JP2003168248A - 光情報媒体およびその試験方法 - Google Patents

光情報媒体およびその試験方法

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JP2003168248A JP2002273246A JP2002273246A JP2003168248A JP 2003168248 A JP2003168248 A JP 2003168248A JP 2002273246 A JP2002273246 A JP 2002273246A JP 2002273246 A JP2002273246 A JP 2002273246A JP 2003168248 A JP2003168248 A JP 2003168248A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光情報媒体のレーザービーム入射側表面に指
紋が付着した際に、記録/再生信号が受ける影響を定量
的に、かつ、再現性よく測定する方法を提供する。ま
た、光情報媒体表面に付着した指紋等の有機汚れの拭き
取り性が良好で、長期にわたり良好な記録/再生特性を
維持できる光情報媒体を提供する。 【解決手段】 光情報媒体の記録/再生ビーム入射側表
面に、人工的に調製された擬似指紋を付着させることに
より、記録/再生ビーム入射側表面の防汚性および/ま
たは指紋付着性を評価する。前記擬似指紋は、平均粒径
100μm以下の粒子を含むことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再生専用光ディス
ク、光記録ディスク等の光情報媒体、およびその試験方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光情報媒体においては、動画像情
報等の膨大な情報を収めるためにさらに記録密度を高め
ることが求められており、さらなる記録容量の高密度化
のため研究開発がさかんに行われている。その中のひと
つとして、例えばDVDに見られるように、記録/再生
波長を短くし、対物レンズの開口数(NA)を大きくし
て、記録/再生ビームの集光スポット径を小さくするこ
とが提案されている。実際に、CDと比較すると、記録
/再生波長λを780nmから650nmに、開口数(N
A)を0.45から0.60にすることにより、6〜8
倍の記録容量(4.7GB/面)を達成している。ま
た、最近、高品位の動画像を長時間記録するための方法
として、さらに記録/再生波長を400nm程度まで短く
し、開口数を0.85まで高めることによって、DVD
の4倍以上の記録容量を達成しようとする試みが行われ
ている。
【0003】しかしながら、このように記録密度を高め
ていくと、記録/再生ビームの集光スポット径が小さく
なるために、媒体のレーザービーム入射側表面に付着し
た塵埃や指紋等に対して従来以上に敏感になってしま
う。特に、指紋をはじめとする有機物を含む汚れについ
ては、汚れがレーザービーム入射側表面に付着した際の
影響が大きく、また、その除去もしにくいことから、こ
れまでに多くの対策が考えられている。
【0004】具体的には、例えば特開平10−1101
18号公報および特開平11−293159号公報で
は、ポリカーボネート等からなる光ディスク基板の表面
にハードコート剤の塗膜を形成する際に、ハードコート
剤中に非架橋型のフッ素系界面活性剤を練り込むことが
提案されている。前記公報によれば、紫外線硬化型樹脂
からなるハードコート剤中に、非架橋型のフッ素系界面
活性剤を添加しておき、これを透光性基体表面に塗布、
硬化することにより、指紋が付着しにくく、また、付着
しても除去しやすい光情報媒体が得られるとしている。
すなわち、レーザービーム入射側表面の表面自由エネル
ギーを低下させ、撥水・撥油性を高めることによって、
有機汚れ、特に指紋が付着した際の汚れの拭き取り性を
高められると結論づけている。
【0005】しかしながら、上記いずれの公報も、実際
に指紋の除去性が改善したかどうかは、定量的に確認さ
れていない。数種の液体の、処理表面に対する接触角を
測定し、それらが従来に比べ向上していることをもっ
て、有機汚れの除去性も向上していると推論しているに
過ぎない。
【0006】ところで、上記に掲げた、種々の撥水・撥
油表面処理が施された光ディスクにおいて、表面処理に
よる防汚性の改善効果を検証するための方法としては、
実際に指紋を付着させ、その拭き取り性を目視で確認す
る手法が用いられることが多い。あるいは、撥水性や撥
油性が高ければ汚染物質は除去されやすいとの仮定のも
とに、水や脂肪族炭化水素等の種々の液体の、前記処理
表面に対する接触角を測定することもしばしば行われ
る。しかしながら、後者の、接触角ないし表面自由エネ
ルギーによる評価は、いわば間接的な評価手法である。
したがって、撥水・撥油性が高ければ防汚性に優れると
いう上述の仮定が成立する、極めて限定された場合にの
み、前記防汚性の評価手法として妥当に用いうる。ま
た、この評価方法はあくまで相対的な評価結果しか与え
ない。すなわち、光ディスクの表面に適用した場合に、
実用上問題なく使用できるか否かの閾値を、表面自由エ
ネルギーないし接触角に対して定めることは実質的に不
可能である。一方、前者の、実際に人の手で指紋を付着
させる方法では、いうまでもなく定量性および再現性に
乏しく、評価方法として適当とはいえない。
【0007】なお、前記特開平10−110118号公
報および特開平11−293159号公報では、水とエ
タノールの混合液に少量の塩化ナトリウム、尿素、およ
び乳酸を溶解したものを人工指紋液とし、これを光ディ
スク表面に付着させた後の拭き取り性を目視で判定する
ことによる防汚性の評価も行っている。この人工指紋液
は、JIS K2246:1994「さび止め油」に記載されているも
のである。前記JIS規格は、鉄鋼等の金属材料の一時
的な防錆に用いられるさび止め油の性能試験方法を規定
したものであり、したがって、前記の人工指紋液も、金
属材料に対する腐食性を判定するために調製されるもの
である。このため、これ以外の目的に対してはまったく
汎用性がない。実際、水およびエタノールを主成分とす
る前記人工指紋液を、ポリカーボネート等の樹脂からな
る光ディスク基板表面に付着させても、ほとんどの場
合、人工指紋液は弾かれてしまい、基板表面には定着し
ない。したがって、表面処理を施していない樹脂基板表
面であっても、上記の撥水・撥油表面処理が施された光
ディスク表面であっても、前記人工指紋液に対しては同
等の拭き取り性を示すものと考えられる。すなわち、前
記JIS K2246:1994に規定される人工指紋液を、光ディス
ク表面の防汚性ないし指紋除去性の評価に用いることに
はほとんど意味がない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような実状に鑑み
本発明は創案されたものであって、その目的は、光情報
媒体のレーザービーム入射側表面に指紋が付着した際
に、記録/再生信号が受ける影響を定量的に、かつ、再
現性よく測定する方法を提供することにある。また、光
情報媒体表面に付着した指紋等の有機汚れの拭き取り性
が良好で、長期にわたり良好な記録/再生特性を維持で
きる光情報媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(24)の本発明により達成される。 (1) 光情報媒体の記録/再生ビーム入射側表面に、
人工的に調製された擬似指紋を付着させることにより、
記録/再生ビーム入射側表面の防汚性および/または指
紋付着性を評価する光情報媒体の試験方法。 (2) 前記擬似指紋の付着によって生じる記録特性お
よび/または再生特性の変化を測定することにより、記
録/再生ビーム入射側表面の防汚性および/または指紋
付着性を評価する上記(1)の光情報媒体の試験方法。 (3) 媒体の記録/再生ビーム入射側表面に、人工的
に調製された擬似指紋を付着させた後、前記疑似指紋の
除去操作を行うことにより、記録/再生ビーム入射側表
面の洗浄性および/または指紋除去性を評価する光情報
媒体の試験方法。 (4) 前記擬似指紋の除去操作によって生じる記録特
性および/または再生特性の変化を測定することによ
り、記録/再生ビーム入射側表面の洗浄性および/また
は指紋除去性を評価する上記(3)の光情報媒体の試験
方法。 (5) 前記の擬似指紋が、少なくとも1種の有機物を
含んでいる上記(1)〜(4)のいずれかの光情報媒体
の試験方法。 (6) 前記有機物に、高級脂肪酸およびその誘導体な
らびにテルペン類およびその誘導体から選択される少な
くとも1種の物質が含まれる上記(5)の光情報媒体の
試験方法。 (7) 前記擬似指紋が、平均粒径100μm以下の粒
子を含んでいる上記(5)または(6)の光情報媒体の
試験方法。 (8) 前記粒子に、無機物からなる粒子が含まれる上
記(7)の光情報媒体の試験方法。 (9) 記録/再生ビーム入射側表面における記録/再
生ビームの最小径が500μm以下となる光情報媒体に
適用される上記(1)〜(8)のいずれかの光情報媒体
の試験方法。 (10) 透光性基体と情報記録層とを有し、透光性基
体を通して記録/再生ビームが情報記録層に入射するよ
うに使用される光情報媒体であって、透光性基体表面
に、上記(1)〜(9)のいずれかに記載された前記擬
似指紋を付着させた後、付着した疑似指紋の除去操作を
行ったとき、除去操作後における透光性基体表面の動摩
擦係数が、疑似指紋付着前における動摩擦係数に対して
0.1以上増大しない光情報媒体。 (11) 透光性基体表面に、潤滑性を有する化合物が
存在するとき、前記化合物のうち透光性基体表面に固定
されていないものの量が20mg/m2以下である上記(1
0)の光情報媒体。 (12) 透光性基体表面に、潤滑性を有しかつ透光性
基体表面に固定されていない化合物を含有する層が存在
するとき、前記層の厚さが10nm以下である上記(1
0)または(11)の光情報媒体。 (13) 透光性基体と情報記録層とを有し、透光性基
体を通して記録/再生ビームが情報記録層に入射するよ
うに使用される光情報媒体であって、透光性基体表面
に、上記(1)〜(9)のいずれかに記載された前記擬
似指紋を付着させた後、付着した疑似指紋の除去操作を
行ったとき、除去操作後における透光性基体表面に対す
る水の接触角が、疑似指紋付着前における接触角に対し
て15%以上低下しない光情報媒体。 (14) 透光性基体表面に、撥水性を有する化合物が
存在するとき、前記化合物のうち透光性基体表面に固定
されていないものの量が20mg/m2以下である上記(1
3)の光情報媒体。 (15) 透光性基体表面に、撥水性を有しかつ透光性
基体表面に固定されていない化合物を含有する層が存在
するとき、前記層の厚さが10nm以下である上記(1
3)または(14)の光情報媒体。 (16) 前記疑似指紋付着前において、透光性基体表
面の動摩擦係数が0.4以下である上記(10)〜(1
5)のいずれかの光情報媒体。 (17) 前記疑似指紋付着前において、透光性基体表
面に対する水の接触角が20℃で75°以上である上記
(10)〜(16)のいずれかの光情報媒体。 (18) 前記疑似指紋付着前において、透光性基体表
面に対する水の接触角が20℃で90°以上である上記
(10)〜(16)のいずれかの光情報媒体。 (19) 透光性基体表面の少なくとも一部にSi−O
結合が存在する上記(10)〜(18)のいずれかの光
情報媒体。 (20) 透光性基体表面の少なくとも一部がフッ素原
子を含んでいる上記(10)〜(19)のいずれかの光
情報媒体。 (21) 透光性基体表面の少なくとも一部が、下記式
(1)で表される、撥水性または撥油性を示す基を含む
シランカップリング剤から構成されている上記(10)
〜(20)のいずれかの光情報媒体。 R1−Si(X)(Y)(Z) (1) [上記式(1)において、R1は撥水性、撥油性および
潤滑性を有する置換基であり、X、YおよびZはそれぞ
れ一価の基であり、X、YおよびZの少なくとも1つ
は、水酸基との重縮合によって化学結合を形成しうる置
換基である。] (22) 透光性基体表面がプラズマ処理によってフッ
素化されている上記(10)〜(21)のいずれかの光
情報媒体。 (23) 透光性基体の少なくとも一部がダイヤモンド
ライクカーボンから構成されている上記(10)〜(2
1)のいずれかの光情報媒体。 (24) 透光性基体表面における記録/再生ビームの
最小径が500μm以下となるシステムに用いられる上
記(10)〜(23)のいずれかの光情報媒体。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0011】光情報媒体の耐指紋性の試験方法 光情報媒体、特に、カートリッジ、シェル、キャディ等
の、媒体表面を手指の接触から保護する機構をもたない
光情報媒体の、指紋をはじめとする油脂成分の付着性お
よび/または除去性を評価するためには、光情報媒体表
面に、擬似的な指紋パターンを定量的に付着させ、その
拭取り性を所定の条件下で評価してやればよい。そのた
めには、実際の指紋に可能な限り近い性状を有する擬似
指紋成分を調製し、これを光情報媒体の透光性基体表面
に所定の方法によって定量的に付着させることが要求さ
れる。また、擬似指紋成分を構成する材料が容易に入手
でき、かつ、簡便に調製できることが好ましい。具体的
には、以下の指針にしたがって調製された擬似指紋成分
を用いることが好ましい。
【0012】この際、液体のみからなる均一成分系を用
いたのでは、実際の指紋の除去性を近似したことになら
ない。例えば、均一系として、皮脂構成成分のひとつで
あるトリオレインを用いた場合、トリオレインの25℃
における表面張力は34mN/mであるから、臨界表面張力
が18mN/m程度であるポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)表面であればトリオレインに濡れることはな
く、完全に弾く。しかしながら、実際の指紋は、たとえ
PTFE表面であっても、定着しないということはあり
得ない。これは、主として、指紋が液体物質のみからな
っておらず、不溶物および粘性物質を含む不均一系から
なっていることによる。したがって、適当な不溶成分
を、実際の指紋に含有される液状成分および/またはこ
れに類似する液体からなる分散媒に添加した不均一系を
構成してやれば、本発明の目的を満足する擬似指紋成分
を得ることができる。
【0013】ここで、臨界表面張力について説明する。
撥水性および撥油性は、その物質の表面自由エネルギー
の目安である臨界表面張力(γc/mNm-1)によって一義
的に表すことができる。臨界表面張力は接触角の実測値
から求めることができる。具体的には、特定の物質から
なる平滑表面における接触角(θ/rad)を、表面張力
既知の数種の飽和炭化水素液体(表面張力:γl/mN
m-1)について測定し、cosθとγlとのプロットにおい
てcosθ=1に外挿した値が前記特定の物質の臨界表面張
力γcである。ある物質が液体を弾くためには、その物
質の臨界表面張力γcが液体の表面張力γlを下回ってい
る必要がある。例えば、表面組成がメチレン鎖(-CH2-C
H2-)からなっている物質のγcは31mNm-1であり、し
たがって、その物質は、温度20℃における表面張力γ
lが73mNm-1である水は弾くが、表面張力γlが28mNm
-1であるn-ヘキサデカンに対しては完全に濡れ、接触角
は0度になる。
【0014】指紋に含まれる固体成分の大半は、ケラチ
ンと呼ばれる蛋白質である。したがって、最も単純に
は、ケラチンの微粉末を適当な分散媒に添加、混合する
ことにより、本発明の目的に合致した擬似指紋成分を調
製できる。実際、水、オレイン酸、スクアレン、トリオ
レイン等の分散媒にケラチン微粉末を適当な比率で混合
したものは、本発明の擬似指紋成分として有効に用いう
る。しかしながら、一般的に入手可能なケラチンは著し
く高価であり、容易に大量に入手できるものではない。
さらに、市販されているケラチンは、実際の指紋に含ま
れるケラチンと粒度分布が異なるため、必要に応じ前も
って粒度分布を揃えておく必要がある。したがって、市
販のケラチンを使う方法は、簡便さの点でも測定精度お
よびその再現性の点でも必ずしも好ましい方法とはいえ
ない。
【0015】このような問題点を解消するため、ケラチ
ンの替わりに用いることができる粒子状物質を本発明者
らが探索した結果、人間の汗や皮脂を構成する液体およ
び/またはそれに近い性状を有する液体、例えば高級脂
肪酸、そのエステル誘導体、またはこれらの水溶液な
ど、に対して良好な濡れ性を有し、かつ、実際の指紋成
分に含まれるケラチンに近い粒子サイズを有する微粒子
であれば、擬似指紋成分に添加する粒子状物質として好
適であることを見いだした。
【0016】疑似指紋成分に用いる粒子状物質として
は、例えば、無機成分を含む、平均粒子径(または中位
径)100μm以下、より好ましくは50μm以下の粒子
状物質が好ましい。無機成分を含む平均粒径100μm
以下の粒子状物質としては、例えば、JIS Z8901試験用
粉体1および2、ISO試験粉体12103-1、あるいは(社)
日本粉体工業技術協会(APPIE)標準粉体などが挙げら
れる。上記いずれの試験用粉体も、粒径が揃っており、
比較的安価に入手できることから、本発明の目的を達成
するために好適である。また、上記各試験用粉体そのも
のに限らず、上記各試験用粉体が含有する無機粒子の少
なくとも1種、例えばSiO2、Fe23、Al23
の各種酸化物粒子などから少なくとも1種を選択して用
いてもよい。なお、上記粒子状物質の平均粒子径(また
は中位径)は、好ましくは0.05μm以上、より好ま
しくは0.5μm以上である。上記粒子状物質が大きす
ぎても小さすぎても、実際の指紋に含有されるケラチン
の代替品としての十分な機能を発揮できにくくなる。
【0017】無機成分を含む粒子状物質は、疑似指紋の
構成成分としてケラチン粒子と同等の効果を示し、か
つ、ケラチン粒子より安価である。そのため、無機成分
を含む粒子状物質は、疑似指紋成分が含有する粒子状物
質の100質量%を占めることが好ましい。ただし、必
要に応じ、ケラチン粒子など、有機成分を含有する粒子
状物質を併用してもよい。ただし、コスト低減および性
能の安定化のためには、無機成分を含む粒子状物質は、
全粒子状物質の好ましくは50質量%以上、より好まし
くは80質量%以上を占めることが望ましい。
【0018】一方、上記の粒子状物質を分散させるため
の分散媒としては、人間の汗や皮脂を構成する液体およ
び/またはそれに近い性状を有する液体であれば、特に
限定されることなく用いることができる。具体的には、
高級脂肪酸(例えばオレイン酸)およびそのエステル誘
導体(例えばジグリセリドおよびトリグリセリド(例え
ばトリオレイン))ならびにテルペン類(例えばスクア
レン)から選択される液体、または、これらの少なくと
も1種を含む水溶液、または、これらの少なくとも2種
を含む混合液が好ましい。また、これらの液体に類似の
性状を有している液体であれば、上記に限定されること
なく用いることができる。例えば、上記の液体に、エタ
ノールや流動パラフィン等を適宜添加しても差し支えな
い。
【0019】また、これら常温で液体の成分に、ワック
ス、すなわち高級脂肪酸と一価アルコールとのエステル
を添加し、増粘しておくことがより好ましい。ワックス
としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナウバ
ワックス、オウリキュリーワックス、ライスワックス、
砂糖ロウ、木ロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、シナ昆虫ロウ、セ
ラックロウ、モンタンロウ等の天然ワックスのほか、ス
テアリン酸コレステリル、ミリスチン酸ミリスチル、パ
ルミチン酸セチル等の合成ワックスを用いることができ
る。上記の各種ワックスの添加比率は、評価対象の光情
報媒体の記録/再生光学系の特性や、評価の目的等に応
じて適宜定めればよい。
【0020】なお、本明細書において人間の汗や皮脂を
構成する液体に近い性状を有する液体とは、表面張力、
沸点および粘度が、人間の汗や皮脂を構成する液体に近
い液体を意味する。具体的には、20〜30℃における
表面張力が好ましくは20〜50mN/m、より好ましくは
20〜40mN/mであり、沸点が好ましくは80℃以上、
より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150
℃以上、最も好ましくは200℃以上であり、20〜3
0℃における粘度が好ましくは500cP以下、より好ま
しくは0.5〜300cP、さらに好ましくは5〜250
cPであることが望ましい。
【0021】また、疑似指紋成分に用いる前記粒子状物
質は、20〜30℃における臨界表面張力が、疑似指紋
成分に用いる分散媒の20〜30℃における表面張力よ
りも大きいことが好ましく、かつ、前記臨界表面張力が
好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上
であることが望ましい。無機成分を含む粒子状物質とし
て例示した前記各粒子状物質はいずれも、臨界表面張力
に関しこのような望ましい性質を備える。
【0022】粒子状物質と分散媒との適当な混合比率
は、後述の、擬似指紋成分を媒体表面に付着させる方法
などに強く依存するため、一概に規定することはできな
い。しかしながら、一般的には、質量比で、分散媒1に
対し、粒子状物質を0.1〜5.0添加することが好ま
しく、0.1〜3.0添加することがより好ましい。分
散媒に対する粒子状物質の混合比が低すぎても高すぎて
も、疑似指紋成分として有効に機能しにくくなる。ただ
し、ここでいう分散媒は、擬似指紋成分の転写性等を向
上させるために添加する希釈剤とは異なる。たとえば、
トリオレイン、スクアレン等の分散媒と粒子状物質との
混合物に対し、擬似指紋転写性の向上などのためにイソ
プロピルアルコール、メチルエチルケトン等の希釈剤を
添加した場合、これらの希釈剤は本明細書においては分
散媒と呼ばない。すなわち、試験片に転写したのちに、
擬似指紋成分として残留する成分のみを分散媒と呼び、
最終的に留去される希釈剤とは区別する。
【0023】擬似指紋成分を媒体表面に付着させるに際
しては、エラストマーからなる擬似指紋転写材を用いる
ことが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、ブタジ
エンゴム、ウレタンゴム等からなる擬似指紋転写材を作
製し、これを用いることが好ましい。前記擬似指紋転写
材は、実際に人の指から型をとり、正確に指紋パターン
を模した形状としてもよいが、より簡便には、JIS K224
6-1994で規定される人工指紋液プリント用のゴム栓を用
いることが好ましい。すなわち、No.10のゴム栓の小
さい方の円面(直径約26mm)を、JIS R6251またはJIS
R6252に規定するAA240の研磨材またはそれと同等性能
を有する研磨剤でこすって粗面化したものを擬似指紋転
写材として用いることができる。ただし、実質的に上記
と同等の指紋転写性が得られるものであれば、特に前掲
の材料に限定されず好適に用いることができる。また、
現実の指紋に近い寸法とするためには上述のゴム栓より
も径の小さいもの、具体的には直径8〜25mmのゴム栓
を用いることが好ましく、直径8〜20mmのゴム栓を用
いることがより好ましい。
【0024】このような擬似指紋転写材を用いて、前記
の擬似指紋成分を光ディスク表面に擬似指紋として転写
させる方法は、評価目的に応じて適宜定めることができ
る。例えば、擬似指紋パターン転写用の原版をあらかじ
め作製しておき、この原版から、評価対象である光情報
媒体表面に、前記ゴム栓を用いて擬似指紋を転写するこ
とができる。具体的には、上記の擬似指紋成分を、ガラ
スや樹脂からなる剛性基板上に、均一に塗布する。この
際の塗布方法としては、スピンコート法やディップコー
ト法などの種々の塗布方法の中から適切な手法を用いれ
ばよい。擬似指紋成分を基板上に塗布する際には、良好
な塗布性を得るために、イソプロピルアルコールやメチ
ルエチルケトンなどの適当な有機溶媒で希釈しても差し
支えない。これらの希釈剤は、塗布ののちに、風乾もし
くは加熱乾燥などによって留去すればよい。このように
して作製された、擬似指紋成分が均一に塗布された基板
を、本明細書においては、擬似指紋転写用の原版と呼
ぶ。
【0025】この原版の、擬似指紋成分が塗布された表
面に、前記の擬似指紋転写材を一定荷重で押し当て、擬
似指紋成分を転写材に移行させる。その後、擬似指紋成
分が移行した転写材を、試験対象である光情報媒体の表
面に一定荷重で押し当て、擬似指紋パターンを媒体表面
に転写する。
【0026】以上に述べた方法を用いることにより、媒
体のレーザービーム入射側表面に定量的に、かつ現実の
指紋付着を極めて良好に模した形で人工的な指紋を付着
させることができる。したがって、指紋の付着しにくさ
や拭取りやすさ等を再現性よく定量化することが可能と
なる。
【0027】指紋除去性の改善された光情報媒体 一方、上記の、擬似指紋成分による指紋除去性試験方法
を用いたときの指紋除去性が良好な光情報媒体を実現す
るために、本発明者らが種々検討を行ったところ、以下
に詳述する特徴を有する光情報媒体が望ましいことが明
らかになった。
【0028】本発明の光情報媒体の構成例を、図1に示
す。この光情報媒体は記録媒体であり、比較的剛性の高
い支持基体20上に、情報記録層としての記録層4を有
し、この記録層4上に、比較的薄い、好ましくは厚さ3
0〜300μmの透光性基体2を有する。
【0029】指紋付着による記録/再生特性への影響
は、媒体のレーザービーム入射側表面におけるレーザー
ビームの直径(ビーム断面が楕円の場合は最小径)に依
存し、この直径が小さいと、エラー訂正が不可能な連続
エラーが生じるなど、影響が大きくなる。本発明者らの
研究によれば、媒体の入射側表面におけるレーザービー
ムの直径が500μm以下、特に300μm以下である
と、媒体の取り扱いの際に指紋が付着したときの記録/
再生特性への悪影響が顕著となることがわかった。な
お、媒体のレーザービーム入射側表面におけるレーザー
ビームの直径は、図1における透光性基体の厚さをtと
し、レーザービームの波長における透光性基体の屈折率
をnとし、記録/再生光学系の対物レンズの開口数をN
Aとしたとき、 2t・tan{sin-1(NA/n)} で表される。
【0030】本発明は、記録層の種類によらず適用でき
る。すなわち、例えば、相変化型記録媒体であっても、
ピット形成タイプの記録媒体であっても、光磁気記録媒
体であっても適用できる。なお、通常は、記録層の少な
くとも一方の側に、記録層の保護や光学的効果を目的と
して誘電体層や反射層が設けられるが、図1では図示を
省略してある。また、本発明は、図示するような記録可
能タイプに限らず、再生専用タイプにも適用可能であ
る。その場合、支持基体20と一体的にピット列が形成
され、そのピット列を被覆する反射層(金属層や誘電体
多層膜)が、情報記録層を構成することになる。
【0031】また、本発明は、図2に示す構造の光情報
媒体にも適用できる。図2に示す媒体は、透光性基体2
上に、記録層4および保護層6をこの順で有する。この
構造では、剛性の比較的高い透光性基体2を用いてい
る。なお、それぞれ図1または図2に示す構造をもつ2
つの媒体を、透光性基体2が外側となるように貼りあわ
せて、両面記録タイプの媒体とすることもできる。
【0032】なお、図1および図2のいずれにおいて
も、透光性基体2表面が媒体のレーザービーム入射側表
面を構成し、記録または再生のためのレーザービームは
透光性基体2を通して記録層4に入射する。
【0033】所望の性能を達成するために、透光性基体
2を、2層以上の異なる層からなる態様としてもよい。
図1および図2には、ひとつの例として、透光性基体2
が、内部層2iと表面層2sとの2層からなる構成につ
いて図示してある。
【0034】本発明の媒体では、透光性基体2のレーザ
ービーム入射側表面に対する水の接触角が、20℃にお
いて75°以上であることが好ましく、90°以上であ
ることがより好ましい。前記接触角の上限は特にない
が、一般的には150°程度である。また、接触角を1
00°以上に高めても、指紋の拭き取り性が顕著に向上
することはない。
【0035】ところで、90°以上、さらには100°
前後の接触角を達成する手段としては、例えば、前記し
た特開平10−110118号公報および特開平11−
293159号公報で示されているように、ハードコー
ト剤中に非架橋型のフッ素系界面活性剤を練り込んだ
り、特開2000−082236号公報で開示されてい
るようなパーフルオロポリエーテルをはじめとするフッ
素系ポリマーを透光性基体表面に塗布したりする手法が
挙げられる。また、フッ素系化合物に限定されず、例え
ばシリコーン系ポリマー等を用いる方法も知られてい
る。
【0036】しかしながら、ハードコート中に、撥水・
撥油性に優れるフッ素系またはシリコーン系の界面活性
剤を練り込む方法の場合、ハードコート表面に染み出す
界面活性剤によって撥水・撥油性を発現させるので、染
み出している界面活性剤が、指紋を拭き取る際にハード
コート表面から除去されてしまうため、指紋の拭き取り
によってハードコート表面の撥水性が大きく劣化してし
まう。また、染み出した界面活性剤はハードコート表面
に固定されていないために流動性を有しており、そのた
め、ハードコート表面に付着した指紋成分と前記界面活
性剤とが混和する。そして、指紋の拭き取り作業によっ
て、前記界面活性剤と指紋成分との混合がさらに助長さ
れる。したがって、拭き取り作業による指紋の除去がか
えって困難になってしまう。同様の問題は、フッ素系ポ
リマーやシリコーン系ポリマーを透光性基体表面に塗布
する方法においても生じる。
【0037】なお、前記特開平11−293159号公
報では、ハードコートに含有させる界面活性剤として、
容易に拭き取られてしまう非架橋型フッ素系界面活性剤
と、、拭き取り耐久性の良好な架橋型フッ素系界面活性
剤とを併用している。ただし、同公報記載の発明は、同
公報の段落0021〜0023に記載されているよう
に、非架橋型フッ素系界面活性剤が拭き取られた後の防
汚性を架橋型フッ素系界面活性剤が補うというものであ
る。すなわち、同公報記載の発明は、指紋の拭き取り作
業によって界面活性剤と指紋成分との混合が助長される
ことを解決するものではない。
【0038】このような致命的な問題点が従来指摘され
てこなかったのは、先に述べたように、実際の指紋の付
着を良好に模したものであって、かつ、定量的な指紋除
去性の試験方法が存在しなかったためである。
【0039】したがって、本発明の光情報媒体において
は、透光性基体表面に存在する流動性成分と、付着した
指紋成分との混合が生じないよう、特に注意しなければ
ならない。透光性基体表面に、指紋成分と混和しうる流
動性成分が存在するかどうかは、以下の方法によって容
易に確認可能である。
【0040】潤滑性をもつ化合物を前記流動性成分が含
有する場合、ウェスにより透光性基体表面を拭き取る操
作を行い、拭き取り操作の前後における動摩擦係数の変
化を調べることにより、前記流動性成分の存在を確認す
ることができる。具体的には、疑似指紋成分をウェス
(例えば旭化成工業(株)製ベンコットリントフリーC
T−8など)に含浸させ、透光性基体表面を1.0〜1
0N/cm2の荷重で6〜400回、好ましくは10〜20
0回擦る。その後、メタノール、エタノール、メチルエ
チルケトン、アセトン等の揮発性の有機溶剤を用いて、
前記透光性基体表面に残った疑似指紋成分を除去する操
作を行ったうえで、前記表面の動摩擦係数を測定する。
揮発性の有機溶剤で疑似指紋成分を除去するかわりに、
前記光情報媒体を加熱することにより、疑似指紋成分の
留去操作を行ってもよい。
【0041】疑似指紋成分のウェスによる拭き取りを行
った後の動摩擦係数が、初期(拭き取り前)の動摩擦係
数に比べて0.1以上増大していれば、透光性基体表面
に、無視できない量の流動性成分が存在するものとみな
してよい。逆に、動摩擦係数の増大量が0.1未満であ
れば、仮に微量の流動性成分が存在していたとしても、
指紋除去性にほとんど悪影響は及ぼさない。なお、動摩
擦係数は、後述する方法により測定することが好まし
い。
【0042】また、撥水性を有する化合物を前記流動性
成分が含有する場合、前記拭き取り操作の前後における
水の接触角の変化を調べることにより、前記流動性成分
の存在を確認することができる。この場合、拭き取り操
作後の接触角が初期(拭き取り前)の接触角に対し15
%以上低下していれば、透光性基体表面に、無視できな
い量の流動性成分が存在するものとみなしてよい。逆
に、接触角の低下量が15%未満であれば、仮に微量の
流動性成分が存在していたとしても、指紋除去性にほと
んど悪影響は及ぼさない。
【0043】なお、動摩擦係数変化の測定において動摩
擦係数の増大量が0.1未満となるか、接触角変化の測
定において接触角低下量が15%未満となるためには、
前記流動性成分の量、すなわち、透光性基体表面に化学
結合などによって固定されていない化合物の量(透光性
基体の単位面積あたりの存在量)を、好ましくは20mg
/m2以下、より好ましくは10mg/m2以下、さらに好まし
くは5mg/m2以下とすることが望ましい。また、透光性
基体表面における前記流動性成分からなる層の厚さを、
好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下、さら
に好ましくは2nm以下とすることが望ましい。
【0044】さらに、本発明の光情報媒体では、指紋が
付着した際の拭き取り作業を繰り返しても、透光性基体
表面に擦過傷などが発生しないよう、表面の耐摩耗性お
よび耐擦傷性を高めておくことが望ましい。具体的に
は、JIS K5600-5-4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠し
た方法で測定された鉛筆硬度が、B以上であることが好
ましく、HB以上であることがより好ましい。
【0045】また、ISO 9352:1995に基づく、摩耗輪に
よる摩耗試験方法において、以下の条件で測定されたΔ
Haze(曇価/%)が、15%以下であることが好ま
しく、7%以下であることがより好ましい。すなわち、
摩耗輪としてCS−10Fを用い、荷重4.9Nにて1
00回転摩耗させた後の曇価を、ヘーズメーターによっ
て測定する。この際、試験用のサンプルとしては、反射
膜や相変化膜などの情報記録層が設けられていない透光
性基体を用いる。また、図1に示すような、樹脂層や樹
脂シートからなる剛性の低い透光性基体2の場合、支持
基体20上に、情報記録層を形成せずに透光性基体2を
直接形成したものを試験用サンプルとして用いる。な
お、実際の媒体において支持基体20が透明でない場合
は、実際の支持基体20に替えて、ポリカーボネートや
メタクリル酸メチル、アモルファスポリオレフィン等の
透明樹脂からなる支持基体を用いる。
【0046】上記したような、水の接触角が75°以上
であり、かつ、疑似指紋成分を付着させて除去操作を行
った後に、水の接触角の低下および動摩擦係数の増大が
初期に比してそれぞれ15%未満および0.1未満にと
どまっており、かつ、鉛筆硬度がB以上、かつ、前記摩
耗試験後の曇価が15%以下である透光性基体を用いる
ことにより、付着した指紋の除去性に優れる光情報媒体
を実現することができる。
【0047】ただし、このように指紋の除去性に優れる
光情報媒体であっても、ユーザーが実際に汚れの拭取り
作業を行った際に、拭取りが容易に感じられない場合が
ある。また、実際には指紋の除去性が優れていない光情
報媒体であっても、汚れを容易に拭取れるように感じら
れるケースがある。このような、実際の指紋除去性とユ
ーザーの拭き取り容易感との乖離は、ほとんどの場合、
透光性基体表面の動摩擦係数の大小に依存することがわ
かった。すなわち、透光性基体表面の動摩擦係数が低け
れば、実際の指紋除去性が劣っていても、拭取りが容易
に感ぜられる。逆に、実際の指紋除去性に優れていて
も、表面の動摩擦係数が高ければ、拭取りの際に、例え
ばウェスの引っ掛かりを感じるなどの理由から、拭取り
が困難であるかのように感じられてしまうことになる。
【0048】原則としては、感覚的な指紋拭き取り性よ
りも実際の指紋拭取り性がより重視されるが、実際にユ
ーザーの手で拭き取り作業が行われる以上、このよう
な、人間が感じる感覚的な指紋拭取り性と、定量的に測
定された実際の指紋拭取り性との間の乖離はないことが
望ましい。
【0049】動摩擦係数の大小と、上記の感覚的な指紋
除去性との相関について、本発明者らが検討を重ねた結
果、透光性基体表面の動摩擦係数が0.4以下、好まし
くは0.3以下であれば、表面硬度、撥水・撥油性等
の、他の特性の優劣にかかわらず、指紋拭取り性が良好
であると認識できることが判明した。
【0050】なお、動摩擦係数は、ISO 8295:1995に規
定された試験方法にしたがって測定することが好まし
い。ただし、測定値に著しい相違が生じないのであれ
ば、他の試験方法を利用してもよい。ただし、いずれの
試験方法を利用する場合でも、滑り片には、透光性基体
表面との接触面積が4.0cm2以下の矩形または円形の
ものを用いることが好ましい。また、上記滑り片は、透
光性基体表面との接触面積が実質的にゼロ、すなわち点
接触であっても差し支えない。滑り片を点接触とする場
合は、前記滑り片の曲率半径を0.1〜10mmの範囲と
することが好ましい。なお、滑り片が試験片に対して加
える荷重は、その接触面積によらず、1.0×10-3
9.8×10-1Nの範囲内の一定値となるように制御す
る。上記ISO 8295:1995に規定された試験方法では、同
一材料からなる試験片2つを1組とし、これらの試験片
同士を接触させて試験を行うことが通常であるが、これ
とほぼ同等の結果が得られることが明らかである場合に
は、滑り片を載せる側の試験片を、動摩擦係数を測定し
たい材料とは異なるものに変更しても差し支えない。例
えば、滑り片を載せる側の試験片として、平滑なガラス
板またはプラスチック材料を用いることができる。プラ
スチック材料の具体例としては、ナイロン、ポリプロピ
レン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアリレート、ポ
リアセタール等の各種樹脂が挙げられる。また、滑り片
と、滑り片を載せる側の試験片とを別個に用意するので
はなく、滑り片自体が試験片の一方を兼ねていても差し
支えない。
【0051】上記に詳述した全ての要請を満たす光情報
媒体は、例えば以下の方法によって実現できる。すなわ
ち、透光性基体2における内部層2iを熱可塑性樹脂や
放射線硬化型樹脂からなる層とし、これに接して設けら
れる表面層2sを、内部層2iよりも耐摩耗性、耐擦傷
性に優れる透明材料で構成し、さらに、表面層2sの表
面に対し、撥水性、撥油性および潤滑性を付与する処理
を施す。本明細書において放射線とは、紫外線等の電磁
波および電子線等の粒子線の両者を含む概念である。
【0052】なお、透光性基体2の全体を耐摩耗性、耐
擦傷性に優れる透明材料で構成してもよいが、硬度の高
い樹脂からなる透光性基体は大きな反りが発生しやすい
ため、上述したように内部層2iと表面層2sとに分離
する構成とすることが好ましい。
【0053】前記内部層2iとしては、例えば、ポリカ
ーボネート、ポリメタクリル酸メチル、アモルファスポ
リオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる基板ないしシー
ト、または、アクリル系紫外線硬化型樹脂をはじめとす
る放射線硬化型樹脂からなる塗膜が好ましい。
【0054】一方、表面層2sの材料としては、例え
ば、アクリル系紫外線硬化型樹脂やエポキシ系紫外線硬
化型樹脂等の放射線硬化型樹脂を用いることができる。
ただし、硬化後の樹脂の引張り弾性率ないしヤング率
が、内部層2i材料として用いる樹脂よりも高くなるよ
うに材料を選定する必要がある。なお、透光性基体表面
の耐摩耗性、耐擦傷性を十分なものとするためには、前
記樹脂材料中に、あらかじめコロイダルシリカ等の、無
機物微粒子を添加しておき、硬化後の被膜中に前記無機
物微粒子が分散された状態とすることがより好ましい。
具体的には、放射線硬化型樹脂マトリックス中に、シリ
カ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、窒化チタン、窒
化アルミニウム、シリコンカーバイド、カルシウムカー
バイド等の無機物微粒子を、硬化後の膜中に占める割合
が、質量百分率で表して5〜80%、より好ましくは1
0〜60%となるように添加し、必要に応じて非反応性
の有機溶剤で希釈した上で、前記内部層2i表面に塗布
して硬化させる。添加する無機物微粒子の平均粒径は、
100nm以下であることが好ましく、50nm以下である
ことがより好ましい。無機物微粒子が分散された放射線
硬化型樹脂としては、市販品として例えばデソライトZ
7503(JSR(株)製)がある。
【0055】また、表面層2sの材料として、熱硬化し
た有機組成物も好ましく用いることができる。熱硬化後
には、一部の有機基が残存していてもよく、ほぼ完全な
無機化合物となっていてもよい。このような組成物とし
ては、Si−O結合を有するものが好ましい。具体的に
は、テトラアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物を含
む溶液から、ゾル−ゲル法によって形成される硬化被膜
や、ポリシラザン溶液から加水分解反応を経て形成され
るSiO2を主成分とする薄膜などを用いることができ
る。ゾル−ゲル法によってSiO2を含む硬化被膜を形
成する材料としては、市販品として、TS−56
((株)トクヤマ製)などがあり、また、ポリシラザン
からSiO2を主成分とする硬化被膜を形成する材料と
しては、市販品として、N−L110(東燃ゼネラル石
油(株)製)などがある。
【0056】また、スパッタ法やイオンプレーティング
法などの真空成膜法によって形成される無機および/ま
たは有機薄膜も、好ましく適用することができる。
【0057】放射線硬化型樹脂によって構成される表面
層2sの厚さは、0.2〜10μmとすることが好まし
く、0.5〜5.0μmとすることがより好ましい。一
方、ゾル−ゲル法をはじめとする熱硬化過程や、スパッ
タ法をはじめとする真空成膜法によって形成される無機
系の薄膜を、表面層2sの材料として用いる場合、その
膜厚は、10〜1000nmの範囲とすることが好まし
く、30〜500nmの範囲とすることがより好ましい。
表面層2sが薄すぎると、表面層2sを設けることによ
る効果が十分に実現しない。一方、表面層2sが厚すぎ
ると、媒体に反りが生じやすくなる。
【0058】なお、放射線硬化型樹脂からなる樹脂層上
に無機系の薄膜を積層して、表面層2sを形成してもよ
い。
【0059】一方、透光性基体2全体の厚さは、媒体に
適用される記録/再生波長および記録/再生光学系の要
請によって決まるため、表面層2sと内部層2iとの合
計厚さが前記要請を満たすように、内部層2iの厚さを
決定すればよい。
【0060】表面層2s構成材料は、非架橋型等の非反
応性の潤滑剤、撥水・撥油剤、帯電防止剤、レベリング
剤、可塑剤等を含有していても差し支えないが、上述の
疑似指紋成分による摺動試験前後での接触角の変化率が
±10%未満の範囲内に収まるよう、その添加量を適宜
調整することが要求される。その適切な添加量は、添加
剤および表面層2s材料の種類、表面層2sの形成条件
等に強く依存するため、一概に決定することはできない
が、一般的には、硬化後の膜中に占める前記の各種添加
剤の割合を、質量百分率で表して3%以下とすることが
好ましく、1%以下とすることがより好ましい。
【0061】媒体のレーザービーム入射側表面に対し、
撥水・撥油・潤滑性を付与する方法としては、例えば、
表面層2sを成膜した後に、撥水・撥油・潤滑性を表面
層2sの表面に付与する方法が好ましい。表面層2sの
表面に撥水・撥油・潤滑性を付与するためには、前記表
面にフッ素原子を存在させることが好ましい。
【0062】具体的には、下記式(1)で表されるシラ
ンカップリング剤を用いることが好ましい。
【0063】R1−Si(X)(Y)(Z) (1)
【0064】上記式(1)において、R1は撥水・撥油
・潤滑性を有する置換基であり、X、YおよびZはそれ
ぞれ一価基であり、X、YおよびZの少なくとも1つ
は、シランカップリング剤層が形成される下地(表面層
2s)表面に存在する水酸基との間で重縮合反応を起こ
して化学結合を形成しうる置換基である。
【0065】R1で表される撥水・撥油・潤滑性基を有
する置換基は、この置換基を導入することによって、そ
の化合物に撥水・撥油・潤滑性を発現させるものを指
す。撥水性および撥油性は、その物質の表面自由エネル
ギーの目安である前記臨界表面張力(γc/mNm-1)によ
って一義的に表すことができる。
【0066】R1で表される撥水・撥油・潤滑性基とし
ては、フッ素化炭化水素基を有する基が好ましく、フッ
素化アルキル基、フッ素化アルキレンオキシ基を含むフ
ッ素化アルキル基などが挙げられる。これらの総炭素数
は1〜5000、特に1〜1000が好ましい。また、
直鎖状であっても分岐を有するものであってもよいが、
直鎖状が好ましい。
【0067】このようなフッ素化炭化水素基の具体例と
しては、下記の式(2)、(3)で示されるフッ素化ポ
リオレフィンセグメントや、式(4)、(5)で表され
るフッ素化ポリエーテルセグメントを挙げることができ
る。
【0068】 CF3(CF2xCH2CH2− (2) (CF3)2CF(CF2xCH2CH2− (3) CF3〔OCF(CF3)CF2x(OCF2)y− (4) CF3(OC24x(OCF2)y− (5) 式(2)〜(5)中のx、yは正の整数であり、これら
はいずれも0〜200の範囲にあることが好ましい。
【0069】これらは優れた撥水・撥油・潤滑性を有す
るが、特に炭素鎖としては、長く、分岐構造をもたない
直鎖状のものの方がより良好な撥水・撥油・潤滑性を示
す。
【0070】一方、前記シランカップリング剤中の反応
性基、すなわち式(1)中のSi(X)(Y)(Z)におけ
るX、Y、Zは、水酸基との重縮合によって化学結合を
形成しうる置換基、特にシラノール基が有する水酸基と
の重縮合によってSi−O−Siを形成しうる置換基で
あることが好ましい。このような置換基としては、例え
ば、ハロゲン、−OH(ヒドロキシ)、−OR2(アル
コキシ)、−OC(O)CH3(アセトキシ)、−NH2
(アミノ)、−N=C=O(イソシアン酸)等が好まし
く選択できる。なお、R2はアルキル基である。ハロゲ
ンとしては、例えばClおよびBrが好ましい。また、
−OR2中のアルキル基R2の総炭素数は1〜5であり、
直鎖状であっても分岐を有するものであってもよい。ま
た、化学吸着反応を阻害しない置換基は有していてもか
まわないが、例えばハロゲンはこの理由から好ましくな
い。−OR2の具体例としては、メトキシ、エトキシ、
プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキ
シ、t−ブトキシ等が挙げられる。
【0071】X、Y、Zは同一であっても各々異なって
いてもよく、異なる場合は、例えばハロゲン同士あるい
はアルコキシ同士で異なるものであってもよいし、ハロ
ゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アセトキシ、アミノお
よびイソシアン酸の2種または3種が混在する形であっ
てもよい。また、X、Y、Zの全てが反応性の置換基で
ある必要はなく、それらの少なくとも1つが、例えば上
述のハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、アセトキシ、
アミノまたはイソシアン酸の加水分解基であればよい
が、強固なシロキサン結合ネットワークを形成させるた
めには、X、Y、Zの全てが前述の反応性基であること
が好ましい。X、Y、Zが前述の反応性基でない場合の
一価の基としては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル
基などが挙げられる。
【0072】このようなシランカップリング剤として
は、例えばDSX(ダイキン工業(株)製)の商品名で市
販されているものがある。
【0073】シランカップリング剤層の形成方法は特に
限定されず、例えばスピンコート法、ディップコート
法、スプレーコート法などの通常の塗布法を用いること
ができる。塗布に際しては、シランカップリング剤を適
宜溶剤で希釈して差し支えない。
【0074】シランカップリング剤層は、単分子膜また
はそれに近い超薄膜に匹敵する厚さであり、その厚さは
1〜20nm程度である。
【0075】なお、シランカップリング剤と表面層2s
との化学吸着反応を良好に行わせるためには、前もっ
て、表面層2sの表面をプラズマ照射、コロナ放電処
理、電子線照射等の方法によって親水化しておくことが
好ましい。
【0076】また、光情報媒体表面に撥水・撥油・潤滑
性を付与する方法としては、フッ素化合物を用いたプラ
ズマ処理によって、表面層2sの表面をフッ素化する手
法も好ましく用いることができる。本法は、テトラフル
オロメタンをはじめとするフッ素化合物のプラズマによ
って表面層2sを表面処理するものであり、この処理に
おいては、表面層2s自体のフッ素化、および/また
は、表面層2s表面における前記フッ素化合物の重合体
の析出が、進行する。用いるフッ素化合物としては、例
えば、テトラフルオロメタン(CF4)、テトラフルオ
ロエチレン(C2 4)をはじめとする有機フッ素化合物
や、SF6、NF3等の無機フッ素化合物が好ましい。
【0077】このほか、パーフルオロポリエーテル等の
フッ素系ポリマー、ポリジメチルシロキサン等のシリコ
ーン系ポリマー、前記シランカップリング剤などから構
成される潤滑剤層を表面層2sの表面に塗布により形成
し、その後、プラズマ放電処理を行うことにより、表面
層2sと潤滑剤層との界面に強固な化学結合を形成する
方法も用いることができる。プラズマ放電処理の際のプ
ラズマ供給源としては、前記した各種フッ素系化合物の
ほか、フッ素原子を含まない化合物、例えばメタン(C
4)、アンモニア(NH3)、ジボラン(B26)など
を用いてもよい。なお、フッ素系ポリマー、シリコーン
系ポリマーなどの潤滑剤層構成材料に関し、カルボキシ
ル基、イソシアネート基、アクリロイル基等の反応性末
端基の有無は特に限定されない。フッ素系ポリマーの市
販品としては、例えばアウジモント(株)のフォンブリ
ンZ60があり、シリコーン系ポリマーの市販品として
は例えば信越化学工業(株)のKF−96がある。
【0078】一方、前記表面層2s自体が撥水・撥油・
潤滑性を有している場合は、上記の表面処理は行わなく
てもよい。表面層2s自体が撥水・撥油・潤滑性を有し
ている場合とは、例えば、以下に示すような材料を用い
て表面層2sを形成した場合である。
【0079】自体が撥水・撥油・潤滑性をもつ表面層2
sとしては、高分子主鎖を有する化合物を含有し、前記
高分子主鎖および/または側鎖が撥水・撥油・潤滑性を
発現するものが挙げられる。具体的には、例えば、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリカーボネート、アモルファス
ポリオレフィン等の高分子化合物の側鎖に、パーフルオ
ロアルキル基等の撥水・撥油・潤滑性基を導入したもの
が好ましい。また、表面層2s形成のために紫外線硬化
型樹脂等の放射線硬化型樹脂を用い、この樹脂中に、無
機物または樹脂からなる微粒子を分散させておき、か
つ、この微粒子の表面を、フッ素化炭化水素等の撥水・
撥油・潤滑性置換基を含む物質で修飾しておいてもよ
い。このような放射線硬化型樹脂を塗布して硬化するこ
とにより、撥水・撥油・潤滑性をもつ表面層2sが形成
できる。この場合において、微粒子の好ましい粒径およ
び表面層2s中における微粒子の好ましい比率は、上記
した、コロイダルシリカ等の無機物微粒子を表面層2s
に分散させる場合と同様である。
【0080】また、表面層2sを、DLC(ダイヤモン
ドライクカーボン)からなる膜としてもよい。DLC膜
は、スパッタ法やCVD法などの従来公知の方法によっ
て成膜できる。DLC薄膜は、表面硬度が高く耐摩耗性
に優れると同時に、表面の摩擦係数を低減できるため、
潤滑性付与のための前記各種表面処理を施さなくともよ
い。
【0081】透光性基体を、以上述べたような態様とす
ることにより、指紋の除去性に優れ、かつ、実用上十分
な耐摩耗性を有する光情報媒体とすることができる。
【0082】
【実施例】実施例1(指紋除去性の改善された光情報媒
体の作製) 以下の手順で、図1に示す構造を有する光記録ディスク
サンプルを作製した。ただし、サンプルNo.0では、透
光性基体2を単層構造とした。
【0083】サンプルNo.0 グルーブを形成したディスク状支持基体20(ポリカー
ボネート製、直径120mm、厚さ1.2mm)の表面に、
Al98Pd1Cu1(原子比)からなる反射層をスパッタ
法により形成した。グルーブ深さは、波長λ=405nm
における光路長で表してλ/6とした。ランド・グルー
ブ記録方式における記録トラックピッチは、0.3μm
とした。
【0084】次いで、反射層表面に、Al23ターゲッ
トを用いてスパッタ法により厚さ20nmの第2誘電体層
を形成した。
【0085】次いで、第2誘電体層表面に、相変化材料
からなる合金ターゲットを用い、スパッタ法により厚さ
12nmの記録層4を形成した。記録層4の組成(原子
比)は、Sb74Te18(Ge7In1)とした。
【0086】次いで、記録層4表面に、ZnS(80モ
ル%)−SiO2(20モル%)ターゲットを用いてス
パッタ法により厚さ130nmの第1誘電体層を形成し
た。
【0087】次いで、第1誘電体層表面に、ラジカル重
合系の紫外線硬化型樹脂溶液(三菱レイヨン社製の4X
108E、溶媒は酢酸ブチル)をスピンコート法により
塗布して樹脂層を形成した。
【0088】次いで、真空中(0.1気圧以下)におい
て、透光性基体2としてポリカボネートシート(厚さ1
00μm)を樹脂層上に載置した。前記ポリカーボネー
トシートとしては、流延法によって製造された、帝人社
製のピュアエースを用いた。次いで、空気中に戻した
後、紫外線を照射して上記樹脂層を硬化することにより
光透過性シートを接着し、光記録ディスクサンプルとし
た。
【0089】サンプルNo.1 図1に示す構造を有する光記録ディスクサンプルを以下
の手順で作製した。
【0090】上記サンプルNo.0のポリカーボネートシ
ートを内部層2iとし、この内部層2i上に、紫外線硬
化型樹脂(日本化薬社製のSD318)をスピンコート
法により塗布し、紫外線を照射することにより硬化させ
てハードコート層とした。ハードコート層の厚さは2.
0μmとした。
【0091】次いで、ハードコート層の表面に、SiO
2ターゲットを用いてスパッタ法により厚さ100nmの
SiO2層を形成した。なお、SiO2層を形成する前
に、プラズマエッチングによるハードコート層表面の活
性化処理を行った。このサンプルでは、上記ハードコー
ト層と上記SiO2層とが表面層2sを構成することに
なる。
【0092】さらに、SiO2層表面にシランカップリ
ング剤を化学吸着させ、光記録ディスクサンプルとし
た。シランカップリング剤としては、フッ素化炭化水素
系の撥水・撥油性基を有するDSX(ダイキン工業社
製)を用い、その0.1%(質量百分率)パーフルオロ
ヘキサン溶液をスピンコート法により塗布し、空気中6
0℃にて10時間加熱することにより上記SiO2層に
化学吸着させた。
【0093】サンプルNo.2 上記サンプルNo.0のポリカーボネートシートを内部層
2iとし、この内部層2i上に、コロイダルシリカが分
散された紫外線硬化型樹脂として、デソライトZ750
3(JSR(株)製)を、スピンコート法により塗布
し、60℃で3分間乾燥して希釈溶剤を除去したのち、
紫外線を照射することにより硬化させ、表面層2sを形
成した。硬化後の膜厚は3.0μmであった。
【0094】次いで、表面層2sの表面にフッ素プラズ
マ処理を施した。フッ素化合物としてはテトラフルオロ
メタン(CF4)を用いた。プラズマ処理装置のチャン
バー内部を脱気後、CF4ガスを導入し、圧力を0.5P
aに調整した。次いで、RF電界を印加し、出力100W
にてプラズマ処理を行った。処理時間は3分間とした。
プラズマ処理終了後、チャンバー内を常圧に戻してディ
スクを取出した。
【0095】サンプルNo.3 上記サンプルNo.0のポリカーボネートシートを内部層
2iとし、この内部層2i上に、プライマーとして紫外
線硬化型樹脂(日本化薬社製のHOD3200)を塗布
し、紫外線照射により硬化させた。硬化後の膜厚は0.
5μmであった。
【0096】次いで、プライマー層の上に、熱硬化型シ
リコーン系コーティング剤(松下電工社製のフレッセラ
D)をスピンコート法により塗布し、80℃で2時間加
熱することにより乾燥および硬化を行って、表面層2s
を形成した。表面層2sの厚さは1.0μmであった。
【0097】なお、上記シリコーン系コーティング剤
は、モノマー成分である有機ケイ素化合物のケイ素原子
に、潤滑および撥水・撥油性基が導入された構造を有し
ており、硬化後の被膜は、ポリシロキサン結合のケイ素
原子に潤滑および撥水・撥油性基が化学結合を介して固
定された構造を有する。
【0098】サンプルNo.4 上記サンプルNo.0のポリカーボネートシートを内部層
2iとし、この内部層2i上に、プラズマCVD法によ
り厚さ360nmのDLC薄膜を形成して表面層2sとし
た。プロセスガスとしてはエチレン(C24)を用い
た。プラズマ処理装置のチャンバー内部を脱気後、エチ
レンガスを導入し、圧力を0.5Paに調整した。次い
で、RF電界を印加し、出力100WにてCVDによる
成膜を行った。処理時間は3分間とした。成膜終了後、
チャンバー内を常圧に戻してディスクを取り出した。
【0099】サンプルNo.5 上記SiO2層表面にシランカップリング剤層を設けな
かったほかはサンプルNo.1と同様にして光記録ディス
クサンプルを作製した。
【0100】サンプルNo.6 上記サンプルNo.0のポリカーボネートシートを内部層
2iとし、この内部層2i上に、紫外線硬化型樹脂(日
本化薬社製のSD318)をスピンコート法により塗布
し、紫外線照射により硬化させて、厚さ2.0μmの表
面層2sを形成した。
【0101】次いで、シリコーンオイル(信越シリコー
ン社製のKF96、粘度10000cP)を酢酸ブチルで
希釈した溶液を、表面層2sの表面にスピンコート法に
より塗布して撥水・撥油・潤滑性をもつ層を形成し、光
記録ディスクサンプルとした。なお、シリコーンオイル
の塗布量は32mg/m2であり、形成された層の厚さは3
3nmであった。
【0102】サンプルNo.7 上記サンプルNo.0のポリカーボネートシートを内部層
2iとし、この内部層2i上に、紫外線硬化型樹脂(日
本化薬社製のSD318)をスピンコート法により塗布
し、紫外線照射により硬化させて厚さ2.0μmの表面
層2sを形成した。
【0103】次いで、パーフルオロポリエーテル誘導体
(アウジモント社製のフォンブリンZDOL)をフッ素
系溶剤(アウジモント社のH-GALDEN ZV100)で希釈した
溶液をハードコート層表面にスピンコート法により塗布
して撥水・撥油・潤滑性をもつ層を形成し、光記録ディ
スクサンプルとした。なお、パーフルオロポリエーテル
誘導体の塗布量は35mg/m2であり、形成された層の厚
さは19nmであった。
【0104】サンプルNo.8 フッ素プラズマ処理を施さなかったほかはサンプルNo.
2と同様にして、光記録ディスクサンプルを作製した。
【0105】サンプルNo.9 サンプルNo.1で用いたシランカップリング剤DSXに
替えて、トリフルオロメチルトリメトキシシラン(CF
3Si(OCH33)を用いた。なお、塗布液は、トリ
フルオロメチルトリメトキシシランをm−キシレンヘキ
サフルオライドに0.1質量%となるように溶解して調
製した。このほかはサンプルNo.1と同様にして光記録
ディスクサンプルを作製した。
【0106】評価 上記各光ディスクサンプルについて、それらの透光性基
体表面に対する水の接触角およびその変化率(劣化度)
を、以下の手順で測定した。
【0107】まず、端面の直径が16mmであるシリコー
ンゴム栓を、乾燥したウェス(旭化成工業社製ベンコッ
トリントフリーCT−8)で被覆し、ウェスのシリコー
ンゴム栓端面付近を覆う部分に、疑似指紋成分2.0mL
を含浸させた。この疑似指紋成分は、トリオレイン10
gに、JIS Z8901に定められた試験用粉体1第11種の関
東ロームを4.0g加え、よく攪拌したものである。な
お、前記関東ロームは、主成分としてSiO2、Fe2
3、Al23等を含み、その中位径は1.6〜2.3μm
である。次いで、疑似指紋成分を含浸したウェスを挟ん
でシリコーンゴム栓の端面を各サンプルの透光性基体表
面に荷重4.9N/cm2で垂直に押し当て、サンプルの半
径方向に50往復摺動させた。
【0108】次いで、上記シリコーンゴム栓および上記
ウェスをそれぞれ新たに用意し、上記と同様にして、ウ
ェスにエタノール2.0mLを含浸させた。その後、先に
トリオレインを含むウェスで擦った箇所に、エタノール
が含浸したウェスを挟んでシリコーンゴム栓の端面を荷
重2.5N/cm2で押し当て、サンプルの半径方向に20
回摺動させた。
【0109】次いで、ウェスを新しいものと交換し、上
記と同様にエタノールを含浸させ、再び同じ箇所を20
回摺動した。エタノールを完全に乾燥させ、除電ブロー
にて静電気を除去した後、接触角の測定を行った。な
お、接触角の測定は、協和界面科学社製接触角計CA−
Dを用い、温度20℃、相対湿度60%の環境下で行っ
た。結果を表1に示す。表1には、接触角の変化率も併
せて示してある。この変化率は、初期の接触角と、疑似
指紋成分を付着させて拭き取った後における接触角(表
1では摺動後の接触角)とを用い、 (摺動後−初期)/初期 により算出した値の百分率である。
【0110】また、透光性基体表面の動摩擦係数を、以
下の手順で測定した。先端部の曲率半径が5mmのナイロ
ン製のチップを作製し、これを、各サンプルの透光性基
体表面に一定荷重で接触させ、そのままサンプルを一定
速度で回転させた。その際の荷重とトルクとから動摩擦
係数を求めた。測定には光ディスク駆動装置を改造して
用い、駆動装置の光ヘッド部分に、前記ナイロンチップ
を取り付けた。また、トルクメーターにより、ナイロン
チップがサンプル表面を摺動した際に前記チップにかか
るトルク、すなわち摩擦力Fdが測定できるようにし
た。なお、この測定において、前記ナイロンチップをサ
ンプル表面に接触させる際の荷重(法線力Fp)は20
mNとし、サンプルを回転させる際の線速度は1.4m/s
とした。動摩擦係数μはFd/Fpより求められる。
【0111】動摩擦係数の測定は、接触角の測定と同様
に、初期と、疑似指紋成分を付着させて拭き取った後
(摺動後)とに行った。初期および摺動後の動摩擦係数
と、両者の差(変化量)とを、表1に併せて示す。
【0112】
【表1】
【0113】表1から明らかなように、サンプルNo.1
およびNo.2では、撥水・撥油・潤滑性置換基が、表面
層2sに固定されている(または、表面層2s自体が撥
水・撥油・潤滑性を有している)ため、トリオレインを
含浸したウェスで擦っても接触角はほとんど劣化せず、
また、動摩擦係数もほとんど変化していない。一方、サ
ンプルNo.6およびNo.7では、表面に設けられた流動性
の潤滑剤層によって撥水・撥油・潤滑性をもたせている
ため、トリオレイン含浸ウェスによる摺動によって容易
に接触角が低下し、また、動摩擦係数が増大してしまっ
ている。この結果から、指紋が付着した際には、指紋成
分と前記潤滑剤との混和が起こり、指紋の拭き取りが困
難になるものと予想される。なお、サンプルNo.5で
は、透光性基体表面がガラス成分からなっているため、
初期の接触角が極めて小さくなっている。
【0114】実施例2(光情報媒体の指紋除去性の評価
方法) 上記実施例および比較例で作製したサンプルNo.0〜No.
9の、透光性基体表面の指紋除去性を、以下に示す方法
により評価した。
【0115】メトキシプロパノール10gにトリオレイ
ン1.0gを添加し、さらにJIS Z8901に定められた試験
用粉体1第11種の関東ロームを400mg加えて攪拌す
ることにより、疑似指紋成分を調製した。これを疑似指
紋成分1とした。また、比較のために、前記関東ローム
を添加しない擬似指紋成分も調製し、これを擬似指紋成
分2とした。さらに、比較のために、メトキシプロパノ
ール5gにトリオレイン200mgを添加し、さらに、ケ
ラチン(ヒト上皮由来、和光純薬工業(株)製)200
mgを加え、激しく振盪した後、10秒間静置し、つい
で、粒径の大きなケラチンの存在しない上澄み部分を静
かに採取し、これを疑似指紋成分3とした。
【0116】次いで、上記各擬似指紋成分について、マ
グネティックスターラーでよく攪拌しながら約1mL採取
し、ポリカーボネート製基板(直径120mm、厚さ1.
2mm)上にスピンコート法により塗布した。この基板を
60℃で3分間加熱することにより、不要な希釈剤であ
るメトキシプロパノールを完全に除去した。これを擬似
指紋転写用の原版とした。
【0117】続いて、No.1のシリコーンゴム栓の、小
さい方の端面(直径12mm)を、#240の研磨紙で一
様に研磨したものを擬似指紋転写材とし、この研磨した
端面を、上記原版に荷重29Nで10秒間押し当てて擬
似指紋成分を転写材の端面に移行させた。次いで、上記
各サンプルの透光性基体表面に、上記転写材端面を荷重
29Nで10秒間押し当てて擬似指紋成分を転写した。
なお、指紋パターンは、媒体の半径40mm近傍の位置に
転写した。
【0118】次いで、各サンプルに付着した擬似指紋
を、以下の手順で拭き取った。市販のティッシュペーパ
ー((株)クレシア製)を8組重ねたものを、No.1の
ゴム栓の大きい方の端面(直径16mm)と、擬似指紋の
付着した透光性基体表面との間に挟み、4.9Nの力で
押圧した。この状態で、サンプルの中央から外周にかけ
てゆっくりと移動させることにより擬似指紋の拭き取り
を行った。
【0119】各サンプルについて、擬似指紋付着前(初
期)、擬似指紋付着後、および擬似指紋拭き取り2回
後、5回後、10回後、15回後のそれぞれの時点で、
記録済み信号のジッタを測定した。これらの結果を表2
を示す。また、疑似指紋成分1を用いたときの結果を図
3に示す。
【0120】なお、信号の記録および再生に使用した光
情報媒体評価装置の光学系の各種パラメータおよび記録
・再生条件は以下の通りである。
【0121】レーザー波長:405nm、 対物レンズ開口数NA:0.85、 線速度:6.5m/s、 記録信号:1−7変調信号(最短信号長2T)、 記録領域:ランドおよびグルーブ(表2にはグルーブ部
の測定結果のみを示してある)
【0122】一方、感覚的な指紋除去容易性の評価(官
能試験)も併せて行った。まず、各サンプルの表面に、
上記条件で各擬似指紋成分を付着させた。次いで、これ
らのサンプルについて、任意に選んだ5人の被験者が拭
取り試験を行い、3段階で拭き取り容易性を評価した。
結果を表3に示す。表3に示す評価の基準は、 A:指紋拭取りが非常に容易、 B:指紋拭き取りが容易、 C:指紋拭き取りが困難、である。なお、拭き取りに
は、市販のティッシュペーパー((株)クレシア製)を
用い、拭き取り回数および荷重は特に指定しなかった。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】表1において透光性基体2表面の接触角お
よびその変化率が所定の範囲内にあるサンプルNo.1〜N
o.4では、表2および図3に示されるように、擬似指紋
拭き取り2回ないし5回で直ちに、記録済み信号ジッタ
が指紋付着前とほぼ同等レベルまで回復している。これ
に対し、それ以外のサンプル、特にサンプルNo.6およ
びNo.7では、高い撥水・撥油・潤滑性を有しているに
もかかわらず、15回の拭取り動作によっても、初期値
まではジッタが回復していない。これらのことから、指
紋除去性は、単純に撥水・撥油性、すなわち表面エネル
ギーの大小のみに依存するのではないことが明らかであ
る。すなわち、たとえ撥水・撥油性が高くても、その撥
水・撥油性が、表面に設けられた潤滑剤層や、透光性基
体材料にあらかじめ添加された撥水・撥油剤が表面に染
み出した層などの、流動性の物質によって実現されてい
る場合、指紋除去性はかえって悪化してしまう。
【0126】これに対し、関東ロームを含まない均一系
の擬似指紋成分2を用いて評価を行った場合、表2に示
される結果から明らかなように、疑似指紋成分が透光性
基体2表面に定着せず、いずれのサンプルにおいても拭
き取り性がほぼ同じとなってしまう。すなわち、この場
合、実際の指紋の付着性および除去性を再現、定量化す
ることができておらず、光情報媒体の試験方法としては
明らかに不適切である。
【0127】なお、サンプルNo.0では、表1において
初期の接触角が所定の範囲内にあり、かつ、疑似指紋成
分による摺動後の接触角の劣化もほとんどない。しかし
ながら、透光性基体表面の硬度が低いため、拭き取り動
作によって表面に擦過傷が生じる。このため、10回を
超える回数の拭き取りを行ったときに、かえってジッタ
が悪化してしまっている。
【0128】一方、表3に示したように、使用者が感覚
的に判断する指紋除去性は、表2に示される序列と必ず
しも一致していない。例えば、サンプルNo.1とNo.9と
を比較すると、両者とも撥水・撥油性に優れ、かつ、透
光性基体の表面硬度も高い。しかしながら、表3におい
ては、サンプルNo.1は指紋拭き取りが非常に容易と判
断されるのに対し、サンプルNo.9では指紋拭き取りが
必ずしも容易とは判断されていない。これは、サンプル
No.9の透光性基体2表面の動摩擦係数が高いためであ
る。したがって、使用者が感覚的に判断する指紋除去性
を優れたものとするためには、撥水・撥油性および硬度
のみならず、動摩擦係数を低減しなければならないこと
が、この結果からも明らかである。
【0129】無機系の粒子状物質の替わりにケラチンを
含有する疑似指紋成分3を用いた場合、疑似指紋成分1
を用いた場合とほぼ同じ結果が得られている。この結果
から、無機系の粒子状物質を含有する疑似指紋成分を用
いる本発明は、実際の指紋の付着による影響を、定量的
かつ再現性よくシミュレート可能であることが明らかで
ある。
【0130】
【発明の効果】本発明の試験方法では、光情報媒体に指
紋が付着した際に記録/再生信号が受ける影響を、定量
的に、かつ、再現性よく測定できる。また、本発明の光
情報媒体は、表面に付着する指紋等の有機汚れの拭き取
り性が良好であるため、長期にわたり良好な記録/再生
特性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光情報媒体の構成例を示す断面図である。
【図2】光情報媒体の構成例を示す断面図である。
【図3】光記録ディスク表面に付着した疑似指紋の拭き
取り回数と、光記録ディスクのジッタとの関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
2 透光性基体 2i 内部層 2s 表面層 20 支持基体 4 記録層 6 保護層

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光情報媒体の記録/再生ビーム入射側表
    面に、人工的に調製された擬似指紋を付着させることに
    より、記録/再生ビーム入射側表面の防汚性および/ま
    たは指紋付着性を評価する光情報媒体の試験方法。
  2. 【請求項2】 前記擬似指紋の付着によって生じる記録
    特性および/または再生特性の変化を測定することによ
    り、記録/再生ビーム入射側表面の防汚性および/また
    は指紋付着性を評価する請求項1の光情報媒体の試験方
    法。
  3. 【請求項3】 媒体の記録/再生ビーム入射側表面に、
    人工的に調製された擬似指紋を付着させた後、前記疑似
    指紋の除去操作を行うことにより、記録/再生ビーム入
    射側表面の洗浄性および/または指紋除去性を評価する
    光情報媒体の試験方法。
  4. 【請求項4】 前記擬似指紋の除去操作によって生じる
    記録特性および/または再生特性の変化を測定すること
    により、記録/再生ビーム入射側表面の洗浄性および/
    または指紋除去性を評価する請求項3の光情報媒体の試
    験方法。
  5. 【請求項5】 前記の擬似指紋が、少なくとも1種の有
    機物を含んでいる請求項1〜4のいずれかの光情報媒体
    の試験方法。
  6. 【請求項6】 前記有機物に、高級脂肪酸およびその誘
    導体ならびにテルペン類およびその誘導体から選択され
    る少なくとも1種の物質が含まれる請求項5の光情報媒
    体の試験方法。
  7. 【請求項7】 前記擬似指紋が、平均粒径100μm以
    下の粒子を含んでいる請求項5または6の光情報媒体の
    試験方法。
  8. 【請求項8】 前記粒子に、無機物からなる粒子が含ま
    れる請求項7の光情報媒体の試験方法。
  9. 【請求項9】 記録/再生ビーム入射側表面における記
    録/再生ビームの最小径が500μm以下となる光情報
    媒体に適用される請求項1〜8のいずれかの光情報媒体
    の試験方法。
  10. 【請求項10】 透光性基体と情報記録層とを有し、透
    光性基体を通して記録/再生ビームが情報記録層に入射
    するように使用される光情報媒体であって、 透光性基体表面に、請求項1〜9のいずれかに記載され
    た前記擬似指紋を付着させた後、付着した疑似指紋の除
    去操作を行ったとき、除去操作後における透光性基体表
    面の動摩擦係数が、疑似指紋付着前における動摩擦係数
    に対して0.1以上増大しない光情報媒体。
  11. 【請求項11】 透光性基体表面に、潤滑性を有する化
    合物が存在するとき、前記化合物のうち透光性基体表面
    に固定されていないものの量が20mg/m2以下である請
    求項10の光情報媒体。
  12. 【請求項12】 透光性基体表面に、潤滑性を有しかつ
    透光性基体表面に固定されていない化合物を含有する層
    が存在するとき、前記層の厚さが10nm以下である請求
    項10または11の光情報媒体。
  13. 【請求項13】 透光性基体と情報記録層とを有し、透
    光性基体を通して記録/再生ビームが情報記録層に入射
    するように使用される光情報媒体であって、 透光性基体表面に、請求項1〜9のいずれかに記載され
    た前記擬似指紋を付着させた後、付着した疑似指紋の除
    去操作を行ったとき、除去操作後における透光性基体表
    面に対する水の接触角が、疑似指紋付着前における接触
    角に対して15%以上低下しない光情報媒体。
  14. 【請求項14】 透光性基体表面に、撥水性を有する化
    合物が存在するとき、前記化合物のうち透光性基体表面
    に固定されていないものの量が20mg/m2以下である請
    求項13の光情報媒体。
  15. 【請求項15】 透光性基体表面に、撥水性を有しかつ
    透光性基体表面に固定されていない化合物を含有する層
    が存在するとき、前記層の厚さが10nm以下である請求
    項13または14の光情報媒体。
  16. 【請求項16】 前記疑似指紋付着前において、透光性
    基体表面の動摩擦係数が0.4以下である請求項10〜
    15のいずれかの光情報媒体。
  17. 【請求項17】 前記疑似指紋付着前において、透光性
    基体表面に対する水の接触角が20℃で75°以上であ
    る請求項10〜16のいずれかの光情報媒体。
  18. 【請求項18】 前記疑似指紋付着前において、透光性
    基体表面に対する水の接触角が20℃で90°以上であ
    る請求項10〜16のいずれかの光情報媒体。
  19. 【請求項19】 透光性基体表面の少なくとも一部にS
    i−O結合が存在する請求項10〜18のいずれかの光
    情報媒体。
  20. 【請求項20】 透光性基体表面の少なくとも一部がフ
    ッ素原子を含んでいる請求項10〜19のいずれかの光
    情報媒体。
  21. 【請求項21】 透光性基体表面の少なくとも一部が、
    下記式(1)で表される、撥水性または撥油性を示す基
    を含むシランカップリング剤から構成されている請求項
    10〜20のいずれかの光情報媒体。 R1−Si(X)(Y)(Z) (1) [上記式(1)において、R1は撥水性、撥油性および
    潤滑性を有する置換基であり、X、YおよびZはそれぞ
    れ一価の基であり、X、YおよびZの少なくとも1つ
    は、水酸基との重縮合によって化学結合を形成しうる置
    換基である。]
  22. 【請求項22】 透光性基体表面がプラズマ処理によっ
    てフッ素化されている請求項10〜21のいずれかの光
    情報媒体。
  23. 【請求項23】 透光性基体の少なくとも一部がダイヤ
    モンドライクカーボンから構成されている請求項10〜
    21のいずれかの光情報媒体。
  24. 【請求項24】 透光性基体表面における記録/再生ビ
    ームの最小径が500μm以下となるシステムに用いら
    れる請求項10〜23のいずれかの光情報媒体。
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