JP2003183937A - 分割型ポリアミド系複合繊維 - Google Patents

分割型ポリアミド系複合繊維

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JP2003183937A
JP2003183937A JP2001381635A JP2001381635A JP2003183937A JP 2003183937 A JP2003183937 A JP 2003183937A JP 2001381635 A JP2001381635 A JP 2001381635A JP 2001381635 A JP2001381635 A JP 2001381635A JP 2003183937 A JP2003183937 A JP 2003183937A
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JP
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lactic acid
fiber
poly
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Hiroyuki Watanabe
博之 渡邉
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Nippon Ester Co Ltd
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Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分割型ポリアミド系複合繊維を容易に、しか
も、安定して生産可能にすると共に、生分解性がある重
合体の成分をアルカリ減量することで、廃液処理を含め
た環境に優しい分割型ポリアミド系複合繊維を提供す
る。 【解決手段】 繊維断面においてポリアミド成分1がア
ルカリ易溶性ポリエステル成分2によって複数個に分割
された複合形態を有する分割型ポリアミド系複合繊維で
ある。前記アルカリ易溶性ポリエステル成分2は、光学
純度70%〜100%のポリL乳酸と光学純度70%〜
100%のポリD乳酸とが30/70〜70/30の比
率で構成された結晶融解開始温度180℃以上のポリ乳
酸ステレオコンプレックスである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維断面において
ポリアミド成分が生分解性を有するアルカリ易溶性ポリ
エステル成分によって複数個に分割された複合形態を有
する分割型ポリアミド系複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド系繊維は、汎用素材として産
業資材や、衣料用、一般家庭資材、土木、農業資材、衛
生材料などに幅広く用いられている。これは繊維強力が
高く、ヤング率がポリエステル繊維に比べ低いことでド
レープ性に優れていることや、染色性に優れているため
である。しかし、アルカリ処理による減量ができないた
めフィブリル化などの機能性を付与することが困難で、
その他の機能性素材として展開し難いという問題があっ
た。
【0003】こうした問題に対し、繊維断面においてナ
イロン6やナイロン66のようなポリアミド成分がアル
カリ易溶性ポリエステル成分によって複数個に分割され
た複合形態を有する分割型ポリアミド複合繊維(例えば
特開2001−115337号公報)や、前記繊維を用いた布帛、
不織布をアルカリ水溶液で処理してアルカリ易溶性ポリ
エステル成分を除去し、極細繊維や異形断面繊維を生成
させ、種々の機能を有する布帛、不織布を得る方法が種
々提案されている。しかし、これらの繊維では、アルカ
リ易溶性成分として採用されている共重合ポリエステル
が生分解性を有していないため、アルカリ易溶性成分を
溶解させた廃液が自然環境に対して悪影響を及ぼすこと
が問題となっていた。
【0004】この問題を解決する方法として例えば、特
開平11−302926号公報や特開2000-54228号公報には、ア
ルカリ易溶性成分として、生分解性を有する脂肪族ポリ
エステルを用いた分割型複合繊維が開示されている。し
かしながら、一般に生分解性を有する脂肪族ポリエステ
ルは融点が低く、ナイロン6のようなポリアミドを紡糸
する温度領域では熱劣化が激しく、紡糸操業性が著しく
悪化するため、ポリアミドと生分解性を有する脂肪族ポ
リエステルとを複合紡糸するのは困難であるのが現状で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、優れた柔軟性と風合いを有し、嵩高性、ドレ
ープ性、ワイピング性に優れた布帛や不織布を得るのに
好適な分割型ポリアミド系複合繊維を、容易に、しか
も、安定して生産可能とすると共に、生分解性がある重
合体の成分をアルカリ減量することで、廃液処理を含め
た環境に優しい分割型ポリアミド系複合繊維を提供する
ことを技術的な課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするもので
ある。 (1) 繊維断面においてポリアミド成分がアルカリ易溶性
ポリエステル成分によって複数個に分割された複合形態
を有する分割型複合繊維であって、前記アルカリ易溶性
ポリエステル成分が、光学純度70%〜100%のポリ
L乳酸と光学純度70%〜100%のポリD乳酸とが3
0/70〜70/30の比率で構成された結晶融解開始
温度180℃以上のポリ乳酸ステレオコンプレックスで
あることを特徴とする分割型ポリアミド系複合繊維。 (2) 前記ポリアミド成分がナイロン6であることを特徴
とする上記(1) 記載の分割型ポリアミド系複合繊維。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の分割型ポリアミド系複合繊維は,繊維断
面においてポリアミド成分がアルカリ易溶性を有するポ
リ乳酸ステレオコンプレックス成分によって複数個に分
割された複合形態となるように両成分を常法によって複
合紡糸することにより得られるものである。
【0008】すなわち、まず、従来公知の溶融複合紡糸
法で紡糸され、横吹付や環状吹付等の従来公知の冷却装
置を用いて、吹付風により冷却された後、油剤を付与さ
れ、引き取りローラを介して未延伸糸として巻取機に巻
取られる。巻取られた未延伸糸は、公知の延伸機にて周
速の異なるローラ群間で延伸され、必要に応じて油剤の
付与が行なわれる。目的とする繊維が短繊維の場合は、
必要に応じてクリンパーなどでの機械クリンプの付与を
行い、ECカッタ−、ギロチンカッタ−などのカッター
で目的とする長さに切断すればよい。目的とする繊維が
長繊維の場合は、そのまま捲き取り、必要に応じて、仮
撚加工等の加工を行う。
【0009】このようにして得られる分割型ポリアミド
系複合繊維は、繊維の状態のまま、もしくは布帛、不織
布となした後にアルカリ水溶液にてアルカリ易溶性を有
するポリ乳酸ステレオコンプレックス成分が溶解除去さ
れる。アルカリ溶解処理を施す段階は、目的とする布
帛、不織布の機能、アルカリ溶解後に残る繊維の単糸繊
度等により任意に決定すればよく、特に限定されるもの
ではない。
【0010】本発明の分割型ポリアミド系複合繊維の横
断面の具体例を図1で模式的に示すが、本発明の分割型
ポリエステル複合繊維の横断面は、これらに限定される
ものではなく、扁平断面、中空断面等、周知の形状のい
ずれであってもよい。図1において、1はポリアミド成
分、2はアルカリ易溶性ポリエステル成分であり、
(A)は3葉断面、(B)は4葉断面、(C)は花弁型
断面の複合繊維である。
【0011】ポリアミド成分とアルカリ易溶性を有する
ポリ乳酸ステレオコンプレックス成分との複合比率は、
複合繊維の単糸繊度、分割数、アルカリ溶解後に残る繊
維の単糸繊度等を考慮して決定すればよく特に限定され
るものではないが、通常、95/5〜30/70、好ま
しくは90/10〜50/50の質量比の範囲で決定さ
れる。
【0012】また、分割型ポリアミド系複合繊維の単糸
繊度、繊維長などの繊維物性は、繊維に要求される特性
に応じて適宜決定すればよく、分割数、分割後の単糸繊
度等にもよるが、生産性、操業安定性から単糸繊度の範
囲は概ね1〜6dtexである。
【0013】単糸繊度が1dtex未満では、目的とす
る断面形態が得られ難くなり、また、溶融紡糸する際の
紡糸口金の単孔当たりの吐出量が低下し、生産量が低下
する傾向を示す。一方、生産量を向上させるために、紡
糸口金の孔数を増加させると、紡糸工程が不安定にな
る。単糸繊度が6dtexを超えると、分割後の繊度が
太くなり、分割後に細繊度の単糸を得ようとすると分割
数が多くなるため、煩雑な紡糸装置が必要となるため、
好ましくない。
【0014】一方、分割数が多ければ分割後の繊度が小
さくなるという利点があるが、逆に分割後の個々の形態
が均一になり難いという問題もあり、実際には両成分の
合計で分割数を4〜30とすることが好ましい。
【0015】本発明において、分割型ポリアミド系複合
繊維を構成するポリアミドとしては、ナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン46、ナイロン12などが挙げら
れ、中でも、好ましく用いられるポリアミド成分はナイ
ロン6である。ナイロン6は比較的低融点であるため、
複合繊維の溶融紡糸時にポリ乳酸ステレオコンプレック
ス成分の熱劣化を抑制することが可能となり、紡糸操業
性の安定化を図ることができる。また、ポリアミドに
は、少量の酸化防止剤のような安定剤や蛍光剤、顔料、
抗菌剤、消臭剤、強化剤等を添加してもよい。
【0016】次に、本発明に用いるポリ乳酸ステレオコ
ンプレックスの結晶融解開始温度は180℃以上である
ことが必要である。特にポリアミドと複合紡糸すること
を考慮すると、好ましくは結晶融解開始温度は200℃
以上である。通常、ポリアミドを溶融紡糸する温度は2
30℃以上と高温であるため、結晶融解開始温度が18
0℃未満である生分解性を有する脂肪族ポリエステルで
は、ポリアミド成分と複合紡糸する際に熱劣化が激し
く、紡糸操業性が著しく低下する。
【0017】さらに、本発明に用いる分割型ポリアミド
系複合繊維を構成するアルカリ易溶性ポリエステル成分
は光学純度70%〜100%のポリL乳酸と光学純度7
0%〜100%のポリD乳酸とが30/70〜70/3
0の質量比率で構成されたポリ乳酸ステレオコンプレッ
クスであることが必要である。ポリL乳酸及びポリD乳
酸の光学純度が70%未満であると、ポリL乳酸とポリ
D乳酸により構成される立体特異的な結合を阻害するた
め、結晶融解開始温度を180℃以上とすることが困難
となる。
【0018】また、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを
構成するポリL乳酸とポリD乳酸の混合比率は質量比率
で30/70〜70/30、特に40/60〜60/4
0とすることが好ましい。ポリL乳酸とポリD乳酸の混
合比率が30/70〜70/30の範囲を外れると、ポ
リL乳酸とポリD乳酸により構成される立体特異的な結
合を阻害するため、結晶融解開始温度を180℃以上と
することが困難となる。
【0019】ポリL乳酸とポリD乳酸を混合してポリ乳
酸ステレオコンプレックスを得る方法としては、ポリL
乳酸とポリD乳酸を個々に溶融した後、溶液混合する方
法、ポリL乳酸ペレットとポリD乳酸ペレットを混合し
た後、溶融する方法などが例示できるが、いずれの方法
であってもよい。本発明で用いられるアルカリ易溶性成
分であるポリ乳酸ステレオコンプレックス成分の極限粘
度は特に限定されるものではないが、溶融紡糸を円滑に
行う点から、複合紡糸するポリアミドと同等の溶融粘性
を示すものが好ましい。
【0020】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例における特性値等の測定法は次のと
おりである。 (1)単糸繊度(dtex) JIS L−1015の方法により測定した。 (2)融点(℃) パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−2型を
用い、重合体試料約5mg、窒素中、昇温速度10℃/
分、280℃で5分ホールドし、降温速度10℃/分で
20℃まで降温し、再び昇温速度10℃/分で280℃
まで昇温させたときの最大融解発熱ピーク温度を融点と
した(以下、TmPと記す)。 (3)結晶融解開始温度(℃) パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−2型を
用い、重合体試料約5mg、窒素中、昇温速度10℃/
分、250℃で5分ホールドし、降温速度10℃/分で
20℃まで降温し、再び昇温速度10℃/分で280℃
まで昇温させたときのDSC曲線で吸熱ピークの開始
(onset)する温度を結晶融解開始温度とした(以
下、TmSと記す)。 (4)相対粘度 96%硫酸を溶媒として、濃度1g/dl、温度25.
0℃で測定した。 (5)製糸性 孔数850孔の丸断面複合紡糸ノズルを用い、16錘で
3日間紡糸し、1日1錘当たりの糸切れ回数が3回以下
を合格(○)とし、糸切れ回数が3回を超えるものを不
合格(×)とした。
【0021】実施例1 分割型ポリアミド系複合繊維を構成する成分として、相
対粘度が2.53、TmPが215℃のナイロン6と、
光学純度が99%のポリL乳酸と光学純度が99%のポ
リD乳酸の混合比率が質量比50/50で構成され、T
mSが206℃のポリ乳酸ステレオコンプレックスとを
使用し、孔数850孔、繊維断面形状の分割数が20個
(ナイロン6成分とポリ乳酸ステレオコンプレックス成
分との合計)になる丸断面複合紡糸口金を用い、複合比
を溶融容積比で50/50、紡糸温度240℃、紡糸速
度1100m/分で溶融紡糸し、分割型ポリアミド系複
合繊維の未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を
延伸温度60℃、延伸倍率3.15倍で延伸した後、押
し込み式クリンパーにて機械捲縮を付与し、仕上げ油剤
を付与した後に切断し、繊度2.8dtex、繊維長5
1mmの分割型ポリアミド系複合繊維を得た。
【0022】得られた分割型ポリアミド系複合繊維をカ
ード機で開繊し、目付80g/m2のウエブを作成し
た。次いで、このウエブを100メッシュスクリーンか
らなるネットコンベアーに載置し、孔径0.12mm、
孔間隔1.0mmの噴射孔を複数個有する噴射ノズルを
3段階に設け、前段1960kPa、中段2940kP
a、後段2940kPaの水圧でウエブの表裏に水流交
絡処理を施してウエブの構成繊維の交絡のみを行い、目
付80g/m2 の不織布を得た。得られた不織布(試料
10g)を、NaOH7%水溶液、浴比1:10、70
℃中で15分のアルカリ処理を施し、不織布を得た。両
成分の構成と製糸性の評価結果を表1に示す。
【0023】実施例2〜6、比較例1〜4 分割型ポリアミド系複合繊維を構成する成分であるポリ
アミド成分、及びアルカリ易溶性成分であるポリ乳酸ス
テレオコンプレックスのポリL乳酸、ポリD乳酸の光学
純度及び混合比率を変更し、結晶融解開始温度を表1に
示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法で分
割型ポリアミド系複合繊維と不織布を得た。両成分の構
成と製糸性の評価結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかなように、実施例1〜6で
は、いずれも紡糸操業性が良好で、目的の分割型ポリア
ミド系複合繊維と不織布が得られた。一方、比較例1、
2は、ポリL乳酸又はポリD乳酸の光学純度が低いた
め、また、比較例3、4は、ポリ乳酸ステレオコンプレ
ックスのポリL乳酸とポリD乳酸の混合比率が偏ったた
め、いずれも結晶融解開始温度が低くなり、製糸性が不
良であった。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、アルカリ溶解時に発生
する廃液中に含まれるアルカリ易溶性ポリエステル成分
であるポリ乳酸ステレオコンプレックスが自然界で自然
分解することから、廃液による環境破壊、環境汚染を大
幅に軽減することができ、しかも、従来の分割型ポリア
ミド系複合繊維と同様に優れた柔軟性と風合いを有し、
嵩高性、ドレープ性、ワイピング性に優れた布帛や不織
布を得るのに好適であり、かつ、安定して生産可能な分
割型ポリアミド系複合繊維が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)、(C)は、本発明の分割型ポ
リアミド系複合繊維の横断面の具体例を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 ポリアミド成分、 2 アルカリ易溶性ポリエステル成分

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維断面においてポリアミド成分がアル
    カリ易溶性ポリエステル成分によって複数個に分割され
    た複合形態を有する分割型複合繊維であって、前記アル
    カリ易溶性ポリエステル成分が、光学純度70%〜10
    0%のポリL乳酸と光学純度70%〜100%のポリD
    乳酸とが30/70〜70/30の比率で構成された結
    晶融解開始温度180℃以上のポリ乳酸ステレオコンプ
    レックスであることを特徴とする分割型ポリアミド系複
    合繊維。
  2. 【請求項2】 前記ポリアミド成分がナイロン6である
    ことを特徴とする請求項1記載の分割型ポリアミド系複
    合繊維。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007031873A (ja) * 2005-07-26 2007-02-08 Nippon Ester Co Ltd 分割型複合繊維及び繊維構造物
JP2008069463A (ja) * 2006-09-12 2008-03-27 Toray Ind Inc 不織布の製造方法および人工皮革基材の製造方法

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