JP5460840B2 - ベチュリンから得られるポリマー及びその製造法 - Google Patents
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Description
(1)下記式(I)
で示される繰返し単位を有するポリマーである。
(2)R1が、炭素数1〜30個のアルキル基である上記(1)記載のポリマー、
(3)R1が、炭素数1〜14個のアルキル基である上記(1)記載のポリマー、
(4)nが2〜1,000,000の整数である上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のポリマー、
(5)ベチュリンの第一級及び第二級炭素原子に結合するOH基をモノカルボン酸又はその酸塩化物と反応せしめてエステル化し、次いで、得られた生成物をカチオン重合触媒の存在下に重縮合せしめて上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のポリマーを製造する方法、
(6)カチオン重合触媒が、BF3OEt2、SnCl4、CH3SO3H、PF5、Sb5、H3PO4、HClO4、AlCl3、WCl6、MoCl5、又はこれらと水若しくはアルコールとの共触媒から選ばれるところの上記(5)記載の方法、
(7)重縮合温度が−70〜150℃であり、重縮合時間が1分間〜240時間である上記(5)又は(6)記載の方法、
(8)仕込ベチュリン1モルに対してモノカルボン酸又はその酸塩化物を1〜20モル加えて、−30〜300℃で10分間〜24時間反応してベチュリンの第一級炭素原子に結合するOH基をエステル化した後、更に、モノカルボン酸又はその酸塩化物を、得られたベチュリンのエステル化物1モルに対して1〜20モル加えて、−50〜280℃で30分間〜26時間反応してベチュリンの第二級炭素原子に結合するOH基をエステル化することによりベチュリンを二段階でエステル化する上記(5)〜(7)のいずれか一つに記載の方法、
(9)モノカルボン酸が、炭素数2〜31個の脂肪族モノカルボン酸である上記(5)〜(8)のいずれか一つに記載の方法、
(10)モノカルボン酸が、炭素数2〜15個の脂肪族モノカルボン酸である(5)〜(8)のいずれか一つに記載の方法
を挙げることができる。
(11)下記式(II)
で示される繰返し単位を有するポリエステルである。
(12)R2が、炭素数1〜30個のアルキレン基である上記(11)記載のポリエステル、
(13)R2が、炭素数1〜14個のアルキレン基である上記(11)記載のポリエステル、
(14)mが2〜1,000,000の整数である上記(11)〜(13)のいずれか一つに記載のポリエステル、
(15)仕込ベチュリン1モルに対してジカルボン酸又はその酸塩化物を0.5〜20モル加えて、−30〜300℃で10分間〜24時間反応してベチュリンの第一級炭素原子に結合するOH基をエステル化してベチュリン2分子を結合した後、更に、ジカルボン酸又はその酸塩化物を得られたベチュリンのエステル化物1モルに対して0.5〜20モル加えて、−50〜280℃で30分間〜26時間反応してベチュリンの第二級炭素原子に結合するOH基をエステル化することにより上記(11)〜(14)のいずれか一つに記載のポリエステルを製造する方法、
(16)ジカルボン酸が、炭素数3〜32個の脂肪族ジカルボン酸である上記(15)記載の方法、
(17)ジカルボン酸が、炭素数3〜16個の脂肪族ジカルボン酸である上記(15)記載の方法
を挙げることができる。
(18)下記式(III)
で示される繰返し単位を有するポリウレタンである。
(19)R4が、炭素数1〜30個のアルキレン基、又は炭素数6〜24個のアリーレン基、アルカリーレン基若しくはアラルキレン基である上記(18)記載のポリウレタン、
(20)R4が、炭素数1〜30個のアルキレン基、又は炭素数6〜24個のアリーレン基、アルカリーレン基若しくはアラルキレン基である上記(18)記載のポリウレタン、
(21)pが2〜1,000,000の整数である上記(18)〜(20)のいずれか一つに記載のポリウレタン、
(22)仕込ベチュリン1モルに対してジイソシアネート化合物を1〜20モル加えて−30〜300℃反応することにより上記(18)〜(21)のいずれか一つに記載のポリウレタンを製造する方法
を挙げることができる。
(23)下記式(IV)
で示されるエステル化合物である。
(24)R3が、炭素数1〜30個のアルキル基である上記(23)記載のエステル化合物、
(25)R3が、炭素数1〜14個のアルキル基である上記(23)記載のエステル化合物、
(26)仕込ベチュリン1モルに対してモノカルボン酸又はその酸塩化物を1〜20モル加えて、−30〜300℃で10分間〜24時間反応してベチュリンの第一級炭素原子に結合するOH基をエステル化した後、更に、モノカルボン酸又はその酸塩化物を得られたベチュリンのエステル化物1モルに対して1〜20モル加えて、−50〜280℃で30分間〜26時間反応してベチュリンの第二級炭素原子に結合するOH基をエステル化することにより上記(23)〜(25)のいずれか一つに記載のエステルを製造する方法、
(27)モノカルボン酸が、炭素数2〜31個の脂肪族モノカルボン酸である上記(26)記載の方法、
(28)モノカルボン酸が、炭素数2〜15個の脂肪族モノカルボン酸である上記(26)記載の方法
を挙げることができる。
(29)樹木の外樹皮からベチュリンを抽出する方法において、樹木の外樹皮に炭素数2〜25個のモノカルボン酸を加えて加熱してベチュリンを抽出することを特徴とする方法。
(30)樹木の外樹皮からベチュリンを抽出する方法において、樹木の外樹皮に炭素数2〜25個のモノカルボン酸を加えて加熱してベチュリンを抽出した後、得られた抽出物に、炭素数2〜25個のモノカルボン酸無水物を加えて加熱することを特徴とする方法、
(31)炭素数2〜25個のモノカルボン酸が酢酸であり、炭素数2〜25個のモノカルボン酸無水物が無水酢酸である上記(29)又は(30)記載の方法、
(32)樹木がカバノキ科の樹木である上記(29)〜(31)のいずれか一つに記載の方法、
(33)カバノキ科の樹木がシラカンバ又はダケカンバである上記(32)記載の方法
を挙げることができる。
本発明のベチュリンから得られるエステル化合物は、下記式(IV)
実施例において各測定は下記のようにして実施した。
<1H−NMR>
使用した装置は、日本電子製、JNM−EX270型である。溶媒としては重水素化クロロホルムを使用した。
<C13−NMR>
使用した装置は、日本電子製、JNM−EX270型である。溶媒としては重水素化クロロホルムを使用した。
<GPC>
使用した装置は、日本分光株式会社製、GPC900−1型である。溶出液としてはクロロホルムを使用した。カラムはShodex 803Lと805Lとをつないで使用した。
シラカンバの外樹皮500グラムを0.01〜5cm2程度に粉砕した。次に、該シラカンバの外樹皮と酢酸5リットルを10リットルのフラスコに入れ、該シラカンバの外樹皮を酢酸還流下に3時間抽出して酢酸抽出液を得た。次いで、該抽出液200ミリリットルを濾過し、濾液を減圧乾固して濃縮した。そして、該濃縮物に5重量倍の蒸留水を攪拌しながら加えて生じた沈殿物を濾過して分別した後、該沈殿物を凍結乾燥した。
該沈殿物20グラムに無水酢酸14.1ミリリットル及びピリジン14.1ミリリットルを加え、室温で24時間反応してアセチル化した。次いで、該アセチル化物に約100ミリリットルの氷水を加えて6時間放置して未反応の無水酢酸を分解した後、蒸留水で洗浄しながら吸引濾過して生じた沈殿物を分離した。得られた沈殿物をシリカゲルクロマトグラフィ(溶出液:ベンゼン)で分別して粗ベチュリンジアセテートを得た。
次いで、得られた粗ベチュリンジアセテートをエタノールにより10回再結晶してベチュリンジアセテート12.81グラムを回収した。該回収量は、シラカンバの外樹皮の約30重量%に相当していた。また、上記の結晶がベチュリンジアセテートであることはその融点及び1H−NMR(図3の上段のスペクトル)を測定し文献値と比較することにより確認した。
図1及び2には、夫々、抽出前及び抽出後のシラカンバの外樹皮の走査電子顕微鏡写真(図1:550倍、図2:2500倍)を示した。シラカンバの外樹皮中に抽出前に存在していたベチュリンが抽出後には殆ど認められないことが分かった。
図3には、ベチュリンジアセテート及び反応生成物の1H−NMRのスペクトルを示した。反応生成物には、4.59ppmと4.69ppmに現れるベチュリンジアセテートモノマーのゼミナルプロトンのシグナルが認められなかったことから、反応生成物がベチュリンのポリマーであることが確認された。また、GPC分析の結果、該ポリマーの平均分子量は約50,000であることが分かった。
該生成物の分子量をGPCを使用して測定したところ約1000であり、マススペクトル測定において分子量1008に対応するピークが現れた(図6)。
次いで、得られた生成物209ミリグラムとピメリン酸334ミリグラムとを300ミリリットルの反応容器に仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、温度170℃で3時間30分間反応した。反応後、室温に冷却して生成物を得た。次いで、該生成物を上記と同様にして精製分離した。無色透明な生成物230ミリグラムを得た。
図4には、ベチュリン(下段のスペクトル)、一段階目の反応生成物(中段のスペクトル)及び二段階目の反応生成物(上段のスペクトル)の13C−NMRのスペクトルを示した。各反応生成物には、173ppm付近にエステル結合−C*(O)−の炭素原子を示すシグナルが認められ、かつ該シグナルは二段階目の反応生成物においてより大きかった。一方、ベチュリンには該シグナルが認められなかった。このことからベチュリンから得られるポリエステルが生成していることが分かった。また、ベチュリン及び各反応生成物には、150ppm付近にCH3−C*=CH2の炭素原子を示すシグナルが認められ、各生成物においても、ベチュリンに存在する側鎖の炭素・炭素二重結合は重合されずにそのまま存在していることが分かった。図5には、ベチュリン(下段のスペクトル)、一段階目の反応生成物(中段のスペクトル)及び二段階目の反応生成物(上段のスペクトル)の1H−NMRのスペクトルを示した。また、GPC分析の結果、該ポリマーの平均分子量は約6,000であることが分かった。
GPC分析の結果、該生成物の平均分子量は50,000であり、ベチュリンとヘキサメチレンジイソシアネートとの間で重合反応が生じていることが分かった。
次いで、得られた生成物200ミリグラムとプロピオン酸100ミリリットルとを500ミリリットルの反応容器に仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、温度170℃で3時間30分間反応した。反応後、室温に冷却して生成物を得た。次いで、該生成物を上記と同様にして精製分離した。無色透明な生成物が得られた。これをシリカゲルクロマトグラフィー(ガラスカラム、充填剤:Wakogel、展開液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製した。
該生成物はm.p.=162.3℃、[a]=+19.5であった。
該生成物の分子量をマススペクトルを使用して測定したところ、分子イオンピークm/zが554であった。また、実施例3と同様に反応生成物を13C−NMRにより測定したところ、173ppm付近にエステル結合−C*(O)−の炭素原子を示すシグナルが認められた。従って、得られた生成物がベチュリンのジエステルであることが分かった。
同様にして、ベチュリンを酢酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ミリスチン酸又はパルミチン酸と反応して各エステル化合物を製造した。各エステル化合物の融点及び結晶形態を表1に示した。各エステル化合物の融点が大きく変化することが分かった。
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