,Da2a2,・・,Da2
ax)は、Y軸方向と平行な方向で、互いに平行な位置
関係で形成されている。FDa2aは、屈折率変化部(D
a2a1,Da2a2,・・,Da2ax)における互
いに対向している面であり、該面FDa2aの面方向はY−
Z平面と平行な方向となっている。Da3aは格子群で
あり、屈折率変化部(Da2a1,Da2a2,・・,
Da2ax)を有している。また、Da2b1,Da2
b2,・・,Da2bxはそれぞれ屈折率変化部(回折
格子)であり、これらの屈折率変化部(Da2b1,D
a2b2,・・,Da2bx)は、X軸と平行な方向
で、互いに平行な位置関係で形成されている。F
Da2bは、屈折率変化部(Da2b1,Da2b2,・
・,Da2bx)における互いに対向している面であ
り、該面FDa2bの面方向はX−Z平面と平行な方向とな
っている。Da3bは格子群であり、屈折率変化部(D
a2b1,Da2b2,・・,Da2bx)を有してい
る。
【0171】さらにまた、Da4は屈折率未変化部であ
る。また、ΛDaは各格子群中の平行に隣接した屈折率変
化部Da2間の平行間隔(ピッチ間隔)、LDaは屈折率
変化部Da2の奥行き長さ、dDaは屈折率変化部Da2
の厚み、WDaは屈折率変化部Da2の幅を示す。
【0172】また、図14は本発明のプラスチック透過
型回折格子Dの他の例を示す概略鳥瞰図である。具体的
には、図14は、プラスチック透過型回折格子Daの他
の例を示している。図14において、Da11はプラス
チック透過型回折格子、Da11aは光が入射する入射
面(上面)、Da11bは下面である。Da2c1,D
a2c2,・・,Da2cxはそれぞれ屈折率変化部
(回折格子)であり、これらの屈折率変化部(Da2c
1,Da2c2,・・,Da2cx)は、X−Y平面上
においてX軸と55°をなす角度の方向で、互いに平行
な位置関係で形成されている。FDa2cは、屈折率変化部
(Da2c1,Da2c2,・・,Da2cx)におけ
る互いに対向している面であり、該面FDa2cの面方向は
X−Z平面と55°の面角をなす方向となっている。D
a3cは格子群であり、屈折率変化部(Da2c1,D
a2c2,・・,Da2cx)を有している。なお、
(Da2a1,Da2a2,・・,Da2ax)、(D
a2b1,Da2b2,・・,Da2bx)、FDa2a
Da2b、Da4、ΛDa、LDa、dDa、WDaなどは、図1
3と同様である。
【0173】図13及び14において、屈折率変化部
(Da2a1,Da2a2,・・,Da2ax)を屈折
率変化部Da2aと総称する場合がある。屈折率変化部
(Da2b1,Da2b2,・・,Da2bx)を屈折
率変化部Da2bと総称する場合がある。屈折率変化部
(Da2c1,Da2c2,・・,Da2cx)を屈折
率変化部Da2cと総称する場合がある。また、屈折率
変化部(Da2a,Da2b,Da2c,・・)を屈折
率変化部Da2と総称する場合がある。さらにまた、格
子群(Da3a,Da3b,Da3c,・・)を格子群
Da3と総称する場合がある。各格子群中の屈折率変化
部における互いに対向している面(FDa2a,FDa2b,F
Da2c,・・)を、面FDa2と総称する場合がある。
【0174】図13又は14に係るプラスチック透過型
回折格子(Da1,Da11)は、略直方体であり、そ
の上面は、X−Y平面に対して平行(またはZ軸に対し
て垂直)となっている。このプラスチック透過型回折格
子(Da1,Da11)は、層状に形成された(積層さ
れた)複数の格子群Da3を有しており、例えば、プラ
スチック透過型回折格子Da1では、格子群Da3a及
び格子群Da3bがそれぞれ層状に形成されており、ま
た、プラスチック透過型回折格子Da11では、格子群
Da3a、格子群Da3b及び格子群Da3cがこの順
でそれぞれ層状に形成されている。
【0175】該複数の格子群Da3における各格子群
(Da3a,Da3b,Da3c)は、それぞれ、互い
に平行な複数の屈折率変化部(Da2a,Da2b,D
a2c)を有しているとともに、各格子群(Da3a,
Da3b,Da3c)中の屈折率変化部(Da2a,D
a2b,Da2c)における互いに対向している面(F
Da2a,FDa2b,FDa2c)の面方向が、隣接する格子群の
間で互いに非平行となっている。具体的には、面FDa2a
の面方向と、面FDa2bの面方向とは、異なる方向[これ
らの面方向間の面角(鋭角)は90°となっている]で
あり、面FDa2bの面方向と、面FDa2cの面方向とは、異
なる方向[これらの面方向間の面角(鋭角)は55°と
なっている]である。隣接する格子群の間において、面
(FDa2a,FDa2b,FDa2c,・・)の面方向の面角(鋭
角)としては、0°でなければ目的とする回折格子に応
じて適宜選択することができ、0°より大きく90°以
下(例えば、1〜90°)の範囲から選択することがで
きる。なお、面角とは、それぞれの面の法線間の角度を
意味している。
【0176】また、屈折率変化部Da2は、断面が略楕
円形の略円柱状の形態を有している。該屈折率変化部D
a2は、屈折率(n)を有するプラスチック構造体の内
部における特定の部位に形成された屈折率が変化した部
位である。このような屈折率変化部Da2は、例えば、
プラスチック構造体の内部に、パルス幅が10-12秒以
下の超短パルスレーザーの焦点を合わせて、以下に示す
特定の方法により照射することにより形成することがで
きる。図13に係る屈折率変化部Da2は、パルス幅が
10-12秒以下の超短パルスレーザーを用いて形成され
ている。すなわち、屈折率変化部Da2は、超短パルス
レーザーが照射された(レーザーの焦点が合わせられ
た)レーザー照射部であり、超短パルスレーザー照射前
のプラスチック構造体の屈折率(n)と異なる屈折率
(n´)を有している。一方、屈折率未変化部Da4
は、超短パルスレーザーが照射されていない(レーザー
の焦点が合わせられていない)レーザー未照射部であ
り、超短パルスレーザー照射前のプラスチック構造体の
屈折率(n)と同じ屈折率(n)を有している。
【0177】前記屈折率変化部Da2において、各格子
群中の各屈折率変化部Da2の奥行き長さLDaとして
は、3μm以上とすることができる。好ましい奥行き長
さLDaは3μm以上20μm未満である。パルス幅が1
-12秒以下の超短パルスレーザーを2光束干渉で照射
することにより、各格子群中の各屈折率変化部の奥行き
長さLを短くすることができる。なお、このように、多
光束干渉(2光束干渉など)による照射を行わずに、1
光束で照射する場合は、屈折率変化部の奥行き長さは5
μm以上(好ましくは20μm以上)であることが好ま
しい。
【0178】また、各格子群中の隣接した屈折率変化部
Da2のピッチ間隔ΛDaとしては、例えば、50μm以
下(好ましくは30μm以下、さらに好ましくは15μ
m以下)程度であることが望ましい。
【0179】また、各格子群中の各屈折率変化部Da2
の厚み(格子の厚み)dDaとしては、格子のピッチ間隔
の1/3以上(好ましくは1/2以上)であることが望
ましい。
【0180】なお、各格子群中の各屈折率変化部(Da
2a1,Da2a2,・・,Da2ax、Da2b1,
Da2b2,・・,Da2bx、・・)の幅WDaは、入
射光の特性等に応じて適宜選択することができる。
【0181】なお、本発明では、各格子群中の屈折率変
化部のピッチ間隔ΛDaは、すべての格子群間で同一であ
ってもよく、各格子群間で異なっていてもよく、あるい
は、一部の格子群間で同一であってもよい。また、同様
に、厚みdDa、奥行き長さL Da、幅WDa等についても、
すべての格子群間で同一であってもよく、各格子群間で
異なっていてもよく、あるいは、一部の格子群間で同一
であってもよい。図13では、屈折率変化部(Da2
a,Da2b,Da2c,・・)に関して、ピッチ間隔
ΛDa、厚みdDa、奥行き長さLDaは、すべて同一となっ
ている。本発明では、ピッチ間隔ΛDa、厚みdDa、奥行
き長さLDaに関しては、屈折率変化部(Da2a,Da
2b,Da2c,・・)で同一であることが好ましい。
【0182】図13及び14では、説明を容易にするた
めに、プラスチック透過型回折格子(Da1,Da1
1)を直方体として表現し、各屈折率変化部Da2を断
面が略楕円形の略円柱形状として表現しているが、それ
ぞれ、如何なる形状のものであってもよく、またその大
きさも特に制限されない。本発明では、プラスチック透
過型回折格子(Da1,Da11)としては、略直方体
(特に、すべての面が直角で交わっている直方体)の形
状を有していることが好ましい。また、各屈折率変化部
Da2としては、断面が略楕円形の略円柱形状の形態を
有していてもよく、略直方体(特に、すべての面が直角
で交わっている直方体)の形状を有していてもよい。
【0183】なお、各屈折率変化部(Da2a1,Da
2a2,・・,Da2ax)の合計数(すなわち、屈折
率変化部Da2aに含まれる各屈折率変化部の数)など
の各格子群(Da3a,Da3b,Da3c)に含まれ
る屈折率変化部の数は特に制限されない。また、各格子
群(Da3a,Da3b,Da3c)に含まれる屈折率
変化部の数は、各格子群間で同一であってもよく、異な
っていてもよい。
【0184】さらにまた、格子群の数は特に制限されな
い。例えば、図13で示されているように格子群の数が
2であってもよく、図14で示されているように格子群
の数が3であってもよい。本発明では、格子群の数とし
ては、例えば、2〜10(好ましくは2〜4)程度の範
囲から選択してもよい。なお、格子群の数が3以上であ
る場合、各格子群中の互いに平行な複数の屈折率変化部
における互いに対向している面FDa2の面方向は、隣接
する格子群の間で互いに非平行となっていれば、隣接し
ていない格子群の間では非平行、平行のいずれであって
もよい。
【0185】層状に形成されている複数の格子群におけ
る格子群間の距離(層間距離)は、特に制限されず、例
えば、5〜100μm、好ましくは5〜50μm程度の
範囲から選択することができる。
【0186】このようなプラスチック透過型回折格子D
a(Da1,Da11)は、具体的には、例えば、パル
ス幅が10-12秒以下のレーザーをプラスチック構造体
の内部に焦点を合わせて2光束干渉で照射するととも
に、その焦点位置を、該焦点位置の移動により形成され
る屈折率変化部を互いに平行に複数有している格子群が
それぞれ層状となるように、且つ各格子群中の互いに平
行な複数の屈折率変化部における互いに対向している面
の面方向が、隣接する格子群の間で互いに非平行となる
ように、移動させて2光束干渉で照射することにより、
製造することができる。なお、2光束干渉でレーザーを
照射する方法としては、例えば、図15で示されている
ように2台のレーザーを用いて照射する方法や、ビーム
スプリッター(例えば、ハーフミラー、プリズム、グレ
ーティングなど)を用いて1台のレーザーによる光を分
光して照射する方法などを採用することができる。
【0187】さらに具体的には、例えば、図15で示さ
れるように、プラスチック透過型回折格子Da1は、屈
折率(n)を有するプラスチック構造体Da12の内部
における特定の部位に、パルス幅が10-12秒以下の超
短パルスレーザー(Da51,Da52)の焦点を合わ
せてプラスチック構造体Da12の外部から2光束干渉
で照射して該焦点位置を移動させることにより、屈折率
が変化した屈折率変化部Da2bを互いに平行に複数形
成させた後、さらに、前記屈折率変化部Da2bより上
方又は表面側に、屈折率変化部Da2aを互いに平行に
複数形成するとともに、該互いに平行な複数の屈折率変
化部Da2aにおける互いに対向している面FDa2aの面
方向が、前記互いに平行な複数の屈折率変化部Da2b
における互いに対向している面FDa2bの面方向と異なっ
ているように形成させて、作製することができる。
【0188】図15はプラスチック透過型回折格子Da
を作製する方法の一例を示す概略図である。具体的に
は、図13に係るプラスチック透過型回折格子Da1を
作製する方法の一例を示す概略図である。図15におい
て、Da1、Da1a、(Da2a1,Da2a2,・
・,Da2ax)、Da2a、Da3a、(Da2b
1,Da2b2,・・,Da2bx)、Da2b、Da
3b、FDa2a、FDa2bは、それぞれ、図13と同様であ
る。Da12はプラスチック構造体、Da51はパルス
幅が10-12秒以下である超短パルスレーザー(単に
「レーザー」と称する場合がある)、Da52はレーザ
ー、Da51aはレーザーDa51の照射方向、Da5
2aはレーザーDa52の照射方向であり、Da61は
レーザーDa51の焦点を調整するためのレンズ、Da
62はレーザーDa52の焦点を調整するためのレンズ
である。なお、レーザー(Da51,Da52)をレー
ザーDa5と総称する場合がある。また、レンズ(Da
61,Da62)をレンズDa6と総称する場合があ
る。
【0189】プラスチック構造体Da12は、プラスチ
ック透過型回折格子Da1を作製するための材料となる
ものであり、屈折率がnであるプラスチック材料から形
成されている。そして、プラスチック構造体Da12の
内部に格子群Da3aと、格子群Da3bとが形成され
たものが、プラスチック透過型回折格子Da1となる。
屈折率変化部Da2(Da2a,Da2b)は、レーザ
ーDa5の照射による影響を受けて屈折率が変化した部
位であり、格子群Da3a内では、隣接する屈折率変化
部(Da2a1,Da2a2,・・,Da2ax)は互
いに平行な位置関係を有しているとともに、格子群Da
3b内では、隣接する屈折率変化部(Da2b1,Da
2b2,・・,Da2bx)は互いに平行な位置関係を
有し、且つ格子群Da3a中の屈折率変化部(Da2a
1,Da2a2,・・,Da2ax)における互いに対
向している面FDa2aの面方向と、格子群Da3b中の屈
折率変化部(Da2b1,Da2b2,・・,Da2b
x)における互いに対向している面FDa2bの面方向とは
非平行な[図13ではこれら2つの面方向間の面角は9
0°となっている]位置関係を有している。また、屈折
率未変化部Da4は、レーザーDa5の照射による影響
を受けておらず、屈折率が変化していない部位であり、
元の屈折率(構造)を保持している。すなわち、屈折率
未変化部Da4は、元の状態又は形態を保持している。
従って、プラスチック透過型回折格子Da1は、屈折率
未変化部Da4内に、特定のピッチ間隔を隔てて互いに
平行な屈折率変化部(Da2a1,Da2a2,・・,
Da2ax)からなる格子群Da3aと、特定のピッチ
間隔を隔てて互いに平行な屈折率変化部(Da2b1,
Da2b2,・・,Da2bx)からなる格子群Da3
bとが、格子群Da3a中の屈折率変化部(Da2a
1,Da2a2,・・,Da2ax)における互いに対
向している面FDa2aの面方向と、格子群Da3b中の屈
折率変化部(Da2b1,Da2b2,・・,Da2b
x)における互いに対向している面FDa2bの面方向とが
非平行な位置関係で、形成されている(積層されてい
る)。
【0190】レーザーDa51と、レーザーDa52と
は、それぞれ、照射方向Da51a、照射方向Da52
aの向きで、プラスチック構造体Da12に向けて、2
光束干渉で照射している。従って、レーザーDa51と
レーザーDa52とは異なる位置から同時に照射してお
り、X−Y面に対して平行および垂直でない方向(0°
より大きく90°より小さな角度の方向)から照射して
いる。また、レーザーDa51の焦点の位置と、レーザ
ーDa52の焦点の位置とは、同一又は近い位置となっ
ており、レーザーDa51とレーザーDa52との2つ
のレーザーからの照射光をその焦点位置又はその近傍で
干渉させている。なお、レーザーDa5はレンズDa6
を用いることにより焦点を絞って合わせることができ
る。従って、レーザーDa5の焦点を絞って合わせる必
要がない場合などでは、レンズDa6を用いる必要がな
い。
【0191】また、プラスチック構造体Da12は略直
方体であり、その上面はX−Y平面と平行な面(または
Z軸と垂直)となっている。なお、プラスチック構造体
Da12としては、直方体を用いているが、如何なる形
状のものであってもよく、その大きさも特に制限されな
い。
【0192】また、図15において、Da71a,Da
72a,・・,Da7xaは、格子群Da3bを形成す
るために、それぞれレーザーDa5の照射をし始めたと
きの焦点を合わせた最初の位置又はその中心位置(「照
射開始位置」と称する場合がある)である。照射開始位
置(Da71a,Da72a,・・,Da7xa)は、
同一のX−Y面上でかつX軸上の位置が同じであるとと
もに、Y軸上の位置が異なり、特定の間隔があけられて
いる。すなわち、照射開始位置(Da71a,Da72
a,・・,Da7xa)は、プラスチック構造体Da1
2の上面Da1aから一定の深さに設定され、且つ同一
のY軸方向に等間隔の間隔で設けられている。
【0193】一方、Da71b,Da72b,・・,D
a7xbはそれぞれレーザーDa5の照射を終えたとき
の焦点を合わせた最終の位置又はその中心位置(「照射
終了位置」と称する場合がある)である。該照射終了位
置(Da71b,Da72b,・・,Da7xb)も、
前記照射開始位置(Da71a,Da72a,・・,D
a7xa)と同様に、プラスチック構造体Da12の上
面Da1aから一定の深さに設定され、且つ同一のY軸
方向に等間隔の間隔で設けられている。
【0194】Da71c,Da72c,・・,Da7x
cはそれぞれレーザーDa5の照射の焦点又はその中心
位置(単に「焦点位置」と称する場合がある)が照射開
始位置(Da71a,Da72a,・・,Da7xa)
から照射終了位置(Da71b,Da72b,・・,D
a7xb)に移動する移動方向であり、X軸と平行な方
向である。Da71,Da72,・・,Da7xはそれ
ぞれ照射開始位置(Da71a,Da72a,・・,D
a7xa)のレーザーDa5の照射の焦点位置又は焦点
の中心位置が移動した軌跡(「焦点位置軌跡」と称する
場合がある)である。Da8は隣接した照射開始位置
(Da71a,Da72a,・・,Da7xa)間の距
離(最短距離)である。
【0195】図15では、レーザーDa5の焦点位置
を、それぞれ、照射開始位置(Da71a,Da72
a,・・,Da7xa)から照射終了位置(Da71
b,Da72b,・・,Da7xb)にかけて、焦点位
置の移動方向(Da71c,Da72c,・・,Da7
xc)の方向で、連続的に直線的に移動させており、該
移動した焦点位置の軌跡が焦点位置軌跡(Da71,D
a72,・・,Da7x)となっている。該焦点位置軌
跡(Da71,Da72,・・,Da7x)において、
焦点位置が移動した方向(Da71c,Da72c,・
・,Da7xc)は、レーザーDa51の照射方向Da
51aおよびレーザーDa52の照射方向Da52aと
垂直な方向(図15では、X軸と平行な方向)である。
従って、屈折率変化部Da2bの長手方向は、移動方向
(Da71c,Da72c,・・,Da7xc)の方向
(X軸と平行な方向)であり、一方、屈折率変化部Da
2bにおける互いに対向している面の面方向は、X−Z
平面と平行な方向である。
【0196】また、照射開始位置(Da71a,Da7
2a,・・,Da7xa)間の距離Da8は、照射終了
位置(Da71b,Da72b,・・,Da7xb)間
の距離や、焦点位置軌跡(Da71,Da72,・・,
Da7x)間の距離(最短距離)に相当している。従っ
て、隣接した照射開始位置(Da71a,Da72a,
・・,Da7xa)間の距離Da8は、格子のピッチ間
隔ΛDaと格子の厚みd Daとを足した距離(ΛDa+dDa
に相当している。
【0197】より具体的には、まず、照射開始位置Da
71aから照射終了位置Da71bにかけて焦点の移動
方向Da71cの方向で、同時に照射しているレーザー
(Da51,Da52)の同一の焦点位置を連続的に直
線的に移動させて、レーザーの照射を行う。この際、レ
ーザーDa51と、レーザーDa52とは、それぞれ、
焦点の移動方向Da71cに対して平行となるように移
動させることが好ましい。なお、屈折率変化部(Da2
b1,Da2b2,・・,Da2bx)の幅を変化させ
る場合(例えば、拡げたり狭めたりする場合)は、この
限りではない。以下同様にして、両レーザー(Da5
1,Da52)を配置させて照射することができる。
【0198】その後、前記照射開始位置Da71aと同
じX−Y面上にありかつX軸上の位置が同じでY軸上の
位置が距離Da8だけ移動した位置である焦点開始位置
Da72aから、前記移動方向Da71cと平行な方向
である移動方向Da72cの方向で、前記照射終了位置
Da71bと同一のX軸の位置となる照射終了位置Da
72bまで、レーザー(Da51,Da52)の焦点位
置をともに連続的に直線的に同時に移動させて、レーザ
ーの照射を行う。以下、同様にして、順次、レーザーの
照射を行うことにより、プラスチック構造体Da12の
中にピッチ間隔ΛDaの距離を保って、互いに平行な位置
関係を有する複数の屈折率変化部(Da2b1,Da2
b2,・・,Da2bx)を形成して、格子群Da3b
を形成する。そして、前記格子群Da3bの屈折率変化
部(Da2b1,Da2b2,・・,Da2bx)のレ
ーザーの照射による作製方法と同様にして、照射開始位
置のプラスチック構造体Da12の上面からの深さや、
焦点位置が移動する方向などを適宜調整してレーザーを
照射して、互いに平行な位置関係を有する複数の屈折率
変化部(Da2a1,Da2a2,・・,Da2ax)
からなる格子群Da3aを、該格子群Da3aの屈折率
変化部(Da2a1,Da2a2,・・,Da2ax)
における互いに対向している面の面方向が、前記格子群
Da3bの屈折率変化部(Da2b1,Da2b2,・
・,Da2bx)における互いに対向している面の面方
向と非平行な方向[図13ではこれら2つの面方向間の
面角は90°となっている]となるように形成させるこ
とにより、回折格子として利用できるプラスチック透過
型回折格子Da1を作製することができる。
【0199】図15では、格子群(Da3a,Da3
b)のうち、レーザーDa5を照射している側の面Da
1aから見て下層側(遠方側)である格子群Da3b
を、上層側(近方側)である格子群Da3aより先に形
成している。これは、上層側の格子群Da3aを先に形
成すると、後で下層側の格子群Da3bを形成する際の
レーザーDa5の照射による影響を、先に形成されてい
る格子群Da3aが受ける可能性があるためである。従
って、本発明では、レーザーの照射する側の面から最も
遠い側(最下層側)の格子群から順に、格子群をそれぞ
れ層状に複数形成することが好ましい。
【0200】本発明では、各格子群において、屈折率変
化部が互いに平行な位置関係を保つように形成されてい
ればよく、レーザーDa5の焦点の位置を、レーザーD
a5の照射方向(Da51a,Da52a)に対して、
平行な方向や垂直な方向や斜め方向等に移動させること
が出来る。また、本発明では、レーザーDa5の焦点位
置は、連続的又は間欠的に移動させることもできる。こ
の様に、レーザーDa5の焦点位置を移動させながら照
射することにより、焦点位置の移動方向に連続的に形成
された屈折率変化部Da2を形成させることが出来る。
【0201】(再照射による作製方法)本発明では、超
短パルスレーザーは、1回のみ照射してもよいが、さら
に同一の照射部位に1回以上再照射してもよい。すなわ
ち、超短パルスレーザーを照射する際には、1回のみ照
射する方法や、1回照射した部位にレーザーを1回以上
再照射する(再度照射して上書きする)方法を採用する
ことができる。このように、再照射を行うことにより、
プラスチック構造体の内部において、パルスレーザーに
より照射された部位及びその周辺部の屈折率がさらに大
きく変化させることができる。
【0202】具体的には、例えば、図6で示されるよう
に、屈折率(n)を有するプラスチック構造体A11の
内部における特定の部位に、パルス幅が10-12秒以下
の超短パルスレーザーA4の焦点を合わせてプラスチッ
ク構造体A11の外部から照射し、さらに、前記レーザ
ーを焦点を合わせて照射した部位にレーザーを1回以上
再照射する(再度照射して上書きする)ことにより、よ
り一層大きく屈折率が変調させられた屈折率変調部A2
を互いに平行に複数形成させて作製することができる。
【0203】再照射する際の照射回数は、特に制限され
ず、目的とする屈折率変調部の変調度合いに応じて適宜
選択することができ、複数回(例えば、2〜10回程
度、好ましくは2〜5回程度)であってもよい。
【0204】より具体的には、図6で示されるプラスチ
ック透過型回折格子の作製方法を例にとって説明する
と、まず、照射開始位置A61aから照射終了位置A6
1bにかけて焦点の移動方向A61cの方向で、レーザ
ーA4の焦点位置を連続的に直線的に移動させて、レー
ザーの照射を行う。その後、前記照射開始位置A61a
と同じX−Y面上にありかつX軸上の位置が同じでY軸
上の位置が距離A7だけ移動した位置である焦点開始位
置A62aから、前記移動方向A61cと平行な方向で
ある移動方向A62cの方向で、前記照射終了位置A6
1bと同一のX軸の位置となる照射終了位置A62bま
で、レーザーA4の焦点位置を連続的に直線的に移動さ
せて、レーザーの照射を行う。以下、同様にして、順
次、レーザーの照射を行うことにより、プラスチック構
造体A11の中にピッチ間隔ΛAの距離を保って、互い
に平行な位置関係を有する複数の屈折率変調部(A2
1,A22,・・,A2x)を形成して、レーザーA4
の1回目の照射を行う。その後さらに、前記レーザーA
4の1回目の照射方法と同様にして、前記照射開始位置
(A61a,A62a,・・,A6xa)と同一又はほ
ぼ同一の位置から、前記照射終了位置(A61b,A6
2b,・・,A6xb)と同一又はほぼ同一の位置にか
けて、焦点位置の移動方向(A61c,A62c,・
・,A6xc)と同一又はほぼ同一の方向で、連続的に
直線的に移動させて、レーザーA4の再照射を行う。こ
の再照射は、必要に応じて、複数回行うことができる。
また、再照射での照射条件(例えば、レーザーA4の焦
点位置の移動速度、レーザーA4のパルス幅の大きさや
照射エネルギーの大きさ、レーザーA4の焦点を調整す
るためのレンズの開口数など)は、1回目の照射条件と
同一であってもよく、異なっていてもよい。また、再照
射を複数回行う場合は、各再照射で照射条件が異なって
いてもよい。
【0205】このような再照射は、複数の屈折率変化部
(屈折率変調部)を形成する場合、前述のように、複数
の屈折率変調部を形成するための1回目のレーザーの照
射をすべて行った後に、レーザーの再照射を行う方法で
あってもよく、または、1つの屈折率変調部を形成する
ための1回目のレーザーの照射を行った後に、該レーザ
ーを照射した部位にレーザーの再照射を行って、1つの
屈折率変調部を形成した後、さらに、他の屈折率変調部
を形成するための1回目のレーザーの照射を行った後
に、該レーザーを照射した部位にレーザーの再照射を行
う方法であってもよい。いずれにせよ、レーザーを1回
照射した部位に上書きするように再照射して、その結果
として、屈折率変調部を単数又は複数形成することがで
きればよい。
【0206】このように、レーザーA4を1回目の照射
部位に対して、再照射を1回以上行うことにより、屈折
率未変化部(屈折率未変調部)の屈折率に対する屈折率
の差が大きい屈折率変調部を形成することができる。
【0207】なお、前記プラスチック透過型回折格子
(A,B,C,Dなど)の作製方法において、パルス幅
が10-12秒以下である超短パルスレーザーの焦点位置
を移動させる速度(移動速度)は、特に制限されず、プ
ラスチック透過型回折格子を作製するための材料となる
プラスチック構造体の材質やレーザーの照射エネルギー
の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0208】レーザーの焦点位置の深さとしては、通
常、プラスチック透過型回折格子を作製するための材料
となるプラスチック構造体の上面から10μm以上且つ
下面から50μm以上の距離を有する位置に設定され
る。レーザーの焦点位置の深さが、余り深くないと前記
プラスチック構造体の表面にアブレーションなどが起こ
り、表面に凹凸状等の構造が形成されることになり得ら
れた回折格子が、目的とする透過型回折以外に表面型回
折を起こすことになるため、好ましくない。一方、逆に
深すぎると前記プラスチック構造体の下面に近づき過ぎ
て、照射したレーザーが下面を貫通して下面にアブレー
ションなどにより、前記と同様に、下面の表面に凹凸状
等の構造が形成されることになるため、好ましくない。
【0209】なお、レーザーの照射により屈折率が変化
した屈折率変化部は、超短パルスレーザーの焦点位置又
は照射位置を起点にし、照射方向側に屈折率が変化した
屈折率変化部位が連続して、焦点位置の移動方向(長手
方向)に向かって形成されているような状態又は形態と
して作製することができる。例えば、焦点位置を照射方
向に垂直な方向に移動させた場合、長手方向に対する垂
直断面形状が、焦点位置を起点として(すなわち、上端
として)、照射方向に延びた又は拡がるような略長方形
状となり、該長手方向に対する垂直断面形状が焦点の移
動方向(長手方向)に連続して形成されたような屈折率
変化部が形成される。
【0210】なお、本発明では、屈折率変化部(屈折率
変調部)において、屈折率の変化(変調)の程度は、不
均一であってもよいが、均一であることが好ましい。
【0211】本発明では、屈折率変化部の大きさ、形
状、構造の変化の程度は、レーザーの照射時間、レーザ
ーの焦点位置の移動方向やその速度、プラスチック透過
型回折格子を作製するための材料となるプラスチック構
造体の材質の種類、レーザーのパルス幅の大きさや照射
エネルギーの大きさ、レーザーの焦点を調整するための
レンズの開口数などにより適宜調整することができる。
【0212】[超短パルスレーザー]図6、9、11、
12、15などにおいて、超短パルスレーザーにおける
パルス幅は10-12秒以下である。本発明では、超短パ
ルスレーザーとしては、パルス幅が10-12秒以下であ
れば特に制限されず、パルス幅が10-15秒のオーダー
のパルスレーザーを好適に用いることができる。パルス
幅が10-15秒のオーダーであるパルスレーザーには、
パルス幅が1×10-15秒〜1×10-12秒であるパルス
レーザーが含まれる。より具体的には、超短パルスレー
ザーとしては、パルス幅が10×10-15秒〜500×
10-15秒(好ましくは50×10-15秒〜300×10
-15秒)程度であるパルスレーザーが好適である。
【0213】パルス幅が10-12秒以下である超短パル
スレーザーは、例えば、チタン・サファイア結晶を媒質
とするレーザーや色素レーザーを再生・増幅して得るこ
とができる。
【0214】超短パルスレーザーにおいて、その波長と
しては、例えば、可視光の波長領域(例えば、400〜
800nm)であることが好ましい。また、超短パルス
レーザーにおいて、その繰り返しとしては、例えば、1
Hz〜80MHzの範囲から選択することができ、通
常、10Hz〜500kHz程度である。
【0215】なお、超短パルスレーザーの平均出力又は
照射エネルギーとしては、特に制限されず、目的とする
屈折率変化部の大きさや変化の程度等に応じて適宜選択
することができ、例えば、500mW以下(例えば、1
〜500mW)、好ましくは5〜300mW、さらに好
ましくは10〜100mW程度の範囲から選択すること
ができる。前述のように、プラスチック透過型回折格子
を作製するための材料となるプラスチック構造体は、無
機ガラス材料に比べて熱伝導性やガラス転移温度が低
く、無機ガラス材料と同じような励起構造を形成するの
に必要な照射エネルギーとしては、無機ガラス材料に必
要な照射エネルギーの1/10〜1/100程度に低く
することができる。
【0216】また、超短パルスレーザーの照射スポット
径としては、特に制限されず、目的とする屈折率変化部
の大きさやその変化の程度、レンズの大きさや開口数又
は倍率などに応じて適宜選択することができ、例えば、
0.1〜10μm程度の範囲から選択することができ
る。
【0217】[プラスチック構造体]プラスチック透過
型回折格子を作製するための材料となるプラスチック構
造体としては、パルス幅が10-12秒以下の超短パルス
レーザーをプラスチック構造体の外部から内部に照射す
ることにより、プラスチック構造体の内部に、未照射部
と異なった屈折率を有する、互いに平行な複数の屈折率
変化部を形成させることが出来るプラスチック構造体で
あればよい。超短パルスレーザーによるレーザー加工を
円滑に行うためには、400nm〜800nmの可視光
波長領域において、10%以上の光透過性を有するもの
が好適である。
【0218】また、プラスチック構造体としては、2つ
以上のガラス転移温度を有するプラスチック材料による
ものも好適である。2つ以上のガラス転移温度を有する
プラスチック材料には、熱的な運動性が異なったお互い
に相溶性のない2つ以上の成分を含んで構成された材料
系が含まれる。このような材料系としては、2つ以上の
異種材料のブレンド物(例えば、2種以上のホモポリマ
ー及び/又はランダム共重合体のブレンド物、2種以上
のブロック共重合体のブレンド物など)、2つ以上の異
種成分から構成されたブロック共重合体などが挙げられ
る。該材料系は、単独で又は2種以上組み合わせて使用
することができる。
【0219】これらの材料系の中で、異種材料のブレン
ド物はブレンドする各成分の成分比を変えることや分散
加工条件を変えることにより、その構造形態として、ド
メイン状、シリンダー状、層状、共連続状などの様々な
非相溶な形態を作り出す事が出来る。一方、ブロック共
重合体並びにそれらのブレンド物(2種以上のブロック
共重合体のブレンド物)は、ブロック的に結合された高
分子鎖の非相溶性が系全体の非相溶性を担っているの
で、その構造形態としては前記例示の非相溶な形態が挙
げられ、該非相溶な形態としては、ブレンド物よりもよ
り一層微細なものにすることが出来る。
【0220】例えば、ガラス転移温度が常温(例えば、
23℃)以下であるプラスチック材料は、常温近傍の温
度において十分な柔軟性を有している。そのため、非相
溶性成分として、常温(例えば、20〜25℃、特に2
3℃)以下のガラス転移温度を有するプラスチック材料
を含むブレンド物の材料系では、各プラスチック材料の
成分比を調整することにより、常温において任意に柔軟
性を調整することができ、取り扱いを容易にすることが
可能である。
【0221】また、例えば、2つのガラス転移温度を有
する材料系において、常温(例えば20〜25℃、特に
23℃)以下のガラス転移温度(Tg1)を示す成分(T
g1成分)が低温側のガラス転移温度を示す成分である場
合には、高温側のガラス転移温度を示す成分(Tg2
分)のガラス転移温度(Tg2)以上の温度(T3)から
温度を降下させる(低下させる)と、まず、温度Tg2
近傍で、Tg2成分は運動性が低下して固化するが、Tg1
成分はまだ十分な運動性を有した状態で常温(例えば2
0〜25℃、特に23℃)まで冷却されることになる。
このとき、特に、温度Tg1とT3とが一定の場合、2つ
のガラス転移温度(Tg1、Tg2)の温度差(Tg2
g1)が大きい程、Tg2成分はより速く固化することに
なり、常温までの冷却過程では、高温側のガラス転移温
度を示す成分(Tg2成分)が固化した状態での低温側の
ガラス転移温度を示す成分(Tg1成分)のみの運動期間
が長くなる。しかも、特に、低温側のガラス転移温度T
g1が常温(例えば、20〜25℃、特に23℃)以下で
あると、常温まで冷却される過程で、すなわち、Tg2
常温の温度領域で、Tg1成分による十分な運動性と緩和
性とを保ちながら、相分離構造が形成されることにな
る。
【0222】超短パルスレーザーの照射によりプラスチ
ック構造体を加工する方法において、超短パルスレーザ
ーが照射された照射部やその近辺部は、プラズマ発生な
ど化学的・物理的作用を受けながら、局部的に高温状態
となり、その後、レーザーの照射の終了や、照射されて
いる部位の移動に伴い、温度が低下して、通常は常温に
戻される。従って、例えば、2つのガラス転移温度を有
し且つ低温側のガラス転移温度が常温付近又は常温以下
であるプラスチック材料系に、超短パルスレーザーを照
射した場合には、レーザーの照射開始から照射終了の過
程において、上記のような相分離構造の形成が起こり、
その結果として、制御された誘起構造が形成される。す
なわち、屈折率変化部の構造(誘起構造)を精密に制御
することができる。例えば、Tg2成分の単独材料系で
は、超短パルスレーザーの照射によって照射部に熱衝撃
的なクラック等の劣化が発生するような照射条件におい
ても、Tg2成分のガラス転移温度Tg2よりも低温側にガ
ラス転移温度を示す成分(T g1成分)をブレンドした
り、Tg2成分を含む分子内に、ブロック共重合によりT
g1成分を組み込んだりすることにより、安定的な誘起構
造を、クラックを発生すること無く形成することが出来
る。
【0223】また、プラスチック材料が、外部からの超
短パルスレーザーの照射によって、架橋(硬化)反応を
起こすプラスチック材料系であると、上述の相分離構造
の形成が、架橋(硬化)により固定化されるので、より
一層、誘起された構造が安定化される可能性がある又は
高まる。
【0224】さらにまた、2つ以上のブロックからなる
ブロック共重合体高分子鎖におけるミクロ相分離によ
り、2つ以上のガラス転移温度が発現されている場合に
は、通常の異種成分のブレンド系に比べて形成されるミ
クロドメイン構造等を、サブミクロン以下の大きさにま
で小さく出来るので、透明性に優れたフィルムを作製す
ることが出来る。
【0225】これらのプラスチック材料に超短パルスレ
ーザーの照射を行うと、レーザーの照射部において、一
旦ミクロドメイン熱溶融が起こり、照射の終了や照射部
の移動により、再度相分離構造が形成されることにな
る。この相分離構造の再生時に架橋(硬化)反応などが
並列的に起こると、相分離が一層促進され、出来上がっ
た相分離構造は、元の相分離構造よりもドメイン構造な
どの寸法や形態が大きくなる場合がある。また、相分離
形態のプラスチック構造体(前述のようにして形成され
たドメインなどの相分離構造物)が、特定の成分を選択
的に含んだり、架橋(硬化)や光異性化などを起こした
りすることにより、元の成分とは異なるように化学的変
化を起こしている場合には、屈折率の変化(変調)を起
こす場合がある。このような屈折率が変化したものが、
本発明の目的に合った構造物であり、回折格子等の光学
素子として用いることができる。
【0226】なお、本発明では、屈折率変化部(屈折率
変調部)におけるドメインの構造部の屈折率は、屈折率
が変化していない屈折率未変化部(屈折率未変調部)に
おけるドメインの構造部の屈折率に対して、0.000
5以上異なっていれば(すなわち、前記各部の屈折率の
差が0.0005以上であれば)、回折格子等の光学素
子として有効に使用出来る。従って、本発明では、屈折
率変調部と、屈折率未変調部との屈折率の差が0.00
05以上となるように、屈折率変調部の屈折率を変調さ
せることが好ましい。屈折率変調部の屈折率と、屈折率
未変調部の屈折率との差としては、0.0005以上
(好ましくは0.0008以上、さらに好ましくは0.
001以上)であることが望ましい。また、前記屈折率
差は、0.005以上(特に0.01以上)であると、
回折格子等の光学素子としてより一層有効に使用でき
る。
【0227】特に本発明では、屈折率変調部の屈折率変
調の値(Δn)が5×10-4以上(好ましくは8×10
-4以上、さらに好ましくは1×10-3以上)であること
が好適である。なお、屈折率変調部の屈折率変調の値
(Δn)は、下記式(3a)及び(3b)により求める
ことができる。 η1=J1 2(δ) (3a) δ=2πΔnL/(λcosθ) (3b) (式(3a)及び(3b)において、J1(δ)は指数
1のBessel関数、Δnは屈折率変調の値、Lは複
数の屈折率変調部の対向する面の奥行き長さ、λは回折
される光の波長、θは入射角である。)
【0228】なお、屈折率変調部の屈折率変調の値(Δ
n)は、屈折率変調部の屈折率と、屈折率未変調部の屈
折率との差に相当する。
【0229】超短パルスレーザーの照射により少なくと
も相分離を起こすことができ、且つ2つ以上のガラス転
移温度を発現するプラスチック材料としては、各種の高
分子材料を組み合わせて用いることができる。このよう
な高分子材料の組み合わせは数多くあり、むしろ異種成
分高分子材料の組み合わせで相分離を起こさずに相溶し
て単一のガラス転移温度を示す組み合わせの方が少ない
といえる。従って、本発明では、このような数多くある
組み合わせを利用することができ、極めて実用性が高
い。なお、高分子材料の相溶性やガラス転移温度などの
各種特性は、例えば、ポリマーハンドブックなどに記載
されている。
【0230】超短パルスレーザーの照射により相分離を
起こすことができるとともに、2つ以上のガラス転移温
度を発現するプラスチック材料の組み合わせの中で、例
えば、低温側のガラス転移温度が常温(例えば、20〜
25℃、特に23℃)以下で光学的に透明性を有するア
モルファスな成分としては、例えば、ポリイソプレンや
ポリブタジエンなどのポリジエン類;ポリイソブチレン
などのポリアルケン類;ポリアクリル酸ブチル、ポリア
クリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステル類;ポリ
ブトオキシメチレンなどのポリビニルエステル類;ポリ
ウレタン類;ポリシロキサン類;ポリサルファイド類;
ポリフォスファゼン類;ポリトリアジン類;ポリカーボ
ラン類などが挙げられる。なお、これらのうちポリジエ
ン類、ポリアルケン類、ポリアクリル酸エステル類、ポ
ロシロキサン類などは、ガラス転移温度が低いことを利
用して粘着剤の構成成分として幅広く使用されている。
【0231】また、高温側にガラス転移温度を有し光学
的に透明性の高い材料としては、ポリカーボネート(P
C);ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメ
タクリレート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(P
ET)などのポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホ
ン;ポリノルボルネン;エポキシ系樹脂;ポリアリー
ル;ポリイミド;ポリエーテルイミド(PEI);ポリ
アミドイミド;ポリエステルイミド;ポリアミド;ポリ
スチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS
樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリフェニ
レンエーテルなどのポリアリーレンエーテル;ポリアリ
レート;ポリアセタール;ポリフェニレンスルフィド;
ポリスルホン(ポリサルホン);ポリエーテルエーテル
ケトンやポリエーテルケトンケトンなどのポリエーテル
ケトン類などが挙げられる。
【0232】2つ以上のブロックからなるブロック共重
合体の高分子鎖のミクロ相分離により、2つ以上のガラ
ス転移温度を有するブロック共重合体は、上記の低温側
にガラス転移温度を発現する成分と、高温側にガラス転
移温度を発現する成分とを適当に組み合わせて、ブロッ
ク共重合体となるように重合(共重合)して、共重合化
すれば良い。重合方法(共重合方法)としては、特に制
限されず、例えば、リビングアニオン重合法、リビング
カチオン重合法、リビングラジカル重合法などの公知の
リビング重合法を採用することができる。
【0233】なお、このような熱可塑性樹脂材料のガラ
ス転移温度は、2つ以上であれば、2つであってもよ
く、3つ以上であってもよい。該熱可塑性樹脂材料とし
ては、2つのガラス転移温度を有するポリマーが好適で
あり、特に、2つのガラス転移温度を有するブロック共
重合体からなるポリマーが好ましい。
【0234】また、フッ化ビニリデン系樹脂、ヘキサフ
ルオロプロピレン系樹脂、ヘキサフルオロアセトン系樹
脂等のフッ素系樹脂を用いることもできる。
【0235】さらにまた、ポリシラン等のポリシラン系
ポリマーが配合されていても良い。プラスチック材料に
ポリシラン系ポリマーが含まれていると、プラスチック
材料の機械的特性を向上させることができ、優れた作業
性で誘起構造部を形成することができる。また、ポリシ
ラン系ポリマーは、光照射により構造がケイ素−ケイ素
結合(Si−Si結合)が切断されて、シロキサン結合
(Si−O−Si結合)やシラノール基(Si−OH)
が生成して、屈折率が大きく変化したり(例えば、低下
したり)、ラジカルを発生したりするなどの特徴を有し
ており、複合材料として有用である。なお、ポリシラン
系ポリマーは、ケイ素−ケイ素結合を有する主鎖から構
成されているポリマーである。主鎖のケイ素原子に置換
している置換基としては、特に制限されず、例えば、水
素原子、有機基、ハロゲン原子などが挙げられる。ポリ
シラン系ポリマーは、ホモポリマーであってもよく、コ
ポリマーであってもよい。具体的には、ポリシラン系ポ
リマーとしては、例えば、ポリ(ジメチルシラン)、ポ
リ(メチルエチルシラン)、ポリ(メチルプロピルシラ
ン)、ポリ(メチルブチルシラン)、ポリ(メチルヘキ
シルシラン)、ポリ(ジヘキシルシラン)、ポリ(ジド
デシルシラン)等のポリ(アルキルアルキルシラン);
ポリ(メチルシクロヘキシルシラン)等のポリ(アルキ
ルシクロアルキルシラン);ポリ(メチルフェニルシラ
ン)等のポリ(アルキルアリールシラン);ポリ(ジフ
ェニルシラン)等のポリ(アリールアリールシラン);
ポリフェニルシリン、ポリメチルシリン等のケイ素原子
の3次元構造を有する(ケイ素原子が3次元的に結合さ
れた構造を有する)ケイ素原子含有ポリマーなどのホモ
ポリマーや、ポリ(ジメチルシラン−メチルシクロヘキ
シルシラン)、ポリ(ジメチルシラン−メチルフェニル
シラン)などのコポリマーなどが挙げられる。
【0236】高分子材料(ポリマー)の分子量(重量平
均分子量など)は特に制限されない。高分子材料の分子
量(重量平均分子量など)は、目的とするプラスチック
材料に応じて適宜選択することができ、例えば、1,0
00以上(好ましくは10,000〜500,000程
度)の範囲から選択することができる。
【0237】超短パルスレーザーを照射し、レーザー加
工を行うプラスチック材料としては、上記の様なブレン
ドや共重合体などの2つ以上のガラス転移温度を有する
プラスチック材料に限定されるものではなく、上述の低
温側にガラス転移温度を有する材料並びに高温側にガラ
ス転移温度を有する材料として例示した様なプラスチッ
ク材料単独でも目的とする屈折率変調部(例えば、回折
格子等として利用できる構造物)が、超短パルスレーザ
ーの照射によって形成されるのであれば、使用できる。
また、プラスチック材料単独だけでなく、無機化合物
(無機高分子を含む)や金属化合物などの他の材料を分
散状態で含んだ複合体や他の材料を層状の状態で含んだ
積層体であってもよい。
【0238】以上、プラスチック透過型回折格子につい
て説明したが、本発明には、パルス幅が10-12秒以下
のレーザーの照射により、プラスチック構造体の内部
に、屈折率が変調した屈折率変調部を単数又は複数有す
るプラスチック光学素子も含まれる。すなわち、プラス
チック透過型回折格子としては、複数の屈折率変化部を
有していることが重要であるが、プラスチック透過型回
折格子以外のプラスチック光学素子では、屈折率変化部
は単数であってもよい。なお、プラスチック光学素子
は、高屈折率部材と低屈折率部材とが組み合わされた形
態を有しており、高屈折率部材と低屈折率部材との屈折
率差が、光学素子としての機能に寄与しているので、高
屈折率部材と低屈折率部材との屈折率差が大きい方が好
ましい。従って、このようなプラスチック光学素子は、
レーザーを照射した部位にレーザーをさらに1回以上再
照射して、屈折率をさらに変調させることが好ましい。
【0239】なお、プラスチック光学素子は、そのまま
プラスチック部材として用いてもよく、他の部材と組み
合わせて用いてもよい。屈折率変調部を有するプラスチ
ック光学素子は、延伸や収縮などの加工処理を行い、さ
らに必要に応じて後処理を行うこともできる。すなわ
ち、屈折率変調部を有するプラスチック光学素子には、
任意の加工や処理を施すことが可能である。
【0240】プラスチック光学素子は、回折格子(プラ
スチック透過型回折格子など)の他、例えば、拡散板や
散乱素子などの光機能部材;精密な空間や流路などの形
成用スペーサー機能を利用したマイクロマシーンやセン
サー;電気的探針;バイオ機器;マイクロリアクターチ
ップ;埋め込み型人工臓器などの高機能なレーザー加工
品の他、光導波路などとして好適に利用することができ
る。
【0241】
【発明の効果】本発明では、プラスチック透過型回折格
子は、高い回折効率を有しているものであっても、プラ
スチック構造体に対して、パルス幅が10-12秒以下の
超短パルスレーザーを焦点位置又は照射位置を移動させ
ながら照射するという簡単な方法により、作製すること
ができる。
【0242】また、本発明のプラスチック透過型回折格
子が、隣接する屈折率変化部の間隔が一方の側から他方
の側にかけて変化しているプラスチック透過型回折格子
である場合、高い回折効率を有しており、しかも、隣接
する屈折率変化部の間隔が一方の側から他方の側にかけ
て変化しているので、最適な出力で回折することができ
る光が特定の波長に限定されず、入射光の入射位置を調
整するだけで出射光の出力を最適化することができる。
また、このような隣接する屈折率変化部の間隔が一方の
側から他方の側にかけて変化しているプラスチック透過
型回折格子は、パルス幅が10-12秒以下の超短パルス
レーザーを焦点位置又は照射位置を移動させながら照射
するという簡単な方法により、容易に作製することがで
きる。
【0243】また、本発明では、プラスチック透過型回
折格子は、高い回折効率を有しているものであっても、
プラスチック構造体に対して、パルス幅が10-12秒以
下の超短パルスレーザーを焦点位置又は照射位置を移動
させながら照射するという簡単な方法により、作製する
ことができるだけでなく、しかも、プラスチック構造体
の内部における任意の部位に、透過型回折格子として利
用可能な誘起構造として、互いに平行な位置関係を有す
る複数の誘起構造とともに、該誘起構造に対して交差し
且つ互いに平行な位置関係を有している複数の誘起構造
を形成することが可能である。
【0244】さらにまた、本発明のプラスチック透過型
回折格子の製造方法では、パルス幅が10-12秒以下の
超短パルスレーザーを焦点位置又は照射位置を移動させ
ながら照射するという簡単な方法により、容易に、高い
回折効率を有しているプラスチック透過型回折格子を作
製することができ、しかも、隣接する屈折率変化部間の
平行間隔を容易に調整することができる。
【0245】さらに、本発明では、プラスチック透過型
回折格子は、高い回折効率を有しているものであって
も、プラスチック構造体に対して、パルス幅が10-12
秒以下の超短パルスレーザーを焦点位置又は照射位置を
移動させながら照射するという簡単な方法により、作製
することができるだけでなく、しかも、プラスチック構
造体の内部における任意の部位に、透過型回折格子とし
て利用可能な誘起構造としての互いに平行な位置関係を
有する複数の誘起構造からなる格子群をそれぞれ層状
に、且つ該格子群中の誘起構造における互いに対向して
いる面の面方向が隣接する格子群間で異なっているよう
な形態で形成することが可能である。特に本発明の方法
では、誘起構造である格子の大きさが小さいプラスチッ
ク透過型回折格子であっても容易に製造することが可能
である。
【0246】従って、プラスチック構造体の内部におけ
る任意の部位に、透過型回折格子として利用可能な誘起
構造を形成することが可能であり、回折格子の設計の自
由度を高めることができる。
【0247】また、本発明のプラスチック透過型回折格
子は、プラスチック特有の軽量、柔軟性・屈曲性・強靱
性を有している。さらに、目的に応じた材料選択の範囲
が広く、機械的特性や光学的特性などの特性範囲が広
い。
【0248】そのため、本発明のプラスチック透過型回
折格子は、目的とする種々の特性を有するものを容易に
得ることができ、実用性が極めて優れている。
【0249】さらにまた、本発明のプラスチック光学素
子の製造方法によれば、パルス幅が10-12秒以下であ
る超短パルスレーザーの照射により、プラスチック構造
体の内部における任意の部位に、光学素子として利用可
能な誘起構造部が形成され、該誘起構造部の屈折率の変
調度合いが大きいプラスチック光学素子を容易に作製す
ることができる。従って、高い回折効率を有しているプ
ラスチック光学素子であっても容易に作製することがで
き、回折格子以外の光学素子であっても、光学素子の設
計の自由度が高い。
【0250】もちろん、このような、プラスチック透過
型回折格子などのプラスチック光学素子は、プラスチッ
ク特有の軽量、柔軟性・屈曲性・強靱性を有しており、
さらに、目的に応じた材料選択の範囲が広く、機械的特
性や光学的特性などの特性範囲が広い。
【0251】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。
【0252】(プラスチック透過型回折格子Aの実施例
について) (実施例1)重合用容器に、モノマー成分としてアクリ
ル酸ブチル(BA)と、アクリル酸エチル(EA)とを
等モル比の割合で入れ、重合開始剤として2−ブロモイ
ソ酪酸エチル(前記モノマー成分全量に対して0.00
12モル%)、重合触媒として臭化銅(前記モノマー成
分全量に対して0.0012モル%)、助触媒として
2、2´−ビピリジン系誘導体(前記モノマー成分全量
に対して0.0036モル%)を用いた公知のリビング
ラジカル重合法により、先ず、重量平均分子量約25,
000のアクリル酸ブチル・アクリル酸エチルランダム
共重合体[ポリ(BA・EA)ランダム共重合体]を作
製した。引き続いて、前記ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体を含む反応混合物に、ブロック共重合体を作製
するための共重合性モノマー成分としてメチルメタアク
リレート(MMA)を追加して、さらにリビングラジカ
ル重合を行うことにより、ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体に、ブロック的に、重量平均分子量が約58,
000のポリメチルメタクリレート(PMMA)を結合
させた、PMMA・(ポリ(BA・EA)ランダム共重
合体)ブロック共重合体[ポリ(MMA/BA・EA)
ブロック共重合体]を得た。該ポリ(MMA/BA・E
A)ブロック共重合体(「ブロック共重合体A−1」と
称する場合がある)において、ブロック共重合体全体の
重量平均分子量は約83,000であり、PMMAの比
率は70重量%(重量平均分子量比)である。このブロ
ック共重合体A−1をフィルターやイオン交換樹脂を用
いて精製した後、紫外線(UV)により架橋させること
ができ且つ約250nm及び約360nmに最大吸収波
長(λmax)を有するトリアジン系架橋剤を、ブロッ
ク共重合体(ブロック共重合体A−1)100重量部に
対して1重量部添加し、さらに酢酸エチルを加えて、濃
度が約30重量%の溶液にして、キャスティング法によ
り、膜厚:約0.5mmのフィルム状サンプル(「照射
サンプルA−1」と称する場合がある)を作製した。こ
の照射サンプルA−1の屈折率は、アッベ屈折率形によ
り測定したところ、1.483であった。
【0253】なお、前記ブロック共重合体A−1につい
て、示差走査熱量測定(DSC)装置(商品名「DSC
6200」セイコー電子工業社製)を使用して、130
℃から急冷したサンプル(ブロック共重合体)を用い
て、試料重量:7〜20mg、昇温速度:7℃/分、窒
素流速:60〜70mm/分の条件でガラス転移温度の
測定を行ったところ、該ブロック共重合体A−1のガラ
ス転移温度は、約−30℃及び104℃であり、2つの
ガラス転移温度を有していた。
【0254】前記照射サンプルA−1の上面から深さが
約80μmである内部の位置を焦点にして、チタン・サ
ファイア・フェムト秒パルスレーザー装置及び対物レン
ズ(倍率:10倍)を使用して、超短パルスレーザー
(照射波長:800nm、パルス幅:150×10-15
秒、繰り返し:200kHz)を、照射エネルギー(平
均出力):30mW、照射スポット径:約4μmの条件
で、照射サンプルA−1を照射方向に垂直な方向に移動
速度:約500μm/秒で、照射開始位置からの距離が
20mmのところまで移動させて、第1の照射を行っ
た。その後、照射方向に対して垂直な平面上で第1の照
射の移動方向に対して垂直な方向に、照射サンプルA−
1を8μm移動させて、第1の照射と同じ深さで、第1
の照射と同様にして、照射開始位置からの距離が20m
mのところまで移動させて、第2の照射を行った。すな
わち、第1の照射による焦点を移動させた焦点位置軌跡
と、第2の照射による焦点を移動させた焦点位置軌跡と
は、照射方向に対して垂直な同一の平面上にあり、その
間隔(ピッチ距離)は8μmとなっている。以下同様に
して、第3の照射〜第15の照射まで行って、合計15
本のライン照射を行った。従って、照射を行った照射サ
ンプルA−1では、ピッチ間隔が8μmであり、ライン
本数が15本である。
【0255】照射した照射サンプルA−1の断面を光学
顕微鏡で観察し、得られた格子状サンプルのピッチ間隔
(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ(L)を測定し
た。また照射サンプルに波長が632.8nmのHe−
Ne(ヘリウム−ネオン)レーザーを図18に示したよ
うに照射して、透過回折のスポットの出現を観察した。
これらの測定結果を表1に示した。
【0256】(実施例2)実施例1と同じ照射サンプル
A−1を用いて、ピッチ間隔(ピッチ距離)を8μmに
代えて15μmとし、ライン本数を15本に代えて40
本としたこと以外は、実施例1と同じ照射条件で照射し
た。また、実施例1と同様に光学顕微鏡による断面観察
並びにHe−Neレーザー照射による透過回折のスポッ
トを観察したところ、表1に示す結果が得られた。
【0257】(実施例3)実施例1と同様のリビングラ
ジカル重合法により、モノマー成分として、BA及びE
A(等モル比)を用いて調製されたポリ(BA・EA)
ランダム共重合体に、さらに、MMAを重合させて、重
量平均分子量が約100,000のポリ(MMA/BA
・EA)ブロック共重合体(PMMAの比率:50重量
%(重量平均分子量比)、BAとEAとは等モル比)
(「ブロック共重合体B−1」と称する場合がある)を
得た。このブロック共重合体B−1をフィルターやイオ
ン交換樹脂を用いて精製した後、紫外線(UV)により
架橋させることができ且つ約250nm及び約360n
mに最大吸収波長(λmax)を有するトリアジン系架
橋剤を、ブロック共重合体(ブロック共重合体B−1)
100重量部に対して1重量部添加し、さらに酢酸エチ
ルを加えて、濃度が約30重量%の溶液にして、キャス
ティング法により、膜厚:約0.5mmのフィルム状サ
ンプル(「照射サンプルB−1」と称する場合がある)
を作製した。この照射サンプルB−1の屈折率は、アッ
ベ屈折率形により測定したところ、1.485であっ
た。
【0258】なお、前記ブロック共重合体B−1につい
て、実施例1と同様の測定条件でDSC測定を行ったと
ころ、ガラス転移温度は、約−30℃及び74℃であ
り、2つのガラス転移温度を有していた。
【0259】前記照射サンプルB−1を用いて、照射エ
ネルギー(平均出力):20mW、照射スポット径:約
3μm、対物レンズの倍率:20倍、ピッチ間隔(ピッ
チ距離):7μm、ライン本数:20本にしたこと以外
は、実施例1と同じ照射条件で照射した。また、実施例
1と同様に光学顕微鏡による断面観察並びにHe−Ne
レーザー照射による透過回折のスポットを観察したとこ
ろ、表1に示す結果が得られた。
【0260】(実施例4)実施例3と同じ照射サンプル
B−1を用いて、ピッチ間隔(ピッチ距離)を7μmに
代えて15μmとし、ライン本数を20本に代えて40
本としたこと以外は、実施例3と同じ照射条件で照射し
た。また、実施例1と同様に光学顕微鏡による断面観察
並びにHe−Neレーザー照射による透過回折のスポッ
トを観察したところ、表1に示す結果が得られた。
【0261】(実施例5)実施例3と同様にして得られ
たブロック共重合体B−1を、フィルターやイオン交換
樹脂を用いて精製した後、紫外線(UV)により架橋さ
せることができ且つ約250nm及び約360nmに最
大吸収波長(λmax)を有するトリアジン系架橋剤
を、ブロック共重合体(ブロック共重合体B−1)10
0重量部に対して2重量部添加し、さらに酢酸エチルを
加えて、濃度が約30重量%の溶液にして、キャスティ
ング法により、膜厚:約0.5mmのフィルム状サンプ
ル(「照射サンプルC−1」と称する場合がある)を作
製した。この照射サンプルC−1の屈折率は、アッベ屈
折率形により測定したところ、1.486であった。こ
の照射サンプルC−1を用いて、ピッチ間隔(ピッチ距
離)を7μmに代えて15μmとし、ライン本数を20
本に代えて40本としたこと以外は、実施例3と同じ照
射条件で照射した。また、実施例1と同様に光学顕微鏡
による断面観察並びにHe−Neレーザー照射による透
過回折のスポットを観察したところ、表1に示す結果が
得られた。
【0262】(比較例1)市販されているPMMA製フ
ィルム(膜厚:約1mm、PMMAの重量平均分子量:
約200,000)を用いて、実施例3と同一の照射条
件で照射を行い、照射サンプルD−1を作製した。この
照射サンプルD−1の屈折率は、アッベ屈折率形により
測定したところ、1.493であった。また、実施例1
と同様に光学顕微鏡による断面観察並びにHe−Neレ
ーザー照射による透過回折のスポットを観察したとこ
ろ、表1に示す結果が得られた。
【0263】なお、上記実施例1〜5および比較例1に
係る各照射サンプルについて、光学顕微鏡観察を行った
ところ、実施例1〜5に係る照射サンプルでは、内部に
格子状の誘起構造を有する部位の形成が観察された。比
較例1は、内部にトンネル状の空洞が出来、しかも、所
々にクラックも見られた。また、観察された誘起構造部
位のピッチ間隔(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ
(L)を測定したところ、表1に示す結果が得られた。
【0264】また、実施例1〜実施例5および比較例1
に係る照射サンプルに関して、上記光学顕微鏡によって
測定された誘起構造部位の寸法などを用いて、下記式
(1)で表される無次元数Q=2πλL/nΛ2
(1)の式から求めたQ値、およびHe−Neレーザー
照射による透過回折で観察されたスポットの最大次数を
表1に示している。ここで、スポットの最大次数が1に
近く小さいほどBragg回折が主に起こっていること
を示している。
【0265】
【表1】
【0266】表1より、実施例1〜実施例3では、照射
に使用された照射サンプル(フィルム状のサンプル)並
びに照射条件が好適で、Q値が1よりも大きい値が得ら
れ透過回折も好適なBragg回折が主に起こっている
ことが明らかである。また、実施例4〜実施例5では、
Q値が1よりも小さいので、Raman−Neth回折
が主に起こっていることが明らかである。一方、比較例
1では、照射に使用された照射サンプル(フィルム状の
サンプル)が好適でないために、Raman−Neth
回折が主に起こっていることが明らかである。
【0267】(プラスチック透過型回折格子Bの実施例
について) (実施例6)重合用容器に、モノマー成分としてアクリ
ル酸ブチル(BA)と、アクリル酸エチル(EA)とを
等モル比の割合で入れ、重合開始剤として2−ブロモイ
ソ酪酸エチル(前記モノマー成分全量に対して0.00
12モル%)、重合触媒として臭化銅(前記モノマー成
分全量に対して0.0012モル%)、助触媒として
2、2´−ビピリジン系誘導体(前記モノマー成分全量
に対して0.0036モル%)を用いた公知のリビング
ラジカル重合法により、先ず、重量平均分子量約25,
000のアクリル酸ブチル・アクリル酸エチルランダム
共重合体[ポリ(BA・EA)ランダム共重合体]を作
製した。引き続いて、前記ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体を含む反応混合物に、ブロック共重合体を作製
するための共重合性モノマー成分としてメチルメタアク
リレート(MMA)を追加して、さらにリビングラジカ
ル重合を行うことにより、ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体に、ブロック的に、重量平均分子量が約58,
000のポリメチルメタクリレート(PMMA)を結合
させた、PMMA・(ポリ(BA・EA)ランダム共重
合体)ブロック共重合体[ポリ(MMA/BA・EA)
ブロック共重合体]を得た。該ポリ(MMA/BA・E
A)ブロック共重合体(「ブロック共重合体A−2」と
称する場合がある)において、ブロック共重合体全体の
重量平均分子量は約83,000であり、PMMAの比
率は70重量%(重量平均分子量比)である。このブロ
ック共重合体A−2をフィルターやイオン交換樹脂を用
いて精製した後、紫外線(UV)により架橋させること
ができ且つ約250nm及び約360nmに最大吸収波
長(λmax)を有するトリアジン系架橋剤を、ブロッ
ク共重合体(ブロック共重合体A)100重量部に対し
て1重量部添加し、さらに酢酸エチルを加えて、濃度が
約30重量%の溶液にして、キャスティング法により、
膜厚:約0.5mmのフィルム状サンプル(「照射サン
プルA−2」と称する場合がある)を作製した。この照
射サンプルA−2の屈折率は、アッベ屈折率形により測
定したところ、1.483であった。
【0268】なお、前記ブロック共重合体A−2につい
て、示差走査熱量測定(DSC)装置(商品名「DSC
6200」セイコー電子工業社製)を使用して、130
℃から急冷したサンプル(ブロック共重合体)を用い
て、試料重量:7〜20mg、昇温速度:7℃/分、窒
素流速:60〜70mm/分の条件でガラス転移温度の
測定を行ったところ、該ブロック共重合体A−2のガラ
ス転移温度は、約−30℃及び104℃であり、2つの
ガラス転移温度を有していた。
【0269】前記照射サンプルA−2の上面から深さが
約80μmである内部の位置を焦点にして、チタン・サ
ファイア・フェムト秒パルスレーザー装置及び対物レン
ズ(倍率:10倍)を使用して、超短パルスレーザー
(照射波長:800nm、パルス幅:150×10-15
秒、繰り返し:200kHz)を、照射エネルギー(平
均出力):30mW、照射スポット径:約4μmの条件
で、照射サンプルA−2を照射方向に垂直な方向に移動
速度:約500μm/秒で、照射開始位置からの距離が
50mmのところまで直線移動させて、第1の照射を直
線状に照射して行った。その後、第1の照射の照射開始
位置から8μmだけ隔てた位置を第2の照射開始位置と
し、第1の照射と同じ深さで、第1の照射と同様にし
て、第2の照射開始位置からの距離が50mmであっ
て、第1の照射終了位置から15μmだけ隔てた位置の
ところまで直線移動させて、第2の照射を直線状に照射
して行った。すなわち、第1の照射による焦点を移動さ
せた焦点位置軌跡と、第2の照射による焦点を移動させ
た焦点位置軌跡とは、一方の側から他方の側にかけて間
隔(ピッチ距離)が変化しており、最小のピッチ間隔
(ピッチ距離)は8μmであり、最大のピッチ間隔(ピ
ッチ距離)は15μmとなっている。以下同様にして、
第3の照射〜第15の照射まで行って、合計15本のラ
イン照射を行った。従って、照射を行った照射サンプル
A−2では、ピッチ間隔(ピッチ距離)が一方向に8〜
15μmの範囲で変化しており、ライン本数が15本で
ある。なお、屈折率変化部の厚みは10μmであった。
【0270】照射した照射サンプルA−2の断面を光学
顕微鏡で観察し、得られた格子状サンプルのピッチ間隔
(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ(L)を測定し
た。また照射サンプルに波長が632.8nmのHe−
Ne(ヘリウム−ネオン)レーザーを図18に示したよ
うに照射して、透過回折のスポットの出現を観察した。
これらの測定結果を表2及び3に示した。
【0271】(実施例7)実施例6と同様のリビングラ
ジカル重合法により、モノマー成分として、BA及びE
A(等モル比)を用いて調製されたポリ(BA・EA)
ランダム共重合体に、さらに、MMAを重合させて、重
量平均分子量が約100,000のポリ(MMA/BA
・EA)ブロック共重合体(PMMAの比率:50重量
%(重量平均分子量比)、BAとEAとは等モル比)
(「ブロック共重合体B−2」と称する場合がある)を
得た。このブロック共重合体B−2をフィルターやイオ
ン交換樹脂を用いて精製した後、紫外線(UV)により
架橋させることができ且つ約250nm及び約360n
mに最大吸収波長(λmax)を有するトリアジン系架
橋剤を、ブロック共重合体(ブロック共重合体B−2)
100重量部に対して1重量部添加し、さらに酢酸エチ
ルを加えて、濃度が約30重量%の溶液にして、キャス
ティング法により、膜厚:約0.5mmのフィルム状サ
ンプル(「照射サンプルB−2」と称する場合がある)
を作製した。この照射サンプルB−2の屈折率は、アッ
ベ屈折率形により測定したところ、1.485であっ
た。
【0272】なお、前記ブロック共重合体B−2につい
て、実施例6と同様の測定条件でDSC測定を行ったと
ころ、ガラス転移温度は、約−30℃及び74℃であ
り、2つのガラス転移温度を有していた。
【0273】前記照射サンプルB−2を、60mm×6
0mmのサイズ(厚み:約0.5mm)に切り出し、一
辺を固定し、100℃で5分間予熱した後、固定した辺
(固定辺)の対辺(延伸辺)が元の長さの1.43倍と
なるように(従って、上面の形状が台形状となるよう
に)延伸を行った。固定辺側から延伸辺側に向かって、
照射エネルギー(平均出力):20mW、照射スポット
径:約3μm、対物レンズの倍率:20倍、ピッチ間隔
(ピッチ距離):10μm(すべて平行である)、ライ
ン本数:20本にしたこと以外は、実施例6と同じ照射
条件で照射した。そして、再度、100℃で10分間熱
をかけて、自由に収縮させた。なお、屈折率変化部の厚
みは4μmであった。また、実施例6と同様に光学顕微
鏡による断面観察並びにHe−Neレーザー照射による
透過回折のスポットを観察したところ、表2及び3に示
す結果が得られた。
【0274】なお、上記実施例6及び7に係る各照射サ
ンプルについて、光学顕微鏡観察を行ったところ、該実
施例6及び7に係る照射サンプルでは、内部に格子状の
誘起構造を有する部位の形成が観察された。また、観察
された誘起構造部位のピッチ間隔(Λ)、格子の対向す
る面の奥行き長さ(L)を測定したところ、表2に示す
結果が得られた。該ピッチ間隔(Λ)や奥行き長さ
(L)において、実施例6では、照射開始位置側の端部
と、照射終了位置側の端部について測定した。また、実
施例7では、固定辺側の端部と、延伸辺側の端部につい
て測定した。これらの照射開始位置側、照射終了位置
側、固定辺側、延伸辺側の端部である観察部としては、
それぞれの部位から5mm以内のライン部(格子部)で
ある。
【0275】また、実施例6および7に係る照射サンプ
ルに関して、上記光学顕微鏡によって測定された誘起構
造部位の寸法などを用いて、下記式(1)で表される無
次元数Q Q=2πλL/nΛ2 (1) の式から求めたQ値、およびHe−Neレーザー照射に
よる透過回折で観察されたスポットの最大次数、さらに
下記式(2)で表される一次の回折効率η1 一次の回折効率η1=(一次の回折光強度)/(入射光強度) (2) の値を表3に示している。ここで、スポットの最大次数
が1に近く小さいほどBragg回折が主に起こってい
ることを示している。なお、これらについても、前記表
2と同様に、実施例6では、照射開始位置側の端部と、
照射終了位置側の端部について測定し、また、実施例7
では、固定辺側の端部と、延伸辺側の端部について測定
した。
【0276】
【表2】
【0277】
【表3】
【0278】表2より、実施例6及び7に係る照射サン
プルでは、その内部に格子状の誘起構造を有する部位の
形成が観察され、しかも、一方の側から他方の側にかけ
て、格子状の誘起構造を有する部位間の間隔が変化して
いることが観察された。
【0279】さらに、表3より、実施例6及び7では、
照射に使用された照射サンプル(フィルム状のサンプ
ル)並びに照射条件が好適で、Q値が1よりも大きい値
が得られ透過回折も好適なBragg回折が主に起こっ
ていることが明らかである。
【0280】(プラスチック透過型回折格子Cの実施例
について) (実施例8)重合用容器に、モノマー成分としてアクリ
ル酸ブチル(BA)と、アクリル酸エチル(EA)とを
等モル比の割合で入れ、重合開始剤として2−ブロモイ
ソ酪酸エチル(前記モノマー成分全量に対して0.00
12モル%)、重合触媒として臭化銅(前記モノマー成
分全量に対して0.0012モル%)、助触媒として
2、2´−ビピリジン系誘導体(前記モノマー成分全量
に対して0.0036モル%)を用いた公知のリビング
ラジカル重合法により、先ず、重量平均分子量約25,
000のアクリル酸ブチル・アクリル酸エチルランダム
共重合体[ポリ(BA・EA)ランダム共重合体]を作
製した。引き続いて、前記ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体を含む反応混合物に、ブロック共重合体を作製
するための共重合性モノマー成分としてメチルメタアク
リレート(MMA)を追加して、さらにリビングラジカ
ル重合を行うことにより、ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体に、ブロック的に、重量平均分子量が約58,
000のポリメチルメタクリレート(PMMA)を結合
させた、PMMA・(ポリ(BA・EA)ランダム共重
合体)ブロック共重合体[ポリ(MMA/BA・EA)
ブロック共重合体]を得た。該ポリ(MMA/BA・E
A)ブロック共重合体(「ブロック共重合体A−3」と
称する場合がある)において、ブロック共重合体全体の
重量平均分子量は約83,000であり、PMMAの比
率は70重量%(重量平均分子量比)である。このブロ
ック共重合体A−3をフィルターやイオン交換樹脂を用
いて精製した後、紫外線(UV)により架橋させること
ができ且つ約250nm及び約360nmに最大吸収波
長(λmax)を有するトリアジン系架橋剤を、ブロッ
ク共重合体(ブロック共重合体A−3)100重量部に
対して1重量部添加し、さらに酢酸エチルを加えて、濃
度が約30重量%の溶液にして、キャスティング法によ
り、膜厚:約0.5mmのフィルム状サンプル(「照射
サンプルA−3」と称する場合がある)を作製した。こ
の照射サンプルA−3の屈折率は、アッベ屈折率形によ
り測定したところ、1.483であった。
【0281】なお、前記ブロック共重合体A−3につい
て、示差走査熱量測定(DSC)装置(商品名「DSC
6200」セイコー電子工業社製)を使用して、130
℃から急冷したサンプル(ブロック共重合体)を用い
て、試料重量:7〜20mg、昇温速度:7℃/分、窒
素流速:60〜70mm/分の条件でガラス転移温度の
測定を行ったところ、該ブロック共重合体A−3のガラ
ス転移温度は、約−30℃及び104℃であり、2つの
ガラス転移温度を有していた。
【0282】前記照射サンプルA−3の上面から深さが
約80μmである内部の位置を焦点にして、チタン・サ
ファイア・フェムト秒パルスレーザー装置及び対物レン
ズ(倍率:10倍)を使用して、超短パルスレーザー
(照射波長:800nm、パルス幅:150×10-15
秒、繰り返し:200kHz)を、照射エネルギー(平
均出力):30mW、照射スポット径:約4μmの条件
で、照射サンプルA−3を照射方向に垂直な方向に移動
速度:約500μm/秒で、照射開始位置からの距離が
50mmのところまで直線移動させて、第1の照射を直
線状に照射して行った。その後、照射方向に対して垂直
な平面上で第1の照射の移動方向に対して垂直な方向
に、照射サンプルA−3を15μm移動させて、第1の
照射と同じ深さで、第1の照射と同様にして、照射開始
位置からの距離が50mmのところまで移動させて、第
2の照射を直線状に照射して行った。すなわち、第1の
照射による焦点を移動させた焦点位置軌跡と、第2の照
射による焦点を移動させた焦点位置軌跡とは、照射方向
に対して垂直な同一の平面上にあり、その間隔(ピッチ
距離)は15μmとなっている。以下同様(照射エネル
ギー、照射スポット径、対物レンズ倍率、サンプル移動
速度、照射位置決めなど)にして、第3の照射〜第50
の照射まで行って、小計50本のライン照射を行った。
【0283】次に、照射サンプルA−3を90°回転さ
せて、先の照射(第1〜50の照射)による照射ライン
に対して直交するように、前記と同様(照射エネルギ
ー、照射スポット径、対物レンズ倍率、サンプル移動速
度、照射位置決めなど)にして、第51の照射〜第65
の照射を行って、小計15本のライン照射を行った。
【0284】すなわち、第1〜第50の照射による照射
ライン(a)は互いに平行であり、その隣接する照射ラ
イン間の間隔も一定である。また、第51〜第65の照
射による照射ライン(b)は互いに平行であり、その隣
接する照射ライン間の間隔も一定である。しかし、第1
〜第50の照射による照射ライン(a)と、第51〜第
65の照射による照射ライン(b)とは直交して交わっ
ている。
【0285】従って、照射を行った照射サンプルA−3
において、第1〜第50の照射による照射ライン(a)
では、ピッチ間隔Λ+厚みdが15μm(ピッチ距離)
であり、ライン本数が50本であり、一方該照射ライン
(a)とは直交している第51〜第65の照射による照
射ライン(b)では、ピッチ間隔Λ+厚みdが15μm
(ピッチ距離)であり、ライン本数が15本である。
【0286】照射した照射サンプルA−3の断面を光学
顕微鏡で観察したところ、図16に示されるように、内
部に格子状の誘起構造を有する部位の形成が観察され
た。図16は、照射した照射サンプルA−3についての
キーエンス社製デジタルマイクロスコープ(VH−25
0)による平面写真を示す図である。また、観察された
誘起構造部位のピッチ間隔(Λ)、格子の対向する面の
奥行き長さ(L)を測定したところ、得られた格子状サ
ンプルのピッチ間隔(Λ)は10μmであり、格子の対
向する面の奥行き長さ(L)は82μmであった。
【0287】さらにまた、照射サンプルに波長が63
2.8nmのHe−Ne(ヘリウム−ネオン)レーザー
を図18に示したように照射して、透過回折のスポット
の出現を観察したところ、図17に示されるような写真
が得られた。図17は照射した照射サンプルA−3への
632.8nmのHe−Neレーザーの照射による透過
回折で観察されたスポットの出現の写真を示す図であ
る。
【0288】さらにまた、照射サンプルに関して、上記
光学顕微鏡によって測定された誘起構造部位の寸法など
を用いて、下記式(1)で表される無次元数Q Q=2πλL/nΛ2 (1) の式から求めたQ値を求めたところ、2.6であった。
また、He−Neレーザー照射による透過回折で観察さ
れたスポットの最大次数を測定するとともに、下記式
(2)で表される一次の回折効率η1 一次の回折効率η1=(一次の回折光強度)/(入射光強度) (2) の値を求めたところ、それぞれ、次数:2次、η1
0.078であった。
【0289】以上より、実施例8では、照射に使用され
た照射サンプル(フィルム状のサンプル)並びに照射条
件が好適で、Q値が1よりも大きい値が得られ透過回折
も好適なBragg回折が2次元的に起こっていること
が明らかである。
【0290】(屈折率変化部のピッチ間隔の調整に関す
る実施例について) (実施例9)重合用容器に、モノマー成分としてアクリ
ル酸ブチル(BA)と、アクリル酸エチル(EA)とを
等モル比の割合で入れ、重合開始剤として2−ブロモイ
ソ酪酸エチル(前記モノマー成分全量に対して0.00
12モル%)、重合触媒として臭化銅(前記モノマー成
分全量に対して0.0012モル%)、助触媒として
2、2´−ビピリジン系誘導体(前記モノマー成分全量
に対して0.0036モル%)を用いた公知のリビング
ラジカル重合法により、先ず、重量平均分子量約25,
000のアクリル酸ブチル・アクリル酸エチルランダム
共重合体[ポリ(BA・EA)ランダム共重合体]を作
製した。引き続いて、前記ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体を含む反応混合物に、ブロック共重合体を作製
するための共重合性モノマー成分としてメチルメタアク
リレート(MMA)を追加して、さらにリビングラジカ
ル重合を行うことにより、ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体に、ブロック的に、重量平均分子量が約58,
000のポリメチルメタクリレート(PMMA)を結合
させた、PMMA・(ポリ(BA・EA)ランダム共重
合体)ブロック共重合体[ポリ(MMA/BA・EA)
ブロック共重合体]を得た。該ポリ(MMA/BA・E
A)ブロック共重合体(「ブロック共重合体A−4」と
称する場合がある)において、ブロック共重合体全体の
重量平均分子量は約83,000であり、PMMAの比
率は70重量%(重量平均分子量比)である。このブロ
ック共重合体A−4をフィルターやイオン交換樹脂を用
いて精製した後、紫外線(UV)により架橋させること
ができ且つ約250nm及び約360nmに最大吸収波
長(λmax)を有するトリアジン系架橋剤を、ブロッ
ク共重合体(ブロック共重合体A−4)100重量部に
対して1重量部添加し、さらに酢酸エチルを加えて、濃
度が約30重量%の溶液にして、キャスティング法によ
り、膜厚:約0.5mmのフィルム状サンプル(「照射
サンプルA−4」と称する場合がある)を作製した。こ
の照射サンプルA−4の屈折率は、アッベ屈折率形によ
り測定したところ、1.483であった。
【0291】なお、前記ブロック共重合体A−4につい
て、示差走査熱量測定(DSC)装置(商品名「DSC
6200」セイコー電子工業社製)を使用して、130
℃から急冷したサンプル(ブロック共重合体)を用い
て、試料重量:7〜20mg、昇温速度:7℃/分、窒
素流速:60〜70mm/分の条件でガラス転移温度の
測定を行ったところ、該ブロック共重合体A−4のガラ
ス転移温度は、約−30℃及び104℃であり、2つの
ガラス転移温度を有していた。
【0292】前記照射サンプルA−4を、100℃で5
分間予熱した後に1方向に1.5倍の延伸倍率で延伸
し、延伸された照射サンプルA−4(「延伸サンプルA
−4」と称する場合がある)を得た。なお、以下、延伸
方向をMD方向と称する場合があり、また、MD方向に
直交する直交方向をTD方向と称する場合がある。
【0293】前記延伸サンプルA−4の上面から深さが
約80μmである内部の位置を焦点にして、チタン・サ
ファイア・フェムト秒パルスレーザー装置及び対物レン
ズ(倍率:10倍)を使用して、超短パルスレーザー
(照射波長:800nm、パルス幅:150×10-15
秒、繰り返し:200kHz)を、照射エネルギー(平
均出力):30mW、照射スポット径:約4μmの条件
で、延伸サンプルA−4を照射方向に垂直な方向且つM
D方向に移動速度:約500μm/秒で、照射開始位置
からの距離が50mmのところまで直線移動させて、第
1の照射を直線状に照射して行った。その後、第1の照
射の照射開始位置から8μmだけ隔てた位置を第2の照
射開始位置とし、第1の照射と同じ深さで、第1の照射
と同様にして、第2の照射開始位置からの距離が50m
mのところまで直線移動させて、第2の照射を直線状に
照射して行った。すなわち、第1の照射による焦点を移
動させた焦点位置軌跡と、第2の照射による焦点を移動
させた焦点位置軌跡とは、照射方向に対して垂直な同一
の平面上で且つMD方向となっており、その間隔は8μ
mとなっている。以下同様にして、第3の照射〜第15
の照射まで行って、合計15本のライン照射を行った。
従って、該焦点をMD方向に移動させて照射を行った延
伸サンプルA−4では、ピッチ間隔Λ+厚みdが8μm
(ピッチ距離)であり、ライン本数が15本である。
【0294】その後、前記焦点をMD方向に移動させて
照射を行った延伸サンプルA−4を100℃で10分間
保持して、熱収縮(圧力をかけずに熱のみによる収縮)
により、自由に収縮させた。以下、焦点をMD方向に移
動させて照射を行った延伸サンプルA−4を収縮させた
ものを、MD方向照射収縮サンプルA−4と称する場合
がある。
【0295】前記MD方向照射収縮サンプルA−4の断
面を光学顕微鏡で観察し、得られた格子状サンプルのピ
ッチ間隔(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ(L)
を測定した。また、MD方向照射収縮サンプルA−4に
波長が632.8nmのHe−Ne(ヘリウム−ネオ
ン)レーザーを図18に示したように照射して、透過回
折のスポットの出現を観察した。これらの測定結果を表
4に示した。
【0296】(実施例10)超短パルスレーザーの照射
方向を、MD方向に代えてTD方向としたこと以外は実
施例9と同様にして、焦点をTD方向に移動させて照射
を行った延伸サンプルA−4を作製した後、100℃で
10分間保持して、熱収縮させた。以下、実施例2に係
る焦点をTD方向に移動させて照射を行った延伸サンプ
ルA−4を収縮させたものを、TD方向照射収縮サンプ
ルA−4と称する場合がある。
【0297】前記TD方向照射収縮サンプルA−4につ
いて、実施例1と同様にして、得られた格子状サンプル
のピッチ間隔(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ
(L)を測定するとともに、透過回折のスポットの出現
を観察した。これらの測定結果を表1に示した。
【0298】(実施例11)実施例9と同様のリビング
ラジカル重合法により、モノマー成分として、BA及び
EA(等モル比)を用いて調製されたポリ(BA・E
A)ランダム共重合体に、さらに、MMAを重合させ
て、重量平均分子量が約100,000のポリ(MMA
/BA・EA)ブロック共重合体(PMMAの比率:5
0重量%(重量平均分子量比)、BAとEAとは等モル
比)(「ブロック共重合体B−4」と称する場合があ
る)を得た。このブロック共重合体B−4をフィルター
やイオン交換樹脂を用いて精製した後、紫外線(UV)
により架橋させることができ且つ約250nm及び約3
60nmに最大吸収波長(λmax)を有するトリアジ
ン系架橋剤を、ブロック共重合体(ブロック共重合体B
−4)100重量部に対して1重量部添加し、さらに酢
酸エチルを加えて、濃度が約30重量%の溶液にして、
キャスティング法により、膜厚:約0.5mmのフィル
ム状サンプル(「照射サンプルB−4」と称する場合が
ある)を作製した。この照射サンプルB−4の屈折率
は、アッベ屈折率形により測定したところ、1.485
であった。
【0299】なお、前記ブロック共重合体B−4につい
て、実施例9と同様の測定条件でDSC測定を行ったと
ころ、ガラス転移温度は、約−30℃及び74℃であ
り、2つのガラス転移温度を有していた。
【0300】前記照射サンプルB−4を、実施例9と同
様にして、1方向に1.5倍の延伸倍率で延伸し、延伸
された照射サンプルB−4(「延伸サンプルB−4」と
称する場合がある)を得た。
【0301】前記延伸サンプルB−4に対して、照射エ
ネルギー(平均出力):20mW、照射スポット径:約
3μm、対物レンズの倍率:20倍、ピッチ間隔(ピッ
チ距離):10μm、ライン本数:20本にしたこと以
外は、実施例9と同じ照射条件(例えば、焦点の移動方
向がMD方向である)且つ同様の方法により、照射し
た。従って、該実施例11に係る焦点をMD方向に移動
させて照射を行った延伸サンプルB−4では、ピッチ間
隔Λ+厚みdが10μm(ピッチ距離)であり、ライン
本数が20本である。
【0302】その後、焦点をMD方向に移動させて照射
を行った延伸サンプルB−4を、実施例9と同様にし
て、熱収縮させた。以下、実施例11に係る焦点をMD
方向に移動させて照射を行った延伸サンプルB−4を収
縮させたものを、MD方向照射収縮サンプルB−4と称
する場合がある。
【0303】MD方向照射収縮サンプルB−4につい
て、実施例9と同様にして、得られた格子状サンプルの
ピッチ間隔(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ
(L)を測定するとともに、透過回折のスポットの出現
を観察した。これらの測定結果を表4に示した。
【0304】(実施例12)超短パルスレーザーの照射
方向を、MD方向に代えてTD方向としたこと以外は実
施例11と同様にして、焦点をTD方向に移動させて照
射を行った延伸サンプルB−4を作製した後、100℃
で10分間保持して、熱収縮させた。以下、実施例12
に係る焦点をTD方向に移動させて照射を行った延伸サ
ンプルB−4を収縮させたものを、TD方向照射収縮サ
ンプルB−4と称する場合がある。
【0305】前記TD方向照射収縮サンプルB−4につ
いて、実施例9と同様にして、得られた格子状サンプル
のピッチ間隔(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ
(L)を測定するとともに、透過回折のスポットの出現
を観察した。これらの測定結果を表4に示した。
【0306】(比較例2)延伸および収縮(熱収縮)を
行わなかったこと以外は、実施例9と同様にして、照射
サンプルA−4に対して照射を行った。さらに、実施例
9と同様にして、得られた格子状サンプルのピッチ間隔
(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ(L)を測定す
るとともに、透過回折のスポットの出現を観察した。こ
れらの測定結果を表4に示した。なお、延伸を行ってい
ないので、レーザーの照射方向(焦点の移動方向)は任
意の方向である。
【0307】(比較例3)延伸および収縮(熱収縮)を
行わなかったこと以外は、実施例11と同様にして、照
射サンプルB−4に対して照射を行った。さらに、実施
例9と同様にして、得られた格子状サンプルのピッチ間
隔(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ(L)を測定
するとともに、透過回折のスポットの出現を観察した。
これらの測定結果を表4に示した。なお、延伸を行って
いないので、レーザーの照射方向(焦点の移動方向)は
任意の方向である。
【0308】なお、上記実施例9〜12及び比較例2〜
3に係る各照射サンプルについて、光学顕微鏡観察を行
ったところ、該実施例9〜12及び比較例2〜3に係る
照射サンプルでは、内部に格子状の誘起構造を有する部
位の形成が観察された。
【0309】また、実施例9〜12及び比較例2〜3に
係る照射サンプルに関して、上記光学顕微鏡によって測
定された誘起構造部位の寸法などを用いて、下記式
(1)で表される無次元数Q Q=2πλL/nΛ2 (1) の式から求めたQ値、および下記式(2)で表される一
次の回折効率η1 一次の回折効率η1=(一次の回折光強度)/(入射光強度) (2) の値を表4に示している。
【0310】
【表4】
【0311】表4より、実施例9及び10に係る照射サ
ンプルでは、その内部に格子状の誘起構造を有する部位
の形成が観察された。しかも、実施例9、実施例10及
び比較例2におけるそれぞれのピッチ間隔Λの対比や、
実施例11、実施例12及び比較例3におけるそれぞれ
のピッチ間隔Λの対比により、格子状の誘起構造を有す
る部位間の間隔を調整することができることが分かる。
【0312】さらに、実施例9〜12では、照射に使用
された照射サンプル(フィルム状のサンプル)並びに照
射条件が好適で、Q値が1よりも大きい値が得られ、ま
た比較例2〜3に比べて回折効率η1の大きさも大き
く、透過回折も好適なBragg回折が主に起こってい
ることが明らかである。
【0313】(プラスチック透過型回折格子Dの実施例
について) (実施例13)重合用容器に、モノマー成分としてアク
リル酸ブチル(BA)と、アクリル酸エチル(EA)と
を等モル比の割合で入れ、重合開始剤として2−ブロモ
イソ酪酸エチル(前記モノマー成分全量に対して0.0
012モル%)、重合触媒として臭化銅(前記モノマー
成分全量に対して0.0012モル%)、助触媒として
2、2´−ビピリジン系誘導体(前記モノマー成分全量
に対して0.0036モル%)を用いた公知のリビング
ラジカル重合法により、先ず、重量平均分子量約25,
000のアクリル酸ブチル・アクリル酸エチルランダム
共重合体[ポリ(BA・EA)ランダム共重合体]を作
製した。引き続いて、前記ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体を含む反応混合物に、ブロック共重合体を作製
するための共重合性モノマー成分としてメチルメタアク
リレート(MMA)を追加して、さらにリビングラジカ
ル重合を行うことにより、ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体に、ブロック的に、重量平均分子量が約58,
000のポリメチルメタクリレート(PMMA)を結合
させた、PMMA・(ポリ(BA・EA)ランダム共重
合体)ブロック共重合体[ポリ(MMA/BA・EA)
ブロック共重合体]を得た。該ポリ(MMA/BA・E
A)ブロック共重合体(「ブロック共重合体A−5」と
称する場合がある)において、ブロック共重合体全体の
重量平均分子量は約83,000であり、PMMAの比
率は70重量%(重量平均分子量比)である。このブロ
ック共重合体A−5をフィルターやイオン交換樹脂を用
いて精製した後、紫外線(UV)により架橋させること
ができ且つ約250nm及び約360nmに最大吸収波
長(λmax)を有するトリアジン系架橋剤を、ブロッ
ク共重合体(ブロック共重合体A−5)100重量部に
対して1重量部添加し、さらに酢酸エチルを加えて、濃
度が約30重量%の溶液にして、キャスティング法によ
り、膜厚:約0.5mmのフィルム状サンプル(「照射
サンプルA−5」と称する場合がある)を作製した。こ
の照射サンプルA−5の屈折率は、アッベ屈折率形によ
り測定したところ、1.483であった。
【0314】なお、前記ブロック共重合体A−5につい
て、示差走査熱量測定(DSC)装置(商品名「DSC
6200」セイコー電子工業社製)を使用して、130
℃から急冷したサンプル(ブロック共重合体)を用い
て、試料重量:7〜20mg、昇温速度:7℃/分、窒
素流速:60〜70mm/分の条件でガラス転移温度の
測定を行ったところ、該ブロック共重合体A−5のガラ
ス転移温度は、約−30℃及び104℃であり、2つの
ガラス転移温度を有していた。
【0315】前記照射サンプルA−5の上面から深さが
約180μmである内部の位置を焦点にして、チタン・
サファイア・フェムト秒パルスレーザー装置及び対物レ
ンズ(倍率:10倍)を使用して、超短パルスレーザー
(照射波長:800nm、パルス幅:150×10-15
秒、繰り返し:200kHz)を、照射エネルギー(平
均出力):30mW、照射スポット径:約4μmの条件
で、照射サンプルA−5を照射方向に垂直な方向に移動
速度:約500μm/秒で、照射開始位置からの距離が
50mmのところまで直線移動させて、第1の照射を直
線状に1光束照射により照射して行った。その後、照射
方向に対して垂直な平面上で第1の照射の移動方向に対
して垂直な方向に、照射サンプルA−5を15μm移動
させて、第1の照射と同じ深さで、第1の照射と同様に
して、照射開始位置からの距離が50mmのところまで
移動させて、第2の照射を直線状に1光束照射により照
射して行った。すなわち、第1の照射による焦点を移動
させた焦点位置軌跡と、第2の照射による焦点を移動さ
せた焦点位置軌跡とは、照射方向に対して垂直な同一の
平面上にあり、その間隔(ピッチ距離)は15μmとな
っている。以下同様(照射エネルギー、照射スポット
径、対物レンズ倍率、サンプル移動速度、照射位置決
め、1光束照射など)にして、第3の照射〜第10の照
射まで行って、小計10本のライン照射を行って、該第
1〜第10のライン照射により形成された誘起構造から
なる第1層目の誘起構造群を形成した。
【0316】次に、照射サンプルA−5を90°回転さ
せて、照射サンプルA−5の上面から深さが約140μ
mである内部の位置を焦点にして、先の照射(第1〜1
0の照射)による照射ラインに対して直交するように、
前記と同様(照射エネルギー、照射スポット径、対物レ
ンズ倍率、サンプル移動速度、照射位置決め、1光束照
射など)にして、第11の照射〜第20の照射を1光束
照射により行って、小計10本のライン照射を行って、
該第11〜第20のライン照射により形成された誘起構
造からなる第2層目の誘起構造群を形成した。
【0317】すなわち、第1〜第10の照射による照射
ライン(a)は互いに平行であり、その隣接する照射ラ
イン間の間隔も一定である。また、第11〜第20の照
射による照射ライン(b)は互いに平行であり、その隣
接する照射ライン間の間隔も一定である。しかし、第1
〜第10の照射による照射ライン(a)と、第11〜第
20の照射による照射ライン(b)とは、照射サンプル
A−5の上面から深さが異なり[照射ライン(a)は1
80μm、照射ライン(b)は140μm]、且つ90
°異なる方向である。
【0318】従って、照射を行った照射サンプルA−5
において、第1〜第10の照射による照射ライン(a)
では、ピッチ間隔Λ+厚みdが15μm(ピッチ距離)
であり、ライン本数が10本であり、一方該照射ライン
(a)とは直交している方向で上面からの深さが異なる
第11〜第20の照射による照射ライン(b)では、ピ
ッチ間隔Λ+厚みdが15μm(ピッチ距離)であり、
ライン本数が10本である。なお、第1層目の誘起構造
群中の各誘起構造における互いに対向している面の面方
向と、第2層目の誘起構造群中の各誘起構造における互
いに対向している面の面方向とは、90°の面角を有し
ている。
【0319】照射した照射サンプルA−5の断面を光学
顕微鏡で観察して、測定された誘起構造部位の寸法など
を用いて、下記式(1)で表される無次元数Q Q=2πλL/nΛ2 (1) の式から求めたQ値を求めたところ、3.1であった。
【0320】なお、観察された誘起構造部位のピッチ間
隔(Λ)、格子における互いに対向している面の奥行き
長さ(L)を測定したところ、得られたサンプルのピッ
チ間隔(Λ)は10μmであり、格子における互いに対
向している面の奥行き長さ(L)は30μmであった。
【0321】(実施例14)前記照射サンプルA−5を
用いて、実施例13と同様にして、第1層目の誘起構造
群と、第2層目の誘起構造群を形成した後、さらに照射
サンプルA−5を55°回転させて、照射サンプルA−
5の上面から深さが約100μmである内部の位置を焦
点にして、第2層目の誘起構造群に係る第11〜第20
の照射ラインに対する角度が55°となるように、前記
第1層目及び第2層目の誘起構造群の形成と同様(照射
エネルギー、照射スポット径、対物レンズ倍率、サンプ
ル移動速度、照射位置決め、1光束照射など)にして、
第21の照射〜第30の照射を1光束照射により行っ
て、小計10本のライン照射を行って、該第21〜第3
0のライン照射により形成された誘起構造からなる第3
層目の誘起構造群を形成した。
【0322】すなわち、第21〜第30の照射による照
射ライン(c)は互いに平行であり、その隣接する照射
ライン間の間隔も一定である。なお、第11〜第20の
照射による照射ライン(b)と、第21〜第30の照射
による照射ライン(c)とは、照射サンプルA−5の上
面から深さが異なり[照射ライン(b)は140μm、
照射ライン(c)は100μm]、且つ55°異なる方
向である。なお、第2層目の誘起構造群中の各誘起構造
における互いに対向している面の面方向と、第3層目の
誘起構造群中の各誘起構造における互いに対向している
面の面方向とは、55°の面角を有している。
【0323】照射した照射サンプルA−5の断面を、実
施例13と同様にして、光学顕微鏡で観察して、前記式
(1)で表される無次元数Qを求めたところ、3.4で
あった。
【0324】以上より、実施例13及び14では、照射
に使用された照射サンプル(フィルム状のサンプル)並
びに照射条件が好適で、Q値が1よりも大きい値が得ら
れ透過回折も好適なBragg回折が2次元的に起こっ
ていることが明らかである。
【0325】(プラスチック透過型回折格子Daの実施
例について) (実施例15)重合用容器に、モノマー成分としてアク
リル酸ブチル(BA)と、アクリル酸エチル(EA)と
を等モル比の割合で入れ、重合開始剤として2−ブロモ
イソ酪酸エチル(前記モノマー成分全量に対して0.0
012モル%)、重合触媒として臭化銅(前記モノマー
成分全量に対して0.0012モル%)、助触媒として
2、2´−ビピリジン系誘導体(前記モノマー成分全量
に対して0.0036モル%)を用いた公知のリビング
ラジカル重合法により、先ず、重量平均分子量約25,
000のアクリル酸ブチル・アクリル酸エチルランダム
共重合体[ポリ(BA・EA)ランダム共重合体]を作
製した。引き続いて、前記ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体を含む反応混合物に、ブロック共重合体を作製
するための共重合性モノマー成分としてメチルメタアク
リレート(MMA)を追加して、さらにリビングラジカ
ル重合を行うことにより、ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体に、ブロック的に、重量平均分子量が約58,
000のポリメチルメタクリレート(PMMA)を結合
させた、PMMA・(ポリ(BA・EA)ランダム共重
合体)ブロック共重合体[ポリ(MMA/BA・EA)
ブロック共重合体]を得た。該ポリ(MMA/BA・E
A)ブロック共重合体(「ブロック共重合体A−6」と
称する場合がある)において、ブロック共重合体全体の
重量平均分子量は約83,000であり、PMMAの比
率は70重量%(重量平均分子量比)である。このブロ
ック共重合体A−6をフィルターやイオン交換樹脂を用
いて精製した後、紫外線(UV)により架橋させること
ができ且つ約250nm及び約360nmに最大吸収波
長(λmax)を有するトリアジン系架橋剤を、ブロッ
ク共重合体(ブロック共重合体A−6)100重量部に
対して1重量部添加し、さらに酢酸エチルを加えて、濃
度が約30重量%の溶液にして、キャスティング法によ
り、膜厚:約0.5mmのフィルム状サンプル(「照射
サンプルA−6」と称する場合がある)を作製した。こ
の照射サンプルA−6の屈折率は、アッベ屈折率形によ
り測定したところ、1.483であった。
【0326】なお、前記ブロック共重合体A−6につい
て、示差走査熱量測定(DSC)装置(商品名「DSC
6200」セイコー電子工業社製)を使用して、130
℃から急冷したサンプル(ブロック共重合体)を用い
て、試料重量:7〜20mg、昇温速度:7℃/分、窒
素流速:60〜70mm/分の条件でガラス転移温度の
測定を行ったところ、該ブロック共重合体A−6のガラ
ス転移温度は、約−30℃及び104℃であり、2つの
ガラス転移温度を有していた。
【0327】前記照射サンプルA−6の上面から深さが
約140μmである内部の位置を2光束干渉の焦点にし
て、チタン・サファイア・フェムト秒パルスレーザー装
置及び対物レンズ(倍率:10倍)を使用して、超短パ
ルスレーザー(照射波長:800nm、パルス幅:15
0×10-15秒、繰り返し:200kHz)を、照射エ
ネルギー(平均出力):50mWをハーフミラーで分光
し、照射スポット径:約4μmの条件で、照射サンプル
A−6を照射方向に垂直な方向に移動速度:約500μ
m/秒で、照射開始位置からの距離が50mmのところ
まで直線移動させて、第1の照射を直線状に2光束干渉
により照射して行った。その後、照射方向に対して垂直
な平面上で第1の照射の移動方向に対して垂直な方向
に、照射サンプルA−6を15μm移動させて、第1の
照射と同じ深さで、第1の照射と同様にして、照射開始
位置からの距離が50mmのところまで移動させて、第
2の照射を直線状に2光束干渉により照射して行った。
すなわち、第1の照射による焦点を移動させた焦点位置
軌跡と、第2の照射による焦点を移動させた焦点位置軌
跡とは、照射方向に対して垂直な同一の平面上にあり、
その間隔(ピッチ距離)は15μmとなっている。以下
同様(照射エネルギー、ハーフミラーによる分光、照射
スポット径、対物レンズ倍率、サンプル移動速度、照射
位置決め、2光束干渉での照射など)にして、第3の照
射〜第10の照射まで行って、小計10本のライン照射
を行って、該第1〜第10のライン照射により形成され
た誘起構造からなる第1層目の誘起構造群を形成した。
【0328】次に、照射サンプルA−6を90°回転さ
せて、照射サンプルA−6の上面から深さが約100μ
mである内部の位置を焦点にして、先の照射(第1〜1
0の照射)による照射ラインに対して直交するように、
前記と同様(照射エネルギー、ハーフミラーによる分
光、照射スポット径、対物レンズ倍率、サンプル移動速
度、照射位置決め、2光束干渉での照射など)にして、
第11の照射〜第25の照射を2光束干渉での照射によ
り行って、小計15本のライン照射を行って、該第11
〜第25のライン照射により形成された誘起構造からな
る第2層目の誘起構造群を形成した。
【0329】すなわち、第1〜第10の照射による照射
ライン(a)は互いに平行であり、その隣接する照射ラ
イン間の間隔も一定である。また、第11〜第25の照
射による照射ライン(b)は互いに平行であり、その隣
接する照射ライン間の間隔も一定である。しかし、第1
〜第10の照射による照射ライン(a)と、第11〜第
25の照射による照射ライン(b)とは、照射サンプル
A−6の上面から深さが異なり[照射ライン(a)は1
40μm、照射ライン(b)は100μm]、且つ90
°異なる方向である。
【0330】従って、照射を行った照射サンプルA−6
において、第1〜第10の照射による照射ライン(a)
では、ピッチ間隔Λ+厚みdが15μm(ピッチ距離)
であり、ライン本数が10本であり、一方該照射ライン
(a)とは直交している方向で上面からの深さが異なる
第11〜第5の照射による照射ライン(b)では、ピッ
チ間隔Λ+厚みdが15μm(ピッチ距離)であり、ラ
イン本数が15本である。なお、第1層目の誘起構造群
中の各誘起構造における互いに対向している面の面方向
と、第2層目の誘起構造群中の各誘起構造における互い
に対向している面の面方向とは、90°の面角を有して
いる。
【0331】照射した照射サンプルA−6の断面を光学
顕微鏡で観察して、測定された誘起構造部位の寸法など
を用いて、下記式(1)で表される無次元数Q Q=2πλL/nΛ2 (1) の式から求めたQ値を求めたところ、1.5であった。
【0332】なお、観察された誘起構造部位のピッチ間
隔(Λ)、格子における互いに対向している面の奥行き
長さ(L)を測定したところ、得られたサンプルのピッ
チ間隔(Λ)は10μmであり、格子における互いに対
向している面の奥行き長さ(L)は5μmであった。
【0333】(実施例16)前記照射サンプルA−6を
用いて、実施例15と同様にして、第1層目の誘起構造
群と、第2層目の誘起構造群を形成した後、さらに照射
サンプルA−6を55°回転させて、照射サンプルA−
6の上面から深さが約60μmである内部の位置を焦点
にして、第2層目の誘起構造群に係る第11〜第25の
照射ラインに対する角度が55°となるように、前記第
1層目及び第2層目の誘起構造群の形成と同様(照射エ
ネルギー、ハーフミラーによる分光、照射スポット径、
対物レンズ倍率、サンプル移動速度、照射位置決め、2
光束干渉での照射など)にして、第26の照射〜第55
の照射を2光束干渉での照射により行って、小計30本
のライン照射を行って、該第26〜第55のライン照射
により形成された誘起構造からなる第3層目の誘起構造
群を形成した。
【0334】すなわち、第26〜第55の照射による照
射ライン(c)は互いに平行であり、その隣接する照射
ライン間の間隔も一定である。なお、第11〜第25の
照射による照射ライン(b)と、第26〜第55の照射
による照射ライン(c)とは、照射サンプルA−6の上
面から深さが異なり[照射ライン(b)は100μm、
照射ライン(c)は60μm]、且つ55°異なる方向
である。なお、第2層目の誘起構造群中の各誘起構造に
おける互いに対向している面の面方向と、第3層目の誘
起構造群中の各誘起構造における互いに対向している面
の面方向とは、55°の面角を有している。
【0335】照射した照射サンプルA−6の断面を、実
施例15と同様にして、光学顕微鏡で観察して、前記式
(1)で表される無次元数Qを求めたところ、1.8で
あった。
【0336】以上より、実施例15及び16では、照射
に使用された照射サンプル(フィルム状のサンプル)並
びに照射条件が好適で、Q値が1よりも大きい値が得ら
れ透過回折も好適なBragg回折が2次元的に起こっ
ていることが明らかである。
【0337】(レーザーの再照射を行う実施例につい
て) (実施例17)重合用容器に、モノマー成分としてアク
リル酸ブチル(BA)と、アクリル酸エチル(EA)と
を等モル比の割合で入れ、重合開始剤として2−ブロモ
イソ酪酸エチル(前記モノマー成分全量に対して0.0
012モル%)、重合触媒として臭化銅(前記モノマー
成分全量に対して0.0012モル%)、助触媒として
2、2´−ビピリジン系誘導体(前記モノマー成分全量
に対して0.0036モル%)を用いた公知のリビング
ラジカル重合法により、先ず、重量平均分子量約25,
000のアクリル酸ブチル・アクリル酸エチルランダム
共重合体[ポリ(BA・EA)ランダム共重合体]を作
製した。引き続いて、前記ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体を含む反応混合物に、ブロック共重合体を作製
するための共重合性モノマー成分としてメチルメタアク
リレート(MMA)を追加して、さらにリビングラジカ
ル重合を行うことにより、ポリ(BA・EA)ランダム
共重合体に、ブロック的に、重量平均分子量が約58,
000のポリメチルメタクリレート(PMMA)を結合
させた、PMMA・(ポリ(BA・EA)ランダム共重
合体)ブロック共重合体[ポリ(MMA/BA・EA)
ブロック共重合体]を得た。該ポリ(MMA/BA・E
A)ブロック共重合体(「ブロック共重合体A−7」と
称する場合がある)において、ブロック共重合体全体の
重量平均分子量は約83,000であり、PMMAの比
率は70重量%(重量平均分子量比)である。このブロ
ック共重合体A−7をフィルターやイオン交換樹脂を用
いて精製した後、紫外線(UV)により架橋させること
ができ且つ約250nm及び約360nmに最大吸収波
長(λmax)を有するトリアジン系架橋剤を、ブロッ
ク共重合体(ブロック共重合体A−7)100重量部に
対して1重量部添加し、さらに酢酸エチルを加えて、濃
度が約30重量%の溶液にして、キャスティング法によ
り、膜厚:約0.5mmのフィルム状サンプル(「照射
サンプルA−7」と称する場合がある)を作製した。こ
の照射サンプルA−7の屈折率は、アッベ屈折率形によ
り測定したところ、1.483であった。
【0338】なお、前記ブロック共重合体A−7につい
て、示差走査熱量測定(DSC)装置(商品名「DSC
6200」セイコー電子工業社製)を使用して、130
℃から急冷したサンプル(ブロック共重合体)を用い
て、試料重量:7〜20mg、昇温速度:7℃/分、窒
素流速:60〜70mm/分の条件でガラス転移温度の
測定を行ったところ、該ブロック共重合体Aのガラス転
移温度は、約−30℃及び104℃であり、2つのガラ
ス転移温度を有していた。
【0339】前記照射サンプルA−7の上面から深さが
約80μmである内部の位置を焦点にして、チタン・サ
ファイア・フェムト秒パルスレーザー装置及び対物レン
ズ(倍率:10倍)を使用して、超短パルスレーザー
(照射波長:800nm、パルス幅:150×10-15
秒、繰り返し:200kHz)を、照射エネルギー(平
均出力):30mW、照射スポット径:約4μmの条件
で、照射サンプルA−7を照射方向に垂直な方向に移動
速度:約500μm/秒で、照射開始位置からの距離が
50mmのところまで移動させて、第1のライン照射に
おける1回目の照射を行った。その後、該第1のライン
照射に係る1回目の照射の照射開始位置と同一又はほぼ
同一の位置から、第1の照射の移動方向と同一又はほぼ
同一の方向に、50mmのところまで移動させて、再照
射を行うとともに、さらに同一の再照射を再度行うこと
により、計2回の再照射(照射としては計3回である)
を行って、第1のライン照射に係る再照射を行った。そ
の後、照射方向に対して垂直な平面上で第1のライン照
射の移動方向に対して垂直な方向に、照射サンプルA−
7を8μm移動させて、第1のライン照射と同じ深さ
で、第1のライン照射に係る1回目の照射および再照射
と同様にして、照射開始位置からの距離が50mmのと
ころまで移動させて、第2のライン照射(照射としては
計3回である)を行った。すなわち、第1のライン照射
による焦点を移動させた焦点位置軌跡と、第2のライン
照射による焦点を移動させた焦点位置軌跡とは、照射方
向に対して垂直な同一の平面上にあり、その間隔は8μ
mとなっている。以下同様にして、第3のライン照射〜
第15のライン照射まで行って、合計15本のライン照
射を行った。なお、第3のライン照射〜第15のライン
照射についても第1のライン照射及び第2のライン照射
と同様に、各ライン照射の再照射回数が2回であり、照
射回数としては各ライン照射で計3回である。また、照
射を行った照射サンプルA−7では、ピッチ間隔Λ+厚
みdが8μm(ピッチ距離)であり、ライン本数が15
本である。
【0340】照射した照射サンプルA−7の断面を光学
顕微鏡で観察し、得られた格子状サンプルのピッチ間隔
(Λ)、格子の対向する面の奥行き長さ(L)を測定し
た。また照射サンプルに波長が632.8nmのHe−
Ne(ヘリウム−ネオン)レーザーを図18に示したよ
うに照射して、透過回折のスポットの出現を観察した。
これらの測定結果を表5に示した。
【0341】(比較例4)実施例17と同じ照射サンプ
ルA−7を用いて、再照射を行わないこと以外は、実施
例17と同じ照射条件で照射した。すなわち、比較例4
では、第1のライン照射〜第15のライン照射では、各
ライン照射における照射回数は1回である。また、実施
例17と同様に光学顕微鏡による断面観察並びにHe−
Neレーザー照射による透過回折のスポットを観察した
ところ、表5に示す結果が得られた。
【0342】なお、上記実施例17および比較例4に係
る各照射サンプルについて、光学顕微鏡観察を行ったと
ころ、内部に格子状の誘起構造を有する部位の形成が観
察された。
【0343】また、実施例17および比較例4に係る照
射サンプルに関して、上記光学顕微鏡によって測定され
た誘起構造部位の寸法などを用いて、下記式(1) 無次元数Q=2πλL/nΛ2 (1) で表される式から求めたQ値と、He−Neレーザー照
射による透過回折で観察されたスポットの最大次数と、
下記式(2) 一次の回折効率η1=(一次の回折光強度)/(入射光強度) (2) で表される式から求めた一次の方向の回折効率(η1
とを表5に示している。ここで、スポットの最大次数が
1に近く小さいほどBragg回折が主に起こっている
ことを示している。
【0344】さらにまた、下記式(3a)及び(3
b)。 η1=J1 2(δ) (3a) δ=2πΔnL/(λcosθ) (3b) (式(3a)及び(3b)において、J1(δ)は指数
1のBessel関数、Δnは屈折率変調の値、Lは複
数の屈折率変調部の対向する面の奥行き長さ、λは回折
される光の波長、θは入射角である。)で表される式か
ら求めた屈折率変調の値Δnを表5に示している。
【0345】
【表5】
【0346】表5より、実施例17では、照射に使用さ
れた照射サンプル(フィルム状のサンプル)並びに照射
条件が好適で、Q値が1よりも大きい値が得られるとと
もに、屈折率変調が大きく、さらに透過回折も好適なB
ragg回折が主に起こっていることが明らかである。
一方、比較例4では、一次の回折効率(η1)が実施例
17に比較して小さく、また、屈折率変調も小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチック透過型回折格子の一例を
示す概略鳥瞰図である。
【図2】本発明のプラスチック透過型回折格子の他の例
を示す概略鳥瞰図である。
【図3】本発明のプラスチック透過型回折格子の他の例
を示す概略鳥瞰図である。
【図4】本発明のプラスチック透過型回折格子の他の例
を示す概略鳥瞰図である。
【図5】本発明のプラスチック透過型回折格子の他の例
を示す概略鳥瞰図である。
【図6】本発明のプラスチック透過型回折格子A1を作
製する方法の一例を示す概略図である。
【図7】プラスチック透過型回折格子Aa1を作製する
ために、プラスチック構造体の内部に屈折率変化部を作
製する方法の一例を示す概略図である。
【図8】プラスチック透過型回折格子Aa1を作製する
方法の一例を示す概略図である。図8において、(a)
はプラスチック透過型回折格子Aa1を作製するための
材料となる延伸させたプラスチック構造体Aa11aを
示しており、(b)は(a)に係る延伸させたプラスチ
ック構造体Aa11aの内部に屈折率変化部Aa2aを
形成させたプラスチック構造体Aa12aを示してお
り、(c)は(b)に係る屈折率変化部Aa2aを有す
る延伸されているプラスチック構造体Aa12aを収縮
させて得られたプラスチック透過型回折格子Aa1を示
している。
【図9】本発明のプラスチック透過型回折格子Bを作製
する方法の一例を示す概略図である。
【図10】本発明のプラスチック透過型回折格子Bを作
製する方法の他の例を示す概略図である。
【図11】本発明のプラスチック透過型回折格子Cを作
製する方法の一例を示す概略図である。
【図12】図4に係るプラスチック透過型回折格子D1
を作製する方法の一例を示す概略図である。
【図13】本発明のプラスチック透過型回折格子Dの他
の例を示す概略鳥瞰図である。
【図14】本発明のプラスチック透過型回折格子Dの他
の例を示す概略鳥瞰図である。
【図15】プラスチック透過型回折格子Daを作製する
方法の一例を示す概略図である。
【図16】照射した照射サンプルA−3についてのキー
エンス社製デジタルマイクロスコープ(VH−250)
による平面写真を示す図である。
【図17】照射した照射サンプルA−3への632.8
nmのHe−Neレーザーの照射による透過回折で観察
されたスポットの出現の写真を示す図である。
【図18】回折格子中を透過する光が回折を起こす状態
を示す概略図であり、図18(a)はBragg回折を
示し、図18(b)はRaman−Nath回折を示
す。
【符号の説明】
A1 プラスチック透過型回折格子; A1a 光が入射する入射面(上面) A11 プラスチック構造体 A2 屈折率変化部 A21 屈折率変化部 A22 屈折率変化部 A2x 屈折率変化部 A2a 屈折率変化部A2の対向する面 A3 屈折率未変化部 ΛA 隣接した屈折率変化部A2間の平行間隔
(ピッチ間隔) LA 屈折率変化部A2の対向する面A2aの奥
行き長さ dA 屈折率変化部A2の厚み WA 屈折率変化部A2の対向する面A2aの幅 A4 パルス幅が10-12秒以下である超短パル
スレーザー A4a レーザー4の照射方向 A5 レンズ A61a 照射開始位置 A62a 照射開始位置 A6xa 照射開始位置 A61b 照射終了位置 A62b 照射終了位置 A6xb 照射終了位置 A61c 焦点位置 A62c 焦点位置 A6xc 焦点位置 A61 焦点位置軌跡 A62 焦点位置軌跡 A6x 焦点位置軌跡 A7 隣接した照射開始位置(A61a,A62
a,・・,A6xa)間の距離 Aa1 プラスチック透過型回折格子 Aa1a 光が入射する入射面(上面) Aa1b 下面 Aa2 屈折率変化部 Aa21 屈折率変化部 Aa22 屈折率変化部 Aa2x 屈折率変化部 Aa2b 屈折率変化部Aa2の対向する面 Aa3 屈折率未変化部 Aa11 プラスチック構造体 Aa12 プラスチック構造体 Aa2a 屈折率変化部 Aa2a1 屈折率変化部 Aa2a2 屈折率変化部 Aa2ax 屈折率変化部 Aa4 パルス幅が10-12秒以下である超短パル
スレーザー Aa4a レーザーAa4の照射方向 Aa5 レンズ Aa61a 照射開始位置 Aa62a 照射開始位置 Aa6xa 照射開始位置 Aa61b 照射終了位置 Aa62b 照射終了位置 Aa6xb 照射終了位置 Aa61c 焦点位置 Aa62c 焦点位置 Aa6xc 焦点位置 Aa61 焦点位置軌跡 Aa62 焦点位置軌跡 Aa6x 焦点位置軌跡 Aa7 隣接した照射開始位置(Aa61a,Aa
62a,・・,Aa6xa)間の距離 Aa11a 予め1軸延伸されたプラスチック構造体 Aa12a プラスチック構造体Aa11aの内部に屈
折率変化部Aa2aが形成された状態のプラスチック構
造体 MD 延伸方向 TD 直交方向 B1 プラスチック透過型回折格子 B1a 光が入射する入射面(上面) B1b 下面 B1c 側面 B1d 側面B1cに対向する側面 B11 プラスチック構造体 B2 屈折率変化部 B21 屈折率変化部 B22 屈折率変化部 B2x 屈折率変化部 B2a 屈折率変化部B2の対向する面 B3 屈折率未変化部 ΛB 隣接した屈折率変化部B2間の間隔(ピッ
チ間隔) Λmin ピッチ間隔ΛBの最小間隔 Λmax ピッチ間隔ΛBの最大間隔 LB 屈折率変化部B2の対向する面B2aの奥
行き長さ dB 屈折率変化部B2の厚み WB 屈折率変化部B2の対向する面B2aの幅 B4 パルス幅が10-12秒以下である超短パル
スレーザー B4a レーザー4の照射方向 B5 レンズ B61a 照射開始位置 B62a 照射開始位置 B6xa 照射開始位置 B61b 照射終了位置 B62b 照射終了位置 B6xb 照射終了位置 B61c 焦点位置 B62c 焦点位置 B6xc 焦点位置 B61 焦点位置軌跡 B62 焦点位置軌跡 B6x 焦点位置軌跡 B7a 隣接した照射開始位置(B61a,B62
a,・・,B6xa)間の距離 B7b 隣接した照射終了位置(B61b,B62
b,・・,B6xb)間の距離 B8 プラスチック構造体 B8a プラスチック構造体B8の一方の側(固定
する側)の面 B8b プラスチック構造体B8の他方の側(延伸
する側)の面 B81 延伸されたプラスチック構造体 B8c 延伸プラスチック構造体B81の延伸した
方の面 B82 収縮されたプラスチック構造体 B8d 収縮プラスチック構造体B82の収縮した
方の面 B9a 延伸プラスチック構造体B81における屈
折率変化部 B9b 収縮プラスチック構造体B82における屈
折率変化部 DB8 プラスチック構造体B8の幅 DB81 延伸プラスチック構造体B81の延伸した
方の面B8cの幅 DB82 収縮プラスチック構造体B82の収縮した
方の面B8dの幅 C1 プラスチック透過型回折格子 C1a 光が入射する入射面(上面) C11 プラスチック構造体 C2 屈折率変化部 C2a 屈折率変化部 C2a1 屈折率変化部 C2a2 屈折率変化部 C2ax 屈折率変化部 C2b 屈折率変化部 C2b1 屈折率変化部 C2b2 屈折率変化部 C2bx 屈折率変化部 C3 屈折率未変化部 ΛC 平行に隣接した屈折率変化部C2a間の平
行間隔(ピッチ間隔) LC 屈折率変化部C2の奥行き長さ dC 屈折率変化部C2の厚み W C 屈折率変化部C2の幅 C4 パルス幅が10-12秒以下である超短パル
スレーザー C4a レーザーC4の照射方向 C5 レンズ C61a 照射開始位置 C62a 照射開始位置 C6xa 照射開始位置 C61b 照射終了位置 C62b 照射終了位置 C6xb 照射終了位置 C61c 焦点位置 C62c 焦点位置 C6xc 焦点位置 C61 焦点位置軌跡 C62 焦点位置軌跡 C6x 焦点位置軌跡 C7 隣接した照射開始位置(C61a,C62
a,・・,C6xa)間の距離 D1 プラスチック透過型回折格子 D1a 光が入射する入射面(上面) D11 プラスチック透過型回折格子 D11a 光が入射する入射面(上面) D12 プラスチック構造体 D2 屈折率変化部 D2a 屈折率変化部 D2a1 屈折率変化部 D2a2 屈折率変化部 D2ax 屈折率変化部 D2b 屈折率変化部 D2b1 屈折率変化部 D2b2 屈折率変化部 D2bx 屈折率変化部 D2c 屈折率変化部 D2c1 屈折率変化部 D2c2 屈折率変化部 D2cx 屈折率変化部 FD2a 屈折率変化部D2aにおける互いに対向し
ている面 FD2b 屈折率変化部D2bにおける互いに対向し
ている面 FD2c 屈折率変化部D2cにおける互いに対向し
ている面 D3a 格子群 D3b 格子群 D3c 格子群 D4 屈折率未変化部 ΛD 各格子群中の平行に隣接した屈折率変化部
D2間の平行間隔 LD 屈折率変化部D2の奥行き長さ dD 屈折率変化部D2の厚み WD 屈折率変化部D2の幅 D5 パルス幅が10-12秒以下である超短パル
スレーザー D5a レーザーD5の照射方向 D6 レンズ D71a 照射開始位置 D72a 照射開始位置 D7xa 照射開始位置 D71b 照射終了位置 D72b 照射終了位置 D7xb 照射終了位置 D71c 焦点位置 D72c 焦点位置 D7xc 焦点位置 D71 焦点位置軌跡 D72 焦点位置軌跡 D7x 焦点位置軌跡 D8 隣接した照射開始位置(D71a,D72
a,・・,D7xa)間の距離 Da1 プラスチック透過型回折格子 Da1a 光が入射する入射面(上面) Da11 プラスチック透過型回折格子 Da11a 光が入射する入射面(上面) Da12 プラスチック構造体 Da2 屈折率変化部 Da2a 屈折率変化部 Da2a1 屈折率変化部 Da2a2 屈折率変化部 Da2ax 屈折率変化部 Da2b 屈折率変化部 Da2b1 屈折率変化部 Da2b2 屈折率変化部 Da2bx 屈折率変化部 Da2c 屈折率変化部 Da2c1 屈折率変化部 Da2c2 屈折率変化部 Da2cx 屈折率変化部 FDa2a 屈折率変化部Da2aにおける互いに対向し
ている面 FDa2b 屈折率変化部Da2bにおける互いに対向し
ている面 FDa2c 屈折率変化部Da2cにおける互いに対向し
ている面 Da3a 格子群 Da3b 格子群 Da3c 格子群 Da4 屈折率未変化部 ΛDa 各格子群中の平行に隣接した屈折率変化部D
a2間の平行間隔 LDa 屈折率変化部Da2の奥行き長さ dDa 屈折率変化部Da2の厚み WDa 屈折率変化部Da2の幅 Da51 パルス幅が10-12秒以下である超短パル
スレーザー Da52 パルス幅が10-12秒以下である超短パル
スレーザー Da51a レーザーDa51の照射方向 Da52a レーザーDa52の照射方向 Da61 レーザーDa51の焦点を調整するための
レンズ Da62 レーザーDa52の焦点を調整するための
レンズ Da71a 照射開始位置 Da72a 照射開始位置 Da7xa 照射開始位置 Da71b 照射終了位置 Da72b 照射終了位置 Da7xb 照射終了位置 Da71c 焦点位置 Da72c 焦点位置 Da7xc 焦点位置 Da71 焦点位置軌跡 Da72 焦点位置軌跡 Da7x 焦点位置軌跡 Da8 隣接した照射開始位置(Da71a,Da
72a,・・,Da7xa)間の距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願2001−251749(P2001−251749) (32)優先日 平成13年8月22日(2001.8.22) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−282635(P2001−282635) (32)優先日 平成13年9月18日(2001.9.18) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−282636(P2001−282636) (32)優先日 平成13年9月18日(2001.9.18) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−322092(P2001−322092) (32)優先日 平成13年10月19日(2001.10.19) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 諸石 裕 大阪府茨木市下穂積一丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 浦入 正勝 大阪府茨木市下穂積一丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 平尾 一之 京都府京都市左京区田中下柳町8−94 (72)発明者 堤 直人 京都府京都市左京区一乗寺燈籠本町36 Fターム(参考) 2H049 AA02 AA33 AA43 AA53 AA62 AA66

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック構造体の内部に、屈折率が
    変化した複数の屈折率変化部を有するプラスチック透過
    型回折格子であって、複数の屈折率変化部が互いに平行
    である、または、隣接する屈折率変化部の間隔が一方の
    側から他方の側にかけて変化していることを特徴とする
    プラスチック透過型回折格子。
  2. 【請求項2】 屈折率変化部が、パルス幅が10-12
    以下のレーザーをプラスチック構造体に照射することに
    より形成されている請求項1記載のプラスチック透過型
    回折格子。
  3. 【請求項3】 一方の側から他方の側にかけて変化して
    いる複数の屈折率変化部を有するプラスチック透過型回
    折格子であって、隣接する屈折率変化部間の間隔におけ
    る最小間隔Λminと最大間隔Λmax(=Λmin+ΔΛ)と
    の差ΔΛが、0.01×Λmin〜5×Λminである請求項
    1又は2記載のプラスチック透過型回折格子。
  4. 【請求項4】 屈折率が変化した互いに平行な複数の屈
    折率変化部を有するプラスチック透過型回折格子であっ
    て、互いに平行な複数の屈折率変化部を有するととも
    に、前記屈折率変化部に対して交差し且つ互いに平行な
    複数の屈折率変化部を有している請求項1又は2記載の
    プラスチック透過型回折格子。
  5. 【請求項5】 屈折率が変化した互いに平行な複数の屈
    折率変化部を有するプラスチック透過型回折格子であっ
    て、互いに平行な複数の屈折率変化部を形成した後、前
    記屈折率変化部間の平行間隔が変化するようにプラスチ
    ック構造体を変形させることにより、互いに平行な複数
    の屈折率変化部が形成されている請求項1又は2記載の
    プラスチック透過型回折格子。
  6. 【請求項6】 屈折率が変化した互いに平行な複数の屈
    折率変化部を有するプラスチック透過型回折格子であっ
    て、互いに平行な複数の屈折率変化部を有する格子群を
    複数有し、且つ前記複数の格子群がそれぞれ層状に形成
    されているとともに、各格子群中の互いに平行な複数の
    屈折率変化部における互いに対向している面の面方向
    が、隣接する格子群の間で互いに非平行となっている請
    求項1又は2記載のプラスチック透過型回折格子。
  7. 【請求項7】 プラスチック構造体の内部に、屈折率が
    変化した複数の屈折率変化部を有するプラスチック透過
    型回折格子であって、屈折率変化部が、パルス幅が10
    -12秒以下のレーザーをプラスチック構造体に1光束又
    は2光束干渉で照射することにより形成されている請求
    項2〜6の何れかの項に記載のプラスチック透過型回折
    格子。
  8. 【請求項8】 プラスチック構造体の内部に、屈折率が
    変化した複数の屈折率変化部を有するプラスチック透過
    型回折格子であって、パルス幅が10-12秒以下のレー
    ザーを照射したプラスチック構造体の部位に、パルス幅
    が10-12秒以下のレーザーをさらに1回以上再照射し
    て、屈折率をさらに変調させることにより、屈折率が変
    化した複数の屈折率変化部が形成されている請求項2〜
    7の何れかの項に記載のプラスチック透過型回折格子。
  9. 【請求項9】 下記式(1)で表される無次元数Qが、
    Q>1の関係を有している請求項1〜8の何れかの項に
    記載のプラスチック透過型回折格子。 Q=2πλL/nΛ2 (1) (式(1)において、Λは隣接した屈折率変化部間の間
    隔、Lは複数の屈折率変化部の対向する面の奥行き長
    さ、λは回折される光の波長、nは屈折率未変化部の屈
    折率である。)
  10. 【請求項10】 下記式(2)で表される一次の回折効
    率η1が0.05以上である請求項1〜9の何れかの項
    に記載のプラスチック透過型回折格子。 一次の回折効率η1=(一次の回折光強度)/(入射光強度) (2)
  11. 【請求項11】 隣接する屈折率変化部間の間隔が、5
    0μm以下である請求項1〜10の何れかの項に記載の
    プラスチック透過型回折格子。
  12. 【請求項12】 屈折率変化部の対向する面の奥行き長
    さが、3μm以上である請求項1〜11の何れかの項に
    記載のプラスチック透過型回折格子。
  13. 【請求項13】 屈折率変化部の厚みが、屈折率変化部
    間の間隔Λまたは最小間隔Λminの1/3以上である請
    求項1〜12の何れかの項に記載のプラスチック透過型
    回折格子。
  14. 【請求項14】 パルス幅が10-12秒以下のレーザー
    をプラスチック構造体の内部に焦点を合わせて照射し
    て、前記請求項1〜13の何れかの項に記載のプラスチ
    ック透過型回折格子を製造する方法。
  15. 【請求項15】 パルス幅が10-12秒以下のレーザー
    をプラスチック構造体の内部に焦点を合わせるととも
    に、その焦点位置を、該焦点位置の移動により形成され
    る屈折率変化部が互いに平行な複数のものができるよう
    に移動させて照射することにより、屈折率が変化した互
    いに平行な複数の屈折率変化部を有するプラスチック透
    過型回折格子を製造する請求項14記載のプラスチック
    透過型回折格子の製造方法。
  16. 【請求項16】 パルス幅が10-12秒以下のレーザー
    をプラスチック構造体の内部に焦点を合わせて照射して
    互いに平行な複数の屈折率変化部を形成した後、前記屈
    折率変化部間の平行間隔が変化するようにプラスチック
    構造体を変形させることにより、屈折率が変化した互い
    に平行な複数の屈折率変化部を有するプラスチック透過
    型回折格子を製造する請求項15記載のプラスチック透
    過型回折格子の製造方法。
  17. 【請求項17】 互いに平行な複数の屈折率変化部を有
    するプラスチック構造体の変形が、熱及び/又は圧力に
    よる収縮である請求項16記載のプラスチック透過型回
    折格子の製造方法。
  18. 【請求項18】 パルス幅が10-12秒以下のレーザー
    をプラスチック構造体の内部に焦点を合わせるととも
    に、その焦点位置を、該焦点位置の移動により形成され
    る屈折率変化部間の間隔が一方の側から他方の側にかけ
    て変化するように移動させて照射することにより、隣接
    する屈折率変化部の間隔が一方の側から他方の側にかけ
    て変化しているプラスチック透過型回折格子を製造する
    請求項14記載のプラスチック透過型回折格子の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 パルス幅が10-12秒以下のレーザー
    をプラスチック構造体の内部に焦点を合わせて照射して
    複数の屈折率変化部を形成した後、該屈折率変化部間の
    間隔が一方の側から他方の側にかけて変化するようにプ
    ラスチック構造体を変形させることにより、隣接する屈
    折率変化部の間隔が一方の側から他方の側にかけて変化
    しているプラスチック透過型回折格子を製造する請求項
    14記載のプラスチック透過型回折格子の製造方法。
  20. 【請求項20】 パルス幅が10-12秒以下のレーザー
    をプラスチック構造体の内部に焦点を合わせるととも
    に、その焦点位置を、該焦点位置の移動により形成され
    る屈折率変化部が互いに平行な複数のものと、前記屈折
    率変化部に対して交差し且つ互いに平行な複数のものと
    ができるように移動させて照射することにより、互いに
    平行な複数の屈折率変化部を有するとともに、前記屈折
    率変化部に対して交差し且つ互いに平行な複数の屈折率
    変化部を有しているプラスチック透過型回折格子を製造
    する請求項14記載のプラスチック透過型回折格子の製
    造方法。
  21. 【請求項21】 パルス幅が10-12秒以下のレーザー
    をプラスチック構造体の内部に焦点を合わせるととも
    に、その焦点位置を、該焦点位置の移動により形成され
    る屈折率変化部を互いに平行に複数有している格子群が
    それぞれ層状となるように、且つ各格子群中の互いに平
    行な複数の屈折率変化部における互いに対向している面
    の面方向が、隣接する格子群の間で互いに非平行となる
    ように、移動させて照射することにより、互いに平行な
    複数の屈折率変化部を有する格子群を複数有し、且つ前
    記複数の格子群がそれぞれ層状に形成されているととも
    に、各格子群中の互いに平行な複数の屈折率変化部にお
    ける互いに対向している面の面方向が、隣接する格子群
    の間で互いに非平行となっているプラスチック透過型回
    折格子を製造する請求項14記載のプラスチック透過型
    回折格子の製造方法。
  22. 【請求項22】 パルス幅が10-12秒以下のレーザー
    を1光束または2光束干渉でプラスチック構造体に照射
    して、屈折率変化部を形成する請求項14〜21の何れ
    かの項に記載のプラスチック透過型回折格子の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 パルス幅が10-12秒以下のレーザー
    を照射したプラスチック構造体の部位に、パルス幅が1
    -12秒以下のレーザーをさらに1回以上再照射して、
    屈折率をさらに変調させる請求項14〜22の何れかの
    項に記載のプラスチック透過型回折格子の製造方法。
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