JP2003193184A - 破断分割型コネクティングロッド及びそれ用の鋼 - Google Patents

破断分割型コネクティングロッド及びそれ用の鋼

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JP2003193184A
JP2003193184A JP2001401501A JP2001401501A JP2003193184A JP 2003193184 A JP2003193184 A JP 2003193184A JP 2001401501 A JP2001401501 A JP 2001401501A JP 2001401501 A JP2001401501 A JP 2001401501A JP 2003193184 A JP2003193184 A JP 2003193184A
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less
connecting rod
steel
fracture
type connecting
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JP2001401501A
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Keita Shiibashi
慶太 椎橋
Goro Anami
吾郎 阿南
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被削性と嵌合性とに優れた破断分割型コネク
ティングロッドを提供する。 【解決手段】 一体成形された鋼製部材を破断分割する
ことによって形成されるコネクティングロッドにおい
て、C:0.2〜0.5%(質量%の意味。以下同
じ)、V:0.05〜0.5%を含有するフェライト−
パーライト組織とすると共に、破断部のフェライト分率
を面積比で20%以下に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のエンジン
部品であるコネクティングロッド(略称:コンロッド)
として有用な破断分割型コネクティングロッド(通称:
かち割りコンロッド)、及びそれ用の鋼に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】コンロッドはピストンの動きをクランク
に伝える自動車部品であり、コネクティングロッド本体
(略称:コンロッド本体)とコネクティングロッドキャ
ップ(略称:コンロッドキャップ)との2つの部品から
構成される。前記コンロッドは、クランクを挟んで、前
記コンロッド本体とコンロッドキャップとを嵌め合わせ
ることにより、クランクに取り付けられている。しか
し、コンロッドの取り付け作業は、見えないところでの
手探りによる作業になるため、嵌合性(位置決め性)に
優れたコンロッド本体とコンロッドキャップとが求めら
れている。
【0003】従来、コンロッド本体とコンロッドキャッ
プとは別々に鍛造してつくられている。しかしこのよう
にして作られたコンロッド本体及びコンロッドキャップ
は、嵌合性を高めるため嵌合面を精密加工する必要があ
る。また合わせ面がずれないようにピン加工が行われる
ことが多く、製造が煩雑である。
【0004】近年、コンロッド本体とコンロッドキャッ
プとを鍛造により一体成形し、この一体成形体に衝撃を
加え、コンロッド本体とコンロッドキャップとに分離
(破断)することにより、コンロッドを製造することが
行われており、このようにして得られたコンロッドはか
ち割りコンロッドと称されている。かち割りコンロッド
を用いれば、破断面(かち割り面)でコンロッド本体と
コンロッドキャップを嵌合させることができるため、ピ
ン加工をしなくても精度よく嵌合させることができ、コ
ンロッドの加工行程を簡略化できるため、製造コストを
低減できる。
【0005】現在、かち割りコンロッドとしてC70S
6鋼が欧州を中心に広く用いられている。このC70S
6鋼は、破断(分離)する際に亀裂がジグザグに進むこ
とにより、適当な大きさの凹凸が形成される。しかし、
このC70S6鋼は高炭素であるため被削性が悪く、炭
素量を下げ被削性が改善されたかち割りコンロッドが求
められている。
【0006】特開2000−73141号公報には、C
量が低減されたかち割りコンロッドが開示されている。
この公報では、一体鍛造したコンロッド本体とコンロッ
ドキャップを分離させる際にコンロッド本体やコンロッ
ドキャップが変形したり、破面が延性破壊し易くなるこ
とに着目し、硫化物系介在物を球状化させることで前記
延性破壊を防止している。しかしこの公報のコンロッド
は、破断(分離)した際にできる凹凸の大きさが比較的
小さく、さらなる嵌合性の向上が望まれている。
【0007】従って、従来、被削性及び嵌合性を両立で
きるかち割りコンロッドは知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、被削
性と嵌合性とに優れた破断分割型コネクティングロッド
(かち割りコンロッド)及びそれ用の鋼を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、かち割りコン
ロッドの炭素量を低減すると、フェライト−パーライト
組織のフェライト分率が大きくなること、このフェライ
ト分率の大きさが破断部(かち割り部)の凹凸の大きさ
と強い相関関係があることを見出し、本発明を完成し
た。
【0010】すなわち本発明に係るコンロッドは、一体
成形された鋼製品を破断分割することによって形成され
る破断分割型コネクティングロッド(かち割りコンロッ
ド)であって、前記コンロッドがC:0.2〜0.5%
(質量%の意味。以下同じ)、V:0.05〜0.5%
を含有するフェライト−パーライト組織であり、破断部
のフェライト分率が面積比で20%以下である点に要旨
を有するものである。このようなコンロッドを用いる
と、炭素量が少ないため被削性に優れているだけでな
く、フェライト分率が20%以下に制御されているため
嵌合性にも優れている。またVを所定量含有しているた
め、炭素量が抑制されていても高い耐力や疲労強度など
を維持することができる。
【0011】前記コンロッドは、Mn:0.5〜2%、
Cr:1%以下(0%を含まない)、Nb:0.2%以
下(0%を含まない)などを含有しているのが望まし
い。これらの元素を含有していると、鋼の焼入性を高め
ることができるため、破断部のフェライト分率を容易に
低減することができる。
【0012】また前記コンロッドは、Ti:0.1%以
下(0%を含まない)、Zr:0.2%以下(0%を含
まない)などを含有しているのが望ましい。これらの元
素を含有していると、コンロッドを製造する際の圧延時
や熱間鍛造時に割れを防止することができ、コンロッド
の歩留まりを高めることができる。
【0013】さらに前記コンロッドは、Pb:0.3%
以下(0%を含まない)、Bi:0.2%以下(0%を
含まない)、Te:0.1%以下(0%を含まない)、
Mg:0.01%以下(0%を含まない)、Ca:0.
01%以下(0%を含まない)、希土類金属:0.3%
以下(0%を含まない)などを含有しているのが望まし
い。これらの元素を含有させると、コンロッド製造の際
の被削性を高めることができる。
【0014】また前記コンロッドは、Si:0.02〜
1.5%、P:0.2%以下(0%を含まない)、S:
0.2%以下(0%を含まない)、Al:0.1%以下
(0%を含まない)、N:0.03%以下(0%を含ま
ない)を含有し、残部はFe及び不可避的不純物であっ
てもよい。
【0015】本発明にはC:0.2〜0.5%(重量%
の意味。以下同じ)、V:0.05〜0.5%を含有す
るフェライト−パーライト組織の鋼であって、当該鋼か
ら切り取られた直径65mm×長さ70mmの丸棒状試
験片を下記条件で処理したとき、試験片のフェライト分
率が面積比で20%以下であることを特徴とする破断分
割型コネクティングロッド用鋼が含まれる。この鋼は前
記コネクティングロッドを製造するのに有用である。特
に熱間鍛造し、急冷し、破断処理する用途に極めて有用
である。
【0016】試験条件:1)温度1200℃で30分間
加熱保持した後で鍛造し、縦70mm×横70mm×厚
さ25mmの板材にする2)鍛造後、温度800℃〜5
00℃の範囲を平均冷却速度1℃/秒で衝風冷却する
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のコネクティングロッド
(コンロッド)は、一体成形された鋼製部材を破断分割
することによって形成される破断分割型のコンロッドで
ある。なお破断分割とは、1つの部材(この例では、鍛
造により一体成形された鋼製部材)を破断によって2つ
に分割することをいい、破断面において実質的に欠けが
生じることがなく、分割された2つの部材を元に戻すと
破断面が噛み合うことをいう。
【0018】前記コネクティングロッドは、C:0.2
〜0.5%(質量%の意味。以下同じ)、V:0.05
〜0.5%を含有している。すなわち炭素量が少ないた
め被削性に優れている。またVを所定量含有しているた
め、炭素量が抑制されていても高い耐力や疲労強度など
を維持することができる。
【0019】そして前記コンロッドは、フェライト−パ
ーライト組織であり、しかもフェライト組織とパーライ
ト組織の合計に対するフェライト分率が20%以下(面
積基準)に制御されている(0%を含まない)。すなわ
ち本発明のコンロッドはフェライト分率が抑制されてい
るため、中炭素であっても破断部の嵌合性に優れてい
る。なお本明細書において「コンロッドがフェライト−
パーライト組織である」とは、コンロッドが実質的にフ
ェライト−パーライト組織であればよいことを意味し、
破断部などに若干の他の組織(マルテンサイト組織な
ど)が形成されていることを排除するものではない。例
えば、一体成形された鋼製部材を破断分割する際に、予
めレーザー光などでノッチを形成することがあり、この
レーザー光によってノッチ部(破断部)に若干のマルテ
ンサイト組織が形成されていてもよい。
【0020】前記破断部の嵌合性は、破断部の凹凸の大
きさで評価できる。すなわち破断分割前の一体成形され
た鋼製部材を用いて破断分割させ、この破断面を側方か
ら観察して破断面の凹凸曲線を測定すると共に、破断面
を側方から観察して亀裂の始端と終端とを結ぶ仮想直線
を設定したとき、前記凹凸曲線と仮想直線とで囲まれる
部分の面積(以下、「粗さ」と称する)で評価できる。
本発明のコンロッドを用いれば、前記粗さを、仮想直線
1mmあたり、例えば、0.2mm2以上にすることが
できる。なお本発明において前記粗さは、仮想直線1m
mあたり、0.4mm2以下になっていることが多い。
【0021】前記コンロッドは、例えば、下記に示す特
定の鋼(コネクティングロッド用鋼)を用い、下記に示
す特定の条件で加工することにより製造できる。
【0022】コネクティングロッド(コンロッド)用鋼
としては、C:0.2〜0.5%、V:0.05〜0.
5%を含有し、フェライト−パーライト組織を形成可能
な鋼を用いる。C及びVの成分範囲を限定するのは、以
下の理由による。
【0023】C:0.2〜0.5% Cは、コンロッドに所定の強度を持たせるために必要な
元素である。そのためCの含有量は、0.2%以上、好
ましくは0.25%以上とする。一方、Cの含有量が過
剰になると、被削性が低下する。従ってCの含有量は、
0.5%以下、好ましくは0.45%以下に抑制する。
なおCの含有量を抑制すると、フェライト−パーライト
組織においてフェライト分率が高くなり、コンロッドの
嵌合性が低下し易くなる。従って本発明では、後述する
ように、鋼のフェライト分率の小さくなり易さ、鍛造加
工の加工の進行度合などに応じて、鍛造後の冷却条件を
制御することにより、コンロッドのフェライト分率を低
減している。
【0024】V:0.05〜0.5% 本発明では、C:0.2〜0.5%とC含有量を抑制し
ているため、コンロッドの強度が低下し易くなる。そこ
でVを添加して強度を高めている。すなわちVは微細な
炭化物あるいは窒化物を形成してフェライト地に析出
し、耐力や疲労強度等の強度増大に寄与する。従ってV
の含有量は、0.05%以上とする。一方、Vを過剰に
含有させても効果が飽和しコスト上昇をまねく。そこで
Vの含有量は、0.5%以下、好ましくは0.35%以
下とする。
【0025】前記コンロッド用鋼は、通常、その他の成
分としてSi:0.02〜1.5%、P:0.2%以下
(0%を含まない)、S:0.2%以下(0%を含まな
い)、Al:0.1%以下(0%を含まない)、N:
0.03%以下(0%を含まない)などを含有してい
る。すなわち前記コンロッド用鋼は、上述の必須成分
(C、N)と、前記その他の成分(通常の成分)を含有
することが多く、残部はFe及び不可避的不純物であっ
てもよく、必要に応じて種々の添加成分を含有していて
もよい。以下、上記通常の成分の限定理由について説明
する。
【0026】Si:0.02〜1.5% Siは鋼材溶製時の脱酸に有効に作用する他、鋼材のフ
ェライト地に固溶して熱間鍛造・冷却後の鍛造品を強化
するのに有効な元素である。Siの含有量は、0.02
%以上とする。しかしSiの含有量が過剰になると、被
削性が悪くなるので、上限は1.50%とすることが好
ましい。
【0027】P:0.2%以下(0%を含まない) Pは硬さ増大に寄与する元素である。好ましいPの含有
量は0.01%以上である。一方、Pの含有量が過剰に
なると、熱間加工性が低下する。従ってPの含有量は、
0.2%以下、好ましくは0.1%以下である。
【0028】S:0.2%以下(0%を含まない) Sは被削性向上に寄与する元素である。好ましいSの含
有量は0.01%以上である。一方、Sの含有量が過剰
になると、圧延時や熱間鍛造時に割れが生じる虞があ
る。従ってSの含有量は、0.2%以下、好ましくは
0.1%以下である。
【0029】Al:0.1%以下(0%を含まない) Alは鋼中のNを窒化物として固定し、結晶粒を微細化
して疲労特性の向上に寄与する成分である。好ましいA
lの含有量は0.001%以上である。しかし、Al量
が多すぎると、その効果が飽和するのみならず、Nを消
費し過ぎるために上述のVの窒化物の量が少なくなる虞
がある。また熱間加工性に悪影響を及ぼす。従ってAl
の含有量は、0.1%以下、好ましくは0.06%以下
である。
【0030】N:0.03%以下(0%を含まない) Nは、V、Al、及び後述のNb、Ti、Zrなどと共
に微細な窒化物を形成し、耐力や疲労強度等の強度増大
に寄与する。好ましいNの含有量は0.002%以上で
ある。しかしNを過剰添加しても、その効果は飽和して
しまう他、熱間加工性に悪影響である。従ってNの含有
量は0.03%以下、好ましくは0.02%以下であ
る。
【0031】前記コンロッド用鋼は、Mn:0.5〜2
%、Cr:1%以下(0%を含まない)、及びNb:
0.2%以下(0%を含まない)から選択された少なく
とも一種を含有しているのが望ましい。これらの成分を
含有していると、鋼の焼入性を高めることができるた
め、コンロッドの破断部のフェライト分率を容易に低減
できる。以下、各成分の限定理由について詳細に説明す
る。
【0032】Mn:0.5〜2% Mnは焼入性元素であり、フェライト分率を低減するこ
とができる。しかもパーライト部の靱性を高め、耐力や
疲労強度などの強度を増大させることができる。Mnの
含有量は、0.5%以上とする。なおMnの含有量が多
すぎると、ベイナイトが発生し被削性が劣化する。従っ
てMnの含有量は、2%以下、好ましくは1.7%以下
とする。
【0033】Cr:1%以下(0%を含まない) Crも、Mnと同様に焼入性元素であり、フェライト分
率を低減することができる。しかもMnと同様にパーラ
イト部の靱性を高め、耐力や疲労強度などの強度を増大
させることができる。Crの含有量は、好ましくは0.
1%以上とする。なおCrの含有量が過剰になると硬さ
が大幅に上昇したり、金属組織中にベイナイトを生成し
て被削性に悪影響を及ぼす。従ってCrの含有量は1%
以下、好ましくは0.7%以下とする。
【0034】Nb:0.2%以下(0%を含まない) Nbも焼入性元素であり、フェライト分率を低減するこ
とができる。またNbは、微細な窒化物を形成し、析出
強化により降伏強さと疲労強さとを向上させ、かつ延性
を低下させることができる。Nbの含有量は、好ましく
は0.005%以上とする。なおNbの含有量が過剰に
なると、効果が飽和するのみならず、Nを消費し過ぎる
ために上述のVの窒化物の量が少なくなる虞がある。従
ってNbの含有量は、0.2%以下、好ましくは0.1
5%以下である。
【0035】また前記コンロッド用鋼は、Ti:0.1
%以下(0%を含まない)、及びZr:0.2%以下
(0%を含まない)から選択された少なくとも一種を含
有しているのが望ましい。
【0036】すなわちTiやZrを添加すると、熱間加
工性を向上させることができ、圧延時や熱間鍛造時の割
れを防止することができる。Tiの含有量は、好ましく
は0.005%以上である。なおTiやZrを過剰に添
加してもその効果が飽和する。しかもTiやZrは、窒
化物を形成するため過剰に添加すると、Nを消費し過ぎ
て、上述のVの窒化物の量が少なくなる虞がある。従っ
てTiの含有量は、0.1%以下、Zrの含有量は、
0.2%以下とする。
【0037】また前記鋼は、Pb:0.3%以下(0%
を含まない)、Bi:0.2%以下(0%を含まな
い)、Te:0.1%以下(0%を含まない)、Mg:
0.01%以下(0%を含まない)、Ca:0.01%
以下(0%を含まない)、及び希土類金属:0.3%以
下(0%を含まない)から選択された少なくとも一種を
含有しているのが望ましい。これらの元素は、いずれも
被削性の向上に寄与する元素である。しかし、これらの
元素を過剰に添加しても効果は飽和してしまう。
【0038】なお前記コンロッド用鋼は、フェライト−
パーライト組織を形成可能であるものの、中炭素鋼であ
るため熱間圧延により製造された段階では、フェライト
分率が高くなっている。圧延後の段階でのフェライト分
率は、通常、20〜60%程度であり、25〜50%程
度であることが多い。
【0039】しかしこのコンロッド用鋼は、中炭素鋼で
ありならが破断分割型コンロッド用鋼に極めて適してお
り、例えば、コンロッド用鋼から切り取った直径65m
m×長さ70mmの丸棒状試験片を用いて下記の条件で
試験すると、試験片のフェライト分率が面積比で20%
以下になるような特性を有している。すなわち前記コン
ロッド用鋼は加工後のフェライト分率を小さくできると
いう特性を有しており、破断分割型コンロッドの製造用
途に極めて有用である。特にMn、Cr、Nbなどの焼
入性元素の含有量が多いほど、フェライト分率の小さく
なり易さは向上する。
【0040】試験条件:1)温度1200℃で30分間
加熱保持した後で鍛造し、縦70mm×横70mm×厚
さ25mmの板材にする。2)鍛造後、温度800℃〜
500℃の範囲を平均冷却速度1℃/秒で衝風冷却する
前記コンロッド用鋼(線材)は、切断及び熱間鍛造す
る。そしてこの熱間鍛造品を冷却し、切削によってクラ
ンクに対応する穴を形成すると共に、必要に応じて外形
を整えることにより、粗形コンロッドとした後、この粗
形コンロッドを破断分割することにより破断分割コンロ
ッドを製造できる。
【0041】前記製造工程のうち、熱間鍛造条件は、鋼
の組成と同様、コンロッドの破断分割部のフェライト分
率に影響を与える。すなわち熱間鍛造による加工が進む
ほど、フェライト分率が大きくなる傾向がある。
【0042】そしてコンロッド用鋼の組成、及び鍛造時
の加工の程度に応じて、冷却条件を速くする(急冷す
る)ことにより、破断分割部のフェライト分率が小さい
コンロッドを製造できる。前記冷却が急冷であるほど、
破断分割部のフェライト分率を小さくできる。例えば、
前記コンロッド用鋼を温度1100〜1200℃程度に
加熱してから鍛造し、鍛造終了温度が1000〜120
0℃となった後で急冷する場合、温度800〜500℃
の範囲を平均冷却速度約1.0〜2.0℃/秒程度で急
冷するのが望ましい。
【0043】なお焼入性元素(Mn、Cr、Nbなど)
を多量に含有している場合や、破断分割部の加工の進行
度合が十分に高い場合には、前記急冷によらなくても
(すなわち除冷であっても)破断分割部のフェライト分
率を抑制できる。
【0044】上記のようにして得られた本発明のコンロ
ッドは、炭素量が抑制されていて被削性に優れているだ
けでなく、破断分割面の凹凸が大きく嵌合性にも優れて
いる。従って破断分割型コンロッドとして極めて有用で
ある。
【0045】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含され
る。
【0046】実験例1 実験例1では、図1に示す試験片1を製造した。この試
験片1は、下記表1に示すコンロッド用鋼から製造され
る。すなわち前記コンロッド用鋼を温度=1200℃で
熱間鍛造することによって直径=65mmとした後、長
さ70mmに切断した。この切断棒を温度1200℃で
30分間加熱した後、板材(縦70mm×横70mm×
厚さ25mm)に鍛造した。この鍛造品を、冷却速度=
約1.0℃/秒の急冷(No.1〜8の場合)又は、空
冷(No.9〜13の場合)により室温まで冷却した。
この板材から、正方形状の試験片(縦65mm×横65
mm×厚さ25mm)1を切り出し、切削加工によって
中央部に直径4.3cmの穴2を開けることにより、前
記試験片1を製造した。
【0047】前記穴2の外周に、穴の中心に対して対称
となるノッチ3(深さ1mm、ノッチ底部の曲率半径R
=約0.2mm)を形成した後、衝撃を加えて前記試験
片1を破断分割した。この破断面を側方から観察して亀
裂の始端Aと終端A’とを結ぶ仮想直線を設定すると共
に、破断面を側方から観察して破断面の凹凸曲線を測定
し(図2参照)、前記仮想直線と凹凸曲線とで囲まれる
部分の面積(粗さ)を測定した。
【0048】結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】No.1〜8のコンロッドは、破断部のフ
ェライト分率が20%以下に抑制されているため、破断
部の粗さが大きく嵌合性に優れている。一方、No.9
〜13のコンロッドは、破断部のフェライト分率が20
%を超えているため、破断部の粗さが小さく嵌合性が不
十分である。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、炭素量が抑制されてい
るために被削性に優れ、さらには破断部のフェライト分
率が抑制されているために嵌合性にも優れるコンロッド
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実験例1で製造した試験片の概略斜視図
である。
【図2】図2は破断部の仮想直線及び凹凸曲線を示す概
略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/60 C22C 38/60 Fターム(参考) 4E087 CB01 GA09 HA34 4K032 AA01 AA03 AA05 AA06 AA08 AA11 AA12 AA16 AA17 AA21 AA22 AA27 AA28 AA29 AA31 AA32 AA34 AA35 AA36 AA39 CA03 CB00 CD01 CD02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一体成形された鋼製部材を破断分割する
    ことによって形成されるコネクティングロッドにおい
    て、 前記コネクティングロッドがC:0.2〜0.5%(質
    量%の意味。以下同じ)、V:0.05〜0.5%を含
    有するフェライト−パーライト組織であり、破断部のフ
    ェライト分率が面積比で20%以下であることを特徴と
    する破断分割型コネクティングロッド。
  2. 【請求項2】 前記鋼が、Mn:0.5〜2%、Cr:
    1%以下(0%を含まない)、及びNb:0.2%以下
    (0%を含まない)から選択された少なくとも一種を含
    有している請求項1記載の破断分割型コネクティングロ
    ッド。
  3. 【請求項3】 前記鋼が、Ti:0.1%以下(0%を
    含まない)、及びZr:0.2%以下(0%を含まな
    い)から選択された少なくとも一種を含有している請求
    項1又は2に記載の破断分割型コネクティングロッド。
  4. 【請求項4】 前記鋼が、Pb:0.3%以下(0%を
    含まない)、Bi:0.2%以下(0%を含まない)、
    Te:0.1%以下(0%を含まない)、Mg:0.0
    1%以下(0%を含まない)、Ca:0.01%以下
    (0%を含まない)、及び希土類金属:0.3%以下
    (0%を含まない)から選択された少なくとも一種を含
    有している請求項1〜3のいずれかに記載の破断分割型
    コネクティングロッド。
  5. 【請求項5】 前記鋼が、Si:0.02〜1.5%、
    P:0.2%以下(0%を含まない)、S:0.2%以
    下(0%を含まない)、Al:0.1%以下(0%を含
    まない)、N:0.03%以下(0%を含まない)を含
    有し、残部はFe及び不可避的不純物である請求項1〜
    4のいずれかに記載の破断分割型コネクティングロッ
    ド。
  6. 【請求項6】 C:0.2〜0.5%、V:0.05〜
    0.5%を含有するフェライト−パーライト組織の鋼で
    あって、当該鋼から切り取られた直径65mm×長さ7
    0mmの丸棒状試験片を下記条件で処理したとき、試験
    片のフェライト分率が面積比で20%以下であることを
    特徴とする破断分割型コネクティングロッド用鋼。 1)温度1200℃で30分間加熱保持した後で鍛造
    し、縦70mm×横70mm×厚さ25mmの板材にす
    る 2)鍛造後、温度800℃〜500℃の範囲を平均冷却
    速度1℃/秒で衝風冷却する
  7. 【請求項7】 熱間鍛造し、急冷し、破断分割する用途
    に使用する請求項6記載の破断分割型コネクティングロ
    ッド用鋼。
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