JP2003171125A - ガラス母材の製造方法、ディスク状ガラスの製造方法および情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
ガラス母材の製造方法、ディスク状ガラスの製造方法および情報記録媒体の製造方法Info
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Abstract
プレス成形により製造する方法および該ガラス母材を用
い、ディスク状ガラスや情報記録媒体を生産性よく製造
する方法を提供する。 【解決手段】 目的のディスク状ガラスの中心穴の内径
よりも小さい外径を有するパンチによって、下型成形面
の中央部上の溶融ガラスをプレスし、パンチ先端が溶融
ガラスの下型成形面側に生じたガラス固化層に達する前
に、該パンチの下降を停止し、下穴を有する薄板円板状
または円柱状ガラス母材を製造する方法、これらのガラ
ス母材を加工し、中心穴を有するディスク状ガラスを製
造する方法、およびこのディスク状ガラスからなる基板
の主表面に情報記録層を形成する情報記録媒体の製造方
法である。
Description
方法、ディスク状ガラスの製造方法および情報記録媒体
の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、中心
穴を有するディスク状ガラス用として用いられる下穴付
きガラス母材を、ガラスを破損せずに効率よく、ダイレ
クトプレス成形により製造する方法、該ガラス母材か
ら、情報記録媒体用基板などのディスク状ガラスを生産
性よく製造する方法、およびこのディスク状ガラスを基
板に用い、情報記録媒体を製造する方法に関するもので
ある。
にある間にプレス成形する方法はダイレクトプレス法と
呼ばれ、ガラス製磁気メモリディスク基板などのディス
ク状ガラスもこのような方法で作製されている。このダ
イレクトプレス法で作られた薄板状ガラスはアニール
後、中心部に内径穴が開けられ、表裏面(対向する一対
の主表面)に研削、研磨加工が施され、磁気ディスクメ
モリなどの情報記録媒体用基板になる。
は、プレスで得られた薄板状ガラス一枚一枚に内径穴加
工をしなければならず、生産性向上の妨げになってい
る。そこで、ダイレクトプレス時に内径穴もあわせて形
成しようとすることが試みられたが、ガラスが破損する
などして良好なプレス成形が困難な状況にあった。
事情のもとで、中心穴(内径穴)を有するディスク状ガ
ラス用として用いられる下穴付きガラス母材を、ガラス
を破損せずに効率よく、ダイレクトプレス成形により製
造する方法、該ガラス母材から、情報記録媒体用基板な
どのディスク状ガラスを生産性よく製造する方法、およ
びこのディスク状ガラスを基板に用い、情報記録媒体を
製造する方法を提供することを目的とするものである。
達成するために鋭意研究を重ね、まず、中心穴(内径
穴)を有するディスク状ガラスを製造するためには、研
削加工によって中心穴に加工される前の下穴が形成され
たガラス母材を用いるのが有利であり、そしてこのガラ
ス母材をプレス成形する際に下穴も同時に成形すること
によって、中心穴を形成する加工を容易に行うことがで
きることに着目した。
本発明者は上述した問題について検討した結果、次のよ
うな知見を得た。ダイレクトプレス法では溶融ガラスが
下型に融着しないよう、冷却のショックでガラスが破損
したり、過剰な冷却によってプレス成形が不能にならな
い範囲で、キャスト(下型上への溶融ガラスの供給)時
の下型温度を溶融ガラスの温度よりも十分低くする。こ
のような条件の下、キャストが行われると、溶融ガラス
の下型に接触する部分と下型より離れた部分の間に大き
な温度差が生じる。したがって、ガラス全体としてはプ
レスによって上下型に挟まれた空間に広がり得る状態で
はあるが、下型成形面近傍のガラスは急冷によって流動
性、塑性変形性を失う。この部分が本発明におけるガラ
ス固化層である。このガラス固化層に無理な外力を加え
ると固化したガラスは破損してしまう。特に、溶融ガラ
スは均等に広がるように下型成形面の中央部付近にキャ
ストされる。すなわち、下型成形面の中央部は、キャス
トと同時に溶融ガラス下部の急冷が始まり、ガラス固化
層が早期に形成される部分である。
チにより貫通させようとすると、上述のようにパンチが
ガラス固化層を破壊し、プレス成形品の破損になってし
まう。したがって、下穴を形成する際、パンチ先端がガ
ラス固化層に達することなく、無理な力がガラス固化層
に加わらないよう下穴を形成すればガラスの破損を防止
できる。本発明は、かかる知見に基づいて完成したもの
である。
上型とでプレス成形し、中心穴を有するディスク状ガラ
ス作製用のガラス母材を製造する方法において、前記プ
レス成形に際し、該中心穴の内径よりも小さい外径を有
するパンチによって、下型成形面の中央部上の溶融ガラ
スをプレスし、パンチ先端が溶融ガラスの下型成形面側
に生じたガラス固化層に達する前に、該パンチの下降を
停止し、下穴を有するガラス母材を成形することを特徴
とするガラス母材の製造方法、
向する下型成形面の中央部分に凹部が設けられた下型を
用い、パンチを下降してパンチ先端を該凹部内に挿入し
て下穴を形成すると共に、パンチ先端挿入時のパンチと
凹部とのクリアランスが、ガラス固化層の厚みよりも大
きくなるように、凹部の内径と深さを設定する上記
(1)項に記載のガラス母材の製造方法、
母材の主表面に研削、研磨加工を施し、下穴を貫通させ
る上記(2)項に記載のガラス母材の製造方法、
に記載の方法により作製された薄板状のガラス母材を加
工し、中心穴を有するディスク状ガラスを製造する方法
であって、ガラス母材に設けられた下穴を研削して中心
穴を加工する工程、ガラス母材の外周部分を研削加工す
る工程、上下型成形面によって形成されたガラス母材の
主表面を研削、研磨する工程、および場合により、ガラ
ス母材を熱処理し、ガラスを結晶化させる工程を有する
ことを特徴とするディスク状ガラスの製造方法、
に記載の方法により作製された円柱状のガラス母材を加
工し、中心穴を有するディスク状ガラスを製造する方法
であって、ガラス母材に設けられた下穴を研削して中心
穴を加工する工程、ガラス母材の側面を研削加工する工
程、前記2つの工程後に、ガラス母材の円柱軸に対して
垂直な断面でスライス加工し、スライス加工された面を
研削、研磨する工程、および場合により、ガラス母材を
プレス成形してから、前記スライス加工された面を研
削、研磨加工する前のいずれかの段階で、熱処理してガ
ラスを結晶化させる工程を有することを特徴とするディ
スク状ガラスの製造方法、
基板である上記(4)または(5)項に記載のディスク
状ガラスの製造方法、および (7)上記(6)項に記載の方法により作製されたディ
スク状ガラスの主表面上に情報記録層を形成することを
特徴とする情報記録媒体の製造方法、を提供するもので
ある。
は、目的とするディスク状ガラスの中心穴の内径よりも
小さい外径を有するパンチによって、下型成形面の中央
部上の溶融ガラスをプレスし、パンチ先端が溶融ガラス
の下型成形面側に生じたガラス固化層に達する前に、該
パンチの下降を停止し、下穴を有するガラス母材を形成
する方法である。このガラス母材の製造方法としては、
薄板円板状のガラス母材をプレス成形により製造する方
法と、円柱状のガラス母材をプレス成形により製造する
方法の2つの態様がある。以下、添付図面に従って、こ
れらの態様について説明する。
ラス母材の作製〉図1は、本発明における下穴付き薄板
円板状ガラス母材をダイレクトプレス成形により作製す
る方法の1例を示す工程図であって(以下、プレス成形
方法1と称す。)、使用するプレス成形型は、下型1、
下型に対向する上型7、胴型2、パンチ8を備えてい
る。胴型2は下型1を収容するとともにプレスの際、上
下型間の溶融ガラス5の側方への広がりを規制するもの
であり、ガラス母材の外径に合わせた内径を有してい
る。また、パンチ8は上型7中央に設けられた貫通孔に
挿通される円柱棒状の部材である。
外径は成形しようとする下穴内径に合わせて作られてい
る。下型1の成形面は平坦な面により構成されている
が、中央部にはこの平坦面より一段低い凹部10が設け
られている。そしてプレス時には、上下型成形面が互い
に平行であり、上型7の中央部の貫通孔の中心が下型1
の成形面の凹部10の中央の鉛直上方に位置することに
なる。このような状態で上型貫通孔に挿通されたパンチ
8を鉛直下方に下降させることにより、パンチ先端が下
型1の成形面の凹部10内に挿入されることになる。
ス時に変形せず、耐熱性、耐熱衝撃性、耐酸化性に優れ
た材質を用いる。このような材質として、ダクタイル鋳
鉄などを例示することができる。具体的には、まず、中
央部に凹部10が設けられた下型1と胴型2とから構成
された成形型(a)を、溶融ガラス流出パイプ3の下方
に移送し、流出する溶融ガラス流4の先端を下型1上に
受け(キャスト開始)、下型1上に受け取る溶融ガラス
5が所定の量になるように切断刃6によって溶融ガラス
流4を切断する[(b)、(c)]。
て、胴型2上端に突き当てる(d)。上型7下降後、上
型7の貫通孔に挿入されたパンチ8を、その先端が下型
1に達しないように下降して、キャストされた軟化状態
のガラスの中央部に下穴を形成する(e)。次にパンチ
8を上昇してガラス中よりパンチを抜き去り(f)、上
型7を上方に待避する(g)。次いで、胴型2内で下型
1を上昇し(h)、下穴付き薄板円板状ガラス母材9を
プレス成形型から取出す(i)。
240〜1340℃、粘度は40〜100Pa・sの範囲、
キャスト時の下型温度は400〜420℃、プレス時の
上型の温度は400〜430℃、パンチの温度は370
〜410℃の範囲で適宜調整することが好ましい。ま
た、成形に適した薄板円板状のガラス母材の大きさは、
通常直径25〜100mm、厚み0.5〜2.5mm、
パンチの下穴径5〜30mmの範囲のものである。この
際、下型成形面側のガラス固化層の厚みは0.5〜1.
0mm程度となる。このガラス固化層の厚みを考慮して
下穴の深さを決めればよいが、パンチの荷重を、パンチ
先端がガラス固化層を破壊しない程度に調整することに
よってもパンチ進行の停止を制御することもできる。
ラス母材は、図1の9に示されるような断面形状を有し
ている。上型成形面により成形されたガラス母材の第1
の主表面の中央にパンチによって成形された下穴が開口
している。第1の主表面の裏側の主表面、すなわち第2
の主表面は下型成形面により成形された面である。第2
の主表面の中央には下型凹部によって成形された円柱状
の凸部が形成されている。下穴底部は、凸部を除く第2
の主表面よりも深い位置まで達している。第1の主表
面、凸部を除く第2の主表面は平坦面になっている。
で、第2の主表面の平面度を向上するため、第2の主表
面全体を研削加工する際、凸部が除去されることによっ
て、下穴は貫通する。このような形状のガラス母材を成
形することによって、プレス成形時にはガラスを破損さ
せないために下穴を貫通させなくても、第2の主表面を
研削する工程で下穴も同時に貫通できるので、下穴貫通
の工程を付加しなくても、高い生産性の下にディスク状
ガラスを製造することができる。
母材の作製〉この方法は、複数枚のディスク状ガラスを
作製するための円柱状ガラス母材をプレス成形するもの
である。
ラス母材をダイレクトプレス成形により作製する方法の
1例を示す工程図であって(以下、プレス成形方法2と
称す。)、この方法においては、下型1、上型7、胴型
2、パンチ8を用いてプレス成形を行うが、上述したプ
レス成形方法1のように下型成形面は凹部を形成せず、
平坦な面で構成している。上型7の中央の貫通孔にガラ
ス母材の下穴内径に相当する外径を有する円柱棒状のパ
ンチ8を挿通して、プレス成形時に下型1の成形面に対
して垂直方向からパンチ8を下降し、下型1の成形面中
央の溶融ガラス5をプレスして下穴を成形する点、およ
びプレス成形型の材質についてはプレス成形方法1と同
様である。
成された成形型(a)を、溶融ガラス流出パイプ3の下
方に移送すると共に、下型1を胴型2内で上昇させた状
態で、流出する溶融ガラス流4の先端を下型1上に受け
る(b)(キャスト開始)。次に下型1を胴型2内で下
降し(c)、下型1上に受け取る溶融ガラス5が所定の
量になるように切断刃6によって溶融ガラス流4を切断
する[(d)、(e)](キャスト終了)。
て、胴型2上端に突き当てる(f)(上型下降)。上型
7の中央には円柱状ガラス中央に下穴を形成するパンチ
8を挿通する開口部が形成されている。上型7下降の
後、上型7の開口部からパンチ8を挿通して、キャスト
された軟化状態のガラスの中央部に下穴を形成する
(g)(パンチ下降)。なお、パンチ先端は、下型1の
成形面側に形成されたガラス固化層を過剰な力でプレス
しないようにするため、下穴を貫通させない。これは、
キャスト後、下型1に触れたガラスの中央下部が、下型
1への熱伝導により急冷、固化しているため、貫通孔を
形成しようとするとガラスが破損するおそれがあるから
である。
プレス成形方法1と同じように、下型成形面中央に凹部
を形成し、この凹部内にパンチの先端が達するようにプ
レスし、図2中の貫通孔形成用プレス品11としてもよ
い。この場合も、ガラス母材を破損させないようにする
ために、パンチ先端がガラス固化層に達することのない
ようにする。その後、円柱状ガラス母材の両底面をラッ
プ加工する際、下型成形面中央の凹部によって成形され
た凸部を除去すれば、ガラス母材の下穴を貫通させるこ
とができる。ここでは、成形面が平坦で中央に凹部がな
い下型を用いた場合について説明する。
スは下型1、胴型2、上型7、パンチ8によって形成さ
れたキャビティ内に広げられる。キャスト時の溶融ガラ
スの量は、パンチ下降時にガラスが過不足なく上記キャ
ビティ内に行き渡るように調整されている。次に、パン
チ8を上昇してガラス中よりパンチを抜き去り(h)
(パンチ上昇)、上型7を上方に待避する(i)(上型
上昇)。
2.5×1012Pa・s(ガラス転移温度Tg付近)から4×1013Pa
・s(歪点付近)の間、ガラスの中心部の粘度は2.5×10
12Pa・s(Tg付近)から104Pa・s(流動点付近)程度であ
る。それから、胴型2内で下型1を上昇し(j)(下型
上昇)、下穴が設けられた円柱状ガラス母材9′をプレ
ス成形型から取出す(k)(テイクアウト)。なお、テ
イクアウト時、ガラス表面の粘度は、2.5×1012Pa・s(T
g付近)から4×1013Pa・s(歪点付近)の間、ガラスの中
心部の粘度は2.5×1012Pa・s(Tg付近)から4.5×108Pa・
s(軟化点付近)程度である。テイクアウトされたガラ
ス母材9′は、アニールされて、次の工程に供される。
240〜1340℃、粘度は40〜100Pa・sの範囲、
キャスト時の下型温度は400〜420℃、プレス時の
上型の温度は400〜430℃、パンチの温度は370
〜410℃の範囲で適宜調整することが好ましい。ま
た、成形に適した円柱状ガラス母材の大きさは、直径2
5〜100mm、高さ20〜50mm、パンチの下穴径
5〜30mmの範囲のものである。この際、下型成形面
側のガラス固化層の厚みは1.0〜5.0mm程度とな
る。このガラス固化層の厚みを考慮して下穴の深さを決
めればよいが、パンチの荷重を、パンチ先端がガラス固
化層を破壊しない程度に調整することによってもパンチ
進行の停止を制御することもできる。
数、好ましくは3箇所以上の突起を形成しておき、この
突起により円柱状ガラス母材の一方の底面に複数の凹部
を形成しておくことが望ましい。後述するが、この凹部
はガラス母材をチャックして加工する際、チャックとガ
ラス母材が滑って空回りするのを防ぐピン挿入用の穴と
して使用することができる。凹部の深さは上記ピンが挿
入できればよいので、不必要に深いものを形成しないこ
とが望ましい。
穴付き薄板円板状ガラス母材および前記プレス成形方法
2で得られた下穴付き円柱状ガラス母材を用いて、ディ
スク状ガラスを作製する方法について説明する。
ディスク状ガラスの作製〉この場合、薄板円板状ガラス
母材に設けられた下穴を研削して中心穴を加工する工
程、ガラス母材の外周部分を研削加工する工程、および
上下型成形面によって形成されたガラス母材の主表面を
研削、研磨する工程を施すことにより、ディスク状ガラ
スを作製する。
ク用ガラス基板を作製するための公知の研削、研磨法を
用いればよい。例えば、遊離砥粒を使用し複数の円板状
ガラス母材を一度に研削、研磨加工してもよいし、ダイ
ヤモンドペレット等の固定砥粒を使用して、円板状ガラ
ス母材を1個ずつ加工してもよい。
するディスク状ガラスを得ることができ、情報記録媒体
用基板などに使用することができる。なお、ガラス母材
の主表面中心部の凸部は上記研削加工によって除去さ
れ、それとともに下穴が貫通する。下穴貫通後にディス
ク状ガラスの内径加工を行えばよい。また、内外周面の
面取り加工も行うことが好ましい。
していない状態)のディスク状ガラスを作製する場合に
ついてであったが、プレス成形方法1で作られたガラス
母材を熱処理し、結晶化して結晶化ガラス母材とし、結
晶化状態のディスク状ガラスを作製することもできる。
スク状ガラスの作製〉この場合、円柱状ガラス母材に設
けられた下穴を研削して中心穴を加工する工程、ガラス
母材の側面を研削加工する工程、および前記2つの工程
後に、ガラス母材の円柱軸に対して垂直な断面でスライ
ス加工し、スライス加工された面を研削、研磨する工程
を施すことにより、ディスク状ガラスを作製する。
母材から、後述するスライス加工によってディスク状ガ
ラスを作製するためのガラス中間体を作る方法について
説明する。図3は、加工機を用いて下穴付き円柱状ガラ
ス母材の内外周面に加工を施す方法の1例を示す説明図
である。ガラス母材の加工機への取付けは、加工部位で
ある内外周面をチャックすることが困難なので、図3
(a)に示すように、予めラップ加工により両端面の距
離と平行度を必要な精度に加工された円柱状ガラス母材
9′の2つの底面を挟み込むようにしてチャックする。
この際、成形面中央に凹部を備える下型を用いて成形し
たガラス母材の下穴は貫通された状態となっている。こ
のようにあらかじめラップ加工をすることにより、ガラ
ス中間体を複数個同時にスライス加工する工程でガラス
母材の位置を正確に合わせることができる。
の凹部がプレス成形時に形成されているので、この部分
と加工機20のチャック治具21の凹部にピン22を差
込み、ガラスとチャック治具21が滑って空回りしない
ようにする。円柱状ガラス母材のチャックは、内周面に
研削液が確実に入るよう、円柱軸が垂直になるように行
うことが好ましい。
クされたガラス母材を円柱軸の周りに回転させながら下
穴に上部から内径加工用砥石23を進入させて、所定内
径で中心が円柱軸に一致する貫通孔24を形成する(内
径加工という。)。円柱状ガラス母材に予め下穴を設け
ておくことにより、内径加工時に研削液が加工部位に入
って、加工部位が過熱されるのを防ぐことができると共
に、ガラスの切削屑の排出が容易になる。
面を研削し、所定の外径に仕上げる(外径加工とい
う。)。外径加工用砥石25としては、図3(b)に示
すような荒いものから仕上げ用のものへと順次番手が異
なる砥石を重ねたものが好ましい。図3(b)に垂直断
面が示されているように、外径加工用砥石25は荒研削
用から仕上げ研削用に行くにしたがって、外径が大きく
なるように外径の垂直断面がテーパー状に作られてい
る。外径研削用砥石25の軸をワークであるガラス母材
の円柱軸に平行にセットして保ち、ワークを回転しなが
ら、荒研削側の砥石が最初にワーク外周面に当るように
砥石を移動させる。移動によって荒研削された部分が次
の番手の砥石によって研削され、最後に仕上げ用砥石に
よって仕上げられるようにする。このようにすれば、一
度に外径加工を行うことができる。
く、内径加工後に外径加工を行うか、外径加工後に内径
加工を行ってもよい。ただし、内周面に切れ込みを形成
する加工(内周面面取り加工という)の前に内径加工を
行うことが好ましく、外周面に切れ込みを形成する加工
(外周面面取り加工という)の前に外径加工を行うこと
が好ましい。
ックを維持した状態で、内周面面取り加工、外周面面取
り加工を行う。内周面面取り工具26、外周面面取り工
具27は、図3(c)のように円筒形状をしており、側
面には形成しようとする切れ込みに相当するピッチ(一
定ピッチ)で刃が設けられている。このピッチは内周面
面取り工具26と外周面面取り工具27で同じ値に設定
されている。これらの面取り工具を工具の軸の周りに、
ワーク(円筒状ガラス成形体)の回転方向と反対方向に
回転させながら加工することが望ましい。ワークの内周
面や外周面に押し当てて切れ込みを形成する。この際、
面取り工具の軸はワークの回転軸に平行に保ち、工具の
刃が同時にガラスに切れ込みを形成するようにする。ワ
ークの円筒軸を含む断面における切れ込みの形状は例え
ばV字状になっている。内周面面取り加工、外周面面取
り加工は同時に行っても、内周面の後に外周面の加工を
行っても、外周面の後に内周面の加工を行ってもよい
が、内周面の切れ込みの位置と外周面の切れ込みの位置
が、同じ高さに揃うように内周面面取り工具26に対す
る外周面面取り工具27の位置合わせ(その逆でもよい
し、当該工具以外の基準を用いて当該両工具の位置合わ
せを行ってもよい。)を行う必要がある。
筒軸に対する垂直断面上に内周面の切れ込みと外周面の
切れ込みが存在するような円筒状ガラス成形体を形成す
ることができる。もし、この断面上に内外周面いずれか
の切れ込みが存在しないと、後工程でガラスをスライス
した際に面取りが未加工のエッジが残ってしまうことに
なる。ここでは、後工程でワークの円筒軸に垂直なスラ
イスを行う場合を想定している。
径を拡大して所定内径の貫通孔を設ける内径加工、円柱
状ガラスの外周面を所定外径に仕上げる外径加工、内径
加工後の内周面に所定ピッチで複数の切れ込みを形成す
る内周面面取り加工、外径加工後の外周面に所定ピッチ
で複数の切れ込みを形成する外周面面取り加工が完了す
るまで、ガラスのチャックは解除せず、一度のチャック
(ワンチャック)でこれらの加工を行うことが望まし
い。
と、一連の加工によって作製された円筒状ガラス中間体
の内周面、外周面、内外周面の切れ込みの位置、角度な
どがずれてしまい、加工精度が低下してしまうおそれが
ある。このようにして作製された円筒状ガラス中間体
を、次の工程では、所要の厚みにスライスする。なお、
図3において、符号28は上下動作用ガイド、29は内
径面取り刃具用センターである。
状ガラス中間体31の中空部分にワックス状の接着剤を
塗布した棒材30を図4に示すように挿通する。棒材3
0の外径はガラス中間体31の中空部分の内径とほぼ同
じとすることが好ましい。図4では3個のガラス中間体
に1本の棒材を挿通して固定している。このようにして
棒材に固定されたワーク(ガラス中間体)はワイヤーソ
ーなどを用いてスライスされる。スライスする部分は、
予め形成したワーク外周面の切れ込み部分の中央部とす
る。切れ込みの幅は、スライスの切断幅よりも広くなる
ように形成されているので、切れ込み部分のうち、スラ
イス加工後に除去されずに残った部分がスライス加工に
よって作製されたディスク状ガラスの面取り部分とな
る。なお、前記スライスの切断幅は、ワイヤーソーを使
用する場合ではワイヤーの径であり、切断刃を使用する
場合では刃の厚みに相当する。したがって、スライスの
切断幅、面取り量を考慮し、先の加工における切れ込み
幅を決めておく必要がある。この際、ディスク状ガラス
の外周だけでなく内周部分の面取り量も考慮する。スラ
イスはワーク外周面の切れ込み部分を同時に切断するこ
とが生産性を高める上から好ましく、棒材にワークを固
定することによってこのような同時切断が可能になる。
状ガラスを固定している接着剤を除去して作製されたデ
ィスク状ガラスを取り外す。このようにして、1つの円
筒状ガラス中間体から外周面の切れ込み数nよりも1だ
け少ない枚数のディスク状ガラスが得られる。このよう
にスライス前に面取りに相当する部分を一括形成し、ス
ライス加工により一度に多数個のディスク状ガラスを形
成するので、生産性を向上させることができるととも
に、ディスクを1枚ずつ面取り加工する場合と比べて、
ガラスを破損してしまう危険性も低減することができ
る。
晶化していない状態)のディスク状ガラスを作製する場
合についてであったが、プレス成形方法2で作製された
円柱状ガラス母材あるいは前記円筒状ガラス中間体を熱
処理して、結晶化し、結晶化ガラスとなった円柱状ガラ
ス母材あるいは円筒状ガラス中間体に上記加工を施し
て、結晶化状態のディスク状ガラスを作製してもよい。
あるいは、アモルファス状態のディスク状ガラスに熱処
理を加えて、結晶化状態のディスク状ガラスを作製する
こともできる。
ガラスに研削、研磨加工を施す。これらの加工は、磁気
ディスク用ガラス基板を作製するための公知の研削、研
磨法を用いればよい。例えば、遊離砥粒を使用し複数の
ディスク状ガラスを一度に研削、研磨加工してもよい
し、ダイヤモンドペレット等の固定砥粒を使用して、デ
ィスク状ガラスを1個ずつ加工してもよい。
し、内外周が面取りされたディスク状のガラス基板を得
ることができ、情報記録媒体用基板などに使用すること
ができる。ディスク状ガラスから基板を作る過程に、従
来のような面取り加工が不要なので、高い生産性のもと
に、上記基板を作製することができる。
は、前述のようにして、薄板円板状ガラス母材および円
柱状ガラス母材それぞれから作製されたディスク状ガラ
スからなる基板を用い、以下に示す方法に従って情報記
録媒体を製造することができる。なお、該基板として
は、アモルファス状態のガラス基板に化学強化処理を施
したものを用いることもできる。
作製されたガラス基板(化学強化されたガラス基板や結
晶化ガラス基板も含む)上に、公知の方法により、情報
記録層を含む薄膜層を基板の主表面上に形成することに
よって、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光メモリなど
の情報記録媒体が得られる。
説明する。 〈ガラス〉本発明で使用されるガラスとしては、プレス
成形性やキャスト成形性や、切れ込み形成加工、スライ
ス加工、研削、研磨加工などの加工性に優れ、情報記録
媒体用基板として要求される耐久性、信頼性なども優れ
たものが好ましい。
a2O、ZrO2を含むアルミノシリケートガラス、Li
2O、Na2O、MgO、CaO、ZrO2、Y2O3、T
iO2、Al2O3を含むシリケートガラスなどがある。
これらのガラスは、アモルファス状態のガラス基板とし
て用いることができる。また、上述のようにナトリウム
イオンとカリウムイオンを含む溶融塩に浸漬して化学強
化を行ってもよい。TiO2を含むアルミノシリケート
ガラスなどを用い、上記熱処理を行えば、結晶化ガラス
基板を得ることもできる。
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。 実施例1 図1に示すように、下型成形面上にLi2O、Na2O、
ZrO2を含む溶融状態のアルミノシリケートガラスを
所定重量、キャストして、外径30mm、下穴径5m
m、厚み0.8mmの円板状ガラス母材を、プレス成形
方法1により成形した。
ス母材の上下型成形面によって成形された2つの主表面
に研削加工を施して平坦化する。この加工によって下型
凹部によって成形されたガラス母材の一方の主表面中央
の凸部は除去され、下穴が貫通する。下穴形成後、内外
周面の加工を行い、主表面の研削、研磨加工、内外周面
の面取り加工を行うなどして、外径27.4mm、内径
7.0mm、厚み0.381mmの面取りされたディス
ク状ガラスを作製し、これを化学強化して磁気記録媒体
用ガラス基板を作製した。
磁気記録層を含む多層膜を形成して磁気記録媒体を作製
した。なお、ここでは、情報記録層として磁気記録層を
設けたが、他の方式の情報記録層を設ければ、その他の
情報記録媒体を作製することもできる。また、ガラスの
種類を変更して、TiO2を含むアルミノシリケートガ
ラスを用い、前記ディスク状ガラスを結晶化することに
より、結晶化ガラス製の情報記録媒体用基板、さらにそ
の基板を備えた情報記録媒体を作製することもできる。
ZrO2を含む溶融状態のアルミノシリケートガラスを
所定重量、キャストして、外径30mm、下穴径5m
m、高さ30mmの円柱状のガラス母材をプレス成形方
法2により成形した。
す装置により、円柱状ガラスの内外周面を加工して円筒
状ガラス中間体とした後、内外周面に切れ込みを形成す
る加工を施した。次いで、ワイヤーソーを用いてスライ
ス加工を施し、外径27.4mm、内径7.0mm、厚
み0.5mmの面取りされたディスク状ガラスを29枚
作製した。なお、切れ込み幅は0.7mm、切れ込みの
深さは0.35mm、ワイヤーソーの直径は0.5mm
とした。
裏面)に研削、研磨加工を施して、外径27.4mm、
内径7.0mm、厚み0.381mmの基板を作製し、
これを化学強化して磁気記録媒体用ガラス基板を作製し
た。このように、面取り加工が一括してできるので、従
来の方法に比べて生産性を格段に向上させることができ
る。
磁気記録層を含む多層膜を形成して磁気記録媒体を作製
した。なお、ここでは、情報記録層として磁気記録層を
設けたが、他の方式の情報記録層を設ければ、その他の
情報記録媒体を作製することもできる。また、ガラスの
種類を変更して、TiO2を含むアルミノシリケートガ
ラスを用い、円柱状ガラスまたはスライスされたディス
ク状ガラスを結晶化することにより、結晶化ガラス製の
情報記録媒体用基板、さらにその基板を備えた情報記録
媒体を作製することもできる。
ク状ガラス用として用いられる下穴付きガラス母材を、
ガラスを破損せずに効率よくダイレクトプレス成形によ
り製造することができる。また、このガラス母材を用い
ることにより、情報記録媒体用基板などに用いられる中
心穴を有するディスク状ガラスを生産性よく製造するこ
とができ、さらに、このディスク状ガラスの高い生産性
をいかして、情報記録媒体を効率よく製造することがで
きる。
クトプレス成形により作製する方法の1例を示す工程図
である。
プレス成形により作製する方法の1例を示す工程図であ
る。
外周面に加工を施す方法の1例を示す説明図である。
中間体の中空部分に棒材を挿通した状態の1例を示す断
面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 下型成形面上に供給された溶融ガラスを
該下型と上型とでプレス成形し、中心穴を有するディス
ク状ガラス作製用のガラス母材を製造する方法におい
て、 前記プレス成形に際し、該中心穴の内径よりも小さい外
径を有するパンチによって、下型成形面の中央部上の溶
融ガラスをプレスし、パンチ先端が溶融ガラスの下型成
形面側に生じたガラス固化層に達する前に、該パンチの
下降を停止し、下穴を有するガラス母材を成形すること
を特徴とするガラス母材の製造方法。 - 【請求項2】 プレス成形に際し、パンチ先端に対向す
る下型成形面の中央部分に凹部が設けられた下型を用
い、パンチを下降してパンチ先端を該凹部内に挿入して
下穴を形成すると共に、パンチ先端挿入時のパンチと凹
部とのクリアランスが、ガラス固化層の厚みよりも大き
くなるように、凹部の内径と深さを設定する請求項1に
記載のガラス母材の製造方法。 - 【請求項3】 下型成形面により形成されたガラス母材
の主表面に研削、研磨加工を施し、下穴を貫通させる請
求項2に記載のガラス母材の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の方法によ
り作製された薄板状のガラス母材を加工し、中心穴を有
するディスク状ガラスを製造する方法であって、ガラス
母材に設けられた下穴を研削して中心穴を加工する工
程、ガラス母材の外周部分を研削加工する工程、上下型
成形面によって形成されたガラス母材の主表面を研削、
研磨する工程、および場合により、ガラス母材を熱処理
し、ガラスを結晶化させる工程を有することを特徴とす
るディスク状ガラスの製造方法。 - 【請求項5】 請求項1、2または3に記載の方法によ
り作製された円柱状のガラス母材を加工し、中心穴を有
するディスク状ガラスを製造する方法であって、ガラス
母材に設けられた下穴を研削して中心穴を加工する工
程、ガラス母材の側面を研削加工する工程、前記2つの
工程後に、ガラス母材の円柱軸に対して垂直な断面でス
ライス加工し、スライス加工された面を研削、研磨する
工程、および場合により、ガラス母材をプレス成形して
から、前記スライス加工された面を研削、研磨加工する
前のいずれかの段階で、熱処理してガラスを結晶化させ
る工程を有することを特徴とするディスク状ガラスの製
造方法。 - 【請求項6】 ディスク状ガラスが情報記録媒体用基板
である請求項4または5に記載のディスク状ガラスの製
造方法。 - 【請求項7】 請求項6に記載の方法により作製された
ディスク状ガラスの主表面上に情報記録層を形成するこ
とを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001368540A JP4052627B2 (ja) | 2001-12-03 | 2001-12-03 | ガラス母材の製造方法、ディスク状ガラスの製造方法および情報記録媒体の製造方法 |
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JP2013234090A (ja) * | 2012-05-09 | 2013-11-21 | Konica Minolta Inc | ガラス板の製造方法及び製造装置 |
JP2013234091A (ja) * | 2012-05-09 | 2013-11-21 | Konica Minolta Inc | ガラス板の製造方法及び製造装置 |
WO2013191096A1 (ja) * | 2012-06-21 | 2013-12-27 | コニカミノルタ株式会社 | ガラス成形品の製造方法および製造装置 |
-
2001
- 2001-12-03 JP JP2001368540A patent/JP4052627B2/ja not_active Expired - Fee Related
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