JP2003192694A - ベチュリン抽出法 - Google Patents

ベチュリン抽出法

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JP2003192694A JP2001395833A JP2001395833A JP2003192694A JP 2003192694 A JP2003192694 A JP 2003192694A JP 2001395833 A JP2001395833 A JP 2001395833A JP 2001395833 A JP2001395833 A JP 2001395833A JP 2003192694 A JP2003192694 A JP 2003192694A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹皮を細かく粉砕する必要がなく、かつ環境
汚染や人体への悪影響も殆どなく、加えて、極めて安価
に高純度のベチュリンを抽出し得る方法を提供する。 【解決手段】 樹木の樹皮からベチュリンを抽出する方
法において、抽出溶媒として、極性を有し、かつ分子内
に酸素及び/又は窒素原子を有し、該原子が少なくとも
一つの孤立電子対を有しているところの溶媒、又は該溶
媒と水との混合物を使用することを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹木の樹皮からベチ
ュリンを抽出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カバノキ科の樹木の樹皮、とりわけ外樹
皮には、樹皮の白色を示す成分としてベチュリンと言う
トリテルペン系化合物が多く含まれている。近年、環境
への関心から生分解性高分子等のエコマテリアルの開発
が注目されており、このような天然物由来の高分子材料
の開発が期待されている。ベチュリンは天然に多量に存
在する木質系バイオマスであるが、一部の医薬品への応
用が検討されている以外には、有効な利用法は確立され
ていない。また、現在に至るまで、経済的な抽出法は確
立されていない。
【0003】従来、ベチュリンは、ハロゲンを含む有機
溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等を使用
して樹木の外樹皮から抽出して、次いで、エタノールで
再結晶することにより得られていた。該方法において
は、上記の溶媒を外樹皮に良好に浸透せしめるために、
外樹皮をおよそ0.005cm2未満の寸法に細かく粉
砕していた。また、抽出において、上記の塩素系有機溶
媒を多量に使用し、かつ該溶媒の沸点近傍に昇温してい
たために、環境汚染や人体への悪影響が懸念されてい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、樹皮を細か
く粉砕する必要がなく、かつ環境汚染や人体への悪影響
も殆どなく、加えて、極めて安価に高純度のベチュリン
を抽出し得る方法を提供するものである。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、ハロゲン
を含む有機溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホル
ム等を使用して樹木の外樹皮からベチュリンを抽出する
上記従来の方法の持つ欠点を解決すべく種々の検討を試
みた。従来、ベチュリンが炭素数30個のトリテルペン
で構成されているという観点から、これを溶解する脂溶
性溶媒、例えば、上記のハロゲンを含む有機溶媒等を使
用しなければならないという考えが定着していた。本発
明者らは、かかる固定観念にとらわれず、ベチュリンの
構造を別の観点から把握することを試みた。その結果、
ベチュリンがトリテルペンで構成されているという従来
の観点を一掃して、水酸基を二個有するジオール誘導体
であるとの新たなる観点に到達した。本発明者らは、か
かる観点に基き、種々の溶媒について検討したところ、
極性を有し、かつ分子内に酸素及び/又は窒素原子を有
し、該原子が少なくとも一つのが孤立電子対を有してい
るところの溶媒を使用すれば、該溶媒は、ベチュリンが
有する水酸基と水素結合を作り、加えて、ベチュリンを
包含するスベリン層を膨潤させることができ、従って、
ベチュリンの抽出に極めて有効であることを見出した。
該溶媒を使用すれば、従来法のように溶媒を高温に加熱
する必要がなく、好ましくは環境温度(例えば、室温)
において高収率でベチュリンを抽出することができる。
更には、上記溶媒でベチュリンを抽出した後のベチュリ
ン含有溶媒に所定量の水を添加するだけで、ベチュリン
を塊状固形物として容易に沈殿せしめて回収することが
できるのである。
【0006】即ち、本発明は、(1)樹木の樹皮からベ
チュリンを抽出する方法において、抽出溶媒として、極
性を有し、かつ分子内に酸素及び/又は窒素原子を有
し、該原子が少なくとも一つの孤立電子対を有している
ところの溶媒、又は該溶媒と水との混合物を使用するこ
とを特徴とする方法である。
【0007】好ましい態様として、(2)極性を有し、
かつ分子内に酸素及び/又は窒素原子を有し、該原子が
少なくとも一つの孤立電子対を有しているところの溶媒
が、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルム
アミド、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシ
ド、メタノール、エタノール及びアセトニトリルより成
る群から選ばれる一つ若しくはそれ以上の溶媒である上
記(1)記載の方法、(3)抽出溶媒として、テトラヒ
ドロフラン50〜100体積%とメタノール、エタノー
ル若しくは水50〜0体積%との溶媒、ジオキサン、又
はジメチルホルムアミドを使用するところの上記(1)
記載の方法、(4)抽出溶媒として、テトラヒドロフラ
ン50〜100体積%とメタノール、エタノール又は水
50〜0体積%との溶媒を使用するところの上記(1)
記載の方法、(5)抽出溶媒として、テトラヒドロフラ
ン50〜90体積%とメタノール、エタノール又は水5
0〜10体積%との溶媒を使用するところの上記(1)
記載の方法、(6)抽出溶媒として、テトラヒドロフラ
ン80体積%と水20体積%との溶媒を使用するところ
の上記(1)記載の方法、(7)抽出溶媒を、樹木の樹
皮の1〜50重量倍で使用するところの上記(1)〜
(6)のいずれか一つに記載の方法、(8)抽出溶媒
を、樹木の樹皮の2〜30重量倍で使用するところの上
記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の方法、(9)
抽出溶媒を、樹木の外樹皮の3〜10重量倍で使用する
ところの上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の方
法、(10)抽出後のベチュリン含有溶媒に水を添加し
て、ベチュリンを析出せしめるところの上記(1)〜
(9)のいずれか一つに記載の方法、(11)水を、抽
出後のベチュリン含有溶媒の0.01〜100重量倍で
添加するところの上記(10)記載の方法、(12)水
を、抽出後のベチュリン含有溶媒の0.1〜50重量倍
で添加するところの上記(10)記載の方法、(13)
水を、抽出後のベチュリン含有溶媒の1〜20重量倍で
添加するところの上記(10)記載の方法、(14)抽
出を、使用した溶媒の凝固点以上でありかつ該沸点以上
であってもよい温度で行うところの上記(1)〜(1
3)のいずれか一つに記載の方法、(15)抽出を、使
用した溶媒の凝固点以上でありかつ該沸点以下の温度で
行うところの上記(1)〜(13)のいずれか一つに記
載の方法、(16)抽出を、環境温度で行うところの上
記(1)〜(13)のいずれか一つに記載の方法、(1
7)樹木がカバノキ科の樹木である上記(1)〜(1
6)のいずれか一つに記載の方法、(18)カバノキ科
の樹木がシラカンバ又はダケカンバであるところの上記
(17)記載の方法を挙げることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の抽出方法に使用される溶
媒は、極性を有し、かつ分子内に酸素及び/又は窒素原
子を有し、該原子が少なくとも一つのが孤立電子対を有
しているところの溶媒、又は該溶媒と水との混合物であ
る。該溶媒はベチュリン中の水酸基と水素結合を形成
し、かつベチュリンが包含されているスベリン層を膨潤
させることができる。好ましくは、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、アセトン、酢
酸エチル、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノ
ール及びアセトニトリルより成る群から選ばれる一つ若
しくはそれ以上の溶媒、又はこれらと水との混合物が使
用される。より好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン若しくはジメチルホルムアミドが使用され、又は
テトラヒドロフランとメタノール、エタノール若しくは
水との混合溶媒が使用される。テトラヒドロフランとメ
タノール、エタノール又は水との混合割合は、好ましく
はテトラヒドロフラン50〜100体積%とメタノー
ル、エタノール又は水50〜0体積%、より好ましくは
テトラヒドロフラン50〜90体積%とメタノール、エ
タノール又は水50〜10体積%、更に好ましくはテト
ラヒドロフラン60〜90体積%とメタノール、エタノ
ール又は水40〜10体積%である。溶媒として、最も
好ましくはテトラヒドロフラン80体積%と水20体積
%との混合溶媒が使用される。
【0009】本発明における樹木は、好ましくはカバノ
キ科の樹木であり、例えば、シラカンバ、ダケカンバが
挙げられる。これらの樹木の樹皮、とりわけ外樹皮に
は、比較的多量のベチュリンが含有されているため好ま
しい。抽出に際して、該樹皮をとりわけ小片に粉砕する
必要はないが、好ましくは0.01〜1000cm2
度、より好ましくは0.1〜1000cm2程度に分割
される。これにより、抽出時間の短縮を図ることができ
る。
【0010】本発明において、抽出溶媒の使用量は、樹
木の樹皮に対して、上限が好ましくは50重量倍、より
好ましくは30重量倍、更に好ましくは10重量倍であ
り、下限が好ましくは1重量倍、より好ましくは2重量
倍、更に好ましくは3重量倍である。上記下限未満で
は、抽出が不十分となり、上記上限を超えては、コスト
高になるばかりで、著しい効果の増加が期待できない。
【0011】溶媒による抽出温度は、好ましくは、使用
した溶媒の凝固点以上でありかつ該沸点以上であっても
よい温度であり、より好ましくは、使用した溶媒の凝固
点以上かつ沸点以下の温度であり、更に好ましくは、環
境温度、例えば室温である。とりわけ、環境温度で抽出
することが、省エネルギー、作業環境等の観点から好ま
しい。抽出時の圧力は大気圧下であっても加圧下であっ
てもよい。好ましくは大気圧下で実施される。抽出に必
要な時間は、使用した溶媒の種類、抽出温度、抽出溶媒
と樹木樹皮との重量比等に依存するが、好ましくは0.
01〜120時間、より好ましくは0.02〜24時
間、特に好ましくは0.5〜3時間である。上記上限を
超えても、効果の著しい増大が期待できず、上記下限未
満では、抽出が不十分となる。
【0012】本発明において抽出は、従来公知の方法を
使用して実施することができ、回分式、連続式のいずれ
であってもかまわない。例えば、回分式容器中に上記の
樹皮と溶媒を上記の所定量で装入する。次いで、好まし
くは攪拌下に、上記の温度及び圧力で所定時間滞留せし
めて、抽出を完了する。次いで、抽出後の混合物を濾過
して、濾液としてベチュリン含有溶媒を得る。
【0013】ベチュリン含有溶媒からベチュリンを析出
させるために、該ベチュリン含有溶媒に、好ましくは水
が添加される。水の添加量は、ベチュリン含有溶媒の全
重量に対して、上限が、好ましくは100重量倍、より
好ましくは50重量倍、特に好ましくは20重量倍であ
り、下限が、好ましくは0.01重量倍、より好ましく
は0.1重量倍、特に好ましくは1重量倍である。該水
の添加は、好ましくは室温で、得たベチュリン含有溶媒
に滴下することが好ましい。該水の添加により、ベチュ
リンが大きな塊状の固体となって析出して沈殿するた
め、以後の分離操作が簡便となる。このようにして得ら
れたベチュリンは例えば濾過により回収される。次い
で、定法に従って、メタノール、アセトン等の有機溶媒
及び蒸留水で洗浄後、乾燥して回収される。また、メタ
ノール等の有機溶媒を使用して再結晶して精製すること
もできる。
【0014】本発明によれば、樹木の樹皮から、樹皮重
量に対して好ましくは10〜50重量%、特に好ましく
は20〜40重量%のベチュリンを抽出することができ
る。
【0015】このようにして得られたベチュリンは、特
願2000−105482号記載のように、ポリマー、
ポリエステル、ポリウレタン及びエステル化合物に転換
され得る。そして、該ポリマー、ポリエステル、ポリウ
レタン及びエステル化合物は、生分解性を示す再生可能
な高分子材料として種々の用途に使用し得る。ベチュリ
ンから得られるポリマーは、例えば、フィルム、繊維等
として使用することができ、ポリエステルは、例えば、
ポエチレンテレフタレートやポリラクチド代替品若しく
はブレンド品、偏光フィルム、光学活性な液晶若しくは
フィルム、又は高屈折率レンズ等として使用することが
でき、ポリウレタンは、例えば、釣糸、タイヤコード、
衣服繊維等として使用することができる。エステル化合
物は、例えば、可塑剤とりわけポリエチレンフィルムの
可塑剤、不凍液、エチレンガス透過性の包装フィルム等
として使用することができる。
【0016】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。
【0017】
【実施例】実施例においてベチュリンの同定には下記の
装置を使用した。 <1H−NMR>使用した装置は、日本電子製、JNM
−EX270型である。溶媒としては重水素化クロロホ
ルムを使用した。 <C13−NMR>使用した装置は、日本電子製、JNM
−EX270型である。溶媒としては重水素化クロロホ
ルムを使用した。
【0018】
【実施例1】シラカンバの外樹皮(ベチュリンを約30
重量%含有するもの)を1.0cm2程度に分割した。
次に、該シラカンバの外樹皮2.0グラムと、表1に示
した各溶媒30ミリリットル(外樹皮1グラム当り15
ミリリットル)とを1.0リットルのフラスコに各々採
り、室温で攪拌しつつ表1に示した所定時間で抽出を行
った。抽出後、濾過して淡黄色のベチュリン含有溶媒を
得た。次いで、該ベチュリン含有溶媒に対して50重量
倍の蒸留水を、約180分間かけてゆっくりと滴下添加
した。これにより、大きな塊の粗ベチュリンが析出して
沈殿した。これを濾過し、得た沈殿物を20℃で96時
間真空乾燥して、粗ベチュリンを回収した。結果を表1
に示す。該粗ベチュリンをメタノールで再結晶して精製
し、次いで、1H−NMR及びC13−NMRを使用して
同定したところ、該物質がベチュリンであることが確認
された(図1及び2参照)。
【0019】
【表1】
【0020】表1中の数値は、シラカンバの外樹皮に対
する回収された粗ベチュリンの重量%を示す。THFは
テトラヒドロフランを示し、DMFはジメチルホルムア
ミドを示し、かつDMSOはジメチルスルホキシドを示
す。
【0021】表1に示した通り、テトラヒドロフランを
抽出溶媒として使用すると、室温における96時間の抽
出でシラカンバの外樹皮中に含まれるベチュリンのほぼ
全量を回収し得ることが分った。また、ジオキサン、ジ
メチルホルムアミドにおいても十分に高いベチュリン回
収率が得られた。
【0022】
【実施例2】シラカンバの外樹皮を3.0cm2程度に
分割した。次に、該シラカンバの外樹皮50グラムと、
表2に示した各溶媒750ミリリットル(外樹皮1グラ
ム当り15ミリリットル)とを2リットルのフラスコに
各々採り、室温で攪拌しつつ表2に示した所定時間で抽
出した。抽出後、濾過して淡黄色のベチュリン含有溶媒
を得、次いで、これを実施例1と同様にして処理し、粗
ベチュリンを回収した。結果を表2に示す。実施例1と
同様に1H−NMR及びC13−NMRを使用して同定し
たところ、該物質がベチュリンであることが確認された
(図1及び2参照)。
【0023】
【表2】
【0024】表2中の数値は、シラカンバの外樹皮に対
する回収された粗ベチュリンの重量%を示す。THF、
DMF及びDMSOは上記と同じである。
【0025】外樹皮面積を大きくするとベチュリンの抽
出量が多少減少するが、本発明の効果を損なうものでは
なかった。
【0026】
【実施例3】シラカンバの外樹皮を2.0cm2程度に
分割したこと、及び表3に示した各比率のテトラヒドロ
フランとエタノールとの混合溶媒を使用したことを除い
て、実施例1と同一の条件で抽出を実施した。抽出時間
は72時間とした。結果を表3に示す。実施例1と同様
1H−NMR及びC13−NMRを使用して同定したと
ころ、該物質がベチュリンであることが確認された(図
1及び2参照)。
【0027】
【表3】
【0028】該混合溶媒において、テトラヒドロフラン
の量を50体積%以上にすると比較的多量のベチュリン
が抽出されることが分った。また、表3には記載してい
ないが、エタノールに代えてメタノールを使用してもほ
ぼ同様の結果が得られた。混合溶媒を使用することによ
り、抽出溶媒の低コスト化が可能である。
【0029】
【実施例4】抽出溶媒として、テトラヒドロフラン80
体積%と水20体積%との混合溶媒を使用した。実施例
1と同一にして96時間抽出して、ベチュリン含有溶媒
を得た。次いで、実施例1と同一にして蒸留水を滴下添
加したところ、実施例1よりも更に大きな塊の粗ベチュ
リンが析出して沈殿した。次いで、実施例1と同一にし
て粗ベチュリンを回収した。回収率は30.5%であっ
た。実施例1と同様に 1H−NMR及びC13−NMRを
使用して同定したところ、該物質がベチュリンであるこ
とが確認された(図1及び2参照)。
【0030】
【参考例1】シラカンバの外樹皮10グラムを1.0c
2程度に分割した。次に、該シラカンバの外樹皮とラ
ウリン酸20グラムを1.0リットルの三口フラスコに
入れ、該シラカンバの外樹皮を還流下に0.5〜1.5
時間抽出して抽出液を得た。次いで、該抽出液を室温ま
で冷却した後、濾過し生成物を得た。
【0031】該生成物をエーテル200ミリリットルに
加え、これに更に、5%の水酸化ナトリウム水溶液1.
0リットルを加えて、未反応のラウリン酸を水相に溶出
させた。水相を分離して有機相を得て、次いで、これを
蒸留水で3回洗浄した。これに無水硫酸ナトリウムを加
えて乾燥し、これを濾過し、溶媒を減圧下で留去し、真
空乾燥してベチュリンジエステルを得た。結果を表4に
示す。
【0032】
【表4】
【0033】該方法は、特願2000−105482号
記載の方法である。抽出時間が1時間以上でシラカンバ
樹皮中のベチュリンをほぼ全量回収し得ることが分っ
た。しかし、高温で抽出するために、環境汚染や人体へ
の悪影響を防止するための種々の設備を必要とした。
【0034】
【発明の効果】本発明は、樹皮を細かく粉砕する必要が
なく、かつ環境汚染や人体への悪影響も殆どなく、加え
て、極めて安価に高純度のベチュリンを抽出し得る方法
を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における抽出物の1H−NMRのスペク
トルである。
【図2】実施例における抽出物の13C−NMRのスペク
トルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 嘉拓 北海道札幌市北区北25条西15丁目5−3 Fターム(参考) 4C091 AA06 BB01 CC01 DD01 EE04 FF02 FF06 GG01 HH01 JJ03 KK01 LL03 LL06 MM01 NN01 PA02 PA05 PB03 QQ05 RR13 4H006 AA02 AD15 AD16 BB14 BB15 BB16 BB17 BB20 BB21 BB22 BN10 FG22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹木の樹皮からベチュリンを抽出する方
    法において、抽出溶媒として、極性を有し、かつ分子内
    に酸素及び/又は窒素原子を有し、該原子が少なくとも
    一つの孤立電子対を有しているところの溶媒、又は該溶
    媒と水との混合物を使用することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 極性を有し、かつ分子内に酸素及び/又
    は窒素原子を有し、該原子が少なくとも一つの孤立電子
    対を有しているところの溶媒が、テトラヒドロフラン、
    ジオキサン、ジメチルホルムアミド、アセトン、酢酸エ
    チル、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール
    及びアセトニトリルより成る群から選ばれる一つ又はそ
    れ以上の溶媒である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 抽出溶媒として、テトラヒドロフラン5
    0〜100体積%とメタノール、エタノール又は水50
    〜0体積%との溶媒を使用する請求項1又は2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 抽出後のベチュリン含有溶媒に水を添加
    して、ベチュリンを析出せしめるところの請求項1〜3
    のいずれか一つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 抽出を環境温度で行うところの請求項1
    〜4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 【請求項6】 樹木がカバノキ科の樹木である請求項1
    〜5のいずれか一つに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20130236580A1 (en) * 2008-07-09 2013-09-12 The Institute Of Biological Resources Methods of Treating or Preventing Influenza, Infantile Acute Respiratory Infectious Disease, and Acquired Immune Deficiency Syndrome

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