JP2003191064A - 成型用金型の段替え装置 - Google Patents

成型用金型の段替え装置

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JP2003191064A JP2001394719A JP2001394719A JP2003191064A JP 2003191064 A JP2003191064 A JP 2003191064A JP 2001394719 A JP2001394719 A JP 2001394719A JP 2001394719 A JP2001394719 A JP 2001394719A JP 2003191064 A JP2003191064 A JP 2003191064A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 様々な成形用金型において、より効率的な段
替え作業を実現し、金型の段替え作業に要する時間を短
縮化して、成形機の可動率を向上させる。 【解決手段】 成形用金型の汎用部Mに対し自動的に着
脱される専用部Nを、段替え装置200の送り手段201によ
って、汎用部Mから引き出し、汎用部Mへと押し込む作
業を行うことで、段替え作業を効率的に行うことができ
る。しかも、当該段替え作業において送り手段201が扱
うべき対象は、成形用金型のうち専用部Nのみであり、
金型全体を段替えする場合に比して、小型かつ軽量のも
のを段替えの対象とすることとなることから、段替え装
置200の構造の簡略化が容易となり、かつ、高速での動
作が可能となる。よって、段替え装置の簡略化と、段替
え作業の高速化を促進することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形機に対する金
型の段替えを迅速に行うための、金型の自動段替え装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シリンダブロックのような大型で
複雑構造のダイカスト品を得ようとする場合は、その金
型はスライドを必要とするため、金型全体が大重量(一
例として、196kN…20トン程度)でかつ大寸法(一例
として、2m程度)となり、成形機からの取外しがきわ
めて面倒になるばかりか、固定部と可動部と接続するタ
イバーの抜き差しも必要となり、段替え時間の短縮効果
はきわめて小さい、という問題があった。さらに、金型
冷却水のホースや、作動制御用のケーブルを金型に対し
着脱する作業等の、一部の作業は手作業で行われている
等、段替え装置によって作業と手作業とが混在してい
た。しかも、手作業時には、段替え装置の電源を一時的
に完全に落す必要がある等、その段替え作業を安全に行
うために、その作業手順は慎重を期すものとなってい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そのような作業手順
は、当然に多くの時間を必要とし、成形機の可動率を低
下させる原因となっていた。しかも、修繕が必要とされ
る部分は、金型全体のうち製品面を構成する部分のみで
あることが多く、かかる修繕自体は比較的短時間で終了
するにもかかわらず、金型全体を成形機から取り外す作
業に多くの時間を要することから、修繕作業の効率を低
下させる大きな原因となっていた。なお、特開平6−1
90531号公報に記載のものでは、汎用部を成形機に
残したまま、専用部の一部(中子)のみを交換すること
を行っているが、そこでは、専用部をボルトで締結する
方式を採用しているため、スペースの限られた成形機内
で締結作業を行わなければならず、作業性の悪化や不安
全作業が避けられない。また、専用部の前面からのボル
ト締結となるため、前面がキャビティ形成面となる専用
部には適用できず、その適用範囲は限られたものとな
る。上記の課題は、ダイカスト用金型の段替え作業に止
まらず、他の様々な鋳造法に係る金型や、樹脂成形用金
型にも共通の課題であり、より効率的な段替え作業を実
現することが、従来から望まれていたものである。
【0004】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、様々な成形用金型にお
いて、より効率的な段替え作業を実現し、金型の段替え
作業に要する時間を短縮化して、成形機の可動率を向上
させ、製品コストの上昇を抑えることにある。特に本発
明は、型開き状態の成形機内で、前記専用部を前記汎用
部から離間した所定位置まで引き出し、かつ、該所定位
置にある前記専用部を前記汎用部内の所定位置へと押し
込む作業を、迅速・確実に行い、金型の段替え作業に要
する時間の短縮化を図ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、本発明の請求項1に係る成形用金型の段替え装置
は、共通化された汎用部とキャビティーを有する専用部
とからなり、前記専用部は、成形機に取付けられている
汎用部に対して着脱機構により自動的に着脱される成形
用金型の段替え装置であって、型開き状態の成形機内
で、前記専用部を前記汎用部から離間した所定位置まで
引き出し、かつ、該所定位置にある前記専用部を前記汎
用部内の所定位置へと押し込む送り手段を備えることを
特徴とするものである。本発明によれば、前記送り手段
によって、前記着脱機構により成形用金型の前記汎用部
に対し自動的に着脱される前記専用部を、前記汎用部か
ら引き出し、前記汎用部へと押し込む作業を行い、段替
え作業を効率的に行うことができる。しかも、当該段替
え作業において前記送り手段が扱うべき対象は、成形用
金型のうち前記専用部のみであり、金型全体を段替えす
る場合に比して、小型かつ軽量のものを段替えの対象と
することができる。
【0006】また、本発明の請求項2に係る成形用金型
の段替え装置は、請求項1記載の段替え装置において、
前記送り手段は、前記専用部に係合して移動する金型移
送手段と、前記専用部を所定の移動経路上に案内するガ
イド手段とを備えるものである。本発明によれば、前記
金型移送手段によって、型開き状態の成形機内における
前記専用部の引き出しおよび押し込みのための動力を前
記専用部に伝達し、前記ガイド手段によって、当該専用
部の引き出しおよび押し込み作業の際の前記専用部の正
確な移動案内を行うことができる。
【0007】また、本発明の請求項3に係る成形用金型
の段替え装置は、請求項2記載の段替え装置において、
前記金型移送手段は、型の開閉方向若しくは型の開閉方
向に対し所定の角度をもって移動する移動体としたもの
である。本発明によれば、前記移動体によって、前記汎
用部に対する前記専用部の引き出しおよび押し込み作業
を、型の開閉方向に行うことができる。すなわち、成形
機を型開き状態とし、型開きによって形成された空間を
利用して、前記専用部の段替えを行うものである。ま
た、前記移動体を、型の開閉方向に対し所定の角度をも
って移動するものとした場合には、前記汎用部に対する
前記専用部の引き出し方向も、型の開閉方向に対し所定
の角度をもつように構成されるが、この場合には、前記
専用部の段替えに際し、型の開閉に引きずられて、前記
専用部が前記汎用部から不用意に引き出されることを防
止することができる。
【0008】また、本発明の請求項4に係る成形用金型
の段替え装置は、請求項3記載の段替え装置において、
前記移動体は、前記専用部に対し自動着脱可能なクラン
プ機構を備えるものである。本発明によれば、前記移動
体がクランプ機構によって前記専用部に対し自動着脱す
ることにより、前記汎用部に対する前記専用部の引き出
しおよび押し込み作業の自動化を促進することができ
る。
【0009】また、本発明の請求項5に係る成形用金型
の段替え装置は、請求項2から4のいずれか1項記載の
段替え装置において、前記ガイド手段は、前記専用部の
移動経路側方のガイドローラと移動経路下方のガイドロ
ーラとを備えるものである。本発明によれば、前記移動
経路側方のガイドローラによって、前記専用部の水平方
向の位置精度を保証し、前記移動経路下方のガイドロー
ラによって、前記専用部の上下方向の位置精度を保証す
ることができる。
【0010】また、本発明の請求項6に係る成形用金型
の段替え装置は、請求項2から5のいずれか1項記載の
段替え装置において、前記ガイド手段は、前記専用部側
に設けた、前記専用部を前記汎用部へと押し込む際の両
者の間隙保持手段を含むものである。本発明によれば、
前記間隙保持手段によって、前記専用部を前記汎用部へ
と押し込む際の両者の間に、かかる作業を可能とするた
めの、所定の間隙を確保することができる。
【0011】また、本発明の請求項7に係る成形用金型
の段替え装置は、請求項6記載の段替え装置において、
前記間隙保持手段は、前記汎用部の専用部取り付け凹部
に弾発付勢される転動ベアリングとしたものである。本
発明によれば、前記間隙保持手段としての転動ベアリン
グにより、前記汎用部に対し前記専用部を押し込む際
の、前記汎用部と前記専用部との擦れを防ぎ、押し込み
作業を正確に行うことができる。
【0012】また、本発明の請求項8に係る成形用金型
の段替え装置は、請求項2から7のいずれか1項記載の
段替え装置において、前記送り手段は、前記金型移送手
段と前記ガイド手段とを前記汎用部に対する所定位置に
固定する位置決め手段を備えるものである。本発明によ
れば、前記位置決め手段によって、前記金型移送手段と
前記ガイド手段とを前記汎用部に対する所定位置に固定
することで、前記汎用部に対する前記専用部の引き出し
および押し込み作業を正確に行うことができる。
【0013】また、本発明の請求項9に係る成形用金型
の段替え装置は、請求項8記載の段替え装置において、
前記位置決め手段は、前記汎用部に形成した穴に係合す
る伸縮自在なピンを用いている。本発明によれば、必要
に応じて前記ピンを伸ばし、前記汎用部に形成した穴に
係合させることで、前記金型移送手段と前記ガイド手段
とを前記汎用部に対する所定位置に固定することができ
る。
【0014】また、本発明の請求項10に係る成形用金
型の段替え装置は、請求項1から9のいずれか1項記載
の段替え装置において、前記送り手段は、成形機外と成
形機内との間を移動可能な搬送手段の上に設けられてい
る。本発明によれば、前記送り手段によって、型開き状
態の成形機内で、前記汎用部から離間させて所定位置ま
で引き出した前記専用部を、前記搬送手段によって、成
形機外へと搬送する。また、該搬送手段によって成形機
外から成形機内の所定位置へと別の専用部を搬入し、前
記送り手段によって、該所定位置にある前記専用部を前
記汎用部内の所定位置へと押し込むことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分
および相当する部分については同一符号で示し、詳しい
説明は省略する。
【0016】図1には、本発明の実施の形態に係る段替
え装置200を備えるダイカストマシン1の全体図を示し
ている。ここで、まず最初に、ダイカストマシン1の構
造について簡単に説明する。ダイカストマシン1は、固
定型11を取付けるための固定プラテン2と、可動型12を
取付けるための可動プラテン3とを有している。可動プ
ラテン3は、架台4上の一端部に配置された固定プラテ
ン2と架台4上の他端部に配置された固定台5との間に
架橋した、極めて高い剛性を有する4本のタイバー6に
摺動案内されて、固定プラテン2に対し離間・接近す
る。
【0017】そして、可動プラテン3を固定プテン2に
接近させることにより、可動型12を固定型11に密着させ
て型閉じ状態とすることができ、反対に、可動プラテン
3を固定プラテンから離間させることにより、可動型12
を固定型11から離間させて型開き状態とすることができ
る。可動プラテン3の駆動は、前記固定台5に設けた型
締シリンダ7により行われる。なお、図1中、符号8
は、固定プラテン2の背面側に設けられた、金型内に溶
湯を射出するための射出シリンダーである。
【0018】固定型11および可動型12は、いずれも、共
通化された汎用部Mとキャビティーを有する専用部Nと
に分割されている。より詳しくは、固定型11は、汎用部
Mとしての固定側主型15と専用部Nとしての固定側入子
16とを有し、可動型12は、汎用部Mとしての可動側主型
17と専用部Nとしての可動側入子18とを有している。そ
して、固定側入子16および可動側入子18は、いずれも、
固定側主型15、可動側主型17をダイカストマシン1に取
付けた状態で、後述の着脱機構により、自動的に着脱す
ることができる。
【0019】さて、本発明の実施の形態に係る段替え装
置200は、送り手段201と、搬送手段251とを備えてい
る。送り手段201は、型開き状態の成形機内で、一体化
した固定側入子16および可動側入子18(以下、「専用部
集合体16、18」ともいう。)を、固定側主型15および可
動側主型17から離間した所定位置まで引き出し、かつ、
該所定位置にある専用部集合体16、18を、可動側主型17
内の所定位置へと押し込む機能を有している。一方、搬
送手段251は、固定側主型15および可動側主型17から、
所定位置へと引き出した専用部集合体16、18を、ダイカ
ストマシン1の内外間で移動させる機能を有している。
以下、送り手段201および搬送手段251の構造について説
明する。
【0020】図2には、段替え装置200の要部平面図を
示している。また、図3には、図2に示す段替え装置20
0の、送り手段201を拡大して示している。さらに、図4
には図2の矢視I図を、図5には図2の矢視II図を、図
6には図2の矢視III図を、夫々示している。
【0021】段替え装置200は、図2において左側にダ
イカストマシン1が位置し、図2の上方にダイカストマ
シン1の固定プラテン2が、図2の下方にダイカストマ
シン1の可動プラテン3が位置して、金型の開閉方向と
直交する向きに配置されるものである。そして、送り手
段201は、搬送手段251の上に、積層するようにして設け
られている。
【0022】より具体的には、送り手段201は、金型の
開閉方向と直交する方向にシフト可能なテーブル202
(以下、「シフトテーブル202」という。)を基台と
し、専用部集合体16、18に係合して移動する金型移送手
段203と、専用部集合体16、18を所定の移動経路上に案
内するガイド手段204とを備えている。そして、送り手
段201は、専用部集合体16、18を載置するための載置部
としても機能するものである。さらに、送り手段201
は、金型移送手段203およびガイド手段204を、型開き状
態にある固定側主型15、可動側主型17に対する所定位置
に固定するための、位置決め手段205を備えている。
【0023】金型移送手段203は、図6に示すように、
可動側入子18に対し自動着脱可能なボールロック機構20
6を備えている。このボールロック機構206は、水平に延
びるアームを含む移動体207に支持されている。また、
移動体207は、型の開閉方向へと移動することができる
ようにボールネジ機構208によって駆動され、かつ、図
5に示すように、ガイドレール209によって案内される
構造を有している。したがって、ボールロック機構206
を可動側入子18に係合させ、移動体207を移動させるこ
とにより、専用部集合体16、18を、型の開閉方向へと押
し出し、または、引き込むことが可能となる。
【0024】ガイド手段204は、専用部集合体16、18を
型の開閉方向へと押し出し、または、引き込む際の、移
動経路側方に位置するガイドローラ210と、移動経路下
方に位置するガイドローラ211とを有している。したが
って、専用部集合体16、18は、金型移送手段203によっ
て移動する際に、ガイドローラ210、211により、所定の
移動係路上に正確に案内されることとなる。
【0025】また、ガイド手段204は、専用部集合体1
6、18を可動側主型17へと押し込む際の、可動側入子18
と可動側主型17との間隙保持手段を備えている。かかる
間隔保持手段は、可動側入子18に設けられ、可動側主型
17の専用部取付け用の凹部25に弾発付勢される、転動ベ
アリング212(図7参照)および転動ベアリング213(図
8参照)によって構成されている。そして、図7、図8
に示すように、可動側入子18を可動側主型17へと押し込
む際には、可動側入子18の、可動側主型17の凹部25へと
進入した部分がガイドローラ210、211による案内を受け
られなくなる代わりに、転動ベアリング212、213が可動
側入子18と可動側主型17の凹部25との間隔を適切な距離
Y、Zに保持して、専用部集合体16、18を凹部25へと円
滑に押し込むことが可能となる。
【0026】また、位置決め手段205は、図9、図10に
示すように、固定側主型15、可動側主型17に形成した穴
51、52に係合する、ピン214、215を有している。この、
ピン214、215は、シフトテーブル202に固定された油圧
またはエア駆動のシリンダ216、217によって、伸縮自在
に制御されるものである。そして、ピン214、215を穴5
1、52に係合させることにより、固定側主型15および可
動側主型17に対する、シフトテーブル202の位置合わせ
を正確に行い、シフトテーブル202上に設けられた金型
移送手段203およびガイド手段204(図6参照)を、固定
側主型15および可動側主型17に対し正確に位置決めし
て、専用部集合体16、18の段替えを、円滑に行うことを
可能とするものである。なお、本発明の実施の形態で
は、金型移送手段203、ガイド手段204共に、専用部集合
体16、18を凹部25から引き出し、押し込む方向が、型の
開閉方向となるように構成されているが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、型の開閉方向に対し所定の
角度をもって移動するように構成しても良い。かかる角
度は、型の開閉方向に対し5°以内の範囲で設定するこ
とが好ましい。
【0027】一方、搬送手段251は、図2に示すよう
に、ベースプレート253を備えている。このベースプレ
ート253は、図1に示す汎用部段替え用ローラー301、30
2、303、304の上を移動可能な形状を有している。そし
て、送り手段201の複数(図示の例では2つ)のシフト
テーブル202は、連結プレート252によって一体に連結さ
れ、ベースプレート253上を、金型の開閉方向と直交す
る方向へと、一体に移動するものである。汎用部段替え
用ローラー301、302、303および304は、夫々駆動ローラ
であり、それらの上に載置されたベースプレート253
を、型の開閉方向と直交する方向へと移送することが可
能である。
【0028】ところで、汎用部段替え用ローラー301、3
02は、汎用部を複数載置して移動することが可能な搬送
台車300上に設けられており、汎用部段替え用ローラー3
03、304は、搬送台車300とダイカストマシン1との間に
設けられた中継台400上に設けられている。また、汎用
部段替え用ローラー303、304は、図9、図10に模式的に
示すように、その一部がダイカストマシン内部にまで連
続し、機内ローラーを構成している。そして、汎用部段
替え用ローラー301と302、303と304は、汎用部の段替え
を可能とするため、所定の間隔に配置されている。そし
て、搬送台車300および中継台400は、いずれも、従来か
ら金型の段替え設備として、ダイカストマシン1に付随
して設けられているものである。また、発明の実施の形
態では、汎用部段替え用ローラー301、302、303および3
04は、型の開閉方向と直交する方向に設けられている。
すなわち、これらのローラは、ベースプレート253を型
の開閉方向と直交する方向へと送るように構成されてい
る。しかしながら、本発明は、かかる方向に限定される
ものではなく、型の開閉方向に対し鈍角または鋭角にベ
ースプレート253を送るように構成することも可能であ
る。そして、このように構成することで、ダイカストマ
シン1の側方の空間を空け、かかる空間を有効活用する
ことが可能となる。
【0029】搬送手段251の、ベースプレート253の奥行
寸法(図2の左右方向の寸法)は、一体に連結された複
数のシフトテーブル202よりも長尺に構成されており、
複数のシフトテーブル202のいずれもが、ベースプレー
ト253の端部近傍からその中央部へと移動することが可
能である。また、ベースプレート253の幅寸法(図2の
上下方向の寸法)は、汎用部段替え用ローラー301およ
び302、303および304の上に跨り、搬送され得るだけの
幅を有している。また、ベースプレート253の、ダイカ
ストマシン1の内部へと進入する部分には、固定プラテ
ン2に取付けられた固定側主型15との干渉を避けるため
の切り欠き部254と、可動プラテン3に取り付けられた
可動側主型17との干渉を避けるための切り欠き部255と
が形成されている。なおかつ、ベースプレート253は、
金型の段替え時に、従来必要不可欠であったタイバー6
の抜き差しを不用とするため、積極的に薄型の構造を採
用している。なお、図4〜図6には、ベースプレート25
3とタイバー6との隙間は明確に示されていないが、実
際は、ベースプレート253とタイバー6との間には、接
触防止のための僅かな隙間が設けられており、かかる隙
間を図9、図10に誇張して示している。また、ベースプ
レート253の積極的な薄型化により、ベースプレート253
には若干のたわみを生ずるが、かかるたわみの発生によ
る不具合は、後述のジャッキ258によって解消すること
ができる。
【0030】また、ベースプレート253には、一体に連
結された複数のシフトテーブル202を、金型の開閉方向
と直交する方向へと移動させるシフト手段を設けてい
る。このシフト手段は、ベースプレート253の奥行のほ
ぼ全体に渡って敷設されたガイドレール256と、ガイド
レール256の全体に渡ってシフトテーブル202を移動させ
ることが可能なストロークを有する、シリンダー257と
を備えている。
【0031】したがって、一方のシフトテーブル202上
に、新たにマシンへと取付ける専用部集合体16、18(以
下、「新入子」ともいう。)を載置して、ベースプレー
ト253をダイカストマシン1の内部に進入させ、他方の
シフトテーブル202上に、マシンから取り外した専用部
集合体16、18(以下、「旧入子」ともいう。)を載置
し、ベースプレート253上でシフトテーブル202を移動さ
せることにより、新・旧入子を短時間で交換することが
できる。なお、型の開閉方向に対し鈍角または鋭角にベ
ースプレート253を送るように構成した場合には、シフ
トテーブル202のシフト方向も、型の開閉方向に対し鈍
角または鋭角となるので、ダイカストマシン1の側方の
空間を空け、かかる空間を有効活用することが可能とな
る。
【0032】また、ベースプレート253は、必要時に成
形機の剛性部に当接して、ベースプレート253を下方か
ら支える支持手段として、ジャッキ258を備えている。
ジャッキ258は、図6、図9、図10に示すように、ベー
スプレート253が、ダイカストマシン1の内部に進入し
た状態で、ダイカストマシン1のタイバー6上に接地す
ることにより、ベースプレート253を下方から支え、そ
のたわみを矯正するものである。そして、ベースプレー
ト253のたわみを矯正することにより、ベースプレート2
53上のシフトテーブル202のたわみも矯正され、金型移
送手段203およびガイド手段204(図6参照)を、型開き
状態にある固定側主型15、可動側主型17に対する所定位
置に固定することが可能となる。
【0033】ここで、送り手段201と搬送手段251とを備
える段替え装置200を用い、専用部集合体16、18の段替
えを行う手順を説明し、これと合せて、各部の詳細な構
造・機能の説明を付け加える。
【0034】まず、段替え装置200により可動側入子16
および固定側入子18の段替えを行う準備段階として、図
1に示すように、搬送手段251のベースプレート253を、
搬送台車300および中継台400の、汎用部段替え用ローラ
ー301、302、303および304上に位置させる。そして、送
り装置201の2つのシフトテーブル202(図2)のうち、
一方は、マシンから取り外す専用部集合体16、18(旧入
子)を載置するために空荷状態とし、他方のシフトテー
ブル上には、新たにマシンへと取付ける専用部集合体1
6、18(新入子)を、予め載置しておく。
【0035】また、図15に示すように、予め可動側主型
17に固定された可動側入子18に対し固定側入子16を一体
化し(後述する手順による)、固定側主型15と可動側主
型17を型開き状態とする。このとき、可動側入子18は、
可動側主型17に設けた凹部25の凹部底に密着するよう
に、着脱機構によって固定されている。
【0036】かかる着脱機構は、可動側主型17側から伸
ばしたT字クランパー34を、固定側入子18の背面部に設
けたT字スロット36に合せてその内部に挿入し、T字ク
ランパー34を回転させることにより、T字スロット36か
ら引き抜き不能とするものである。かかる引き抜き不能
状態で、T字クランパー34を縮めることにより、専用部
集合体16、18を可動側主型17の凹部25内に引き込み、可
動側入子18を凹部25の凹部底に密着させることが可能で
ある。
【0037】さて、図15に示す状態において、汎用部段
替え用ローラー301、302、303および304(図1)を駆動
し、搬送手段251のベースプレート253を、ダイカストマ
シン1の内部へと進入させる。このとき、図9に示すよ
うに、ベースプレート253は、自重によって若干のたわ
みを生ずる。
【0038】ベースプレート253にたわみを生じた状態
では、ベースプレート253上のシフトテーブル202にもた
わみを誘発し、シフトテーブル上に設けられた金型移送
手段203およびガイド手段204を、型開き状態にある固定
側主型15、可動側主型17に対する所定位置に固定するこ
とが不可能となる。そこで、図10に示すように、ジャッ
キ258をタイバー6上に接地させ、ベースプレート253を
下方から支えることで、そのたわみを矯正することがで
きる。
【0039】ベースプレート253のたわみを矯正した
後、空荷のシフトテーブル202に設けられた、位置決め
手段205のピン214、215を、固定側主型15、可動側主型1
7に形成した穴51、52に係合させ、固定側主型15および
可動側主型17に対する空荷のシフトテーブル202の位置
合わせを、正確に行う。かかる位置合わせによって、シ
フトテーブル202上に設けられた金型移送手段203および
ガイド手段204(図6参照)を、固定側主型15および可
動側主型17に対し正確に位置決めして、専用部集合体1
6、18の受入れを円滑に行うことを可能とする。
【0040】次に、準備段階として説明した図15の状態
から、図14に示すようにT字クランパー34を伸長させ、
T字クランパー34を伸長させた分だけ、可動側主型17の
凹部25から、専用部集合体16、18を押し出す。そして、
可動側主型17内の所定位置へと専用部集合体16、18を移
動させる。また、T字クランパー34のクランプ用シリン
ダの流体圧を開放して後、T字クランパー34を、T字ス
ロット36から引き抜き可能な角度へと回転させる。
【0041】ここで、金型移送手段203の移動体207を、
ボールネジ機構208によって駆動して可動側入子18に接
近させ、ボールロック機構206を可動側入子18に連結す
る。なお、ボールネジ機構208は、図4に示すように、
ボールネジ軸の端部に固定された従動プーリー224と、
電動モータの回転軸に固定された駆動プーリー225との
間に掛け回したベルト226により、動力供給を受けるも
のである。
【0042】また、ボールロック機構206は、図12に示
すように、油圧またはエア駆動のシリンダ218の、ピス
トンロッド219に大径部220を形成し、ガイドスリーブ22
1に形成した開口222に大径部220が位置するとき、ボー
ル223を開口222からガイドスリーブ221の外側へと突出
する構造を有している。そして、ガイドスリーブ221の
外側へと突出したボール223を、可動側入子18に設けた
ガイドスリーブ受入穴53の凹部54に嵌入させることによ
り、ボールロック機構206を可動側入子18に連結するこ
とができる。一方、ピストンロッド219を後退させて、
その大径部220を開口222から外れる位置へと移動させる
ことで、ボール223はガイドスリーブ221の内部へと格納
され、ボールロック機構206と可動側入子18との連結は
解除される。なお、ボールロック機構206を構成するシ
リンダ218は、わずかに軸方向へとフローティングでき
るように、移動体207に装着されており、ボールロック
機構206と可動側入子18に設けたガイドスリーブ受入穴5
3との結合の確実性を確保している。
【0043】そして、図14に示すようにボールロック機
構206を可動側入子18に連結した後、ボールネジ機構208
によって、移動体207を可動側主型17から離間する方向
へと移動させることで、図13に示すように、専用部集合
体16、18を可動側主型17の凹部25から引き出すことがで
きる。このとき、T字クランパー34をさらに伸長させて
可動側入子18を押し出すことにより、専用部集合体16、
18の移動を補助することができる。また、可動側入子18
は、移動経路側方に位置するガイドローラ210と、移動
経路下方に位置するガイドローラ211とにより、所定の
移動係路上に正確に案内され、空荷のシフトテーブル20
2上へと正確に移送される。図6は、この時点における
段替え装置200の状態を示している。
【0044】次に、図10の状態にある位置決め手段205
のピン214、215と、固定側主型15、可動側主型17に形成
した穴51、52との係合を解除し、続いて、タイバー6上
に接地させていたジャッキ258を格納し(図9)、シリ
ンダー257(図4〜図6)によってシフトテーブル202を
駆動して、ベースプレート253のガイドレール256に沿っ
てシフトテーブル202を移動させる。そして、固定側主
型15および可動側主型17に対し専用部集合体16、18を着
脱する際の、移動係路上から、旧入子を外し、代りに新
入子を配置する。このとき、シフトテーブル202は、ベ
ースプレート253上の限られた距離を移動するのみであ
ることから(図2参照)、新・旧入子の交換を、極めて
短時間で完了することができる。
【0045】そして、再び、ベースプレート253に設け
たジャッキ258を、タイバー6上に接地させ、ベースプ
レート253を下方から支えると共に、位置決め手段205の
ピン214、215を、固定側主型15、可動側主型17に形成し
た穴51、52に係合させ(図10)、固定側主型15および可
動側主型17に対する、新入子を載置したシフトテーブル
202の位置合わせを正確に行う。この時点においても、
段替え装置200の各部は、図6および図13に示す状態と
なっている。なお、新入子は、機外でシフトテーブル20
2上に載置される際に、ボールロック機構206を可動側入
子18に連結されることで、シフトテーブル202上での位
置を固定し、移動時の位置ズレが防止される。
【0046】続いて、図13に示す状態から、ボールネジ
機構208を駆動して、移動体207を可動側主型17に接近す
る方向へと移動させることにより、図14に示すように、
専用部集合体16、18を、可動側主型17の凹部25内の所定
位置へと押し込むことができる。当該所定位置では、可
動側主型17側からT字クランパー34が伸びて待機してお
り、T字クランパー34は、固定側入子18の背面部に設け
たT字スロット36に係合する。
【0047】しかも、専用部集合体16、18を可動側主型
17へと押し込む際に、可動側入子18の、可動側主型17の
凹部25へと進入した部分は、図7、図8に示すように、
ガイドローラ210、211による案内を受けられなくなる代
わりに、転動ベアリング212、213が可動側入子18と可動
側主型17の凹部25との間隔を適切な距離Y、Zに保持す
るので、可動側入子18を凹部25へと円滑に押し込むこと
が可能となる。
【0048】ところで、転動ベアリング212、213は、図
11に拡大して示すように、可動側入子18に埋めこまれた
ケース227に、スプリング228と共にボール229を圧入
し、かつ、ボール229の飛び出しをストッパー230で係止
したものである。したがって、ボール229が可動側主型1
7の凹部25の壁面に当接すると、ボール229は回転しなが
ら、スプリング228を圧縮し、スプリング228の反発力を
利用して、可動側入子18と可動側主型17の凹部25との間
隔を適切な距離Y、Z(図7、図8)に保持するもので
ある。
【0049】そして、図14に示す状態において、ボール
ロック機構206を可動側入子18から切り離し、ボールネ
ジ機構208によって、移動体207を可動側入子18から離間
させる。これと共に、可動側主型17側から伸ばしたT字
クランパー34を回転させ、T字スロット36から引き抜き
不能とした後、T字クランパー34を、可動側入子18を可
動側主型17の凹部25内に引き込むことで、図15に示す状
態となる。
【0050】そして、新入子を可動側主型17に移送した
ことにより空荷状態となったシフトテーブル202は、位
置決め手段205のピン214、215と、固定側主型15、可動
側主型17に形成した穴51、52との係合を解除し、続い
て、タイバー6上に接地させていたジャッキ258を格納
して(図9)、旧入子を載置したシフトテーブル202と
一体に、ベースプレート253上の初期位置へと復帰す
る。さらに、汎用部段替え用ローラー301、302、303お
よび304(図1)を駆動し、搬送手段251のベースプレー
ト253を、ダイカストマシン1の内部から、搬送台車300
および中継台400上に復帰させる。
【0051】以上により、送り手段201と搬送手段251と
を備える段替え装置200を用い、専用部集合体16、18の
段替えを行う手順を完了する。
【0052】次に、固定型11および可動型12の、固定側
入子16および可動側入子18を、固定側主型15、可動側主
型17をダイカストマシン1に取付けた状態で、自動的に
着脱するための着脱機構について、説明する。
【0053】図16〜図18は、本発明の1つの実施の形態
である成形用金型の全体的構造を示したものである。本
実施の形態は、横型ダイカストマシン(成形機)に装備
されるダイカスト用鋳造金型として構成されており、前
述のごとく、図1に示すダイカストマシン(以下、単に
マシンという)1の固定プラテン2に取付けられる固定
型11と、マシン1の可動プラテン3に取付けられる可動
型12と、可動型12に付設された押出手段13および複数基
(4基)のスライド14とから概略構成されている。
【0054】上記した固定型11、可動型12、押出手段13
およびスライド14のそれぞれは、前述のごとく、共通化
された汎用部Mとキャビティを形成する専用部Nとに分
割されている。より詳しくは、固定型11は、汎用部Mと
しての固定側主型15と専用部Nとしての固定側入子16と
から、可動型12は、汎用部Mとしての可動側主型17と専
用部Nとしての可動側入子18とから、押出手段13は、汎
用部Mとしての押出ロッド19と専用部Nとしての、押出
ピン20を植設してなる押出板21とから、スライド14は、
汎用部Mとしてのスライドホルダ22と専用部Nとしての
スライドコア23とからそれぞれ構成されている。また、
これら専用部Nは、対応する汎用部Mに対して脱着機構
Oにより自動的に脱着されると共に、専用部N同士は、
連結機構Pにより自動的に一体化されるようになってい
る。
【0055】上記固定型11および可動型12のそれぞれ
は、その固定側主型15,可動側主型17に設けた凹部24,
25にその固定側入子16,可動側入子18を嵌合させ、この
状態で前記凹部24,25の底部と固定側入子16,可動側入
子18の背面部との間に設けた脱着機構Oにより固定側入
子16,可動側入子18を各固定側主型15,可動側主型17に
対して脱着する構造となっている。
【0056】固定側入子16,可動側入子18を固定側主型
15,可動側主型17に脱着する脱着機構Oは、ここではク
ランプ装置31、32からなっており、クランプ装置31、32
は、固定側主型15,可動側主型17側から延ばしたT字ク
ランパー33,34を固定側入子16,可動側入子18の背面部
に設けたT字スロット35、36に係入させて、該固定側入
子16,可動側入子18を固定側主型15,可動側主型17の凹
部24,25内に引込む構造となっている。このT字クラン
パー33,34を駆動する駆動手段37、38は、T字クランパ
ー33,34を軸方向移動させるシリンダ(引込シリンダ)
とT字クランパー33,34を回転させる回動機構とからな
っており、これら引込シリンダおよび回動機構は、対応
する固定側主型15,可動側主型17に内蔵されている。
【0057】固定側入子16と可動側入子18とを連結する
連結機構Pは、前述のボールロック機構206(図12参
照)と類似の構造を用いることが可能であり、詳しい説
明を省略する。上記押出手段13は、その専用部Nとして
の押出板21が、可動型12の汎用部Mである可動側主型17
と可動側入子18との間に配置されている。可動側主型17
の凹部25の底部にはその背面側まで貫通するガイド孔71
が形成されており、押出板21は、可動側主型17に可動側
入子18を装着した状態においてこのガイド孔71内に納め
られるようになっている。
【0058】スライド14の専用部Nとしてのスライドコ
ア23は、図19および図20に示されるように、可動側入子
18に放射状に形成された幅広の収納溝101内に挿入され
ている。各スライドコア23の背面には、バックプレート
102が固定されており、スライドコア23は、そのバック
プレート102を可動側入子18の収納溝101の入口側側縁に
設けた段部103に着座させる位置が、可動側入子18に対
する挿入端となっている。そして、この可動側入子18に
対するスライドコア23の挿入端において、各スライドコ
ア23の先端部のテーパ面23aはほぼ密着する状態に合わ
され、これにより可動側入子18の凸状の成形部18aの周
りには環状のキャビティ100が形成されるようになる。
【0059】上記スライド14の汎用部であるスライドホ
ルダ22は、図16〜図18に示されるように、可動プラテン
3の前面に型開閉方向に対して交差する方向へ移動可能
に配設されている。このスライドホルダ22とスライドコ
ア23とを脱着する脱着機構Oは、図16に示すように、各
スライドホルダ22内を挿通させたT字クランパー105を
スライドコア23の背面部(バックプレート102を含む)
に設けたT字スロット106に係入させるクランプ装置104
からなっている。クランプ装置104は、ここでは、その
T字クランパー105の駆動手動として既存のスライド駆
動用シリンダ107(図16〜図18参照)を共用している。
このシリンダ107は、可動側主型17にブラケット108を介
して固設されており、前記T字クランパー105は、この
シリンダ107のピストンロッドに同軸に連結されてい
る。クランプ装置104はまた、そのT字クランパー105の
回転用として、前記可動側主型17に内蔵した、T字クラ
ンパー34を駆動する駆動手段38の回動機構と、基本的に
同一の構造を有する回動機構を有している。
【0060】上記したクランプ装置104を構成するT字
クランパー105は、スライド駆動用シリンダ107のピスト
ンロッドの伸長に応じて、スライドホルダ22と一体に可
動側入子18側へ前進し、T字スロット106に挿入され
る。そして、クランプ装置104は、そのT字クランパー1
05のヘッド部をT字スロット106に挿入させた後、T字
クランパー105を90度回転させ、さらに、シリンダ107
のピストンロッド109を短縮させることにより、スライ
ドホルダ22とスライドコア23との連結は完了する。
【0061】一方、上記各スライドコア23と固定側入子
16との合せ部には、図20に示すように、専用部N同士を
脱着可能に連結する連結機構Pとしての凹凸嵌合手段11
5が設けられている。この凹凸嵌合手段115は、スライド
コア23の側面にボルト116を用いて固定された凸部材117
と固定側入子16の端面に形成された嵌合穴118とからな
っている。凸部材117と嵌合穴118とはテーパ嵌合するよ
うに相互にテーパ形状に形成されており、両者は固定型
11と可動型12との型閉じに応じて自動的にかつ円滑に嵌
合するようになっている。
【0062】固定側入子16と可動主型入子18とは、前記
したように連結機構Pとしてのボールロック機構61によ
り型閉じの状態に連結一体化されるようになっており、
したがって、スライドコア23は、この連結一体化された
固定側入子16と可動側入子18との間に、凹凸嵌合手段11
5により抜け不能に保持される。この場合、押出手段13
の専用部Nである押出板21も、可動側入子18に対して抜
け止めされているので、専用部Nとして構成した固定側
入子16、可動側入子18、スライドコア22および押出板21
の全ては、図18によく示されるように相互に型閉じの状
態(塊状態)に連結一体化される。すなわち、専用部N
は、塊状態として汎用部Mから取外すことができるよう
になる。
【0063】可動側主型17に固定された可動側入子18に
対し固定側入子16を一体化する際には、固定型11に対す
る可動型12の開閉動作を利用する。具体的には、図16に
示す型開き状態から、図17に示す型締め状態とすること
により、固定側入子16と可動側入子18とが密着するの
で、この時点でボールロック機構61(図16)により型閉
じの状態に連結一体化する。そして、クランプ装置31に
よる固定側主型15と固定側入子16との連結を解き、型開
きを行うことにより、図15に示すように、可動側主型17
に固定された可動側入子18に対し固定側入子16を一体化
した状態で、固定側主型15と可動側主型17を型開き状態
とすることができる。よって、段替え装置200により専
用部集合体16、18の段替えを行う準備を完了して、前述
の手順により新・旧入子の段替えを行うことが可能とな
る。
【0064】上記構成をなす本発明の実施の形態により
得られる作用効果は、以下の通りである。まず、本発明
の実施の形態では、段替え装置200の送り手段201によっ
て、脱着機構Oにより成形用金型の汎用部Mに対し自動
的に着脱される専用部Nを、汎用部Mから引き出し、汎
用部Mへと押し込む作業を行うことで、段替え作業を効
率的に行うことができる。しかも、当該段替え作業にお
いて送り手段201が扱うべき対象は、成形用金型のうち
専用部Nのみであり、金型全体を段替えする場合に比し
て、小型かつ軽量のものを段替えの対象とすることとな
ることから、段替え装置200の構造の簡略化が容易とな
り、かつ、高速での動作が可能となる。よって、段替え
装置の簡略化と、段替え作業の高速化を促進することが
できる。
【0065】また、金型移送手段203によって、型開き
状態のダイカストマシン内における専用部Nの引き出し
および押し込みのための動力を専用部Nに伝達し、ガイ
ド手段204によって、専用部Nの引き出しおよび押し込
み作業の際の、専用部Nの正確な移動案内を行うことが
できる。よって専用部Nの段替えを、円滑に行うことが
できる。また、移動体207によって、汎用部Mに対する
専用部Nの引き出しおよび押し込み作業を、型の開閉方
向に行うことができる。すなわち、ダイカストマシン1
を型開き状態とし、型開きによって形成された空間を利
用して、専用部Nの段替えを、円滑に行うことができ
る。なお、前記移動体を、型の開閉方向に対し所定の角
度をもって移動するものとすることも可能である。かか
る角度は、前述のごとく、型の開閉方向に対し5°以内
の範囲で設定することが好ましい。そして、かかる角度
設定をした場合には、汎用部Mに対する専用部Nの引き
出し方向も、型の開閉方向に対し所定の角度をもつよう
に構成される。この場合には、専用部Nの段替えに際
し、型の開閉に引きずられて、専用部Nが汎用部Mから
不用意に引き出されることを防止することができる。そ
の結果として、例えば、T字クランパー34(図16参照)
のクランプ用シリンダに不具合が生じて、T字クランパ
ー34の引き込み力が低下した場合でも、専用部Nが汎用
部Mから不用意に引き出されることを防止することがで
きるという利点がある。
【0066】また、移動体207がクランプ機構としての
ボールロック機構206によって専用部Nに対し自動着脱
することにより、汎用部Mに対する専用部Nの引き出し
および押し込み作業の自動化を促進することができる。
よって、専用部Nの段替えを、円滑に行うことができ
る。本発明の実施の形態では、クランプ機構の一例とし
て、ボールロック機構206を採用した場合を例示した
が、他のクランプ機構に置換えても、同様の作用効果を
得ることができる。また、段替え装置200が備える、移
動経路側方のガイドローラ210によって、専用部Nの水
平方向の位置精度を保証し、移動経路下方のガイドロー
ラ211によって、専用部Nの上下方向の位置精度を保証
し、汎用部Mに対する専用部Nの引き出しおよび押し込
み作業を正確に行うことができる。
【0067】また、専用部N側に設けた間隙保持手段に
よって、専用部Nを汎用部Mへと押し込む際の両者の間
に、所定の間隙を確保することができる。当該間隙保持
手段としては、転動ベアリング212、213を用いているこ
とから、専用部Nを汎用部Mへと押し込む際の両者の間
に、所定の間隙Y,Zを確保し、汎用部Mに対する専用
部Nの押し込み作業を正確に、かつ、汎用部Mと専用部
Nとの擦れを防ぎ、当該押し込み作業を円滑行うことが
できる。
【0068】さらに、位置決め手段205によって、金型
移送手段203とガイド手段204とを汎用部Mに対する所定
位置に固定することで、汎用部Mに対する専用部Nの引
き出しおよび押し込み作業を正確に行うことができる。
位置決め手段205は、汎用部Mに形成した穴51、52に係
合する伸縮自在なピン214,215であり、必要に応じてピ
ン214,215を伸ばし、汎用部Mに形成した穴51、52に係
合させることで、金型移送手段203とガイド手段204とを
汎用部Mに対する所定位置に固定し、汎用部Mに対する
専用部Nの引き出しおよび押し込み作業を、正確に行う
ことができる。
【0069】しかも、送り手段201は、ダイカストマシ
ンの内外間を移動可能な搬送手段251の上に設けられて
いるので、送り手段201によって、型開き状態のダイカ
ストマシン1の内部で、汎用部Mから離間させて所定位
置まで引き出した専用部Nを、搬送手段251によって、
ダイカストマシン1の外へと搬送することができる。ま
た、搬送手段251によってダイカストマシン1の外から
ダイカストマシン1内の所定位置へと、別の専用部Nを
搬入し、送り手段201によって、該所定位置にある専用
部Nを汎用部M内の所定位置へと押し込むことができ
る。
【0070】なお、本発明の実施の形態では、従来から
金型の段替え設備として、ダイカストマシン1に付随し
て設けられている、搬送台車300および中継台400を有効
活用するため、汎用部段替え用ローラー301、302、30
3、304の上を移動可能な形状を有する、ベースプレート
253上に段替え装置200の搬送手段251を構成し、更にそ
の上に送り手段201を積み重ねて配置する構成を採用し
た。しかしながら、搬送台車300および中継台400を用い
ることなく、送り手段201のシフトテーブル202自体を、
専用の送り機構によって型の開閉方向と交差する方向へ
と駆動する構成としても良い。
【0071】また、本発明の実施の形態では、固定側入
子16と可動側入子18とを一体化した後に、段替え装置20
0によって新・旧入子を段替えする場合を例示して説明
したが、例えば、可動側入子18のみ、段替え装置200を
用いて段替えすることも可能である。さらに、本発明の
実施の形態に係る段替え装置200は、ダイカストマシン
以外の成形機において、成形用金型の段替えに用いるこ
とも可能である。
【0072】
【発明の効果】本発明はこのように構成したので、様々
な成形用金型において、より効率的な段替え作業を実現
し、金型の段替え作業に要する時間を短縮化して、成形
機の可動率を向上させ、製品コストの上昇を抑えること
が可能となる。特に、本発明によれば、型開き状態の成
形機内で、前記専用部を前記汎用部から離間した所定位
置まで引き出し、かつ、該所定位置にある前記専用部を
前記汎用部内の所定位置へと押し込む作業を、迅速・確
実に行い、金型の段替え作業に要する時間の短縮化を図
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る段替え装置を備え
る、ダイカストマシンの全体図である。
【図2】図1に示す段替え装置の要部平面図である。
【図3】図2に示す段替え装置の、送り手段を示す拡大
図である。
【図4】図2に示す段替え装置の矢視I図である。
【図5】図2に示す段替え装置の矢視II図である。
【図6】図2に示す段替え装置の矢視III図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る段替え装置のガイド
手段を構成する、可動側入子に設けられた転動ベアリン
グの機能説明図である。
【図8】可動側入子に設けられた転動ベアリングの機能
説明図であり、図7とは別の方向から見たものである。
【図9】本発明の実施の形態に係る段替え装置の送り手
段に設けられた位置決め手段と、搬送手段に設けられた
支持手段とを示すものであり、位置決め手段および支持
手段の不作動状態を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る段替え装置の送り
手段に設けられた位置決め手段と、搬送手段に設けられ
た支持手段とを示すものであり、位置決め手段および支
持手段の作動状態を示す断面図である。
【図11】図7、図8に示す転動ベアリングの拡大断面
図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る段替え装置の、金
型移送手段のボールロック機構を示す拡大断面図であ
る。
【図13】本発明の実施の形態に係る段替え装置の、専
用部集合体の段替えを行う手順を示す説明図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る段替え装置の、専
用部集合体の段替えを行う手順を示す説明図であり、図
13に前後する状態を示すものである。
【図15】本発明の実施の形態に係る段替え装置の、専
用部集合体の段替えを行う手順を示す説明図であり、図
14に前後する状態を示すものである。
【図16】本発明の1つの実施の形態である成形用金型
の全体的構造を示したものであり、その型開き状態を示
す断面図である。
【図17】図16に示す成形用金型の型締め状態を示す
断面図である。
【図18】図16、図17に示す成形用金型の専用部
を、相互に型閉じの状態(塊状態)に連結一体化して、
汎用部から取外した状態を示す断面図である。
【図19】図16から図18に示す成形用金型の可動側
専用部を示す正面図である。
【図20】図16から図18に示す成形用金型の断面図
であって、スライドコアを一体に固定するための構造部
分を示すものである。
【符号の説明】
1 ダイカストマシン 6 タイバー 11 固定型 12 可動型 15 固定側主型 16 固定側入子 17 可動側主型 18 可動側入子 25 凹部(可動側主型) 31 クランプ装置 51、52 穴 53 ガイドスリーブ受入穴 54 凹部 61 ボールロック機構 100 キャビティ 101 収納溝 104 クランプ装置 105 T字クランパー 106 T字スロット 107 シリンダ 200 段替え装置 201 送り手段 202 シフトテーブル 203 金型移送手段 204 ガイド手段 205 位置決め手段 206 ボールロック機構 207 移動体 208 ボールネジ機構 209 ガイドレール 210 側方のガイドローラ 211 下方のガイドローラ 212、213 転動ベアリング 214、215 ピン 216、217 シリンダ 218 シリンダ 219 ピストンロッド 251 搬送手段 252 連結プレート 253 ベースプレート 254、255 切り欠き部 256 ガイドレール 257 シリンダー 258 ジャッキ 301、302、303、304 汎用部段替え用ローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22C 9/10 B22C 9/10 S B29C 33/30 B29C 33/30 Fターム(参考) 4E093 NA01 NA02 NB01 NB02 NB07 4F202 AM15 CA11 CB01 CK42 CR01 CR06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共通化された汎用部とキャビティーを有
    する専用部とからなり、前記専用部は、成形機に取付け
    られている汎用部に対して着脱機構により自動的に着脱
    される成形用金型の段替え装置であって、 型開き状態の成形機内で、前記専用部を前記汎用部から
    離間した所定位置まで引き出し、かつ、該所定位置にあ
    る前記専用部を前記汎用部内の所定位置へと押し込む送
    り手段を備えることを特徴とする段替え装置。
  2. 【請求項2】 前記送り手段は、前記専用部に係合して
    移動する金型移送手段と、前記専用部を所定の移動経路
    上に案内するガイド手段とを備えることを特徴とする請
    求項1記載の段替え装置。
  3. 【請求項3】 前記金型移送手段は、型の開閉方向若し
    くは型の開閉方向に対し所定の角度をもって移動する移
    動体であることを特徴とする請求項2記載の段替え装
    置。
  4. 【請求項4】 前記移動体は、前記専用部に対し自動着
    脱可能なクランプ機構を備えることを特徴とする請求項
    3記載の段替え装置。
  5. 【請求項5】 前記ガイド手段は、前記専用部の移動経
    路側方のガイドローラと移動経路下方のガイドローラと
    を備えることを特徴とする請求項2から4のいずれか1
    項記載の段替え装置。
  6. 【請求項6】 前記ガイド手段は、前記専用部側に設け
    た、前記専用部を前記汎用部へと押し込む際の両者の間
    隙保持手段を含むことを特徴とする請求項2から5のい
    ずれか1項記載の段替え装置。
  7. 【請求項7】 前記間隙保持手段は、前記汎用部の専用
    部取り付け凹部に弾発付勢される転動ベアリングである
    ことを特徴とする請求項6記載の段替え装置。
  8. 【請求項8】 前記送り手段は、前記金型移送手段と前
    記ガイド手段とを前記汎用部に対する所定位置に固定す
    る位置決め手段を備えることを特徴とする請求項2から
    7のいずれか1項記載の段替え装置。
  9. 【請求項9】 前記位置決め手段は、前記汎用部に形成
    した穴に係合する伸縮自在なピンであることを特徴とす
    る請求項8記載の段替え装置。
  10. 【請求項10】 前記送り手段は、成形機外と成形機内
    との間を移動可能な搬送手段の上に設けられていること
    を特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の段替
    え装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110561075A (zh) * 2019-09-24 2019-12-13 格力电器(武汉)有限公司 具有自动定位功能的镶件定位装置及装配装置
CN118358176A (zh) * 2024-06-19 2024-07-19 苏州信运比尔精密机械有限公司 匹克球热板焊接装置

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