JP2003192857A - スチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用マスターバッチ、それを用いた積層発泡シート、および成形した容器 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用マスターバッチ、それを用いた積層発泡シート、および成形した容器

Info

Publication number
JP2003192857A
JP2003192857A JP2002096403A JP2002096403A JP2003192857A JP 2003192857 A JP2003192857 A JP 2003192857A JP 2002096403 A JP2002096403 A JP 2002096403A JP 2002096403 A JP2002096403 A JP 2002096403A JP 2003192857 A JP2003192857 A JP 2003192857A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
styrene
resin
laminated film
laminated
masterbatch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002096403A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoya Noma
智也 野間
Koji Shimizu
浩司 清水
Kenji Mogami
健二 最上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2002096403A priority Critical patent/JP2003192857A/ja
Publication of JP2003192857A publication Critical patent/JP2003192857A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレン系樹脂,スチレン系ゴム、添加剤を
予め押出しマスターバッチ化することにより、マスター
バッチを安定的に製造し、かつ、スチレン樹脂中へのス
チレン系ゴムおよび各種添加剤を精度良く配合し、該マ
スターバッチをスチレン系樹脂発泡シートへ積層するフ
ィルムに用いることにより、成形容器からのスチレンダ
イマー及びスチレントリマーの溶出量を効率良く低減す
ることを目的とする。 【解決手段】 (a)ポリスチレン系樹脂、(b)スチ
レン系ゴム、並びに(c)安定剤及び/または(d)滑
剤を配合してなるスチレン系樹脂発泡シート積層フィル
ム用マスターバッチ及びそれを用いて成形した積層発泡
シートを積層フィルムが容器の内側になるように成形す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレン系樹
脂発泡シートに積層するフィルム用マスターバッチ、そ
れを用いたポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び容器
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレン系樹脂発泡シートは,熱成
形に優れ,得られた成形品の外観が美麗で,しかも軽量
で断熱性に優れるなどの特徴を有する為,食品容器等の
熱成形用として近年大量に使用されている。即席麺のカ
ップも、主にポリスチレン系樹脂発泡シートで作られて
いる。しかし,ポリスチレン系樹脂シート中には一部で
環境ホルモンの疑いがあるといわれているスチレンダイ
マー及びスチレントリマーが含まれており、即席麺のス
ープ中に溶出するという問題があった。とくに、容器成
形時の割れ(打ち抜き加工性)、商品輸送中における麺
と容器内壁の接触による微粉発生、箸の突き刺しによる
穴あきの防止などを目的に容器の内側に塊状重合にて製
造したハイインパクトポリスチレンからなるフイルムを
積層している、いわゆる積層発泡シート容器において
は、スチレンダイマー及びスチレントリマーの溶出量が
著しく多かった。
【0003】これらの問題を解決するため、懸濁重合な
どで製造されたスチレンダイマー及びスチレントリマー
の含有量が少ないスチレン系樹脂とスチレン系ゴムを溶
融混練して製造したフィルムをスチレン系樹脂発泡シー
トに積層する検討が本発明者らによって行われてきた
(特開2001−220477)。これによって積層発
泡シート容器からのスチレンダイマー及びスチレントリ
マーの溶出量を低減することは可能になったが、スチレ
ン樹脂中へのスチレン系ゴムの分散不良によりフィルム
の外観不良を起こしたり、フィルム成形時に添加剤を用
いる場合、添加剤の取り扱いや計量精度上の問題があっ
た。また、フィルム成形時の添加剤の取り扱い性を向上
させるために、添加剤をマスターバッチ化しようとする
と、マスターバッチを押出製造する際に、ストランド切
れが多発し、安定的な製造を行うことが困難になるとい
う問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑み、スチレン系樹脂,スチレン系ゴム、添加剤を押出
し成形して、マスターバッチを安定的に製造し、かつ、
スチレン樹脂中へのスチレン系ゴムおよび各種添加剤を
精度良く配合し、得られたマスターバッチをスチレン系
樹脂発泡シートへ積層するフィルムに用いることによ
り、これを用いて成形した容器からのスチレンダイマー
及びスチレントリマーの溶出量を効率良く低減すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決する為に鋭意検討した結果、スチレン系樹脂とスチ
レン系ゴムに安定剤及び/または滑剤を予め押出しマス
ターバッチ化することにより、マスターバッチの押出製
造時にストランド切れなどが起こらず、マスターバッチ
が安定的に製造でき、かつ、スチレン樹脂中へのスチレ
ン系ゴムおよび各種添加剤を精度良く配合できるととも
に、これら組成物の分散性が大きく向上すること、およ
び該マスターバッチをスチレン系樹脂発泡シートへ積層
するフィルムに用いることにより、これを成形した容器
から、予想外に、スチレンダイマー及びスチレントリマ
ーの溶出量が極めて効率良く低減できることを見いだ
し、本発明を完成させた。
【0006】すなわち本発明は、(1)積層フィルム樹脂
用マスターバッチが(a)ポリスチレン系樹脂、(b)
スチレン系ゴム、並びに(c)安定剤及び/または
(d)滑剤を含有することを特徴とするスチレン系樹脂
発泡シート積層フィルム用マスターバッチ(請求項
1)、(2)(a)ポリスチレン系樹脂50〜90重量
部、(b)スチレン系ゴム10〜50重量部、並びに
(c)安定剤0.1〜1.5重量部及び/または(d)
滑剤0.1〜5重量部を含有し、200℃、5kgfの
MIが0.1〜12g/10minであることを特徴と
する請求項1記載のスチレン系樹脂発泡シート積層フィ
ルム用マスターバッチ(請求項2)、(3)安定剤がフェ
ノール系酸化防止剤及びリン系加工安定剤であることを
特徴とする請求項1または2記載のスチレン系樹脂発泡
シート積層フィルム用マスターバッチ(請求項3)、(4)
滑剤がエステル系ワックスであることを特徴とする請求
項1、2または3記載のスチレン系樹脂発泡シート積層
フィルム用マスターバッチ(請求項4)、(5)ポリスチレ
ン系樹脂が200℃、5kgfにおけるMIが1〜6g
/10minであって、懸濁重合で製造されたものであ
る請求項1、2、3または4記載のスチレン系樹脂発泡
シート積層フィルム用マスターバッチ(請求項5)、
(6)スチレン系ゴム(b)が、200℃、5kgfにお
けるMIが0.001〜20g/10minで、該スチ
レン系ゴム中のスチレンダイマー及びスチレントリマー
の含有量が1500ppm以下である請求項1、2、
3、4または5記載の積層フィルム用マスターバッチ
(請求項6)、(7)スチレン系ゴム(b)が、200
℃、5kgfにおけるMIが0.001〜20g/10
minで、該スチレン系ゴムがスチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体であることを特徴とする請求項1、2、
3、4、5または6記載のスチレン系樹脂発泡シート積
層フィルム用マスターバッチ(請求項7)、(8)請求項
1、2、3、4、5、6または7記載の積層フィルム樹
脂用マスターバッチを用いて形成したフイルムをポリス
チレン系樹脂発泡シートに積層したポリスチレン系樹脂
積層発泡シート(請求項8)、(9)請求項1、2、3、
4、5、6、7または8記載のポリスチレン系樹脂積層
発泡シートを積層フィルムを内側にして成形した容器
(請求項9)、および(10)n−ヘプタンを入れ、25
℃、1時間の条件で放置したときの容器からn−ヘプタ
ンへのスチレンダイマー及びスチレントリマーの溶出量
が300ppb以下であることを特徴とする請求項9記
載の容器(請求項10)。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリスチレン系樹
脂、スチレン系ゴムは,懸濁重合または溶液重合で製造
されたものが好ましい。
【0008】ポリスチレン系樹脂としては、本発明の効
果を損なわない範囲で有ればスチレンを50重量%以上
含めば共重合体であっても良い。共重合成分としては、
1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン、α
−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルス
チレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体、メチ
ルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレート
などのアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、ある
いはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフ
マレートなどの各種単量体が挙げられ、これらの単量体
を単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
また、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタ
クリレートなどの2官能性単量体を併用してもよい。こ
のようなものとしてはスチレン単独重合体であるポリス
チレン、1,3−ブタジエンとの共重合体であるハイイ
ンパクトポリスチレンが耐熱性、機械的性質、コストな
どのバランスにおいて好ましい。
【0009】このようなポリスチレン系樹脂の200
℃、荷重5kgfにおけるMIは、1〜6g/10mi
nの範囲が好ましい。MIが1g/10min未満であ
ると、樹脂の流動性が低下する傾向にあり、マスターバ
ッチ製造時やフィルム成形時に押出機に過大な負荷を掛
ける恐れがある。一方MIが6g/10minを超える
と、該マスターバッチを積層フィルム樹脂に用いた場合
に、積層フィルム樹脂の耐衝撃性の低下や、スチレン系
樹脂に対するスチレン系ゴムの分散性不良を生じるため
好ましくない。
【0010】積層フイルム樹脂用マスターバッチとして
前記ポリスチレンに混合して用いられるスチレン系ゴム
としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重
合体(SBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合
体(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレンブロック
共重合体(SEBS)などがあげられる。これらのなか
では、該マスターバッチを用いて積層フィルム樹脂をス
チレン系樹脂発泡シートへ積層したスチレン系樹脂積層
発泡シートを容器に成形する際の容器成形時の割れ(打
ち抜き加工性)、商品輸送中における麺と容器内壁の接
触による微粉発生、箸の突き刺しによる穴あきなどの防
止効果が大きく、発泡シートの基材樹脂であるポリスチ
レン系樹脂との接着性、コストの点から、スチレン−ブ
タジエンブロック共重合体が好ましい。例えば、スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体は、アルカリを基材と
した開始剤による溶液重合(リビングアニオン重合法)
により重合することができる。なお、本発明の効果を損
なわない範囲でスチレン、ブタジエン以外の単量体とし
て1,3−ペンタジエン、イソプレンなどの共役ジエン
を用いてもよい。
【0011】積層フィルム樹脂用マスターバッチを構成
するスチレン系ゴムは、200℃、荷重5kgfにおけ
るMIが0.001〜20g/10minのものであ
り、好ましくは0.01〜15g/10minのもので
ある。MIが0.001g/10min未満であると、
マスターバッチ製造時に樹脂の流動性が低下し、押出が
できなくなる恐れがある。また、20g/10minを
超えると、該マスターバッチを積層フィルム樹脂に用い
た場合に、積層フィルム樹脂の耐衝撃性が低下する恐れ
がある。スチレン系ゴムは、200℃、荷重5kgfに
おけるMIが前記範囲内であれば、マスターバッチ製造
時に2種類以上、混合しても良い。
【0012】スチレン系ゴム中のスチレンダイマー及び
スチレントリマーの合計含有量は1500ppm以下で
あり、好ましくは1000ppm以下であり、さらに好
ましくは600ppm以下である。スチレンダイマー及
びスチレントリマーの合計含有量が1500ppmを超
えると、該積層フィルム樹脂組成物中のスチレンダイマ
ー及びスチレントリマーの合計含有量が多くなり、容器
に溶出するスチレンダイマー及びスチレントリマーも増
えるため好ましくない。
【0013】本発明で用いられる安定剤として、フェノ
ール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、硫黄系安定剤
やビタミンC、ビタミンE、カテキン等の特に食品用途
に適したものがあげられるが、マスターバッチの生産安
定性やコストの点からフェノール系酸化防止剤及びリン
系加工熱安定剤が好ましい。これらは単独でも、2種類
の併用でも使用できる。フェノール系酸化防止剤として
は、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリ
スリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2−t
−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5
−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレー
ト、2(1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペン
チルフェニル)エチル)−4,6−ジ−t−ペンチルフ
ェニルアクリレート等の市販されているが用いられる。
リン系の加工熱安定剤としては、トリス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)ホスファイト等の市販されている
一般的なものが使用できる。該スチレン系発泡シート積
層フィルム用マスターバッチ中の安定剤の添加量は、ポ
リスチレン系樹脂とスチレン系ゴムとの混合物100重
量部に対し、0.1〜1.5重量部が好ましく、更に好
ましくは0.3〜1.2重量部であり、最も好ましくは
0.5〜1.0重量部である。添加量が0.1重量部よ
り少ないと、マスターバッチの押出製造時にストランド
切れなどが起こる恐れがあり、マスターバッチの生産が
安定しない場合がある。また、1.5重量部よりも多く
添加しても、マスターバッチの生産安定性への効果は少
ない。
【0014】本発明で用いられる(d)滑剤としては、
エステル系ワックス、オレフィン系ワックス、アミド系
ワックス、ステアリル系ワックスなどがあげられるが、
その中でもエステル系ワックスが好ましく、低級アルコ
ール、高級アルコール、多価アルコールの脂肪酸エステ
ルが使用できる。例えば、低級アルコールエステルでは
ブチルステアレート、高級アルコールエステルではセチ
ルパルミテート、ステアリルステアレート、多価アルコ
ールエステルではグリセリンエステル、ペンタエリスリ
トールエステル、硬化ひまし油等があり、中でも取り扱
い性、マスターバッチの押出製造時の安定性から、ステ
アリルステアレート、グリセリンエステルが好ましい。
該スチレン系発泡シート積層フィルム用マスターバッチ
中の滑剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂とスチレン系
ゴムとの混合物100重量部に対し、0.1〜5.0重
量部が好ましく、更に好ましくは0.5〜4.0重量部
であり、最も好ましくは1.0〜3.0重量部である。
添加量が0.1重量部より少ないと、マスターバッチの
押出製造時にストランド切れなどが起こる恐れがあり、
マスターバッチの生産が安定しない場合がある。また、
5.0重量部よりも多く添加しても、マスターバッチの
生産の安定性への効果は少ない。
【0015】次に本発明におけるマスターバッチの製造
方法は、溶融混練してペレタイズする方法である。溶融
混練に用いる押出機は、特に限定されるものではなく、
単軸押出機、2軸押出機、タンデム押出機などが用いら
れる。使用するスチレン系ゴムの形状は特に限定される
ものではないが、顆粒状またはクラム状のスチレン系ゴ
ムを使用することが好ましい。また、安定剤、滑剤の形
状についても、特に限定されるものではないが、取り扱
い性の点から、室温で顆粒状または粉状のものが好まし
い。マスターバッチを押出機で溶融混練する前には、安
定的な押出製造を行うために、所定量に配合された混合
物をリボンブレンダーなどで十分にブレンドする必要が
ある。溶融混練してペレタイズされたマスターバッチの
形状は、特に限定されるものではないが、積層フィルム
成形時の加工性や積層フィルム中のゴムの分散性の点か
ら、積層フィルムに用いるポリスチレン系樹脂の形状に
近いものが好ましい。本発明のマスターバッチは、メル
トインデックス(MI)があまり小さいと押し出し安定
性の問題があり、多すぎると耐衝撃性、ゴム分散性に問
題があるので、200℃、5kgfのMIが、0.1〜
12g/10minの範囲のものが好ましい。
【0016】次に本発明のマスターバッチを用いて、ス
チレン系樹脂発泡シート積層フィルムを製造するにあた
り、スチレン系樹脂ペレットと当該マスターバッチをペ
レットブレンドした後、積層フィルムを製造するのが好
ましい。マスターバッチとスチレン系樹脂とのブレンド
比率は特に限定されるものではないが、マスターバッチ
混合割合は5〜50%が好ましく、更に10〜40%で
あることがマスターバッチの生産性やコストの点から好
ましい。
【0017】本発明のマスターバッチを用いた積層フィ
ルムが積層されるポリスチレン系樹脂発泡シートは、ポ
リスチレン系樹脂を基材樹脂とするもので、通常の押出
発泡によって製造される。ここで使用するポリスチレン
系樹脂は特に制限はなく、塊状重合、懸濁重合、溶液重
合など通常の重合法によって製造されるものであれば特
に限定しないが、これらのうちでは懸濁重合、溶液重合
によって得られたものが、スチレンダイマー及びスチレ
ントリマーの含有量が少ない点で好ましい。
【0018】前記ポリスチレン系樹脂発泡シート製造時
に用いられる発泡剤としては、脂肪族炭化水素類である
プロパン、ブタン、イソブタン,ペンタン,イソペンタ
ン,ヘキサンなど,脂環式炭化水素類であるシクロペン
タン,シクロヘキサンなど,ハロゲン化炭化水素類であ
るメチルクロライド,メチレンクロライド,ジクロロフ
ルオロメタン,クロロフルオロメタン,クロロジフルオ
ロメタン,トリクロロフルオロメタン,トリクロロトリ
フルオロエタン,ジクロロテトラフルオロエタンなどが
あげられる。又、発泡剤量はポリスチレン系樹脂100
重量部に対し、2〜5重量部用いるのが好ましい。これ
らは、単独もしくは2種以上を併せて用いることがで
き、ポリスチレン系樹脂製造時に添加含浸しても良い
し、押し出し発泡シート化時に添加しても良い。
【0019】前記ポリスチレン系樹脂発泡シート製造時
に用いる造核剤としては、特に限定はなく,通常使用し
うる造核剤であれば使用しうる。具体例としては,タル
ク,炭酸カルシウム,硫酸バリウム,シリカ,酸化チタ
ン,クレー,酸化アルミニウム,ベントナイト,ケイソ
ウ土などの無機化合物であって,平均粒径が0.1〜2
0ミクロン,好ましくは1〜10ミクロン程度のもの;
クエン酸,酒石酸,シュウ酸,などの有機酸;ホウ酸な
どの酸とナトリウム,カリウム,アンモニウムなどの重
炭酸塩または炭酸塩との組み合わせからなるものなどが
あげられる。これらの造核剤は,通常単独で使用される
が,2種以上組み合わせて用いても良い。これらの内,
タルク,炭酸カルシウム,シリカ,アルミナなどの無機
化合物が安価であり,かつ取り扱いやすい点で好まし
い。また該ポリスチレン系樹脂発泡シートには,充填剤
・難燃剤・着色剤・紫外線吸収剤・酸化防止剤などを含
有していても良い。
【0020】本発明のマスターバッチを用いた積層フィ
ルムを前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの内側に積層
する方法は、特に限定はない。例えば、予めフイルム状
に成形した樹脂組成物を供給される発泡シートに、容器
の内側になるように熱ロールなどにより接着する方法、
予めフイルム状に成形した樹脂組成物を供給される発泡
シートに、容器の内側になるように接着剤を介して接着
する方法、供給される発泡シートに、容器の内側になる
ように押出機から供給した積層樹脂組成物を層状に積層
し、可塑状態にある積層樹脂を冷却ロールなどにより固
着する方法などがあげられる。なかでも、押出機から供
給した積層樹脂組成物を層状に積層・固着する方法は製
造工程数が少なく、コストの点で好ましい。
【0021】次に前記ポリスチレン系樹脂積層発泡シー
トを用いて、通常の発泡シートの成形と同様に、真空・
圧空成形等によって種々の容器を製造することができ
る。
【0022】本発明のマスターバッチを用いて製造され
た積層シート等は、ラーメン、うどん、焼きそばなどの
食品用のどんぶりやカップとして好適に用いることがで
きる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例、比較例によってさら
に詳細に説明するが,本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。 [マスターバッチの生産性]マスターバッチの生産性は
次のように評価した。 ○:マスターバッチの押出製造時に、ストランド切れが
なく、安定的に押出された。 ×:マスターバッチの押出製造時に、ストランド切れが
多発し、安定的に製造することが困難であった。 [MIの測定]MIの測定はJIS熱可塑性プラスチッ
クの流れ試験法K7210に準じ、200℃、荷重5k
gfの条件で行った。測定装置は東洋精機(株)製メル
トインデクサーにて行った。 [スチレン系ゴム中のスチレンダイマー及びスチレント
リマー含有量の測定]積層フィルム樹脂組成物をクロロ
ホルムに溶解し、GCにて測定を行った。 GC:ヒューレットパッカード製 GC−6890 p
lus カラム:J&W Scientific社製 DB−5 0.25
mmi.d.×30m 膜厚0.25μm カラム温度:100℃→20℃/分→280℃ [スチレンダイマー及びスチレントリマーの溶出量の測
定]食品衛生法、器具及び容器包装の規格基準、溶出試
験における試験溶液の調製法の規定に準じて測定した。
【0024】ポリスチレン系樹脂積層発泡シート容器
(開口部一辺の長さ160mm、底部一辺の長さ115
mm、深さ60mmの内容積950cm3の角型状に成
形した容器)にへプタンを800cc入れ、25℃で6
0分放置し、へプタン中のスチレンダイマー及びスチレ
ントリマー量をGC/MS−SIMで測定した。
【0025】GC/MS:ヒューレットパッカード製
HP6890シリーズII/HP5973。
【0026】カラム:J&W Scientific社製 DB−
5MS 0.25mmi.d.×30m 膜厚0.25ミクロン カラム温度:40℃(0.5分)→10℃/分→100
℃→20℃/分 →280℃(15分) [積層フィルムの表面性]フィルム中のスチレン系ゴム
の分散性の評価として、積層フィルムの表面性を指標と
して、次のように評価した。 ○:表面が平滑で、表面ムラや凹凸がなく綺麗である。 ×:表面にムラや凹凸が見られ、外観が劣る。 (製造例1) 攪拌機を具備した反応器に,純水700
kg,第三リン酸カルシウム1.05kg,ドデシルベ
ンゼンスルフォン酸ナトリウム46g,塩化ナトリウム
3.3kg入れ攪拌し水懸濁液とした後,スチレン70
0kgに重合開始剤として,ベンゾイルパーオキサイド
1.33kg,1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.7kgを溶
解し,反応器に加え,98℃に昇温してから5時間かけ
て重合した。次いで,120℃に昇温して2時間保持し
た後冷却して,その内容物を取り出し脱水・乾燥し,ポ
リスチレン樹脂を得た。ポリスチレン樹脂のMIは3g
/10minであった。 (実施例a1〜a9、比較例a1〜a3、比較例a4、
比較例a5) 製造例1で製造したスチレン系樹脂、及
び表1に示したスチレン系ゴム、安定剤、滑剤を、表2
に記載の割合で混合した後、φ90−80タンデム押出
機を用いて、温度220〜250℃、φ90mm押出機
の回転数50rpm、φ80mm押出機の回転数60r
pmの条件で溶融混練した後、ペレタイズしてマスター
バッチを得た。マスターバッチのペレットの形状は、直
径1〜3mm、長さ2〜4mmの円柱状のものであっ
た。結果を表2に示す。比較例a4の配合では、通常の
ペレタイザーでは、ストランドをカットすることができ
なかった。また比較例a5の配合では、ストランドが引
き取る際に割れてしまい、まともなペレットが得られな
かった。 (実施例b1〜b9、比較例b1〜b3) 実施例a1
〜a9、比較例a1〜a3で得られたマスターバッチと
製造例1で得られた懸濁重合ポリスチレン樹脂を表3に
記載の割合でペレットブレンドした後、製造例1で得ら
れた懸濁重合ポリスチレン樹脂から通常の方法で製造さ
れた厚さ2.0mm、発泡倍率8倍、厚み方向の気泡数
17個の発泡シートの表面に、Tダイを用いて押出すと
同時に、120μmのフィルムとして積層した。積層フ
ィルムの表面性の結果を表3に示す。 (比較例b4) マスターバッチにしなかった以外は、
実施例a1およびb1と同等の配合割合とした樹脂を、
同じく製造例1で得られた懸濁重合ポリスチレン樹脂か
ら通常の方法で製造された厚さ2.0mm、発泡倍率8
倍、厚み方向の気泡数17個の発泡シートの表面に、T
ダイを用いて押出すと同時に、120μmのフィルムと
して積層した。積層フィルムの表面性の結果を表3(b
4)に示す。
【0027】次に、上記積層発泡シートを積層フイルム
が容器の内側になるようにポリスチレン発泡シート成形
用の小型単発成形機を用い、150℃の炉内で発泡シー
トを13〜15秒間加熱した後、60℃に温度調整した
金型で開口部一辺長さ160mm、底部一辺長さ115
mm、深さ60mmの角型容器を成形し、得られた容器
をトムソン刃で打ち抜いて取り出した。得られたポリス
チレン系樹脂積層発泡シート容器中からのn−ヘプタン
へのスチレンダイマー及びスチレントリマーの溶出量を
ガスクロマトグラフィーにより測定した。結果を表3に
示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、スチレン系樹脂発泡シ
ート積層フィルム用マスターバッチを安定的に製造する
ことができ、かつ、該マスターバッチをスチレン系樹脂
発泡シートへ積層するフィルムへ用いることによって、
成形容器からのスチレンダイマー及びスチレントリマー
の溶出量を効率よく低減でき、積層フィルム中のスチレ
ン系ゴムの分散性向上により、外観が綺麗なフィルムを
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 3/22 CEZ C08K 5/00 C08K 5/00 B65D 1/00 B Fターム(参考) 3E033 AA08 BA22 BA30 BB08 CA08 CA20 DD01 FA04 GA03 4F070 AA08 AA18 AB08 AB09 AB11 AB16 AE03 AE09 FB03 FB04 4F100 AJ11B AK12A AK12B AK29B AK73B AL02B AL05B AN02B CA05B CA06B CA19B DA01 DJ01A GB16 JA06B 4J002 BC031 BC041 BC042 BC051 BC052 BC071 BC081 FD036 FD066 FD076 FD177 GF00 GG01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリスチレン系樹脂、(b)スチ
    レン系ゴム、並びに(c)安定剤及び/または(d)滑
    剤を配合してなるスチレン系樹脂発泡シート積層フィル
    ム用マスターバッチ。
  2. 【請求項2】 (a)ポリスチレン系樹脂50〜90重
    量部、(b)スチレン系ゴム10〜50重量部、並びに
    (c)安定剤0.1〜1.5重量部及び/または(d)
    滑剤0.1〜5重量部を含有し、200℃、5kgfの
    メルトインデックス(以降、MIとする)が0.1〜1
    2g/10minであることを特徴とする請求項1記載
    のスチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用マスターバ
    ッチ。
  3. 【請求項3】 安定剤がフェノール系酸化防止剤及び/
    またはリン系加工安定剤であることを特徴とする請求項
    1または2記載のスチレン系樹脂発泡シート積層フィル
    ム用マスターバッチ。
  4. 【請求項4】 滑剤がエステル系ワックスであることを
    特徴とする請求項1、2または3記載の積層フィルム樹
    脂用マスターバッチ。
  5. 【請求項5】 ポリスチレン系樹脂が200℃、5kg
    fにおけるMIが1〜6g/10minであって、懸濁
    重合で製造されたものである請求項1、2、3または4
    記載のスチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用マスタ
    ーバッチ。
  6. 【請求項6】 スチレン系ゴム(b)が、200℃、5
    kgfにおけるMIが0.001〜20g/10min
    で、該スチレン系ゴム中のスチレンダイマー及びスチレ
    ントリマーの含有量が1500ppm以下である請求項
    1、2、3、4または5記載の積層フィルム用マスター
    バッチ。
  7. 【請求項7】 スチレン系ゴム(b)が、200℃、5
    kgfにおけるMIが0.001〜20g/10min
    で、該スチレン系ゴムがスチレン−ブタジエンブロック
    共重合体であることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5または6記載のスチレン系樹脂発泡シート積層フ
    ィルム用マスターバッチ。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6または7
    記載の積層フィルム樹脂用マスターバッチを用いて形成
    したフイルムをポリスチレン系樹脂発泡シートに積層し
    たポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3、4、5、6、7また
    は8記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを積層フ
    ィルムを内側にして成形した容器。
  10. 【請求項10】 n−ヘプタンを入れ、25℃、1時間
    の条件で放置したときの容器からn−ヘプタンへのスチ
    レンダイマー及びスチレントリマーの溶出量が300p
    pb以下であることを特徴とする請求項9記載の容器。
JP2002096403A 2001-10-16 2002-03-29 スチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用マスターバッチ、それを用いた積層発泡シート、および成形した容器 Pending JP2003192857A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002096403A JP2003192857A (ja) 2001-10-16 2002-03-29 スチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用マスターバッチ、それを用いた積層発泡シート、および成形した容器

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-318313 2001-10-16
JP2001318313 2001-10-16
JP2002096403A JP2003192857A (ja) 2001-10-16 2002-03-29 スチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用マスターバッチ、それを用いた積層発泡シート、および成形した容器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003192857A true JP2003192857A (ja) 2003-07-09

Family

ID=27615484

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002096403A Pending JP2003192857A (ja) 2001-10-16 2002-03-29 スチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用マスターバッチ、それを用いた積層発泡シート、および成形した容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003192857A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005139431A (ja) * 2003-10-16 2005-06-02 Nippon Polystyrene Kk マスターバッチを用いたポリスチレン系樹脂の成形方法、および、その成形方法によって得られる成形品
EP2289994A4 (en) * 2008-06-12 2012-03-28 Samjin Polytech Co Ltd ABSORBENT MASTER MIXTURE CHIP COMPOSITION FOR EXPANDED POLYSTYRENE PLATE
CN107793512A (zh) * 2016-08-30 2018-03-13 奇美实业股份有限公司 (甲基)丙烯酸酯系‑苯乙烯系共聚物及其组成物以及成型品

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005139431A (ja) * 2003-10-16 2005-06-02 Nippon Polystyrene Kk マスターバッチを用いたポリスチレン系樹脂の成形方法、および、その成形方法によって得られる成形品
EP2289994A4 (en) * 2008-06-12 2012-03-28 Samjin Polytech Co Ltd ABSORBENT MASTER MIXTURE CHIP COMPOSITION FOR EXPANDED POLYSTYRENE PLATE
CN107793512A (zh) * 2016-08-30 2018-03-13 奇美实业股份有限公司 (甲基)丙烯酸酯系‑苯乙烯系共聚物及其组成物以及成型品
CN107793512B (zh) * 2016-08-30 2020-07-14 奇美实业股份有限公司 (甲基)丙烯酸酯系-苯乙烯系共聚物及其组成物以及成型品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060094821A1 (en) Aromatic vinyl polymer resin composition and its molding
CN103261298B (zh) 能膨胀的乙烯基芳族聚合物
EA023965B1 (ru) Композиция вспенивающегося винилароматического полимера и её применение для изготовления вспененных изделий
JP2008094919A (ja) 耐熱性発泡体
JP2010229205A (ja) 発泡性熱可塑性樹脂粒子とその製造方法、予備発泡粒子及び発泡成形体
KR100311756B1 (ko) 스티렌계수지조성물 및사출- 및압출-성형품
EP3491061B1 (en) Expandable polymeric composition comprising a block copolymer
JP2005520882A (ja) 発泡性が改善された発泡性ビニル芳香族ポリマーに基づく組成物
JP2003192857A (ja) スチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用マスターバッチ、それを用いた積層発泡シート、および成形した容器
WO2004014992A1 (ja) 発泡性スチレン系樹脂粒子、およびこれを用いた予備発泡粒子、発泡成形体
WO2016080134A1 (ja) スチレン系発泡シート及びこれを用いる成形体
JP3805586B2 (ja) ポリスチレン系樹脂発泡シート及びポリスチレン系樹脂発泡シート食品容器
JP4480342B2 (ja) 発泡成形用スチレン系樹脂組成物、発泡シート及び容器
JP2008144025A (ja) スチレン系樹脂発泡シートの製造方法
JP2001329128A (ja) ゼオライト系化合物を含有するポリスチレン系樹脂組成物
JP4558348B2 (ja) 発泡核剤含有熱可塑性樹脂組成物および耐熱性スチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
JP2004315806A (ja) 発泡性スチレン系樹脂粒子、およびこれを用いた予備発泡粒子、発泡成形体
JP4731006B2 (ja) 発泡シート用積層樹脂組成物、及びそれを積層したポリスチレン系樹脂積層発泡シート、容器
US20120208909A1 (en) Polymer mixtures of polystyrene having styrene butadiene block copolymers
JP2002104366A (ja) 発泡シート用積層フィルム樹脂組成物、及びそれを積層したポリスチレン系樹脂積層発泡シート、容器
JP2002317087A (ja) 発泡シート用積層フィルム樹脂組成物、それを積層したポリスチレン系樹脂積層発泡シート、および容器
JP2003082190A (ja) ポリスチレン系樹脂発泡シート積層フィルム用樹脂組成物、その積層発泡シート、およびそれを成形した容器
JP5918529B2 (ja) ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、予備発泡粒子の製造方法、及び、ビーズ発泡成形体の製造方法
JP2002080668A (ja) スチレン系樹脂組成物
JP2002331622A (ja) ポリスチレン系樹脂積層発泡シート成形体