JP2003189529A

JP2003189529A - キャンドモータ

Info

Publication number: JP2003189529A
Application number: JP2001381505A
Authority: JP
Inventors: Kazuo Sato; 和雄佐藤; Toshifumi Suzuki; 利文鈴木; Susumu Amaike; 将天池; Katsuyuki Yamazaki; 克之山崎; Naoki Minami; 南　　直樹
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 2001-12-14
Filing date: 2001-12-14
Publication date: 2003-07-04

Abstract

(57)【要約】【課題】剛性や耐浸透性，密封性を低下させることな
く、渦電流損失を低減させるキャンドモータを提供す
る。【解決手段】回転磁界を生成する巻線を備えた固定子１
と、固定子の回転磁界により回転する回転子１２を具備
し、固定子の内径側に装着された固定側金属製キャン６
で固定子を密封した構造のキャンドモータであって、固
定側金属製キャンにおける回転子の回転軸方向の長さＬ
に対向する部分に、回転軸方向と交わる方向で且つ固定
側金属製キャンを貫通しない深さの溝を設けたことを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、回転電気機械に係
わり、特に、例えば真空ポンプ、液圧送ポンプ、ガス圧
縮機等の流体機械用駆動源に用いられるキャンドモータ
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のキャンドモータは流体機械内に装
着され、流体との接触の場合は腐食，電気絶縁劣化を防
止する目的で、また真空中に置いた場合はコロナ放電に
よる電気絶縁劣化やガス発生，伝熱低下を防止する目的
で、固定子鉄心と回転子間の空隙に導電体の金属製薄肉
円筒状のキャンを挿入し、固定子鉄心を密封構造にする
ことで、流体や真空雰囲気と遮断し、信頼性を保ってい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記構造
のキャンドモータでは、固定子からの交番磁束により導
電体の金属製薄肉円筒状のキャンに交流電圧が誘起さ
れ、渦電流が流れ、渦電流損失が発生して、キャンドモ
ータの効率を低下させる要因となっている。

【０００４】また、渦電流損を削減するため、キャンの
材質に樹脂等の絶縁体を採用している例があるが、金属
と比べて剛性や耐浸透性が劣り、肉厚を１mm以上に厚く
する必要があるため、固定子と回転子との磁気空隙が大
きくなり、磁気抵抗を増大させ、モータ性能の低下をま
ねいている。

【０００５】本発明の目的は、剛性や耐浸透性，密封性
を低下させることなく、渦電流損失を低減させるキャン
ドモータを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、回転磁界を生
成する巻線を備えた固定子と、該固定子の回転磁界によ
り回転する回転子を具備し、前記固定子の内径側に装着
された固定側金属製キャンで前記固定子を密封した構造
のキャンドモータであって、前記固定側金属製キャンに
おける前記回転子の回転軸方向の長さに対向する部分
に、該回転軸方向と交わる方向で且つ前記固定側金属製
キャンを貫通しない深さの溝を設けたことを特徴とす
る。

【０００７】本発明は、回転磁界を生成する巻線を備え
た固定子と、該固定子の回転磁界により回転する回転子
を具備し、前記固定子の内径側に装着された固定側金属
製キャンで前記固定子を密封し、前記回転子の外径側に
装着された回転側金属製キャンで前記回転子を密封した
構造のキャンドモータであって、前記固定側金属製キャ
ンにおける前記回転子の回転軸方向の長さに対向する部
分に、該回転軸方向と交わる方向で且つ前記固定側金属
製キャンを貫通しない深さの溝を設け、前記回転側金属
製キャンに該回転軸方向と交わる方向で且つ前記回転側
金属製キャンを貫通しない深さの溝を設けたことを特徴
とする。

【０００８】本発明は、前記溝が、前記回転子の回転軸
方向と直交する方向の複数の平行溝からなることを特徴
とする。

【０００９】本発明は、前記溝が、前記回転子の回転軸
方向と交わる方向の螺旋溝からなることを特徴とする。

【００１０】本発明は、前記溝の断面形状が、Ｖ字形，
角形，半円形，半楕円形のうちいずれかであることを特
徴とする。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基いて説明する。

【００１２】図１は本発明の第１の実施の形態を示すキ
ャンドモータの構造断面図である。本実施の形態に係る
キャンドモータは、図１に示す通り、固定子鉄心１に回
転磁界を生成する固定子巻線２を備え、フレーム３、側
板４，５及び固定子内径側に装着された金属製薄肉円筒
キャン６で密封され、またブラケット７，８に固定され
た軸受９，１０によって支持された回転軸１１には、回
転子１２が装着され回転自在な構造を持って構成され
る。

【００１３】図２は本発明の第２の実施の形態を示すキ
ャンドモータの構造断面図である。本実施の形態に係る
キャンドモータは、図２に示す通り、図１と同様、固定
子側をキャンド化している他に、回転子１２を側板１
４，１５及び回転子外径側に装着された金属製薄肉円筒
キャン１６で密封した構造を持って構成される。

【００１４】ここで、図１，図２のキャンドモータにお
いては、回転子１２の回転軸１１方向の長さLに対向す
る金属製薄肉円筒キャン６の部分Ｌに、回転子１２の回
転軸１１方向と交わる方向で且つ金属製薄肉円筒キャン
６を貫通しない溝１７を設けている。図１，図２の溝１
７の一例は、回転子１２の回転軸１１方向と直交する方
向の平行溝であるが、螺旋溝であってもよい。

【００１５】図３に、図１，図２のキャンドモータにお
ける金属製薄肉円筒キャン６の立体図を示し、図４に、
図１，図２，図３の金属製薄肉円筒キャン６における上
記回転子の回転軸方向の長さに対向する部分Ｌの、断面
図を（ａ）に、展開図を（ｂ）に示す。また図５に、図
４に対する従来の金属製薄肉円筒キャンにおける回転子
の回転軸方向の長さに対向する部分Ｌの、断面図を
（ａ）に、展開図を（ｂ）に示す。

【００１６】すなわち、従来の金属製薄肉円筒キャン６
の表面は、図５に示すように、平面であるが、本実施の
形態の金属製薄肉円筒キャン６の内表面には、回転子の
回転軸方向の長さに対向する部分Ｌにおいて、回転子の
回転軸方向と直交する方向で且つ金属製薄肉円筒キャン
６を貫通しない複数の溝１７を設けている。

【００１７】この構成の差異により、図１，図２におけ
る固定子鉄心１からの交番磁束により金属製薄肉円筒キ
ャン６に交流電圧が誘起されると、従来は図５（ｂ）に
示すように、点線で示す経路で渦電流が流れるのに対し
て、本発明の実施形態においては、図４(ｂ)に示すよう
に、複数の溝１７により、点線で示す通り、渦電流の経
路が細分化される。

【００１８】渦電流損失は、渦電流損失＝電圧／渦電流経路長の式で表わされ、金属製薄肉円筒キャン６の全体で見た
場合、渦電流の経路長は溝あり＞溝なしとなり、渦電流損失を低減することができる。

【００１９】また、渦電流は渦電流 ∝（交番磁束量）²×（交番周波数）² となり、特にＰＷＭインバータで駆動する場合は、基本
波周波数の他にスイッチングによる時間高調波が重畳さ
れた高周波交番磁束となるため、表皮効果とあいまって
溝１７による渦電流損失低減効果は更に高まる。

【００２０】また、渦電流損失は金属製薄肉円筒キャン
６について渦電流損失 ∝（長さ）×（厚さ）となり、金属製薄肉円筒キャン６の厚さに対し、溝１７
の深さ分だけ平均厚さが薄くなるため、渦電流損失を低
減できる。

【００２１】また、金属製薄肉円筒キャン６を用いてい
るので、剛性や耐浸透性を低下することがない。

【００２２】また、金属製薄肉円筒キャン６には、回転
子の回転軸方向の長さＬに対向する部分のみに且つ金属
製薄肉円筒キャン６の肉厚を貫通しない深さで溝１７を
形成しているため、剛性及び密封性を損なうことはな
い。

【００２３】以上、固定子側の金属製薄肉キャン６につ
いて説明したが、図２の実施の形態においては、さらに
回転子１２に装着された金属製薄肉キャン１６について
も同じ溝１７を設けることで、同様に渦電流損失を低減
することができる。

【００２４】また、以上の本発明の実施の形態について
は、金属製薄肉円筒キャン６，１６の溝１７は、回転子
１２の回転軸１１方向と直交する方向の溝であったが、
螺旋状の溝であっても、渦電流損失を低減する効果を損
なうことはない。また、金属製薄肉円筒キャン６，１６
の溝１７を金属製薄肉円筒キャン６，１６の内表面に形
成しているが、金属製薄肉円筒キャン６，１６の外表面
に形成しても、渦電流損失を低減する効果を損なうこと
はない。さらに、金属製薄肉円筒キャン６，１６を製作
する過程において、板を円筒化するときの突合せ溶接部
に強度低下，密封性の問題がある場合は、溶接部を避け
て溝１７を断続的に形成すれば、渦電流損失を低減する
効果を損なうことはない。

【００２５】また、以上の本発明の実施の形態につい
て、金属製薄肉キャン６，１６の溝１７の断面形状は、
旋盤等の工作機のバイト切削加工，エッチング加工，レ
ーザー加工，ローレット加工等の製法によってＶ字形，
角形，半円形，半楕円形と異なるが、どの形状でも渦電
流損失を低減する効果を損なうことはない。また、強度
面では半円形，半楕円形とすれば応力集中部分がなくな
り、機械的な強度を向上することができる。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、剛性や耐浸透性，密封
性を低下させることなく、渦電流損失を低減させるキャ
ンドモータを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態を示すキャンドモー
タの構造断面図である。

【図２】本発明の第２の実施の形態を示すキャンドモー
タの構造断面図である。

【図３】図１，図２のキャンドモータにおける金属製薄
肉円筒キャンにおける回転子の立体図である。

【図４】図１，図２，図３の金属製薄肉円筒キャンにお
ける回転子の回転軸方向の長さに対向する部分Lの円周
方向の、断面図を（ａ）に、展開図を（ｂ）に示す。

【図５】図４に対する従来の金属製薄肉円筒キャンにお
ける回転子の回転軸方向の長さに対向する部分Lの円周
方向の、断面図を（ａ）に、展開図を（ｂ）に示す。

【符号の説明】１：固定子鉄心、２：固定子巻線、３：フレーム、４：
側板、５：側板、６：金属製薄肉円筒キャン、７：ブラ
ケット、８：ブラケット、９：軸受、１０：軸受、１
１：回転軸、１２：回転子、１３：軸封止部品、１４：
側板、１５：側板、１６：金属製薄肉円筒キャン、１
７：溝。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者天池将千葉県習志野市東習志野七丁目１番１号株式会社日立ドライブシステムズ内 (72)発明者山崎克之千葉県習志野市東習志野七丁目１番１号株式会社日立ドライブシステムズ内 (72)発明者南直樹千葉県習志野市東習志野七丁目１番１号株式会社日立製作所産業機器グループ内Ｆターム(参考） 3H029 AA00 AB00 BB42 CC27 3H044 AA00 BB00 CC19 DD18 5H605 AA11 BB05 BB10 CC03 DD03 DD37 EA06 GG14

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】回転磁界を生成する巻線を備えた固定子
と、該固定子の回転磁界により回転する回転子を具備
し、前記固定子の内径側に装着された固定側金属製キャ
ンで前記固定子を密封した構造のキャンドモータであっ
て、前記固定側金属製キャンにおける前記回転子の回転
軸方向の長さに対向する部分に、該回転軸方向と交わる
方向で且つ前記固定側金属製キャンを貫通しない深さの
溝を設けたことを特徴とするキャンドモータ。
【請求項２】回転磁界を生成する巻線を備えた固定子
と、該固定子の回転磁界により回転する回転子を具備
し、前記固定子の内径側に装着された固定側金属製キャ
ンで前記固定子を密封し、前記回転子の外径側に装着さ
れた回転側金属製キャンで前記回転子を密封した構造の
キャンドモータであって、前記固定側金属製キャンにお
ける前記回転子の回転軸方向の長さに対向する部分に、
該回転軸方向と交わる方向で且つ前記固定側金属製キャ
ンを貫通しない深さの溝を設け、前記回転側金属製キャ
ンに該回転軸方向と交わる方向で且つ前記回転側金属製
キャンを貫通しない深さの溝を設けたことを特徴とする
キャンドモータ。
【請求項３】請求項１または２記載のキャンドモータに
おいて、前記溝が、前記回転子の回転軸方向と交わる複
数の平行溝からなることを特徴とするキャンドモータ。
【請求項４】請求項１または２記載のキャンドモータに
おいて、前記溝が、前記回転子の回転軸方向と交わる方
向の螺旋溝からなることを特徴とするキャンドモータ。
【請求項５】請求項１から４のうちいずれか一つに記載
のキャンドモータにおいて、前記溝の断面形状が、Ｖ字
形，角形，半円形，半楕円形のうちいずれかであること
を特徴とするキャンドモータ。