JP2003172433A - 樹脂製プーリー - Google Patents
樹脂製プーリーInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明の目的は、寸法安定性、機械的強度及
び耐摩耗性に優れたフェノール樹脂製プーリーを提供す
ることである。 【解決手段】 本発明は、成形材料全体に対して、レゾ
ール型フェノール樹脂25〜45重量%、ポリテトラフ
ルオロエチレン3〜15重量%、及び無機基材としてガ
ラス繊維40〜60重量%、シリカ粉3〜15重量%を
必須成分とするフェノール樹脂成形材料を成形してなる
ことを特徴とする樹脂製プーリーに関するものである。
び耐摩耗性に優れたフェノール樹脂製プーリーを提供す
ることである。 【解決手段】 本発明は、成形材料全体に対して、レゾ
ール型フェノール樹脂25〜45重量%、ポリテトラフ
ルオロエチレン3〜15重量%、及び無機基材としてガ
ラス繊維40〜60重量%、シリカ粉3〜15重量%を
必須成分とするフェノール樹脂成形材料を成形してなる
ことを特徴とする樹脂製プーリーに関するものである。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェノール樹脂成
形材料を成形してなる樹脂製プーリーに関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】樹脂製プーリーは、金属製のプーリーに
比べ、軽量化され、低騒音化も可能であり、低コストに
もなるので、産業機械部品や自動車部品等に用いられて
いる。この中でフェノール樹脂製プーリーは、ナイロン
などに代表される熱可塑性樹脂製プーリーに比べ寸法精
度が優れ、変形しにくいという利点から前記用途に多く
利用されている。フェノール樹脂製プーリーには、機械
的強度、寸法安定性、ベルトに対する耐摩耗性やプーリ
ー自身の耐摩耗性が要求されるが、砂埃などの存在する
環境下での使用では摩耗が激しいため、従来の金属製プ
ーリーに比べて耐用性に劣るという問題があった。 【0003】従来のフェノール樹脂製プーリー用の成形
材料においては、ガラス繊維を配合することにより機械
的強度の向上が図られているが、ガラス繊維を配合する
と弾性率が高くなり熱衝撃による割れが発生しやすくな
る。そのため、エラストマーや有機繊維の配合により耐
熱衝撃性改善の効果を得ているが、回転時の発熱による
熱時強度の低下や寸法変化が大きくなるという問題があ
る。更に、寸法安定性向上のためにガラスビーズ、シリ
カ、タルク等の無機基材を配合しているが、大量に配合
すると機械的強度低下などの問題がある。以上の点か
ら、産業機械部品や自動車部品等に用いられるフェノー
ル樹脂製プーリーは、機械的強度、耐摩耗性、寸法安定
性、耐熱性等をより高次元でバランスさせることが課題
となっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、機械的強
度、耐摩耗性、及び寸法安定性に優れたフェノール樹脂
製プーリーを提供するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、成形材料全体
に対して、レゾール型フェノール樹脂25〜45重量
%、ポリテトラフルオロエチレン3〜15重量%、及び
無機基材としてガラス繊維40〜60重量%、シリカ粉
3〜15重量%を必須成分とするフェノール樹脂成形材
料を成形してなることを特徴とする樹脂製プーリーであ
る。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明は、フェノール樹脂成形材
料を成形してなる樹脂製プーリーに関するものである。
まず、本発明の樹脂製プーリーに用いられるフェノール
樹脂成形材料(以下、「成形材料」という)に配合され
る各原材料について説明する。 【0007】本発明においては、フェノール樹脂として
レゾール型フェノール樹脂を使用する。レゾール型フェ
ノール樹脂を用いる理由は、プーリーに必要な繰り返し
の冷熱衝撃試験(熱衝撃試験)において、ノボラック型
フェノール樹脂ではエラストマーを併用しないと割れを
発生しやすいが、レゾール型フェノール樹脂ではエラス
トマーを併用しなくとも割れの発生がない。ただし、特
に機械的強度が要求される場合、エラストマーの併用に
より寸法安定性や機械的強度を補うことが出来ることに
よる。レゾール型フェノール樹脂の配合量は、成形材料
全体に対して25〜45重量%である。好ましくは30
〜40重量%である。配合量が前記下限値より少ないと
樹脂分が少なくなるため成形性が低下し、前記上限値よ
り多いと満足し得る機械的強度が得られにくくなる。 【0008】本発明で用いられる成形材料には、充填材
としてガラス繊維、シリカ粉という無機基材を使用す
る。これらの無機基材を配合する共通の効果として、無
機基材の熱膨張係数は一般に小さいため、成形品の温度
変化に対しての寸法安定性が良好になることが挙げられ
る。 【0009】本発明においてガラス繊維は、前記効果に
加えて成形品に機械的強度を付与するために配合され
る。ガラス繊維については特に限定されないが、繊維径
が10〜15μm、繊維長が1〜3mmであることが好
ましい。これにより、成形材料化段階での作業性、得ら
れた成形品の機械的強度を良好なものにすることができ
る。ガラス繊維の配合量は、成形材料全体に対し40〜
60重量%である。好ましくは45〜55重量%であ
る。配合量が前記下限値未満であると温度変化に対する
寸法変化が大きくなる。一方、前記上限値を超えると成
形材料化段階での作業性が困難となり、さらにはガラス
繊維の配向により、プーリーとして使用する際に熱によ
る後収縮を生じ、この際異方性による成形品寸法の部分
的変化が大きくなる。 【0010】本発明においてシリカ粉は、前記効果に加
えて成形材料中に配合されるガラス繊維によるベルト摩
耗を抑えるために配合される。シリカ粉については特に
限定されないが、平均粒子径が100μm以下であるこ
とが好ましい。粒子径がこれより大きいと成形品の表面
平滑性を低下させる原因となったり、成形時にピンポイ
ントゲート等を使用する場合にはゲート詰まりを起こす
可能性がある。また、シリカ粉の形状についても特に限
定されないが、球形状であることが好ましい。前記形状
のものは等方性であり、寸法変化の不均一性を小さくす
ることができる。シリカ粉の配合量は、成形材料全体に
対し3〜15重量%である。好ましくは3〜7重量%で
ある。 配合量が前記下限値未満ではベルト摩耗を抑え
る作用が十分でないため、後収縮などの寸法変化の改善
効果が小さくなり、摩耗特性も不十分となる。一方、前
記上限値を超えると、成形材料中の樹脂成分含有量を一
定にした場合では無機基材中のガラス繊維の割合が相対
的に小さくなるため、満足し得る機械的強度を得にくく
なる。 【0011】本発明では、成形品であるプーリーとベル
トとの潤滑性を向上させるために、ポリテトラフルオロ
エチレン(以下、「PTFE」という)を配合すること
を特徴とする。本発明で用いられるPTFEは耐熱結晶
性ポリマーであり、耐薬品性や耐溶剤性に優れた性質を
有する。PTFEが他の樹脂等に比べ特異な低い摩擦係
数を示す理由は、PTFE表面の滑りによる効果ではな
く、鎖状分子の折り畳みによってできる薄片からなる結
晶のバンド構造間で、潤滑性が発揮されるためである。
本発明で用いられるPTFEは特に限定されないが、平
均粒子径が100μm以下であることが好ましい。粒子
径がこれより大きいと成形品の表面平滑性を低下させる
原因となったり、成形時にピンポイントゲート等を使用
する場合にはゲート詰まりを起こす可能性がある。PT
FEの配合量は、成形材料全体に対して3〜15重量%
である。好ましくは3〜7重量%である。PTFEの配
合量を前記範囲内とすることにより、他の特性に影響を
与えることなく、良好な潤滑性を付与することができ
る。配合量が前記下限値未満では潤滑性の効果が十分で
ないため摩耗特性も不十分となり、一方、前記上限値を
超えると、成形品の寸法変化が大きくなる傾向がみられ
る。 【0012】なお、本発明においては、必要により上記
以外の充填材として、無機繊維としてカーボン繊維、カ
ーボンウイスカー、チタン酸カリウムのウイスカー等、
無機粉末として炭酸カルシウムやクレー等を配合しても
よい。 【0013】本発明のフェノール樹脂成形材料は、通常
の方法により製造される。即ち、上記原材料の他、必要
に応じて硬化助剤、離型剤、顔料などを配合して均一に
混合後、ロール、コニーダ、二軸押出し機等の混練機単
独又はロールと他の混合機との組合せで加熱溶融混練し
た後、造粒または粉砕して得られる。 【0014】次に、本発明の樹脂製プーリーについて説
明する。本発明の樹脂製プーリーは、前記成形材料を成
形してなるものである。本発明の樹脂製プーリーは、通
常、金属製インサートを中央に配して、前記配合の成形
材料を用いて、圧縮成形、移送成形、射出成形あるいは
射出圧縮成形により得ることができる。成形条件として
は特に限定されないが、例えば圧縮成形を用いる場合
は、金型温度170〜190℃、成形圧力100〜15
0kg/cm 3、成形時間3〜7分で成形を行うのが望
ましい。 【0015】本発明の樹脂製プーリーは、ガラス繊維を
含有することにより機械的強度を良好にし、更にガラス
繊維がベルトを摩耗させるという欠点を改良し寸法安定
性を良好にするためにシリカ粉が配合されており、か
つ、ベルトとの潤滑性を良好にするためにPTFEが配
合されている。従って、長期間の使用においてもプーリ
ー自体及び相手材を摩耗させることがほとんどなく、加
えて寸法精度及び機械的強度も良好なものである。 【0016】 【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を説明
する。表1に示す組成の混合物をミキシングロールで9
0℃で3分間加熱混練し、粉砕してフェノール樹脂成形
材料を得た。この成形材料を用い175℃に加熱された
金型を用い、150kg/cm2の成形圧力で3分間圧
縮成形を行い、図1及び図2に示される形状のプーリー
の成形品を得た。この成形品を用いて、プーリー特性及
び寸法変化率の測定を行った。機械的強度は後述する方
法にて測定した。 【0017】 【表1】【0018】(表の注) (1)レゾール型フェノール樹脂:以下の方法で製造し
た。還流コンデンサー撹拌機、加熱装置、真空脱水装置
を備えた反応釜内に、フェノール(P)とホルムアルデ
ヒド(F)とをモル比(F/P)=1.7で仕込み、こ
れに酢酸亜鉛をフェノール100重量部に対して0.5
重量部添加した。この反応系のpHを6.5に調整し、
還流反応を3時間行った。その後、真空度100Torr、
温度100℃で2時間水蒸気蒸留を行って未反応フェノ
ールを除去し、さらに、真空度100Torr、温度115
℃で1時間反応させ、レゾール型フェノール樹脂を得
た。 (2)ガラス繊維:日本板硝子社製チョップドストラン
ド、繊維長3mm、繊維径11μm (3)PTFE:喜多村社製KTM300、平均粒子径
80μm (4)シリカ粉:日本シリカ社製ニップシールVN3、
平均粒子径80μm(球状) (5)その他:硬化助剤として水酸化カルシウム1重量
%、滑剤としてステアリン酸1重量%、顔料としてカー
ボンブラック1重量% 【0019】(特性評価) (1)引張り強さ、曲げ強さ:表1の配合で製造した成
形材料を用い、175℃に加熱された金型で3分間移送
成形を行ってテストピースを成形した。これをJIS
K 6911に従い試験を行った。 (2)ベルト攻撃性、プーリーの摩耗性:前記プーリー
成形品を用い、通常のゴムを主体としたベルト(26K
D−9−1BANDO RIP−ACE 7PK950
01−PXMF−19299−0000−T1 RG1
600−140)を使用し、5000rpm、500時
間のモータリングテストを実施した。ベルト攻撃性につ
いては目視で評価し、ベルト摩耗がほとんど見られない
場合は◎とし、ベルト摩耗が見られるが実用上問題ない
と判断される場合は○とし、明らかにベルト摩耗が見ら
れ、実用上問題ありと判断される場合は×とした。ま
た、プーリーの摩耗性については、プーリ本体の摩耗量
(外周面からの径方向の摩耗量)を測定した。 (3)寸法変化率:前記プーリー成形品を用い、120
℃で500時間処理した後のプーリー本体の外径の寸法
変化率を測定した。 (4)合否の判断基準:プーリー本体の外形寸法変化は
0.20%以下、プーリー本体の摩耗量は0.5mm以
下、引張り強さは85Mpa以上、曲げ強さは170M
Pa以上、ベルト攻撃性は○以上であり、これらすべて
の項目を満たしたものを合格とした。 【0020】表1の結果より、実施例1〜5はいずれ
も、レゾール型フェノール樹脂、PTFE、ガラス繊
維、シリカ粉を所定量配合した成形材料であり、これを
成形してなる樹脂製プーリーは、耐摩耗性、寸法変化率
において優れたものであり、成形品の機械的強度も良好
であった。一方、比較例1はPTFEを配合しないもの
であり、プーリー摩耗量が過大となった。比較例2はシ
リカ粉を配合しなかったため寸法変化の改善効果が見ら
れないものとなった。そして比較例3はPTFEとシリ
カ粉の両方を用いないで実施したが、摩耗特性と寸法変
化率のいずれにおいても劣るものとなった。 【0021】 【発明の効果】本発明は、レゾール型フェノール樹脂、
PTFE、および無機基材としてガラス繊維とシリカ粉
を必須成分とするフェノール樹脂成形材料を成形してな
ることを特徴とする樹脂製プーリーであり、本発明の樹
脂製プーリーは従来のものに比べ、機械的強度、耐摩耗
性、寸法安定性が良好なレベルでバランスしていること
がわかる。
形材料を成形してなる樹脂製プーリーに関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】樹脂製プーリーは、金属製のプーリーに
比べ、軽量化され、低騒音化も可能であり、低コストに
もなるので、産業機械部品や自動車部品等に用いられて
いる。この中でフェノール樹脂製プーリーは、ナイロン
などに代表される熱可塑性樹脂製プーリーに比べ寸法精
度が優れ、変形しにくいという利点から前記用途に多く
利用されている。フェノール樹脂製プーリーには、機械
的強度、寸法安定性、ベルトに対する耐摩耗性やプーリ
ー自身の耐摩耗性が要求されるが、砂埃などの存在する
環境下での使用では摩耗が激しいため、従来の金属製プ
ーリーに比べて耐用性に劣るという問題があった。 【0003】従来のフェノール樹脂製プーリー用の成形
材料においては、ガラス繊維を配合することにより機械
的強度の向上が図られているが、ガラス繊維を配合する
と弾性率が高くなり熱衝撃による割れが発生しやすくな
る。そのため、エラストマーや有機繊維の配合により耐
熱衝撃性改善の効果を得ているが、回転時の発熱による
熱時強度の低下や寸法変化が大きくなるという問題があ
る。更に、寸法安定性向上のためにガラスビーズ、シリ
カ、タルク等の無機基材を配合しているが、大量に配合
すると機械的強度低下などの問題がある。以上の点か
ら、産業機械部品や自動車部品等に用いられるフェノー
ル樹脂製プーリーは、機械的強度、耐摩耗性、寸法安定
性、耐熱性等をより高次元でバランスさせることが課題
となっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、機械的強
度、耐摩耗性、及び寸法安定性に優れたフェノール樹脂
製プーリーを提供するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、成形材料全体
に対して、レゾール型フェノール樹脂25〜45重量
%、ポリテトラフルオロエチレン3〜15重量%、及び
無機基材としてガラス繊維40〜60重量%、シリカ粉
3〜15重量%を必須成分とするフェノール樹脂成形材
料を成形してなることを特徴とする樹脂製プーリーであ
る。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明は、フェノール樹脂成形材
料を成形してなる樹脂製プーリーに関するものである。
まず、本発明の樹脂製プーリーに用いられるフェノール
樹脂成形材料(以下、「成形材料」という)に配合され
る各原材料について説明する。 【0007】本発明においては、フェノール樹脂として
レゾール型フェノール樹脂を使用する。レゾール型フェ
ノール樹脂を用いる理由は、プーリーに必要な繰り返し
の冷熱衝撃試験(熱衝撃試験)において、ノボラック型
フェノール樹脂ではエラストマーを併用しないと割れを
発生しやすいが、レゾール型フェノール樹脂ではエラス
トマーを併用しなくとも割れの発生がない。ただし、特
に機械的強度が要求される場合、エラストマーの併用に
より寸法安定性や機械的強度を補うことが出来ることに
よる。レゾール型フェノール樹脂の配合量は、成形材料
全体に対して25〜45重量%である。好ましくは30
〜40重量%である。配合量が前記下限値より少ないと
樹脂分が少なくなるため成形性が低下し、前記上限値よ
り多いと満足し得る機械的強度が得られにくくなる。 【0008】本発明で用いられる成形材料には、充填材
としてガラス繊維、シリカ粉という無機基材を使用す
る。これらの無機基材を配合する共通の効果として、無
機基材の熱膨張係数は一般に小さいため、成形品の温度
変化に対しての寸法安定性が良好になることが挙げられ
る。 【0009】本発明においてガラス繊維は、前記効果に
加えて成形品に機械的強度を付与するために配合され
る。ガラス繊維については特に限定されないが、繊維径
が10〜15μm、繊維長が1〜3mmであることが好
ましい。これにより、成形材料化段階での作業性、得ら
れた成形品の機械的強度を良好なものにすることができ
る。ガラス繊維の配合量は、成形材料全体に対し40〜
60重量%である。好ましくは45〜55重量%であ
る。配合量が前記下限値未満であると温度変化に対する
寸法変化が大きくなる。一方、前記上限値を超えると成
形材料化段階での作業性が困難となり、さらにはガラス
繊維の配向により、プーリーとして使用する際に熱によ
る後収縮を生じ、この際異方性による成形品寸法の部分
的変化が大きくなる。 【0010】本発明においてシリカ粉は、前記効果に加
えて成形材料中に配合されるガラス繊維によるベルト摩
耗を抑えるために配合される。シリカ粉については特に
限定されないが、平均粒子径が100μm以下であるこ
とが好ましい。粒子径がこれより大きいと成形品の表面
平滑性を低下させる原因となったり、成形時にピンポイ
ントゲート等を使用する場合にはゲート詰まりを起こす
可能性がある。また、シリカ粉の形状についても特に限
定されないが、球形状であることが好ましい。前記形状
のものは等方性であり、寸法変化の不均一性を小さくす
ることができる。シリカ粉の配合量は、成形材料全体に
対し3〜15重量%である。好ましくは3〜7重量%で
ある。 配合量が前記下限値未満ではベルト摩耗を抑え
る作用が十分でないため、後収縮などの寸法変化の改善
効果が小さくなり、摩耗特性も不十分となる。一方、前
記上限値を超えると、成形材料中の樹脂成分含有量を一
定にした場合では無機基材中のガラス繊維の割合が相対
的に小さくなるため、満足し得る機械的強度を得にくく
なる。 【0011】本発明では、成形品であるプーリーとベル
トとの潤滑性を向上させるために、ポリテトラフルオロ
エチレン(以下、「PTFE」という)を配合すること
を特徴とする。本発明で用いられるPTFEは耐熱結晶
性ポリマーであり、耐薬品性や耐溶剤性に優れた性質を
有する。PTFEが他の樹脂等に比べ特異な低い摩擦係
数を示す理由は、PTFE表面の滑りによる効果ではな
く、鎖状分子の折り畳みによってできる薄片からなる結
晶のバンド構造間で、潤滑性が発揮されるためである。
本発明で用いられるPTFEは特に限定されないが、平
均粒子径が100μm以下であることが好ましい。粒子
径がこれより大きいと成形品の表面平滑性を低下させる
原因となったり、成形時にピンポイントゲート等を使用
する場合にはゲート詰まりを起こす可能性がある。PT
FEの配合量は、成形材料全体に対して3〜15重量%
である。好ましくは3〜7重量%である。PTFEの配
合量を前記範囲内とすることにより、他の特性に影響を
与えることなく、良好な潤滑性を付与することができ
る。配合量が前記下限値未満では潤滑性の効果が十分で
ないため摩耗特性も不十分となり、一方、前記上限値を
超えると、成形品の寸法変化が大きくなる傾向がみられ
る。 【0012】なお、本発明においては、必要により上記
以外の充填材として、無機繊維としてカーボン繊維、カ
ーボンウイスカー、チタン酸カリウムのウイスカー等、
無機粉末として炭酸カルシウムやクレー等を配合しても
よい。 【0013】本発明のフェノール樹脂成形材料は、通常
の方法により製造される。即ち、上記原材料の他、必要
に応じて硬化助剤、離型剤、顔料などを配合して均一に
混合後、ロール、コニーダ、二軸押出し機等の混練機単
独又はロールと他の混合機との組合せで加熱溶融混練し
た後、造粒または粉砕して得られる。 【0014】次に、本発明の樹脂製プーリーについて説
明する。本発明の樹脂製プーリーは、前記成形材料を成
形してなるものである。本発明の樹脂製プーリーは、通
常、金属製インサートを中央に配して、前記配合の成形
材料を用いて、圧縮成形、移送成形、射出成形あるいは
射出圧縮成形により得ることができる。成形条件として
は特に限定されないが、例えば圧縮成形を用いる場合
は、金型温度170〜190℃、成形圧力100〜15
0kg/cm 3、成形時間3〜7分で成形を行うのが望
ましい。 【0015】本発明の樹脂製プーリーは、ガラス繊維を
含有することにより機械的強度を良好にし、更にガラス
繊維がベルトを摩耗させるという欠点を改良し寸法安定
性を良好にするためにシリカ粉が配合されており、か
つ、ベルトとの潤滑性を良好にするためにPTFEが配
合されている。従って、長期間の使用においてもプーリ
ー自体及び相手材を摩耗させることがほとんどなく、加
えて寸法精度及び機械的強度も良好なものである。 【0016】 【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を説明
する。表1に示す組成の混合物をミキシングロールで9
0℃で3分間加熱混練し、粉砕してフェノール樹脂成形
材料を得た。この成形材料を用い175℃に加熱された
金型を用い、150kg/cm2の成形圧力で3分間圧
縮成形を行い、図1及び図2に示される形状のプーリー
の成形品を得た。この成形品を用いて、プーリー特性及
び寸法変化率の測定を行った。機械的強度は後述する方
法にて測定した。 【0017】 【表1】【0018】(表の注) (1)レゾール型フェノール樹脂:以下の方法で製造し
た。還流コンデンサー撹拌機、加熱装置、真空脱水装置
を備えた反応釜内に、フェノール(P)とホルムアルデ
ヒド(F)とをモル比(F/P)=1.7で仕込み、こ
れに酢酸亜鉛をフェノール100重量部に対して0.5
重量部添加した。この反応系のpHを6.5に調整し、
還流反応を3時間行った。その後、真空度100Torr、
温度100℃で2時間水蒸気蒸留を行って未反応フェノ
ールを除去し、さらに、真空度100Torr、温度115
℃で1時間反応させ、レゾール型フェノール樹脂を得
た。 (2)ガラス繊維:日本板硝子社製チョップドストラン
ド、繊維長3mm、繊維径11μm (3)PTFE:喜多村社製KTM300、平均粒子径
80μm (4)シリカ粉:日本シリカ社製ニップシールVN3、
平均粒子径80μm(球状) (5)その他:硬化助剤として水酸化カルシウム1重量
%、滑剤としてステアリン酸1重量%、顔料としてカー
ボンブラック1重量% 【0019】(特性評価) (1)引張り強さ、曲げ強さ:表1の配合で製造した成
形材料を用い、175℃に加熱された金型で3分間移送
成形を行ってテストピースを成形した。これをJIS
K 6911に従い試験を行った。 (2)ベルト攻撃性、プーリーの摩耗性:前記プーリー
成形品を用い、通常のゴムを主体としたベルト(26K
D−9−1BANDO RIP−ACE 7PK950
01−PXMF−19299−0000−T1 RG1
600−140)を使用し、5000rpm、500時
間のモータリングテストを実施した。ベルト攻撃性につ
いては目視で評価し、ベルト摩耗がほとんど見られない
場合は◎とし、ベルト摩耗が見られるが実用上問題ない
と判断される場合は○とし、明らかにベルト摩耗が見ら
れ、実用上問題ありと判断される場合は×とした。ま
た、プーリーの摩耗性については、プーリ本体の摩耗量
(外周面からの径方向の摩耗量)を測定した。 (3)寸法変化率:前記プーリー成形品を用い、120
℃で500時間処理した後のプーリー本体の外径の寸法
変化率を測定した。 (4)合否の判断基準:プーリー本体の外形寸法変化は
0.20%以下、プーリー本体の摩耗量は0.5mm以
下、引張り強さは85Mpa以上、曲げ強さは170M
Pa以上、ベルト攻撃性は○以上であり、これらすべて
の項目を満たしたものを合格とした。 【0020】表1の結果より、実施例1〜5はいずれ
も、レゾール型フェノール樹脂、PTFE、ガラス繊
維、シリカ粉を所定量配合した成形材料であり、これを
成形してなる樹脂製プーリーは、耐摩耗性、寸法変化率
において優れたものであり、成形品の機械的強度も良好
であった。一方、比較例1はPTFEを配合しないもの
であり、プーリー摩耗量が過大となった。比較例2はシ
リカ粉を配合しなかったため寸法変化の改善効果が見ら
れないものとなった。そして比較例3はPTFEとシリ
カ粉の両方を用いないで実施したが、摩耗特性と寸法変
化率のいずれにおいても劣るものとなった。 【0021】 【発明の効果】本発明は、レゾール型フェノール樹脂、
PTFE、および無機基材としてガラス繊維とシリカ粉
を必須成分とするフェノール樹脂成形材料を成形してな
ることを特徴とする樹脂製プーリーであり、本発明の樹
脂製プーリーは従来のものに比べ、機械的強度、耐摩耗
性、寸法安定性が良好なレベルでバランスしていること
がわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例及び比較例で成形されたプーリーの平
面図 【図2】 実施例及び比較例で成形されたプーリーの側
断面図 【符号の説明】 1 プーリー 2 インサート金具
面図 【図2】 実施例及び比較例で成形されたプーリーの側
断面図 【符号の説明】 1 プーリー 2 インサート金具
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
//(C08L 61/10 C08L 27:18
27:18)
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 成形材料全体に対して、レゾール型フェ
ノール樹脂25〜45重量%、ポリテトラフルオロエチ
レン3〜15重量%、及び無機基材としてガラス繊維4
0〜60重量%、シリカ粉3〜15重量%を必須成分と
するフェノール樹脂成形材料を成形してなることを特徴
とする樹脂製プーリー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001373491A JP2003172433A (ja) | 2001-12-07 | 2001-12-07 | 樹脂製プーリー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001373491A JP2003172433A (ja) | 2001-12-07 | 2001-12-07 | 樹脂製プーリー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003172433A true JP2003172433A (ja) | 2003-06-20 |
Family
ID=19182204
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001373491A Pending JP2003172433A (ja) | 2001-12-07 | 2001-12-07 | 樹脂製プーリー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003172433A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7452926B2 (en) * | 2002-08-29 | 2008-11-18 | Jtekt Corporation | Resin pulley formed of a resin composition having a phenol resin, an inorganic powder , a reinforcing fiber, and a lubricant |
JP2011089095A (ja) * | 2009-10-26 | 2011-05-06 | Panasonic Electric Works Co Ltd | フェノール樹脂成形材料及びフェノール樹脂成形品 |
-
2001
- 2001-12-07 JP JP2001373491A patent/JP2003172433A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7452926B2 (en) * | 2002-08-29 | 2008-11-18 | Jtekt Corporation | Resin pulley formed of a resin composition having a phenol resin, an inorganic powder , a reinforcing fiber, and a lubricant |
JP2011089095A (ja) * | 2009-10-26 | 2011-05-06 | Panasonic Electric Works Co Ltd | フェノール樹脂成形材料及びフェノール樹脂成形品 |
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Legal Events
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060901 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070323 |