JP2003159996A - 車両における視界を改善する装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単なやり方で角度に依存するレーザ光の放
射特性を形成する。 【解決手段】 少なくとも２つの異なるタイプのレーザ
ヘッドライトを設け、このレーザヘッドライトがそれぞ
れ観察すべき空間角度領域の異なる部分を照明する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば暗闇、悪天
候及び霧の時の車両における視界を改善する装置であっ
て、可視スペクトル外の波長を有するレーザ光を車両前
方の所定の空間角度領域に照射する１つまたは複数のレ
ーザヘッドライトと、瞬時の交通シーンの画を録画する
可視スペクトル外に敏感なカメラと、録画した画を可視
スペクトルで再生する表示光学系を車両内とを備えた、
車両における視界を改善する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】夜間の視界不良はドライバを疲弊させ、
また危険な状況であり、この状況を多くのドライバは憂
慮する。この視界不良の結果として、夜間での事故の頻
度は日中及び視界が良好な時に比べると格段に高い。殊
に夜間時には以下の問題が生じる。

【０００３】−対向車のロービームによる視界距離は短
く、多くのドライバが誤って評価する。このことは照明
されていない障害物、歩行者、無灯火で自転車を運転し
ている人そして動物への認識を遅らせ、したがって事故
に繋がる。

【０００４】−対向車両のヘッドライト、また特に道路
が濡れているときのヘッドライトの反射によってドライ
バは眩惑し、短時間の間目つぶしされる。夜盲症及び高
齢者ドライバは視力が弱いために殊に危険にさらされて
いる。

【０００５】−雨、霧及び吹雪の時には視界状況はより
一層悪くなる可能性がある。

【０００６】夜間の視界を改善することは、DE 40 07 6
46 A1に記載されているオプトエレクトロニクスシステ
ムによって達成される。このシステムは交通シーンのビ
デオ画を録画し、このビデオ画をドライバに適応させて
表示する。表示された画は付加情報を含み、この付加情
報は例えば暗闇、悪天候及び霧のときにはドライバ自身
の目では認識できない、もしくはかろうじて認識できる
ものである。

【０００７】システムは通常のヘッドライトに加え赤外
線ヘッドライトを含み、この赤外線ヘッドライトは近赤
外線で放射するレーザダイオードを光源として使用す
る。レーザダイオードはパルスで動作する。ビデオ画を
録画するＣＣＤカメラは車両の屋根領域に取り付けられ
ている。ＣＣＤカメラは電子シャッタを有し、この電子
シャッタはレーザダイオードと同期されている。カメラ
の光学系の手前には光学帯域フィルタが取り付けられて
いる。ビデオ画はドライバにＬＣＤディスプレイ上で表
示される。レーザは近赤外線で８１０ｎｍの波長でもっ
て放出される。赤外線の光は人間の目では殆ど見ること
ができず、また使用される光出力は慣用の車両ヘッドラ
イトよりも大きくないので、恒常的に減光せずに照明す
ることができる。

【０００８】さらに既述の刊行物には、例えば交通シー
ンの前景を背景よりもやや明るく照明するために、照明
の輝度を放射角度に依存して変化させることが提案され
ている。したがって距離が遠くなるにつれ減少するレー
ザ光の輝度を補償することができ、シーンを一様に照ら
すことができる。特にレーザビームは１つの空間方向で
振動ミラーによって往復的に揺動され、この空間方向に
対して垂直な空間方向では一様に拡張されるか、または
照明すべき交通シーンを連続して走査するために同様に
迅速に揺動され、またレーザビームの強度は振動ミラー
の揺動と同期して変化される。しかしながらミラーを振
動させるために必要な電子機構には、車両の場合では容
易に充足できない高度の要求が課される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、簡単
なやり方で角度に依存するレーザ光の放射特性を形成す
ることである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この課題は、少なくとも
２つの異なるタイプのレーザヘッドライトを設け、この
レーザヘッドライトがそれぞれ観察すべき空間角度領域
の異なる部分を照明することによって解決される。

【００１１】

【発明の実施の形態】それぞれが観察すべき空間角度領
域の異なる部分を照明する、２つまたはそれ以上の異な
るタイプのレーザヘッドライトからレーザ光が放射され
ることによって、レーザ光源のタイプ、光量、光学系及
び必要に応じてそれぞれのレーザヘッドライトの波長
を、最適にそれぞれの照明の目的、例えば「道路ヘッド
ライト」及び「人間ヘッドライト」に適合させることが
できる。異なるタイプのレーザヘッドライトによって照
明された、観察すべき空間角度領域の部分及びその部分
の交差領域を適当に選択することによって、全体の放射
特性を簡単なやり方で最適化できる。

【００１２】有利な実施形態では、レーザ光が車両の前
面から離れた位置で形成され、光導体を通って車両の前
面へと誘導される。そこでレーザ光は適当な光学系によ
って放射される。このことは、敏感なレーザ光源を何ら
かの保護がなされている位置、例えば夜間視界システム
の電子機構の内部に取り付けることができるという利点
を有する。車両の前方には頑丈な光射出光学系がありさ
えすれば良い。

【００１３】光導体を使用することはさらに以下の利点
を有する。すなわち、複数の光射出光学系に共通の１つ
の光源からレーザ光を供給するか、または種々の波長を
有することもできる複数のレーザ光源の光を共通の１つ
の光射出光学系に案内するために、これらの光導体に簡
単なやり方で分岐を設けることができる。

【００１４】本発明のさらなる特徴及び利点は従属請求
項、及び車両における視界を改善するためのシステムの
実施例の以下の説明に記載されている。

【００１５】

【実施例】自動車は進行方向に放射する２つまたはそれ
以上の赤外線レーザヘッドライトを有する。各レーザヘ
ッドライトは１つまたは複数の赤外線レーザ、例えばレ
ーザダイオードを有し、この赤外線レーザは近赤外線で
動作する。択一的にシステムは、可視スペクトル外の他
のスペクトル領域、例えば遠赤外線または紫外線でも動
作することができる。

【００１６】各レーザヘッドライトがレーザを１つだけ
有する場合には、車両の前方の観察すべき空間角度領域
を照明する可能性が種々ある。すなわち、ａ）レーザビ
ームが２次元に拡がることによって全体の領域を同時に
照明する。

【００１７】ｂ）一方の方向と直交する他方の方向にお
いて同時に狭く集光した場合には一方の方向にのみ拡が
り、また他方の方向では照明される平ら扇形空間角度を
揺動（ｓｃａｎ）する。

【００１８】ｃ）全体の空間角度領域を走査しながら照
明するために２次元で全レーザビームを揺動する。

【００１９】択一的に、共通して空間角度領域全体を照
明するレーザダイオードのアレイをレーザヘッドライト
として使用することができる。

【００２０】実施例においては２つの異なるタイプのレ
ーザヘッドライトが使用され、これらのレーザヘッドラ
イトはそれぞれ、観察すべき空間角度領域の異なる部分
を照明する。第１のタイプのレーザヘッドライト、すな
わち単一のヘッドライトか、またはそれぞれ慣用のヘッ
ドライトの近傍に取り付けられている複数、例えば２つ
のレーザヘッドライトは、慣用のハイビームと同様に主
として車両の前方の道路、すなわち観察すべき空間角度
領域の比較的狭い扇形を照射する。第２のタイプのレー
ザヘッドライト、すなわち同様に単一のヘッドライト
か、またはそれぞれ慣用のヘッドライトの近傍に取り付
けられている複数、例えば２つのレーザヘッドライト
は、車両前方の近い領域、すなわち車両から斜め下方、
並びに（必要に応じて非対称に）斜め横の領域に重点を
おいてすぐ観察すべき空間角度領域を照射する。この点
では第２のタイプのレーザヘッドライトは、慣用のロー
ビームに類似しているが、しかしながら遮光作用がない
ためさらに上方に向けることができる放射特性を有し、
道路の周辺部にいる何らかの人を確実に検出する。

【００２１】２つの異なるタイプのレーザヘッドライト
を使用することは、個々のレーザヘッドライトのレーザ
及び光学系をそれぞれの使用目的に対して最適化するこ
とができるという利点を有する。レーザダイオードの固
有発散度が「ハイビーム」にまさに適する値を有する場
合には、「道路ヘッドライト」のために例えば、唯一の
レーザダイオードで、ビームを拡げるための光学系を全
く有さなくても足る。他方では「人間ヘッドライト」の
ためのレーザ及びビームを拡げるその光学系のコヒーレ
ンスには高度の要求は生じない。さらに２つのタイプの
レーザヘッドライトの光量また場合によっては波長も、
それぞれの使用目的に最適に適合させることができる。
２つのそのようなレーザヘッドライトが互いに距離をお
いて配置されており、かつさらに後述するカメラによっ
て区別することが可能な異なる波長の光が放射される場
合には、１つのカメラでもって立体視が可能である。

【００２２】しかしながらレーザ光を慣用のヘッドライ
トのように車両の前方の直ぐ近くで形成することはでき
ず、また形成すべきではない。実施例においては１つま
たは複数のレーザ光源が車両電子機構または他の保護さ
れた位置に取り付けられ、その位置からレーザ光は光導
体を通過して１つまたは複数の光射出光学系に案内され
る。この光射出光学系が１つまたは複数のレーザヘッド
ライトを形成する。光導体を分岐させることもできるの
で、例えば１つのレーザを複数のレーザヘッドライトに
供給することができる。または、照明の前述の最適化の
ために異なる波長を有することもできる複数のレーザの
光を、一体化された、または光学的に相互に結合された
光導体を介して１つまたは複数のレーザヘッドライトに
供給できる。

【００２３】車両はさらに画像センサとしてのカメラを
有し、このカメラは進行方向に現れる交通シーンを録画
するように配置されている。カメラは少なくとも、周辺
から反射された１つまたは複数のレーザヘッドライトの
光、この実施例では近赤外線に対して敏感である。カメ
ラによって録画されたビデオ画は、ドライバに車両内に
おける表示光学系によって表示され、この表示光学系は
例えば計器盤上のディスプレイまたはヘッドアップディ
スプレイ方式でフロントガラスの領域に画を投影するプ
ロジェクタである。

【００２４】このカメラは例えばGB 2271139に記載され
ているように、フロントガラスの直ぐ後ろでバックミラ
ーの近傍に配置されている。その刊行物に記載されてい
るように、フロントガラスはその位置に赤外線透過性の
材料を使用する。ここで記述する実施例では同質の材料
からなるフロントガラスが使用されており、このフロン
トガラスは熱照射を低減するために赤外線を遮断するフ
ィルムによって覆われている。このフィルムはカメラの
視界の領域では、赤外線光をカメラに対して透過させる
ために部分的に欠落しており、ここでガラス自体の僅か
な赤外線の吸収は許容される。

【００２５】ヘッドライトがかぶり、大気の散乱光を通
してカメラを見ることができるようにするために、１つ
または複数の慣用のヘッドライトと、一方ではレーザヘ
ッドライト、他方ではカメラとの間の垂直の間隔は可能
な限り大きくあるべきである。この点で、バックミラー
の高さ、例えば今日ではレインセンサも取り付けられて
いる高さへの配置は有利であるが、カメラを常に可能な
限り上方に取り付けることによって、車両デザインに応
じて場合によってはさらに改善することができる。

【００２６】上述したようにフロントガラスの後ろにカ
メラを配置する際には、カメラの視界内のフロントガラ
スの領域が少なくとも１つのワイパの作動領域にあるよ
うに顧慮し、したがってカメラは雨天でも明瞭な視界を
有する。実施例においては、例えばワイパがカメラの視
界にある瞬間ではその都度、瞬時の画ではなく最後に伝
送された画が車両における表示光学系に映し出されるこ
とによって、カメラとワイパは相互に同期して作動され
る。フェードアウトする時間間隔は非常に短いのでドラ
イバには識別されない。

【００２７】カメラを車両において申し分なく上方に配
置することが何らかの理由により不可能であるか望まし
くない場合には、カメラを目立たないように、またフロ
ントガラスによる妨害もなく、サイドミラーの一方に取
り付けることができる。他方のサイドミラーに更にカメ
ラが取り付けられている場合には、別個の距離測定器を
要することなく、立体視、したがって対象物からの距離
を測定することができる。

【００２８】別の実施例においては、可視光に対するそ
の他の通常のフィルタを省略または不活動状態にする場
合には、カメラは１つまたは複数のレーザヘッドライト
の波長領域にのみ敏感なのではなく、例えばＣＣＤセン
サの場合のように可視スペクトルにも敏感である。これ
によってカメラを視界不良時に使用することに加え、例
えば瞬時の交通シーンの画を録画するために昼光カメラ
としても使用することができ、この交通シーンに基づい
て車道の周辺部、交通標識またはその他の安全にとって
重要な細部を識別する。識別された細部はさらに、何ら
かの危険な状況、例えば車線から逸れていないかまたは
制限速度を超過していないかについて評価され、次いで
ドライバには音響的または光学的警告信号によってこれ
に関する指示がなされる。

【００２９】赤外線夜間視界に必要とされるカメラの感
度が、このカメラを昼光カメラとして使用するには強す
ぎる場合には、カメラには自動調整アイリス絞りが設け
られ、この自動調整アイリス絞りは日中ではカメラが露
出されすぎないように絞られる。しかしながら、光の感
度を電子機構を用いてそれぞれ必要とされる値に調整す
ることができるカメラもあるので、その場合には何らか
の機構は必要ない。

【００３０】別の実施例では、１つまたは複数のレーザ
ヘッドライト及びカメラは、暗闇、悪天候及び霧の時の
視界を改善するための上述のシステムだけではなく、同
時に他の車両と通信するためのシステムとして使用さ
れ、先行するまたは対向する車両のドライバに何らかの
危険な状況を警告するために、またはハイビームで対向
する車両がロービームに切り替えるように自動的に指示
するために継続的にステータス情報を送信する。

【００３１】このために、伝送すべき情報を有する本来
は視界の改善のためだけに放射されるレーザ光は変調さ
れて、同様に既述のカメラ及び／又は何らかの他の赤外
線センサを使用し、かつレーザ光の射程に達する車両に
おいてこれらの情報をレーザ光から取り出しそして評価
することができる。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｂ６０Ｒ 21/00 Ｂ６０Ｒ 21/00 ６２４Ｄ ６２４Ｆ ６２６ ６２６Ｂ ６２６Ｇ ６３０ ６３０Ｃ Ｇ０３Ｂ 15/00 Ｇ０３Ｂ 15/00 Ｕ 15/02 15/02 Ｆ Ｇ Ｇ０８Ｇ 1/09 Ｇ０８Ｇ 1/09 Ｈ 1/0962 1/0962 Ｈ０４Ｎ 7/18 Ｈ０４Ｎ 7/18 Ｊ Ｕ (72)発明者 エドガー ヴァイデル ドイツ連邦共和国 ゼンデン フートラー シュトラーセ 25 Ｆターム(参考） 3D053 FF31 HH47 HH60 3K039 CC01 5C054 AA01 CA06 CE11 DA05 GB01 HA30 5H180 AA01 BB02 CC02 CC03 CC04 EE14 FF27 FF33 LL01

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 例えば暗闇、悪天候及び霧の時の車両に
   おける視界を改善する装置であって、 可視スペクトル外の波長を有するレーザ光を車両前方の
   所定の空間角度領域に照射する１つまたは複数のレーザ
   ヘッドライトと、 瞬時の交通シーンの画を録画する可視スペクトル外に敏
   感なカメラと、 録画した画を可視スペクトルで再生する表示光学系を車
   両内とを備えた、車両における視界を改善する装置にお
   いて、 少なくとも２つの異なるタイプのレーザヘッドライトが
   設けられており、該レーザヘッドライトはそれぞれ観察
   すべき空間角度領域の異なる部分を照明することを特徴
   とする、車両における視界を改善する装置。
2. 【請求項２】 レーザ光を形成するレーザは、車両の前
   面から離れた位置に配置されており、光導体を介してレ
   ーザヘッドライトと接続されている、請求項１記載の装
   置。
3. 【請求項３】 前記カメラは車両のフロントガラスの後
   方で内部のバックミラーの高さに取り付けられており、 車両のフロントガラス上の赤外線を遮断するフィルムが
   カメラの視界の領域では欠落している、請求項１または
   ２記載の装置。
4. 【請求項４】 前記カメラは車両の限りなく上部に取り
   付けられている、請求項１から３のいずれか１項記載の
   装置。
5. 【請求項５】 前記カメラは車両のサイドミラーの一方
   に取り付けられている、請求項１から４のいずれか１項
   記載の装置。
6. 【請求項６】 他方のサイドミラーには、瞬時の交通シ
   ーンの画を録画する可視スペクトル外に敏感なカメラ
   が、異なる角度で取り付けられている、請求項５記載の
   装置。
7. 【請求項７】 前記カメラは可視スペクトル内でも敏感
   である、請求項１から６のいずれか１項記載の装置。
8. 【請求項８】 カメラの光感度を周囲輝度に自動的に適
   合させる部品が設けられている、請求項７記載の装置。
9. 【請求項９】 １つまたは複数のレーザヘッドライト及
   び／又はカメラは、さらに他の車両との光学的通信を行
   うシステムの構成部分である、請求項１から８のいずれ
   か１項記載の装置。