JP2003194989A

JP2003194989A - 放射性廃棄物貯蔵容器

Info

Publication number: JP2003194989A
Application number: JP2001398733A
Authority: JP
Inventors: Takashi Kamitoku; 敬神徳
Original assignee: IHI Corp
Current assignee: IHI Corp
Priority date: 2001-12-28
Filing date: 2001-12-28
Publication date: 2003-07-09

Abstract

(57)【要約】【課題】数日から数年の一時期間中、低レベル放射性
廃棄物処分容器を保存する貯蔵容器であって、繰り返し
再利用が可能であり、容器に付着した放射性物質を簡便
に除去できる放射性廃棄物貯蔵容器を提供する。【解決手段】有底筒状の収納部４を有する金属製の容
器本体２と、該容器本体２の収納部４の開口端を開閉自
在とする金属製の密封蓋３とを備えてなり、容器本体２
及び密封蓋３の内外周全体にフッ素樹脂のコーティング
が施されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、腐食等により破損
した低レベル放射性廃棄物の処分容器を、該処分容器の
処理方法が決定するまでの一時期間中保管する放射性廃
棄物貯蔵容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、低レベル放射性廃棄物を収納す
る処分容器として、炭素鋼やステンレススチール製のド
ラム缶が使用されている。放射性廃棄物が収納されたド
ラム缶は、そのまま長期間に亘って厳重に保管される
が、その際に、ドラム缶の破損や腐食等が原因となり、
放射性物質の漏洩が危惧されるものが発生する。現状に
おいては、新しい処分容器に放射性廃棄物を移し替える
等の対策が考えられるが、その対策を講じる間にも放射
性物質の漏洩が危惧されるため、漏洩の危険性の高いド
ラム缶を今後の処理方法が決定されるまでの一時期間中
保管する放射性廃棄物貯蔵容器の検討が必要となる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】特に、上述のような放
射性廃棄物貯蔵容器においては、貯蔵期間が数日から数
年の一時期間中のみであるので、繰り返し再利用するこ
とが可能であって、万一、貯蔵容器内に放射性物質が漏
洩しても、放射性物質を簡便に除去することが可能でな
ければならないという課題があった。さらに、貯蔵容器
本体が腐食しにくく、耐放射線性があること、また、搬
送し易く、コンパクトに設置可能であることとする課題
があった。

【０００４】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、数日から数年の一時期間中、低レベル放射性廃棄物
処分容器を保存する貯蔵容器であって、繰り返し再利用
が可能であり、容器に付着した放射性物質を簡便に除去
できる放射性廃棄物貯蔵容器を提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項１に記載した発明は、放射性廃棄物が収納さ
れた処分容器を一時的に保管する放射性廃棄物貯蔵容器
であって、有底筒状の収納部を有する金属製の容器本体
と、該容器本体の前記収納部の開口端を開閉自在とする
金属製の密封蓋とを備えてなり、前記容器本体及び前記
密封蓋の内外周全体にフッ素樹脂のコーティングが施さ
れていることを特徴とする。この放射性廃棄物貯蔵容器
によれば、フッ素樹脂の特性である、水分・油分を弾く
非濡性によって、貯蔵容器へ放射性物質が付着すること
が防止される。

【０００６】請求項２に記載した発明は、前記フッ素樹
脂は、放射線照射による架橋反応を発生させた４フッ化
エチレンであることを特徴とする。この放射性廃棄物貯
蔵容器によれば、架橋反応が起こされた４フッ化エチレ
ンは、従来の４フッ化エチレンと比較して、強度と耐放
射線性、また、耐摩耗性が優れているので、フッ素樹脂
の変質が防止される。

【０００７】請求項３に記載した発明は、前記収納部の
上端開口部には、上方へ向けて漸次外方へ張り出す蓋体
嵌合部が形成されており、前記密封蓋は、少なくとも上
面が平坦な蓋主部と、該蓋主部から前記蓋体嵌合部に密
着可能に傾斜角を有する嵌合鍔部とを備えていることを
特徴とする。この放射性廃棄物貯蔵容器によれば、密封
蓋は、水平方向に対してズレを生じることなく、蓋体嵌
合部と密接される。

【０００８】請求項４に記載した発明は、前記蓋体嵌合
部には、少なくとも１つの第１の搬送用冶具挿通孔が穿
設されていることを特徴とする。この放射性廃棄物貯蔵
容器によれば、搬送用冶具を挿通孔に挿通させることに
よって、貯蔵容器が搬送される。

【０００９】請求項５に記載した発明は、前記密封蓋に
は、該密封蓋を前記蓋体嵌合部とを嵌合させた時に、前
記蓋体嵌合部に穿設された第１の搬送用冶具挿通孔と合
致して貫通する位置に、第２の搬送用冶具挿通孔が穿設
されていることを特徴とする。この放射性廃棄物貯蔵容
器によれば、搬送用冶具を挿通孔に挿通させることによ
って、放射性廃棄物処分容器を貯蔵して、密封蓋にて密
封された貯蔵容器が搬送される。

【００１０】請求項６に記載した発明は、前記密封蓋に
は、平坦な前記蓋主部が前記収納部底面の平面輪郭が略
収まる水平領域を有することを特徴とする。この放射性
廃棄物貯蔵容器によれば、設置場所に載置された貯蔵容
器の密封蓋上面に、さらに別の貯蔵容器が重ねて設置さ
れる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図示例に基づいて説明する。図１に示すように、放射性
廃棄物貯蔵容器１は、放射性物質の漏洩の危険性がある
放射性廃棄物処分容器５０を収納する容器本体２と、該
容器本体２内部を密封する密封蓋３とから構成されてい
る。

【００１２】容器本体２は、有底筒状の収納部４と、該
収納部４の上方に接続された蓋体嵌合部５を備えてな
り、図２に示すように、蓋体嵌合部５は、収納部４の上
端開口部４Ａから上方へ向け漸次外方へ張り出すように
形成された第１傾斜壁部６と、該第１傾斜壁部６に連設
され、第１傾斜壁部６と比較して緩傾斜を有する第２傾
斜壁部７と、該第２傾斜壁部７に連設される垂直壁部８
とからなる。また、密封蓋３は、水平領域９Ａを有する
蓋主部９と、該蓋主部９の外周から連設される嵌合鍔部
１０を備えてなる。蓋主部９の水平領域９Ａは、収納部
４の底面の平面輪郭が略収まる領域となっており、嵌合
鍔部１０は、第１傾斜壁部６と同一の傾斜角を有する第
１傾斜鍔部１１と、該第１傾斜鍔部１１に連設され、第
２傾斜壁部７と同一の傾斜角を有する第２傾斜鍔部１２
と、該第２傾斜鍔部１２に連設される垂直鍔部１３と、
該垂直鍔部１３に連設される水平鍔部１４とからなる。

【００１３】第２傾斜壁部７には、搬送用冶具１００を
挿通させる３つの第１搬送冶具用挿通孔１５が、等間隔
環状配置され、穿設されている。同様に、第２傾斜鍔部
１２には、密封蓋３を蓋体嵌合部５とを嵌合させた時
に、第１搬送用冶具挿通孔１５と合致して貫通する位置
に、第２搬送用冶具挿通孔１６が穿設されている。

【００１４】容器本体２および密封蓋３は、材質が炭素
鋼もしくはアルミニウム合金等の金属製である各主要壁
部２Ａ、３Ａで形成されており、各主要壁部２Ａ、３Ａ
の全周を各フッ素樹脂（４フッ化エチレン）膜２Ｂ、３
Ｂでコーティングが施されている。フッ素樹脂膜２Ｂ、
３Ｂとして使用されるフッ素樹脂は、耐放射線性に優れ
た特性を有するものが選択される。例えば、温度３３０
〜３５０℃で、アルゴンやヘリウム、または、窒素等の
不活性ガスの雰囲気中でフッ素樹脂に放射線を照射させ
て、分子同士の間に橋を架けるように結合する架橋反応
を起こさせたフッ素樹脂が採用される。架橋反応を起こ
させたフッ素樹脂は、従来のフッ素樹脂と比較して、耐
放射線性を始め、強度や耐摩耗性が向上するので、放射
性物質を取り扱う貯蔵容器の用途としても使用すること
が可能となる。

【００１５】次に、上記図示例の作用について説明す
る。放射性廃棄物貯蔵容器１は、容器本体２内部に放射
性物質の漏洩が危惧される放射性廃棄物処分容器５０を
格納した後、密封蓋３を蓋体嵌合部５に密接させること
によって密封される。密封する際は、第１傾斜鍔部１１
と第１傾斜壁部６とが密接し、第２傾斜鍔部１２と第２
傾斜壁部７とが密接し、さらに、垂直鍔部１３と水平鍔
部１４が垂直壁部８と密接する。同時に、第２傾斜鍔部
１２に穿設された第２搬送用冶具挿通孔１６は、第２傾
斜壁部７に穿設された第１搬送用冶具挿通孔１５と合致
し、各挿通孔１５、１６が貫通するように位置する。

【００１６】密封された放射性廃棄物貯蔵容器１は、搬
送用冶具１００によって吊り上げることで所定位置へ搬
送される。搬送用冶具１００は、第１搬送用冶具挿通孔
１５と第２搬送用冶具挿通孔１６とで形成される３カ所
の貫通孔へ挿通する。

【００１７】保管場所へ搬送された放射性廃棄物貯蔵容
器１は、床等の設置場所に直接載置すると共に、前記載
置された貯蔵容器１の密封蓋３の水平領域９Ａ上面に、
さらに別の貯蔵容器１′を重ねて設置する。これらの貯
蔵容器は、容器内部に収納された放射性廃棄物の処理方
法が決定されるまでの数日から数年の一時期間中、この
まま保管される。

【００１８】このように、放射性廃棄物貯蔵容器１にお
いては、保管期間が数日から数年の一時期間のみであ
り、コーティングに使用されるフッ素樹脂は、耐放射線
性が優れた放射線照射による架橋反応が起こされている
ので、腐食しにくく、保管終了後、貯蔵容器１内に漏洩
した放射性物質を簡便に除去することが可能となり、貯
蔵容器１を繰り返し再利用することが可能である。ま
た、放射性廃棄物貯蔵容器１は、搬送用冶具挿通孔１
５、１６を有することから、搬送し易く、さらに、貯蔵
容器同士重ねて設置が可能であるので、複数個の貯蔵容
器を保管場所にコンパクトに保管することが可能であ
る。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１に記載し
た発明によれば、フッ素樹脂の特性である、水分・油分
を弾く非濡性によって、貯蔵容器へ放射性物質が付着す
ることが防止されるので、万一放射性物質が漏洩して
も、簡便に除去することが可能となる。

【００２０】請求項２に記載した発明によれば、架橋反
応が起こされた４フッ化エチレンは、従来の４フッ化エ
チレンと比較して、強度と耐放射線性、また、耐摩耗性
が優れているので、フッ素樹脂の変質が防止され、貯蔵
容器が腐食しにくくなる。したがって、貯蔵容器は、繰
り返し再利用が可能となる。

【００２１】請求項３に記載した発明によれば、密封蓋
は、水平方向に対してズレを生じることなく、蓋体嵌合
部と密接することが可能となる。

【００２２】請求項４に記載した発明によれば、搬送用
冶具を挿通孔に挿通させることによって、貯蔵容器は容
易に搬送されることが可能となる。

【００２３】請求項５に記載した発明によれば、搬送用
冶具を挿通孔に挿通させることによって、放射性廃棄物
処分容器を貯蔵して、密封蓋にて密封された貯蔵容器は
容易に搬送されることが可能となる。

【００２４】請求項６に記載した発明によれば、設置場
所に載置された貯蔵容器の密封蓋上面に、さらに別の貯
蔵容器が重ねて設置されるので、複数個の貯蔵容器を保
管場所にコンパクトに保管することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の放射性廃棄物貯蔵容器の実施形態を
示す斜視図である。

【図２】本発明の放射性廃棄物貯蔵容器の実施形態の
蓋体嵌合部と密封蓋の嵌合部を示す断面図である。

【符号の説明】

１放射性廃棄物貯蔵容器２容器本体３密封蓋４収納部４Ａ上端開口部５蓋体嵌合部９蓋主部９Ａ水平領域１０嵌合鍔部１５第１搬送用冶具挿通孔１６第２搬送用冶具挿通孔５０放射性廃棄物処分容器１００搬送用冶具

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】放射性廃棄物が収納された処分容器を一
時的に保管する放射性廃棄物貯蔵容器であって、有底筒
状の収納部を有する金属製の容器本体と、該容器本体の
前記収納部の開口端を開閉自在とする金属製の密封蓋と
を備えてなり、前記容器本体及び前記密封蓋の内外周全
体にフッ素樹脂のコーティングが施されていることを特
徴とする放射性廃棄物貯蔵容器。
【請求項２】前記フッ素樹脂は、放射線照射による架
橋反応を発生させた４フッ化エチレン樹脂であることを
特徴とする請求項１記載の放射性廃棄物貯蔵容器。
【請求項３】前記収納部の上端開口部には、上方へ向
けて漸次外方へ張り出す蓋体嵌合部が形成されており、
前記密封蓋は、少なくとも上面が平坦な蓋主部と、該蓋
主部から前記蓋体嵌合部に密着可能に傾斜角を有する嵌
合鍔部とを備えていることを特徴とする請求項１記載の
放射性廃棄物貯蔵容器。
【請求項４】前記蓋体嵌合部には、少なくとも１つの
第１の搬送用冶具挿通孔が穿設されていることを特徴と
する請求項３記載の放射性廃棄物貯蔵容器。
【請求項５】前記密封蓋には、該密封蓋を前記蓋体嵌
合部とを嵌合させた時に、前記蓋体嵌合部に穿設された
第１の搬送用冶具挿通孔と合致して貫通する位置に、第
２の搬送用冶具挿通孔が穿設されていることを特徴とす
る請求項３または４に記載の放射性廃棄物貯蔵容器。
【請求項６】前記密封蓋には、平坦な前記蓋主部が前
記収納部底面の平面輪郭が略収まる水平領域を有するこ
とを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載の放射
性廃棄物貯蔵容器。