JP2003164977A - 摩擦攪拌接合用回転ツールおよびそれを用いた摩擦攪拌接合方法並びに摩擦攪拌接合装置 - Google Patents

摩擦攪拌接合用回転ツールおよびそれを用いた摩擦攪拌接合方法並びに摩擦攪拌接合装置

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JP2003164977A
JP2003164977A JP2001360681A JP2001360681A JP2003164977A JP 2003164977 A JP2003164977 A JP 2003164977A JP 2001360681 A JP2001360681 A JP 2001360681A JP 2001360681 A JP2001360681 A JP 2001360681A JP 2003164977 A JP2003164977 A JP 2003164977A
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friction stir
stir welding
cutting blade
rotary tool
inert gas
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Application number
JP2001360681A
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English (en)
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Takehiko Saeki
武彦 佐伯
Seiichiro Yamashita
政一郎 山下
Tsuneo Kinoshita
統雄 木下
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】回転ツールの切り刃によって余盛(仮付け部)
を除去しながら同時に摩擦攪拌接合する際に、前記切り
刃の焼き付きを防止する。 【解決手段】回転ツール11の切り刃11A又はその付
近に、前記切り刃11Aおよびその付近に向けて不活性
ガスを吹き出す開孔21aを設ける。前記切り刃11A
によって、前記余盛Sを除去しながら同時に摩擦攪拌接
合する際に、前記切り刃11Aおよびその付近に向けて
不活性ガスを吹き出し、不活性ガスの雰囲気を生成し
て、その雰囲気中で切り刃11Aによる余盛りの除去を
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、摩擦攪拌接合用
回転ツールおよびそれを用いた摩擦攪拌接合方法並びに
摩擦攪拌接合装置、とくに突き合わせ部分が余盛にて仮
付けされた2つの部材を、摩擦攪拌接合用回転ツールの
切り刃によって前記余盛を除去しながら同時に接合する
摩擦攪拌接合用回転ツールおよびそれを用いた摩擦攪拌
接合方法並びに摩擦攪拌接合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、2つの被接合材を突き合わせ
て接合する場合に、その接合時に生じる熱歪みが小さ
く、接合後に良好な形状精度が維持される固相接合法と
して、摩擦攪拌接合法が知られている(例えば特開20
00−343250号公報、特開2001−47258
号公報参照)。
【0003】この摩擦攪拌接合法に用いられる摩擦攪拌
接合用回転ツールは、円柱形状のツール本体の先端側
に、摩擦攪拌接合のためのピンを先端に有するショルダ
部が連設されてなる。そして、摩擦攪拌接合する場合に
は、前記回転ツールのピンを、2つの被接合材の突き合
わせ部分に所定深さまでさし込み、前記ピンを高速回転
させながら前記突き合わせ部分に沿って移動させる。こ
れにより、被接合材の突き合わせ部分は、前記ピンおよ
びショルダ部の摺接による摩擦熱で温度が上昇し、前記
ピンの高速回転で摩擦攪拌された金属が被接合材の間
(突き合わせ部分)で塑性流動する。そして、前記ピン
が通過すると、その通過後の突き合わせ部分は熱源が失
われるため、急激に冷却され、被接合材が接合される。
塑性流動した金属は、回転ツールのショルダ部で被接合
材の上方への流出を規制されながら、進行方向の後方に
送られ、ピンの通過後を埋めるようになっている。
【0004】ところで、前記2つの被接合材が摩擦攪拌
接合中に位置がずれないように、前記摩擦攪拌接合に先
立って、2つの被接合材の被接合部分を突き合わせ、そ
の突き合わせ部分を一定間隔毎に余盛仮付け溶接し、余
盛により仮付けした状態で摩擦攪拌接合するのが一般的
である。
【0005】また、例えば特開2000−343250
号公報に記載されるように、I型開先を形成し、一定間
隔でもって溶接により仮付けした状態で、その仮付け部
分を除いて摩擦攪拌接合することも知られている。
【0006】しかしながら、前者の余盛仮付け溶接によ
る場合には、仮付け部分を含めて突き合わせ部分の全長
にわたって摩擦攪拌接合するが、摩擦攪拌接合用回転ツ
ールのピンが、仮付け部分では所定深さまで挿入されな
いため、その仮付けの部分では十分な塑性流動が引き起
こされず、十分な接合力が得られない。
【0007】一方、後者のI型開先を形成する場合に
は、仮付け部分では摩擦攪拌接合を行わないので、前者
に比べてさらに接合力が弱くなる。それに加えて、摩擦
攪拌接合時に回転ツールを仮付け部分の手前で上昇させ
た後、その部分を通過後に回転ツールを加工させる必要
があるので、回転ツールの操作が複雑になり、作業時間
がかかり、作業効率が悪い。
【0008】そこで、発明者は、突き合わせ部分が余盛
にて仮付けされた2つの被接合材を、前記余盛を除去し
ながら同時に摩擦攪拌接合するようにすれば、被接合材
の突き合わせ部分全長にわたって回転ツールのピンを所
定深さまで挿入して、前記突き合わせ部分全体にわたっ
て一様な接合力が得られるように、摩擦攪拌接合をする
ことができることに着想し、突き合わせ部分が余盛仮付
け溶接された2つの被接合材を、摩擦攪拌接合用回転ツ
ールの切り刃によって前記余盛を除去しながら同時に摩
擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツールなどを発明
し、これを別途出願している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うに、仮付けのための余盛を除去しながら、同時に摩擦
攪拌接合をすることができる摩擦攪拌接合装置において
は、例えば切り刃による余盛の除去が被接合材の上方、
すなわち空気中で行われるため、切り刃に焼き付きが生
ずるおそれがある。
【0010】本発明はかかる点に鑑みてなされたもの
で、切り刃によって仮付けのための余盛を除去しながら
同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツールおよ
びそれを用いた摩擦攪拌接合方法並びに摩擦攪拌接合装
置においては、切り刃の焼き付きを防止することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、突き
合わせ部分が余盛仮付け溶接された2つの被接合材を、
摩擦攪拌接合用回転ツールの切り刃によって前記余盛を
除去しながら同時に接合する摩擦攪拌接合装置の前記摩
擦攪拌接合用回転ツールであって、前記切り刃又はその
付近に設けられ前記切り刃およびその付近に向けて不活
性ガスを吹き出す開孔が設けられている構成とする。こ
こで、前記不活性ガスには、窒素ガス、アルゴンガスな
どが含まれ、前記余盛仮付け溶接には、TIG溶接やM
IG溶接などの溶融溶接が含まれる。
【0012】このようにすれば、切り刃による、2つの
被接合材の仮付けのための余盛の除去が、不活性ガスの
雰囲気中で行われるので、切り刃によって前記余盛を除
去する際の前記切り刃の焼き付きが防止される。
【0013】請求項2の発明は、突き合わせ部分が余盛
仮付け溶接された2つの被接合材を、切り刃によって前
記余盛を除去しながら同時に接合する摩擦攪拌接合方法
であって、前記切り刃によって前記余盛を除去しながら
同時に接合する際に、少なくとも前記切り刃およびその
付近を不活性ガスの雰囲気にするものである。
【0014】このようにすれば、少なくとも切り刃およ
びその付近が不活性ガスの雰囲気にされるので、切り刃
による余盛の除去が、不活性ガスの雰囲気中で行われる
こととなり、切り刃の焼き付きが防止される。
【0015】請求項3に記載のように、前記切り刃は、
前記摩擦攪拌接合用回転ツールに設けられたものとする
ことが望ましい。
【0016】このようにすれば、回転ツールを回転させ
ながら突き合わせ部分に沿って移動させる際に、余盛を
除去しながら同時に摩擦攪拌接合を行うことが簡単に実
現される。
【0017】請求項4の発明は、突き合わせ部分が余盛
仮付け溶接された2つの被接合材を、摩擦攪拌接合用回
転ツールの切り刃によって前記余盛を除去しながら同時
に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合装置であって、前記摩
擦攪拌接合用回転ツールの切り刃およびその付近の雰囲
気を不活性ガスの雰囲気にする雰囲気生成手段が設けら
れている構成とする。
【0018】このようにすれば、雰囲気生成手段によっ
て切り刃およびその付近の雰囲気が不活性ガスの雰囲気
にされるので、切り刃による余盛の除去が、不活性ガス
(例えば窒素ガス)の雰囲気中で行われることになり、
切り刃の焼き付きが防止される。
【0019】請求項5に記載のように、前記雰囲気生成
手段は、前記切り刃又はその付近に設けられ前記切り刃
およびその付近に向けて不活性ガスを吹き出す開孔を有
する構成とすることができる。
【0020】このようにすれば、切り刃又はその付近に
設けられた開孔を通じて、前記切り刃およびその付近に
向けて不活性ガスが吹き出されることで、前記切り刃お
よびその付近を無理なく不活性ガスの雰囲気とされる。
【0021】請求項6に記載のように、前記開孔は、前
記摩擦攪拌接合用回転ツールを貫通する貫通孔の下流端
開孔であり、前記貫通孔の上流端は、前記摩擦攪拌接合
用回転ツールをクランプするチャック手段に設けられ不
活性ガスのガス源に接続されるガス通路に連通されてい
るようにすることができる。
【0022】このようにすれば、摩擦攪拌接合用回転ツ
ールをチャック手段にクランプさせるだけで、回転ツー
ルの貫通孔は、ガス通路を介してガス源に接続されるこ
ととなり、不活性ガスが送給されると、貫通孔の下流端
開孔を通じて、切り刃およびその付近に不活性ガスが吹
き出され、切り刃およびその付近が不活性ガスの雰囲気
とされる。
【0023】請求項7に記載のように、前記貫通孔の上
流端は、ガス溜まり部となっていることが望ましい。
【0024】このようにすれば、ガス源からガス通路を
通じてガス溜まり部に不活性ガスが一旦供給され、十分
なガス量でもって不活性ガスが開孔を通じて切り刃およ
びその付近に吹き出される。よって、不活性ガスの供給
が遅れるということがない。
【0025】請求項8に記載のように、前記開孔は、前
記切り刃の根元部付近に位置していることが望ましい。
【0026】このようにすれば、切り刃の根元部付近の
開孔を通じて不活性ガスが切り刃およびその付近に吹き
出されるので、切り刃の根元部から先端部までおよびそ
の付近に不活性ガスが供給され、不活性ガスの雰囲気が
生成されるようになり、焼き付きを防止する上で有利と
なる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に沿って説明する。
【0028】図1は本発明に係る摩擦攪拌接合装置の全
体構成を示す斜視図、図2は本発明に係る摩擦攪拌接合
装置に用いる摩擦攪拌接合用回転ツールを示す要部正面
図、図3は同底面図である。
【0029】本発明に係る摩擦攪拌接合装置1は、図1
に示すように、接合予定の被接合材W1,W2を載置す
る平坦なベッド2の長手方向に沿って門形フレーム3が
走行可能に配設されている。この門形フレーム3は水平
フレーム部3aを上部に有し、その水平フレーム部3a
に、可動部材4が、それに設けられたスライダ4aを介
して左右方向(Y方向)に移動可能に設けられている。
可動部材4には、接合ヘッド5が上下方向(Z方向)に
昇降可能に設けられている。
【0030】前記接合ヘッド5は、上部にモータ(図示
せず)を有し、下端部には、前記モータによって回転駆
動される摩擦攪拌接合用回転ツール11が回転可能に支
承されている。
【0031】前記回転ツール11は、図2および図3に
示すように、円柱状のツール本体12の下端部に下向き
に先細のテーパ部13が連設され、そのテーパ部13の
下端部に円柱状のショルダ部14が連設され、そのショ
ルダ部14の先端面の中心部より下方にピン15が突出
している。また、ツール本体12の基端部が、接合ヘッ
ド5のチャック手段22(図4参照)に着脱可能にクラ
ンプされている。
【0032】また、前記ショルダ部14からテーパー部
13にかけて、具体的にはショルダ部14の上端からテ
ーパー部13の上部まで、余盛Sを除去する2つの切り
刃11Aが対称な位置関係で形成され、前記余盛Sを除
去しながら同時に接合することを可能としている。その
ような余盛Sを除去する切り刃11Aを、ショルダ部1
4からテーパー部13にかけて形成しているので、従来
の回転ツールの基本形状を変更することなく、余盛Sを
除去する切り刃11Aを簡単に設けることができる。そ
れに加えて、前記回転ツール11には、2つ(複数個)
の切り刃11Aが対称に設けられるので、余盛Sの除去
が複数の切り刃11Aによってバランスよく行われる。
【0033】そして、切り刃11Aの先端がショルダ部
14の先端面と一致しているので、摩擦攪拌接合するた
めに前記用回転ツール11のピン15を、突き合わせ部
分に所定深さまで挿入して、回転ツール11を回転させ
ながら移動させる際に、切り刃11Aによって被接合材
W1,W2の表面を傷つけるおそれがない。
【0034】また、前記切り刃11Aは、それぞれ先端
側がほぼ90度をなすような2つの刃面11Aa,11
Abを組み合わせて形成されている。そして、刃面11
Abは、先端から離れる従って深さが徐々に浅くなる湾
曲面とされている。
【0035】なお、前記回転ツール11は、被接合材W
1,W2(例えばアルミ合金)よりも硬質で剛性の高い
材料で形成されている。
【0036】上記被接合材W1,W2は、ベッド2上に
長手方向に沿って載置されるが、被接合材W1,W2の
長辺を突き合わせた状態で、治具(図示せず)にて固定
されている。なお、被接合材W1,W2は、突き合わせ
部分が一定間隔でもって余盛S(図4参照)にて余盛仮
付け溶接されている。この余盛仮付け溶接は、被接合材
W1,W2の材質に近い材料からなる溶接材を用いて行
われる。また、被接合材W1,W2の両端は、2枚のタ
ブ板j,j(捨て板)が溶接により固着され、そのタブ
板j,jの突き合わせ部分も溶接により固着されてい
る。
【0037】また、前記回転ツール11には、切り刃1
1A又はその付近付近の雰囲気を生成する不活性ガスの
雰囲気にする雰囲気生成手段が設けられている。この雰
囲気生成手段は、前記切り刃11A又はその付近、例え
ば切り刃11Aの根元部付近に設けられる開孔21aを
有し、その開孔21aが、前記切り刃11Aおよびその
付近に向けて不活性ガスを吹き出す。この開孔21a
は、前記摩擦攪拌接合用回転ツール11を軸線方向にお
いて貫通する貫通孔21の下流端開孔である。
【0038】前記回転ツール11は、図4に示すよう
に、上端部がチャック手段22のチャック部22aに複
数のボルト24によって着脱可能にクランプされてい
る。なお、前記回転ツール11のツール本体12には、
ボルト24の先端が適用される凹部12aが形成されて
いる。また、このチャック手段22は、接合ヘッド5に
設けられている。
【0039】前記チャック部22aには、ガス源に接続
されるガス通路23が設けられ、前記ガス溜まり部21
b(貫通孔21の上流端)に連通されている。前記ガス
溜まり部21bは、貫通孔21の上流端となっている。
そして、前記回転ツール11の基端部がチャック部22
aにクランプされるだけで、不活性ガスのガス源にガス
通路23を通じて接続され、不活性ガスを送給可能な状
態とされるように構成されている。よって前記回転ツー
ル11の基端部をチャック部22aにクランプさせれ
ば、簡単に、不活性ガスの雰囲気を生成可能な状態とす
ることができる。この場合、前記回転ツール11がチャ
ック部22aにクランプされていない場合には、前記チ
ャック部22aのガス通路23は連通が遮断され、ガス
源(図示せず)から不活性ガスがガス通路23を通じて
大気中にリリーフされない。その一方、前記回転ツール
11がチャック部22aにクランプされたときにガス通
路23の前記連通遮断が解除され、回転ツール11の貫
通孔21がガス通路23を介してガス源と連通され、図
示しない制御手段によって、図示しないガス送給手段が
制御されて、ガス通路23を通じて送給されるガス量が
制御され、適量の不活性ガスが開孔21aから吹き出す
ように構成されている。つまり、摩擦攪拌接合が始まり
切り刃11Aによる余盛Sの除去が開始されると、ガス
通路23を通じてのガス源からの送給が開始され、開孔
21aより不活性ガスが、切り刃11Aおよびその付近
に向けて吹き出すことになる。
【0040】前記ベッド2の左右両側にはレール6が互
いに平行に配設され、門形フレーム3が前記レール6に
沿って前後方向(X方向)に走行可能である。門形フレ
ーム3の移動によって、前記2つの被接合材W1,W2
の突き合わせ部分の上方を接合ヘッド5が移動し、回転
ツール11を回転させながら前記突き合わせ部分に沿っ
て、加圧力制御しながら移動させ、摩擦攪拌接合するよ
うになっている。
【0041】上記装置によれば、図6に示すように、前
記ピン15が突き合わせ部分に所定の深さまで挿入され
た状態で回転することにより、2つの切り刃11Aによ
る余盛Sの除去と同時に、ピン15およびショルダ部1
4の摺接による摩擦熱で温度が上昇し、ピン15の回転
で攪拌された金属が被接合材W1,W2の間で塑性流動
する。
【0042】そして、摩擦攪拌接合用回転ツール11
が、余盛Sを除去する切り刃11Aを備えているので、
図5に示すように、摩擦攪拌接合用回転ツール11を前
記突き合わせ部分に沿って回転させながら移動させるこ
とで、前記切り刃11Aにより余盛Sを除去しながら移
動することになる。なお、回転ツール11の回転により
摩擦攪拌接合されているときには、余盛Sによる仮付け
強度は維持されている。そして、摩擦攪拌接合用回転ツ
ール11の切り刃11Aにて、余盛Sを除去しながら、
同時に摩擦攪拌接合されるので、摩擦攪拌接合の前後に
おいて余盛Sに対し何らかの処理を行うという必要がな
くなる。よって、摩擦攪拌接合の前後において余盛Sに
対し何らかの処理を行うという必要がなく、切り刃11
Aの焼き付きも生じないので、接合作業に要する時間も
短縮され、作業効率も著しく向上する。
【0043】また、切り刃11Aの根元部付近の開孔2
1aを通じて不活性ガスが切り刃11Aおよびその付近
に吹き出されるので、切り刃11Aの根元部から先端部
およびその付近まで不活性ガスが一様に供給され、不活
性ガスの雰囲気が生成されている。よって、切り刃11
Aによる余盛の除去が、空気中ではなく、不活性ガスの
雰囲気中で行われることとなり、切り刃11Aの焼き付
きが防止される。それに加えて、ガス源からガス通路2
3を通じて、容積の大きいガス溜まり部21bに不活性
ガスが一旦供給され、それから切り刃11Aおよびその
付近に吹き出されるようになっているので、十分なガス
量でもって不活性ガスを供給することができる。
【0044】そして、ピン15が通過すると、熱源が失
われるため、急激に冷却され、被接合材W1,W2が接
合される。つまり、塑性流動した金属は、ツール11の
ショルダ部14によって上方への流出が規制されなが
ら、進行方向の後方に送られ、ピン15の通過後の突き
合わせ部分を埋め、摩擦攪拌接合される。
【0045】本発明は、以上説明した実施の形態に制限
されることなく、次のように変更することも可能であ
る。 (1)前記実施の形態においては、回転ツール11に開
孔21aを設け、その開 孔21aを通じて不活性ガスを吹き出すようにしている
が、回転ツール11とは関係なく、切り刃11A又はそ
の付近に不活性ガスを吹き出すノズルを別途設けること
も可能である。この場合は、ノズルは、不活性ガスの雰
囲気を生成するために、回転ツール11と一緒に被接合
材の突き合わせ部分に沿って移動することになる。 (2)前記実施の形態においては、2つの切り刃11A
を対称に設ける構造であるが、切り刃は、3つ以上を対
称に設ける構造であってもよいし、1つだけ設ける構造
であってもよい。 (3)前記実施の形態においては、前記回転ツール11
がチャック部22aにクランプされたときにガス通路2
3の前記連通遮断が解除され、回転ツール11の貫通孔
21がガス通路23を介してガス源と連通されるように
しているが、前記回転ツール11がチャック部22aに
クランプされたときにはガス通路は連通遮断の解除は行
われないが、クランプ後に前記ガス通路23の途中に設
けた開閉弁を開放することで、貫通孔21がガス通路2
3を介してガス源と連通するようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】この発明は、以上に説明したように実施
され、以下に述べるような効果を奏する。
【0047】請求項1の発明は、切り刃によって仮付け
のための余盛を除去しながら同時に摩擦攪拌接合する際
に、切り刃による余盛の除去を、不活性ガスの雰囲気中
で行うようにしているので、余盛を除去する際の切り刃
の焼き付きを防止することができる。
【0048】請求項2の発明は、少なくとも切り刃およ
びその付近を不活性ガスの雰囲気にしし、切り刃による
余盛の除去を、不活性ガスの雰囲気中で行うので、簡単
な構造で、切り刃の焼き付きを防止できる。
【0049】請求項3に記載のように、前記切り刃を、
前記摩擦攪拌接合用回転ツールに設ければ、余盛を除去
しながら同時に摩擦攪拌接合を行うことを簡単に実現す
ることができる。
【0050】請求項4の発明は、摩擦攪拌接合用回転ツ
ールの切り刃およびその付近を不活性ガスの雰囲気とす
る雰囲気生成手段を設ければ、切り刃による余盛の除去
を、不活性ガスの雰囲気中で行うことができ、切り刃の
焼き付きを防止することが可能となる。
【0051】請求項5に記載のように、切り刃又はその
付近に設けられた開孔を通じて、前記切り刃およびその
付近に向けて不活性ガスを吹き出すようにすれば、無理
なく不活性ガスの雰囲気を生成することができる。
【0052】請求項6に記載のように、前記開孔は、前
記摩擦攪拌接合用回転ツールを貫通する貫通孔の下流端
開孔であり、前記貫通孔の上流端が、前記摩擦攪拌接合
用回転ツールをクランプするチャック部に設けられガス
源に接続されるガス通路に連通可能な構成とすれば、摩
擦攪拌接合用回転ツールをチャック手段にクランプさせ
るだけで、不活性ガスのガス源からガス通路を通じて、
不活性ガスを送給可能な状態とすることが可能となる。
【0053】請求項7に記載のように、前記貫通孔の上
流端が、ガス溜まり部となるようにすれば、ガス源から
ガス通路を通じてガス溜まり部に不活性ガスが一旦供給
され、十分なガス量でもって不活性ガスが開孔を通じて
切り刃およびその付近に吹き出すことができる。
【0054】請求項8に記載のように、前記開孔を、前
記切り刃部の根元部付近に位置させるようにすれば、切
り刃の根元部付近の開孔を通じて不活性ガスを、切り刃
の根元部から先端部およびその付近まで不活性ガスの雰
囲気とすることができるようになり、焼き付きを防止す
る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る摩擦攪拌接合装置の全体構成を示
す斜視図である。
【図2】本発明に係る摩擦攪拌接合装置に用いる摩擦攪
拌接合用回転ツールを示す要部正面図である。
【図3】同底面図である。
【図4】本発明に係る摩擦攪拌接合装置における回転ツ
ールとチャック手段との関係を示す説明図である。
【図5】本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの動作
の説明図である。
【図6】本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの動作
の説明図である。
【符号の説明】
S 余盛 W1,W2 被接合材 1 摩擦攪拌接合装置 11 摩擦攪拌接合用回転ツール 11A 切り刃 11Aa,11Ab 刃面 12 ツール本体 21 貫通孔 21a 開孔 21b ガス溜まり部 22 チャック手段 22a チャック部 23 ガス通路
フロントページの続き (72)発明者 木下 統雄 兵庫県神戸市兵庫区和田山通2丁目1番18 号 川崎重工業株式会社兵庫工場内 Fターム(参考) 4E067 BG00 CA04 DB03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 突き合わせ部分が余盛仮付け溶接された
    2つの被接合材を、摩擦攪拌接合用回転ツールの切り刃
    によって前記余盛を除去しながら同時に摩擦攪拌接合す
    る摩擦攪拌接合装置の前記摩擦攪拌接合用回転ツールで
    あって、 前記切り刃又はその付近に設けられ前記切り刃およびそ
    の付近に向けて不活性ガスを吹き出す開孔が設けられて
    いることを特徴とする摩擦攪拌接合用回転ツール。
  2. 【請求項2】 突き合わせ部分が余盛仮付け溶接された
    2つの被接合材を、切り刃によって前記余盛を除去しな
    がら同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合方法であっ
    て、 前記切り刃によって前記余盛を除去しながら同時に摩擦
    攪拌接合する際に、少なくとも前記切り刃およびその付
    近を不活性ガスの雰囲気にすることを特徴とする摩擦攪
    拌接合方法。
  3. 【請求項3】 前記切り刃は、前記摩擦攪拌接合用回転
    ツールに設けられたものである請求項2記載の摩擦攪拌
    接合方法。
  4. 【請求項4】 突き合わせ部分が余盛仮付け溶接された
    2つの被接合材を、摩擦攪拌接合用回転ツールの切り刃
    によって前記余盛を除去しながら同時に摩擦攪拌接合す
    る摩擦攪拌接合装置であって、 前記摩擦攪拌接合用回転ツールの切り刃およびその付近
    の雰囲気を不活性ガスの雰囲気にする雰囲気生成手段が
    設けられていることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  5. 【請求項5】 前記雰囲気生成手段は、前記切り刃又は
    その付近に設けられ前記切り刃およびその付近に向けて
    不活性ガスを吹き出す開孔を有する請求項4記載の摩擦
    攪拌接合装置。
  6. 【請求項6】 前記開孔は、前記摩擦攪拌接合用回転ツ
    ールを貫通する貫通孔の下流端開孔であり、 前記貫通孔の上流端は、前記摩擦攪拌接合用回転ツール
    をクランプするチャック手段に設けられ不活性ガスのガ
    ス源に接続されるガス通路に連通されている請求項5記
    載の摩擦攪拌接合装置。
  7. 【請求項7】 前記貫通孔の上流端は、ガス溜まり部と
    なっている請求項5又は6記載の摩擦攪拌接合装置。
  8. 【請求項8】 前記開孔は、前記切り刃の根元部付近に
    位置している請求項5〜7のいずれかに記載の摩擦攪拌
    接合装置。
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