JP2003156847A - 重合性化合物、重合体、及び感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

重合性化合物、重合体、及び感放射線性樹脂組成物

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JP2003156847A
JP2003156847A JP2001356605A JP2001356605A JP2003156847A JP 2003156847 A JP2003156847 A JP 2003156847A JP 2001356605 A JP2001356605 A JP 2001356605A JP 2001356605 A JP2001356605 A JP 2001356605A JP 2003156847 A JP2003156847 A JP 2003156847A
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polymer
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JP2001356605A
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Akira Tanaka
明 田中
Yasushi Yoshino
泰 吉野
Kakuei Ozawa
角栄 小澤
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Nippon Zeon Co Ltd
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  • Materials For Photolithography (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遠紫外線、エキシマレーザ、電子線などの露
光に対して極めて高感度を示し、かつ基板との密着性に
優れ、現像時にパターン剥がれや膨潤などが生じ難い感
放射線性樹脂組成物を提供すること。該感放射線性樹脂
組成物のベース樹脂として優れた特性を示す極性変換型
の重合体、及び該重合体の形成に使用される新規な重合
性化合物を提供すること。 【解決手段】 式(I) 【化1】 で表される重合性化合物。式(II) 【化2】 で表される構造単位5〜100モル%と他のビニル系単
量体に由来する構造単位0〜95モル%とを含有し、重
量平均分子量が1,000〜100,000の範囲であ
ることを特徴とする重合体。該重合体(a)、及び活性光
線の照射により酸を発生する化合物(b)を含有する感放
射線性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合性化合物、該
重合性化合物に由来する構造単位を含有する重合体、及
び該重合体を含有する感放射線性樹脂組成物に関する。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、高感度で、かつ基板
への密着性に優れており、半導体プロセスにおいて、リ
ソグラフィによる微細加工に使用することができる。本
発明の感放射線性樹脂組成物は、層間絶縁膜や不活性化
絶縁膜などの絶縁膜、ソルダーレジスト材料などとして
も好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、高感度のレジストとして、化学増
幅型レジストが開発されている。化学増幅型レジスト
は、現像液に対する溶解特性の変化に化学増幅反応を用
いたレジスト材料である。化学増幅型レジストは、活性
光線の照射により酸を発生する化合物(酸発生剤)を含
んでおり、パターン露光によって酸を発生させる。露光
に続くベーキング処理によって酸による触媒反応と酸拡
散が誘起され、ポジ型レジストの場合には、溶解阻害剤
(または樹脂の保護基)が失活(または脱保護)して、
現像液に可溶となる。
【0003】従来、化学増幅型レジストとして、例え
ば、カルボン酸のtert−ブチルエステルまたはフェ
ノールのtert−ブチルカーボネート基を有する重合
体と酸発生剤とを含むレジスト組成物(特公平2−27
660号公報)、活性光線に対する透過性を高めるため
に、酸レイビル(置換活性)保護基を導入した水素添加
ポリビニルフェノール誘導体をベース樹脂とする放射線
感光性組成物(特開平5−249673号公報)が提案
されている。
【0004】また、高感度化、熱安定性化を図るため
に、アルカリ可溶性樹脂に、酸または塩基により分解さ
れる保護基として、t−ブトキシカルボニル基、t−ア
ミルオキシカルボニル基、t−ブチル基、t−ヘキシル
基、アリル基、2−シクロヘキシル基等を結合させたベ
ース樹脂を含有するレジスト組成物(特開平4−158
363号公報)、分子内にtert−アミルエステル構
造を有する化合物を含有するレジスト組成物(特開平4
−269754号公報)などが提案されている。
【0005】これらのレジスト組成物は、いずれも基材
樹脂のフェノール性水酸基やカルボキシル基のようなア
ルカリ可溶性基を保護基により保護してアルカリ不溶性
若しくは難溶性にしておき、露光で発生した酸により保
護基を脱離させ、アルカリ可溶性基を出現させる極性変
換型のものである。化学増幅型レジストは、露光後の加
熱により脱保護反応を増幅して、基材樹脂のアルカリ現
像液に対する溶解性を高めるため、高感度が得られる。
また、化学増幅型レジストは、露光部と未露光部で極性
変化により大きく溶解性が異なるため、高い現像コント
ラストが得られ、高解像性を達成することができる。
【0006】しかし、半導体プロセスにおける微細加工
に対する要求水準は、ますます高度化しており、リソグ
ラフィ技術に用いる化学増幅型レジストについても、感
度、解像性、パターン形状、耐エッチング性などのレジ
スト特性について、さらなる改善が求められている。
【0007】より具体的に、化学増幅型レジストには、
遠紫外線、エキシマレーザ、電子線などに対して、従来
水準よりもさらに高感度であることが望まれている。ま
た、化学増幅型レジストには、基板との密着性に優れて
いることが求められている。空気中では、レジストは、
水素結合によって基板と密着しているが、この水素結合
は、酸またはアルカリによって容易に切断される。その
ため、現像液中やエッチング液中では、水素結合が切断
されて、レジストパターン剥がれやウエットエッチング
での浸み込みが生じやすくなる。現像中にレジストパタ
ーン剥がれが生じないまでも、レジストパターンが膨潤
すると、解像性が低下する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、感
度、解像性、基板密着性、パターン形状、及び耐エッチ
ング性に優れ、化学増幅型レジストとして好適な感放射
線性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】より具体的に、本発明の目的は、遠紫外
線、エキシマレーザ、電子線などの露光に対して極めて
高感度を示し、かつ基板との密着性に優れ、現像時にパ
ターン剥がれや膨潤などが生じ難い感放射線性樹脂組成
物を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、感放射線性樹脂組成
物のベース樹脂として優れた特性を示す極性変換型の重
合体、及び該重合体の形成に使用される新規な重合性化
合物を提供することにある。
【0011】本発明者らは、前記課題を達成するために
鋭意研究した結果、2−オキソシクロアルキル基を有す
る新規な重合性化合物に想到した。この重合性化合物に
由来する構造単位を有する重合体と酸発生剤とを組み合
わせた樹脂組成物は、感放射線性を示し、高感度で、か
つ現像時に基板との密着性に優れた化学増幅型レジスト
として好適であることが見出された。本発明の感放射線
性樹脂組成物は、基板との密着性に優れているため、層
間絶縁膜やソルダーレジストなどの材料としても有用で
ある。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至
ったものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、式(I)
【0013】
【化4】
【0014】(式中、R1は、炭素原子数1〜10の直
鎖状若しくは分岐状アルキル基、アリール基、置換アリ
ール基、アリールアルキル基または置換アリールアルキ
ル基であり、R2は、水素原子またはメチル基であり、
nは、メチレン基の数を示し、0〜3の整数であり、A
は、単結合または二価の有機基である。)で表される重
合性化合物が提供される。
【0015】また、本発明によれば、式(II)
【0016】
【化5】
【0017】〔式中、R1は、炭素原子数1〜10の直
鎖状若しくは分岐状アルキル基、アリール基、置換アリ
ール基、アリールアルキル基または置換アリールアルキ
ル基であり、R2は、水素原子またはメチル基であり、
nは、メチレン基の数を示し、0〜3の整数であり、A
は、単結合または二価の有機基である。)で表される構
造単位5〜100モル%と他のビニル系単量体に由来す
る構造単位0〜95モル%とを含有し、重量平均分子量
が1,000〜100,000の範囲であることを特徴
とする重合体が提供される。
【0018】さらに、本発明によれば、式(II)
【0019】
【化6】
【0020】〔式中、R1は、炭素原子数1〜10の直
鎖状若しくは分岐状アルキル基、アリール基、置換アリ
ール基、アリールアルキル基または置換アリールアルキ
ル基であり、R2は、水素原子またはメチル基であり、
nは、メチレン基の数を示し、0〜3の整数であり、A
は、単結合または二価の有機基である。)で表される構
造単位5〜100モル%と他のビニル系単量体に由来す
る構造単位0〜95モル%とを含有し、重量平均分子量
が1,000〜100,000の範囲である重合体
(a)、及び活性光線の照射により酸を発生する化合物(b)
を含有する感放射線性樹脂組成物が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】1.重合性化合物 本発明の重合性化合物は、式(I)
【0022】
【化7】
【0023】で表される化学構造を有する化合物であ
る。式(I)中、R1は、炭素原子数1〜10の直鎖状若し
くは分岐状アルキル基、アリール基、置換アリール基、
アリールアルキル基(即ち、アラルキル基)または置換
アリールアルキル基である。
【0024】直鎖状または分岐状アルキル基としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル
基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル
基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル
基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソ
デシル基などが挙げられる。
【0025】置換アリール基及び置換アリールアルキル
基の置換基としては、炭素原子数1〜4の直鎖状若しく
は分岐状アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトリ
ル基、ハロゲン置換アルキル基などが挙げられる。アリ
ール基及び置換アリール基としては、例えば、フェニル
基、4−メチルフェニル基などを挙げることができる。
アリールアルキル基及び置換アリールアルキル基として
は、例えば、ベンジル基、4−メチルベンジル基などを
挙げることができる。R2は、水素原子またはメチル基
である。
【0026】nは、メチレン基の数を示し、0〜3の整
数である。2−オキソシクロアルキル基としては、2−
オキソシクロペンチル基(n=0)、及び2−オキソシ
クロヘキシル基(n=1)が好ましい。
【0027】Aは、単結合または二価の有機基である。
二価の有機基としては、例えば、カルボニル基(>C=
O)、アリーレン基、置換アリーレン基、
【0028】
【化8】
【0029】(式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル
基またはアリール基である。)、
【0030】
【化9】
【0031】(式中、R5、R6、R8、及びR9は、それ
ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数
1〜4のアルキル基であり、4個のR7は、それぞれ独
立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜4
のアルキル基である。)、
【0032】
【化10】
【0033】(式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル
基またはアリール基である。)、及び
【0034】
【化11】
【0035】(式中、R5、R6、R8、及びR9は、それ
ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数
1〜4のアルキル基であり、4個のR7は、それぞれ独
立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜4
のアルキル基である。)が挙げられる。
【0036】二価の有機基Aとしては、カルボニル基
(>C=O)、アリーレン基、及び置換フェニレン基が
好ましく、カルボニル基がより好ましい。アリーレン基
としては、フェニレン基が好ましい。置換アリーレン基
の置換基としては、炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは
分岐状アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトリル
基、ハロゲン置換アルキル基などが挙げられる。
【0037】重合性化合物としては、式(I−1)
【0038】
【化12】
【0039】で表される2−オキソシクロペンチル基を
有する(メタ)アクリル酸エステル、式(I−2)
【0040】
【化13】
【0041】で表される2−オキソシクロヘキシル基を
有する(メタ)アクリル酸エステル、式(I−3)
【0042】
【化14】
【0043】で表される2−オキソシクロペンチル基を
有するスチレン誘導体、式(I−4)
【0044】
【化15】
【0045】で表される2−オキソシクロヘキシル基を
有するスチレン誘導体、式(I−5)
【0046】
【化16】
【0047】で表される2−オキソシクロペンチル基を
有するビニルオキシ化合物、並びに式(I−6)
【0048】
【化17】
【0049】で表される2−オキソシクロヘキシル基を
有するビニルオキシ化合物などが好ましく、2−オキソ
シクロペンチル基または2−オキシシクロヘキシル基を
有する(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。な
お、式(I−1)〜(I−6)において、R1は、炭素
原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、ア
リーレン基、置換アリーレン基、アリールアルキル基ま
たは置換アリールアルキル基であり、R2は、水素原子
またはメチル基である。
【0050】前記式(I)で表される重合性化合物の好ま
しい具体例としては、下式(1)〜(4)
【0051】
【化18】
【0052】
【化19】
【0053】
【化20】
【0054】
【化21】
【0055】で表される2−オキソシクロペンチル基ま
たは2−オキシシクロヘキシル基を有する(メタ)アク
リル酸エステルが挙げられる。
【0056】式(I)で表される重合性化合物は、以下の
方法により得ることができる。例えば、式(5)
【0057】
【化22】
【0058】(式中、R1は、炭素原子数1〜10の直
鎖状若しくは分岐状アルキル基、アリール基、置換アリ
ール基、アリールアルキル基または置換アリールアルキ
ル基である。)で表される2−オキソシクロアルキル基
を有するアルコールまたはそのハロゲン化物と、式
(6)
【0059】
【化23】
【0060】(式中、R2は、水素原子またはメチル基
であり、X1は、OH基、ハロゲン原子または−OR基
を示し、Rは、エステル変換可能な炭化水素基であ
る。)で表される(メタ)アクリロイル化合物とを反応
させることにより、式(I−1)や式(I−2)で表さ
れる(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
【0061】前記式(5)で表される2−オキソシクロ
アルキル基を有するアルコールまたはそのハロゲン化物
と、式(7)
【0062】
【化24】
【0063】(式中、R2は、水素原子またはメチル基
であり、X2は、ハロゲン原子である。)で表されるハ
ロゲン化スチレン類とを反応させることにより、式(I
−3)及び式(I−4)で表されるスチレン誘導体を得
ることができる。
【0064】前記式(5)で表される2−オキソシクロ
アルキル基を有するアルコールまたはそのハロゲン化物
と、式(8)
【0065】
【化25】
【0066】(式中、X3は、ハロゲン原子である。)
で表されるハロゲン化ビニル類とを反応させることによ
り、式(I−5)及び式(I−6)で表されるビニルオ
キシ化合物を得ることができる。
【0067】また、式(I)で表される上述以外の重合性
化合物は、式(5)で表される化合物の代わりに、(メ
タ)アクリル酸またはヒドロキシスチレン類を、式
(9)で表される化合物と反応させることにより、合成
することができる。
【0068】
【化26】
【0069】式(9)中、R1は、炭素原子数1〜10
の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、アリール基、置換
アリール基、アリールアルキル基または置換アリールア
ルキル基である。X4は、ハロゲン原子である。Bは、
二価の有機基である。二価の有機基Bとしては、
【0070】
【化27】
【0071】(式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル
基またはアリール基である。)、及び
【0072】
【化28】
【0073】(式中、R5、R6、R8、及びR9は、それ
ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数
1〜4のアルキル基であり、4個のR7は、それぞれ独
立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜4
のアルキル基である。)が挙げられる。
【0074】二価の有機基Bの具体例としては、−CH
2CO−、−CH(CH3)CO−、−C(CH32CO
−、CCl2CO−、−CH(Ph)CO−(Phは、
フェニル基を表す。以下、同じ。)、−C(Ph)2
O−、−CH2−C64−O−CH2CO−、−CH(C
25)−C64−O−CH2CO−、−CH2−〔C6 3
(CH3)〕−O−CH(CH3)CO−、−CHCl−
64−O−CH2CO−などが挙げられる。
【0075】このような−B−X4基を導入するには、
例えば、1−(2−オキソシクロペンチル)ペンチルア
ルコールと2−ブロモ酢酸ブロミドとを反応させて、1
−(2−オキソシクロペンチル)ペンチル−2−ブロモ
アセテートを合成する方法など、式(5)で表される2
−オキソシクロアルキル基を有するアルコールと各種試
薬とを反応させる方法が挙げられる。
【0076】2.重合体 本発明の重合体は、式(II)
【0077】
【化29】
【0078】〔式中、R1は、炭素原子数1〜10の直
鎖状若しくは分岐状アルキル基、アリール基、置換アリ
ール基、アリールアルキル基または置換アリールアルキ
ル基であり、R2は、水素原子またはメチル基であり、
nは、メチレン基の数を示し、0〜3の整数であり、A
は、単結合または二価の有機基である。)で表される構
造単位5〜100モル%と他のビニル系単量体に由来す
る構造単位0〜95モル%とを含有し、重量平均分子量
が1,000〜100,000の範囲である重合体であ
る。
【0079】式(II)で表される構造単位は、式(I)で表
される重合性化合物に由来する繰り返し単位である。本
発明の重合体を合成する場合、式(I)で表される重合性
化合物をそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わ
せて使用することができる。他のビニル系単量体は、式
(I)で表される重合性化合物と共重合可能な単量体で
ある。
【0080】本発明で使用するビニル系単量体として
は、例えば4−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシス
チレン、2−ヒドロキシスチレン、α−メチル−4−ヒ
ドロキシスチレン、α−メチル−3−ヒドロキシスチレ
ン、α−メチル−2−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロ
キシ−3−メチルスチレンなどのヒドロキシスチレン
類、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレ
ン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレ
ン、4−t−アミルオキシスチレンなどのスチレン類;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピ
ル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレ
ート、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−アミル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、クロロメチル(メタ)アクリレート、1−メチ
ルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−メチルシ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、2−アルキル−2
−アダマンチル(メタ)アクリレート、メバロニックラ
クトン(メタ)アクリレート、多置換−2−プロペニル
(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステ
ル;などが挙げられる。
【0081】これらのビニル系単量体の中でも、ヒドロ
キシスチレン類;2−アルキル−2−アダマンチル(メ
タ)アクリレート、メバロニックラクトン(メタ)アク
リレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、及び多置
換−2−プロペニル(メタ)アクリレートなどの酸また
は塩基により分解される保護基を有する(メタ)アクリ
ル酸エステル;が好ましく、アルカリ現像液に対する溶
解性や解像性の点で4−ヒドロキシスチレンなどのスチ
レン類がより好ましい。ビニル系単量体は、それぞれ単
独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが
できる。
【0082】本発明の重合体が式(I)で表される重合性
化合物とビニル系単量体との共重合体である場合には、
式(II)で表される構造単位とともに、ビニル系単量体に
由来する構造単位を含有する。
【0083】本発明の重合体が、式(I)で表される重合
性化合物(S)とビニル系単量体(V)との共重合体である場
合、両者のモル比(S:V)は、使用目的に応じて適宜
定めることができるが、感放射線性樹脂組成物のベース
樹脂として使用する場合には、感度、解像性、パターン
形状、耐エッチング性、基板との密着性などのレジスト
特性の観点から、好ましくは5:95〜90:10、よ
り好ましくは10:90〜60:40、特に好ましくは
15:85〜50:50である。
【0084】本発明の重合体は、例えば、上述の単量体
をアゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合触媒
を用いたラジカル重合法などの公知の重合法により重合
することにより得ることができる。また、本発明の重合
体は、例えば、ポリビニルフェノールなどのヒドロキシ
スチレンの繰り返し単位を有する重合体や、(メタ)ア
クリル酸の繰り返し単位を有する重合体と、前記式
(9)で表される化合物とを反応させることにより得る
ことができる。
【0085】本発明の重合体の重量平均分子量(Mw)
は、1,000〜100,000の範囲内である。重合
体の重量平均分子量が小さすぎると成膜性が不充分とな
るおそれがあり、大きすぎると解像性が低下するおそれ
がある。成膜性や解像性を考慮すると、重量平均分子量
(Mw)は、好ましくは2,000〜50,000、よ
り好ましくは3,000〜30,000程度である。重
合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィ(GPC)法により測定した標準ポ
リスチレン換算の値である。
【0086】本発明の重合体のGPC法による分散度、
即ち重量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)
は、通常1〜5、好ましくは1〜3である。
【0087】3.感放射線性樹脂組成物 本発明の感放射線性樹脂組成物は、前記式(II)で表され
る構造単位5〜100モル%と他のビニル系単量体に由
来する構造単位0〜95モル%とを含有し、重量平均分
子量が1,000〜100,000の範囲である重合体
(a)、及び活性光線の照射により酸を発生する化合物(b)
を含有する組成物である。
【0088】(1)酸発生剤 本発明で使用する活性光線の照射により酸を発生する化
合物(b)とは、化学増幅型レジストにおいて、酸発生剤
として使用されている各種化合物を包含している。
【0089】酸発生剤としては、活性化放射線が照射さ
れるとブレンステッド酸またはルイス酸を発生する化合
物であればよく、特に制限されない。このような酸発生
剤としては、例えば、オニウム塩、ハロゲン化有機化合
物、α,α′−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合
物、α−カルボニル−α′−スルホニルジアゾメタン系
化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機
酸アミド化合物、有機酸イミド化合物などが挙げられ
る。
【0090】オニウム塩の具体例としては、未置換、対
称的若しくは非対称的に置換されたアルキル基、アルケ
ニル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環式
基を有するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ジフェニ
ルヨードニウムトリフレートなどのヨードニウム塩、ト
リフェニルスルホニウムトリフレートなどのスルホニウ
ム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、オキソニウム
塩などが挙げられる。これらオニウム塩の対アニオンを
形成する化合物としては、例えば、ホウ素酸、砒素酸、
燐酸、アンチモン酸、スルホン酸、カルボン酸、または
これらのハロゲン化物などが挙げられる。
【0091】ハロゲン化有機化合物としては、例えば、
ハロゲン含有オキサゾール系化合物、ハロゲン含有トリ
アジン系化合物、ハロゲン含有アセトフェノン系化合
物、ハロゲン含有ベンゾフェノン系化合物、ハロゲン含
有スルホキサイド系化合物、ハロゲン含有スルホン系化
合物、ハロゲン含有チアゾール系化合物、ハロゲン含有
オキサゾール系化合物、ハロゲン含有トリアゾール系化
合物、ハロゲン含有2−ピロン系化合物、その他のハロ
ゲン含有へテロ環状化合物、ハロゲン含有脂肪族炭化水
素化合物、ハロゲン含有芳香族炭化水素化合物、スルフ
ェニルハライド化合物、1,2−ベンゾキノンジアジド
−4−スルホン酸クロライドや1,2−ナフトキノンジ
アジド−4−スルホン酸クロライドなどのキノンジアジ
ド誘導体のスルホン酸クロライドなどが挙げられる。
【0092】α,α′−ビス(スルホニル)ジアゾメタ
ン系化合物の具体例としては、未置換、対称的若しくは
非対称的に置換されたアルキル基、アルケニル基、アラ
ルキル基、アリール基、またはヘテロ環式基を有する
α,α′−ビス(スルホニル)ジアゾメタンなどが挙げ
られる。
【0093】α−カルボニル−α′−スルホニルジアゾ
メタン系化合物の具体例としては、未置換、対称的若し
くは非対称的に置換されたアルキル基、アルケニル基、
アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環式基を有す
るα−カルボニル−α′−スルホニルジアゾメタンなど
が挙げられる。
【0094】スルホン化物の具体例としては、未置換、
または置換基として、アルキル基、アルケニル基、アラ
ルキル基、アリール基、若しくはヘテロ環式基を有する
スルホン化合物、ジスルホン化合物などが挙げられる。
【0095】有機酸エステルの具体例としては、未置
換、または置換基として、アルキル基、アルケニル基、
アラルキル基、アリール基、若しくはヘテロ環式基を有
するカルボン酸エステル、スルホン酸エステルなどが挙
げられる。これらの有機酸エステルの中で、特にスルホ
ン酸エステルが有効である。スルホン酸エステルとして
は、多価フェノールの部分スルホン酸エステル化合物を
挙げることができる。
【0096】有機酸アミド化合物の具体例としては、未
置換、または置換基として、アルキル基、アルケニル
基、アラルキル基、アリール基、若しくはヘテロ環式基
を有するカルボン酸アミド、スルホン酸アミド、リン酸
アミドなどが挙げられる。
【0097】有機酸イミド化合物の具体例としては、未
置換、または置換基としてアルキル基、アルケニル基、
アラルキル基、アリール基、若しくはヘテロ環式基を有
するカルボン酸イミド、スルホン酸イミド、リン酸イミ
ドなどが挙げられる。
【0098】酸発生剤は、それぞれ単独で、あるいは2
種以上を組み合わせて使用することができる。酸発生剤
(b)の配合割合は、重合体(a)100重量部に対し
て、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.2〜3
0重量部、より好ましくは0.5〜25重量部の範囲で
ある。酸発生剤の配合割合が過小であると、感度が悪く
なりやすく、過大であると、現像残が発生しやすく、い
ずれの場合もパターン形状が悪化しやすくなる。
【0099】(2)添加剤 本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、レ
ジストの分野で用いられている各種添加剤を配合するこ
とができる。このような添加剤としては、例えば、界面
活性剤、保存安定剤、増感剤、ストリエーション防止
剤、低分子フェノール化合物などが挙げられる。
【0100】添加剤として、トリエチルアミン、トリブ
チルアミン、アニリン、2−アミノエタノール、N−フ
ェニルグリシン、ベンゼンスルホン酸アミドなどのアミ
ノ化合物;1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホ
ン酸エステルなどのキノンジアジド化合物;などを添加
して、露光時に発生する酸の量を調節することができ
る。
【0101】(3)溶剤 本発明の感放射線性樹脂は、重合体(a)及び酸発生剤
(b)を必須成分として含有し、必要に応じて、前記の
如き各種添加剤を含有するものであるが、化学増幅型レ
ジストなどの用途に使用する場合には、一般に、溶剤に
溶解させて、溶液の形で用いられる。
【0102】溶剤としては、特に制限はなく、一般にレ
ジスト組成物用の溶剤として使用されているものの中か
ら、任意のものを適宜選択して用いることができる。溶
剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、
シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類;
n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノー
ル、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノ
ールなどのアルコール類;エチレングリコールジメチル
エーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジオ
キサンなどのエーテル類;エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのア
ルコールエーテル類;ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸
プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオ
ン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチルなどのエステル
類;α−オキシプロピオン酸メチル、α−オキシプロピ
オン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−
メトキシプロピオン酸エチルなどのオキシカルボン酸エ
ステル類;セロソルブアセテート、メチルセロソルブア
セテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロ
ソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどの
セロソルブエステル類;プロピレングリコール、プロピ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピ
レングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピ
レングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのプ
ロピレングリコール類;ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジエチルエーテルなどのジエチレングリコ
ール類;トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素
類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリドン
などの極性溶媒;などが挙げられる。
【0103】これらの溶剤は、それぞれ単独で用いても
よいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶剤
は、前記の如き各成分が均一に溶解または分散するに足
る量比で使用される。
【0104】(4)現像液 本発明の感放射線性樹脂組成物において、式(II)で表さ
れる構造単位を含有する重合体(a)は、活性化放射線
の照射により酸発生剤(b)から生成する酸の作用を受
けて、被照射部分のアルカリに対する溶解度が変化す
る。したがって、本発明の感放射線性樹脂組成物は、ア
ルカリ現像液を用いることにより、ポジ型レジストとし
て作用する。
【0105】本発明の感放射線性樹脂組成物は、式(II)
で表される構造単位を含有する重合体をベース樹脂とす
ることにより、感度が顕著に改善されるとともに、基板
に対する密着性が改善される。そのため、現像中でのレ
ジストパターン剥がれや膨潤などが抑制される。
【0106】アルカリ現像液としては、通常、アルカリ
水溶液が用いられる。アルカリ水溶液の具体例として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリ
ウム、アンモニアなどの無機アルカリの水溶液;エチル
アミン、プロピルアミンなどの第一アミン類の水溶液;
ジエチルアミン、ジプロピルアミンなどの第二アミンの
水溶液;トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの第
三アミンの水溶液;ジエチルエタノールアミン、トリエ
タノールアミンなどのアルコールアミン類の水溶液;テ
トラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルア
ンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシメチル
アンモニウムヒドロキシド、トリエチルヒドロキシメチ
ルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエ
チルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウ
ムヒドロキシドの水溶液などが挙げられる。また、必要
に応じて、アルカリ水溶液に、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、エチレングリコールなどの水溶性有
機溶剤、界面性剤、樹脂の溶解抑止剤などを添加するこ
とができる。
【0107】(5)特性と用途 本発明の感放射線性樹脂組成物は、活性光線を照射する
と、酸発生剤(b)から生成する酸の作用を受けて、重
合体(a)に含まれる構造単位(II)中の2−オキソシク
ロアルキル基を含む保護基が脱離され、アルカリ現像液
に対する溶解性が変化する。露光後ベークを行うことに
より、この反応が増幅される。
【0108】したがって、本発明の感放射線性樹脂組成
物は、化学増幅型レジストとして好適であり、感度、解
像性、パターン形状、耐ドライエッチング性などに優れ
ている。本発明の感放射線性樹脂組成物は、遠紫外線、
エキシマレーザ、電子線などの露光によって、極めて高
い感度を示す。また、本発明の感放射線性樹脂組成物
は、基板に対する密着性にも優れている。
【0109】本発明の感放射線性樹脂組成物は、溶剤に
溶解させた溶液としてシリコンウェハなどの基板表面に
常法により塗布した後、溶剤を乾燥除去することにより
レジスト膜を形成することができる。塗布方法として
は、スピンコーティングが好ましい。このようにして得
られたレジスト膜にパターンを形成させるための露光で
用いられる露光源としては、遠紫外線、KrFエキシマ
レーザ光、X線、電子線などが挙げられる。
【0110】本発明の感放射線性樹脂組成物は、基板に
対する密着性に優れているため、微細加工用のレジスト
の用途だけではなく、層間絶縁膜や不活性化絶縁膜など
の絶縁膜、ソルダーレジストなどとしても好適である。
【0111】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明する。物性の測定法は、次のと
おりである。 (1)感度 露光量を変えて0.5mm角のパターンを形成し、膜厚
が0となったときの露光量(μC/cm2)を測定し、
その際の露光量を感度とした。 (2)残膜率 成膜直後の感放射線性樹脂組成物の膜厚(t1)に対す
る未露光部分の現像後の膜厚(t2)を次式により百分
率で表したものを残膜率とした。残膜率=(t2/t1
×100(%)
【0112】(3)密着性 露光後、感放射線性樹脂組成物膜を23℃に保ったテト
ラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に1分間(6
0秒間)浸漬して現像を行った。この際、現像時間を3
分間(180秒間)まで延長して、感放射線性樹脂組成
物膜の状態を光学顕微鏡で観察し、現像時の密着性につ
いて以下の基準で評価した。 ○:膜の剥離や浮きがない、 △:膜の膨潤傾向が見られる、 ×:膜の剥離及び浮きが見られる。
【0113】[実施例1]1−(2−オキソシクロペンチル)ペンチルアクリレー
トの製造 攪拌機、温度計、及び滴下ロートを備えた1リットルの
三つ口フラスコに、1−(2−オキソシクロペンチル)
ペンタノール17.0gとジクロロメタン300ミリリ
ットルを仕込み、1−(2−オキソシクロペンチル)ペ
ンタノールを溶解させて反応液を得た。反応液を0℃に
冷却した後、トリエチルアミン12.1gを加えた。滴
下ロートに、塩化アクリロイル9.1gをジクロロメタ
ン60ミリリットルに溶解した溶液を入れて、この溶液
を30分間かけて反応液に滴下した。
【0114】その後、反応液を0℃に保ち、ガスクロマ
トグラフィーで分析しながら、さらに反応を続けた。5
時間反応させた後、析出したトリエチルアミン塩酸塩を
濾別した。反応液を5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液
で洗浄し、次いで、水で洗浄した。洗浄後、溶剤を減圧
下に留去して、油状物19.8gを得た。
【0115】プロトンNMR分析の結果、得られた油状
物は、前記式(1)で表される1−(2−オキソシクロ
ペンチル)ペンチルアクリレートであることが確認され
た。この油状物の1−(2−オキソシクロペンチル)ペ
ンタノールに対する収率は、88%であった。この油状
物の純度をHPLC分析した結果、面積比純度が93%
であった。この油状物をそのままで重合体の製造原料と
して使用した。プロトンNMRの結果を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】[実施例2]1−(2−オキソシクロペンチル)ペンチルメタクリレ
ートの製造 実施例1において、塩化アクリロイルに代えて塩化メタ
クリロイルを使用したこと以外は、実施例1と同様にし
て合成を行い、油状物21.6gを得た。試薬モル当量
は、実施例1と同一条件にした。プロトンNMR分析の
結果、得られた油状物は、前記式(2)で表される1−
(2−オキソシクロペンチル)ペンチルメタクリレート
であることが確認された。この油状物の1−(2−オキ
ソシクロペンチル)ペンタノールに対する収率は、91
%であった。この油状物の純度をHPLC分析した結
果、面積比純度が92%であった。この油状物をそのま
まで重合体の製造原料として使用した。プロトンNMR
の結果を表2に示す。
【0118】
【表2】
【0119】[実施例3]1−(2−オキソシクロヘキシル)ペンチルアクリレー
トの製造 実施例1において、1−(2−オキソシクロペンチル)
ペンタノールに代えて1−(2−オキソシクロヘキシ
ル)ペンタノールを使用したこと以外は、実施例1と同
様にして合成を行い、油状物21.2gを得た。試薬モ
ル当量は、実施例1と同一条件とした。プロトンNMR
分析の結果、得られた油状物は、前記の式(3)で表さ
れる1−(2−オキソシクロヘキシル)ペンチルアクリ
レートであることが確認された。この油状物の1−(2
−オキソシクロヘキシル)ペンタノールに対する収率
は、94%であった。この油状物の純度をHPLC分析
した結果、面積比純度が93%であった。この油状物を
そのままで重合体の製造原料として使用した。プロトン
NMRの結果を表3に示す。
【0120】
【表3】
【0121】[実施例4]1−(2−オキソシクロペンチル)ベンジルアクリレー
トの製造 実施例1において、1−(2−オキソシクロペンチル)
ペンタノールに代えて2−(1′−ヒドロキシベンジ
ル)−1−シクロペンタノンを用いたこと以外は、実施
例1と同様にして合成を行い、油状物17.9gを得
た。試薬モル当量は、実施例1と同一条件とした。プロ
トンNMR分析の結果、得られた油状物は、前記式
(4)で表される1−(2−オキソシクロペンチル)ベ
ンジルアクリレートであることが確認された。この油状
物の2−(1′−ヒドロキシベンジル)−1−シクロペ
ンタノンに対する収率は、80%であった。生成した油
状物のHPLC分析した結果、面積比純度が87%であ
った。この油状物をそのままで重合体の製造原料として
使用した。プロトンNMRの結果を表4に示す。
【0122】
【表4】
【0123】[実施例5]4−ヒドロキシスチレン/1−(2−オキソシクロペン
チル)ペンチルアクリレート共重合体の製造 1000ミリリットルのフラスコに、4−ヒドロキシス
チレン72.1g(0.60mol)、実施例1で得ら
れた1−(2−オキソシクロペンチル)ペンチルアクリ
レート89.4g(0.40mol)、アゾビスイソブ
チロニトリル10.0g(0.061mol)、及びテ
トラヒドロフラン(THF)300ミリリットルを仕込
み、窒素気流下、60℃で24時間攪拌を行った。得ら
れた反応液を5リットルのヘキサンに投入し、生じた沈
澱を濾過した。得られた固形分をジエチルエーテル20
0ミリリットルに溶解させ、3リットルのn−ヘキサン
に投入し、生じた沈澱を濾過した(再沈操作)。この再
沈操作を3回繰り返した後、乾燥し、45.5gの4−
ヒドロキシスチレン/1−(2−オキソシクロペンチ
ル)ペンチルアクリレート共重合体を得た。
【0124】得られた共重合体の重量平均分子量(M
w)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GP
C)分析の結果、標準ポリスチレン換算で8,200で
あった。1H−NMRスペクトル解析の結果、4−ヒド
ロキシスチレン/1−(2−オキソシクロペンチル)ペ
ンチルアクリレート共重合体の構造単位比率は、モル比
で77/23であった。
【0125】[実施例6]4−ヒドロキシスチレン/1−(2−オキソシクロペン
チル)ペンチルメタクリレート共重合体 攪拌機及び温度計を備えた500ミリリットルの三つ口
フラスコに、ポリビニルフェノール〔丸善石油化学社
製、商品名「S−2P」〕48.0g(0.4mo
l)、実施例2で得られた1−(2−オキソシクロペン
チル)ペンチルメタクリレート23.8g(0.1mo
l)、アゾビスイソブチロニトリル2.5g(0.01
5mol)、及びTHF300ミリリットルを仕込み、
溶解させた。窒素気流下、60℃で24時間攪拌を行っ
た。得られた反応液を2リットルのヘキサンに投入し、
生じた沈澱を濾過した。得られた固形分をジエチルエー
テル200ミリリットルに溶解させ、2リットルのn−
ヘキサンに投入し、生じた沈澱を濾過した(再沈操
作)。
【0126】上記の再沈操作を3回繰り返した後、乾燥
し、39.7gの4−ヒドロキシスチレン/1−(2−
オキソシクロペンチル)ペンチルメタクリレート共重合
体を得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)
は、GPC分析の結果、標準ポリスチレン換算で7,2
00であった。1H−NMRスペクトル解析の結果、4
−ヒドロキシスチレン/1−(2−オキソシクロペンチ
ル)ペンチルメタクリレート共重合体の構造単位比率
は、モル比で78/22であった。
【0127】[実施例7]4−ヒドロキシスチレン/1−(2−オキソシクロヘキ
シル)ペンチルアクリレート共重合体の製造 実施例5において、1−(2−オキソシクロペンチル)
ペンチルアクリレートに代えて1−(2−オキソシクロ
ヘキシル)ペンチルアクリレートを用いたこと以外は、
実施例5と同様にして、4−ヒドロキシスチレン/1−
(2−オキソシクロヘキシル)ペンチルアクリレート共
重合体48.8gを製造した。試薬モル当量は、実施例
5と同一条件とした。
【0128】得られた重合体の重量平均分子量(Mw)
は、GPC分析の結果、標準ポリスチレン換算で8,5
00であった。1H−NMRスペクトル解析の結果、4
−ヒドロキシスチレン/1−(2−オキソシクロヘキシ
ル)ペンチルアクリレート共重合体の構造単位比率は、
モル比で75/25であった。
【0129】[実施例8]4−ヒドロキシスチレン/1−(2−オキソシクロペン
チル)ベンジルアクリレート共重合体の製造 実施例5の1−(2−オキソシクロペンチル)ペンチル
アクリレートに代えて1−(2−オキソシクロペンチ
ル)ベンジルアクリレートを用いたこと以外は、実施例
5と同様にして、4−ヒドロキシスチレン/1−(2−
オキソシクロペンチル)ベンジルアクリレート共重合体
38.2gを得た。試薬モル当量は、実施例5と同一条
件とした。
【0130】得られた重合体の重量平均分子量(Mw)
は、GPC分析の結果、標準ポリスチレン換算で9,7
00であった。1H−NMRスペクトル解析の結果、4
−ヒドロキシスチレン/1−(2−オキソシクロペンチ
ル)ベンジルアクリレート共重合体の構造単位比率は、
モル比で78/22であった。
【0131】[実施例9]感放射線性樹脂組成物1 実施例5で得た共重合体100重量部、トリフェニルス
ルホニウムトリフレート(酸発生剤)3.5重量部、ト
リ−n−ブチルアミン0.05重量部、及びフッ素系界
面活性剤0.01重量部を乳酸エチル700重量部に溶
解させ、得られた溶液を孔径0.2μmのポリテトラフ
ルオロエチレン製フィルター(日本ミリポア社製)で濾
過して、感放射線性樹脂組成物の溶液を調製した。この
溶液をシリコンウエハ上にスピンコートした後、90℃
で90秒間加熱処理(PEB処理)して、膜厚0.5μ
mの感放射線性樹脂組成物膜を形成した。
【0132】このシリコンウエハの膜上に、EB描画装
置〔エリオニクス社製ELS−3300S〕を用いて、
加速電圧20keVで電子線描画を行った。次いで、1
05℃で60秒間加熱処理した後、23℃に保ったテト
ラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で1分間の浸
漬現像を行った。さらに、現像時間を3分間まで延長し
た際の感放射線性樹脂組成物膜の密着性について観察し
た。感度、残膜率、及び感放射線性樹脂組成物膜の現像
時密着性の測定結果を第5表に示す。
【0133】[実施例10]感放射線性樹脂組成物2 実施例9において、実施例5で得た共重合体に代えて実
施例6で得た共重合体を用いたこと以外は、実施例9と
同様にして、感放射線性樹脂組成物の溶液を調製した。
PEB処理条件を105℃で90秒処理に変えたこと以
外は、実施例9と同一条件で、感放射線性樹脂組成物膜
の形成、電子線描画、及び現像処理を行った。結果を表
5に示す。
【0134】[実施例11]感放射線性樹脂組成物3 実施例9において、実施例5で得た共重合体に代えて実
施例7で得た共重合体を用いたこと以外は、実施例9と
同様にして、感放射線性樹脂組成物の溶液を調製し、さ
らに、実施例9と同一条件で、感放射線性樹脂組成物膜
の形成、電子線描画、及び現像処理を行った。結果を表
5に示す。
【0135】[実施例12]感放射線性樹脂組成物4 実施例9において、実施例5で得た共重合体に代えて実
施例8で得た共重合体を用いたこと以外は、実施例9と
同様にして、感放射線性樹脂組成物の溶液を調製し、さ
らに、実施例9と同一条件で、感放射線性樹脂組成物膜
の形成、電子線描画、及び現像処理を行った。結果を表
5に示す。
【0136】[比較例1] (1)4−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレー
ト共重合体の製造 1000ミリリットルのフラスコに、4−ヒドロキシス
チレン60.1g(0.50mol)、t−ブチルアク
リレート64.1g(0.50mol)、アゾビスイソ
ブチロニトリル10.0g(0.061mol)、及び
ジオキサン200ミリリットルを仕込み、窒素気流下、
80℃で8時間攪拌を行った。得られた反応液を5リッ
トルのキシレンに投入し、生じた沈澱を濾過した。得ら
れた固形分をジエチルエーテル200ミリリットルに溶
解させ、3リットルのn−ヘキサンに投入し、生じた沈
澱を濾過した(再沈操作)。
【0137】上記の再沈操作を3回繰り返した後、乾燥
し、82.3gの4−ヒドロキシスチレン/t−ブチル
アクリレート共重合体を得た。得られた共重合体の重量
平均分子量(Mw)は、GPC分析の結果、標準ポリス
チレン換算で8,900であった。1H−NMRスペク
トル解析の結果、4−ヒドロキシスチレン/t−ブチル
アクリレート共重合体の構造単位比率は、モル比で52
/48であった。
【0138】(2)感放射線性樹脂組成物5 実施例9において、実施例5で得た共重合体に代えて上
記(1)で得た共重合体を用いたこと以外は、実施例9
と同様にして、感放射線性樹脂組成物の溶液を調製し、
さらに、実施例9と同一条件で、感放射線性樹脂組成物
膜の形成、電子線描画、及び現像処理を行った。結果を
表5に示す。
【0139】
【表5】
【0140】
【発明の効果】本発明によれば、感度、解像性、基板密
着性、パターン形状、及び耐エッチング性に優れ、化学
増幅型レジストとして好適な感放射線性樹脂組成物が提
供される。本発明の感放射線性樹脂組成物は、遠紫外
線、エキシマレーザ、電子線などの露光に対して極めて
高感度を示し、かつ基板との密着性に優れ、現像時にパ
ターン剥がれや膨潤などが生じ難い。また、本発明によ
れば、感放射線性樹脂組成物のベース樹脂として優れた
特性を示す極性変換型の重合体、及び該重合体の形成に
使用される新規な重合性化合物が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小澤 角栄 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 Fターム(参考) 2H025 AA01 AA02 AA09 AA14 AB16 AC04 AC08 AD03 BE00 BE10 BG00 CB14 CB41 CB55 FA12 FA17 4J100 AB07P AE09P AL08P BA02P BA11P BC03P DA39 JA37 JA38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、R1は、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは
    分岐状アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリ
    ールアルキル基または置換アリールアルキル基であり、
    2は、水素原子またはメチル基であり、nは、メチレ
    ン基の数を示し、0〜3の整数であり、Aは、単結合ま
    たは二価の有機基である。)で表される重合性化合物。
  2. 【請求項2】 式(II) 【化2】 〔式中、R1は、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは
    分岐状アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリ
    ールアルキル基または置換アリールアルキル基であり、
    2は、水素原子またはメチル基であり、nは、メチレ
    ン基の数を示し、0〜3の整数であり、Aは、単結合ま
    たは二価の有機基である。)で表される構造単位5〜1
    00モル%と他のビニル系単量体に由来する構造単位0
    〜95モル%とを含有し、重量平均分子量が1,000
    〜100,000の範囲であることを特徴とする重合
    体。
  3. 【請求項3】 式(II) 【化3】 〔式中、R1は、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは
    分岐状アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリ
    ールアルキル基または置換アリールアルキル基であり、
    2は、水素原子またはメチル基であり、nは、メチレ
    ン基の数を示し、0〜3の整数であり、Aは、単結合ま
    たは二価の有機基である。)で表される構造単位5〜1
    00モル%と他のビニル系単量体に由来する構造単位0
    〜95モル%とを含有し、重量平均分子量が1,000
    〜100,000の範囲である重合体(a)、及び活性光
    線の照射により酸を発生する化合物(b)を含有する感放
    射線性樹脂組成物。
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