JP2003178857A5 - - Google Patents
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Description
【発明の名称】加熱処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】密閉される炉室内に配置される石英管ヒータを備え、前記炉室の一側壁に前記石英管ヒータを端子部が炉室外に位置するように片持ち状に支持させることを特徴とする加熱処理装置。
【請求項2】前記石英管ヒータが発生する熱線を炉室中央部に反射する反射体を設けた請求項1に記載の加熱処理装置。
【請求項3】前記石英管ヒータと前記反射体とが一体的に前記炉室の一面から炉室内に挿抜可能に設けられた請求項2に記載の加熱処理装置。
【請求項4】前記石英管ヒータがセラミックヒータとこれを覆う石英管とを備える請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥装置、低温酸化膜生成装置、ガラス基板のデガス洗浄装置、有機膜乾燥装置、半導体部品の熱処理装置、還元反応炉、真空乾燥炉などに用いる加熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば電子回路基板を乾燥させるために炉室内にシーズヒータなどのヒータを配置した加熱処理装置が用いられているが、近年の基板の大型化や基板処理方法の多様化に伴い、炉室内の雰囲気を所定の雰囲気にすることにより加熱処理装置を反応炉として利用することが多くなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、シーズヒータなどを用いる従来の加熱処理装置では所定の雰囲気中で高温になるとヒータの表面が酸化されたり、還元されたりしてヒータが劣化し易くなり、また、ヒータからの金属イオンガスが放出される脱ガス現象により雰囲気が壊され、例えば電子部品に不純物が混入するコンタミの問題が発生するおそれがあるなどの問題がある。
【0004】
脱ガス現象などによる炉内雰囲気の汚染を防止するため、ヒータを炉壁内に埋め込んだり、炉壁の外側に配置したりする場合には、炉壁を加熱し、炉壁の輻射熱で処理物を加熱することになるので、加熱開始後処理物の温度が所定の温度に上昇するまでの時間が長く、温度むらが多い。また、加熱終了後も処理物から熱が炉壁に輻射され、更に炉壁から周囲の待機中に熱が輻射されることにより処理物が冷却されるので、処理物が所定の温度以下に冷却されるまでに長時間かかる。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みなされたものにして、短時間で処理物の温度を所定値に上昇させることができ、しかも、ヒータからの脱ガスなどによる炉内雰囲気の汚染が生じない加熱処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係る加熱処理装置は密閉される炉室内に配置される石英管ヒータを備え、前記炉室の一側壁に前記石英管ヒータを端子部が炉室外に位置するように片持ち状に支持させてあることを特徴とする。
【0007】
これにより、処理物は炉室内に配置された石英管ヒータにより直接加熱されるので、短時間で所定の処理温度まで加熱されるという作用が得られる。
【0008】
また、ヒータの劣化により生じる塵や脱ガスにより生じる金属イオンを含むガスは石英管内に封じ込められ、炉室内に拡散することはないという作用を得ることができる。
【0009】
更に、特に劣化や脱ガス現象が生じ易い端子部は炉室外に位置させているので、この端子部の劣化や脱ガス現象により炉室内の雰囲気が汚染されるおそれは全くないという作用を得ることができる。
【0010】
そして、これらの作用により、炉室内がヒータの劣化により生じた塵や脱ガス現象により生じたガスで汚染されることがなくなり、炉室内の雰囲気を所定の雰囲気に確実に保持できるという作用が得られるのである。
【0011】
加えて、本発明によれば、石英管ヒータを炉室の一側壁に片持ち状に支持させることにより、石英管の熱膨張による熱応力で石英管が破損することを防止することができるという作用も得ることができる。
【0012】
ところで、本発明おいて、石英管ヒータが発生する熱線を炉室中央部に反射する反射体を設けると、熱線を処理物に集中させて効率よく処理物を加熱することができるので、加熱開始後、短時間で処理物の温度を所定の温度に昇温させることができると共に、炉壁を加熱しないので、加熱停止後、短時間で炉室温度を常温に冷却することができ、処理物からの輻射熱量が増大し、処理物を短時間で所定の温度以下に冷却することができるという作用を得ることができる。
【0013】
また、この反射体により、熱線を均等に分散させて処理物に照射させることにより、処理物の温度分布を平均にすることができ、処理物を均等に熱処理することができるという作用が得られる。
【0014】
ここで、石英管ヒータと反射体とが一体的に前記炉室の一面から炉室内に挿抜可能に設けられると、石英管ヒータ及び反射面を一体的に炉外に抜き取って点検や整備ができる上、石英管ヒータの交換が容易になるという作用を得ることができる。
【0015】
また、本発明において、石英管ヒータがセラミックヒータとこれを覆う石英管とを備えるものである場合、ヒータが遠赤外線を発し、この遠赤外線が石英管を透過して処理物に照射されるので、加熱開始後、一層短時間で処理物の温度を所定の温度に昇温させることができると共に、加熱停止後、一層短時間で炉室温度を常温に冷却することができるという作用を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の態様】
本発明の一実施形態に係る加熱処理装置を図面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る加熱処理装置としてのオーブンの縦断側面図であり、図2はその半断背面図であり、この図1に示すように、このオーブン1の炉体2は前後が開放された矩形筒型の胴体3と、この胴体3の後面を閉塞する後壁4とを備え、胴体3の前面は例えば昇降扉5により開閉される。
【0018】
図には示していないが、これら胴体3、後壁4及び昇降扉5は必要に応じて内部に形成した冷却水路あるいはその外側に配置した冷却パイプに冷却液、例えば水を循環させて冷却するようにしてもよい。
【0019】
また、炉体2の内部に形成される炉室6には真空ポンプが接続され、必要に応じて炉室6内を真空にできるようにしている。
【0020】
炉室6の内部には胴体3の内面にそって前後に伸びる例えば8組のヒータユニット7が配置され、前記後壁4にはこのヒータユニット8を挿通する例えば8口の挿通孔8が形成される。
【0021】
各ヒータユニット8は、後壁4の外面にネジ止めされる基部9とこの基部9に挿通される石英管ヒータ10と、反射体11と、端子部カバー12とを備え、石英管ヒータ10は一端が閉塞された石英管の内部にその全長にわたってアルミナヒータからなるセラミックヒータを配置したものであり、端子部13が炉室6外に位置するように基部9に固定される。また、反射体11は石英管ヒータ10が輻射する熱線(赤外線)を炉室6の中央に反射できる形状の反射面14を備える。
【0022】
なお、前記後壁4の前面周囲部には例えばOリングからなる封止部材15が埋め込まれ、胴体3の後端面と後壁4の前面とでこの封止部材15を挟圧するようにして多数のクランプ16で後壁4を胴体3の後面に気密状に締付けている。
【0023】
また、図面には示していないが、炉体2には必要に応じて温度センサ、ガス成分センサなどが取付られる。
【0024】
さて、このように構成したオーブン1によれば、処理物を炉室6内に収納し、昇降扉5を閉じてから、真空ポンプを作動させて炉室6内を真空雰囲気にし、更にこの後、石英管ヒータ10に通電して加熱を開始する。
【0025】
この石英管ヒータ10は炉室6内に配置されているので、処理物はこの石英管ヒータ10が輻射する遠赤外線で直接に加熱されることになり、短時間で常温から所定の処理温度に加熱される。
【0026】
石英管ヒータ10から炉壁側に照射される遠赤外線は、反射面14で炉室6の中央側に反射されるので、処理物は多量の遠赤外線により加熱され、一層短時間で所定の処理温度に加熱される。
【0027】
図3は10−1Paの真空雰囲気中で石英管ヒータ10に通電した場合の前記オーブン内の複数測定点における炉内温度変化を示す処理温度特性図である。石英管ヒータ10への通電は炉体温度が150℃になるように設定した電力で制御を行っている。例えば、この図3に示すように、常温から加熱を開始した後、30数分後には150℃前後に炉内温度を高めることができ、80分後に150℃に安定させることができる。
【0028】
しかも、反射面14により石英管ヒータ10が放射する遠赤外線が炉室6内に均等に分散されるので、炉室6内の気温をすこぶる高度に平均化することができ、例えば温度偏差を例えば±1〜2℃以内にすることができ、処理物を非常に均等に処理することができ、不良品の発生率を低くできる上、製品の品質に対する信頼性を著しく高めることができる。
【0029】
これに対して、炉壁は石英管ヒータ10の遠赤外線で直接加熱することはなく、石英管ヒータ10あるいは処理物から熱を伝導された炉室6内の雰囲気から伝導される熱により加熱されるに過ぎない。この炉壁に伝導される熱量は石英管ヒータ10から輻射される遠赤外線の全熱量に比べると各段に少ないので、炉壁の温度は水冷などの特別の冷却が不要になる程度の低温になる。
【0030】
従って、処理終了後に石英管ヒータ10による加熱を停止した後、真空状態を解除し、外部とガスパージすることで、炉体2が短時間で常温まで冷却されるので、炉室6内の雰囲気も短時間で所定の温度、例えば処理物を取出す取出温度まで冷却される。そして、炉内温度が低くなることにより処理物から炉室6内の雰囲気への輻射熱量が多くなり、短時間で処理物を所定の温度(取出温度)以下に冷却することができる。
【0031】
例えば図3に示すように、炉内温度が150℃に安定してから更に60分間にわたり150℃を維持してから加熱を停止し、真空状態を解除し、外部とガスパージすると、加熱停止後60分弱で炉室温度が約50℃程度になり、炉室6から処理物を取出すことができる。
【0032】
しかも、石英管ヒータ10を用いているので、その内部のセラミックヒータ(アルミナヒータ)が劣化して塵を発生してもその塵は石英管内に封じ込められるので、炉室6内に拡散するおそれはなく、また、セラミックヒータの脱ガス現象により生じる金属イオンなどを含んだガスも石英管内に封じ込められて炉室6内に拡散するおそれはない。更に、劣化や脱ガス現象が生じ易い端子部13は炉室6外に配置されているので、端子部13の劣化により生じる塵や端子部13の脱ガス現象により生じるガスが炉室6内に拡散するおそれもない。従って、ヒータの劣化や脱ガス現象によって炉室6内の雰囲気が汚染されるおそれは全くない。
【0033】
また、翻って見れば、セラミックヒータは石英管で被覆されることにより炉室6内の雰囲気から遮断されているので、劣化し難くなり、寿命が長くなる。
【0034】
ところで、この実施形態では、基部9と、石英管ヒータ10と、反射体11とでヒータユニット8を構成し、石英管ヒータ10及び反射体11を外から炉室6内に差込んで基部9を後壁4に固定することにより炉室6内の所定の位置に配置するようにしているので、このヒータユニット8を取出すことにより簡単に石英管ヒータ10及び反射体11を点検したり、処理中に付着した副生物を石英管ヒータ10や反射体11から払拭するなどの整備をしたり、石英管ヒータ10や反射体11を交換したりすることができる。
【0035】
また、石英管ヒータ10を基部9を介して後壁4に片持ち状に支持させているので、石英管が加熱されても自由に熱膨張することができ、内部に生じる熱応力で石英管が破損するおそれはない。
【0036】
なお、この実施形態では、炉体2に真空ポンプを付設して、炉室6内の雰囲気を真空にしているが、更にアルゴンガスなどの不活性ガス供給装置を接続して、炉室6内を不活性雰囲気にしたり、窒素ガス供給装置を接続して炉室6内を窒素リッチ雰囲気にしたり、蒸気供給装置などを接続して炉室6内を酸化雰囲気にしたり、水素ガス供給装置などを接続して炉室6内を還元雰囲気にすることが可能である。
【0037】
更に、この実施形態では石英管ヒータ10の内部に配置されるヒータとしてアルミナヒータを用いているが、このヒータとしては、他のセラミックヒータを用いてもよく、シーズヒータなどのセラミックヒータ以外のヒータを用いてもよい。
【0038】
また、この実施形態では、石英管ヒータ10と共にユニット化される反射体11を設けているが、これに代えて、或いはこれと共に、図1及び図2に仮想線で示すように、炉室6の内面に沿って全面的に展開する平板状の反射板17を設けてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の加熱処理装置は、密閉される炉室内に配置される石英管ヒータを備え、前記炉室の一側壁に前記石英管ヒータを端子部が炉室外に位置するように片持ち状に支持させることを特徴とするものであるので、石英管ヒータにより直接に炉室内の処理物を加熱して、短時間で処理物を処理温度まで加熱することができるという作用が得られ、これにより処理時間を短縮できるという効果を得ることができる。
【0040】
また、本発明によれば、ヒータの劣化により生じる塵や脱ガスにより生じる金属イオンを含むガスは石英管内に封じ込められ、劣化や脱ガス現象が生じ易い端子部は炉室外に位置させているので、ヒータや端子部の劣化や脱ガス現象により炉室内の雰囲気が汚染されるおそれは全くないという作用を得ることができ、所定の雰囲気内における加熱処理に最適の加熱処理装置を得ることができる。
【0041】
更に、本発明によれば、石英管ヒータを炉室の一側壁、例えば後壁に片持ち状に支持させることにより、石英管の熱膨張による熱応力で石英管が破損することを防止することができるという作用を得ることができ、これにより石英管ヒータの交換頻度を下げてランニングコストを削減できるという効果を得ることができる。
【0042】
本発明において、石英管ヒータが発生する熱線を炉室中央部に反射する反射体を設けると、炉壁に向かって照射された石英管ヒータの熱線を炉室内の処理物に反射して照射させることができ、これにより、処理物を効率よく、平均に加熱することができ、加熱開始後所定の処理温度に到達するまでの時間を短縮して処理時間を短縮できるという効果が得られる上、炉壁が直接加熱されないので炉壁温度を低温にすることができ、炉壁を冷却する冷却装置を省略して安価にすることができるという効果が得られると共に、加熱終了後に処理物を短時間で所定の取出し温度まで冷却することができ、これにより処理時間を短縮できるという効果が得られる。
【0043】
また、本発明において、石英管ヒータと反射面とが一体的に前記炉室の一面から炉室内に挿抜可能に設けられると、石英管ヒータ及び反射面を炉室から取出して点検したり、整備したり、交換したりできるので、石英管ヒータ及び反射体の点検、整備、交換などのメンテナンスが容易になるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の縦断側面図である。
【図2】本発明の半断背面図である。
【図3】本発明の処理温度特性図である。
【符号の説明】
1 オーブン
4 後壁
6 炉室
10 石英管ヒータ
11 反射体
13 端子部
17 反射体
【特許請求の範囲】
【請求項1】密閉される炉室内に配置される石英管ヒータを備え、前記炉室の一側壁に前記石英管ヒータを端子部が炉室外に位置するように片持ち状に支持させることを特徴とする加熱処理装置。
【請求項2】前記石英管ヒータが発生する熱線を炉室中央部に反射する反射体を設けた請求項1に記載の加熱処理装置。
【請求項3】前記石英管ヒータと前記反射体とが一体的に前記炉室の一面から炉室内に挿抜可能に設けられた請求項2に記載の加熱処理装置。
【請求項4】前記石英管ヒータがセラミックヒータとこれを覆う石英管とを備える請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥装置、低温酸化膜生成装置、ガラス基板のデガス洗浄装置、有機膜乾燥装置、半導体部品の熱処理装置、還元反応炉、真空乾燥炉などに用いる加熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば電子回路基板を乾燥させるために炉室内にシーズヒータなどのヒータを配置した加熱処理装置が用いられているが、近年の基板の大型化や基板処理方法の多様化に伴い、炉室内の雰囲気を所定の雰囲気にすることにより加熱処理装置を反応炉として利用することが多くなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、シーズヒータなどを用いる従来の加熱処理装置では所定の雰囲気中で高温になるとヒータの表面が酸化されたり、還元されたりしてヒータが劣化し易くなり、また、ヒータからの金属イオンガスが放出される脱ガス現象により雰囲気が壊され、例えば電子部品に不純物が混入するコンタミの問題が発生するおそれがあるなどの問題がある。
【0004】
脱ガス現象などによる炉内雰囲気の汚染を防止するため、ヒータを炉壁内に埋め込んだり、炉壁の外側に配置したりする場合には、炉壁を加熱し、炉壁の輻射熱で処理物を加熱することになるので、加熱開始後処理物の温度が所定の温度に上昇するまでの時間が長く、温度むらが多い。また、加熱終了後も処理物から熱が炉壁に輻射され、更に炉壁から周囲の待機中に熱が輻射されることにより処理物が冷却されるので、処理物が所定の温度以下に冷却されるまでに長時間かかる。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みなされたものにして、短時間で処理物の温度を所定値に上昇させることができ、しかも、ヒータからの脱ガスなどによる炉内雰囲気の汚染が生じない加熱処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係る加熱処理装置は密閉される炉室内に配置される石英管ヒータを備え、前記炉室の一側壁に前記石英管ヒータを端子部が炉室外に位置するように片持ち状に支持させてあることを特徴とする。
【0007】
これにより、処理物は炉室内に配置された石英管ヒータにより直接加熱されるので、短時間で所定の処理温度まで加熱されるという作用が得られる。
【0008】
また、ヒータの劣化により生じる塵や脱ガスにより生じる金属イオンを含むガスは石英管内に封じ込められ、炉室内に拡散することはないという作用を得ることができる。
【0009】
更に、特に劣化や脱ガス現象が生じ易い端子部は炉室外に位置させているので、この端子部の劣化や脱ガス現象により炉室内の雰囲気が汚染されるおそれは全くないという作用を得ることができる。
【0010】
そして、これらの作用により、炉室内がヒータの劣化により生じた塵や脱ガス現象により生じたガスで汚染されることがなくなり、炉室内の雰囲気を所定の雰囲気に確実に保持できるという作用が得られるのである。
【0011】
加えて、本発明によれば、石英管ヒータを炉室の一側壁に片持ち状に支持させることにより、石英管の熱膨張による熱応力で石英管が破損することを防止することができるという作用も得ることができる。
【0012】
ところで、本発明おいて、石英管ヒータが発生する熱線を炉室中央部に反射する反射体を設けると、熱線を処理物に集中させて効率よく処理物を加熱することができるので、加熱開始後、短時間で処理物の温度を所定の温度に昇温させることができると共に、炉壁を加熱しないので、加熱停止後、短時間で炉室温度を常温に冷却することができ、処理物からの輻射熱量が増大し、処理物を短時間で所定の温度以下に冷却することができるという作用を得ることができる。
【0013】
また、この反射体により、熱線を均等に分散させて処理物に照射させることにより、処理物の温度分布を平均にすることができ、処理物を均等に熱処理することができるという作用が得られる。
【0014】
ここで、石英管ヒータと反射体とが一体的に前記炉室の一面から炉室内に挿抜可能に設けられると、石英管ヒータ及び反射面を一体的に炉外に抜き取って点検や整備ができる上、石英管ヒータの交換が容易になるという作用を得ることができる。
【0015】
また、本発明において、石英管ヒータがセラミックヒータとこれを覆う石英管とを備えるものである場合、ヒータが遠赤外線を発し、この遠赤外線が石英管を透過して処理物に照射されるので、加熱開始後、一層短時間で処理物の温度を所定の温度に昇温させることができると共に、加熱停止後、一層短時間で炉室温度を常温に冷却することができるという作用を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の態様】
本発明の一実施形態に係る加熱処理装置を図面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る加熱処理装置としてのオーブンの縦断側面図であり、図2はその半断背面図であり、この図1に示すように、このオーブン1の炉体2は前後が開放された矩形筒型の胴体3と、この胴体3の後面を閉塞する後壁4とを備え、胴体3の前面は例えば昇降扉5により開閉される。
【0018】
図には示していないが、これら胴体3、後壁4及び昇降扉5は必要に応じて内部に形成した冷却水路あるいはその外側に配置した冷却パイプに冷却液、例えば水を循環させて冷却するようにしてもよい。
【0019】
また、炉体2の内部に形成される炉室6には真空ポンプが接続され、必要に応じて炉室6内を真空にできるようにしている。
【0020】
炉室6の内部には胴体3の内面にそって前後に伸びる例えば8組のヒータユニット7が配置され、前記後壁4にはこのヒータユニット8を挿通する例えば8口の挿通孔8が形成される。
【0021】
各ヒータユニット8は、後壁4の外面にネジ止めされる基部9とこの基部9に挿通される石英管ヒータ10と、反射体11と、端子部カバー12とを備え、石英管ヒータ10は一端が閉塞された石英管の内部にその全長にわたってアルミナヒータからなるセラミックヒータを配置したものであり、端子部13が炉室6外に位置するように基部9に固定される。また、反射体11は石英管ヒータ10が輻射する熱線(赤外線)を炉室6の中央に反射できる形状の反射面14を備える。
【0022】
なお、前記後壁4の前面周囲部には例えばOリングからなる封止部材15が埋め込まれ、胴体3の後端面と後壁4の前面とでこの封止部材15を挟圧するようにして多数のクランプ16で後壁4を胴体3の後面に気密状に締付けている。
【0023】
また、図面には示していないが、炉体2には必要に応じて温度センサ、ガス成分センサなどが取付られる。
【0024】
さて、このように構成したオーブン1によれば、処理物を炉室6内に収納し、昇降扉5を閉じてから、真空ポンプを作動させて炉室6内を真空雰囲気にし、更にこの後、石英管ヒータ10に通電して加熱を開始する。
【0025】
この石英管ヒータ10は炉室6内に配置されているので、処理物はこの石英管ヒータ10が輻射する遠赤外線で直接に加熱されることになり、短時間で常温から所定の処理温度に加熱される。
【0026】
石英管ヒータ10から炉壁側に照射される遠赤外線は、反射面14で炉室6の中央側に反射されるので、処理物は多量の遠赤外線により加熱され、一層短時間で所定の処理温度に加熱される。
【0027】
図3は10−1Paの真空雰囲気中で石英管ヒータ10に通電した場合の前記オーブン内の複数測定点における炉内温度変化を示す処理温度特性図である。石英管ヒータ10への通電は炉体温度が150℃になるように設定した電力で制御を行っている。例えば、この図3に示すように、常温から加熱を開始した後、30数分後には150℃前後に炉内温度を高めることができ、80分後に150℃に安定させることができる。
【0028】
しかも、反射面14により石英管ヒータ10が放射する遠赤外線が炉室6内に均等に分散されるので、炉室6内の気温をすこぶる高度に平均化することができ、例えば温度偏差を例えば±1〜2℃以内にすることができ、処理物を非常に均等に処理することができ、不良品の発生率を低くできる上、製品の品質に対する信頼性を著しく高めることができる。
【0029】
これに対して、炉壁は石英管ヒータ10の遠赤外線で直接加熱することはなく、石英管ヒータ10あるいは処理物から熱を伝導された炉室6内の雰囲気から伝導される熱により加熱されるに過ぎない。この炉壁に伝導される熱量は石英管ヒータ10から輻射される遠赤外線の全熱量に比べると各段に少ないので、炉壁の温度は水冷などの特別の冷却が不要になる程度の低温になる。
【0030】
従って、処理終了後に石英管ヒータ10による加熱を停止した後、真空状態を解除し、外部とガスパージすることで、炉体2が短時間で常温まで冷却されるので、炉室6内の雰囲気も短時間で所定の温度、例えば処理物を取出す取出温度まで冷却される。そして、炉内温度が低くなることにより処理物から炉室6内の雰囲気への輻射熱量が多くなり、短時間で処理物を所定の温度(取出温度)以下に冷却することができる。
【0031】
例えば図3に示すように、炉内温度が150℃に安定してから更に60分間にわたり150℃を維持してから加熱を停止し、真空状態を解除し、外部とガスパージすると、加熱停止後60分弱で炉室温度が約50℃程度になり、炉室6から処理物を取出すことができる。
【0032】
しかも、石英管ヒータ10を用いているので、その内部のセラミックヒータ(アルミナヒータ)が劣化して塵を発生してもその塵は石英管内に封じ込められるので、炉室6内に拡散するおそれはなく、また、セラミックヒータの脱ガス現象により生じる金属イオンなどを含んだガスも石英管内に封じ込められて炉室6内に拡散するおそれはない。更に、劣化や脱ガス現象が生じ易い端子部13は炉室6外に配置されているので、端子部13の劣化により生じる塵や端子部13の脱ガス現象により生じるガスが炉室6内に拡散するおそれもない。従って、ヒータの劣化や脱ガス現象によって炉室6内の雰囲気が汚染されるおそれは全くない。
【0033】
また、翻って見れば、セラミックヒータは石英管で被覆されることにより炉室6内の雰囲気から遮断されているので、劣化し難くなり、寿命が長くなる。
【0034】
ところで、この実施形態では、基部9と、石英管ヒータ10と、反射体11とでヒータユニット8を構成し、石英管ヒータ10及び反射体11を外から炉室6内に差込んで基部9を後壁4に固定することにより炉室6内の所定の位置に配置するようにしているので、このヒータユニット8を取出すことにより簡単に石英管ヒータ10及び反射体11を点検したり、処理中に付着した副生物を石英管ヒータ10や反射体11から払拭するなどの整備をしたり、石英管ヒータ10や反射体11を交換したりすることができる。
【0035】
また、石英管ヒータ10を基部9を介して後壁4に片持ち状に支持させているので、石英管が加熱されても自由に熱膨張することができ、内部に生じる熱応力で石英管が破損するおそれはない。
【0036】
なお、この実施形態では、炉体2に真空ポンプを付設して、炉室6内の雰囲気を真空にしているが、更にアルゴンガスなどの不活性ガス供給装置を接続して、炉室6内を不活性雰囲気にしたり、窒素ガス供給装置を接続して炉室6内を窒素リッチ雰囲気にしたり、蒸気供給装置などを接続して炉室6内を酸化雰囲気にしたり、水素ガス供給装置などを接続して炉室6内を還元雰囲気にすることが可能である。
【0037】
更に、この実施形態では石英管ヒータ10の内部に配置されるヒータとしてアルミナヒータを用いているが、このヒータとしては、他のセラミックヒータを用いてもよく、シーズヒータなどのセラミックヒータ以外のヒータを用いてもよい。
【0038】
また、この実施形態では、石英管ヒータ10と共にユニット化される反射体11を設けているが、これに代えて、或いはこれと共に、図1及び図2に仮想線で示すように、炉室6の内面に沿って全面的に展開する平板状の反射板17を設けてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の加熱処理装置は、密閉される炉室内に配置される石英管ヒータを備え、前記炉室の一側壁に前記石英管ヒータを端子部が炉室外に位置するように片持ち状に支持させることを特徴とするものであるので、石英管ヒータにより直接に炉室内の処理物を加熱して、短時間で処理物を処理温度まで加熱することができるという作用が得られ、これにより処理時間を短縮できるという効果を得ることができる。
【0040】
また、本発明によれば、ヒータの劣化により生じる塵や脱ガスにより生じる金属イオンを含むガスは石英管内に封じ込められ、劣化や脱ガス現象が生じ易い端子部は炉室外に位置させているので、ヒータや端子部の劣化や脱ガス現象により炉室内の雰囲気が汚染されるおそれは全くないという作用を得ることができ、所定の雰囲気内における加熱処理に最適の加熱処理装置を得ることができる。
【0041】
更に、本発明によれば、石英管ヒータを炉室の一側壁、例えば後壁に片持ち状に支持させることにより、石英管の熱膨張による熱応力で石英管が破損することを防止することができるという作用を得ることができ、これにより石英管ヒータの交換頻度を下げてランニングコストを削減できるという効果を得ることができる。
【0042】
本発明において、石英管ヒータが発生する熱線を炉室中央部に反射する反射体を設けると、炉壁に向かって照射された石英管ヒータの熱線を炉室内の処理物に反射して照射させることができ、これにより、処理物を効率よく、平均に加熱することができ、加熱開始後所定の処理温度に到達するまでの時間を短縮して処理時間を短縮できるという効果が得られる上、炉壁が直接加熱されないので炉壁温度を低温にすることができ、炉壁を冷却する冷却装置を省略して安価にすることができるという効果が得られると共に、加熱終了後に処理物を短時間で所定の取出し温度まで冷却することができ、これにより処理時間を短縮できるという効果が得られる。
【0043】
また、本発明において、石英管ヒータと反射面とが一体的に前記炉室の一面から炉室内に挿抜可能に設けられると、石英管ヒータ及び反射面を炉室から取出して点検したり、整備したり、交換したりできるので、石英管ヒータ及び反射体の点検、整備、交換などのメンテナンスが容易になるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の縦断側面図である。
【図2】本発明の半断背面図である。
【図3】本発明の処理温度特性図である。
【符号の説明】
1 オーブン
4 後壁
6 炉室
10 石英管ヒータ
11 反射体
13 端子部
17 反射体
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