JP2003161962A - 画像シフト素子および画像表示装置 - Google Patents

画像シフト素子および画像表示装置

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JP2003161962A JP2001361976A JP2001361976A JP2003161962A JP 2003161962 A JP2003161962 A JP 2003161962A JP 2001361976 A JP2001361976 A JP 2001361976A JP 2001361976 A JP2001361976 A JP 2001361976A JP 2003161962 A JP2003161962 A JP 2003161962A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電圧印加が「ON」状態から「OFF」状態
に遷移させる際の液晶の応答遅れに起因する2重像の発
生を抑制した画像シフト素子、および、当該画像シフト
素子を用いた画像表示装置を提供する。 【解決手段】 光軸の位置を周期的にシフトさせる画像
シフト部を少なくとも1つ備えた画像シフト素子であ
る。画像シフト部は、印加電圧のHigh/Lowに応
じて、光の偏光方向を、直交する2つの方向の間で切り
替える液晶素子10と、光の偏光方向によって屈折率が
異なる複屈折素子11とを備えている。液晶素子10お
よび複屈折素子11は、この順序で光を透過するように
配置されている。液晶素子10に含まれる液晶層は、自
然ピッチ長をp、セルギャップをdとしたとき、0.2
5<d/p<1の関係式を満足するTNモード液晶層か
ら形成され、液晶セル内で90°捩れるように配置され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘッド・マウント
・ディスプレイ(以下、「HMD」と称する。)や投影
型画像表示装置(プロジェクタ)などに好適に用いられ
る画像シフト素子、および当該画像シフト素子を備えた
画像表示装置に関している。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、一対の基板と、これら
の基板間に挟まれた液晶層とを備えている。基板は、行
および列(マトリクス)状に規則的に配列された複数の
画素電極を有しており、画像信号に対応した駆動電圧が
画素電極のそれぞれに印加される。この電圧印加によっ
て液晶層の光学特性(光の透過率や反射率)が画素ごと
に変化するため、画像や文字などを表示することができ
る。
【0003】基板上の各画素電極に独立した駆動電圧を
印加する方式には、「単純マトリクス方式」と「アクテ
ィブマトリクス方式」とがある。
【0004】アクティブマトリクス方式の場合、各画素
電極に対応するスイッチング素子が基板上に配列され
る。このようなスイッチング素子が配列された基板をア
クティブマトリクス基板と呼ぶ。アクティブマトリクス
基板上のスイッチング素子は、対応する画素電極と信号
配線との間で電気的な導通/非導通状態を切り替える働
きをする。このようなスイッチング素子には、金属−絶
縁体−金属(MIM)素子や薄膜トランジスタ(TF
T)などが好適に用いられている。
【0005】スイッチング素子は、非導通状態のとき、
可能な限り高い電気抵抗を示すことが要求される。しか
し、非導通状態にあるスイッチング素子に対して強い光
が入射すると、スイッチング素子の電気抵抗が低下し、
リーク電流が発生するため、画素電極に蓄えられていた
電荷が放電されてしまうという問題が生じる。また、画
素電極に適切なレベルの駆動電圧が印加されず、本来の
表示動作が実行されなくなり、黒状態でも光が漏れてコ
ントラスト比が低下するという問題も生じる。
【0006】液晶表示素子が透過型の場合は、上記問題
を解決するため、アクティブマトリクス基板上、また
は、アクティブマトリクス基板とは液晶層を挟んで対向
する対向基板に、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光層
が配置される。このブラックマトリクスの存在は、画素
開口部の面積割合(開口率)を小さくしてしまう。ブラ
ックマトリクスの占有面積を縮小して高精細化を達成す
るには、スイッチング素子や配線を微細化すればよい
が、スイッチング素子や配線を微細化すると、駆動力の
低下や配線抵抗の増加を招くことになる。また、製造技
術上の制約からも、スイッチング素子や配線を微細化す
るのは難しい。
【0007】ブラックマトリクス上の非表示領域を利用
して高精細化をはかる目的で、表示画像を画素ピッチ程
度だけ光学的に移動させる技術が米国特許第4,984,
091号に開示されている。この技術によれば、画素の
移動に同期させ、移動した画素位置に対応する映像を表
示される。その結果、見かけ上の画素数が増えるため、
解像度の低い表示素子を用いても、高精細の表示パネル
を用いた場合と同様の表示が可能となる。
【0008】米国特許第6,061,103号は、赤、
緑、青(以下、「RGB」と称する。)の各画素をシフ
ト素子によって光学的に順次シフトさせ、シフトした画
素を重ね合わせて表示する方法を開示している。この方
法では、1つの画素に対応する領域において、RGBの
各画素が時分割で表示される。その結果、表示パネル上
の画素ピッチを縮小せずに、見かけの解像度を3倍に向
上させることができる。
【0009】上記米国特許第6,061,103には、画
像を光学的にシフトさせる手段として、液晶素子と複屈
折素子とを組み合わせた画像シフト素子が開示されてい
る。複屈折素子は、入射する光の偏光方向によって光の
屈折方向が変わる材料から形成されたものである。複屈
折素子に入射する光の偏光方向を液晶素子によって変え
れば、複屈折素子から出る光の光軸をシフトざることが
できる。
【0010】図1は、公知の画像シフト素子を示してい
る。この画像シフト素子は、光線の伝搬方向に沿って直
列的に配列された液晶素子7および複屈折素子11を備
えている。液晶素子7は、入射してきた直線偏光の電場
ベクトル振動面(以下、「偏光面」と称する。)を90
°回転させた状態と、回転させずにそのまま透過する状
態との間で偏光状態をスイッチングする。複屈折素子1
1は、入射してきた直線偏光の偏光面の向きに応じて光
線をシフトさせることができる。
【0011】図1に示されている例では、液晶素子7に
入射する光の電場ベクトル方向(偏光方向)は紙面に垂
直である。液晶素子7は屈折率異方性△εが正のTNモ
ードの液晶(TN液晶)を用いているため、液晶素子7
の液晶層に電圧が印加されていない時(電圧OFF状態
の時)、液晶分子は90°ねじれた状態にあり、その旋
光性によって入射光の偏光面は90°回転する。一方、
液晶素子7の液晶層に所定レベル以上の電圧が印加され
ている時(電圧ON状態の時)、液晶分子の向きは電界
の向きに整合した状態にあるため、入射光の偏光面は紙
面に垂直なまま出射されることになる。そして、図示さ
れている複屈折素子11は、偏光面が紙面に垂直な光は
そのまま透過させるが、紙面に平行な光はシフトさせる
ことができる。
【0012】図1に示すような画像シフト素子内の液晶
素子7は、印加される電圧の大きさに応じて、第1の直
線偏光を出射する状態と、これに垂直な偏光面を有する
第2の直線偏光を出射する状態との間で状態を適切かつ
迅速に切り替えることが求められる。
【0013】前述したように、上記のTN液晶を用いた
液晶素子の場合、電圧をTN液晶に印加しないとき、液
晶素子に入射した直線偏光は偏光面が90°回転した直
線偏光として出射されるが、TN液晶に電圧を印加する
と、液晶分子の向きは電界によって速やかに変化し、入
射光の偏光を変化させない状態に遷移する。一方、TN
液晶に対する電圧の印加を停止すると、液晶分子は、も
との状態に遷移(緩和)するが、その速度は遅い。
【0014】このように、液晶層に印加する電圧をLo
w(典型的には0ボルト)からHigh(例えば5ボル
ト)へと変化させる場合と、印加電圧をHighからL
owへと変化させる場合との間では、液晶分子の向きが
変化する速度が異なっている。この応答速度を評価する
には、液晶層の前後に一対の直交した偏光子を配置し、
光の透過率の時間的変化を測定すればよい。図2は、印
加電圧をLowからHighへと変化させた後、所定時
間経過後に印加電圧をHighからLowへと変化させ
た場合の透過率(transmittance)の変化
を示している。ここで、透過率が最大値からゼロまで下
降する時間を「液晶の立ち上がり応答時間τr」をと称
し、透過率がゼロから最大値まで上昇する時間を「液晶
の立ち下がり応答時間τd」と称することとする。液晶
の立ち上がり応答時間τrは比較的短いが、立ち下がり
応答時間τdは、比較的長い。液晶の立ち下がり応答時
間τdが長いと、画像表示素子が表示する画像の切り替
えのタイミングに同期させて画像をシフトさせることが
できなくなる。この問題を説明する前に、まず、像表示
装置における画像の切り替え速度について説明する。
【0015】通常、画像表示素子の駆動方法には、イン
ターレース駆動とノンインターレース駆動のどちらかが
一般的に用いられる。インターレース駆動は、フィール
ド毎に奇数行のみと偶数行のみをそれぞれ選択し、奇数
と偶数のフィールドで1つの画像を完成させる表示方法
で、各フィールドの選択時間は、通常16.6ミリ秒
(60Hz)である。一方、ノンインターレース駆動は、
表示素子の奇数行と偶数行に関係なく、順次選択する表
示方法であり、各フィールドの選択時間は、インターレ
ース駆動と同様に通常16.6ミリ秒(60Hz)であ
る。ここで、フィールドとは、インターレース駆動、ノ
ンインターレース駆動を問わず、画像の垂直同期間の期
間を呼ぶ。液晶表示素子では、ブランキングタイムを含
めたスキャン期間がフィールド期間に相当する。
【0016】上記の米国特許第6,061,103号に記
載されている方法では、R、G、Bのシフト位置に応じ
て1フィールド期間を分割し、分割され期間(以下、
「サブフィールド期間」と称する。)毎に異なる画像
(「サブフィールド画像」)を画像表示素子に表示させ
ることなる。この場合のサブフィールド期間は5ミリ秒
程度となるため、画像シフト素子は、5ミリ秒程度の短
い時間間隔で画像をシフトさせる必要がある。更に、画
像シフト素子による画像のシフトは、サブフィールドの
切り替えとタイミングを同期させる必要があるため、サ
ブフィールドの切り替えと同時に液晶素子に印加される
電圧に応答して高速に状態を遷移させることが求められ
る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
液晶素子の場合、電圧の印加に応答して高速に状態を遷
移させることが難しい。例えばTNモード液晶の場合、
図2に示すように、立ち上がりの応答時間τrは比較的
短いが、立ち下がりの応答時間τdは、通常十数ミリ秒
程度であり、サブフィールドの選択期間よりも長い。
【0018】このように応答時間に差が生じる理由は、
図2における曲線の「立ち上がり」が、電圧を液晶に印
加して液晶分子の向きを強制的に1方向に配向させるこ
とによって行うのに対し、「立ち下がり」は、液晶への
電圧印加を停止して液晶分子の配向をもとの状態に自然
に緩和させることによって行うためである。
【0019】このように立ち下がり応答時間τdの長い
液晶を用いたのでは、偏光の切り替えが適切に行えない
という問題がある。図1を参照しながら、この問題を説
明する。図1に示すように、液晶セル7への電圧印加を
「ON」状態から「OFF」状態に変化させると、液晶
素子7から出射した光の偏光面が90°回転し、その結
果、複屈折素子11から出射する光の光軸は、位置Bか
ら位置Aにシフトする。このとき、立ち下がり応答時間
τdが長すぎると、立ち下がりの過渡的段階で直線偏光
が楕円偏光化し、位置Aおよび位置Bの両方に同じ映像
が2重に表示されてしまうため、解像度が低下すること
になる。
【0020】また、立ち下がり応答時間τdと立ち上が
り応答時間τrとの間に大きな差が存在すると、画像を
位置Aから位置Bにシフトさせる場合と、その逆の場合
とで、2重像の発生レベルに差異が生じ、こからフリッ
カとして視認されることになる。
【0021】なお、特開2000−199901号公報
は、TNモード型液晶表示装置において、液晶に添加す
るカイラル剤の濃度を調節することにより、液晶固有の
捩れ角を大きくし、それによって、電圧を「ON状態」
から「OFF状態」に変化させるときの液晶応答速度を
改善できることを教示している。しかしながら、液晶表
示装置の場合、このようにカイラル剤の濃度を高める
と、電圧「ON」状態において液晶層に印加されるべき
電圧の大きさを従来に比べて高める必要があるるが、こ
のことは表示領域内のスイッチング素子として機能する
半導体薄膜トランジスタの能力を考慮すると、実用上困
難であった。また、液晶固有の捩れ角を大きくする程、
電圧「OFF」状態の液晶が不安定となり、90°の捩
れを短時間の間しか維持できなくなるという問題もあっ
た。このため、上記の技術は実際の液晶素子に適用され
ることはなかった。
【0022】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、電圧印加が「ON」状態から
「OFF」状態に遷移させる際の液晶の応答遅れに起因
する2重像の発生を抑制した画像シフト素子、および、
当該画像シフト素子を用いた画像表示装置を提供するこ
とにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明による画像シフト
素子は、光軸の位置を周期的にシフトさせる画像シフト
部を少なくとも1つ備えた画像シフト素子であって、前
記画像シフト部は、印加電圧のHigh/Lowに応じ
て、光の偏光方向を、直交する2つの方向の間で切り替
える液晶セルと、光の偏光方向によって屈折率が異なる
複屈折素子と、を備えており、前記液晶セルおよび複屈
折素子は、この順序で光を透過するように配置され、前
記液晶セルに含まれる液晶層は、自然ピッチ長をp、セ
ルギャップをdとしたとき、0.25<d/p<1の関
係式を満足するTNモード液晶層から形成され、前記液
晶セル内で90°捩れるように配置されている。
【0024】好ましい実施形態において、前記液晶層の
自然ピッチ長pは、カイラル剤の添加によって調節され
ている。
【0025】好ましい実施形態において、前記液晶層
は、0.5<d/pの関係式を満足する。
【0026】好ましい実施形態において、前記液晶層
は、d/p<0.75の関係式を満足する。
【0027】好ましい実施形態において、前記液晶層の
プレチルト角は5°未満に調節されている。
【0028】好ましい実施形態において、前記画像シフ
ト部の個数は複数である。
【0029】本発明による画像シフト素子モジュール
は、上記いずれかの画像シフト素子と、前記画像シフト
素子の前記液晶セルに電圧を供給する駆動回路とを備
え、前記駆動回路は、シフトさせるべき画像の切り替え
タイミンングに同期させて前記電圧を変化させる。
【0030】好ましい実施形態において、前記駆動回路
は、選択された期間、前記画像シフト素子の液晶セルに
含まれる液晶層の略全体に対して7ボルト以上の電圧を
印加する。
【0031】前記選択された期間は、画像のサブフィー
ルド期間以上の長さを有している。
【0032】本発明による画像表示装置は、画像を表示
する画像表示部と、上記いずれかの画像シフト素子とを
備えた画像表示装置であって、前記画像シフト素子を用
いることにより、前記画像表示部から出た光を前記画像
表示部の表示に同期させながらシフトさせる。
【0033】好ましい実施形態において、前記画像シフ
ト素子の前記液晶セルに電圧を供給する駆動回路を更に
備えている。
【0034】好ましい実施形態において、前記駆動回路
は、選択された期間、前記画像シフト素子の液晶セルに
含まれる液晶層の略全体に対して7ボルト以上の電圧を
印加する。
【0035】好ましい実施形態において、前記選択され
た期間は、画像のサブフィールド期間以上の長さを有し
ている。
【0036】好ましい実施形態において、前記画像表示
部から出て前記画像シフト素子に入射する光は直線偏光
である。
【0037】好ましい実施形態において、前記画像のシ
フトにより、前記画像を構成する画素が時分割で重畳さ
れる。
【0038】本発明による他の画像表示装置は、光源
と、各々が光を変調することができる複数の画素領域を
有する画像表示パネルと、前記光源からの光を波長域に
応じて前記複数の画素領域のうちの対応する画素領域に
集光させる光制御手段と、前記画像表示パネルで変調さ
れた光によって被投影面上に画像を形成する光学系とを
備えた画像表示装置であって、前記画像を構成する各フ
レーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデー
タを生成し、前記画像表示パネルによって前記複数のサ
ブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、前記画像
表示パネルによって表示される前記複数のサブフレーム
画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記被投影面
上でシフトさせる上記いずれかに記載の画像シフト素子
とを備え、前記画像表示パネルの異なる画素領域で変調
された異なる波長域に属する光で前記被投影面上の同一
領域を順次照射する。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明による画像シフト素子は、
光軸の位置を周期的にシフトさせる画像シフト部を少な
くとも1つ備えている。この画像シフト部は、図1に示
す従来の画像シフト素子と同様に、液晶セルおよび複屈
折素子を備えている。本発明の特徴のひとつは、液晶セ
ルに含まれる液晶層が、自然ピッチ長をp、セルギャッ
プをdとしたとき、0.25<d/p<1の関係式を満
足するTNモード液晶層から形成され、液晶セル内で9
0°捩れるように配置されている点にある。
【0040】d/pで示される値は、液晶層に添加する
カイラル剤の種類と濃度によって制御することができ
る。カイラル剤のHTP(Herical Twisting Power)を
x、カイラル剤の濃度をcとすると、液晶の自然ピッチ
pは、xおよびcによって以下の式で表される。
【0041】p=1/(c・x)
【0042】xは、液晶およびカイラル剤の組み合わせ
に固有の値であるため、カイラル剤の濃度cを調節する
ことにより、所望の自然長ピッチpを得ることができ
る。
【0043】ここで、セルギャップd(=液晶層の厚
さ)の液晶層において、自然捩れ角度φは、以下の式で
示される。
【0044】φ=(d/p)・360°
【0045】この自然捩れ角φは、液晶層の上面および
下面における液晶分子の向きを配向膜などによって規制
しない場合の自然な捩れの角度である。
【0046】本発明では、カイラル剤の濃度cを調節す
ることにより、pを小さくし、d/pが0.25<d/
p<1の関係式を満足するようにしている。この場合、
自然捩れ角φは90°<φ<360°を満足する大きさ
になる。一方、本発明では、配向膜などによって捩れ角
を規制することにより、上記液晶層の捩れ角を90°に
設定している。
【0047】このように本発明では、実用化されている
液晶表示装置に比べて高い濃度のカイラル剤を画像シフ
ト素子の液晶層に添加することにより、自然捩れ角φを
90°を超える大きさに設定している。このため、配向
膜などによって90°の捩れを液晶層に与えた状態では
液晶層に歪みが生じることになる。このような歪みの導
入により、液晶層に印加する電圧をON状態からOFF
状態に変化させたときの応答速度を向上させることがで
きる。
【0048】応答速度を高めるという観点からは、0.
5<d/pの関係式を満足することが好ましい。ただ
し、d/pが大きくなるほど、ON状態の印加電圧を大
きくする必要があるため、d/p<0.75とすること
が好ましい。
【0049】本発明では、d/pを高めに設定した液晶
層を、液晶表示装置内ではなく、画像シフト素子内の液
晶セルに用いている。画像シフト素子内の液晶セルで
は、中間調の表示は不要であり、入射光の偏光面を回転
させる状態と回転させない状態との間で2値的なスイッ
チングを行うことが求められる。また、画像シフト素子
の液晶セルでは、通常、線順次走査ではなく、面一括的
なスイッチングで画像をシフトさせることが必要であ
る。このため、画像シフト素子の液晶セルでは、液晶層
の広い領域(典型的には略全体)に電圧を印加し、しか
も、サブフィールド期間以上の間、電圧印加状態を継続
させることになる。すなわち、画像シフト素子の液晶セ
ルでは、アクティブマトリクス駆動ではなく、スタティ
ック駆動を行うことができ、しかも、液晶層の状態が遷
移する単位領域は、画素程度の大きさではなく、例えば
数平方センチメール以上の広さを持つ。
【0050】一方、液晶表示装置では、画像を形成する
ために、画素単位の狭い領域ごとに液晶層の電圧印加状
態を変化させる必要がある。また、線順次駆動の場合、
例えば、ある走査線上の液晶領域に低電圧が印加された
後、次の走査線上の液晶領域に対して高電圧が印加され
る場合がある。このような場合、隣接する画素領域で液
晶の状態が干渉する結果、液晶の状態が不安定化するお
それがある。
【0051】このような液晶表示装置では、d/pの大
きさを例えば0.5よりも大きくすると、プレチルト角
を5°以上に設定しないかぎり、液晶の状態が隣接する
領域の液晶によって強い影響を受け、光漏れ領域やディ
スクリネーションが発生して表示品位の以下を引き起こ
したり、安定した動作が不能になるおそれがある。
【0052】これに対し、本発明の画像表示装置の液晶
セルでは、液晶層の広い領域にわたって略一様な電圧を
スタティックに印加するため、d/pの大きさを0.5
よりも大きくしても、液晶の安定性は保たれ、プレチル
ト角を任意に設定することができる。逆に、本発明にお
いてプレチルト角を大きくとすると、電圧無印加状態に
おける液晶層による旋光に異常が生じ、偏光に残留成分
が加わる結果、偏光度が劣化することになる。このた
め、本発明では、プレチルト角を小さくすることが好ま
しい。故に、本発明では、ブレチルト角を、好ましくは
5°未満、より好ましくは、4°未満、更に好ましくは
3°未満に設定する。
【0053】このように、本発明の画像シフト素子の場
合、d/pが大きい場合でも、プレチルト角を充分に小
さな値に設定することができるので、液晶の偏光特性を
急峻にスイッチングすることが可能になる。
【0054】上述のように、本発明の画像シフト素子で
は、サブフィールド期間、または、それ以上の長い期間
にわたって、液晶層の略全体に対し、駆動回路によって
(薄膜トランジスタなどを介することなく)所定の電圧
を持続的に印加するため、液晶状態が安定的に保持さ
れ、偏光面のスイッチングが高い精度で実現する。従っ
て、d/pを液晶表示装置では実用上採用が困難な大き
な値(例えば0.5よりも大きな値)に設定しても、プ
レチルト角を充分に小さくしたままで電圧OFF時の液
晶状態を安定化できるため、二重像の発生を効果的に防
止することができる。
【0055】以下、図10から図13を参照しながら、
液晶の応答速度とd/pとの関係を説明する。
【0056】まず、図10を参照する。図10は、液晶
の「立ち下がり応答」とd/pとの関係を示している。
この関係は、計算機シミュレーションによって求めたも
のである。図10からわかるように、d/pが0.25
を超えて1に近づくほど、液晶の立ち下がり応答時間は
短くなる。
【0057】また、図10からは、d/pが0.25以
下の場合、透過率(Transmittance)が一
旦減少した後、再び増加して100%に達していること
がわかる。これは、液晶層に印加する電圧を解除したと
き、液晶層の略中央部における液晶分子が、基板に近い
側に位置する液晶の粘性により、反対方向の力を受ける
ために生じる現象(バックフロー)に起因している。カ
イラル剤の添加量を増加させれば、このバックフローを
抑制して応答速度を高めることが可能になる。
【0058】図11は、「電圧−透過率曲線」がd/p
によってどのように変化するかを示している。この電圧
−透過率曲線も計算機シミュレーションによって求め
た。図11からわかるように、透過率(Transmi
ttance)をゼロにするのに必要な電圧(電圧Hi
ghのレベル)は、d/pが0.25を超えて1に近づ
くほど高くする必要がある。実験によれば、印加電圧は
7ボルト以上であることが好ましく、10ボルト以上で
あることが更に好ましい。
【0059】なお、液晶表示装置の場合、アクティブマ
トリクス駆動を行うときは、スイッチング素子および画
素電極を介して液晶層に電圧が印加されるため、7ボル
トを越えるような大きな電圧を液晶層に印加することが
できず、また、印加電圧の大きさも時間とともに減少す
る傾向がある。このため、液晶表示装置では、d/pを
大きくすると、透過率が低下、または経時的に減少する
という問題が生じる。しかしながら、画像シフト素子の
場合は、液晶セルの一対の透明電極に対して、駆動回路
から所定の電圧を印加できるため、液晶層の状態制御に
必要な所望の大きさの電圧を適確に液晶層に印加するこ
とができる。
【0060】図12は、d/pが0.04、0.26、
0.51の場合において、実際の測定により求めた液晶
の「立ち下がり」応答曲線を示している。図12からわ
かるように、d/pが0.26の場合は、前述したバッ
クフローが抑制されている。このバックフローの抑制
は、d/pが0.5を超えた場合に顕著であることがわ
かる。
【0061】図13は、液晶の立ち下がり応答時間τd
の実測値とd/pとの関係を示すグラフである。図13
からわかるように、d/pが0.25を超えて大きくな
るほど、液晶の立ち下がり応答速度τdは短くなってい
る。d/pが0.5を超えると、その立ち下がり応答速
度τdは、d/pが0.04の場合(比較例)の立ち下
がり応答速度τdの50%以下に短縮している。実験に
よると、d/pが0.5を超えて1に近づくほど、液晶
の90°捩れた状態が不安定化し、270°の捩れが発
生するおそれが強まる。このため、d/pは0.75よ
りも小さく設定することが好ましい。d/pの最も好ま
しい範囲は0.5<d/p<0.65である。
【0062】なお、本明細書では、液晶層に印加する電
圧のHigh/Lowによって、液晶を透過した光の偏
光面が90°異なる2つの状態をとり得る場合におい
て、液晶層にHighの電圧を印加し、所定の直線偏光
を出射し得る状態にしたとき、「液晶層(または液晶セ
ル)はON状態にある」と称する。そして、液晶層を
「ON状態」にするために必要な電圧の大きさ(絶対
値)よりも充分に小さい電圧を液晶層に印加し、その結
果、その液晶層が「ON状態」にあるときに得られる出
射光の偏光面に対して略直交する偏光面を持つ光が液晶
層から出射されるとき、「液晶層(または液晶セル)は
OFF状態にある」と称する。
【0063】液晶層を「OFF状態」にするには、その
液晶層に印加する電圧(Low)の大きさをゼロにすれ
ばよい。ただし、液晶層を「OFF状態」にするとき、
ゼロでない値(例えば2.5ボルト)を有する電圧(オ
フセット電圧)を印加してもよい。
【0064】なお、本明細書で用いる印加電圧「Hig
h」とは、液晶層を「ON状態」にできるレベルの電圧
であり、印加電圧「Low」とは、液晶層を「OFF状
態」にできるレベルの電圧である。屈折率異方性△εが
正のTN液晶を用いた場合、「ON状態」の液晶は、電
界の向きに液晶分子を配向させており、「OFF状態」
の液晶は、約90°捩れた状態にある。一方、屈折率異
方性△εが負のTN液晶を用いた場合、「ON状態」の
液晶は、約90°捩れた状態にあり、「OFF状態」の
液晶は、液晶分子を一方向に配向させている。本明細書
では、屈折異方性△εが正の液晶を用いた場合を中心に
発明を説明するが、本発明は屈折率異方性△εが負の液
晶を用いても実現できる。
【0065】以下、図面を参照しながら、本発明による
画像表示装置の好ましい実施形態を説明する。
【0066】(実施形態1)まず、図3を参照する。図
3は本発明の画像表示装置の模式図である。
【0067】図示されている本実施形態の画像表示装置
は、バックライト1、液晶表示素子2、画像シフト素子
3、および観察光学系4を備えている。バックライト1
は透過型の液晶表示装置2を照明する光源であり、液晶
表示素子2は、駆動回路5から駆動信号および映像信号
を受け取り、映像信号に応じた内容を持つ画像を表示す
ることができる。観察光学系4は、液晶表示素子2で表
示された画像を光学的に拡大するための光学系である。
観察者は、画像シフト素子3および観察光学系4を介し
て、液晶表示装置2で表示された画像を観察することが
できる。
【0068】本実施形態では、バックライトが必要な透
過型液晶表示素子を用いているが、画像を表示できる素
子であれば、反射型の液晶表示素子だけでなく、有機E
L素子やプラズマスディスプレスパネル(PDP)など
の自発光型の表示素子を用いることもできる。
【0069】画像シフト素子3の動作は、画像シフト素
子用の駆動回路6によって制御される。この駆動回路6
は、液晶表示素子2の映像表示に同期した駆動信号を画
像シフト素子3に供給する。駆動回路6は画像シフト素
子3に含まれる液晶素子に対してHighまたはLow
の電圧を印加するための電圧印加部を有している。この
ような画像シフト素子3と駆動回路によって画像シフト
素子モジュールが構成される。
【0070】上記構成素子のうち、バックライト1、液
晶表示素子2、観察光学系4、および駆動回路5は、従
来の画像表示装置で用いられてきた素子や回路と同様の
構成を有しており、本実施形態に係る表示装置の特徴点
は、画像シフト素子3の構成および動作にある。以下、
図4(a)〜(d)を参照しながら、画像シフト素子3
を詳細に説明する。
【0071】図示されている画像シフト素子3は、2枚
の液晶素子7と3枚の複屈折素子8を用いて作製されて
いる。2枚の液晶素子7は、それぞれ、液晶層と、液晶
層の光入射面および光出射面を挟み込む一対の透明電極
とを備えている。本実施形態における各液晶素子7は、
入射光の偏光面を約90°回転させる状態(第1の状
態)と、入射光の偏光面を実質的に回転させずにそのま
ま出射する状態(第2の状態)との間でスイッチング
し、印加電圧の大きさに応じて、いずれかの状態を選択
的にとり得る。
【0072】本実施形態における液晶素子7は、例え
ば、メルク社製のZLI−2293の液晶に対して、カ
イラル剤(S−811:メルク社製)を1.5〜3質量
%程度添加することによって、d/pを0.55〜0.
75程度に設定した液晶セルを用いて作製される。d/
pの値は、上記の範囲に限定されず、0.25〜1の範
囲内で必要な値に設定される。本実施形態の場合におい
て、d/pの好ましい範囲は、0.5〜0.65であ
る。
【0073】複屈折素子8は、一軸結晶材料(例えば水
晶)から作製される。複屈折素子8に用いられる材料
も、水晶に限定されず、一軸結晶であれば、如何なるも
のであってもよい。例えば、ニオブ酸リチウム、方解
石、雲母、ルチル(TiO2)、チリ硝石(NaNO3
などの材料を用いることができる。ただし、HMDのよ
うに、表示装置の総重量を小さくする必要がある場合、
屈折率異方性(△n)が相対的に大きなニオブ酸リチウ
ムやルチルを用いることが好ましい。△nが大きい材料
であれば、必要な画像シフト量を得るために必要な複屈
折素子8の厚さを薄くできるため、小型化および軽量化
に適している。
【0074】複屈折素子8は、複屈折素子8の光入射面
から傾斜した光学軸を有している。複屈折素子8は、入
射光の進行方向および光学軸を含む平面(以下、「主断
面」と称する。)内において、入射光線を常光と異常光
に分離することができる。従って、複屈折素子へ入射す
る光の偏光方向が「主断面」に対して垂直であれば、入
射光は複屈折素子8にとって常光となるため、主断面内
をまっすぐに伝搬する。一方、複屈折素子8へ入射する
光の偏光方向が主断面に対して平行であれば、入射光は
複屈折素子8にとって異常光となるため、主断面内を屈
折する。
【0075】以上のことから、液晶素子7に印加する電
圧レベルを変えることにより、入射光の偏光方向を複屈
折素子8の主断面に対して垂直または水平な方向にスイ
ッチングすれば、複屈折素子8の主断面内において、入
射光線をシフトさせることができる。そして、その結
果、表示素子2に表示された画像を入射光軸に垂直な方
向へシフトさせることができる。本実施形態では、d/
pを調節することによって立ち下がり応答速度を向上さ
せたTN液晶を用いているため、偏光方向の切り替えを
高速に行うことができる。なお、本実施形態では、プレ
チルト角を2°程度に設定した。
【0076】図4(a)では、2枚の液晶素子7を、い
ずれも「OFF」状態にすることより、仮想平面上の位
置Aに光線を導いている。図4(b)では、2枚の液晶
素子7を、それぞれ、「ON」状態および「ON」状態
にすることより、上記仮想平面上の位置Bに光線を導い
ている。図4(c)では、2枚の液晶素子7を、それぞ
れ、「ON」状態および「OFF」状態にすることよ
り、仮想平面上の位置Cに光線を導いている。図4
(d)では、2枚の液晶素子7を、いずれも「OFF」
状態にすることより、仮想平面上の位置Dに光線を導い
ている。
【0077】以上のように、2つの液晶素子7に印加す
る電圧を制御することにより、表示素子2上の画像をA
→B→C→D→A→・・・とシフトさせることができ
る。このような画像のシフトは、表示素子2で表示され
る画像の切り替えのタイミングと同期して実行される。
【0078】図5(a)は、上記画像シフト素子による
シフト動作を行わない場合の画素配列を示し、図5
(b)は、画像シフト素子によるシフト動作を行った場
合の画素配列を示している。画像シフト素子を用いるこ
とにより、液晶表示素子2の画素数が実効的に4倍に増
加していることがわかる。
【0079】なお、本明細書では、偏光面制御用の電圧
が液晶素子7に印加され、液晶素子7から出射した光の
偏光面が電圧無印加の場合に比べて約90°回転すると
き、「液晶素子はON状態にある」と称することとす
る。そして、液晶素子を「ON状態」にするために必要
な電圧の大きさ(絶対値)よりも充分に小さい電圧を液
晶素子7の液晶に印加し、その結果、液晶素子7が「O
N状態」にあるときに得られる出射光の偏光面に対して
略直交する偏光面を持つ光が液晶素子7から出射される
とき、「液晶素子はOFF状態にある」と称することに
する。
【0080】液晶素子を「OFF状態」にするには、ゼ
ロでない値(例えば2.5ボルト)を有する電圧(オフ
セット電圧)を印加してもよい。
【0081】前述したように、本実施形態では、画像シ
フト素子内の各液晶素子7に印加する電圧の大きさを相
対的に高いレベル(例えば8ボルト以上)と相対的に低
いレベル(例えば1ボルト以下)との間でスイッチング
し、それによって、ある仮想平面上で1つの画素をA→
B→C→Dの4つの異なる位置に順次シフトさせる。
【0082】本実施形態では、表示画素を4つの位置に
順次シフトさせるが、本発明による画像シフト素子のシ
フト方向及びシフト位置数は、これに限定されるもので
はない。また、本実施形態の表示装置は、HMDとして
好適に用いられ得るものであるが、本発明はこれに限定
されない。本発明は、投影型画像表示装置に適用するこ
とも可能である。この場合、拡散光を出すバックライト
1に代えて、指向性を有する照明光源を用い、観察光学
系に代えて投射レンズを用いればよい。
【0083】(実施形態2)次に、図6を参照しなが
ら、本実施形態による画像表示装置の他の実施形態を説
明する。
【0084】本実施形態に係る画像表示装置では、光源
501から出た光(少なくともRGB成分を含む光)が
放物面鏡502によって反射され、略平行光にされた
後、フライアイレンズ503に入射する。フライアイレ
ンズ503は、液晶パネル504を均一に照明するため
に用いられる。フライアイレンズ503の出射側には、
液晶パネル504に入射する照明光の平行度を規制する
アパーチャー505が設置されている。アパーチャー5
05は、矩形の開口部を有しており、その形状は画素形
状に合わせて設計される。アパーチャー505を通過し
た光は、レンズ506を通過した後、ダイクロイックミ
ラー507R、507G、507BでRGBの光に分離
される。液晶パネル504は、レンズ506およびレン
ズ508によって略平行化した光に照射されるが、ダイ
クロイックミラーによって分離されたRGB光のそれぞ
れは液晶パネル504に異なる角度で入射する。なお、
本実施形態では、液晶パネル504として、0.9型パ
ネル(768×1024ドット)を用いる。
【0085】図7は、RGB光が液晶パネル508に入
射する様子を示す断面図である。図7に示されるよう
に、液晶パネル504の光入射側には、3つの画素(R
用画素、G用画素、およびB用画素)に1つの割合でマ
イクロレンズ509のアレイが配置されている。各マイ
クロレンズ509は、異なる角度で入射してきたRGB
光を、対応する画素に入射させる。各画素は独立して駆
動されるため、RGB光は、それぞれ、独立して変調さ
れる。
【0086】再び、図6を参照する。液晶パネル504
透過することによって変調された光は、画像シフト素子
510を通って投射レンズ511に入射する。投影レン
ズ511を経た光は、スクリーン上に画像を形成する。
スクリーンの画像は、画像シフト素子によって周期的に
シフトする。
【0087】次に、図8を参照しながら、本実施形態の
画像シフト素子510を詳細に説明する。画像シフト素
子510は、図8に示すように、2枚の液晶素子10と
2枚の複屈折素子11とが交互に直列配置された構成を
有しており、光軸と交差する面(「主断面」)内におけ
る異なる3つの位置(A、B、C)に画像をシフトさせ
ることができる。液晶素子10と複屈折素子11のそれ
ぞれ組み合わせは。図3に示す構成と同様の構成を有し
ており、画像シフト素子510を構成する液晶素子は、
第1の実施形態に係る表示装置と同様の同じ特性をもつ
TN液晶を用いて構成されている。
【0088】図9は、図8に示す画像シフト素子510
によってシフトしたサブフレーム画像が上下する様子を
模式的に示している。画像シフト素子510の働きによ
り、画像を構成するサブフレーム画像が上下方向(又は
左右方向)に1画素ピッチずつ順次シフトする結果、ス
クリーン上における同一画素領域を照射する光の帯域が
例えばB→G→R→B→G→R・・・と変化することに
なる。このような構成を採用することにより、単板式で
あっても、3枚の液晶表示パネルを用いる3板式の投射
型画像表示装置と同等レベルの解像度を実現することが
できる。
【0089】本実施形態によれば、立ち下がり応答速度
の速い液晶層を用いて画像シフト素子を構成しているた
め、2重像の発生を抑制しつつ、画像シフトを高速に行
うことが可能である。
【0090】なお、本実施形態では、光源501とし
て、出力120W、アーク長1.4mmのフィリップス
社製UHPランプを用いているが、光源としては、この
他に、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライ
ドランプなどを用いることができる。
【0091】なお、本実施形態の画像表示装置は、スク
リーンに表示画像を投影する投影型表示装置であるが、
観察光学系を用いることにより、HMDに適用すること
も可能である。
【0092】
【発明の効果】本発明による画像シフト素子によれば、
印加電圧をON状態からOFF状態に変化させたときの
液晶の応答速度を速め、2重像の発生を抑制しつつ高い
周波数で画像のシフトを行うことができる。このような
画像シフト素子を用いることにより、高解像度の画像を
表示する画像表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶素子と複屈折素子を組み合わせた画像シフ
ト素子の従来の構成を示す図である。
【図2】一対の偏光板を直交配置し、偏光板間に液晶素
子を配置した場合における液晶印加電圧−透過率特性を
示すグラフである。縦軸および横軸は任意単位である。
【図3】本発明による画像シフト素子モジュールの基本
構成を示す断面図である。
【図4】(a)から(d)は、第1の実施形態で用いる
画像シフト素子の動作を示す図である。
【図5】図3の画像シフト素子による画像の高解像度化
を示す図であり、(a)は画像シフト素子が動作してい
ないときの画像を示し、(b)は、画像シフト素子が動
作しているときの画像を示している。
【図6】本発明による画像表示装置の第2の実施形態を
示す図である。
【図7】第2の実施形態で用いる液晶表示パネルを示す
断面図である。
【図8】第2の実施形態で用いる画像シフト素子を示す
断面図である。
【図9】画像のシフトを模式的に示す図である。
【図10】液晶の「立ち下がり応答」とd/pとの関係
を示すグラフである(シミュレーション)。横軸は時間
(任意単位)である。
【図11】「電圧−透過率曲線」がd/pによってどの
ように変化するかを示すグラフである(シミュレーショ
ン)。横軸は電圧(任意単位)である。
【図12】d/pが0.04、0.26、0.51の場
合における「立ち下がり応答」の実測値を示すグラフで
ある。横軸は時間(任意単位)である。
【図13】図13は、立ち下がり応答時間τd(実測
値)とd/pとの関係を示すグラフである。縦軸は時間
(任意単位)である。
【符号の説明】
1 バックライト 2 液晶表示パネル 3 画像シフト素子 4 観察光学系 5 液晶素子パネル用駆動回路 6 画像シフト素子用駆動回路 7 液晶セル 11 複屈折素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04N 5/66 102 H04N 5/66 102B (72)発明者 中西 浩 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H088 EA10 EA12 EA47 GA02 GA17 HA10 JA05 KA13 MA03 2H093 NA01 NA63 NC02 ND20 NF05 NG02 NH01 2H099 AA12 CA05 DA00 5C058 AA08 AB01 BA09 BA25 BA35 BB03 EA26

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光軸の位置を周期的にシフトさせる画像
    シフト部を少なくとも1つ備えた画像シフト素子であっ
    て、 前記画像シフト部は、 印加電圧のHigh/Lowに応じて、光の偏光方向
    を、直交する2つの方向の間で切り替える液晶セルと、 光の偏光方向によって屈折率が異なる複屈折素子と、を
    備えており、 前記液晶セルおよび複屈折素子は、この順序で光を透過
    するように配置され、 前記液晶セルに含まれる液晶層は、自然ピッチ長をp、
    セルギャップをdとしたとき、0.25<d/p<1の
    関係式を満足するTNモード液晶層から形成され、前記
    液晶セル内で90°捩れるように配置されている、画像
    シフト素子。
  2. 【請求項2】 前記液晶層の自然ピッチ長pは、カイラ
    ル剤の添加によって調節されている請求項1に記載の画
    像シフト素子。
  3. 【請求項3】 前記液晶層は、0.5<d/pの関係式
    を満足する請求項1または2に記載の画像シフト素子。
  4. 【請求項4】 前記液晶層は、d/p<0.75の関係
    式を満足する請求項3に記載の画像シフト素子。
  5. 【請求項5】 前記液晶層のプレチルト角は5°未満に
    調節されている請求項3または4に記載の画像シフト素
    子。
  6. 【請求項6】 前記画像シフト部の個数は複数である、
    請求項1から5のいずれかに記載の画像シフト素子。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の画像
    シフト素子と、 前記画像シフト素子の前記液晶セルに電圧を供給する駆
    動回路と、を備え、 前記駆動回路は、シフトさせるべき画像の切り替えタイ
    ミンングに同期させて前記電圧を変化させる画像シフト
    素子モジュール。
  8. 【請求項8】 前記駆動回路は、選択された期間、前記
    画像シフト素子の液晶セルに含まれる液晶層の略全体に
    対して7ボルト以上の電圧を印加する請求項7に記載の
    画像シフト素子モジュール。
  9. 【請求項9】 前記選択された期間は、画像のサブフィ
    ールド期間以上の長さを有している請求項8に記載の画
    像シフト素子モジュール。
  10. 【請求項10】 画像を表示する画像表示部と、 請求項1から6のいずれかに記載の画像シフト素子と、
    を備えた画像表示装置であって、 前記画像シフト素子を用いることにより、前記画像表示
    部から出た光を前記画像表示部の表示に同期させながら
    シフトさせる、画像表示装置。
  11. 【請求項11】 前記画像シフト素子の前記液晶セルに
    電圧を供給する駆動回路を更に備えている請求項10に
    記載の画像表示装置。
  12. 【請求項12】 前記駆動回路は、選択された期間、前
    記画像シフト素子の液晶セルに含まれる液晶層の略全体
    に対して7ボルト以上の電圧を印加する請求項11に記
    載の画像表示装置。
  13. 【請求項13】 前記選択された期間は、画像のサブフ
    ィールド期間以上の長さを有している請求項12に記載
    の画像表示装置。
  14. 【請求項14】 前記画像表示部から出て前記画像シフ
    ト素子に入射する光は直線偏光である、請求項10から
    13のいずれかに記載の画像表示装置。
  15. 【請求項15】 前記画像のシフトにより、前記画像を
    構成する画素が時分割で重畳される、請求項10から1
    4のいずれかに記載の画像表示装置。
  16. 【請求項16】 光源と、 各々が光を変調することができる複数の画素領域を有す
    る画像表示パネルと、 前記光源からの光を波長域に応じて前記複数の画素領域
    のうちの対応する画素領域に集光させる光制御手段と、 前記画像表示パネルで変調された光によって被投影面上
    に画像を形成する光学系と、 を備えた画像表示装置であって、 前記画像を構成する各フレーム画像のデータから複数の
    サブフレーム画像のデータを生成し、前記画像表示パネ
    ルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示
    させる回路と、 前記画像表示パネルによって表示される前記複数のサブ
    フレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記
    被投影面上でシフトさせる、請求項1から6のいずれか
    に記載の画像シフト素子と、 を備え、 前記画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異な
    る波長域に属する光で前記被投影面上の同一領域を順次
    照射する画像表示装置。
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