JP2003181857A - 溶液製膜方法 - Google Patents
溶液製膜方法Info
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Abstract
延部に発生する耳部のバタツキを抑制でき、安定した高
速流延を可能とする溶液製膜方法を提供する。 【解決手段】本発明を適用した溶液製膜装置10は主と
して、ドープを押し出す流延ダイ12と、高速で走行す
る流延バンド14と、ドープの流延部26に吸引力を付
与する減圧チャンバ16と、流延部26の耳部26Aに
液を滴下する滴下装置18とを備えている。滴下装置1
8で滴下する液は、ドープの溶質に対して良溶媒、或い
は良溶媒に貧溶媒を混合した混合液であり、混合液の場
合には、貧溶媒が滴下液全体の20重量%未満となるよ
うにする。
Description
り、特に高速で走行する支持体上に高分子材料の溶液を
流延して製膜することにより、セルローストリアセテー
トフィルム(TAC)などのキャストフィルムを製造す
る溶液製膜方法、及びその溶剤製膜方法で製膜したフィ
ルムを用いて製造した偏光板、並びに、その偏光板を用
いて製造した液晶表示板に関する。
溶解した溶液(以下、「ドープ」と称す)を、ダイより
押し出して金属支持体上に流延し、乾燥した膜を金属支
持体から剥離してフィルムを得る方法である。この方法
で得られるフィルムは、溶融押出法で得られるフィルム
に比べて、光学等方性、厚み均一性に優れ、また、異物
も少ないため、偏光膜保護フィルム、位相差フィルム、
透明導電性フィルムなど、オプト・エレクトロニクス用
途に利用されている。
走行高速をさらに上昇させて高速流延することが望まれ
ている。支持体を高速で走行させる場合、ダイから押し
出されたドープの流延部が不安定になるため、減圧チャ
ンバを支持体の走行方向に対してダイの上流側に設ける
ことが知られている。
ャンバを設けると、エアが減圧チャンバに流れ込んで流
入風が生じ、この流入風の影響を受けて流延部の耳部に
バタツキが発生するという問題があった。バタツキが発
生すると、テンターが噛み込み不良を生じたり、耳部の
バタツキに起因する膜全幅にわたる流延方向の厚みムラ
が発生し、膜の破断等を生じて工程不良を起こしたり、
品質上の問題を起こすおそれがあった。
もので、装置構造を大幅に変えることなく、ドープの流
延部に耳部のバタツキが発生することを抑制でき、安定
した高速流延を可能とする溶液製膜方法を提供すること
を目的とする。さらに、この溶液製膜方法で製膜したフ
ィルムを用いて製造する偏光板、並びに、この偏光板を
用いて製造した液晶表示パネルを提供することを目的と
する。
前記目的を達成するために、走行する支持体上に高分子
材料の溶液を流延して製膜する溶液製膜方法において、
前記溶液の流延部を前記支持体の走行方向の上流側に吸
引する吸引操作を行うとともに、前記溶液の溶質に対す
る良溶媒を前記流延部の耳部に滴下し、前記吸引操作に
伴う前記耳部のバタツキを抑制することを特徴としてい
る。
るために、走行する支持体上に高分子材料の溶液を流延
して製膜する溶液製膜方法において、前記溶液の流延部
を前記支持体の走行方向の上流側に吸引する吸引操作を
行うとともに、前記溶液の溶質に対する良溶媒に貧溶媒
を全溶液の20重量%未満の割合で混合した液を前記流
延部の耳部に滴下し、前記吸引操作に伴う前記耳部のバ
タツキを抑制することを特徴としている。
生する耳部のバタツキが、吸引操作だけに影響されるの
ではなく、流延部の耳部に滴下する液の組成にも影響さ
れることを見いだした。すなわち、従来は、吸引操作に
関する装置構造を変えて耳部のバタツキを抑制するとい
う発想しかなかったが、本願発明の発明者は、適切な組
成の液を耳部に滴下すれば、吸引操作に関する装置構造
を変えなくても、耳部のバタツキを抑制できるとの知見
を得た。本発明は、このような知見に基づいて成された
ものであり、請求項1に記載の発明は、溶剤に対する良
溶媒を流延部の耳部に滴下することによって、耳部のバ
タツキを抑制するものである。また、請求項2に記載の
発明は、耳部に滴下する液の組成として、良溶媒に混合
する貧溶媒を20重量%以下とすることによって、耳部
のバタツキを抑制するものである。請求項1及び2に記
載の発明を用いれば、耳部のバタツキが発生しやすい高
速流延や、薄膜の製膜を行うことができる。例えば、請
求項4に示す如く、40m/分以上の高速流延が可能に
なるとともに、請求項5に示す如く、20〜65μmの
極薄の製膜を行うことができる。
カワバリ防止用の滴下手段を利用することができるの
で、装置構造を大きく変える必要がなく、低コストで耳
部のバタツキを抑制できる。
波数が5〜200Hzの範囲外、またはバタツキの振幅
が1.3mm以下であれば、バタツキが発生していて
も、製膜したフィルムは製品として問題がないことを見
いだした。すなわち、バタツキの周波数が5Hz以下の
場合は周期が大きくて厚みムラが目立たず、品質上問題
ないレベルとなる。また、周波数が200Hzを超える
と、レベリング(平滑化)によって塗布スジが消える。
同様に、バタツキの振幅が1.3mm以下であれば塗布
スジが薄くなり、品質上問題ないレベルとなる。したが
って、請求項3に記載したように、耳部のバタツキを適
切な状態に抑制することによって、フィルムの生産効率
を向上させることができる。
〜5のうちの1に記載の溶液製膜方法を用いて偏光板を
製造した。偏光板などの光学用途フィルムは、高透明
性、低光学異方性、平面性、易表面処理性、高耐久性な
どの特性を必要とする。請求項1〜5の溶液製膜方法
は、高速流延を行いながらも、光学用途フィルムに適し
た膜を製造することができる。また、このようにして製
造した偏光板は、請求項7に示す如く、液晶表示板を製
造するのに適している。
る溶液製膜方法の好ましい実施の形態について詳説す
る。
概略構造を示す側面図である。
して、流延ダイ12と、流延バンド(支持体に相当)1
4と、減圧チャンバ16と、滴下装置18とから構成さ
れている。流延バンド14は、無端状に形成され、流延
ドラム20と駆動用ドラム(不図示)との間に巻き掛け
られている。この流延ドラム20は、駆動用ドラムを回
転させることによって、駆動ドラムと流延ドラム20の
回りを周回するように走行する。流延バンド14の走行
速度は、製膜するフィルムの厚みなどに応じて設定さ
れ、例えば、60μm厚み以下の薄いフィルムを製膜す
る場合には、40m/分以上に設定され、約80μm厚
みのフィルムを製膜する場合には、50m/分以上に設
定される。流延バンド14の周囲は、カバー38によっ
て覆われている。
おいて流延バンド14に対向して配置されている。流延
ダイ12の先端からは、セルローストリアセテートなど
の高分子材料を含むドープが膜状に押し出される。押し
出されたドープは、走行する流延バンド14の表面に仮
着し、流延される。流延バンド14上のドープは、流延
バンド14が一周分走行する間に溶剤が蒸発して乾燥
し、所定の自己支持性が得られる。そして、流延した膜
を、例えば流延ダイ12の下方位置で流延バンド14か
ら剥離することによって、帯状のフィルムが得られる。
なお、流延バンド14の走行方向に対して流延ダイ12
の前後には、ラビリンスシール36、36が配設されて
おり、流延部26の前後で溶剤ガス濃度が一定に保たれ
るようになっている。
4の走行方向に対して流延ダイ12の上流側に設けられ
ており、吸引ダクト22を介してブロア24に接続され
ている。このブロア24を駆動することによって減圧チ
ャンバ16の内部が負圧になり、流延ダイ12と流延バ
ンド14との隙間のドープの流延部26のうちで流延バ
ンド14に仮着される側の表面に吸引力が付与される。
これにより、流延バンド14を高速で走行させても、ド
ープの流延部26の安定化が図られる。なお、減圧チャ
ンバ16とブロア24との間の吸引ダクト22には、減
圧チャンバ16の10〜100倍の容量を有するバッフ
ァタンク28が設けられ、減圧チャンバ16へ振動が伝
達することが防止される。
2、送液管34から構成され、ポンプ32を駆動するこ
とによって、タンク30に貯留された液が送液管34に
送液されて送液管34の先端から滴下される。送液管3
4の先端は、図2に示すように、滴下した液が流延部2
6の耳部26Aに吸収されるような位置に配置される。
しては、ドープの溶質に対する良溶媒、または良溶媒に
貧溶媒を混合した混合液が用いられる。ドープがセルロ
ーストリアセテート溶液の場合、良溶媒としてはジクロ
ロメタンが好ましく、貧溶媒としては、メタノール、エ
タノール、ブタノール、イソブタノール、イソプロパノ
ール、またはアセトン、酢酸メチル、トルエン等が好ま
しい。また、貧溶媒を良溶媒に混合する場合、混合する
全貧溶媒合計の割合を滴下液の全溶液に対して20重量
%未満、好ましくは13重量%以下とするとよい。な
お、良溶媒及び貧溶媒は、上述した実施の形態に限定す
るものではない。
6の耳部26Aに滴下すると、耳部26Aが減圧チャン
バ16への流入風の影響を受けにくくなる。すなわち、
貧溶媒の割合が多い液を耳部26Aに滴下すると、ゲル
化が生じて耳部26Aがバタツキやすくなるが、貧溶媒
の割合が少ない液を耳部26Aに滴下すると、耳部26
Aがフレキシブルになって揺れにくくなり、耳部26の
バタツキを生じにくくなる。したがって、大きなバタツ
キが発生しやすい40m/分以上の高速流延を行った際
や、20〜65μm(特に35〜65μm)の薄膜フィ
ルムを製造した際にも、バタツキの発生を抑制すること
ができ、塗布ムラのない良好なフィルムを製造すること
ができる。
数を5〜200Hzの範囲外、振幅を1.3mm以下に
抑制するとよい。バタツキの周波数が5Hz以下の場合
は周期が大きくて厚みムラが目立たず、周波数が200
Hzを超えると、レベリング(平滑化)によって塗布ス
ジが消える。同様に、バタツキの振幅が1.3mm以下
であれば塗布スジが薄くなり、品質上問題のないレベル
となる。したがって、耳部26Aのバタツキを周波数5
〜200Hzの範囲外、振幅1.3mm以下に抑制する
ことによって、製品として問題のないフィルムを製造す
ることができる。
10によれば、良溶媒、又は良溶媒に貧溶媒を20重量
%未満(好ましくは13重量%以下)で混合した液を流
延部26の耳部26Aに滴下したので、バタツキが発生
しやすい高速流延や薄い製膜が可能となる。すなわち、
20〜65μm(特に35〜65μm)の薄膜フィルム
を製造することができるとともに、その薄膜フィルムを
40m/分以上の高速流延で製造することができる。ま
た、従来厚みの80μmのフィルムを製造する場合に
は、50m/分以上での安定した高速流延が可能であ
る。
たフィルムの用途について説明する。
光学フィルム、特に偏光板保護フィルム用として有用で
ある。偏光板保護フィルムは、偏光板を作製するのに用
いられるが、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般
的な方法で作製することができる。例えば、得られたセ
ルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビ
ニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作
成した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコー
ル水溶液を用いて貼り合わせることにより作製される。
なお、アルカリ処理の代わりに易接着加工を施してもよ
い。
む基板の両側に配置して組み立てることによって液晶表
示板を製造することができる。その際、本発明を適用し
た偏光板保護フィルムをどの部位に配置しても、優れた
表示性を得ることができる。
スアシレートフィルムは、様々な用途で用いることがで
き、液晶表示板の光学補償シートとして用いると、特に
効果がある。その場合、液晶表示板の液晶セルは様々な
モードを使用することができる。例えば、TN、IP
S、FLC、AFLC、OCB、STN、VA、HAN
などの様々な表示モードにおいて、液晶表示板の光学補
償シートの支持体として、セルロースアシレートフィル
ムを使用することができる。
リフェニルフォスフェート7重量部、ビフェニルジフェ
ニルフォスフェート5重量部、の組成からなる固形成分
を、メチレンクロライド92重量部、メタノール8重量
部よりなる溶媒に溶解して、ドープとした。その際、固
形分濃度は、17.5重量%に調整した。ドープは静置
脱泡した後、送液ポンプによってフィルターを経由し、
流延ダイ12に送った。そして、流延ダイ12からドー
プを膜状に押し出し、55m/分の流延速度で流延を行
った。その際、減圧チャンバ16の圧力を−20mmaqと
して流延部(ビード)26の吸引操作を行うとともに、
流延部26の耳部26Aに横方向から流量0.3cc/ 分
で液を滴下した。そして、滴下する液の組成を変えなが
ら、耳部26Aのバタツキと製造適正を調べた。耳のバ
タツキは、高速ビデオカメラを用いて撮影し、その映像
を見ながら測定した。また、製造適正としては、流延耳
端部への溶剤滴下に起因すると思われる液滴故障や剥げ
残りを目視にて観察した。表1の製造適正には、○…良
好、△…製品として問題なし、×…不良箇所あり、とし
て記載した。なお、表1の実施例1〜3、比較例1〜3
では、減圧チャンバの減圧度を−15mmaqに設定し
て、従来厚みの80μmのフィルムを製造した。また、
実施例4では、減圧度を−30mmaqに設定して、従
来より薄い40μmのフィルムを製造し、実施例5で
は、減圧度を−5mmaqに設定して、従来厚みの80
μmのフィルムを製造した。
0重量%未満の場合、すなわち、貧溶媒(CH3OH) が20
重量%を超える場合には、1.3mmより大きい振幅
で、且つ、5〜200Hzの周波数の大きなバタツキが
発生し、製膜したフィルムに厚みムラなどの不良箇所が
見られた。
0重量%まで増加させると(すなわち、貧溶媒を20重
量%まで低下させると)、測定可能なバタツキが発生す
るようになった。なお、この時のバタツキは、振幅1.
2mm、周波数150Hzであり、製膜したフィルムは
製品として問題のないレベルであった。
良溶媒が87重量%以上の場合、すなわち、貧溶媒が1
3重量%以下の場合、製膜したフィルムは良好であっ
た。このとき、耳部26Aのバタツキは、振幅が1mm
以下であり、周波数は測定できなかった。
が薄いという耳部のバタツキが発生しやすい条件で行っ
たが、良溶媒のみを滴下することによってバタツキの振
幅を1.2mm、周波数を210Hzに抑制することが
でき、良好な塗布面状を得ることができた。
混合した液を滴下したことによって、バタツキの周波数
を4.5mm以下に抑制することができ、塗布スジの目
立たない良好な塗布面状を得ることができた。
%未満、好ましくは13重量%以下の溶液を耳部26A
に滴下すると、耳部26Aのバタツキを抑制することが
できることが分かる。
膜方法によれば、溶液の流延部の耳部に液を滴下するこ
とによって、吸引操作に伴う耳部のバタツキを抑制した
ので、高速流延を安定して行うことができる。
す側面図
ド、16…減圧チャンバ、18…滴下装置、20…流延
ドラム、22…吸引ダクト、24…ブロア、26…流延
部、26A…耳部、28…バッファタンク、30…タン
ク、32…ポンプ、34…送液管、36…ラビリンスシ
ール、38…カバー
Claims (7)
- 【請求項1】走行する支持体上に高分子材料の溶液を流
延して製膜する溶液製膜方法において、 前記溶液の流延部を前記支持体の走行方向の上流側に吸
引する吸引操作を行うとともに、前記溶液の溶質に対す
る良溶媒を前記流延部の耳部に滴下し、前記吸引操作に
伴う前記耳部のバタツキを抑制することを特徴とする溶
液製膜方法。 - 【請求項2】走行する支持体上に高分子材料の溶液を流
延して製膜する溶液製膜方法において、 前記溶液の流延部を前記支持体の走行方向の上流側に吸
引する吸引操作を行うとともに、前記溶液の溶質に対す
る良溶媒に貧溶媒を全溶液の20重量%未満の割合で混
合した液を前記流延部の耳部に滴下し、前記吸引操作に
伴う前記耳部のバタツキを抑制することを特徴とする溶
液製膜方法。 - 【請求項3】前記バタツキの周波数が5〜200Hzの
範囲外になるように、または前記バタツキの振幅が1.
3mm以下になるように抑制することを特徴とする請求
項1又は2に記載の溶液製膜方法。 - 【請求項4】前記流延の速度は40m/分以上であるこ
とを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1に記載
の溶液製膜方法。 - 【請求項5】前記製膜の膜厚は20〜65μmであるこ
とを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1に記載
の溶液製膜方法。 - 【請求項6】請求項1〜5のうちのいずれか1に記載の
溶液製膜方法で製膜して製造したことを特徴とする偏光
板。 - 【請求項7】請求項6に記載の偏光板を用いて製造した
ことを特徴とする液晶表示板。
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- 2001-12-18 JP JP2001384007A patent/JP3856114B2/ja not_active Expired - Fee Related
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