JP2003183742A - 高炉用焼結鉱原料の造粒方法 - Google Patents

高炉用焼結鉱原料の造粒方法

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JP2003183742A JP2001383263A JP2001383263A JP2003183742A JP 2003183742 A JP2003183742 A JP 2003183742A JP 2001383263 A JP2001383263 A JP 2001383263A JP 2001383263 A JP2001383263 A JP 2001383263A JP 2003183742 A JP2003183742 A JP 2003183742A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 造粒性を向上させるために、焼結鉱原料が有
する造粒特性に応じて原料配合条件やバインダー添加条
件の適切化を図る方法を開発する。 【解決手段】 ブレンディング粉に含有される難造粒性
原料の含有率に応じて、当該ブレンディング粉に添加す
べきバインダーの添加率、加湿水分を決定する。決定に
当たり、適切な造粒モデルを用いる。少なくとも、微粉
部分の原料同士が合体して擬似粒子径が成長するプロセ
ス、原料が擬似粒子化されていく過程で擬似粒化物が崩
壊するプロセス、及び崩壊した粒片が再び擬似粒化する
プロセスのすべてを包含する。パラメーターとして、造
粒寄与率π、原料粒度毎の造粒確率、崩壊確率を、予め
所定方法で評価し、造粒モデルで擬似粒子の粒度分布を
予測する。原料の造粒ないし崩壊する確率は、原料の粒
度別表面物理化学特性、鉱種等により決まる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高炉で使用され
る製鉄用原料としての焼成塊成鉱を製造するために、そ
の原料である焼結鉱原料を焼結機に装入するに先だっ
て、焼結機で焼成するのに適した焼結鉱原料の造粒物
(擬似粒子)を調製するための適切な事前処理技術に関
するものである。特に、焼結鉱原料が有する造粒特性に
応じて、原料の配合条件や原料に添加するバインダー添
加条件の適切化、あるいは焼結原料中の特に鉄鉱石の粒
度分布の事前調整をすることにより、入荷原料に適した
焼結鉱原料の事前処理技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】わが国の鉄鉱石資源の第一位は豪州鉱石
であり、その比率は50%以上に達しており、第二位の
南米鉱石の2倍以上に達している。豪州鉄鉱石は、フレ
ートの優位性からも今後ますますその重要性は高まるも
のと考えられる。ところで、豪州鉱石の内訳をみると、
残存埋蔵量の少ない粗粒低りんブロックマン鉱石の供給
が今後ますます減少し、これに代わり高りんブロックマ
ン鉱石や微粉マラマンバ鉱石が増加する方向に向かうと
されている。このマラマンバ鉱石は比較的品位が高く、
高微粉炭吹込み高炉の安定操業からのニーズの高い低シ
リカ焼結鉱の製造原料として優れている。しかしなが
ら、その反面、マラマンバ鉱石は微粉比率が高く、しか
も粒子間の付着力が弱く、難造粒性の原料であるとされ
ている。
【0003】一方、焼結操業における生産率の限界は、
従来は焼結機に装入される焼結原料に添加されている粉
コークスの燃焼速度に依存していた。当該焼結原料の形
態は、一般に所定の焼結鉱原料に粉コークスが添加され
て造粒された擬似粒子形態を有する。ところで、この擬
似粒子形態の原料の焼結技術において最近、目覚しい技
術改善がなされ、焼結原料中の粉コークスの燃焼速度が
向上した。その結果、焼結操業における生産率の律速段
階は、焼結原料中の粉コークスの燃焼速度から、焼結機
における焼結ベッド内の通気性に移った。
【0004】従って、上述したマラマンバ鉱石等の難造
粒性原料を用いて、高生産性且つ高歩留の焼結操業を行
なっていくためには、焼結ベッド内の通気性を改善する
ことが重要な技術課題となる。
【0005】そこで、本発明者は、難造粒性の微粉原料
を多配合した焼結鉱原料を用いて、高生産性の焼結操業
技術を開発することを本発明の目的とした。かかる観点
から、焼結鉱原料の適切な造粒メカニズムを明確にし、
造粒プロセスにおける適切な造粒モデルを開発し、当該
造粒モデルに基づき、焼結操業における焼結鉱原料の事
前処理方法の改善を試みることにした。
【0006】上記観点から、先ず、従来の焼結鉱原料の
造粒モデルを概観し、その問題点を明らかにした。
【0007】これまでに提案されている焼結鉱原料の焼
結に先立つ造粒処理プロセスのシミュレートに関する造
粒モデルとして、例えば、鉄と鋼、73(1987),
1932には、ディスクペレタイザーとドラムミキサー
内での粉鉱石の造粒挙動を物質収支式で整理し、擬似粒
子化はこれら造粒機内での総転動距離で決まるとし、ま
た造粒特性に関してディスクペレタイザーの方がドラム
ミキサーよりも優れていることを明らかにしている(以
下、先行技術1という)。ところが、先行技術1の造粒
モデルは、その目的が主として造粒システムの設計に焦
点が絞られており、実用の大型ドラムミキサーあるいは
ディスクペレタイザーの造粒現象を評価するモデルとは
いい難い。
【0008】一方、5th Int.Sympo.on
Agglomeration,(1989),33に
は、ドラムミキサー内での擬似粒子の成長を核粒子の周
りに付着粒子が被覆して粒径拡大が図られることを、ポ
ピュレーションバランスモデルで解析しており、擬似粒
子の粒径拡大には微粉粒子の粒径が重要な役割を果たす
ことを報告している(以下、先行技術2という)。先行
技術2の造粒モデルは、粒度分布範囲の広い原料を対象
としてその造粒現象を、数学的・実験的に明らかにして
おり、焼結鉱原料の事前処理工程での造粒現象を評価す
るのに適している。しかしながら、先行技術2では、も
っぱら擬似粒子の成長は核粒子の表層に被覆粒子層が成
長するものであると仮定しているので、微粉原料同士が
合体し、粒子径が成長する所謂ペレットプロセス、ある
いは微粉原料を多量に使用する所謂HPSプロセス(鉄
と鋼、78(1992),1029参照)まで、先行技
術2の造粒モデルの適用を拡大することが可能か否かに
ついては明らかでない。また、通常の造粒工程において
は、不完全に造粒された擬似粒子は一旦崩壊し、再度造
粒に移行するが、先行技術2では、構成の現象はその造
粒モデルからは除外されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した通り、先行技
術1及び2の造粒モデルでは、焼結鉱原料をドラムミキ
サーあるいはディスクペレタイザーで擬似粒化する状況
をシミュレートする目的に使用するには問題がある。
【0010】上述した造粒モデルの問題点を解決するた
めに、本発明者は、実用の大型ドラムミキサーあるいは
ディスクペレタイザーの造粒現象を評価し得るモデルで
あって、微粉原料同士が合体して粒子径が成長する所謂
ペレットプロセス、あるいは微粉原料を多量に使用する
所謂HPSプロセスを考慮すると共に、更に、造粒過程
における擬似粒子のある部分については、一旦崩壊した
後、再度造粒に移行して粒径が拡大するプロセスを考慮
した造粒モデルを構築することにした。そして、造粒操
作で得られる擬似粒子の情報としては、前述したよう
に、焼結機の焼結ベッド内における通気性が良好に保持
され得る擬似粒子であるか否かの評価をすることができ
るようにするために、擬似粒子の平均粒径のみでなく、
その粒度分布も明らかとなる造粒モデルの構築を目指し
た。
【0011】かくして、この発明が解決すべき課題は、
上述した従来の造粒モデルにおける問題点を解決するこ
とにより、焼結鉱原料の造粒機による擬似粒子化状況を
精度よくシミュレートすることができる造粒モデルを構
築し、当該造粒モデルを実操業における造粒工程で活用
することにある。
【0012】従って、この発明の目的は、上記課題を解
決することにより、与えられた焼結鉱原料を、バインダ
ーの適正添加により焼結ベッド内の通気性が良好となる
擬似粒子に造粒し、もって、難造粒性の微粉原料を多配
合した焼結鉱原料を用いて、高生産性の焼結操業を可能
とする高炉用焼結鉱原料の造粒方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、焼結鉱原料
を適切に造粒して、焼結機操業中における焼結ベッド内
の通気性を改善するためには、従来提案されている造粒
モデルの問題点を解決し、造粒機構を一層正確に反映し
た造粒モデルを構築し、これに基づく考え方で造粒前の
焼結鉱原料の事前処理を施すことにより、この発明の目
的を達成し得ることがわかった。
【0014】I.上記観点から新造粒モデルを次の通り
構築した。
【0015】[1] ディスクペレタイザーあるいはド
ラムミキサー等造粒機内における焼結鉱原料の造粒・崩
壊挙動現象を次の通り考える。
【0016】造粒機の代表的機種としてディスクペレタ
イザーをとりあげ、その造粒挙動現象を図1に模式的に
示す。即ち、1回の単位転動造粒プロセスにおいて、焼
結鉱原料の造粒挙動現象として、下記4通りを考える。
即ち、微粉原料同士の合体あるいは微粉原料が粗粒原
料の表層部に付着し成長する場合、微粒擬似粒子同士
の合体により成長する場合、脆弱擬似粒子の崩壊と細
粒化が生じる場合、及び供給原料が造粒に寄与せず、
そのまま微粉原料として残留する場合に分ける。
【0017】大型ディスクペレタイザーを例にとると造
粒機内では通常、数千万から数億個の擬似粒子が相互作
用を受けつつ、上記4通りの現象が同時に起こりなが
ら、しかも全体としては擬似粒子の粒径拡大方向に進
む。従って、焼結鉱原料の1回の単位造粒操作によって
得られる擬似粒子の平均粒径及び粒径分布は、上記4通
りの挙動現象の、焼結鉱原料の造粒過程における造粒・
崩壊挙動に対する寄与率に依存する。
【0018】ここで、各種原料から構成されている焼結
鉱原料に対して、4通りの挙動現象がどのように寄与す
るかは、造粒機を一定の機種に限定した場合には、鉱石
や雑原料等主原料、造滓剤としての副原料、及び生石灰
等バインダーで構成される各原料種の種類と量、並びに
加湿水分の添加量に依存する。上記において、上記4通
りの挙動現象の主原料その他の各原料種の種類に依存す
るのは、当該各原料種はそれぞれ固有の物理化学的性状
と粒度分布を有するからである。
【0019】わが国の製鉄所で使用される主原料として
の鉄鉱石は海外鉄鉱石資源に依存するため、その銘柄数
は20〜30種類に達する。これら多数の鉱石の銘柄や
鉱種のそれぞれについて、造粒プロセスにおける挙動現
象に大きな影響を及ぼす因子は、主として鉱石表面の物
理化学特性であり、濡れ性、吸水性、膨潤性、表面の凹
凸及び緻密性が影響因子として重要である。従って、例
えば、前述したマラマンバ鉱石のように、微粉比率が高
く、しかも粒子間の付着力が弱く、難造粒性の原料でも
当該鉱石の上記のような表面物理化学特性により、上記
4通りの造粒挙動現象に対する寄与率が決定される。よ
って、この新造粒モデルを用いて、焼結鉱原料の造粒性
を精度よくシミュレートするためには、各鉱種及び銘柄
の鉱石について、表面物理化学特性から上記の寄与率を
適切に評価して求めることが重要であり、しかも、各鉱
石の粒度別にその寄与率を求める必要がある。
【0020】上記寄与率の評価の必要性は、鉱石以外の
主原料として鉄源の一種として用いられる製鉄所で発生
する各種ダスト、副原料である造滓剤としての蛇紋岩、
珪石、石灰石及びドロマイト等、並びに、造粒のバイン
ダーとして添加される生石灰、消石灰、ベントナイト及
びパルプ廃液等についても、鉱石に準じるものである。
ここで、バインダーを焼結鉱原料を構成する1要素であ
るとしたのは、例えば、生石灰は加湿水分の水と反応し
て膨潤するが、その際周囲の原料を引き込む挙動を示す
ので、造粒における一種の核粒子と考えるからである。
【0021】更に、使用する造粒機の機種(造粒形式)
の違いによっても、その寄与率は変化する。
【0022】こうして、1回目の単位造粒操作が終了
後、2回目、3回目、・・・・、n回目と所定回数の単
位造粒操作を繰り返し、全体として造粒が進行する。
【0023】[2] 次に、上記考え方に従った造粒モ
デルの構築手段について述べる。
【0024】上記[1]項において述べた焼結鉱原料の
造粒過程においては、複雑な現象が同時に起こってお
り、これらの相互作用を考慮した既存提案力学的モデル
では、得られる結果に限界がある。そこで、本発明者
は、確率モデル即ち造粒過程では複雑な現象が同時に起
こり、個別擬似粒子の成長過程を決定することは不可能
であり、可能であるのは造粒及び崩壊確率のみであると
する確率モデルを導入し、以下の通り、新造粒モデルを
構築した。この確率モデルは、石炭の粉砕過程で粉砕マ
トリックスとこれを構成する粉砕確率要素とを数学モデ
ルに設定することにより、その粉砕現象を解析するのに
用いている例がある(J.Inst.Fuel,29
(1956)524)。本発明者は、確率モデルの導入
の応用として、上記石炭の粉砕プロセスとは正反対の現
象である、焼結鉱原料の造粒プロセスの解析に応用した
ものであり、この点において本発明者は上記例に対する
逆転の発想に基づき、新造粒モデルを構築するものであ
り、これは焼結鉱原料の図1で示した造粒・崩壊挙動過
程において、造粒・崩壊マトリックスとこれを構成する
造粒・崩壊確率要素を数学モデルに設定することによ
り、所謂造粒現象をモデル化したものである。
【0025】先ず、原料が単位造粒操作を受けると、図
1に示したように、造粒部分と未造粒部分とに分かれ
る。以下、被造粒操作粒子が単位造粒操作を受ける1回
毎の造粒操作前後における擬似粒化状況を説明する。
【0026】(1)1回目の単位造粒操作による原料の
擬似粒化 いま、単位造粒操作前の原料の粒度分布及び1回目の単
位造粒操作後の粒度をそれぞれの粒度に応じたベクトル
F及びGで表示すると、下記(1)及び(2)式が得ら
れる。
【0027】 F=(f1,f2,f3,‥‥,fnT‥‥‥‥‥‥‥‥(1) G=(g1,g2,g3,‥‥,gnT‥‥‥‥‥‥‥‥(2) ここで、f1,f2,f3,‥‥,fn及びg1,g2
3,‥‥,gnは、造粒前後における原料及び擬似粒子
を、篩目の細かい1番目から粗いn番目まで順次、篩で
篩分け、篩目の1番目からn番目までの各篩上に留まっ
た重量比率、即ち、各篩目の粒度範囲(即ち、各粒度)
にどれだけの量が入っていたかを表わし、それぞれ原料
及び擬似粒子の篩上重量比率(−)を示す。
【0028】原料の造粒特性は、前述したように各原料
種毎の、主として当該原料種毎の表面の物理化学特性で
ある、濡れ性、吸水性、膨潤性、表面の凹凸及び緻密性
に依存する。いま、原料条件、例えば、鉱種、バインダ
ー、加湿水分等の原料条件が一定のもとで、1単位造粒
操作による造粒比率をπ(−)とすると、一番細かい粒
度は、原料比率f1が下記(3)及び(4)式に分かれ
る。
【0029】 造粒に寄与した重量比率:w1=πf1 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(3) 造粒に寄与しなかった重量比率:w2=(1−π)f2 ‥‥‥‥(4) (3)式で表わされる造粒された擬似粒子は、ある粒度
分布を有する擬似粒子群であるとみなすことができる。
一方、擬似粒子になる場合、どの粒度(粒度範囲)に造
粒されるかは、造粒条件に応じた、原料の粒度分布毎に
決まる造粒確率に依存する。この原料の粒度分布毎の造
粒確率をqij(−)とすると、qij(−)は、粒度jの
原料が造粒されて、粒度iの擬似粒子となる確率を表わ
す。ここで、i=1,2,‥‥,n、j=1,2,‥
‥,nである。但し、i<jのqij(−)は、粒度jの
原料が崩壊して、粒度iの崩壊擬似粒子となる崩壊確率
を表わす。このように、qij(−)は、造粒ないし崩壊
確率を表わすから、0及び1.0を含む0〜1.0の範
囲内の任意の値をとり得る。更に具体例で説明する。
【0030】(1−)1回目の単位造粒操作による粒
度−0.125mm(最小粒径原料)の原料部分の擬似
粒化の確率 図2は、初期原料が1回目の単位造粒操作により、擬似
粒子化される場合であって、最も細かい粒度の原料部分
が造粒操作により、どのような粒度の粒子部分に移行す
るかを、重量確率を用いて説明する模式図である。即
ち、1番目の篩目サイズを0.125mmに設定し、そ
の篩下の原料部分を粒度番号1の原料部分と称し、粒度
を−0.125mmという。図2は、粒度−0.125
mmの原料部分が造粒されるか、あるいは未造粒のまま
留まるかについて、それらの粒度移行状況を重量確率で
説明する図である。なお、同図中において、2番目の篩
目サイズを1.00mmに設定し、1番目の篩目サイズ
サイズ0.125mmの篩上であって2番目の篩目サイ
ズ1.00mmの篩下の原料部分を粒度番号2の原料部
分と称し、粒度を−0.125〜1.00mmという。
以下、3番目の篩目サイズを3.00mm、・・・・、
i番目の篩目サイズをS(i)mm、・・・・、そして
最大篩目サイズを有するn番目の篩目サイズをS(n)
mmとし、粒度番号及び粒度を上記に準じてつける。な
お、粒度番号nの粒度は、篩目サイズS(n)mmの篩
上原料部分であるから、+S(n)mmという。
【0031】先ず、重量比率がf1を占める粒度−0.
125mmの原料部分は、1回目の単位造粒操作によ
り、下記(5)式で表わされる、造粒に寄与しなかった
部分と造粒はされたもののなおも0.125mm以上に
は成長しなかった部分との和の重量確率を有する粒子部
分と、下記(6)式、(7)式及び(8)式のそれぞれ
で表わされる粒度0.125〜1.00mm以上の各粒
度に属する粒子に成長した部分の重量比率を有する造粒
部分とに分かれて移行する。
【0032】 粒度−0.125mmの重量比率:(1−π)+πq11‥‥‥‥(5) 粒度0.125〜1.00mmの重量比率:πq21‥‥‥‥‥‥(6) 粒度S(i)〜S(i+1)mmの重量比率:πqi1‥‥‥‥‥(7) 但し、i=3〜(n−1) 粒度+S(n)mmの重量比率:πqn1‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(8) それ故、(5)〜(8)式に−0.125mmに属する
初期原料割合f1をかければそれぞれの粒度範囲に入る
擬似粒子量が得られることになる。
【0033】(1−)1回目の単位造粒操作による粒
度0.125〜1.00mmの原料部分の擬似粒化 図3は、初期対象原料の内、粒度番号2(粒度0.12
5〜1.00mm)の原料部分が1回目の単位造粒操作
により、どのような粒度の造粒部分に移行するかを、重
量比率を用いて説明する模式図であり、造粒されるか、
未造粒のまま留まるか、あるいは造粒操作中に崩壊して
初期粒度0.125〜1.00mmよりも小さい粒度−
0.125mmの粒子部分に移行するかという、粒度移
行状況を重量比率で説明する図である。この場合は、初
期原料の一部が造粒操作中に、初期粒度0.125〜
1.00mmよりも小さい粒度−0.125mmの粒子
部分に崩壊するというものの重量比率付加されるという
点において、上記(1−)項の場合とは異なるが、そ
れ以外の擬似粒化現象は(1−)項の場合に準じる。
【0034】重量比率がf2を占める粒度0.125〜
1.00mmの原料部分の一部は、1回目の単位造粒操
作により崩壊して、より小さい粒度の−0.125mm
に移行する擬似粒子部分が発生する。この崩壊挙動を示
す原料部分の重量比率は、下記(9)式で表わされる。
【0035】一方、粒度0.125〜1.00mmの原
料部分の内、造粒に寄与しなかった部分と造粒はされた
もののなおも粒度1.00〜3.00mm以上の粒子に
は成長しなかった部分との和の重量比率は、下記(1
0)式で表わされる。そして、粒度1.00〜3.00
mm以上の粒子に成長した部分の内、粒度1.00〜
3.00mmの粒子に成長した部分の重量比率は、下記
(11)式で表わされ、以下順次、大きな粒度の粒子に
成長した部分の重量比率は、下記(12)式及び(1
3)式で表わされる。
【0036】 粒度−0.125mmの重量比率:πq12‥‥‥‥‥‥‥‥‥(9) 粒度0.125〜1.00mmの重量比率:(1−π)+πq22 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(10) 粒度1.00〜3.00mmの重量比率:πq32‥‥‥‥‥‥(11) 粒度S(i)〜S(i+1)mmの重量比率:πqi2‥‥‥‥(12) 但し、i=4〜(n−1) 粒度+S(n)mmの重量比率:πqn2‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(13) 従って、重量比率f2を占める粒度1.00〜3.00
mmの原料部分は、1回目の単位造粒操作により、上記
(9)〜(13)式のそれぞれで表わされる重量比率を
有する粒度の粒子部分に移行する。
【0037】(1−)1回目の単位造粒操作による粒
度1.00〜3.00mmの原料部分の擬似粒子化、及
び粒度3.00〜4.8mm以上の粒度の原料部分の擬
似粒子化 1回目の単位造粒操作による粒度1.00〜3.00m
mの原料部分の擬似粒化は、上記(1−)における説
明に準じて、下記(14)〜(19)式が導かれる。但
し、この場合には、粒度1.00〜3.00mmの原料
部分は崩壊して、粒度−0.125mmの粒子に移行す
る部分((14)式)と、粒度0.125〜1.00m
mの粒子に移行する部分((15)式)とが発生する。
【0038】 粒度−0.125mmの重量比率:πq13‥‥‥‥‥‥‥‥(14) 粒度0.125〜1.00mmの重量比率:πq23‥‥‥‥(15) 粒度1.00〜3.00mmの重量比率:(1−π)+πq33 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥(16) 粒度3.00〜4.80mmの重量比率:πq43‥‥‥‥‥(17) 粒度S(i)〜S(i+1)mmの重量比率:πqi3‥‥‥(18) 但し、i=5〜(n−1) 粒度+S(n)mmの重量比率:πqn3‥‥‥‥‥‥‥‥‥(19) 以降、粒度3.00〜4.8mm以上の粒度の原料部分
の1回目の単位造粒操作による擬似粒化も、上記に準じ
て、崩壊した粒子部分、造粒に寄与しなかった部分と造
粒はされたもののなおも初期粒度以上には成長しなかっ
た部分、及び初期粒度以上の各粒度に属する粒子に成長
した部分に分かれ、それぞれに分かれる重量比率も、上
記に準じて決まる。
【0039】初期原料に1回目の単位造粒操作を施すこ
とにより、初期原料の粒度区分数n(これは篩目サイズ
の個数nと同じである)個の各粒度に属する原料部分
が、n個の粒度区分に属する粒子群に分かれて移行し、
当該1回目の単位造粒操作後の粒子の新しい粒度分布が
決定される。
【0040】そこで、上記1回目の単位造粒操作により
得られる粒子(崩壊粒子、未造粒粒子及び成長粒子のす
べてを含めて、以下「擬似粒子」と呼ぶ)の粒度分布
を、ベクトル表示で求める。
【0041】以上の1回目の単位造粒操作をマトリック
スとベクトル表示により普遍化すると、造粒現象は以下
のように表わされる。原料粒度毎に定まる造粒・崩壊に
よる移行先毎の造粒・崩壊の確率を有するマトリックス
は、篩目サイズの個数nで定まる造粒・崩壊マトリック
スで表わすことができるから、これをB1とすると、下
記(20)式が得られる。
【0042】
【数1】
【0043】(20)式において、単位造粒操作の前後
において、物質収支が成立すべきであるから、下記(2
1)式が得られる。
【0044】 Σi=1 nij=1.0(−) (j=1〜n)‥‥‥‥‥(21) ここで、B1の構成要素qijの添字i、jは、初期原
料中、前記で定義された粒度番号j(即ち、粒度S(j
−1)〜S(j)mm)の原料部分が、1回目の単位造
粒操作によって得られた粒子が粒度番号iに属するよう
に移行したことを意味する。なお、篩目サイズの細かい
ものから粗いものに向かって粒度番号を定義しているの
で、上記(20)式の縦行列においては、下方に行くに
つれて原料粒子の粗大化擬似粒子の生成確率を示すこと
になる。
【0045】以上、1回の単位造粒操作による原料粒子
の造粒・崩壊の重量確率についてみてきた。それに対し
て、以下、1回目の単位造粒操作により、原料粒子が造
粒・崩壊して生成される粒子の重量比率を、生成した粒
子を粒度番号毎(粒度毎)に加算して得られる粒度番号
毎の合計重量比率について求める。
【0046】先ず、1回目の単位造粒操作により、粒度
番号1(粒度:−0.125mm)に属する粒子に移行
した造粒・崩壊部分の重量比率をg1で表わすと、前記
(5)式を参照して、下記(22)式が得られる。
【0047】 g1=f1(1−π)+f1πq11‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(22) 但し、f1は初期原料の内、粒度番号1に属する部分の
重量比率を表わす。
【0048】粒度番号2(粒度:0.125〜1.00
mm)に属する粒子に移行した造粒・崩壊部分の重量比
率をg2で表わすと、前記(10)及び(6)式を参照
して、下記(23)式が得られる。
【0049】 g2= f2(1-π)+f1πq21 +f2πq22 = f2(1-π)+π(f1 q21+f2 q22) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(23) 粒度番号3(粒度:1.00〜3.00mm)に属する
粒子に移行した造粒・崩壊部分の重量比率をg3で表わ
すと、前記(16)、(7)及び(16)式を参照し
て、下記(24)式が得られる。
【0050】 g3= f3(1-π)+f1πq31 +f2πq32+ f3π q33 = f3(1-π)+π(f1 q31+f2 q32+ f3 q33)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(24) 以下同様にして、1回目の単位造粒操作により、粒度番
号kに属する粒子に移行した造粒・崩壊部分の重量比率
をgkで表わすと、下記(25)式が得られる。
【0051】 gk= fk(1-π)+f1πqk1 +f2πqk2 + - - - - - - + fmπqkm+ - - - - - - + fkπqkk = fk(1-π)+πΣm=1 k(fm・qkm ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(25) (25)式をマトリックスで表わすと、 G1= (1-π)E・F +πB1・F ={ (1-π)E +πB1}・F ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(26) ここでG1、Fはgk、fkを要素とするn列の縦ベクトル、E
はn行n列の単位マトリックスを表わす。即ち、
【0052】
【数2】
【0053】以上により、初期焼結鉱原料に1回目の単
位造粒操作を施すと、上記(26)式で表わされる粒度
構成を有する擬似粒子群G1が得られる。
【0054】なお、この発明における単位造粒操作と
は、ディスクペレタイザーあるいはドラムミキサー等、
所定の造粒機を用い、一定の造粒機の運転条件、具体的
には、造粒機の造粒処理容器部分の寸法・形状等の設計
諸元、回転速度及び原料の造粒処理容器占有空間率を一
定値に設定し、単位操作当たりの造粒時間を一定値に設
定した場合に行われる処理操作をいう。
【0055】(2)2回目の単位造粒操作による原料の
擬似粒化 次に、1回目の単位造粒操作により得られた(26)式
の粒度構成を有する擬似粒子群G1を、2回目単位造粒
操作における原料Fとし、所定の2回目の単位造粒操作
を行なう。そこで、1回目の単位造粒操作に準じて考察
すると、下記(28)式で表わされる粒度構成を有する
擬似粒子群G2が得られる。
【0056】 G2=[(1-π)・E+πB1]・G1 =[(1-π)・E+πB1]・[(1-π)・E+πB1]・F =[(1-π)・E+πB1]2・F ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(28) (3)n回目の単位造粒操作による原料の擬似粒化 1回目及び2回目に引き続き、それらと同様にして、N
回目の単位造粒操作により得られる擬似粒子の粒度分布
は、下記(29)式の通りとなる。
【0057】 GN=[(1-π)・E+πB1]N・F ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(29) 従って、任意回数(N回)の単位造粒操作後の擬似粒子
の粒度分布GNは(29)式により求められることがわ
かった。
【0058】II.次に、上述したように構築された新
造粒モデルを用いて、造粒シミュレーションを行なう際
の数値計算方法について述べる。
【0059】上述の如く導出した数学モデル(新造粒モ
デル)をもとに造粒シミュレーションを行なう際の数値
計算方法を図4に示す。シミュレーションにあたって
は、所定の演算処理装置に、先ず(29)式の演算式を
読みこみ、次いで造粒条件として、単位造粒操作の回数
(Ntm):nmx、原料及び擬似粒子の粒度を規定する
篩目サイズの数:n、原料の粒度構成ベクトル:F、原
料全体の造粒確率:π、初期造粒・崩壊確率のマトリッ
クス:B1等を造粒条件として読み込む。そして、(2
9)式をもとに単位造粒操作の回数分だけマトリックス
の計算を行う。
【0060】その結果、各回数目の単位造粒操作後の造
粒マトリックスB1及び擬似粒子粒度分布Gが得られ
る。但し、造粒マトリックスB1は、下記理由により、
ここでは一定である。前述したように、単位造粒操作内
における造粒機側の条件、即ち、造粒機としてはディス
クペレタイザー(DPという)あるいはドラムミキサー
(DMという)等、所定の造粒機を用い、従って造粒機
の造粒処理容器部分の寸法・形状等の設計諸元が同一条
件化であって、しかも、造粒機の回転速度及び原料の造
粒処理容器占有空間率を原料の質量保存より一定値に設
定し、単位操作当たりの造粒時間を一定値に設定した場
合に行なわれる処理操作を前提条件としているからであ
る。
【0061】なお実際の造粒工程では微粉部分は付着粉
として作用するので、例えば−1mmの微粉量が消費さ
れ尽くしたと判断されたところで、単位造粒操作は終了
する。
【0062】図5に、原料全体の造粒確率:π、及び初
期造粒・崩壊確率:Bを、小型のディスクぺレタイザー
試験機を用いて事前に評価し、相対的に造粒性の良い場
合、例えばヘマタイト鉱石やピソライト鉱石の配合量が
相対的に多い場合(同図中(a))、及び相対的に造粒
性の悪い場合、例えばマグネタイト鉱石やマラマンバ鉱
石の配合量が相対的に多い場合(同図中(b))につい
てのシミュレーション結果の一例を示す。ここで、初期
原料の粒度分布を、表1に示す通りに設定した。これ
は、特定期間における焼結操業において、造粒機装入前
の原料粒度の平均値及び当該篩目サイズの数に基づき算
出した例であり、初期粒度分布と設定した。なお、この
初期原料は、わが国の通常の焼結原料と比較し、0.1
25mm以下の微粉含有量が多いという点が特徴であ
る。
【0063】
【表1】
【0064】図5により下記事項がわかる。造粒性に優
れたヘマタイト及びピソライト系を原料として選択した
場合には、微粉部は速やかに被覆粒子として作用し消費
され減少する。その結果、擬似粒子の粒径は成長し5〜1
0mm径に収束して行く。このため擬似粒子の粒度が揃う
結果焼結機での擬似粒子層の通気性が優れ生産性向上に
寄与する。一方、造粒性の悪い原料、例えばマグネタイ
ト、マラマンバ、あるいは砂鉄を含有する原料を用いた
場合には、微粉部分の造粒による消費が遅れる。その結
果、平均粒径では両者に顕著な差は見られないものの、
造粒性の悪い原料を用いた場合には粒度分布が広がり、
微粉、1〜3mmの中間粒径を有する擬似粒子が大量に
生成することになる。また微粉部分の被覆粒子としての
機能が低いため7mm以上の擬似粒子径比率は低下する。
その結果前記擬似粒子層の通気性は悪化し焼結鉱の生産
性は低下することとなる。
【0065】次に粒子間の造粒確率Bが一定条件下で、
鉱石全体の造粒特性を表すπが変化したときの擬似粒子
の粒度分布変化の推移を、図6に示す。これはたとえば
基準になる原料に難造粒性原料を配合する場合に相当す
る。図6より造粒回数が増すと、換言するとDPあるいは
DM内での滞留時間が永くなると最終的には同じ粒度分布
を示す。しかしその間における微粉部分の消費、粒度の
広がりは著しく異なる。初期粒径が同じでも造粒性の悪
い原料使用時には微粉部の消費は遅れ、その結果平均粒
度は同じでも粒度分布は広がり焼結ベッド内での通気性
の悪い擬似粒子群が生成されることになる。実際の造粒
工程ではDPあるいはDM内での原料滞留時間は限られ
るから、例えばπ<0.4で規定できる造粒性の悪い原
料は不十分な造粒状態で排出されることになる。
【0066】III. 実機造粒試験への適用 この発明の新造粒モデルの妥当性を評価するために実際
の造粒試験データとシミュレーションデータとの比較検
討を行った。試験データでは篩目を−0.125、0.
125〜0.5、0.5〜1.0、1.0〜2.0、
2.0〜5.0、5.0〜10.0mmの6分割として
いる。一般に粒径を評価する篩は0.125mm以下では
ほぼ21/4≒1.19の比率で変化する。このためBを
構成する要素qijも原料の有する造粒確率に加え当然篩
目の範囲も考慮された確率と解釈する必要がある。これ
をもとに本モデルで用いるパラメータを次のように設定
した。
【0067】 π=0.4(−)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(30)
【0068】
【数3】
【0069】図7に実測値とシミュレーション結果を比
較して示す。同図中、(a)は実測値、(b)はシミュ
レーションである。これより実測値を4回相当と仮定す
ると(30)、(31)を用いたシミュレーション結果
と良く合致することが明らかである。この例では(24)よ
り1単位造粒操作によって造粒に寄与する比率は40%と
設定した。また(25)より造粒マトリックスBの特徴は縦
行列要素の合計量が1.0(-)の条件を満たす条件下で対角
行列を中心に微粒部分では造粒が進むよう、そして粗粒
域では造粒擬似粒子の崩壊が進みやすい条件を確率的に
設定してある。この様に実際の造粒状況に応じパラメー
タを設定することで精度の高いシミュレーションが可能
となる。
【0070】IV.造粒パラメータの数学的評価 この発明の新造粒モデルで造粒特性に影響を与えるの
は、初期値としての原料粒度構成の他には、1) 粒度範
囲毎の造粒特性を与える(B)と2) 造粒性に影響を与え
る鉱石特性(π)との2パラメータである。ここではそれ
ぞれのパラメータの持つ意味と造粒性に与える影響を考
察した。
【0071】(1)造粒マトリックス(B) (12)で表す造粒マトリックスBにおいて極端なケースを
考える。
【0072】
【数4】
【0073】B1は上三角行列マトリックスである。そ
の意味するところは対角行列qkkで規定される確率要素
より上は0となるから、一旦造粒された擬似粒子は崩壊
することはないという仮定が成り立つ場合である。B2
は造粒マトリックス構成要素が全て同一の場合である。
但し、 Σi=1 nij=1.0 (j=1〜n)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(33) が成り立たなくてはならない。最後のB3は下三角行列
マトリックスの場合で対角行列qkkより下の確率要素は
全て0になる。これは造粒操作を行なうにもかかわらず
擬似粒子は限りなく崩壊を続けることを意味する。これ
らの結果を図5に示すFとπ一定のもとでシミュレーシ
ョンを行なうと、図8が得られる。これよりB1の場合
は造粒操作回数の少ないときにはFの影響を受ける。そ
の後造粒操作回数に応じ徐々に造粒が進み最終的には原
料全体が全て造粒され尽くす。その結果10分割した篩目
の内、最大篩目20.7mm以上に達することになる。B
2では全ての構成要素が(27)の条件下で等しい、換言す
れば全てrij=0.1(-)の場合である。このため造粒と崩壊
がいつも同じ確率で発生することになり最終的には全て
の篩目で同一重量比率10%に収束する。B3はB1と逆の
場合で造粒操作が進むにつれ擬似粒子は崩壊され続け最
終的には初期粒度分布Fで規定した最小篩目以下に至
る。これは造粒しているにもかかわらず実は粉砕操作を
受けることになりBroadbend等13)の粉砕モデルと同様の
マトリックスの取り扱いとなっている。このように、こ
の発明による新造粒モデルは数学的には、造粒・崩壊マ
トリックスBによってその結果としてのGは自由に変化
する。実際の造粒工程ではGが全て最大篩目以上に造粒
されることはないしまた造粒操作にもかかわらず最小篩
目以下に粉砕されることもない。それゆえ実際のBは平
均的にはB1とB2の間に存在することになる。どこに位
置するかは使用する原料、なかんずく特定の原料粒度域
の物理化学的諸特性に依存し決まってくる。
【0074】(2)鉱石特性に依存する造粒性(π) 図6にπの造粒特性に及ぼす影響を明らかにした。これ
よりπの値が小さくなるとBで規定した造粒マトリック
スで決まる擬似粒子の粒度分布に到達するのに時間(造
粒操作回数)がかかることを明らかにした。つまり最終
的な擬似粒子の粒度分布を規定するのはBでありπはB
に行き着く収束速度を規定するといえる。
【0075】図9に、図5の(a)で使用した造粒性に
優れた原料のπを用いた時の操作回数(Ntm)と造粒
マトリックスBの変化推移を表す。これより操作回数
(Ntm)が0から増すにつれ造粒・崩壊確率の全体傾向
は類似してくる。これは確率論的にはqij≧0と(21)
式が成り立つ推移確率行列Bは正則確率行列であること
に起因する。すなわち(29)式より操作回数n+1回目
のqij (n+1)は(34)式に示すようにn回目のqij (n)
みに依存しそれ以前の確率要素には依存しない。
【0076】 qij (n+1)=Σr=1 k(qir (n).qri (n))‥‥‥‥‥(34) これよりBの確率過程は、「確率」、マグロウヒル工学
社(東京)(1981),166に示されたMarkov cha
inとなる。また、それによれば、Markov chainの推移確
率行列が正則の場合は一定の確率ベクトルを有するマト
リックス(35)式に近づくことが知られている。
【0077】
【数5】
【0078】これより図9においてもNtm>3で徐々にqik
(k:一定)が一定の確率列ベクトルに近づく。すなわち本
確率モデルでは(20)、(21)が成り立つ限りは必
ず造粒過程は発散せずにある鉱石特性に応じた擬似粒子
粒度分布G、たとえば図6に示すような形で収束して行
くことになる。そしてπがその速度を律速するといえ
る。
【0079】この発明は、上述した新造粒モデルの構築
及びその妥当性、並びに焼結鉱製造操業における造粒プ
ロセスへの応用の有用性等、各種の知見に基づきなされ
たものであり、その要旨は次の通りである。
【0080】請求項1記載の発明に係る高炉用焼結鉱原
料の造粒方法は、高炉で使用される焼結鉱原料の造粒方
法において、ブレンディング粉に含有される原料の含有
率に応じて、当該ブレンディング粉に添加すべきバイン
ダーの添加率を決定し、当該決定された添加率のバイン
ダーを添加すると共に、その他の所定原料を配合し、こ
うして得られた配合原料を、混合し造粒することに特徴
を有するものである。
【0081】請求項2記載の発明に係る高炉用焼結鉱原
料の造粒方法は、請求項1記載の発明において、前記ブ
レンディング粉に含有される原料は、マグネタイト鉱
石、マラマンバ鉱石、スペキュラヘマタイト鉱石(鏡鉄
鉱鉱石)、砂鉄、ニッケルスラグ及び蛇紋岩からなる原
料群から選ばれた1種以上の原料であることに特徴を有
するものである。
【0082】請求項3記載の発明に係る高炉用焼結鉱原
料の造粒方法は、請求項1又は請求項2記載の発明にお
いて、前記バインダーとして、生石灰、消石灰、ベント
ナイト及びパルプ廃液からなるバインダー群から選ばれ
た1種以上のバインダーを用いることに特徴を有するも
のである。
【0083】請求項4記載の発明に係る高炉用焼結鉱原
料の造粒方法は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載
の発明において、前記バインダー添加率の決定は、焼結
鉱原料が造粒される過程がシミュレートされる造粒モデ
ルに基づき算出することに特徴を有するものである。
【0084】請求項5記載の発明に係る高炉用焼結鉱原
料の造粒方法は、請求項4記載の発明において、前記造
粒モデルは、考慮すべきプロセスとして少なくとも、前
記焼結鉱原料に含まれる微粉部分の原料同士が合体した
擬似粒子の粒径が成長するプロセス、前記焼結鉱原料が
擬似粒化されていく過程において、当該擬似粒化物が崩
壊するプロセス、及び当該崩壊して生じた粒片が再び擬
似粒化するプロセスの3プロセスのすべてを包含してい
るものであることに特徴を有するものである。
【0085】請求項6記載の発明に係る高炉用焼結鉱原
料の造粒方法は、請求項5記載の発明において、前記造
粒モデルは、当該焼結鉱原料が造粒に寄与するか否かの
当該焼結鉱原料に関する造粒比率π、並びに、当該焼結
鉱原料の粒度毎による、前記擬似粒化現象により擬似粒
子の粒度が増大する程度を表わす造粒確率qij(但し、
i≧j)、及び当該焼結鉱原料の粒度毎による、前記崩
壊現象により生じる前記粒片の粒度が減少する程度を表
わす崩壊確率qij(但し、i<j)を、所定の方法で評
価して求め、こうして求められた前記焼結鉱原料に関す
る造粒比率π、並びに、前記焼結原料の擬似粒化現象に
関する造粒確率qij(但し、i≧j)及び崩壊現象に関
する崩壊確率qij(但し、i<j)を用いて、造粒操作
後に得られる前記擬似粒化現象により形成される擬似粒
子と前記崩壊現象により生じる前記粒片とからなる造粒
物の粒度分布を求めるものであることに特徴を有するも
のである。
【0086】請求項7記載の発明に係る高炉用焼結鉱原
料の造粒方法は、請求項6記載の発明において、前記焼
結鉱原料についての、前記造粒比率π、並びに擬似粒化
現象及び崩壊現象に関する前記造粒確率qijは、当該焼
結鉱原料の吸水性、表面の粗さ、吸水時の膨潤性及び原
料粒子間結合性からなる焼結鉱原料の表面物理化学特性
群から選ばれた1種以上の表面物理化学特性、並びに、
鉱種の内、少なくともいずれか一方をパラメーターとし
て評価して求められたものであることに特徴を有するも
のである。
【0087】請求項8記載の発明に係る高炉用焼結鉱原
料の造粒方法は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載
の発明において、高炉で使用される焼結鉱原料の造粒方
法において、前記ブレンディング粉は、当該ブレンディ
ング粉を調製するに先だって、当該ブレンディング粉を
調製するために用いる各種銘柄の鉱石について、当該各
種銘柄鉱石の粒度毎による、造粒操作における擬似粒化
現象により擬似粒子の粒度が増大する程度を表わす造粒
確率uij(但し、i≧j)、及び当該各種銘柄鉱石の粒
度毎による、前記崩壊現象により生じる前記粒片の粒度
が減少する程度を表わす崩壊確率uij(但し、i<j)
を、所定の方法で評価して求め、こうして求めらた当該
造粒確率uij(但し、i≧j又はi<j)に基づき、各
種銘柄の鉱石をブレンディングヤードに積み付けて調製
されたブレンディング粉にしたものであることに特徴を
有するものである。
【0088】
【発明の実施の形態】次に、この発明の望ましい実施形
態の例を説明する。
【0089】一般に、高炉原料として使用される焼結鉱
は、図11に示すフローで製造される。先ず、本船から
荷揚げされた約10mm以下の鉄鉱石粉を銘柄ごとに粉
鉱ヤードに山積みする。山積みされた各種粉鉱石、含C
aO副原料、含SiO2 副原料及び、ダスト等を、予め
設定している割合でベッディング法により混合し、ブレ
ンディング粉1とする。即ち、当該ブレンディング粉1
には、主原料として多数の銘柄の鉄鉱石の他に、鉄源と
しての製鉄所内で発生する各種の含鉄分ダストやスケー
ル等の雑原料、並びに、副原料として石灰石、ドロマイ
ト、蛇紋岩、珪石等の造滓材が含まれている。こうして
成分及び粒度が調整されたブレンディング粉1は、いく
つかのパイル2に形成される。そして、一定のパイル2
より所定量ずつ切り出されたブレンディング粉1は、焼
結工場3に搬送され、原料配合槽群4の所定のホッパー
に装入される。
【0090】ブレンディング粉は、原料の配合ライン5
において、更に、塩基度調整用の石灰石や珪石等、及び
MgO成分調整用の蛇紋岩等の副原料6、粉コークス等
の燃料7、生石灰等のバインダー8、並びに返鉱9と、
場合によっては更に、単味の粉鉱石10と配合され、得
られた配合原料11に、適量の水分12が添加され、混
合機13で混合され、ディスクぺレタイザー14あるい
はドラムミキサー15等の造粒機16で造粒され、擬似
粒子17が形成される。造粒工程で得られた擬似粒子の
性状は、造粒機側の条件と、配合原料側の条件とにより
決まる。こうして得られた擬似粒子17が、焼結機18
に装入され、所定の焼成が行なわれて焼結鉱19が製造
される。焼結鉱19の生産性、歩留、品質等は、造粒機
16で調製される擬似粒子17の性状に大きく依存し、
この擬似粒子17の性状は、造粒機16に装入される装
入される配合原料11の性状により大きく左右される。
この新造粒モデルにより、配合原料11の性状と擬似粒
子17の性状との関係を考慮して、望ましい性状の擬似
粒子17を製造する。焼結鉱成品は高炉20へ原料とし
て装入される。
【0091】微粉原料が多量に配合されたブレンディン
グ粉を使用する焼結操業における造粒工程において、一
定造粒条件で操業を継続中、ブレンディング粉の使用パ
イルを他のパイルに切り替えると、それに伴い造粒機に
おける造粒状況が変動し、ひいては、安定した焼結操業
を阻害することがよく認められる。これはパイルの化学
成分、粒度構成の変動を、原料需給等により支配される
条件下において最小限に抑制しても、鉱石銘柄が変わる
ことによる造粒特性の変化、例えば本数学モデルにおけ
るπ、qijが変わることに起因する。これを抑制するた
めには、造粒特性の異なる代表的な鉱石について、事前
に小型ディスクぺレタイザー試験機等を用いて造粒試験
を行い、その造粒パラメータπ、qijを把握しておく。
そして、このパラメータを用い、当該パイルを構成する
ブレンディング粉の原料混合比率に基づき、この発明の
新造粒モデルによる造粒性の推定結果、即ち、所定回数
の単位造粒操作後における擬似粒子の粒度分布と、小型
ディスクぺレタイザー試験機等を用いた造粒試験により
得られる擬似粒子の粒度分布とを比較することにより、
事前にそのパイルの造粒性を予測することが可能であ
る。図10に、この発明の新造粒モデルを、焼結操業に
おける原料の造粒工程管理への応用方法を説明する図を
示す。これより個別鉱石の造粒パラメータから、混合原
料パイルの造粒性を表すパラメータを得るには、それぞ
れの原料配合率に応じたパラメータの加成性が成り立つ
と仮定する。いま、鉱石の銘柄数をm、その配合率をk1,
k2, - - - , kmとすると数学モデル(29)において
混合原料としての造粒パラメータ、π及びB1を、それぞ
れπm及び(qij)mで表わすと、下記(36)式が得られ
る。
【0092】
【数6】
【0093】(36)式においてスカラーkiとマトリッ
クス(qij)iの積の合計(qij)mは(21)式が成り立って
いる。このため得られた造粒マトリックスによる(2
9)式の計算で造粒前後での物質収支が成立する。
【0094】この様なパラメータを用いFとドラムミキ
サー内での滞留時間を与えれば事前にドラムミキサー出
口でのGが予測できる。それゆえ、パイル変更に応じそ
こから得られるGをもとにバインダー、造粒水分の適正
添加量あるいはπmを考慮したDM内の原料滞留時間調整
が予測でき、造粒及び焼結操業の安定化に寄与する。
【0095】この新造粒モデルを用いて、中程度の造粒
性を有する鉱石の比率を増やす。
【0096】
【実施例】次に、実施例によりこの発明を更に説明す
る。図11に示した焼結鉱の製造フローに準じた焼結鉱
製造ラインにおいて、本発明の範囲内に属する焼結鉱原
料の造粒方法を実施した実施例と、本発明の範囲外にあ
る焼結鉱原料の造粒方法を行なった比較例とを、次のよ
うにして行なった。
【0097】なお、下記において、実施例及び比較例で
使用するすべてのパイルにおいて、通常行なわれている
ように、1パイル内のブレンディング粉の成分及び粒度
構成は、当該パイル内のどの部分についても実質的に一
定にそろえてある。
【0098】また、上記すべてのパイル中のブレンディ
ング粉中には多数銘柄の鉱石が含まれているが、いずれ
のパイルについても、鉱石全体の粒度構成は同一であ
る。そのパイル中の鉱石の粒度分布は、表1に示した通
りである。
【0099】先ず、比較例については、パイルNo.1
からパイルNo.5までの全パイルのブレンディング粉
全量を使用し尽くした操業期間を通じて、通常操業時に
予め設定されている一定の原料配合条件により得られた
配合原料に、ドラムミキサーで所定の加湿水分を添加
し、混合し、次いでディスクぺレタイザーで、通常操業
時に予め設定されている造粒機側の条件で、所定時間造
粒処理を施した。当該操業期間中、バインダーとして添
加した生石灰は外数で3.4mass%ですべて一定で
ある。また、パイルNo.1からパイルNo.5までの
ブレンディング粉中にブレンディングされた難造粒原料
に属するものは、マグネタイト鉱石、砂鉄、ニッケルス
ラグ及び蛇紋岩であり、この内、マグネタイト鉱石以外
の難造粒性原料のブレンディング粉中の含有率は一定で
あり、マグネタイト鉱石の含有率のみが変動している。
その変動状況は、図12(b)のグラフに示すように、
6.0〜12.5mass%の間にばらついていた。一
方、比較例の焼結操業期間において、造粒機で調製され
た擬似粒子17中の−3mm(3mmアンダー)粒子の
構成比率は、図12(a)のグラフに示すように、30
〜51mass%の間にばらついていた。なお、擬似粒
子17中の−3mm粒子の構成比率に着目したのは、こ
れ以下の細粒擬似粒子の混入が、焼結機における焼結ベ
ッドの通気性を著しく阻害するからである。
【0100】これに対して、実施例を次の通り行なっ
た。パイルNo.10からパイルNo.14までの全パ
イルのブレンディング粉全量を使用し尽くした操業期間
を通じて、各パイルのブレンディング粉中にブレンディ
ングされた難造粒原料に属するものとして、マグネタイ
ト鉱石、砂鉄、ニッケルスラグ及び蛇紋岩があるが、マ
グネタイト鉱石以外の難造粒原料の含有率は一定であ
り、その含有率は、比較例におけるパイルNo.1〜5
のすべてと同一水準であった。但し、マグネタイト鉱石
の含有率のみがパイルNo.により異なっており、図1
2(b)のグラフに示すように、5.0〜14.0ma
ss%の間にばらついていた。
【0101】実施例においては、ブレンディング粉中の
難造粒性原料の1種であるマグネタイト鉱石含有率が、
パイル毎にこのように変動していても、焼結ベッドの通
気性悪化を防止して、安定操業と生産性確保のために、
配合原料11の造粒性の変動を抑制して造粒処理後の擬
似粒子17中の−3mm粒子の構成比率を減らすことを
考えた。そのために、新造粒モデルを用いて、造粒性の
向上アクションを考えた。
【0102】パイルを形成するブレンディング粉を構成
する鉱石種や副原料種等のブレンディング比率は、原料
需給事情によりほぼ一義的に決まり、自由度は殆どない
ので、操業上可能な方法の一つとして、配合原料に添加
するバインダー量を調整することにした。そこで、造粒
処理後の擬似粒子中に占める−3mm粒子の構成比率
が、使用対象パイルNo.毎によりできるだけ変動せ
ず、且つ適切な水準となるようにするために、バインダ
ーとしての生石灰の添加量を調整した。実施例の期間中
においては、上記目的に新造粒モデルを用いて、生石灰
の添加量を算出し、当該添加量の生石灰が配合された配
合原料に造粒処理を施した。
【0103】実施例においては、図12の(c)に示す
ように、生石灰添加量を外数で、3.1〜3.7mas
s%の範囲内で調整した。なお、その際、加湿水分の添
加量も、生石灰の添加量に応じて常法により調整した。
【0104】その結果、実施例においては、造粒機で調
製された擬似粒子17中の−3mm粒子の構成比率は、
図12(a)のグラフに示すように、33〜46mas
s%の比較的狭い範囲内であって、低い水準値にコント
ロールされた。
【0105】この実施例では、特に、微粉鉱石原料を大
量に使用するとき、例えば、−0.125mmが30m
ass%程度の高率を占める場合等には効果が発揮され
る。
【0106】
【発明の効果】この発明によれば、焼結鉱原料が有する
造粒特性に応じて、原料の配合条件や原料に添加するバ
インダー添加条件の適切化により、ブレンディング粉に
難造粒性原料が所定量以上含有されている場合であって
も、入荷原料に適した焼結鉱原料の事前処理をすること
により、造粒性の向上を図ることが可能となる。また、
陸揚げされた(入荷した)鉄鉱石を破砕処理等して、適
切な平均粒度に細粒化すれば造粒性が向上することを予
測できる場合も生じるので、入荷する鉱石の性状如何に
よって、ブレンディング粉前の鉱石事前処理という、従
来全く考慮されたことのなかった原料予備処理プロセス
が可能となった。
【0107】更に、将来、大きな問題であると予想され
る、マラマンバ鉱石等の難造粒性原料を用いて、高生産
性且つ高歩留の焼結操業を行なうことが可能となる。
【0108】以上の結果、特に、焼結ベッド内における
通気性のよい焼結原料を調製することが可能となるり、
焼結鉱の生産性向上及び焼結操業の安定性向上に寄与し
得る。更に、また、高炉への焼結鉱の供給安定化によ
り、高炉操業の安定化にも波及的効果が期待される。
【0109】この発明によれば、上述した多くの効果が
発揮され得る高炉用焼結鉱原料の造粒方法を提供するこ
とができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスクペレタイザーによる造粒挙動現象を模
式的に説明する図である。
【図2】最小粒度原料(粒度:−0.125mm)が単
位造粒操作を経た後の移行先を模式的に説明する図であ
る。
【図3】細かい方から2番目の粒度(粒度:0.125
〜1.00mm)が単位造粒操作を経た後の移行先を模
式的に説明する図である。
【図4】この発明で導出した数学モデル(新造粒モデ
ル)をもとに造粒シミュレーションを行なう際の数値計
算方法を説明する図である。
【図5】この発明で導出した数学モデル(新造粒モデ
ル)を用いて、相対的に造粒性の良い場合及び悪い場合
についてのシミュレーション結果の一例を示すグラフで
ある。
【図6】造粒確率Bが一定条件下で、鉱石全体の造粒特
性πが変化したときの擬似粒子の粒度分布変化の推移を
表わすグラフである。
【図7】この発明による新造粒モデルの妥当性を評価す
るための、実際の造粒試験データとシミュレーションデ
ータとの比較検討をするためのグラフである。
【図8】この発明による新造粒モデルによれば、数学的
には造粒・崩壊マトリックスBの設定によって、造粒さ
れる擬似粒子の粒度分布は自由に変化することを説明す
るグラフである。
【図9】図5の(a)で使用したπを用いた時の操作回
数(Ntm)と造粒マトリックスBの変化推移を表すグ
ラフである。
【図10】この発明の新造粒モデルの造粒工程管理への
応用方法を説明する図である。
【図11】この発明の焼結鉱原料の造粒方法を実施する
際の原料の流れ及び焼結鉱の製造フローを示す図であ
る。
【図12】この発明の新造粒モデルを用いて、ブレンデ
ィング粉中の難造粒性鉄鉱石の構成比率により、焼結工
場におけるバインダー添加量を調整して造粒性を安定さ
せる操業の実施例と、従来操業例との試験データを比較
する図である。
【符号の説明】
1 ブレンディング粉 2 パイル 3 焼結工場 4 原料配合槽群 5 配合ライン 6 副原料 7 燃料 8 バインダー 9 返鉱 10 単味の粉鉱石 11 配合原料 12 水分 13 混合機 14 ディスクぺレタイザー 15 ドラムミキサー 16 造粒機 17 擬似粒子 18 焼結機 19 焼結鉱 20 高炉

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉で使用される焼結鉱原料の造粒方法
    において、ブレンディング粉に含有される原料の含有率
    に応じて、当該ブレンディング粉に添加すべきバインダ
    ーの添加率を決定し、当該決定された添加率のバインダ
    ーを添加すると共に、その他の所定原料を配合し、こう
    して得られた配合原料を、混合し造粒することを特徴と
    する、高炉用焼結鉱原料の造粒方法。
  2. 【請求項2】 前記ブレンディング粉に含有される原料
    は、マグネタイト鉱石、マラマンバ鉱石、スペキュラヘ
    マタイト鉱石、砂鉄、ニッケルスラグ及び蛇紋岩からな
    る原料群から選ばれた1種以上の原料であることを特徴
    とする、請求項1記載の高炉用焼結鉱原料の造粒方法。
  3. 【請求項3】 前記バインダーとして、生石灰、消石
    灰、ベントナイト及びパルプ廃液からなるバインダー群
    から選ばれた1種以上のバインダーを用いることを特徴
    とする、請求項1又は請求項2記載の高炉用焼結鉱原料
    の造粒方法。
  4. 【請求項4】 前記バインダー添加率の決定は、焼結鉱
    原料が造粒される過程がシミュレートされる造粒モデル
    に基づき算出することを特徴とする、請求項1〜請求項
    3のいずれかに記載の高炉用焼結鉱原料の造粒方法。
  5. 【請求項5】 前記造粒モデルは、考慮すべきプロセス
    として少なくとも、前記焼結鉱原料に含まれる微粉部分
    の原料同士が合体した擬似粒子の粒径が成長するプロセ
    ス、前記焼結鉱原料が擬似粒化されていく過程におい
    て、当該擬似粒化物が崩壊するプロセス、及び当該崩壊
    して生じた粒片が再び擬似粒化するプロセスを包含して
    いるものであることを特徴とする、請求項4記載の高炉
    用焼結鉱原料の造粒方法。
  6. 【請求項6】 前記造粒モデルは、当該焼結鉱原料が造
    粒に寄与するか否かの当該焼結鉱原料に関する造粒比率
    π、並びに、当該焼結鉱原料の粒度毎による、前記擬似
    粒化現象により擬似粒子の粒度が増大する程度を表わす
    造粒確率qij(但し、i≧j)、及び当該焼結鉱原料の
    粒度毎による、前記崩壊現象により生じる前記粒片の粒
    度が減少する程度を表わす崩壊確率qij(但し、i<
    j)を、所定の方法で評価して求め、 こうして求められた前記焼結鉱原料に関する造粒比率
    π、並びに、前記焼結原料の擬似粒化現象に関する造粒
    確率qij(但し、i≧j)及び崩壊現象に関する崩壊確
    率qij(但し、i<j)を用いて、造粒操作後に得られ
    る前記擬似粒化現象により形成される擬似粒子と前記崩
    壊現象により生じる前記粒片とからなる造粒物の粒度分
    布を求めるものであることを特徴とする、請求項5記載
    の高炉用焼結鉱原料の造粒方法。
  7. 【請求項7】 前記焼結鉱原料についての、前記造粒比
    率π、並びに擬似粒化現象及び崩壊現象に関する前記造
    粒確率qijは、当該焼結鉱原料の吸水性、表面の粗さ、
    吸水時の膨潤性及び原料粒子間結合性からなる焼結鉱原
    料の表面物理化学特性群から選ばれた1種以上の表面物
    理化学特性、並びに、鉱種の内、少なくともいずれか一
    方をパラメーターとして評価して求められたものである
    ことを特徴とする、請求項6記載の高炉用焼結鉱原料の
    造粒方法。
  8. 【請求項8】 高炉で使用される焼結鉱原料の造粒方法
    において、前記ブレンディング粉は、当該ブレンディン
    グ粉を調製するに先だって、当該ブレンディング粉を調
    製するために用いる各種銘柄の鉱石について、当該各種
    銘柄鉱石の粒度毎による、造粒操作における擬似粒化現
    象により擬似粒子の粒度が増大する程度を表わす造粒確
    率uij(但し、i≧j)、及び当該各種銘柄鉱石の粒度
    毎による、前記崩壊現象により生じる前記粒片の粒度が
    減少する程度を表わす崩壊確率u ij(但し、i<j)
    を、所定の方法で評価して求め、 こうして求めらた当該造粒確率uij(但し、i≧j又は
    i<j)に基づき、各種銘柄の鉱石をブレンディングヤ
    ードに積み付けて調製されたブレンディング粉にしたも
    のであることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいず
    れかに記載の高炉用焼結鉱原料の造粒方法。
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