JP2003178878A - 表示素子 - Google Patents

表示素子

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JP2003178878A
JP2003178878A JP2001378247A JP2001378247A JP2003178878A JP 2003178878 A JP2003178878 A JP 2003178878A JP 2001378247 A JP2001378247 A JP 2001378247A JP 2001378247 A JP2001378247 A JP 2001378247A JP 2003178878 A JP2003178878 A JP 2003178878A
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layer
display element
cathode
anode
organic
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JP2001378247A
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English (en)
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Yasunori Kijima
靖典 鬼島
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期劣化による輝度の低下を抑え、長期信頼
性の高い表示装置を提供する。 【解決手段】 陰極15と陽極13との間に、少なくと
も有機発光層14cを含む有機層14を挟持してなる表
示素子11において、陰極15および陽極13のうちの
少なくとも一方は、ハフニウム(Hf:原子番号72)
を含有することを特徴とする。これにより、寿命の改善
が達成された。上面発光素子構造を有する有機電界発光
素子では、約2倍の長寿命化効果が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーディスプレ
イなどに用いられる表示素子に関し、特には有機層を備
えた自発光型の表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、マルチメディア指向の商品を初め
とし、人間と機械とのインターフェースの重要性が高ま
ってきている。人間がより快適に効率良く機械操作する
ためには、操作される機械からの情報を誤りなく、簡潔
に、そして瞬時に、充分な量取り出す必要があり、その
為にディスプレイを初めとする様々な表示素子について
研究が行われている。
【0003】また、機械の小型化に伴い、表示素子の小
型化、薄型化に対する要求も日々、高まっているのが現
状である。例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、
ノート型ワードプロセッサなどの、表示素子一体型であ
るラップトップ型情報処理機器の小型化には目を見張る
進歩があり、それに伴い、その表示素子である液晶ディ
スプレイに関しての技術革新も素晴らしいものがある。
液晶ディスプレイは、様々な製品のインターフェースと
して用いられており、ラップトップ型情報処理機器はも
ちろんのこと、小型テレビや時計、電卓を初めとし、我
々の日常使用する製品に多く用いられている。
【0004】ところが、液晶ディスプレイは、自発光性
でないためバックライトを必要とし、このバックライト
駆動に液晶を駆動するよりも電力を必要する。また、視
野角が狭いため、大型ディスプレイ等の大型表示素子に
は適していない。さらに、液晶分子の配向状態による表
示方法なので、視野角の中においても、角度によりコン
トラストが変化してしまう。しかも、液晶は基底状態に
おける分子のコンフォメーションの変化を利用して表示
を行っているので、ダイナミックレンジが広くとれな
い。これは、液晶ディスプレイが動画表示には向かない
理由の一つになっている。
【0005】これに対し、自発光性表示素子は、プラズ
マ表示素子、無機電界発光素子、有機電界発光素子等が
研究されている。
【0006】プラズマ表示素子は低圧ガス中でのプラズ
マ発光を表示に用いたもので、大型化、大容量化に適し
ているものの、薄型化、コストの面での問題を抱えてい
る。また、駆動に高電圧の交流バイアスを必要とし、携
帯用デバイスには適していない。
【0007】無機電界発光素子は、緑色発光ディスプレ
イ等が商品化されたが、プラズマ表示素子と同様に、交
流バイアス駆動であり駆動には数百V必要であり、ユー
ザーに受け入れられなかった。しかし、技術的な発展に
より、今日ではカラーディスプレイ表示に必要なRGB
三原色の発光には成功しているが、青色発光材料が高輝
度、長寿命で発光可能なものがあまり無く、また、無機
材料のために、分子設計などによる発光波長等の制御は
困難である。
【0008】2000年には、無機電界発光素子を用いたフ
ルカラーディスプレイが発表されたが、色変換方式を用
いており、理想的な独立三原色駆動方式でのデバイス化
は難しい。
【0009】一方、有機化合物による電界発光現象は、
1960年代前半に強く蛍光を発生するアントラセン単
結晶への、キャリア注入による発光現象が発見されて以
来、長い期間、研究されてきたが、低輝度、単色で、し
かも単結晶であった為、有機材料へのキャリア注入とい
う基礎的研究として行われていた。
【0010】しかし、1978年にEastman K
odak社のTangらが低電圧駆動、高輝度発光が可
能なアモルファス発光層を有する積層構造の有機電界発
光素子を発表して以来、各方面でRGB三原色の発光、
安定性、輝度上昇、積層構造、作製法等の研究開発が盛
んに行なわれている。
【0011】さらに、有機材料の特徴である分子設計等
により様々な新規材料が発明され、直流低電圧駆動、薄
型、自発光性等の優れた特徴を有する有機電界発光素子
のカラーディスプレイへの応用研究も盛んに行われ始め
ている。
【0012】図7には、このような表示素子(有機電界
発光素子)の一構成例を示す。この図に示す表示素子1
は、例えばガラス等からなる透明な基板2上に設けられ
ている。この表示素子1は、基板2上に設けられたIT
O(Indium Tin Oxide:透明電極)からなる陽極3、こ
の陽極3上に設けられた有機層4、さらにこの上部に設
けられた陰極5とで構成されている。有機層4は、陽極
側から、例えば正孔注入層4a、正孔輸送層4bおよび
電子輸送性の発光層4cを順次積層させた構成となって
いる。このように構成された表示素子1では、陰極から
注入された電子と陽極から注入された正孔とが発光層4
cにて再結合する際に生じる光が基板2側から取り出さ
れる。
【0013】またこのような構成の他にも、基板2側か
ら順に、陰極5、有機層4、陽極3を順次積層した構成
や、さらには上方に位置する電極(上部電極)を透明材
料で構成することで、基板2と反対側から光を取り出す
ようにした、いわゆる上面発光型の表示素子もある。そ
して特に、基板上に薄膜トランジスタ(thin film tran
sistor:以下TFTと記す)を設けて成るアクティブマ
トリックス型の表示装置においては、TFTが形成され
た基板上に上面発光型の表示素子を設けた、いわゆるT
AC(Top Emission Adoptive Current drive)構造と
することが、発光部の開口率を向上させる上で有利にな
る。
【0014】このようなTAC構造の表示装置におい
て、上部電極が陰極である場合、この上部電極は、例え
ばLi2Oや、CsO等の金属酸化物層を用いて構成さ
れる。また、これらの金属酸化物層上にMgAg層を積
層させる場合もある。
【0015】また、TAC構造では、陽極としてITO
等の透明電極を用いることで両サイドからの光の取り出
しも可能であるが、一般的には不透明電極が用いられ、
キャビティ構造を形成する。キャビティ構造の有機層膜
厚は、発光波長によって規定され、多重干渉の計算から
導くことが可能である。TAC構造では、このキャビテ
ィ構造を積極的に用いることにより、外部への光取り出
し効率の改善や発光スペクトルの制御を行うことが可能
である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな自発光型の表示素子、特には有機層を備えた発光素
子を用いて表示装置を構成する場合、表示素子の長寿命
化および信頼性の確保が最も重要な課題の一つである。
【0017】一般的に、表示素子の寿命は、輝度の低下
を伴う初期劣化およびその後の定常的な劣化の速度によ
って決定される。つまり、表示素子の長寿命化を達成す
るためには、表示素子の初期劣化およびその後の定常的
な劣化の速度を小さく抑えることが重要になる。
【0018】そこで本発明は、表示素子の初期劣化およ
びその後の定常的な劣化の速度を小さく抑えることが可
能で、これにより長時間の安定した発光を与えることが
可能な表示素子を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため、筆者らが鋭意検討した結果、陰極と陽極との間
に、少なくとも有機発光層を含む有機層を挟持してなる
表示素子において、前記陰極および前記陽極のうちの少
なくとも一方にハフニウム(Hf:原子番号72)を含
有することを特徴とする表示素子を発明するに至った。
【0020】さらに、陰極または陽極のうちの少なくと
も一方に含有されるHfは、酸化物として含有されるこ
とが好ましい。また、Hfを含有する電極は、Hfを含
有する層を含む複数層で構成されていても良い。そして
特に、陰極にHfを含有させる場合、Hfを含有する層
と、他の金属酸化物を含有する層との積層構成で陰極を
構成することが好ましい。
【0021】このような構成とした場合には、表示素子
における初期劣化に伴う輝度の低下を小さく抑えること
ができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の表示素子の実施の
形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明の表示素子の一構成例を示
す断面図である。この図に示す表示素子11は、基板1
2上に形成されており、基板12上に設けられた陽極1
3、この陽極13上に設けられた有機層14、およびこ
の有機層14上に設けられた陰極15を備えている。以
下の説明においては、陽極13から注入された正孔と陰
極15から注入された電子とが電子輸送性の発光層14
cで結合する際に生じた発光を、基板2と反対側の陰極
15側から取り出す上面発光方式の表示素子の構成を説
明する。
【0024】先ず、表示素子11が設けられる基板12
は、ガラスのような透明基板や、シリコン基板、さらに
はフィルム状のフレキシブル基板等の中から適宜選択し
て用いられることとする。また、この表示素子を用いて
構成される表示装置の駆動方式がアクティブマトリック
ス方式である場合、基板12として、画素毎にTFTを
設けてなるTFT基板が用いられる。この場合、この表
示装置は、上面発光方式の表示素子をTFTを用いて駆
動する、いわゆるTAC(Top Emission Adoptive Curr
ent drive)構造となる。
【0025】そして、この基板12上に下部電極として
設けられる陽極13は、例えばITOのような透明電極
材料用い、両側取りだし素子を構成しても良く、この場
合に陰極は、スパッタリング法等によって形成されてい
る。
【0026】また、この陽極13は、ITOの他にも、
効率良く正孔を注入するために電極材料の真空準位から
の仕事関数が大きいもの、例えばクロム(Cr)、金
(Au)、酸化スズ(SnO2)とアンチモン(Sb)
との合金、酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)
との合金、さらにはこれらの金属や合金の酸化物等を、
単独または混在させた状態で用いることができる。
【0027】尚、この表示素子を用いて構成される表示
装置の駆動方式がアクティブマトリックス方式である場
合、陽極13は、TFTが設けられている画素毎にパタ
ーニングされていることとする。そして、陽極13の上
層には、ここでの図示を省略した絶縁膜が設けられ、こ
の絶縁膜の開口部から、各画素の陽極13表面を露出さ
せていることとする。
【0028】また、有機層14は、陽極13側から順
に、正孔注入層14a、正孔輸送層14bおよび電子輸
送性の発光層14cを積層してなる。これらの各層は、
例えば真空蒸着法や、例えばスピンコート法などの他の
方法によって形成される。各層を構成する材料に限定条
件はなく、例えば正孔輸送層14bであるならば、ベン
ジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメ
タン誘導体、ヒドラゾン誘導体などの正孔輸送材料を用
いることができる。
【0029】さらに、発光層14cの発光スペクトルの
制御を目的として、発光層14cの形成において微量分
子の共蒸着を行っても良く、例えば、ベリレン誘導体、
クマリン誘導体、ピラン系色素等の有機物質を微量含む
有機薄膜を発光層14cとしても良い。
【0030】尚、有機層14は、このような層構造に限
定されることはなく、少なくとも発光層14cを有する
構成であれば、必要に応じた積層構造を選択することが
できる。例えば、発光層14cは、正孔輸送性の発光層
14cであっても良く、また発光層14c上にさらに電
子輸送層を設けた構成であっても良い。また、以上の各
有機層、例えば正孔注入層14a、正孔輸送層14bお
よび電子輸送性の発光層14cは、それぞれが複数層か
らなる積層構造であっても良い。
【0031】次に、陰極15は、有機層14側から順に
第1層15a、第2層15b、および第3層15cを積
層させた3層構造で構成されている。
【0032】第1層15aは、仕事関数が小さく、かつ
光透過性の良好な材料を用いて構成される。このような
材料として、例えばリチウム(Li)の酸化物であるL
2Oや、セシウム(Cs)の酸化物であるCs2O、さ
らにはこれらの酸化物の混合物を用いることができる。
また、第1層15aはこのような材料に限定されること
はなく、例えば、カルシウム(Ca)、バリウム(B
a)等のアルカリ土類金属、リチウム(Li),セシウ
ム(Cs)等のアルカリ金属、さらにはインジウム(I
n)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)等の仕事関数
の小さい金属、さらにはこれらの金属の酸化物等を、単
体でまたはこれらの金属および酸化物の混合物や合金と
して安定性を高めて使用しても良い。
【0033】また、第2層15bは、Hfを含有する材
料層(Hf層)であることとする。この第2層15bに
含有されるHfは、酸化物などの安定した原材料の形態
が存在するため容易に用いることができる。
【0034】ここで、第2層15bに含有されるHf
は、例えばHf酸化物として用いられ、具体的な一例と
してはHfO2として用いられる他、他の組成のHf酸
化物や、異なる組成のHf酸化物からなる複合酸化物と
して用いられる。また、Hfは、金属Hfとして用いて
も良い。
【0035】そして、このような形態のHfを含有する
第2層15bは、上述したようなHf酸化物(複合酸化
物を含む)で構成されても良く、またこれらのHf酸化
物に金属Hfを含有してなる材料で構成されても良く、
さらにはHf酸化物や金属Hfと共に他の酸化物や他の
金属元素とを混合した材料で構成されていても良い。
【0036】さらに、第2層15bは、Hf酸化物や金
属Hfと有機物との混合層であって良い。この混合層を
形成する有機物は、薄膜形成性が良い物であれば良く、
特に電荷輸送性を有する必要は無いが、好ましくは、正
孔輸送性、或いは/かつ電子輸送性を有することが好ま
しい。このような材料には、例えばアルミキノリン錯体
(Alq3)、スチリルアミン誘導体、フタロシアニン
誘導体等を用いることができるが、これに限定されるも
のではない。
【0037】このような混合層からなる第2層15bに
は、Hf酸化物および金属Hfの少なくともどちらか一
方の他にも、他の金属元素や酸化物を同時に含んでも良
い。
【0038】このような第2層15bは、第2層15b
を構成する各物質を原材料として用いた蒸着法、スパッ
タ法、さらにはプラズマCVD(chemical vapor deposi
tion)法などによって形成される。また第2層15bが
Hf酸化物からなる場合には、先ず、金属Hf層を形成
した後に、酸化処理を施すことによりこれをHf酸化物
層としても良い。また、金属Hf層を形成し、その後の
自然酸化された状態で第2層15bとして用いても良
い。
【0039】ここで、第2層15bの主たる機能は、外
的要因の影響を排除することにあり、第2層15bの上
層に位置する第3層15cが外部からの要因によって、
酸化、結晶化する際に、下層の第1層15a、或いはそ
の下部に形成されている有機層14への影響を排除する
のに有効である。ここで言う影響とは、主に第3層15
C成分の有機薄層14中への拡散であると思われる。
【0040】また第2層15bの他の機能は、第3層1
5Cに用いる材料にMgやAg、その他のアルカリ金
属、アルカリ土類金属等の元素が含有されている場合
に、その拡散を防止し、デバイスの短絡や駆動時におけ
る経時変化を防止するのに有効であることが筆者らの検
討によって明らかになっている。
【0041】また、この拡散が、寿命測定における輝度
の劣化を引き起こしている一要因であることが我々の検
討の結果明らかになっている。即ち、この拡散を軽減す
る効果が大きい材料、層構造が本発明である。
【0042】そして、上述した第2層15b上に設けら
れる第3層15cは、光透過性を有しかつ導電性が良好
な材料で構成されることとする。そして特に、この表示
装置が、有機層14での発光光を共振させて取り出すキ
ャビティ構造で構成される場合には、例えばMg−Ag
のような半透過性反射材料を用いて第3層15cを構成
する。これにより、この第3層15cの界面と、光反射
性を有する陽極13の界面で発光光を反射させてキャビ
ティ効果を得る。
【0043】また、この第3層15cは、有機物を含有
させた材料で構成されても良く、特に第2層15bが有
機物を含まない層である場合には、第2層15bを構成
する材料に有機物を含有させた材料で構成されても良
い。この場合、有機物中における、例えばHfの含有量
を制御することにより、第3層15cに反射性を持たせ
てキャビティ効果を得ることができる。
【0044】またさらに、第3層15cは、有機物を含
有する層上にMg−Agのような半透過性反射材料層を
積層させた構成であっても良い。
【0045】ここで、TAC構造の表示装置において
は、有機電界発光素子の合計膜厚を制御することによ
り、キャビティ効果を積極的に利用することができる
が、第3層15cが、有機物を含有する層を有する場合
には、この層の膜厚によってキャビティ長を制御するこ
とも可能になる。
【0046】尚、以上の第1層15aおよび第3層15
cも、第2層15bと同様に、真空蒸着法、スパッタリ
ング法、さらにはプラズマCVD法などの手法によって
形成される。また、この表示素子を用いて構成される表
示装置の駆動方式がアクティブマトリックス方式である
場合、陰極15は、ここでの図示を省略した上述の絶縁
膜と有機層14とによって、陽極13と絶縁された状態
で基板12上にベタ膜状で形成され、各画素に共通電極
として用いられる。
【0047】このように構成された表示素子では、陰極
15の第2層15bがHfを含有する層となっている。
このようなHfを含有する陰極15を備えた表示装置
は、Hfを含有しない従来の表示素子との比較におい
て、初期劣化による輝度の低下を小さく抑えることが可
能になる。したがって、表示素子の寿命特性、さらには
この表示素子を用いて構成された表示装置の寿命特性の
向上を図ることが可能になる。
【0048】特に、上述したようにHfをその酸化物と
して用いた場合、上記した各Hfの酸化物は光透過率が
大きいため、陰極15の光透過性を確保することができ
る。したがって、陰極15側からの光の取り出し効率を
良好に維持することが可能になる。
【0049】しかも、Hfの酸化物を原料とした成膜
は、基板温度を制御することなく常温での真空蒸着やス
パッタ成膜が可能であるため、有機層14に影響を与え
ることなく有機層14の上部に形成することができる。
【0050】以上のことから、図1を用いて説明した構
成の表示素子11は、TFTが形成された基板を用いた
上面発光型の表示装置、すなわちTAC構造の表示装置
用の表示素子として極めて有効に用いることができ、そ
の光取り出し効率を確保しつつも寿命特性の向上を図る
ことが可能になるのである。
【0051】もちろん、ここに示したカソードの電極構
造は3層構造であるが、電極各層の機能分離を行なった
際に必要な積層構造であり、第3層のみで構成したり、
第一層形成後にITOなどの透明電極を形成したり、ま
た、第3層のみの構造にすることも可能であり、作製さ
れるデバイスの構造に最適な組み合わせ、積層構造を取
れば良いことは言うまでもない。
【0052】さらに、Hfの酸化物は、他の元素の酸化
物と比較してシート抵抗が低く、また、シート抵抗の通
電時における変化も小さい。さらに、形成された薄膜の
光透過性が高いため、このHfの酸化物を第2層15b
として設けた場合、第2層15nの膜厚のばらつきに対
する表示素子11の輝度のばらつきが小さく抑えられ
る。
【0053】尚、以上説明したカソードの構成の表示素
子は、本発明のあくまでも一例であり、本発明の表示素
子はこのような構成に限定されることはない。
【0054】例えば、以上の実施形態においては、TF
T基板を用いたアクティブマトリックス方式の表示装置
に用いる表示素子に限定されることはなく、パッシブ方
式の表示装置に用いる表示素子としても適用可能であ
り、同様の効果(寿命特性の向上)を得ることができ
る。
【0055】また、以上の実施形態においては、基板1
と反対側に設けた陰極15側から発光光を取り出す「上
面発光型」の場合を説明した。しかし本発明は、基板1
2を透明材料で構成することで、発光光を基板12側か
ら取り出す「透過型」の表示素子にも適用される。この
場合、図1を用いて説明した積層構造を、基板12側か
ら逆に積み上げた構成にする。さらにこの場合、上部電
極となる陽極を透明材料で構成することで、基板12と
反対側から発光光を取り出すことも可能になる。
【0056】さらに、以上の実施形態においては、陰極
15にのみHfを含有させた構成を説明した。しかし、
Hfは、陰極15と共に陽極13に、または陽極13の
みに含有させても良い。この場合、陽極13にHfを含
有する層を設けたり、単層構造の陽極13にHfを含有
させても良い。Hfは、酸化物として含有させても良
い。特に、陽極13に光透過性が求められる場合には、
光透過性に優れたHfの酸化物を用いることが好まし
い。また、Hfの酸化物は、有機層14との間の仕事関
数の関係から、陽極13として有機層14と接する状態
で設けることも可能である。
【0057】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例1〜3、及び
これらの実施例に対する比較例の表示素子の製造手順を
説明し、その後これらの評価結果を説明する。
【0058】(実施例1〜3)各実施例1〜3において
は、上述した実施の形態において、図1を用いて説明し
た構成の表示素子11を形成した。ただし、各実施例に
おいては、陰極15の第2層15bとして、それぞれの
材料を用いた。以下に先ず、実施例1〜3の表示素子1
1の製造手順を説明する。
【0059】30mm×30mmのガラス板からなる基
板12上に、陽極13としてCr(膜厚約100nm)
を形成し、さらにSiO2蒸着により2mm×2mmの
発光領域以外を絶縁膜(図示省略)でマスクした有機電
界発光素子用のセルを作製した。
【0060】次に、真空蒸着法により、正孔注入層14
aとして図2に示す2−TNATA[4,4',4"-tris(2-na
phtylphenylamino)triphenylamine]を30nm(蒸着速
度0.2〜0.4nm/sec)形成した。次いで、正
孔輸送層14bとして図3に示すα−NPD(α-naphty
l phenil diamine)を30nm(蒸着速度0.2〜0.
4nm/sec)形成した。さらに、電子輸送性の発光
層14cとして、図4に示すAlq3(8-hydroxy quino
rine alminum)を50nm蒸着した。この際、Alq3
に図5に示すクマリン6を相対膜厚比で1vol%ドー
ピングして電子輸送性の発光層14cとした。
【0061】以上のようにして、正孔注入層14a、正
孔輸送層14bおよび電子輸送性の発光層14cを順次
積層してなる有機層14を形成した後、陰極15の第1
層15aとして、Li2Oを真空蒸着法により約0.3
nm(蒸着速度〜0.01nm/sec)形成した。
【0062】次に、陰極15の第2層15bとして、H
f酸化物を用いた層を1.5nmの膜厚で形成した。実
施例1〜実施例3においては、Hf酸化物の原材料とし
てHfO2を用いた。尚、実施例2および実施例3にお
いては、Hf酸化物と他の材料との混合材料で第2層1
5bを構成しており、その組成は下記表1の陰極第2層
材料および陰極第2層HfO2濃度に示す通りである。
尚、陰極第2層HfO2濃度は、陰極15の第2層15
b中におけるHfO2濃度を相対膜厚比(vol%)と
して示した。
【0063】
【表1】
【0064】次いで、第2層15b上に、陰極15の第
3層15cとしてMgAgを真空蒸着法により10nm
形成した。
【0065】(比較例)この比較例においては、図1を
用いて説明した構成の表示素子において、第2層15b
がない素子、すなわち、陰極15が第1層(Li2O)
15aと第3層(Mg−Ag)15cとの2層構造であ
る素子を作製した。
【0066】(評価結果)図6には、各表示素子の輝度
の経時変化(0〜1100時間)を、それぞれの表示素
子における初期の輝度を1とした相対輝度として示し
た。初期輝度は1200cd/m2とし、その時におけ
る相対輝度の劣化曲線から本発明の効果を検証した。
尚、図6においては、実施例1及び比較例の結果を示し
た。また、各実施例1〜3および比較例の表示素子にお
いての1100時間後の相対輝度の変化量に関しては、
表1に記載した。
【0067】図6から明らかなように、Hf酸化物を用
いた実施例1の表示素子は、Hf酸化物を用いていない
比較例の表示素子と比較して、輝度の劣化が抑制される
ことが確認された。また、1100時間後における相対
輝度の変化量は、比較例の表示素子では50%まで劣化
したのに対して、実施例1の表示素子では66%の劣化
に止まった。1100時間経過後の劣化速度はほぼ一定
であることから、本初発明を採用することにより、輝度
が半減するまでの寿命(輝度半減寿命)として約2倍の
寿命改善が見こまれることが確認された。
【0068】さらに、表1に示すように、実施例2、3
においても、1100時間後における相対輝度の変化量
は、実施例2で60%、実施例3で66%と、比較例よ
りも小さく抑えられ、実施例1と同程度に輝度半減寿命
の改善が見込まれることが確認された。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の陰極と陽
極との間に、少なくとも有機発光層を含む有機層を挟持
してなる表示素子において、陰極および陽極のうちの少
なくとも一方に、Hf(ハフニウム、原子番号72)元
素を含有させることで、寿命改善を図ることが可能にな
る。この結果、長期信頼性に優れた表示装置を得ること
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示素子の一構成例を示す断面図であ
る。
【図2】実施例において正孔注入層に用いた2−TNA
TAの構造式である。
【図3】実施例において正孔輸送層に用いたα−NPD
の構造式である。
【図4】実施例において電子輸送性発光層に用いたAl
q3の構造式である。
【図5】実施例において電子輸送性発光層に添加したク
マリン6の構造式である。
【図6】実施例および比較例における表示素子の相対輝
度の経時変化を示すグラフである。
【図7】従来の表示素子の一構成例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
11…表示素子、13…陽極、14…有機層、14c…
発光層、15…陰極、15a…第1層、15b…第2層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極と陽極との間に、少なくとも有機発
    光層を含む有機層を挟持してなる表示素子において、 前記陰極および前記陽極のうちの少なくとも一方は、ハ
    フニウムを含有することを特徴とする表示素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の表示素子において、 前記ハフニウムのうちの少なくとも一部は、酸化物とし
    て当該陰極および当該陽極のうちの少なくとも一方に含
    有されていることを特徴とする表示素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の表示素子において、 前記陰極および前記陽極のうちの少なくとも一方は、ハ
    フニウムを含有する層を含む複数層で構成されているこ
    とを特徴とする表示素子。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の表示素子において、 前記陰極は、ハフニウムを含有する層と、他の金属酸化
    物を含有する層との積層構造を備えていることを特徴と
    する表示素子。
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