JP2003187760A - 二次電池及び二次電池用容器 - Google Patents

二次電池及び二次電池用容器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二次電池の内圧上昇に際して、内部のガスを
より確実に放出する。 【解決手段】 電極板と該電極板が浸漬される電解液と
を収容する容器1において、該容器1を金属板からなる
複数の面から構成し、該複数の面の少なくともいずれか
に、容器内が所定以上の圧力となると破壊して容器内外
を連通する薄板部5を設け、該薄板部5の周囲に、薄板
部5より剛性が大きな補強部を設けたことを特徴とする
二次電池用容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内圧の上昇によ
り破壊される部分を設けることにより、内圧の異常上昇
による容器自体の破損を防止する二次電池用容器、およ
び該容器を用いた二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、さまざまな分野で二次電池が用い
られている。例えば、小型のものであれば、携帯電話機
やビデオカメラ等の電子機器の電源として用いられてい
る。また、大型のものであれば、電気自動車の電源や家
庭用等の電力貯蔵装置として用いられている。また、従
来から用いられている鉛二次電池やニッケル・カドミウ
ム二次電池に代わって、より軽量でコンパクトなリチウ
ム二次電池が普及しつつある。
【0003】このリチウム二次電池は、有機材料の電解
液を使用しており、例えば、短絡などによる大電流の放
出に伴って電池内部の温度が上昇すると、電解液がガス
化して電池容器内部の圧力が上昇することがある。図8
は、このような場合に電池容器内のガスを放出して容器
自体の破損を防止するための安全弁を備えたリチウム二
次電池の一従来例を示すものである。符号101は容
器、102は安全弁、103は内部の正極板に接続され
た陽極端子、104は内部の負極板に接続された陰極端
子である。この一従来例にあっては、容器100の内圧
が上昇すると、安全弁が作動することにより、内部の高
圧ガスを放出して、容器100自体の破損が防止されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記容器
101は、通常、鋼板やアルミニウム板などにより形成
されたものであって、内圧により容易に変形するもので
あるから、内圧の上昇が安全弁102自体の変位により
吸収されて正常に動作し得ない場合がある。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、内圧の上昇に伴い安全弁
を確実に動作させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の二次電池用容器は、複数積層した電極板と
該電極板が浸漬される電解液とを収容する容器におい
て、該容器を金属板からなる複数の面から構成し、該複
数の面の少なくともいずれかに、容器内が所定以上の圧
力となることにより破壊されて容器内外を連通する薄板
部を設け、該薄板部の周囲に、薄板部より剛性が大きな
補強部を設けたことを特徴とする。また、前記容器を構
成する金属板の一部を他の部分より薄くすることにより
前記薄板部を形成したことを特徴とする。また、前記容
器を構成する金属板の一部を他の部分より厚くし、この
部分の内側に前記薄板部を形成したことを特徴とする。
また、前記容器を構成する金属板の一部に穴を設け、該
穴を塞ぐ板状部材を前記薄板部としたことを特徴とす
る。また、前記容器を構成する金属板の一部に穴を設
け、前記補強部の内側に前記薄板部を設けてなる弁部材
により前記穴を塞いだことを特徴とする。また、前記薄
板部が設けられる個所の周囲の容器に、熱処理により硬
化された部分を設けたことを特徴とする。また、前記薄
板部を前記面に溶接部を介して固着することにより、該
固着部分を硬化させたことを特徴とする。また、前記容
器を構成する金属板を塑性加工することにより前記薄板
部を形成して、該薄板部の周囲に塑性加工による加工硬
化部を形成したことを特徴とする。また、上記構成の二
次電池用容器内に前記電極および電解液を封入し、前記
二次電池用容器の表面に、前記電極に電気的に接続され
た端子を設けることにより、二次電池を構成したことを
特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1実施例を示す
もので、符号1は容器、符号2は陽極端子、符号3は陰
極端子である。前記容器1は、例えば鋼板により構成さ
れた密閉容器であって、その天板部4における前記陽極
端子2と陰極端子3との間の位置に、安全弁としての機
能を果たす薄板部5が設けられている。この薄板部5
は、図1(b)に示すように、天板部4の外面(大気側
の面)を機械加工等の手段によって薄肉化することによ
り形成されている。具体的には、天板部4の一部に切削
加工を施すこと や、プレス加工のような塑性加工を施
すことにより形成されている。
【0008】上記薄板部5は、天板部4に比して、相対
的にその剛性が小さく設定されているため、天板部4自
身が薄板部5より十分に剛性の大きな補強部として機能
することができる。したがって、薄板部5は、あたか
も、天板部4の薄板部5以外の部分により拘束された円
板のように変形することができる。この結果、容器1の
内圧上昇に際して薄板部5が変形し、所定圧力以上とな
ると薄板部5がなると薄板部5が破壊して容器1内の高
圧ガスを外部に放出し、容器1自体の破損を防止するこ
とができる。なお、薄板部5を確実に破壊するために必
要とされる、周囲の部材との剛性比は、天板部4の長辺
方向の長さを60mm、薄板部5の直径を20mmとす
れば、周囲の天板部4の剛性を薄板部の5倍以上とする
ことが望ましい。また、天板部4を構成する材料の許容
剪断応力をτ(N/mm2)、薄板部4の半径r(m
m)および厚さt(mm)によって、下記のように容器
1の許容内圧P(N/mm2)を設定することができ
る。 P=2πrtτ/πr2 =2tτ/r
【0009】図2(a)〜(c)は上記天板部4の形状
の例を示すものである。すなわち、(a)に示すよう
に、天板部4の下面(内側の面)を凹とし、あるいは、
(b)に示すように、天板部4の上下面をともに凹とし
て薄板部5を形成してもよい。また、(c)および
(d)に示すように、天板部4の一部に周状の突出した
補強部6を設け、その内側に薄板部5を形成するように
してもよい。このように、薄板部5の周囲を意図的に厚
肉化することにより、薄板部5とその周囲の部分との剛
性比をより大きくして、薄板部5をより確実に変形させ
るようにしてもよい。なお、この(d)の例は、天板部
4にプレス加工を施し、薄板部とすべき部分を中心とし
て半径方向外方へ向けて塑性変形させることにより、該
変形例の如き周状の補強部6を設けることができる。こ
のようにして形成された補強部6は、プレス加工に伴う
加工硬化を生じるから、単なる寸法上の剛性強化のみな
らず、特にアルミニウム系の材料に対して有効に作用し
て、材料自体の加工硬化による剛性向上を図ることがで
きる。
【0010】図3および図4は本発明の第2実施形態を
示すものである。この実施形態は、周状の補強部6の内
側に薄板部5を設けてなる弁部材7を用い、この弁部材
7のフランジ部(の外周面)9を天板4側の取り付け孔
(の内周面)8に溶接等の手段により固着した構成とな
っている。この実施形態にあっても、内圧の上昇により
薄板部5を破壊させて、容器内部の高圧ガスを外部に放
出することができる。
【0011】図5は本発明の第3実施形態を示すもので
ある。この実施形態は、天板部4にほぼ前記補強部6の
外径に対応する取り付け孔8を設け、前記弁部材7のフ
ランジ部9を取り付け孔8の周囲の天板部4に重ね合わ
せた状態で固着するようにしたものである。このよう
に、フランジ部9を天板部4に重ね合わせることによ
り、薄板部5の周囲の剛性が高まり、内圧上昇に際して
薄板部5をより確実に破壊させることができる。
【0012】さらに、図6は本発明の第4実施形態を示
すものである。この実施形態は、円板状に形成された薄
板部5により、天板部4の取り付け孔8を覆った構成と
なっている。前記薄板部5は、溶接、あるいは無機系接
着剤やゴム系接着剤を用いた接着等の手段により天板部
4に固着されている。この実施形態では、天板部4に比
べて薄板部5の剛性が小さいため、内圧の上昇によって
前記薄板部5をより確実に破壊させることができる。
【0013】さらに、図7は本発明の第5実施形態を示
すものである。この実施形態は、円板状の弁部材10の
中央に薄板部5を設け、この弁部材10の外周を取り付
け孔8の内周と突き合わせ状に配置し、溶接部11を介
して固着した構成となっている。このように溶接部11
を設けた場合、特に鋼系の材料にあっては、溶接時の熱
によって弁部材10およびその周囲の天板部4が硬化
し、薄板部5に対する周囲の剛性を高めて、より確実に
薄板部5を破壊させることができる。
【0014】なお、上記各実施形態では、主として薄板
部5の周囲に積極的に厚さの大きな部分を設けることに
よって薄板部5の周囲の剛性を高める構成としたが、高
周波加熱等の手段によって、薄板部5の周囲を選択的に
熱処理し、その材料を硬化させて剛性を高めるようにし
てもよい。
【0015】また、上記各実施形態では、容器を構成す
る面のうち、天板部に安全弁としての薄板部を設けるよ
うにしたが、他の面に設けてもよい。また、薄板部の平
面形状が円に限られるものではなく他の形状であっても
よい。さらに、薄板部の剛性を積極的に低下させてより
確実に破壊させるべく、切り欠き等を設けるようにして
もよい。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、二次電
池用容器を構成する金属板の少なくともいずれかの面
に、容器内が所定以上の圧力となることにより破壊され
て容器内外を連通する薄板部を設け、該薄板部の周囲
に、薄板部より剛性が大きな補強部を設けたから、電池
の内圧が所定以上に高まった場合に前記薄肉部を確実に
破壊させて内部のガスを大気中に放出し、容器内の予期
しない高圧化による容器全体の破壊を確実に防止するこ
とができる。また、前記容器を構成する金属板の一部を
他の部分より薄くして前記薄板部を形成することによ
り、容器を形成する各種機械加工工程を利用して容易に
前記薄板部を形成することができる。また、前記容器を
構成する金属板の一部を他の部分より厚くし、この部分
の内側に前記薄板部を形成することにより、薄板部とそ
の周囲との剛性比をより大きくすることができる。ま
た、前記容器を構成する金属板の一部に穴を設け、該穴
を塞ぐ板状部材を前記薄板部とし、あるいは、前記容器
を構成する金属板の一部に穴を設け、前記補強部の内側
に前記薄板部を設けてなる弁部材により前記穴を塞ぐこ
とにより、容器本体と製造工程に影響を与えることな
く、必要な性能の安全弁を設けることができる。また、
前記薄肉部の周囲の容器自体に、溶接に際しての熱や、
高周波加熱等の手段による熱処理を施すことにより、あ
るいは、薄肉部を構成する際の塑性加工による加工硬化
を利用して、薄肉部の周囲の材料自体を硬化させること
によっても、その剛性を高めることができる。さらに、
上記構成により、薄肉部をより確実に破壊させることを
可能として、該容器を利用した二次電池の安全性を高め
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の平面図、a図のb−b線に沿
う矢視図、および側面図。
【図2】 第1実施形態のb部の変形例の断面図。
【図3】 第3実施形態の斜視図。
【図4】 第3実施形態の断面図。
【図5】 第4実施形態の断面図。
【図6】 第5実施形態の断面図。
【図7】 第6実施形態の断面図。
【図8】 一従来例の斜視図。
【符号の説明】
1 容器 2 陽極端子 3 陰極端
子 4 天板部 5 薄板部 6 補強部 7 弁部材 8 取り付け孔 9 フランジ
部 10 弁部材 11 溶接部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/40 H01M 10/40 Z // B23K 101:12 B23K 101:12 (72)発明者 橋本 勉 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 田島 英彦 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工 業株式会社長崎造船所内 (72)発明者 児玉 克 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 Fターム(参考) 4E081 YK10 5H011 AA13 CC06 DD06 DD07 DD09 DD13 EE04 KK01 KK04 KK07 5H022 AA09 CC02 CC16 5H029 AJ12 AM02 BJ02 BJ27 CJ02 CJ03 CJ04 CJ05 DJ02 DJ05 EJ01 HJ04 HJ15

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数積層した電極板と該電極板が浸漬さ
    れる電解液とを収容する容器において、該容器を金属板
    からなる複数の面から構成し、該複数の面の少なくとも
    いずれかに、容器内が所定以上の圧力となることにより
    破壊されて容器内外を連通する薄板部を設け、該薄板部
    の周囲に、薄板部より剛性が大きな補強部を設けたこと
    を特徴とする二次電池用容器。
  2. 【請求項2】 前記容器を構成する金属板の一部を他の
    部分より薄くすることにより前記薄板部を形成したこと
    を特徴とする請求項1記載の二次電池用容器。
  3. 【請求項3】 前記容器を構成する金属板の一部を他の
    部分より厚くし、この部分の内側に前記薄板部を形成し
    たことを特徴とする請求項1記載の二次電池用容器。
  4. 【請求項4】 前記容器を構成する金属板の一部に穴を
    設け、該穴を塞ぐ板状部材を前記薄板部としたことを特
    徴とする請求項1記載の二次電池用容器。
  5. 【請求項5】 前記容器を構成する金属板の一部に穴を
    設け、前記補強部の内側に前記薄板部を設けてなる弁部
    材により前記穴を塞いだことを特徴とする請求項1に記
    載の二次電池用容器。
  6. 【請求項6】 前記薄板部が設けられる個所の周囲の容
    器に、熱処理により硬化された部分を設けたことを特徴
    とする請求項1ないし5のいずれかに記載の二次電池用
    容器。
  7. 【請求項7】 前記薄板部を前記面に溶接部を介して固
    着することにより、該固着部分を硬化させたことを特徴
    とする請求項6記載の二次電池用容器。
  8. 【請求項8】 前記容器を構成する金属板を塑性加工す
    ることにより前記薄板部を形成して、該薄板部の周囲に
    塑性加工による加工硬化部を形成したことを特徴とする
    請求項1ないし5のいずれかに記載の二次電池用容器。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の二
    次電池用容器内に前記電極および電解液を封入し、前記
    二次電池用容器の表面に、前記電極に電気的に接続され
    た端子を設けたことを特徴とする二次電池。
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