JP2003181985A - 多層シート状物およびその製造方法 - Google Patents
多層シート状物およびその製造方法Info
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Abstract
強度および耐候性を有する多層シート状物を提供するこ
と。 【解決手段】 アクリル酸エステル系ゴム状重合体
(G)にビニル系単量体を含有する単量体をグラフト重
合したグラフト共重合体(A)と(メタ)アクリル酸エ
ステル単量体単位を有する(共)重合体(B)とを含有
する熱可塑性樹脂(D)と、他の熱可塑性樹脂(E)と
を多層成形してなる多層シート状物であって、熱可塑性
樹脂(D)と熱可塑性樹脂(E)の溶融粘度比が特定範
囲内にある多層シート状物。
Description
れるとともに、厚み斑が少なくかつ耐候性、面衝撃強度
に優れた多層シート状物およびその製造方法に関する。
ン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂は、優れた成形
加工性や機械的強度を併せ持つことから幅広い用途分野
で利用されている。特にこれらのシート状物を成形した
成型品は、車輌や建材、電気機器等の広い分野で利用さ
れている。これら樹脂のうち、ABS樹脂は耐衝撃性に
優れるという特性を有しているが、ジエン系単位をゴム
成分にしている等の理由から耐候性が悪く、屋外で曝露
される用途には外観や機械的強度特性が悪化するため、
その利用が制限されることがあった。これら熱可塑性樹
脂材料の欠点を補うために、アクリル樹脂等の耐候性に
優れた材料に変える方法があるが、シート状成形品の衝
撃強度が不足し、特に面衝撃強度が低かった。
塑性樹脂材料と耐候性に優れた樹脂材料との複合化や多
層シート押出成型方法が検討されているが、上記のごと
く耐候性が優れ、耐衝撃性等の機械的強度が高く、そし
て厚み斑が無く表面外観に優れた多層シート状成型品を
得ることは出来ていない。特に、上記熱可塑性樹脂材料
とアクリル樹脂との多層シート状成型品では耐候性は改
良できるものの耐衝撃性が低く、また場合によっては厚
みムラが生じ美麗な外観を付与することができなかっ
た。本発明は、前記課題を解決するためになされたもの
で、押出成形が容易で優れた表面外観、面衝撃強度およ
び耐候性を有する多層シート状物を提供することを目的
とするものである。
は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)にビニル
系単量体を含有する単量体をグラフト重合したグラフト
共重合体(A)と(メタ)アクリル酸エステル単量体単
位を有する(共)重合体(B)とを含有する熱可塑性樹
脂(D)と、他の熱可塑性樹脂(E)とを多層成形して
なる多層シート状物であって、熱可塑性樹脂(D)と熱
可塑性樹脂(E)の溶融粘度比が下記式(1)の範囲内
にあることを特徴とする多層シート状物にある。 β/α < 3 ・・・(式1) (250℃、せん断速度102 sec−1の条件下に
おける熱可塑性樹脂(D)、(E)の溶融粘度のうち、
溶融粘度が高い方の熱可塑性樹脂の溶融粘度をβ、溶融
粘度が低い方の熱可塑性樹脂の溶融粘度をαとする。)
(A)は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)に
ビニル系単量体を含有する単量体がグラフト重合されて
なるものである。用いるゴム状重合体(G)は、アクリ
ル酸エステル系単量体単位を含有していれば良く、例え
ばアクリル酸エステル系ゴム、ジエン−アクリル酸エス
テル共重合ゴム、ジエン−アクリル酸エステル複合ゴ
ム、ポリオルガノシロキサン−アクリル酸エステル系複
合ゴムが例示され、これらは単独で、または二種以上を
併用して用いることができる。前述した複合ゴムとは、
二種以上のゴム状重合体がお互いにミクロレベルで絡み
合った、もしくは互いに化学的に結合した状態にあるゴ
ムをいう。
酸エステル系単量体は、炭素数が1〜18、好ましくは
1〜12、より好ましくは4〜8であるアクリル酸エス
テル単量体を主成分とするものであり、架橋剤、グラフ
ト交叉剤を併用することもできる。アクリル酸エステル
単量体の好ましい例としては、アクリル酸−n−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルへキシルが挙げられる。
クリル酸エステル複合ゴムは、重量平均粒子径が300
nm以上のジエン系ゴム1〜30重量%の存在下で、グ
ラフト交叉剤と架橋剤とを含む(メタ)アクリル酸アル
キルエステル単量体成分99〜70重量%を乳化重合し
て得ることができる。ジエン系ゴムの量が1重量%未満
の場合は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の低温
衝撃特性が低下し、一方、30重量%を超えた場合は耐
候性が低下する傾向にある。前述した重量平均粒子径を
有するジエン系ゴムは、例えば、酸基含有共重合体ラテ
ックスからなる肥大化剤で重量平均粒子径が150nm
未満のジエン系ゴム状重合体粒子を肥大化することによ
り得ることができる。
ポリオルガノシロキサン−アクリル酸エステル系複合ゴ
ムは、ポリオルガノシロキサン1〜90重量%の存在下
で、アクリル酸エステル含有単量体99〜10%をラジ
カル重合して得られる。複合ゴム状重合体中のポリオル
ガノシロキサンの量が1重量%未満では、ポリオルガノ
シロキサン量が少ないため耐衝撃性が低くなり、90重
量%を超えると最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の
顔料着色性が低下する傾向にある。複合ゴム状重合体中
のポリオルガノシロキサンは、好ましくは3〜60重量
%、さらに好ましくは5〜40重量%である。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体にグラフト重合する
単量体は、ビニル系単量体を含有する。含有されるビニ
ル系単量体としては特に制限されるものではないが、シ
ート状物の加工性や面衝撃強度、そして耐候性に優れる
ことから、その構成単位として、好ましくは芳香族アル
ケニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルお
よびシアン化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種
の単量体成分が用いられる。単量体成分のうち芳香族ア
ルケニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチル
スチレン、ビニルトルエン等であり、(メタ)アクリル
酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸n−ブチル等であり、シアン
化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メ
タクリロニトリル等である。これらのうち、スチレンと
アクリロニトリルとの混合物を使用すると、得られる多
層シート状物の面衝撃強度が優れるため好ましい。ま
た、単量体には、前述したビニル系単量体に加えて、N
−置換マレイミド化合物、無水マレイン酸等の不飽和酸
無水物、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物、エチ
レン、プロピレン等の不飽和炭化水素およびアクリル
酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸等が含有されて
いてもよい。
合体(G)10〜80質量部に対して、単量体が90〜
20質量部(合わせて100質量部)を乳化グラフト重
合させたものであることが好ましい。このような質量割
合で乳化グラフト重合すると、最終的に得られるシート
状物の加工性と表面膜厚斑、面衝撃強度が優れる。さら
に好ましくは、ゴム状重合体(G)が30〜70質量部
に、単量体70〜30質量部をグラフト重合したものが
よく、最終的に得られる多層シート状物の表面平滑性が
更に向上する。
無く、ラテックス状のゴム状重合体(G)に対しグラフ
ト重合に使用する単量体を一括で添加し重合させる方
法、単量体を連続的もしくは断続的に供給して重合させ
る方法等が利用できる。グラフト重合を行う単量体中に
は、グラフト率やグラフト成分の分子量を制御するため
の各種連鎖移動剤を添加することができる。グラフト重
合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、ア
ゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドッ
クス系開始剤が用いられる。この中でレドックス系開始
剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・ピロリン酸ナトリウム
・ブドウ糖・ヒドロパーオキサイドや、硫酸第一鉄・エ
チレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・
ヒドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始
剤が好ましい。グラフト重合に用いる乳化剤としては特
に制限はないが、乳化重合時のラテックスの安定性が優
れ、重合率を高めることができるため、サルコシン酸ナ
トリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケ
ニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボ
ン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれた
アニオン系乳化剤が好ましく用いられる。これらは目的
に応じて使い分けられ、もちろんゴム状重合体の調製に
用いた乳化剤をそのまま利用し、乳化グラフト重合時に
追添加しなくても良い。
合体(A)を含有するラテックスは、例えば、凝固剤を
溶解させた熱水中に投入することによってスラリー状態
に凝析する湿式法によって回収する方法や、加熱雰囲気
の中にグラフト共重合体(A)ラテックスを噴霧するこ
とにより、半直接的にグラフト共重合体(A)を回収す
るスプレードライ法などの方法によって、グラフト共重
合体(A)を回収できる。上記湿式回収法に用いる凝固
剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸や、
塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等
の金属塩等を用いることができる。凝固剤の選定は重合
で用いた乳化剤と対にして選定される。すなわち、脂肪
酸石鹸やロジン酸石鹸等のカルボン酸石鹸のみが使用さ
れていた場合にはどの様な凝固剤を用いても回収可能で
あるが、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの様な
酸性領域でも安定な乳化力を示す乳化剤が含まれている
場合には上記無機酸では不十分であり、金属塩を用いる
必要がある。上記湿式回収法により得られたスラリーか
ら乾燥状態のグラフト共重合体(A)を回収するために
は、まず残存する乳化剤残渣を水中に溶出させ、洗浄し
た後に、このスラリーを遠心もしくはプレス脱水機で脱
水した後に気流乾燥機等で乾燥する方法や、圧搾脱水機
や押出機等で脱水と乾燥を同時に行う方法により、粉体
または粒子状のグラフト共重合体(A)を回収すること
ができる。この際、圧搾脱水機や押出機から排出された
グラフト共重合体(A)を直接、熱可塑性樹脂組成物
(D)を製造するための押出機や、多層シート状物を製
造するための成形機に送ることも可能である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有する。耐
候性に優れたシート状物を得る目的からは、(共)重合
体(B)には(メタ)アクリル酸エステル単位を10質
量%以上、更に好ましくは30質量%含有するものがよ
い。好ましい(共)重合体(B)の態様例としては、メ
タクリル酸メチル重合体(PMMA)、メタクリル酸メ
チル−スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メ
チル−アクリロニトリル−スチレン三元共重合体、アク
リロニトリル−メタクリル酸メチル共重合体、メタクリ
ル酸メチル−αメチルスチレン共重合体、メタクリル酸
メチル−N−シクロヘキシルマレイミド−スチレン共重
合体、メタクリル酸メチル−N−シクロヘキシルマレイ
ミド−αメチルスチレン三元共重合体等が挙げられ、こ
の中でも加工性、表皮膜厚均一性、耐候性に優れること
から、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)、メタク
リル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン三元共重合
体、アクリロニトリル−メタクリル酸メチル共重合体が
好ましい。
れるものではないが、得られるシート状物の面衝撃性を
向上させる観点から、ポリスチレン換算重量平均分子量
が、30,000以上、好ましくは50,000以上の
ものを用いるのがよい。また、得られるシート状物の加
工性を向上させるため、500,000以下、好ましく
は300,000以下のものを用いるのがよい。本発明
で用いる熱可塑性樹脂(D)においては、グラフト共重
合体(A)と(共)重合体(B)とを含有する。熱可塑
性樹脂(D)中のグラフト共重合体(A)の含有量は、
得られるシート状物の面衝撃強度に優れることから、熱
可塑性樹脂(D)中10質量%以上、更に好ましくは1
5質量%とするのがよい。また、シート状物の加工性に
優れることから、熱可塑性樹脂(D)中90質量%以
下、更に好ましくは85質量%以下とするのがよい。
(A)および(共)重合体(B)以外にも必要に応じて
これら以外の他の重合体(C)を配合することができ
る。重合体(C)としては、特に制限はなく、例えば、
アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ア
クリロニトリル−スチレン−N−置換マレイミド三元共
重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン
−無水マレイン酸−N−置換マレイミド三元共重合体、
ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート
(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET
樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン、スチレン−ブタジエン−スチレ
ン(SBS)、スチレン−ブタジエン(SBR)、水素
添加SBS、スチレン−イソプレン−スチレン(SI
S)等のスチレン系エラストマー、各種オレフィン系エ
ラストマー、各種ポリエステル系エラストマー、ポリス
チレン、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエー
テル(変性PPE樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、PPS樹脂、PES樹脂、PEEK樹脂、ポリアリ
レート、液晶ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂
(ナイロン)等が挙げられ、好ましくは、アクリロニト
リル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリ
ル−スチレン−N−置換マレイミド三元共重合体、スチ
レン−無水マレイン酸−N−置換マレイミド三元共重合
体、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PE
T樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、変性ポリフ
ェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、ポリアミド樹脂
であり、これらを目的に応じて単独で、または、二種以
上を併用して用いることができる。これらその他の重合
体(C)の使用できる量の上限は、押出成形性と耐候性
に優れることから、熱可塑性樹脂(D)100質量部中
80質量部、好ましくは70質量部である。
合体(B)、必要に応じて他の重合体(C)の混合は、
V型ブレンダーやヘンシェルミキサー等により混合分散
させ、この混合物を押出機または、バンバリーミキサ
ー、加圧ニーダー、ロール等の混練機等を用いて溶融混
練することにより行うことができる。得られた熱可塑性
樹脂組成物はそのままで、または必要に応じて染料、顔
料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、
可塑剤、帯電防止剤等の添加剤を配合され、加熱溶融さ
せて公知の押出成形されることで、多層シート状物にお
ける少なくとも一層を構成する。
塑性樹脂(E)から構成される。熱可塑性樹脂(E)と
しては、重合体(C)に記載されたものやABS樹脂、
ハイインパクトポリスチレン、変性ポリフェニレンエー
テル樹脂等の熱可塑性ゴム変性樹脂、塩化ビニル系樹
脂、フェノール樹脂やメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂等
が広く利用でき、中でもABS樹脂、ハイインパクトポ
リスチレン、塩化ビニル系樹脂を用いることが好まし
い。また、本発明の熱可塑性樹脂(D)は、金属部品を
被覆することもできる。
他の熱可塑性樹脂(E)の溶融粘度比が下記式1を満足
する必要がある。溶融粘度比をこの範囲内に制御するこ
とで、シート状物の成形性を向上させ、表皮膜厚斑を低
減させることができる。 β/α < 3 ・・・(1) (250℃、せん断速度102 sec−1の条件下に
おける熱可塑性樹脂(D)、(E)の溶融粘度のうち、
溶融粘度が高い方の熱可塑性樹脂の溶融粘度をβ、溶融
粘度が低い方の熱可塑性樹脂の溶融粘度をαとする。) 溶融粘度比(β/α)が3を超えるとバンク安定性が低
下し、シート状物の成形性や表皮膜厚斑が劣ってくる。
更には、溶融粘度比が2.5以下である組み合わせで熱
可塑性樹脂を用いることが好ましい。前述した溶融粘度
の測定は、加熱可能なシリンダーに、加えている力が測
定できるピストンとオリフィスを備えた押出型の溶融粘
度測定装置(キャピログラフ;東洋精機株式会社製)を
用いて行うことができる。
に何ら限定されるものではなく、工業的用途例として
は、車両部品、特に無塗装で使用される各種外装やダッ
シュボード周辺の内装部品、壁材、窓枠、雨樋、各種ホ
ースカバー等の建材部品、食器や玩具等の雑貨、掃除機
ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジ
ング等の家電部品、OA機器ハウジング、インテリア部
材、船舶部材および通信機器ハウジング等に好適に用い
ることができる。
らに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない
限り、以下の例に限定されるものではない。なお、以下
の例中の%および部数は明記しない限りは質量基準とす
る。参考例、実施例および比較例中の各種評価は以下の
測定方法で行った。(i)ゴム状重合体ラテックスの重量平均粒子径と未肥大
ゴム状重合体粒子の割合 MATEC APPLIED SCIENCES社製サブミクロン粒度分布測定
器CHDF−2000を用いて測定した。(ii)アセトン不溶分比率 冷却管および加熱器を備えたフラスコ中にグラフト共重
合体約2.5g(秤量)およびアセトン80mlを入
れ、加熱器により55℃で3時間加熱抽出処理を行い、
冷却後次いで内液を日立工機(株)遠心分離器を用いて
14,000回転/分の条件で60分処理することによ
って、アセトン不溶分を分離し、ついで上澄みを取り除
いた後の沈殿物を乾燥後、その質量を測定し、以下の式
で算出した。 アセトン不溶分(質量%)=分離処理後の沈殿物乾燥質
量/アセトン抽出前のグラフト共重合体質量 ×100
可溶分、および(共)重合体(B)の還元粘度(ηsp/
C) 上記グラフト共重合体のアセトン溶媒での抽出、次いで
遠心分離処理によるアセトン不溶分の分離によって得た
上澄み液中のアセトン溶媒を減圧蒸発させることによっ
てアセトン可溶成分を析出回収し、次いでこのアセトン
可溶成分0.2gを100ccのN,N−ジメチルホルム
アミドに溶解させた溶液の溶液粘度を自動粘度計(サン
電子工業(株)製)を用いて25℃で測定し、同条件で
測定した溶媒粘度よりアセトン可溶分の還元粘度を求め
た。(iv)(共)重合体(B)のポリスチレン換算重量平均分
子量 乾燥させた(共)重合体(B)試料を、DMF溶媒に4
0℃で2時間かけて溶解させた後、室温にて1晩静置
し、GPC(島津製作所製「HLC−8020」型)に
て測定した。
製 攪拌装置および温度制御ジャケット付き10リットルの
ステンレス製オートクレーブに、 イオン交換水 145部 不均化ロジン酸カリウム 1部 オレイン酸カリウム 1部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.4部 無水硫酸ナトリウム 0.1部 ターシャリードデシルメルカプタン 0.3部 ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 0.5部 1,3−ブタジエン 26.2部 スチレン 1.4部 を窒素気流下で仕込み、攪拌しつつ内温を昇温し、内温
が50℃になった時点でピロリン酸ナトリウム0.5部
と硫酸第一鉄0.005部とイオン交換水5部からなる
水溶液を添加して重合を開始した。重合開始から30分
後、内温57℃一定とし、さらにこの時点から1,3−
ブタジエン68.6部、スチレン3.6部からなる混合
物を2時間かけて圧力ポンプにて反応器内に供給した。
また、この際、重合転化率(全単量体に対する重合率)
が40%に達した時点でノルマルドデシルメルカプタン
0.3部添加し、さらに重合を継続した。8時間後、残
存1,3−ブタジエン単量体を除去し、固形分が40.
2質量%、重合転化率97%、重量平均粒子径70nm
のジエン系ゴム(G−1)ラテックスを得た。
系共重合ゴム(G−2)の製造 攪拌装置および温度制御ジャケット付き10リットルの
ステンレス製オートクレーブに、 イオン交換水 195部 オレイン酸カリウム 1部 N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.5部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.1部 デキストローズ 0.2部 無水硫酸ナトリウム 0.2部 ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 0.2部 1,3−ブタジエン 45部 アクリル酸−n−ブチル 55部 を窒素気流下で仕込み、攪拌しつつ内温を昇温し、内温
が50℃になった時点で、硫酸第一鉄七水塩0.003
部、無水ピロリン酸ナトリウム0.15部、エチレンジ
アミン四酢酸二ナトリウム0.001部、イオン交換水
5部からなる水溶液を添加し重合を開始した。内温を5
5℃で一定制御して開始から8時間後、固形分が32.
3質量%、重合転化率96%、重量平均粒子径85nm
のジエン−アクリル酸エステル系共重合ゴム(G−2)
ラテックスを得た。
(K−1)の製造 冷却管、ジャケット加熱器および撹拌装置を備えた反応
器内に、 オレイン酸カリウム 2.2部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.5部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部 硫酸第一鉄七水塩 0.003部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.009部 イオン交換水 200部 窒素気流下で下記各成分を仕込み、攪拌を行いながら内
温65℃に昇温した。これに、 アクリル酸−n−ブチル 81.5部 メタクリル酸 18.5部 クメンハイドロパーオキサイド 0.5部 からなる混合物を2時間かけて添加し重合せしめ、添加
終了後も2時間そのままの温度で重合を継続した。重合
転化率は98%であり平均粒子径150nmの酸基含有
共重合体ラテックス(K−1)を得た。
の製造 冷却管、ジャケット加熱器および攪拌装置を備えた反応
器内に、製造例2で製造したジエン−アクリル酸エステ
ル系共重合ゴムラテックス(G−2)70質量部(固形
分)を仕込み、室温にて攪拌下、2%炭酸ナトリウム水
溶液にてラテックスのpHを9.2に調整した。さら
に、酸基含有共重合体ラテックス(K−1、固形分)
1.2部を仕込み、30分間攪拌を継続し肥大化処理せ
しめ、重量平均粒子径190nmのゴム含有ラテックス
が得られた。さらに、攪拌を継続したまま、 脱イオン水(ゴム状重合体ラテックス中の水も含む) 200部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.14部 N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.35部 を加え、内温を75℃まで昇温し、以下の混合物90分
間にわたり連続的に添加し重合した。 メタクリル酸メチル 28.8部 アクリル酸エチル 1.2部 n−オクチルメルカプタン 0.05部 クメンハイドロパーオキサイド 0.12部 添加終了後、さらに60分間その温度で内温を保持し重
合を完結した。得られたグラフト共重合体(A−1)ラ
テックスの2倍量となる50℃に昇温された0.25%
希硫酸水溶液中に投入してグラフト共重合体を析出せし
め、さらに90℃で5分間熱処理した後に水洗、脱水を
数度繰り返し、最終的に乾燥して白色粉末であるジエン
−アクリル酸エステル系共重合ゴムグラフト共重合体
(A−1)を得た。
の製造 製造例1で調製したジエン系ゴム(a−1)ラテックス
100部(固形分として)に、参考例3で調製した酸基
含有共重合体ラテックス(K−1)ラテックス2.1部
(固形分として)を攪拌しながら添加し、さらに30分
攪拌を続け肥大化ジエン系ゴム状重合体ラテックスを得
た。肥大化後の重合体の平均粒子径は380nmであっ
た。次に試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器およ
び撹拌装置を備えた反応器に、下記各成分を添加した。 肥大化ジエン系ゴム状重合体ラテックス(固形分) 10部 イオン交換水(ゴム状重合体ラテックス中の水を含む) 200部 アルケニルコハク酸ジカリウム 0.3部 ブチルアクリレート 40部 アリルメタクリレート 0.16部 1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.08部 ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.1部 この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の
窒素置換を行い、ジャケット温度を60℃に昇温した。
内温が50℃になった時点で、下記各成分からなる水溶
液を添加し重合を開始せしめた。 硫酸第一鉄 0.00015部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.00045部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.24部 イオン交換水 5部 発熱が見られなくなった後内温を75℃として1時間こ
の状態を維持し、アクリレート成分の重合を完結させ、
重量平均粒子径は300nmであるジエン−アクリル酸
エステル系複合ゴムのラテックスを得た。次に、ナトリ
ウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15部、ア
ルケニルコハク酸ジカリウム0.65部、イオン交換水
10部からなる水溶液を添加し、続いて下記成分からな
る混合液を1時間にわたって滴下供給し重合し、その間
内温をほぼ80℃とした。 アクリロニトリル 6.3部 スチレン 18.7部 ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド 0.19部 滴下終了後、温度80℃の状態を30分間保持した後、
冷却し、内温60℃となった時点で、抗酸化剤(吉富製
薬工業(株)製アンテージW−500)0.2部、アル
ケニルコハク酸ジカリウム0.2部、イオン交換水5部
からなる混合物を添加した。次いで、上記グラフト共重
合体(A−2)ラテックスを、その1.2倍量の45℃
に加熱した硫酸0.6%水溶液中に攪拌しながら投入し
重合体を凝集させた。次いで、液温を65℃に上昇させ
5分間保持した後、液温を90℃まで上昇させた。次い
で析出物を分離した後、水洗、脱水を数回繰り返し、最
後にこの分散液を遠心脱水機にて脱水処理後、さらに8
0℃で16時間乾燥し、ジエン−アクリル酸エステル系
複合ゴムグラフト共重合体(A−2)を得た。グラフト
共重合体(A−2)中のアセトン不溶分量は82質量
%、アセトン可溶成分の還元粘度は0.65dl/gで
あった。
3)の製造 オクタメチルシクロテトラシロキサン98部と、γ−メ
タクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混
合してシロキサン系混合物100部を得た。これに、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解
したイオン交換水300部を添加し、ホモミキサーにて
10,000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイ
ザーで30MPaの圧力で1回通し、安定な予備混合オ
ルガノシロキサンラテックスを得た。一方、試薬注入容
器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた
反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸10部とイオ
ン交換水90部とを注入し、10質量%のドデシルベン
ゼンスルホン酸水溶液を調製した。この水溶液を攪拌下
にて85℃に加熱し、上記予備混合オルガノシロキサン
ラテックスを4時間かけて滴下し重合せしめ、滴下終了
後1時間85℃を維持した後、冷却した。次いで、この
反応物を水酸化ナトリウム水溶液で中和して、固形分1
7.7質量%、重量平均粒子径が60nmであるポリオ
ルガノシロキサンラテックスを得た。次いで、試薬注入
容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備え
た反応器内に、 上記ポリオルガノシロキサンラテックス(固形分) 8部 ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート (「エマールNC−35」花王(株)製) 0.2部 イオン交換水(ポリオルガノシロキサン ラテックス中の水を含む) 220部 アクリル酸−n−ブチル 42部 メタクリル酸アリル 0.3部 1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.1部 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.11部 を窒素気流下で攪拌下で仕込み、60℃まで昇温した。
その時点で、硫酸第一鉄0.000075部、エチレン
ジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.000225部、ナ
トリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部を
蒸留水5部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合
を開始せしめた。このとき、アクリル酸−n−ブチルの
重合により、液温は約80℃まで上昇した。1時間この
温度を維持し、重量平均粒子径が110nmであるポリ
オルガノシロキサン−アクリル酸エステル系複合ゴムラ
テックスを得た。次に、反応器内部の液温を70℃と
し、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.
25部を蒸留水:10部に溶解した水溶液を添加し続い
て、 アクリロニトリル 2.5部 スチレン 7.5部 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.05部 の混合液を30分かけて滴下供給し、滴下終了後、温度
70℃の状態を1時間保持した。続いて、下記各成分か
らなる水溶液を添加し、 硫酸第一鉄 0.001部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.2部 エマールNC−35(花王(株)製) 0.2部 イオン交換水 5部 これに続いて、 アクリロニトリル 10部 スチレン 30部 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部 の混合液を内温75℃から2時間かけて滴下供給して重
合せしめた。滴下終了後、温度75℃の状態を30分間
保持した後冷却した。このラテックスにアルケニルコハ
ク酸ジカリウム塩(「ラテムルASK」花王(株)製)
を0.5部添加し、グラフト共重合体(A−3)の重合
ラテックスを得た。次いで1%酢酸カルシウム水溶液1
50部を60℃に加熱し、この中へグラフト重合体(A
−3)のラテックス100部を徐々に滴下し凝固した。
次いで析出物を脱水、洗浄、乾燥し、ポリオルガノシロ
キサン−アクリル酸エステル系複合ゴムグラフト重合体
(A−3)を得た。
の製造 攪拌機付きの容器に、製造例1にて調製したジエン系ゴ
ム(a−1)ラテックス100部(固形分)に、攪拌下
および室温にて、製造例3にて調製した酸基含有共重合
体ラテックス(K−1)1.2部(固形分)を添加し、
30分間攪拌し肥大化せしめた。得られた肥大化ジエン
系ゴム状重合体ラテックスの重量平均粒子径は290n
mであった。続いて、温度計、温水ジャケット、滴下供
給口、および攪拌機つき5Lガラス製容器に、下記各成
分を仕込み、内温を60℃に昇温した。 肥大化ジエン系ゴム状重合体ラテックス(固形分) 50部 イオン交換水(肥大化ジエン系 ゴム状重合体ラテックス中の水を含む) 135部 不均化ロジン酸カリウム 0.3部 デキストローズ 0.3部 硫酸第一鉄(七水塩) 0.005部 無水ピロリン酸ナトリウム 0.1部 これに、 アクリロニトリル 15部 スチレン 35部 クメンハイドロパーオキサイド 0.15部 ターシャリードデシルメルカプタン 0.2部 からなる混合物を180分かけて滴下供給し、その間、
内温を60℃から75℃に上昇させた。滴下終了後、ク
メンハイドロパーオキサイド0.1部を追添加し、その
温度で60分間保持し重合を完了した。冷却後、抗酸化
剤(吉富製薬工業(株)製アンテージW−400)0.
3部を添加し、この得られたグラフト共重合体(A−
4)ラテックスをその2倍量の75℃に調節した0.4
%硫酸水溶液中に投入した後、スラリーのPHを5に調
整し、温度を92℃に昇温、5時間保持した。脱水と洗
浄を繰り返し最終的に乾燥させて乳白色粉末状の重合体
を得た。
造 メタクリル酸メチル90部およびアクリル酸メチル10
部からなり、 N,N−ジメチルホルムアミド溶液から2
5℃で測定した還元粘度が0.51dl/g、ポリスチ
レン換算重量平均分子量が70,000であるアクリル
樹脂(B−1)を公知の懸濁重合により製造した。 [製造例9](共)重合体(B−2)の製造 アクリロニトリル8部、スチレン22部、メタクリル酸
メチル70部よりなり、N,N−ジメチルホルムアミド
溶液から25℃で測定した還元粘度が0.50dl/
g、ポリスチレン換算分子量が150,000であるア
クリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル三元共
重合体(B−2)を公知の懸濁重合により製造した。
製造 アクリロニトリル25部、スチレン25部、メタクリル
酸メチル50部よりなり、N,N−ジメチルホルムアミ
ド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.53dl/
g、ポリスチレン換算分子量が160,000であるア
クリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル三元共
重合体(B−3)を公知の懸濁重合により製造した。 [参考例11](共)重合体(B−4)の製造 アクリロニトリル20部、メタクリル酸メチル80部よ
りなり、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃
で測定した還元粘度が0.51dl/g、ポリスチレン
換算分子量が105,000であるアクリロニトリル−
メタクリル酸メチル共重合体(B−4)を公知の懸濁重
合により製造した。
製造 アクリロニトリル30部、スチレン70部よりなり、
N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定し
た還元粘度が0.61dl/g、ポリスチレン換算分子
量が145,000であるアクリロニトリル−スチレン
共重合体(B−5)を公知の懸濁重合により製造した。 [参考例13](共)重合体(B−6) メタクリル酸メチル99部およびアクリル酸メチル1部
からなり、 N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25
℃で測定した還元粘度が0.85dl/g、ポリスチレ
ン換算分子量は105,000のアクリル樹脂(B−
6)を公知の懸濁重合により製造した。
各グラフト共重合体(A)、(共)重合体(B)の合計
100質量部に対し、さらにエチレンビスステアリルア
ミド0.4部、加工助剤として三菱レイヨン(株)社製
メタブレンL−1000を1部、メタブレンP−531
を1部、酸化チタン(石原産業(株)社製「CR−60
−2」)を2部添加してヘンシェルミキサーで3分間混
合した。これらの配合比を表1に示した。そして、バレ
ル温度230℃に設定した2軸押出機(池貝鉄工(株)
社製「PCM−30」)で賦型して樹脂ペレットを作製
した。得られた樹脂ペレットを用い、幅400mm、厚
み7mmの二層シート押出用Tダイを装着したスクリュ
ー径45mmφ単軸主押出機、25mmφ単軸副押出機
(いずれも東芝機械(株)社製)および転写ロール、巻
取装置から構成される押出成形機を用いた。45mmφ
主押出機(バレル温度230℃)からベース樹脂として
ABS樹脂(三菱レイヨン(株)社製ダイヤペット 3
001M)を吐出量20kg/hrで押し出し、25m
mφ副押出機(バレル温度230℃)から表層樹脂とし
て、上記調製した樹脂ペレットを吐出量2kg/hで押
出して表皮材とし、Tダイ温度250℃、ロール温度1
00℃、主スクリュー回転数60回転/分の条件で、総
厚みが2.0mm(ABS樹脂1.8mm、本発明に係
る熱可塑性樹脂0.2mm)の二層シート状物を成形し
た。その際のバンク安定性と、得られた二層シート状物
を用いて表皮膜厚ムラ、面衝撃強度および耐候性を以下
に示す方法で評価した。
て、東洋精機(株)社製キャピログラフを使用して、バ
レル温度250℃、キャピラリー直径1mmφ、長さ1
0mm(L/D=10)を使用し、せん断速度が102
sec−1での溶融粘度を測定した。ダイヤペット30
01Mの溶融粘度は10,000であった。また、熱可
塑性樹脂(D)の溶融粘度及びそれぞれの溶融粘度を基
に求めた溶融粘度比を表1に示した。(2)バンク安定性 上記押出成形条件にてロール上のシート引取側に発生す
る樹脂バンクの安定状態を観察した。評価は3段階で行
った。○は長時間にわたり樹脂バンクが棒状で滑らかに
回転し、バンク安定性が良好なことを示す。一方、×は
樹脂バンクが波打ち、またはバンク切れし不安定な状態
を示す。 ○:バンク安定性良好 △:やや不良 ×:不良
を切出し、ASTMD−3764に準拠し島津製作所
(株)製「HTM−1」高速衝撃試験機を使用し、測定
温度23℃の条件下でストライカ速度3.3m/秒、ス
トライカ径1/2インチφ、支持枠3インチφの条件下
にて破壊エネルギ−(J)を測定した。(4)耐候性 調製した多層シート状物をスガ試験機(株)社製のサン
シャインスーパーロングライフウェザーメーターを使用
し、63℃降雨有り条件下で1,000時間後の加速曝
露を行った。なお、耐候性は表皮側面より行った。そし
て、村上色彩技術研究所(株)社製の高速分光光度計
「CMS―1500」を使用し、曝露試験片と非曝露試
験片との色差(ΔE)を測定した。
かとなった。 1)実施例1〜8で得られた多層シート状物は、シート
状物の成形性が良好であり、表皮膜厚斑が小さく面衝撃
強度、耐候性に優れる。特に共重合体(B)にメタクリ
ル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン三元共重合
体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体を
用いた場合は、その効果が最も優れ工業的価値が高い。 2)比較例1で得られた表皮にグラフト共重合体(A−
1)単独を用いた多層シート状物は、ABS樹脂との溶
融粘度比が3以上となるためバンク安定性、表皮膜厚斑
に劣る。 3)比較例2で得られた表皮に共重合体(B−1)単独
を用いた多層シート状物は面衝撃強度が劣り工業的価値
が低い。 4)比較例3、4で得られた表皮にジエン系単独ゴムグ
ラフト共重合体(A−4)を含む多層シート状物は耐候
性が劣る。 5)比較例5で得られた、溶融粘度比が3を超える多層
シート状物はバンク安定性が劣る。
エステル系ゴム状重合体(G)にビニル系単量体を含有
する単量体をグラフト重合したグラフト共重合体(A)
と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を有する
(共)重合体(B)とを含有する熱可塑性樹脂(D)
と、他の熱可塑性樹脂(E)とを多層成形してなる多層
シート状物であって、熱可塑性樹脂(D)と熱可塑性樹
脂(E)の溶融粘度比を特定範囲内とすることで、シー
ト成形性に優れるとともに面衝撃強度、耐候性に優れた
多層シート状物となり、幅広い用途で加工、使用するこ
とができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 アクリル酸エステル系ゴム状重合体
(G)にビニル系単量体を含有する単量体をグラフト重
合したグラフト共重合体(A)と(メタ)アクリル酸エ
ステル単量体単位を有する(共)重合体(B)とを含有
する熱可塑性樹脂(D)と、他の熱可塑性樹脂(E)と
を多層成形してなる多層シート状物であって、熱可塑性
樹脂(D)と熱可塑性樹脂(E)の溶融粘度比が下記式
(1)の範囲内にあることを特徴とする多層シート状
物。 β/α < 3 ・・・(式1) (250℃、せん断速度102 sec−1の条件下に
おける熱可塑性樹脂(D)、(E)の溶融粘度のうち、
溶融粘度が高い方の熱可塑性樹脂の溶融粘度をβ、溶融
粘度が低い方の熱可塑性樹脂の溶融粘度をαとする。) - 【請求項2】 熱可塑性樹脂(D)の層が少なくとも表
層に存在することを特徴とする請求項1記載の多層シー
ト状物。 - 【請求項3】 アクリル酸エステル系ゴム状重合体
(G)が、ジエン−アクリル酸エステル共重合ゴム、ア
クリル酸エステル系ゴム、ジエン−アクリル酸エステル
系複合ゴム、ポリオルガノシロキサン−アクリル酸エス
テル系複合ゴムからなる群から選ばれたものであること
を特徴とする請求項1又は2記載の多層シート状物。 - 【請求項4】 (共)重合体(B)中に、炭素数1〜8
のアルキル基を有するメタクリル酸エステル単位を10
〜100質量%含有することを特徴とする請求項1〜3
の何れか1項記載の多層シート状物。 - 【請求項5】 アクリル酸エステル系ゴム状重合体
(G)にビニル系単量体を含有する単量体をグラフト重
合したグラフト共重合体(A)と(メタ)アクリル酸エ
ステル単位を有する(共)重合体(B)とを含有する熱
可塑性樹脂(D)と、他の熱可塑性樹脂(E)とを多層
成形する多層シート状物の製造方法であって、 熱可塑性樹脂(D)と熱可塑性樹脂(E)の溶融粘度比
が下記式(1)の範囲内にあることを特徴とする多層シ
ート状物の製造方法。 β/α < 3 ・・・(式1) (250℃、せん断速度102 sec−1の条件下に
おける熱可塑性樹脂(D)、(E)の溶融粘度のうち、
溶融粘度が高い方の熱可塑性樹脂の溶融粘度をβ、溶融
粘度が低い方の熱可塑性樹脂の溶融粘度をαとする。)
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JP2021505725A (ja) * | 2018-08-08 | 2021-02-18 | エルジー・ケム・リミテッド | グラフト共重合体の製造方法、グラフト共重合体およびこれを含む熱可塑性樹脂成形品 |
-
2001
- 2001-12-14 JP JP2001381491A patent/JP3970599B2/ja not_active Expired - Lifetime
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