JP2003175092A - ポリヒドロキシアルカノエートを含有する粒状体及びその製造方法ならびにその用途 - Google Patents

ポリヒドロキシアルカノエートを含有する粒状体及びその製造方法ならびにその用途

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JP2003175092A
JP2003175092A JP2002196578A JP2002196578A JP2003175092A JP 2003175092 A JP2003175092 A JP 2003175092A JP 2002196578 A JP2002196578 A JP 2002196578A JP 2002196578 A JP2002196578 A JP 2002196578A JP 2003175092 A JP2003175092 A JP 2003175092A
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phase
polyhydroxyalkanoate
pha
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chemical
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Tetsuya Yano
哲哉 矢野
Tsutomu Honma
務 本間
Shinya Furusaki
眞也 古崎
Takeshi Nomoto
毅 野本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬物を含有させたマイクロカプセルなどの粒
状体であって、実質上支障となるような初期放出を示さ
ず、更に一定期間実用上許容されるゼロ次放出を示す徐
放性製剤およびその製造方法、さらには、薬物を安定性
よくカプセルなどの粒状体中に内包した高薬物含量の徐
放性製剤およびその製造方法を提供すること。また、高
機能な高分子化合物を利用した、油相あるいは水相の1
以上を固相中に含むマイクロカプセルなどの粒状体なら
びにその製造方法を提供すること。さらには、微粒子中
に多くの気泡を含ませることが可能な、外被として、ポ
リマーの一枚膜をもつマイクロカプセル状の中空構造を
もつ粒状体および該中空粒状体を選択的に高い再現性で
作製できる製造方法を提供すること。 【解決手段】 特定構造のポリヒドロキシアルカノエー
トを用いてカプセルなどの粒状体を形成、そこに目的の
用途に用いる薬物、油相あるいは水相の1以上あるいは
気相(中空部)を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3−ヒドロキシア
ルカン酸をモノマーユニットとして少なくとも含有する
ポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと略記す
ることもある)を含有してなる固相が、固相、液相及び
気相の少なくとも1つの相を内包してなることを特徴と
するマイクロカプセルなどの粒状体、さらには該PHA
が該内包される固相、液相及び気相の少なくとも1つの
相を被覆してなることを特徴とするマイクロカプセルな
どの粒状体に関するものである。
【0002】また、本発明は、水相ならびに少なくとも
PHAを含む油相からなるW/O型エマルション、ある
いは該W/O型エマルションをさらに水相に乳化したW
/O/W型エマルションから、固相、液相及び気相の少
なくとも1つの相をPHAで含有せしむ、さらには被覆
することを特徴とする、マイクロカプセルなどの粒状体
の製造方法に関するものであり、例えば液中乾燥法、相
分離法、噴霧乾燥法またはこれらに準ずる方法を利用し
たマイクロカプセルなどの粒状体の製造方法に関する。
【0003】また、本発明は、少なくともPHAを含む
油相ならびに水相からなるO/W型エマルションから、
PHAでカプセル化を行う、さらにはカプセル化が被覆
であることを特徴とする、製造方法に関するものであ
り、例えば液中乾燥法、相分離法、噴霧乾燥法またはこ
れらに準ずる方法を利用した粒状体の製造方法に関す
る。
【0004】さらに本発明は、水相ならびに油相からな
るW/O型エマルション、あるいは該W/O型エマルシ
ョンをさらに水相に乳化したW/O/W型エマルション
において、水相中に含まれるPHA合成酵素および3−
ヒドロキシアシル補酵素Aを利用してPHAを合成する
ことにより固相、液相及び気相の少なくとも1つの相を
PHAで含有せしむ、さらには被覆することを特徴とす
る、マイクロカプセルなどの粒状体の製造方法に関する
ものである。
【0005】さらに本発明は、油相ならびに少なくとも
PHA合成酵素および3−ヒドロキシアシル補酵素Aを
含む水相からなるO/W型エマルションから、該水相に
おいてPHA合成酵素により3−ヒドロキシアシル補酵
素Aを重合させてPHAを合成させることにより、PH
Aでカプセル化を行う、さらにはカプセル化が被覆であ
ることを特徴とする、粒状体の製造方法に関するもので
ある。
【0006】さらに本発明は、医薬品、農薬等における
薬物を含有する徐放型マイクロカプセルなどの粒状体お
よび当該マイクロカプセルなどの粒状体の製造方法に関
するものである。
【0007】また本発明は、顔料、染料、ヘモグロビ
ン、化粧料成分あるいは肥料成分を含んでなる粒状体お
よびその製造方法に関する。また、これらの粒状体を含
んでなる、インク組成物、血球組成物、化粧料組成物あ
るいは肥料組成物およびその製造方法に関する。
【0008】さらに本発明は、気相を内包してなる中空
マイクロカプセルなどの中空粒状体、その製造方法、な
らびに、かかる中空粒状体を超音波反射体として利用す
る超音波造影剤に関する。
【0009】加えて、本発明は、これらの中空マイクロ
カプセルなどの中空粒状体を利用して、経口または非経
口的に生体内に投与され、超音波診断のために使用され
る超音波造影剤への応用、およびその製造方法にも関す
る。
【0010】
【従来の技術】マイクロカプセルは、医薬品、農薬、食
品、接着剤、液晶などの多岐にわたる分野で検討されて
いる。例えば、医薬品においては、今まで薬効持続時間
が短かった薬物を長時間にわたり効果を発揮できるよう
に改良し得る徐放性製剤としての応用検討がなされてき
ており、薬理効果の持続はもとより薬物使用量の減少、
副作用の軽減、ノンコンプライアンスの改善などの効果
が期待されている。さらに近年では徐放性製剤組成物と
して特に一定の率で薬物を放出することができ、薬物放
出速度が実質的にゼロ次である放出制御製剤組成物が種
々提案されている。このような放出制御製剤としては例
えば、経口製剤、注射剤、皮膚貼付剤などが開発されつ
つある。
【0011】また、医学、薬学の分野のみならず、例え
ば、化粧品分野においても安定性に問題のある有効成分
を患部に選択的に移行させ、徐放性を持たせる材料とし
て期待されている。さらには、農業分野においては、徐
放性機能を有する農薬や肥料が、また、記録材料分野に
おいては各種カプセルインクの応用などが検討されてい
る。
【0012】例えば薬学の分野においては、ポリヒドロ
キシアルカノエートを用い、薬剤内封カプセルとして形
成した例として、USP614665には、ポリヒドロキシアル
カノエートからなる多孔性グラニュールに親水性薬剤を
捕捉(Entrapped)した微粒子、およびコア材として親油
性薬剤を溶解した油滴をポリヒドロキシアルカノエート
からなるシェルに封入(Encapsulated)した、薬剤組成物
の製造方法が開示されている。
【0013】これらのなかでも経口製剤は広範囲に研究
・開発が進められ、多くの製剤が上市されてきたが、こ
と注射剤に関しては一部インシュリンのデポ製剤などが
医療の場で使用されているに過ぎない。この理由とし
て、徐放性を持たせるための高分子化合物の開発がなさ
れなかったことが挙げられる。経口製剤の場合に用いら
れる高分子化合物は必ずしも生体内で分解される必要は
ないが、注射剤では生体内で毒性を発現することなく分
解代謝排泄されることが実用上絶対必須条件となり、更
にその投与部位での局所障害を引き起こさないことなど
厳しい条件が要求される。
【0014】このような状況下で、近年多くの高分子化
合物が検討され、それらのなかでも手術の縫合に用いら
れているポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ヒド
ロキシ酪酸−グリコール酸共重合体等が安全かつ有用な
高分子化合物として期待されている(特公平1−570
87号公報、WO94/10982公報、特開平8−1
51322号公報、特開平8−217691号公報)。
実際に徐放性製剤を調製する目的でこれらの高分子化合
物を用いたマイクロカプセル化の技術が多く報告されて
いる。また、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸(以下、PHB
と略記することもある)についても、活性成分放出の制
御された調節性ペプチドのマイクロカプセルや、ラステ
ッドを含有するマイクロカプセルが報告されている(特
開昭61−431119号公報、Drug Delivery Syste
m、7(5)、367-371、1992、同8(2)、131-136、1993)。ま
た、3−ヒドロキシ酪酸/4−ヒドロキシ酪酸共重合体
についても、生理活性物質の放出率をモノマーユニット
比により制御する徐放性製剤が開示されている(特開平
11−199514号公報)。
【0015】これらの技術の多くは易水溶性薬物を包含
するものであり、例えば、特開昭60-100516号および特
開昭62-201816号には、水中乾燥法により、高いトラッ
プ率で、分散性の良い水溶性薬物の徐放性マイクロカプ
セルを製造する方法が開示されている。また、特開平1
−158529号公報、特開平2−124814号公報
にはポリ乳酸−グリコール酸共重合体に水溶性薬物を含
有させる方法が開示され、また特開平3−32302号
公報には生理活性ポリペプチドを、特開平2−3307
41号公報にはEGFを含有させた徐放性製剤が、さら
には、特開平4-321622号において、乳酸/グリコール酸
の組成比が80/20〜100/0で重量平均分子量7、000〜30、
000のコポリマーないしホモポリマーを含有し、2カ月
以上にわたってポリペプチドをゼロ次放出する長期徐放
型マイクロカプセルが開示されている。
【0016】このように、従来のマイクロカプセルの製
法を、大きく分けると、界面重合法、in−situ重
合法等の化学的な方法、相分離法(コアセルベーション
法)、界面沈殿法、液中乾燥法、オリフィス法等の物理
化学的方法、噴霧乾燥法、乾式混合法等の機械的な方法
の3つに分類され、これらの中でも、水溶性薬物をマイ
クロカプセル化する方法としては、界面重合法、in−
situ重合法、液中乾燥法、オリフィス法、相分離法
(コアセルベーション法)等を採用することが提案され
ている。
【0017】各種の生理活性ポリペプチドや低分子水溶
性薬物の徐放性マイクロカプセルについては多くの報告
があるが[クリティカル リビュー イン セラピューテ
ィック ドラッグ キャリアー システム(Critical Revie
ws in Therapeutic Drug Carrier Systems)、 12巻、 1
-9頁(1995); 特表平2-503315号公報; EPA 0586238;ジャ
ーナル オブ ファーマシューティカル サイエンス(J.Ph
arm.Sci.)、 75巻、750-755頁(1986); 特開昭57-118512
号公報]、それらの多くが、(1)製造工程において薬物
の外水相への漏出が大きく薬物の封入率が低い、(2)得
られるカプセルは一般的に多孔質で初期放出が大きい、
また、(3)製造工程により生理活性物質が変性し、十分
な生物学的利用率が得られない、と云う点から、その用
途によっては満足すべき長期の徐放性を達成できない場
合があるのが現状である。
【0018】マイクロカプセルの徐放性の改善につい
て、特開昭61-63613号には、ポリ乳酸を基剤とするマイ
クロカプセルにおける投与一定時間経過後の活性成分の
放出速度低下を防止する目的で、活性成分を分散させる
ポリ乳酸の有機溶媒溶液中に、該溶媒に溶解しかつ生体
内で消化される脂溶性の添加物(中鎖脂肪酸トリグリセ
リド、低級脂肪酸トリグリセリド等)を均一に溶解する
ことが記載されている。しかしながら、他の基剤への応
用や活性成分の水溶液を用いるマイクロカプセルの調製
についての示唆はない。特開平8-151321号公報には、無
晶型水溶性生理活性物質と高分子重合物とを含み、S/
O/W型乳化物から製造されるマイクロカプセルが開示
されているが、薬物の水溶液を内水相として用いるマイ
クロカプセルの製造法や水溶性生理活性ペプチドの金属
複合体を用いる方法については一切記載されていない。
また、EP 0765660号公報には、無晶型2−ピ
ペラジノン−1−酢酸誘導体を含有するマイクロカプセ
ルが記載されており、その製造において、S/O/W型
乳化物が用いられている。しかし薬物水溶液を内水相と
して用いるマイクロカプセルの製造法や水溶性生理活性
ペプチドの金属複合体を用いる方法についての記載はな
い。一般に、水溶性生理活性物質のマイクロカプセルの
製造においては、薬物含量の均質性や操作性の点で、薬
物を固体状で用いる例えば、S/O型よりもW/O型の
方が優れており、工業規模での大量生産においては、W
/O型で用いることが望まれている。
【0019】このように、徐放性製剤を用いる薬剤の放
出制御においてしばしば指摘される問題点は、徐放性製
剤を体内に投与後、薬剤の放出初期段階に、多量の薬剤
化合物が一度に放出されてしまう現象(初期バースト現
象)の存在である。徐放性製剤において初期バーストが
起きると、場合によっては体内血中の薬剤化合物濃度が
許容上限を越えてしまい、患者を危険にさらすことにな
る。薬剤化合物の種類と生体内分解性ポリマーの構造を
選択すること等によってある程度の初期バーストを回避
する方法が発見されているが、初期バースト現象を防止
する根本的な解決方法は未だ見いだされていない。ま
た、一方、薬剤化合物を長期にわたって徐放させるた
め、あるいは高価な薬剤をできるだけ経済的有利に少量
の製剤中に含有させるために、マイクロカプセル中に薬
剤化合物をできるだけ高濃度に含有させたいという要求
がある。
【0020】しかしながら、従来から知られているマイ
クロカプセルの調製方法では、薬剤化合物のマイクロカ
プセル中に取り込まれる割合(取り込み率)が低くなり
がちであった。特に、水溶性薬物を薬物として利用する
場合、薬物が膜外に散逸しやすく薬物の封入率が低い点
が大きな課題であった。また、取り込み率が高くなる方
法で調製したマイクロカプセルは、その薬剤放出におい
て初期バースト現象が起こり易いという欠点があった。
【0021】また、超音波診断または検査分野において
も、超音波反射体として、ポリマーの微小球であるマイ
クロバルーンを生体内に投与することが提案されてきて
いる。従来から、液体中に分散された微細な気泡、すな
わちマイクロバブルは、超音波診断または検査のために
非常に効果的な超音波リフレクターであることが知られ
ている。しかしながら、マイクロバブルは、短時間に、
安定剤を添加した状態でもせいぜい数分間で消失してし
まう。そのため、マイクロバブルの調製後直ちに生体内
に投与する必要があり、実際の医療現場での使用は困難
であった。また、生体内に投与後、血管を通しての透過
を容易にするためには、その気泡サイズが約1〜10μm
の範囲にあることが必要である。マイクロバブルでは、
生成される気泡の多くは40〜50μm程度であり、その点
でも、生体内に投与して、超音波診断に利用する上で
は、必ずしも好適なものではなかった。
【0022】これらマイクロバブルの有する課題を解消
するために、上に記したようにポリマーの微小球である
マイクロバルーンを生体内に投与することが提案されて
きている(例えば、特開平3-503684号公報)。ただし、
従来の方法によって得られるマイクロバルーンは、より
高い造影効果(コントラスト効果)が得るためには、大
量に投与する必要があり、特に、心筋を造影する場合、
要望される高い造影効果(コントラスト効果)を十分に
満足する、有効な造影剤がない点が課題であった。その
要因として、微粒子内部での中空構造がなく、多くの気
泡を含んだ均一な微粒子が得にくいことが挙げられる。
加えて、かかるマイクロバルーンの大量投与は、場合に
よっては、生体に過度の負担をかけ、安全性の点から
も、なお改善すべき課題を有していた。
【0023】ところで、近年、生物工学的手法によって
高分子化合物を製造する研究が活発に行われてきてお
り、また、一部で実用化されている。例えば、微生物由
来の高分子化合物として、PHBや3-ヒドロキシ-n-酪
酸と3-ヒドロキシ-n-吉草酸との共重合体(以下、PH
B/Vと略記することもある)等のPHA、バクテリアセ
ルロースやプルラン等の多糖類、ポリ-γ-グルタミン酸
やポリリジン等のポリアミノ酸などが知られている。特
にPHAは、従来のプラスチックと同様に、溶融加工等
により各種製品に利用することができるうえ、生体適合
性にも優れており、医療用軟質部材等としての応用も期
待されている。
【0024】これまで、多くの微生物がPHAを生産し
菌体内に蓄積することが報告されてきた。例えば、アル
カリゲネス・ユウトロファス・H16 株(Alcaligenes e
utropus H16、ATCC No.17699)、メチロバクテリ
ウム属(Methylobacterium sp.)、パラコッカス属(Pa
racoccus sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligenes s
p.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)の微生物に
よるPHB/Vの生産が報告されている(特開平5-74492
号公報、特公平6-15604 号公報、特公平7-14352号公
報、特公平8-19227 号公報など)。
【0025】また、コマモナス・アシドボランス・IF
O 13852 株(Comamonas acidovorans IFO 13852)
が、3-ヒドロキシ-n-酪酸と4-ヒドロキシ-n-酪酸とを
モノマーユニットに持つPHAを生産することが開示さ
れている(特開平9-191893 号公報)。さらに、アエロモ
ナス・キャビエ(Aeromonas caviae)により、3-ヒド
ロキシ-n-酪酸と3-ヒドロキシヘキサン酸との共重合体
を生産することが開示されている(特開平5-93049 号公
報、特開平7-265065 号公報)。
【0026】これらPHBやPHB/Vの生合成は、種
々の炭素源から、生体内の様々な代謝経路を経て生成さ
れた(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAまたは(R)-3-
ヒドロキシバレリルCoAを基質とした、酵素による重
合反応によって行われる。この重合反応を触媒する酵素
がPHB合成酵素(PHBポリメラーゼ、PHBシンタ
ーゼともいう)である。なお、CoAとは補酵素A(coen
zyme A)の略称であり、その化学構造は下記化学式の
通りである。
【0027】
【化43】
【0028】また、近年、炭素数が3から12程度までの
中鎖長(medium-chain-length)の3-ヒドロキシアルカ
ン酸ユニットからなるポリヒドロキシアルカノエート
(以下、mcl-PHAと略す場合がある)についての研究
が精力的に行われている。例えば、特許公報第 2642937
号では、シュードモナス・オレオボランス・ATCC
29347 株(Pseudomonas oleovorans ATCC 29347)
に非環状脂肪族炭化水素を与えることにより、炭素数が
6から 12 までの3-ヒドロキシアルカン酸のモノマー
ユニットを有するPHAが生産されることが開示されて
いる。また、Appl.Environ.Microbiol.、58、746(19
92)には、シュードモナス・レジノボランス(Pseudomo
nas resinovorans)が、オクタン酸を単一炭素源とし
て、3-ヒドロキシ-n-酪酸、3-ヒドロキシヘキサン
酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸
をモノマーユニットとするPHAを生産し、また、ヘキ
サン酸を単一炭素源として、3-ヒドロキシ-n-酪酸、3
-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3
-ヒドロキシデカン酸をユニットとするPHAを生産す
ることが報告されている。ここで、原料の脂肪酸よりも
鎖長の長い3-ヒドロキシアルカン酸モノマーユニット
の導入は、後述の脂肪酸合成経路を経由していると考え
られる。
【0029】Int.J.Biol.Macromol.、16(3)、119(1
994)には、シュードモナスsp.61-3株(Pseudomonas s
p.strain 61-3)が、グルコン酸ナトリウムを単一炭素
源として、3-ヒドロキシ-n-酪酸、3-ヒドロキシヘキ
サン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカ
ン酸、3-ヒドロキシドデカン酸といった3-ヒドロキシ
アルカン酸、および、3-ヒドロキシ-5-cis-デセン
酸、3-ヒドロキシ-5-cis-ドデセン酸といった3-ヒド
ロキシアルケン酸をユニットとするPHAを生産するこ
とが報告されている。
【0030】上記のPHAは側鎖にアルキル基を有する
モノマーユニットからなるPHA(以下、usual-PHA
と略す場合がある)である。しかし、より広範囲な応
用、例えば機能性ポリマーとしての応用を考慮した場
合、アルキル基以外の置換基(例えば、フェニル基、不
飽和炭化水素、エステル基、アリル基、シアノ基、ハロ
ゲン化炭化水素、エポキシドなどなど)を側鎖に導入し
たPHA(以下、unusual-PHAと略す場合がある)が極
めて有用である。
【0031】フェニル基を有するunusual-PHAの生合
成の例としては、例えば、Macromolecules、24、5256
-5260(1991)、Macromol.Chem.、191、1957-1965(19
90)、Chirality、3、492-494(1991)などで、シュード
モナス・オレオボランスが、5-フェニル吉草酸から、
3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸ユニットを含むPH
Aを生産すると報告されている。また、Macromolecul
es、29、1762-1766(1996)で、シュードモナス・オレオ
ボランスが、5-(4-トリル)吉草酸(5-(4-メチルフェ
ニル)吉草酸)から、3-ヒドロキシ-5-(4-トリル)吉草
酸ユニットを含むPHAを生産すると報告されている。
さらに、Macromolecules、32、2889-2895(1999)に
は、シュードモナス・オレオボランスが、5-(2、4-
ジニトロフェニル)吉草酸から、3-ヒドロキシ-5-
(2、4-ジニトロフェニル)吉草酸ユニットおよび3-ヒ
ドロキシ-5-(4-ニトロフェニル)吉草酸ユニットを含
むPHAを生産すると報告されている。
【0032】また、フェノキシ基を有するunusual-PH
Aの例としては、Macromol.Chem.Phys.、195、166
5-1672(1994)で、シュードモナス・オレオボランスが、
11-フェノキシウンデカン酸から3-ヒドロキシ-5-フェ
ノキシ吉草酸ユニットおよび3-ヒドロキシ-9-フェノ
キシノナン酸ユニットを含むPHAを生産すると報告さ
れている。また、Macromolecules、29、3432-3435(19
96)には、シュードモナス・オレオボランスが、6-フェ
ノキシヘキサン酸から3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪
酸ユニットおよび3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサ
ン酸ユニットを含むPHAを、8-フェノキシオクタン
酸から3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸ユニット、3-
ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸ユニットおよび3
-ヒドロキシ-8-フェノキシオクタン酸ユニットを含む
PHAを、11-フェノキシウンデカン酸から3-ヒドロキ
シ-5-フェノキシ吉草酸ユニットおよび3-ヒドロキシ-
7-フェノキシヘプタン酸ユニットを含むPHAを生産
することが報告されている。
【0033】さらに、Can.J.Microbiol.、41、32-43
(1995)では、シュードモナス・オレオボランス・ATC
C 29347 株及びシュードモナス・プチダ・KT 2442
株(Pseudomonas putida KT 2442)が、p-シアノフェ
ノキシヘキサン酸または p-ニトロフェノキシヘキサン
酸から、3-ヒドロキシ-p-シアノフェノキシヘキサン酸
ユニットまたは3-ヒドロキシ-p-ニトロフェノキシヘキ
サン酸ユニットを含むPHAを生産すると報告してい
る。特許第 2989175 号公報には、3-ヒドロキシ-5-
(モノフルオロフェノキシ)吉草酸ユニットあるいは3-
ヒドロキシ-5-(ジフルオロフェノキシ)吉草酸ユニット
からなるホモポリマー、少なくとも3-ヒドロキシ-5-
(モノフルオロフェノキシ)ペンタノエートユニットある
いは3-ヒドロキシ-5-(ジフルオロフェノキシ)ペンタ
ノエートユニットを含有するコポリマーとその製造方法
が記載されており、その効果として、融点が高く良好な
加工性を保ちつつ、立体規則性、撥水性を付与すること
ができるとしている。
【0034】また、シクロヘキシル基を有するunusual-
PHAの例としては、Macromolecules、30、1611-161
5(1997)に、シュードモナス・オレオボランスが、シク
ロヘキシル酪酸またはシクロヘキシル吉草酸から該PH
Aを生産するとの報告がある。
【0035】また、置換基を側鎖に導入したPHAのう
ち、スルフィド型(−S−)の硫黄原子を側鎖に有する
PHAの開発としては、Macromolecule
s.、32、8315−8318(1999)には、シ
ュードモナス・プチダ(Pseudomonas pu
tida)27N01株を用いて、オクタン酸と11−
(フェニルスルファニル)ウンデカン酸を基質として、
3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸
と3−ヒドロキシ−7−(フェニルスルファニル)へプ
タン酸をモノマーユニットとして含むPHAを生産する
ことが報告されている。ただし、その際、シュードモナ
ス・プチダ27N01株は、予め、増殖基質としてオク
タン酸のみを含む培地で前培養し、その培養液を基質と
して11−(フェニルスルファニル)ウンデカン酸のみ
を含む培地にイノキュレートする方法が用いられてい
る。
【0036】更に、PolymerPreprint
s、JapanVol49、No.5、1034(200
0)では、シュードモナス・プチダ(Pseudomo
nasputida)27N01株を用いて、11−
[(フェニルメチル)スルファニル]ウンデカン酸を基
質として3−ヒドロキシ−5−ベンジルチオ吉草酸及び
3−ヒドロキシ−7−[(フェニルメチル)スルファニ
ル]へプタン酸の2つのモノマーユニットからなるPH
Aを生産することが報告されている。但し、この場合、
シュードモナス・プチダ27N01株は、増殖基質とし
てオクタン酸のみを含む培地で前培養し、その培養液を
基質として11−[(フェニルメチル)スルファニル]
ウンデカン酸のみを含む培地にイノキュレートする方法
が用いられている。
【0037】これらmcl-PHAやunusual-PHAの生
合成は、原料となる各種アルカン酸から、生体内の様々
な代謝経路(例えば、β酸化系や脂肪酸合成経路)を経て
生成された(R)-3-ヒドロキシアシルCoAを基質とし
た、酵素による重合反応によって行われる。この重合反
応を触媒する酵素がPHA合成酵素(PHAポリメラー
ゼ、PHAシンターゼともいう)である。ここで、前述
のPHB合成酵素はPHA合成酵素において基質となる
モノマーが限定されているものであり、PHB合成酵素
は、PHA合成酵素の範疇に含まれるものである。
【0038】以下に、β酸化系およびPHA合成酵素に
よる重合反応を経て、アルカン酸がPHAとなるまでの
反応を示す。
【0039】
【化44】
【0040】一方、脂肪酸合成経路を経る場合は、該経
路中に生じた(R)-3-ヒドロキシアシル-ACP(ACP
とはアシルキャリアプロテインのことである)から変換
された(R)-3-ヒドロキシアシルCoAを基質として、
同様にPHA合成酵素によりPHAが合成されると考え
られる。
【0041】また、近年、上記のPHB合成酵素やPH
A合成酵素を菌体外に取り出して、無細胞系(in vitro)
でPHAを合成しようとする試みが始まっている。例え
ば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92、6279-6283(1
995)では、アルカリゲネス・ユウトロファス(Alcalige
nes eutrophus)由来のPHB合成酵素に3-ヒドロキシ
ブチリルCoAを作用させることにより、3-ヒドロキ
シ-n-酪酸ユニットからなるPHBを合成することに成
功している。また、Int.J.Biol.Macromol.、25、55-
60(1999)では、アルカリゲネス・ユウトロファス由来の
PHB合成酵素に、3-ヒドロキシブチリルCoAや3-
ヒドロキシバレリルCoAを作用させることにより、3
-ヒドロキシ-n-酪酸ユニットや3-ヒドロキシ-n-吉草酸
ユニットからなるPHAの合成に成功している。さらに
この報告では、ラセミ体の3-ヒドロキシブチリルCo
Aを作用させたところ、酵素の立体選択性によって、R
体の3-ヒドロキシ-n-酪酸ユニットのみからなるPHB
が合成されたとしている。Macromol.Rapid Commu
n.、21、77-84(2000)においても、アルカリゲネス・ユ
ウトロファス由来のPHB合成酵素を用いた細胞外での
PHB合成が報告されている。
【0042】また、FEMS Microbiol.Lett.、16
8、319-324(1998)では、クロマチウム・ビノサム(Chro
matium vinosum)由来のPHB合成酵素に3-ヒドロ
キシブチリルCoAを作用させることにより、3-ヒド
ロキシ-n-酪酸ユニットからなるPHBを合成すること
に成功している。
【0043】Appl.Microbiol.Biotechnol.、54、37-
43(2000)では、シュードモナス・アエルギノーサ(Pseu
domonas aeruginosa)のPHA合成酵素に3-ヒドロキ
シデカノイルCoAを作用させることにより、3-ヒド
ロキシデカン酸ユニットからなるPHAを合成してい
る。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、生物工
学的手法を高分子化合物の合成に適用することによっ
て、従来の有機合成的手法では実現が困難であった新た
な高分子化合物の合成や、新たな機能・構造の付与が可
能になると期待されている。また、従来の有機合成化学
的手法では多段階に渡る反応を要していた製造工程を、
1段階の工程のみで実現できる場合も多くあり、製造プ
ロセスの簡略化やコストダウン、所要時間の短縮等の効
果も期待されている。さらに、有機溶剤や酸・アルカ
リ、界面活性剤等の使用削減、温和な反応条件の設定、
非石油系原料や低純度原料(*注釈)のからの合成等が
可能となり、より環境低負荷かつ資源循環型の合成プロ
セスの実現が可能となる。(*注釈:生物工学的合成プ
ロセスでは一般に、触媒である酵素の基質特異性が高い
ため、低純度の原料を用いても所望の反応を選択的に進
めることが可能である。よって、廃棄物やリサイクル原
料などの使用も期待できる。)
【0045】一方、発明者らは高分子化合物に大きな付
加価値を与えるための要素技術として、高分子化合物で
薬物を被覆したマイクロカプセルに着目してきた。この
ように高分子化合物で特定の薬物を被覆することによっ
て、極めて有用な機能性、特には徐放性を有するマイク
ロカプセルを得ることができる。前記の如きマイクロカ
プセルを作出する試みは従来、有機合成的手法によって
多くなされてきた。仮に、かかるマイクロカプセルを前
述のような生物工学的手法により製造することができれ
ば、新たな高分子化合物の利用や、新たな機能・構造の
付与が可能になると期待できるうえ、より環境低負荷か
つ資源循環型の製造プロセスを低コストで実現できるも
のと考えられる。例えば、生物の触媒作用に特有の極め
て厳密な分子認識能や立体選択性を利用して、新たな機
能性高分子化合物や、極めてキラリティーの高い高分子
化合物により被覆されたマイクロカプセルを、極めて簡
便かつ環境低負荷なプロセスで製造することが可能にな
る。
【0046】従って、本発明の目的は、前述した高機能
な高分子化合物を利用したマイクロカプセルなどの粒状
体ならびにその製造方法、さらには生物工学的手法によ
るマイクロカプセルなどの粒状体の製造方法を提供する
ものである。また、前述したように、生分解性高分子で
あるポリ乳酸あるいは乳酸−グリコール酸共重合体マイ
クロカプセル等に水溶性薬物を含有せしめることには薬
物放出特性の点で多くの問題が残されているのが現状で
ある。また、水溶性薬物については薬物が散逸しやす
く、従って、薬物が有効に粒状体内に保持されなかった
り、マイクロカプセル化されない点も大きな課題であ
る。
【0047】本発明は前記従来技術の問題点を解決する
ために創案されたものであり、その目的とするところ
は、薬物、特には水溶性薬物を含有させたマイクロカプ
セルなどの粒状体、あるいは実質的に水に溶解しない薬
物、(この中には、一般的に難水溶性薬物と言われる薬
物を包含する)を含有させたマイクロカプセルであって
も、実質上支障となるような初期放出を示さず、更に一
定期間実用上許容されるゼロ次放出を示す徐放性製剤お
よびその製造方法を提供することにある。また、薬物、
特には水溶性薬物を安定性よくカプセルなどの粒状体中
に内包した高薬物含量の徐放性製剤およびその製造方法
を提供することにある。
【0048】例えば、USP614665に開示されたポリヒド
ロキシアルカノエートからなる多孔性グラニュールに親
水性薬剤を捕捉した微粒子は、毒性がなく、生分解性を
有し、in situで薬剤を捕捉出来るものの、多孔性の構
造であることから拡散により速やかに親水性薬剤が放出
されてしまい、徐放性を制御することは困難であった。
【0049】すなわち本発明が解決しようとする1つの
課題は、ポリヒドロキシアルカノエートの構造を最適化
することにより、薬剤保持能力・徐放性の最適化を図
り、親水性薬剤その他水溶性物質や親油性薬剤その他疎
水性物質に対しても保持性に優れ、徐放性を制御するこ
とが可能な薬剤保持粒子を提供することでもある。
【0050】さらに本発明は、上記粒状体に、顔料、染
料、農薬成分、ヘモグロビン、化粧料成分あるいは肥料
成分を含んでなる粒状体およびその製造方法を提供する
ものである。また、これらの粒状体を含んでなる、イン
ク組成物、農薬組成物、血球組成物、化粧料組成物ある
いは肥料組成物およびその製造方法を提供するものであ
る。
【0051】また、前述したように、従来の方法によっ
て得られるマイクロバルーンでは、微粒子内部での中空
構造がなく、多くの気泡を含んだ均一な微粒子が得にく
いために、超音波診断や検査において、高い造影効果
(コントラスト効果)を達成する上では、大量に投与し
なければならず、特には、心筋を造影する上では、要望
される高い造影効果(コントラスト効果)を十分に満足
できる、有効な造影剤がない点が大きな課題であった。
また、かかるマイクロバルーンの大量投与は、場合によ
っては、生体に過度の負担をかけ、安全性の点からも、
改善すべき課題を残すものであった。
【0052】本発明は前記の課題を解決するもので、本
発明の主たる目的は、微粒子中に多くの気泡を含ませる
ために、PHAの一枚膜をもつマイクロカプセル状の中
空構造をもつ微粒子を選択的に多く得ることができる中
空マイクロカプセルなどの中空粒状体の製造方法を提供
し、かかる中空マイクロカプセルなどの中空粒状体を利
用して、高い造影効果を発揮する超音波造影剤およびそ
の製造方法を提供することにある。より具体的には、本
発明の最終的な目的は、心筋、心腔または肝臓の超音波
診断や検査に利用可能な、造影効果の高い超音波造影剤
を提供することにある。
【0053】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らが鋭意検討した結果、3−ヒドロキシア
ルカン酸ユニットを含有するPHAを用いることによ
り、固相、液相及び気相の少なくとも1つの相をPHA
で含有せしめた粒状体、さらには固相、液相及び気相の
少なくとも1つの相をPHAで被覆したマイクロカプセ
ルを得ることができることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0054】本発明にかかる粒状体は、ポリヒドロキシ
アルカノエートを含有する粒状体であって、第一の固相
である外相と前記外相内に内包される内相を有し、前記
内相が第二の固相、液相及び気相の少なくとも一つの相
であることを特徴とするものである。この粒状体には、
シェル内にコア部を内包した構成を有するマイクロカプ
セルの形態を有し、ポリヒドロキシアルカノエートがシ
ェルに、固相、液相及び気相の少なくとも1つの相がコ
ア部に含有されているものも含まれる。
【0055】さらには、本発明にかかる粒状体の製造方
法は、粒状体の製造方法であって、ポリヒドロキシアル
カノエート及び有機溶媒を含む油相と、水を含む液状原
料を用意する工程と、前記液状原料から前記有機溶媒及
び/または水を除去する工程とを有し、前記油相及び/
または水に由来する固相、液相及び気相の少なくとも1
つの相を含有する粒状体を調製することを特徴とする。
液状原料が油相及び水相の少なくとも1相を有する場合
に、水及び/または有機溶媒を除去することで、これら
の油相及び水相の少なくとも一方に由来する固相、液相
及び気相の少なくとも1つの相を粒状体に形成すること
ができる。
【0056】本発明に係る粒状体の製造方法の他の態様
は、ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素および3−
ヒドロキシアシル補酵素Aを含む水相を用意する工程
と、前記水相と油相でエマルションを調製する工程と、
ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素により3−ヒド
ロキシアシル補酵素Aを重合させてポリヒドロキシアル
カノエートを合成する工程と、前記エマルションから有
機溶媒および/または水を除去する工程とを有し、前記水
相及び/または油相に由来する固相、液相及び気相の少
なくとも1つの相を含有する粒状体を調製することを特
徴とする。この方法には、PHA合成酵素を含む反応系
に3−ヒドロキシアシルCoAを加えて反応させること
により、水相/油相界面に所望のPHAを合成させ、固
相、液相及び気相の少なくとも1つの相がPHAでカプ
セル化された、さらには被覆された粒状体を製造する生
物工学的な製造方法が含まれる。
【0057】上記の各態様にかかる製造方法の好ましい
具体的な態様には、以下のものが含まれる。 ア)固相、液相及び気相の少なくとも1つの相とPHA
を少なくとも含む粒状体の製造方法であって、水相を、
少なくともポリヒドロキシアルカノエートおよび有機溶
媒を含む油相に分散させてW/O型のエマルションを調
製する工程と、該エマルションから有機溶媒を除去し
て、前記粒状体を形成する工程と、を有することを特徴
とする製造方法。 イ)固相、液相及び気相の少なくとも1つの相とPHA
を少なくとも含む粒状体の製造方法であって、水相を、
少なくともポリヒドロキシアルカノエートおよび有機溶
媒を含む油相に分散させてW/O型エマルションを調製
する工程と、該W/O型エマルションを更に水相に分散
してW/O/W型エマルションを調製する工程と、該W
/O/W型エマルションから有機溶媒を除去して、前記
粒状体を形成する工程と、を有することを特徴とする粒
状体の製造方法。 ウ)前記水相に前記油相を分散させてO/W型エマルシ
ョンを調製する工程と、前記O/W型エマルションから
有機溶媒および/または水を除去する工程とを有するこ
とを特徴とする粒状体の製造方法。 エ)固相、液相及び気相の少なくとも1つの相とポリヒ
ドロキシアルカノエートを含む粒状体の製造方法であっ
て、 1)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素および3−
ヒドロキシアシル補酵素Aを少なくとも含む水相を、油
相に分散させてW/O型エマルションを調製する工程
と、 2)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素により3−
ヒドロキシアシル補酵素Aを重合させてポリヒドロキシ
アルカノエートを合成する工程と、該W/O型エマルシ
ョンから有機溶媒を除去して前記粒状体を得る工程と、
を有することを特徴とする粒状体の製造方法。オ)固
相、液相及び気相の少なくとも1つの相とポリヒドロキ
シアルカノエートを含む粒状体の製造方法であって、 1)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素および3−
ヒドロキシアシル補酵素Aを少なくとも含む水相を、油
相に分散させてW/O型エマルションを調製する工程
と、 2)該W/O型エマルションをさらに水相に分散するこ
とでW/O/W型エマルションを調製する工程と、 3)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素により3−
ヒドロキシアシル補酵素Aを重合させてポリヒドロキシ
アルカノエートを合成する工程と、該W/O/W型エマ
ルションから有機溶媒を除去して前記粒状体を得る工程
と、を有することを特徴とする粒状体の製造方法。カ)
固相、液相及び気相の少なくとも1つの相とポリヒドロ
キシアルカノエートを含む粒状体の製造方法であって、 1)水相を、油相に分散させてW/O型エマルションを
調製する工程と、 2)該W/O型エマルションをさらに、少なくともポリ
ヒドロキシアルカノエート合成酵素および3−ヒドロキ
シアシル補酵素Aを含む水相に分散することでW/O/
W型エマルションを調製する工程と、 3)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素により3−
ヒドロキシアシル補酵素Aを重合させてポリヒドロキシ
アルカノエートを合成する工程と、 4)該W/O/W型エマルションから有機溶媒を除去し
て前記粒状体を得る工程と、を有することを特徴とする
粒状体の製造方法。 キ)固相、液相及び気相の少なくとも1つの相とポリヒ
ドロキシアルカノエートを含む粒状体の製造方法であっ
て、1)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素および
3−ヒドロキシアシル補酵素Aを含む水相を、油相に分
散させてW/O型エマルションを調製する工程と、2)
該W/O型エマルションをさらに、少なくともポリヒド
ロキシアルカノエート合成酵素および3−ヒドロキシア
シル補酵素Aを含む水相に分散することでW/O/W型
エマルションを調製する工程と、3)ポリヒドロキシア
ルカノエート合成酵素により3−ヒドロキシアシル補酵
素Aを重合させてポリヒドロキシアルカノエートを合成
する工程と、4)該W/O/W型エマルションから有機
溶媒を除去して前記粒状体を得る工程と、を有すること
を特徴とする粒状体の製造方法。ク)固相、液相及び気
相の少なくとも1つの相とポリヒドロキシアルカノエー
トを含む粒状体の製造方法であって、 1)油相を、少なくともポリヒドロキシアルカノエート
合成酵素および3−ヒドロキシアシル補酵素Aを含む水
相に分散させてO/W型エマルションを調製する工程
と、 2)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素により3−
ヒドロキシアシル補酵素Aを重合させてポリヒドロキシ
アルカノエートを合成する工程と、 3)該O/W型エマルションから前記粒状体を得る工程
と、を有することを特徴とする粒状体の製造方法。
【0058】前記粒状体に担持される物質は水溶性物質
及び脂溶性物質のいずれでもよい。このような物質とし
ては、例えば、薬剤においては、in vitro、in vivoで
不安定なもの、体内で徐々に放出され、あるいは特定の
臓器に速やかに分布することが所望される薬物などが挙
げられるが、これら以外にもバイオマーカー、あるいは
プラスミドやDNA、RNA等、生体内に投与して有効
なものであれば特に制約されることはない。
【0059】本発明にかかる製剤は、上記の粒状体を含
有する製剤である。また、本発明にかかる製剤の製造方
法は、上記の粒状体の製造工程を含む製剤の製造方法で
ある。この製剤は、薬物、特には実質的に水に溶解しな
い薬物について初期放出が少なく、長期間にわたる良好
な徐放性を示す高薬物含量の徐放性製剤として好適であ
る。また、かかる製剤は、薬物、特には水溶性薬物につ
いて初期放出が少なく、長期間にわたる良好な徐放性を
示す高薬物含量の徐放性製剤として好適である。
【0060】さらに本発明者らは、造影効果(コントラ
スト効果)の高い超音波造影剤を開発する目的で鋭意研
究を行った結果、本発明の中空粒状体が、微粒子中に多
くの気泡を含ませることが可能な中空粒状体として好適
であること、さらには、上記中空粒状体を水中に分散さ
せた後、減圧下で乾燥し、乾燥機内にパーフルオロカー
ボンのガスを充満させることにより、前記ガスを中空粒
状体の中空構造内部すなわち気泡内に充満させたとき
は、生体での超音波造影効果がより高い造影剤が得られ
ることを明らかにし、本発明にかかる超音波造影剤を完
成した。すなわち、本発明の超音波造影剤は前記中空粒
状体を含有する超音波造影剤である。また、本発明の超
音波造影剤は、心筋造影用、心腔(心臓を構成する心
室、心房などの空間)造影用または肝臓造影用として有
用である。
【0061】
【発明の実施の形態】本発明の粒状体(以下、マイクロ
カプセルともいうが、二層構造に限定されず、要は固
相、液相及び気相の少なくとも1つの相が固相に内包さ
れていればよい)としては、例えば、置換基を側鎖に有
する多様な構造のモノマーユニットを含むPHAにより
固相、液相及び気相の少なくとも1つの相が内包されて
いるカプセルが形成された、さらには被覆された形態を
有するマイクロカプセルを挙げることができ、高機能性
マイクロカプセルとして極めて有用である。以下に、本
発明をより詳細に説明する。
【0062】<マイクロカプセル>本出願の明細書にお
いて用いる「マイクロカプセル」なる語の概念には、こ
れらの語がドラッグ・デリバリー・システム(DDS)
や高分子化学において一般的に有する概念を完全に包含
するが、必ずしも等価なものではない。本出願の特許請
求の範囲及び明細書において用いる「マイクロカプセ
ル」の走査電子顕微鏡的形態の態様に関しては、例え
ば、ラズベリー状又は金米糖(こんぺいとう、ポルトガ
ル語のconfeito)状の多くの突起を有するよう
な態様、赤血球状の偏平な態様、ラグビーボール状の回
転楕円体様の態様、大腸菌状の紡錘形様の態様等をも包
含する。本出願の明細書において言及する「マイクロカ
プセル」は、通常、例えば、ポリマーエマルション、ラ
テックス、ポリマーサスペンジョンを構成するマイクロ
スフィアとしての特性をも有する。このように、本出願
の特許請求の範囲及び明細書において用いる「マイクロ
カプセル」なる語は、これらの語がドラッグ・デリバリ
ー・システム(DDS)や高分子化学において一般的に
有する概念と、必ずしも等価なものではないのではある
が、本発明に係るヘテロポリマー系の本質的「態様」に
ついて言及するに当たり便宜的に用いるものとする。
【0063】例えば、本発明のマイクロカプセルにおけ
る、固相、液相及び気相の少なくとも1つの相およびP
HAの相互関係の態様としては、例えば、 1)微小球中の固相を形成するPHA内に固相、液相及
び気相の少なくとも1つの相が分散・混合された混合相
1相からなるモノリシック型、 2)PHAの薄い膜(被覆層)の内部に固相、液相及び
気相の少なくとも1つの相を含有・保護した形で、外膜
とその内部といった2相からなるリザーバー型等を包含
する。
【0064】本発明においてはマイクロカプセル内に多
量の固相、液相及び気相の少なくとも1つの相を内在さ
せるという観点からは、2)の形態がより好ましい。例
えば液相を内包する場合、液相としては油相及び水相が
あり、同一カプセル内に水相と油相が混在した構成を採
ることもできる。ここで、「油相」及び「水相」とはエ
マルションを形成する場合の「油相としての性質を有す
るもの」、及び「水相としての性質を有するもの」にそ
れぞれ相当し、本発明において、特には薬剤などの保持
において、好適に用い得る油相成分について、特に代表
的なものを非限定的に例示しておくと、例えば植物油
(例えば大豆油、ゴマ油、綿実油、オリーブ油、サフラ
ワー油、コーン油、菜種油、落花生油等)、中鎖脂肪酸
トリグリセリド類[例えば日本油脂株式会社製のパナセ
ート800,810,1000,1200等の様な炭素
数6〜12の脂肪酸(例えばカプリル酸、カプリン酸、
ラウリン酸等)のトリグリセリド類]、液状炭化水素
(例えば流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等)
などの水とエマルションを形成できる油相成分が利用で
きる。なお、PHAを油相に溶解させてマイクロカプセ
ル化を行いマイクロカプセル中に油相を内包させる場合
の油相としては、後述するPHAを溶解する油相を用い
ることができる。水相の形成には水を主体とする水性の
溶媒が利用できる。これらの相に所望とする物質を溶解
させて所望の機能を有するマイクロカプセルとする。
【0065】本発明にかかるマイクロカプセルとして
は、直径が1〜10μmの範囲の微小球状マイクロカプ
セルが挙げられる。
【0066】また薬物などを固形物として保持する場
合、モノリシック型粒状体(マイクロスフェア)につい
ても好適に利用可能である。例えば、本発明の徐放性製
剤組成物に含有させる粒状体における薬物(A)および
PHA(B)の相互関係の態様としては、例えば、以下
の1)〜4)が挙げられる。 1)薬物(A)が単一のコア部に含まれ、PHA(B)
がシェルに含まれる、コア/シェル構造を有するマイク
ロカプセルとしての態様。 2)薬物(A)が複数のコアに含まれ、PHA(B)が
シェルに含まれる、コア/シェル構造を有するマイクロ
カプセルとしての態様。 3)薬物(A)が複数の島状部分にふくまれ、島状部分
を内包するPHA(B)が海状部分に含まれる、コア/
シェル構造を有するマイクロカプセルとしての態様。 4)薬物(A)およびPHA(B)が相溶化したミクロ
相分離構造を有する態様。
【0067】なお、これらの態様におけるコア部は薬物
の単独で、あるいはその他の成分との組合せから形成さ
れるものであってもよく、またシェル部はPHA単独
で、あるいはその他の成分との組合せから形成されるの
もであってもよい。
【0068】本発明にかかる粒状体としては、例えば、
少なくとも薬効を有する薬物及びPHAを含有する組成
物により、構成される、直径が10nm(ナノメート
ル)〜100μmの範囲の微小球状製剤が挙げられる。
自己乳化性の観点からは、通常、サブミクロンの大きさ
(平均粒径1μm以下)が好ましく採用される。さらに
本発明における中空粒状体は、微粒子の外形となる、少
なくともPHAからなる部分と、その内部に、少なくと
も中空である部分とを有し、内部において、PHAから
なる隔壁部分と中空部分とが混在する場合も含むもので
ある。その一態様として、例えば、1)PHAで形成さ
れる微小球であり、中空部分が分散または混合された基
本的に1相であるモノリシック型の中空微粒子(マイク
ロスフェアとも呼ばれる)、
【0069】2)PHAを含む薄い外膜(外被またはシ
ェル)の内部に中空部分(コア)を内包し、保護した形
で、外膜とその内部といった明確な2相からなるリザー
バー型等の中空マイクロカプセルを挙げることができ
る。本発明にかかる「中空粒状体」の態様としては、例
えば、少なくともPHAを含有する組成物により、その
外被が構成される、直径が1〜10μmの範囲の微小球
状中空微粒子が挙げられる。
【0070】さらに、本発明の中空粒状体における、中
空部とPHAを含んでなる外被の形態、より具体的に
は、気泡(A)およびPHA(B)の相互関係の態様と
しては、例えば、以下の1)〜4)が挙げられる。 1)気泡(A)が単一のコア部に含まれ、PHA(B)
がシェルに含まれる、コア/シェル構造を有するマイク
ロカプセルとしての態様。 2)気泡(A)が複数のコアに含まれ、PHA(B)が
シェルに含まれる、コア/シェル構造を有するマイクロ
カプセルとしての態様。 3)気泡(A)が複数の島状部分にふくまれ、島状部分
を内包するPHA(B)が海状部分に含まれる、コア/
シェル構造を有するマイクロカプセルとしての態様。 4)気泡(A)およびPHA(B)が相溶化したミクロ
相分離構造を有する態様。
【0071】なお、これらの態様におけるコア部は気泡
の単独で、あるいはその他の成分との組合せから形成さ
れるものであってもよく、またシェル部はPHA単独
で、あるいはその他の成分との組合せから形成されるの
もであってもよい。
【0072】さらに、本発明の粒状体では、前記ポリヒ
ドロキシアルカノエートのモノマーユニット組成は、前
記粒状体の外被の内側から外側へと向かう方向において
変化していることを特徴とする粒状体とすることもでき
る。
【0073】また、前記ポリヒドロキシアルカノエート
の少なくとも一部は、化学修飾が施されてなるポリヒド
ロキシアルカノエートであることを特徴とする粒状体と
してもよい。例えば、前記の化学修飾が施されてなるポ
リヒドロキシアルカノエートは、少なくとも、その化学
修飾としてグラフト鎖を有するポリヒドロキシアルカノ
エートを含むことことができる。その際、前記グラフト
鎖は、少なくともエポキシ基を有するモノマーユニット
を含むポリヒドロキシアルカノエートに対して、そのエ
ポキシ基に対する化学修飾により導入されたグラフト鎖
であることができる。また、前記グラフト鎖は、アミノ
基を有する化合物からなるグラフト鎖であることができ
る。例えば、前記アミノ基を有する化合物は、末端アミ
ノ変性化合物であることが好ましい。一例として、前記
末端アミノ変性化合物は、ポリビニルアミン、ポリエチ
レンイミン、末端アミノ変性ポリシロキサンからなる群
より選択される少なくとも一つのポリマーであることが
できる。
【0074】その他、上記の化学修飾が施されてなるポ
リヒドロキシアルカノエートとして、前記ポリヒドロキ
シアルカノエートの少なくとも一部は、架橋化されたポ
リヒドロキシアルカノエートとすることもできる。例え
ば、前記架橋化されたポリヒドロキシアルカノエート
は、少なくともエポキシ基を有するモノマーユニットを
含むポリヒドロキシアルカノエートに対して、そのエポ
キシ基に対して架橋化がなされてなるポリヒドロキシア
ルカノエートであるであることができる。その際、一例
として、前記架橋化されたポリヒドロキシアルカノエー
トは、ジアミン化合物、無水コハク酸、2−エチル−4
−メチルイミダゾール、電子線照射処理からなる群より
選択される少なくとも一つの手段により、架橋化がなさ
れているポリヒドロキシアルカノエートであってもよ
い。前記ジアミン化合物が、ヘキサエチレンジアミンで
あることが好ましい。
【0075】上記のマイクロカプセルは、一般的には、
W/O/W(Water in Oil in Wate
r)型エマルション法、O/W(Oil in Wate
r)型エマルション法等によって調製することができ
る。より具体的には、本願明細書における他の発明は、
固相、液相及び気相の少なくとも1つの相とPHAとを
含むマイクロカプセルの製造方法であって、 1)PHAをクロロホルム等の有機溶媒に溶解させ、そ
こへ水溶液を添加して乳化させ、W/O型エマルション
を得、 2)必要に応じて、該エマルションを多量の水中へ投入
して乳化させてW/O/W型エマルションを得た後、 3)減圧条件下での蒸発等により、有機溶剤を除去する
ことにより、微小球状の沈澱物を生成させ、必要に応じ
て回収及び乾燥を行い、マイクロカプセルを調製する方
法である。
【0076】また、本願明細書における他の発明は、固
相、液相及び気相の少なくとも1つの相とPHAとを含
むマイクロカプセルの製造方法であって、 1)PHAをクロロホルム等の有機溶剤中に溶解させ、 2)該有機相を多量の水中に投入して乳化させ、O/W
型エマルションを得、 3)減圧条件下での蒸発等により、PHAの溶解度を超
える範囲まで有機溶剤を除去することにより、微小球状
の沈澱物を生成させ、必要に応じて回収及び乾燥を行
い、マイクロカプセルを調製する方法である。
【0077】また、本願明細書における他の発明は、固
相、液相及び気相の少なくとも1つの相とPHAとを含
むマイクロカプセルの製造方法であって、 1)有機溶媒へ、PHA合成酵素および3−ヒドロキシ
アシルCoAを含む水溶液を添加して乳化させ、W/O
型エマルションを得、 2)PHA合成反応を行うことにより、微小球状の沈澱
物を生成させ、必要に応じて回収及び乾燥を行い、マイ
クロカプセルを調製する方法である。
【0078】さらに、本願明細書における他の発明は、
固相、液相及び気相の少なくとも1つの相とPHAとを
含むマイクロカプセルの製造方法であって、 1)有機溶媒へ、水溶液を添加して乳化させ、W/O型
エマルションを得、 2)該エマルションを、PHA合成酵素および3−ヒド
ロキシアシルCoAを含む多量の水中へ投入して乳化さ
せてW/O/W型エマルションを得た後、 3)PHA合成反応を行うことにより、微小球状の沈澱
物を生成させ、必要に応じて回収及び乾燥を行い、マイ
クロカプセルを調製する方法である。
【0079】さらに、本願明細書における他の発明は、
固相、液相及び気相の少なくとも1つの相とPHAを含
むマイクロカプセルの製造方法であって、 1)有機溶媒へ、PHA合成酵素および3−ヒドロキシ
アシルCoAを含む水溶液を添加して乳化させ、W/O
型エマルションを得、 2)該エマルションを、PHA合成酵素および3−ヒド
ロキシアシルCoAを含む多量の水中へ投入して乳化さ
せてW/O/W型エマルションを得た後、 3)PHA合成反応を行うことにより、微小球状の沈澱
物を生成させ、必要に応じて回収及び乾燥を行い、マイ
クロカプセルを調製する方法である。
【0080】さらに、本願明細書における他の発明は、
固相、液相及び気相の少なくとも1つの相とPHAを含
むマイクロカプセルの製造方法であって、 1)有機溶媒へ、PHA合成酵素および3−ヒドロキシ
アシルCoAを含む水溶液を添加して乳化させ、W/O
型エマルションを得、 2)該エマルションを多量の水中へ投入して乳化させて
W/O/W型エマルションを得た後、 3)PHA合成反応を行うことにより、微小球状の沈澱
物を生成させ、必要に応じて回収及び乾燥を行い、マイ
クロカプセルを調製する方法である。
【0081】また、本願明細書における他の発明は、固
相、液相及び気相の少なくとも1つの相とPHAを含む
マイクロカプセルの製造方法であって、1)有機溶媒
を、PHA合成酵素および3−ヒドロキシアシルCoA
を含む多量の水中に投入して乳化させてO/W型エマル
ションを得、2)PHA合成反応を行うことにより、微
小球状の沈澱物を生成させ、必要に応じて回収及び乾燥
を行い、マイクロカプセルを調製する方法である。
【0082】<PHAの例示とその製造方法について>
本発明に利用可能なPHAとしては、下記化学式[1]
から[10]で表されるモノマーユニットを少なくとも含
むPHAを例示することができる。
【0083】
【化45】
【0084】(ただし、該モノマーユニットは、式中R
1およびaの組合せが下記のいずれかであるモノマーユ
ニットからなる群より選択される少なくとも一つであ
る。R1が水素原子(H)であり、aが0から 10 の整数
のいずれかであるモノマーユニット、R1がハロゲン原
子であり、aが1から 10 の整数のいずれかであるモノ
マーユニット、R1が発色団でありaが1から 10 の整
数のいずれかであるモノマーユニット、R1が、カルボ
キシル基あるいはその塩であり、aが1から 10 の整数
のいずれかであるモノマーユニット、R1が、
【0085】
【化46】
【0086】であり、aが1から7の整数のいずれかで
あるモノマーユニット。)
【0087】
【化47】
【0088】(ただし、式中bは0から7の整数のいずれ
かを表し、R2は水素原子(H)、ハロゲン原子、-C
N、-NO2、-CF3、-C25及び-C37からなる群か
ら選ばれたいずれか1つを表す。)
【0089】
【化48】
【0090】(ただし、式中cは1から8の整数のいずれ
かを表し、R3は水素原子(H)、ハロゲン原子、-C
N、-NO2、-CF3、-C25及び-C37からなる群か
ら選ばれたいずれか1つを表す。)
【0091】
【化49】
【0092】(ただし、式中dは0から7の整数のいずれ
かを表し、R4は水素原子(H)、ハロゲン原子、-C
N、-NO2、-CF3、-C25及び-C37からなる群か
ら選ばれたいずれか1つを表す。)
【0093】
【化50】
【0094】(ただし、式中eは1から8の整数のいずれ
かを表し、R5は水素原子(H)、ハロゲン原子、-C
N、-NO2、-CF3、-C25、-C37、-CH3、-C2
5及び-C37からなる群から選ばれたいずれか1つを
表す。)
【0095】
【化51】
【0096】(ただし、式中fは0から7の整数のいずれ
かを表す。)
【0097】
【化52】
【0098】(ただし、式中gは1から8の整数のいずれ
かを表す。)
【0099】
【化53】
【0100】(ただし、式中hは1から7の整数のいずれ
かを表し、R6は水素原子(H)、ハロゲン原子、-C
N、-NO2、 -COOR'、-SO2R''、-CH3、-C2
5、-C37、-CH(CH3)2、-C(CH3)3からなる群
から選ばれたいずれか1つを表し、ここでR'は水素原
子(H)、Na、K、-CH3及び-C25のいずれかであ
り、R''は-OH、-ONa、-OK、ハロゲン原子、-O
CH3及び-OC25のいずれかである。)
【0101】
【化54】
【0102】(ただし、式中iは1から7の整数のいずれ
かを表し、R7は水素原子(H)、ハロゲン原子、-C
N、-NO2、-COOR'及び-SO2R''からなる群から
選ばれたいずれか1つを表し、ここでR'は水素原子
(H)、Na、K、-CH3及び-C25のいずれかであ
り、R''は-OH、-ONa、-OK、ハロゲン原子、-O
CH3及び-OC25のいずれかである。)
【0103】
【化55】
【0104】(ただし、式中jは1から9の整数のいずれ
かを表す。)
【0105】本発明において使用するPHAは、3-ヒ
ドロキシアルカノエートをモノマー単位とするポリエス
テル樹脂である。ここで、このような化合物を微生物を
利用して生産した場合、該ポリエステル樹脂はR体のみ
からなるアイソタクチックなポリマーであるが、物性/
機能の両面において本発明の目的を達成しうるならば、
特にアイソタクチックなポリマーである必要はなく、ア
タクチックなポリマーについても利用することが可能で
ある。また、ラクトン化合物を有機金属系触媒(例え
ば、アルミニウム、亜鉛、スズ等を含む有機触媒)を用
いて開環重合を行う化学合成法によりPHAを得ること
も可能である。
【0106】また、W/O型エマルション、W/O/W
型エマルションあるいはO/W型エマルションの調製と
ともに、PHA合成酵素による3−ヒドロキシアシルC
oAの重合反応を利用してPHAを合成する場合、PH
Aの合成反応に関与するPHA合成酵素によって合成さ
れ得るPHAであれば、特に限定はされない。前述の通
り、PHA合成酵素は、生物体内でのPHA合成反応系
における最終段階を触媒する酵素であり、従って、生物
体内において合成され得ることが知られているPHAで
あれば、いずれも該酵素による触媒作用を受けて合成さ
れていることになる。よって、所望のPHAに対応する
3−ヒドロキシアシルCoAを、PHA合成酵素に作用
させることによって、生物体内において合成され得るこ
とが知られているあらゆる種類のPHAで固相、液相及
び気相の少なくとも1つの相を含有せしめた、さらには
被覆したマイクロカプセルを作成することが可能であ
る。
【0107】また、本発明においては、側鎖構造R1〜
R7について種々の原子あるいは官能基からなる群から
選ばれる1種以上の原子あるいは官能基を選択すること
が可能である。また、R2〜R7の置換位置について
は、オルト、メタあるいはパラ位の何れにおいても対応
するモノマーユニットからなるPHAを取得することが
可能であるが、機能性、物性などが何れの異性体におい
ても大きな相違が無い場合、収率あるいはポリマー中へ
の取り込まれ易さにおいてメタ位あるいはパラ位におけ
る置換体を好適に用い得る。
【0108】なお、前記のハロゲン原子の具体例として
は、フッ素、塩素、臭素などを挙げることができる。ま
た、前記の発色団としては、発色団を含む原料化合物か
らPHAが合成され得るものであれば特に限定はされな
いが、高分子合成時の立体障害などを考慮すると、原料
化合物であるアルカノエートの末端カルボキシル基と発
色団との間に炭素数1から5のメチレン鎖があるほうが
望ましい。また、発色団の光吸収波長が可視域にあれば
着色した構造体が得られ、可視域以外に光吸収波長があ
っても種々の電子材料として利用することができる。こ
のような発色団の例として、ニトロソ、ニトロ、アゾ、
ジアリールメタン、トリアリールメタン、キサンテン、
アクリジン、キノリン、メチン、チアゾール、インダミ
ン、インドフェノール、ラクトン、アミノケトン、ヒド
ロキシケトン、スチルベン、アジン、オカサジン、チア
ジン、アントラキノン、フタロシアニン、インジゴイド
などを挙げることができる。
【0109】本発明において用いられるPHAとしては
上記モノマーユニットを複数含むランダム共重合体やブ
ロック共重合体を用いることも可能であり、各モノマー
ユニットや含まれる官能基の特性を利用したPHAの物
性制御や複数の機能の付与、官能基間の相互作用を利用
した新たな機能の発現等が可能となる。さらに、モノマ
ー化合物の添加量や添加順序を適宜制御することによっ
て、任意の順序および組成比のブロック共重合体を合成
することも可能である。また必要に応じて、PHAを合
成したのち、あるいは、合成中に、さらに化学修飾等を
施しても良い。
【0110】例えば、基質である3−ヒドロキシアシル
CoAの種類や濃度などの組成を経時的に変化させるこ
とによって、マイクロカプセルの内側から外側へ向かう
方向においてPHAのモノマーユニット組成を変化させ
ることも可能である。マイクロカプセル表層のPHAと
内層のPHAを適宜選択することで、本発明の効果、例
えば液相あるいは気相の保持機能、徐放性の制御、水溶
液中での自己分散性などをさらに高めることができる。
より具体的には、適宜、PHAのモノマーユニットを選
択し、マイクロカプセルの内側から外側へ向かう方向に
変化、例えば多層構造あるいはグラディエント構造とす
ることが可能である。
【0111】また、マイクロカプセル表層のPHAにグ
ラフト鎖を導入することにより、該グラフト鎖に起因す
る、例えば液相あるいは気相の保持機能、水溶液中での
自己分散性、徐放性の制御などの機能性の発現が可能と
なる。また、マイクロカプセル表層のPHAを架橋化せ
しめることにより、例えば、液相あるいは気相の保持機
能の向上、マイクロカプセルの機械的強度の向上、徐放
性の制御などが可能となる。
【0112】このように、本発明のPHAを微生物(in
vivo)合成あるいは無細胞(in vitro)合成を用いて
生産する場合、前記の各種モノマーユニットを含み得る
が、必要とするポリマーの機能性、物性などを考慮の
上、適当数を含むように設計すると良い。一般には前記
の6種類程度までのモノマーユニットを含むことで本発
明の目的を十分に達成することが期待できるが、微妙な
機能性、物性の制御を望む場合、より多くの種類のモノ
マーユニットで構成することも可能である。
【0113】なお、本発明のマイクロカプセルに用い
る、PHA生産微生物あるいはPHA合成酵素によるin
vitro合成により合成されるPHAは、一般にR体のみ
から構成されるアイソタクチックなポリマーである。
【0114】これら所望の物性のPHAは、本発明にお
けるPHAを合成可能な微生物の培養条件等を選択する
ことによって得られる。例えば、培養時間等の制御によ
り、数平均分子量の制御が可能である。また、溶媒抽
出、再沈殿などの手段を用いた低分子量成分の除去によ
り、数平均分子量の制御が可能である。また、in vitro
合成においては反応溶液の組成、反応時間等の条件を適
宜選択することにより、各種物性の制御が可能である。
【0115】PHAの分子量は、数平均分子量で1,000
から1,000万程度、好ましくは5,000から100万程度とす
るのが望ましい。また、これらのPHAの分散度(重量
平均分子量/数平均分子量)は、好ましくは1〜10で
ある。分散度は、特に好ましくは1〜5である。
【0116】本発明におけるマイクロカプセルにおい
て、例えば、液相を含有せしめた場合、液相の保持およ
び徐放機能、あるいは水溶液中での自己分散性などが重
要になる。本発明のマイクロカプセルはこうした問題を
解決した点に最大の特徴を有する。つまり、液相の保持
および徐放機能、あるいは水溶液中での自己分散性など
は上述のようにPHAのモノマーユニットの種類/組成
比/分子量/結晶性を制御することにより制御可能であ
る。
【0117】また、徐放性製剤として薬物、特には水溶
性薬物を含有せしめた場合、放出特性の制御には初期の
放出速度制御とそれ以降の放出速度制御の両方が必要に
なる。
【0118】本発明の徐放性製剤はこうした問題を解決
した点に最大の特徴を有する。つまり、薬物の初期放出
量は上述のようにPHAのモノマーユニットの種類/組
成比/分子量/結晶性を制御することにより制御可能で
あり、また、薬物の放出期間についてもPHAのモノマ
ーユニットの種類/組成比/分子量/結晶性を制御する
ことにより初期放出量同様に制御が可能である。また本
発明の徐放性製剤は、薬物放出特性を単にゼロ次放出し
た徐放性製剤に限らず、初期の放出量を任意に高く設定
することや薬物の放出時間にタイムラグを有する徐放性
製剤を調製することも可能であり、その応用範囲は極め
て広いものである。
【0119】さらに、徐放性製剤として薬物、特には実
質的に水に溶解しない薬物を含有せしめた場合について
も、放出特性の制御には初期の放出速度制御とそれ以降
の放出速度制御の両方が必要になる。本発明の徐放性製
剤はこうした問題を解決した点に最大の特徴を有する。
つまり、薬物の初期放出量は上述のようにPHAのモノ
マーユニットの種類/組成比/分子量/結晶性を制御す
ることにより制御可能であり、また、薬物の放出期間に
ついてもPHAのモノマーユニットの種類/組成比/分
子量/結晶性を制御することにより初期放出量同様に制
御が可能である。また本発明の徐放性製剤は、薬物放出
特性を単にゼロ次放出した徐放性製剤に限らず、初期の
放出量を任意に高く設定することや薬物の放出時間にタ
イムラグを有する徐放性製剤を調製することも可能であ
り、その応用範囲は極めて広いものである。
【0120】また、超音波造影剤として利用する上で
は、中空粒状体に含有される気泡の量とともに、その気
泡の保持機能が重要になる。本発明の超音波造影剤は、
この気泡の保持機能が向上した、本発明の中空粒状体を
超音波反射体として利用した点に最大の特徴を有する。
つまり、気泡の保持機能は上述のようにPHAに含まれ
るモノマーユニットの種類/組成比/分子量/結晶性を
制御することにより制御可能である。
【0121】PHAを微生物生産により得る具体的方法
としては、式(1)〜(10)のモノマーユニットの1種以上
を含むPHAを式(1)〜(10)のモノマーユニットに対応
するアルカン酸から製造し得る微生物を、該対応するア
ルカン酸を含んだ培地中で培養することで可能となる。
本発明のPHAを製造し得る微生物としては、PHAを
生産する微生物から適宜選択された微生物、あるいは、
それら微生物のPHA合成酵素遺伝子を導入した形質転
換体等が挙げられる。培養方法等については後述する。
【0122】例えば、下記式[22]で表される5-(4-フ
ルオロフェニル)吉草酸(FPVA)から、下記式[21]で
表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草
酸(3-HFPV)モノマーユニットを含むポリヒドロキ
シアルカノエートを製造し得る微生物を培養することに
より、3HFPVモノマーユニットを含むポリヒドロキ
シアルカノエートを製造することが可能である。
【0123】
【化56】
【0124】また、下記式[24]で表される4-フェノキ
シ酪酸(PxBA)から、下記式[23]で表される3-ヒドロ
キシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)モノマーユニット
を含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生
物を培養することにより、3HPxBモノマーユニット
を含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが
可能である。
【0125】
【化57】
【0126】また、下記式[26]で表される4-シクロヘ
キシル酪酸(CHBA)から、下記式[25]で表される3-
ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸(3HCHB)モノマ
ーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造
し得る微生物を培養することにより、3HCHBモノマ
ーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造
することが可能である。
【0127】
【化58】
【0128】また、下記式[28]で表される5-ベンゾイ
ル吉草酸(BzVA)から、下記式[27]で表される3-ヒド
ロキシ-5-ベンゾイル吉草酸(3HBzV)モノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る
微生物を培養することにより、3HBzVモノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造するこ
とが可能である。
【0129】
【化59】
【0130】また、下記式[30]で表される5-(4-フル
オロベンゾイル)吉草酸(FBzVA)から、下記式[29]
で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロベンゾイル)
吉草酸(3HFBzV)モノマーユニットを含むポリヒド
ロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養するこ
とにより、3HFBzVモノマーユニットを含むポリヒ
ドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0131】
【化60】
【0132】また、下記式[32]で表される5-チエニル
吉草酸(TVA)から、下記式[31]で表される3-ヒドロ
キシ-5-チエニル吉草酸(3HTV)モノマーユニットを
含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物
を培養することにより、3HTVモノマーユニットを含
むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能
である。
【0133】
【化61】
【0134】また、下記式[34]で表される5-チエノイ
ル吉草酸(ToVA)から、下記式[33]で表される3-ヒド
ロキシ-5-チエノイル吉草酸(3HToV)モノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る
微生物を培養することにより、3HToVモノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造するこ
とが可能である。
【0135】
【化62】
【0136】また、下記式[36]で表される5-(4-フル
オロチオフェノキシ)吉草酸(FTPxVA)から、下記
式[35]で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロチオ
フェノキシ)吉草酸(3HFTPxV)モノマーユニット
を含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生
物を培養することにより、3HFTPxVモノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造するこ
とが可能である。
【0137】
【化63】
【0138】また、下記式[38]で表される5−[(4−
フルオロフェニルメチル)スルファニル]吉草酸から、
下記式[37]で表される3−ヒドロキシ−5−[(4−フ
ルオロフェニルメチル)スルファニル]吉草酸モノマー
ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し
得る微生物を培養することにより、3−ヒドロキシ−5
−[(4−フルオロフェニルメチル)スルファニル]吉
草酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエ
ートを製造することが可能である。
【0139】
【化64】
【0140】また、下記式[40]で表される5-チオチエ
ノキシ吉草酸(TTxVA)から、下記式[39]で表される
3-ヒドロキシ-5-チオチエノキシ吉草酸(3HTTx
V)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエ
ートを製造し得る微生物を培養することにより、3HT
TxVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノ
エートを製造することが可能である。
【0141】
【化65】
【0142】また、下記式[42]で表されるオクタン酸
(OA)から、下記式[41]で表される3-ヒドロキシオク
タン酸(3HO)モノマーユニットを含むポリヒドロキシ
アルカノエートを製造し得る微生物を培養することによ
り、3HOモノマーユニットを含むポリヒドロキシアル
カノエートを製造することが可能である。
【0143】
【化66】
【0144】また、下記式[44]で表されるオクテンか
ら、下記式[43]で表される3-ヒドロキシ-7、8-エポ
キシオクタン酸モノマーユニットを含むポリヒドロキシ
アルカノエートを製造し得る微生物を培養することによ
り、3-ヒドロキシ-7、8-エポキシオクタン酸モノマ
ーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造
することが可能である。
【0145】
【化67】
【0146】<微生物>本発明の方法で用いる微生物
は、化学式(1)〜(10)に示されるユニットを少なくとも
1種含むPHAの生産を、対応するアルカン酸を含む培
地中で培養することにより行いうる微生物であれば如何
なる微生物であってもよい。
【0147】PHAを合成する微生物としては、PHB
やPHB/V生産菌を用いることができ、このような微
生物として、アエロモナス属(Aeromonas sp.)、アル
カリゲネス属(Alcaligenes sp.)、クロマチウム属(Ch
romatium sp.)、コマモナス属(Comamonas sp.)、
メチロバクテリウム属(Methylobacterium sp.)、パラ
コッカス属(Paracoccus sp.)、シュードモナス属(Pse
udomonas sp.)のなどの他に、本発明者らにより分離さ
れた、バルクホルデリア・セパシア・KK01株(Burkho
lderia cepacia KK01)、ラルストーニャ・ユートロフ
ァ・TB64株(Ralstonia eutropha TB64)、アルカリ
ゲネス属・TL2株(Alcaligenes sp.TL2)などを用
いることができる。なお、KK01 株は寄託番号FER
M BP-4235 として、TB64株は寄託番号FERM B
P-6933 として、TL2株は寄託番号FERM BP-69
13 として寄託されている。
【0148】例えば、mcl−PHAやunusual−PHAの生産菌
を用いることができ、このような微生物として、前述の
シュードモナス・オレオボランス、シュードモナス・レ
ジノボランス、シュードモナス属61−3株、シュードモ
ナス・プチダ・KT2442株、シュードモナス・アエルギノ
ーサなどのほかに、本発明者らにより分離された、シュ
ードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P9
1)、シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomon
ascichoriiH45)、シュードモナス・チコリアイ・YN2株
(PseudomonascichoriiYN2)、シュードモナス・ジェ
ッセニイ・P161株(Pseudomonasjessenii P161)等の
シュードモナス属微生物や、特開2001−78753号公報に
記載のバークホルデリア属・OK3株(Burkholderiasp.O
K3、FERMP−17370)、特開2001−69968号公報に記載の
バークホルデリア属・OK4株(Burkholderia sp.OK4、F
ERMP−17371)などのバークホルデリア属微生物を用い
ることができる。また、これら微生物に加えて、アエロ
モナス属(Aeromonas sp.)、コマモナス属(Comamona
s sp.)などに属し、mcl−PHAやunusual−PHAを生産す
る微生物を用いることも可能である。
【0149】なお、P91株は寄託番号FERM BP−7373とし
て、H45株は寄託番号FERM BP−7374として、YN2株は寄
託番号FERM BP−7375として、P161株は寄託番号FERM BP
−7376として、寄託されている。また、上記のFERM番号
の寄託は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許微
生物寄託センター(旧名:経済産業省産業技術研究所
(通商産業省工業技術院)生命工学工業技術研究所特許
微生物寄託センター)での寄託であり、BPは特許手続上
の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に
基づく寄託である。
【0150】なお、前記のP91株、H45株、YN2株およびP
161株の菌学的性質を列挙すれば以下の通りである。ま
た、P161株については、16SrRNAの塩基配列を配列番
号:1に示す。
【0151】(シュードモナス・プチダ・P91株の菌学
的性質) (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ:桿菌、0.6μm×1.5μm 細胞の多形性:なし 運動性:あり 胞子形成:なし グラム染色性:陰性 コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめ
らか、光沢、クリーム色 (2)生理学的性質 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陽性 O/F試験:酸化型 硝酸塩の還元:陰性 インドールの生成:陰性 ブドウ糖酸性化:陰性 アルギニンジヒドロラーゼ:陽性 ウレアーゼ:陰性 エスクリン加水分解:陰性 ゼラチン加水分解:陰性 β−ガラクトシダーゼ:陰性 King's B寒天での蛍光色素産生:陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖:陽性 L−アラビノース :陰性 D−マンノース :陰性 D−マンニトール :陰性 N−アセチル−D−グルコサミン:陰性 マルトース:陰性 グルコン酸カリウム:陽性 n−カプリン酸 :陽性 アジピン酸:陰性 dl−リンゴ酸:陽性 クエン酸ナトリウム:陽性 酢酸フェニル:陽性
【0152】 (シュードモナス・チコリアイ・H45株の菌学的性質) (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ:桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm 細胞の多形性:なし 運動性:あり 胞子形成:なし グラム染色性:陰性 コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめ
らか、光沢、クリーム色 (2)生理学的性質 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陽性 O/F試験:酸化型 硝酸塩の還元:陰性 インドールの生成:陰性 ブドウ糖酸性化:陰性 アルギニンジヒドロラーゼ:陰性 ウレアーゼ:陰性 エスクリン加水分解:陰性 ゼラチン加水分解:陰性 β−ガラクトシダーゼ:陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生 :陽性 4%NaClでの生育 :陰性 ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積:陰性 (3)基質資化能 ブドウ糖:陽性 L−アラビノース :陰性 D−マンノース :陽性 D−マンニトール :陽性 N−アセチル−D−グルコサミン:陽性 マルトース:陰性 グルコン酸カリウム:陽性 n−カプリン酸 :陽性 アジピン酸:陰性 dl−リンゴ酸:陽性 クエン酸ナトリウム:陽性 酢酸フェニル:陽性。
【0153】 (シュードモナス・チコリアイ・YN2株の菌学的性質) (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ:桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性:なし 運動性:あり 胞子形成:なし グラム染色性:陰性 コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめ
らか、光沢、半透明 (2)生理学的性質 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陽性 O/F試験:酸化型 硝酸塩の還元:陰性 インドールの生成:陽性 ブドウ糖酸性化:陰性 アルギニンジヒドロラーゼ:陰性 ゼラチン加水分解:陰性 β−ガラクトシダーゼ:陰性 King's B寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育) ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積:陰性 Tween 80の加水分解:陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖:陽性 L−アラビノース :陽性 D−マンノース :陰性 D−マンニトール :陰性 N−アセチル−D−グルコサミン:陰性 マルトース:陰性 グルコン酸カリウム:陽性 n−カプリン酸 :陽性 アジピン酸:陰性 dl−リンゴ酸:陽性 クエン酸ナトリウム:陽性 酢酸フェニル:陽性
【0154】(シュードモナス・ジェッセニイ・P161株
の菌学的性質) (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ:球状 φ0.6μm、桿状 0.6μm×
1.5〜2.0μm 細胞の多形性:あり(伸長型) 運動性:あり 胞子形成:なし グラム染色性:陰性 コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめ
らか、淡黄色 (2)生理学的性質 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陽性 O/F試験:酸化型 硝酸塩の還元:陽性 インドールの生成:陰性 アルギニンジヒドロラーゼ:陽性 ウレアーゼ:陰性 エスクリン加水分解:陰性 ゼラチン加水分解:陰性 β−ガラクトシダーゼ:陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生 :陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖:陽性 L−アラビノース :陽性 D−マンノース :陽性 D−マンニトール :陽性 N−アセチル−D−グルコサミン:陽性 マルトース:陰性 グルコン酸カリウム:陽性 n−カプリン酸 :陽性 アジピン酸:陰性 dl−リンゴ酸:陽性 クエン酸ナトリウム:陽性 酢酸フェニル:陽性。
【0155】<培養工程>本発明にかかるPHAの製造
方法においては、上記するPHA生産能を有する微生物
を利用して、原料のアルカン酸から、対応する前記一般
式(1)から(10)で表される、側鎖末端に各種官能基
を有する3−ヒドロキシアルカン酸ユニットを含むPH
Aを生産させ、細胞内に蓄積させる。
【0156】微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の
作製、PHAの生産に必要とされる菌数や活性状態を確
保するための増殖などには、用いる微生物の増殖に必要
な成分を含有する培地を適宜選択して用いる。例えば、
微生物の生育や生存に悪影響を及ぼすものでない限り、
一般的な天然培地(肉汁培地、酵母エキスなど)や、栄
養源を添加した合成培地など、いかなる種類の培地をも
用いることができる。温度、通気、攪拌などの培養条件
は、用いる微生物に応じて適宜選択する。
【0157】一方、前記したようなPHA生産微生物を
用いて、目的とする3−ヒドロキシアルカン酸ユニット
を含むPHAを製造する際には、培地として、PHA生
産用の原料として、このモノマーユニットに対応するア
ルカン酸に加えて、微生物の増殖用炭素源を少なくとも
含んだ無機培地などを用いることができる。原料のアル
カン酸は、培地あたり0.01%〜1%(w/v)の範
囲、より好ましくは、0.02%〜0.2%(w/v)
の範囲に初期の含有率を選択することが望ましい。原料
のアルカン酸の種類によっては、その水溶性が良好でな
いものもあるが、本発明においては、上記の微生物を用
いる場合、培地中に懸濁された状態であっても何ら問題
とはならない。
【0158】なお、原料のアルカン酸の培地への溶解性
を高めるため、場合によっては、1−ヘキサデセンやn
−ヘキサデカンのような溶媒に溶解、あるいは、微細な
懸濁物とした形状で培地中に添加することも可能であ
る。その際には、利用する1−ヘキサデセンやn−ヘキ
サデカンのような溶媒の添加濃度は、培地に対して、そ
の濃度は3%(v/v)以下にすることが必要である。
【0159】培地には、微生物が増殖に利用する増殖基
質を別途添加することが好ましい。この増殖基質は、酵
母エキスやポリペプトン、肉エキスといった栄養素を用
いることが可能である。更に、糖類、TCA回路中の中
間体として生じる有機酸ならびにTCA回路から一段階
ないしは二段階の生化学反応を経て生じる有機酸または
その塩、アミノ酸またはその塩などから、用いる菌株に
応じて、増殖基質としての有用性を考慮して、適宜選択
することができる。また、目的とするモノマーの割合が
低くてもよい場合は、炭素数4から12の直鎖アルカン
酸あるいはその塩等を基質として用いてもよい。但しこ
の場合は直鎖で置換基のない単純なモノマー(以下mcl
と略する)の割合が高くなることに留意する必要があ
る。
【0160】これらのうち、糖類としては、グリセロア
ルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース
といったアルドース、グリセロール、エリスリトール、
キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルド
ン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、マ
ルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等から
選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0161】また、有機酸或いはその塩としては、ピル
ビン酸、オキサロ酢酸、クエン酸、イソクエン酸、ケト
グルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸など
がその例であり、或いはその塩から選ばれる1つ以上の
化合物が好適に利用できる。
【0162】また、アミノ酸或いはその塩としては、グ
ルタミン酸、アスパラギン酸或いはその塩から選ばれる
1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0163】一般に、これら種々の増殖基質の中でも、
ポリペプトンや糖類を用いるのがより好ましい。原料化
合物と共存させる、これらの増殖基質は、通常、培地あ
たり0.1%〜5%(w/v)の範囲、より好ましく
は、0.2%〜2%(w/v)の範囲にその含有率を選
択することが望ましい。
【0164】微生物にPHAを生産・蓄積させる培養方
法としては、一旦十分に増殖させた後に、塩化アンモニ
ウムのような窒素源を制限した培地へ菌体を移し、目的
ユニットの基質となる化合物を加えた状態でさらに培養
すると生産性が向上する場合がある。例えば、前記の異
なる培養条件からなる工程を複数段接続した多段方式の
採用が挙げられる。
【0165】その際、培養温度は、上記の菌株が良好に
増殖可能な温度であればよく、例えば、15〜40℃、
好ましくは20〜35℃の範囲、より好ましくは20℃
〜30℃の範囲に選択することが適当である。
【0166】培養は、液体培養、固体培養など、利用す
る微生物が増殖し、培地中に含有される原料のアルカン
酸から、前記一般式(1)から(10)で示されるユニッ
トを含むPHAを生産する培養方法ならば、いかなる培
養方法をも用いることができる。さらには、原料、増殖
基質、さらには酸素の供給が適正に行われるならば、バ
ッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続培養な
どの種類も問わない。例えば、液体バッチ培養の形態と
しては、振とうフラスコによって振とうさせて酸素を供
給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌通気方式
の酸素供給方法がある。
【0167】上記の培養方法に用いる無機培地として
は、リン源(例えば、リン酸塩等)、窒素源(例えば、ア
ンモニウム塩、硝酸塩等)など、微生物が増殖し得る成
分を含んでいるものであればいかなるものでも良く、例
えば無機塩培地としては、MSB培地、E培地(J.Bio
l.Chem.、218、97〜106(1956))、M9培地等を挙
げることができる。なお、本発明における実施例で用い
るM9培地の組成は以下の通りである。 [M9培地] Na2HPO4 : 6.2g KH2PO4 : 3.0g NaCl : 0.5g NH4Cl : 1.0g (培地1リットル中、pH 7.0)
【0168】さらに、良好な増殖及びPHA合成酵素の
生産のためには、上記の無機塩培地に以下に示す微量成
分溶液を 0.3%(v/v)程度添加するのが好ましい。
【0169】(微量成分溶液) ニトリロ三酢酸:1.5g MgSO4:3.0g MnSO4:0.5g
NaCl:1.0g FeSO 4:0.1g CaCl2:0.1gCoCl2
0.1g ZnSO4:0.1g CuSO4:0.1gAlK(SO4)2
0.1g H3BO3:0.1g Na2MoO4:0.1gNiCl2:0.1g
(1リットル中)
【0170】<PHAの回収>本発明にかかる培養液か
らのPHAの取得には、通常行なわれている方法を適用
することができる。PHAが培養液中に分泌される場合
は、培養液からの抽出精製方法が、また、菌体に蓄積さ
れる場合は、菌体からの抽出精製方法が用いられる。例
えば、微生物の培養菌体からのPHAの回収には、通常
行なわれているクロロホルムなどの有機溶媒による抽出
が最も簡便ではあるが、クロロホルム以外にジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンが
用いられる場合もある。また、有機溶媒が使用しにくい
環境中においては、SDS等の界面活性剤による処理、
リゾチーム等の酵素による処理、EDTA、次亜塩素酸
ナトリウム、過酸化水素、アンモニア等の薬剤による処
理によってPHA以外の菌体成分を除去して、菌体内成
分を除去することによってPHAのみを回収する方法を
採ることもできる。
【0171】なお、微生物の培養、微生物によるPHA
の生産と菌体内への蓄積、ならびに、菌体からのPHA
の回収は、上記の方法に限定されるものではない。例え
ば、本発明にかかるPHAの生産方法に利用される微生
物は上記の4種の菌株以外でも、これら4種の菌株と同
様の本発明にかかるPHA生産の生産能を有する微生物
を用いることができる。
【0172】<形質転換体を用いた生合成>また、前述
のPHA生産菌の持つPHA合成酵素遺伝子を他の微生
物に導入した形質転換体を用いて、所望のPHAを生産
することも可能である。PHA合成酵素遺伝子のクロー
ニング、発現ベクターの作製、および、形質転換体の作
製は、定法に従って行うことができる。大腸菌等の細菌
を宿主として得られた形質転換体においては、培養に用
いる培地として、天然培地あるいは合成培地、例えば、
LB培地、M9培地等が挙げられる。また、培養温度は
25 〜 37℃の範囲で、好気的に8〜27時間培養するこ
とにより、微生物の増殖を図る。その後集菌し、菌体内
に蓄積されたPHAの回収を行うことができる。培地に
は、必要に応じて、カナマイシン、アンピシリン、テト
ラサイクリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイ
シン等の抗生物質を添加しても良い。また、発現ベクタ
ーにおいて、誘導性のプロモーターを用いている場合
は、形質転換体を培養する際に、該プロモーターの対応
する誘導物質を培地に添加して発現を促しても良い。例
えば、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド
(IPTG)、テトラサイクリン、インドールアクリル
酸(IAA)等が誘導物質として挙げられる。
【0173】<3−ヒドロキシアシルCoA>本発明の
生物工学的手法を利用したカプセル化方法において、P
HA合成酵素の基質として用いる3−ヒドロキシアシル
CoAとして、具体的には、下記化学式[11]から[2
0]で表される3−ヒドロキシアシルCoAを例示する
ことができる。
【0174】
【化68】
【0175】(ただし、前記化学式中-SCoA はアル
カン酸に結合した補酵素Aを表し、式中R1およびa
は、前記化学式[1]と同様に定義される。)
【0176】
【化69】
【0177】(ただし、式中-SCoA はアルカン酸に
結合した補酵素Aを表し、b及びR2は前記化学式[2]
と同様に定義される。)
【0178】
【化70】
【0179】(ただし、式中-SCoA はアルカン酸に
結合した補酵素Aを表し、c及びR3は前記化学式[3]
と同様に定義される。)
【0180】
【化71】
【0181】(ただし、式中-SCoA はアルカン酸に
結合した補酵素Aを表し、d及びR4は前記化学式[4]
と同様に定義される。)
【0182】
【化72】
【0183】(ただし、式中-SCoA はアルカン酸に
結合した補酵素Aを表し、e及びR5は前記化学式[5]
と同様に定義される。)
【0184】
【化73】
【0185】(ただし、式中-SCoA はアルカン酸に
結合した補酵素Aを表し、fは前記化学式[6]と同様に
定義される。)
【0186】
【化74】
【0187】(ただし、式中-SCoA はアルカン酸に
結合した補酵素Aを表し、gは前記化学式[7]と同様に
定義される。)
【0188】
【化75】
【0189】(ただし、式中-SCoA はアルカン酸に
結合した補酵素Aを表し、h及びR6は前記化学式[8]
と同様に定義される。)
【0190】
【化76】
【0191】(ただし、式中-SCoA はアルカン酸に
結合した補酵素Aを表し、I及びR7は前記化学式[9]
と同様に定義される。)
【0192】
【化77】
【0193】(ただし、式中-SCoA はアルカン酸に
結合した補酵素Aを表し、jは前記化学式[10]と同様に
定義される。) これらの3−ヒドロキシアシルCoAは、例えば、酵素
を用いたin vitro合成法、微生物や植物などの生物体を
用いたin vivo合成法、化学合成法等の中から適宜選択
した方法で合成して用いることができる。特に、酵素合
成法は該基質の合成に一般に用いられている方法であ
り、市販のアシルCoAシンセターゼ(アシルCoAリ
ガーゼ、E.C.6.2.1.3)を用いた下記反応、
【0194】
【化78】
【0195】を用いた方法などが知られている(Eur.
J.Biochem.、250、432−439(1997)、Appl.Microbi
ol.Biotechnol.、54、37−43(2000)など)。酵素や
生物体を用いた合成工程には、バッチ式の合成方法を用
いても良く、また、固定化酵素や固定化細胞を用いて連
続生産してもよい。
【0196】<PHA合成酵素およびその生産菌>本発
明に用いるPHA合成酵素は、該酵素を生産する微生物
から適宜選択された微生物、あるいは、それら微生物の
PHA合成酵素遺伝子を導入した形質転換体等により生
産されたものを用いることが可能であり、前述のPHA
生産菌を好適に用いることができる。
【0197】<PHA合成酵素の取得>本発明にかかる
PHA合成酵素の生産に用いる微生物の通常の培養、例
えば、保存菌株の作成、PHA合成酵素の生産に必要と
される菌数や活性状態を確保するための増殖などには、
用いる微生物の増殖に必要な成分を含有する培地を適宜
選択して用いることが可能である。
【0198】培養は液体培養や固体培養等、該微生物が
増殖する方法であればいかなる方法をも用いることがで
きる。さらに、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続
培養、連続培養等の種類も問わない。液体バッチ培養の
形態としては、振とうフラスコによって振とうさせて酸
素を供給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌通
気方式の酸素供給方法がある。また、これらの工程を複
数段接続した多段方式を採用してもよい。
【0199】前記したようなPHA生産微生物を用い
て、PHA合成酵素を生産する場合は、例えば、オクタ
ン酸やノナン酸等のアルカン酸を含む無機培地で該微生
物を増殖させ、対数増殖期から定常期初期にかけての微
生物を遠心分離等で回収して所望の酵素を抽出する方法
などを用いることができる。なお、上記のような条件で
培養を行うと、添加したアルカン酸に由来するmcl−
PHAが菌体内に合成されることになるが、この場合、
一般に、PHA合成酵素は菌体内に形成されるPHAの
微粒子に結合して存在するとされている。しかし、本発
明者らの検討によると、上記の方法で培養した菌体の破
砕液を遠心分離した上清液にも、相当程度の酵素活性が
存在していることがわかっている。これは、前記の如き
対数増殖期から定常期初期にかけての比較的培養初期に
は、菌体内で該酵素が活発に生産され続けているため、
遊離状態のPHA合成酵素も相当程度存在するためと推
定される。
【0200】上記の培養方法に用いる無機培地として
は、リン源(例えば、リン酸塩等)、窒素源(例えば、
アンモニウム塩、硝酸塩等)など、微生物が増殖し得る
成分を含んでいるものであればいかなるものでも良く、
例えば無機塩培地としては、MSB培地、E培地(J.Bio
l.Chem.、218、97−106(1956))、M9培地等を挙げ
ることができる。なお、M9培地の組成は前述の通りであ
る。さらに、良好な増殖及びPHA合成酵素の生産のため
には、上記の無機塩培地に培地に前述の微量成分溶液を
0.3%(v/v)程度添加するのが好ましい。培養温度と
しては上記の菌株が良好に増殖可能な温度であれば良
く、例えば 15〜40℃、好ましくは 20〜35℃程度が適当
である。
【0201】また、前述のPHA生産菌の持つPHA合
成酵素遺伝子を導入した形質転換体を用いて、所望のP
HA合成酵素を生産することも可能である。PHA合成
酵素遺伝子のクローニング、発現ベクターの作製、およ
び、形質転換体の作製は、定法に従って行うことができ
る。大腸菌等の細菌を宿主として得られた形質転換体に
おいては、培養に用いる培地として、天然培地あるいは
合成培地、例えば、LB培地、M9培地等が挙げられる。ま
た、培養温度は25から37℃の範囲で、好気的に8〜27時
間培養することにより、微生物の増殖を図る。その後集
菌し、菌体内に蓄積されたPHA合成酵素の回収を行う
ことができる。培地には、必要に応じて、カナマイシ
ン、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニ
コール、ストレプトマイシン等の抗生物質を添加しても
良い。また、発現ベクターにおいて、誘導性のプロモー
ターを用いている場合は、形質転換体を培養する際に、
該プロモーターの対応する誘導物質を培地に添加して発
現を促しても良い。例えば、イソプロピル−β−D−チ
オガラクトピラノシド(IPTG)、テトラサイクリ
ン、インドールアクリル酸(IAA)等が誘導物質とし
て挙げられる。
【0202】PHA合成酵素としては、微生物の菌体破
砕液や、硫酸アンモニウム等によりタンパク質成分を沈
殿・回収した硫安塩析物などの粗酵素を用いても良く、
また、各種方法で精製した精製酵素を用いても良い。該
酵素には必要に応じて、金属塩、グリセリン、ジチオス
レイトール、EDTA、ウシ血清アルブミン(BSA)などの
安定化剤、付活剤を適宜添加して用いることができる。
【0203】PHA合成酵素の分離・精製方法は、PH
A合成酵素の酵素活性が保持される方法であればいかな
る方法をも用いることができる。例えば、得られた微生
物菌体を、フレンチプレス、超音波破砕機、リゾチーム
や各種界面活性剤等を用いて破砕したのち、遠心分離し
て得られた粗酵素液、またはここから調製した硫安塩析
物について、アフィニティクロマトグラフィー、陽イオ
ンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過等
の手段を単独または適宜組み合わせることによって精製
酵素を得ることができる。特に、遺伝子組換えタンパク
質は、N末端やC末端にヒスチジン残基等の「タグ」を結
合した融合タンパク質の形で発現させ、このタグを介し
て親和性樹脂に結合させることによって、より簡便に精
製することができる。融合タンパク質から目的のタンパ
ク質を分離するには、トロンビン、血液凝固因子Xa等の
プロテアーゼで切断する、pHを低下せしめる、結合競合
剤として高濃度のイミダゾールを添加する等の方法を用
いると良い。あるいは、発現ベクターとしてpTYB1(New
Englan Biolab社製)を用いた場合のようにタグがイ
ンテインを含む場合はdithiothreitolなどで還元条件と
して切断する。アフィニティクロマトグラフィーによる
精製を可能とする融合タンパク質には、ヒスチジンタグ
の他にグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、
キチン結合ドメイン(CBD)、マルトース結合タンパク
(MBP)、あるいはチオレドキシン(TRX)等も公知であ
る。GST融合タンパク質は、GST親和性レジンによって
精製することができる。
【0204】PHA合成酵素の活性測定は、既報の各種
方法を用いることができるが、例えば、3−ヒドロキシ
アシルCoAがPHA合成酵素の触媒作用により重合し
てPHAになる過程で放出されるCoAを、5、5'−ジ
チオビス−(2−ニトロ安息香酸)で発色させて測定す
ることを測定原理とする、以下に示す方法によって測定
することができる。試薬1:ウシ血清アルブミン(Sigm
a社製)を0.1 M トリス塩酸バッファー(pH8.0) に
3.0 mg/ml溶解、試薬2:3−ヒドロキシオクタノイル
CoAを0.1 M トリス塩酸バッファー(pH8.0) に
3.0 mM溶解、試薬3:トリクロロ酢酸を0.1 M トリス
塩酸バッファー(pH8.0) に10 mg/ml溶解、試薬4:
5、5'−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)を0.1 M
トリス塩酸バッファー(pH8.0) に2.0 mM溶解。第1
反応(PHA合成反応):試料(酵素)溶液100μlに試薬1
を100μl添加して混合し、30℃で1分間プレインキュベ
ートする。ここに、試薬2を100μl添加して混合し、30
℃で1〜30分間インキュベートしたのち、試薬3を添加し
て反応を停止させる。第2反応(遊離CoAの発色反
応):反応停止した第1反応液を遠心分離(15、000×
g、10分間)し、この上清500μlに試薬4を500μl添加
し、30℃で10分間インキュベートしたのち、412 nmの吸
光度を測定する。酵素活性の算出:1分間に1μmolのC
oAを放出させる酵素量を1単位(U)とする。
【0205】なお、該酵素により合成されるPHAは、
一般にR体のみから構成されるアイソタクチックなポリ
マーである。
【0206】<粒状体およびその製造方法 − 親水性
薬物を内包 −>本発明における粒状体は、少なくとも
薬物とPHAとを含有する粒状体であり、マイクロスフ
ェアの形態やマイクロカプセルの形態など種々の形態を
とり得る。その具体例としては、例えばPHAを含むコ
ア内に薬物を含むマイクロカプセル、または分子状で薬
物が固溶体としてPHAに溶解あるいは分散しているよ
うな粒状体(マイクロスフェア)などが挙げられる。
【0207】本発明の徐放性製剤は、例えば薬物を含む
溶液を内水相とし、PHAを含む溶液を油相とするW/
O型エマルション、あるいは、該W/O型エマルション
をさらに外水相に乳化したW/O/W型エマルションを
粒状体化して得られた粒状体単独で、あるいは粒状体と
必要に応じて添加される各種の添加剤とにより調製する
ことができる。該粒状体化は、例えば液中乾燥法、相分
離法、噴霧乾燥法またはこれらに準ずる方法によって行
うことができる。
【0208】また、薬物、PHA合成酵素および3−ヒ
ドロキシアシルCoAを含む溶液を内水相とするW/O
型エマルション、あるいは、該W/O型エマルションを
さらに、PHA合成酵素および3−ヒドロキシアシルC
oAを含んでもよい外水相に乳化したW/O/W型エマ
ルションを得、PHA合成反応を行うことにより、粒状
体を調製する方法(in vitro合成法)についても好適に
用いることができる。さらには、薬物を含む溶液を内水
相とするW/O型エマルションを、PHA合成酵素およ
び3−ヒドロキシアシルCoAを含む外水相に乳化した
W/O/W型エマルションを得、PHA合成反応を行う
ことにより、粒状体を調製する方法についても好適に用
いることができる。
【0209】<W/O型エマルションの調製 − 親
水性薬物を内包 −>薬物を含む溶液を内水相とし、本
発明のPHAを含む溶液を油相とするW/O型エマルシ
ョンは、以下のようにして製造することができる。ま
ず、水に水溶性薬物を加え溶解または分散し、これに必
要であればゼラチン、寒天、ポリビニルアルコールある
いは塩基性アミノ酸(例えばアルギニン、ヒスチジン、
リジン)などの薬物保持物質を加えて溶解もしくは懸濁
し、内水相とする。内水相における薬物の濃度は、約0.
001〜90重量%、好ましくは約0.01〜80重量%である。
該薬物保持物質の添加量は、生理活性物質に対して、通
常約0.01〜約100重量倍、より好ましくは約0.05〜約50
重量倍である。これらの薬物保持物質は、あらかじめ任
意の濃度に生理活性物質と共に水に溶解し、除菌・除塵
フィルターを用いてろ過した後、凍結乾燥して保存し、
調製時に溶解して用いることもできる。なお、本発明の
徐放性製剤においては、内水相に薬物保持物質を用いな
い場合でも、生理活性物質の取り込み率が十分満足なも
のである。
【0210】内水相には、薬物の安定性、溶解性を保つ
ためのpH調整剤として、炭酸、酢酸、シュウ酸、クエ
ン酸、リン酸、塩酸等、水酸化ナトリウム、アルギニ
ン、リジンおよびそれらの塩などを添加してもよい。ま
た、さらに薬物の安定化剤として、アルブミン、ゼラチ
ン、トレハロース、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸
ナトリウム、デキストリン、シクロデキストリン(α
−、β−、γ−)およびそれらの誘導体(例、マルトシ
ールβ−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン
スルフォブチルエーテルなど)、亜硫酸水素ナトリウ
ム、ポリエチレングリコール等のポリオール化合物、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル[例、Twee
n 80、Tween 60(花王、日本)]、ポリオキシエチレン
ヒマシ油誘導体[例、HCO-60、HCO-70(日光ケミカル
ズ、日本)]などの界面活性剤、などを、あるいは保存
剤として、一般に用いられるパラオキシ安息香酸エステ
ル類(メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、ベン
ジルアルコール、クロロブタノール、チメロサールなど
を添加してもよい。
【0211】このようにして得られる内水相とPHAを
含む溶液(油相)を混合し、ついで乳化操作を行いW/
O型エマルションを調製する。該乳化操作としては、公
知の方法が用いられる。例えば、断続振盪法、プロぺラ
型攪拌機、タービン型攪拌機などのミキサーを用いる攪
拌法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射
法などが挙げられる。本発明では、これらの方法を適宜
組み合わせて使用してもよい。このW/O型エマルショ
ンは、その乳化の程度で薬物の放出が影響を受け、乳化
の程度が不十分であると初期バーストが大きくなる傾向
にあり、内水相がある程度以上に微細な程、薬物とPH
Aの相互作用が強く、PHAによる放出制御がPHAの
種類/組成比/分子量/結晶性に依存して長期の放出制
御をより正確にできるので好ましい。
【0212】上記したPHAを含む溶液(油相)は、該
PHAを水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解したも
のが用いられる。該有機溶媒の水に対する溶解度は、好
ましくは、常温(20℃)で3重量%以下である。また
有機溶媒の沸点は120℃以下であることが好ましい。
有機溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素(例、ジ
クロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロ
エタン、トリクロロエタン、四塩化炭素など)、ケトン
類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラ
ン、エチルエーテル、イソプロピルエーテルなど)、エ
ステル類(例、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、芳香族
炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)等
が挙げられる。これらは2種以上適宜の割合で混合して
用いてもよい。有機溶媒は、さらに好ましくはハロゲン
化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、クロ
ロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化
炭素など)である。油相におけるPHAの濃度は、該P
HAの種類、分子量、溶媒の種類によって異なるが、好
ましくは約0.01〜80重量%である。さらに好まし
くは約0.1〜70重量%である。特に好ましくは約1
〜60重量%である。なお、内水相との相溶性、外水相
への有機溶媒の分配、揮散などを変化させるため、油相
に一部親水性の有機溶媒、例えばエタノール、アセトニ
トリル、アセトン、テトラヒドロフランなどを添加して
もよい。また、内部の薬物を溶解あるいは安定化させる
ために、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤を添加
してもよい。このようにして得られる油相は、フィルタ
ーで除菌・除塵ろ過して用いてもよい。また、PHAの
安定性に依存するが、PHAを含む溶液を室温ないし冷
所で密閉容器の中で保存してもよい。
【0213】薬物を含む水溶液とPHAを含む有機溶媒
溶液との混合割合は、前者1重量部当たり、後者が約0.
1〜1000重量部、好ましくは約1〜100重量部である。ま
た、
【0214】徐放性製剤における薬物の配合量は、薬物
の種類、所望の薬理効果および効果の持続期間などによ
って異なるが、PHAに対して約0.01〜50重量%
用いられる。好ましくは、約0.1〜40重量%用いら
れる。特に好ましくは、約1〜30重量%用いられる。
【0215】<W/O/W型エマルションの調製及び液
中乾燥法 − 親水性薬物を内包−>ついで、このよう
にして得られるW/O型エマルションを粒状体化工程に
付す。例えば液中乾燥法等により粒状体化を行う場合、
W/O型エマルションをさらに水相(以下、外水相と略
記する)に加え、W/O/W型エマルションを製造した
後、油相中の有機溶媒を除去し、マイクロカプセルなど
の粒状体を調製する。
【0216】外水相の体積は、一般的には油相体積の約
1ないし約10、000倍から選ばれる。さらに好まし
くは、約2ないし約5、000倍から選ばれる。特に好
ましくは、約5ないし約2、000倍から選ばれる。
【0217】外相の水相中には乳化剤を加えてもよく、
その例としては、一般に安定なW/O/W型エマルショ
ンを形成するものであればいずれでもよいが、たとえ
ば、アニオン界面活性剤(例、オレイン酸ナトリウム、
ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムな
ど)、非イオン性界面活性剤〔ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル(Tween 80、Tween 60、アトラス
パウダー社製、米国)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘
導体(HCO−70、HCO−60、HCO−50、日光ケミ
カルズ社製)など〕、あるいはポリビニルピロリドン、
ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、
レシチン、ゼラチン、ヒアルロン酸それらの誘導体など
が挙げられ、これらの中の一種類か、いくつかを組み合
わせて使用してもよい。外水相における乳化剤の濃度
は、約0.01〜20重量%、好ましくは約0.05〜10重量%の
範囲から適宜決定される。
【0218】上記外水相中に浸透圧調節剤を加えてもよ
い。本発明で用いられる浸透圧調節剤としては、水溶液
とした場合浸透圧を示すものであればいかなる物質であ
ってもよい。該浸透圧調節剤の具体例としては、例えば
水溶性の多価アルコール類、水溶性の一価アルコール
類、水溶性の単糖類、二糖類およびオリゴ糖あるいはそ
れらの誘導体、水溶性のアミノ酸、水溶性のペプチド、
タンパク質あるいはそれらの誘導体などが挙げられる。
【0219】上記水溶性の多価アルコール類としては、
例えばグリセリン等の二価アルコール類、アラビトー
ル、キシリトール、アドニトール等の五価アルコール
類、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール等の六
価アルコール類などが挙げられる。これらのうち六価の
アルコール類が好ましい。なかでも、マンニトールが特
に好ましい。上記水溶性の一価アルコール類としては、
例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル等が挙げられる。これらのうちエタノールが好まし
い。上記水溶性の単糖類としては、例えばアラビノー
ス、キシロース、リボース.2−デオキシリボース等の
五炭糖類、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、マンノー
ス、ソルボース、ラムノース、フコース等の六炭糖類が
挙げられる。これらのうち六炭糖類が好ましい。上記水
溶性の二糖類としては、例えば麦芽糖、セロビオース、
α、α−トレハロース、乳糖、ショ糖などが挙げられ
る。これらのうち乳糖、ショ糖が好ましい。上記水溶性
のオリゴ糖としては、例えばマルトトリオース、ラフィ
ノース等の三糖類、スタキオース等の四糖類などが挙げ
られる。これらのうち三糖類が好ましい。上記水溶性の
単糖類、二糖類およびオリゴ糖の誘導体としては、例え
ばグルコサミン、ガラクトサミン、グルクロン酸、ガラ
クツロン酸などが挙げられる。
【0220】上記水溶液のアミノ酸としては、例えばグ
リシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、
フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリ
ン、トレオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、シス
テイン、メチオニン等の中性アミノ酸、アイパラギン
酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸、リジン、アルギニ
ン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。ま
たこれらの水溶性アミノ酸の酸(例、塩酸、硫酸、リン
酸等)またはアルカリ(例、ナトリウム、カリウム等の
アルカリ金属等)との塩を用いてもよい。水溶性のペプ
チド、タンパク質あるいはそれらの誘導体としては、例
えばカゼイン、グロブリン、プロラミン、アルブミン、
ゼラチンなどが挙げられる。上記浸透圧調節剤のうち水
溶性の多価アルコール類、ならびに水溶性の単糖類、二
糖類およびオリゴ糖あるいはそれらの誘導体が好まし
い。水溶性の多価アルコール類、水溶性の単糖類が更に
好ましい。特に好ましくは水溶性の多価アルコール類で
ある。これら浸透圧調節剤は、単独で使用しても、1種
以上を混合して使用してもよい。これらの浸透圧調節剤
は、外水相の浸透圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50
ないし約5倍、好ましくは約1/25ないし約3倍とな
る濃度で用いられる。具体的には、これらの浸透圧調節
剤の外水相中での濃度は、浸透圧調節剤が非イオン性物
質の場合、約0.001〜60重量%、好ましくは約
0.01〜40重量%、より好ましくは約0.05〜3
0重量%、特に好ましくは約1〜10重量%である。ま
た、浸透圧調節剤がイオン性物質の場合、上記の濃度を
全体のイオン価で除した濃度が用いられる。浸透圧調節
剤の添加濃度は、溶解度以下である必要はなく、一部が
分散状態であってもよい。
【0221】本発明の製造法において、W/O/W型乳
化物を形成させる際にW/O型乳化物の粘度を50cp
から10、000cpの範囲内に調整することが好まし
い。粘度を調整する方法としては、例えば(1)油相の
PHAの濃度を調整する、(2)水相と油相との量比を
調整する、(3)W/O型乳化物の温度を調整する、
(4)外水相の温度を調整する、(5)W/O型乳化物
を外水相に注入する際に、例えばラインヒーター、クー
ラーなどでW/O型乳化物の温度を調整するなどの方法
が挙げられ、これらの方法は単独でも、組み合わせて使
用してもよい。上記方法においては、要は、W/O型乳
化物がW/O/W型乳化物になる時のW/O型乳化物の
粘度が50cpから10、000cpの範囲内になるよ
うにしさえすればよい。上記(1)において、油相のP
HAの濃度を調整する場合の濃度は、PHAの種類、有
機溶媒の種類等で変化するので一義的に決定されるもの
ではないが、好ましくは約10〜80重量%である。上
記(2)において、水相と油相との量比を調整する場合
の量比は、薬物の種類および量、油相の性質によって一
義的に決定されるものではないが、好ましくはW/O=
約1〜50体積%である。上記(3)において、W/O
型乳化物の温度を調整する場合の温度は、例えば約−2
0℃ないし有機溶媒の沸点の範囲、好ましくは約0〜3
0℃、更に好ましくは約10〜20℃である。W/O型
乳化物の粘度調整の時期は、上記(1)および(2)の
場合は、W/O型乳化物を製造する時点で行うことがで
きる。また、上記(4)において、例えば外水相にW/
O型乳化物を添加する際に外水相の温度をあらかじめ調
整しておくことにより、上記(3)と同様の結果となる
ようにすればよい。外水相の温度は、例えば約5〜30
℃、好ましくは約10〜25℃、更に好ましくは約12
〜20℃である。
【0222】有機溶媒を除去する方法は、公知の方法に
従って行うことができる。例えばプロペラ型撹拌機ある
いはマグネチックスターラーなどで撹拌しながら常圧も
しくは徐々に減圧にして有機溶媒を蒸発させる方法、ロ
ータリーエバポレーターなどを用いて真空度、温度を調
節しながら有機溶媒を蒸発させる方法などが挙げられ
る。
【0223】この後、粒状体を遠心分離あるいはろ別に
より分取し、粒状体の表面に付着している遊離の薬物、
薬物保持物質、乳化剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄
し、さらに減圧乾燥、あるいは蒸留水に再分散後に凍結
乾燥などにより残存した溶媒・水分の除去を行う。
【0224】<相分離法 − 親水性薬物を内包 −>
相分離法により粒状体化を行う場合、攪拌下、W/O型
エマルションにコアセルベーション剤を徐々に加え、P
HAを析出、固化させることにより、粒状体を調製す
る。コアセルベーション剤としては、PHAの溶剤に混
和する高分子系、鉱物油系または植物油系の化合物で、
粒状体化用のPHAを溶解しないものであればよく、例
えばシリコン油、ゴマ油、大豆油、コーン油、綿実油、
ココナッツ油、アマニ油、鉱物油、n-ヘキサン、n-ヘプ
タン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。これ
らは2種以上を混合して用いてもよい。コアセルベーシ
ョン剤の使用量は、W/O型エマルションに対し、例え
ば約0.01〜1、000容量倍、好ましくは約0.1〜200容量倍
である。このようにして得られる粒状体を、遠心分離あ
るいはろ過により分取した後、ヘキサン、ヘプタンなど
の洗浄液で繰り返し洗浄して、コアセルベーション剤を
除去し、その後、加温ないし減圧して洗浄液を蒸発させ
る。さらに、所望により、上記した水中乾燥法の場合と
同様にして、遊離の薬物および有機溶媒の除去を行う。
【0225】<噴霧乾燥法 − 親水性薬物を内包 −
>噴霧乾燥法により粒状体化を行う場合、W/O型エマ
ルションまたは水中乾燥法の場合と同様にして製造した
W/O/W型エマルションを、ノズルを用いてスプレー
ドライヤー装置(噴霧乾燥機)の乾燥室内へ噴霧し、極
めて短時間に微粒化液滴内の有機溶媒および水を揮発さ
せることにより、微粒状のマイクロカプセルなどの粒状
体を調製する。ノズルとしては、例えば二液体ノズル
型、圧力ノズル型、回転ディスク型が挙げられる。この
ようにして得られる粒状体を、所望により、蒸留水で数
回繰り返し洗浄して、マイクロカプセルなどの粒状体の
表面に付着している遊離の薬物、薬物保持物質、乳化剤
等を除去する。ついで、洗浄されたマイクロカプセル
を、減圧乾燥するか、あるいは蒸留水に再分散後凍結乾
燥して、さらに有機溶媒の除去を行ってもよい。
【0226】<マイクロカプセルなどの粒状体およびそ
の製造方法 − 親油性薬物を内包−>本発明における
粒状体は、少なくとも薬物とPHAとを含有する粒状体
であり、マイクロスフェアの形態やマイクロカプセルの
形態など種々の形態を取り得る。その具体例としては、
例えばPHAを含むコア内に薬物を含むマイクロカプセ
ル、または分子状で薬物が固溶体としてPHAに溶解あ
るいは分散しているような粒状体(マイクロスフェア)
などが挙げられる。
【0227】本発明の粒状体は、薬物、PHAおよび有
機溶媒を含む油相から有機溶媒を除去することで製造す
ることができる。本発明の製造法において、(a)薬物及
び(b)PHAを含有する有機溶媒液を製造する方法と
しては、最終的に(a)及び(b)が溶媒系で溶解状態
あるいは均一な分散液となる方法であれば如何なる方法
も用い得る。該方法としては、例えば(1)(a)を溶
媒で溶液又は分散液状態としたものと、(b)を溶媒で
溶液又は分散液状態としたものとを混合、(2)(a)
を溶媒で溶液又は分散液状態としたものと、(b)とを
混合、(3)(b)を溶媒で溶液又は分散液状態とした
ものと、(a)とを混合、(4)(a),(b)及び溶
媒を混合し、(a)及び(b)を溶媒系で溶液状態とす
る方法が挙げられる。上記の溶媒は、各溶媒を混合後、
(a)及び(b)を溶解状態とし得る溶媒系となるよう
に適宜選択される。上記の溶媒は具体的には、例えば上
記の有機溶媒の一種または二種以上を適宜の割合で混合
した溶媒に、所望により(a)及び(b)の溶解を阻害
しない程度に上記有機溶媒を加えた溶媒が用いられる。
【0228】このようにして製造された、薬物とPHA
の溶液あるいは分散液からなる油相から有機溶媒を除去
することにより、本発明のマイクロカプセルなどの粒状
体を作製することができる。
【0229】具体的には、公知のマイクロカプセルなど
の粒状体の調製方法、例えば、溶媒を蒸散させて粒状体
を固化させる方法(液中乾燥法)、あるいは上記溶液あ
るいは懸濁液にこの液と混和するがPHAを溶解しない
溶媒(いわゆる貧溶媒)を添加しながら攪拌してPHA
を相分離させることによって固化した粒状体を調製する
方法(相分離法)、あるいは噴霧乾燥法などにより固化
した粒状体を得る方法、あるいは前記油相の有機溶媒を
除去後の固体をジェットミルなどの方法を用いて粒状体
に粉砕する気体粉砕法、あるいは、これらに準ずる方法
が用いられる。また、薬物を有機溶剤中に溶解及び/又
は懸濁させ、該有機相をPHA合成酵素および3−ヒド
ロキシアシルCoAを含む多量の水中に投入して乳化さ
せてO/W型エマルションを得、PHA合成反応を行う
ことにより、マイクロカプセルなどの粒状体を調製する
方法(in vitro合成法)についても好適に用いることが
できる。
【0230】<有機溶媒具体例 − 親油性薬物を内包
−>前記有機溶媒としては、水に対する溶解度が、常
温(20℃)で3%(W/W)以下である有機溶媒が好
ましい。また有機溶媒の沸点は120℃以下であること
が好ましい。このような有機溶媒としては、例えばハロ
ゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、
クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四
塩化炭素など)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エーテル類
(例、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、イソプロ
ピルエーテルなど)、エステル類(例、酢酸エチル、酢
酸ブチルなど)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トル
エン、キシレンなど)等が挙げられる。これらは2種以
上適宜の割合で混合して用いてもよい。有機溶媒は、さ
らに好ましくはハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、ト
リクロロエタン、四塩化炭素など)である。
【0231】<薬物/PHAの濃度 − 親油性薬物を
内包 −>薬物の使用量は、薬物の種類、所望の持続性
付与期間により異なるが、溶液中の濃度としては、約
0.001%ないし約200%(W/W)、より好まし
くは0.001%ないし100%(W/W)、とりわけ
好ましくは0.01%ないし50%(W/W)から選ば
れる。また、薬物の配合量としては、薬物の種類、所望
の薬理効果および効果の持続期間などによって異なる
が、PHAに対して約0.01から約60%(w/w)
用いられる。好ましくは、約0.1から約55%(w/
w)用いられる。特に好ましくは、約1から約50%
(w/w)用いられる。PHAの濃度は、分子量、溶媒
の種類によって異なるが、好ましくは約0.01ないし
約80%(W/W)である。さらに好ましくは約0.1
ないし約70%(W/W)である。特に好ましくは約1
ないし約60%(W/W)である。
【0232】<液中乾燥法 − 親油性薬物を内包 −
>液中乾燥法によりマイクロカプセルなどの粒状体を製
造する場合は、通常、薬物、PHAおよび有機溶媒を含
む油相を水相中に分散させて、O/W型エマルションを
形成させた後、油相中の溶媒を除去することにより行わ
れる。水相の体積は、一般的には油相体積の約1ないし
約10,000倍から選ばれる。好ましくは、約2ない
し約5,000倍から選ばれる。さらに好ましくは、約
5ないし約2,000倍から選ばれる。特に好ましくは
約50〜約1000倍である。該水相の温度は予め例え
ば約5℃ないし約30℃、好ましくは約10℃ないし約
25℃、更に好ましくは約10℃ないし約20℃に調整
しておいてもよい。上記水相中に乳化剤を加えてもよ
い。該乳化剤は、一般に安定なO/W型エマルションを
形成できるものであればいずれでもよい。
【0233】乳化剤としては、非毒性、非抗原乳化剤を
用いることが好ましく、具体的には、例えばアニオン性
界面活性剤(オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナト
リウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、カチオン性界
面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド
など)、両性イオン性界面活性剤(N−ラウリルグリシ
ンなど)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル〔ツイーン(Tween)80、
ツイーン60、ツイーン40、ツイーン20、アトラス
パウダー社〕、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体〔HC
O-70、HCO-60、HCO-50、日光ケミカルズ〕など)、ポリ
ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ハイドロオキシ
エチルセルロース、レシチン、澱粉、カゼイン、ペクチ
ン、ゼラチン、アルギン酸、アルギン酸塩、ローカスト
ビーンガム、グァーガム、アラビアガム、キサンタンガ
ム、寒天、カラギーナン、ヒアルロン酸、胆汁酸塩、コ
ール酸ナトリウム、ポリオキシエチレンエーテルなどが
挙げられる。これらの乳化剤は、2種以上を適宜の割合
で混合して用いてもよい。
【0234】使用の際の乳化剤の濃度は、約0.001
〜約20%(W/V)の範囲から適宜選択できる。さら
に好ましくは約0.01〜約10%(W/V)の範囲で
用いられる。特に好ましくは約0.05〜約5%(W/
V)の範囲で用いられる。乳化工程には公知の混合装置
が種々使い得る。例えば、断続振とう法、プロペラ型攪
拌機あるいはタービン型攪拌機などのミキサーによる方
法、回転子と固定子の間隔を狭くし、高速に回転する方
法、超音波振動による方法、狭い間隔を音速以上の高速
で通過させる方法、シラスバルーンを焼結した微細孔を
有する無機質膜を通過させる方法等が挙げられる。
【0235】このO/W型エマルションは、その乳化の
程度で薬物の放出が影響を受け、乳化の程度が不十分で
あると初期バーストが大きくなる傾向にあり、内油相が
ある程度以上に微細な程、薬物とPHAの相互作用が強
く、PHAによる放出制御がPHAの生分解性に依存し
て長期の放出制御をより正確にできるので好ましい。本
発明のO/W型エマルションを製造する際の構成成分を
供給する態様も公知の技術に従い、種々の方法が取り得
る。例えば、予めPHA溶液を容器に仕込み、そこへ乳
化剤を含む水相成分を添加する方法、その添加順番を逆
にする方法、あるいは両者を一定比率で連続的に供給す
る方法等が挙げられる。回転による混合の場合は、最初
に示した順序が好ましく、この場合、初期にはPHAが
連続相を成し、水相が分散相を形成するいわゆるW/O
型エマルションであり、水相成分の添加量の増加に伴
い、W/O型からO/W型への転相が生じ、油相の粒状
体化が促進される。
【0236】有機溶媒を除去する方法は、自体公知の方
法に従って行うことができる。例えばプロペラ型撹拌機
あるいはマグネチックスターラーなどで撹拌しながら常
圧もしくは徐々に減圧にして有機溶媒を蒸発させる方
法、ロータリーエバポレーターなどを用いて真空度を調
節しながら有機溶媒を蒸発させる方法などが挙げられ
る。このO/W型エマルションから液中乾燥する際に、
有機溶媒が揮発し、マイクロカプセルなどの粒状体が固
化してその構造が決定される。このようにして得られた
粒状体は遠心分離あるいは瀘過して分取した後、粒状体
の表面に付着している遊離の薬物、薬物保持物質、乳化
剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、蒸留水などに再
分散して凍結乾燥する。
【0237】<相分離法 − 親油性薬物を内包 −>
相分離法によりマイクロカプセルなどの粒状体を製造す
る場合は、薬物とPHAとの有機溶媒溶液にコアセルベ
ーション剤を一定速度で撹拌下徐々に加え、PHAを析
出、固化させる。該コアセルベーション剤は、薬物とP
HAとの有機溶媒溶液の体積の約0.01倍ないし約
1,000倍の体積量が加えられる。さらに好ましく
は、約0.05倍ないし約500倍の体積量である。特
に好ましくは、約0.1倍ないし約200倍の体積量で
ある。コアセルベーション剤としては、PHAの溶媒に
混和する高分子系、鉱物油系または植物油系の化合物
で、PHAを溶解しないものであればよい。具体的に
は、例えばシリコン油,ゴマ油,大豆油,コーン油,綿
実油,ココナツ油,アマニ油,鉱物油,n-ヘキサン,
n-ヘプタン、メタノール、エタノールなどが挙げられ
る。
【0238】これらは2種以上混合して用いてもよい。
このようにして得られたマイクロカプセルなどの粒状体
は、瀘過して分取した後、ヘプタン等により繰り返し洗
浄し、コアセルベーション剤を除去し、さらに、遊離薬
物および溶媒の除去を行う。
【0239】<マイクロカプセルおよびその製造方法
− 液相を内包 −>本発明におけるマイクロカプセル
は、少なくとも液相とPHAとを含有する微粒子であれ
ばよく、その形態は、先に詳細に説明した。
【0240】本発明のマイクロカプセルは、例えば、内
水相、および、PHAを含む溶液を油相とするW/O型
エマルション、あるいは、該W/O型エマルションをさ
らに外水相に乳化したW/O/W型エマルション、PH
Aを含む油相、および、外水相からなるO/W型エマル
ションをマイクロカプセル化することにより製造され
る。該マイクロカプセル化は、例えば液中乾燥法、相分
離法、噴霧乾燥法またはこれらに準ずる方法によって行
われる。
【0241】また、PHA合成酵素および3−ヒドロキ
シアシルCoAを含む溶液を内水相とするW/O型エマ
ルション、あるいは、該W/O型エマルションをさら
に、PHA合成酵素および3−ヒドロキシアシルCoA
を含んでもよい外水相に乳化したW/O/W型エマルシ
ョン、あるいは、PHA合成酵素および3−ヒドロキシ
アシルCoAを含む溶液を外水相とするO/W型エマル
ションを得、PHA合成反応を行うことにより、マイク
ロカプセルを調製する方法(in vitro合成法)について
も好適に用いることができる。
【0242】<W/O型エマルションの調製 − 液相
を内包 −>内水相と、本発明のPHAを含む油相とか
らなるW/O型エマルションは、以下のようにして製造
することができる。
【0243】まず、内水相における水は、外油相の有機
溶剤溶液と比重を合わせるために無機塩または有機塩を
溶解させた水溶液の形態とすることができる。前記無機
塩としては、例えば塩化カルシウム、塩化ナトリウム、
塩化カリウム、臭化カルシウム、臭化ナトリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
水素カリウムなどがあげられる。
【0244】また、有機塩としては、例えば酢酸、シュ
ウ酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リン酸、アスコル
ビン酸などの有機酸のナトリウム塩、カリウム塩などが
あげられる。これらのうち、本発明では、とくに、経済
性、比重の合わせ易さ、洗浄の容易さの点から塩化カル
シウム水溶液を使用するのが望ましい。これらの無機塩
または有機塩は、PHAの有機溶剤溶液との比重を合わ
せるうえで、約1〜60重量/容量%、好ましくは約20〜
50重量/容量%の濃度となるように水に添加される。こ
れにより油相内に水滴が均一に分散したW/O型エマル
ションを得ることができる。
【0245】このようにして得られる内水相とPHAを
含む溶液(油相)を混合し、ついで乳化操作を行いW/
O型エマルションを調製する。該乳化操作としては、公
知の方法が用いられる。例えば、断続振盪法、プロぺラ
型攪拌機、タービン型攪拌機などのミキサーを用いる攪
拌法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射
法などが挙げられる。本発明では、これらの方法を適宜
組み合わせて使用してもよい。とくに、このW/O型エ
マルションを調製する一次乳化は、最終目的であるマイ
クロカプセル構造の均一性を保証するために重要であ
り、この段階で内水相をできる限りPHAの有機溶剤溶
液内に均一に分散させることが必要である。このために
は、内水相の水滴径をできるだけ小さくするのが好まし
いので、超音波照射法を他の分散法と組み合わせる方法
が好適に採用される。
【0246】上記したPHAを含む溶液(油相)は、該
PHAを水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解したも
のが用いられる。該有機溶媒の水に対する溶解度は、好
ましくは、常温(20℃)で3重量%以下である。また
有機溶媒の沸点は120℃以下であることが好ましい。
有機溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素(例、ジ
クロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロ
エタン、トリクロロエタン、四塩化炭素など)、ケトン
類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラ
ン、エチルエーテル、イソプロピルエーテルなど)、エ
ステル類(例、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、芳香族
炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)等
が挙げられる。これらは2種以上適宜の割合で混合して
用いてもよい。有機溶媒は、さらに好ましくはハロゲン
化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、クロ
ロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化
炭素など)である。油相におけるPHAの濃度は、該P
HAの種類、分子量、溶媒の種類によって異なるが、好
ましくは約0.01〜80重量%である。さらに好まし
くは約0.1〜70重量%である。特に好ましくは約1
〜60重量%である。
【0247】なお、内水相との相溶性、外水相への有機
溶媒の分配、揮散などを変化させるため、油相に一部親
水性の有機溶媒、例えばエタノール、アセトニトリル、
アセトン、テトラヒドロフランなどを添加してもよい。
このようにして得られる油相は、フィルターで除菌・除
塵ろ過して用いてもよい。また、PHAの安定性に依存
するが、PHAを含む溶液を室温ないし冷所で密閉容器
の中で保存してもよい。
【0248】水溶液とPHAを含む有機溶媒溶液との混
合割合は、前者1重量部当たり、後者が約0.1〜1000重
量部、好ましくは約1〜100重量部である。
【0249】<W/O/W型エマルションの調製&液中
乾燥法 − 液相を内包 −>ついで、このようにして
得られるW/O型エマルションをマイクロカプセル化工
程に付す。例えば液中乾燥法等によりマイクロカプセル
化を行う場合、W/O型エマルションをさらに水相(以
下、外水相と略記する)に加え、W/O/W型エマルシ
ョンを製造した後、油相中の有機溶媒を除去し、マイク
ロカプセルを調製する。
【0250】外水相の体積は、一般的には油相体積の約
1ないし約10、000倍から選ばれる。さらに好まし
くは、約2ないし約5、000倍から選ばれる。特に好
ましくは、約5ないし約2、000倍から選ばれる。
【0251】外相の水相中には乳化剤を加えてもよく、
その例としては、一般に安定なW/O/W型エマルショ
ンを形成するものであればいずれでもよいが、たとえ
ば、アニオン界面活性剤(例、オレイン酸ナトリウム、
ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムな
ど)、非イオン性界面活性剤〔ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル(Tween 80、Tween 60、アトラス
パウダー社製、米国)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘
導体(HCO−70、HCO−60、HCO−50、日光ケミ
カルズ社製)など〕、あるいはポリビニルピロリドン、
ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、
レシチン、ゼラチン、ヒアルロン酸それらの誘導体など
が挙げられ、これらの中の一種類か、いくつかを組み合
わせて使用してもよい。外水相における乳化剤の濃度
は、約0.01〜20重量%、好ましくは約0.05〜10重量%の
範囲から適宜決定される。
【0252】上記外水相中に浸透圧調節剤を加えてもよ
い。本発明で用いられる浸透圧調節剤としては、水溶液
とした場合浸透圧を示すものであればいかなる物質であ
ってもよい。該浸透圧調節剤の具体例としては、例えば
水溶性の多価アルコール類、水溶性の一価アルコール
類、水溶性の単糖類、二糖類およびオリゴ糖あるいはそ
れらの誘導体、水溶性のアミノ酸、水溶性のペプチド、
タンパク質あるいはそれらの誘導体などが挙げられる。
【0253】上記水溶性の多価アルコール類としては、
例えばグリセリン等の二価アルコール類、アラビトー
ル、キシリトール、アドニトール等の五価アルコール
類、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール等の六
価アルコール類などが挙げられる。これらのうち六価の
アルコール類が好ましい。なかでも、マンニトールが特
に好ましい。上記水溶性の一価アルコール類としては、
例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル等が挙げられる。これらのうちエタノールが好まし
い。上記水溶性の単糖類としては、例えばアラビノー
ス、キシロース、リボース.2−デオキシリボース等の
五炭糖類、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、マンノー
ス、ソルボース、ラムノース、フコース等の六炭糖類が
挙げられる。これらのうち六炭糖類が好ましい。上記水
溶性の二糖類としては、例えば麦芽糖、セロビオース、
α、α−トレハロース、乳糖、ショ糖などが挙げられ
る。これらのうち乳糖、ショ糖が好ましい。上記水溶性
のオリゴ糖としては、例えばマルトトリオース、ラフィ
ノース等の三糖類、スタキオース等の四糖類などが挙げ
られる。これらのうち三糖類が好ましい。上記水溶性の
単糖類、二糖類およびオリゴ糖の誘導体としては、例え
ばグルコサミン、ガラクトサミン、グルクロン酸、ガラ
クツロン酸などが挙げられる。
【0254】上記水溶液のアミノ酸としては、例えばグ
リシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、
フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリ
ン、トレオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、シス
テイン、メチオニン等の中性アミノ酸、アイパラギン
酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸、リジン、アルギニ
ン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。ま
たこれらの水溶性アミノ酸の酸(例、塩酸、硫酸、リン
酸等)またはアルカリ(例、ナトリウム、カリウム等の
アルカリ金属等)との塩を用いてもよい。水溶性のペプ
チド、タンパク質あるいはそれらの誘導体としては、例
えばカゼイン、グロブリン、プロラミン、アルブミン、
ゼラチンなどが挙げられる。上記浸透圧調節剤のうち水
溶性の多価アルコール類、ならびに水溶性の単糖類、二
糖類およびオリゴ糖あるいはそれらの誘導体が好まし
い。水溶性の多価アルコール類、水溶性の単糖類が更に
好ましい。特に好ましくは水溶性の多価アルコール類で
ある。これら浸透圧調節剤は、単独で使用しても、1種
以上を混合して使用してもよい。これらの浸透圧調節剤
は、外水相の浸透圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50
ないし約5倍、好ましくは約1/25ないし約3倍とな
る濃度で用いられる。具体的には、これらの浸透圧調節
剤の外水相中での濃度は、浸透圧調節剤が非イオン性物
質の場合、約0.001〜60重量%、好ましくは約
0.01〜40重量%、より好ましくは約0.05〜3
0重量%、特に好ましくは約1〜10重量%である。ま
た、浸透圧調節剤がイオン性物質の場合、上記の濃度を
全体のイオン価で除した濃度が用いられる。浸透圧調節
剤の添加濃度は、溶解度以下である必要はなく、一部が
分散状態であってもよい。
【0255】W/O型エマルションの水への乳化にあた
っては、W/O型エマルションを水に分散させた後、攪
拌操作を加える。攪拌操作としては、前述の乳化方法が
いずれも採用可能であるが、とくにホモジナイザーを用
いるのが単一層の有機溶剤溶液相で水を包み込んだ構造
を有する有機溶剤溶液のマイクロカプセルを得るうえで
好ましい。ホモジナイザーを用いる場合は、100 〜10
0、000rpm、好ましくは1、000 〜50、000rpm で0.1 〜3
0分間、好ましくは0.5 〜20分間操作するのがよい。
【0256】かかる操作により外部水相中でのW/O型
エマルション滴の径を小さくする。つまり、このホモジ
ナイザーによる攪拌はW/O型エマルション滴内の水相
の分散状態を変えることなく、W/O型エマルション滴
の径を低下させるのに有効である。ここで、W/O型エ
マルション滴の径を1 〜20μm にまで低下させることが
最終微粒子を高分子一枚膜構造とするためには重要であ
る。次にこの状態で、プロペラ攪拌機等で攪拌下放置す
る。この際、W/O型エマルション滴中の内水相は不安
定であるため、PHAの固化以前に互いに合一して混ざ
り合い、大きな一つの水滴になる。一方、W/O型エマ
ルション自体は外水相内の乳化剤によって安定化されて
いるため、結果として、内水相が単一層であるPHAの
有機溶剤溶液相で囲まれたカプセル構造が形成されるこ
とになる。
【0257】かかるカプセル構造をもつW/O型エマル
ション滴の形成を促すうえで、内水相の塩の種類および
その量、油相内のポリマーの濃度、油相(W/O型エマ
ルション滴)およびこれを乳化させる外水相の各温度、
さらに油相と水相の量比を適宜調節するのが好ましい。
特に内水相内に無機塩を用いることで内水相の表面張力
が増大し、水相の不安定化が促進され、粒子作成過程で
W/O型エマルション滴内の水相がお互いに合一し、一
枚膜構造のエマルションの割合が増加する。本発明の製
造法において、W/O/W型乳化物を形成させる際にW
/O型乳化物の粘度を50cpから10、000cpの
範囲内に調整することが好ましい。粘度を調整する方法
としては、例えば(1)油相のPHAの濃度を調整す
る、(2)水相と油相との量比を調整する、(3)W/
O型乳化物の温度を調整する、(4)外水相の温度を調
整する、(5)W/O型乳化物を外水相に注入する際
に、例えばラインヒーター、クーラーなどでW/O型乳
化物の温度を調整するなどの方法が挙げられ、これらの
方法は単独でも、組み合わせて使用してもよい。上記方
法においては、要は、W/O型乳化物がW/O/W型乳
化物になる時のW/O型乳化物の粘度が50cpから1
0、000cpの範囲内になるようにしさえすればよ
い。上記(1)において、油相のPHAの濃度を調整す
る場合の濃度は、PHAの種類、有機溶媒の種類等で変
化するので一義的に決定されるものではないが、好まし
くは約10〜80重量%である。上記(2)において、
水相と油相との量比を調整する場合の量比は、油相の性
質等によって一義的に決定されるものではないが、好ま
しくはW/O=約1〜50体積%である。上記(3)に
おいて、W/O型乳化物の温度を調整する場合の温度
は、例えば約−20℃ないし有機溶媒の沸点の範囲、好
ましくは約0〜30℃、更に好ましくは約10〜20℃
である。W/O型乳化物の粘度調整の時期は、上記
(1)および(2)の場合は、W/O型乳化物を製造す
る時点で行うことができる。また、上記(4)におい
て、例えば外水相にW/O型乳化物を添加する際に外水
相の温度をあらかじめ調整しておくことにより、上記
(3)と同様の結果となるようにすればよい。外水相の
温度は、例えば約5〜30℃、好ましくは約10〜25
℃、更に好ましくは約12〜20℃である。
【0258】有機溶媒を除去する方法は、公知の方法に
従って行うことができる。例えばプロペラ型撹拌機ある
いはマグネチックスターラーなどで撹拌しながら常圧も
しくは徐々に減圧にして有機溶媒を蒸発させる方法、ロ
ータリーエバポレーターなどを用いて真空度、温度を調
節しながら有機溶媒を蒸発させる方法などが挙げられ
る。
【0259】この後、必要に応じて、マイクロカプセル
を遠心分離あるいはろ別により分取し、マイクロカプセ
ルの表面に付着している乳化剤などを蒸留水で数回繰り
返し洗浄し、さらに減圧乾燥、あるいは蒸留水に再分散
後に凍結乾燥などにより残存した溶媒・水分の除去を行
っても良く、また、前記工程にて調製したマイクロカプ
セルスラリーを、そのまま適当な分散媒に分散し用いて
も良い。蒸留水に再分散する際には分散剤を加えても良
い。前記分散剤は微粒子の凝集を防止する作用を有す
る。分散剤としては、例えばTween80 系界面活性剤、シ
ョ糖脂肪酸エステル、マンニトール、ソルビトール、グ
ルコース、ガラクトース、ショ糖などが挙げられる。こ
の分散剤は約0.001 〜30重量%濃度で水に溶解して使用
される。
【0260】また、生成したPHA一枚膜構造をもつ微
粒子はそのまま再分散させてもよいが、その中には多孔
質構造をもつものが含まれるため、洗浄後、低速で遠心
分離して非沈澱物と沈澱物とに分けてもよい。この遠心
分離は約50〜3、000rpmの範囲の回転数で1〜60分間行
うのが適当である。また、遠心分離は数回行うのが好ま
しい。
【0261】遠心分離により非沈澱物相にはPHAから
なる一枚膜構造のマイクロカプセルが回収される。ま
た、乾燥した微粒子を得るために、必要ならば加温して
行う減圧乾燥法、凍結乾燥法などが使用可能であるが、
凍結乾燥法を使用するのが好ましい。
【0262】かくして粒径が1 〜10μm のマイクロカプ
セルが得られる。このマイクロカプセルは後述の実施例
に記載のようにカプセル表面に孔のない球形である。
【0263】<相分離法 − 液相を内包 −>相分離
法によりマイクロカプセル化を行う場合、攪拌下、W/
O型エマルションにコアセルベーション剤を徐々に加
え、PHAを析出、固化させることにより、マイクロカ
プセルを調製する。コアセルベーション剤としては、P
HAの溶剤に混和する高分子系、鉱物油系または植物油
系の化合物で、カプセル化用のPHAを溶解しないもの
であればよく、例えばシリコン油、ゴマ油、大豆油、コ
ーン油、綿実油、ココナッツ油、アマニ油、鉱物油、n-
ヘキサン、n-ヘプタン、メタノール、エタノールなどが
挙げられる。これらは2種以上を混合して用いてもよ
い。コアセルベーション剤の使用量は、W/O型エマル
ションに対し、例えば約0.01〜1、000容量倍、好ましく
は約0.1〜200容量倍である。このようにして得られるマ
イクロカプセルを、遠心分離あるいはろ過により分取し
た後、ヘキサン、ヘプタンなどの洗浄液で繰り返し洗浄
して、コアセルベーション剤を除去し、その後、加温な
いし減圧して洗浄液を蒸発させる。さらに、所望によ
り、上記した水中乾燥法の場合と同様にして、有機溶媒
の除去を行う。
【0264】<噴霧乾燥法 − 液相を内包 −>噴霧
乾燥法によりマイクロカプセル化を行う場合、W/O型
エマルションまたは水中乾燥法の場合と同様にして製造
したW/O/W型エマルションを、ノズルを用いてスプ
レードライヤー装置(噴霧乾燥機)の乾燥室内へ噴霧
し、極めて短時間に微粒化液滴内の有機溶媒および水を
揮発させることにより、微粒状のマイクロカプセルを調
製する。ノズルとしては、例えば二液体ノズル型、圧力
ノズル型、回転ディスク型が挙げられる。このようにし
て得られるマイクロカプセルを、所望により、蒸留水で
数回繰り返し洗浄して、マイクロカプセルの表面に付着
している乳化剤等を除去する。ついで、洗浄されたマイ
クロカプセルを、減圧乾燥するか、あるいは蒸留水に再
分散後凍結乾燥して、さらに有機溶媒の除去を行っても
よい。
【0265】<O/W型エマルションの調製 − 液相
を内包 −>O/W型エマルションから液中乾燥法によ
りマイクロカプセルを製造する場合は、通常、PHAお
よび有機溶媒を含む油相を水相中に分散させて、O/W
型エマルションを形成させた後、油相中の溶媒を除去す
ることにより行われる。水相の体積は、一般的には油相
体積の約1ないし約10、000倍から選ばれる。好ま
しくは、約2ないし約5、000倍から選ばれる。さら
に好ましくは、約5ないし約2、000倍から選ばれ
る。特に好ましくは約50〜約1000倍である。該水
相の温度は予め例えば約5℃ないし約30℃、好ましく
は約10℃ないし約25℃、更に好ましくは約10℃な
いし約20℃に調整しておいてもよい。上記水相中に乳
化剤を加えてもよい。該乳化剤は、一般に安定なO/W
型エマルションを形成できるものであればいずれでもよ
く、前述の乳化剤を好適に用いることができる。使用の
際の乳化剤の濃度は、約0.001〜約20%(W/
V)の範囲から適宜選択できる。さらに好ましくは約
0.01〜約10%(W/V)の範囲で用いられる。特
に好ましくは約0.05〜約5%(W/V)の範囲で用
いられる。また、乳化工程についても、前述した公知の
混合装置が種々使い得る。
【0266】とくに、このO/W型エマルションを調製
する乳化は、最終目的であるマイクロカプセルの構造の
均一性を保証するために重要であり、この段階でPHA
を含む内油相をできる限り外水相内に均一に分散させる
ことが必要である。このためには、内油相の液滴径をで
きるだけ小さくするのが好ましいので、超音波照射法を
他の分散法と組み合わせる方法が好適に採用される。
【0267】本発明のO/W型エマルションを製造する
際の構成成分を供給する態様も公知の技術に従い、種々
の方法が取り得る。例えば、予めPHA溶液を容器に仕
込み、そこへ乳化剤を含む水相成分を添加する方法、そ
の添加順番を逆にする方法、あるいは両者を一定比率で
連続的に供給する方法等が挙げられる。回転による混合
の場合は、最初に示した順序が好ましく、この場合、初
期にはPHAが連続相を成し、水相が分散相を形成する
いわゆるW/O型エマルションであり、水相成分の添加
量の増加に伴い、W/O型からO/W型への転相が生
じ、油相の微粒子化が促進される。
【0268】有機溶媒を除去する方法は、前述の方法に
従って行うことができる。このようにして得られたマイ
クロカプセルは、必要に応じて、遠心分離あるいは瀘過
して分取した後、マイクロカプセルの表面に付着してい
る乳化剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、蒸留水な
どに再分散して凍結乾燥して用いても良く、また、前記
工程にて調製したマイクロカプセルスラリーを、そのま
ま適当な分散媒に分散し用いても良い。
【0269】<中空粒状体およびその製造方法>本発明
における中空マイクロカプセルなどの中空粒状体は、少
なくとも、内部に気泡を含む、そのカプセル外被にPH
Aを含有する微粒子であればよく、その形態は、先に詳
細に説明した。
【0270】本発明の超音波造影剤に利用可能な中空粒
状体は、例えば、内水相、および、有機溶媒とPHAと
を含む溶液を油相とするW/O型エマルション、また
は、該W/O型エマルションをさらに外水相に乳化した
W/O/W型エマルション、あるいは、有機溶媒とPH
Aとを含む溶液の内油相、および、外水相からなるO/
W型エマルションを基に、その油相中のPHAを固化す
ることで、中空マイクロカプセル化することにより製造
される。該中空マイクロカプセル化は、例えば、液中乾
燥法、相分離法、噴霧乾燥法またはこれらに準ずる方法
によって行われる。
【0271】また、PHA合成酵素および3−ヒドロキ
シアシルCoAを含む溶液を内水相とするW/O型エマ
ルション、または、該W/O型エマルションをさらに、
PHA合成酵素および3−ヒドロキシアシルCoAを含
んでもよい外水相に乳化したW/O/W型エマルショ
ン、あるいは、PHA合成酵素および3−ヒドロキシア
シルCoAを含む溶液を外水相とするO/W型エマルシ
ョンを作製した上で、水相においてPHA合成反応を行
い、これをカプセル化することにより、中空粒状体を調
製する方法(in vitro合成法)も好適に用いることがで
きる。さらには、W/O型エマルションを、PHA合成
酵素および3−ヒドロキシアシルCoAを含む外水相に
乳化したW/O/W型エマルションを作製した上で、外
水相においてPHA合成反応を行い、これをカプセル化
することにより、中空粒状体を調製する方法も好適に用
いることができる。
【0272】<W/O型エマルションの調製 − 中空
粒状体 −>本発明の中空粒状体を製造する際に利用す
る、内水相と、PHAを含む油相とからなるW/O型エ
マルションは、以下のようにして調製することができ
る。まず、内水相に用いる水は、外油相の有機溶剤溶液
と比重を合わせるため、必要に応じて、無機塩または有
機塩を溶解させた水溶液の形態とすることができる。前
記無機塩としては、例えば、塩化カルシウム、塩化ナト
リウム、塩化カリウム、臭化カルシウム、臭化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素カリウムなどがあげられる。また、有機塩
としては、例えば、酢酸、シュウ酸、クエン酸、酒石
酸、コハク酸、リン酸、アスコルビン酸などの有機酸の
ナトリウム塩、カリウム塩などがあげられる。
【0273】これらの水溶性塩のうち、本発明では、特
に、経済性、比重調整の容易さ、洗浄の容易さの点か
ら、塩化カルシウムを使用することが望ましい。これら
の無機塩または有機塩は、PHAの有機溶剤溶液との比
重を合わせる上では、約1〜60w/v%、好ましくは、
約20〜50w/v%の濃度となるように水に添加される。
これにより、水溶液の比重と、PHAを溶解する油相の
比重との差異を無くすことで、油相内に水滴が均一に分
散したW/O型エマルションを得ることができる。
【0274】内水相とする、前記の比重調整を施した水
溶液と、PHAを含む溶液(油相)とを混合し、ついで
乳化操作を行いW/O型エマルションを調製する。この
乳化操作では、公知の方法が用いられる。例えば、断続
振盪法、プロぺラ型攪拌機、タービン型攪拌機などのミ
キサーを用いる攪拌法、コロイドミル法、ホモジナイザ
ー法、超音波照射法などが挙げられる。本発明では、こ
れらの方法を適宜組み合わせて使用してもよい。特に、
このW/O型エマルションを調製する一次乳化は、その
W/O型エマルションの内水相の水滴径が、形成される
中空粒状体の中空部の大きさ、さらには、中空粒状体の
外径をも規定するので、最終目的である中空粒状体の中
空構造の均一性を保証するために重要である。すなわ
ち、いずれの中空粒状体にも同程度の一枚膜中空構造を
もたせるためには、この段階で内水相をできる限りPH
Aの有機溶剤溶液内に均一に分散させることが必要であ
る。加えて、作製された中空粒状体を超音波造影剤とし
て使用する上では、中空粒状体の外径を、例えば、10
μm以下に留めることが望ましい。これをも考慮する
と、内水相の水滴径をできるだけ小さくするのが好まし
いので、超音波照射法を他の分散法と組み合わせる方法
が好適に採用される。
【0275】上記したPHAを含む溶液(油相)は、該
PHAを水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解したも
のが用いられる。該有機溶媒の水に対する溶解度は、好
ましくは、常温(20℃)で3%以下である。また有機
溶媒の沸点は120℃以下であることが好ましい。有機
溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例、ジク
ロロメタン,クロロホルム,クロロエタン,ジクロロエ
タン,トリクロロエタン,四塩化炭素など)、ケトン類
(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、
エチルエーテル、イソプロピルエーテルなど)、エステ
ル類(例、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、芳香族炭化
水素(例、ベンゼン,トルエン,キシレンなど)等が挙
げられる。これらの有機溶媒は、2種以上適宜の割合で
混合して用いてもよい。有機溶媒は、さらに好ましく
は、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン,クロロ
ホルム,クロロエタン,ジクロロエタン,トリクロロエ
タン,四塩化炭素など)である。油相におけるPHAの
濃度は、該PHAの種類、分子量、溶媒の種類によって
異なるが、好ましくは、約0.01〜80%である。さ
らに好ましくは、約0.1〜70%である。特に好まし
くは、約1〜60%である。
【0276】なお、内水相との相溶性、外水相への有機
溶媒の分配、揮散などを変化させるため、油相に一部親
水性の有機溶媒、例えば、エタノール、アセトニトリ
ル、アセトン、テトラヒドロフランなどを添加してもよ
い。PHAを溶解して調製された油相は、必要に応じ
て、フィルターで除菌・除塵ろ過して用いてもよい。ま
た、PHAの安定性に依存するが、PHAを含む溶液を
調製した後、それを室温ないし冷所で密閉容器の中で保
存してもよい。
【0277】水溶液とPHAを含む有機溶媒溶液との混
合割合は、前者1質量部当たり、後者が約0.1〜10
00質量部、好ましくは約1〜100質量部である。
【0278】<W/O/W型エマルションの調製、なら
びに液中乾燥法 − 中空粒状体−>ついで、得られた
W/O型エマルションを中空マイクロカプセル化工程に
付す。例えば、液中乾燥法等により中空マイクロカプセ
ル化を行う場合、W/O型エマルションを、さらに水相
(以下、外水相と略記する)に加え、W/O/W型エマ
ルションを製造した後、油相中の有機溶媒を除去し、中
空粒状体を調製する。
【0279】外水相の体積は、一般的には、油相体積の
約1ないし約10,000倍から選ばれる。さらに好ま
しくは、約2ないし約5,000倍から選ばれる。特に
好ましくは、約5ないし約2,000倍から選ばれる。
【0280】外相の水相中には乳化剤を加えてもよく、
その例としては、一般に安定なW/O/W型エマルショ
ンを形成するものであればいずれでもよいが、たとえ
ば、アニオン界面活性剤(例、オレイン酸ナトリウム、
ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムな
ど)、非イオン性界面活性剤〔ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル(Tween 80,Tween 60,アトラス
パウダー社製,米国)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘
導体(HCO−70,HCO−60,HCO−50,日光ケミ
カルズ社製)など〕、あるいはポリビニルピロリドン、
ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、
レシチン、ゼラチン、ヒアルロン酸それらの誘導体など
が挙げられ、これらの中の一種類か、いくつかを組み合
わせて使用してもよい。外水相における乳化剤の濃度
は、約0.01〜20%、好ましくは、約0.05〜10%の範囲か
ら適宜決定される。
【0281】上記外水相中に浸透圧調節剤を加えてもよ
い。本発明の製造方法で用いられる浸透圧調節剤として
は、水溶液とした場合、浸透圧を示すものであればいか
なる物質であってもよい。該浸透圧調節剤の具体例とし
ては、例えば、水溶性の多価アルコール類、水溶性の一
価アルコール類、水溶性の単糖類、二糖類およびオリゴ
糖あるいはそれらの誘導体、水溶性のアミノ酸、水溶性
のペプチド,タンパク質あるいはそれらの誘導体などが
挙げられる。
【0282】上記水溶性の多価アルコール類としては、
例えば、グリセリン等の二価アルコール類、アラビトー
ル,キシリトール,アドニトール等の五価アルコール
類、マンニトール,ソルビトール,ズルシトール等の六
価アルコール類などが挙げられる。これらのうち六価の
アルコール類が好ましい。なかでも、マンニトールが特
に好ましい。上記水溶性の一価アルコール類としては、
例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール等が挙げられる。これらのうちエタノールが好まし
い。上記水溶性の単糖類としては、例えば、アラビノー
ス,キシロース,リボース.2−デオキシリボース等の
五炭糖類、ブドウ糖,果糖,ガラクトース,マンノー
ス,ソルボース,ラムノース,フコース等の六炭糖類が
挙げられる。これらのうち、六炭糖類が好ましい。上記
水溶性の二糖類としては、例えば、麦芽糖、セロビオー
ス、α,α−トレハロース、乳糖、ショ糖などが挙げら
れる。これらのうち、乳糖、ショ糖が好ましい。上記水
溶性のオリゴ糖としては、例えば、マルトトリオース,
ラフィノース等の三糖類、スタキオース等の四糖類など
が挙げられる。それらのうちでは、三糖類が好ましい。
上記水溶性の単糖類、二糖類およびオリゴ糖の誘導体と
しては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、グル
クロン酸、ガラクツロン酸などが挙げられる。
【0283】上記水溶性のアミノ酸としては、例えば、
グリシン,アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシ
ン,フェニルアラニン,チロシン,トリプトファン,セ
リン,トレオニン,プロリン,ヒドロキシプロリン,シ
ステイン,メチオニン等の中性アミノ酸、アイパラギン
酸,グルタミン酸等の酸性アミノ酸、リジン,アルギニ
ン,ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。ま
たこれらの水溶性アミノ酸の酸(例、塩酸,硫酸,リン
酸等)またはアルカリ(例、ナトリウム,カリウム等の
アルカリ金属等)との塩を用いてもよい。水溶性のペプ
チド,タンパク質あるいはそれらの誘導体としては、例
えばカゼイン,グロブリン,プロラミン,アルブミン,
ゼラチンなどが挙げられる。
【0284】上記浸透圧調節剤のうち水溶性の多価アル
コール類、ならびに水溶性の単糖類、二糖類およびオリ
ゴ糖あるいはそれらの誘導体が好ましい。水溶性の多価
アルコール類、水溶性の単糖類が更に好ましい。特に好
ましくは水溶性の多価アルコール類である。これら浸透
圧調節剤は、単独で使用しても、1種以上を混合して使
用してもよい。これらの浸透圧調節剤は、外水相の浸透
圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50ないし約5倍、好
ましくは約1/25ないし約3倍となる濃度で用いられ
る。具体的には、これらの浸透圧調節剤の外水相中での
濃度は、浸透圧調節剤が非イオン性物質の場合、約0.
001〜60%、好ましくは約0.01〜40%、より
好ましくは約0.05〜30%、特に好ましくは約1〜
10%である。また、浸透圧調節剤がイオン性物質の場
合、上記の濃度を全体のイオン価で除した濃度が用いら
れる。ただし、浸透圧調節剤の添加濃度は、溶解度以下
である必要はなく、一部が分散状態であってもよい。
【0285】W/O型エマルションの水への乳化にあた
っては、W/O型エマルションを水に分散させた後、攪
拌操作を加える。攪拌操作としては、前述の乳化方法が
いずれも採用可能であるが、とくにホモジナイザーを用
いることが、単一層の有機溶剤溶液相で水を包み込んだ
構造を有する有機溶剤溶液のエマルション粒子(マイク
ロカプセル)を得る上で好ましい。ホモジナイザーを用
いる場合は、100 〜100,000rpm、好ましくは1,000 〜5
0,000rpm で0.1 〜30分間、好ましくは0.5 〜20分間操
作するのがよい。
【0286】かかる操作により、外部水相中でのW/O
型エマルション滴の外径を小さくする。つまり、このホ
モジナイザーによる攪拌はW/O型エマルション滴内の
水相の分散状態を変えることなく、W/O型エマルショ
ン滴の外径を低下させるのに有効である。ここで、W/
O型エマルション滴の外径を1 〜20μmにまで低下させ
ることが、最終微粒子を高分子一枚膜構造とするために
は重要である。次に、この状態で、プロペラ攪拌機等で
攪拌下放置する。この際、W/O型エマルション滴中の
内水相は不安定であるため、PHAの固化以前に、微細
な水滴が互いに合一して混ざり合い、より大きな一つの
微小水滴になる。一方、W/O型エマルション自体は外
水相内の乳化剤によって安定化されているため、結果と
して、内水相が単一層であるPHAの有機溶剤溶液相で
囲まれたカプセル構造が形成されることになる。
【0287】かかるカプセル構造をもつW/O型エマル
ション滴の形成を促すうえで、内水相の塩の種類および
その量、油相内のポリマーの濃度、油相(W/O型エマ
ルション滴)およびこれを乳化させる外水相の各温度、
さらに油相と水相の量比を適宜調節するのが好ましい。
特に、内水相内に無機塩を用いることで内水相の表面張
力が増大し、水相の不安定化が促進され、粒子作成過程
でW/O型エマルション滴内の水相がお互いに合一し、
一枚膜構造のエマルションの割合が増加する。
【0288】本発明の製造方法において、W/O/W型
乳化物を形成させる際に、W/O型乳化物の粘度を50
cpから10,000cpの範囲内に調整することが好
ましい。粘度を調整する方法としては、例えば、(1)
油相のPHAの濃度を調整する、(2)水相と油相との
量比を調整する、(3)W/O型乳化物の温度を調整す
る、(4)外水相の温度を調整する、(5)W/O型乳
化物を外水相に注入する際に、例えば、ラインヒータ
ー、クーラーなどでW/O型乳化物の温度を調整するな
どの方法が挙げられ、これらの方法は単独でも、組み合
わせて使用してもよい。上記方法を用いて、W/O型乳
化物を、W/O/W型乳化物にする際、そのW/O型乳
化物の粘度を50cpから10,000cpの範囲内に
なるように、一時的に粘度を調整しさえすればよい。上
記(1)において、油相のPHAの濃度を調整する場
合、そのPHAの濃度は、PHAの種類、有機溶媒の種
類等で変化するので一義的に決定されるものではない
が、好ましくは、約10〜80%である。上記(2)に
おいて、水相と油相との量比を調整する場合の量比は、
油相の性質等によって一義的に決定されるものではない
が、好ましくは、W/O=約1〜50v/v%である。
上記(3)において、W/O型乳化物の温度を調整する
場合、その温度は、例えば、約−20℃ないし有機溶媒
の沸点の範囲、好ましくは約0〜30℃、更に好ましく
は約10〜20℃である。W/O型乳化物の粘度調整の
時期は、上記(1)および(2)の場合は、W/O型乳
化物を製造する時点で行うことができる。また、上記
(4)において、例えば、外水相にW/O型乳化物を添
加する際に、外水相の温度を予め調整しておくことによ
り、上記(3)と同様の結果となるようにすればよい。
外水相の温度は、例えば、約5〜30℃、好ましくは約
10〜25℃、更に好ましくは約12〜20℃である。
【0289】有機溶媒を除去する方法は、公知の方法に
従って行うことができる。例えば、プロペラ型撹拌機あ
るいはマグネチックスターラーなどで撹拌しながら常圧
もしくは徐々に減圧にして有機溶媒を蒸発させる方法、
ロータリー・エバポレーターなどを用いて真空度、温度
を調節しながら有機溶媒を蒸発させる方法などが挙げら
れる。
【0290】この後、微粒子を遠心分離あるいはろ別に
より分取し、微粒子の表面に付着している乳化剤などを
蒸留水で数回繰り返し洗浄し、さらに減圧乾燥、あるい
は蒸留水に再分散後に凍結乾燥などにより残存した溶媒
・水分の除去を行う。蒸留水に再分散する際に分散剤を
加えても良い。前記分散剤は微粒子の凝集を防止する作
用を有する。分散剤としては、例えばTween80 系界面活
性剤、ショ糖脂肪酸エステル、マンニトール、ソルビト
ール、グルコース、ガラクトース、ショ糖などが挙げら
れる。この分散剤は、約0.001 〜30%濃度で水に溶解し
て使用される。
【0291】また、生成したPHA一枚膜構造をもつ微
粒子はそのまま再分散させてもよいが、その中には多孔
質構造をもつものが含まれるため、洗浄後、低速で遠心
分離して非沈澱物と沈澱物とに分けてもよい。この遠心
分離は約50〜3,000rpmの範囲の回転数で1〜60分間行う
のが適当である。また、遠心分離は数回行うのが好まし
い。
【0292】遠心分離により非沈澱物相にはPHAから
なる一枚膜構造の中空粒状体が回収され、この一枚膜構
造中空粒状体を使用した超音波造影剤は高い超音波造影
効果を発揮する。また、乾燥した微粒子を得るために、
必要ならば加温して行う減圧乾燥法、凍結乾燥法などが
使用可能であるが、凍結乾燥法を使用するのが好まし
い。
【0293】かくして粒径が1 〜10μm の中空粒状体が
得られる。この中空粒状体は後述の実施例に記載のよう
に微粒子表面に孔のない、内部に中空体を多く含む球形
である。
【0294】<相分離法 − 中空粒状体 −>相分離
法により中空マイクロカプセル化を行う場合、攪拌下、
W/O型エマルションにコア・セルベーション剤を徐々
に加え、PHAを析出、固化させることにより、中空粒
状体を調製する。コア・セルベーション剤としては、P
HAの溶剤に混和する高分子系、鉱物油系または植物油
系の化合物で、カプセル化用のPHAを溶解しないもの
であればよく、例えば、シリコン油、ゴマ油、大豆油、
コーン油、綿実油、ココナッツ油、アマニ油、鉱物油、
n-ヘキサン、n-ヘプタン、メタノール、エタノールなど
が挙げられる。これらは2種以上を混合して用いてもよ
い。コア・セルベーション剤の使用量は、W/O型エマ
ルションに対し、例えば約0.01〜1,000容量倍、好まし
くは約0.1〜200容量倍である。このようにして得られる
微粒子を、遠心分離あるいはろ過により分取した後、ヘ
キサン,ヘプタンなどの洗浄液で繰り返し洗浄して、コ
ア・セルベーション剤を除去し、その後、加温ないし減
圧して洗浄液を蒸発させる。さらに、所望により、上記
した水中乾燥法の場合と同様にして、有機溶媒の除去を
行う。
【0295】<噴霧乾燥法 − 中空粒状体 −>噴霧
乾燥法により中空マイクロカプセル化を行う場合、W/
O型エマルションまたは水中乾燥法の場合と同様にして
製造したW/O/W型エマルションを、ノズルを用いて
スプレー・ドライヤー装置(噴霧乾燥機)の乾燥室内へ
噴霧し、極めて短時間に微粒化液滴内の有機溶媒および
水を揮発させることにより、微粒状の中空粒状体を調製
する。ノズルとしては、例えば二液体ノズル型、圧力ノ
ズル型、回転ディスク型が挙げられる。このようにして
得られる微粒子を、所望により、蒸留水で数回繰り返し
洗浄して、微粒子の表面に付着している乳化剤等を除去
する。ついで、洗浄された微粒子を、減圧乾燥するか、
あるいは蒸留水に再分散後凍結乾燥して、さらに有機溶
媒の除去を行ってもよい。
【0296】<O/W型エマルションの調製 − 中空
粒状体 −>O/W型エマルションを基にして、液中乾
燥法により中空粒状体を製造する場合は、通常、PHA
および有機溶媒を含む油相を水相中に分散させて、O/
W型エマルションを形成させた後、油相中の有機溶媒を
除去することにより行われる。水相の体積は、一般的に
は油相体積の約1ないし約10,000倍から選ばれ
る。好ましくは、約2ないし約5,000倍から選ばれ
る。さらに好ましくは、約5ないし約2,000倍から
選ばれる。特に好ましくは約50〜約1000倍であ
る。該水相の温度は予め例えば約5℃ないし約30℃、
好ましくは約10℃ないし約25℃、更に好ましくは約
10℃ないし約20℃に調整しておいてもよい。上記水
相中に乳化剤を加えてもよい。該乳化剤は、一般に安定
なO/W型エマルションを形成できるものであればいず
れでもよく、前述の乳化剤を好適に用いることができ
る。使用の際の乳化剤の濃度は、約0.001〜約20
%(w/v)の範囲から適宜選択できる。さらに好まし
くは約0.01〜約10%(w/v)の範囲で用いられ
る。特に好ましくは約0.05〜約5%(w/v)の範
囲で用いられる。また、乳化工程についても、前述した
公知の混合装置が種々使い得る。
【0297】とくに、このO/W型エマルションを調製
する乳化は、油相の液滴径が中空粒状体の外径を規定
し、延いては、中空部の構造をも規定するので、最終目
的である中空粒状体の中空構造の均一性を保証するため
に重要である。いずれの中空粒状体にも同程度の中空構
造をもたせるためには、この段階でPHAを含む内油相
をできる限り外水相内に均一に分散させることが必要で
ある。このためには、内油相の液滴径をできるだけ小さ
くするのが好ましいので、超音波照射法を他の分散法と
組み合わせる方法が好適に採用される。
【0298】本発明の製造方法に利用するO/W型エマ
ルションを製造する際の構成成分を供給する態様も公知
の技術に従い、種々の方法が取り得る。例えば、予めP
HA溶液を容器に仕込み、そこへ乳化剤を含む水相成分
を添加する方法、その添加順番を逆にする方法、あるい
は両者を一定比率で連続的に供給する方法等が挙げられ
る。回転による混合の場合は、最初に示した順序が好ま
しく、この場合、初期にはPHAが連続相を成し、水相
が分散相を形成するいわゆるW/O型エマルションであ
り、水相成分の添加量の増加に伴い、W/O型からO/
W型への転相が生じ、油相の微粒子化が促進される。
【0299】有機溶媒を除去する方法は、前述のW/O
型エマルションに対しても適用される方法に従って行う
ことができる。このようにして得られた中空粒状体は遠
心分離あるいは瀘過して分取した後、微粒子の表面に付
着している乳化剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、
蒸留水などに再分散して凍結乾燥する。
【0300】<in vitro合成法>in vitro合成法による
粒状体製造工程は、前述のようにW/O型エマルショ
ン、あるいは該W/O型エマルションからW/O/W型
エマルション、またはO/W型エマルションを調製する
工程、PHA合成酵素に3−ヒドロキシアシルCoAを
反応させてPHAを合成させる工程とを少なくとも含む
ものである。PHA合成酵素などの酵素タンパク質は、
アミノ酸が多数結合したポリペプチドであり、リシン、
ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン
酸などの遊離のイオン性基を有するアミノ酸によって親
水性を示し、またアラニン、バリン、ロイシン、イソロ
イシン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニ
ン、プロリンなどの遊離の疎水性基を有するアミノ酸に
よって、また有機高分子であるという点で疎水性を有し
ている。従って、程度の差はあるが、親水性と疎水性の
両方の性質を有する水相/油相界面に存在させることが
可能である。
【0301】ここで、反応液(水相)のpHや塩濃度、
温度によってPHA合成酵素の表面電荷の正負や電荷
量、疎水性が変化するので、酵素活性上許容される範囲
内で反応液の調整を行うことが望ましい。例えば、塩濃
度を下げることにより、PHA合成酵素の電荷量を増や
すことができる。また、pHを変える事により、反対電
荷を増やすことができる。また、塩濃度を上げることに
よって疎水性を増やすことができる。また、予め電気泳
動やぬれ角等を測定し、PHA合成酵素の荷電状態や疎
水性を調べることで、反応に適した溶液条件を設定をす
ることもできる。さらに、W/O型エマルション、W/
O/W型エマルションあるいはO/W型エマルションに
おいて水相/油相界面におけるPHA合成酵素の存在量
を直接測定して条件を求めることもできる。界面におけ
る存在量の測定は、例えば、濃度既知のPHA合成酵素
溶液を用いてW/O型エマルション、W/O/W型エマ
ルションあるいはO/W型エマルションを調製した後、
水相中のフリーのPHA合成酵素濃度を測定することに
より求めることが可能である。
【0302】3−ヒドロキシアシルCoAの重合により
PHAが合成される反応において放出されるCoA量が
1分間に1μmolとなるPHA合成酵素量を1単位(U)と
したとき、反応に供する酵素の量は、例えば、油相1 g
あたり10 単位(U)から1、000単位(U)、望ましくは5
0 単位(U)から500単位(U) の範囲内に設定すると良
い。
【0303】前記のPHA合成酵素ならびに所望のPH
Aの原料となる3−ヒドロキシアシルCoAを含む反応
液中で、水相/油相界面のPHA合成酵素によりPHA
が合成されることにより、水相が内水相としてPHAに
より被覆された粒状体を形成する。上記W/O型エマル
ションあるいはO/W型エマルションにおける水相は、
PHA合成酵素の活性を発揮させ得る条件に調整された
反応系として構成されるべきであり、例えば通常、pH
5.5からpH9.0、好ましくはpH7.0からpH8.5と
なるよう、緩衝液により調製する。ただし、使用するP
HA合成酵素の至適pHやpH安定性によっては、上記
範囲以外に条件を設定することも除外されない。緩衝液
の種類は、使用するPHA合成酵素の活性を発揮させ得
るものであれば、設定するpH領域等に応じて適宜選択
して用いることができるが、例えば、一般の生化学反応
に用いられる緩衝液、具体的には、酢酸バッファー、リ
ン酸バッファー、リン酸カリウムバッファー、3−(N−
モルフォリノ)プロパンスルフォン酸(MOPS)バッファ
ー、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノ
プロパンスルフォン酸(TAPS)バッファー、トリス塩酸
バッファー、グリシンバッファー、2−(シクロヘキシ
ルアミノ)エタンスルフォン酸(CHES)バッファーなど
を用いると良い。緩衝液の濃度も、使用するPHA合成
酵素の活性を発揮させ得るものであれば特に限定はされ
ないが、通常5.0 mMから1.0 M、好ましくは0.1 Mか
ら0.2 Mの濃度のものを使用すると良い。反応温度は、
使用するPHA合成酵素の特性に応じて適宜設定するも
のであるが、通常、4℃から50℃、好ましくは20℃から4
0℃に設定すると良い。ただし、使用するPHA合成酵
素の至適温度や耐熱性によっては、上記範囲以外に条件
を設定することも除外されない。反応時間は、使用する
PHA合成酵素の安定性等にもよるが、通常、1分間か
ら24時間、好ましくは30分間から3時間の範囲内で適宜
選択して設定する。反応液中の3−ヒドロキシアシルC
oA濃度は、使用するPHA合成酵素の活性を発揮させ
得る範囲内で適宜設定するものであるが、通常、0.1 m
Mから1.0M、好ましくは0.2 mMから0.2 Mの範囲内で
設定すると良い。なお、反応液中における3−ヒドロキ
シアシルCoA濃度が高い場合、一般に、反応系のpH
が低下する傾向にあるため、3−ヒドロキシアシルCo
A濃度を高く設定する場合は、前記の緩衝液濃度も高め
に設定することが好ましい。
【0304】また、上記工程において、水系反応液中の
3−ヒドロキシアシルCoAの種類や濃度などの組成を
経時的に変化させることによって、内側から外側に向か
う方向に粒状体を構成するPHAのモノマーユニット組
成を変化させることができる。マイクロカプセル構造を
形成する場合には、シェルを構成するPHAの内側から
外側へ向かう方向でのPHAのモノマーユニット組成を
変化させることができる。
【0305】このモノマーユニット組成の変化した粒状
体の形態として、例えば、PHA被膜の組成変化が連続
的で、内側から外側に向かう方向に組成の勾配を形成し
た1層のPHAが薬物を被覆したマイクロカプセルとし
て形態を挙げることができる。製造方法としては、例え
ば、PHAを合成しながら反応液中に別組成の3−ヒド
ロキシアシルCoAを添加するなどの方法によればよ
い。
【0306】また別の形態として、PHA被膜の組成変
化が段階的で、組成の異なるPHAが薬物を多層に被覆
したマイクロカプセルとしての形態を挙げることができ
る。この製造方法としては、ある3−ヒドロキシアシル
CoAの組成でPHAを合成した後、遠心分離などによ
って調製中のマイクロカプセルを反応液からいったん回
収し、これに異なる3−ヒドロキシアシルCoAの組成
からなる反応液を再度添加するなどの方法によればよ
い。
【0307】以上、W/O型エマルションおよびO/W
型エマルションからのマイクロカプセル化を含む粒状体
化について説明したが、W/O/W型エマルションにつ
いても同様にして粒状体を製造することができる。内水
相および外水相それぞれにPHA合成酵素および3−ヒ
ドロキシアシルCoAを含有させることが可能である
が、薬物の取り込み率を高くするためには外水相におい
てのみPHAを合成させることも好ましい。内水相およ
び外水相におけるPHA合成酵素および3−ヒドロキシ
アシルCoAの存在形態については4種類の組み合わせ
が考えられるが、薬物の取り込み率、その放出特性、製
造工程の簡便さ、コスト等を考慮して決定すればよい。
【0308】上記反応により得られた粒状体は、必要に
応じて、洗浄工程に供する。粒状体の洗浄方法は、マイ
クロカプセルなどの粒状体の製造の目的上好ましくない
変化を、該粒状体に及ぼすものでない限り、特に限定は
されない。例えば、瀘過して分取した後、ヘプタン等に
より繰り返し洗浄し、遊離薬物および溶媒の除去を行
う。また、遠心分離によって該粒状体を沈殿させ、上清
を除去することによって、反応液に含まれる不要成分を
除去することができる。ここにヘプタン等の該PHAが
不溶である洗浄剤を添加し、遠心分離をする操作を行う
ことにより、さらに洗浄することもできる。さらに、上
記粒状体は、必要に応じて、乾燥工程に供することがで
きる。さらに該粒状体に各種二次加工や化学修飾等の処
理を施して使用することもできる。
【0309】例えば、マイクロカプセルなどの粒状体の
表層のPHAに化学修飾を施すことにより、さらに有用
な機能・特性を備えた粒状体を得ることができる。例え
ば、グラフト鎖を導入することにより、該グラフト鎖に
起因する各種の特性、例えば徐放性の制御、液相あるい
は気相の保持機能が向上したマイクロカプセルを得るこ
とができる。また、マイクロカプセルなどの粒状体の表
層のPHAを架橋化せしめることにより、マイクロカプ
セルの徐放性の制御、液相あるいは気相の保持機能の向
上が可能である。
【0310】化学修飾の方法は、所望の機能・構造を得
る目的を満たす方法であれば特に限定はされないが、例
えば、反応性官能基を側鎖に有するPHAを合成し、該
官能基の化学反応を利用して化学修飾する方法を、好適
な方法として用いることができる。
【0311】前記の反応性官能基の種類は、所望の機能
・構造を得る目的を満たすものであれば特に限定されな
いが、例えば、前記したエポキシ基を例示することがで
きる。エポキシ基を側鎖に有するPHAは、通常のエポ
キシ基を有するポリマーと同様の化学的変換を行うこと
ができる。具体的には、例えば水酸基に変換したり、ス
ルホン基を導入することが可能である。また、チオール
やアミンを有する化合物を付加することもでき、例え
ば、末端に反応性官能基を有する化合物、具体的には、
エポキシ基との反応性が高いアミノ基を末端に有する化
合物などを添加して反応させることにより、ポリマーの
グラフト鎖が形成される。
【0312】アミノ基を末端に有する化合物としては、
ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、アミノ変性ポ
リシロキサン(アミノ変性シリコーンオイル)などのア
ミノ変性ポリマーを例示することができる。このうち、
アミノ変性ポリシロキサンとしては、市販の変性シリコ
ーンオイルを使用しても良く、また、J.Amer.Chem.So
c.、78、2278(1956)などに記載の方法で合成して使用
することもでき、該ポリマーのグラフト鎖の付加による
徐放性の制御、液相あるいは気相の保持機能の向上、水
溶液中での自己分散性の向上等の効果が期待できる。
【0313】また、エポキシ基を有するポリマーの化学
的変換の他の例として、ヘキサメチレンジアミンなどの
ジアミン化合物、無水コハク酸、2−エチル−4−メチル
イミダゾールなどによる架橋反応が、物理化学的変換の
例として電子線照射などによる架橋反応が挙げられる。
このうち、エポキシ基を側鎖に有するPHAとヘキサメ
チレンジアミンとの反応は、下記のスキームに示すよう
な形で進行し、架橋ポリマーが生成する。
【0314】
【化79】
【0315】このようにして得られた粒状体の、粒子全
体に占める内包部の体積比率は約10%から90%の範
囲であり、粒状体の機能、機械的強度などを考慮すれ
ば、約35%から85%程度がより好ましい範囲であ
る。
【0316】得られたマイクロカプセルなどの粒状体に
おいて、薬物がPHAで被覆されていることを確認する
方法としては、一般には、例えば、ガスクロマトグラフ
ィー等による組成分析と電子顕微鏡等による形態観察と
を組み合わせた方法や、飛行時間型二次イオン質量分析
装置(TOF−SIMS)とイオンスパッタリング技術を用い
て、各構成層のマススペクトルから構造を判定する方法
などを用いることができる。しかし、さらに直接的かつ
簡便な確認方法として、本発明者らによって新たに開発
された、ナイルブルーA染色と蛍光顕微鏡観察とを組み
合わせた方法を用いることもできる。本発明者らは、P
HA合成酵素を用いた無細胞系(in vitro)でのPHA
合成を簡便に判定できる方法について鋭意検討を続けて
きた結果、PHAに特異的に結合して蛍光を発する性質
を有する薬剤であり、Appl.Environ.Microbiol.、4
4、238−241(1982) において微生物細胞(in vivo)
でのPHA生産の簡易的判別に用いることができると報
告されているナイルブルーAが、適切な使用方法および
使用条件の設定によって、無細胞系でのPHA合成の判
定にも用いることができることを見出し、上記の方法を
完成させた。即ち、本方法では、所定濃度のナイルブル
ーA溶液を濾過したのち、PHAを含む反応液に混合
し、蛍光顕微鏡で一定の波長の励起光を照射しながら観
察することにより、合成されたPHAのみから蛍光を発
せしめ、これを観察することによって、無細胞系でのP
HA合成を簡易に判定することができる。上記方法を本
発明の粒状体の製造に応用することにより、疎水溶液の
表面を被覆したPHAを直接的に観察し、評価すること
ができる。
【0317】<賦形剤 − 親水性薬物を内包 −>本
発明の徐放性製剤は、賦形剤を含有していることが好ま
しい。該賦形剤としては、生体内に投与しても毒性が少
なく、凍結乾燥または噴霧乾燥などの乾燥が容易で、生
体内に投与した場合速やかに溶解するか、また、用時溶
解するものであることが望まれる。このような賦形剤と
しては、例えば糖、セルロース誘導体、アミノ酸、タン
パク質、ポリアクリル酸誘導体、有機塩、無機塩などが
挙げられる。これらの賦形剤は、2種以上を適宜の割合
で混合して用いてもよい。ここにおいて、糖としては、
例えばD-マンニトール、アルギン酸ナトリウム、果糖、
デキストラン、デキストリン、白糖、D-ソルビトール、
ラクトース、ブドウ糖、マルトース、デンプン類、トレ
ハロースなどが挙げられる。セルロース誘導体として
は、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロ
ースアセテートサクシネートなどが挙げられる。アミノ
酸としては、例えばグリシン、アラニン、チロシン、ア
ルギニン、リジンなどが挙げられる。タンパク質として
は、例えばゼラチン、フィブリン、コラーゲン、アルブ
ミンなどが挙げられる。ポリアクリル酸誘導体として
は、例えばポリアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸
/アクリル酸共重合体(オイドラギット、ローム社製、
ドイツ)などが挙げられる。有機塩としては、例えばク
エン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウムなどが挙げられる。無機塩としては、
例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウ
ム、リン酸カリウムなどが挙げられる。賦形剤として
は、上記以外に、徐放性製剤用基剤であるポリマーを溶
解しない水溶性ポリマー、例えばポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアルコールなども用いられる。賦形剤
は、好ましくは糖類であり、とりわけ凍結乾燥が容易で
毒性が少ないD-マンニトールが好ましい。
【0318】賦形剤の使用量は、賦形剤の溶解度、賦形
剤を溶解して得られる溶液の張度、粘度、分散性、安定
性などによって決定されるが、徐放性製剤を乾燥した場
合に、乾燥徐放性製剤中の賦形剤の含量が、例えば約0.
5〜99重量%、好ましくは約1〜90重量%、より好まし
くは約2〜60重量%となるように用いられる。賦形剤と
してD-マンニトールを用いる場合は、乾燥徐放性製剤中
の賦形剤の含量が、約2〜40重量%となることが特に好
ましい。これらの賦形剤の添加によって、1)徐放性製
剤(特にマイクロスフェア)の乾燥時および乾燥後の粒
子の接触および衝突の頻度が低下し、凍結乾燥または噴
霧乾燥時の粒子の均一性が保たれる、2)徐放性製剤の
ガラス転移点以上の温度での乾燥が可能となり、より完
全な水または有機溶媒の除去が可能となる、3)徐放性
製剤の経時的安定性が改善され、分散性が良好で、冷所
保存に限定されることなく、例えば室温での長期使用期
限を有する徐放性製剤が得られるなどの優れた効果が得
られる。
【0319】本発明において、賦形剤を含有する徐放性
製剤は、例えば上記した水中乾燥法、相分離法または噴
霧乾燥法によって得られる粒状体と、賦形剤とを混合す
ることによって製造することができる。該粒状体は、洗
浄後に減圧乾燥したもの、あるいは洗浄後に蒸留水に再
分散し凍結乾燥したものであってもよい。混合の方法
は、特に限定されず、例えば混合機などを用いて行われ
るが、均一な混合物を得られるような方法が好ましい。
また、賦形剤を含有する徐放性製剤は、例えば噴霧乾燥
法により粒状体を製造する場合に、W/O型エマルショ
ンの噴霧と同時に賦形剤の水溶液を別ノズルから噴霧す
ることによっても製造することができる。さらに、賦形
剤を含有する徐放性製剤は、水中乾燥法および噴霧乾燥
法において用いられるW/O/W型エマルションを製造
する際に、外水相に賦形剤の水溶液を使用することによ
っても製造することができる。賦形剤を含有する徐放性
製剤は、好ましくは水中乾燥法、相分離法または噴霧乾
燥法によって得られる粒状体を洗浄し、洗浄された粒状
体を、賦形剤を溶解または懸濁した蒸留水に分散し、つ
いで凍結乾燥または減圧乾燥することによって製造され
る。また、洗浄された粒状体を蒸留水に分散し、得られ
る分散液に賦形剤を溶解または懸濁した後に、凍結乾燥
または減圧乾燥を行ってもよい。とりわけ、洗浄された
粒状体を賦形剤を溶解した蒸留水に分散するか、洗浄さ
れた粒状体を蒸留水に分散して得られる分散液に賦形剤
を溶解した後に、凍結乾燥することにより、均一な混合
物が得られる。
【0320】<加熱処理 − 親水性薬物を内包 −>
さらに、上記した水中乾燥法、相分離法または噴霧乾燥
法によって得られる粒状体を、所望により、PHAのガ
ラス転移温度 (Tg) 以上で、該粒状体の各粒子が互いに
付着しない程度の温度に加熱することより、粒状体中の
水および有機溶媒の除去をより完全に行うとともに、徐
放性の改善を行うことができる。この際、有機溶媒は、
約1000ppm未満、好ましくは約500ppm 未満、より好まし
くは約100ppm 未満程度まで除去することが好ましい。
加熱の時期は、所望により賦形剤を添加した後、粒状体
を凍結乾燥または減圧乾燥した後が好ましいが、特に限
定されるものではなく、例えば小分け後でもよい。
【0321】加熱温度がPHAのガラス転移温度未満で
は、水または有機溶媒の除去が充分でない場合があり、
また高温過ぎると粒状体の融着、変形、薬物の分解、劣
化等の危険性が増大するので、加熱温度は一概に定義で
きないが、PHAの物性(例、分子量、安定性等)、薬
物、粒状体の平均粒子径、加熱時間、粒状体の乾燥程
度、加熱方法等を考慮し、適宜決定することができる。
好ましくは、PHAのガラス転移温度以上で、該粒状体
の各粒子が互いに付着しない程度の温度で加熱乾燥す
る。より好ましくは、PHAのガラス転移温度からガラ
ス転移温度より約30℃高い温度以下の温度、さらに好ま
しくはポリマーのガラス転移温度からガラス転移温度よ
り約20℃高い温度以下の温度である。加熱時間は、加熱
温度、処理する粒状体量などによって異なるが、一般的
には粒状体自体の温度が所定の温度に達した後、約6〜
120時間、さらに好ましくは約12〜96時間である。ま
た、加熱時間の上限は、残存有機溶媒、水分が許容値以
下になれば特に限定されないが、ガラス転移温度以上の
条件下では粒状体が軟化し、粒状体同士の物理的接触あ
るいは粒状体積層時の荷重により変形するので、有機溶
媒、水分の残存が許容値以下になったら、速やかに加熱
を終了することが好ましい。加熱方法は特に限定されな
いが、粒状体が均一に加熱される方法であればいかなる
方法を用いてもよい。該加熱乾燥方法の好ましい具体例
として、例えば恒温槽、流動槽、移動層あるいはキルン
中で加熱乾燥する方法、マイクロ波で加熱乾燥する方法
などが用いられる。これらの中で、恒温槽中で加熱乾燥
する方法が好ましい。上記のように、凍結乾燥の後、粒
状体を減圧下加温することにより、粒状体中の有機溶媒
が効率よく除去され、生体に安全な粒状体を得ることが
できる。このようにして得られた粒状体中の有機溶媒残
存量は、約100ppm以下である。
【0322】<凝集防止剤 − 親油性薬物を内包 −
>水中乾燥法、コアセルベーション法およびin vitro合
成法での製造では、洗浄中の粒子同士の凝集を防ぐため
に、洗浄液である蒸留水に凝集防止剤を加えてもよい。
該凝集防止剤としては、例えばマンニトール,ラクトー
ス,ブドウ糖,デンプン類(例、コーンスターチ等)な
どの水溶性多糖、グリシン,フィブリン,コラーゲン等
のタンパク質、塩化ナトリウム,リン酸水素ナトリウム
等の無機塩類などが挙げられる。
【0323】<噴霧乾燥法 − 親油性薬物を内包 −
>噴霧乾燥法によってマイクロカプセルなどの粒状体を
製造する場合には、薬物とPHAとの有機溶媒溶液また
は分散液を、ノズルを用いてスプレードライヤー(噴霧
乾燥器)の乾燥室内へ噴霧し、極めて短時間に微粒化液
滴内の有機溶媒を揮発させ、粒状体を調製する。該ノズ
ルとしては、二流体ノズル型、圧力ノズル型、回転ディ
スク型等が挙げられる。このとき、所望によって薬物と
PHAとの有機溶媒溶液または分散液と同時に粒状体の
凝集防止を目的として前述の凝集防止剤の水溶液を別ノ
ズルより噴霧することも有効である。このようにして得
られた粒状体は、必要であれば加温・減圧下において粒
状体中の水分および有機溶媒の除去をさらに行う。
【0324】<有機溶媒除去方法 − 親油性薬物を内
包 −>有機溶媒を除去する方法は、前述のとおり公知
の方法に従って行うことができる。例えばプロペラ型撹
拌機あるいはマグネチックスターラーなどで撹拌しなが
ら常圧もしくは徐々に減圧にして有機溶媒を蒸発させる
方法、ロータリーエバポレーターなどを用いて真空度を
調節しながら有機溶媒を蒸発させる方法などが挙げられ
る。このO/W型エマルションから液中乾燥する際に、
有機溶媒が揮発し、マイクロカプセルなどに粒状体が固
化して粒状体の構造が決定される。このようにして得ら
れた粒状体は遠心分離あるいは瀘過して分取した後、粒
状体の表面に付着している遊離の薬物、薬物保持物質、
乳化剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、蒸留水など
に再分散して凍結乾燥する。
【0325】<凝集防止剤 − 親油性薬物を内包 −
>凍結乾燥の際に、凝集防止剤を加えてもよい。該凝集
防止剤としては、例えばマンニトール,澱粉類(例、コ
ーンスターチなど)などの水溶性多糖、無機塩類、アミ
ノ酸、タンパク質などが挙げられる。これらのうち好ま
しくはマンニトールである。粒状体と凝集防止剤との混
合比(重量比)は、約50:1ないし約1:1、好まし
くは約20:1ないし約1:1、更に好ましくは約1
0:1ないし約5:1である。洗浄中の粒子同士の凝集
を防ぐために、洗浄液である蒸留水に凝集防止剤を加え
てもよい。該凝集防止剤としては、例えばマンニトー
ル,ラクトース,ブドウ糖,デンプン類(例、コーンス
ターチ等)などの水溶性多糖、グリシン,フィブリン,
コラーゲン等のタンパク質、塩化ナトリウム,リン酸水
素ナトリウム等の無機塩類などが挙げられる。凝集防止
剤は、好ましくはマンニトールである。
【0326】<加温処理 − 親油性薬物を内包 −>
また、凍結乾燥の後、さらに減圧下加温することによ
り、粒状体中の水分および有機溶媒の除去をさらに行
い、徐放性の改善を行なってもよい。加熱温度がPHA
のガラス転移温度未満では、薬物の過剰量の初期放出性
改善の効果がなく、また高温過ぎると粒状体の融着,変
形,薬物の分解,劣化等の危険性が増大する。加熱温度
は一概にいえないが、PHAの物性(例、分子量,安定
性等)、薬物、マイクロカプセルなどの粒状体の平均粒
子径、加熱時間、粒状体の乾燥程度、加熱方法等を考慮
し適宜決定することができる。有機溶媒は1000pp
m未満、好ましくは500ppm未満、より好ましくは
100ppm未満程度まで除くのがよい。
【0327】好ましくは、PHAのガラス転移温度以上
で、該粒状体の各粒子が互いに付着しない程度の温度で
加熱乾燥する。好ましくは、PHAのガラス転移温度か
らガラス転移温度より約30℃高い温度範囲内で加熱乾
燥する。より好ましくは、ガラス転移温度以上ガラス転
移温度より10℃高い温度以下の温度、さらに好ましく
はガラス転移温度以上ガラス転移温度より5℃高い温度
以下(特にガラス転移温度より3ないし4℃高い温度)
で加熱乾燥すると徐放性が改善される。加熱乾燥時間も
加熱温度,処理する粒状体量などによって異なるが、一
般的にはマイクロカプセルなどの粒状体自体の温度が所
定の温度に達した後、約24ないし約120時間が好ま
しい。さらに約48ないし約120時間が好ましい。特
に約48〜約96時間が好ましい。とりわけ、上限に関
しては、加熱時間は残存有機溶媒、水分が許容値以下で
あれば何時間でもよいが、ガラス転移温度以上の条件下
では粒状体は軟化しており、粒状体同志の物理的接触あ
るいは積層時の荷重により変形する。従って、有機溶
媒、水分の残存が許容値以下になったら速やかに加熱乾
燥を終了することが望ましい。
【0328】加熱方法は特に限定されないが、粒状体が
均一に加熱される方法であればいかなる方法を用いても
よい。該加熱乾燥方法の好ましい具体例として、例えば
恒温槽,流動槽,移動槽あるいはキルン中で加熱乾燥す
る方法、マイクロ波で加熱乾燥する方法などが用いられ
る。これらの中で、恒温槽中で加熱乾燥する方法が好ま
しい。
【0329】<油相あるいは水相含有物 − 液相を内
包 −>上記マイクロカプセルに担持される物質は、本
発明のマイクロカプセルの用途により適宜選択される。
【0330】本発明のマイクロカプセルを例えば農薬組
成物用マイクロカプセルとして用いる場合には、マイク
ロカプセルに担持される物質としては、農薬要覧(日本
植物防疫協会発行)に記載されているものであれば、い
かなるものでも使用することができる。例えば、カーバ
メート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺
虫剤、ウレア系殺虫剤、アニライド系殺菌剤、アゾール
系殺菌剤、ジカルボキシイミド系殺菌剤などを例示でき
る。
【0331】本発明のマイクロカプセルを例えば肥料組
成物用マイクロカプセルとして用いる場合には、マイク
ロカプセルに担持される物質としては、硫安、塩安、硝
安、尿素、アセトアルデヒド縮合尿素、イソブチルアル
デヒド縮合尿素等の窒素質肥料の水溶液、過りん酸石
灰、重過りん酸石灰、熔成りん肥等のりん酸質肥料の水
溶液、硫酸加里、塩化加里等の加里質肥料の水溶液、魚
かす、骨粉、大豆油かす、なたね油かす等の有機質肥料
の水懸濁液、りん安、りん酸加里等の三要素系複合肥料
の水溶液、微量要素複合肥料の水溶液等が挙げられる。
【0332】本発明のマイクロカプセルを例えば化粧品
用マイクロカプセルとして用いる場合には、マイクロカ
プセルに担持される物質としては、保湿成分、生薬エキ
ス、チロシナーゼ、スパーオキシドジスムターゼ、リパ
ーゼのような酵素、レチノール、アスコルビン酸、トコ
フェロール、ピリドキサール、リボフラビンのようなビ
タミン、β−カロチン、クロロフィルのような有機系色
素、グリセリン、ソルビトール、尿素、乳酸、プロピレ
ングリコール、ポリチレングリコールおよび共重合体、
グルコース誘導体等のようなモイスチャー成分、パラフ
イン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、スク
ワラン、シリコーンオイル、ステアリス等のようなエモ
リエント成分、トリートメント成分、フケ抑制成分、養
毛、育毛成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料等を挙
げることができる。
【0333】本発明のマイクロカプセルを例えば人工赤
血球用マイクロカプセルとして用いる場合には、マイク
ロカプセルに担持される物質としては、ヘモグロビン、
ヘモシアニン等を挙げることができる。
【0334】本発明のマイクロカプセルを例えばインク
用あるいは塗料用マイクロカプセルとして用いる場合に
は、マイクロカプセルに担持される物質としては、染料
水溶液や顔料分散液等、具体的にはC.I.アシッドレ
ッド52、C.I.アシッドブルー1、C.I.アシッ
ドブラック2、同123等の酸性染料、C.I.ベーシ
ックブルー7、C.I.ベーシックレッド1等の塩基性
染料、C.I.ダイレクトブラック19、C.I.ダイ
レクトブルー86などの直接染料等の直接染料、C.I.
ソルベントブラック7、同123、C.I.ソルベントレ
ッド8、同49、同100、C.I.ソルベントブルー
2、同25、同55、同70、C.I.ソルベントグリー
ン3、C.I.ソルベントイエロー21、同61、C.I.
ソルベントオレンジ37、C.I.ソルベントバイオレッ
ト8、同21等の油溶性染料、C.I.リアクティブイ
エロー15、42;C.I.リアクティブレッド24、
218;C.I.リアクティブブルー38、220等の
反応性染料、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガ
ン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マ
グネタイトなどの黒色顔料、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化
鉄、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、
ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフト
ールイエローS、ハンザーイエローG、ハンザイエロー1
0G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、
キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、
タートラジンレーキなどの黄色顔料、赤色黄鉛、モリブ
デンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロン
オレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、
インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブ
リリアントオレンジGKなどの橙色顔料、ベンカラ、カ
ドミウムレッド鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネ
ントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウ
ォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レ
ーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリリアント
カーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、
アリザリンレーキなどの赤色顔料、紺青、コバルトブル
ー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、
フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、
フタロシアニンブルー一部分塩素化合物、ファーストス
カイブルー、インダスレンブルーBCなどの青色顔料、マ
ンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレッ
トレーキなどの紫色顔料、酸化クロム、クロムグリー
ン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレー
キ、ファイナルイエローグリーンGなどの緑色顔料、亜
鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの白色
顔料、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホ
ワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどの体質
顔料などを挙げることが、もちろんこれらに限定される
ものではない。
【0335】本発明のマイクロカプセルを例えば薬物徐
放用カプセルとして用いる場合には、マイクロカプセル
に担持される薬物としては、水易溶解性の薬物ならびに
水難溶解性(脂溶性)の薬物の両方を挙げることができ
る。このような薬物としてたとえばステロール(たとえ
ばコレステロール、シトステロール)、エストロゲン
(たとえばエストロン、エストラジオールおよびそのエ
ステル、エチニルエストラジオール等)、コルチコイド
およびそれらのエステル、カルシトニンのようなペプチ
ドホルモン、抗生物質(たとえばゲンタマイシン、バン
コマイシン、アミカシン、カナマイシン、ストレプトマ
イシン、ミノサイクリン、テトラサイクリン等)、クロ
ラムフェニコール、マクロライド抗生物質(たとえばエ
リスロマイシンおよびその誘導体、特にそのパルミテー
トおよびステアレート、またはスピラマイシン等)、抗
寄生菌剤および皮膚用薬剤(たとえばクロトリマゾー
ル、ミコナゾール、ジスラノール等)、消炎鎮痛剤(た
とえばインドメタシン、ジクロフェナック、フルルビプ
ロフェン、ケトプロフェン、4−ビフェニル酢酸および
そのエチルエステル等)、シアノコバラミンのようなビ
タミン類、ウロキナーゼのような酵素剤、フルオロウラ
シル、アラシチジンのような制癌制などが挙げられる。
【0336】<賦形剤 − 気相を内包 −>本発明の
中空粒状体を利用して調製される超音波造影剤は、賦形
剤を含有していても良い。該賦形剤としては、生体内に
投与しても毒性が少なく、凍結乾燥または噴霧乾燥など
の乾燥が容易で、生体内に投与した場合速やかに溶解す
るか、また、用時溶解するものであることが望まれる。
このような賦形剤としては、例えば、糖、セルロース誘
導体、アミノ酸、タンパク質、ポリアクリル酸誘導体、
有機塩、無機塩などが挙げられる。これらの賦形剤は、
2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0337】賦形剤に利用可能な糖としては、例えば、
D-マンニトール、アルギン酸ナトリウム、果糖、デキス
トラン、デキストリン、白糖、D-ソルビトール、ラクト
ース、ブドウ糖、マルトース、デンプン類、トレハロー
スなどが挙げられる。セルロース誘導体としては、例え
ばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロー
スアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセ
テートサクシネートなどが挙げられる。
【0338】また、アミノ酸としては、例えば、グリシ
ン、アラニン、チロシン、アルギニン、リジンなどが挙
げられる。タンパク質としては、例えば、ゼラチン、フ
ィブリン、コラーゲン、アルブミンなどが挙げられる。
ポリアクリル酸誘導体としては、例えば、ポリアクリル
酸ナトリウム、メタアクリル酸/アクリル酸共重合体
(オイドラギット、ローム社製、ドイツ)などが挙げら
れる。有機塩としては、例えば、クエン酸ナトリウム、
酒石酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど
が挙げられる。無機塩としては、例えば塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム
などが挙げられる。
【0339】賦形剤としては、上記以外に、PHAを溶
解しない水溶性ポリマー、例えばポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアルコールなども用いられる。賦形剤
は、好ましくは糖類であり、とりわけ凍結乾燥が容易で
毒性が少ないD-マンニトールが好ましい。
【0340】賦形剤の使用量は、賦形剤の溶解度、賦形
剤を溶解して得られる溶液の張度,粘度,分散性,安定
性などによって決定されるが、超音波造影剤を乾燥した
場合に、乾燥超音波造影剤中の賦形剤の含量が、例えば
約0.5〜99%、好ましくは約1〜90%、より好ましくは
約2〜60%となるように用いられる。賦形剤としてD-マ
ンニトールを用いる場合は、乾燥超音波造影剤中の賦形
剤の含量が、約2〜40%となることが特に好ましい。こ
れらの賦形剤の添加によって、1)超音波造影剤(特に
マイクロスフェア)の乾燥時および乾燥後の粒子の接触
および衝突の頻度が低下し、凍結乾燥または噴霧乾燥時
の粒子の均一性が保たれる、2)超音波造影剤のガラス
転移点以上の温度での乾燥が可能となり、より完全な水
または有機溶媒の除去が可能となる、3)超音波造影剤
の経時的安定性が改善され、分散性が良好で、冷所保存
に限定されることなく、例えば室温での長期使用期限を
有する超音波造影剤が得られるなどの優れた効果が得ら
れる。
【0341】本発明において、賦形剤をも含有する超音
波造影剤は、例えば、上記した水中乾燥法、相分離法ま
たは噴霧乾燥法によって得られる中空粒状体と、賦形剤
とを混合することによって製造することができる。該中
空粒状体は、洗浄後に減圧乾燥したもの、あるいは洗浄
後に蒸留水に再分散し凍結乾燥したものであってもよ
い。混合の方法は、特に限定されず、例えば、混合機な
どを用いて行われるが、均一な混合物を得られるような
方法が好ましい。
【0342】また、賦形剤を含有する超音波造影剤は、
例えば、噴霧乾燥法により中空粒状体を製造する場合
に、W/O型エマルションの噴霧と同時に賦形剤の水溶
液を別ノズルから噴霧することによっても製造すること
ができる。さらに、賦形剤を含有する超音波造影剤は、
水中乾燥法および噴霧乾燥法において用いられるW/O
/W型エマルションを製造する際に、外水相に賦形剤の
水溶液を使用することによっても製造することができ
る。賦形剤を含有する超音波造影剤は、好ましくは水中
乾燥法、相分離法または噴霧乾燥法によって得られる中
空粒状体を洗浄し、洗浄された中空粒状体を、賦形剤を
溶解または懸濁した蒸留水に分散し、ついで凍結乾燥ま
たは減圧乾燥することによって製造される。また、洗浄
された中空粒状体を蒸留水に分散し、得られる分散液に
賦形剤を溶解または懸濁した後に、凍結乾燥または減圧
乾燥を行ってもよい。とりわけ、洗浄された中空粒状体
を賦形剤を溶解した蒸留水に分散するか、洗浄された中
空粒状体を蒸留水に分散して得られる分散液に賦形剤を
溶解した後に、凍結乾燥することにより、均一な混合物
が得られる。
【0343】<加熱処理 − 気相を内包 −>さら
に、上記した水中乾燥法、相分離法または噴霧乾燥法に
よって得られる中空粒状体を、所望により、PHAのガ
ラス転移温度 (Tg) 以上で、該中空粒状体の各粒子が互
いに付着しない程度の温度に加熱することより、中空粒
状体中の水および有機溶媒の除去をより完全に行うとと
もに、気泡の保持機能の改善を行うことができる。その
際、有機溶媒は、約1000ppm未満、好ましくは約500ppm
未満、より好ましくは約100ppm 未満程度まで除去する
ことが好ましい。加熱の時期は、所望により賦形剤を添
加した後、中空粒状体を凍結乾燥または減圧乾燥した後
が好ましいが、特に限定されるものではなく、例えば小
分け後でもよい。
【0344】加熱温度がPHAのガラス転移温度未満で
は、水または有機溶媒の除去が充分でない場合があり、
また高温過ぎると中空粒状体微粒子の融着、変形等の危
険性が増大するので、加熱温度は一概に定義できない
が、PHAの物性(例、分子量、安定性等)、中空粒状
体の平均粒子径、加熱時間、中空粒状体の乾燥程度、加
熱方法等を考慮し、適宜決定することができる。好まし
くは、PHAのガラス転移温度以上で、該中空粒状体の
各粒子が互いに付着しない程度の温度で加熱乾燥する。
より好ましくは、PHAのガラス転移温度からガラス転
移温度より約30℃高い温度以下の温度、さらに好ましく
はポリマーのガラス転移温度からガラス転移温度より約
20℃高い温度以下の温度である。
【0345】加熱時間は、加熱温度,処理する中空粒状
体量などによって異なるが、一般的には中空粒状体自体
の温度が所定の温度に達した後、約6〜120時間、さら
に好ましくは約12〜96時間である。また、加熱時間の上
限は、残存有機溶媒、水分が許容値以下になれば特に限
定されないが、ガラス転移温度以上の条件下では中空粒
状体が軟化し、中空粒状体同士の物理的接触あるいは中
空粒状体積層時の荷重により変形するので、有機溶媒、
水分の残存が許容値以下になったら、速やかに加熱を終
了することが好ましい。
【0346】加熱方法は特に限定されないが、中空粒状
体が均一に加熱される方法であればいかなる方法を用い
てもよい。該加熱乾燥方法の好ましい具体例として、例
えば恒温槽,流動槽,移動層あるいはキルン中で加熱乾
燥する方法、マイクロ波で加熱乾燥する方法などが用い
られる。これらの中で、恒温槽中で加熱乾燥する方法が
好ましい。上記のように、凍結乾燥の後、中空粒状体を
減圧下加温することにより、中空粒状体中の有機溶媒が
効率よく除去され、生体に安全な中空粒状体を得ること
ができる。このようにして得られた中空粒状体中の有機
溶媒残存量は、約100ppm以下である。
【0347】<応用 − 親水性薬物を内包 −>本発
明に用いられる薬物としては、その種類は特に限定され
ず、生理活性ポリペプチド、抗生物質、抗真菌剤、抗高
脂血症剤、循環器官用剤、抗血小板薬(抗血小板凝集抑
制剤)、抗脂血症剤、抗凝血剤、止血剤、抗腫瘍剤、解
熱剤、鎮痛剤、消炎剤、鎮咳去たん剤、鎮静剤、筋弛緩
剤、抗てんかん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー
剤、強心剤、抗不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿
剤、糖尿病治療剤、ホルモン剤、抗結核剤、麻薬拮抗
剤、骨吸収抑制剤、骨形成促進剤、血管新生阻害剤など
からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いるこ
とが可能であるが、特には水溶性薬物が好ましい。
【0348】<製剤 − 親水性薬物を内包 −>本発
明の徐放性製剤は、本発明のマイクロカプセルなどの粒
状体をそのままあるいはそれを原料物質として種々の剤
形に製剤化し、例えば注射剤、埋め込み剤、経口投与製
剤(例、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、シロップ
剤、乳剤、懸濁剤等)、経鼻投与製剤、坐剤(例、直腸
坐剤、膣坐剤など)等のいずれであってもよい。これら
の製剤は、製剤分野において通常一般に用いられる公知
の方法によって製造することができる。例えば注射剤
は、上記した粒状体を、水性あるいは油性の分散媒に分
散することにより製造される。水性分散媒としては、例
えば蒸留水に等張化剤(例、塩化ナトリウム、ブドウ
糖、D-マンニトール、ソルビトール、グリセリンな
ど)、分散剤(例、Tween 80、HCO-50、HCO-60、カルボ
キシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、
保存剤(例、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウ
ム、フェノールなど)、無痛化剤(例、ブドウ糖、グル
コン酸カルシウム、塩酸プロカインなど)などを溶解し
た溶液が挙げられる。また、油性分散媒としては、例え
ばオリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、大豆油、コーン
油、中鎖脂肪酸グリセリドなどが挙げられる。該注射剤
は、プレフィルドシリンジのチャンバー内に充填されて
もよいし、また、分散媒と粒状体をいわゆるダブルチャ
ンバープレフィルドシリンジ(DPS)内の異なるチャ
ンバーに分離して充填してもよい。また、注射剤を製造
する際、粒状体に、上記の組成以外に、さらに、賦形剤
(例、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、ブド
ウ糖など)を加えて、再分散した後、凍結乾燥もしくは
噴霧乾燥して固型化し、用時に、注射用蒸留水あるいは
適当な分散媒を加えると、より安定した徐放性注射剤が
得られる。この場合の粒子径は、例えば懸濁注射剤とし
て使用する場合にはその分散度、通針性を満足する範囲
であればよく、例えば、平均粒子径として約0.1ない
し約500μmの範囲が挙げられる。好ましくは、約1
ないし約300μmの範囲の粒子径である。さらに好ま
しくは、約2ないし約200μmの範囲の平均粒子径で
ある。また、前記のように浸透圧調節剤を水相中に加え
ることにより、粒状体の形状を通針により適した球状に
することもできる。粒状体を無菌製剤にするには、例え
ば製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方
法、防腐剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定
されない。
【0349】経口投与製剤は、例えば上記した粒状体
に、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤
(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、
デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロ
ースなど)、滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネ
シウム、ポリエチレングリコール6000など)などを添加
して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、
腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコ
ーティングすることにより製造できる。コーティング剤
としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレング
リコール、ツイーン80、ブルロニックF68、セルロース
アセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテ
ートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイ
ツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および色素
(例、酸化チタン、ベンガラなど)などが用いられる。
【0350】経鼻投与製剤は、固状、半固状または液状
のいずれであってもよい。固状の経鼻投与製剤は、例え
ば上記したマイクロカプセルなどの粒状体そのままであ
ってもよいが、通常該粒状体に賦形剤(例、グルコー
ス、マンニトール、デンプン、微結晶セルロースな
ど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、ア
クリル酸重合体など)などを添加、混合することにより
製造できる。例えば液状の経鼻投与製剤は、上記した注
射剤の場合と同様にして製造することができる。また、
これらの経鼻投与製剤は、いずれも、pH調節剤(例、
炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムな
ど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、ク
ロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)などを含
んでいてもよい。
【0351】坐剤は、油性または水性であってよく、ま
た、固状、半固状あるいは液状のいずれであってもよ
い。坐剤は、通常油性基剤、水性基剤または水性ゲル基
剤を用いて製造される。油性基剤としては、例えば高級
脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類
(ダイナマイトノーベル社、ドイツ)など〕、中級脂肪
酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社、ド
イツ)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、
綿実油など)などが挙げられる。水性基剤としては、例
えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール
などが挙げられる。水性ゲル基剤としては、例えば天然
ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル
酸重合体などが挙げられる。
【0352】本発明の徐放性製剤は、低毒性で哺乳動物
(例、ヒト、牛、豚、犬、ネコ、マウス、ラット、ウサ
ギ等)に対して安全に用いることができる。徐放性製剤
の投与量は、薬物の種類と含量、剤形、薬物放出の持続
時間、対象疾病〔例、前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内
膜症、子宮筋腫、子宮線維腫、思春期早発症、乳癌、膀
胱癌、子宮頚部癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白
血病、大腸癌、胃炎、ホジキン病、悪性黒色腫、転移、
多発性骨髄腫、非ホジキン性リンパ腫、非小細胞肺癌、
卵巣癌、消化性潰瘍、全身性真菌感染症、小細胞肺癌、
心弁膜症、乳腺症、多嚢胞性卵巣、不妊、慢性無排卵症
婦人における適性排卵誘発、ざそう(アクネ)、無月経
(例、続発性無月経)、卵巣および乳房の嚢胞性疾患
(多嚢胞性卵巣を含む)、婦人科系の癌、卵巣性高アン
ドロゲン血症および多毛症、胸腺幼若化を介したT細胞
産生によるAIDS、男性性犯罪者の治療のための男性
避妊等のホルモン依存性疾患の治療および避妊、月経前
症候群(PMS)の症状軽減、体外受精(IVF)
等〕、対象動物などによって種々異なるが、薬物の有効
量であればよい。薬物の1回あたりの投与量としては、
例えば徐放性製剤が1カ月製剤である場合、好ましく
は、成人1人当たり約0.01mgないし約100mg/kg
体重の範囲から適宜選ぶことができる。さらに好ましく
は、約0.05mgないし約50mg/kg体重の範囲から適
宜選ぶことができる。特に好ましくは、約0.1mgない
し約10mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
1回あたりの徐放性製剤の投与量は成人1人当たり好ま
しくは、約0.1mgないし約500mg/kg体重の範囲か
ら適宜選ぶことができる。さらに好ましくは、約0.2
mgないし約300mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことが
できる。投与回数は、数週間に1回、1か月に1回、あ
るいは数か月に1回等、薬物の種類と含量、剤形、薬物
放出の持続時間、対象疾病、対象動物などによって適宜
選ぶことができる。
【0353】<応用 − 親油性薬物を内包 −>本発
明に用いられる薬物としては、その種類は特に限定され
ず、抗生物質、抗真菌剤、抗高脂血症剤、循環器官用
剤、抗血小板薬(血小板凝集抑制剤)、抗腫瘍剤、解熱
剤、鎮痛剤、消炎剤、鎮咳去たん剤、鎮静剤、抗てんか
ん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、
不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、糖尿病治療
剤、ホルモン剤、骨吸収抑制剤からなる群から選ばれる
1種または2種以上を用いることが可能であるが、特に
は難水溶性薬物が好ましく、例えばステロイド系統の薬
物、プロテイン薬物、ペプチド薬物、5−フルオロウラ
シル、Me−CCUN、オメプラゾル(omeprazole)、
プラチナ製剤(具体的にはシスプラチン、カルボプラチ
ン、イソプラチン又はこれらの修飾体等)の如き抗癌剤
及びその他の一般的な抗生剤などが好適に使用可能であ
る。
【0354】<製剤 − 親油性薬物を内包 −>本発
明の徐放性製剤は、本発明のマイクロカプセルなどの粒
状体をそのまま、あるいは、粒状体を原料物質として種
々の剤形に製剤化し、例えば注射剤、埋め込み剤、経口
投与製剤(例、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、シロ
ップ剤、乳剤、懸濁剤等)、経鼻投与製剤、坐剤(例、
直腸坐剤、膣坐剤など)等のいずれであってもよい。
【0355】これらの製剤は、製剤分野において通常一
般に用いられる公知の方法によって製造することができ
る。例えば注射剤は、上記した粒状体を、水性あるいは
油性の分散媒に分散することにより製造される。水性分
散媒としては、例えば蒸留水に等張化剤(例、塩化ナト
リウム、ブドウ糖、D-マンニトール、ソルビトール、グ
リセリンなど)、分散剤(例、Tween 80、HCO-50、HCO-
60、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウ
ムなど)、保存剤(例、ベンジルアルコール、塩化ベン
ザルコニウム、フェノールなど)、無痛化剤(例、ブド
ウ糖、グルコン酸カルシウム、塩酸プロカインなど)な
どを溶解した溶液が挙げられる。また、油性分散媒とし
ては、例えばオリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、大豆
油、コーン油、中鎖脂肪酸グリセリドなどが挙げられ
る。該注射剤は、プレフィルドシリンジのチャンバー内
に充填されてもよいし、また、分散媒と粒状体をいわゆ
るダブルチャンバープレフィルドシリンジ(DPS)内
の異なるチャンバーに分離して充填してもよい。また、
注射剤を製造する際、粒状体に、上記の組成以外に、さ
らに、賦形剤(例、マンニトール、ソルビトール、ラク
トース、ブドウ糖など)を加えて、再分散した後、凍結
乾燥もしくは噴霧乾燥して固型化し、用時に、注射用蒸
留水あるいは適当な分散媒を加えると、より安定した徐
放性注射剤が得られる。この場合の粒子径は、例えば懸
濁注射剤として使用する場合にはその分散度、通針性を
満足する範囲であればよく、例えば、平均粒子径として
約0.1ないし約500μmの範囲が挙げられる。好ま
しくは、約1ないし約300μmの範囲の粒子径であ
る。さらに好ましくは、約2ないし約200μmの範囲
の平均粒子径である。また、前記のように浸透圧調節剤
を水相中に加えることにより、粒状体の形状を通針によ
り適した球状にすることもできる。粒状体を無菌製剤に
するには、例えば製造全工程を無菌にする方法,ガンマ
線で滅菌する方法,防腐剤を添加する方法等が挙げられ
るが、特に限定されない。経口投与製剤は、例えば上記
したマイクロカプセルなどの粒状体に、賦形剤(例、乳
糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭
酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、アラビア
ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリ
ドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、滑沢剤
(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレ
ングリコール6000など)などを添加して圧縮成形し、次
いで必要により、味のマスキング,腸溶性あるいは持続
性の目的のため自体公知の方法でコーティングすること
により製造できる。コーティング剤としては、例えばヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース,エチルセルロー
ス,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピル
セルロース,ポリオキシエチレングリコール,ツイーン
80,ブルロニックF68,セルロースアセテートフタレー
ト,ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート,
ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート,
オイドラギット(ローム社製,ドイツ,メタアクリル酸
・アクリル酸共重合)および色素(例、酸化チタン,ベ
ンガラなど)などが用いられる。
【0356】経鼻投与製剤は、固状、半固状または液状
のいずれであってもよい。固状の経鼻投与製剤は、例え
ば上記したマイクロカプセルなどの粒状体そのままであ
ってもよいが、通常該粒状体に賦形剤(例、グルコー
ス、マンニトール、デンプン、微結晶セルロースな
ど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、ア
クリル酸重合体など)などを添加、混合することにより
製造できる。例えば液状の経鼻投与製剤は、上記した注
射剤の場合と同様にして製造することができる。また、
これらの経鼻投与製剤は、いずれも、pH調節剤(例、
炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムな
ど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、ク
ロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)などを含
んでいてもよい。
【0357】坐剤は、油性または水性であってよく、ま
た、固状、半固状あるいは液状のいずれであってもよ
い。坐剤は、通常油性基剤、水性基剤または水性ゲル基
剤を用いて製造される。油性基剤としては、例えば高級
脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類
(ダイナマイトノーベル社、ドイツ)など〕、中級脂肪
酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社、ド
イツ)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、
綿実油など)などが挙げられる。水性基剤としては、例
えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール
などが挙げられる。水性ゲル基剤としては、例えば天然
ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル
酸重合体などが挙げられる。
【0358】本発明の徐放性製剤は、低毒性で哺乳動物
(例、ヒト,牛,豚,犬,ネコ,マウス,ラット,ウサ
ギ等)に対して安全に用いることができる。徐放性製剤
の投与量は、薬物の種類と含量、剤形、薬物放出の持続
時間、対象疾病〔例、前立腺癌,前立腺肥大症,子宮内
膜症,子宮筋腫,子宮線維腫,思春期早発症,乳癌,膀
胱癌,子宮頚部癌,慢性リンパ性白血病,慢性骨髄性白
血病,大腸癌,胃炎,ホジキン病,悪性黒色腫,転移,
多発性骨髄腫,非ホジキン性リンパ腫,非小細胞肺癌,
卵巣癌,消化性潰瘍,全身性真菌感染症,小細胞肺癌,
心弁膜症,乳腺症,多嚢胞性卵巣,不妊,慢性無排卵症
婦人における適性排卵誘発,ざそう(アクネ),無月経
(例、続発性無月経),卵巣および乳房の嚢胞性疾患
(多嚢胞性卵巣を含む),婦人科系の癌,卵巣性高アン
ドロゲン血症および多毛症,胸腺幼若化を介したT細胞
産生によるAIDS,男性性犯罪者の治療のための男性
避妊等のホルモン依存性疾患の治療および避妊,月経前
症候群(PMS)の症状軽減,体外受精(IVF)
等〕、対象動物などによって種々異なるが、薬物の有効
量であればよい。薬物の1回あたりの投与量としては、
例えば徐放性製剤が1カ月製剤である場合、好ましく
は、成人1人当たり約0.01mgないし約100mg/kg
体重の範囲から適宜選ぶことができる。さらに好ましく
は、約0.05mgないし約50mg/kg体重の範囲から適
宜選ぶことができる。特に好ましくは、約0.1mgない
し約10mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
1回あたりの徐放性製剤の投与量は成人1人当たり好ま
しくは、約0.1mgないし約500mg/kg体重の範囲か
ら適宜選ぶことができる。さらに好ましくは、約0.2
mgないし約300mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことが
できる。投与回数は、数週間に1回、1か月に1回、あ
るいは数か月に1回等、薬物の種類と含量、剤形、薬物
放出の持続時間、対象疾病、対象動物などによって適宜
選ぶことができる。
【0359】<応用 − 液相を内包 −>本発明のマ
イクロカプセルを例えば農薬組成物として用いる場合に
は、マイクロカプセル化工程で得られるスラリーをその
まま農薬組成物として使用することも可能であるが、水
性懸濁剤、水和剤、粉剤、粒剤等のより使用し易い形態
の製剤にして用いることも可能であり、中でも水性懸濁
剤として用いるのが好ましい。該水性懸濁剤は、上述の
ようにして得られたマイクロカプセルスラリーに増粘
剤、凍結防止剤、比重調節剤、防腐剤等の安定剤を添加
して調製される。用いられる増粘剤としては、カルボキ
シメチルセルロース、ザンタンガム、ラムザンガム、ロ
ーカストビーンガム、カラギーナン、ウェランガム等の
多糖類、ポリアクリル酸ソーダ等の合成高分子、アルミ
ニウムマグネシウムシリケート、スメクタイト、ベント
ナイト、ヘクトライト、乾式法シリカ等の鉱物質微粉
末、アルミナゾルなどが挙げられ、凍結防止剤として
は、プロピレングリコール等のアルコール類が挙げら
れ、比重調節剤としては硫酸ナトリウム等の水溶性塩
類、尿素などが挙げられる。
【0360】本発明のマイクロカプセルを例えば肥料組
成物として用いる場合には、マイクロカプセル化工程で
得られるスラリーをそのまま肥料組成物として使用する
ことも可能であるが、水性懸濁剤、水和剤、粉剤、粒剤
等のより使用し易い形態の製剤にして用いることも可能
であり、中でも水性懸濁剤として用いるのが好ましい。
該水性懸濁剤は、上述のようにして得られたマイクロカ
プセルスラリーに増粘剤、凍結防止剤、比重調節剤、防
腐剤等の安定剤を添加して調製される。用いられる増粘
剤としては、カルボキシメチルセルロース、ザンタンガ
ム、ラムザンガム、ローカストビーンガム、カラギーナ
ン、ウェランガム等の多糖類、ポリアクリル酸ソーダ等
の合成高分子、アルミニウムマグネシウムシリケート、
スメクタイト、ベントナイト、ヘクトライト、乾式法シ
リカ等の鉱物質微粉末、アルミナゾルなどが挙げられ、
凍結防止剤としては、プロピレングリコール等のアルコ
ール類が挙げられ、比重調節剤としては硫酸ナトリウム
等の水溶性塩類、尿素などが挙げられる。
【0361】本発明のマイクロカプセルを例えば化粧料
組成物として用いる場合には、分散媒としては、固体状
又は液状パラフィン、クリスタルオイル、セレシン、オ
ゾケライト又はモンタンロウなどの炭化水素類;オリー
ブ、地ロウ、カルナウバロウ、ラノリン又は鯨ロウなど
の植物もしくは動物性油脂及びロウ;ステアリン酸、パ
ルミチン酸、オレイン酸、グリセリンモノステアリン酸
エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グルセ
リンモノオレイン酸エステル、イソプロピルミリスチン
酸エステル、イソプロピルステアリン酸エステル又はブ
チルステアリン酸エステルなどの脂肪酸及びそれらのエ
ステル類;メチルポリシロキサン、メチルポリシクロシ
ロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シリコーン
ポリエーテルコポリマーなどのシリコーン類;エタノー
ル、イソプロピルアルコール、セチルアルコール、ステ
アリルアルコール、パルミチルアルコール又はヘキシル
ドデシルアルコールなどのアルコール類;グリコール、
グリセリン又はソルビトールなどの保湿作用を有する多
価アルコール類など公知の化粧料基剤に分散され調製さ
れる。
【0362】本発明のマイクロカプセルを例えば人工赤
血球組成物として用いる場合には、マイクロカプセル化
工程で得られるスラリーを生理食塩水に懸濁し、さらに
ゲルろ過法、遠心分離法など公知の手段によって粗大粒
子を除去する。
【0363】本発明のマイクロカプセルを例えばインク
組成物として用いる場合には、水性媒体に分散される。
水性媒体への分散を補助する目的で、界面活性剤や保護
コロイド、さらには水溶性有機溶剤などを、塗膜の耐水
性を著しく低下させない範囲で添加することもできる。
また防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤等を
添加することもできる。本発明の水性顔料インクに添加
しても良い保護コロイドとして具体的には、にかわ、ゼ
ラチン、カゼイン、アルブミン、アラビアゴム、フィッ
シュグリューなどの天然タンパク質やアルギン酸、メチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチ
レンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール、ポリアクリルアミド、芳香族アミド、ポ
リアクリル酸、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリ
ドン、アクリル、ポリエステル等の合成高分子等が挙げ
られる。保護コロイドは、定着性や粘度調節、速乾性を
挙げる目的で、必要に応じて使用されるものであり、イ
ンク中の保護コロイドの含有割合は、30質量%以下が
好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
【0364】本発明の水性顔料インクに添加しても良い
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性イ
オン性、非イオン性のいずれの活性剤でも良い。アニオ
ン性界面活性剤の例としては、ステアリン酸ナトリウ
ム、オレイン酸カリウム、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウ
ム、等の脂肪酸塩類;ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシ
ル硫酸トリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、オ
クタデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩
類;ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジス
ルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩類;ドデ
シルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスル
ホン酸ホルマリン縮合物等のナフタレンスルホン酸塩
類;スルホコハク酸ジドデシルナトリウム、スルホコハ
ク酸ジオクタデシルナトリウム等のスルホコハク酸エス
テル塩類;ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナ
トリウム、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ト
リ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、ポリオキシ
エチレンオクタデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオ
キシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム
等のポリオキシエチレン硫酸エステル塩類;ドデシルリ
ン酸カリウム、オクタデシルリン酸ナトリウム等のリン
酸エステル塩類等が挙げられる。カチオン性界面活性剤
の例としては、酢酸オクタデシルアンモニウム、ヤシ油
アミン酢酸塩等のアルキルアミン塩類;塩化ドデシルト
リメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルア
ンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウ
ム、塩化ドデシルベンジルジメチルアンモニウム等の第
4級アンモニウム塩類が挙げられる。両性イオン性活性
剤の例としては、ドデシルベタイン、オクタデシルベタ
イン等のアルキルベタイン類;ドデシルジメチルアミン
オキシド等のアミンオキシド類等が挙げられる。非イオ
ン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンドデ
シルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル、ポリオ
キシエチレン(9−オクタデセニル)エーテル等のポリ
オキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレ
ンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンフェニルエ
ーテル類;ポリ酸化エチレン、コ−ポリ酸化エチレン酸
化プロピレン等のオキシラン重合体類;ソルビタンドデ
カン酸エステル、ソルビタンヘキサデカン酸エステル、
ソルビタンオクタデカン酸エステル、ソルビタン(9−
オクタデセン酸)エステル、ソルビタン(9−オクタデ
セン酸)トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタン
ドデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンヘ
キサデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン
オクタデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタ
ンオクタデカン酸トリエステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン(9−オクタデセン酸)エステル、ポリオキシ
エチレンソルビタン(9−オクタデセン酸)トリエステ
ル等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレ
ンソルビトール(9−オクタデセン酸)テトラエステル
等のソルビトール脂肪酸エステル類;グリセリンオクタ
デカン酸エステル、グリセリン(9−オクタデセン酸)
エステル等のグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられ
る。これらの非イオン性活性剤の中でもHLBが14以
上のものが特に好ましい。本発明に用いる上記界面活性
剤の配合量は、単独使用の場合又は2種以上を混合使用
する場合によりその配合量は変動するが、インク組成物
全量に対して0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%
である。本発明の水性顔料インク組成物は、組成物全量
に対して水が20〜95質量%、顔料が1〜60体積%
の範囲で含有することが好ましい。
【0365】<パーフルオロカーボン − 気相を内包
−>本発明の超音波造影剤に利用される中空粒状体の
中空内にパーフルオロカーボンのガスを充満させるに
は、前記中空粒状体を水中で分散させた後、減圧下で乾
燥し、ついで減圧状態の乾燥機内にパーフルオロカーボ
ンのガスを注入し、好ましくは常圧に戻せばよい。
【0366】ここで、中空粒状体を分散させる水は、前
述の分散剤を含んでいてもよい。減圧下での乾燥は、必
要ならば加温して行う減圧乾燥法、凍結乾燥法などが使
用可能であるが、凍結乾燥法を使用するのが好ましい。
パーフルオロカーボンとしては、造影剤を体内に投与し
た後も気体状態が維持されるように、沸点が体温以下、
好ましくは、10℃以下であればよい。具体的には、オ
クタフルオロシクロブタン、オクタフルオロプロパン、
ヘキサフルオロエタンなどがあげられる。また、使用す
るパーフルオロカーボンのガスは水に難溶性であるのが
好ましく、これにより、血液等の体液内に溶解すること
がなく、造影効果の持続時間を長くすることができる。
【0367】<水性キャリア − 気相を内包 −>本
発明の方法によって得られる中空粒状体は、乾燥した微
粒子状であるため、超音波造影剤として使用する際に
は、適当な水性キャリア(生理食塩水、マンニトール水
溶液等)に分散させて経口的または非経口的に生体内に
投与される。とくに、注射による投与が望ましい。前記
水性キャリアには、必要に応じて公知の分散剤を添加し
てもよい。また、超音波造影剤として使用する際、中空
粒状体は、水性キャリアを含む造影剤総量に対して0.01
〜80%、好ましくは0.01〜50%の濃度となるように添加
される。
【0368】
【実施例】以下に実施例、比較例および実験例を挙げて
本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を
限定するものではない。なお、以下の実施例、比較例お
よび実験例において、「%」は特記しない限り重量%を
示す。なお、以下における「マイクロカプセル」には、
先に述べた2つの形態、すなわち1層(モノリシック)
型と2層(コア/シェル)型があり、これらを総称して
「マイクロカプセル」と記載する。
【0369】(参考例1) PHB合成酵素生産能を有す
る形質転換体の作製 TB 64 株由来のPHB合成酵素の生産能を有する形質
転換体の作製方法に関しては、発明者らが別途既に出願
しているが、ここではその具体例を挙げる。TB 64 株
を 100 mLのLB培地(1%ポリペプトン、0.5 %酵母
エキス、0.5 %塩化ナトリウム、pH 7.4)で、30 ℃、
一晩培養後、マーマーらの方法により染色体DNAを分
離回収した。得られた染色体DNAを制限酵素Sau3A
Iで部分分解した。ベクターはpUC 18 を使用し、制限
酵素BamHIで切断し、脱リン酸化処理(Molecular C
loning、1巻、572 頁、1989 年;Cold Spring Harb
or Laboratory出版)の後、DNAライゲーションキッ
トVer.II(宝酒造)を用いて染色体DNAのSau3AI部
分分解断片と連結した。次に、この連結DNA断片を用
いて大腸菌(Escheichia coli)HB 101 株を形質転換
し、TB 64 株の染色体DNAライブラリーを作製し
た。
【0370】次に、TB 64 株のPHB合成系酵素群遺
伝子を含むDNA断片を得るための表現型スクリーニン
グを行った。選択培地には2%グルコースを含有するL
B培地を用い、寒天平板培地上のコロニーが適当な大き
さに生育してきた時点でスダンブラックB溶液を噴霧
し、UV光照射により蛍光を発するコロニーを取得し
た。取得したコロニーからアルカリ法によりプラスミド
を回収することでPHB合成系酵素群遺伝子を含むDN
A断片を得ることができた。
【0371】ここで取得した遺伝子断片を不和合性グル
ープであるIncP、IncQ、あるいはIncWの何れにも属
さない広宿主域複製領域を含むベクターpBBR 122(M
o BiTec)に組み換え、この組み換えプラスミドをラル
ストーニャ・ユートロファTB 64 m1株(PHB合成
能欠損株)にエレクトロポレーション法により形質転換
したところ、TB 64 m1株のPHB合成能が復帰し、
相補性を示した。
【0372】次に、PHB合成酵素遺伝子の開始コドン
近傍の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを設計・合
成し(アマシャムファルマシア・バイオテク)、このオリ
ゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、PH
B合成酵素遺伝子を含む断片を増幅した(LA-PCRキ
ット;宝酒造)。
【0373】次に、上のようにして得られたPCR増幅
断片について制限酵素BamHIを用いて完全分解し、発
現ベクターpTrc 99 Aの制限酵素BamHIで切断、脱
リン酸化処理(Molecular Cloning、1巻、5.7.2 頁、
1989 年;Cold Spring Harbor Laboratory出版)し
たものに、DNAライゲーションキットVer.II(宝酒
造)を用いて連結した。得られた組換えプラスミドで大
腸菌(Escherichia coliHB 101)を塩化カルシウム法
により形質転換し(宝酒造)、得られた組換え体より回収
した組換えプラスミドをpTB 64-PHBとした。pTB
64-PHBで大腸菌(Escherichia coli HB 101)を塩
化カルシウム法により形質転換し、pTB 64-PHB組
換え株を得た。
【0374】(参考例2) GST融合PHB合成酵素生
産能を有する形質転換体の作製 pTB 64-PHB組換え株をLB培地 200 mLに植菌し
て、37 ℃、125 ストローク/分で 12 時間振盪培養し
た。このようにして得られた菌体を遠心分離によって回
収し、定法によりプラスミドDNAを回収した。
【0375】pTB 64-PHBに対して、上流側プライ
マーとなる、オリゴヌクレオチド(配列番号:1)および
下流側プライマーとなる、オリゴヌクレオチド(配列番
号:2)をそれぞれ設計・合成した(アマシャムファルマ
シア・バイオテク)。このオリゴヌクレオチドをプライ
マーとして、pTB 64-PHBをテンプレートとしてP
CRを行い、上流にBamHI制限部位、下流にXhoI制
限部位を有するPHB合成酵素遺伝子の完全長を増幅し
た(LA-PCRキット;宝酒造)。
【0376】精製したPCR増幅産物をBamHIおよび
XhoIにより消化し、プラスミドpGEX‐6P‐1(ア
マシャムファルマシア・バイオテク社製)の対応する部
位に挿入した。これらのベクターを用いて大腸菌(JM 1
09)を形質転換し、発現用菌株を得た。菌株の確認は、
Miniprep(Wizard Minipreps DNA Purification
Systems、PROMEGA社製)を用いて大量に調製し
たプラスミドDNAをBamHI、XhoIで処理して得ら
れるDNA断片により行った。
【0377】(参考例3) PHB合成酵素の調製 得られた発現用菌株をアンピシリン(100 μg/L)を添加
した2×YT培地(ポリペプトン 16 g/L、酵母エキス
10 g/L、NaCl 5g/L、PH 7.0)100 mLで 30 ℃に
て一晩前培養した。
【0378】これをアンピシリン(100 μg/L)を添加し
た2×YT培地(ポリペプトン 16 g/L、酵母エキス 10
g/L、NaCl 5g/L、PH 7.0)10 リットルに添加
し、30℃にて3時間培養後、イソプロピル-β-D-チオ
ガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度1mMとなる
ように添加し、30 ℃にて3時間培養した。
【0379】回収した培養液を4℃、78000m/s2(=8000
G)で 10 分間遠心処理し、上清を取り除いた後、菌体
ペレットを4℃のPBS溶液 500 mLに再懸濁した。こ
の菌液をあらかじめ4℃に冷却しておいたベッセルに各
回 40 mLずつ注入し、フレンチプレスによって 216MP
a(=2200 kg/cm2)に加圧しながら少しずつノズルから菌
液を解放することで菌体破砕処理を行った。菌体破砕液
を4℃、78000m/s2(=8000G)で 10 分間遠心処理した
後、上清を回収した。この上清を 0.45 μmのフィルタ
ーで濾過し、固形夾雑物を取り除き、上清中に目的のグ
ルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)の融合した
PHB合成酵素が存在することをSDS-PAGEで確
認した。
【0380】次に、このGST融合PHB合成酵素をグ
ルタチオン・セファロース4B(Glutathion Sepharos
e 4B:アマシャムファルマシア・バイオテク社製)で
精製した。グルタチオン・セファロース4Bの 75 %ス
ラリー 6.65 mLを4℃、4900m/s2(=500G)で5分間遠
心処理し、上清を取り除いた後、4℃のPBS溶液 200
mLに再懸濁し、さらに4℃、4900m/s2(=500G)で5
分間遠心処理し、上清を取り除いた。さらに4℃のPB
S溶液5mLに再懸濁し、グルタチオン・セファロース
4B の 50 %スラリーとした。
【0381】このグルタチオン・セファロース4Bの 5
0 %スラリー 10 mLに先ほど調整した上清全量を添加
し、室温で 30 分間緩やかに振とうしてグルタチオン・
セファロース4Bに上清中の目的とする融合たんぱく質
をアフィニティ吸着させた。その後、4℃、4900m/s2
(=500G)で5分間遠心処理し、上清を取り除いた後、4
℃のPBS溶液5mLに再懸濁し、再び同様の遠心処理
を行い、上清を除いた。このGST融合PHB合成酵素
を固定化したグルタチオン・セファロース4Bについ
て、PBS溶液への再懸濁と遠心処理を2回繰り返して
洗浄した後、最後に5℃のクリベージ緩衝液(Cleavage
Buffer;Tris-HCl 50 mM、NaCl150mM、ED
TA1mM、Dithiothreitol1mM、PH7)5mLに
懸濁した。これに4% のプレシション・プロテアーゼ
(PreScission Protease;アマシャムファルマシアバ
イオテク社製)のクリベージ緩衝液溶液 0.5 mLを添加
し、5℃で4時間緩やかに振とうした。これを4℃、49
00m/s2(=500G)で5分間遠心処理し、上清を回収し
た。次に上記と同様に調整したグルタチオン・セファロ
ース4Bの 50 %スラリー1mLを、4℃、4900m/s2(=
500G)で5分間遠心処理し、上清を除いた後のグルタチ
オン・セファロース4Bに先ほど回収した上清を添加
し、緩やかに攪拌して上清中に残留したプレシション・
プロテアーゼをグルタチオン・セファロース4Bに吸着
させた。次いで4℃、4900m/s2(=500G)で5分間遠心
処理して上清を回収した。この上清はSDS-PAGE
により、シングルバンドを示し、精製されていることを
確認した。
【0382】また、含有するPHB合成酵素活性を以下
の方法で測定した。まず、ウシ血清アルブミン(Sigma
社製)を 0.1 M トリス塩酸バッファー(pH 8.0)に 3.0
mg/mL溶解した溶液 100 μLを酵素溶液 100 μLに添
加して混合し、30 ℃で1分間プレインキュベートし
た。これに、3-ヒドロキシブチリルCoAを 0.1 M ト
リス塩酸バッファー(pH 8.0)に 3.0 mM溶解した溶液
100 μLを添加して混合し、30 ℃で1〜 30 分間イン
キュベートしたのち、トリクロロ酢酸を 0.1 M トリス
塩酸バッファー(pH 8.0)に 10 mg/mL溶解した溶液 3
00 μLを添加して反応を停止させた。反応停止したこの
溶液を遠心分離(147、000m/s2(=15、000G)、10 分間)
し、5、5'-ジチオビス-(2-ニトロ安息香酸)を 0.1
Mトリス塩酸バッファー(pH 8.0)に 2.0 mM溶解した
溶液 500 μLを上清 500 μLに添加し、30 ℃で 10 分
間インキュベートしたのち、412 nmの吸光度を測定し
た。そして1分間に1μmolのCoAを放出させる酵素
量を1単位(U)として、酵素活性を計算した。その結
果、比活性として 7.5 U/mLが得られた。この液を、
ライホゲルを添加して限外濾過濃縮し、10 U/mLとし
たものを精製酵素液(1)とした。
【0383】(参考例4) PHB合成酵素含有粗酵素液
の調製方法 KK 01 及びTL2株を、酵母エキス 0.5 %、ミネラ
ル溶液(下記参照)0.3%を含有したM9培地(下記組成)1
0 リットルで 30 ℃、24 時間培養し、回収した培養液
を4℃、78000m/s2(=8000G)で 10 分間遠心処理し、
上清を取り除いた後、菌体ペレットを4℃のPBS溶液
500 mLに再懸濁した。この菌液をあらかじめ4℃に冷
却しておいたベッセルに各回 40 mLずつ注入し、フレ
ンチプレスによって 2200 kg/cm2に加圧しながら少し
ずつノズルから菌液を解放することで菌体破砕処理を行
った。得られた菌体破砕液を4℃、78000m/s2(=8000
G)で10 分間遠心処理した後、上清を回収した。この上
清を 0.45 μmのフィルターで濾過し、固形夾雑物を取
り除き、含有するPHB合成酵素活性を前述の方法で測
定した。その結果、比活性としてKK 01 株については
1.6 U/mL、TL2株については 1.2 U/mLが得られ
た。この液を、生体溶液試料濃縮剤(商品名:みずぶとり
くん、アトー社製)を添加して限外濾過濃縮し、10 U/
mLとした粗酵素液を、KK 01 株由来のものを粗酵素
液(1)、TL2株由来のものを粗酵素液(2)とした。
【0384】[M9培地] Na2HPO4 : 6.2g KH2PO4 : 3.0g NaCl : 0.5g NH4Cl : 1.0g (培地1リットル中、pH 7.0) (ミネラル溶液) ニトリロ三酢酸:1.5g MgSO4:3.0g ;MnSO4:0.
5g;NaCl:1.0g;;FeSO4:0.1g;CaCl2:0.1
g;CoCl2:0.1g;ZnSO4:0.1g ;CuSO4:0.1
g;AlK(SO4)2:0.1g;H3BO3:0.1g;Na2MoO
4:0.1g;NiCl2:0.1g;(1リットル中、pH 7.0)
【0385】(参考例5) PHA合成酵素生産能を有す
る形質転換体の作製 PHA合成酵素生産能を有する形質転換体を作製した。
【0386】YN2株を 100 mLのLB培地(1%ポリ
ペプトン(日本製薬(株)製)、0.5 %酵母エキス(Difco
社製)、0.5 %塩化ナトリウム、pH 7.4)で 30 ℃、一
晩培養後、マーマーらの方法により染色体DNAを分離
回収した。得られた染色体DNAを制限酵素Hind III
で完全分解した。ベクターにはpUC 18 を使用し、制
限酵素Hind IIIで切断した。末端の脱リン酸処理(Mol
ecular Cloning、1、572、(1989); Cold Spring H
arbor Laboratory出版)ののち、DNAライゲーション
キットVer.II(宝酒造(株)製)を用いて、ベクターの切
断部位(クローニングサイト)と染色体DNAのHind II
I完全分解断片とを連結した。この染色体DNA断片を
組み込んだプラスミドベクターを用いて、大腸菌(Esch
erichia coli)HB 101 株を形質転換し、YN2株のD
NAライブラリーを作製した。
【0387】次に、YN2株のPHA合成酵素遺伝子を
含むDNA断片を選択するため、コロニー・ハイブリダ
イズ用のプローブ調製を行った。配列番号:3および配
列番号:4の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合
成し(アマシャムファルマシア・バイオテク(株))、この
オリゴヌクレオチドをプライマーに用いて、染色体DN
AをテンプレートとしてPCRを行った。PCR増幅さ
れてきたDNA断片をプローブとして用いた。プローブ
の標識化は、市販の標識酵素系AlkPhosDirect(アマ
シャムファルマシア・バイオテク(株)製)を利用して行
った。
【0388】得られた標識化プローブを用いて、YN2
株の染色体DNAライブラリーからコロニーハイブリダ
イゼーション法によってPHA合成酵素遺伝子を含む組
換えプラスミドを有する大腸菌菌株を選抜した。選抜し
た菌株から、アルカリ法によってプラスミドを回収する
ことで、PHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片を得る
ことができた。
【0389】ここで取得した遺伝子DNA断片を、不和
合性グループであるIncP、IncQ、あるいはIncWの何
れにも属さない広宿主域複製領域を含むベクターpBB
R 122(Mo Bi Tec)に組み換えた。この組み換えプラ
スミドをシュードモナス・チコリアイYN2mL株(PH
A合成能欠損株)にエレクトロポレーション法により形
質転換したところ、YN2mL株のPHA合成能が復帰
し、相補性を示した。従って、選抜された遺伝子DNA
断片は、シュードモナス・チコリアイYN2mL株内に
おいて、PHA合成酵素に翻訳可能な、PHA合成酵素
遺伝子領域を含むことが確認される。
【0390】このDNA断片について、サンガー法によ
り塩基配列を決定した。その結果、決定された塩基配列
中には、それぞれペプチド鎖をコードする、配列番号:
5および配列番号:6で示される塩基配列が存在するこ
とが確認された。これらのPHA合成酵素遺伝子につい
て、染色体DNAをテンプレートとしてPCRを行い、
PHA合成酵素遺伝子の完全長を再調製した。
【0391】即ち、配列番号:5で示される塩基配列の
PHA合成酵素遺伝子に対する、上流側プライマー(配
列番号:7)および下流側プライマー(配列番号:8)、配
列番号:6で示される塩基配列のPHA合成酵素遺伝子
に対する、上流側プライマー(配列番号:9)および下流
側プライマー(配列番号: 10)をそれぞれ合成した(アマ
シャムファルマシア・バイオテク(株))。これらのプラ
イマーを用いて、配列番号:5および配列番号:6で示さ
れる塩基配列それぞれについてPCRを行い、PHA合
成酵素遺伝子の完全長を増幅した(LA-PCRキット;
宝酒造(株)製)。次に、得られたPCR増幅断片および
発現ベクターpTrc 99 Aを制限酵素Hind IIIで切断
し、脱リン酸化処理(Molecular Cloning、1巻、572
頁、1989年;Cold Spring Harbor Laboratory出版)
したのち、この発現ベクターpTrc 99 Aの切断部位
に、両末端の不用な塩基配列を除いたPHA合成酵素遺
伝子の完全長を含むDNA断片を、DNAライゲーショ
ンキットVer.II(宝酒造(株)製)を用いて連結した。
【0392】得られた組換えプラスミドで大腸菌(Esch
erichia coli HB 101 :宝酒造)を塩化カルシウム法に
より形質転換した。得られた組換え体を培養し、組換え
プラスミドの増幅を行い、組換えプラスミドをそれぞれ
回収した。配列番号:5の遺伝子DNAを保持する組換
えプラスミドをpYN2-C1、配列番号:6の遺伝子D
NAを保持する組換えプラスミドをpYN2-C2とし
た。pYN2-C1、pYN2-C2で大腸菌(Escherichi
a coli HB 101 fB fadB欠損株)を塩化カルシウム法
により形質転換し、それぞれの組換えプラスミドを保持
する組換え大腸菌株、pYN2-C1組換え株、pYN2-
C2組換え株を得た。
【0393】(参考例6) PHA合成酵素の生産1 pYN2-C1に対して、上流側プライマーとなる、オリ
ゴヌクレオチド(配列番号: 11)および下流側プライマー
となる、オリゴヌクレオチド(配列番号: 12)をそれぞれ
設計・合成した(アマシャムファルマシア・バイオテク
(株))。このオリゴヌクレオチドをプライマーとして、p
YN2-C1をテンプレートとしてPCRを行い、上流
にBamHI制限部位、下流にXhoI制限部位を有するP
HA合成酵素遺伝子の完全長を増幅した(LA-PCRキ
ット;宝酒造(株)製)。
【0394】同様にpYN2-C2に対して、上流側プラ
イマーとなる、オリゴヌクレオチド(配列番号: 13)およ
び下流側プライマーとなる、オリゴヌクレオチド(配列
番号:14)をそれぞれ設計・合成した(アマシャムファル
マシア・バイオテク(株))。このオリゴヌクレオチドを
プライマーとして、pYN2-C2をテンプレートとして
PCRを行い、上流にBamHI制限部位、下流にXhoI
制限部位を有するPHA合成酵素遺伝子の完全長を増幅
した(LA-PCRキット;宝酒造(株)製)。
【0395】精製したそれぞれのPCR増幅産物をBa
mHIおよびXhoIにより消化し、プラスミドpGEX-6
P-1(アマシャムファルマシア・バイオテク(株)製)の
対応する部位に挿入した。これらのベクターを用いて大
腸菌(JM 109)を形質転換し、発現用菌株を得た。菌株
の確認は、Miniprep(Wizard Minipreps DNA Pur
ification Systems、PROMEGA社製)を用いて大
量に調製したプラスミドDNAをBamHI、XhoIで処
理して得られるDNA断片により行った。得られた菌株
をLB-Amp培地 10 mLで一晩プレ・カルチャーした
後、その 0.1 mLを、10 mLのLB-Amp培地に添加
し、37 ℃、170 rpmで3時間振とう培養した。その後I
PTGを添加(終濃度 1 mM)し、37 ℃で4から 12
時間培養を続けた。
【0396】IPTG 誘導した大腸菌を集菌(78000m/s
2(=8000G)、2分、4℃)し、1/ 10 量の 4℃ リン酸
緩衝生理食塩水(PBS;8 g NaCl、1.44 g Na2H
PO4、0.24 g KH2PO4、0.2 g KCl、1、000 mL
精製水)に再懸濁した。凍結融解およびソニケーション
により菌体を破砕し、遠心(78000m/s2(=8000G)、10
分、4℃)して固形夾雑物を取り除いた。目的の発現タ
ンパク質が上清に存在することをSDS-PAGEで確
認した後、誘導され発現されたGST融合タンパク質を
グルタチオン・セファロース4B(アマシャムファルマ
シア・バイオテク(株)製)で精製した。
【0397】使用するグルタチオン・セファロースは、
予め非特異的吸着を抑える処理を行った。すなわち、グ
ルタチオン・セファロースを同量のPBSで3回洗浄(7
8000m/s2(=8000G)、1分、4℃)した後、4%ウシ血
清アルブミン含有PBSを同量加えて4℃で1時間処理
した。処理後同量のPBSで2回洗浄し、1/2量のP
BSに再懸濁した。
【0398】前処理したグルタチオン・セファロース 4
0 μLを、無細胞抽出液1 mL に添加し、4℃で静かに
攪拌した。これにより、融合タンパク質GST-YN2-
C1およびGST-YN2-C2をグルタチオン・セファ
ロースに吸着させた。吸着後、遠心(78000m/s2(=8000
G)、1分、4℃)してグルタチオン・セファロースを回
収し、400 μLのPBSで3回洗浄した。その後、10 m
Mグルタチオン 40 μLを添加し、4℃で1時間攪拌し
て、吸着した融合タンパク質を溶出した。遠心(78000m
/s2(=8000G)、2分、4℃)して上清を回収した後PB
Sに対して透析し、GST融合タンパク質を精製した。
SDS-PAGEにより、シングルバンドを確認した。
【0399】各GST融合タンパク質 500 μgをPreS
cissionプロテアーゼ(アマシャムファルマシア・バイオ
テク(株)製、5U)で消化した後、グルタチオン・セフ
ァロースに通してプロテアーゼとGSTとを除去した。
フロースルー分画をさらに、PBSで平衡化したセファ
デックスG 200 カラムにかけ、発現タンパク質YN2-
C1およびYN2-C2の最終精製物を得た。SDS-P
AGEによりそれぞれ 60.8 kDa、および 61.5 kDaの
シングルバンドを確認した。
【0400】該酵素を生体溶液試料濃縮剤(みずぶとり
くんAB-1100、アトー(株)製)を用いて濃縮し、10 U/
mLの精製酵素溶液を得た。
【0401】各精製酵素活性は前述の方法で測定した。
また、試料中のタンパク質濃度は、マイクロBCAタン
パク質定量試薬キット(ピアスケミカル社製)によって測
定した。各精製酵素の活性測定の結果を表1に示した。
【0402】
【表1】
【0403】(参考例7) PHA合成酵素の生産2 P 91 株、H 45 株、YN2株およびP 161 株を、酵
母エキス(Difco社製)0.5 %、オクタン酸 0.1 %とを
含むM9培地 200 mLに植菌して、30 ℃、125ストロー
ク/分で振盪培養した。24 時間後、菌体を遠心分離(9
8、000m/s2(10、000G)、4℃、10 分間)によって回収
し、0.1 M トリス塩酸バッファー(pH 8.0)200 mLに
再懸濁して再度遠心分離することによって洗浄した。菌
体を 0.1 Mトリス塩酸バッファー(pH 8.0)2.0 mLに
再懸濁し、超音波破砕機にて破砕したのち、遠心分離(1
18、000m/s2(=12、000G)、4℃、10 分間)して上清を
回収して粗酵素溶液を得た。各粗酵素活性は前述の方法
で測定し、その結果を表2に示した。
【0404】
【表2】
【0405】該粗酵素溶液を生体溶液試料濃縮剤(みず
ぶとりくんAB-1100、アトー(株)製)を用いて濃縮し、
10 U/mLの粗酵素溶液を得た。
【0406】(参考例8)3-ヒドロキシアシルCoAの合
成 (R)-3-ヒドロキシオクタノイル-CoAは、Rehm BHA、 Kru
ger N、 SteinbuchelA (1998) Journal of Biological
Chemistry 273 pp24044-24051に基づき、若干の変更を
加え次のように行った。acyl-CoA synthetase(Sigma社
製)を、2 mM ATP、 5 mM MgCl2、 2 mM coenzyme A、 2
mM (R)-3-hydroxyoctanoateを含むトリス塩酸緩衝液(50
mM、 pH 7.5)に溶解し、0.1ミリユニット/マイクロリ
ットルとした。37℃の温浴中で保温し、適時サンプリ
ングし反応の進行をHPLCで分析した。サンプリングした
反応溶液に硫酸を0.02 Nになるように添加して酵素反応
を止めた後、n-heptaneで未反応の基質である(R)-3-hyd
roxyoctanoateを抽出して除去した。HPLCによる分析に
は、RP18カラム(nucleosil C18、 7μm、 Knauser)を用
い、25 mMリン酸緩衝液(pH 5.3)を移動相として、アセ
トニトリルの直線濃度勾配をかけて溶出し、ダイオード
アレイ検出器で200から500 nmの吸光スペクトルをモニ
ターすることによって、酵素反応によって生成したチオ
エステル化合物を検出した。同様にして、(R)-3-ヒドロ
キシ-5-フェニルバレリルCoAおよび(R)-3-ヒドロキシ-5
-(4-フルオロフェニル)バレリルCoAを調製した。
【0407】(実施例1)D-グルコース 0.5%と、5-
(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)0.1%とを含む
M9培地 20Lにシュードモナス・チコリアイ・YN2株
(Pseudomonas cichorii YN2、FERM BP-737
5)を植菌し、30℃、80回転/分、通気量 2.5L/分で通気
攪拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、D-グルコース 0.5%と、FPVA 0.1%とを含
み、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 20Lに再懸濁
して、更に 30℃、80回転/分、通気量 2.5L/分で通気攪
拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、回収した湿菌体より分析評価用に1gを分取、冷メ
タノールで一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾燥ペレッ
トを得た。
【0408】残りの湿菌体については、約 1.7%の次亜
塩素酸ナトリウム水溶液 500mLに懸濁し、約4℃で2
時間振盪してPHAを抽出した。遠心分離によりPHA
を回収し乾燥した結果、培地液量1L当たり 0.87gのP
HAが得られた。このPHAを例示化合物1とした。
【0409】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45・高フメンブレンフィルターでろ
過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮
液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収
して真空乾燥してPHAを得た。
【0410】得られたPHAの組成は以下のようにして
分析した。すなわち、約 10mgのPHAを 25mL容ナス
型フラスコに入れ、クロロホルム2mLに溶解させ、3
%硫酸を含むメタノール溶液2mLを加えて、100℃で還
流しながら 3.5時間反応させた。反応終了後、脱イオン
水 10mLを加えて激しく 10分間振盪した後に、2層に
分離した下層のクロロホルム層を取り出し、硫酸マグネ
シウムで脱水したのち、このクロロホルム層をガスクロ
マトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島津QP-50
50、カラム:DB-WAX(J&W社、0.32mm×30m)、
EI法)にかけて、PHAモノマーユニットのメチルエス
テル化物の同定を行った。その結果、PHAモノマーユ
ニットとしては、96%が3HFPVであり、4%が3-
ヒドロキシ酪酸のユニットであり、FPVAに由来する
所望のモノマーユニットである3HFPVモノマーユニ
ットの比率が高いPHAが高収率で得られた。
【0411】また、このPHAの分子量をゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー HLC-8
020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED
-C(5μm)、溶媒;(クロロホルム、ポリスチレン換
算)により評価した結果、Mn=71,500、Mw=158,000
であった。
【0412】(実施例2)FPVAの替わりに4-フェノ
キシ酪酸(PxBA)を用いた以外は実施例1と全く同じ
条件で、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)
モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、培地
液量1L当たり 0.15gのPHAが得られた。このPHA
を例示化合物2とした。
【0413】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、95%がPxBAであり、5%が3-ヒドロキシ酪酸
のユニットであり、PxBAに由来する所望のモノマー
ユニットである3HPxBモノマーユニットの比率が高
いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=7
1、500、Mw=158、000 であった。
【0414】(実施例3)FPVAの替わりに4-シクロ
ヘキシル酪酸(CHBA)を用いた以外は実施例1と全く
同じ条件で、3-ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸(3
HCHB)モノマーユニットを含むPHAを合成したと
ころ、培地液量1L当たり 0.79gのPHAが得られた。
このPHAを例示化合物3とした。
【0415】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、98%が3HCHBであり、2%が3-ヒドロキシ
酪酸のユニットであり、CHBAに由来する所望のモノ
マーユニットである3HCHBモノマーユニットの比率
が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn
=92,200、Mw=218,000 であった。
【0416】(実施例4)FPVAの替わりに5-ベンゾ
イル吉草酸(BzVA)を用いた以外は実施例1と全く同
じ条件で、3-ヒドロキシ-5-ベンゾイル吉草酸(3HB
zV)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、
培地液量1L当たり 0.55gのPHAが得られた。このP
HAを例示化合物4とした。
【0417】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、88%が3HBzVであり、12%が3-ヒドロキシ酪
酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン
酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン
酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニッ
トであり、BzVAに由来する所望のモノマーユニット
である3HBzVモノマーユニットの比率が高いPHA
が高収率で得られた。また、分子量はMn=325,000、M
w=1,240,000 であった。
【0418】(実施例5)FPVAの替わりに5-(4-フ
ルオロベンゾイル)吉草酸(FBzVA)を用いた以外は
実施例1と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-(4-フ
ルオロベンゾイル)吉草酸(3HFBzV)モノマーユニ
ットを含むPHAを合成したところ、培地液量1L当た
り 0.35gのPHAが得られた。このPHAを例示化合物
5とした。
【0419】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、79%が3HFBzVであり、21%が3-ヒドロキシ
酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタ
ン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン
酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニッ
トであり、FBzVAに由来する所望のモノマーユニッ
トである3HFBzVモノマーユニットの比率が高いP
HAが高収率で得られた。また、分子量はMn=285,00
0、Mw=833,000 であった。
【0420】(実施例6)FPVAの替わりに5-チエニ
ル吉草酸(TVA)を用いた以外は実施例1と全く同じ条
件で、3-ヒドロキシ-5-チエニル吉草酸(3HTV)モ
ノマーユニットを含むPHAを合成したところ、培地液
量1L当たり 0.85gのPHAが得られた。このPHAを
例示化合物6とした。
【0421】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、97%が3HTVであり、3%が3-ヒドロキシ酪
酸のユニットであり、TVAに由来する所望のモノマー
ユニットである3HTVモノマーユニットの比率が高い
PHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=75,00
0、Mw=185,000 であった。
【0422】(実施例7)FPVAの替わりに5-チエノ
イル吉草酸(ToVA)を用いた以外は実施例1と全く同
じ条件で、3-ヒドロキシ-5-チエノイル吉草酸(3HT
oV)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、
培地液量1L当たり 0.15gのPHAが得られた。このP
HAを例示化合物7とした。
【0423】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、62%が3HToVであり、38%が3-ヒドロキシ酪
酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン
酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン
酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニッ
トであり、ToVAに由来する所望のモノマーユニット
である3HToVモノマーユニットの比率が高いPHA
が高収率で得られた。また、分子量はMn=105,000、M
w=252,000 であった。
【0424】(実施例8)FPVAの替わりに5-(4-フ
ルオロチオフェノキシ)吉草酸(FTPxVA)を用いた
以外は実施例1と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-
(4-フルオロチオフェノキシ)吉草酸(3HFTPx
V)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、
培地液量1L当たり 0.92gのPHAが得られた。このP
HAを例示化合物8とした。
【0425】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、82%が3HFTPxVであり、18%が3-ヒドロ
キシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオ
クタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデ
カン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユ
ニットであり、FTPxVAに由来する所望のモノマー
ユニットである3HFTPxVモノマーユニットの比率
が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn
=95,000、Mw=282,000 であった。
【0426】(実施例9)FPVAの替わりに5-[(4-
フルオロフェニルメチル)スルファニル]吉草酸を用い
た以外は実施例1と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5
-[(4-フルオロフェニルメチル)スルファニル]吉草
酸モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、培
地液量1L当たり 0.35gのPHAが得られた。このPH
Aを例示化合物9とした。
【0427】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、89%が3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニ
ルメチル)スルファニル]吉草酸モノマーユニットであ
り、11%が3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン
酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン
酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン
酸のうち1種以上のユニットであり、5-[(4-フルオ
ロフェニルメチル)スルファニル]吉草酸に由来する所
望のモノマーユニットである3-ヒドロキシ-5-[(4-
フルオロフェニルメチル)スルファニル]吉草酸モノマ
ーユニットの比率が高いPHAが高収率で得られた。ま
た、分子量はMn=35,000、Mw=92,000 であった。
【0428】(実施例10)FPVAの替わりに5-チオチ
エノキシ吉草酸(TTxVA)を用いた以外は実施例1
と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-チオチエノキシ
吉草酸(3HTTxV)モノマーユニットを含むPHA
を合成したところ、培地液量1L当たり1.1gのPHAが
得られた。このPHAを例示化合物10とした。
【0429】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、90%が3HTTxVであり、10%が3-ヒドロキ
シ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオク
タン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカ
ン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニ
ットであり、TTxVAに由来する所望のモノマーユニ
ットである3HTTxVモノマーユニットの比率が高い
PHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=205,0
00、Mw=550,000 であった。
【0430】(実施例11)FPVAの替わりにオクタン酸
(OA)を用いた以外は実施例1と全く同じ条件で、3
-ヒドロキシオクタン酸(3HO)モノマーユニットを
含むPHAを合成したところ、培地液量1L当たり 0.75
gのPHAが得られた。このPHAを例示化合物11とし
た。
【0431】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、65%が3HOであり、35%が3-ヒドロキシ酪
酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシヘプタン
酸、3-ヒドロキシノナン酸、3-ヒドロキシデカン酸、
3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン酸の
うち1種以上のユニットであり、OAに由来する所望の
モノマーユニットである3HOモノマーユニットの比率
が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn
=132,000、Mw=312,000 であった。
【0432】(実施例12)酵母エキス0.1%を含むM9
寒天培地上のYN2株のコロニーを、OD(600nm)=
1.0となるように滅菌した生理食塩水に懸濁した。予
め作成しておいた、炭素源を含まない1/10N-M9寒
天培地100枚に、上記懸濁液を塗布し、1−オクテン
雰囲気中下、30℃で静置培養した。
【0433】4日後、菌体を集め、メタノールで洗浄し
て遠心分離によって集菌し、減圧乾燥した。
【0434】乾燥菌体にクロロホルム50mLを加え、
30℃で48時間攪拌してPHAを抽出した。クロロホ
ルム層をろ過し、エバポレーターで濃縮した後、冷メタ
ノールに注加し、沈殿を回収して減圧乾燥したところ、
0.26gのPHAが得られた。このPHAを例示化合物12
とした。
【0435】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行い、さらに1H-NMR分析を行った(使用
機器:FT-NMR:Bruker DPX400、測定核種:1
H、使用溶媒:重クロロホルム(TMS入り))。側鎖末端
のメチン、側鎖の末端二重結合およびエポキシに関わる
プロトンの帰属はMacromolecules、31、 1480-1486
(1998)に従って行った。この結果、PHAモノマーユニ
ットとしては、17%がエポキシユニットであり、30%が
飽和ユニット、53%が不飽和ユニットであった。飽和、
不飽和ユニットは3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロ
キシヘプタン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロ
キシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキ
シヘキセン酸、3-ヒドロキシヘプテン酸、3-ヒドロキ
シオクテン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以
上のユニットであり、1−オクテンに由来する所望のモ
ノマーユニットであるエポキシモノマーユニットの比率
が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn
=251,000、Mw=550,000であった。
【0436】(実施例13)N-(S)-2-Tetrahydrofuroyl-Gly
-D2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-NMeTyr-DLys(Nic)-Leu-Lys
(Nisp)-Pro-DAlaNH2(以下ペプチドAと略記する)の酢
酸塩(TAP社製)500mgを、蒸留水 0.6ml に溶解し
た。得られる溶液を、4.5gの例示化合物1をジクロロメ
タン5.8mlに溶解した溶液に加え、小型ホモジナイザー
(キネマチカ社製)で60秒間混合してW/O型乳化物
を得た。このW/O型乳化物を16℃に冷却した後、予め
16℃に冷却しておいた0.1%ポリビニルアルコール(E
G−40、日本合成化学製)水溶液1000ml中に注入し、
タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用い、7000 r
pm でW/O/W型乳化物とした。このW/O/W型乳
化物を室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散さ
せ、W/O型乳化物を固化させた後、遠心分離機(05
PR−22、日立製作所)を用いて 2000 rpm で遠心分
離した。得られる沈殿物を蒸留水に再分散後、分散液を
さらに遠心分離し、遊離薬物を洗浄除去した。得られた
マイクロカプセルを少量の蒸留水に再分散後、分散液に
D-マンニトール0.3gを加え、凍結乾燥し、粉末としてマ
イクロカプセル1を得た。マイクロカプセル中のペプチ
ドAの含有率を表3に示す。
【0437】(実施例14〜24)例示化合物1の替わりに例
示化合物2〜12を用いた以外は実施例13と全く同様に
してマイクロカプセル2〜12を得た。マイクロカプセ
ル中のペプチドAの含有率を表3に示す。
【0438】(実施例25)上記のマイクロカプセル12の50
質量部を精製水50質量部に懸濁したのち、該懸濁液に架
橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5質量部を溶解さ
せた。溶解を確認後、凍結乾燥により水を除去した後、
70℃で12時間反応させることでマイクロカプセル13を得
た。マイクロカプセル中のペプチドAの含有率を表3に
示す。マイクロカプセル13について赤外吸収を測定した
(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)ところ、加熱
処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)及びエポ
キシ(822 cm-1付近)のピークがマイクロカプセル13で
は消失していた。これより、側鎖にエポキシユニットを
もつPHAとヘキサメチレンジアミンを反応させること
で、架橋ポリマーにより被覆されたマイクロカプセル13
が得られたことがわかる。
【0439】(実施例26)上記のマイクロカプセル12につ
いて50質量部に、末端アミノ変性ポリシロキサン(変性
シリコーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン(株)製)
を10質量部添加し、70℃で2時間反応させた。これをメ
タノールに懸濁し、遠心分離(10、000×g、4℃、20分
間)する操作を繰返すことで洗浄、乾燥し、ポリシロキ
サンのグラフト鎖を有するマイクロカプセル14を得た。
マイクロカプセル中のペプチドAの含有率を表3に示
す。
【0440】マイクロカプセル14について赤外吸収を測
定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)とこ
ろ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)
及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークがマイクロカプ
セル14では消失していた。これより、側鎖にエポキシユ
ニットをもつPHAと末端アミノ変性ポリシロキサンを
反応させることにより、ポリシロキサンのグラフト鎖を
有するマイクロカプセル14が得られたことがわかる。
【0441】(比較例1)例示化合物の替わりに乳酸−グ
リコール酸共重合体(以下、PLGAと略記する)(和
光純薬製、lot.940810、乳酸/グリコール酸(モル
比):74/26、GPC重量平均分子量:10,000、GPC
数平均分子量:3,900、末端基定量法による数平均分子
量:3,700)を用いる以外は実施例13と同様にしてマイ
クロカプセル15を調製した。マイクロカプセル中の薬
物含量を表3に示す。
【0442】
【表3】
【0443】(実施例27)ペプチドAの酢酸塩(TAP社
製)500mgを、0.1 Mリン酸バッファー(pH 7.0) 0.6ml
に溶解し、さらに精製酵素液(1)60μl、(R)-3
-ヒドロキシブチリルCoA(シグマ・アルドリッチ・ジ
ャパン(株)社製)60mg、ウシ血清アルブミン(Sigm
a社製)5mgを加え溶解した。得られる溶液を、ジクロ
ロメタン5.8mlに加え、小型ホモジナイザー(キネマチ
カ社製)で60秒間混合してW/O型乳化物を得た。こ
のW/O型乳化物を16℃に冷却した後、予め16℃に冷却
しておいた0.1%ポリビニルアルコール(EG−40、
日本合成化学製)水溶液1000ml中に注入し、タービン型
ホモミキサー(特殊機化製)を用い、7000 rpm でW/
O/W型乳化物とした。このW/O/W型乳化物を室温
で3時間撹拌して、PHAを合成するとともにジクロロ
メタンを揮散させ、W/O型乳化物を固化させた後、遠
心分離機(05PR−22、日立製作所)を用いて 200
0 rpm で遠心分離した。得られる沈殿物を蒸留水に再分
散後、分散液をさらに遠心分離し、遊離薬物を洗浄除去
した。得られたマイクロカプセルを少量の蒸留水に再分
散後、分散液にD-マンニトール0.3gを加え、凍結乾燥
し、粉末としてマイクロカプセル16を得た。マイクロ
カプセル中のペプチドAの含有率を表4に示す。
【0444】また、カプセル16を、20 mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60 ℃で 20 時間攪拌して外被を構成す
るPHBを抽出した。抽出液を孔径 0.45 μmのメンブ
レンフィルターでろ過し、ロータリーエバポレーターで
減圧濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行い、
ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島
津QP-5050、EI法)で分析し、PHBモノマーユニッ
トのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、得
られたクロマトグラムの中で主成分であるピークが標品
であるヒドロキシ酪酸のメチル化化合物との保持時間が
同一であることから、得られたカプセル16の外被の主
成分はPHBであることを確認した。さらに、該PHB
の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC;東ソーHLC-8020、カラム;ポリマーラボラ
トリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶媒;クロロホ
ルム、カラム温度; 40 ℃、ポリスチレン換算)により
評価した結果、Mn= 73、000 であった。
【0445】(実施例28)実施例27における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(1)を用いた点以外は、実施例
27と全く同様にしてカプセル17を得た。マイクロカプ
セル中の薬物含量を表4に示す。
【0446】実施例27と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル17の外被の主成分がPHBであることを
確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーによる解析の結果より、得られたカプセル17に含
まれるPHAの数平均分子量は 71、000 であった。
【0447】(実施例29)実施例27における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(2)を用いた点以外は、実施例
27と全く同様にしてカプセル18を得た。マイクロカプ
セル中の薬物含量を表4に示す。
【0448】実施例27と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル18の外被の主成分がPHBであることを
確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーによる解析の結果より、得られたカプセル18に含
まれるPHAの数平均分子量は 73、000 であった。
【0449】(実施例30)実施例27における精製酵素液
(1)の替わりに精製酵素液(2)を用いた点と(R)-3-ヒ
ドロキシブチリルCoAの替わりに(R)-3-ヒドロキシ
オクタノイルCoA(Eur.J.Biochem.、250、432-439
(1997)に記載の方法で調製)を用いた点以外は、実施例2
7と全く同様にしてカプセル19に含まれるPHAを得
た。マイクロカプセル中の薬物含量を表4に示す。
【0450】実施例27と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル19の外被の主成分が3-ヒドロキシオク
タン酸ユニットからなるPHAであることを確認した。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる
解析の結果より、得られたカプセル19に含まれるPH
Aの数平均分子量は 24、000 であった。
【0451】(実施例31)実施例27における精製酵素液
(1)の替わりに精製酵素液(3)を用いた点と(R)-3-ヒ
ドロキシブチリルCoAの替わりに(R、S)−3−ヒ
ドロキシ−5−フェニルバレリルCoA(Reformatsky反
応により得られた3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸
エステルを加水分解して3−ヒドロキシ−5−フェニル
吉草酸を得たのち、Eur.J.Biochem.、250、432−439
(1997) に記載の方法で調製)を用いた点以外は、実
施例27と全く同様にしてカプセル20を得た。マイクロ
カプセル中の薬物含量を表4に示す。
【0452】実施例27と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル20の外被の主成分が3−ヒドロキシ−5
−フェニル吉草酸ユニットからなるPHAであることを
確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーによる解析の結果より、得られたカプセル20に含
まれるPHAの数平均分子量は 21、000 であった。
【0453】(実施例32)実施例27における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(3)を用いた点と(R)-3-ヒド
ロキシブチリルCoAの替わりに(R、S)−3−ヒド
ロキシ−5−フェノキシバレリルCoA(J.Org.Chem.、
55、1490−1492(1990)に記載の方法で合成した3-フ
ェノキシプロパナール及びブロモ酢酸エチルを原料と
し、亜鉛によるReformatsky反応で得られた3-ヒドロキ
シ-5-フェノキシ吉草酸エステルを加水分解して3-ヒ
ドロキシ-5-フェノキシ吉草酸を得たのち、Eur.J.Bi
ochem.、250、432−439(1997) に記載の方法で調
製)を用いた点以外は、実施例27と全く同様にしてカプ
セル21を得た。マイクロカプセル中の薬物含量を表4
に示す。
【0454】実施例27と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル21の外被の主成分が3−ヒドロキシ−5
−フェノキシ吉草酸ユニットからなるPHAであること
を確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーによる解析の結果より、得られたカプセル21に
含まれるPHAの数平均分子量は 24、000 であった。
【0455】(実施例33)実施例27における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(4)を用いた点と(R)-3-ヒド
ロキシブチリルCoAの替わりに(R、S)−3−ヒド
ロキシ−5−フェニルバレリルCoAを用いた点以外
は、実施例27と全く同様にしてPHA合成反応を行っ
た。ここで室温において1時間反応を行った後、さらに
(R、S)−3−ヒドロキシ−5−フェノキシバレリル
CoA60mgを添加し、室温においてさらに2時間反
応を行った。以降の処理は実施例27と全く同様にしてカ
プセル22を得た。マイクロカプセル中の薬物含量を表
4に示す。
【0456】このカプセル構造体の表面に形成されたポ
リマーの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置
(TOF-SIMS IV、CAMECA製)により測定した。得られ
たマススペクトルから、カプセル構造体表面のPHAは
主に3−ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸ユニットで構
成されていることが確認された。また、イオンスパッタ
リングによりカプセル構造体の表面を少しずつ削りなが
ら同様にTOF-SIMSによりマススペクトルを測定していっ
たところ、ある時点でカプセル構造体を構成するPHA
のモノマーユニットの主成分が3−ヒドロキシ−5−フ
ェニル吉草酸ユニットに置き換わることが確認された。
これより、本実施例のカプセル構造体は、薬物1を被覆
した、ポリ(3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸)の
上を、ポリ(3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸)
が被覆した、所望のカプセル構造体であることがわかっ
た。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーに
よる解析の結果より、得られたカプセル22に含まれる
PHAの数平均分子量は 21、000 であった。
【0457】(実施例34)実施例27における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(5)を用いた点と60mgの
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAの替わりに48mg
の(R、S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレリルC
oA、12mgの(R、S)−3−ヒドロキシ−7、8−
エポキシオクタノイルCoA(Int.J.Biol.Macromol.、1
2、85−91(1990)に記載の方法で合成した3−ヒドロ
キシ−7−オクテン酸の不飽和部分を3−クロロ安息香
酸でエポキシ化したのち、Eur.J.Biochem.、250、432-4
39(1997)に記載の方法で調製)を用いた点以外は、実
施例27と全く同様にしてカプセル23を得た。マイクロ
カプセル中の薬物含量を表4に示す。
【0458】1H-NMR(使用機器:FT-NMR:Bruker DPX40
0、測定核種:1H、使用溶媒:重クロロホルム(TMS入
り))解析の結果より、得られたカプセル23の外被
は、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットが7
7%、3−ヒドロキシ−7、8−エポキシオクタン酸ユ
ニットが23%からなるPHAであることを確認した。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる
解析の結果より、得られたカプセル23に含まれるPH
Aの数平均分子量は 22、000 であった。
【0459】(実施例35)上記のカプセル23について50
質量部を精製水50質量部に懸濁したのち、該懸濁液に架
橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5質量部を溶解さ
せた。溶解を確認後、凍結乾燥により水を除去した後、
70℃で12時間反応させることでカプセル24を得た。マ
イクロカプセル中の薬物含量を表4に示す。
【0460】カプセル24について赤外吸収を測定した
(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)ところ、加熱
処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)及びエポ
キシ(822 cm-1付近)のピークがカプセル24では消失
していた。これより、側鎖にエポキシユニットをもつP
HAとヘキサメチレンジアミンを反応させることで、架
橋ポリマーにより被覆されたカプセル24が得られたこ
とがわかる。
【0461】(実施例36)上記のカプセル24について50
質量部に、末端アミノ変性ポリシロキサン(変性シリコ
ーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン(株)製)を10質
量部添加し、70℃で2時間反応させた。これをメタノー
ルに懸濁し、遠心分離(10、000×g、4℃、20分間)す
る操作を繰返すことで洗浄、乾燥し、ポリシロキサンの
グラフト鎖を有するカプセル25を得た。マイクロカプ
セル中の薬物含量を表4に示す。
【0462】カプセル25について赤外吸収を測定した
(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)ところ、加熱
処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)及びエポ
キシ(822 cm-1付近)のピークがカプセル25では消失
していた。これより、側鎖にエポキシユニットをもつP
HAと末端アミノ変性ポリシロキサンを反応させること
により、ポリシロキサンのグラフト鎖を有するカプセル
25が得られたことがわかる。
【0463】
【表4】
【0464】(実施例37)ペプチドAの酢酸塩(TAP社
製)500mgを、蒸留水 0.6ml に溶解した。得られる溶液
を、ジクロロメタン5.8mlに加え、小型ホモジナイザー
(キネマチカ社製)で60秒間混合してW/O型乳化物
を得た。このW/O型乳化物を16℃に冷却した後、予め
16℃に冷却しておいた0.1 Mリン酸バッファー(pH 7.
0) 、0.1%ポリビニルアルコール(EG−40、日本合
成化学製)水溶液100ml中に注入し、タービン型ホモミ
キサー(特殊機化製)を用い、7000 rpm でW/O/W
型乳化物とした。このW/O/W型乳化物に、さらに精
製酵素液(1)5ml、(R)-3-ヒドロキシブチリルC
oA(シグマ・アルドリッチ・ジャパン(株)社製)1g、
ウシ血清アルブミン(Sigma社製)100mgを加え溶
解した。
【0465】このW/O/W型乳化物を室温で3時間撹
拌して、PHAを合成するとともにジクロロメタンを揮
散させ、W/O型乳化物を固化させた後、遠心分離機
(05PR−22、日立製作所)を用いて 2000 rpm で
遠心分離した。得られる沈殿物を蒸留水に再分散後、分
散液をさらに遠心分離し、遊離薬物を洗浄除去した。得
られたマイクロカプセルを少量の蒸留水に再分散後、分
散液にD-マンニトール0.3gを加え、凍結乾燥し、粉末と
してマイクロカプセル26を得た。マイクロカプセル中
のペプチドAの含有率を表5に示す。
【0466】また、カプセル26を、20 mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60 ℃で 20 時間攪拌して外被を構成す
るPHBを抽出した。抽出液を孔径 0.45 μmのメンブ
レンフィルターでろ過し、ロータリーエバポレーターで
減圧濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行い、
ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、島
津QP-5050、EI法)で分析し、PHBモノマーユニッ
トのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、得
られたクロマトグラムの中で主成分であるピークが標品
であるヒドロキシ酪酸のメチル化化合物との保持時間が
同一であることから、得られたカプセル26の外被の主
成分はPHBであることを確認した。
【0467】さらに、該PHBの分子量をゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-80
20、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-
C(5μm)、溶媒;クロロホルム、カラム温度; 40
℃、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn= 7
8、000 であった。
【0468】(実施例38)実施例37における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(1)を用いた点以外は、実施例
37と全く同様にしてカプセル27を得た。マイクロカプ
セル中の薬物含量を表5に示す。
【0469】実施例37と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル27の外被の主成分がPHBであることを
確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーによる解析の結果より、得られたカプセル27に含
まれるPHAの数平均分子量は 75、000 であった。
【0470】(実施例39)実施例37における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(2)を用いた点以外は、実施例
37と全く同様にしてカプセル28を得た。マイクロカプ
セル中の薬物含量を表5に示す。
【0471】実施例37と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル28の外被の主成分がPHBであることを
確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーによる解析の結果より、得られたカプセル28に含
まれるPHAの数平均分子量は 77、000 であった。
【0472】(実施例40)実施例37における精製酵素液
(1)の替わりに精製酵素液(2)を用いた点と(R)-3-ヒ
ドロキシブチリルCoAの替わりに(R)-3-ヒドロキシ
オクタノイルCoA(Eur.J.Biochem.、250、432-439
(1997)に記載の方法で調製)を用いた点以外は、実施例3
7と全く同様にしてカプセル29を得た。マイクロカプ
セル中の薬物含量を表5に示す。
【0473】実施例37と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル29の外被の主成分が3-ヒドロキシオク
タン酸ユニットからなるPHAであることを確認した。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる
解析の結果より、得られたカプセル29に含まれるPH
Aの数平均分子量は 27、000 であった。
【0474】(実施例41)実施例37における精製酵素液
(1)の替わりに精製酵素液(3)を用いた点と(R)-3-ヒ
ドロキシブチリルCoAの替わりに(R、S)−3−ヒ
ドロキシ−5−フェニルバレリルCoA(Reformatsky反
応により得られた3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸
エステルを加水分解して3−ヒドロキシ−5−フェニル
吉草酸を得たのち、Eur.J.Biochem.、250、432−439
(1997) に記載の方法で調製)を用いた点以外は、実
施例37と全く同様にしてカプセル30を得た。マイクロ
カプセル中の薬物含量を表5に示す。
【0475】実施例37と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル30の外被の主成分が3−ヒドロキシ−5
−フェニル吉草酸ユニットからなるPHAであることを
確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーによる解析の結果より、得られたカプセル30に含
まれるPHAの数平均分子量は 22、000 であった。
【0476】(実施例42)実施例37における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(3)を用いた点と(R)-3-ヒド
ロキシブチリルCoAの替わりに(R、S)−3−ヒド
ロキシ−5−フェノキシバレリルCoA(J.Org.Chem.、
55、1490−1492(1990)に記載の方法で合成した3-フ
ェノキシプロパナール及びブロモ酢酸エチルを原料と
し、亜鉛によるReformatsky反応で得られた3-ヒドロキ
シ-5-フェノキシ吉草酸エステルを加水分解して3-ヒ
ドロキシ-5-フェノキシ吉草酸を得たのち、Eur.J.Bi
ochem.、250、432−439(1997) に記載の方法で調
製)を用いた点以外は、実施例37と全く同様にしてカプ
セル31を得た。マイクロカプセル中の薬物含量を表5
に示す。
【0477】実施例37と同様にして評価した結果、得ら
れたカプセル31の外被の主成分が3−ヒドロキシ−5
−フェノキシ吉草酸ユニットからなるPHAであること
を確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーによる解析の結果より、得られたカプセル31に
含まれるPHAの数平均分子量は 23、000 であった。
【0478】(実施例43)実施例37における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(4)を用いた点と(R)-3-ヒド
ロキシブチリルCoAの替わりに(R、S)−3−ヒド
ロキシ−5−フェニルバレリルCoAを用いた点以外
は、実施例37と全く同様にしてPHA合成反応を行っ
た。ここで室温において1時間反応を行った後、さらに
(R、S)−3−ヒドロキシ−5−フェノキシバレリル
CoA1gを添加し、室温においてさらに2時間反応を
行った。以降の処理は実施例37と全く同様にしてカプセ
ル32を得た。マイクロカプセル中の薬物含量を表5に
示す。
【0479】このカプセル構造体の表面に形成されたポ
リマーの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置
(TOF-SIMS IV、CAMECA製)により測定した。得られ
たマススペクトルから、カプセル構造体表面のPHAは
主に3−ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸ユニットで構
成されていることが確認された。また、イオンスパッタ
リングによりカプセル構造体の表面を少しずつ削りなが
ら同様にTOF-SIMSによりマススペクトルを測定していっ
たところ、ある時点でカプセル構造体を構成するPHA
のモノマーユニットの主成分が3−ヒドロキシ−5−フ
ェニル吉草酸ユニットに置き換わることが確認された。
これより、本実施例のカプセル構造体は、薬物1を被覆
した、ポリ(3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸)の
上を、ポリ(3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸)
が被覆した、所望のカプセル構造体であることがわかっ
た。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーに
よる解析の結果より、得られたカプセル32に含まれる
PHAの数平均分子量は 24、000 であった。
【0480】(実施例44)実施例37における精製酵素液
(1)の替わりに粗酵素液(5)を用いた点と1gの(R)-
3-ヒドロキシブチリルCoAの替わりに800mgの
(R、S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレリルCo
A、200mgの(R、S)−3−ヒドロキシ−7、8−
エポキシオクタノイルCoA(Int.J.Biol.Macromol.、1
2、85−91(1990)に記載の方法で合成した3−ヒドロ
キシ−7−オクテン酸の不飽和部分を3−クロロ安息香
酸でエポキシ化したのち、Eur.J.Biochem.、250、432-4
39(1997)に記載の方法で調製)を用いた点以外は、実
施例37と全く同様にしてカプセル33を得た。マイクロ
カプセル中の薬物含量を表5に示す。
【0481】1H-NMR(使用機器:FT-NMR:Bruker DPX40
0、測定核種:1H、使用溶媒:重クロロホルム(TMS入
り))解析の結果より、得られたカプセル33の外被
は、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットが7
6%、3−ヒドロキシ−7、8−エポキシオクタン酸ユ
ニットが24%からなるPHAであることを確認した。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる
解析の結果より、得られたカプセル33に含まれるPH
Aの数平均分子量は 25、000 であった。
【0482】(実施例45)上記のカプセル33について50
質量部を精製水50質量部に懸濁したのち、該懸濁液に架
橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5質量部を溶解さ
せた。溶解を確認後、凍結乾燥により水を除去した後、
70℃で12時間反応させることでカプセル34を得た。マ
イクロカプセル中の薬物含量を表5に示す。
【0483】カプセル34について赤外吸収を測定した
(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)ところ、加熱
処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)及びエポ
キシ(822 cm-1付近)のピークがカプセル34では消失
していた。これより、側鎖にエポキシユニットをもつP
HAとヘキサメチレンジアミンを反応させることで、架
橋ポリマーにより被覆されたカプセル34が得られたこ
とがわかる。
【0484】(実施例46)上記のカプセル34について50
質量部に、末端アミノ変性ポリシロキサン(変性シリコ
ーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン(株)製)を10質
量部添加し、70℃で2時間反応させた。これをメタノー
ルに懸濁し、遠心分離(10、000×g、4℃、20分間)す
る操作を繰返すことで洗浄、乾燥し、ポリシロキサンの
グラフト鎖を有するカプセル35を得た。マイクロカプ
セル中の薬物含量を表5に示す。カプセル35について
赤外吸収を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1
720X)ところ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 c
m-1付近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークがカ
プセル35では消失していた。これより、側鎖にエポキ
シユニットをもつPHAと末端アミノ変性ポリシロキサ
ンを反応させることにより、ポリシロキサンのグラフト
鎖を有するカプセル35が得られたことがわかる。
【0485】
【表5】
【0486】実験例1 約 20 mgのマイクロカプセル12を分散溶媒(2.5 mgの
カルボキシメチルセルロース、0.5 mg のポリソルベー
ト 80、25 mg のマンニトールを溶解した蒸留水)0.5 m
l に分散して10週齢雄性SDラットの背部皮下に22
G注射針で投与した。投与後一定時間毎にラットを屠殺
して投与部位に残存するマイクロカプセルを取り出し、
この取り出したマイクロカプセル中のペプチドAを定量
した結果を表6に示す。
【0487】実験例2〜9および比較例実験例1 マイクロカプセル13、14、15、23、24、2
5、33、34、35をマイクロカプセルとして用いた
以外は実験例1と全く同様にして、製剤を調製し、経時
的にペプチドAを定量した。残存率を表6に示す。
【0488】
【表6】
【0489】(実施例47)500mgの例示化合物1を、7
0mLのクロロホルムに溶解させた。これに水溶性染料ダ
イレクト・スペシャル・ブラックAXN(日本化薬社
製)の溶液10mLを加え、プローブ型超音波発振機(Ohta
ke)で乳化し、W/O型乳化液を作成した。超音波の照
射は50ワットの条件で30秒間、10回くりかえして行っ
た。このようにして調製した乳化液をロータリーエバポ
レーターにかけて、60℃、減圧下で有機溶媒を留去し染
料を担持したマイクロカプセルを得た。エバポレーター
の真空度は初めは高く、有機溶媒の蒸発が進むにつれて
真空度をさげて突沸しないように調節した。その後さら
に染料を担持したマイクロカプセル中に残存する少量の
有機溶媒を窒素ガスをふきつけることにより留去した。
さらに得られた染料を担持したマイクロカプセルに適当
量の10mMリン酸緩衝液(pH7.0)を加え30mLとし、1.2ミ
クロンのフィルター(Acrodisc、Gelman)で濾過し、透
析膜(Spectrapor、SpectrumMedical)を用いて10mMリ
ン酸緩衝液中で24時間透析することにより担持されなか
った染料を除き、染料を担持したマイクロカプセル36
を得、インク1とした。動的光散乱法による平均粒径な
らびに光学顕微鏡および電子顕微鏡により観察した結果
を表7に示す。
【0490】(実施例48〜58)ポリマーとして例示
化合物2〜12を用いる以外は実施例47と同様にしてマ
イクロカプセル37〜47を得、インク2〜12とした。
【0491】動的光散乱法による平均粒径ならびに光学
顕微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表7に示
す。
【0492】(実施例59)上記のマイクロカプセル47
の50質量部を精製水50質量部に懸濁したのち、該懸濁液
に架橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5質量部を溶
解させた。溶解を確認後、凍結乾燥により水を除去した
後、70℃で12時間反応させることでマイクロカプセル4
8を得、インク13とした。動的光散乱法による平均粒径
ならびに光学顕微鏡および電子顕微鏡により観察した結
果を表7に示す。
【0493】マイクロカプセル48について赤外吸収を
測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)とこ
ろ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)
及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークがマイクロカプ
セル48では消失していた。これより、側鎖にエポキシ
ユニットをもつPHAとヘキサメチレンジアミンを反応
させることで、架橋ポリマーにより被覆されたマイクロ
カプセル48が得られたことがわかる。
【0494】(実施例60)上記のマイクロカプセル47
について50質量部に、末端アミノ変性ポリシロキサン
(変性シリコーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン
(株)製)を10質量部添加し、70℃で2時間反応させた。
これをメタノールに懸濁し、遠心分離(10、000×g、4
℃、20分間)する操作を繰返すことで洗浄、乾燥し、ポ
リシロキサンのグラフト鎖を有するマイクロカプセル4
9を得、インク14とした。動的光散乱法による平均粒径
ならびに光学顕微鏡および電子顕微鏡により観察した結
果を表7に示す。
【0495】マイクロカプセル49について赤外吸収を
測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)とこ
ろ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)
及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークがマイクロカプ
セル49では消失していた。これより、側鎖にエポキシ
ユニットをもつPHAと末端アミノ変性ポリシロキサン
を反応させることにより、ポリシロキサンのグラフト鎖
を有するマイクロカプセル49が得られたことがわか
る。
【0496】(比較例2)ポリマーとしてポリDL乳酸(平
均分子量7000)を用いる以外は実施例47と同様にして
マイクロカプセル50を得、インク15とした。動的光散
乱法による平均粒径ならびに光学顕微鏡および電子顕微
鏡により観察した結果を表7に示す。
【0497】
【表7】
【0498】(実施例61)70mLのクロロホルムに、水
溶性染料ダイレクト・スペシャル・ブラックAXN(日
本化薬社製)溶液に参考例6で調製したPseudomonas ci
chorii YN2由来のPHA合成酵素YN2-C1を10U/mL、参考例
8で調製した (R)-3-ヒドロキシオクタノイルCoAを終濃
度1mMになるように添加した10mLを加え、プローブ型超
音波発振機(Ohtake)で乳化し、W/O型乳化液を作成
した。超音波の照射は50ワットの条件で30秒間、10回く
りかえして行った。このようにして調製した乳化液を3
7℃で3時間インキュベートすることによって、PHA
合成反応を行った。
【0499】反応液を、ゲルろ過法(Sephadex
G−50カラム)によってサイズ分画して、マイクロ
カプセルを得た。動的光散乱法によると該マイクロカプ
セルの平均粒径は820nmの単分散状態であった。
【0500】作製したマイクロカプセルの一部を、真空
乾燥したのち、20 mlのクロロホルムに懸濁し、60℃で2
0時間攪拌して外被を成すPHAを抽出した。抽出液を孔径
0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、ロータリ
ーエバポレーターで減圧濃縮したのち、常法に従ってメ
タノリシスを行い、ガスクロマトグラフィー−質量分析
装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノ
マーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。そ
の結果、当該PHAは3-ヒドロキシオクタン酸をモノマー
ユニットとするPHAであることが確認された。さらに、
該PHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC;東ソーHLC-8020、カラム;ポリマーラボラ
トリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶媒;クロロホルム、カ
ラム温度;40℃、ポリスチレン換算)により評価した結
果、Mn=13、000、Mw=32、000であった。
【0501】(実施例62)抗生物質としてバンコマイ
シンを担持するマイクロカプセルを次のようにして調製
した。
【0502】70mLのクロロホルムに、5 % グルコース溶
液にバンコマイシンを 0.2 g、参考例6で調製したPseu
domonas cichorii YN2由来のPHA合成酵素YN2-C2を10U/m
L、参考例8で調製した(R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルバ
レリルCoAを終濃度1mMになるように添加した10mLを加
え、プローブ型超音波発振機(Ohtake)で乳化し、W/
O型乳化液を作成した。超音波の照射は50ワットの条件
で30秒間、10回くりかえして行った。このようにして調
製した乳化液を37℃で3時間インキュベートすること
によって、PHA合成反応を行った。
【0503】反応液を、ゲルろ過法(Sephadex
G−50カラム)によってサイズ分画して、マイクロ
カプセルを得た。動的光散乱法によると該マイクロカプ
セル平均粒径は840nmの単分散状態であった。
【0504】作製したマイクロカプセルの一部を、真空
乾燥したのち、20 mlのクロロホルムに懸濁し、60℃で2
0時間攪拌して外被を成すPHAを抽出した。抽出液を孔径
0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、ロータリ
ーエバポレーターで減圧濃縮したのち、常法に従ってメ
タノリシスを行い、ガスクロマトグラフィー−質量分析
装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノ
マーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。そ
の結果、当該PHAは3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸をモ
ノマーユニットとするPHAであることが確認された。さ
らに、該PHAの分子量をゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC;東ソーHLC-8020、カラム;ポリマー
ラボラトリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶媒;クロロホル
ム、カラム温度;40℃、ポリスチレン換算)により評価
した結果、Mn=15、000、Mw=37、000であった。
【0505】(実施例63)農薬活性成分化合物として
ジメチル−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホ
ロチオエートを担持するマイクロカプセルを、次のよう
にして調製した。70mLのクロロホルムに、5質量 %ジメ
チル−(3−メチル−4−ニトロフェニル) ホスホロ
チオエート溶液に参考例7で調製したP161株由来のPHA
合成酵素を10U/mL、参考例8で調製した(R)-3-ヒドロキ
シ-5-(4-フルオロフェニル)バレリルCoAを終濃度1mMに
なるように添加した10mLを加え、プローブ型超音波発振
機(Ohtake)で乳化し、W/O型乳化液を作成した。超
音波の照射は50ワットの条件で30秒間、10回くりかえし
て行った。このようにして調製した乳化液を37℃で3
時間インキュベートすることによって、PHA合成反応
を行った。反応液を、ゲルろ過法(Sephadex
G−50カラム)によってサイズ分画して、マイクロカ
プセルを得た。動的光散乱法によると該マイクロカプセ
ル平均粒径は770nmの単分散状態であった。
【0506】作製したマイクロカプセルの一部を、真空
乾燥したのち、20 mlのクロロホルムに懸濁し、60℃で2
0時間攪拌して外被を成すPHAを抽出した。抽出液を孔径
0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、ロータリ
ーエバポレーターで減圧濃縮したのち、常法に従ってメ
タノリシスを行い、ガスクロマトグラフィー−質量分析
装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノ
マーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。そ
の結果、当該PHAは(R)-3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフ
ェニル)吉草酸をモノマーユニットとするPHAであること
が確認された。さらに、該PHAの分子量をゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-8020、
カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-C(5μm)、
溶媒;クロロホルム、カラム温度;40℃、ポリスチレン
換算)により評価した結果、Mn=13、000、Mw=30、
000であった。
【0507】(実施例64)化粧料として紫外線吸収剤
の一例である2、4−ジヒドロキシベンゾフェノンを担持
するマイクロカプセルを、次のようにして調製した。70
mLのクロロホルムに、5質量%の2、4−ジヒドロキシベ
ンゾフェノン水溶液に参考例7で調製したH45株由来のP
HA合成酵素を10U/mL、参考例8で調製した(R)-3-ヒドロ
キシオクタノイルCoAを終濃度1mMになるように添加した
10mLを加え、プローブ型超音波発振機(Ohtake)で乳化
し、W/O型乳化液を作成した。超音波の照射は50ワッ
トの条件で30秒間、10回くりかえして行った。このよう
にして調製した乳化液を37℃で3時間インキュベート
することによって、PHA合成反応を行った。反応液
を、ゲルろ過法(Sephadex G−50カラム)
によってサイズ分画して、マイクロカプセルを得た。動
的光散乱法によると該マイクロカプセルの平均粒径は75
0nmの単分散状態であった。
【0508】作製したマイクロカプセルの一部を、真空
乾燥したのち、20 mlのクロロホルムに懸濁し、60℃で2
0時間攪拌して外被を成すPHAを抽出した。抽出液を孔径
0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、ロータリ
ーエバポレーターで減圧濃縮したのち、常法に従ってメ
タノリシスを行い、ガスクロマトグラフィー−質量分析
装置(GC-MS、島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノ
マーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。そ
の結果、当該PHAは3-ヒドロキシオクタン酸をモノマー
ユニットとするPHAであることが確認された。さらに、
該PHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC;東ソーHLC-8020、カラム;ポリマーラボラ
トリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶媒;クロロホルム、カ
ラム温度;40℃、ポリスチレン換算)により評価した結
果、Mn=16、000、Mw=34、000であった。
【0509】(実施例65)70mLのクロロホルムに、水
溶性蛍光色素カルセイン水溶液に参考例7で調製したP9
1株由来のPHA合成酵素を10U/mL、参考例8で調製した
(R)-3-ヒドロキシオクタノイルCoAを終濃度1mMになるよ
うに添加した10mLを加え、プローブ型超音波発振機(Oh
take)で乳化し、W/O型乳化液を作成した。超音波の
照射は50ワットの条件で30秒間、10回くりかえして行っ
た。このようにして調製した乳化液を37℃で3時間イ
ンキュベートすることによって、PHA合成反応を行っ
た。
【0510】反応液を、ゲルろ過法(Sephadex
G−50カラム)によってサイズ分画して、マイクロ
カプセルを得た。動的光散乱法によると該マイクロカプ
セルの平均粒径は770nmの単分散状態であった。作製し
たマイクロカプセルの一部を、真空乾燥したのち、20 m
lのクロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌して外被
を成すPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブ
レンフィルターでろ過し、ロータリーエバポレーターで
減圧濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行い、
ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC-MS、島津Q
P-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチ
ルエステル化物の同定を行った。その結果、当該PHAは3
-ヒドロキシオクタン酸をモノマーユニットとするPHAで
あることが確認された。さらに、該PHAの分子量をゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC
-8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-C(5
μm)、溶媒;クロロホルム、カラム温度;40℃、ポリス
チレン換算)により評価した結果、Mn=18、000、Mw
=40、000であった。
【0511】(実施例66)実施例65と全く同様にし
て、カルセインを担持したPHA被覆マイクロカプセル
を得た。上記マイクロカプセルの2質量部に、参考例6
で調整したPseudomonas cichorii YN2由来のPHA合成酵
素YN2-C1を100U/mL、30 mMの (R)−3−ヒドロキシピ
メリルCoA(J.Bacteriol.、182、2753−2760(2000)
に記載の方法で調製)、0.1%のウシ血清アルブミン
(Sigma社製)を含む0.1 Mリン酸バッファー(pH7.
0)100質量部を加えた。3時間振とう後、0.1 Mリン酸
バッファー(pH7.0)で洗浄して、未反応物等を除去し
て風乾し、マイクロカプセルを得た。
【0512】このマイクロカプセルを凍結乾燥後、表面
に形成されたポリマーの質量を、飛行時間型二次イオン
質量分析装置(TOF−SIMS IV、CAMECA製)により測定
した。得られたマススペクトルから、マイクロカプセル
表面は3−ヒドロキシピメリン酸で構成されていること
がわかった。また、イオンスパッタリングによりポリヒ
ドロキシアルカノエート被覆リポソーム表面を少しずつ
削りながら同様にTOF−SIMSによりマススペクトルを測
定していったところ、ある時点で、PHAを構成するモ
ノマーユニットが3−ヒドロキシオクタン酸となった。
これより、本実施例のマイクロカプセルは、表面を親水
性官能基を有するポリヒドロキシピメレートで被覆し、
その下層をポリヒドロキシオクタン酸で被覆した2層構
造であることがわかった。
【0513】また、該PHAの平均分子量をゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC−802
0、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED−C(5
μm)、溶媒;クロロホルム、カラム温度;40℃、ポリ
スチレン換算)により評価した結果、Mn=19、000、M
w=42、000であった。
【0514】(実施例67)実施例65と全く同様にし
て、カルセインを担持したPHA被覆マイクロカプセル
を得た。上記マイクロカプセルの1質量部に、参考例6
で調整したPseudomonas cichorii YN2由来のPHA合成酵
素YN2-C1を100U/mL、24 mMの(R、S)−3−ヒドロキシ
−5−フェノキシバレリルCoA(3−フェノキシプロパナ
ールとブロモ酢酸エチルとのReformatsky反応で得られ
た3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸エステルを加水
分解して3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸を得たの
ち、Eur.J.Biochem.、250、432−439(1997)に記載
の方法で調製)、6mMの(R、S)−3−ヒドロキシ−7、8
−エポキシオクタノイルCoA(Int.J.Biol.Macromo
l.、12、85−91(1990)に記載の方法で合成した3−ヒ
ドロキシ−7−オクテン酸の不飽和部分を3−クロロ安息
香酸でエポキシ化したのち、Eur.J.Biochem.、250、
432−439(1997)に記載の方法で調製)、0.1%のウシ
血清アルブミン(Sigma社製)を含む0.1 Mリン酸バッ
ファー(pH7.0)49質量部を加えた。3時間振とう後、
0.1 Mリン酸バッファー(pH7.0)で洗浄して、未反応
物等を除去して風乾し、マイクロカプセル51を得た。
【0515】比較対照として、(R、S)−3−ヒドロキ
シ−7、8−エポキシオクタノイルCoAを、3−ヒドロキシ
オクタノイルCoAに変更する以外は、上記と同様の方法
でマイクロカプセル52を得た。
【0516】上記の試料10μlをスライドグラス上に採
取し、1%ナイルブルーA水溶液10μlを添加し、スライ
ドグラス上で混合した後、カバーグラスを載せ、蛍光顕
微鏡(330〜380 nm励起フィルタ、420 nmロングパス吸
収フィルタ、(株)ニコン製)観察を行った。その結
果、いずれの試料においても、マイクロカプセル表面が
蛍光を発していることが確認された。従って、該マイク
ロカプセルはPHAにより表面を被覆されていることがわ
かった。
【0517】さらに、試料の一部を遠心分離(10、000
×g、4℃、10分間)により回収し、真空乾燥したの
ち、クロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌して外被
を成すPHAを抽出した。この抽出液について1H−NMR分析
を行った(使用機器:FT−NMR:Bruker DPX400、測定核
種:1H、使用溶媒:重クロロホルム(TMS入り))。こ
こから計算した各側鎖ユニットのユニット%を表8に示
す。
【0518】
【表8】
【0519】さらに、試料上記のマイクロカプセル51
を50質量部、遠心分離(10、000×g、4℃、10分間)し
てマイクロカプセルを回収し、精製水50質量部に懸濁す
る操作を3回繰返したのち、該懸濁液に架橋剤としてヘ
キサメチレンジアミン0.5質量部を溶解させた。溶解を
確認後、凍結乾燥により水を除去した(これをマイクロ
カプセル53とする)。さらに、マイクロカプセル53
を70℃で12時間反応させた(これをマイクロカプセル5
4とする)。
【0520】上記マイクロカプセル53及びマイクロカ
プセル54をクロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌
して外被を成すPHAを抽出し、真空乾燥によりクロロホ
ルムを除去し、示差走査熱量計(DSC;パーキンエルマ
ー社製、Pyris 1、昇温:10℃/分)装置で測定を行っ
た。その結果、マイクロカプセル53では90℃付近に明
確な発熱ピークがみられ、ポリマー中のエポキシ基とヘ
キサメチレンジアミンとの反応が起こり、ポリマー同士
の架橋が進行していることが示される。一方、マイクロ
カプセル54では明確なヒートフローは見られず、架橋
反応がほぼ完了していることが示される。
【0521】さらに、同様のサンプルにつき、赤外吸収
を測定した(FT−IR;パーキンエルマー社製、1720
X)。その結果、マイクロカプセル53で見られたアミ
ン(3340cm-1付近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピ
ークがマイクロカプセル54では消失している。
【0522】以上の結果より、側鎖にエポキシユニット
をもつPHAとヘキサメチレンジアミンを反応させること
により、架橋ポリマーが得られることが明らかとなっ
た。一方、比較対照としてマイクロカプセル52につい
て同様の評価を行ったが、前記の如き、ポリマー同士の
架橋を明確に示す評価結果は得られなかった。
【0523】(実施例68)8-[1-オキソ-3-[1-(フェニ
ルメチル)ピペリジン-4-イル]プロピル]-2,3,4,5-テ
トラヒドロ-1H-1-ベンズアゼピン(以下、薬物1と称す
る)200mgと2.0gの例示化合物1をジクロロメ
タン2mlに溶解した溶液を、16〜18℃に冷却した
後、あらかじめ16〜18℃に冷却しておいた0.1%
ポリビニルアルコール(EG-40、日本合成化学製)水溶
液500mlに注入し、タービン型ホモミキサー(特殊
機化製)を用い、7000rpmでO/W型エマルショ
ンとした。得られたO/W型エマルションを室温で3時
間撹拌してジクロロメタンを揮発させ、油相を固化させ
た後、1500rpmで遠心分離した。得られた沈殿物
を蒸留水に再分散後、分散液をさらに遠心分離し、遊離
薬物を洗浄除去した。得られたマイクロカプセルを少量
の蒸留水に再分散後、凍結乾燥し、粉末としてマイクロ
カプセルを得、これをカプセル55とした。マイクロカ
プセル中の薬物含量を表9に示す。なお、薬物含量は2
5mgのマイクロカプセルを60%アセトニトリル含有
リン酸緩衝液(pH7)10mlに溶解したサンプルをH
PLC法で定量することによって測定した。
【0524】(実施例69〜79)例示化合物2〜12を
用いる以外は実施例68と同様にしてマイクロカプセル
56〜66を調製した。マイクロカプセル中の薬物含量
を表9に示す。
【0525】(実施例80)上記のマイクロカプセル66
の50質量部を精製水50質量部に懸濁したのち、該懸濁液
に架橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5質量部を溶
解させた。溶解を確認後、凍結乾燥により水を除去した
後、70℃で12時間反応させることでマイクロカプセル6
7を得た。
【0526】マイクロカプセル67について赤外吸収を
測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)とこ
ろ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)
及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークがマイクロカプ
セル67では消失していた。これより、側鎖にエポキシ
ユニットをもつPHAとヘキサメチレンジアミンを反応
させることで、架橋ポリマーにより被覆されたマイクロ
カプセル67が得られたことがわかる。
【0527】(実施例81)上記のマイクロカプセル66
について50質量部に、末端アミノ変性ポリシロキサン
(変性シリコーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン
(株)製)を10質量部添加し、70℃で2時間反応させた。
これをメタノールに懸濁し、遠心分離(10,000×g、4
℃、20分間)する操作を繰返すことで洗浄、乾燥し、ポ
リシロキサンのグラフト鎖を有するマイクロカプセル6
8を得た。
【0528】マイクロカプセル68について赤外吸収を
測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)とこ
ろ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)
及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークがマイクロカプ
セル68では消失していた。これより、側鎖にエポキシ
ユニットをもつPHAと末端アミノ変性ポリシロキサン
を反応させることにより、ポリシロキサンのグラフト鎖
を有するマイクロカプセル68が得られたことがわか
る。
【0529】(比較例3)例示化合物の替わりに乳酸−グ
リコール酸共重合体(以下PLGAと略記する)(和光
純薬製、Lot. No.K1030、乳酸/グリコール酸組成
比(モル%):75/25、GPC重量平均分子量:1
3000)を用いる以外は実施例68と同様にしてマイ
クロカプセル69を調製した。マイクロカプセル中の薬
物含量を表9に示す。
【0530】
【表9】
【0531】実施例82 薬物1を1.5gと4.5gの例示化合物1をジクロロ
メタン9mlに溶解した溶液を、を16〜18℃に冷却
した後、あらかじめ16〜18℃に冷却しておいた0.
1%ポリビニルアルコール水溶液500mlに注入し、
タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用い、800
0rpmでO/W型エマルションとした。得られたO/
W型エマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタ
ンを揮発させ、油相を固化させた後、遠心分離器を用い
て1500rpmで遠心分離した。得られた沈殿物を蒸
留水に再分散後、分散液をさらに遠心分離し、遊離薬物
を洗浄除去した。得られたマイクロカプセルを少量の蒸
留水に再分散後、凍結乾燥し、粉末としてマイクロカプ
セルを得、これをカプセル70とした。マイクロカプセ
ル中の薬物含量を表10に示す。
【0532】(実施例83〜93)例示化合物2〜12を
用いる以外は実施例82と同様にしてマイクロカプセル
71〜81を調製した。マイクロカプセル中の薬物含量
を表10に示す。
【0533】(実施例94)マイクロカプセル81を用い
る以外は実施例80と同様にしてマイクロカプセル82
を調製した。マイクロカプセル中の薬物含量を表10に
示す。
【0534】(実施例95)マイクロカプセル81を用い
る以外は実施例81と同様にしてマイクロカプセル83
を調製した。マイクロカプセル中の薬物含量を表10に
示す。
【0535】(比較例4)例示化合物の替わりに乳酸−グ
リコール酸共重合体(以下PLGAと略記する)(和光
純薬製、Lot. No.K1030、乳酸/グリコール酸組成
比(モル%):75/25、GPC重量平均分子量:1
3000)を用いる以外は実施例82と同様にしてマイ
クロカプセル84を調製した。マイクロカプセル中の薬
物含量を表10に示す。
【0536】
【表10】
【0537】(実施例96)200mgの薬物1をジクロ
ロメタン2mlに溶解した溶液を、16〜18℃に冷却
した後、あらかじめ16〜18℃に冷却しておいた0.
1%ポリビニルアルコール(EG-40、日本合成化学製)
を溶解した0.1 Mリン酸バッファー(pH 7.0)100m
lに注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を
用い、7000rpmでO/W型エマルションとした。
得られたO/W型エマルションに、精製酵素液(1)5
ml、(R)-3-ヒドロキシブチリルCoA(シグマ・アル
ドリッチ・ジャパン(株)社製)1g、ウシ血清アルブミ
ン(Sigma社製)0.1gを添加、溶解し、室温で3時間緩
やかに撹拌してPHAの合成とジクロロメタンの揮発を
行い、油相を固化させた後、1500rpmで遠心分離
した。得られた沈殿物を蒸留水に再分散後、分散液をさ
らに遠心分離し、遊離薬物を洗浄除去した。得られたマ
イクロカプセルを少量の蒸留水に再分散後、凍結乾燥
し、粉末としてマイクロカプセルを得、これをカプセル
85とした。マイクロカプセル中の薬物含量を表11に
示す。なお、薬物含量は25mgのマイクロカプセルを
60%アセトニトリル含有リン酸緩衝液(pH7)10m
lに溶解したサンプルをHPLC法で定量することによ
って測定した。
【0538】また、カプセル85を、20 mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60 ℃で 20 時間攪拌して外被を構成す
るPHBを抽出した。抽出液を孔径 0.45 μmのメンブ
レンフィルターでろ過し、ロータリーエバポレーターで
減圧濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行い、
ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津
QP-5050、EI法)で分析し、PHBモノマーユニット
のメチルエステル化物の同定を行った。その結果、得ら
れたクロマトグラムの中で主成分であるピークが標品で
あるヒドロキシ酪酸のメチル化化合物との保持時間が同
一であることから、得られたカプセル85の外被の主成
分はPHBであることを確認した。
【0539】さらに、該PHBの分子量をゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-80
20、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-
C(5μm)、溶媒;クロロホルム、カラム温度; 40
℃、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn= 78,
000 であった。
【0540】(実施例97)実施例96における精製酵素
液(1)の替わりに粗酵素液(1)を用いた点以外は、実施
例96と全く同様にしてカプセル86を得た。マイクロ
カプセル中の薬物含量を表11に示す。
【0541】実施例96と同様にして評価した結果、得
られたカプセル86の外被の主成分がPHBであること
を確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーによる解析の結果より、得られたカプセル86に
含まれるPHAの数平均分子量は 75,000 であった。
【0542】(実施例98)実施例96における精製酵素
液(1)の替わりに粗酵素液(2)を用いた点以外は、実施
例96と全く同様にしてカプセル87を得た。マイクロ
カプセル中の薬物含量を表11に示す。
【0543】実施例96と同様にして評価した結果、得
られたカプセル87の外被の主成分がPHBであること
を確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーによる解析の結果より、得られたカプセル87に
含まれるPHAの数平均分子量は 74,000 であった。
【0544】(実施例99)実施例96における精製酵素
液(1)の替わりに精製酵素液(2)を用いた点と(R)-3-
ヒドロキシブチリルCoAの替わりに(R)-3-ヒドロキ
シオクタノイルCoA(Eur.J.Biochem.,250,432-439
(1997)に記載の方法で調製)を用いた点以外は、実施例
96と全く同様にしてカプセル88を得た。マイクロカ
プセル中の薬物含量を表11に示す。
【0545】実施例96と同様にして評価した結果、得
られたカプセル88の外被の主成分が3-ヒドロキシオ
クタン酸ユニットからなるPHAであることを確認し
た。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーに
よる解析の結果より、得られたカプセル88に含まれる
PHAの数平均分子量は 25,000 であった。
【0546】(実施例100)実施例96における精製酵
素液(1)の替わりに精製酵素液(3)を用いた点と(R)-
3-ヒドロキシブチリルCoAの替わりに(R,S)−3
−ヒドロキシ−5−フェニルバレリルCoA(Reformats
ky反応により得られた3−ヒドロキシ−5−フェニル吉
草酸エステルを加水分解して3−ヒドロキシ−5−フェ
ニル吉草酸を得たのち、Eur.J.Biochem.,250,432
−439(1997) に記載の方法で調製)を用いた点以外
は、実施例96と全く同様にしてカプセル89を得た。
マイクロカプセル中の薬物含量を表11に示す。実施例
96と同様にして評価した結果、得られたカプセル89
の外被の主成分が3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸
ユニットからなるPHAであることを確認した。また、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる解析の
結果より、得られたカプセル89に含まれるPHAの数
平均分子量は 22,000 であった。
【0547】(実施例101)実施例96における精製酵
素液(1)の替わりに粗酵素液(3)を用いた点と(R)-3-
ヒドロキシブチリルCoAの替わりに(R,S)−3−
ヒドロキシ−5−フェノキシバレリルCoA(J.Org.Che
m.,55,1490−1492(1990)に記載の方法で合成した3-
フェノキシプロパナール及びブロモ酢酸エチルを原料と
し、亜鉛によるReformatsky反応で得られた3-ヒドロキ
シ-5-フェノキシ吉草酸エステルを加水分解して3-ヒ
ドロキシ-5-フェノキシ吉草酸を得たのち、Eur.J.Bi
ochem.,250,432−439(1997) に記載の方法で調
製)を用いた点以外は、実施例96と全く同様にしてカ
プセル90を得た。マイクロカプセル中の薬物含量を表
11に示す。
【0548】実施例96と同様にして評価した結果、得
られたカプセル90の外被の主成分が3−ヒドロキシ−
5−フェノキシ吉草酸ユニットからなるPHAであるこ
とを確認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィーによる解析の結果より、得られたカプセル90
に含まれるPHAの数平均分子量は 24,000 であった。
【0549】(実施例102)実施例96における精製酵
素液(1)の替わりに粗酵素液(4)を用いた点と(R)-3-
ヒドロキシブチリルCoAの替わりに(R,S)−3−
ヒドロキシ−5−フェニルバレリルCoAを用いた点以
外は、実施例96と全く同様にしてPHA合成反応を行
った。ここで室温において1時間反応を行った後、さら
に(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フェノキシバレリ
ルCoA1gを添加し、室温においてさらに2時間反応
を行った。以降の処理は実施例96と全く同様にしてカ
プセル91を得た。マイクロカプセル中の薬物含量を表
11に示す。
【0550】このカプセル構造体の表面に形成されたポ
リマーの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置
(TOF-SIMS IV、CAMECA製)により測定した。得られ
たマススペクトルから、カプセル構造体表面のPHAは
主に3−ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸ユニットで構
成されていることが確認された。また、イオンスパッタ
リングによりカプセル構造体の表面を少しずつ削りなが
ら同様にTOF-SIMSによりマススペクトルを測定していっ
たところ、ある時点でカプセル構造体を構成するPHA
のモノマーユニットの主成分が3−ヒドロキシ−5−フ
ェニル吉草酸ユニットに置き換わることが確認された。
これより、本実施例のカプセル構造体は、薬物1を被覆
した、ポリ(3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸)の
上を、ポリ(3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸)
が被覆した、所望のカプセル構造体であることがわかっ
た。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーに
よる解析の結果より、得られたカプセル91に含まれる
PHAの数平均分子量は 23,000 であった。
【0551】(実施例103)実施例96における精製酵
素液(1)の替わりに粗酵素液(5)を用いた点と1gの
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAの替わりに0.8gの
(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレリルCo
A、0.2gの(R,S)−3−ヒドロキシ−7,8−エポ
キシオクタノイルCoA(Int.J.Biol.Macromol.,12,85
−91(1990)に記載の方法で合成した3−ヒドロキシ−
7−オクテン酸の不飽和部分を3−クロロ安息香酸でエ
ポキシ化したのち、Eur.J.Biochem.,250,432-439(19
97)に記載の方法で調製)を用いた点以外は、実施例9
6と全く同様にしてカプセル92を得た。マイクロカプ
セル中の薬物含量を表11に示す。
【0552】1H-NMR(使用機器:FT-NMR:Bruker DPX40
0、測定核種:1H,使用溶媒:重クロロホルム(TMS入
り))解析の結果より、得られたカプセル92の外被
は、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットが7
5%、3−ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユ
ニットが25%からなるPHAであることを確認した。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる
解析の結果より、得られたカプセル92に含まれるPH
Aの数平均分子量は 20,000 であった。
【0553】(実施例104)上記のカプセル92につい
て50質量部を精製水50質量部に懸濁したのち、該懸濁液
に架橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5質量部を溶
解させた。溶解を確認後、凍結乾燥により水を除去した
後、70℃で12時間反応させることでカプセル93を得
た。マイクロカプセル中の薬物含量を表11に示す。
【0554】カプセル93について赤外吸収を測定した
(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)ところ、加熱
処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)及びエポ
キシ(822 cm-1付近)のピークがカプセル93では消失
していた。これより、側鎖にエポキシユニットをもつP
HAとヘキサメチレンジアミンを反応させることで、架
橋ポリマーにより被覆されたカプセル93が得られたこ
とがわかる。
【0555】(実施例105)上記のカプセル92につい
て50質量部に、末端アミノ変性ポリシロキサン(変性シ
リコーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン(株)製)を1
0質量部添加し、70℃で2時間反応させた。これをメタノ
ールに懸濁し、遠心分離(10,000×g、4℃、20分間)す
る操作を繰返すことで洗浄、乾燥し、ポリシロキサンの
グラフト鎖を有するカプセル94を得た。マイクロカプ
セル中の薬物含量を表11に示す。カプセル94につい
て赤外吸収を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社
製、1720X)ところ、加熱処理前に観察されたアミン(3
340 cm-1付近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピーク
がカプセル94では消失していた。これより、側鎖にエ
ポキシユニットをもつPHAと末端アミノ変性ポリシロ
キサンを反応させることにより、ポリシロキサンのグラ
フト鎖を有するカプセル94が得られたことがわかる。
【0556】
【表11】
【0557】実験例10 実施例93で得られたマイクロカプセル81の62.8
mg(薬物として30mg/kg体重相当)を0.5m
lの分散媒(2.5mgのカルボキシメチルセルロー
ス、1.0mgのポリソルベート80、25.0mgのマ
ンニトールを溶解した蒸留水)に分散して10週齢雄性
SDラットの背部皮下に22G注射針で投与した。投与
後、一定時間毎にラットを屠殺して投与部位に残存する
マイクロカプセルを取り出し、この取り出したマイクロ
カプセル中の薬物量を定量し、投与量に対する残存率を
表12に示す。
【0558】実験例11〜15および比較実験例2 マイクロカプセル82,83,84,92,93,94
を薬物として30mg/kg体重相当になるよう用いた
以外は実験例10と全く同様にして、製剤を調製し、経
時的に薬物量を定量した。残存率を表12に示す。
【0559】
【表12】
【0560】(実施例106)2.0gの例示化合物1を塩
化メチレン20m1に溶解した液に、精製水12mlを投入し、
振盪・攪拌してW/O型エマルションを調製した。さら
に超音波を照射することにより内水相の径を小さくし
た。ついで、小型ホモジナイザー(キネマチカ社(スイ
ス)製のポリトロン)で攪拌しつつ、1w/v%ポリビ
ニルアルコール水溶液200ml中に前記W/O型エマルシ
ョン32mlを投入し、W/O/W型エマルションとした。
このW/O/W型エマルションを攪拌機で6 時間攪拌
し、油相中の有機溶媒である塩化メチレンを蒸発させ、
油相中の例示化合物1を固化させた。微粒子を遠心分離
により捕集し、同時に冷却した精製水で洗浄した後、0.
1 %Tween80 水溶液で再分散し、凍結乾燥し、粉末状の
微粒子である中空マイクロカプセル1を得た。また、中
空マイクロカプセル1を用いる超音波造影剤を、超音波
造影剤1とした。得られた中空マイクロカプセル微粒子
を光学顕微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表
13に示す。
【0561】(実施例107〜117)W/O型エマル
ションを作製する際、その油相に溶解させるポリマーと
して例示化合物2〜12を用いる以外は、実施例106と
同様にして粉末状の微粒子である中空マイクロカプセル
2〜12を得た。また、これら中空マイクロカプセルを用
いる超音波造影剤を、それぞれ超音波造影剤2〜12とし
た。
【0562】得られた中空マイクロカプセル微粒子を光
学顕微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表13
に示す。
【0563】(実施例118)上記の中空マイクロカプ
セル12の50質量部を精製水50質量部に懸濁したのち、該
懸濁液に架橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5質量
部を溶解させた。溶解を確認後、凍結乾燥により水を除
去した後、70℃で12時間反応させることで中空マイクロ
カプセル13を得た。架橋化処理を施した中空マイクロカ
プセル13を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤13とし
た。得られた中空マイクロカプセル微粒子を光学顕微鏡
および電子顕微鏡により観察した結果を表13に示す。
中空マイクロカプセル13について、赤外吸収を測定した
(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)ところ、加熱
処理前に観察されたアミン(3340 cm-1付近)及びエポ
キシ(822 cm-1付近)のピークが中空マイクロカプセル
13では消失していた。これより、側鎖にエポキシ基を有
するユニットを含むPHAとヘキサメチレンジアミンを
反応させることで、ジアミンとエポキシ基との開環付加
で架橋化されたポリマーにより、表面が被覆された中空
マイクロカプセル13が得られたことがわかる。
【0564】(実施例119)上記中空マイクロカプセ
ル12の50質量部に、末端アミノ変性ポリシロキサン(変
性シリコーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン(株)
製)を10質量部添加し、70℃で2時間反応させた。これ
をメタノールに懸濁し、遠心分離(10,000×g、4℃、20
分間)する操作を繰返すことで洗浄した後、乾燥して、
ポリシロキサンのグラフト鎖を有する中空マイクロカプ
セル14を得た。この表面にポリシロキサンのグラフト鎖
の修飾を有する中空マイクロカプセル14を用いる超音波
造影剤を、超音波造影剤14とした。得られた中空マイク
ロカプセル微粒子を光学顕微鏡および電子顕微鏡により
観察した結果を表13に示す。
【0565】中空マイクロカプセル14について赤外吸収
を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)と
ころ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1
近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークが中空マイ
クロカプセル14では消失していた。これより、側鎖にエ
ポキシ基を有するユニットを含むPHAと末端アミノ変
性ポリシロキサンを反応させることにより、エポキシ基
と末端アミノ基との開環付加で、ポリシロキサンのグラ
フト鎖で修飾された中空マイクロカプセル14が得られて
いることがわかる。
【0566】(比較例5)W/O型エマルションを作製
する際、その油相に溶解させるポリマーとしてポリDL乳
酸(平均分子量7000)を用いる以外は、実施例106と
同様にして粉末状の微粒子である中空マイクロカプセル
15を得た。このポリDL乳酸からなる中空マイクロカプセ
ル15を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤15とした。
得られた中空マイクロカプセル微粒子を光学顕微鏡およ
び電子顕微鏡により観察した結果を表13に示す。
【0567】
【表13】
【0568】孔の有無:乾燥の際、内相の水、有機溶媒
の蒸散により、外被に孔が生成しているか否を示す。
【0569】(実施例120)20m1の塩化メチレン溶液
に、12mlの0.1 Mリン酸バッファー(pH 7.0)に精製酵
素液(1)0.6ml、(R)-3-ヒドロキシブチリルC
oA(シグマ・アルドリッチ・ジャパン(株)社製)300
mg、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)12mgを加
え溶解した水溶液を投入し、振盪・攪拌してW/O型エ
マルションを調製した。さらに超音波を照射することに
より内水相の径を小さくした。ついで、小型ホモジナイ
ザー(キネマチカ社(スイス)製のポリトロン)で攪拌
しつつ、1w/v%ポリビニルアルコール水溶液200ml
に前記W/O型エマルション32m1を投入し、W/O/W
型エマルションとした。このW/O/W型エマルション
を攪拌機で6 時間攪拌しつつ、PHAを合成するととも
に、油相中の塩化メチレンを蒸発させ、PHAを固化さ
せて、マイクロカプセル状微粒子を調製した。得られた
微粒子を遠心分離により捕集し、同時に冷却した精製水
で洗浄した後、0.1 %Tween80 水溶液で再分散し、凍結
乾燥し、粉末状のマイクロカプセル状微粒子である中空
マイクロカプセル16を得た。この中空マイクロカプセル
16を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤16とした。得
られたマイクロカプセル微粒子を光学顕微鏡および電子
顕微鏡により観察した結果を表14に示す。
【0570】また、中空マイクロカプセル16を、20 mL
のクロロホルムに懸濁し、60 ℃で20 時間攪拌して、マ
イクロカプセル外被を構成するPHBを抽出した。抽出
液を孔径 0.45 μmのメンブレン・フィルターでろ過
し、ロータリー・エバポレーターで減圧濃縮したのち、
常法に従ってメタノリシスを行い、ガスクロマトグラフ
ィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)
で分析し、PHBモノマーユニットのメチルエステル化
物の同定を行った。その結果、得られたクロマトグラム
の中で主成分であるピークが標品である3−ヒドロキシ
酪酸のメチルエステル化化合物との保持時間が同一であ
ることから、得られた中空マイクロカプセル16の外被の
主成分はPHBであることが確認された。
【0571】さらに、このPHBの分子量をゲル・パー
ミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソーH
LC-8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MI
XED-C(5μm)、溶媒;クロロホルム、カラム温
度; 40 ℃、ポリスチレン換算)により評価した結果、
数平均分子量Mn= 72,000 であった。
【0572】(実施例121)実施例120で用いた精
製酵素液(1)に代えて、KK01株由来の粗酵素液(1)
を用いた点以外は、実施例120と同じ条件として、中
空マイクロカプセル17を得た。この中空マイクロカプセ
ル17を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤17とし
た。
【0573】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表14に示
す。実施例120と同様に、マイクロカプセル外被を構
成するPHAの組成を評価した結果、得られた中空マイ
クロカプセル17の外被の主成分がPHBであることが確
認された。また、ゲル・パーミエーション・クロマトグ
ラフィーによる解析の結果より、得られた中空マイクロ
カプセル17外被を構成するPHAの数平均分子量は 73,
000 であった。
【0574】(実施例122)実施例120で用いた精
製酵素液(1)に代えて、TL2株由来の粗酵素液(2)を
用いた点以外は、実施例120と同じ条件として、中空
マイクロカプセル18を得た。この中空マイクロカプセル
18を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤18とした。
【0575】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表14に示
す。
【0576】実施例120と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル18の外被の主成分がPHBである
ことが確認された。また、ゲル・パーミエーション・ク
ロマトグラフィーによる解析の結果より、得られた中空
マイクロカプセル18外被を構成するPHAの数平均分子
量は 72,000 であった。
【0577】(実施例123)実施例120で用いた精
製酵素液(1)に代えて、組換えPHA合成酵素の精製酵
素液(2)を用い、また、(R)-3-ヒドロキシブチリルC
oAに代えて、(R)-3-ヒドロキシオクタノイルCoA
(Eur. J. Biochem., 250, 432-439 (1997)に記載の方
法で調製)を用いて、その他の条件は実施例120と同
様にして、中空マイクロカプセル19を得た。この中空マ
イクロカプセル19を用いる超音波造影剤を、超音波造
影剤19とした。
【0578】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表14に示
す。
【0579】実施例120と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル19の外被の主成分が3-ヒドロキ
シオクタン酸ユニットからなるPHAであることが確認
された。また、ゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フィーによる解析の結果より、得られた中空マイクロカ
プセル19外被を構成するPHAの数平均分子量は 25,00
0 であった。
【0580】(実施例124)実施例120で用いた精
製酵素液(1)に代えて、組換えPHA合成酵素の精製酵
素液(3)を用い、また、 (R)-3-ヒドロキシブチリル
CoAに代えて、(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フ
ェニルバレリルCoA(Reformatsky反応により得られた
3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸エステルを加水分
解して3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸を作製し、
次いで、Eur. J. Biochem., 250, 432-439(1997) に記
載の方法で調製)を用いて、その他の条件は実施例27と
同様にして、中空マイクロカプセル20を得た。この中空
マイクロカプセル20を用いる超音波造影剤を、超音波
造影剤20とした。
【0581】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表14に示
す。
【0582】実施例120と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル20の外被の主成分が3−ヒドロキ
シ−5−フェニル吉草酸ユニットからなるPHAである
ことが確認された。また、ゲル・パーミエーション・ク
ロマトグラフィーによる解析の結果より、得られた中空
マイクロカプセル20外被を構成するPHAの数平均分子
量は 21,000 であった。
【0583】(実施例125)実施例120で用いた精
製酵素液(1)に代えて、組換えPHA合成酵素の精製酵
素液(3)を用い、また、(R)-3-ヒドロキシブチリルC
oAに代えて、(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フェ
ノキシバレリルCoA(J. Org. Chem., 55, 1490-1492
(1990)に記載の方法で合成した3-フェノキシプロパナ
ール、及びブロモ酢酸エチルを原料とし、亜鉛によるRe
formatsky反応で得られた3-ヒドロキシ-5-フェノキシ
吉草酸エステルを加水分解して3-ヒドロキシ-5-フェ
ノキシ吉草酸を取得し、次いで、Eur. J. Biochem., 25
0, 432-439 (1997) に記載の方法で調製)を用いて、そ
の他の条件は実施例120と同様にして、中空マイクロ
カプセル21を得た。この中空マイクロカプセル21を用
いる超音波造影剤を、超音波造影剤21とした。
【0584】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表14に示
す。
【0585】実施例120と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル21の外被の主成分が3−ヒドロキ
シ−5−フェノキシ吉草酸ユニットからなるPHAであ
ることが確認された。また、ゲル・パーミエーション・
クロマトグラフィーによる解析の結果より、得られた中
空マイクロカプセル21外被を構成するPHAの数平均分
子量は 22,000 であった。
【0586】(実施例126)実施例120で用いた精
製酵素液(1)に代えて、P91株由来の粗酵素液(4)を
用い、また、(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代え
て、(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレリ
ルCoAを用いて、その他の条件は実施例120と同様
にして、PHA合成反応を行った。本例では、室温にお
いて3時間反応を行った後、さらに、水相中に(R,
S)−3−ヒドロキシ−5−フェノキシバレリルCoA
300mgを添加し、室温においてさらに2時間反応を
行った。その後、油相中の塩化メチレンの蒸発などの処
理は、実施例120と同様にして、中空マイクロカプセ
ル22を得た。この中空マイクロカプセル22を用いる超
音波造影剤を、超音波造影剤22とした。
【0587】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表14に示
す。
【0588】このカプセル構造体の表面に形成されたP
HAポリマーに含まれるモノマーユニット・フラグメン
トの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-
SIMSIV、CAMECA製)により測定した。得られたマスス
ペクトルから、カプセル構造体表面のPHAは、主に3
−ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸ユニットで構成され
ていることが確認された。また、イオンスパッタリング
によりカプセル構造体の表面を少しずつ削りつつ、その
部分のPHAポリマーに含まれるモノマーユニット・フ
ラグメントの質量を、TOF-SIMSによりマススペクトルを
測定していったところ、外被表面より、ある深さスパッ
タリングが進んだ時点でカプセル構造体を構成するPH
Aのモノマーユニットの主成分が3−ヒドロキシ−5−
フェニル吉草酸ユニットに換わることが確認された。こ
れより、本実施例のカプセル構造体は、当初の酵素反応
で生成するポリ(3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草
酸)の外被層上を、後半の酵素反応で生成するポリ(3
−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸)が被覆した二層
構造の外被を有する、所望のカプセル構造体であること
がわかった。また、ゲル・パーミエーション・クロマト
グラフィーによる解析の結果より、得られた中空マイク
ロカプセル22の外被表面を構成するPHAの数平均分子
量は 23,000 であった。
【0589】(実施例127)実施例120で用いた精
製酵素液(1)に代えて、YN2株由来の粗酵素液(5)を
用い、さらに、60mgの(R)-3-ヒドロキシブチリル
CoAに代えて、240mgの(R,S)−3−ヒドロ
キシ−5−フェニルバレリルCoAと、60mgの
(R,S)−3−ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタ
ノイルCoA(Int.J. Biol. Macromol., 12, 85-91 (19
90)に記載の方法で合成した3−ヒドロキシ−7−オク
テン酸の不飽和部分を3−クロロ安息香酸でエポキシ化
した後、Eur.J. Biochem., 250, 432-439 (1997)に記載
の方法で調製)を用いて、その他の条件は実施例120
と同様にして、中空マイクロカプセル23を得た。この中
空マイクロカプセル23を用いる超音波造影剤を、超音
波造影剤23とした。
【0590】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表14に示
す。
【0591】マイクロカプセル外被を構成するPHA組
成を、1H-NMR(使用機器:FT-NMR:Bruker DPX400、測
定核種:1H、使用溶媒:重クロロホルム(TMS入り))
解析により評価した結果、得られた中空マイクロカプセ
ル23の外被は、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユ
ニットが77%、3−ヒドロキシ−7,8−エポキシオ
クタン酸ユニットが23%からなるPHAであることを
確認した。また、ゲル・パーミエーション・クロマトグ
ラフィーによる解析の結果より、得られた中空マイクロ
カプセル23外被を構成するPHAの数平均分子量は 25,
000 であった。
【0592】(実施例128)上記中空マイクロカプセ
ル23の50質量部を、精製水50質量部に懸濁した後、該懸
濁液に、架橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5質量
部を溶解させた。溶解を確認後、凍結乾燥により水を除
去した後、70℃で12時間反応させ、表面の架橋化処理を
施した中空マイクロカプセル24を得た。この架橋化処理
を施した中空マイクロカプセル24を用いる超音波造影剤
を、超音波造影剤24とした。
【0593】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表14に示
す。
【0594】中空マイクロカプセル24について赤外吸収
を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)と
ころ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1
近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークが中空マイ
クロカプセル24では消失していた。これより、側鎖にエ
ポキシ基を有するユニットをもつPHAとヘキサメチレ
ンジアミンを反応させることで、その表面における、ジ
アミンとエポキシ基との開環付加で架橋形成されたポリ
マーにより被覆された中空マイクロカプセル24が得られ
たことがわかる。
【0595】(実施例129)上記の中空マイクロカプ
セル23の50質量部に、末端アミノ変性ポリシロキサン
(変性シリコーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン
(株)製)を10質量部添加し、70℃で2時間反応させた。
これをメタノールに懸濁し、遠心分離(10,000×g、4
℃、20分間)する操作を繰返すことで洗浄し、次いで、
乾燥して、ポリシロキサンのグラフト鎖が付加修飾され
た中空マイクロカプセル25を得た。この表面にポリシロ
キサンのグラフト鎖が付加修飾された中空マイクロカプ
セル25を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤25とし
た。
【0596】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表14に示
す。
【0597】中空マイクロカプセル25について赤外吸収
を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)と
ころ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1
近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークが中空マイ
クロカプセル25では消失していた。これより、側鎖にエ
ポキシ基を有するユニットを含むPHAに末端アミノ変
性ポリシロキサンを反応させることにより、エポキシ基
と末端アミノ基との開環付加により、その表面PHAに
ポリシロキサンのグラフト鎖による化学修飾がなされた
中空マイクロカプセル25が得られたことがわかる。
【0598】
【表14】
【0599】(実施例130)20m1の塩化メチレン溶液
に、12mlの精製水を投入し、振盪・攪拌してW/O型エ
マルションを調製した。さらに超音波を照射することに
より内水相の径を小さくした。ついで、0.1 Mリン酸バ
ッファー(pH7.0)に1w/v%のポリビニルアル
コール、精製酵素液(1)5ml、(R)-3-ヒドロキシ
ブチリルCoA(シグマ・アルドリッチ・ジャパン
(株)社製)1g、ウシ血清アルブミン(Sigma社
製)100mgを加え溶解した水溶液100mlに、小型ホ
モジナイザー(キネマチカ社(スイス)製のポリトロ
ン)で攪拌しつつ、前記W/O型エマルション32m1を投
入し、W/O/W型エマルションとした。このW/O/
W型エマルションを攪拌機で6時間攪拌し、PHAを合
成するとともに塩化メチレンを蒸発させ、生成したPH
Aを固化して、マイクロカプセル微粒子を調製した。こ
の微粒子を遠心分離により捕集し、同時に冷却した精製
水で洗浄した後、0.1 %Tween80 水溶液で再分散し、凍
結乾燥し、粉末状のマイクロカプセル微粒子である中空
マイクロカプセル26を得た。この中空マイクロカプセル
26を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤26とした。
【0600】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表15に示
す。また、中空マイクロカプセル26を、20 mLのクロロ
ホルムに懸濁し、60 ℃で 20 時間攪拌して外被を構成
するPHBを抽出した。抽出液を孔径 0.45 μmのメン
ブレンフィルターでろ過し、ロータリーエバポレーター
で減圧濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行
い、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,
島津QP-5050、EI法)で分析し、PHBモノマーユニ
ットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、
得られたクロマトグラムの中で主成分であるピークが、
標品であるヒドロキシ酪酸のメチルエステル化化合物と
の保持時間が同一であることから、得られた中空マイク
ロカプセル26の外被の主成分はPHBであることを確認
した。
【0601】さらに、該PHBの分子量をゲル・パーミ
エーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソーHL
C-8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIX
ED-C(5μm)、溶媒;クロロホルム、カラム温度;
40 ℃、ポリスチレン換算)により評価した結果、数平均
分子量Mn= 71,000 であった。
【0602】(実施例131)実施例130で用いた精
製酵素液(1)に代えて、KK01株由来の粗酵素液(1)
を用い、それ以外の条件は、実施例130と同じにし
て、中空マイクロカプセル27を得た。この中空マイクロ
カプセル27を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤27
とした。
【0603】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表15に示
す。
【0604】実施例130と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル27の外被の主成分がPHBである
ことを確認した。また、ゲル・パーミエーション・クロ
マトグラフィーによる解析の結果より、得られた中空マ
イクロカプセル27外被を構成するPHAの数平均分子量
は 76,000 であった。
【0605】(実施例132)実施例130で用いた精
製酵素液(1)に代えて、TL2株由来の粗酵素液(2)を
用い、それ以外の条件は、実施例130と同じにして、
中空マイクロカプセル28を得た。この中空マイクロカ
プセル28を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤28
とした。
【0606】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表15に示
す。
【0607】実施例130と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル28の外被の主成分がPHBである
ことを確認した。また、ゲル・パーミエーション・クロ
マトグラフィーによる解析の結果より、得られた中空マ
イクロカプセル28外被を構成するPHAの数平均分子量
は 75,000 であった。
【0608】(実施例133)実施例130で用いた精
製酵素液(1)に代えて、TL2株由来の粗酵素液(2)を
用い、また、(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代え
て、(R)-3-ヒドロキシオクタノイルCoA(Eur. J. B
iochem., 250, 432-439 (1997)に記載の方法で調製)を
用いて、それ以外は、実施例130と同様にして、中空
マイクロカプセル29を得た。この中空マイクロカプセル
29を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤29とした。
【0609】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表15に示
す。
【0610】実施例130と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル29の外被の主成分が3-ヒドロキ
シオクタン酸ユニットからなるPHAであることを確認
した。また、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ
ィーによる解析の結果より、得られた中空マイクロカプ
セル29外被を構成するPHAの数平均分子量は 25,000
であった。
【0611】(実施例134)実施例130で用いた精
製酵素液(1)に代えて、P91株由来の粗酵素液(3)を
用い、また、 (R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代え
て、(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレリ
ルCoA(Reformatsky反応により得られた3−ヒドロキ
シ−5−フェニル吉草酸エステルを加水分解して3−ヒ
ドロキシ−5−フェニル吉草酸を得た後、Eur. J. Bioc
hem., 250, 432-439 (1997)に記載の方法で調製)を用
いて、それ以外は、実施例130と同様にして、中空マ
イクロカプセル30を得た。この中空マイクロカプセル3
0を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤30とした。
【0612】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表15に示
す。
【0613】実施例130と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル30の外被の主成分が3−ヒドロキ
シ−5−フェニル吉草酸ユニットからなるPHAである
ことを確認した。また、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィーによる解析の結果より、得られた中空マイク
ロカプセル30外被を構成するPHAの数平均分子量は 2
1,000 であった。
【0614】(実施例135)実施例130で用いた精
製酵素液(1)に代えて、P91株由来の粗酵素液(3)を
用い、また、(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代え
て、(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フェノキシバレ
リルCoA(J. Org. Chem., 55, 1490-1492 (1990)に記
載の方法で合成した3-フェノキシプロパナール及びブ
ロモ酢酸エチルを原料とし、亜鉛によるReformatsky反
応で得られた3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸エス
テルを加水分解して、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉
草酸を得た。その後、Eur. J. Biochem., 250, 432-439
(1997) に記載の方法で調製)を用いて、その他の条件
は、実施例130と同様にして、中空マイクロカプセル
31を得た。この中空マイクロカプセル31を用いる超音
波造影剤を、超音波造影剤31とした。
【0615】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表15に示
す。
【0616】実施例130と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル31の外被の主成分が3−ヒドロキ
シ−5−フェノキシ吉草酸ユニットからなるPHAであ
ることを確認した。また、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーによる解析の結果より、得られた中空マイ
クロカプセル31外被を構成するPHAの数平均分子量は
23,000 であった。
【0617】(実施例136)実施例130で用いた精
製酵素液(1)に代えて、粗酵素液(4)を用い、また、
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代えて、(R,
S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレリルCoAを
用いて、それ以外の条件は、実施例130と同様にして
PHA合成反応を行った。本例では、室温において3時
間反応を行った後、さらに(R,S)−3−ヒドロキシ
−5−フェノキシバレリルCoA1gを水相に添加し、
室温においてさらに2時間反応を行った。それ以降の処
理は、実施例130と同様にして中空マイクロカプセル
32を得た。この中空マイクロカプセル32を用いる超音
波造影剤を、超音波造影剤32とした。
【0618】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表15に示
す。
【0619】このカプセル構造体の表面に形成されたポ
リマーの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置
(TOF-SIMS IV、CAMECA製)により測定した。得られ
たマススペクトルから、カプセル構造体表面のPHAは
主に3−ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸ユニットで構
成されていることが確認された。また、イオンスパッタ
リングによりカプセル構造体の表面を少しずつ削りなが
ら同様にTOF-SIMSによりマススペクトルを測定していっ
たところ、ある時点でカプセル構造体を構成するPHA
のモノマーユニットの主成分が3−ヒドロキシ−5−フ
ェニル吉草酸ユニットに置き換わることが確認された。
これより、本実施例のカプセル構造体は、初期に生成し
たポリ(3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸)の外被
層上に、後半に生成するポリ(3−ヒドロキシ−5−フ
ェノキシ吉草酸)が被覆した二層構造を有する、所望の
カプセル構造体であることがわかった。また、ゲル・パ
ーミエーション・クロマトグラフィーによる解析の結果
より、得られた中空マイクロカプセル32外被を構成する
PHAの数平均分子量は 22,000 であった。
【0620】(実施例137)実施例130で用いた精
製酵素液(1)に代えて、粗酵素液(5)を用い、また、1
gの(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代えて、80
0mgの(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレ
リルCoA、200mgの(R,S)−3−ヒドロキシ−
7,8−エポキシオクタノイルCoA(Int. J. Biol. M
acromol., 12,85-91 (1990)に記載の方法で合成した3
−ヒドロキシ−7−オクテン酸の不飽和部分を3−クロ
ロ安息香酸でエポキシ化した後、Eur. J. Biochem., 25
0, 432-439 (1997)に記載の方法で調製)を用いて、そ
れ以外の条件は、実施例130と同様にして、中空マイ
クロカプセル33を得た。この中空マイクロカプセル33
を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤33とした。
【0621】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表15に示
す。
【0622】1H-NMR(使用機器:FT-NMR:Bruker DPX40
0、測定核種:1H,使用溶媒:重クロロホルム(TMS入
り))解析の結果より、得られた中空マイクロカプセル
33の外被は、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニ
ットが76%、3−ヒドロキシ−7,8−エポキシオク
タン酸ユニットが24%からなるPHAであることを確
認した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーによる解析の結果より、得られた中空マイクロカプセ
ル33外被を構成するPHAの数平均分子量は 23,000 で
あった。
【0623】(実施例138)上記の中空マイクロカプ
セル33について50質量部を精製水50質量部に懸濁したの
ち、該懸濁液に架橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.
5質量部を溶解させた。溶解を確認後、凍結乾燥により
水を除去した後、70℃で12時間反応させることで中空マ
イクロカプセル34を得た。この中空マイクロカプセル3
4を用いる超音波造影剤を、超音波造影剤34とした。得
られたマイクロカプセル微粒子を光学顕微鏡および電子
顕微鏡により観察した結果を表15に示す。
【0624】中空マイクロカプセル34について赤外吸収
を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)と
ころ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1
近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークが中空マイ
クロカプセル34では消失していた。これより、側鎖にエ
ポキシユニットをもつPHAとヘキサメチレンジアミン
を反応させることで、架橋ポリマーにより被覆された中
空マイクロカプセル34が得られたことがわかる。
【0625】(実施例139)上記の中空マイクロカプ
セル33について50質量部に、末端アミノ変性ポリシロキ
サン(変性シリコーンオイルTSF4700、GE東芝シリコー
ン(株)製)を10質量部添加し、70℃で2時間反応させ
た。これをメタノールに懸濁し、遠心分離(10,000×
g、4℃、20分間)する操作を繰返すことで洗浄、乾燥
し、ポリシロキサンのグラフト鎖を有する中空マイクロ
カプセル35を得た。この中空マイクロカプセル35を用
いる超音波造影剤を、超音波造影剤35とした。
【0626】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表15に示
す。
【0627】中空マイクロカプセル35について赤外吸収
を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)と
ころ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1
近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークが中空マイ
クロカプセル35では消失していた。これより、側鎖にエ
ポキシユニットをもつPHAと末端アミノ変性ポリシロ
キサンを反応させることにより、ポリシロキサンのグラ
フト鎖を有する中空マイクロカプセル35が得られたこと
がわかる。
【0628】
【表15】
【0629】(実施例140)ジクロロメタン2ml
を、16〜18℃に冷却した後、予め16〜18℃に冷
却しておいた0.1%ポリビニルアルコール(EG-40、日
本合成化学製)を溶解した0.1 Mリン酸バッファー(pH
7.0)100mlに注入し、タービン型ホモミキサー
(特殊機化製)を用い、7000rpmで攪拌して、O
/W型エマルションとした。得られたO/W型エマルシ
ョンに、精製酵素液(1)5ml、(R)-3-ヒドロキシ
ブチリルCoA(シグマ・アルドリッチ・ジャパン(株)社
製)1g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添
加、溶解し、室温で3時間緩やかに撹拌してPHAの合
成とジクロロメタンの揮発を行い、油相中に溶解してい
るPHAを固化させた後、1500rpmで遠心分離し
た。得られた沈澱物を蒸留水に再分散後、分散液をさら
に遠心分離し、遊離薬物を洗浄除去した。得られたマイ
クロカプセルを少量の蒸留水に再分散後、凍結乾燥し、
粉末として中空マイクロカプセル36を得た。この中空マ
イクロカプセル36を用いる超音波造影剤を、超音波造
影剤36とした。
【0630】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表16に示
す。
【0631】また、中空マイクロカプセル36を、20 mL
のクロロホルムに懸濁し、60 ℃で20 時間攪拌して外被
を構成するPHBを抽出した。抽出液を孔径 0.45 μm
のメンブレン・フィルターでろ過し、ロータリー・エバ
ポレーターで減圧濃縮したのち、常法に従ってメタノリ
シスを行い、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(G
C-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHBに含
まれるモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を
行った。その結果、得られたクロマトグラムの中で主成
分であるピークが、標品であるヒドロキシ酪酸のメチル
エステル化化合物との保持時間が同一であることから、
得られた中空マイクロカプセル36の外被の主成分はPH
Bであることを確認した。
【0632】さらに、該PHBの分子量をゲル・パーミ
エーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソーHL
C-8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIX
ED-C(5μm)、溶媒;クロロホルム、カラム温度;
40 ℃、ポリスチレン換算)により評価した結果、数平均
分子量Mn= 75,000 であった。
【0633】(実施例141)実施例140で用いた精
製酵素液(1)に代えて、粗酵素液(1)を用いて、それ以
外は、実施例140と同様にして、中空マイクロカプセ
ル37を得た。この中空マイクロカプセル37を用いる超
音波造影剤を、超音波造影剤37とした。得られたマイク
ロカプセル微粒子を光学顕微鏡および電子顕微鏡により
観察した結果を表16に示す。
【0634】実施例140と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル37の外被の主成分がPHBである
ことを確認した。また、ゲル・パーミエーション・クロ
マトグラフィーによる解析の結果より、得られた中空マ
イクロカプセル37外被を構成するPHBの数平均分子量
は 73,000 であった。
【0635】(実施例142)実施例140で用いた精
製酵素液(1)に代えて、粗酵素液(2)を用い、それ以外
の条件は、実施例140と同様にして、中空マイクロカ
プセル38を得た。この中空マイクロカプセル38を用い
る超音波造影剤を、超音波造影剤38とした。得られたマ
イクロカプセル微粒子を光学顕微鏡および電子顕微鏡に
より観察した結果を表16に示す。
【0636】実施例140と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル38の外被の主成分がPHBである
ことを確認した。また、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィーによる解析の結果より、得られた中空マイク
ロカプセル38外被を構成するPHBの数平均分子量は7
1,000 であった。
【0637】(実施例143)実施例140で用いた精
製酵素液(1)に代えて、精製酵素液(2)を用い、また、
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代えて、(R)-3-
ヒドロキシオクタノイルCoA(Eur. J. Biochem., 250,
432-439 (1997)に記載の方法で調製)を用いて、それ以
外の条件は、実施例140と同様にして、中空マイクロ
カプセル39を得た。この中空マイクロカプセル39を用
いる超音波造影剤を、超音波造影剤39とした。
【0638】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表16に示
す。
【0639】実施例140と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル39の外被の主成分が3-ヒドロキ
シオクタン酸ユニットからなるPHAであることを確認
した。また、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ
ィーによる解析の結果より、得られた中空マイクロカプ
セル39外被を構成するPHAの数平均分子量は 23,000
であった。
【0640】(実施例144)実施例140で用いた精
製酵素液(1)に代えて、精製酵素液(3)を用い、また、
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代えて、(R,
S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレリルCoA(R
eformatsky反応により得られた3−ヒドロキシ−5−フ
ェニル吉草酸エステルを加水分解して3−ヒドロキシ−
5−フェニル吉草酸を得た後、Eur. J. Biochem., 250,
432-439 (1997) に記載の方法で調製)を用いて、それ
以外の条件は、実施例140と同様にして、中空マイク
ロカプセル40を得た。この中空マイクロカプセル40を
用いる超音波造影剤を、超音波造影剤40とした。
【0641】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表16に示
す。
【0642】実施例140と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル40の外被の主成分が3−ヒドロキ
シ−5−フェニル吉草酸ユニットからなるPHAである
ことを確認した。また、ゲル・パーミエーション・クロ
マトグラフィーによる解析の結果より、得られた中空マ
イクロカプセル40外被を構成するPHAの数平均分子量
は 20,000 であった。
【0643】(実施例145)実施例140で用いた精
製酵素液(1)に代えて、粗酵素液(3)を用い、また、
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代えて、(R,
S)−3−ヒドロキシ−5−フェノキシバレリルCoA
(J. Org. Chem., 55, 1490-1492 (1990)に記載の方法
で合成した3-フェノキシプロパナール及びブロモ酢酸
エチルを原料とし、亜鉛によるReformatsky反応で得ら
れた3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸エステルを加
水分解して、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸を得
た。その後、Eur.J. Biochem., 250, 432-439 (1997)
に記載の方法で調製)を用いて、それ以外の条件は、実
施例140と同様にして、中空マイクロカプセル41を得
た。この中空マイクロカプセル41を用いる超音波造影
剤を、超音波造影剤41とした。
【0644】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表16に示
す。
【0645】実施例140と同様に、マイクロカプセル
外被を構成するPHAの組成を評価した結果、得られた
中空マイクロカプセル41の外被の主成分が3−ヒドロキ
シ−5−フェノキシ吉草酸ユニットからなるPHAであ
ることを確認した。また、ゲル・パーミエーション・ク
ロマトグラフィーによる解析の結果より、得られた中空
マイクロカプセル41外被を構成するPHAの数平均分子
量は 24,000 であった。
【0646】(実施例147)実施例140で用いた精
製酵素液(1)に代えて、粗酵素液(4)を用い、また、
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代えて、(R,
S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレリルCoAを
用いて、それ以外の条件は、実施例140と同様にして
PHA合成反応を行った。
【0647】本例では、室温において1時間反応を行っ
た後、さらに(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フェノ
キシバレリルCoA1gを水相に添加し、室温において
さらに2時間反応を行った。それ以降の処理は実施例1
40と同様にして、中空マイクロカプセル42を得た。こ
の中空マイクロカプセル42を用いる超音波造影剤を、
超音波造影剤42とした。
【0648】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表16に示
す。このカプセル構造体の表面に形成されたポリマーの
質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS
IV、CAMECA製)により測定した。得られたマススペ
クトルから、カプセル構造体表面のPHAは主に3−ヒ
ドロキシ-5-フェノキシ吉草酸ユニットで構成されてい
ることが確認された。また、イオンスパッタリングによ
りカプセル構造体の表面を少しずつ削りつつ、TOF-SIMS
によりマススペクトルを測定していったところ、外表面
からある深さに達した時点で、カプセル構造体を構成す
るPHAのモノマーユニットの主成分が3−ヒドロキシ
−5−フェニル吉草酸ユニットに置き換わることが確認
された。これより、本実施例のカプセル構造体は、初期
に生成したポリ(3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草
酸)の外被層上に、後半に生成したポリ(3−ヒドロキ
シ−5−フェノキシ吉草酸)が被覆した二層構造の外被
を有する、所望のカプセル構造体であることがわかっ
た。また、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ
ーによる解析の結果より、得られた中空マイクロカプセ
ル42外被を構成するPHAの数平均分子量は 21,000 で
あった。
【0649】(実施例147)実施例140で用いた精
製酵素液(1)に代えて、粗酵素液(5)を用い、また、1
gの(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAに代えて、0.8g
の(R,S)−3−ヒドロキシ−5−フェニルバレリルC
oA、0.2gの(R,S)−3−ヒドロキシ−7,8−エポ
キシオクタノイルCoA(Int. J. Biol. Macromol., 1
2, 85-91 (1990)に記載の方法で合成した3−ヒドロキ
シ−7−オクテン酸の不飽和部分を3−クロロ安息香酸
でエポキシ化した後、Eur. J. Biochem., 250, 432-439
(1997)に記載の方法で調製)を用いて、それ以外の条
件は、実施例140と同様にして、中空マイクロカプセ
ル43を得た。この中空マイクロカプセル43を用いる超
音波造影剤を、超音波造影剤43とした。
【0650】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表16に示
す。1H-NMR(使用機器:FT-NMR:Bruker DPX400、測定
核種:1H,使用溶媒:重クロロホルム(TMS入り))解析
の結果より、得られた中空マイクロカプセル43の外被
は、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットが7
5%、3−ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユ
ニットが25%からなるPHAであることを確認した。
また、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーに
よる解析の結果より、得られた中空マイクロカプセル43
外被を構成するPHAの数平均分子量は 21,000 であっ
た。
【0651】(実施例148)上記の中空マイクロカプ
セル43の50質量部を、精製水50質量部に懸濁したのち、
該懸濁液に架橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5質
量部を溶解させた。溶解を確認した後、凍結乾燥により
水を除去した後、70℃で12時間反応させることで、表面
に架橋化処理を施した中空マイクロカプセル44を得た。
この中空マイクロカプセル44を用いる超音波造影剤
を、超音波造影剤44とした。
【0652】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表16に示
す。
【0653】中空マイクロカプセル44について赤外吸収
を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)と
ころ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1
近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークが中空マイ
クロカプセル44では消失していた。これより、側鎖にエ
ポキシ基を有するユニットを含むPHAとヘキサメチレ
ンジアミンを反応させることで、表面に架橋化がなされ
たポリマーにより被覆された中空マイクロカプセル44が
得られたことがわかる。
【0654】(実施例149)上記の中空マイクロカプ
セル43の50質量部に、末端アミノ変性ポリシロキサン
(変性シリコーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン
(株)製)を10質量部添加し、70℃で2時間反応させた。
これをメタノールに懸濁し、遠心分離(10,000×g、4
℃、20分間)する操作を繰返すことで洗浄した後、乾燥
し、ポリシロキサンのグラフト鎖を有する中空マイクロ
カプセル45を得た。この中空マイクロカプセル45を用
いる超音波造影剤を、超音波造影剤45とした。
【0655】得られたマイクロカプセル微粒子を光学顕
微鏡および電子顕微鏡により観察した結果を表16に示
す。
【0656】中空マイクロカプセル45について赤外吸収
を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)と
ころ、加熱処理前に観察されたアミン(3340 cm-1
近)及びエポキシ(822 cm-1付近)のピークが中空マイ
クロカプセル45では消失していた。これより、側鎖にエ
ポキシユニットをもつPHAと末端アミノ変性ポリシロ
キサンを反応させることにより、ポリシロキサンのグラ
フト鎖を有する中空マイクロカプセル45が得られたこと
がわかる。
【0657】
【表16】
【0658】実験例16 (in vitroおける超音波造影効果の試験)図1 に示す
試験装置を用いて、中空マイクロカプセルを用いた超音
波造影剤における、超音波造影効果を調べた。すなわ
ち、生理食塩水100m1 を入れたポリプロピレン製の容器
1を水槽2内に固定し、容器1内に攪拌子3を入れ、マ
グネチックスターラーにて攪拌した。前記実施例および
比較例で得た各中空マイクロカプセル微粒子の所定量を
1w/v%のTween80 水溶液1mlに懸濁し、容器1の生
理食塩水中に投入した。ついで、5MHzの中心周波数をも
つセクタ式プローブを装着した超音波画像診断装置(東
芝社製のSONOLAYER αSSH ‐140 )により、容器1が画
面上で中心に位置するようにスキヤンした。そして、造
影画面の静止画像において、容器1の前方部分または容
器1内全体の輝点の明るさを求め、超音波造影効果の指
針とした。
【0659】実施例117〜119、127〜129、
137〜139、147〜149および比較例5で得た
各微粒子状のマイクロカプセルを用いている、超音波造
影剤12〜14、23〜25、33〜35、43〜45および15につい
て、1w/v%のTween80 水溶液1ml当たり、いくつか
の添加量を選択して、前記生理食塩水100ml に投入し、
容器1の前方部分の輝点の明るさの経時的変化を調べ
た。
【0660】その結果、超音波造影剤12〜14、23〜25、
33〜35、43〜45の何れについても、添加量が20mg以下の
場合、初期の輝点の明るさの平均値は約25〜30と一定で
あった。一方、経時的な減衰速度は添加量(懸濁濃度)
に依存して、異なっており、中空マイクロカプセル微粒
子の懸濁濃度が薄いほど減衰速度が大きく、例えば、添
加量が5mgあるいは2.5mgの場合、投入後約5分程度で、
輝点の明るさの平均値は20以下となった。一方、添加量
が10mgあるいは20mgの場合、投入後約30分経過した時
点でも、輝点の明るさの平均値は20以上であった。
【0661】一方、中空マイクロカプセル微粒子の添加
量が40mg以上の場合には、初期において、音響影陰が見
られ、輝点の明るさの初期値は、添加量が10mgあるいは
20mgの場合に比べて低く、約23であったが、投入後、分
散が進むに伴い、その輝点の明るさは経時的に増大し、
約10分で28程度まで上昇した。その後は、微粒子の懸
濁濃度が高い場合(添加量80mg)、高い輝点の明るさが
しばらくの間持続され、懸濁濃度が低い場合(添加量40
mg)、徐々に滅衰したが、何れの濃度においても、輝点
の明るさがピークに達した後、約30分を経過した時点
でも、その輝点の明るさの平均値は25以上であった。
【0662】従って、本発明のPHA製の中空マイクロ
カプセルを用いて、水1ml当たり、添加量を10mg以上
の懸濁濃度で使用する超音波造影剤に調製することで、
長時間にわたり高い造影効果を発揮するということがわ
かる。
【0663】一方、ポリDL乳酸(平均分子量7000)を用
いて作製された中空マイクロカプセル15を利用する超音
波造影剤15では何れの懸濁濃度においても、初期の輝点
の明るさの平均値は20以上であるものの、その後は、輝
点の明るさは急速に減衰し、約5分後には10以下、約1
0分以降は5程度しか示さず、投入後の造影効果の継続
性は、本発明の超音波造影剤よりも劣るものであった。
【0664】
【発明の効果】本発明により、初期バースト現象を起こ
しにくい徐放性薬剤組成物が提供される。また、本発明
の徐放性薬剤組成物マイクロカプセルの製造方法によれ
ば、高価かつ貴重な薬剤化合物を取り込み率よく高濃度
でマイクロカプセル内に包含させることができるため、
長期間の薬剤徐放が可能となり、かつ経済的に有利にマ
イクロカプセルが製造できる。
【0665】
【配列表】 <110> CANON INC. <120> Particles comprising polyhydroxyalkanoate including 3-hydroxyalkan oic acid unit and medical component Perticuls having liquid phase comprising polyhydroxyalkanoate and Produc tion method thereof <130> 4508036 <160> 15 <170> Microsoft Word <210> 1 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 1 cgggatccag taacaagagt aacgatgagt 30 <210> 2 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 2 cgatctcgag ttaccgttcg tgcacgtacg 30 <210> 3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 3 tgctggaact gatccagtac 20 <210> 4 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 4 gggttgagga tgctctggat gtg 23 <210> 5 <211> 1680 <212> DNA <213> Pseudomonas cichorii YN2 ; FERM BP-7375 <400> 5 atgagtaaca agagtaacga tgagttgaag tatcaagcct ctgaaaacac 50 cttggggctt aatcctgtcg ttgggctgcg tggaaaggat ctactggctt 100 ctgctcgaat ggtgcttagg caggccatca agcaaccggt gcacagcgtc 150 aaacatgtcg cgcactttgg tcttgaactc aagaacgtac tgctgggtaa 200 atccgggctg caaccgacca gcgatgaccg tcgcttcgcc gatccggcct 250 ggagccagaa cccgctctat aaacgttatt tgcaaaccta cctggcgtgg 300 cgcaaggaac tccacgactg gatcgatgaa agtaacctcg cccccaagga 350 tgtggcgcgt gggcacttcg tgatcaacct catgaccgaa gccatggcgc 400 cgaccaacac cgcggccaac ccggcggcag tcaaacgctt tttcgaaacc 450 ggtggcaaaa gcctgctcga cggcctctcg cacctggcca aggatctggt 500 acacaacggc ggcatgccga gccaggtcaa catgggtgca ttcgaggtcg 550 gcaagagcct gggcgtgacc gaaggcgcgg tggtgtttcg caacgatgtg 600 ctggaactga tccagtacaa gccgaccacc gagcaggtat acgaacgccc 650 gctgctggtg gtgccgccgc agatcaacaa gttctacgtt ttcgacctga 700 gcccggacaa gagcctggcg cggttctgcc tgcgcaacaa cgtgcaaacg 750 ttcatcgtca gctggcgaaa tcccaccaag gaacagcgag agtggggcct 800 gtcgacctac atcgaagccc tcaaggaagc ggttgatgtc gttaccgcga 850 tcaccggcag caaagacgtg aacatgctcg gcgcctgctc cggcggcatc 900 acttgcaccg cgctgctggg ccattacgcg gcgattggcg aaaacaaggt 950 caacgccctg accttgctgg tgagcgtgct tgataccacc ctcgacagcg 1000 atgttgccct gttcgtcaat gaacagaccc ttgaagccgc caagcgccac 1050 tcgtaccagg ccggcgtact ggaaggccgc gacatggcga aggtcttcgc 1100 ctggatgcgc cccaacgatc tgatctggaa ctactgggtc aacaattacc 1150 tgctaggcaa cgaaccgccg gtgttcgaca tcctgttctg gaacaacgac 1200 accacacggt tgcccgcggc gttccacggc gacctgatcg aactgttcaa 1250 aaataaccca ctgattcgcc cgaatgcact ggaagtgtgc ggcaccccca 1300 tcgacctcaa gcaggtgacg gccgacatct tttccctggc cggcaccaac 1350 gaccacatca ccccgtggaa gtcctgctac aagtcggcgc aactgtttgg 1400 cggcaacgtt gaattcgtgc tgtcgagcag cgggcatatc cagagcatcc 1450 tgaacccgcc gggcaatccg aaatcgcgct acatgaccag caccgaagtg 1500 gcggaaaatg ccgatgaatg gcaagcgaat gccaccaagc ataccgattc 1550 ctggtggctg cactggcagg cctggcaggc ccaacgctcg ggcgagctga 1600 aaaagtcccc gacaaaactg ggcagcaagg cgtatccggc aggtgaagcg 1650 gcgccaggca cgtacgtgca cgaacggtaa1680 <210> 6 <211> 1683 <212> DNA <213> Pseudomonas cichorii YN2 ; FERM BP-7375 <400> 6 atgcgcgata aacctgcgag ggagtcacta cccacccccg ccaagttcat 50 caacgcacaa agtgcgatta ccggcctgcg tggccgggat ctggtttcga 100 ctttgcgcag tgtcgccgcc catggcctgc gccaccccgt gcacaccgcg 150 cgacacgcct tgaaactggg tggtcaactg ggacgcgtgt tgctgggcga 200 caccctgcat cccaccaacc cgcaagaccg tcgcttcgac gatccggcgt 250 ggagtctcaa tcccttttat cgtcgcagcc tgcaggcgta cctgagctgg 300 cagaagcagg tcaagagctg gatcgacgaa agcaacatga gcccggatga 350 ccgcgcccgt gcgcacttcg cgttcgccct gctcaacgat gccgtgtcgc 400 cgtccaacag cctgctcaat ccgctggcga tcaaggaaat cttcaactcc 450 ggcggcaaca gcctggtgcg cgggatcggc catctggtcg atgacctctt 500 gcacaacgat ggcttgcccc ggcaagtcac caggcatgca ttcgaggttg 550 gcaagaccgt cgccaccacc accggcgccg tggtgtttcg caacgagctg 600 ctggagctga tccaatacaa gccgatgagc gaaaagcagt attccaaacc 650 gctgctggtg gtgccgccac agatcaacaa gtactacatt tttgacctca 700 gcccccataa cagcttcgtc cagttcgcgc tcaagaacgg cctgcaaacc 750 ttcgtcatca gctggcgcaa tccggatgta cgtcaccgcg aatggggcct 800 gtcgacctac gtcgaagcgg tggaagaagc catgaatgtc tgccgggcaa 850 tcaccggcgc gcgcgaggtc aacctgatgg gcgcctgcgc tggcgggctg 900 accattgctg ccctgcaggg ccacttgcaa gccaagcgac agctgcgccg 950 cgtctccagc gcgacgtacc tggtgagcct gctcgacagc caactggaca 1000 gcccggccac actcttcgcc gacgaacaga ccctggaggc ggccaagcgc 1050 cgctcctacc agaaaggtgt gctggaaggc cgcgacatgg ccaaggtttt 1100 cgcctggatg cgccccaacg atttgatctg gagctacttc gtcaacaatt 1150 acctgatggg caaggagccg ccggcgttcg acattctcta ctggaacaat 1200 gacaacacac gcctgccggc cgccctgcat ggtgacttgc tggacttctt 1250 caagcacaac ccgctgagcc atccgggtgg cctggaagtg tgcggcaccc 1300 cgatcgactt gcaaaaggtc accgtcgaca gtttcagcgt ggccggcatc 1350 aacgatcaca tcacgccgtg ggacgcggtg tatcgctcaa ccctgttgct 1400 cggtggcgag cgtcgctttg tcctggccaa cagcggtcat gtgcagagca 1450 ttctcaaccc gccgaacaat ccgaaagcca actacctcga aggtgcaaaa 1500 ctaagcagcg accccagggc ctggtactac gacgccaagc ccgtcgacgg 1550 tagctggtgg acgcaatggc tgggctggat tcaggagcgc tcgggcgcgc 1600 aaaaagaaac ccacatggcc ctcggcaatc agaattatcc accgatggag 1650 gcggcgcccg ggacttacgt gcgcgtgcgc tga 1683 <210> 7 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 7 ggaccaagct tctcgtctca gggcaatgg 29 <210> 8 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 8 cgagcaagct tgctcctaca ggtgaaggc 29 <210> 9 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 9 gtattaagct tgaagacgaa ggagtgttg 29 <210> 10 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 10 catccaagct tcttatgatc gggtcatgcc 30 <210> 11 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 11 cgggatccag taacaagagt aacgatgagt 30 <210> 12 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 12 cgatctcgag ttaccgttcg tgcacgtacg 30 <210> 13 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 13 cgggatcccg cgataaacct gcgagggagt 30 <210> 14 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 14 cgatctcgag gcgcacgcgc acgtaagtcc 30
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例16における試験方法の原理を示す説明
図である。
【符号の説明】 1 容器 2 水槽 3 攪拌子
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 49/00 A61K 49/00 C 4F070 B01J 13/00 B01J 13/00 A 4G005 13/06 C08G 63/06 4G065 13/12 C08J 3/12 CFDZ 4J029 C08G 63/06 C12P 7/62 C08J 3/12 CFD C12R 1:01 C12P 7/62 1:05 // C12N 15/09 C12R 1:38 (C12P 7/62 1:19 C12R 1:01) C08L 67:04 (C12P 7/62 B01J 13/02 E C12R 1:05) J (C12P 7/62 C12N 15/00 A C12R 1:38) (C12P 7/62 C12R 1:19) C08L 67:04 (31)優先権主張番号 特願2001−210055(P2001−210055) (32)優先日 平成13年7月10日(2001.7.10) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 古崎 眞也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 野本 毅 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA03 BA80 CA04 DA06 FA02 GA11 4B064 AD64 CA01 CA02 CA19 CC24 DA16 4C076 AA58 AA60 AA61 EE24A EE25 EE27 EE45 EE46 EE50 FF27 GG26 GG27 4C083 AD091 AD151 BB21 CC01 DD14 EE07 FF01 4C085 HH01 HH09 HH20 KB75 4F070 AA47 AB00 DA31 DA33 DA34 DA39 DC02 DC04 DC13 DC16 4G005 AA01 AB13 AB14 AB15 AB25 BA05 BA12 BA20 DB22X DC42Y DD07X DD12Z DD24X DD28X DD47Y DD53X DD54X DD56X DD57Z DD69X DE08 EA02 EA03 EA04 EA08 4G065 AA01 AB02Y AB09Y AB10Y AB16Y AB21Y AB29Y AB38Y CA04 CA06 DA02 DA03 DA06 FA01 4J029 AA02 AB04 AB07 AE06 AE11 EA05 EB00 EB01 ED01 EE04 EF01 EF02 KE17 KF04 KH04

Claims (60)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリヒドロキシアルカノエートを含有す
    る粒状体であって、 第一の固相である外相と前記外相内に内包される内相を
    有し、 前記内相が第二の固相、液相及び気相の少なくとも一つ
    の相であることを特徴とする粒状体。
  2. 【請求項2】 前記外相を含むシェル内にコア部を内包
    した構成を有するマイクロカプセルの形態を有し、前記
    ポリヒドロキシアルカノエートが該シェルに、前記内相
    のうち少なくとも1つの相が該コア部に含有されている
    請求項1に記載の粒状体。
  3. 【請求項3】 前記ポリヒドロキシアルカノエートが、
    化学式[1]から化学式[10]に示すモノマーユニット
    からなる群より選択される少なくとも一つを含有するポ
    リヒドロキシアルカノエートである、請求項1または2
    に記載の粒状体。 【化1】 (ただし、該モノマーユニットは、式中R1およびaの
    組合せが下記のいずれかであるモノマーユニットからな
    る群より選択される少なくとも一つである。R1が水素
    原子(H)であり、aが0から 10 の整数のいずれかであ
    るモノマーユニット、R1がハロゲン原子であり、aが
    1から 10 の整数のいずれかであるモノマーユニット、
    R1が発色団であり、aが1から 10 の整数のいずれか
    であるモノマーユニット、R1がカルボキシル基あるい
    はその塩であり、aが1から 10 の整数のいずれかであ
    るモノマーユニット、R1が、 【化2】 でありaが1から7の整数のいずれかであるモノマーユ
    ニット。) 【化3】 (ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、
    R2は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25及び-C37からなる群から選ばれたい
    ずれか1つを表す。) 【化4】 (ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、R
    3は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-C
    3、-C25及び-C37からなる群から選ばれたいず
    れか1つを表す。) 【化5】 (ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、
    R4は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25及び-C37からなる群から選ばれたい
    ずれか1つを表す。) 【化6】 (ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、
    R5は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25、-C37、-CH3、-C25及び-C3
    7からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。) 【化7】 (ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。) 【化8】 (ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。) 【化9】 (ただし、式中hは1から7の整数のいずれかを表し、
    R6は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    COOR'、-SO2R''、-CH3、-C25、-C37、-
    CH(CH3)2及び-C(CH3)3からなる群から選ばれた
    いずれか1つを表し、ここでR'は水素原子(H)、N
    a、K、-CH3及び-C25のいずれかであり、R''は-
    OH、-ONa、-OK、ハロゲン原子、-OCH3及び-
    OC25のいずれかである。) 【化10】 (ただし、式中iは1から7の整数のいずれかを表し、
    R7は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    COOR'及び-SO2R''からなる群から選ばれたいず
    れか1つを表し、ここでR'は水素原子(H)、Na、
    K、-CH3及び-C25のいずれかであり、R''は-O
    H、-ONa、-OK、ハロゲン原子、-OCH3及び-O
    25のいずれかである。) 【化11】 (ただし、式中jは1から9の整数のいずれかを表す。)
  4. 【請求項4】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの数
    平均分子量が5、000〜1、000、000である請
    求項1〜3のいずれかに記載の粒状体。
  5. 【請求項5】 前記ポリヒドロキシアルカノエートのモ
    ノマーユニット組成が前記粒状体の内側から外側へ向う
    方向において変化している請求項1〜4のいずれかに記
    載の粒状体。
  6. 【請求項6】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの少
    なくとも一部が、化学修飾されたポリヒドロキシアルカ
    ノエートである請求項1〜5のいずれかに記載の粒状
    体。
  7. 【請求項7】 前記の化学修飾されたポリヒドロキシア
    ルカノエートが、少なくともグラフト鎖を有するポリヒ
    ドロキシアルカノエートである請求項6に記載の粒状
    体。
  8. 【請求項8】 前記グラフト鎖が、エポキシ基を有する
    モノマーユニットを少なくとも含むポリヒドロキシアル
    カノエートの化学修飾によるグラフト鎖である請求項7
    に記載の粒状体。
  9. 【請求項9】 前記グラフト鎖が、アミノ基を有する化
    合物のグラフト鎖であることを特徴とする請求項7また
    は8に記載の粒状体。
  10. 【請求項10】 前記アミノ基を有する化合物が、末端
    アミノ変性化合物であることを特徴とする請求項9に記
    載の粒状体。
  11. 【請求項11】 前記末端アミノ変性化合物が、ポリビ
    ニルアミン、ポリエチレンイミン及び末端アミノ変性ポ
    リシロキサンからなる群より選択される少なくとも一つ
    である請求項10に記載の粒状体。
  12. 【請求項12】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの
    少なくとも一部が、架橋化されたポリヒドロキシアルカ
    ノエートである請求項6に記載の粒状体。
  13. 【請求項13】 前記架橋化されたポリヒドロキシアル
    カノエートが、エポキシ基を有するモノマーユニットを
    少なくとも含むポリヒドロキシアルカノエートが架橋化
    されたポリヒドロキシアルカノエートである請求項12
    に記載の粒状体。
  14. 【請求項14】 前記架橋化されたポリヒドロキシアル
    カノエートが、ジアミン化合物、無水コハク酸及び2−
    エチル−4−メチルイミダゾールの少なくとの1つを利
    用した反応及び電子線照射からなる群より選択される少
    なくとも一つにより架橋化されたポリヒドロキシアルカ
    ノエートである請求項12または13に記載の粒状体。
  15. 【請求項15】 前記ジアミン化合物がヘキサメチレン
    ジアミンである請求項14に記載の粒状体。
  16. 【請求項16】 粒状体の製造方法であってポリヒドロ
    キシアルカノエート及び有機溶媒を含む油相と、水を含
    む液状原料を用意する工程、 前記液状原料から前記有機溶媒及び/または水を除去す
    る工程とを有し、 前記油相及び/または水に由来する固相、液相及び気相
    の少なくとも1つの相を含有する粒状体を調製すること
    を特徴とする粒状体の製造方法。
  17. 【請求項17】 水相と前記油相とによってエマルショ
    ンを調製する工程をさらに有する請求項16に記載の粒
    状体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記油相に、前記水相を分散させてW
    /O型エマルションを調製する工程と、該W/O型エマ
    ルションから有機溶媒および/または水を除去する工程
    とを有する請求項17に記載の粒状体の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記油相に前記水相を分散させてW/
    O型エマルションを調製する工程と、前記W/O型エマ
    ルションを第二の水相に分散することでW/O/W型エ
    マルションを調製する工程と、W/O/W型エマルショ
    ン中から有機溶媒および/または水を除去する工程とを
    有する請求項17に記載の粒状体の製造法。
  20. 【請求項20】 前記水相に前記油相を分散させてO/
    W型エマルションを調製する工程と、前記O/W型エマ
    ルションから有機溶媒および/または水を除去する工程
    とを有する請求項17に記載の粒状体の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記有機溶媒および/または水の除去
    が、少なくとも液中乾燥法、相分離法及び噴霧乾燥法の
    1つの方法により行われる請求項16から20のいずれ
    かに記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記ポリヒドロキシアルカノエート
    が、化学式[1]から化学式[10]に示すモノマーユニ
    ットからなる群より選択される少なくとも一つを含有す
    るポリヒドロキシアルカノエートである、請求項16か
    ら21のいずれかに記載の製造方法。 【化12】 (ただし、該モノマーユニットは、式中R1およびaの
    組合せが下記のいずれかであるモノマーユニットからな
    る群より選択される少なくとも一つである。R1が水素
    原子(H)であり、aが0から 10 の整数のいずれかであ
    るモノマーユニット、R1がハロゲン原子であり、aが
    1から 10 の整数のいずれかであるモノマーユニット、
    R1が発色団であり、aが1から 10 の整数のいずれか
    であるモノマーユニット、R1がカルボキシル基あるい
    はその塩であり、aが1から 10 の整数のいずれかであ
    るモノマーユニット、R1が、 【化13】 でありaが1から7の整数のいずれかであるモノマーユ
    ニット。) 【化14】 (ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、
    R2は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25及び-C37からなる群から選ばれたい
    ずれか1つを表す。) 【化15】 (ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、
    R3は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25及び-C37からなる群から選ばれたい
    ずれか1つを表す。) 【化16】 (ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、
    R4は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25及び-C37からなる群から選ばれたい
    ずれか1つを表す。) 【化17】 (ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、
    R5は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25、-C37、-CH3、-C25及び-C3
    7からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。) 【化18】 (ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。) 【化19】 (ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。) 【化20】 (ただし、式中hは1から7の整数のいずれかを表し、
    R6は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    COOR'、-SO2R''、-CH3、-C25、-C37、-
    CH(CH3)2及び-C(CH3)3からなる群から選ばれた
    いずれか1つを表し、ここでR'は水素原子(H)、N
    a、K、-CH3及び-C25のいずれかであり、R''は-
    OH、-ONa、-OK、ハロゲン原子、-OCH3及び-
    OC25のいずれかである。) 【化21】 (ただし、式中iは1から7の整数のいずれかを表し、
    R7は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    COOR'及び-SO2R''からなる群から選ばれたいず
    れか1つを表し、ここでR'は水素原子(H)、Na、
    K、-CH3及び-C25のいずれかであり、R''は-O
    H、-ONa、-OK、ハロゲン原子、-OCH3及び-O
    25のいずれかである。) 【化22】 (ただし、式中jは1から9の整数のいずれかを表す。)
  23. 【請求項23】 前記ポリヒドロキシアルカノエートを
    該ポリヒドロキシアルカノエートの生産能を有する微生
    物を使って生産する、請求項16から21のいずれかに
    記載の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記ポリヒドロキシアルカノエートを
    該ポリヒドロキシアルカノエートの生産能に関与する遺
    伝子を導入した形質転換体により生産する、請求項23
    に記載の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記遺伝子は該ポリヒドロキシアルカ
    ノエートの生産能を有する微生物から得られた遺伝子で
    ある請求項24に記載の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの
    生産能を有する微生物が、シュードモナス属(Pseudomo
    nas sp.)、バークホルデリア属(Burkholderia s
    p.)、ラルストーニャ属(Ralstonia sp.)及びアル
    カリゲネス属(Alcaligenes sp.)に属する微生物から
    なる群から選択される少なくとも1つの微生物である、
    請求項23に記載の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記シュードモナス属(Pseudomonas
    sp.)、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)、
    ラルストーニャ属(Ralstonia sp.)及びアルカリゲネ
    ス属(Alcaligenes sp.)に属する微生物が、シュード
    モナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91、FER
    M BP−7373)、シュードモナス・チコリアイ・H45株(P
    seudomonas cichorii H45、FERM BP−7374)、シュー
    ドモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii
    YN2、FERM BP−7375)、シュードモナス・ジェッセニ
    イ・P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP−7
    376)、バークホルデリア・セパシア・KK01株(Burkhol
    deria cepacia KK01、FERM BP-4235)、バークホルデリ
    ア属・OK3株(Burkholderia sp. OK3、FERM P−1737
    0)、バークホルデリア属・OK4株(Burkholderia sp.
    OK4、FERM P−17371)、ラルストーニャ・ユートロファ
    ・TB64株(Ralstonia eutropha TB64、FERMBP-6933)、
    アルカリゲネス属・TL2株(Alcaligenes sp. TL2、FERM
    P-14642)からなる群から選択される少なくとも1つの
    微生物である、請求項26に記載の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの
    生産能を有する形質転換体の宿主微生物が、大腸菌(Es
    cheichia coli)である、請求項24に記載の製造方法。
  29. 【請求項29】 粒状体の製造方法であって、ポリヒド
    ロキシアルカノエート合成酵素および3−ヒドロキシア
    シル補酵素Aを含む水相を用意する工程と、 前記水相と油相でエマルションを調製する工程と、 ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素により3−ヒド
    ロキシアシル補酵素Aを重合させてポリヒドロキシアル
    カノエートを合成する工程と、 前記エマルションから有機溶媒および/または水を除去
    する工程とを有し、前記水相及びまたは油相に由来する
    固相、液相及び気相の少なくとも1つの相を含有する粒
    状体を調製することを特徴とする製造方法。
  30. 【請求項30】 前記水相を、前記油相に分散させてW
    /O型エマルションを調製する工程と、 前記W/O型エマルションから有機溶媒および/または
    水を除去する工程とを有する請求項29に記載の粒状体
    の製造方法。
  31. 【請求項31】 第一の水相を、前記油相に分散させて
    W/O型エマルションを調製する工程と、前記W/O型
    エマルションをさらに第二の水相に分散することでW/
    O/W型エマルションを調製する工程と、前記W/O/
    W型エマルションから有機溶媒および/または水を除去
    する工程とを有する請求項29に記載の粒状体の製造方
    法。
  32. 【請求項32】 前記第一の水相がポリヒドロキシアル
    カノエート合成酵素および3−ヒドロキシアシル補酵素
    Aを含む請求項31に記載の粒状体の製造方法。
  33. 【請求項33】 前記第二の水相がポリヒドロキシアル
    カノエート合成酵素および3−ヒドロキシアシル補酵素
    Aを含む請求項31に記載の粒状体の製造方法。
  34. 【請求項34】前記第一及び第二の水相がポリヒドロキ
    シアルカノエート合成酵素および3−ヒドロキシアシル
    補酵素Aを含む請求項31に記載の粒状体の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記油相を、前記水相に分散させてO
    /W型エマルションを調製する工程と、 前記O/W型エマルションから有機溶媒および/または
    水を除去する工程とを有する請求項29に記載の粒状体
    の製造方法。
  36. 【請求項36】 前記有機溶媒の除去が、少なくとも液
    中乾燥法、相分離法、噴霧乾燥法の1つの方法により行
    われる請求項29から36のいずれかに記載の製造方
    法。
  37. 【請求項37】 前記ポリヒドロキシアルカノエート
    が、化学式[1]から化学式[10]に示すモノマーユニ
    ットからなる群より選択される少なくとも一つを含有す
    るポリヒドロキシアルカノエートであり、前記ユニット
    のそれぞれに対して対応する3−ヒドロキシアシル補酵
    素Aが順に化学式[11]から化学式[20]に示す3−ヒ
    ドロキシアシル補酵素Aである、請求項29から36の
    いずれかに記載の製造方法。 【化23】 (ただし、該モノマーユニットは、式中R1およびaの
    組合せが下記のいずれかであるモノマーユニットからな
    る群より選択される少なくとも一つ以上である。R1が
    水素原子(H)であり、aが0から 10 の整数のいずれか
    であるモノマーユニット、R1がハロゲン原子であり、
    aが1から 10 の整数のいずれかであるモノマーユニッ
    ト、R1が発色団であり、aが1から 10 の整数のいず
    れかであるモノマーユニット、R1がカルボキシル基あ
    るいはその塩であり、aが1から 10 の整数のいずれか
    であるモノマーユニット、R1が、 【化24】 であり、aが1から7の整数のいずれかであるモノマー
    ユニット。) 【化25】 (ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、
    R2は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25及び-C37からなる群から選ばれたい
    ずれか1つを表す。) 【化26】 (ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、
    R3は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25及び-C37からなる群から選ばれたい
    ずれか1つを表す。) 【化27】 (ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、
    R4は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25及び-C37からなる群から選ばれたい
    ずれか1つを表す。) 【化28】 (ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、
    R5は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    CF3、-C25、-C37、-CH3、-C25及び-C3
    7からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。) 【化29】 (ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。) 【化30】 (ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。) 【化31】 (ただし、式中hは1から7の整数のいずれかを表し、
    R6は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    COOR'、-SO2R''、-CH3、-C25、-C37、-
    CH(CH3)2及び-C(CH3)3からなる群から選ばれた
    いずれか1つを表し、ここでR'は水素原子(H)、N
    a、K、-CH3及び-C25のいずれかであり、R''は-
    OH、-ONa、-OK、ハロゲン原子、-OCH3及び-
    OC25のいずれかである。) 【化32】 (ただし、式中iは1から7の整数のいずれかを表し、
    R7は水素原子(H)、ハロゲン原子、-CN、-NO2、-
    COOR'及び-SO2R''からなる群から選ばれたいず
    れか1つを表し、ここでR'は水素原子(H)、Na、
    K、-CH3及び-C25のいずれかであり、R''は-O
    H、-ONa、-OK、ハロゲン原子、-OCH3及び-O
    25のいずれかである。) 【化33】 (ただし、式中jは1から9の整数のいずれかを表す。) 【化34】 (ただし、前記化学式中-SCoAはアルカン酸に結合し
    た補酵素Aを表し、式中R1およびaは前記化学式[1]
    と同様に定義される。) 【化35】 (ただし、式中-SCoA はアルカン酸に結合した補酵
    素Aを表し、b及びR2は前記化学式[2]と同様に定義
    される。) 【化36】 (ただし、式中-SCoA はアルカン酸に結合した補酵
    素Aを表し、c及びR3は前記化学式[3]と同様に定義
    される。) 【化37】 (ただし、式中-SCoA はアルカン酸に結合した補酵
    素Aを表し、d及びR4は前記化学式[4]と同様に定義
    される。) 【化38】 (ただし、式中-SCoA はアルカン酸に結合した補酵
    素Aを表し、e及びR5は前記化学式[5]と同様に定義
    される。) 【化39】 (ただし、式中-SCoA はアルカン酸に結合した補酵
    素Aを表し、fは前記化学式[6]と同様に定義され
    る。) 【化40】 (ただし、式中-SCoA はアルカン酸に結合した補酵
    素Aを表し、gは前記化学式[7]と同様に定義され
    る。) 【化41】 (ただし、式中-SCoA はアルカン酸に結合した補酵
    素Aを表し、h及びR6は前記化学式[8]と同様に定義
    される。) 【化42】 (ただし、式中-SCoA はアルカン酸に結合した補酵
    素Aを表し、i及びR7は前記化学式[9]と同様に定義
    される。)
  38. 【請求項38】 前記3−ヒドロキシアシル補酵素Aの
    組成を経時的に変化させることにより、前記ポリヒドロ
    キシアルカノエートの3−ヒドロキシアルカン酸ユニッ
    ト組成を前記粒状体の内側から外側に向かう方向におい
    て変化させる請求項29から37のいずれかに記載の製
    造方法。
  39. 【請求項39】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの
    少なくとも一部に化学修飾を施す工程をさらに有する請
    求項29から38のいずれかに記載の製造方法。
  40. 【請求項40】 前記ポリヒドロキシアルカノエート合
    成酵素を該酵素の生産能を有する微生物を使って生産す
    る、請求項29から39のいずれかに記載の製造方法。
  41. 【請求項41】 前記ポリヒドロキシアルカノエート合
    成酵素を該酵素の生産能に関与する遺伝子を導入した形
    質転換体により生産する、請求項40に記載の製造方
    法。
  42. 【請求項42】 前記遺伝子はポリヒドロキシアルカノ
    エート合成酵素の生産能を有する微生物から得られた遺
    伝子であることを特徴とする請求項41に記載の製造方
    法。
  43. 【請求項43】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの
    生産能を有する微生物が、シュードモナス属(Pseudomo
    nas sp.)、バークホルデリア属(Burkholderia s
    p.)、ラルストーニャ属(Ralstonia sp.)及びアル
    カリゲネス属(Alcaligenes sp.)に属する微生物から
    なる群から選択される少なくとも1つの微生物である、
    請求項40に記載の製造方法。
  44. 【請求項44】 前記シュードモナス属(Pseudomonas
    sp.)、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)、
    ラルストーニャ属(Ralstonia sp.)及びアルカリゲネ
    ス属(Alcaligenes sp.)に属する微生物が、シュード
    モナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91、FER
    M BP−7373)、シュードモナス・チコリアイ・H45株(P
    seudomonas cichorii H45、FERM BP−7374)、シュー
    ドモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii
    YN2、FERM BP−7375)、シュードモナス・ジェッセニ
    イ・P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP−7
    376)、バークホルデリア・セパシア・KK01株(Burkhol
    deria cepacia KK01、FERM BP-4235)、バークホルデリ
    ア属・OK3株(Burkholderia sp. OK3、FERM P−1737
    0)、バークホルデリア属・OK4株(Burkholderia sp.
    OK4、FERM P−17371)、ラルストーニャ・ユートロファ
    ・TB64株(Ralstonia eutropha TB64、FERMBP-6933)、
    アルカリゲネス属・TL2株(Alcaligenes sp. TL2、FERM
    P-14642)からなる群から選択される少なくとも1つの
    微生物である、請求項43に記載の製造方法。
  45. 【請求項45】 前記ポリヒドロキシアルカノエート合
    成酵素の生産能を有する形質転換体の宿主微生物が、大
    腸菌(Escheichia coli)である、請求項41に記載の製
    造方法。
  46. 【請求項46】 前記内相が医薬成分を含有する請求項
    1に記載の粒状体。
  47. 【請求項47】 請求項46の粒状体を含んでなる製
    剤。
  48. 【請求項48】 前記内相が農薬成分を含有する請求項
    1に記載の粒状体。
  49. 【請求項49】 請求項48の粒状体を含んでなる農薬
    組成物。
  50. 【請求項50】 前記内相が気相部を含有する請求項1
    に記載の粒状体。
  51. 【請求項51】 前記気相部に、パーフルオロカーボン
    のガスが満たされていることを特徴とする請求項50記
    載の粒状体。
  52. 【請求項52】 請求項50に記載の粒状体を含有して
    なる超音波造影剤。
  53. 【請求項53】 前記内相が顔料あるいは染料を少なく
    とも含有する請求項1に記載の粒状体。
  54. 【請求項54】 請求項53の粒状体を含んでなるイン
    ク組成物。
  55. 【請求項55】 前記内相がヘモグロビンを含有する請
    求項1に記載の粒状体。
  56. 【請求項56】 請求項55の粒状体を含んでなる血球
    組成物。
  57. 【請求項57】 前記内相が化粧料成分を含有する請求
    項1に記載の粒状体。
  58. 【請求項58】 請求項57の粒状体を含んでなる化粧
    料組成物。
  59. 【請求項59】 前記内相が肥料成分を含有する請求項
    1に記載の粒状体。
  60. 【請求項60】 請求項59の粒状体を含んでなる肥料
    組成物。
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