JP2003181944A - 繊維強化プラスチック成形品の製造方法、及び該製造に用いる樹脂、並びに強化ライニングの施工方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック成形品の製造方法、及び該製造に用いる樹脂、並びに強化ライニングの施工方法

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JP2003181944A
JP2003181944A JP2001383185A JP2001383185A JP2003181944A JP 2003181944 A JP2003181944 A JP 2003181944A JP 2001383185 A JP2001383185 A JP 2001383185A JP 2001383185 A JP2001383185 A JP 2001383185A JP 2003181944 A JP2003181944 A JP 2003181944A
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Tatsumi Nakazawa
龍水 中沢
Hiroshi Uno
洋 羽野
Yasuyuki Sato
康幸 佐藤
Junichi Kobayashi
純一 小林
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Nichiyu Solution Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吹き付けた塗着物が脱泡作業を必要としない
繊維強化プラスチック成形品(FRP成形品)の製造方
法及び該製造に用いる樹脂、並びに強化ライニングの施
工方法を提案する。 【解決手段】 樹脂及び硬化剤を噴射させて成形型の表
面に樹脂と硬化剤とによる第1層を形成し、前記第1層
が硬化する以前に樹脂及び硬化剤と繊維強化材とを、強
化繊維材を樹脂及び硬化剤より高圧及び高速で噴射させ
て第2層を形成し、前記第1層と第2層とを一体化させ
るようにしたFRP成形品の製造方法、または強化ライ
ニングの施工方法であって、少なくとも第2層に用いる
樹脂は、粘度が1〜20dPa・s、揺変度が1.5以上で
あり、重合性単量体を45%以上含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吹き付けた塗着物
がローラ掛け等の脱泡作業を必要としない繊維強化プラ
スチック成形品(以下、FRP成形品という)の製造方
法、及び該製造に用いる樹脂、並びに強化ライニングの
施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スプレイアップ法を使用した水
槽、浴槽、浄化槽等のFRP成形品の成形方法は、スプ
レイガンの吐出ノズルから樹脂組成物、硬化剤を噴射さ
せ、これとは別に噴射される繊維強化材を空中で合流さ
せ、混合物として成形型の表面に吹き付けた後、ローラ
掛けなどで脱泡作業を行っている。また、特開平10−
156956号公報に記載されているスプレイアップ法
による成形方法は、樹脂組成物の吐出ノズルを3個以上
使用し、第1の吐出ノズルから噴射される成形用樹脂組
成物と、これとは別個に噴射される繊維強化材とを空中
で合流させて混合物とし、その後、第2の吐出ノズルか
ら噴射させた樹脂組成物を合流点を遅らせて混合物に合
流させて混合し、成形型に吹き付けた後、その上に第3
以降の吐出ノズルから噴射された成形用樹脂組成物を吹
き付けるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の成形方法では、複数層の樹脂を吹き付けるので脱泡作
業をある程度軽減できるかもしれないが、ガラス繊維等
の繊維強化材を噴射直前で切断機構により切断した繊維
強化材を空中において樹脂に合流させるので、綿状にな
って成形型の表面に浮き上ることになり、浮き上がった
繊維強化材の内部に気泡が混入するため結局のところ脱
泡作業を省略することができなかった。また、スプレイ
ガンに吐出ノズルを3個以上設け、それぞれのノズルか
ら個別に樹脂を噴射させるので、装置が複雑になるし、
樹脂の噴射タイミングを正確に制御する必要があった。
しかも、スプレイガンには多数のノズルばかりでなく、
切断機構、切断機構を駆動するためのモータなどを具備
させてあるので、重量が嵩んで片手で操作できなかった
り、重量によってノズルの位置を正確に設定することが
できないこともあった。尚、FRP成形法として、スプ
レイアップ法と共に公知のハンドレイアップ法において
は、使用する樹脂特性もスプレイアップ法に使用するも
のとは幾分異なるが、脱泡作業が省略できないという点
では共通していた。したがって、本発明は脱泡作業を必
要としないFRP成形品の製造方法を提案することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成させるた
め、本発明は、樹脂及び硬化剤を噴射させて成形型の表
面に樹脂と硬化剤とによる第1層を形成し、前記第1層
が硬化する以前に樹脂及び硬化剤と繊維強化材とを、繊
維強化材を樹脂及び硬化剤より高圧及び高速で噴射させ
て第2層を形成し、前記第1層と第2層とを一体化させ
るようにしたFRP成形品の製造方法であって、少なく
とも第2層に用いる樹脂は、粘度が1〜20dPa・s、揺
変度が1.5以上であり、重合性単量体を45%以上含
有することを特徴とするFRP成形品の製造方法及び該
製造に用いる樹脂を提案するものである。
【0005】さらに本発明は、上記手法をコンクリート
床の防水処理や鋼板表面の防食などを目的とした強化ラ
イニングに用いることができることをも見出した。即ち
樹脂及び硬化剤を噴射させてコンクリート床や鋼板表面
等の対象下地の表面に樹脂と硬化剤とによる第1層を形
成し、前記第1層が硬化する以前に樹脂及び硬化剤と繊
維強化材とを、繊維強化材を樹脂及び硬化剤より高圧及
び高速で噴射させて第2層を形成し、前記第1層と第2
層とを一体化させるようにした強化ライニングの施工方
法であって、少なくとも第2層に用いる樹脂は、粘度が
1〜20dPa・s、揺変度が1.5以上であり、重合性単
量体を45%以上含有することを特徴とする強化ライニ
ングの施工方法をも提案する。
【0006】
【発明の実施の形態】前記本発明のFRP成形品の製造
方法は、スプレイアップ法、即ち成形型に離型剤を塗布
した上に樹脂と硬化剤を噴射して第1層を形成し、その
後、樹脂と硬化剤と予めカットされた繊維強化材とを吹
き付けて第2層を形成する点では共通するが、繊維強化
材が樹脂及び硬化剤よりも高圧及び高速で噴射されるよ
うに吹き付けて第2層を形成する点で異なる。したがっ
て、従来のスプレイアップ用成形装置に噴射圧力及び噴
射速度を調整可能な機構を具備させた装置を用いて繊維
強化材が樹脂及び硬化剤よりも高圧及び高速で噴射(=
樹脂及び硬化剤が繊維強化材よりも低圧及び低速で噴
射)されて第2層を形成できるようにし、且つ後述する
特定の性状を有する樹脂を用いることにより、前記本発
明の製造方法は果たされる。
【0007】具体的な装置の一例としては、フレームに
樹脂供給機構、硬化剤供給機構及び繊維強化材供給機構
を設置し、各供給機構をスプレイガンに接続して樹脂供
給機構からの樹脂、硬化剤供給機構から硬化剤及び繊維
強化材供給機構から繊維強化材を、スプレイガンに設け
たそれぞれの吐出ノズル部から噴射させて成形型に吹き
付けるようにし、前記樹脂供給機構には樹脂容器とスプ
レイガンとの間にエアで作動する樹脂ポンプ及び樹脂圧
力調整機構を設け、前記硬化剤供給機構には硬化剤容器
とスプレイガンとの間にエアで作動する硬化剤ポンプ及
び硬化剤圧力調整機構を設け、前記ガラス繊維供給機構
には予めカットされた繊維強化材の収納容器の内部上面
に吸引機構を設け、スプレイガンの樹脂吐出ノズル部、
硬化剤吐出ノズル部及び繊維強化材吐出ノズル部にそれ
ぞれエアホースを接続し、前記エアホースからのエアに
よって樹脂、硬化剤及び予めカットされた繊維強化材
を、吐出順序、圧力及び速度を制御しながら噴射させる
ようにした。そのため、成形型の表面に樹脂と硬化剤と
による第1層を形成し、前記第1層が硬化する以前に樹
脂及び硬化剤と予めカットされた繊維強化材とを、繊維
強化材を樹脂及び硬化剤より高圧及び高速で噴射させて
第2層を形成し、前記第1層と第2層とを一体化させる
ことができる。尚、この装置並びにこの装置を用いてF
RP成形品を成形する方法は、既に出願済み(特願20
01−57879)である。
【0008】また、例えば前記装置では予めロービング
をカットした繊維強化材をタンクに貯留して供するよう
にしたが、ロービングをカットし、そのまま噴出するよ
うにしても良い。
【0009】また、本発明に用いる特定の性状を有する
樹脂は、粘度が1〜20dPa・s、揺変度が1.5以上で
あり、重合性単量体を45%以上含有する。ここで、従
来の一般的なスプレイアップ法に用いられる樹脂は、粘
度が2.0〜5.0dPa・s(25℃)、揺変度が3.0〜
4.0(25℃)であることが知られている。この従来
の樹脂を従来のスプレイアップ法に用いる装置に適用し
た場合には多量の気泡が生ずるため、ローラ掛け等の脱
泡作業が必要となる。この場合、重合性単量体の量を増
やしても有効な対策とはならない。そこで、繊維強化材
が樹脂及び硬化剤よりも高圧及び高速で噴射されるよう
に吹き付けて第2層を形成する方法及び装置を用い、且
つ前述の特性の性状を有する樹脂を用いることにより、
気泡を生じにくいため脱泡作業を省略できることが見出
された。
【0010】さらに、水平状に配置された成形型に対し
ての吹き付けでは起こらない現象であるが、縦方向に配
置させた成形型に対して吹き付けした場合に、「樹脂ダ
レ」或いは「樹脂切れ」と呼ばれる現象を起こさないこ
とが重要となる。そのような性状の樹脂として、粘度が
4〜20dPa・s、さらに好ましくは6〜10dPa・s、揺
変度が4以上、さらに好ましくは6以上であり、重合性
単量体を45%以上含有させた樹脂を用いることによ
り、脱泡作業を省略でき、しかも縦方向に配置させた成
形型に対して吹き付けした際にも「樹脂ダレ」及び「樹
脂切れ」を生じないことを見出した。
【0011】樹脂におけるその他の構成については、特
に限定するものではなく、例えば本発明のFRP成形品
の製造方法には浄化槽、浴槽、エアロパーツ等の各種の
FRP成形品の製造に使用されるものを用いることがで
きる。例えば、不飽和ポリエステル樹脂組成物、ビニル
エステル樹脂組成物、(メタ)アクリル系樹脂組成物な
どが挙げられ、特に不飽和ポリエステル樹脂組成物が好
ましい。不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリ
エステル、重合性単量体、硬化剤及び必要に応じて種々
の添加剤を含有してなるものである。この不飽和ポリエ
ステルは、不飽和二塩基酸及び/又はその酸無水物と必
要に応じて用いられるその他の多塩基酸を含む酸成分
と、アルコール成分とを公知の方法で反応させて得られ
るものである。
【0012】不飽和二塩基酸及びその酸無水物として
は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、無水マレイン酸などが用いられ、これらのうち2種
以上を併用してもよい。不飽和二塩基酸及びその酸無水
物は、酸成分中1〜100モル%使用されることが好ま
しい。また、これらは、成形品に適度な硬さを付与し、
しかも脆くなりすぎないためには、酸成分中20〜90
モル%使用することがより好ましく、30〜70モル%
使用されることが特に好ましい。
【0013】必要に応じて用いられるその他の多塩基酸
としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、こ
はく酸、アゼライン酸、アジピン酸、テトラヒドロフタ
ル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル
酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラ
ヒドロ無水フタル酸、アントラセン-無水マレイン酸付
加物、ロジン-無水マレイン酸付加物、ヘット酸、無水
ヘット酸、テトラクロロフタル酸、テトラクロロ無水フ
タル酸、テトラブロモフタル酸、テトラブロモ無水フタ
ル酸等のハロゲン化多塩基酸などが挙げられる。これら
は2種以上を併用してもよい。これらは、酸成分全体が
100重量%になるように調整して使用される。
【0014】アルコール成分としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,
4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペ
ンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリエチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロ
ヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA等の二価
アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の
三価アルコール、ペンタエリスリトール等の四価アルコ
ールなどが用いられる。これらのうち2種以上を併用し
てもよい。酸成分とアルコール成分の反応は、主に縮合
反応を進めることにより行われ、両成分が反応するとき
に生じる水などの低分子化合物を系外へ脱離させること
により進行させる。酸成分とアルコール成分は、酸成分
1当量に対してアルコール成分を1〜1.3当量使用す
ることが好ましく、1.03〜1.2当量使用することが
より好ましい。
【0015】重合性単量体としては、例えば、スチレ
ン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロルスチ
レン、ジビニルベンゼン、メタクリル酸メチル等の(メ
タ)アクリル酸エステル〔(メタ)アクリル酸は、メタ
クリル酸及びアクリル酸を意味する。以下同様〕、酢酸
ビニルなどが用いられ、これらのうち2種以上を併用し
てもよい。不飽和ポリエステルと重合性単量体は、硬化
度と粘度を考慮して、前者30〜80重量%及び後者2
0〜70重量%使用することが好ましく、前者35〜6
5重量%及び後者35〜65重量%使用することが特に
好ましい。
【0016】また、硬化剤としては、メチルエチルケト
ンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等
の有機過酸化物が挙げられる。この硬化剤は、不飽和ポ
リエステル樹脂組成物に対して、通常、0.5〜3.0重
量%の割合で配合する。硬化剤は、別途に用意し、樹脂
組成物の使用直前又は使用時に混合されることが好まし
い。硬化剤は、キシレン、トルエン等の有機溶剤、ジメ
チルフタレート、ジオクチルフタレート等の液状可塑剤
などに溶解して使用することが好ましい。
【0017】不飽和ポリエステルを上記のような重合性
単量体に溶解させ、硬化剤、硬化促進剤などを配合した
不飽和ポリエステル組成物に、必要に応じてさらに、ハ
イドロキノン、ピロカテコール、2,6-ジターシャリ
ーブチルパラクレゾール等の重合禁止剤、染料、可塑
剤、紫外線吸収剤、シリカ粉、アスベスト粉、水素化ヒ
マシ油、脂肪酸アミド等の公知の揺変剤、炭酸カルシウ
ム、チタン等の比重の大きい充填剤、シリカバルーン、
ガラスバルーン等の比重の小さい充填剤、安定剤、消泡
剤、レベリング剤等の各種添加剤を配合してもよい。
【0018】硬化促進剤としては、ナフテン酸コバル
ト、オクテン酸コバルト等の金属石けん類、ジメチルベ
ンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム
塩、アセチルアセトン等のβ-ジケトン類、ジメチルア
ニリン、N-エチル-m-トルイジン、トリエタノールア
ミン等のアミン類などが挙げられる。この硬化促進剤の
配合割合には特に制限はなく、要求される硬化性に応じ
て適宜決定されるが、好ましくは不飽和ポリエステルと
重合性単量体の総量に対して、0.005〜5重量%使
用される。
【0019】繊維強化材としては、ビニロン繊維、ナイ
ロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等の有機系
繊維強化材でも良いし、ガラス繊維、炭素繊維、セラミ
ック繊維、ウィスカー、金属繊維などの無機系繊維強化
材でも良いが、ガラス繊維を用いることがが好ましい。
この繊維強化材の使用量は特に限定するものではない
が、例えばガラス繊維を例にすると、成形品の強度と成
形性を考慮し、樹脂基材60〜90重量部に対して10
〜40重量部とすることが好ましく、15〜35重量部
とすることがより好ましい。上記配合割合は、樹脂基材
とガラス繊維の合計量が100重量部となるように決定
する。また、樹脂基材とガラス繊維の総量は、2〜15
kg/分の吐出量で成形型に吹き付けることが好ましい。
【0020】繊維強化材の長さ(ロービングの切断長
さ)は、5〜50mmの範囲が好ましく、特に成形型に吹
き付けられた混合物のタレを防止し、気泡の巻き込みを
低減するという観点からは10〜40mmであることが好
ましく、12〜25mmであることがより好ましい。
【0021】また、樹脂中には、前記粘度(1〜20dP
a・s)、揺変度(1.5以上)、重合性単量体含有率
(45%以上)を変更しない範囲であれば、その他どの
ような材料、添加剤等を配合しても良い。また、この特
定の性状を有する樹脂は第2層のみでなく第1層に用い
る樹脂としても用いることができる。そして、例えば第
1層を形成するための樹脂としては各種顔料を配合した
ゲルコート用とし、第2層を形成するための樹脂として
は顔料を配合しないクリア用としても良いが、これらに
限定するものではなく、それぞれの樹脂に顔料を配合し
ても配合しなくても良い。
【0022】本発明において、成形型とスプレイガンの
距離(吹き付け距離)は、特に制限はないが、この吹き
付け距離が長すぎると、所定の吹き付け位置に吹き付け
ることが困難となり、短すぎると、樹脂の飛散が多くな
ることから400〜1200mmとすることが好ましく、
500〜700mmであることがより好ましい。
【0023】また、コンクリート床の防水処理や鋼板表
面の防食などを目的とした強化ライニングの施工におい
ては、クラック防止を図るため、前記FRP成形品の製
造に用いるものよりも比較的柔らかい樹脂が選定され
る。この強化ライニングの施工では、建築物屋上等のコ
ンクリート床や鋼板などが対象となり、対象処理面は段
差部を含んでいたり縦型に配されていることも多い。そ
のため、従来は下地にプライマーを塗布した後、不飽和
ポリエステル等の樹脂を含浸させたガラス繊維マットを
敷設し、ローラ掛け等を行って脱泡を行っていた。そこ
で、前記特定の組成を有する樹脂及び硬化剤からなる混
合液をコンクリート床や鋼板表面等の対象下地の表面に
噴射して第1層を形成し、前記第1層が硬化する以前に
樹脂及び硬化剤と繊維強化材とを、繊維強化材を樹脂及
び硬化剤より高圧及び高速で噴射させて第2層を形成
し、前記第1層と第2層とを一体化させることにより、
ダレを生ずることなく脱泡無しで施工することができ
る。即ち本発明の強化ライニングの施工方法は、前記F
RP成形品の製造方法と吹き付け対象が下地か成形型か
の相違に過ぎず、手法は全く同様である。
【0024】
【実施例】まず、本発明の製造方法及びそれに用いた装
置を図面に示す実施の態様に基づいて説明する。尚、繊
維強化材としてはガラス繊維を用いた。図1は本発明に
用いた装置の概略斜視図、図2は装置の概略系統図、図
3は樹脂容器の概略斜視図、図4は図3の側面図、図5
は樹脂ポンプと樹脂圧力調整機構との縦断面図、図6は
硬化剤容器と硬化剤圧力調整機構との縦断面図、図7は
予め切断されたガラス繊維の収納容器の概略斜視図、図
8はガラス繊維吐出ノズル部の分解斜視図、図9はガラ
ス繊維吐出ノズル部の縦断側面図、図10は硬化剤のカ
ットインバルブの縦断面図、図11はスプレイガンの一
方の側面図、図12はスプレイガンの他方の側面図、図
13は図11の平面図、図14はガラス繊維吐出ノズル
部を外した状態のスプレイガンの側面図、図15は各ノ
ズル部の噴射口の正面図、図16はノズル部の他の実施
例の側面図である。
【0025】本発明に用いたFRP成形品の製造装置1
は、図1で概略を示すように、手動若しくは自走で走行
可能なフレーム2に、樹脂供給機構11、硬化剤供給機
構21及びガラス繊維供給機構31を搭載すると共に、
樹脂ポンプ15の圧力を調整する樹脂圧力調整機構16
及び硬化剤ポンプ23の圧力を調整する硬化剤圧力調整
機構24を具備する構成である。
【0026】前記樹脂供給機構11は、前記フレーム2
に設けた架台12に樹脂容器13を交換可能に設置し、
前記樹脂容器13に着脱可能に接続した第1の樹脂ホー
ス14に樹脂ポンプ15と樹脂圧力調整機構16とを直
列状に設け、前記樹脂圧力調整機構16の出口側とスプ
レイガン41とを、第2の樹脂ホース17で接続してな
る構成である。
【0027】前記架台12は、複数本のアングル状、チ
ャンネル状の金属材を枠状に組み合わせてなり、上端の
左右に支持杆121を並設し、両支持杆121の後端間
をスプリング線材122で接続するとともに、各支持杆
121の先端にストッパー材123を設けた構成であ
る。
【0028】前記樹脂容器13は、例えば18リットル
入りの直方体の缶容器を使用することができ、周知のよ
うに上面の一隅に溶液の排出口(図示せず)を設けてあ
る。そして、前記排出口を有する隅部の稜線に、L字状
断面のホルダー131を装脱可能に設けるとともに、前
記ホルダー131の前端に前記第1の樹脂ホース14を
着脱可能に設け、ホルダー131の後端に、ネジ杆を締
め付けることによって樹脂容器13に固定したり、緩め
ることにより樹脂容器13から外すことができる締着具
132を設けてある。
【0029】したがって、前記ホルダー131を樹脂容
器13の稜線に沿って配置し、締着具132を締め付け
て一隅の前記排出口に第1の樹脂ホース14を密に接続
し、この状態の樹脂容器13を架台12の左右の支持杆
121にセットすると、樹脂容器13の前面がストッパ
ー材123に係止されて後部がスプリング線材122に
載る。
【0030】このため、樹脂容器13の内部に充分な粘
液状樹脂があれば、自重でスプリング線材122を伸ば
しているので、樹脂容器13がほぼ平行な状態(図4の
2点鎖線)である。しかし、樹脂容器13の内部の樹脂
が使用により減少すると、軽くなってスプリング線材1
22が張るので、樹脂容器13の後部が上昇状態(図4
の実線)となって前記排出口が傾斜下側になる。このた
め、樹脂容器13に粘液状の樹脂が入っていて減少して
も、常に排出口から粘液状の樹脂が第1の樹脂ホース1
4に流入することになる。そして、前記樹脂容器13が
空になるとホルダー131を脱着して新しい樹脂容器1
3に交換することができる。
【0031】前記樹脂ポンプ15はベローズ構造で、図
5で示すように、気密なポンプケース151の下方に第
1の樹脂ホース14の端部が接続する樹脂入口152を
有し、前記樹脂入口152には、ウエイト153の自重
によって第1の樹脂ホース14からケース151の内部
にしか粘液状樹脂が流入することができない第1の逆止
弁154を設けてある。
【0032】そして、前記ポンプケース151の内部に
は、柔軟な樹脂からなる伸縮可能なベローズ155を設
け、エア供給用の第1のパイプ156を前記ポンプケー
ス151に接続して内部に高圧のエアを供給したり排気
させることにより前記ベローズ155を伸縮させて、樹
脂入口152から粘液状の樹脂を流入させるとともに、
対向する位置に設けてある樹脂出口157に排出させ
る。したがって、第1のパイプ156から高圧のエアが
出入りしてベローズ155が作動すると、第1の樹脂ホ
ース14から粘液状の樹脂を流入させて樹脂出口157
に排出することができる。
【0033】なお、前記第1のパイプ156はフレーム
2に設けたコンプレッサ(図示せず)に接続され、前記
コンプレッサと樹脂ポンプ15との間に設けた電磁弁
(図示せず)を前記電気的制御機構61に電気的に接続
しているので、電気的制御機構61からの制御信号によ
り電磁弁が作動し、樹脂ポンプ15の駆動を正確に制御
して樹脂容器13の樹脂を第2の樹脂パイプ17に供給
する。
【0034】前記樹脂ポンプ15の樹脂出口157に
は、前記樹脂圧力調整機構16が直列で連結されてい
る。前記樹脂圧力調整機構16は液密に閉塞された枠状
の容器として構成され、樹脂出口157から圧送される
樹脂を第2の逆止弁161を通過させて高圧状態で収容
し、出口側に接続されている前記第2の樹脂ホース17
に脈流を生じさせることなく連続的に圧送する。したが
って、第2の樹脂ホース17が接続されているスプレイ
ガン41には、常に粘液状樹脂が供給される。
【0035】前記第2の樹脂ホース17には保温機構5
1を設けて、通過する樹脂の温度を一定に保っている。
前記保温機構51は、前記フレーム2に搭載した温水タ
ンク511の内部に臨むヒーター機構512と温度セン
サー513とを電気的制御機構61に接続し、また、ポ
ンプ機構514の駆動によって温水タンク511内の温
水を、2重ホース構造とした前記第2の樹脂ホース17
のほぼ全長に設けた外側ホース部515の内部に供給し
て循環流させる構成である。
【0036】したがって、前記電気的制御機構61によ
りヒーター機構512と温度センサー513とによって
温水タンク511内の水の温度を一定に設定し、ポンプ
機構514を作動させて温水を外側ホース部515に循
環流させると、第2の樹脂ホース17を通過する粘液状
の樹脂が設定された一定の温度に保たれて硬化すること
なく、スプレイガン41に供給される。
【0037】前記硬化剤供給機構21は、硬化剤容器2
2の硬化剤出口にエアで作動する硬化剤ポンプ23と硬
化剤圧力調整機構24とを上下に設け、前記硬化剤圧力
調整機構24の出口から延びる硬化剤ホース25を前記
スプレイガン41に接続した構成である。
【0038】前記硬化剤ポンプ23は、前記樹脂ポンプ
15と同様にベローズ構造で、図6で示すように、ポン
プ基台231の下面にポンプケース232を設けるとと
もに内部に伸縮できるベローズ233を設け、高圧のエ
アを供給する第2のパイプ234をポンプケース232
の内部に開口させる。前記第2のパイプ234は前記第
1のパイプ156と同様にコンプレッサに接続されて途
中の電磁弁が電気的制御機構61に電気的に接続されて
いるので、電気的制御機構61からの制御信号により、
硬化剤ポンプ23が駆動する。
【0039】前記ポンプ基台231の上面には前記硬化
剤圧力調整機構24を設けてある。前記硬化剤圧力調整
機構24は、前記樹脂圧力調整機構16とほぼ同様に液
密に閉塞した枠状の容器として構成され、前記ポンプ基
台231に形成されて硬化剤容器22に連結される横向
きT字状の硬化剤流入路235に連通している。そし
て、前記硬化剤流入路235は下側の硬化剤ポンプ23
及び上側の硬化剤圧力調整機構24に連通し、流路の途
中に第2の逆止弁236を設け、また、前記硬化剤流入
路235の硬化剤圧力調整機構24側に、硬化剤ポンプ
23から硬化剤圧力調整機構24にしか硬化剤が流れな
い第3の逆止弁237を設けてある。また、前記ポンプ
基台231には、硬化剤圧力調整機構24に開口する硬
化剤の流出路238を設け、前記硬化剤流出路238に
連結した前記硬化剤ホース25を前記スプレイガン41
に接続する。
【0040】したがって、前記のように硬化剤ポンプ2
3が電気的制御機構61により制御されて駆動すると、
硬化剤容器22から硬化剤が供給されて第3の逆止弁2
37を介し硬化剤圧力調整機構24に供給され、前記硬
化剤圧力調整機構24により圧力が調整されて硬化剤流
出路238から硬化剤ホース25に脈動することなく連
続的に圧送される。なお、ポンプ基台231には、硬化
剤圧力調整機構24の内部が異常に高くなると、内部の
硬化剤を排出して低圧にする安全弁239を設けてあ
る。
【0041】前記ガラス繊維供給機構31は、予め切断
された短繊維状のガラス繊維が貯留しているガラス繊維
収納容器32と前記スプレイガン41とをガラス繊維ホ
ース33で接続し、エアによってガラス繊維を、ガラス
繊維収納容器32からホース33を介してスプレイガン
41に吸引移送するのである。
【0042】前記ガラス繊維収納容器32は上面が開放
する縦方向の円筒状で、底部を仕切板321により横方
向に仕切って下側にモータ室322を構成し、前記モー
タ室322に設置したモータ323の多角形状の回転軸
324をタンク32の中心位置に上下方向に位置させ
る。
【0043】前記タンク32の内部には予め3〜15ミ
リ程度に切断された短繊維状のガラス繊維が貯留してい
るので、貯留部分の上面に吸引機構325を設ける。前
記吸引機構325は、貯留しているガラス繊維の上面を
被うようにして設けた回転板326と、前記回転板32
6の中心に直立させた多角形状の装着筒327と、前記
回転板326の一部に形成した切欠部328に先端の開
口する吸引部が位置する吸引ノズル329からなり、吸
引ノズル329を前記ガラス繊維ホース33に接続す
る。
【0044】前記装着筒327は回転軸324に装着し
たり外すことができるので、吸引機構325をガラス繊
維収納容器32の内部に嵌め込んで前記回転軸324に
装着筒327を装着し、前記モータ323を駆動する
と、回転軸324とともに装着筒327が回転するの
で、回転板326が貯留するガラス繊維の貯留層の上面
で回転し、タンク32のガラス繊維を平均化して吸引ノ
ズル329から吸引することができる。なお、前記モー
タ323は電気的制御機構61に接続され、駆動制御さ
れて回転板326を回転する。
【0045】前記吸引ノズル329に接続されているガ
ラス繊維ホース33は、スプレイガン41に設けたガラ
ス繊維ノズル部42に接続されている。前記ガラス繊維
ノズル部42は、図8、図9で示すように、ガラス繊維
ホース33の先端に接続したノズル管421の先端部分
の外周面に環状空部422を形成するとともに、前記環
状空部422に連通する細溝部423を先端部分に向か
って複数形成し、ノズル管421の先端にガラス繊維の
吐出ノズル部424の基部を装着して密に閉塞した構成
である。
【0046】前記ガラス繊維吐出ノズル部424は両端
が開放する筒状で、後部が環状空部422及び細溝部4
23を気密に被い、環状空部422の位置にコンプレッ
サからのガラス繊維用高圧空気の接続口425を設けて
ある。
【0047】したがって、前記接続口425から高圧空
気を環状空部422に供給すると、各細溝部423から
ガラス繊維吐出ノズル部424の内部に超高圧の駆動流
となってノズル部424を通過し、開放先端から吹き出
すので、ノズル管421,ホース33の内部に高い減圧
作用が発生する。このため、ガラス繊維収納容器32内
の予め切断された短繊維状のガラス繊維が吸引ノズル3
29からホース33を通ってガラス繊維吐出ノズル部4
24の開口端から噴射することになる。
【0048】そして、モータ323の駆動で回転板32
6が低速で回転しているので、ガラス繊維の貯留層の上
面部分から吸引ノズル329が次第に均等に吸引するこ
とになり、ガラス繊維の一部分のみが吸引されることが
ない。
【0049】前記スプレイガン41には、硬化剤用のカ
ットインバルブ43を設けてある。前記カットインバル
ブ43は、図10で示すように、バルブ本体431の後
部に半球状のケース432を設けてダイヤフラム433
で閉塞し、硬化剤用の高圧エアの流路434の後端部を
前記ダイヤフラム433に臨ませるとともに、前記硬化
剤ホース25をバルブ本体431に設けた硬化剤の供給
口435に接続し、前記供給口435に連続する硬化剤
の通過路436の途中に弁座437を設けるとともに、
前記ダイヤフラム433に設けた弁体438を前記弁座
437に臨ませるようにした構成である。
【0050】前記高圧エアの流路434のダイヤフラム
433を通過した後端部側と硬化剤の通過路436の弁
体438の後方とは連通している。したがって、硬化剤
がホース25から通過路436に供給されても、弁体4
38が弁座437を閉止しているので流れない。しか
し、流路434に高圧エアが供給されると、後端に位置
するダイヤフラム433が膨張して弁体438が図10
の右側方向に摺動することになり、弁座437が開放す
るので通路436の後方側にに硬化剤が高圧のエアとと
もに流れ、先端の吐出ノズルから高圧で噴射することに
なる。
【0051】前記スプレイガン41には、前記ガラス繊
維ノズル部42,硬化剤のカットインバルブ43を設け
てあり、また、第1のレバー44と第2のレバー45、
第2の樹脂ホース接続部46及びコンプレッサ(図示せ
ず)に接続された高圧エア接続部47を設けてあり、ま
た先端には樹脂と硬化剤との吐出ノズル部48を設けて
中央に樹脂吐出ノズル部481が位置し、その周囲に硬
化剤吐出ノズル部482(図15)を設けてあって、ガ
ラス繊維のガラス繊維吐出ノズル部424が前記噴射口
48に隣接している。
【0052】そして、第2の樹脂ホース接続部46には
前記第2の樹脂ホース17が接続され、前記高圧エア接
続部47には図示しないコンプレッサの高圧エアホース
が接続されている。
【0053】前記した構成の成型装置1によって繊維強
化プラスチックの成形品を成形するには、前記保温機構
51のヒーター機構512、温度センサー513、ポン
プ機構514などを電気的制御機構61により高精度に
作動させて第2の樹脂ホース17を一定温度に保持し、
原料の樹脂を充填した樹脂容器13を架台12にセット
するとともに、硬化剤貯留槽22に硬化剤を充填する。
【0054】そして、電気的制御機構61により制御さ
れているコンプレッサの高圧エアを樹脂ポンプ15及び
硬化剤ポンプ23に供給し、樹脂ポンプ15の駆動によ
って原料となる樹脂を、樹脂容器13から第1の樹脂ホ
ース14、樹脂ポンプ15、樹脂圧力調整機構16、第
2の樹脂ホース17を通過させてスプレイガン41に圧
送する。
【0055】また、硬化剤ポンプ23の駆動によって硬
化剤貯留槽22内の硬化剤を、硬化剤ホース25を通過
させてスプレイガン41に圧送する。
【0056】また、電気的制御機構61によってガラス
繊維機構31のモータ323を駆動して回転板326を
低速で回転させ、同時にコンプレッサ(図示せず)の高
圧エアホースをスプレイガン41の接続部47及び接続
口425に接続する。
【0057】上記した準備完了状態が繊維強化プラスチ
ック成形品の成形が可能な状態であって、スプレイガン
41の第1のレバー44を第1段階に操作すると、前記
のとおりカットインバルブ43の作動によって硬化剤が
吐出ノズル部482から高圧エアとともに高圧で噴射す
る。
【0058】そして、第1のレバー44を第2段階にま
で操作すると、前記硬化剤が吐出ノズル部482から噴
射するとともに、接続部47からのエアと樹脂が混合し
て樹脂吐出ノズル部481から噴射する。
【0059】また、第2のレバー45を操作すると、前
記のようにガラス繊維ノズル部42が作動して先端のガ
ラス繊維吐出ノズル部424からガラス繊維が高圧エア
とともに高圧で噴射する。
【0060】このような操作態様において、FRP成形
品を成形する場合、第1工程としてスプレイガン41を
成形型の全表面に向けて第1のレバーを44を操作し、
樹脂供給機構11からの樹脂及び硬化剤供給機構21か
らの硬化剤を付着させて第1層を形成する。そして、前
記第1層が硬化する以前に、第2工程として第1のレバ
ー44,第2のレバー45を同時に操作し、樹脂と硬化
剤及びガラス繊維を第1層の全表面に同時に噴射させて
第2層を形成する。この場合、ガラス繊維の噴射圧力及
び噴射速度を、樹脂と硬化剤との噴射圧力より高くする
とともに、噴射速度を早くする。
【0061】このため、第1層の表面には、高速の短繊
維状のガラス繊維が高圧で付着し、その表面に第2工程
での樹脂と硬化剤とが付着するので、特に第2工程での
樹脂と硬化剤とが短繊維状のガラス繊維を強く押圧作用
することになり、ガラス繊維の内部や下面に気泡が発生
しないために脱泡作業をする必要がない。したがって、
第1層及び第2層を、強度が発現するまで硬化させて脱
型すると、所望の成形品を製造することができる。尚、
スプレイガンによるFRP成形品の成形作業を停止する
場合、各レバー44、45の操作を止めるだけで樹脂、
硬化剤及びガラス繊維の噴射が停止する。
【0062】図15は樹脂と硬化剤の吐出ノズル部48
の他の実施例で、吐出ノズル部48の先端に補助ノズル
部483を設け、樹脂吐出ノズル部481からの樹脂と
硬化剤吐出ノズル部482からの硬化剤とを前記補助ノ
ズル部483内で合流して先端の噴射口484から噴射
させ、成形型に付着させると、成形作業中に樹脂や硬化
剤が大気中に飛散したり噴霧しないので、樹脂や硬化剤
の臭気防止になるし、作業員の吸入防止になり、作業雰
囲気の悪化を解消することができる。なお、図16にお
いて説明していない符号は前記実施例の同一符号と同一
の構成であり、またその他の構成は前記実施例と同一で
あるから、詳細な説明を省略する。
【0063】〔樹脂の調製〕無水マレイン酸3モル、無
水フタル酸3モル、及びプロピレングリコール6.3モ
ルを、撹拌機、コンデンサ、温度計及び不活性ガス導入
口付きの2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガ
ス導入下にて210℃で常法により反応させた。得られ
た不飽和ポリエステル65重量部にスチレンモノマー3
5重量部及びこの混合物にハイドロキノン100ppmを
加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた
不飽和ポリエステル樹脂組成物100重量部に対し、揺
変剤としてシリカ粉(日本アエロジル社製「アエロジル
#200」)を用い、重合性単量体としてスチレンモノ
マーを用い、表1に記載の揺変度、粘度になるように添
加し、6%ナフテン酸コバルト0.4重量部、5%ナフ
テン酸銅0.01重量部及びジメチルアニリン0.1重量
部を混合した。尚、粘度及び揺変度の測定はJIS K
6901に準じて行った。そして、表1に示す各種の樹
脂及び繊維強化材(ガラス繊維)を前記装置を用いて吹
き付けた際の「樹脂ダレ」等の外観、空洞率、曲げ強
度、弾性率などについて調べた。
【表1】
【0064】〔製造例;FRP成形品の製造〕前記装置
を用い、第1層用の樹脂として表1の実施例2の樹脂
(但し、ガラス繊維を含まない組成で)及び硬化剤(配
合比100/2)を噴射させて成形型の表面に厚み0.
1〜0.3mm程度の第1層を形成した。続いて、前記第
1層が硬化する以前に、第2層用の樹脂として前記実施
例2の樹脂(ガラス繊維を含む組成で)及び硬化剤(配
合比100/2)を、樹脂及び硬化剤よりもガラス繊維
が高圧及び高速で噴射されるように吹き付けて厚み2〜
3mm程度の第2層を形成し、FRP成形品を製造した。
このように製造過程において実施例2にて第2層を形成
した際に気泡は少なく「樹脂ダレ」や樹脂切れも起こら
ず、ガラス繊維とのヌレも良好であった。しかもローラ
掛けによる脱泡作業を行わなくても実用上問題のないレ
ベルの曲げ強度が得られた。また、実施例3〜5の樹脂
を用いた場合にも、同様な結果が得られた。これに対
し、比較例2の樹脂にて第2層を形成した際にも「樹脂
ダレ」は発生しなかったが、気泡が多く、且つガラス繊
維とのヌレが悪いため、到底実使用には供されるもので
はなかった。
【0065】〔施工例;強化(防水)ライニングの施
工〕前記装置を用い、建築物の屋上コンクリート床の隅
部(水平面及び鉛直状縦面を含む)に第1層用の樹脂と
して表1の実施例1の樹脂(但し、ガラス繊維を含まな
い組成で)及び硬化剤(配合比100/2)を噴射させ
て厚み0.1〜0.3mm程度の第1層を形成した。続い
て、前記第1層が硬化する以前に、第2層用の樹脂とし
て前記実施例1の樹脂(ガラス繊維を含む組成で)及び
硬化剤(配合比100/2)を、樹脂及び硬化剤よりも
ガラス繊維が高圧及び高速で噴射されるように吹き付け
て厚み3〜4mm程度の第2層を形成し、強化(防水)ラ
イニングを施工した。このように施工過程において実施
例1にて第2層を形成した際には、気泡は少なく、ガラ
ス繊維とのヌレも良好であり、脱泡作業も必要なかっ
た。これに対し、比較例1の樹脂にて第2層を形成した
際には、気泡が多く、且つガラス繊維とのヌレが悪いた
め、到底実使用には供されるものではなかった。
【0066】以上本発明を実施例を示したが、本発明は
前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲
に記載された技術を変更しない範囲内で自由に実施がで
きるものである。例えば本発明のFRP成形品の製造方
法においても強化ライニングの施工方法においても基本
的にはローラ掛け等の脱泡作業を必要としないことを説
明したが、強度向上等を目的としてローラ掛けすること
を制限するものではない。ローラ掛けをして同一強度を
得ようとするには、例えば従来の方法では3〜5回のロ
ーラ掛けが必要であったが、本発明では1〜2回程度で
良い。
【0067】
【発明の効果】以上要するに、本発明の繊維強化プラス
チック成形品の製造方法は、特定の性状を有する樹脂を
特定の手法にて吹き付けるので、気泡が少なく、ローラ
掛け等の脱泡作業を必要とすることがなく、極めて簡単
な操作により繊維で強化されたプラスチック製品を成形
することができる。そして、樹脂と硬化剤との第1層の
表面に、繊維強化材、樹脂及び硬化剤を、第2層として
繊維強化材を樹脂及び硬化剤より高圧で、高速で噴射さ
せて吹き付けることにより、繊維強化材が第1層の表面
に強固に押圧されて気泡が発生しにくいので、脱泡作業
が全く不要であるから、成形作業における作業時間の短
縮や工程の簡略化等を図ることができる。したがって、
浴槽など特に大型の製品の場合、作業の軽減に基づく実
用的効果が著しく高まることになる。
【0068】特に粘度を4〜20dPa・s、揺変度を4以
上、重合性単量体を45%以上含有させた樹脂を用いた
場合には、縦方向に配置させた成形型に対して吹き付け
した際に「樹脂ダレ」及び「樹脂切れ」を生ずることな
く、且つ脱泡作業をも必要とすることがない。
【0069】また、本発明の特定の樹脂性状を有する樹
脂は、何等特殊な添加剤を用いるものではないので、コ
ストアップや品質低下を招く虞もなく、実用的価値が極
めて高いものである。
【0070】さらに、本発明の強化ライニングの施工方
法も、従来では必須の作業であったローラ掛け等の脱泡
作業を必要とすることがなく、防水或いは防食を目的と
した強化ライニングを容易に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる装置の概略斜視図である。
【図2】装置の概略系統図である。
【図3】樹脂容器の概略斜視図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】樹脂ポンプと樹脂圧力調整機構との縦断面図で
ある。
【図6】硬化剤容器と硬化剤圧力調整機構との縦断面図
である。
【図7】ガラス繊維収納容器の概略斜視図である。
【図8】ガラス繊維吐出ノズル部の分解斜視図である。
【図9】ガラス繊維吐出ノズル部の縦断側面図である。
【図10】硬化剤のカットインバルブの縦断面図であ
る。
【図11】スプレイガンの一方の側面図である。
【図12】スプレイガンの他方の側面図である。
【図13】図11の平面図である。
【図14】ガラス繊維吐出ノズル部を外した状態のスプ
レイガンの側面図である。
【図15】各吐出ノズル部の正面図である。
【図16】ノズル部の他の実施例の一部を断面とした側
面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:06 B29C 67/14 W (72)発明者 中沢 龍水 茨城県下館市成田844−2 (72)発明者 羽野 洋 兵庫県神戸市北区小倉台4−12−4 (72)発明者 佐藤 康幸 群馬県甘楽郡妙義町大字上高田852 (72)発明者 小林 純一 群馬県佐波郡境町大字下渕名2796−3 Fターム(参考) 4D075 AA02 AA84 AA86 AE12 CA33 CA38 CA47 DA06 DA23 DB02 DB12 DC02 DC05 DC38 EA07 EA27 EA31 EB14 EB20 EB22 EB24 EB33 EB35 EB51 EB56 EC07 EC22 EC37 4F072 AA02 AA07 AB09 AD38 AG16 AH11 AH16 AK12 4F205 AA41 AB03 AB25 AH46 HA04 HA33 HA36 HB01 HF01 HK17 HM05 HT23

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂及び硬化剤を噴射させて成形型の表
    面に樹脂と硬化剤とによる第1層を形成し、前記第1層
    が硬化する以前に樹脂及び硬化剤と繊維強化材とを、繊
    維強化材を樹脂及び硬化剤より高圧及び高速で噴射させ
    て第2層を形成し、前記第1層と第2層とを一体化させ
    るようにした繊維強化プラスチック成形品の製造方法で
    あって、 少なくとも第2層に用いる樹脂は、粘度が1〜20dPa
    ・s、揺変度が1.5以上であり、重合性単量体を45%
    以上含有することを特徴とする繊維強化プラスチック成
    形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂及び硬化剤を噴射させて成形型の表
    面に樹脂と硬化剤とによる第1層を形成し、前記第1層
    が硬化する以前に樹脂及び硬化剤と繊維強化材とを、繊
    維強化材を樹脂及び硬化剤より高圧及び高速で噴射させ
    て第2層を形成し、前記第1層と第2層とを一体化させ
    るようにした繊維強化プラスチック成形品の製造に用い
    る樹脂であって、 粘度が1〜20dPa・s、揺変度が1.5以上であり、重
    合性単量体を45%以上含有することを特徴とする繊維
    強化プラスチック成形品の製造に用いる樹脂。
  3. 【請求項3】 樹脂及び硬化剤を噴射させて対象下地の
    表面に樹脂と硬化剤とによる第1層を形成し、前記第1
    層が硬化する以前に樹脂及び硬化剤と繊維強化材とを、
    繊維強化材を樹脂及び硬化剤より高圧及び高速で噴射さ
    せて第2層を形成し、前記第1層と第2層とを一体化さ
    せるようにした強化ライニングの施工方法であって、 少なくとも第2層に用いる樹脂は、粘度が1〜20dPa
    ・s、揺変度が1.5以上であり、重合性単量体を45%
    以上含有することを特徴とする強化ライニングの施工方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102717517A (zh) * 2012-07-06 2012-10-10 长沙晨东工贸有限公司 一种玻璃钢的制作工艺
JP2020011217A (ja) * 2018-07-22 2020-01-23 有限会社 コスモテクニカル 貯水槽塗装修繕方法

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