JP2003185429A - 測定評価方法 - Google Patents

測定評価方法

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JP2003185429A
JP2003185429A JP2001386327A JP2001386327A JP2003185429A JP 2003185429 A JP2003185429 A JP 2003185429A JP 2001386327 A JP2001386327 A JP 2001386327A JP 2001386327 A JP2001386327 A JP 2001386327A JP 2003185429 A JP2003185429 A JP 2003185429A
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JP2001386327A
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Masao Yajima
正男 矢島
Hirokazu Watanabe
洋和 渡邊
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Nidec Instruments Corp
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Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定結果の評価を行う。 【解決手段】 円形被測定物の輪郭をプローブを用いて
測定する測定評価方法であって、プローブ又は円形被測
定物を相対移動させ、プローブを円形被測定物の測定面
に複数点で接触させ、プローブが測定面と接触したとき
の接触位置を記憶し(ステップ52)、各接触位置に基
づき円を同定することによりプローブと円形被測定物と
のクリアランスを測定し(ステップ53)、これに基づ
き円形被測定物の測定面の円情報を算出するとともに、
同定した円の中心から各測定点までの距離と同定円半径
の残差を計算し、その計算値の特徴値を求めて予め記憶
したレベル値と比較し(ステップ54)、その比較結果
により測定エラーを表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、測定評価方法に関
する。さらに詳述すると、本発明は、プローブを用いて
測定した円形被測定物に関するデータの測定評価方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、被測定物に穿たれた概ね内径3m
mあるいはそれ以下の微小孔の内径を正確に測定する場
合、光学式内径測定装置を利用したり、割プローブ
と静電容量センサとを組み合わせて測定したり、あるい
は特開2000-97691号公報に記載されているように振動
式接触プローブと高精度ステージとを組み合わせて測定
する等の手法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、の手
法は測定に個人差が出やすいという問題があり、この個
人差を無くそうと画像処理を導入すれば装置が高価にな
ってしまう。
【0004】また、の手法では、測定対象たる孔径が
微小になるとプローブの作成ができなくなるし、測定時
の接触圧が高く被測定物に打痕がつくおそれがあり、さ
らには1方向の直径しか測れないといった弊害がある。
【0005】さらに、の手法を採用した場合、形状測
定装置としては優れるが、精度が高くかつダイナミック
レンジの広い多自由度(XYZθ等)の精密ステージが
必要となり、高価になってしまうという問題がある。
【0006】また、測定の精度を上げるためには測定箇
所を増やしてデータをより多く集めることが有効である
が、その際、データ数が多くなることから測定結果の評
価が重要になる。
【0007】そこで、本発明は、円形被測定物の輪郭を
プローブを用いて測定するに際し、その測定の評価に適
した測定評価方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに請求項1記載の発明は、円形被測定物の輪郭をプロ
ーブを用いて測定する測定評価方法において、プローブ
又は円形被測定物を相対移動させ、プローブを円形被測
定物の測定面に複数点で接触させ、プローブが測定面と
接触したときの接触位置を記憶し、各接触位置に基づき
円を同定することによりプローブと円形被測定物とのク
リアランスを測定し、これに基づき円形被測定物の測定
面の円情報を算出するとともに、同定した円の中心から
各測定点までの距離と同定円半径の残差を計算し、その
計算値の特徴値を求めて予め記憶したレベル値と比較
し、その比較結果により測定エラーを表示するものであ
る。
【0009】各測定値の中に大きな誤差が含まれている
測定値が存在すると、特徴値が予め設定したレベル値
(しきい値)よりも大きくなる。したがって、特徴値が
レベル値を越えた場合にエラー表示を行うことで、測定
結果の信頼性を判断できる。判断の結果、例えば大きな
誤差を含むと考えられる測定値を除いた他の各測定値に
基づいて円を同定し直しても良いし、あるいは測定をし
直して円同定し直しても良い。レベル値は要求される測
定精度に応じて設定する。
【0010】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の測定評価方法において、プローブをその共振周波数
又はその近傍で微小振動させ、振動変化に基づいてプロ
ーブが円形被測定物の測定面と接触したことを検出し接
触位置を記憶するものである。この場合、プローブの振
動変化を捉えることにより、測定面に接触したことを低
い接触圧で精度よく検出することが可能である。
【0011】また、請求項3記載の発明は、請求項1ま
たは2記載の測定評価方法において、円形被測定物の測
定面の仮中心を求め、この仮中心を中心とする円周上の
点を測定するものである。この場合、測定対象たる円形
被測定物の測定面の微視的な形状の影響を一定にし、た
とえ測定面に凸凹があったとしても安定した測定を得る
ことが可能となる。
【0012】また、請求項4記載の発明は、請求項1ま
たは2記載の測定評価方法において、円形被測定物の測
定面の凹凸箇所よりも多いか又は少ない箇所でプローブ
を測定面に接触させるものである。例えば、軸方向に延
びる複数のグルーブ(溝)が測定面に周方向等間隔に刻
まれているような場合、プローブがこれらグルーブの底
にのみ接触すると正確な内径と異なる径が検出される場
合があるが、請求項4記載の発明のように凹凸箇所と異
なる数の点で接触させることにより、少なくとも1点の
接触位置が凹凸箇所からずれて検出誤差が少なくなる。
【0013】また、請求項5記載の発明は、請求項1ま
たは2記載の測定評価方法において、測定中に温度、音
圧、振動等の周辺環境を同時に測定し、環境の悪化が認
められた場合に警告を発し、測定値の信頼性が低下した
ことを通知するものである。この場合、信頼性の高い測
定結果が得られなかったとみなし、その結果を不採用と
することができる。
【0014】また、請求項6記載の発明は、請求項1か
ら5のいずれかに記載の測定評価方法において、円形被
測定物が微小孔の内径である場合に、プローブの外径を
微小孔の内径に比較して僅かに小さくしている。この場
合、プローブが微小孔の内壁に接触するまでの相対移動
量が少なくて済む。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】図36及び図37に本発明を適用した測定
評価方法の実施形態の一例を、図5に評価するデータを
測定する微小内径測定装置10の実施形態の一例を示
す。なお、微小内径測定装置10については後述する。
【0017】この測定評価方法は、円形被測定物9の輪
郭をプローブ11を用いて測定するもので、プローブ1
1又は円形被測定物9を相対移動させ、プローブ11を
円形被測定物9の測定面9aに複数点で接触させ、プロ
ーブ11が測定面9aと接触したときの接触位置を記憶
し、各接触位置に基づき円を同定することによりプロー
ブ11と円形被測定物9とのクリアランスを測定し、こ
れに基づき円形被測定物9の測定面9aの円情報を算出
するとともに、同定した円の中心から各測定点までの距
離と同定円半径の残差を計算し、その計算値の特徴値、
例えばPV値、RMS値を求めて予め記憶したレベル値
と比較し、その比較結果により測定エラーを表示するも
のである。本実施形態では、円形被測定物9として例え
ば微小孔の内径を測定する場合、即ち円形被測定物9の
測定面9aが微小孔の内壁である場合を例に説明する。
ただし、微小孔9の内径を測定する場合に限るものでは
ないことは勿論である。
【0018】図36は上位ソフトウエアの処理例であ
り、図37は円同定の処理例である。図37の処理の結
果を図36の上位ソフトウエアにより判定や再計測の必
要性を判断する。
【0019】具体的に説明すると、まず最初に、図36
のステップ51を実行し、リトライ数(リトライを行っ
た回数を示す変数)に0を設定する。即ち、現段階では
リトライを行っていないので、リトライ数をクリアす
る。この後、微小内径測定装置10を使用して円形被測
定物9である微小孔の内径の測定を行う(ステップ5
2)。本実施形態では、例えば7箇所の測定を行って7
つの測定データを採取する。なお、微小内径測定装置1
0のように微小孔9の内壁9aを移動させることでプロ
ーブ11に接触させても良いし、逆に、プローブ11を
移動させることで微小孔9の内壁9aに接触させるよう
にしても良い。
【0020】ステップ53では、図37に示すサブルー
チンを行って各測定データからPV値とRMS値を評価
する。即ち、図37のステップ71では、7つの測定デ
ータに基づいてクリアランス円(図4)を同定する。な
お、円を同定する方法については後述する。
【0021】図38に7つの測定データと同定した円の
概念を示す。等角度測定で7つの測定点を設定し、得ら
れたデータから同定した円を重ねて表示している。ステ
ップ72では、各測定データ毎に残差(内壁9aの推定
中心、即ち、同定した円の中心から測定データまでの距
離と同定した円の半径との差)を求め、PV(Peak to
Valley)値とRMS(Root Mean Square)値を求める。
PV値とRMS値の例を表1に示す。
【表1】 なお、表1には明記していないが、同定した円の中心位
置等も同時に記憶し、上位ソフトウエアに提示する。
【0022】いま、表1の第1段目に示すように、7つ
の測定データに基づいて求めたPV値が1.28,RM
S値が0.52であったとする。また、予め記憶してお
いたレベル値(許容値)がPV値については1.0μ
m、RMS値については0.4μmであったとする。7
つの測定データに基づいて求めたPV値とRMS値はい
ずれもレベル値以下ではないため判定結果はNG(不合
格)となり、もう一度円を同定し直す。即ち、ステップ
73の比較の結果、ステップ74の判定が否定(No)
となるのでステップ75に進む。
【0023】ステップ75では、7つの測定データのう
ち最も残差が大きなデータを間引く。例えば、データ番
号2の測定データの残差が最大であったとすると、デー
タ番号2の測定データを間引く。そして、ステップ71
に戻り、残りの6つの測定データに基づいてクリアラン
ス円を同定した後、各測定データの残差を求めPV値と
RMS値を求める(ステップ72)。
【0024】求めたPV値とRMS値が表1の第2段目
に示すように0.98、0.44であったとする。この
場合には、PV値はレベル値以下であるが、RMS値が
レベル値よりも大きい。したがって、判定結果はNGと
なり、ステップ73→ステップ74→ステップ75へと
進み、6つの測定データのうち最も残差が大きなデー
タ、例えばデータ番号4の測定データを間引く。そし
て、ステップ71に戻り、残りの5つの測定データに基
づいてクリアランス円を同定した後、各測定データの残
差を求めPV値とRMS値を求める(ステップ72)。
【0025】いま、求めたPV値とRMS値が表1の第
3段目に示すように0.88、0.38であったとす
る。この場合には、PV値とRMS値のいずれもレベル
値以下である。したがって、円同定を終了する条件が満
たされたので、ステップ74からステップ76に進み、
円同定に用いたデータ数と測定したデータ数とを比較す
る。いま、円同定に用いたデータ数は5個であり、測定
したデータ数は7個であるので、図37のサブルーチン
を異常終了し、測定エラーを表示する。即ち、表1のデ
ータを表示し、表1では3度目の測定で判定結果がOK
となっているので、このことから異常終了したことを知
ることが出来る。
【0026】図37のサブルーチンを異常終了した後、
図36のステップ53に戻る。このとき、表1のデータ
が上位ソフトウエアである図36のプログラム・ルーチ
ンに供給される。なお、表1には明記していないが、内
壁9aの推定中心位置等も同時に記憶され、上位ソフト
ウエアである図36のプログラム・ルーチンに供給され
る。ここでは図37のサブルーチンを異常終了している
ので、ステップ54からステップ55に進み、リトライ
数が所定値R以下であるか否かを判別する。
【0027】いま、リトライ数はステップ51で設定し
た0となっている。したがって、ステップ56に進み、
間引いたデータ数が所定値W以下であるか否かを判断す
る。本実施形態では、間引いたデータ数が所定値W以下
の場合はステップ57に進んで間引いたデータの測定点
(データ番号2,4のデータに対応する測定点)を再測
定し、所定値Wよりも大きな場合にはステップ58に進
んで全測定点(データ番号1〜7のデータに対応する測
定点)を再測定する。この後、リトライ数を1だけ増加
(ステップ59)させた後、ステップ53に戻って図3
7のサブルーチンを実行する。
【0028】そして、最初の円の同定によってPV値と
RMS値がレベル値以下になった場合には、ステップ7
4からステップ76に進み、このサブルーチンを正常終
了する。例えば、表2に示すように、1度目の同定でP
V値が0.66、RMS値が0.35になると、判定結
果がOKとなるので、ステップ74からステップ76に
進み、更には円同定に用いたデータ数は7つであること
からサブルーチンを正常終了し、例えば正常終了した旨
を表示する。なお、本実施形態では、表2のデータを表
示し、表2では1度目の測定で判定結果がOKとなって
いるので、このことから正常終了したことを知ることが
出来る。
【表2】 なお、図39に表2のデータの表示例を示す。7つの測
定データと同定した円を表示する領域61と、7つの測
定データの残差をデータ番号順に並べたグラフを表示す
る領域62と、種々の計算値を表示する領域63を有し
ている。領域63の表示内容は、判定結果セレクトボタ
ン64a、円計測結果セレクトボタン64b、計測履歴
セレクトボタン64cの操作によって変えることが出来
る。図39の状態では、円計測結果セレクトボタン64
bが選択されており、内壁9aの推定中心座標65、推
定直径66、真円度67、PV値68が表示されてい
る。
【0029】この後、図36のステップ54に進む。ス
テップ54では図37のサブルーチンを正常終了したか
異常終了したかを判断する。いま、図37のサブルーチ
ンを正常終了したので、図36のプログラム・ルーチン
を正常終了する。この場合、微小孔9の内径の測定結果
は3000.233μm(表2)となる。
【0030】一方、図37のサブルーチンを繰り返し行
ってもこのサブルーチンを正常終了しない場合には、即
ち、ステップ53からステップ59を繰り返し行ってリ
トライ数が所定値Rよりも大きくなると、ステップ55
の条件が満たされなくなるので図36のプログラム・ル
ーチンを異常終了する。
【0031】このように、図37のサブルーチンによる
円同定の結果を基に、図36のプログラム・ルーチンで
は円同定の妥当性の判定と再測定を行う。即ち、円同定
結果に基づき、異常終了の場合のリトライ数とデータの
間引き数に応じて、残差の大きい測定点の再測定や全測
定のやり直しを行う。リトライする回数を決定する所定
値Rや全点再測定を行うか否かを決定する所定値W等は
測定対象ワークの特性や工程の都合等に応じて適宜値に
設定可能である。また、リトライ等のアルゴリズムは測
定対象ワークの特性や工程の都合等に応じて、図36の
方法に限らず種々の方法で行うことが出来る。
【0032】なお、図37のサブルーチンでは、PV値
とRMS値のいずれもがレベル値以下にならなければ測
定データを1つずつ間引いて円同定し直すが、これを繰
り返し行うと最後には3つの測定データで円同定を行う
ことになり(表3)、この場合は残差は0になるので図
37の処理は終了する。
【表3】 このように、本発明の測定評価方法では、得られた測定
データから残差のPV値やRMS値が一定の値以下とな
るまで円同定を繰り返すとともに、その経過を保存し、
さらに経過を分析して再測定方法を決めることにより、
測定対象ワークの性質や工程の都合による不要な再測定
の防止(たとえば7点測定するが6点で円同定した結果
が既定値以内なら再測定は行わずに良品とするといった
工程規格に対応できる)が期待でき、測定時間を短縮す
ることができる。
【0033】また、表1〜表3のような履歴を残すこと
により、測定対象ワーク毎の不良位置を把握することが
できる。これにより不良原因の解析が可能となる。
【0034】なお、上述の説明では、図37のサブルー
チンにおいて、PV値とRMS値がレベル値以下になる
まで処理を繰り返し行うようにしていたが、必ずしもこ
れに限るものではない。例えば、測定点のごみの付着や
騒音によるプローブ11の接触検出エラーが発生する
と、内径値(測定値)は必ず小さい方向に変動するの
で、内径値が一定値(例えば3mmの微小孔に対して
2.9mm)以下となったら、直ちに円同定を異常終了
させるようにしても良い。
【0035】また、図36のプログラム・ルーチンにお
いて、間引かれた測定点を再測定した測定データが以前
の値と一定量以上変わらない場合には、直ちに異常終了
させるようにしても良い。
【0036】次に、微小孔9の内径を測定するのに適し
た微小内径測定方法について説明する。図1〜図6に、
微小内径測定方法の好適な例を示す。この微小内径測定
方法は、被測定物8の微小孔9の内径をプローブ11を
用いて測定する微小内径測定方法において、プローブ1
1が被測定物8の微小孔9に挿入された状態でプローブ
11又は被測定物8を移動させ、プローブ11が微小孔
9の内壁9aに接触したときの接触位置を記憶し、プロ
ーブ11を微小孔9の内壁9aに複数点で接触させ、各
接触位置に基づき円を同定することによりプローブ11
と微小孔9の内壁9aとのクリアランスを測定し、これ
に基づき微小孔9(以下、被測定物8の微小孔9を単に
「被測定物8」ともいう)の内径を算出するものであ
る。本実施形態ではプローブ11を振動させ、振動変化
を読み取ってプローブ11が内壁9aに接触したことを
検出している。
【0037】ここで、この微小内径測定方法の原理等を
説明する。この微小内径測定方法では、プローブ11を
微小孔9の内壁9aに複数点で接触させ、各接触点での
位置データを得る。円を決定するには3点以上の測定点
が必要であることから、プローブ11を接触させる点は
少なくとも3点とする。以下では、説明を簡単にする為
に3点測定の場合の基本原理を述べる。
【0038】被測定物8の微小孔9にプローブ11を挿
入した状態を測定平面断面で示すと図1のようになり、
一般に、この状態ではプローブ11と被測定物8(の微
小孔9)の中心がずれている。この状態でプローブ11
を図中右方向へ動かし、被測定物8に接触した瞬間のプ
ローブ11の位置を測定する(図2)。図示するよう
に、プローブ11の移動ベクトル方向に接触点があると
は限らないが、プローブ11と被測定物8は内接してい
るため共通の法線を持っており、これはすなわち、接触
点、プローブ中心そして内径中心の3点は必ず同一直線
上に並ぶと言う事を意味している。
【0039】また、同様にして、図3に示すようにプロ
ーブ原位置から120度毎に移動方向を変えながら残り
の2点を測定する。
【0040】続いて、3点の接触位置を用いて円を同定
する。プローブ11を微小孔9の内壁9aに接触させ、
各接触する位置でのプローブ11から測定データを得
る。そして、n点(ここでは3点)の座標値から、円を
同定する数式1(円の方程式)
【数1】 に2点の測定データ(xi, yi),(xi+1, yi+1)を代入し、
引き算の後にCx, Cy について整理すると、
【数2】 を得る。n点(ここでは3点)の測定結果(x1, y1)...
(xn, yn)から数式2を(n−1)個得る。
【0041】ここで、数式2において以下の数式3のよ
うにおくと、
【数3】 数式2は、数式4のように表せ、
【数4】 n点(ここでは3点)の測定データより(n−1)個の数
式4を得ることができる。これより、最小二乗法を用い
てCx, Cy を求めると
【数5】
【数6】 となる。但し、Σの範囲は1≦i≦n−1である。Cx,
Cy の決定後、各測定点に対応したRiを求め、その平均
値を半径の測定値Rとする。
【数7】 但し、Σの範囲は1≦i≦nである。
【0042】以上の円同定法および図2で示した理由に
より、被測定物8の内径中心と同心で、半径が(被測定
物8の内径半径)―(プローブ11の半径)の円が得ら
れる(図4)。この値は被測定物8とプローブ11を同
心で置いた場合のプローブ11と被測定物8のクリアラ
ンスに相当するので、以降この円をクリアランス円と呼
称する。クリアランス円の半径にプローブ11の半径を
加えたものが、被測定物8の内径半径となる。なお、以
上においては測定点が3点の場合で説明したが、上述の
円同定法を用いる事により、n点測定点があった場合で
も同様に取り扱う事ができる。
【0043】続いて、上述の微小内径測定に好適な微小
内径測定装置10について説明する。図5に示すよう
に、本実施形態の微小内径測定装置10は、プローブ1
1と、プローブ11を微小振動させる励振手段31と、
プローブ11又は被測定物8を移動させる移動手段32
と、これら励振手段31および移動手段32を制御する
制御手段33とを有している。
【0044】プローブ11は、被測定物8の微小孔9に
挿入される測定部材であり、本実施形態では球形先端を
備えるが、微小孔9の内壁9aに接する最大周の部分が
円形でありさえすれば特に球形先端でなくても構わな
い。ただ、精密な球は比較的容易に作成することが可能
であるため、球形先端とした場合は測定精度が劣化する
のを防ぎやすい。また、プローブ11は微小孔9の内径
に比較して僅かに小さい程度に形成されていることが好
ましい。具体的数値例を挙げると、例えば微小孔9の内
径が2mm程度である場合、プローブ11を径1.9 mm
とすることで片側50μmずつのクリアランスを得る。こ
のように微小孔9の内径に対しプローブ径を僅かに小さ
くした場合、クリアランスが微小孔内径に比較して十分
に小さくなることから、プローブ11が内壁9aに接触
するまでの相対移動量が少なくて済む。プローブ11
は、微小孔9のサイズに対応して取り替えることができ
るよう着脱可能であり、プローブ径を変更することで同
一のシステムで多様な内径を測定することを可能として
いる。本実施形態のプローブ11は所定位置に固定配置
され、加振信号を受けて共振振動のみできるようになっ
ている。
【0045】励振手段31は、プローブ11の自由振動
の共振周波数(共振点)又はこの近傍で励振させること
で最大振幅を得るようにしながら微小孔9の中で微小振
動させる装置であり、図5に示すように制御手段33と
接続され、加振信号を受けてプローブ11を振動させる
とともに、共振信号を読み取って制御手段33に送信し
ている。この場合、例えば、内径測定中断中にプローブ
11の共振周波数を再計測し、加振する周波数を微調整
する事により常に感度良く接触検出を行うことが可能と
なる。
【0046】移動手段32は、プローブ11が被測定物
8の微小孔9に挿入された状態でプローブ11と被測定
物8のいずれか一方を移動させる手段で、本実施形態で
はプローブ11側を固定配置し被測定物8側を移動させ
て相対位置を変えるようにしているが、これとは逆にプ
ローブ11側を移動可能に設けてもよいし、プローブ1
1を例えば2軸ステージで動かして相対移動させ、被測
定物8を1軸で動かしてプローブ11を差し入れ又は抜
き出すようにしてもよい。移動手段32は例えばXYZ
の各軸が直交する3軸ステージであり、XYZステージ
制御装置34を通じて制御手段33により制御されてい
る。
【0047】制御手段33は、上述の励振手段31およ
び移動手段32を制御するとともに、プローブ11から
の接触検出信号に基づき接触位置を記録し、内径を算出
する装置であり、XYZステージ制御装置34に対して
は図5に示すように位置指令信号を送信し、位置読み出
し信号を受け取る。また、図5に示すように制御手段3
3はユーザインターフェイス35と接続されている。
【0048】そして、以上説明したように本実施形態の
微小内径測定を行うと、たとえプローブ位置とプローブ
球の中心がオフセットしていた場合でも、そのオフセッ
ト量(ベクトル値)が一定ならば、得られる接触点(例
えば本実施形態の場合は3点)の相対位置関係は変化し
ないため正しい内径を算出する事ができる。
【0049】さらに、本実施形態の測定においてはプロ
ーブ11の球形先端の真球度(または真円度)が重要と
なるが、真球度の良い球は比較的容易に入手できるし、
たとえオフセットがあっても内径測定結果に影響が無い
ため、プローブ11の作成が容易になる。また、図6に
示すように、被測定物8を変更した場合でも、クリアラ
ンスが等しくなるような径を持つプローブ11を選ぶだ
けで対応する事が可能である。
【0050】しかも、被測定物8とプローブ11のうち
少なくとも一方を移動させる移動手段32は、(クリア
ランス×2+α)の範囲で相対移動させることができれ
ば足りるため(ただし、αは正の微小量)、コストと性
能の両面で実現が容易である。特に、分解能を上げたい
場合、測定レンジが内径ではなく(クリアランス×2+
α)になるため、ダイナミックレンジが小さくてすみ、
高分解能化が容易に実現できる。
【0051】なお、上述の実施形態は実施の一例ではあ
るがこれに限定されるものではない。例えば、本実施形
態では移動手段32としてXYZの各軸が直交する3軸
ステージを用いたが、この代わりに、プローブ11を2
自由度ピボットテーブルに固定し、ピボットテーブルを
傾かせたときの傾角を検出することによりプローブ11
の位置や移動量を検出するようにしてもよい。そこで、
以下では、ピボットテーブルを利用した第2の実施形態
について説明する。
【0052】第2の実施形態では、図7に示すように、
移動手段12を2軸ステージであるピボットテーブル2
と、直線機構であるフィーダ36とから構成している。
ピボットテーブル2は、テーブルを微小量傾かせること
によってプローブ11の先端を平面内で近似的に移動さ
せることができる。一方、フィーダ36は、固定された
被測定物8をプローブ11の軸方向にのみ移動させ、微
小孔9に対しプローブ11を抜き差しさせる。
【0053】ここで、図8〜図18を用いてピボットテ
ーブル2について説明する。このピボットテーブル2は
2自由度リンク機構41を構成するもので、ベース42
に対し動き得るように取り付けられ、ベース42に対す
る角度を2方向に変化させ得るようになっている。本実
施形態では、この2自由度リンク機構41のベース42
とピボットテーブル2を主ピボット12aで直接接続
し、さらにベース42とピボットテーブル2を伸縮自在
な第1のアーム13aおよび第2のアーム13bで接続
し、かつ第1のアーム13aおよび第2のアーム13b
とピボットテーブル2との間にアームピボット12b,
12cを介在させ、第1のアーム13aおよび第2のア
ーム13bとベース42との間にアーム下部ピボット4
3,44を介在させている。そして、第1のアーム13
aおよび第2のアーム13bを伸縮させることで、ピボ
ットテーブル2を主ピボット12aを中心として回転
(傾動)させる。
【0054】ベース42は、例えば図9、図10に示す
ように、ピボットテーブル2やプローブ11のベースと
なる固定物であり、図示するように、底部となる平坦状
部42aと、この上に固定された柱状部42bとによっ
て構成されている。
【0055】ピボットテーブル2は、ベース42上に可
動に設けた平板部材である。ここで、本実施形態でいう
可動は主に回転運動をいい、図8〜図10に示すピボッ
トテーブル2は、ピボットテーブル2とベース42とを
接続する主ピボット12aを中心として回転(傾動)可
能である。ピボットテーブル2は、その上面にプローブ
11を保持している。プローブ11は固定的に設けら
れ、それ自身のみで変位することができないがピボット
テーブル2が回転することによって先端位置をいずれの
方向へも変位させることができる。
【0056】主ピボット12aは、上述のベース42と
ピボットテーブル2とを直接接続し、ピボットテーブル
2をこのピボット12aを中心として回転可能状態で保
持するものである。この主ピボット12aは、ピボット
テーブル2を単純に傾かせ得るボールピボットのような
ものでも構わないが、本実施形態ではこれを弾性変形す
る部材で構成し、ピボットテーブル2が水平状態からい
ずれかの方向に傾いたとき復帰力を与えるようにしてい
る。このように、主ピボット12aとして弾性変形する
素材を利用した場合、高い再現性を実現できることに加
え、物性から定まる弾性を利用できることから高い精度
を達成できる利点がある。なお、本実施形態では主ピボ
ット12aを伸縮させず、ベース42に固定的に取り付
けているため精度を獲得しやすく、主ピボット12aの
位置精度が劣るのを回避することもできる。また、本実
施形態では弾性変形する主ピボット12aを図12に示
すように中間細り状に形成している。このような形状と
した場合、図12(A)と(B)に示すように、中立状
態と弾性変形状態とで真の中心位置に大きな差が生じな
いため、ピボットテーブル2の回転中心がほぼ一定し、
回転駆動の精度が向上する。ただし、この主ピボット1
2aの形状は回転中心を安定させた一例に過ぎず、この
ような形状に特に限定されることはない。また、主ピボ
ット12aは傾斜させて設けてもよく、空間上でプロー
ブ11の位置を一義的に定めることができればよい。
【0057】第1のアーム13aおよび第2のアーム1
3bは、それぞれ伸縮自在な部材で、ベース42とピボ
ットテーブル2の間に設けられる。また、ピボットテー
ブル2と第1のアーム13aとの間には2方向への角度
変位を許容する第1のアームピボット12bが介在し、
同様に、ピボットテーブル2と第2のアーム13bとの
間には2方向への角度変位を許容する第2のアームピボ
ット12cが介在する。さらに、第1のアーム13aと
ベース42の間には第1のアーム下部ピボット43、第
2のアーム13bとベース42の間には第2のアーム下
部ピボット44がぞれぞれ介在し、各アーム13a,1
3bを回転可能に支持している。そして、図8に示すよ
うに、主ピボット12aと第1のアーム13aを結ぶk
軸(図中右側を軸の+方向とする)と、主ピボット12
aと第2のアーム13bを結ぶj軸とがピボットテーブ
ル2の回転軸となる。したがって、第1のアーム13
a、第2のアーム13bのいずれかを伸縮させた場合、
ピボットテーブル2はk軸あるいはj軸のいずれかを軸
として回転する。したがって、アーム13a,13bな
らびにアームピボット12b,12c、アーム下部ピボ
ット43,44によってベース42に接続されたピボッ
トテーブル2は、2方向の角度変位が許容される。
【0058】ここで、第1および第2のアーム13a,
13bの伸縮機能については特に限定されることはない
が、本実施形態では各アーム13a,13bの伸縮部分
を圧電素子(例えば積層ピエゾ素子)または磁歪素子を
利用したアクチュエータによって構成し、電歪あるいは
磁歪によって伸縮部分自体に伸び縮みさせている。これ
らを利用した場合、伸縮調整の精度を高めることが可能
となる。
【0059】また、主ピボット12a、第1のアームピ
ボット12b、第2のアームピボット12cは、これら
3つの点によってピボットテーブル2の傾きが一義的に
決定されるよう配置する。すなわち、これら3点は少な
くとも一直線上に並ばないよう配置されていれば足り、
この場合、第1のアーム13aおよび第2のアーム13
bの長さを決めることによってピボットテーブル2の傾
きを一義的に決定することができる。このように、3つ
のピボット12a,12b,12cは一直線上に配置し
ないことが条件だが、好ましくは、図8や図11に示す
ように、主ピボット12aを中心として第1のアームピ
ボット12bおよび第2のアームピボット12cを直角
方向に配置することである。この場合、図8に示すよう
に、主ピボット12aと第1のアーム13aを結ぶk軸
と、主ピボット12aと第2のアーム13bを結ぶj軸
という両回転軸が直交するので、第1のアーム13aを
伸縮させてk軸回りに傾き調整するときはj軸回りの傾
度に影響を与えず、第2のアーム13bを伸縮させてj
軸回りに傾き調整するときはk軸回りの傾度に影響を与
えない。したがって、両アーム13a,13bの伸縮に
よる傾き調整を直交座標上で独立して行うことが可能と
なり、調整が複雑とはならない上、高い調整精度が実現
される。
【0060】さらに、上述の2自由度リンク機構41で
は、ピボットテーブル2の不要な旋回を防止する回り止
め45を設けておくことが好ましく、これにより、ピボ
ットテーブル2が主ピボット12aを中心に周方向へ旋
回してしまうのを阻止することができる。回り止め45
は、例えば図18に示すようにベース42とピボットテ
ーブル2の間に設けたU字型の板ばねで、これにより、
ピボットテーブル2の回転(傾動)は許容しながらもi
軸回りの旋回を阻止することが可能となる。ただし、本
実施形態のように主ピボット12aとして弾性変形する
部材を採用している場合は、この部材の弾性力によって
もピボットテーブル2の不要な旋回を阻止し得る。
【0061】また、ピボットテーブル2の不要な旋回を
防止する他の手段として、各ピボットのうちの少なくと
も1つをヒンジとすることもできる。ここで、「ピボッ
ト」とは2方向に角度変化可能なジョイントであり、
「ヒンジ」とは1方向にのみ角度変化可能なジョイント
を示しているものとする。例えば本実施形態では、図9
に示すように第1のアーム下部ピボット43をヒンジと
することで回転の態様に拘束を加え、第1のアーム13
aがベース42に対しあらゆる方向に動くのを制限する
ことでピボットテーブル2の旋回を防止するようにして
いる。
【0062】以上のように構成された2自由度リンク機
構41では、以下のようにしてピボットテーブル2を回
転させ、プローブ11の先端の変位を調整できる。
【0063】まず、第1のアーム13aの伸縮は、図1
3に示すようにピボットテーブル2およびプローブ11
に対しk軸回りの回転を与える。このときk軸の+方向
から2自由度リンク機構41をみると、図14に示すよ
うに、主ビポット12a及び第1のアーム下部ピボット
43の位置、主ピボット12a−第1のアームピボット
12b間の距離、第1のアーム13aの長さにより太線
の三角形が決定される。そして、主ピボット12aを通
る鉛直軸(またはピボットテーブル2の上面に垂直な
軸)をi軸とおくと、この三角形は、第1のアーム13
aが第1のアーム下部ピボット43により支えられてい
ることによってij面上に構成されることとなる。ここ
で、この三角形において、主ピボット12aと第1のア
ームピボット12bの辺方向をU軸として定義してお
く。
【0064】一方、第2のアーム13bが伸縮した場
合、図15に示すようにU軸回りの回転が与えられる。
図15では第1のアーム13aの伸縮がない状態を示し
ており、U軸はj軸と一致した状態となっている。これ
により、任意方向への角度制御をk軸回りの回転と、回
転後のj軸回り、つまりU軸回りの回転として表現でき
る。そして、第1のアーム13a、第2のアーム13b
を動作させた場合は図16に示すようになる。
【0065】また、与えたい角度に対してのアームの伸
縮は、図17に示すように、三角形のΦ(ピボットテー
ブル2と水平面とがなす角度)を制御することにより行
うことができる。例えば三角形の各辺をL,L,L
とおき(Lは伸縮制御可能とする)、Lが水平面とな
す角度をθとする。そして、τ=Φ+θとすれば、τを
求めることでΦは求まる。余弦定理によれば、
【数8】 L=L +L −2・L・L・cosτ よって、
【数9】cosτ=(L +L −L)/(2・L
・L
【数10】Φ=cos-1{(L +L −L)/
(2・L・L)}−θ よって、可動部であるピボットテーブル2を水平移動さ
せるのではなく、その傾きを調整することができる。こ
の場合、ピボットテーブル2上に設けたプローブ11も
傾きを変え、ピボットテーブル2の傾きに応じて先端位
置を一義的に定める。したがって、2自由度リンク機構
41を駆動することでプローブ11を水平方向に移動さ
せ、空間内における座標を決定することができる。
【0066】以上、ピボットテーブル2について説明し
たが、続いてピボットテーブル2の傾き(位置)を検出
する手段について説明する。本実施形態では、ピボット
テーブルの傾き角度を角度増倍光てこにより検出する事
でプローブ11の位置を検出する。図19〜図27に、
微小内径測定装置10に適用した微小偏角検出装置1に
ついて示す。この微小偏角検出装置1は、ピボットテー
ブル2の微小偏角θに起因して生じるビーム光4の偏角
をミラー部5および拡大光学系6における光てこの作用
で拡大増幅し、この偏角を精度よく測定することによっ
てピボットテーブル2の微小偏角θを検出する。この場
合、プローブ端変位がピボットテーブル2の偏角θに比
例することから、プローブ端の変位を知り、微小孔9の
内径を算出することができる。特に詳しく図示していな
いが、プローブ11を励振するには励振用ユニモルフや
振動板を用いている。なお、図19〜図23では、ケー
スを外した状態の微小内径測定装置を図示している。
【0067】ピボットテーブル2は3点のピボット12
によって支持された円筒形の部材で、振動するプローブ
11を上部に備え、裏面には例えばミラーからなるビー
ム光反射部2aが設けられている。
【0068】ビーム光源3はビーム光4を照射する光源
で、ピボットテーブル2の一部(具体的にはビーム光反
射部2a)にビーム光4を入射角ηで照射する。ビーム
光源3としては例えばコリメート光を出射するLD(レ
ーザ・ダイオード)光源が好ましい。この場合、光源先
端には例えば径1.5mm程度の絞り27を設け、細くて
丸いビームが得られるようにして検出精度を高めること
が好ましい。また、ビーム光源3の出射角度と位置は調
整可能である。
【0069】ミラー部5はピボットテーブル2で反射さ
れた反射ビーム光4の反射部材で、図19に示すように
ピボットテーブル2の裏側に取り付けられてこのピボッ
トテーブル2と等量傾く偏角発生側ミラー5aと、この
ミラー5aに対向するように装置本体に固定された固定
側ミラー5bとからなる。本実施形態では、ピボットテ
ーブル2のビーム光反射部2a(具体的には偏角発生側
ミラー5aの一部)で反射したビーム光4を固定側ミラ
ー5bで反射し、続いて偏角発生側ミラー5aで反射し
た後に拡大光学系6に入射させるようにしている。各ミ
ラー5a,5bは、角度調節できるように設けられてい
る。この場合、直交する2つの角度方向に各々が傾き調
整できれば十分である。
【0070】ここで、両ミラー5a,5bの反射面は通
常時は平行となるように配置されている。したがって、
ピボットテーブル2の偏角が0である場合はいずれのミ
ラー5a,5bとも入射角ηのビーム光4を反射角ηで
反射するが、ピボットテーブル2に偏角が生じた場合に
は偏角を増幅させるように作用する。すなわち、ピボッ
トテーブル2が例えばθの偏角が生じた場合、角度の基
準を図19の上下方向とすると、第1の反射ポイントで
あるビーム光反射部2aからの反射光は(η+2θ)の
角度で固定側ミラー5bに入反射し、再びビーム光反射
部2aに入反射されて(η+4θ)の角度で光学系に入
射する。すなわち、拡大光学系6に入射する時点におい
ては偏角θが4倍されている。
【0071】拡大光学系6は、ピボットテーブル2の微
小偏角θをミラー部5で4倍に増幅したビーム光が入射
し、さらに偏角を拡大する部材で、本実施形態ではビー
ムエキスパンダを逆向きに使用して本来の出射側からビ
ーム光を入射させる。ここで、ビームエキスパンダは本
来はビーム光4の口径を大きくするように作用する光学
系であるが、本実施形態で逆向きに使用されるビームエ
キスパンダは、ビーム径を収束させて細くするととも
に、偏角をさらに増幅するように作用して検出精度を高
めるように作用する。ビームエキスパンダは大きく分け
てケプラー型とガリレオ型とがあり、微小偏角検出装置
1の小型化の観点からは無焦点光学系であるガリレオ型
が好ましいがケプラー型であってももちろん構わない。
なお、ビームエキスパンダを用いた場合、焦点距離の比
が倍率になり、増幅度を上げようとすればビームエキス
パンダの大型化を招くので、微小偏角検出装置1のサイ
ズと倍率の両者を比較考量して焦点距離等を適宜決定す
る。拡大光学系6を通過したビーム光4は全反射ミラー
14で反射した後に受光部7に入射する。
【0072】全反射ミラー14は、ビーム光4を受光部
7側に反射させる機能と、微小偏角検出装置1の光軸付
近を光軸と平行に出射するビーム光4が受光部7の中心
に当たるように調節する機能とを併せ持つ。例えば、ミ
ラー部5による反射で偏角θが4倍に拡大され、拡大光
学系により5倍に拡大されている場合、拡大光学系6の
出射側主点で20倍の偏角が得られ、この主点から受光
部7の距離を仮に50mmに設定すれば、一回反射で拡
大光学系6がない場合の20倍すなわち1000mmの光路
長と同等の効果が得られる。なお、受光部7を光軸上に
配置することによってこの全反射ミラー14は省略する
ことが可能である。
【0073】受光部7は、拡大光学系6から出射され全
反射ミラー14によって反射されたビーム光4を受光す
る。受光部7は、受光したビーム光4の座標位置を測定
可能な位置検出センサとすることができる。位置検出セ
ンサとしては、例えばPSD(Position Sensing Devic
e)等のようにビーム光4の入射した位置を電圧によっ
て1次元的または2次元的に検出する装置の採用が好適
である。また、受光部(位置検出センサ)7は入射位置
と総光量を出力できる構成を有する。この場合、適正な
光量か否かを出力し、光量があらかじめ定めた範囲を逸
脱して位置検出精度が得られないと判断した場合は警報
を発生し、上位コントローラや操作担当者に知らせるよ
うにしていることが好ましい。光量を知ることにより、
ビーム光4が受光部7に入射していないなどの事故(例
えばLDなどの破損や障害物による光路の遮断)を知る
ことができる。
【0074】また、符号15で示すビームスプリッタ
(PBS)は、ミラー部5と拡大光学系6との間でビー
ム光4を光軸方向(拡大光学系6の向き)および光軸と
垂直な方向に分岐し、一方を装置外部に取り出すように
作用する。光軸に垂直な方向は、例えば図27に示すよ
うに紙面に沿った向きとしてもよいし、紙面に垂直な向
きとしてもよい。分岐の際は、ビーム光源3とビームス
プリッタ15の偏光方向によって決まる割合で受光部7
へ入射する光量を連続的に変えることができる。
【0075】さらに、微小偏角検出装置1は偏角発生側
ミラー5aが中点付近となるように予め調整する調整機
構20,21を備えている。図23に示す調整機構20
は偏角発生側ミラー5aの中点角度を設定し、図19に
示すように光路を調整する。一方、図20に示す調整機
構21は固定側ミラー5bの角度を設定し、図21に示
すように光路を調整する。
【0076】続いて、微小偏角検出装置1の光学系(光
てこ)の調整方法について述べる。ここでは、図27に
示すように空気中の無収差光学系側に収差補正用の参照
用位置検出センサ(例えば外部PSD)16を設け、内
部の位置検出センサ(受光部7)と外部の位置検出セン
サ16で同時に偏角θによるスポット変位を測定し、拡
大光学系6の歪みを補正するためのデータを得るように
している。
【0077】ここで、拡大光学系6の調整においては、
中心にそれぞれ小孔17a,18aを穿った第1の光軸
調整部材17および第2の光軸調整部材18を図27の
ように拡大光学系6の入射端、出射端に設けるととも
に、受光部7の位置にコーナーキューブ19を受光部7
の中心とコーナーキューブ19の中心がほぼ一致するよ
うに設け、Aで示す位置からオートコリメータでコリメ
ート光を入射させる。この状態でオートコリメータにコ
ーナーキューブ19で反射した光束が戻るように全反射
ミラー14の角度を調整する。そうしたらコーナーキュ
ーブ19を取り外し、受光部7のPSDカバーガラスか
らの反射光が第2の光軸調整部材18の小孔18aに戻
るように図示しないPSD傾き調整機構で調整する。
【0078】拡大光学系6の調整が出来たら、上述のよ
うに設定した光軸に平行で小孔18aを透過する光束が
得られるようにビーム光源3、偏角発生側ミラー5a、
固定側ミラー5bを調整する。このとき、固定側ミラー
5bは傾きθx、偏角発生側ミラー5aは傾きθy、ビ
ーム光源3はXY水平位置の調整が出来れば十分である
が、各々の素子にθ2軸、XY2軸の計4軸の調整機構
を備えさせればより細かな調整が可能となる。このよう
な調整機構により、上述のように調整した光軸に平行で
拡大光学系6の中心を通るビーム光4を得ることが可能
となる。
【0079】また、ピボットテーブル2の可動範囲の中
心をワーク設置基準としている。つまり、レーザ光学系
の光軸を精度良く調整しても、2自由度ピボットテーブ
ル2の可動範囲中心と光学系の光軸中心を完全に一致さ
せることは出来ない。そこで、図40に示すように、ピ
エゾアクチュエータ28(図23)の可動範囲を調べる
ように指令値をコントローラから出力し、その時の受光
部(PSD)7上のビーム軌跡からピボットテーブル2
の可動範囲の中心を求める。この可動範囲中心がワーク
中心と一致するように治具を調整するとともに、光学系
中心と可動範囲中心を作業者に提示する。なお、図40
はピエゾの駆動電圧が0−150Vとした場合の一例で
ある。
【0080】具体的に説明すると、まず最初にj軸駆動
電圧(一方のピエゾアクチュエータ28の駆動電圧)を
150Vの半分の75Vとし(ステップ81)、k軸駆
動電圧(他方のピエゾアクチュエータ28の駆動電圧)
を0Vにした状態(ステップ82)で、受光部(PS
D)7上の光軸の位置を読み取る(ステップ83,図4
1の(75,0)点)。この後、k軸駆動電圧を10V
高くし(ステップ84)、その電圧が150Vに満たな
ければステップ85からステップ83に戻って受光部7
上の光軸の位置を読み取る。そして、k軸駆動電圧が1
50V(図41の(75,150)点)に達するまでス
テップ83,84を繰り返し実行し、k軸駆動電圧が1
0Vずつ変化したときの受光部7上の光軸の位置を読み
取る。つまり、j軸を中点にした状態のk軸の軌跡を求
める。そして、この軌跡の中点を求め、その位置をk軸
の中点とする(ステップ86)。
【0081】次に、k軸駆動電圧を150Vの半分の7
5Vとし(ステップ87)、j軸駆動電圧を0Vにした
状態(ステップ88)で、受光部7上の光軸の位置を読
み取る(ステップ89,図41の(0,75)点)。こ
の後、j軸駆動電圧を10V高くし(ステップ90)、
その電圧が150Vに満たなければステップ91からス
テップ89に戻って受光部7上の光軸の位置を読み取
る。そして、j軸駆動電圧が150V(図41の(15
0,75)点)に達するまでステップ89,90を繰り
返し実行し、j軸駆動電圧が10Vずつ変化したときの
受光部7上の光軸の位置を読み取る。つまり、k軸を中
点にした状態のj軸の軌跡を求める。そして、この軌跡
の中点を求め、その位置をj軸の中点とする(ステップ
92)。即ち、j軸の中点とk軸の中点より中点(7
5,75)が求まる。なお、図41に、この方法によっ
て中点を求める概念を示す。
【0082】このように実際にピボットテーブル2を動
かしてその可動範囲に対応する受光部7上の光軸の軌跡
を求め、その軌跡からワーク設置基準となる座標中点
(75,75)を求めている。このため、ピボットテー
ブル2の可動範囲の中点を受光部7上に正確に求めるこ
とができる。つまり、微小内径測定装置10を組み立て
てから中点を求めるので、ピボットテーブル2の可動範
囲の中点を受光部7上の中点に一致させるように微小内
径測定装置10を組み立てる場合に比べて、組み立てに
要する精度を緩和することが出来るとともに、ピボット
テーブル2の可動範囲の中点を受光部7上に正確に求め
ることができる。
【0083】なお、図40及び図41の方法では、ピボ
ットテーブル2を十字状に移動させて中点を求めていた
が、この方法に限るものではなく、例えばピボットテー
ブル2を碁盤の目状に動かしながら中点を求めるように
しても良い。即ち、図42に示すように、j軸駆動電圧
を0Vにした状態でk軸駆動電圧を0〜150Vに例え
ば10Vずつ変化させて測定((0,0)点〜(0,1
50)点)した後、j軸駆動電圧を例えば10Vにした
状態でk軸駆動電圧を0〜150Vに例えば10Vずつ
変化させて測定を行う((10,0)点〜(10,15
0)点)。以後、j軸駆動電圧を例えば10Vずつ増や
して同様の測定を繰り返し行う。このようにしてピボッ
トテーブル2の可動範囲を受光部7上に求め、その可動
範囲の対角線の交点を中点(75,75)としても良
い。
【0084】また、本実施形態のようにミラー部5に対
しビーム光4を斜めに入射させ、2次元の偏角を検出す
る場合には、その検出結果に歪みが発生する。例えば、
図27に示す光学系において受光部7で2次元の偏角を
検出する場合、紙面に平行な方向の偏角に対応した受光
部7上のビーム変位は紙面に垂直な方向の変位に対して
cosη(ηはビーム光4と偏角発生側ミラー5aのな
す角)だけ小さくなる。この歪みをコンピュータで補正
するようにする。
【0085】また、拡大光学系6の収差を補正する場合
にあっては、収差補正用の係数を予め求めて記憶してお
き、受光部7の出力を補正して位置データを得ることに
より、正確な偏角検出が行える。さらに、この場合は、
拡大光学系6の2次元位置検出出力の対応関係を表に備
え、この2次元位置検出出力から補正された位置データ
を演算により得るようにすることにより、非線形な収差
の補正を容易に実現できる。
【0086】なお、本実施形態では拡大光学系6の好適
例として逆向き配置したビームエキスパンダを例示した
が、代わりにコリメートレンズを用いることも可能であ
る。コリメートレンズにより焦点をPSDに結ばせれば
偏角に応じて焦点がPSD上を移動するので偏角を知る
ことができる。また、特に図示しないが、拡大光学系6
の前にくさび型プリズムを挿入し、多重反射を得るため
に設定した傾きηを補正することもできる。また、本実
施形態ではビーム光源3としてLDを例示したが、例え
ばファイバ光学系を用いた光源を利用することも好まし
い。この場合、ビーム光源3を装置本体から遠ざけて設
置することが可能となるため、発熱による装置変形に起
因する精度低下を避けやすくなる。また、ビーム光源3
としては、図28に示すようにLD22とコリメータ2
3を組み合わせたもの(符号24はLD駆動回路)、図
29に示すように光ファイバ25とコリメータ23を組
み合わせたもの、図30に示すようにファイバコリメー
タ(商品名「グリーンレンズ/セルフォックレンズ」)
26を用いたものなどを採用することができる。特に、
ファイバコリメータ26を利用すればビーム光源3の小
型化と安定性の向上が図れる。
【0087】また、本実施形態ではミラー部5でビーム
光4を2回(ビーム光反射部材2aにおける反射を含め
て合計3回)反射させるようにしたが、これは好適な一
例に過ぎず、これより多く反射させることももちろん可
能である。また、微小偏角検出装置1の光学系の調整を
する場合、ビーム光源3の偏光方向をビーム光源3を回
転させて変化させ、偏光ビームスプリッタ15の偏光特
性を利用して受光部7への光量を調節するようにしても
よい。この場合、受光部7における光量を適正とするた
めの光量調整をビーム光源3を回転するだけで出来るよ
うになる。ただし、ビーム光源3としてLDでなくファ
イバを利用している場合は、偏光が失われるので、出射
位置に偏光板を挿入してこれを回転させれば良い。
【0088】ここまで微小内径測定装置10におけるピ
ボットテーブル2および微小偏角検出装置1について説
明したが、ここで図7に戻り第2の実施形態における微
小内径測定装置10の制御手段33の構成についても説
明する。制御手段33は、CPU33a等を備えてい
る。CPU33aは位置フィードバック信号によりピボ
ットテーブル2のステージ位置をモニタし、位置指令信
号をピボットテーブル2に送る事でピボットテーブル2
をサーボ駆動し、さらに、パラレル33bを通じてフィ
ーダ制御装置37に指令を出し被測定物8を直線移動さ
せる。そして、CPU33aによりsin波形を発生
し、D/A変換後にプローブ加振信号としてプローブ1
1に供給する。一方、プローブ11からの共振信号をA
/D変換後にCPU33aに取り込み、振幅検出を行
う。また、サーボ移動中も共振振幅をモニタし、振幅が
設定した閾値を下回ったときに接触したと判断し、移動
を中止し、その時の位置を接触位置として記憶する。な
お、CPU33aは上述した円同定も行い、ユーザイン
ターフェイス35を通して結果を提示する。
【0089】続いて、微小内径測定装置10の第3の実
施形態を説明する。上述した第1または第2の実施形態
では少なくとも3点の接触点の座標から内接円を同定し
微小孔9の内径を求めるようにしたが、微小孔9やプロ
ーブ11は常に真円だとは限らないので、まず微小孔9
の内周の仮中心を求め、この仮中心を中心とする円周上
の点を測定することが好ましい。すなわち、プローブ1
1の初期位置が異なる場合、同じ方向へ動かした場合で
も図31に示すように被測定物8とプローブ11の接触
位置が変化することがあり、そうするとそこから算出さ
れる内径値は同じ物を測定しているにもかかわらず異な
った値が出てくる場合があるので、図32のようにワー
ク挿入後(ステップ1)、一度初期位置で内径測定を行
って仮中心を求め(ステップ2)、プローブ11を仮中
心へ移動してから改めて内径を測定し直すことで接触点
をほぼ一定の位置に保ち(ステップ3,4)、同一姿勢
の同一被測定物8に関して安定した測定値を得ることが
可能となる。この場合、微小孔9の内壁にたとえ微小の
凹凸が存在しても安定した測定結果を得ることが可能と
なる。
【0090】続いて、微小内径測定装置10の第4の実
施形態を説明する。本実施形態では、図33に示すよう
に、ここまで説明した微小内径測定装置10のプローブ
11の近傍に温度センサ38と音センサ39を設置し、
制御手段33に接続して、微小孔9の内径測定中に温度
変化あるいは音圧変化等の所定の変動が生じたかどうか
を検出している。この場合、内径測定中に温度、音圧等
の周辺環境を同時に測定し、環境の悪化が認められた場
合にユーザインターフェイス35を介して警告を発し、
測定値の信頼性が低下したことを通知することが可能で
ある。なお、モニタ対象は音圧、温度に限定されること
はなく、例えば風量、振動等、内径測定に影響する他の
要因をモニタすることもできる。また、特に図示してい
ないが、これら外因の影響を排除するため、プローブ1
1と励振手段31とを防音、遮光構造とし、プローブ1
1のみを被測定物8側に突出させた構造とした上で全体
を防振構造とさせることも好ましい。
【0091】続いて、微小内径測定装置10の第5の実
施形態を図34に示す。プローブ11の共振周波数は、
外部からの衝撃、温度変化、経年変化等の様々な要因で
一定値とはならず、共振周波数からずれた周波数でプロ
ーブ11を加振すると共振振幅が減少し、感度が鈍くな
ってプローブ接触の際の誤検出の原因となる場合がある
ので、装置起動中に一定の間隔で共振周波数を調べ(共
振周波数スイープ)、常に共振周波数でプローブ11を
加振できるようにしておくことが好ましい。そこで本実
施形態では、図34に示すようにまず共振振幅をクリア
し(ステップ11)、加振周波数を変更した後に一定時
間待ち(ステップ12,13)、共振振幅を検出してか
ら(ステップ14)共振振幅がそれまでで最大かどうか
調べる(ステップ15)。最大であれば加振周波数を記
憶した後(ステップ16)に、最大でなければ加振周波
数を記憶せずにループを終了するかどうかのステップに
移る(ステップ17)。ループを終了する場合はそのま
ま記憶した加振周波数を設定するが(ステップ18)、
ループを終了しない場合には再びステップ12に戻る。
この場合、測定中断中にプローブ11の共振周波数を再
計測し、加振する周波数を微調整する事により常に感度
良く接触検出を行うことを可能としている。
【0092】続いて、微小内径測定装置10の第6の実
施形態を図35に示す。本実施形態では、被測定物8と
校正用ゲージ40とを並置し、これらを交互に測定して
測定中断中に校正を行う事により精度良く内径計測を行
い得るようにしている。校正用ゲージ40は、内径が基
準値となるよう精度よく作製された微小孔40aを有し
ている。図35では、2軸のピボットテーブル2に被測
定物8と校正用ゲージ40とを別々に配置し、プローブ
11を軸方向に移動させて微小孔9,40aに抜き差し
するようにした微小内径測定装置10を例示している。
【0093】続いて、微小内径測定装置10の第7の実
施形態について説明する。本実施形態では、特に図示し
ていないが、微小孔9の凹凸箇所よりも多いか又は少な
い箇所でプローブ11を内壁9aに接触させるようにし
ている。例えば、軸方向に延びる複数のグルーブ(溝)
が微小孔9内に周方向等間隔に刻まれているような場
合、プローブ11がこれらグルーブの底にのみ接触する
と正確な内径と異なる径が検出されてしまうので、凹凸
箇所と異なる数の点で接触させることにより、少なくと
も1点の接触位置が凹凸箇所からずれるようにしてい
る。
【0094】上述した各実施形態では、プローブ11を
振動させ、プローブ11が内壁9aに接触したことを振
動変化から検出するようにしたが、接触を検出する手段
は特にこれに限られるものではない。例えば、被測定物
8が金属からなる場合、プローブ11と被測定物8に電
圧を印加し、プローブ11の球形先端と内壁9aとの間
の電気的導通の有無から接触したかどうかを検出するこ
とができる。また、電気的導通を利用する以外には、プ
ローブシャンク部分に歪みゲージを設置し、接触発生後
の反力によって発生するシャンクの歪みを検知する事で
接触を検出する事も可能である。
【0095】上述した実施形態では、特徴値として、P
V値やRMS値を用いたがこれに限定されるものではな
く、これ以外の評価値(特徴値)を用いて円形測定物に
関するデータの測定評価方法を求めてもよい。
【0096】また、上述したとおりPV値やRMS値を
用いることで、PV値は最大値と最小値の差なので、ゴ
ミの付着などで測定点一ヶ所のみ大きく値が変動したと
きに敏感に値が変化する。また、その計算方法も簡単で
ある。さらに、RMS値は電気で言う実効値のようなも
ので、得られたデータの、推定円からのばらつき具合を
評価できる。例えば、RMS値が大きい場合、推定円か
らのずれが大きい(突発的ではなく、全体的に)と考え
られる。以上のことより、これらPV値、RMS値を組
み合わせることで、形状が悪いのか、それとも、ゴミの
影響なのかと言うことをある程度推定できる。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の測
定評価方法では、プローブ又は円形被測定物を相対移動
させ、プローブを円形被測定物の測定面に複数点で接触
させ、プローブが測定面と接触したときの接触位置を記
憶し、各接触位置に基づき円を同定することによりプロ
ーブと円形被測定物とのクリアランスを測定し、これに
基づき円形被測定物の測定面の円情報を算出するととも
に、同定した円の中心から各測定点までの距離と同定円
半径の残差を計算し、その計算値の特徴値を求めて予め
記憶したレベル値と比較し、その比較結果により測定エ
ラーを表示するようにしているので、エラー表示に基づ
いて測定結果の信頼性を判断することが出来る。信頼性
の判断の結果、大きな誤差を含むと考えられる測定値を
除いた他の各測定値に基づいて円を同定し直しても良い
し、あるいは測定をし直しても良い。このようにするこ
とで、測定結果の評価が可能になる。また、レベル値の
設定を変えることで、要求される測定精度に応じた評価
を行うことが出来る。
【0098】また、請求項2記載の測定評価方法では、
プローブをその共振周波数又はその近傍で微小振動さ
せ、振動変化に基づいてプローブが円形被測定物の測定
面と接触したことを検出し接触位置を記憶するようにし
ているので、プローブが内壁に接触したことを精度よく
検出することが可能である。
【0099】また、請求項3記載の測定評価方法では、
円形被測定物の測定面の仮中心を求め、この仮中心を中
心とする円周上の点を測定するようにしているので、測
定対象たる微小孔の微視的な形状の影響を一定にし、た
とえ内壁に凸凹があったとしても安定した測定を得るこ
とが可能となる。
【0100】また、請求項4記載の測定評価方法では、
円形被測定物の測定面の凹凸箇所よりも多いか又は少な
い箇所でプローブを測定面に接触させるようにしている
ので、軸方向に延びる複数のグルーブ(溝)が微小孔内
に周方向等間隔に刻まれているような場合であっても、
少なくとも1点の接触位置が凹凸箇所からずれて測定誤
差が少なくなる。
【0101】また、請求項5記載の測定評価方法では、
測定中に温度、音圧、振動等の周辺環境を同時に測定
し、環境の悪化が認められた場合に警告を発し、測定値
の信頼性が低下したことを通知するようにしているの
で、信頼性の高い測定結果が得られなかったとみなせる
とき、その結果を不採用とすることができる。
【0102】さらに、請求項6記載の測定評価方法で
は、円形被測定物が微小孔の内径である場合に、プロー
ブの外径を微小孔の内径に比較して僅かに小さくしてい
るので、プローブが微小孔内壁に接触するまでの相対移
動量が少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】被測定物の微小孔にプローブを挿入した状態を
示す図である。
【図2】図1の状態からプローブを動かして被測定物に
接触した瞬間の状態を示す図である。
【図3】プローブ原位置から120度毎に移動方向を変
えながら残りの2点を測定する様子を示す図である。
【図4】被測定物の内径中心と同心で所定半径の円が得
られる様子を示す図である。
【図5】微小内径測定装置の第1の実施形態を示す構成
図である。
【図6】被測定物を変更した場合でもクリアランスが等
しくなるような径を持つプローブを選んだ場合の様子を
示す図である。
【図7】微小内径測定装置の第2の実施形態を示す構成
図である。
【図8】ピボットテーブルについて説明するための2自
由度リンク機構の平面図である。
【図9】図8に示す2自由度リンク機構の正面図であ
る。
【図10】図8に示す2自由度リンク機構の右側面図で
ある。
【図11】図8に示す2自由度リンク機構をk軸+方向
からみた図である。
【図12】弾性変形する主ピボットを中間細り状に形成
した一例を示す図であり、(A)は変形していない状
態、(B)は変形した状態である。
【図13】第1のアーム伸縮時の2自由度リンク機構を
示す正面図である。
【図14】図13に示す2自由度リンク機構をk軸+方
向からみた図である。
【図15】第2のアーム伸縮時の2自由度リンク機構を
k軸+方向からみた図である。
【図16】第1および第2のアーム伸縮時の2自由度リ
ンク機構を示す正面図である。
【図17】駆動時にアームなどが形成する三角形を示す
図である。
【図18】板ばねで構成した回り止めを示す2自由度リ
ンク機構の部分図である。
【図19】微小偏角検出装置を適用した微小内径測定装
置の内部構造を示す正面図である。
【図20】ピボットテーブルを外した微小内径測定装置
の構造を示す平面図である。
【図21】微小内径測定装置の内部構造を示す左側面図
である。
【図22】微小内径測定装置の内部構造を示す右側面図
である。
【図23】微小内径測定装置の内部構造を示す背面図で
ある。
【図24】微小内径測定装置のピボットテーブルの平面
図である。
【図25】ピボットおよびアーム周辺の構造を示す部分
平面図である。
【図26】光てこの構成を示す概略図である。
【図27】光てこの調整を示す概略図である。
【図28】LDとコリメータを組み合わせたビーム光源
の概略構成を示す図である。
【図29】光ファイバとコリメータを組み合わせたビー
ム光源の概略構成を示す図である。
【図30】ファイバコリメータを用いたビーム光源の概
略構成を示す図である。
【図31】微小内径測定の第3の実施形態を示すもの
で、プローブを同じ方向へ動かした場合でも被測定物と
の接触位置が変化する場合があることを示す図である。
【図32】一度初期位置で内径測定を行って仮中心を求
め、プローブを仮中心へ移動してから改めて内径を測定
し直す場合のフローチャートである。
【図33】微小内径測定装置の第4の実施形態を示し、
プローブの近傍に温度センサと音センサを設置した状態
の構成図である。
【図34】微小内径測定の第5の実施形態を示し、装置
起動中に一定の間隔で共振周波数を調べ(共振周波数ス
イープ)、常に共振周波数でプローブを加振できるよう
にするためのフローチャートである。
【図35】微小内径測定装置の第6の実施形態を説明す
るためのもので、被測定物およびこれと並置した校正用
ゲージとを示す図である。
【図36】本発明を適用した測定評価方法の実施形態の
一例を示し、その全体のフローチャートである。
【図37】本発明を適用した測定評価方法の実施形態の
一例を示し、その円同定を行うサブルーチンのフローチ
ャートである。
【図38】測定データと同定した円との概念図である。
【図39】計算結果の表示例を示す図である。
【図40】ピボットテーブルの可動範囲中心を求める動
作を示すフローチャートである。
【図41】ピボットテーブルの可動範囲中心を求める動
作の概念図である。
【図42】ピボットテーブルの可動範囲中心を求める動
作の他の実施形態を示す概念図である。
【符号の説明】
9 微小孔(円形被測定物) 9a 内壁(円形被測定物の測定面) 10 微小内径測定装置 11 プローブ 31 励振手段 32 移動手段 33 制御手段 38 温度センサ 39 音センサ 40 校正用ゲージ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円形被測定物の輪郭をプローブを用いて
    測定する測定評価方法において、上記プローブ又は上記
    円形被測定物を相対移動させ、上記プローブを上記円形
    被測定物の測定面に複数点で接触させ、上記プローブが
    上記測定面と接触したときの接触位置を記憶し、各接触
    位置に基づき円を同定することにより上記プローブと上
    記円形被測定物とのクリアランスを測定し、これに基づ
    き上記円形被測定物の測定面の円情報を算出するととも
    に、上記同定した円の中心から上記各測定点までの距離
    と同定円半径の残差を計算し、その計算値の特徴値を求
    めて予め記憶したレベル値と比較し、その比較結果によ
    り測定エラーを表示することを特徴とする測定評価方
    法。
  2. 【請求項2】 上記プローブをその共振周波数又はその
    近傍で微小振動させ、振動変化に基づいて上記プローブ
    が上記円形被測定物の測定面と接触したことを検出し接
    触位置を記憶することを特徴とする請求項1記載の測定
    評価方法。
  3. 【請求項3】 上記円形被測定物の測定面の仮中心を求
    め、この仮中心を中心とする円周上の点を測定すること
    を特徴とする請求項1または2記載の測定評価方法。
  4. 【請求項4】 上記円形被測定物の測定面の凹凸箇所よ
    りも多いか又は少ない箇所で上記プローブを上記測定面
    に接触させることを特徴とする請求項1または2記載の
    測定評価方法。
  5. 【請求項5】 測定中に温度、音圧、振動等の周辺環境
    を同時に測定し、環境の悪化が認められた場合に警告を
    発し、測定値の信頼性が低下したことを通知することを
    特徴とする請求項1または2記載の測定評価方法。
  6. 【請求項6】 上記円形被測定物が微小孔の内径である
    場合に、上記プローブの外径を上記微小孔の内径に比較
    して僅かに小さくしていることを特徴とする請求項1か
    ら5のいずれかに記載の測定評価方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008076309A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Nissan Motor Co Ltd タッチプローブ測定方法および測定装置
CN115791384A (zh) * 2023-01-09 2023-03-14 苏州熠品质量技术服务有限公司 一种基于机器视觉的球压试验压痕测量系统

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