JP2003175432A - 工作機械用ブレーキ装置 - Google Patents

工作機械用ブレーキ装置

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JP2003175432A JP2001374243A JP2001374243A JP2003175432A JP 2003175432 A JP2003175432 A JP 2003175432A JP 2001374243 A JP2001374243 A JP 2001374243A JP 2001374243 A JP2001374243 A JP 2001374243A JP 2003175432 A JP2003175432 A JP 2003175432A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレーキ機構の動作に関連して付与される遅
延時間の設定をより容易に行うことができる工作機械用
ブレーキ装置を提供する。 【解決手段】 工作機械の主軸の落下を防止するブレー
キ機構のオンタイミングを規定する遅延時間と、ブレー
キ機構のオフ動作時におけるモータの励磁開始タイミン
グを規定する遅延時間とを、タイマユニット32におけ
るボリューム素子35の抵抗値に応じて、1つのタイマ
37により同じ値に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械の主軸を
重力軸方向に駆動させるモータに対する励磁が停止して
いる期間において、重力の影響により前記主軸が落下す
ることを防止するために作用するブレーキ機構を備えた
工作機械用ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、工作機械及びそのブレーキ装置
の一構成例を示すものである。主軸1は、主軸用モータ
2によって駆動され、主軸1の先端部に取り付けられた
工具3を回転させるようになっている。また、主軸1及
び主軸用モータ2は、重力軸用サーボモータ4によって
ボールネジ5a,ナット5bなどからなる送りネジ機構
5を介して重力軸(Z軸)方向に駆動される。
【0003】重力軸用サーボモータ4の回転軸に直結さ
れているボールネジ5aには、ブレーキ機構6が配設さ
れている。このブレーキ機構6は、工作機械の運転を停
止する場合に動力の供給が遮断され、重力軸用サーボモ
ータ4が励磁されなくなった場合に、主軸1及び主軸用
モータ2が重力に引かれて下方側に落下することを防止
するものである。テーブル7は、ワーク8が取り付けら
れるものであり、X軸サーボモータ9により送りネジ機
構10を介して水平方向(X軸方向)に駆動されるよう
になっている。
【0004】整流回路11は、単相交流電源(AC10
0V)を整流して直流電源に変換出力し、その直流電源
はスイッチ12を介してブレーキ機構6に供給されてい
る。また、整流回路11からの直流電源は、制御電源供
給回路13を介して電圧が適宜調整され、主軸モータ制
御回路14並びにサーボモータ制御回路15及び16に
制御電源を供給するようになっている。
【0005】これらの制御回路14乃至16は、数値制
御装置(CNC)17からの速度指令や移動指令を受け
て速度や位置のフィードバック制御、更には電流のフィ
ードバック制御を行い、インバータで構成される主軸1
用の主軸アンプ18,サーボモータ4及び9用のサーボ
アンプ19及び20に駆動制御信号を出力するようにな
っている。そして、これらのアンプ18乃至20には、
三相交流電源を整流して直流電源を供給するパワーサプ
ライ21から動力用電源が供給されるようになってい
る。また、数値制御装置17は、モータ4を非常停止さ
せる場合にスイッチ12を開いてブレーキ機構6に対す
る電源供給を遮断することで、ブレーキONの状態にな
るように制御する。
【0006】ここで、図5は、サーボモータ4及びブレ
ーキ機構6の動作状態を示すタイミングチャートであ
る。(a)は、数値制御装置17がサーボモータ制御回
路15に出力するサーボモータ4の駆動制御信号であ
り、(b)はブレーキ機構6の動作状態,(c)は駆動
制御信号に基づくサーボモータ4の励磁状態を示すもの
である。
【0007】即ち、サーボモータ4の励磁が開始される
前の状態でブレーキ機構6はブレーキONの状態にあ
る。そして、駆動制御信号のレベルがロウからハイに切
り替わるとサーボモータ4の励磁が開始されるが、駆動
制御信号の立上がりからサーボモータ4の励磁が実際に
開始されるまでには若干の時間差ta(例えば、20m
s〜50ms程度)がある。また、ブレーキ機構6も、
駆動制御信号が立上がるとブレーキONからOFFに切
り替わるが、その切り替わりにも時間tb(例えば10
0ms〜200ms程度)を要する。
【0008】ブレーキ機構6は、サーボモータ4の励磁
が開始されると同時にブレーキOFFになることが望ま
しい。即ち、ブレーキOFFが早すぎると主軸1が落下
することになり、逆にブレーキOFFが遅すぎると、サ
ーボモータ4が励磁されているにもかかわらずボールネ
ジ5aを拘束することになり、サーボモータ4の巻線に
過電流が流れることになる(オーバーカレントアラーム
が発生する)。そこで、ブレーキOFFのタイミングが
適切となるように、駆動制御信号の立上がりからブレー
キOFF開始まで、若しくはブレーキOFF開始タイミ
ングを固定してサーボモータ4の励磁を開始させるまで
にOFF遅延時間toff を与えるようにしている。
【0009】また、工作機械の運転が停止され、サーボ
モータ4の励磁が停止される場合には、ブレーキ機構6
をブレーキOFFからONの状態に切り換える必要があ
る。この場合にも、駆動制御信号のレベルがハイからロ
ウに切り替わる立ち下がりからサーボモータ4の励磁が
実際に停止されるまでにも時間差tcがあり、ブレーキ
機構6も、ブレーキOFFからONに切り替わるのに時
間tdを要する。そこで、ブレーキONのタイミングが
適切となるように、駆動制御信号の立下がりからブレー
キON開始までにON遅延時間tonを与えるようにして
いる。
【0010】そして、ブレーキ機構6は、各機構毎の調
整状態が夫々異なることや、実際の使用によってブレー
キシューのような部品が摩耗するなどの経時変化が生じ
ることから、夫々について動作確認をしながら遅延時間
の調整を行う必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来のブレーキ装置で
は、ON遅延時間ton及びOFF遅延時間toff を与え
るためこれら2つの遅延時間を独立に設定する構成とな
っていた。そのため、設定ミスが生じる可能性が高く、
また、ブレーキON,OFF夫々のケースについて動作
確認を行う必要があった。本発明は上記事情に鑑みてな
されたものであり、その目的は、ブレーキ機構の動作に
関連して付与される遅延時間の設定をより容易に行うこ
とができる工作機械用ブレーキ装置を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の工作機械用ブレーキ装置は、工作機
械の主軸を重力軸方向に駆動させるモータに対する励磁
が停止している期間において、前記主軸が落下すること
を防止するために作用するブレーキ機構と、外部より与
えられる前記モータの停止信号に応じて前記ブレーキ機
構のオンオフを制御する制御手段とを備え、前記制御手
段は、前記停止信号によって与えられる前記モータの停
止指令タイミングから前記ブレーキ機構のオンを開始さ
せるまでのオン遅延時間と、前記停止信号によって与え
られる前記ブレーキ機構のオフタイミングから前記モー
タの起動指令を出力させるまでのオフ遅延時間とを、1
つの遅延時間付与手段によって同時に設定付与するよう
に構成されていることを特徴とする。
【0013】斯様に構成すれば、オン遅延時間とオフ遅
延時間とは1つの遅延時間付与手段によって常に同じ値
に設定される。即ち、安全性を考慮すると、一般に、主
軸の落下を防止するためブレーキ機構をオンさせる場合
のオン遅延時間を如何に決定するかがより重要であるか
ら、そのオン遅延時間の決定に基づいてオフ遅延時間を
同一に設定しても特に問題はない。
【0014】従って、従来とは異なり、オン遅延時間と
オフ遅延時間とを夫々独立に設定する必要がなく設定が
容易となり、設定ミスを減少させることができる。ま
た、ブレーキ機構のオフ時の動作とオン時の動作につい
て、遅延時間の付与状態を別個に確認する必要もない。
そして、遅延時間付与手段を1つだけ配置すれば良いの
で装置の構成が簡単になる。
【0015】この場合、請求項2に記載したように、前
記制御手段に、前記ブレーキ機構の電源供給経路を開閉
するためのリレー接点を複数備えると共に、前記遅延時
間付与手段をも複数備えて、前記複数のリレー接点を開
閉するために出力される信号に、前記複数の遅延時間付
与手段によって遅延時間を夫々独立に付与するように構
成すると良い。
【0016】斯様に構成すれば、ブレーキ機構のオンオ
フ制御を多重化して行うことになる。例えば、複数のリ
レー接点が電源供給経路に対して直列に配置されてお
り、ブレーキ機構に対する電源供給を遮断するとブレー
キオンとなるように構成されている場合は、リレー接点
の内何れか1つが溶着するなどして開路が不能であると
しても、その他のリレー接点が開けばブレーキをオンさ
せることが可能となる。従って、安全性がより向上する
ようになる。
【0017】この場合、請求項3に記載したように、前
記制御手段に多段構成の可変抵抗素子を備えて、前記複
数の遅延時間付与手段を、前記多段構成の可変抵抗素子
において設定される抵抗値に応じて遅延時間が夫々独立
に設定されるように構成すると良い。斯様に構成すれ
ば、多段構成の可変抵抗素子の内何れかの素子が故障し
た場合でも、その他の可変抵抗素子素子によって、多重
化されている他の開閉制御系統には所期の遅延時間を設
定することができる。
【0018】また、この場合、請求項4に記載したよう
に、前記制御手段を、何れか1つの遅延時間付与手段の
信号出力が前記ブレーキ機構をオンさせる状態になる
と、当該信号出力によってその他の遅延時間付与手段の
信号出力を同様の状態にセットするように構成するのが
好ましい。斯様に構成すれば、前記1つの遅延時間付与
手段に対応するリレー接点の開閉状態が、何らかの原因
によってブレーキ機構をオンさせる状態にならなかった
としても、その他のリレー接点が健全であればそちらに
よってブレーキ機構を確実にオンさせることが可能とな
る。
【0019】更に、請求項5に記載したように、前記遅
延時間付与手段を、前記リレー接点の開閉状態をモニタ
することで信号を出力した際に前記リレー接点が前記ブ
レーキ機構をオンさせる状態にならないと判断すると、
その他の遅延時間付与手段の信号出力を前記ブレーキ機
構をオンさせる状態にセットする構成とするのが好適で
ある。斯様に構成すれば、実際に、リレー接点がブレー
キ機構をオンさせる状態にならなかった場合でも、その
他のリレー接点が健全であればそちらによってブレーキ
機構を確実にオンさせることが可能となる。
【0020】以上の場合において、請求項6に記載した
ように、前記制御手段が、前記ブレーキ機構のオン制御
を開始した時点から所定時間が経過した時点で、前記遅
延時間付与手段における信号の出力が所期の状態に変化
しなかった場合に、前記モータの励磁を停止させるよう
に構成される制御監視手段を備えると良い。
【0021】即ち、遅延時間付与手段はモータの起動指
令を出力する機構に関連を有する構成であるため、その
機能に異常が発生すると、最悪の場合には所望の期間に
モータを停止させることができなくなることも想定され
る。そこで、制御監視手段が遅延時間付与手段の信号出
力状態を監視することで動作が明らかに異常であると判
定できる場合は、モータの励磁を停止させることでその
回転を確実に停止させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例について
図1乃至図3を参照して説明する。尚、図4と同一部分
には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分に
ついてのみ説明する。図1は、本発明の要旨に係る部分
の構成を示しており、図4における重力軸用サーボモー
タ4,ブレーキ機構6部分を中心として、CNC17等
を含むNCユニット31及びタイマユニット(制御手
段)32を加えたものである。
【0023】NCユニット31には、三相200Vの交
流電源がリレー33の接点33aを介して供給されてい
る。モータ4には、NCユニット31を介して三相交流
電源が供給される。タイマユニット32には、リレー等
の駆動用及び制御用電源として直流24Vの電源が供給
されていると共に(制御用は内部で降圧される)、ブレ
ーキ機構6の駆動用電源として交流100V電源が供給
されている。また、タイマユニット32には、運転上の
トラブルが発生した場合に作業者がモータ4を非常停止
させるために操作するスイッチ34の操作信号が与えら
れると共に、ブレーキ機構6を駆動する場合の遅延時間
を設定するためのボリューム素子(可変抵抗素子)35
が設けられている(図1では、ボリューム素子35のつ
まみ35Tのみを図示している)。
【0024】タイマユニット32より出力される交流電
源は、ダイオードブリッジよりなる整流回路36を介し
て直流電源に整流され、ブレーキ機構6に供給される。
また、タイマユニット32は、常閉型の非常停止スイッ
チ34がON操作された場合にモータ4の励磁を停止さ
せるため、NCユニット31に対して非常停止出力を発
生させる。また、タイマユニット32は、その他動作状
態に関する情報を、NCユニット31及びその内部に配
置されているI/Oユニットなどに、インターフェイス
(I/F)を介して伝達するようになっている。
【0025】リレー33のマグネット(コイル)33m
は、NCユニット31の通常動作状態では、その内部に
配置されているリレー接点50aが閉じていることで通
電が行われており、リレー33の接点33aを閉路させ
ることでNCユニット31にAC200Vを供給してい
る。そして、タイマユニット32は、非常停止スイッチ
34のON/OFFをトリガとしてブレーキ機構6のO
N/OFF動作に関連するタイミングを制御するように
なっている。また、タイマユニット32は、リレー33
のb接点33bの開閉状態をフィードバックしてモニタ
するようになっている。尚、リレー33の駆動用電源に
は、交流100V又は直流24Vの何れかが用いられ
る。
【0026】図2は、タイマユニット32の内部構成を
示すものである。タイマユニット32は、2段構成のボ
リューム素子(可変抵抗素子)35,2つのタイマ(遅
延時間付与手段)37A及び37B,監視タイマ(制御
監視手段)38,2つのリレー39A及び39B,リレ
ー駆動用のトランジスタ40A及び40B等で構成され
ている。
【0027】タイマ37A及び37Bは、上述した非常
停止スイッチ34の操作信号を契機として発生する非常
停止信号をトリガとして動作し、ブレーキ機構6のON
動作の開始を遅延させる遅延時間と、ブレーキ機構6の
OFF動作時においてモータ4の励磁開始を遅延させる
遅延時間とを与えるタイマであり、両者は全く同一の動
作を行うIC(Integrated Circuit)である。そして、タ
イマ37A,37Bは、ボリューム素子35の各素子3
5A,35Bに設定される抵抗値に基づいて内部のクロ
ック周波数を変化させることで、遅延時間tdl々設定す
るように構成されている。
【0028】即ち、非常停止スイッチ34がON操作さ
れたことに基づいて非常停止信号がハイレベルになる
と、タイマ37A,37Bは、遅延時間tdl(オン遅延
時間)の経過後にロウアクティブの出力端子OUTをロ
ウレベルにドライブする。また、非常停止スイッチ34
がOFF操作されたことに基づいて非常停止信号がロウ
レベルになった場合は、そのタイミングと同時に出力端
子OUTをハイレベルに切り換えると共に、その時点か
ら遅延時間tdl(オフ遅延時間)の経過後にモータ4の
励磁をONにする(マグネット33mの通電を停止す
る)。
【0029】従って、ユーザたる作業者は、ボリューム
素子35のつまみ35Tを回転操作することでブレーキ
機構6のオン動作時における遅延時間とそのオフ動作時
における遅延時間とを同時に設定すると共に、2系統に
並列化されているタイマ37A,37Bに同じ遅延時間
tdlを設定することになる。
【0030】以下、タイマ37A,37B周辺の接続構
成は同一であるから、特に区別する必要がない限りは符
号“A,B”を省略する。タイマ37の出力端子OUT
は、NPN型のトランジスタ40のベースに接続されて
いると共に、監視タイマ38の入力端子に接続されてい
る。トランジスタ40のコレクタは、リレー39のマグ
ネット39mを介して駆動用電源に接続されており、エ
ミッタはグランドに接続されている。
【0031】リレー39は、常開型のa接点39a及び
常閉型のb接点39bを有しており、2つのリレー39
A及び39Bのa接点39Aa及び39Bbは、整流回
路36の交流入力側に直列に接続されている。そして、
工作機械が動作している期間は、タイマ37の出力端子
OUTのレベルは“H”となっており、トランジスタ4
0をON状態にしてリレー39のマグネット39mに通
電を行い、a接点39aを閉じることでブレーキ機構6
に駆動用電源を供給し、ブレーキOFFの状態にしてい
る。マグネット39mに対する通電を停止すると、a接
点39aが開いてブレーキ機構6に対する電源供給が断
たれブレーキONの状態となる(図2は、この状態を示
している)。
【0032】また、タイマ37は、リレー39のb接点
39bの開閉状態をモニタしており、出力端子OUTの
レベルがアクティブとなった場合にb接点39bが閉路
しなければ、セット信号出力端子S_OUTをアクティ
ブにするように内部の論理回路が構成されている。セッ
ト信号は、ワンショットのロウレベルパルスとして出力
されるものであり、タイマ37Aが出力するセット信号
は、タイマ37Bのセット信号端子(ロウアクティブ)
に与えられており、タイマ37Bが出力するセット信号
は、タイマ37Aのセット信号端子に与えられている。
【0033】監視タイマ38は、トリガ信号が与えられ
てから、予め定められた所定時間が経過した時点で、タ
イマ37A,37Bの出力端子OUTの信号レベルが初
期の状態に変化しなかった場合には、これらのタイマ3
7A,37Bの機能が異常であると判定されることか
ら、マグネット33mに対する通電を遮断することでモ
ータ4の励磁を停止させ、その回転を停止させるように
構成されている。
【0034】次に、本実施例の作用について図3をも参
照して説明する。以下は、工作機械の動作期間中に作業
者によって非常停止スイッチ34がON操作され、所定
時間の経過後にOFF操作(非常停止解除)が行われる
場合について各部の動作を述べる。図3は、各信号の状
態を示すタイミングチャートである。
【0035】非常停止のシーケンスは、以下のようにな
っている。非常停止スイッチ34がON操作されると、
タイマユニット32はNCユニット31に対して非常停
止出力を発生させる。すると、NCユニット31は、シ
ャットダウンシーケンスを開始してリレー接点50aを
開く。すると、リレー33のマグネット33mの通電が
断たれ、リレー接点33aが開いてモータ4を停止させ
ると共に、タイマユニット32の内部では非常停止信号
がハイレベル“H”になる。
【0036】以下は、タイマユニット32内部の動作を
中心として述べる。非常停止信号がハイレベル“H”に
なると(図3(a),→,停止指令タイミング)、
モータ4の励磁が停止(OFF)される(図3
(g))。そして、タイマ37A,37Bは、その時点
から設定された遅延時間tdlの経過後に出力端子OUT
の信号レベルをハイからロウ“L”にドライブする(図
3(b),(c),)。すると、リレー接点39Aa
及び39Baが共に開いて、ブレーキ機構6はON動作
を開始する(図3(f),)。
【0037】また、この時、例えば断線などによって何
れか一方のタイマ37にトリガ信号が入力されず、時点
で出力端子OUTを“L”にドライブできない状態に
あったとしても、他方のタイマ37の出力端子OUTが
“L”にドライブされれば、それによって一方のタイマ
37にセット信号が出力され、その出力端子OUTは
“L”にセットされる(図3(b),(c),)。
【0038】更に、タイマ37は、対応するリレー39
のb接点39bが閉路しなければ、図3(d)に破線で
示すように、出力端子S_OUTをアクティブにしても
う一方のタイマ37にセット信号を出力する()。即
ち、リレー39のa接点39aが溶着するなどして開路
不能な状態にある場合は、もう一方のa接点39aを確
実に開路させるためである。
【0039】そして、ブレーキ機構6は、停止指令タイ
ミングから遅延時間tdlの経過後においてモータ4の
励磁が実際に停止される以前にON動作を開始し、モー
タ4の励磁が停止された後、完全にON状態となる
()。従って、工作機械の主軸1は、非常停止によっ
てモータ4の励磁が突然停止された場合でも、下方に落
下することが防止される。
【0040】ここで、遅延時間tdlは、上記のタイミン
グ条件に加えて、モータ4が励磁されている状態におい
てブレーキ機構6のON動作が行われる期間tola が5
00ms以内となるように設定する。即ち、モータ4の
回転中にブレーキ機構6がその回転を抑制するように作
用するとモータ4の巻線に過大な電流が流れる。そのよ
うな状態が長く継続するとNCユニット31はオーバー
カレントアラームを発生させるように構成されているの
で、その発生を回避するためである。
【0041】その後時間が経過し、非常停止状態が解除
されることで非常停止スイッチ34がOFF操作される
と、NCユニット31はリレー接点50aをONさせ
る。そして、非常停止信号はロウレベルになり(図3
(a),)、タイマ37A,37Bは、出力端子OU
Tの信号レベルをロウからハイにする(図3(b),
(c))。すると、リレー接点39Aa及び39Baが
共に閉じて、ブレーキ機構6はOFF動作を開始する
(図3(f))。また、モータ4の励磁は、時点から
遅延時間tdlの経過後に開始(ON)される(図3
(g),)。
【0042】そして、ブレーキ機構6は、モータ4の励
磁が開始される以前にOFF動作を開始し、モータ4の
励磁が開始された後、完全にOFF状態となる(10)。こ
の場合も、モータ4が励磁されている状態においてブレ
ーキ機構6のOFF動作が行われる途中の期間tolb が
500ms以内となるように設定する。
【0043】また、監視タイマ38は、上述のようにタ
イマ37A,37Bの信号出力状態をモニタしており、
非常停止状態の期間内において出力端子OUTのレベル
がロウに変化しなかった場合は、時点(11)において出力
信号のレベルをロウにすることでマグネット33mの通
電を停止させ、モータ4の励磁を断ってその回転を停止
させるようにする。即ち、この場合は、タイマ37A,
37Bの機能に異常が発生していると推定することがで
きるので、モータ4の回転を停止させることができない
可能性があるためである。
【0044】以上のように本実施例によれば、工作機械
の主軸1の落下を防止するブレーキ機構6のオン動作タ
イミングを規定する遅延時間と、ブレーキ機構6のオフ
動作時におけるモータ4の励磁開始タイミングを規定す
る遅延時間とを、タイマユニット32において、ボリュ
ーム素子35の抵抗値に応じて1つのタイマ37により
同じ値に設定するようにした。即ち、安全性を考慮する
と、一般にブレーキ機構6をONさせる場合のオン遅延
時間を如何に決定するかがより重要であるから、そのO
N遅延時間の決定に基づいてオフ遅延時間を同一に設定
しても特に問題はない。
【0045】そして、従来とは異なり、オン遅延時間と
オフ遅延時間とを夫々独立に設定する必要がなく、設定
ミスを減少させることができる。また、ブレーキ機構6
のON時の動作とOFF時の動作について遅延時間の付
与状態を別個に確認する必要もない。そして、タイマ3
7を1つだけ配置すれば良いのでブレーキ装置の構成を
簡単にすることができる。
【0046】また、タイマユニット32に、ブレーキ機
構6の電源供給経路を開閉するために2つのリレー接点
39Aa,39Baを直列に配置すると共に2つのタイ
マ37A,37Bを備え、リレー接点39Aa,39B
aの開閉制御信号にタイマ37A,37Bによって遅延
時間tdlを夫々独立に付与するようにした。即ち、ブレ
ーキ機構6のオンオフに関する制御を二重化したので、
2つのリレー接点39Aa,39Baの内何れか一方が
溶着するなどして開路が不能であるとしても、他方のリ
レー接点が開けばブレーキ機構6をONさせることがで
きる。従って、安全性をより向上させることができる。
【0047】そして、タイマユニット32に2段構成の
ボリューム素子35を備えて、2つのタイマ37を、ボ
リューム素子35の各素子35A,35Bにおいて設定
される抵抗値に応じて遅延時間tdlを夫々独立に設定す
るようにした。従って、ボリューム素子35の素子35
A,35Bの内何れかの素子が故障した場合でも、他方
の素子によって、二重化されている他の開閉制御系統に
は所期の遅延時間tdlを設定することができる。
【0048】また、本実施例によれば、タイマユニット
32を、一方のタイマ37の信号出力がブレーキ機構6
をONさせる状態になると、その信号出力により他方の
タイマ37にセット信号を出力して、その信号出力を同
様の状態にセットするようにした。従って、一方のタイ
マ37に対応するリレー接点39aが何らかの原因によ
って開路せず、ブレーキ機構6をONさせる状態になら
なかったとしても、その他のリレー接点39aが健全で
あればそちらによってブレーキ機構6を確実にONさせ
ることができる。
【0049】更に、タイマ37を、リレー接点39bの
開閉状態をモニタすることで信号を出力した際にリレー
接点39bが閉路しない場合は、他方のタイマ37にセ
ット信号を出力してブレーキ機構6をONさせる状態に
セットするようにした。従って、一方のリレー接点39
aが開路しなかった場合でも、他方のリレー接点39a
が健全であればそちらによってブレーキ機構6を確実に
ONさせることが可能となる。
【0050】加えて、監視タイマ38を備えて、タイマ
ユニット32がブレーキ機構6のON制御を開始した時
点から所定時間経過した場合に、タイマ37の信号の出
力が所期の状態に変化しなかった場合には、モータ4の
励磁を停止させてその回転を停止させるようにした。従
って、タイマ37A,37Bの動作に何れも異常をきた
した場合であっても、モータ4の回転を確実に停止させ
ることができる。
【0051】本発明は上記し且つ図面に記載した実施例
にのみ限定されるものではなく、以下のような変形また
は拡張が可能である。NCユニット31の外部に別途プ
ログラマブルコントローラ(PLC)が配置されている
場合は、遅延時間を設定する際に、タイマユニット32
→PLC→NCユニット31の経路における通信に要す
る時間を加味すれば良い。監視タイマ38は、必要に応
じて設ければ良い。b接点39bの開閉状態をモニタす
ることに代えて、例えば、a接点39aの接点間の電圧
変化に基づいてa接点39aの開閉状態を直接モニタし
ても良い。また、これらをモニタすることで、他方のタ
イマ37にセット信号を出力する構成も必要に応じて設
ければ良い。
【0052】また、タイマ37の出力信号によって他方
のタイマ37をセットする構成も、必要に応じて設けれ
ば良い。2つのタイマ37A,37Bに、1素子構成の
ボリューム素子によって同じ遅延時間を設定するように
構成しても良い。また、タイマ37を1個だけ配置して
も良い。可変抵抗素子は、スライド型であっても良い。
ブレーキ機構は、電源を投入するとブレーキONとなる
構成であっても良い。安全性を更に高める必要がある場
合は、リレー接点及び遅延時間付与手段を3つ以上配置
しても良い。
【0053】
【発明の効果】本発明は以上説明した通りであり、以下
の効果を奏する。請求項1記載の工作機械用ブレーキ装
置によれば、オン遅延時間とオフ遅延時間とを1つの遅
延時間付与手段によって常に同じ値に設定するので、従
来とは異なり、オン遅延時間とオフ遅延時間とを夫々独
立に設定する必要がなく設定が容易となり、設定ミスを
減少させることができる。また、ブレーキ機構のオフ時
の動作とオン時の動作について、遅延時間の付与状態を
別個に確認する必要もない。そして、遅延時間付与手段
を1つだけ配置すれば良いので装置の構成を簡単にする
ことができる。
【0054】請求項2記載の工作機械用ブレーキ装置に
よれば、制御手段に、ブレーキ機構の電源供給経路を開
閉するためのリレー接点を複数備えると共に遅延時間付
与手段をも複数備えて、各リレー接点を開閉するために
出力される信号に、複数の遅延時間付与手段によって遅
延時間を夫々独立に付与するようにした。従って、ブレ
ーキ機構のオンオフ制御を多重化して行うことで、複数
のリレー接点の内何れかが溶着するなどして開路が不能
であるとしても、他方のリレー接点が開けばブレーキ機
構をオンさせることが可能となり、安全性をより向上さ
せることができる。
【0055】請求項3記載の工作機械用ブレーキ装置に
よれば、制御手段に多段構成の可変抵抗素子を備えて、
複数の遅延時間付与手段を、多段構成の可変抵抗素子に
おいて設定される抵抗値に応じて遅延時間を夫々独立に
設定するようにした。従って、可変抵抗素子の内何れか
の素子が故障した場合でも、その他の可変抵抗素子素子
によって、他の開閉制御系統には所期の遅延時間を設定
することができる。
【0056】請求項4記載の工作機械用ブレーキ装置に
よれば、制御手段を、何れか1つの遅延時間付与手段の
信号出力がブレーキ機構をオンさせる状態になると、当
該信号出力によってその他の遅延時間付与手段の信号出
力を同様の状態にセットするようにした。従って、何れ
かの遅延時間付与手段に対応するリレー接点の開閉状態
が、何らかの原因によってブレーキ機構をオンさせる状
態にならなかったとしても、その他のリレー接点が健全
であればそちらによってブレーキ機構を確実にオンさせ
ることが可能となる。
【0057】請求項5記載の工作機械用ブレーキ装置に
よれば、遅延時間付与手段を、リレー接点の開閉状態を
モニタすることで、信号を出力した際にリレー接点がブ
レーキ機構をオンさせる状態にならないと判断すると、
その他の遅延時間付与手段の信号出力を、ブレーキ機構
をオンさせる状態にセットするようにした。従って、実
際に、リレー接点がブレーキ機構をオンさせる状態にな
らなかった場合でも、その他のリレー接点が健全であれ
ばそちらによってブレーキ機構を確実にオンさせること
ができる。
【0058】請求項6記載の工作機械用ブレーキ装置に
よれば、制御監視手段を備えて、制御手段が、ブレーキ
機構のオン制御を開始した時点から所定時間が経過した
時点で、遅延時間付与手段における信号の出力が所期の
状態に変化しなかった場合に、モータの励磁を停止させ
るようにしたので、遅延時間付与手段の動作が明らかに
異常であると判定できる場合にモータの回転を確実に停
止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であり、工作機械用ブレーキ
装置の構成を示す図
【図2】タイマユニットの内部構成を示す図
【図3】各信号の状態を示すタイミングチャート
【図4】従来の工作機械及びそのブレーキ装置の一構成
例を示す図
【図5】サーボモータ及びブレーキ機構の動作状態を示
すタイミングチャート
【符号の説明】
1は主軸、4は重力軸用サーボモータ、6はブレーキ機
構、32はタイマユニット(制御手段)、35はボリュ
ーム素子(可変抵抗素子)、37A及び37Bはタイマ
(遅延時間付与手段)、38は監視タイマ(制御監視手
段)、39Aa接点39Baはリレー接点を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 智彦 愛知県小牧市大字三ッ渕字阿波戸1723番地 の1日本制禦機器株式会社名古屋事業所内 (72)発明者 中安 正典 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動車 株式会社内 (72)発明者 藪押 友香 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動車 株式会社内 Fターム(参考) 5H269 AB01 PP03 QC02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工作機械の主軸を重力軸方向に駆動させ
    るモータに対する励磁が停止している期間において、前
    記主軸が落下することを防止するために作用するブレー
    キ機構と、 外部より与えられる前記モータの停止信号に応じて前記
    ブレーキ機構のオンオフを制御する制御手段とを備え、 前記制御手段は、前記停止信号によって与えられる前記
    モータの停止指令タイミングから前記ブレーキ機構のオ
    ンを開始させるまでのオン遅延時間と、前記停止信号に
    よって与えられる前記ブレーキ機構のオフタイミングか
    ら前記モータの起動指令を出力するまでのオフ遅延時間
    とを、1つの遅延時間付与手段によって同時に設定付与
    するように構成されていることを特徴とする工作機械用
    ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記ブレーキ機構の電
    源供給経路を開閉するためのリレー接点を複数備えると
    共に、前記遅延時間付与手段をも複数有し、前記複数の
    リレー接点を開閉するために出力される信号に、前記複
    数の遅延時間付与手段によって遅延時間を夫々独立に付
    与するように構成されていることを特徴とする請求項1
    記載の工作機械用ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、多段構成の可変抵抗素
    子を備え、 前記複数の遅延時間付与手段は、前記多段構成の可変抵
    抗素子において設定される抵抗値に応じて、遅延時間が
    夫々独立に設定されるように構成されていることを特徴
    とする請求項2記載の工作機械用ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、何れか1つの遅延時間
    付与手段の信号出力が前記ブレーキ機構をオンさせる状
    態になると、当該信号出力によってその他の遅延時間付
    与手段の信号出力を同様の状態にセットするように構成
    されていることを特徴とする請求項3記載の工作機械用
    ブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 前記遅延時間付与手段は、前記リレー接
    点の開閉状態をモニタしており、信号を出力した際に前
    記リレー接点が前記ブレーキ機構をオンさせる状態にな
    らないと判断すると、その他の遅延時間付与手段の信号
    出力を前記ブレーキ機構をオンさせる状態にセットする
    ように構成されていることを特徴とする請求項3または
    4記載の工作機械用ブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段が前記ブレーキ機構のオン
    制御を開始した時点から所定時間が経過した時点で、前
    記遅延時間付与手段における信号の出力が所期の状態に
    変化しなかった場合に、前記モータの励磁を停止させる
    ように構成される制御監視手段を備えたことを特徴とす
    る請求項1乃至5の何れかに記載の工作機械用ブレーキ
    装置。
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