JP2003164917A - 負角成形型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 下型に頼ることなくカム類の調整、修理を行
うことができ、もって生産の立上げや段取り替えに迅速
に対応できる負角成形型を提供する。 【解決手段】 負角成形部５および切れ刃部６を有する
親カム２と、前記負角成形部５と協働する曲げ刃７およ
び前記切れ刃部６と協働する切れ刃８を有する加工カム
２とを共通のカム台４上に配置し、負角成形型を新規に
立ち上げる場合、負角成形部５、曲げ刃７等の補修交換
を行った場合は、カム台４上で親カム２および加工カム
３の調整、修理作業を行い、製作途中や修理等の理由で
下型１の準備が遅れても、時間的な待ちが生じないよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、ワークに、プレス
方向に対して負角となる負角部を成形するための負角成
形型に関する。 【０００２】 【従来の技術】従来、例えば、自動車パネルの端縁部に
負角部を成形するための成形型は、負角成形部を有する
親カムと加工刃を有する加工カムとを下型上に配置し、
上型の下降に応じてこれら親カムと加工カムとを相対移
動させて、前記負角成形部と加工刃との協働により負角
部を成形する構造となっていた。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の負角成形型の構造によれば、親カムと加工カム
とが下型上に直接配置されているため、それらの調整、
修理を行うには、必然的に下型上で調整、修理作業を行
わなければならず、製作途中や修理等の理由で下型の準
備が遅れる場合は、時間的な待ちが生じて、生産の立上
げや段取り替えに遅れを生じ、場合によっては下型の存
在場所にカム類を持込んで調整、修理作業を行うという
余分な労力を費やして、コスト的な無駄が生じることと
なっていた。本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて
なされたもので、その課題とするところは、下型に頼る
ことなくカム類の調整、修理を行うことができ、もって
生産の立上げや段取り替えに迅速に対応できる負角成形
型を提供することにある。 【０００４】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、負角成形部を有する親カムと加工刃を有す
る加工カムとを下型上に配置し、上型の下降に応じて前
記親カムと前記加工カムとを相対移動させてワークに負
角部を成形する負角成形型において、前記親カムと前記
加工カムとを、予めカム台に搭載すると共に該カム台を
介して前記下型上に配置したことを特徴とする。このよ
うに構成した負角成形型においては、親カムおよび加工
カムの調整、修正作業をカム台上で行うことが可能にな
り、下型の準備の影響を受けることはなく適宜のタイミ
ングでカム類の調整、修正作業を行うことができる。 【０００５】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基いて説明する。 【０００６】図１乃至図４は、本発明に係る負角成形型
の一つの実施の形態を示したものである。これらの図に
おいて、１は下型、２は親カム、３は加工カムであり、
親カム２と加工カム３とは下型１上に脱着可能に取付け
たカム台４上に相対移動可能に搭載されている。本負角
成形型は、複数加工用として構成されており、親カム２
の一端側には負角成形部５と切れ刃部６とが設けられ、
一方、加工カム３には、前記負角成形部５と協働してワ
ークＷの端縁部に負角部を成形する曲げ刃７と、前記切
れ刃部６と協働してワークＷの端縁を打抜く切れ刃８と
が取付けられている。 【０００７】また、親カム２の後背面には、プレスラム
に取付けられた上型（図示略）から垂下させた第１固定
カム９に係合するカムプレート１０が取付けられ、一
方、加工カム３の後背部に形成した傾斜面には、同じ上
型から垂下させた第２固定カム１１に係合するカムプレ
ート１２が取付けられている。親カム２と加工カム３と
は、図示を略す上型の下降に応じて第１、第２固定カム
９、１１がそれぞれの背面側のカムプレート１０、１２
に係合することで、相互に接近する方向へカム台４上を
横移動し、上記した負角成形部５と曲げ刃７並びに切れ
刃部６と切れ刃８とが協働する加工位置に進出する。な
お、本実施の形態においては、上記第１固定カム９をサ
ブ的な駆動手段として用いており、親カム２の実際の移
動は、後に詳述する駆動手段３２（図２〜４）により行
うようにしている。また、下型１には、前記第１固定カ
ム９に摺接する支持部１３が設けられているが、これ
は、駆動手段３２が故障した際、第１固定カム９をメイ
ンの駆動手段として用いる場合のバックアップとして必
要なものである。 【０００８】上記カム台４は、図３によく示されるよう
に幅方向で断面コ字形をなし、その内底部に親カム２お
よび加工カム３の下面を支承する２つの支承面２０を所
定の間隔で設けると共に、その左右側壁の内側に親カム
２および加工カム３の両側下部に設けられたフランジ部
２１を案内する案内面２２を設けている。なお、図３に
は、親カム２側のみが示されるが、加工カム３側も同様
の態様となっているので、以下では親カム２に限って説
明することとする。親カム２の下面およびフランジ部２
１の端面には、摺動特性、耐摩耗性等に優れた摺動板２
３、２４がそれぞれ取付けられており、親カム２は、こ
れら摺動板２３、２４を対応するカム台４の支承面２１
および案内面２３にそれぞれ摺接させることにより、カ
ム台４上を円滑に摺動するようになっている。また、カ
ム台４の左右側壁の上端には、親カム２の両側のフラン
ジ部２１を上から押える押え板２５がボルト２６により
固定されており、親カム２は、この押え板２５によりカ
ム台４からの浮き上がりが規制されると共に、該押え板
２５を取外すことにより、カム台４に対して上方から簡
単に脱着できるようになっている。 【０００９】一方、親カム２および加工カム３の幅方向
中央箇所の下部は、図２および図３に示されるように矩
形状にくり貫かれて凹所３０、３１となっており、親カ
ム２の凹所３０には、該親カム２を加工位置と待機位置
との間で往復動させるための駆動手段３２が、加工カム
３の凹所３１には、該加工カム３を加工位置から待機位
置に戻すための付勢手段３３がそれぞれ配設されてい
る。 【００１０】上記親カム２側の駆動手段３２は、図４に
も示されるように、カム台４にブラケット３４を介して
固定されたシリンダ（エアシリンダ）３５と、このシリ
ンダ３４のロッド３６の先端に取付けられた十字状継手
３７と、親カム２に取付けられ、前記十字状継手３７の
左右２つのアーム部に嵌合可能な嵌合溝３８ａを有する
一対の連結片３８とを備えている。シリンダ３４には配
管３９を通じて圧縮エアが給排されるようになってお
り、この圧縮エアの給排に応じてロッド３６が伸長また
は短縮することで、親カム２がカム台４上を進退動す
る。本実施の形態において、親カム２の前進位置（加工
位置）はカム台４の長手方向中間部に突設したストッパ
部４０（図２）により、その後退位置（待機位置）は前
記ロッド３６の短縮端により規定されるようになってい
る。ここで、前記十字状継手３７と一対の連結片３８と
は、予めシリンダ３４を固定したカム台４に対し、その
上方から親カム２を適宜位置決めして下降させることに
より自動的に連結される。 【００１１】上記加工カム３側の付勢手段３３は、図２
に示されるように、固定台４にボルト４１を用いて取付
けたブラケット４２に、水平方向に延ばした状態で一端
部が固定されたガイド部材４３と、このガイド部材４３
に摺動可能に嵌装したばね受４４と、このばね受４４と
ガイド部材４３の他端に設けたフランジ部４３ａとの間
に介装されたばね（圧縮ばね）４５とを備えている。ガ
イド部材４３上のばね受４４は、その背面が加工カム３
の凹所３１の天井に設けられた段部４６に当接するよう
になっており、これにより加工カム３は、常時は前記親
カム１から離間する戻り方向へ付勢されている。なお、
この加工カム３の戻り位置（待機位置）は、カム台４の
端部に突設したストッパ部４７により規定されるように
なっている。また、ばね４５のみでは、加工カム３の戻
し力が不足する場合は、該加工カム３と第２固定カム１
１との間にカム強制戻し機構を設けるようにしてもよ
い。 【００１２】以下、上記のように構成した負角成形型を
用いて行うプレス加工法について説明する。プレス加工
に際しては、親カム２上にワーク（一次加工品）Ｗを載
置した後、駆動手段３２を構成するシリンダ３５の作動
により親カム２を加工位置に前進させ、この前進完了信
号によりプレスラムと一体に上型を下降させる。前記上
型には、親カム２上にワークＷを押えるパッド（図示
略）が設けられており、上型が下降すると、先ず前記パ
ッドがワークＷを親カム２上に押え、続いて第２固定カ
ム１１が加工カム３のカムプレート１２に摺接する。そ
して、第２固定カム１１がカムプレート１２に摺接する
ことにより加工カム３が親カム２側へ前進し、先ず親カ
ム２の負角成形部５と加工カム３の曲げ刃７との協働に
よりワークＷの端縁部に負角部が成形され、続いて親カ
ム２の切れ刃部６と加工カム３の切れ刃８との協働によ
りワークＷの端縁が打抜かれ、これと同時にプレスラム
は下死点に達する。この時、第１固定カム９が親カム２
の背面側のカムプレート１０と下型１の支持部１３との
間に介在して親カム２をバックアップしているので、前
記負角部の成形および打抜きは高精度に実行される。 【００１３】プレスラムは、上記したように下死点に達
した後、上昇に転じ、これにより加工カム３が付勢手段
３３内のばね４５の付勢力で後退し、続いて、図示を略
すパッドがワークＷから離れると共に第１固定カム９が
親カム２から離れる。すると、これにタイミングを合せ
て駆動手段３２のシリンダ３５が再作動されてそのロッ
ド３６が短縮し、親カム２が待機位置に後退する。一
方、前記タイミングで第２固定カム１１が加工カム３か
ら完全に離れ、加工カム３も待機位置に復帰し、これに
て一連のプレス加工は完了する。なお、親カム２側の駆
動手段３２を構成するシリンダ３５が、何らかのトラブ
ルで失陥した場合は、第１固定カム９が親カム２を駆動
するので、生産が中止に追い込まれることはなくなる。 【００１４】ところで、上記構成の負角成形型を新規に
立ち上げる場合はもちろん、親カム２側の負角成形部
５、切れ刃部６または加工カム３側の曲げ刃７、切れ刃
８等の補修交換を行った場合は、親カム２と加工カム３
との調整、修理が必要となる。この場合、本負角成形型
は、上記したように親カム２および加工カム３を始め、
それらの駆動手段３２、付勢手段３３をカム台４上に一
括して搭載する構造となっているので、このカム台４で
親カム２と加工カム３との調整、修理作業を行うことが
できる。すなわち、下型１と無関係にカム類の調整、修
理作業を行うことができるので、製作途中や修理等の理
由で下型１の準備が遅れても、時間的な待ちが生じるこ
とはなく、しかも、下型の存在場所にカム類を持込んで
調整、修理作業を行うなどという余分な労力を費やす必
要もなくなる。 【００１５】 【発明の効果】以上、説明したように、本発明に係る負
角成形型によれば、親カムおよび加工カムの調整、修正
作業を下型と切離して行うことができるので、生産の立
上げや段取り替えに迅速に対応できる効果がある。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の一つの実施の形態としての負角成形型
の構造を示したもので、図３のＡ−Ａ矢視線に沿う断面
図である。 【図２】本負角成形型の構造を示したもので、図３のＢ
−Ｂ矢視線に沿う断面図である。 【図３】本負角成形型を、幅方向の断面で示す断面図で
ある。 【図４】本負角成形型で装備する、親カムの駆動手段の
構造を示す斜視図である。 【符号の説明】 １ 下型 ２ 親カム ３ 加工カム ４ カム台 ５ 親カムの負角成形部 ６ 親カムの切れ刃部 ７ 加工カムの曲げ刃 ８ 加工カムの切れ刃 ９ 第１固定カム １１ 第２固定カム ３２ 親カムの駆動手段 ３３ 加工カムの付勢手段

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 負角成形部を有する親カムと加工刃を有
   する加工カムとを下型上に配置し、上型の下降に応じて
   前記親カムと前記加工カムとを相対移動させてワークに
   負角部を成形する負角成形型において、前記親カムと前
   記加工カムとを、予めカム台上に搭載すると共に該カム
   台を介して前記下型上に配置したことを特徴とする負角
   成形型。