JP2003168365A - 陰極線管およびその製造方法 - Google Patents

陰極線管およびその製造方法

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JP2003168365A
JP2003168365A JP2001365820A JP2001365820A JP2003168365A JP 2003168365 A JP2003168365 A JP 2003168365A JP 2001365820 A JP2001365820 A JP 2001365820A JP 2001365820 A JP2001365820 A JP 2001365820A JP 2003168365 A JP2003168365 A JP 2003168365A
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cathode ray
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Hiroshi Yamaguchi
博 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極線管の使用初期段階における劣化を抑制
し、最終的に陰極線管の寿命特性を向上させる製造方法
を提供する。 【解決手段】 金属製の容器内に少なくともバリウム−
アルミニウム合金粉末とニッケル粉末及び/又はニッケ
ル合金粉末を含むゲッタ材を充填した反応型ゲッタ3を
内部に設置し、内部の空気を真空排気して封止した後
に、反応型ゲッタ3を加熱することによりゲッタ材を反
応させてバリウムを内部に放出させ、内部に残っていた
ガスを吸着して内部壁面に付着させる陰極線管の製造方
法であって、真空排気の工程(S7)中に、反応型ゲッ
タ3を、該排気工程中の雰囲気温度により反応型ゲッタ
が加熱される温度よりも高温であって、かつ、ゲッタ材
が反応を開始する温度以下の温度で加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン受像
器やコンピュータ用ディスプレイ等の陰極線管(ブラウ
ン管)の製造方法に関し、特に、真空排気して封止した
後に反応型ゲッタを加熱して残ったガスを吸着させる工
程を有する陰極線管の製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】陰極線管の製造時に、陰極線管を真空排
気して封止した後の冷却時等に、陰極線管内部の金属部
品等に吸着されていたガス成分が圧力低下により放出さ
れることで、陰極線内部の、例えば、炭化水素系のガス
量が増加する場合がある。この炭化水素系のガスを放置
した場合には、陰極線管の使用時に、炭化水素系のガス
がイオン化されてから加速されて陰極あるいは陽極に衝
突する。これは、一種のスパッタリング効果であり、陰
極を形成する物質の一部が陽極や他の部位に被着し、そ
の部分の耐圧特性を低下させる等の悪影響をおよぼす場
合がある。
【0003】上記した悪影響を避けるため、陰極線管を
真空排気して封止する前に、高温に加熱することで反応
を開始し、反応熱を放出すると共に反応により気化され
たバリウム(Ba)を放出させるゲッタ材を充填した反
応型ゲッタを陰極線管の内部に予め設置しておき、封止
後に反応型ゲッタを誘導加熱(ゲッタフラッシュ)して
バリウムを気化放出させ、冷却時に管内壁等にバリウム
のゲッタ膜を形成させるようにして、そのゲッタ膜を形
成させる際に上述した炭化水素系のガスを吸着させて、
管内の炭化水素系のガス量を減少させる方法が知られて
いる。
【0004】図5は、反応型ゲッタを備える陰極線管を
製造する従来の製造方法の一部を示す図である。なお、
本発明は、反応型ゲッタの製造中(特に真空排気工程)
の処理方法の改良に関することから、従来例を示す図5
においても、陰極線管内の反応型ゲッタに関係の少ない
部材については一部の記載を省略し、また、反応型ゲッ
タの改良に関係の少ない工程についても記載を簡略化あ
るいは省略している。
【0005】図5におけるステップS1の図は、陰極線
管の背面側の漏斗状に形成された部分と電子銃を内蔵さ
せるネック部分を合わせたガラス製のファンネル2に対
する加工工程を示す図である。ファンネル2の内面に
は、例えば、導電性の金属製で突出ピン形状のアノード
ボタン10が設けられており、アノードボタン10と導
通する導電膜20が形成される。
【0006】ステップS2では、フェースパネル1の内
面に陰極線(電子ビーム)を受けて発光する蛍光面21
が形成され、不図示の色選択用マスクや外部磁気遮断用
の磁気シールド等が設置される。
【0007】ステップS3では、突出ピン形状のアノー
ドボタン10に反応型ゲッタ3が取り付けられる。この
反応型ゲッタ3は、ゲッタ材を収容する容器(カップ
等)の他に、例えば、特開2000−30637号公報
に示された形状のゲッタスプリングおよびゲッタサポー
ト金属板を備えており、ファンネル2内部の適切な位置
に固定することができる。
【0008】ステップS4では、封止用のフリットパウ
ダ(ガラスパウダ)がファンネル2の前面(開口)側端
部と、フェースパネル1の端部に塗布され、ファンネル
2の前面側端部とフェースパネル1の端部が合致するよ
うに配置されて、組み立てられ、両者を組み合わせたバ
ルブ4となる。なお、フリットパウダの塗布は、ステッ
プS1〜S3の間に塗布されていても良い。
【0009】ステップS5では、バルブ4のファンネル
2とフェースパネル1を接合させるために、バルブ4を
フリット炉に入れて、フリットパウダを結晶化ガラスと
する。例えば、バルブ4を最大450℃で2時間30分
程度加熱する。ここで、反応型ゲッタ3は、約400℃
に加熱されるが、ゲッタ材が反応を開始する温度にはな
っていないので、ゲッタ材からガス等が放出されること
はない。しかし、約400℃に加熱されていることか
ら、反応型ゲッタ3の各部(容器=カップ、ゲッタスプ
リング、ゲッタサポート金属板等)あるいは容器内のゲ
ッタ材の表面等には、酸化による変化が発生したり、あ
るいは、炭化水素系のガスが吸着されてしまう。
【0010】ステップS6では、電子銃(ガン)5のユ
ニットに真空排気用の細管(チップ管)6を取り付けて
から、そのガン5をバルブ4のネック部分に挿入し、ガ
ン5の後端部をネック部分と加熱溶着して封止する。
【0011】ステップS7では、ガン5を封止したバル
ブ4を排気炉12に入れ、チップ管6を真空ポンプ8に
接続し、ガン5の陰極を加熱するヒータ用のピンと電源
7とを接続線31で接続し、ガン5の各電極ピンに高周
波の電磁波を強制的に印加する高周波電磁波印加装置1
3と電源7とを接続線32で接続し、最大380℃で約
2時間強加熱しつつ、真空ポンプ8で真空排気を実施す
る。バルブ4内が真空になったら、チップ管6を溶断し
て封止し、バルブ4を真空密閉する。このようにして陰
極線管40が製造される。
【0012】ステップS8では、陰極線管40におけ
る、内面に反応型ゲッタ3が取り付けられた位置の外面
側に設置されたゲッタコイル9と電源7とを接続線33
で接続し、反応型ゲッタ3内のゲッタ材を誘導加熱する
ことにより、ゲッタ材の反応(ゲッタフラッシュ)を開
始させる。ゲッタ材の反応が温度上昇により開始される
と、反応熱が放出されてさらに温度が上昇すると共に気
化されたバリウム(Ba)ガスが放出される。そして、
反応が終了して冷却される時に、Baは、炭化水素系の
ガスを吸着しつつ管内壁等にバリウムのゲッタ膜を形成
し、管内の炭化水素系のガス量を減少させる。
【0013】ゲッタフラッシュS8の後の残りの工程と
しては、ガン5の耐電圧特性を向上させるためのシーズ
ニングが実施され、その後、陰極(カソード)の活性化
を行うエージングが実施され、さらに、防爆、外装、お
よび、特性検査等の工程が実施される。なお、防爆およ
び外装の工程はエージングの後で行う必要はないので、
真空排気S7の後であれば適当なタイミングで実施する
ことができる。概ね上記のような工程により、反応型ゲ
ッタを内部に設置した陰極線管40は製造される。
【0014】また、ステップS7の真空排気工程では、
内部の各電極等に吸着されたガスを放出させるための処
理を以下のように実施している。
【0015】真空ポンプを用いた基本的な排気工程であ
るステップS7aの実施中で、バルブ4内部の気圧が真
空近くまで充分に低下する工程終了間近の時点になる
と、電源7に接続された高周波電磁波印加装置13から
ガン5に高周波電磁波が強制印加され、ガン5内の三極
部近辺の温度が500℃から600℃になるように加熱
される。この電極を電磁波により外部から加熱する工程
により、陰極および陰極の回りの各電極の金属に吸着さ
れていた炭化水素系等のガスが、真空に近い気圧と加熱
された環境で放出される。すなわち、ガン5に高周波電
磁波を強制印加することにより、陰極周りの各電極のガ
ス出しが実施され、この工程を電極加熱工程(ステップ
S7b)と称する。
【0016】また、電極加熱の後、または、同時に、陰
極に隣接して設置されるヒータに電源7からの電力(電
流)を通電させることにより、陰極とヒータに吸着され
ていた炭化水素系等のガスを、真空に近い気圧と加熱に
より放出させることができる。すなわち、ヒータに電力
を通電させることにより、陰極とヒータのガス出しが実
施され、この工程をヒータフラッシュ(ステップS7
c)と称する。
【0017】電極加熱S7bとヒータフラッシュS7c
により、陰極、ヒータおよび陰極の回りの各電極のガス
出しが実施された後に、チップ管の封止工程(ステップ
S7d)が実施されるので、封止前に各電極やヒータに
吸着されていた炭化水素系等のガスを放出させることが
でき、バルブ4内に残ったガスについては、自然放冷に
よる冷却工程(ステップS7e)の後工程となるゲッタ
フラッシュS8により吸着させることができるので、封
止後の陰極線管の使用によりバルブ4内の各電極やヒー
タから発生される炭化水素系等のガスを減少させること
ができる。
【0018】このように、反応型ゲッタ3を内部に設置
した陰極線管40は、製造時に、バルブ4を封止する前
に電極加熱S7bとヒータフラッシュS7cを実施し、
封止後にゲッタフラッシュS8を実施することにより、
陰極線管40の使用によりバルブ4内の各電極やヒータ
から発生される炭化水素系等のガスを減少させることが
できるので、陰極を形成する物質の一部が陽極や他の部
位に被着し、その部分の耐圧特性を低下させる等の悪影
響をおよぼす事態を減少させることができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の研究によれば、従来の製造方法で製造される反応型
ゲッタ3を内部に設置した陰極線管40は、使用開始か
ら1000時間までの初期段階における劣化の程度が、
1000時間以降の劣化程度よりも大きいという問題が
有ることがわかった。
【0020】そして、その問題の原因としては、ファン
ネル2とフェースパネル1を接合させるフリット炉の工
程S5で反応型ゲッタ3に吸着されたガス分子が、ゲッ
タフラッシュS8を実施することによりバルブ4内の壁
面等に一旦吸着されるものの、そのバルブ4を使用し始
めると徐徐にバルブ4内に吸着されていたガス分子(炭
化水素系等)が放出されるため、そのガス分子が酸化物
等の陰極に悪影響を与えることがわかってきた。
【0021】本発明は、上記した問題を解決するために
なされたものであり、フリット炉にて汚染された反応型
ゲッタに吸収されたガス分子を、真空排気工程中に予め
極力排出させることにより、バルブ4を封止した後に実
施されるゲッタフラッシュの工程で放出されるガス分子
の量を減少させ、それにより、ゲッタ膜に吸着されるガ
ス分子の量を減少させて、陰極線管40の使用初期段階
における劣化を抑制し、最終的に陰極線管40の寿命特
性を向上させる製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、請求項1に記載した本発明の陰極線管の製造方法
は、金属製の容器内に少なくともバリウム−アルミニウ
ム合金粉末とニッケル粉末及び/又はニッケル合金粉末
を含むゲッタ材を充填した反応型ゲッタを内部に設置
し、内部の空気を真空排気して封止した後に、反応型ゲ
ッタを加熱することによりゲッタ材を反応させてバリウ
ムを内部に放出させ、内部に残っていたガスを吸着して
内部壁面に付着させる陰極線管の製造方法であって、真
空排気の工程中に、反応型ゲッタを、該排気工程中の雰
囲気温度により反応型ゲッタが加熱される温度よりも高
温であって、かつ、ゲッタ材が反応を開始する温度以下
の温度で加熱することを特徴とする。
【0023】また、請求項2の本発明は、請求項1に記
載の陰極線管の製造方法において、反応型ゲッタは、高
周波電力をコイルに供給することにより誘導加熱される
ことを特徴とする。
【0024】また、請求項3の本発明は、請求項1また
は2に記載の陰極線管の製造方法において、真空排気の
工程中における反応型ゲッタの加熱は、管内圧力が1×
10 −1Pa以下で実施されることを特徴とする。
【0025】また、請求項4の本発明は、請求項1〜3
の何れかに記載の陰極線管の製造方法において、反応型
ゲッタは、ゲッタ材として窒化鉄粉末をさらに含み、バ
リウムを内部に放出させる前に窒素ガスを内部に放出さ
せるガスドープ反応型ゲッタであることを特徴とする。
【0026】また、請求項5の本発明は、請求項4に記
載の陰極線管の製造方法において、ゲッタ材が反応を開
始しない温度は、ゲッタ材中の窒化鉄粉末が窒素ガスを
放出開始する温度以下であることを特徴とする。
【0027】また、請求項6の本発明は、請求項1〜5
の何れかに記載の陰極線管の製造方法において、排気工
程中の雰囲気温度により反応型ゲッタが加熱される温度
は300℃であり、ゲッタ材が反応を開始しない温度は
500℃であることを特徴とする。
【0028】また、請求項7の本発明は、請求項1〜6
の何れかに記載の陰極線管の製造方法において、真空排
気工程中の反応型ゲッタの加熱は、10秒以上実施され
ることを特徴とする。
【0029】また、請求項8の本発明は、請求項1〜7
の何れかに記載の陰極線管の製造方法において、反応型
ゲッタは、陰極線管内部に設置された状態で、陰極線管
のフェースパネルとファンネルをフリットパウダによっ
て封着するためのフリット炉の内部で加熱された場合で
あっても、ゲッタ材に大気中のガスが結合あるいは吸収
されにくいように加工されたフリッタブルゲッタである
ことを特徴とする。
【0030】また、請求項9に記載した本発明の陰極線
管は、前記請求項1〜8の何れかに記載の陰極線管の製
造方法により製造されることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、反応型ゲ
ッタを備える陰極線管を製造する本発明の実施の形態1
の製造方法の一部を示す図である。なお、図1において
は、上記した図5と同様に陰極線管内の反応型ゲッタに
関係の少ない部材、および、反応型ゲッタの改良に関係
の少ない工程についての記載を簡略化あるいは省略して
いる。また、図5において説明した構成と同様な機能を
有する部分には同じ符号を付与し、同様な製造工程につ
いては同じステップ番号を付与し、重複する説明につい
ては省略する。
【0032】図1におけるステップS1は、従来と同様
にアノードボタン10が設けられたファンネル2の内面
に、アノードボタン10と導通する導電膜20を形成す
る工程であるが、導電膜20は、例えば、グラファイト
等を成分とするカーボンダック等の導電性膜である。
【0033】また、ステップS2も、従来と同様にフェ
ースパネル1の内面に蛍光面21を形成し、不図示の色
選択用マスクや外部磁気遮断用の磁気シールド等を設置
する工程であるが、蛍光面21とは、ガン5から放出さ
れた電子ビームを受けて発光するように、例えば、RG
B(赤、緑、青)3色の蛍光材料である。また、色選択
用マスクは、例えば、RGBの各色を選択するためのマ
スクであり、外部磁気遮断用シールドとは、バルブ4内
部の電子ビームの進行方向に影響を与える外部からの磁
気を遮断するためのものである。
【0034】ステップS3も、従来と同様にアノードボ
タン10に反応型ゲッタ3が取り付けられるが、この反
応型ゲッタ3でゲッタ材を収容する容器としては、例え
ば、ステンレスにより直径約1〜2cm、深さ1〜5m
m程度のカップ状の容器(ゲッタカップ)を形成すれば
よい。なお、材料のステンレスというのは、特にステン
レスのみに指定される訳ではなく、耐酸化性、ゲッタ材
と反応しにくい材質であれば他の材料を用いてもよい。
また、特開2000−30637号公報に示された形状
のゲッタスプリングは、例えば、幅約4mm、板厚約
0.2mm、長さ数cm、インコネル材あるいはステン
レス材で形成し、ゲッタサポート金属板は、例えば、板
厚約0.2mm、幅約3cm程度のインコネル材あるい
はステンレス材で形成すれば良く、ゲッタカップ、ゲッ
タスプリング、および、ゲッタサポート金属板の接続は
溶接により実施すれば良い。設置作業は、例えば、ファ
ンネル2の内側に凸出するアノードボタン10にゲッタ
サポート金属板の凹部をはめ込んで固定すれば良い。
【0035】なお、図1では、上記したように反応型ゲ
ッタ3をファンネル2側に取り付ける場合を示したが、
例えば、フェースパネル1側の、外部磁気遮断用シール
ドや色選択用マスクに取り付ける場合でも本実施の形態
は同様である。また、反応型ゲッタ3をバルブ4内に設
置するタイミングについても図1に示した限りではな
く、フェースパネル1とファンネル2を組み立てる(接
合面を合わせる)までに設置しておけばよい。
【0036】反応型ゲッタ3のカップ内に充填されてプ
レス固着されるゲッタ材は、例えば、バリウムアルミニ
ウム合金粉末(BaAl)とニッケル粉末(Ni)及
び/又はニッケルアルミニウム合金粉末等のニッケル合
金粉末、少量の窒化鉄粉末(FeN)を適当に配合し
て用いる。これは、例えば、特開昭56−61736号
公報、特開昭58−123632号公報、特開昭58−
111237号公報、および、特開平7−176278
号公報に開示されているように、耐酸化処理を施された
ゲッタ材がカップに適量入れられてプレス固着されたゲ
ッタ材であり、所謂フリッタブル・ガスドープ型のゲッ
タ材である。
【0037】フリッタブル型のゲッタとは、ゲッタ材に
対して、フリット炉11を通過しても大気中に含まれる
種々の分子と結合したり吸収したりすることを抑制する
措置を施されていることを示す。この抑制措置とは、例
えば、ゲッタ材のコンパウンドの粒子径を最適化した
り、反応型ゲッタのカップに圧縮固着する圧力を最適化
するなどの処理のことである。また、ガスドープ型のゲ
ッタとは、ベーキングの効果によりフリット炉で酸化吸
着したガスが大量に管内に放出された後、かつ、800
℃以上となって例えばBaAl+4Ni→Ba+4N
iAlのゲッタフラッシュ反応がはじまる前の500〜
600℃になった時点で、2FeN→8Fe+N
反応が活性化し、バルブ4管内にNガスが放出される
措置が施されていることを示す。
【0038】ステップS4も、従来と同様にフリットパ
ウダが端部に塗布されたファンネル2と、同様にフリッ
トパウダが端部に塗布されたフェースパネル1とを端部
同士を合致させて組み立てる(バルブ4とする)工程で
あるが、例えば、フリットパウダを端部に塗布済みのフ
ァンネル2を位置決め治具上に設置し、次に、フリット
パウダを端部に塗布済みで、マスク等も設置済みのフェ
ースパネル1をファンネルと合致させるようにファンネ
ル上に載置する。その際には、両者のXYZ方向の位置
を合わせつつ載置する。このようにファンネル2とフェ
ースパネル1をXYZ方向に適正に位置決めし、その位
置を保持しつつ次工程(次ステップ)のフリット炉11
を通過させるための治具をフリット治具と称する。
【0039】ステップS5も、従来と同様であるが、上
記したフリット治具に保持されたフェースパネル1とフ
ァンネル2は、炉内最高温度が約450℃に設定された
高温大気炉であるフリット炉を約2時間30分かけて通
過する。この最高温度および通過時間は、フェースパネ
ル1とファンネル2を封止させるフリットパウダが溶着
し、かつ、フェースパネル1とファンネル2に変形や破
損あるいは熱歪を発生させないという条件を満足すれば
他の条件であっても良いが、現状の技術では、設定温度
を低下させる技術は公表されていないため、反応型ゲッ
タ3が高温の大気にさらされる点を改善することはでき
ない。
【0040】フリット炉11内では、ファンネル2にお
けるフェースパネル1と接合される側の端部ではない他
端、つまり、次の工程(ステップS6)で電子銃(ガン
5)を挿入してからガラスで封止されるネック部分側の
端部が開口しているために、フリット炉11内の高温の
大気はバルブ4内に出入りすることができる。この高温
の大気により反応型ゲッタ3は加熱され、また、フェー
スパネル1あるいはファンネル2からの熱伝導や輻射に
よっても反応型ゲッタ3は加熱される。このようにして
反応型ゲッタ3はフリット炉11内で上記したように約
400℃にまで加熱されることから、反応型ゲッタ3を
構成するゲッタカップ、ゲッタスプリング、および、ゲ
ッタサポートの全部品と、ゲッタカップ内でプレス固着
されたゲッタ材の表面近傍部位は、元々銀色であったも
のが、フリット炉11内の高温大気による表面の酸化、
金属表面の改質、種々のガス吸着によって、光沢を帯び
た赤茶色に変色する。
【0041】フリット炉11を通過することによりフェ
ースパネル1とファンネル2とが封止溶着された後、十
分に冷却されたバルブ4は、次にガン封止の工程(ステ
ップ6)に入る。
【0042】ステップS6も、従来と同様にチップ管6
を取り付けたガン5をバルブ4のネック部分に挿入して
封止するが、その際には、例えば、ガン5をネック部
(ネックガラス)に挿入してから、ガン5側のステムガ
ラスとネックガラスが接合される部位をガスバーナー等
の直接加熱により溶着する。なお、ステムとは、主にガ
ラスからなり、直径1cm弱のガラスからなる真空排気
用のチップ管(ステムチューブ)を有するものである。
【0043】ステップS7は、後述する一部(ステップ
S7z)の工程を除いて従来と同様であり、バルブ4を
排気炉12に入れて加熱しつつ、チップ管6から真空ポ
ンプ8で真空排気し、バルブ4内が真空になったら、チ
ップ管6を封止してバルブ4を真空密閉する工程である
が、その際に用いられる真空ポンプ8は、例えば、DP
(油拡散ポンプ)、あるいは、RP(ロータリーポン
プ)等の排気設備である。ガン5が挿入されステムが接
合されたバルブ4は、上記した排気設備を備える排気カ
ートに乗せられ、排気炉12内で、まず、バルブ4内の
空気がRPにより粗引され、次に、DPとRPとが連動
されて高真空に排気される。また、その際に、バルブ4
は、加熱炉である排気炉12内で加熱されることから、
所謂ベーキング効果により、バルブ4内の各部に吸着さ
れたガス分子が排気される。この際の排気炉12の温度
は、上記したように最大380℃であり、フリット炉1
1で反応型ゲッタ3が加熱される400℃よりも低い温
度である。また、排気炉12中で反応型ゲッタ3は、約
320℃まで加熱される。
【0044】また、本実施の形態では、上記した真空ポ
ンプ8を用いた排気工程であるステップS7aの実施中
の工程終了間近になると、電極加熱工程(ステップS7
b)を実施する前に、従来例で記したゲッタフラッシュ
工程と加熱温度以外は同様であるゲッタ加熱(ステップ
S7z)を実施する。このステップS7Zのゲッタ加熱
では、排気炉12で反応型ゲッタ3が加熱される約30
0℃からゲッタ材が反応を開始しない温度は500℃ま
での間となるように加熱することで、従来の製造方法で
製造した陰極線管よりも寿命特性を改善することができ
る。また、特に、ステップS7Zのゲッタ加熱温度を、
フリット炉11の加熱温度400℃よりも上にした場合
の方が、より陰極線管の寿命特性を改善することができ
る。
【0045】例えば、排気の終盤管内圧力が1×10
−2から1×10−3Pa程度の高真空状態で、ゲッタ
コイル9から発せられる高周波電磁場により反応型ゲッ
タ3を加熱する。このときに反応型ゲッタ3の最高温度
が490℃であるように制御し、約1分〜数分間加熱を
行う。この処理により反応型ゲッタ3からの余分なガス
を排出させる。
【0046】最高温度を490℃としたことは、ゲッタ
材中の窒化鉄粉末が反応を開始して、窒素ガスを放出開
始する温度である500℃以下となるように最高温度を
設定したためである。また、発明者の実験によれば、ス
テップS7zの反応型ゲッタ3の加熱は、反応型ゲッタ
3からの余分なガスを排出させるためには、少なくとも
10秒以上実施したほうが良いことがわかっている。
【0047】また、本実施の形態の反応型ゲッタ3は、
陰極線管41内部に設置された状態で、陰極線管41の
フェースパネル1とファンネル2をフリットパウダによ
って封着するためのフリット炉11の内部で加熱された
場合であっても、ゲッタ材に大気中のガスが結合あるい
は吸収されにくいように加工されたフリッタブルゲッタ
である。
【0048】ゲッタコイル9は、例えば、上記した排気
カートに設置し、ゲッタコイル9の中には終始冷却水を
流すように構成すれば良い。なお、ゲッタコイル9の設
置方法はこの限りではなく、例えば、排気炉12中の任
意の位置にゲッタコイル9を設置しておき、そこを排気
カートが通過する際にタイミングを合わせて、ゲッタ加
熱を実施しても良い。また、ゲッタ加熱時の管内圧力
は、上記した範囲に限られるものではなく、発明者の実
験によれば、例えば、1×10−1Pa以下の館内圧力
であれば、後で実施される陰極線管寿命試験で効果を得
ることができることがわかっている。
【0049】その後の電極加熱工程(ステップS7b)
では、従来と同様に、ガン5に高周波電磁波印加装置1
3から高周波電磁波が強制印加されることにより各電極
(陽極)からのガス出しが実施され、ヒータフラッシュ
(ステップS7c)では、陰極と陰極に隣接して設置さ
れるヒータに通電してヒータからのガス出しが実施され
るが、陰極が酸化物陰極である場合には、BaCO
BaO+COなる化学式で表現される酸化物陰極の熱
分解を実施しCOガスを排出する。電極加熱工程(ス
テップS7b)およびヒータフラッシュ(ステップS7
c)によって発生したガスが十分に排気された後、チッ
プ管6に隣接して排気カート内に設置される付属の電熱
ヒータ(不図示)でチップ管を加熱することによりチッ
プ管を封止溶着する(ステップS7d)。その後、封止
溶着されたチップ管6の先側を適当な位置で切断し、自
然放冷による冷却工程(ステップS7e)を実施するこ
とにより真空排気(ステップS7)の工程は完了する。
このようにして、本実施の形態の陰極線管41は製造さ
れる。
【0050】ステップS8も、従来と同様に陰極線管4
1外部のゲッタコイル9でその電磁場により反応型ゲッ
タ3内のゲッタカップに充填されたゲッタ材を誘導加熱
してゲッタフラッシュを開始させるが、ゲッタフラッシ
ュは、例えば、真空排気された陰極線管41の温度を十
分に自然放冷して約60℃以下にした時点で、直径約1
0cmの中空金属パイプからなるゲッタコイル9に高周
波電流を通電し、コイル中心部に強力な高周波電磁場を
発生させる。
【0051】すると、反応型ゲッタが加熱され、まず、
上記したようにベーキングの効果によりフリット炉で酸
化吸着されたガスが管内に放出されることになるが、本
実施の形態では、ステップS7zで一旦加熱してガスを
放出させているため、そのガスの量は従来よりも非常に
少なくなる。
【0052】さらに、ゲッタコイル9で加熱を続けるこ
とで、ゲッタ材が500〜600℃になった時点で2F
N→8Fe+Nの反応が活性化され、バルブ4管
内にNガスが放出される。その後、わずかの時間差をお
いて、すぐに(十数秒の内に)反応型ゲッタが800℃
以上に加熱されると、例えば、BaAl+4Ni→B
a+4NiAlのゲッタフラッシュ反応がはじまる。す
ると、反応熱が放出されて反応型ゲッタの温度はさらに
上昇して、一気に1200℃近くまで昇温すると共に気
化されたバリウム(Ba)ガスが放出される。
【0053】ゲッタフラッシュ反応によりゲッタ材から
管内に飛び出したBa分子は、先に管内に放出している
分子に衝突し散乱され多方向へ分散する。そして、
反応が終了して冷却される時に、Baは、フリット炉で
吸着されて下駄フラッシュにより先に放出された炭化水
素系のガスを吸着しつつ陰極線管41の管内壁等に付着
してバリウムのゲッタ膜を形成し、管内の炭化水素系の
ガス量を減少させる。また、ガスドープ用のNも同様
に管内の種々部位に吸着させる。
【0054】フリッタブル・ガスドープ型のゲッタ3
は、上記のように陰極線管41内で活性化され、管内に
Baゲッタ膜を形成し、長期的に管内を高真空に維持す
ることが可能となるので、このようにして作製された陰
極線管41は、銃rたいの製造方法で製造された陰極線
管40と同様に、比較的良好なエミッション寿命特性を
示す。しかし、従来の製造方法で製造された陰極線管4
0は、寿命特性曲線において、0〜1000時間の範囲
での劣化が顕著であった。ところが、本実施の形態の陰
極線管41では、上記のように、ステップ7bの前にス
テップS7zを加えることで、寿命特性曲線において特
に0〜1000時間の範囲での劣化を抑えることができ
る。
【0055】図2は、少量の酸化スカンジウム粉末を
(Ba/Sr/Ca)O中に含む酸化物陰極を備える陰
極線管を従来の製造方法で製造した場合と、本実施の形
態の方法で製造した場合の各エミッション寿命特性を比
較して示した図である。
【0056】図2において縦軸は初期の陰極電流Ikを
300μAとした場合のIk経時変化を百分率で表して
おり、横軸は時間軸である。また、寿命試験の条件とし
ては、概ね、定格電圧であるEb=25kV、EF=6
kV、Ec2=700V、Ec1=0V、EK=ad
j.(Ik=300μAとなるように調整)を各電極に
印加している。
【0057】図2の寿命特性曲線において、点線が従来
の製造方法により製造された陰極線管40の寿命試験結
果であり、実線が本実施の形態の製造方法により製造さ
れた陰極線管41の寿命試験結果である。
【0058】図2からわかるように、従来の製造方法に
より製造された陰極線管40では、特に0〜1000時
間の範囲での劣化が、1000時間以降の劣化に比較し
て急激であることがわかる。これは、管内の種々部位に
付着した吸着ガス分子で排気中に取り除けなかったもの
やゲッタフラッシュの時に反応型ゲッタから放出された
ガス分子が一旦種々の壁面に吸着されたもので、ゲッタ
膜のBaと結合せずにいた吸着ガスが0〜1000時間
の間は徐々に管内に放出され、それらのガス種の中には
酸化物陰極に悪影響を与えるといわれている、CO、C
、HO、CH、O等の分子が含まれており、
これらの分子が酸化物陰極の表面に付着するなどして、
エミッションの劣化を促進しているためと考えられる。
【0059】さらに、図2の陰極線管40の寿命曲線
は、陰極線管40の動作中に徐々に放出されたガス分子
は、管内を移動し最終的にはゲッタ膜のBaに結合吸収
されて安定な状態となる。時間あたりの各部位からのガ
ス放出の量と、ゲッタ膜の吸着の量がバランスを保ち陰
極線管40内の高真空は維持されているが、0〜100
0時間の比較的短期間(使用初期に相当)での寿命試験
中は、反応型ゲッタ吸収よりもガス放出が盛んに行わ
れ、徐々にゲッタ膜にガスが吸着されて放出ガスが減少
していくと考えられる。
【0060】したがって、0〜1000時間の使用初期
における管内ガスの放出を押さえることで、寿命曲線の
劣化を抑制することができることがわかる。しかし、従
来の技術では、フリット炉を反応型ゲッタが通過するこ
とで、反応型ゲッタに吸着された余分なガス分子をバル
ブ4を封止する前に放出させることは考慮されておら
ず、全く実施されていなかった。
【0061】これは、ゲッタ膜のBaに一旦結合吸収さ
れたガス分子が、0〜1000時間の使用初期における
陰極線管40の動作中に徐々に放出され、酸化物陰極等
に悪影響を与えるというシステムが解明されていなかっ
たためである。本発明者は、フリット炉11で吸着され
たガス分子が排気炉12の温度ではあまり多くは放出さ
れないということを確認するために、実験を行った。
【0062】上記を検証するためには、従来の製造方法
で製造した陰極線管と本実施の形態の製造方法で製造し
た陰極線管の双方について、ゲッタフラッシュを実施し
た時の実際に真空度を測定して放出ガスが減少するとい
う効果を数値的に表すことが望ましいが、ゲッタフラッ
シュ時には、放出されるガスのみでなく反応型ゲッタ3
から放出される窒素やBaも電離真空計にカウントされ
てしまう点、および、ゲッタフラッシュ時には瞬間的に
電離真空計の計測範囲を超える圧力に上昇してしまう点
から、正確な真空度を測定することは困難であった。そ
こで、排気炉12中で反応型ゲッタ3を室温から320
℃まで昇温させた場合の放出ガスの総量と、同じ反応型
ゲッタ3を320℃から500℃まで昇温させた場合の
放出ガスの総量とを比較することとした。
【0063】図3は、排気炉12中で反応型ゲッタ3を
室温から320℃まで昇温させた場合の放出ガスの総量
を示す図である。320℃は、排気炉12中における反
応型ゲッタ3の最大温度であり、ファンネル2等からの
熱伝導や周囲の輻射熱により昇温された温度である。
【0064】この図3における室温から320℃までの
昇温により放出されるガス量は、陰極線管の製造時の排
気中における反応型ゲッタ3から放出されるガス量と同
様であると考えられる。この排気中に放出されるガスに
ついては、管外に排気されてしまうために後の寿命特性
への影響は少ないと考えられる。従来の製造方法では、
この図3のガスのみが、排出されていたことになる。
【0065】図4は、図3と同じサンプルを320℃か
ら500℃まで昇温させた場合の放出ガスの総量を示す
図である。ステップS8のゲッタフラッシュ時には、反
応型ゲッタ3が320℃以上に加熱されるため、図4に
示した量の放出ガスが陰極線管内に放出されると考えら
れる。
【0066】図4を図3と比較することにより、図4の
場合には、陰極に悪影響を与えるCH、CO、H
O、および、COが、図3の場合よりも大幅に増加
していることがわかる。つまり、フリット炉11で反応
型ゲッタ3に吸着された余分なガス分子は、排気炉の温
度ではあまり放出されず、バルブ4が封止された後のゲ
ッタフラッシュ時に多くが放出されることがわかる。そ
のため、ゲッタフラッシュにより多くのガスが放出され
ることから、Baが冷却時にガスを一旦吸着して管壁に
付着しても、使用時に徐々に放出されることになる。
【0067】言い換えれば、汚染された状態の反応型ゲ
ッタ3をゲッタフラッシュした場合、その際に高温とな
った反応型ゲッタ3から多くのガスが放出され、放出さ
れた余分なガスは、冷却時に管内の随所に吸着される
が、陰極線管が使用されることにより後で徐々に脱離し
て寿命特性に悪影響を与えることになる。
【0068】本実施の形態では、真空排気工程(ステッ
プS7)の途中にゲッタ加熱工程(ステップS7z)を
挿入したことにより、排気炉により反応型ゲッタ3が加
熱される温度よりも高い温度であり、かつ、反応型ゲッ
タ3が反応開始する温度よりも低い温度まで加熱して余
分なガスをゲッタフラッシュ前に放出させてしまうよう
にしたので、図3に示したガスだけでなく、図4に示し
たガスについてもバルブ4の封止前に管外に排出させる
ことができる。従って、本実施の形態の製造方法で製造
した陰極線管41は、図2の実線に示したように、0〜
1000時間の使用初期における寿命曲線の劣化を抑制
することができることがわかった。
【0069】つまり、本実施の形態では、図2の点線と
実線との比較からわかるように、1000時間後のIk
初期値比が約5%改善しており、その改善が2000時
間以降の寿命特性にも改善の影響を与えていることがわ
かる。これは、フリット炉通過時に反応型ゲッタ3が汚
染された余分なガスが真空排気工程中に除去されたこと
により、寿命試験中に陰極線管41の内壁面から放出さ
れる特に陰極に悪影響を与えるHOやCOがその分
減少したためであり、その効果が寿命試験結果として現
れたものである。
【0070】このように、本実施の形態の製造方法で製
造された反応型ゲッタを内部に設置した陰極線管41で
は、製造時のバルブ4を封止する前に、電極加熱S7b
とヒータフラッシュS7cだけでなく、ゲッタ加熱S7
zも実施するので、ゲッタフラッシュS8を実施するこ
とにより、反応型ゲッタ3から発生される炭化水素系等
のガスを減少させることができ、陰極を形成する物質の
一部が陽極や他の部位に被着し、その部分の耐圧特性を
低下させる等の悪影響をおよぼす事態を減少させること
に加え、0〜1000時間の使用初期における寿命曲線
の劣化を抑制することができ、2000時間以降の寿命
特性も改善することができる。
【0071】
【発明の効果】上記したように、請求項1〜8に記載し
た本発明の製造方法により製造された請求項9の陰極線
管は、製造時のバルブを封止する前に、電極加熱とヒー
タフラッシュだけでなく、ゲッタ加熱も実施するので、
ゲッタフラッシュを実施することにより反応型ゲッタか
ら発生される炭化水素系等のガスを減少させることがで
き、陰極を形成する物質の一部が陽極や他の部位に被着
し、その部分の耐圧特性を低下させる等の悪影響をおよ
ぼす事態を減少させることに加え、0〜1000時間の
使用初期における寿命曲線の劣化を抑制することがで
き、2000時間以降の寿命特性も改善することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 反応型ゲッタを備える陰極線管を製造する本
発明の実施の形態1の製造方法の一部を示す図である。
【図2】 少量の酸化スカンジウム粉末を(Ba/Sr
/Ca)O中に含む酸化物陰極を備える陰極線管を従来
の製造方法で製造した場合と、本実施の形態の方法で製
造した場合の各エミッション寿命特性を比較して示した
図である。
【図3】 排気炉中で反応型ゲッタを室温から320℃
まで昇温させた場合の放出ガスの総量を示す図である。
【図4】 図3と同じサンプルを320℃から500℃
まで昇温させた場合の放出ガスの総量を示す図である。
【図5】 反応型ゲッタを備える陰極線管を製造する従
来の製造方法の一部を示す図である。
【符号の説明】
1 フェースパネル、 2 ファンネル、 3 反応型
ゲッタ、 4 バルブ、 5 ガン(電子銃)、 6
チップ管、 7 電源、 8 真空ポンプ、9 ゲッタ
コイル、 10 アノードボタン、 11 フリット
炉、 12 排気炉、 13 高周波電磁波印加装置、
20 導電膜、 21 蛍光面、 31、32、33
接続線。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製の容器内に少なくともバリウム−
    アルミニウム合金粉末とニッケル粉末及び/又はニッケ
    ル合金粉末を含むゲッタ材を充填した反応型ゲッタを内
    部に設置し、内部の空気を真空排気して封止した後に、
    前記反応型ゲッタを加熱することにより前記ゲッタ材を
    反応させて前記バリウムを内部に放出させ、内部に残っ
    ていたガスを吸着して内部壁面に付着させる陰極線管の
    製造方法であって、 前記真空排気の工程中に、前記反応型ゲッタを、該排気
    工程中の雰囲気温度により反応型ゲッタが加熱される温
    度よりも高温であって、かつ、前記ゲッタ材が反応を開
    始する温度以下の温度で加熱することを特徴とする陰極
    線管の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記反応型ゲッタは、高周波電力をコイ
    ルに供給することにより誘導加熱されることを特徴とす
    る請求項1に記載の陰極線管の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記真空排気の工程中における前記反応
    型ゲッタの加熱は、管内圧力が1×10−1Pa以下で
    実施されることを特徴とする請求項1または2に記載の
    陰極線管の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記反応型ゲッタは、ゲッタ材として窒
    化鉄粉末をさらに含み、前記バリウムを内部に放出させ
    る前に窒素ガスを内部に放出させるガスドープ反応型ゲ
    ッタであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記
    載の陰極線管の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ゲッタ材が反応を開始しない温度
    は、ゲッタ材中の窒化鉄粉末が窒素ガスを放出開始する
    温度以下であることを特徴とする請求項4に記載の陰極
    線管の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記排気工程中の雰囲気温度により反応
    型ゲッタが加熱される温度は300℃であり、前記ゲッ
    タ材が反応を開始しない温度は500℃であることを特
    徴とする請求項1〜5の何れかに記載の陰極線管の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記真空排気工程中の前記反応型ゲッタ
    の加熱は、10秒以上実施されることを特徴とする請求
    項1〜6の何れかに記載の陰極線管の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記反応型ゲッタは、前記陰極線管内部
    に設置された状態で、陰極線管のフェースパネルとファ
    ンネルをフリットパウダによって封着するためのフリッ
    ト炉の内部で加熱された場合であっても、前記ゲッタ材
    に大気中のガスが結合あるいは吸収されにくいように加
    工されたフリッタブルゲッタであることを特徴とする請
    求項1〜7の何れかに記載の陰極線管の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記請求項1〜8の何れかに記載の陰極
    線管の製造方法により製造されることを特徴とする陰極
    線管。
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WO2006080091A1 (ja) * 2005-01-27 2006-08-03 Kabushiki Kaisha Toshiba ゲッタ材料およびそれを用いた蒸発型ゲッタ装置並びに電子管

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