JP2004198693A - 光学シフト素子および当該光学シフト素子を備えた表示装置 - Google Patents

光学シフト素子および当該光学シフト素子を備えた表示装置 Download PDF

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岳 柴谷
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Abstract

【課題】簡単な構成を採用しながら、画像シフト切り替えを高速で行える光学シフト素子および当該光学シフト素子を備えた表示装置を提供する。
【解決手段】光学シフト素子は、入射して来た直線偏光の光軸の位置を周期的にシフトさせる第1シフト部7および第2のシフト部8を備える。第1のシフト部7は、第1の印加電圧のHigh/Lowに応答して、光の偏光方向を直交する2つの方向の間で切り替える第1の液晶セル9と、第1の複屈折素子12とを備える。第2のシフト部8は、第2の印加電圧High/Lowに応答して、光の偏光方向を直交する2つの方向の間で切り替える第2の液晶セル10と、第3の印加電圧のHigh/Lowに応答して、光の偏光方向を直交する2つの方向の間で切り替える第3の液晶セル11と、第2の複屈折素子13とを備える。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッド・マウント・ディスプレイ(以下、「HMD」と称する。)や、投影型表示装置(プロジェクタ)などに好適に用いられる光学シフト素子、および当該光学シフト素子を備えた表示装置に関している。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、一対の透明基板と、これらの基板間に挟まれた液晶層とを備えている。透明基板は、行および列(マトリクス)状に規則的に配列された複数の画素電極を有しており、画像信号に対応した駆動電圧が画素電極のそれぞれに印加される。この印加電圧によって液晶層の光学特性(光の透過率や反射率)が画素毎に変化するため、画像や文字などを表示することができる。
【0003】
基板上の各画素電極に独立した駆動電圧を印加する方式には「単純マトリクス方式」と「アクティブマトリクス方式」とがある。
【0004】
アクティブマトリクス方式の場合、各画素電極に対応する薄膜トランジスタ(TFT)や金属−絶縁体−金属(MIM)素子等のスイッチング素子や、信号配線等が基板上に一緒に形成され、スイッチング素子部や配線領域はブラックマトリクス(BM)と呼ばれる遮光層で遮光されている。
【0005】
画素のうち、光を通す領域を画素開口部と呼ぶが、ブラックマトリクスの存在が画素開口部の割合(開口率)を小さくしてしまう。
【0006】
画素を正常に駆動するためにはスイッチング素子や配線領域にある程度の占有面積を必要とするので、高精細画面を実現しようとして同じ画面サイズのまま画素数を増やすと、開口率が低下して画面が暗くなってしまうし、画素サイズをそのままで画面サイズを大きくするとコストが大幅に上昇することになる。
【0007】
ブラックマトリクス上の非表示領域を利用して高精細化をはかる目的で、表示画像を画素ピッチ程度だけ光学的に移動(シフト)させる技術が特許文献1に開示されている。この技術によれば、画素のシフトに同期させて移動した画素位置に対応する映像を表示する。その結果見かけ上の画素数が増えるので解像度の低い表示素子を用いても高精細の表示パネルを用いた場合と同様の表示が可能になる。また、実際に高精細の表示パネルを製造する場合と比較して開口率が低下しない。
【0008】
上記のような光学シフト素子と画像表示用の液晶表示素子との組み合わせは、更に観察光学系を用いて虚像の拡大像をみることによってHMDに適用したり、投影レンズでスクリーンに表示画像を拡大投影する投影型表示装置に適用されたりしている。
【0009】
液晶表示素子を用いた投影型表示装置における画像表示方式には、光の3原色のそれぞれに対応して設けられる3枚の液晶表示パネル(液晶表示素子)を用いる3板式と、1枚の液晶表示パネルを用いる単板式とがある。前者の3板式の投影型液晶表示装置は、光源から発せられた白色光を赤・緑・青(以下、「RGB」と称する。)の3原色の光束(色光)にそれぞれ分離し、それぞれの色光を各液晶表示パネルに向かわせる光学系と、各色光を制御して画像を形成するための3枚の液晶表示パネルとを備えており、各液晶表示パネルによって各色の光を変調する。このようにして変調された各色の光をスクリーン上で光学的に重畳することによってフルカラー表示を行うことができる。
【0010】
この3板式の構成では光源からの光を有効に利用できる。更に、表示画像の色純度が高いという利点も得られる。しかしながら、上述のように色光を各液晶表示パネルに向かわせるための光学系と、各パネルで変調された色光を合成するための光学系とが必要である。また、液晶表示パネルを3枚用いる。このため、光学系が繁雑で部品点数が多くなってしまい、低コスト化および小型化の点では、後述の単板式に比べて一般的に不利である。
【0011】
これに対して、後者の単板式の投影型液晶表示装置では、使用する液晶表示素子が1枚で足り、光学系の構成も3板式に比べて単純になるので、低コスト化が実現でき、また小型の投影型システムに適している。単板式の投影型液晶表示装置としては、モザイク状、ストライプ状等のパターンで形成された3色のカラーフィルターが設けられた液晶表示素子を用い、この液晶表示素子において変調された光を投影光学系によって投影するものが知られており、例えば特許文献2などに開示されている。
【0012】
また、特許文献3には、扇形に配列したダイクロイックミラーと、マイクロレンズを付加した液晶パネルとを用いて、カラーフィルターなしで各画素にRGBの光を分離・集光し、投影画像の明るさを改善した単板式の投影型表示装置が開示されている。
【0013】
3板式の投影型液晶表示装置と上述の単板式の投影型液晶表示装置とを比較すると、同じ解像度(画素数)の液晶表示素子を用いる場合には、液晶パネルの使用枚数の違いからスクリーン上に投影される画像の解像度には3倍の差が生じる。3板式では、各液晶表示パネルから出射されたRGB光をスクリーン上で混合してカラー表示を行うため、各液晶表示素子の画素数と同じ画素数を持つフルカラー画像をスクリーン上で表示できる。これに対し、単板式では液晶表示素子の1画素はRGBのいずれか1色にしか対応していないため、スクリーン上では液晶表示パネルの画素数の1/3の画素数を持つフルカラー画像しか表示できない。液晶表示素子の画素数を3倍にすれば、単板式でも3板式の場合と同様の解像度を実現することができるが、その弊害は最初に書いた通りであり、解決策として前述の光学シフト素子との組み合わせがある。
【0014】
特許文献4には、RGBの各画素をシフト素子によって光学的に順次シフトさせ、シフトした画素を重ね合わせて表示する方法が開示されている。この方法では、1つの画素に対応する領域において、RGBの各画素が時分割で表示される。その結果、表示パネルの画素数を増やさずに、見かけの解像度を3倍に向上させることができる。
【0015】
図12は、特許文献4に用いられる光学シフト素子を示している。図示されている光学シフト素子900は、2つのシフト部901およびシフト部902を備えており、これにより、光軸を異なる3つの位置の間で配置させることが可能となる。本願明細書では、入射光の光軸がシフトされずにそのまま出射される場合の位置(厳密には無シフト位置)も、「シフト位置」に含めることとする。
【0016】
第1のシフト部901は、液晶セル903と複屈折素子904とを備え、第2のシフト部902は、液晶セル905と複屈折素子906とを備えている。このように、シフト部901および902は、それぞれ、光線の伝播方向に沿って直列的に配列された液晶セルと平行平板の複屈折素子とを備えており、2つのシフト位置間で光軸の位置を切り替えることができる。
【0017】
光学シフト素子900に含まれる液晶セル903および液晶セル905は、いずれも、入射してきた直線偏光の電場ベクトル振動面(以下「偏光面」と称する。)を90°回転させた状態と、回転させずにそのまま透過する状態との間で偏光状態をスイッチングすることができる。液晶セル903、905は、いずれも、TNモードの液晶(TN液晶)を用いて好適に作製される。液晶セル903のTN液晶層に電圧が印加されていないとき(電圧OFFの時)、液晶分子は90°ねじれた状態にあり、その旋光性によって入射光の偏光面は90°回転する。一方、液晶セル903のTN液晶層に所定レベル以上の電圧が印加されている時(電圧ONの時)、液晶分子の向きは電界の向きに整合した状態にあるため、入射光の偏光面は回転を受けずに出射される。液晶セル903、905は、画像を表示しないため、画像表示素子のようなマトリクス駆動される電極構造を有している必要はなく、単純な構造を有しており、比較的容易に作製される。
【0018】
複屈折素子904および複屈折素子906は、いずれも、一軸性の結晶(例えば水晶)から形成される。これらの複屈折素子における結晶の光学軸907は、図12に示すように、図の紙面と平行であり、かつ、光が入射する複屈折素子の表面に立てた法線に対して約45°傾斜している。この場合、偏光面が紙面に垂直な光は、各複屈折素子にとっては常光であり、通常のスネルの法則に従って通過する。一方、偏光面が紙面に平行な光は、複屈折素子にとっては異常光であり、入射光の光軸および光学軸の両方を含む平面内で屈折する。異常光は、複屈折素子から出射するとき、常光と同じ進行方向に出射されるが、複屈折素子を通過する間に素子の厚さに比例した距離だけ光軸がシフトすることになる。複屈折素子904によるシフト量と複屈折素子906によるシフト量は共に、図示していない画像表示素子の1画素ピッチに相当する大きさを持ち、シフトの向きも同じ方向である。従って、光学シフト素子900によれば、シフト量がゼロの位置と、シフト量が1画素分の位置と、シフト量が2画素分の位置との間で画像シフトを制御できる。
【0019】
なお、結晶の「光学軸」とは、水晶等の複屈折材料において複屈折の生じない光線の進行方向の軸のことを意味し、英語では「optic axis」と翻訳される。一方、光の伝搬方向を規定する直線は、光軸(optical axis)と呼ばれている。1つの光ビームについて、光軸は一本であり、その光軸に垂直な方向に光軸をシフトさせたものは、シフト前の光軸とは異なるものである。これに対して、結晶の光学軸は、その光学軸に平行な軸をすべて含む集合的な概念である。
【0020】
図12では、光学シフト素子900に最初に入射する光の偏光面は図の紙面に平行であり、液晶セル903、905への印加電圧とそのときのシフト位置の対応は表1に示す通りである。
【0021】
上記の特許文献4に開示されている方法では、RGBの画素を重ね合わせるための3つのシフト位置に応じて動画像の各1フレーム期間を分割し、分割された期間(以下「サブフレーム期間」と称する)毎に異なる画像(「サブフレーム画像」)を画像表示素子に表示させる。
【0022】
3つのシフト位置に応じた3種類のサブフレーム画像(シフト位置に対応してA、B、Cと分類する。)をABCABC…と周期的に切り替えて表示するとき、光学シフト素子900に印加する駆動電圧の波形は、図13に示すようになる。図13は、液晶セルの応答が瞬時に生じると仮定したときの駆動波形を示している。
【0023】
図13の駆動波形908は、液晶セル903に印加される電圧を示し、駆動波形909は、液晶セル905に印加される電圧を示している。なお、図13では、液晶セルに印加される電圧が「High」のときを「ON」、「Low」のときを「OFF」と着さしている。これらの駆動波形における立ち上がりと立下りは、サブフレームの表示切り替わりに同期しており、画像切り替わりと同時に次のサブフレームのための電圧が各液晶セルに印加される。印加電圧のON/OFFとシフト位置との関係を以下の表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 2004198693
【0025】
なお、図13の駆動波形は、液晶セル903および液晶セル905における液晶層が極めて高速に応答し、印加電圧の変化とともに瞬時に偏光面を回転させると仮定した場合の理想波形である。実際には、前述したTN液晶セルの液晶層は有限の応答速度を持っており、更には、印加する電圧をLow(典型的には0ボルト:OFF)からHigh(液晶分子を動かすのに十分な電圧、例えば10V:ON)へと変化させる場合と、印加電圧をHighからLowへと変化させる場合との間でも応答速度が異なる。その理由は、電圧をLowからHighにするときは、液晶層に形成される電界によって液晶分子の向きを強制的に1方向に配列させるのに対し、電圧をHighからLowにするときは、液晶層の界が弱くなり、液晶分子の配向が元の状態に自然に緩和されるのを待つためである。
【0026】
液晶セル903と液晶セル905の応答速度は、光学シフト素子900の前後に一対の偏光板を互いに直交させて配置し、光の透過率の時間変化で測定することができる。入射側偏光板で作られる直線偏光光の偏光面を回転させずに出射側の偏光板で遮光される暗状態を0%、偏光面が90°回転し、出射側偏光板を透過できる最大の明状態を100%とする。
【0027】
測定対象の液晶セルの印加電圧をONからOFFまたはOFFからONに瞬間的に変化させると、透過率は液晶層の応答速度に応じたスピードで変化し、シフト位置の変化も、この透過率変化に対応して変化する。ただし、変化の過程で(例えばシフト位置BからCへの変更において)シフト位置BとCの中間量のシフト位置が発生する訳ではなく、シフト位置BとCの存在比(強度比)が刻々と変化する。つまり、液晶分子の遷移の過渡的段階では直線偏光は楕円偏光化し、光学シフト素子の複屈折素子にとっては常光成分と異常光成分が両方存在する状態であり、同じ画像が2つのシフト位置に2重に表示される。
【0028】
実際の高解像度画像表示おける光学シフト素子の動作は、サブフレーム画像の表示と画像シフトの関係を良好にするために、シフト位置の存在比の変化の中間点、即ち透過率が50%になる時点とサブフレーム画像の切り替わりタイミングが略一致するように、駆動電圧の変更をサブフレームの切り替わりに先行させて行う。この駆動方法は例えば特許文献5に開示されている。
【0029】
図14は、図13に示す理想駆動波形を、実際の液晶の応答速度を考慮して修正した駆動波形を示している。そのときの液晶セル単独の応答波形も併記している。
【0030】
液晶セル903には駆動波形911が、液晶セル905には駆動波形913がそれぞれ印加され、その時の液晶セル単独での応答波形が応答波形912と応答波形914になる。光学シフト素子900が一体化されている場合の液晶セル903および液晶セル905単独の応答速度を測定するには、もう一方の液晶セルで偏光面を回転させないように残りの液晶セルを常時ONにしている。
【0031】
図14からも判るように、OFFからONへの応答は高速なのでサブフレーム境界より少し手前の時刻で電圧印加を切り替えればよいが、ONからOFFへの応答は比較的長い時間を必要とするので、サブフレームの境界よりかなり前の時間に電圧印加を切り替えている。
【0032】
ただし、すべての印加電圧の切り替えタイミングはそれぞれの応答速度から逆算して一意に決定されたものである。従って、「印加電圧の切り替えタイミングは、サブフレームの表示切り替えタイミングに同期している。」と言える。
【0033】
【特許文献1】
米国特許第4、984、091号
【特許文献2】
特開昭59−230383号公報
【特許文献3】
特開平4−60538号公報
【特許文献4】
特開平9−15548号公報
【特許文献5】
特開平11−326877号公報
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
前述の液晶セルの応答速度を測定するための光学系では、透過光の偏光面方向を検知するだけなので、各シフト位置A、B、Cの時間変化を直接に測定することはできない。特に、図14に示す波形を持つ電圧を液晶セルに印加した場合、シフト位置Aおよびシフト位置Bは、光学シフト素子900を通過した後の光の偏光面が同一の向きになっているので両者を区別できない。しかし、液晶セル903、905を単独で動作させたときの応答波形912、914を数値処理することより、各シフト位置の存在比の時間変化915〜917を求めることができる。上記の方法で求めたシフト位置の存在比の変化を説明すると、以下のようになる。
【0035】
まず、サブフレームCでは、液晶セル903および液晶セル905が共にONにある。このため、サブフレームCからサブフレームAに切り替わるタイミングにあわせて、液晶セル903のみをONからOFFに変化させることになる。このとき、液晶セル903における液晶の応答は、ONからOFFへの遷移であるため、ゆっくりと進行し、応答波形912の立ち上がりは緩やかである、これに対応して、シフト位置Cにおる存在比917も徐々に減少し、その代わりに、シフト位置Aにおける存在比915が徐々に増加することになる。
【0036】
サブフレームAからサブフレームBへの次ぎの切り替わりにおいては、液晶セル903の状態と液晶セル905の状態を同時に変化させる。具体的には、まず先に液晶セル905をONからOFFに変化させ、次に液晶セル903をOFFからONに変化させる。液晶セル905の状態変化を先行させる理由は、ONからOFFの切り替えによる液晶の応答速度が遅いためである。前述したように、サブフレームAからサブフレームBへの表示切り替わりの時点で、状態変化の程度(応答の程度)が50%になるように、駆動波形911および913の遷移タイミングを調節している。
【0037】
図14からわかるように、サブフレームAとサブフレームBとの境界の時刻においては、応答波形912は急激に右下がりに変化し、応答波形914はゆっくりと右上がりに変化している。しかし、シフト位置Aにおける存在比およびシフト位置Bにおける存在比の変化の速度は、応答の遅い方によって規定される。
【0038】
サブフレームBからサブフレームCへの変化は、液晶セル905のみをOFFからONに変化させることによって行われる。このため、応答波形914のみが素早く変化するのに対応して、シフト位置Bにおける存在比は急速に減少し、シフト位置Cにおける存在比は急速に増加する。
【0039】
サブフレームCからサブフレームAへの切り替わりが生じると、その後は、上記の動作が周期的に繰り返される。
【0040】
以上説明してきたように、図14に示す駆動の例によれば、サブフレームBからサブフレームCへの切り替わりに同期したシフト位置の切り替わりは高速に行われるが、サブフレームCからサブフレームAへの切り替わりに同期したシフト位置の切り替わりと、サブフレームAからサブフレームBへの切り替わりに同期したシフト位置の切り替わりは、いずれも、液晶の相対的に遅い応答速度のためにゆっくりとしか変化しない。このとき、2つのシフト位置に2重に画像が長期間表示されるので、解像度が低下することになる。
【0041】
また、シフト位置Aでは、シフト位置Cからシフト位置Aに切り替わるときと、シフト位置Aからシフト位置Bに切り替わるときの両方で2重像が発生する。これに対して、シフト位置Bおよびシフト位置Cでは、1フレームに1回だけ2重像が形成される。このため、シフト位置Aでは、シフト位置Bおよびシフト位置Cに比べて解像力が更に低くなる。このようなシフト位置による解像度の差異は、シフト位置を周期的に変化させるとき、フリッカとして画像観察者に認識される。
【0042】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、できる限り簡単な構成を採用しながら、画像シフト切り替えを高速で行える光学シフト素子および当該光学シフト素子を備えた表示装置を提供することにある。
【0043】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学シフト素子は、入射してきた直線偏光の光軸の位置を周期的にシフトさせる第1のシフト部および第2のシフト部を備えた光学シフト素子であって、前記第1のシフト部は、第1の印加電圧のHigh/Lowに応答して、入射してきた光の偏光方向を直交する2つの方向の間で切り替えることができる第1の液晶セルと、前記第1の液晶セルを透過してきた光を透過する第1の複屈折素子とを備え、前記第2のシフト部は、第2の印加電圧のHigh/Lowに応答して、入射してきた光の偏光方向を直交する2つの方向の間で切り替えることができる第2の液晶セルと、第3の印加電圧のHigh/Lowに応答して、入射してきた光の偏光方向を直交する2つの方向の間で切り替えることができる第3の液晶セルと、前記第3の液晶セルを透過してきた光を透過する第2の複屈折素子とを備え、前記第1の液晶セル、前記第1の複屈折素子、前記第2の液晶セル、前記第3の液晶セル、および前記第2の複屈折素子がこの順序で直列的に配列されており、前記第1の複屈折素子でのシフトの方向と前記第2の複屈折素子でのシフトの方向とが略平行または略反平行であり、かつ、シフト量が略等しく、前記第3の液晶セルに含まれる液晶層は、直線偏光が前記第2の液晶セルに含まれる液晶層を透過する過程で発生した不要な偏光成分を低減する。
【0044】
ある好ましい実施形態において、前記第2および第3の液晶セルに含まれる液晶層の中間部のダイレクタが相互に直交するように前記第2および第3の液晶セルが配置されている。
【0045】
ある好ましい実施形態において、前記第1の複屈折素子および前記第2の複屈折素子の配置関係は、前記第1のシフト部によるシフト方向と前記第2のシフト部によるシフト方向とが略一致するように決定されている。
【0046】
ある好ましい実施形態において、前記第1から第3の液晶セルのそれぞれに前記第1から第3の印加電圧を供給する駆動回路を備えている。
【0047】
ある好ましい実施形態において、前記駆動回路は、シフトすべき画像の切り替えタイミングに同期させて、前記第1から第3のいずれか一方の印加電圧をLow状態からHigh状態に変化させる。
【0048】
ある好ましい実施形態において、前記駆動回路は、シフトすべき画像の表示が継続されている間に前記第1の印加電圧をLow状態に変化させ、前記画像の表示が継続している間に前記第2および第3の印加電圧を、同時にHighの状態からLow状態に変化させる。
【0049】
ある好ましい実施形態において、前記駆動回路は、前記第2および第3の印加電圧の一方のみがHigh状態のときに、前記第1の印加電圧をHigh状態からLow状態に変化させる。
【0050】
本発明の表示装置は、画像を表示する画像表示部と、上記いずれかの光学シフト素子とを備えた表示装置であって、前記光学シフト素子を用いることにより、前記画像表示部から出た光を前記画像表示部の表示に同期させながらシフトさせる。
【0051】
ある好ましい実施形態において、前記光学シフト素子の第1から第3の液晶セルのそれぞれに前記第1から第3の印加電圧を供給する駆動回路を備えている。
【0052】
ある好ましい実施形態において、前記駆動回路は、シフトすべき画像の切り替えタイミングに同期させて、前記第1から第3のいずれか一方の印加電圧をLow状態からHigh状態に変化させる。
【0053】
ある好ましい実施形態において、前記駆動回路は、シフトすべき画像の表示が継続されている間に前記第1の印加電圧をLow状態に変化させ、前記画像の表示が継続している間に前記第2および第3の印加電圧を、同時にHighの状態からLow状態に変化させる。
【0054】
ある好ましい実施形態において、前記駆動回路は、前記第2および第3の印加電圧の一方のみがHigh状態のときに、前記第1の印加電圧をHigh状態からLow状態に変化させる。
【0055】
ある好ましい実施形態において、前記駆動回路は、前記画像表示部を駆動する回路が形成された基板上に形成されている。
【0056】
本発明の駆動回路は、上記いずれかの光学シフト素子に対して前記第1から第3の印加電圧を供給する駆動回路であって、前記光学シフト素子によってシフトすべき画像の切り替えタイミングに同期させて、前記第1から第3のいずれか一方の印加電圧をLow状態からHigh状態に変化させるステップと、次の画像の切り替えの前に、前記第1の印加電圧をLow状態に変化させるステップと、前記切り替えの前に、前記第2および第3の印加電圧を、同時にHighの状態からLow状態に変化させるステップとを実行する。
【0057】
ある好ましい実施形態において、前記第2および第3の印加電圧の一方のみがHigh状態のときに、前記第1の印加電圧をHigh状態からLow状態に変化させるステップを実行する。
【0058】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1から図4を参照しながら、本発明による表示装置の第1の実施形態を説明する。
【0059】
図1に示されている本実施形態の表示装置は、バックライト1、液晶表示素子2、光学シフト素子3、および観察光学系4を備えている。バックライト1は透過型の液晶表示素子2を照明する光源であり、液晶表示素子2は、駆動回路5から駆動信号および映像信号を受け取り、映像信号に応じた内容を持つ画像を表示することができる。観察光学系4は、液晶表示素子2で表示された画像を光学的に拡大するための光学系である。観察者は光学シフト素子3および観察光学系4を介して、液晶表示素子2で表示された画像を観察することができる。
【0060】
本実施形態ではバックライトが必要な透過型液晶表示素子を用いているが、画像を表示できる素子であれば、反射型の液晶表示であってもよく、また有機EL素子やプラズマディスプレイパネル(PDP)などの自発光形の表示素子を用いることもできる。
【0061】
光学シフト素子3の動作は、光学シフト素子用の駆動回路6によって制御される。駆動回路6は液晶表示素子2の映像表示に同期した駆動信号を光学シフト素子3に供給する。駆動回路6は光学シフト素子3に含まれる複数の液晶セルに対して個別に複数レベル(High/Low)の電圧を印加するための電圧印加部を有している。
【0062】
上記構成素子のうち、バックライト1、液晶表示素子2、観察光学系4、および駆動回路5は、基本的に、従来の表示装置で用いられてきた素子や回路と同様の構成を有しており、本実施形態に係る表示装置の特徴点は、光学シフト素子3の構成および動作にある。
【0063】
図2は、本実施形態における光学シフト素子3の構成を示している。光学シフト素子3は、液晶表示素子2に表示された画像を画面の水平横方向にシフトさせる第1シフト部7と第2シフト部8とを有している。図2は、シフトする光の経路を見やすいように、図1の表示装置を上方から眺めた上面図である。
【0064】
第1シフト部7は、光の入射側から直列的に配置された液晶セル9および複屈折素子12を備えている。一方、第2シフト部8は、光の入射側から直列的に配置された液晶セル10、液晶セル11、および複屈折素子13を備えている。
【0065】
光学シフト素子3に含まれる液晶セル9〜11の各々は、液晶層と、液晶層の光入射面および光出射面を挟み込む一対の透明電極(不図示)と、これらを挟み込む一対の透明基板とを備えている。液晶セル9および複屈折素子12は、接着剤などによって一体化され、第1シフト部7がひとつの部品として機能するように構成されていてもよい。また、液晶セル10、液晶セル11、および複屈折素子13が接着剤などによって一体化され、第2シフト部8がひとつの部品として機能すように構成されていてもよい。
【0066】
液晶セル9〜11は、TNモードの液晶を用いて作製されており、印加電圧のHigh/Lowに応じて、入射光の偏光面を約90°回転させる状態(OFF)と、入射光の偏光面を実質的に回転させずにそのまま出射する状態(ON)との間でスイッチングする。
【0067】
なお、印加電圧がHighとは、液晶分子の旋光を解消させる(ON)に足る十分な電圧を意味し、印加電圧がLowとは液晶分子の配列に影響を与えない(OFF)範囲の小さい電圧(典型的には0V)であることを意味する。本明細書では、「印加電圧がONである」の表現を用いることがあるが、その意味するところは、液晶セルに印加する電圧が液晶分子をONにする大きさを有していることにある。一方、「印加電圧がOFFである」の意味は、液晶に印加する電圧が液晶分子の配列に影響を与えない大きさを有していることを意味する。
【0068】
本実施形態では、第2シフト部8における液晶セル10、11のそれぞれの液晶層中間部におけるダイレクタ(配向ベクトル)は互いに直交しており、液晶セル10および液晶セル11は、それぞれ、光の進行方向に対して左回り(左旋)および右回り(右旋)に直線偏光を90°回転させる。
【0069】
液晶セル10、11に用いることのできる液晶の種類は、TN液晶に限定されず、両方の液晶層が共にONからOFFへ遷移する間において、一方の液晶層によって発生する不要な偏光成分を他方の液晶で低減(好ましくは「キャンセル」)できるものであれば、如何なるタイプの液晶であってもよい。例えば、ECBモードの液晶を用いることができる。
【0070】
第1シフト部7は、液晶セル9とともに対を構成する他の液晶セルを含んでおらず、液晶セル9に用いる液晶の種類は任意である。液晶セル10、11とは異なる液晶材料を用いて液晶セル9を作製してもよい。
【0071】
複屈折素子12および複屈折素子13は、いずれも、一軸性の結晶(例えば水晶)から形成される。これらの複屈折素子における結晶の光学軸は、図2に示すように、図の紙面と平行であり、かつ、光が入射する複屈折素子の表面に立てた法線に対して約45°傾斜している。ただし、本実施形態の場合、複屈折素子12の光学軸が傾斜する方向と複屈折素子13の光学軸が傾斜する方向は反対側を向いており、2つの光学軸は直交している。
【0072】
上記のような構成を採用しているため、偏光面が紙面に垂直な光は、複屈折素子12、13にとって常光であり、通常のスネルの法則に従って通過し、シフトしない。一方、偏光面が紙面に平行な光は、複屈折素子12、13にとって異常光となるため、正の複屈折材料によって複屈性素子を作製している場合には、光学軸が傾斜している方向に屈折することになる。異常光は、複屈折素子12、13から出ると、また常光の進行方向と同じ方向に進行するが、複屈折素子12、13を通過する間に、素子の厚さに比例した距離だけシフトする。図2に示す構成では、図の紙面の上または下方向にシフトする。より具体的には、複屈折素子12によるシフトの方向は、図2の矢印S1で示され、複屈折素子13によるシフトの方向は、矢印S2で示される。
【0073】
本実施形態では、複屈折素子12によるシフトの方向S1と複屈折素子13によるシフトの方向S3とは、正反対であり、かつ、シフト量は液晶表示素子2における水平横方向の1画素ピッチに相当する。なお、本明細書における「シフトの方向(シフト方向)」とは、各複屈折素子における屈折で生じる光軸シフトの基点から終点に向いた方向を意味し、「シフトの量(シフト量)」とは、シフトの基点から終点までの距離を意味するものとする。
【0074】
複屈折素子12、13に用いられる材料は、前述の水晶に限定されず、一軸結晶であれば如何なるものであってもよい。例えばニオブ酸リチウム、方解石、雲母、ルチル(TiO2)、チリ硝石(NaNO3)などの材料を用いることができる。ただしHMDのように、表示装置の総従量を小さくする必要がある場合、屈折率異方性(Δn)が相対的に大きなニオブ酸リチウムやルチルを用いることが好ましい。Δnが大きい材料であれば、必要な画像シフト量を得るために必要な複屈折素子12、13の厚さを薄くできるため、小型化および軽量化に適している。
【0075】
液晶表示素子2からの光は、図2の紙面に垂直な方向に振動面を持つ直線偏光として光学シフト素子3に入射し、上記の構成により光学シフト素子3は、液晶セル9〜11の各々の印加電圧を制御することにより入射光の偏光面方向をスイッチングし複屈折素子12、13で所定の画像シフトを発生させることができる。なお、液晶表示素子2を透過してくる光の偏光方向が図2の紙面に垂直ではなく、紙面に対して傾斜している場合は、液晶セル9に入射するまでに偏光方向を回転させることによって紙面に垂直な方向にすることが好ましい。このような偏光方向の回転は、1/2波長板などの位相差板によって行うことができる。
【0076】
次に、光学シフト素子3の動作を説明する。
【0077】
まず、表2を参照する。表2は、液晶セル9〜11に印加される電圧の組み合わせが取り得る8つ状態と、各電圧印加状態に対応するシフト位置とを示している。光学シフト素子3が3つの液晶セルを含むため、取り得る電圧印加の状態の数は2×2×2=8であるが、シフト位置は3種類しかない。なお、表2に示すシフト位置のA、B、Cは、図2の右側に示すシフト位置A、B、Cと対応している。
【0078】
【表2】
Figure 2004198693
【0079】
次に、表3を参照する。表3は、駆動回路6によって実際に液晶セル9〜11に印加される電圧の状態変化とシフト位置との関係を示している。
【0080】
【表3】
Figure 2004198693
【0081】
本実施形態では、光学シフト素子3の駆動を次のように実行する。
【0082】
まず、表3に示すシフト順序1のとき、液晶セル10のみがONの状態にある。このとき、複屈折素子12を通過する光は異常光となるため、図2の紙面における上方向(矢印S1の方向)にシフトするが、複屈折素子13では常光となるため、シフトせずに通過し、シフト位置Cに到達する。
【0083】
シフト順序2のとき、液晶セル9をOFFからONに変化させることにより、シフト位置をCからAに遷移させる。このとき、複屈折素子12に入射する光は常光となるためシフトせず、複屈折素子13では異常光となるため、図2の紙面における下方向(矢印S2の方向)にシフトする。このときの画像シフトは、液晶セル9をOFFからONに変化させることによって行うため、サブフレームの切り替えタイミングに同期させて素早く実行することができる。
【0084】
シフト順序3のとき、液晶セル11をOFFからONに変化させることにより、シフト位置をAからBに遷移させる。光学シフト素子3に入射した光は、複屈折素子11および12のいずれにとっても常光となるため、入射光の光軸はシフトしない。このときの画像シフトも、液晶セルをOFFからONにすることによって行うので、サブフレームの切り替えタイミングに同期させて素早く実行することができる。
【0085】
この後、次のサブフレームへの切り替えまでの間に、液晶セル9〜11をすべてONからOFFにする。ONからOFFへ遷移するとき、液晶セル10および11の各々の応答が遅いのは従来と変わりない。しかし、本実施形態では、右旋光の液晶セル10と左旋光の液晶セル11を組み合わせているため、液晶セル10および11が同時にONからOFFへ遷移する過渡状態にあっても、互いに相手の液晶セルによる旋光をキャンセルしたままである。そのため、状態変化の最中であっても、2つの液晶セル10および11を通過する光の偏光方向は変化しない。このように2枚の液晶セル10、11を組み合わせることにより、状態遷移の過程で生じる偏光の乱れを補償することが可能となる。このような2つの液晶セルを組み合わせた構成を第1のシフト部7に用いても、第2のシフト部8と同様に動作させることが可能であるが、本実施形態では、あえて第1のシフト部7に配置する液晶セルの数は1つに限定し、軽量化をはかっている。液晶セル9がONからOFFへの変化するときも、その変化の応答速度は遅いが、本実施形態の構成によれば、シフト位置はBのままで変化しない。その理由は、以下の通りである。
【0086】
すなわち、液晶セル9のONからOFFへの遷移においては、液晶セル9を通過した直線偏光は楕円偏光となってしまうため、複屈折素子12を通過する際に異常光成分と常光成分の2経路に分離される。より詳細に述べれば、常光成分はシフトせずに複屈折素子12を直進するが、異常光成分は図2において紙面における上方へシフトする。複屈折素子12を出た異常光成分は、液晶セル10および11を通過する際に、その偏光面を回転させることなく、そのまま異常光成分として複屈折素子13に入射する。このため、複屈折素子12で矢印S1の方向にシフトした異常光成分は、今度は複屈折素子13で矢印S2の方向に同じ量(距離)だけシフトする。一方、常光成分は、複屈折素子12、13でシフトを受けずに通過し、異常光成分と合流する。このため、液晶セル9をONからOFFへ変化させる過程で異常光成分と常光成分とが発生しても、その両者はシフト位置Bに集まるため、2重像は形成されない。
【0087】
ここで、3つの液晶セルにおける電圧の印加状態を(液晶セル9の状態、液晶セル10の状態、液晶セル11の状態)と表現することにする。本実施形態によれば、(ON、ON、ON)から(OFF、OFF、OFF)状態に至るまでの間に、(ON、OFF、OFF)および(OFF、ON、ON)の中間状態が存在することになり、合計で4種の状態が存在することになる。しかし、表2からわかるように、これら4種の状態のすべてにおいて、シフト位置はBである。このため、状態変化の途中でもシフト位置はBのまま変化せず、液晶の応答速度が遅くとも、2重像は発生しない。
【0088】
なお、上記の状態遷移の最中には、光学シフト素子3から出てくる光の偏光面は楕円偏光になり、しかも、遷移の途中では図の紙面に垂直な直線偏光と紙面に平行な方向にの直線偏光との比率は刻々と変化している。しかし、観察者の眼は偏光自体を検知できないため、このような偏光の変化は無視することができる。
【0089】
上述のように、サブフレームの切り替えまでの間に液晶セル9〜11の応答が完了し、次の表示切り替えと同時に液晶セル10だけをONにする。これにより、高速にシフト位置をBから元の位置Cに切り替えることができ、電圧印加状態も最初の状態に戻る(シフト状態1)。
【0090】
次に、図3を参照しながら、上記動作を行うために液晶セル9〜11に印加する電圧の波形を説明する。
【0091】
図3に示すサブフレームA〜Cは、それぞれ、図2のシフト位置A〜Cに対応している。駆動波形14は、液晶セル9に、駆動波形16と17は液晶セル10と11に印加される。表示画像がサブフレームAからサブフレームBに切り替わった後で、液晶セル10、11に印加する電圧をONからOFFに同時に変化させる。液晶セル9は、ペアとなる液晶セルを有してないため、液晶セル9をONからOFFにするタイミングは、液晶セル10、11をOFFにするタイミングと同時でもよいし、多少前後にずれても構わない。
【0092】
上記の駆動により、シフト位置A、B、Cにおける照射光の存在比(強度比率)は、図3に示す存在比波形19〜21に従って変化する。本実施形態によれば、サブフレームが切り替わる各タイミングにおいて各シフト位置での照射光の存在比が急峻に増減するため、2重像の発生を大幅に抑えることができる。そして、シフト位置A、B、Cにおける表示のされ方も均一化されるため、フリッカーの発生も抑えることができる。
【0093】
なお、液晶材料の信頼性の観点から、交流駆動法を採用し、液晶セル9〜11に実際に印加する電圧は、数百〜数kHzの交流であることが好ましい。この場合、ONは、例えば振幅が10Vの交流に対応し、OFFは、振幅が0Vまたは液晶分子の配列に影響を与えない大きさの交流に対応する。
【0094】
図3に示す駆動波形によれば、液晶セル10をONにするタイミングは液晶セル11をONにするタイミングよりも早い。駆動波形16と駆動波形17との関係を逆にし、液晶セル11をONにするタイミングが液晶セル11をONにするタイミングよりも早くなってもよい。更に、画像シフトの繰り返しの途中で、駆動波形16と駆動波形17とを交互に入れ替えて液晶セル10および11に電圧を印加してもよい。
【0095】
図4(a)〜(c)は、上記のように画像シフト素子を駆動するとき、観察者に見える画像の状態を模式的に示している。図4(a)〜(c)に示されている画像(画素配列)の位置関係は、図3に示すシフト位置A〜Cに対応している。
【0096】
シフト状態が分かり易いように、図4では、液晶表示素子2における同一のG画素に丸印をつけている。サブフレームの切換タイミングに同期して、画素は、図4(a)〜(c)に示すように画面の水平横方向に1画素ずつシフトする。このシフト動作の結果、3つのサブフレームからなる期間内において、R、G、Bの画素(画素開口部)が同一の位置で1回ずつ重なって観察されることになる。このため、画素毎にRGBを表示でき、液晶表示素子2の解像度を3倍に向上させることができる。
【0097】
以上、説明したように、本実施形態によれば、光学シフト素子に含まれる液晶セルの数を図12に示す従来の光学シフト素子に含まれる液晶セルの数よりも1つ増加させるだけで、常に高速な画像シフトを実現し、2重画像の発生を抑えることができる。また、必要な液晶セルの数を抑えることにより、駆動回路6の規模の拡大や光学シフト素子の重量増加を抑えることもできる。重量増加の抑制は、軽量化が求められているHMDに本発明の光学シフト素子を用いる場合に特に有効である。
【0098】
サブフレーム毎に画素を重ねて表示する代わりに、画素と画素の間のブラックマトリクスの位置に画素をシフトさせてもよい。その場合でも、解像度を高める効果を得ることができるからである。
【0099】
なお、バックライト光として指向性を有する照明光を用いると共に、観察光学系の代りに投射レンズを設置すれば、本発明の表示装置を投影型表示装置として機能させることも可能である。この場合も、光学シフト素子によって解像度が向上する効果が得られる。
【0100】
(実施形態2)
次に、図5および図6を参照しながら本実施形態による表示装置の第2の実施形態を説明する。
【0101】
本実施形態の表示装置と実施形態1の表示装置との差異は、本実施形態では、光学シフト素子3の代わりに光学シフト素子30を採用している点にあり、その他の構成については、実施形態1の構成と全く同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0102】
まず、図5を参照する。図5は、本実施形態で用いる光学シフト素子30の構成を示している。この光学シフト素子30が、図2に示す光学シフト素子3と異なる点は、1/2波長板31が第1シフト部7と第2シフト部8の間に配置されている点である。1/2波長板31は、例えば、ARTONフィルムを延伸して作られた位相差板である。光学シフト素子3と共通する部材には、同じ参照符号を付与している。
【0103】
本実施形態における光学シフト素子30によれば、第1シフト部7の複屈折素子12から出た光の偏光面は、1/2波長板31によって常に90°回転する。1/2波長板31を透過した光は、第2シフト部8の液晶セル10に入射するため、光学シフト素子30と光学シフト素子3との間では、第2シフト部8における常光と異常光との関係が逆転する。このような構成によれば、液晶セル9〜11の電圧印加状態とシフト位置の関係は、以下の表4に示す通りとなる。
【0104】
【表4】
Figure 2004198693
【0105】
なお、表4に示すシフト位置A〜Cは、それぞれ、図5に示すシフト位置A〜Cに対応している。光学シフト素子30は、駆動回路6により、以下の表5に示すように動作する。
【0106】
【表5】
Figure 2004198693
【0107】
まず、シフト順序1において、液晶セル10〜12のすべてがOFFであり、シフト位置はCになる。次に、シフト順序2において、液晶セル9をOFFからONに変化させる。すると、シフト位置はCからAに移動する。この画像シフトは、液晶セルをOFFからONへ変化させることによって生じるため、これまでに述べたように、サブフレームの切り替えタイミングに同期させて素早く実行することができる。
【0108】
次に、シフト順序3において、液晶セル10をOFFからONへ変化させる。これにより、シフト位置はAからBに移動する。このときの画像シフトも、液晶セルをOFFからONに変化させることによって行うため、サブフレームの切り替えタイミングに同期させて素早く実行することができる。
【0109】
次のサブフレームへの切り替えまでの間に、液晶セル9のみをONからOFFにする。液晶セル9のONからOFFへの応答速度は遅いが、本実施形態でも、その状態遷移期間においてシフト位置はBのまま変わらない。過渡段階において液晶セル9を通過した光は、複屈折素子12でシフトする異常光成分とシフトしない常光成分の2つに分かれるが、これら2つの成分は、1/2波長板31から複屈折素子13を通過する段階で合流するからである。
【0110】
電圧の印加状態を(液晶セル9の状態、液晶セル10の状態、液晶セル11の状態)と表現したとき、表4に示す駆動方法によれば、(ON、ON、OFF)から(OFF、ON、OFF)状態へ変化する。表4からわかるように、この変化に際して、両方の状態ともシフト位置はBである。このため、過渡段階でもシフト位置が動かず、2重画像は発生しない。
【0111】
次のサブフレームに切り替えるタイミングにおいて、液晶セル11をOFFからONに変化させ、続いて液晶セル10および11を同時にONからOFFに変化させる。液晶セルをONに変化させたことにより、シフト位置はBからCへ高速に切り替わるが、その後に液晶セル10および11を同時にOFFにしても、シフト位置はCのまま変化しない。
【0112】
以降の動作は、上記手順の繰り返しであり、3つの位置A〜Cの間で画像を高速に切り替えることができる。
【0113】
図6は、本実施形態において光学シフト素子に印加する駆動電圧の波形と液晶の応答を示している。図6において、液晶セル9〜11に印加する電圧は、それぞれ、駆動波形14、16、17で示される波形を有している。液晶セル9の応答は、応答波形15で示される波形を有し、液晶セル10および11の応答は、応答波形18で示される波形を有している。また、シフト位置A〜Cのそれぞれの位置における光の強度は、存在比19〜21で示すように変化する。
【0114】
本実施形態によれば、実施形態1と同様に、サブフレーム画像の切替わり時に高速で画像の位置をシフトさせることができる。
【0115】
本実施形態によれば、1/2波長板31を追加したことにより、コストおよび透過率ロスが増加するが、それ以外の点では、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0116】
本実施形態では、サブフレーム画像Bの表示期間中に液晶セル9のみをONからOFFに変化させ、サブフレーム画像C中に液晶セル10および液晶セル11を同時にONからOFFに変化させている。これに対して、実施形態1では、サブフレーム画像Bの表示期間中に、液晶セル9、液晶セル10、および液晶セル11をONからOFFに変化させている。
【0117】
本実施形態では、液晶セル9をOFFにするタイミングと、液晶セル10および液晶セル11を同時にOFFするするタイミングとを分けたことにより、同時に状態変化が起きる液晶セルの枚数が減るため、液晶の状態変化過程に生じる偏光の乱れがより少なくなり、2重像の発生を更に抑えることができる。
【0118】
1/2波長板31は、図5に示す位置にではなく、液晶セル11と複屈折素子13との間に配置しても良い。このような配置を採用する場合でも、液晶セル9〜11の駆動波形は図6の駆動波形と同一でよい。
【0119】
1/2波長板31としては、延伸した板を複数枚重ねた広帯域波長板を用いても良い。また、通過光の偏光面を90°回転させるには、1/2波長板31の代わりに、適切な光学軸方向と厚みを持つ複屈折材料や、液晶セルを用いても良いてもよい。この場合に用いる液晶セルは通過光の偏光面を常に90°回転させるためのものであるため、液晶セル9〜11のように電圧を印加する必要がない。従って、1/2波長板の代わりに用いる1枚の液晶セルには、透明電極が不要であり、その分透過率の低下が抑えられる。ただし、HMDの場合、重量の増加は可能な限り抑える必要があるため、フィルム等から作製される1/2波長板を用いることが好ましい。
【0120】
(実施形態3)
次に、本実施形態による表示装置の更に他の実施形態を説明する。
【0121】
本実施形態の表示装置は、図1の表示装置において、画像表示シフト素子3を以下に説明する光学シフト素子32に置き換えたものであり、その他の構成については実施形態1と全く同等であるので詳細は省略する。
【0122】
図7は、本実施形態に係る光学シフト素子32の構成を示している。図2に示している光学シフト素子3と共通の部材には同一の参照符号を付与している。
【0123】
本実施形態の光学シフト32が、光学シフト素子3と異なる点は、第2シフト部8が、複屈折素子13に代えて複屈折素子33を有している点にある。ただし、複屈折素子13と複屈折素子33との違いは、結晶の光学軸の向きだけである。すなわち、本実施形態における複屈折素子33の光学軸は、複屈折素子12の光学軸と平行である。言い換えると、光の透過方向を回転軸として複屈折素子13を180度回転させることにより、図7の構成を得ることができる。
【0124】
本実施形態によれば、複屈折素子12および33は、いずれも、異常光が入射すると同じ方向(図の紙面における上方向)に1画素分に相当する距離だけ光軸をシフトする。
【0125】
本実施形態における液晶セル9〜11に印加する電圧の状態とシフト位置の関係は、第2シフト部8におけるシフトの有無と向きが異なるものの、実施形態2における表4に示すものと全く同じである。従って、光学シフト素子32の駆動方法および駆動波形も、それぞれ、表5および図6に示すとおりである。
【0126】
本実施形態においては、1/2波長板が不要であるため、光学シフト素子の透過率の低下を抑えることができ、全体として実施形態1の光学シフト素子と同程度の透過率を示すことになる。
【0127】
一方、本実施形態では、実施形態2の光学シフト素子と同じように駆動することができるため、実施形態1よりも好適な画像シフトを実行できる。
【0128】
以上説明してきたように、本発明では各液晶セルをONからOFFへ変化させるときにシフト位置を変化させないため、各液晶セルのONからOFFへの切り替えタイミングは、サブフレームの切り替わりと同期させる必要はない。例えば図8に示すように、各サブフレームの表示期間がONからOFFへの応答時間より十分に長い場合は、液晶セル9〜11の駆動波形14〜17におけるHighからLowへの遷移タイミングは、例えば図8の斜線領域内で任意に設定することができる。
【0129】
また、液晶セル9の駆動波形14におけるHighからLowへの遷移タイミングは、サブフレームBからサブフレームCに切り替わるまでに液晶セル9の応答が略終わるように設定すればよい。なお、液晶セル10および11が同時にONからOFFへ変化しつつある間は、液晶セル10および11を通過する光の偏光面が回転せず、また、サブフレームCからサブフレームAへの切り替わりに伴う画像シフトは液晶セル9をOFFからONに変化させることによって行う。このため、液晶セル10および11の駆動波形16および17におけるHighからLowへの遷移タイミングは、サブフレームCおよびサブフレームBの期間内に液晶の応答が略終わるように設定すればよく、駆動波形14に比べて遷移タイミングの選択幅(図8の斜線部)が広くなっている。
【0130】
(実施形態4)
本発明による表示装置の更に他の実施形態を説明する。
【0131】
ここでは、一枚の液晶表示素子を使用した単板式の投影型カラー表示装置を説明する。
【0132】
本実施形態に係る投影型カラー表示装置は、特開平4−60538号公報に開示されている投影型表示装置に本発明の光学シフト素子を組み合わせたものである。この投影型表示装置は、カラーフィルターを用いずにフルカラー画像を表示する単板式の投影型表示装置である。
【0133】
図9は、この投影型カラー表示装置の構成を示している。この表示装置は、図9に示すように、白色光源101、球面鏡102、およびコンデンサーレンズ103を有する光源部と、ダイクロイックミラー104R、104G、104Bと、マイクロレンズアレイ105が設けられた液晶表示素子107と、光学シフト素子108と、投影レンズ109とを備えている。本投影型カラー表示装置で形成される画像は、投影レンズ109の後方に配置されたスクリーンに投影表示される。
【0134】
白色光源101としては、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、またはキセノンランプなどの光源が好適に使用される。なお、図9には記載していないが、本投影型カラー表示装置には、液晶表示素子107への無用な紫外線および赤外線をカットするUV−IRカットフィルタがコンデンサーレンズ103の光束の出射口に挿入配置されている。これにより、紫外線および赤外線による液晶表示素子107の不要な温度上昇を低減できる。
【0135】
ダイクロイックミラー104R、104G、104Bは、それぞれ赤、緑、青の各波長帯の光を選択的に反射するものであって、1種類の波長帯の光以外は透過するようになっており、光源部からの略平行光の進行方向に対してそれぞれ異なる角度で配置されている。これらダイクロイックミラー104R、104G、104Bは、公知の多層膜コーティングによって作製される。
【0136】
上記ダイクロイックミラー104R、104G、104Bのそれぞれで反射された光束は、マイクロレンズアレイ105に入射する。このとき、ダイクロイックミラー104Rからの反射光(以下、R光と称する)はマイクロレンズアレイ105に対して略垂直に入射するが、ダイクロイックミラー104Gからの反射光(以下、G光と称する)およびダイクロイックミラー104Bからの反射光(以下、B光と称する)は、上記R光に対してそれぞれ反対方向に角度θmだけ傾いてマイクロレンズアレイ105に入射する。より詳細には、図10に示すように、マイクロレンズアレイ105上で各色の光束の照射領域が互いに重なり合うように入射する。
【0137】
図10は、RGB光が液晶表示素子107に入射する様子を示す断面図である。液晶素子107の光入射側には、3つの画素(R用画素、G用画素、B用画素)にひとつの割合でマイクロレンズ106が配置されている。このようなマイクロレンズアレイ105は、液晶表示素子107上に貼り付けられ、一体化されている。各マイクロレンズ106は、異なる角度で入射してきたRGB光を、対応する3つの画素に入射させる。各画素は独立して駆動されるため、RGB光はそれぞれ独立して変調される。
【0138】
本実施形態における液晶表示素子107は、対角約23mmの画面サイズを有しており、画素は格子状に配列され、画素ピッチPは縦横ともに18μmである。総画素数は縦768、横1024で、いわゆる「XGA(eXtened Graphics Alley)」タイプの表示が可能である。TFT素子が設けられている側の透明基板107b基板は、OA用途で市販されている3板式の投影型表示装置に用いられるものを流用している。
【0139】
液晶表示素子107における画素配置は、図11に示すようにRGB各色の正方形画素が斜め方向に直線状に並んだモザイク配列にしたがっている。ただし、RGBの各色の割り当てについては、対応する画素に対して映像回路から適切な色の階調信号が供給されるが、実際には、その色のカラーフィルターが液晶表示素子107に設けられている訳ではない。液晶表示素子107は、モノクロ映像を表示する構成を有しているが、図10に示すようにRGBの光を入射させ、透過させることにより、対応する画素からRGBの光が出射されることになる。
【0140】
本実施形態では、光学シフト素子108として、実施形態3における光学シフト素子と同様の構成を有するものを使用している。光学シフト素子108の第1シフト部および第2シフト部のそれぞれにおける画像シフト量は、液晶表示素子107の画素ピッチ18μmに整合させている。
【0141】
液晶表示素子107を透過することによって変調された光は、光学シフト素子108を通って投影レンズ109に入射する。投影レンズ109を経た光はスクリーン上に画像を形成する。スクリーンの画像は、光学シフト素子によって周期的に画面横方向にシフトする。
【0142】
本投影型表示装置に入力されたフレーム周波数60HzのXGA解像度の映像信号は、各フレーム画像が3つのサブフレームに分解され、3倍の速さの180Hzで順次切り替え表示される。光学シフト素子108は、図示していないシフト素子駆動回路から実施形態1〜3に述べた駆動法による印加電圧が加えられ、表示されるサブフレーム画像に同期して常に高速に画像シフトを行い2重像のない画像表示を行う。
【0143】
図11(a)〜(c)は、それぞれ、3つの連続したサブフィールド期間においてスクリーン上に表示される画素配列を模式的に示している。スクリーン上に現れる図11(a)の画素配列に比べると、図11(b)の画素配列は水平横方向に1画素分だけシフトしており、図11(c)の画素配列は水平横方向に2画素分だけシフトしている。図11(a)〜(c)の画素配列の位置は、それぞれ、前述したシフト位置A〜Cに対応している。なお、図11(a)〜(c)では、シフト状態が分かり易いように、同一のG画素に丸印をつけている。ただし、投影レンズを通過することで液晶表示素子107の映像は180°回転してスクリーンに投影されるので、シフト方向は、図4(a)〜(c)に示すシフト方向とは反対である。
【0144】
スクリーン上において画素に対応する固定した位置には、連続した3つのサブフレーム期間の間に、RGBの画素が1回ずつ表示される。サブフレームの表示周期および画像シフトの切り替え周期は、映像源の1フレームの3分の1であり、切換周波数は3倍である。その結果、人間の目には3板式と同様、1画素毎にRGBのカラー表示能力を持ったXGA解像度の投影画像として認識される。言い換えると、本実施形態の表示装置によれば、単板式でありながら、3板式と同様のフルカラーの投影画像を実現できる。このため、投影型表示装置の低コスト化および軽量化に大きく寄与することになる。
【0145】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、3枚の液晶セルを有する光学シフト素子を採用することにより、高速な画像シフトを実現し、解像度を向上させても2重画像のない高品位な映像を表示することができる。
【0146】
一般に、投影型表示装置では、各光学部品の透過率が投影画像の明るさに影響するが、光学シフト素子の透過率ロスは、従来の2枚の液晶セルを備えた光学シフト素子に1枚の液晶セルを追加しただけなので、明るさの低下を最小限に抑えることができる。
【0147】
なお、本実施形態の表示装置においても、画素を重ねるように画像シフトを行う代わりに、画素と画素との間のブラックマトリクスの位置に画像をシフトしても解像度を向上させることができる。
【0148】
上記の実施形態1〜4では、表示画面の水平横方向に画像をシフトしているが、表示画面の縦方向にシフトさせてもよい。その場合、映像回路が適切なサブフレーム画像を作成し、選択的に表示すれば、上記実施形態の効果と同様の効果が得られる。また、光学シフト素子に最初に入射する光の偏光面が各図の紙面に垂直な場合でも、3つのシフト位置を高速に切り替えることができる。
【0149】
以上の説明において、光学シフト素子を駆動するための回路(駆動回路6)を表示装置のどの部分に設けるかについては特に言及していないが、表示装置を駆動するための回路(駆動回路5)と一体化することが好ましい。表示素子として液晶表示パネルを用いる場合、駆動回路5は、集積度向上の観点から、アクティブマトリクス基板上に形成されることが好ましいが、このとき、光学シフト素子のための駆動回路6も同一基板上に形成することが望ましい。また、光学シフト素子の側に駆動回路6を設け、光学シフトモジュールとして一体化してもよい。
【0150】
【発明の効果】
本発明の光学シフト素子によれば、3枚の液晶セルと2枚の複屈折素子とを用いることにより、高速で光学シフトを実行することができる。このような光学シフト素子を用いることにより、2重像の発生を抑え、高解像度の画像を表示する軽量で明るい画面の表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による表示装置の第1の実施形態の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態における光学シフト素子の構成を示す図である。
【図3】図2の光学シフト素子を駆動するための電圧の波形と応答波形を示す図である。
【図4】(a)から(c)は、画像シフトを示す図である。
【図5】本発明による表示装置の第2の実施形態における光学シフト素子の構成を示す図である。
【図6】本発明の第2および第3の実施形態における光学シフト素子を駆動すめための電圧波形と応答波形を示す図である。
【図7】本発明による表示装置の第3の実施形態における光学シフト素子の構成を示す図である。
【図8】本発明の第2および第3の実施形態のにおける光学シフト素子を駆動すめための他の電圧波形および応答波形を示す図である。
【図9】本発明による表示装置の第4の実施形態を示す図である。
【図10】第4の実施形態で用いる液晶表示素子104における光の経路を示す断面図である。
【図11】(a)から(c)は、第4の実施形態における画像シフトを示す図である。
【図12】従来の光学シフトの構成を示す図である。
【図13】従来の光学シフト素子を駆動するための電圧の理想的な波形を示す図である。
【図14】従来の光学シフト素子を駆動するための電圧の実際の波形と応答波形を示す図である。
【符号の説明】
1 バックライト
2 液晶表示素子
3、30、32 光学シフト素子
4 観察光学系
5 液晶表示素子の駆動回路
6 光学シフト素子の駆動回路
7 第1シフト部
8 第2シフト部
9〜11 液晶セル
12、13、33 複屈折素子
14、16、17 液晶セルの駆動波形
15、18 液晶セルの応答波形
19〜21 シフト位置の存在比波形
31 1/2波長板
101 白色光源
102 球面鏡
103 コンデンサーレンズ
104R、G、B ダイクロイックミラー
105 マイクロレンズアレイ
106 マイクロレンズ
107 液晶表示素子
108 光学シフト素子
109 投影レンズ
900 (従来の)光学シフト素子
901、902 シフト部
903、905 液晶セル
904、906 複屈折素子
907 光学軸
908、909 液晶セルの駆動波形(理想)
911、913 液晶セルの駆動波形
912、914 液晶セルの応答波形
915〜917 シフト位置の存在比波形

Claims (15)

  1. 入射してきた直線偏光の光軸の位置を周期的にシフトさせる第1のシフト部および第2のシフト部を備えた光学シフト素子であって、
    前記第1のシフト部は、
    第1の印加電圧のHigh/Lowに応答して、入射してきた光の偏光方向を直交する2つの方向の間で切り替えることができる第1の液晶セルと、
    前記第1の液晶セルを透過してきた光を透過する第1の複屈折素子と、
    を備え、
    前記第2のシフト部は、
    第2の印加電圧のHigh/Lowに応答して、入射してきた光の偏光方向を直交する2つの方向の間で切り替えることができる第2の液晶セルと、
    第3の印加電圧のHigh/Lowに応答して、入射してきた光の偏光方向を直交する2つの方向の間で切り替えることができる第3の液晶セルと、
    前記第3の液晶セルを透過してきた光を透過する第2の複屈折素子と、
    を備え、
    前記第1の液晶セル、前記第1の複屈折素子、前記第2の液晶セル、前記第3の液晶セル、および前記第2の複屈折素子がこの順序で直列的に配列されており、
    前記第1の複屈折素子でのシフトの方向と前記第2の複屈折素子でのシフトの方向とが略平行または略反平行であり、かつ、シフト量が略等しく、
    前記第3の液晶セルに含まれる液晶層は、直線偏光が前記第2の液晶セルに含まれる液晶層を透過する過程で発生した不要な偏光成分を低減する、光学シフト素子。
  2. 前記第2および第3の液晶セルに含まれる液晶層の中間部のダイレクタが相互に直交するように前記第2および第3の液晶セルが配置されている請求項1に記載の光学シフト素子。
  3. 前記第1の複屈折素子および前記第2の複屈折素子の配置関係は、前記第1のシフト部によるシフト方向と前記第2のシフト部によりるシフト方向とが略一致するように決定されている請求項1または2に記載の光学シフト素子。
  4. 前記第1から第3の液晶セルのそれぞれに前記第1から第3の印加電圧を供給する駆動回路を備えた請求項1または2に記載の光学シフト素子。
  5. 前記駆動回路は、
    シフトすべき画像の切り替えタイミングに同期させて、前記第1から第3のいずれか一方の印加電圧をLow状態からHigh状態に変化させる請求項4に記載の光学シフト素子。
  6. 前記駆動回路は、
    シフトすべき画像の表示が継続されている間に前記第1の印加電圧をLow状態に変化させ、
    前記画像の表示が継続している間に前記第2および第3の印加電圧を、同時にHighの状態からLow状態に変化させる請求項5に記載の光学シフト素子。
  7. 前記駆動回路は、
    前記第2および第3の印加電圧の一方のみがHigh状態のときに、前記第1の印加電圧をHigh状態からLow状態に変化させる請求項4から6のいずれかに記載の光学シフト素子。
  8. 画像を表示する画像表示部と、
    請求項1から3のいずれかに記載の光学シフト素子と、
    を備えた表示装置であって、
    前記光学シフト素子を用いることにより、前記画像表示部から出た光を前記画像表示部の表示に同期させながらシフトさせる表示装置。
  9. 前記光学シフト素子の第1から第3の液晶セルのそれぞれに前記第1から第3の印加電圧を供給する駆動回路を備えた請求項8に記載の表示装置。
  10. 前記駆動回路は、
    シフトすべき画像の切り替えタイミングに同期させて、前記第1から第3のいずれか一方の印加電圧をLow状態からHigh状態に変化させる請求項9に記載の表示装置。
  11. 前記駆動回路は、
    シフトすべき画像の表示が継続されている間に前記第1の印加電圧をLow状態に変化させ、
    前記画像の表示が継続している間に前記第2および第3の印加電圧を、同時にHighの状態からLow状態に変化させる請求項10に記載の表示装置。
  12. 前記駆動回路は、
    前記第2および第3の印加電圧の一方のみがHigh状態のときに、前記第1の印加電圧をHigh状態からLow状態に変化させる請求項9から11のいずれかに記載の表示装置。
  13. 前記駆動回路は、前記画像表示部を駆動する回路が形成された基板上に形成されている、請求項9から12のいずれかに記載の表示装置。
  14. 請求項1から3のいずれかに記載の光学シフト素子に対して前記第1から第3の印加電圧を供給する駆動回路であって、
    前記光学シフト素子によってシフトすべき画像の切り替えタイミングに同期させて、前記第1から第3のいずれか一方の印加電圧をLow状態からHigh状態に変化させるステップと、
    次の画像の切り替えの前に、前記第1の印加電圧をLow状態に変化させるステップと、
    前記切り替えの前に、前記第2および第3の印加電圧を、同時にHighの状態からLow状態に変化させるステップと、
    を実行する駆動回路。
  15. 前記第2および第3の印加電圧の一方のみがHigh状態のときに、前記第1の印加電圧をHigh状態からLow状態に変化させるステップを実行する請求項14に駆動回路。
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