JP2003156599A - 電子線照射装置及び殺菌方法 - Google Patents

電子線照射装置及び殺菌方法

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JP2003156599A JP2001359208A JP2001359208A JP2003156599A JP 2003156599 A JP2003156599 A JP 2003156599A JP 2001359208 A JP2001359208 A JP 2001359208A JP 2001359208 A JP2001359208 A JP 2001359208A JP 2003156599 A JP2003156599 A JP 2003156599A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】解決しようとする課題は、低エネルギー電子線
を穀物や植物種子等の粒状被照射体の全表面のみに均一
に照射して、粒状の被照射体の全表面を完全に殺菌で
き、且つ、殺菌処理速度が大きくて、信頼性が高く、広
い設置場所を要しない電子線照射装置、及びそれを用い
た粒状物体の殺菌方法を提供することである。 【解決手段】本発明では、低エネルギー電子線を小さな
径の環状陰極から大きな径の環状電子透過窓に向かって
円錐状の軌道で走行させ、この環状電子線透過窓を取り
囲んで設けられた被照射体通路内に在る粒状被照射体の
背面又は側面に低エネルギー電子線を回りこませる手段
を設けることにより、粒状被照射体を回転することなく
全表面に低エネルギー電子線を照射できる電子線照射装
置と、それを用いた殺菌方法を提供している。更に、小
型の陰極と、大きな直径の電子透過窓と、更に大きな直
径の被照射体通路を有して構成されているので、電子密
度の適正化が図られており、適正な冷却ができるので、
処理能力を極めて大きくできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、穀物粒や種子のよ
うな粒状物体の内部に侵入することなく、これらの粒状
物体の全表面に万遍無く低エネルギーの電子線を照射し
て殺菌できる装置であって、特に、これらの粒状物体を
回動させることなく全表面に均一に電子線を照射できる
とともに、電子線照射能力を高めたことを特徴とする電
子線照射装置、及びこれを使った粒状物体の殺菌方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】粒状物体の内で粒径が小さなものは所謂
粉体として扱われているが、粒状物体であることには変
わりなく、粒径が電子の飛程よりも大きなものは所謂粒
状物体として扱うことができる。低エネルギーの電子線
は、これらの粒状物体の内部に進入しないので、これら
の粒状物体の品質を低下させないで有効に殺菌できるこ
とが、特許公報第2899690号、公開特許公報、特
開平11−164651号、公開特許公報、特開平10
−229818号等に開示されている。しかしながら、
低エネルギーの電子線を粒状物体の全表面に均一に、し
かも十分な処理速度で照射処理することが困難であり、
これを解決しようとする努力が以下のようになされてき
た。
【0003】公開特許公報、特開平1−192362号
には粉体としての粒状物体を気体によって浮遊状態に保
持して電子線などの放射線を照射して小麦粉、香辛料な
ど食品の滅菌、殺菌を行う装置が開示されている。更
に、公開特許公報、特開平8−52201号には粉体と
しての粒状物体を粉体搬送室内において下方から流入し
た気体によって浮上させ、流動化させた状態で電子線を
粒子全体に照射して殺菌する装置が開示されている。こ
の装置では透過力が弱い電子線による殺菌効果ムラを防
止する旨の記述があり、浮上させられ、流動化させられ
た粒子が回転しながら移動していることを示唆してい
る。これらいずれの場合も、殺菌処理速度が小さいこと
は明らかである。
【0004】又、公開特許公報、特開平10−2157
65号には、穀物である粒状物体を縦方向及び横方向に
同時に振動させることによって回動させながら、穀物で
ある粒状物体の表面に低エネルギーの電子線を特定方向
から照射することによって殺菌する方法が開示されてい
る。照射する電子線のエネルギーが、玄米や小麦などに
対しては160〜250keVであり、籾や殻付蕎麦豆
類などに対しては200〜250keVの電子線を照射
することで、これらの穀物の表面に付着している微生物
を効率良く殺菌することが出来、穀物の内部には電子線
が到達せず、穀物の品質を低下させない旨が開示されて
いる。この方法も、殺菌処理速度が小さいだけでなく装
置が大型になることは明らかである。
【0005】公開特許公報、特開平10−229818
号には、米粒、小麦粒等の穀物粒に水を添加し、表面が
べとつかない程度に調質した後に、エネルギーが500
keV未満の電子線を特定方向から照射して殺菌する方
法が開示されている。この方法においても穀物粒を転動
させながら電子線を照射することが好ましいとされてい
る。また、水分を添加しないで電子線を照射すると、穀
物粒どうしが付着して表面全体を均一に殺菌することが
困難であることが記述されている。しかしながら、この
ように水を添加する工程を追加するのは面倒であり、そ
の後の乾燥工程が必要であるなどで処理速度が小さいが
けでなく、処理コストが高いという欠点がある。
【0006】特許公報、第2899690号には、アブ
ラナ科又はマメ科植物の種子を回動させながら、これら
の種子の表面にエネルギーが160〜210keVの電
子線を特定方向から照射する種子の殺菌方法が開示され
ている。特に、種子を回動させる方法として、種子を横
方向と縦方向に振動させる事が必要であることが開示さ
れている。この方法では、種子を縦方向と横方向の振動
を独立に制御できる装置が必要であり、高価であるばか
りでなく、処理速度が小さいと言う欠点がある。
【0007】公開特許公報、特開平11−52100号
には、多数の顆粒状物としての粒状物体を薄膜状に広げ
て落下させながら、その両側から200keV以下のエ
ネルギーの平面状に分布する電子線を照射することによ
って顆粒状物を殺菌する装置が開示されている。この装
置では、多数の顆粒状物を薄膜状に広げて落下させるこ
とによって、電子線が照射されない陰の部分が生じるの
を防止して、多数の顆粒状物の全体に万遍無く電子線を
照射することができる旨の記述がある。また、顆粒状物
を単層(換言すれば一列)又はそれに近い状態で落下さ
せるものが好ましい旨の記述もある。これは、粒状の被
照射体の処理能力を増そうとすると装置の幅が大きくな
り、装置全体が大きくなることを意味している。
【0008】公開特許公報、特開平11−101900
号には、粉体又は粒体をケーシング内のスクリューコン
ベヤによって攪拌しつつ連続的に移送しながら平面状に
分布する低エネルギーの電子線を照射することによって
処理能力を増した電子線照射装置が提案されている。こ
の方法では、殺菌処理速度は増加することが考えられる
が、粒状の被照射体が重なる部分も生じるので低エネル
ギーの電子線によって各粒状被照射体の全表面を完全に
殺菌するのは極めて困難である。
【0009】公開特許公報、特開平11−109100
号には脱穀前後の麦、小麦、そば、その他、香辛料など
の、球よりも細長い粒状の被照射体を、上下2段に構成
された2台のコンベアによって移動させながら、平面状
に分布する低エネルギーの電子線を上方から照射するこ
とによって殺菌する装置が提案されている。この提案で
は、2台のコンベアを反対方向に作動させて、同一の電
子線照射装置によって粒状の被照射体に往復2回の電子
線照射をしようとしている。これは、電子線が一方向か
ら照射されるために被照射体の全表面を均一に照射する
のが困難であることを解決しようとした苦肉の策であ
り、装置が複雑で大きくなることを避けられない。
【0010】公開特許公報、特開平11−164651
号には、飲用もしくは食用の葉原料またはその切断物も
しくは破砕物に、振動、超音波、風力、撹拌等の物理的
作用を与えることにより、前記葉原料又はその切断物も
しくは破砕物を回動させながら、1MeV未満のエネル
ギーの電子線を特定方向から照射することによって前記
葉原料又はその切断物もしくは破砕物の生菌数を低減す
る方法が開示されている。この方法においても被照射体
を回動させることが特徴となっており、処理装置が大型
になることと処理速度が小さいと言う欠点がある。
【0011】公開特許公報、特開2000−25448
6号には、茶葉、米、麦、大豆、小豆などの食品、その
他の粒状の被照射体を、搬送路において上方向と下方向
と横方向の3方向から気体を吹き込むことによって浮上
させて運搬しながら、この粒状の被照射体に低エネルギ
ーの平面状に分布する電子線を照射する方法が提案され
ている。この方法では、粒状の被照射体を浮上させて運
搬する為に、3方向の気体の流量や流速を絶えず独立に
調節する必要があり、装置が複雑になるだけでなく、安
定な動作が困難で、均一な殺菌を続けることが困難であ
る。また、処理速度を増すことが難しい。
【0012】公開特許公報、特開2000−30490
0号には、麦、米、豆、そば、胡椒といった穀物や、香
辛料などの粒状体を、振動板表面に凹凸を有し水平に又
は傾斜して設けられた振動コンベアで搬送することによ
ってこれらの粒状の被照射体を回転させながら搬送した
状態で、低エネルギーの平面状に分布する電子線を照射
する方法が提案されている。この装置も複雑であるだけ
でなく、これら粒状の被照射体の表面を完全に均一に照
射しようとすると処理速度を高めることが困難となる。
【0013】上記の従来例は、いずれの場合も粒状の被
照射体の全表面にわたって完全に且つ均一に低エネルギ
ーの電子線を照射しようとすると処理速度を大きくする
ことが出来ず、反対に処理速度を増した場合には照射ム
ラができるという相反する問題があった。この原因は、
従来使われてきた電子線照射装置が一方向から平面状に
分布した電子線を放出するものしか存在しなかったこと
に原因している。
【0014】次に、従来使用されてきた電子線照射装置
について述べる。従来の電子線照射装置には、スキャン
型電子線照射装置とエリアビーム型電子線照射装置とが
あるが、一般的に前者は高エネルギー電子線の照射に、
後者は低エネルギー電子線の照射に使用される。後者の
電子線照射装置は、例えば、特開平11−19190号
に記載されているように、固定されたドラム管状の真空
容器の中に直線状の金属フィラメントを取付け、これを
通電加熱することによって放出される熱電子を500k
V以下の電圧で加速し、薄い金属箔で出来た平板状の電
子透過窓を透過させて、大気中にある被照射体に電子線
を照射するようになっている。従来の電子線照射装置の
概略の横断面図を図16に示している。図16におい
て、1001は真空容器であり、1003は電子銃構造
体であり、1002は電子銃構造体1003等を支持す
るターミナルであり、1004は陰極フィラメントであ
り、1005はグリッドであり、1006は電子を透過さ
せる電子透過窓である。陰極フィラメント1004から
放出された電子がグリッド1005に印加された電位差
で加速され、更に電子透過窓1006との間に印加され
た500kV以下の電位差で加速されて電子透過窓10
06を透過する。透過した電子線は照射室内において矢
印1009の方向から矢印1010の方向に移動する被
照射体1011に照射される。この装置は大型であり、
電子線の照射方向が一定となっているのでシート状の被
照射体に電子線を照射する場合には適するが、上述した
ように、粒状の形状をした物体に電子線を照射するのに
は適さない。この電子線照射装置を用いた粒状物体の殺
菌装置では、上述した二律相反の問題が生じることを避
けることが出来なかった。また、電子透過窓は粒状の被
照射体通路の表面と対面しており、被照射体の衝突や被
照射体に含まれる異物の飛来等によって電子透過窓が破
損して信頼性が無いと言う問題があった。また、電子透
過窓の輻射熱やX線によって被照射体が変質すると言う
問題もあった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、上記の問題を解決して、粒状の被照射体の全表面に
わたって均一に低エネルギー電子線を照射でき、粒状の
被照射体の内部を変質させることなく、粒状の被照射体
の全表面を完全に殺菌でき、且つ、処理速度が大きく
て、信頼性が高く、広い設置場所を要しない電子線照射
装置、及びそれを用いた粒状物体の殺菌方法を提供する
ことである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明では、陰極から放
出された電子を加速した後に円錐状に走行させ、電子透
過窓を透過させた後、この電子透過窓を取り囲む様に設
けた被照射体通路内で前記の電子線の一部を個々の粒状
被照射体の背面又は側面に回りこませることにより、粒
状の被照射体を回転することなく全表面に渡って均一に
電子線を照射できる電子線照射装置を提供することによ
って上記の二律相反する問題を解決している。更に詳細
に説明すると、筒状の被照射体通路に取り囲まれて設け
られており高真空状態に維持された真空容器内に設けら
れた環状の陰極から放出された電子を、前記の筒状の被
照射体通路に取り囲まれて同軸的に設けられた電子通過
孔を有する環状の陽極との間で加速し、円錐状の軌道を
成して軌道半径を大きくしながら走行させた後に、前記
の筒状の被照射体通路に取り囲まれて同軸的に設けられ
た環状の電子透過窓を透過させ、透過した電子を前記の
筒状被照射体通路の内側全周方向から前記の筒状の被照
射体通路内に入射させた後、前記の筒状の被照射体通路
内において、電子の一部を周回運動させることにより個
々の粒状被照射体の全表面に万遍無く電子を衝突させ
て、被照射体を回転させることなく全表面を完全に能率
よく殺菌できる電子線照射装置と、これを用いた粒状物
体の殺菌方法を提案している。
【0017】上記の筒状の被照射体通路内において電子
を周回運動させる為に、前記の筒状の被照射体通路と同
軸的に配設した磁石を用いることにより、筒状の被照射
体通路に平行な磁束密度成分と筒状の被照射体通路の壁
面に向かう磁束密度成分とを有する空間を形成し、この
空間に電子を走行させて、これらの磁束密度成分と電子
との相互作用により、電子が、走行するに従って筒状に
形成された被照射体通路の中心軸の回りに強い回転力を
受けるとともに筒状の被照射体通路内で軌道半径を変化
させるようになっている。
【0018】電子線のエネルギーが低い場合には、電子
の吸収が大きいので、前記の電子透過窓が高温度になり
やすい。従って、電子線照射能力を増すためには、入射
する電子の密度を減らした状態で、電子透過窓を透過す
る電子の総線量率を増す必要がある。本発明の電子線照
射装置では、前記の電子透過窓を、大きな直径の環状断
面を有する被照射体通路に取り囲まれた状態で設ける事
により、大きな直径を有するように構成されており、電
子透過窓における電子密度を小さく保った状態で全体と
して照射線量率を大きくできるようになっている。一
方、陰極は高密度の電子を放出できるので、小型に保っ
た状態で大電流を得ることができる。このようにして、
事実上際限なく照射線量率を大きくできる構成になって
いる。
【0019】本発明の特許請求項1に係わる電子線照射
装置は、真空領域を構成する真空容器と、この真空容器
の外部において被照射体を通過させる被照射体通路と、
前記の真空容器の内部で電子を放出する陰極と、この陰
極から放出された電子を加速する電子加速手段と、この
電子加速手段によって加速された電子を前記の真空容器
の外部に透過させる電子透過窓とが実質的に同軸的に設
けられており、この電子透過窓を透過して前記の被照射
体通路に進入した電子の軌道を屈曲させて他の電子の軌
道と実質的に交叉させる軌道交叉手段を有していること
を特徴とするものである。前記の電子透過窓を透過した
一部の電子の軌道を前記の被照射体通路内において屈曲
させて、同一の電子透過窓を透過した他の電子の軌道と
交叉させているので、前記被照射体通路内の任意の点に
おける電子の走行方向は多様化されており、粒状の被照
射体を回転させなくても、電子が被照射体の周囲の多様
な方向から飛来するので均一な電子線照射を行う事がで
きる。又、前記の被照射体を回転させなくてもよいので
処理速度が大きくなっている。
【0020】本発明の特許請求項2に係わる電子線照射
装置は、真空領域を構成する真空容器と、この真空容器
の外部において被照射体を通過させる被照射体通路と、
前記の真空容器の内部で電子を放出する陰極と、この陰
極から放出された電子を加速する電子加速手段と、この
電子加速手段によって加速された電子を前記の真空容器
の外部に透過させる電子透過窓とが実質的に同軸的に設
けられており、この電子透過窓を透過した電子の一部を
前記の被照射体通路内で周回移動させる電子周回手段を
有していることを特徴とするものである。前記被照射体
通路内の任意の点における電子には、主として被照射体
通路内を周回移動する電子と、主として被照射体通路を
横断移動する電子とが含まれることになり、結果として
電子が被照射体の周囲で異なる方向から衝突するので、
粒状の被照射体を回転させなくても、被照射体に均一な
電子線照射を行う事ができるようになっている。更に、
被照射体が気体である場合には、前記の被照射体通路内
での電子の周方向の走行距離が大きいので、被照射体と
電子の相互作用が強くなる。例えば、ダイオキシンなど
の有害物質の分解に有効となる。
【0021】本発明の特許請求項3に係わる電子線照射
装置は、特許請求項1又は2のいずれか1項に記載の装
置において、前記の軌道交叉手段又は前記の電子周回手
段は前記の被照射体通路内において前記の被照射体の背
面又は側面に電子を回り込ませる効果を有することを特
徴とするものである。本発明の装置を採用すると、粒状
の被照射体が回転しない場合でも横方向又は後方向から
電子が飛来して粒状の被照射体の表面がより均一に照射
される。被照射体を回転させなくても良いので照射処理
速度を大きくできる。
【0022】本発明の特許請求項4に係わる電子線照射
装置は、特許請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装
置において、前記の軌道交叉手段又は前記の電子周回手
段は前記の被照射体通路と同軸的に設けられた磁石を用
いて構成されていることを特徴とするものである。本発
明の装置を採用すると、簡単な構造で安価に前記の軌道
交叉手段又は前記の電子周回手段を実現することができ
る。磁石の構造と寸法を工夫することによって、前記の
軌道交叉手段を実現することも、前記の電子周回手段を
実現することもできる。例えば、環状の短い磁石を直列
に並べること等によって前記の被照射体通路に沿った方
向の磁束を形成することによって電子の周回距離を長く
することができ、電子周回手段として作動させられる。
逆に磁界の方向を多様化すると、電子の進行方向も多様
化して軌道交叉手段として作動させられる。本発明に於
いては、前記の被照射体通路内で電子が90度以上の中
心角で周回させる手段を電子周回手段と呼んでいる。
【0023】本発明の特許請求項5に係わる電子線照射
装置は、特許請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装
置において、前記の被照射体の位置における電子の進行
方向を時間的又は空間的に変化させることを特徴とする
ものである。電子の進行方向を時間的に変化させる場合
には、前記被照射体の移動の有無に係わらず被照射体に
衝突する電子の方向が変化するので積算した照射量は被
照射体の表面で均一化される。電子の進行方向を空間的
に変化させる場合には、前記の被照射体が移動した場合
に被照射体に衝突する電子の方向が変化するので積算し
た照射量は被照射体の表面で均一化される。
【0024】本発明の特許請求項6に係わる電子線照射
装置は、真空領域を構成する真空容器と、この真空容器
の内部で電子を放出する陰極と、この陰極から放出され
た電子を加速する電子加速手段と、この電子加速手段に
よって加速された電子を前記の真空容器の外部に透過さ
せる電子透過窓と、前記の真空容器の外部において被照
射体を通過させる被照射体通路とを有して構成されてお
り、この被照射体通路は内壁を有しており、この内壁が
前記の電子透過窓を実質的に取り囲んでいることを特徴
とするものである。前記の被照射体通路の内壁及び外壁
は、前記の真空容器と前記の電子透過窓を取り囲んで同
軸的に設けられた筒状構造となっているので、その外壁
の径と内壁の径の差(以後、通路幅Wと言う)を大きく
することなく内壁の径を大きくすることができ、その通
路断面積Sをいくらでも大きくできる。従って、前記の
粒状物体が重ならない状態を保って多量の粒状物体を被
照射体通路内で移動させることができる。又、この場合
に、前記の電子透過窓はその外径を前記した筒状の被照
射体通路の内壁と同程度に大きくできるので、前記の電
子透過窓を構成する箔の表面積を大きくでき、単位面積
あたりの入射電子パワーを大きくすることなく入射電子
パワーの総量を大きくすることができる。従って、前記
の電子透過窓を構成する箔の温度を低く抑えた状態で多
量の電子線を前記の被照射体通路内に送り込むことがで
き、電子線照射装置の処理能力をいくらでも増やすこと
ができる。この場合、前記の陰極から前記の電子透過窓
に至る電子軌道は真空中で円錐状に広がるようになって
いるので、陰極の直径は小さくすることが出来、構造が
簡単で安価な装置となる。本発明で言う内壁とは、被照
射体通路を実質的に規定する径が小さい側の境界を意味
しており、例えば真空容器の一部と兼ねている場合や、
実質的に被照射体が存在しない空間を含む場合などで、
特別の構造体を持たない場合もこれに含まれるのは当然
である。前記の被照射体通路の内壁が、円弧状に構成さ
れる場合などで、前記の電子透過窓を部分的に取り囲ん
でいない場合も本発明に含まれるのは勿論である。
【0025】本発明の特許請求項7に係わる電子線照射
装置は、特許請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装
置において、前記の陰極及び前記の電子透過窓及び前記
の被照射体通路は実質的に環状で同軸的に構成されてお
り、前記の電子透過窓の直径は前記の陰極の直径よりも
大きいことを特徴とするものである。本発明に係わる装
置では、前記の電子透過窓における電子密度は前記の陰
極の表面における電子密度よりも小さく出来、電子透過
窓の温度を低く抑えることができるので電子透過窓の信
頼性が向上する。また、陰極を小型にできるので構造か
単純で安価な装置を実現できる。更に、被照射体通路を
前記の被照射体の外側に設けると、被照射体通路の径に
制限がなくなるので、幾らでも大きな処理能力を得るこ
とができる。この場合、被照射体の量の割には被写体通
路の断面積Sを大きくできるので、被照射体間の隙間を
電子が通過できてより均一な照射が行える。
【0026】本発明の特許請求項8に係わる電子線照射
装置は、特許請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装
置において、前記の真空容器は前記の被照射体通路に実
質的に取り囲まれて構成されていることを特徴とするも
のである。電子線照射装置をこのように構成することに
よって、真空容器をコンパクトに構成した状態で被照射
体通路の断面積を無制限に大きくすることが出来、電子
線処理能力が極めて大きい電子線照射装置を実現するこ
とができる。また、前記の被照射体通路が実質的にパイ
プ状に構成すると、被照射体通路の断面積Sの割には直
径が大きくならず、全体としてコンパクトで処理能力の
大きい電子線照射装置を提供することができる。
【0027】本発明の特許請求項9に係わる電子線照射
装置は、特許請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装
置において、前記の被照射体通路は鉛直方向を向いてお
り、前記の被照射体は前記の電子透過窓の近傍で自由落
下することを特徴とするものである。この電子線照射装
置を採用すると、被照射体の取扱い方が単純になり、全
体がコンパクトになって、設置面積が狭くて済むという
メリットが生じる。また、設置面積の割には処理速度を
高めることができる。
【0028】本発明の特許請求項10に係わる電子線照
射装置は、特許請求項1乃至9のいずれか1項に記載の
装置において、前記の被照射体通路内又はこれに連通す
る部分に、前記の被照射体の通過を制御する機構を設け
たことを特徴とするものである。この電子線照射装置で
は、前記の被照射体通路の断面積Sと前記の電子透過窓
を通過した電子の量に応じて前記の電子透過窓の近傍を
通過する被照射体の量又はその速度又はタイミングを制
御できるので、より均一な電子線照射を行う事ができ
る。
【0029】本発明の特許請求項11に係わる電子線照
射装置は、特許請求項1乃至10のいずれか1項に記載
の装置において、前記の電子透過窓を含む面は、前記の
被照射体通路と交叉するように、好適には直交するよう
に構成されていることを特徴とするものである。この電
子線照射装置では、前記の被照射体通路内を移動する被
照射体の進行方向を含む面が前記の電子透過窓を含む面
と平行にならず、好適には直交しているので、前記の被
照射体が粒状物体である場合にはこれが飛び跳ねるなど
して前記の電子透過窓に近づくのが防止される。又、前
記の電子透過窓に電子が吸収されることによって発熱す
る熱が被照射体に到達する割合を小さくできる。更に、
電子が前記の電子透過窓等に入射する事によって極僅か
ではあるが発生するX線が被照射体に到達する量を小さ
くできる。
【0030】本発明の特許請求項12に係わる電子線照
射装置は、特許請求項1乃至11のいずれか1項に記載
の装置において、前記の電子透過窓は前記の被照射体か
らその進行方向に見えないように構成されていることを
特徴とするものである。この電子線照射装置では、前記
の電子透過窓は前記の被照射体、又は被照射体に混入し
た異物が前記の電子透過窓に異常に接近しないように出
来、装置の信頼性が高くなる。特に、粒状の被照射体を
自由落下させる場合には顕著な効果がある。
【0031】本発明の特許請求項13に係わる電子線照
射装置は、特許請求項1乃至12のいずれか1項に記載
の装置において、前記の電子透過窓を構成する箔は複数
の薄片に分割されており、それぞれの薄片が環状に配列
されていることを特徴とするものである。この電子線照
射装置では、前記の電子透過窓を構成する個々の薄片は
小さくても、全体として大きな直径の環状構造の電子透
過窓を形成できるので、電子透過窓における電子の入射
パワー密度を低い状態に保った状態で前記の被照射体通
路に多量の電子を送り込むことが出来て、処理速度が際
限なく大きくできる。前記の電子透過窓の各薄片は同一
の構造体に電子ビーム溶接などによって接合して真空リ
ークが無いようにして全体として環状の電子透過窓が構
成される。各薄片が、部分的に薄くした単結晶シリコン
などの構造体であっても本発明に含まれるのは当然であ
る。
【0032】本発明の特許請求項14に係わる電子線照
射装置は、特許請求項1乃至13のいずれか1項に記載
の装置において、前記の被照射体通路内に、又は前記の
被照射体通路と前記の電子透過窓との間に、前記の被照
射体が電子透過窓に接触するの防止する接触防止手段を
設けたことを特徴とするものである。この電子線照射装
置では、前記の被照射体が前記の電子透過窓に接触でき
ないようになっているので、粒状の被照射体が飛び跳ね
るなどして異常な運動をした場合でも前記の電子透過窓
が破れるなどの不都合が生じないので、信頼性が格段に
向上する。
【0033】本発明の特許請求項15に係わる電子線照
射装置は、特許請求項1乃至14のいずれか1項に記載
の装置において、前記の電子透過窓から前記の被照射体
通路の方向に流体を移送する手段を設けたことを特徴と
するものである。この電子線照射装置では、前記の被照
射体に微細な異物が混入していた場合や、被照射体の一
部が分離されて異物になった場合や有害な気体を含む場
合などに於いても、これらの異物が前記の流体によって
前記の電子透過窓に近づけないようになっているので、
信頼性が格段に向上する。
【0034】本発明の特許請求項16に係わる電子線照
射装置は、特許請求項1乃至15のいずれか1項に記載
の装置において、前記の電子透過窓に入射する電子の軌
道は、実質的に円錐状に形成されていることを特徴とす
るものである。この電子線照射装置では、前記の電子透
過窓の直径を大きく保った状態で前記の陰極を直径が小
さな環状構造にできるので、装置全体の構造が単純にな
るとともに、前記の被照射体通路及び前記の電子透過窓
の直径を際限なく大きくすることが出来、処理速度を大
きくできる。又、前記の電子透過窓を透過した電子が中
心軸に平行な速度成分と、これに直交する速度成分とを
有するので、前記の軌道交叉手段や前記の電子周回手段
を容易に実現できる。
【0035】本発明の特許請求項17に係わる殺菌方法
は、特許請求項1乃至16のいずれか1項に記載の電子
線照射装置を使用して低エネルギーの電子線を被照射体
に照射することを特徴とする方法である。エネルギーが
500keV以下、特に300keV以下の電子線は
「ソフトエレクトロン」と称されて粒状物体の表面を殺
菌するのに有効であることは良く知られている。本発明
に於いて低エネルギー電子線とは500keV以下のエ
ネルギーを有する電子線を言う。又、本発明では、滅菌
や殺虫などの有害生物を死滅させることを含めて殺菌と
言っている。この殺菌方法では、電子線はエネルギーが
低いので被照射体の内部に侵入せず、被照射体の内部を
変質することは無い。又、多量の電子線が被照射体の周
囲に回り込むので、被照射体を回転させなくても電子線
が被照射体の全表面に均一に照射され、しかも殺菌処理
速度を大きくすることができる。
【0036】本発明の特許請求項18に係わる殺菌方法
は、低エネルギーの電子線の一部を被照射体の背面又は
側面に回り込ませながら照射することによって前記の被
照射体を殺菌することを特徴とする方法である。この殺
菌方法では、電子線のエネルギーが低いので粒状の被照
射体の内部に侵入せず、被照射体の内部を変質すること
は無い。また、被照射体通路内において電子線の一部が
粒状被照射体の前方から、電子線の他の一部が同一の粒
状被照射体の側方から、電子線の他の一部が同一の粒状
被照射体の後方から飛来するので、粒状被照射体を回転
させなくても電子線が粒状被照射体の全表面に均一に照
射される。粒状被照射体を回転させる必要が無いので、
殺菌処理速度を大きくすることができるだけでなく装置
全体がコンパクトになって設置場所を狭くできる。
【0037】本発明の特許請求項19に係わる殺菌方法
は、特許請求項18に記載の殺菌方法において、前記の
電子線が前記の被照射体の背面又は側面に回り込む程度
又はその方向を時間的又は空間的に変化させたことを特
徴とする方法である。この殺菌方法では、被照射体通路
内において電子線が飛来する方向が極めて不規則的にな
るので、回転しないで直線的に移動する粒状被照射体の
全表面に、電子線がより均一に照射され、均一な殺菌処
理が出来るだけでなく、粒状被照射体の移動速度を大き
くできるので殺菌処理速度を大きくすることができる。
【0038】本発明の特許請求項20に係わる殺菌方法
は、特許請求項17乃至19のいずれか1項に記載の殺
菌方法において、前記の被照射体が玄米、籾、小麦、そ
ば、茶葉、香辛料、乾燥野菜等の食品原材料、又はその
加工品、又はアブラナ科やマメ科等の植物の種子である
ことを特徴とする方法である。玄米、籾、小麦、そば、
茶葉、香辛料、乾燥野菜等の食品原材料、又はその加工
品、又はアブラナ科やマメ科を含む植物種子等の殺菌の
為に低エネルギーの電子線の照射が有効であることは良
く知られているが、従来は、これら粒状物体の回転が必
須であり、回転の程度によって殺菌ムラが出来て、良好
な殺菌が出来ないばかりか処理速度が極めて小さかっ
た。これは、従来の電子線照射装置では電子線を一方向
から平面状に照射していた為で、この改善が熱望されて
いた。本発明の殺菌方法では、玄米、籾、小麦、そば、
茶葉、香辛料、乾燥野菜等の食品原材料、又はその加工
品、又はアブラナ科やマメ科を含む植物種子等の粒状被
照射体を回転させなくても、電子線自体が実質的に回り
込んで照射されるので、これら粒状の被照射体の内部を
変質することなく全表面を均一に殺菌できて、安全性と
処理速度が格段に向上し、産業的効果が極めて大きい。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。図1(a)は本発明に係わる
電子線照射装置の簡略化した縦断面図、図1(b)は本
発明に係わる電子線照射装置の簡略化した横断面図であ
り、図1(a)のZ軸方向から電子軌道を見た図に相当
する。図2は本発明の一実施形態である電子線照射装置
の縦断面図であり、図3は図2のAA’の矢印方向から
見た横断面図であり、図4は図2のBB’の矢印方向か
ら見た横断面図であり、図5は本発明の電子線照射装置
の主要構成要素である電子透過窓の構造を表す図であ
り、図6は本発明の電子線照射装置の主要構成要素であ
る軌道交叉手段としての電磁石の構造と磁束の分布の例
を表す断面図であり、図7から図10までは本発明の電
子線照射装置の原理を説明する原理図であり、図11か
ら図14までは本発明の作用及び効果を説明する為の電
子軌道を計算した結果を表す図面であり、図15は他の
変形した実施形態を示す縦断面図であり、図16は従来
の電子線照射装置を示す横断面図である。同じ部分は同
じ番号を付与している。これらの図に於いて、簡略化の
為に断面のハッチングは部分的に省略している。
【0040】図1及び図2に示すように、円筒状に構成
された被照射体通路10の内壁18の内側に真空容器1
があり、図2に示す排気管16を通して図示しない真空
ポンプによって排気されて常時10−6〜10−8To
rr程度の真空度に保たれた真空空間101を形成して
いる。真空空間101内に環状の陰極2が、絶縁体で出
来た陰極支持機構17を介して被照射体通路10と同軸
的に取り付けられている。陰極2の電子放出面の前方に
電子引出し電極3が同軸的に設けられている。電子引出
し電極3と同軸的に陽極デイスク4と陽極リング5が設
けられており、これらは電子加速手段を形成している。
陽極デイスク4と陽極リング5の間は環状の電子通過孔
401を形成している。
【0041】環状の陰極2はバリウム含浸型カソードで
あり、内部に取り付けられた図示しないヒーターによっ
て加熱されて熱電子を放出する。環状の陰極2及びヒー
ターには高電圧ケーブル15から陰極支持機構17を通
じて−500kV〜−50kVの間の高電圧が印加され
る。高電圧ケーブル15は外部の図示しない高電圧電源
に接続されている。電子引出し電極3は陰極2に対して
0〜1000V程度のバイアス電圧が印加され、このバ
イアス電圧は前記の高電圧電源によって可変でき、陰極
から引き出される電子の量を制御できるるようになって
いる。真空容器1、電子透過窓7、陽極デイスク4、陽
極リング5は接地電位、0Vに設定されている。
【0042】陽極デイスク4を取り付けた平板部402
は真空容器1の一部を形成している。図2に示した平板
部402のAA’の矢印方向から見た横断面図を図3に
示している。図3に示すように、平板部402には放射
状に設けられた多数の穴405があり、その一部は前記
の電子通過孔401と繋がっており電子通路406を形
成している。前記の穴405の間には隔壁407があ
り、機械的強度を保つとともに、隔壁407の内部にあ
る図示しない水路を通る水によって冷却されている。穴
405の近傍には冷却水路403、404が設けられて
おり、外部から導入された水によって強制冷却されるよ
うになっている。
【0043】図2に示すように、前記の平板部402の
表面に電子透過窓構体6が取り付けられている。前記の
平板部402と電子透過窓構体6との間はO―リング等
によって気密に接続されており、脱着できるようになっ
ている。電子透過窓構体6のBB’の矢印方向から見た
横断面図を図4に示している。図2及び図4に示すよう
に、電子透過窓構体6には多数の穴601が設けられて
おり、電子通路406の一部を構成している。これらの
近傍に環状の冷却水路603,604が設けられてお
り、電子透過窓構体6が強制冷却されるようになってい
る。多数の穴601の間には隔壁605があり、機械的
強度を保つとともに、隔壁605の内部にある図示しな
い水路を通る水によって冷却されている。図2に示すよ
うに、電子透過窓構体6の端部には環状に構成された電
子透過窓7が、前記の被照射体通路10と直交するよう
につまり、電子透過窓7を含む面の法線と被照射体通路
10の断面の法線が平行になるように、電子ビーム溶接
等により気密に取り付けられており、真空容器1の一部
を形成して真空空間101を高真空状態に保っている。
環状に構成された電子透過窓7の直径が大きい場合に
は、1枚のチタン箔で構成するのは極めて困難である。
このような場合に使用される電子透過窓7は、図5に示
すように、多数の穴721とその境界の隔壁722とを
有した構造体のそれぞれの穴721に多数の薄片710
が電子ビーム溶接等により気密に取り付けられた構造に
なっており、真空容器1の一部を形成して真空空間10
1を高真空状態に保てるようになっている。電子透過窓
7の各薄片710は厚みが10μm程度のチタン箔で出
来ており、例えば、110keVのエネルギーを持って
入射した電子のおよそ50%を透過することができる。
各薄片が部分的に薄くした単結晶シリコンなどの構造体
であっても本発明に含まれるのは当然である。
【0044】隔壁722内には、図示しない水路があ
り、水冷されて温度上昇が防止されている。又、電子透
過窓7の各薄片710の内面又は外面には格子状又は放
射状に配設された図示しない多数のフィンが設けられて
おり、各薄片710の温度上昇を防止するとともに機械
的強度を増すようになっている。フィンは0.5mm程
度に薄くし、それらの間隔は2mm程度に狭くすると各
薄片710内の温度がより均一になって好ましい。電子
通路406は長い距離があり、内部が同電位になってい
るので、前記の電子加速手段で放電などの不具合が発生
しても電子透過窓7に悪影響を与え難くなっている。
又、各薄片710の内面に設けられたフィンは避雷効果
があり、電子透過窓7の信頼性を増すことができる。
【0045】前記の電子透過窓7の近傍で円筒状の被照
射体通路10の外側位置において、電磁石8が被照射体
通路10と同軸的に取り付けられている。電磁石8は、
被照射体通路10と同軸的に設けられた環状の第1磁極
801、第2磁極802と、これと同軸的に設けられて
おり、第1磁極801及び第2磁極802に接続されて
おり、より大きな径の部分を持った環状のヨーク803
と、この間に巻かれたコイル804とを有しており、軌
道交叉手段を構成している。
【0046】電磁石8によって生じる磁力線805の例
を図6に示している。図6に示すように、前記の第1磁
極801、第2磁極802の形状により、電子透過窓7
に近い側で内側に屈曲した磁力線を呈している。図2に
示す様に、前記円錐状の電子通路406の平均半径を結
んでできるコーン状の面と前記の被照射体通路10の外
壁19との交線9の近傍に最小の径を持つ曲面に沿って
磁束は分布している。
【0047】図1及び図2に示すように、被照射体通路
10は、実質的に装置全体を覆った内壁18と外壁19
を有しており、断面が円環状になっている。図2に示す
ように、被照射体通路10の鉛直上方部分には被照射体
投入部102が取り付けられている。被照射体通路10
内、又は被照射体投入部102内には被照射体100の
通過量と通過タイミングとを制御する図示しない被照射
体制御機構が設けられており、図1に示すように、多数
の被照射体100は被照射体通路10内で環状に分布し
た状態で間欠的に自由落下するようになっている。円筒
状の被照射体通路10の通路幅Wは小さい値に保った状
態で通路断面積Sは十分に大きくなっており、粒状の被
照射体100は密集することがない様に被照射体制御機
構によって制御された状態で落下している。
【0048】図2に示すように、電子透過窓7の外側に
は前記被照射体通路10の内壁18の径よりも小さな径
を有する照射室空間111を形成している。照射室空間
111と被照射体通路10との境界部分には被照射体通
路10に平行な方向に細長いスリットを有する籠型の回
転体121が被照射体通路10と同軸的に取り付けられ
ている。回転体121は被照射体通路10と同軸的に取
り付けられた誘導モータのロータ122に取り付けられ
ており、ステータ123に通電されて回転するようにな
っている。回転体121の内側には多数のフィン124
が前記のスリットと大略平行に設けられており、回転体
121が回転することによって照射室空間111内にあ
る気体を被照射体通路10内に送り込むようになってい
る。
【0049】電子透過窓7の外側には図示しない多数の
ノズルがあり、このノズルから窒素のような不活性ガス
が電子透過窓7に向かって高速度で吹き付けられてお
り、電子透過窓7は冷却されるとともに、照射室空間1
11は不活性ガスが充満している。この不活性ガスは前
記のように回転体121の回転によって被照射体通路1
0内に押し込まれるので、粒状の被照射体100が回転
体121に接触しない様になっている。これらは、被照
射体100が電子透過窓7に接触するのを防止する接触
防止手段を形成している。回転体121にはスリットが
あるので、電子透過窓7を透過した電子は、照射室空間
111を通過した後に、このスリットを通って被照射体
通路10に進入して粒状の被照射体100に衝突するよ
うになっている。回転体121自体に衝突する電子によ
る過熱は適度な冷却によって防止されている。
【0050】図示しないフィラメントで加熱された陰極
2から熱電子が放出され、電子引出し電極3との間の電
界で空間電荷制限電流として引き出される。引き出され
る電子の量は電子引出し電極3の電圧で制御されるよう
になっている。引き出された電子は陰極2と陽極デイス
ク4、陽極リング5との間の電界で110keVのエネ
ルギーに加速されるとともに、分布をラッパ状に広げら
れて電子通過孔401を経由して電子通路406に進入
する。電子通路406内では電界が無いので加速される
ことなく等速運動を行う。電子通路406内の電子密度
は小さいので空間電荷の影響も無視でき、電子通路40
6が長くても電子はこの中を直線運動し、軌道半径を拡
大しつつ円錐状に広げられて電子通路406の端部に取
り付けられた十分に大きな直径の電子透過窓7に到達す
る。以下において、電子透過窓7を透過した電子の進行
方向を被照射体通路10内に於いて多様化する軌道交叉
手段の作用について図7から図10を参照して述べる。
【0051】被照射体通路10の中心軸と同軸的に配設
された環状の電子透過窓7を模式的に図7に示してい
る。ここで、Z軸は被照射体通路10の中心軸と一致し
ており、図1及び図2の下方が正の座標になっている。
ここで、R軸は半径方向を表している。図7に示すよう
に任意の点の位置を円柱座標(r、θ、z)で表す。電
子透過窓7上の点P(r、θ、z)において、
Z軸に対して角度φだけ傾斜して、電子通路406か
ら電子が入射した場合を考える。入射した電子は、電子
透過窓7内でエネルギーを減少するとともに散乱され
て、図7に実線の矢印711で示すように点P
(r、θ、z)とZ軸を含む平面内の方向、及
び図7に破線の矢印712で示すようにこれと直交する
平面の方向とを含んだ立体的に広がった指向性を有する
速度分布を呈して電子透過窓7の外側の大気圧領域に進
入する。
【0052】図7の点P(r、θ、z)とZ軸
を含む平面における断面図を図8(a)に、これと直角
な方向の断面図を図8(b)に模式的に示している。図
8(a)の角度φはRZ平面内における電子の散乱角
度を示しており、半径方向散乱角と呼ぶ。図8(b)に
おける角度θは、電子の入射方向を含みRZ平面に垂
直な面内における電子の散乱角度を示しており、横方向
散乱角と呼ぶ。110keVの運動エネルギーを持って
初速度vでZ軸と角度φだけ傾斜して電子透過窓7
に入射した電子は、10〜20keV程度のエネルギー
を減少させて電子透過窓7を透過する。
【0053】環状の電子透過窓7の外側には軌道交叉手
段としての電磁石8が、その中心軸がZ軸に一致するよ
うに設けられており、電子透過窓7の外側では、図6に
示すように、半径方向の磁束密度成分B,Z軸方向の
磁束密度成分Bをもった磁束密度805が存在するの
で、この領域に入った電子は概略e(v−v
)の回転力を与えられることになる。ここで、v
は電子のZ方向速度成分とR方向速度成分を、eは
電子の電荷をそれぞれ表している。電子が電磁石8に近
づくに従って強い回転力を与えるように磁束密度の各成
分B,Bの空間分布を与えておくと、電子は電磁石
8に近づくにつれて図9(a)に示す様に強い正方向回
転力を受けてZ軸の周りで正方向に回転しようとする。
図10(a)には、正方向回転している電子が磁束密度
成分、B,Bによって受ける力F,Fの方向を
模式的に示している。この場合には電子は正方向に回転
しながらZ軸方向に減速され、半径が縮小する方向に力
を受けることになる。電子透過窓7を透過した直後の電
子のθ方向速度vθが図8(b)における正方向である
場合には、図9(a)に示すように、電子は正方向回転
が強調されて周回運動をしつつ、図10(a)に示すよ
うに、Z軸方向に減速されながらZ軸に近づいたり離れ
たりする軌道となる。逆に、電子透過窓7を透過した直
後の電子のθ方向速度vθが図8(b)における負方向
である場合には、図9(b)に示すように、速度成分v
、v、及び磁束密度成分、B,Bの大きさで正
方向回転力又は負方向回転力を受ける。図10(b)に
は、負方向に回転している電子が磁束密度成分、B
によって受ける力を示している。この場合には電子
は負方向に回転しながらZ軸方向に加速され、R軸の方
向に加速されることになる。これらの電子軌道を計算し
て、結果を図11、図12、図13、図14に示してい
る。次に、これらの図を使って本発明の作用と効果につ
いて更に説明する。
【0054】図2の交線9における磁束密度が0.00
31Teslaで、電子透過窓7を透過した点における
半径方向散乱角φが−10度の場合について計算した
電子軌道を図11から図14に示している。これらの電
子軌道では、電子透過窓7を透過後の大気圧空間におけ
る散乱の影響は省略している。図11は、電子透過窓7
を透過した点における横方向散乱角θが+30度の場
合における電子軌道の断面を示している。同様に、図1
2は、電子透過窓7を透過した点における横方向散乱角
θが−30度の場合における電子軌道の断面を示して
いる。図11、図12において、各電子軌道のR値はZ
軸との距離を表している。
【0055】図13は、図7のZ軸の方向から電子透過
窓7を見た図であり、図11、図12の電子軌道をZ軸
の方向から見てR−θ平面で表している。環状の陰極2
上の点701から走行して電子通路406を通過して電
子透過窓7上の点P(r、θ、z)に至る電子
軌道を702に、点P(r、θ、z)において
半径方向散乱角φが−10度で横方向散乱角θが0
度を有して散乱された電子の軌道を703に、点P
(r、θ、z)において半径方向散乱角φ
−10度で横方向散乱角θが+30度を有して散乱さ
れた電子の軌道を704に、点P(r、θ
)において半径方向散乱角φが−10度で横方向
散乱角θが−30度を有して散乱された電子の軌道を
705に示している。電子軌道704は図11に、電子
軌道705は図12に対応している。
【0056】図11と図12において、陽極デイスク4
及び陽極リング5の形状の内で特性に影響しない部分は
計算の都合上図2の電極構造と異なっているが、電子の
軌道には影響を与えていない。従って、これらは図2の
構造における電子軌道の例を表している。これらの図に
おいて、電極間の等電位曲線を破線30で示している。
図11は、−110kVの電圧が印加された環状の陰極
2から放出されて、−109kVの電圧が印加された電
子引出し電極3によって均一な電子密度をもって引き出
されて、環状の電子通過孔401を形成して接地電位に
設定された陽極デイスク4、陽極リング5から成る電子
加速手段によって加速された電子ビーム20が、環状の
電子透過窓7を透過して90keVの運動エネルギーを
もって横方向散乱角θが+30度、半径方向散乱角φ
が−10度で散乱された電子の軌道の例を示してい
る。電子透過窓7を透過した直後に電子の進行方向が変
えられており、電子透過窓7を透過して大気圧空間を通
過するが、大気による電子の散乱は比較的小さいことを
考慮して省略しているので磁束密度Bが大きい場所に至
るまではほぼ直進している。
【0057】この間の電子軌道をR−θ平面で見ると、
電子透過窓7上の点P(r、θ 、z)において
横方向散乱角θで散乱された後に少しθ方向に加速さ
れるものの、被照射体通路10に入射するまではほぼ直
線的に進行していることがわかる。これらの電子が被照
射体通路10に入射した位置で電磁石8の磁束密度Bが
大きくなり、前記の相互作用により、図10(a)に示
すようにZ軸及びR軸方向に減速されて、図11に示す
ように被照射体通路10に平行な方向に電子軌道が変え
られている。更に、図9(a)に示すように、θ方向の
加速度を受けるので、図13の704で示すように、被
照射体通路10内で大きく周回運動をする。この場合、
しばらくの間軌道半径Rを減ずるが、その後Rの正方向
に向かっている。この部分での電子軌道は、磁束密度B
の大きさと空間分布、及び電子の進行速度の大きさと方
向に大きく依存しており、被照射体通路10内でR方向
に大きく屈曲する電子軌道を呈する場合もある。
【0058】図12は、電子透過窓7上の点P
(r、θ、z)における横方向散乱角θが−
30度であること以外は図11と同じ条件での電子軌道
を示している。図11の場合と同様に、電子透過窓7を
透過した直後に電子の進行方向が変えられており、その
後電子透過窓7を透過して大気圧空間を通過するが、大
気による電子の散乱は比較的小さいことを考慮して省略
しているので、磁束密度Bが大きい場所に至るまではほ
ぼ直進している。被照射体通路10内で磁束密度Bが大
きくなった位置において、図10(b)に示すように電
子はZ軸方向及びR方向に加速されるとともに、図9
(b)に示す様に−θ方向に減速された状態で被照射体
通路10の外壁19に至る。これは、この領域でB
よりも大きくなっているからである。これらの様子
は図12、及び図13の電子軌道705で表されてい
る。図11〜13の電子軌道の1つを斜視図で図14に
示している。
【0059】以上において代表的な動作条件での電子軌
道の説明を行ったが、横方向散乱角θや半径方向散乱
角φが異なった場合や透過電子のエネルギーが異なっ
た場合などについても同様な軌道となる。図1に模式的
に示す様に、被照射体通路10内の任意の点には、種々
の電子軌道を持つ多くの電子を寄せ集めた状態となるの
で、ほぼ全ての方向を向いた電子が飛来する。換言する
と、被照射体通路10内にある粒状の被照射体100は
自ら回転しなくても全ての方向から電子が入射すること
になり、全表面に電子が照射される。被照射体通路10
内で粒状の被照射体100が自由落下などのように直線
運動している場合には、この効果はより顕著になる。更
に、磁束密度Bの空間分布を適正化することによって、
粒状被照射体100の表面における入射電子の分布をよ
り均一化できる。
【0060】上記は、単一の電磁石8を用いた場合であ
り、磁束密度Bの分布がZ軸方向に単純に変化している
が、起磁力の異なる多数の環状の電磁石又は永久磁石を
被照射体通路10に沿って並べることによってZ軸方向
の位置によって磁束密度分布を複雑に変化させると、よ
り多様化された電子軌道となり、直線移動する粒状被照
射体100の電子照射の均一性を向上することができ
る。逆に、起磁力が同じである多数の環状の電磁石又は
永久磁石を被照射体通路10に沿って並べること等によ
って磁束密度BのZ軸方向における分布を適正にする
と、被照射体通路10内で壁に衝突するまでの電子の周
回距離を増すことができる。この場合には、これらの磁
石は電子周回手段として作用する。このようにした電子
線照射装置は、被照射体が気体である場合等に電子との
相互作用が改善されるので好ましい。
【0061】上記は、磁束密度Bが時間的に一定の場合
について記しているが、電磁石8の励磁電流の方向を時
間的に変化させた場合には、被照射体通路10内におけ
る上述した周回運動の方向が時間的に逆転させられるの
で、被照射体100の電子線照射をより均一にできる。
以上において説明したように、軌道交叉手段又は電子周
回手段として作用する電磁石8を設けることによって、
電子透過窓7を透過した電子が粒状被照射体100の全
表面により均一に照射できる電子線照射装置を実現でき
る。
【実施例】次に本発明の電子線照射装置の作用及び効果
について実施例を用いて更に説明する。 電子透過窓7
は、厚みが10μmのチタン薄膜を、外径が31cmで
内径が20cmの環状体になるように張り合わせて構成
されており、表面積はおよそ420cmであり、電子
がこの表面に均一に広がって入射するの場合について述
べる。このような薄膜に信頼性を保って許容される入射
電子のパワー密度は20W/cm程度であるので、本
実施例で許容される入力は8400Wである。入射電子
のエネルギーが110keVである場合には、76mA
の電流に相当する。入射した電子のおよそ50%が電子
透過窓7で吸収され、残りのおよそ50%程度が平均の
運動エネルギー90keVをもって透過するとすると、
電子透過窓7を透過して被照射体通路10に侵入する電
子のパワーはおよそ3400Wであり、十分に大きな照
射能力を有する電子線照射装置となる。一方、環状陰極
の平均直径は5cmであり、幅は4mmであるので、必
要な電子密度は13mA/cmと小さな値でよく、容
易に実現できる。また、図2に示す電子線照射装置の最
大外径は60cmであり、コンパクトになっている。更
に照射能力を増したい場合には、陰極の直径を変えるこ
となく、電子通路406の長さを増すとともに、電子透
過窓7と被照射体通路10の直径を大きくすることによ
って実質的に無制限に大きくできる。例えば、電子透過
窓7の直径が100cm、内径が80cmであるように
構成すると、56kWの電子線を電子透過窓7に入射す
ることができる。この場合でも、電子線照射装置全体の
外径は1.4m程度であり、コンパクトで処理能力の大
きな低エネルギー電子線照射装置を提供できる。このよ
うにコンパクトで処理能力の大きい電子線照射装置は、
例えばダイオキシンの分解などの環境対策にも有効であ
る。
【0062】前記の被照射体が玄米、籾、小麦、そば、
茶葉、香辛料、乾燥野菜等の食品原材料、又はその加工
品、又はアブラナ科やマメ科等の植物の種子であり、こ
れらの被照射体の内部を変質せずに、表面を汚染した生
菌を殺菌する場合には、500keV以下、好適には3
00keV以下のエネルギーの電子線を表面に万遍無く
照射できることが求められてきた。従来は、この目的の
為に被照射体自体を回転させていたが、このために、十
分な殺菌効果を得ようとすると処理能力を高めることが
出来なかった。本発明の電子線照射装置では、これらの
被照射体を回転せずに自由落下等の直線移動させるだけ
で全表面に500keV以下、好適には300keV以
下のエネルギーの電子線を満遍なく照射できて、殺菌処
理能力が十分に改善され、産業的メリットが大きい。
【0063】次に、変形された実施形態について図15
を用いて説明する。図15に示す実施形態の例では、軌
道交叉手段又は電子周回手段としての電磁石8を被照射
体通路10の内壁18の内側に取り付けている。この場
合には、電子の走行を妨げないように電子透過窓7に近
い磁極801の直径を電子透過窓7の内径よりも小さく
し、他の磁極802の直径を被照射体通路10の内壁1
8の径と同じ程度に大きくしている。ヨーク803はこ
れらの磁極よりも径が小さくなっている。この場合に
も、電子軌道計算の結果、上述と類似の効果を得ること
が判っている。
【0064】本発明を実施形態及び実施例に関連して説
明したが、本発明は、ここに例示した実施形態及び実施
例の構造及び形態に限定されるものではなく、本発明の
精神及び範囲から逸脱することなく、いろいろな実施形
態が可能であり、いろいろな変更及び改変を加えること
ができることを理解されたい。例えば、好ましくはない
が、電子透過窓7の外側を真空にした状態で被照射体1
00に電子線を照射できることは勿論である。また、電
磁石8は永久磁石に替えても良いことは勿論である。図
1、図2に示す本実施形態では電子透過窓7を円形の平
板状に構成して作りやすくしているが、これをコーン状
又は円筒状に構成しても良いことは当然である。軌道交
叉手段又は電子周回手段は、複雑な構造になるが、複数
個の磁石を組み合わせて構成しても、高電界を発生する
電極と磁石とを組み合わせて構成しても実現できる。陰
極や真空容器等を複数に分割して構成したものも、真空
容器を封止切りにした場合も本発明に含まれるのは当然
である。陰極は、タングステン線で出来たコイルでも良
いし、電子引出し電極3を省略しても良いのは当然であ
る。被照射体の接触防止手段は、好ましくはないが、ス
リットを有する静止した構造体に変えても良いことは当
然である。被照射体通路10の中心線と電子通路406
の中心線が本発明の精神から逸脱しない程度にずれてい
る場合も、傾斜している場合も本発明に含まれるのは当
然である。被照射体を移動又は落下する場合に、その速
度を制御したものも本発明に含まれるのは当然である。
本発明の電子線照射装置及び殺菌方法では、被照射体を
回転する必要がないが、被照射体を回転した場合も、逆
に、静止した場合も含まれるのは当然である。前記の被
照射体100が絶縁物のみで出来ている場合も導電性の
材質を含む場合も気体である場合も本発明に含まれる。
【発明の効果】以上説明したように本発明を採用する
と、コンパクトで処理能力の大きい低エネルギー電子線
照射装置を提供できる。小型の陰極と、大きな直径の電
子透過窓と、更に大きな直径の被照射体通路を有して構
成されているので、電子密度の適正化が図られており、
適正な冷却ができるので、処理能力を事実上無制限に大
きくできる。被照射体が例えば食品原料や植物種子のよ
うに粒状物体である場合には、被照射体を回転させるこ
となく、電子線を回り込ませることによって被照射体の
全表面に低エネルギーの電子線を照射することができ
る。従って、これらの被照射体の殺菌に使用する場合に
は、内部を変質させること無く、大きな処理速度で表面
を殺菌出来る。又、被照射体が気体である場合には、被
照射体通路内で電子を周回運動させることによって、コ
ンパクトな構造でありながら気体との相互作用の距離を
増して効率を高めることができる。更に、電子透過窓が
被照射体と角度を有して取り付けられているので、被照
射体の飛散などによって電子透過窓が汚染され難く、信
頼性が高いだけでなく、被照射体への熱等の影響の少な
い電子線照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である電子線照射装置の簡
略化した縦断面図と横断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である電子線照射装置の縦
断面図である。
【図3】本発明の実施形態の縦断面図である図2のA
A’の矢印方向から見た横断面図である。
【図4】本発明の実施形態の縦断面図である図2のB
B’の矢印方向から見た横断面図である。
【図5】本発明の電子線照射装置の主要構成要素である
電子透過窓の構造を表す図である。
【図6】本発明の主要構成要素である軌道交叉手段とし
ての電磁石の構造と磁束の分布の例を表す断面図であ
る。
【図7】本発明の原理を説明する原理図であり、電子透
過窓における電子の散乱を模式的に示している。
【図8】本発明の原理を説明する原理図であり、電子透
過窓における電子の散乱の角度関係を示している。
【図9】本発明の原理を説明する原理図であり、電子の
速度と磁束密度が電子を周回させる効果を示している。
【図10】本発明の原理を説明する原理図であり、周回
運動する電子に磁束密度が及ぼす効果を示している。
【図11】本発明の作用と効果を説明する為の電子軌道
を計算した結果を表す図面であり、横方向散乱角が+3
0度の場合の例を表している。
【図12】本発明の作用と効果を説明する為の電子軌道
を計算した結果を表す図面であり、横方向散乱角が−3
0度の場合の例を表している。
【図13】本発明の作用と効果を説明する為の電子軌道
を計算した結果を中心軸の方向から見た図面である。
【図14】本発明の作用と効果を説明する為の電子軌道
を計算した結果の一つを立体的に表した図面である。
【図15】本発明の変形した実施形態を表す縦断面図で
ある。
【図16】従来の電子線照射装置の概略横断面図であ
る。
【符号の説明】
1 真空容器 2 陰極 3 電子引き出し電極 4 陽極デイスク 5 陽極リング 6 電子透過窓構体 7 電子透過窓 8 電磁石 9 電子通路の平均半径でできるコーン状の面
と被照射体通路との交線 10 被照射体通路 15 高電圧ケーブル 16 排気管 17 陰極支持機構 18 被照射体通路の内壁 19 被照射体通路の外壁 20 電子ビーム 30 等電位曲線 100 被照射体 101 真空空間 111 照射室空間 121 籠型の回転体 122 ロータ 123 ステータ 124 フィン 401 電子通過孔 402 平板部 403 冷却水路 404 冷却水路 405 多数の穴 406 電子通路 407 隔壁 601 多数の穴 603 冷却水路 604 冷却水路 605 隔壁 701 陰極2上の点 702 電子通路内の電子軌道 703 電子透過窓の外の電子軌道(横方向散乱角
が0度の場合) 704 電子透過窓の外の電子軌道(横方向散乱角
が+30度の場合) 705 電子透過窓の外の電子軌道(横方向散乱角
が−30度の場合) 710 電子透過窓を構成する薄片 711 透過電子の速度分布(入射点とZ軸を含む
平面内) 712 透過電子の速度分布(入射方向を含み、R
Z平面と直交する平面内) 721 多数の穴 722 隔壁 801 環状の磁極 802 環状の磁極 803 ヨーク 804 コイル 805 磁力線
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 19/12 B01J 19/12 C G21K 1/093 G21K 1/093 Z 1/10 1/10 S 5/10 5/10 F

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空領域を構成する真空容器と、この真
    空容器の外部において被照射体を通過させる被照射体通
    路と、前記の真空容器の内部で電子を放出する陰極と、
    この陰極から放出された電子を加速する電子加速手段
    と、この電子加速手段によって加速された電子を前記の
    真空容器の外部に透過させる電子透過窓とが実質的に同
    軸的に設けられており、この電子透過窓を透過して前記
    の被照射体通路に進入した電子の軌道を屈曲させて他の
    電子の軌道と実質的に交叉させる軌道交叉手段を有して
    いることを特徴とする電子線照射装置。
  2. 【請求項2】 真空領域を構成する真空容器と、この真
    空容器の外部において被照射体を通過させる被照射体通
    路と、前記の真空容器の内部で電子を放出する陰極と、
    この陰極から放出された電子を加速する電子加速手段
    と、この電子加速手段によって加速された電子を前記の
    真空容器の外部に透過させる電子透過窓とが実質的に同
    軸的に設けられており、この電子透過窓を透過した電子
    の一部を前記の被照射体通路内で周回移動させる電子周
    回手段を有していることを特徴とする電子線照射装置。
  3. 【請求項3】 前記の軌道交叉手段又は前記の電子周回
    手段は前記の被照射体通路内に於いて前記の被照射体の
    背面又は側面に電子を回り込ませる効果を有することを
    特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の電子
    線照射装置。
  4. 【請求項4】 前記の軌道交叉手段又は前記の電子周回
    手段は前記の被照射体通路と同軸的に設けられた磁石を
    用いて構成されていることを特徴とする請求項1乃至3
    のいずれか1項に記載の電子線照射装置。
  5. 【請求項5】 前記の軌道交叉手段又は前記の電子周回
    手段は前記の被照射体の位置における電子の進行方向を
    時間的又は空間的に変化させることを特徴とする請求項
    1乃至4に記載の電子線照射装置。
  6. 【請求項6】 真空領域を構成する真空容器と、この真
    空容器の内部で電子を放出する陰極と、この陰極から放
    出された電子を加速する電子加速手段と、この電子加速
    手段によって加速された電子を前記の真空容器の外部に
    透過させる電子透過窓と、前記の真空容器の外部におい
    て被照射体を通過させる被照射体通路とを有して構成さ
    れており、この被照射体通路は内壁を有しており、この
    内壁が前記の電子透過窓を実質的に取り囲んでいること
    を特徴とする電子線照射装置。
  7. 【請求項7】 前記の陰極及び前記の電子透過窓及び前
    記の被照射体通路は実質的に環状で同軸的に構成されて
    おり、前記の電子透過窓の直径は前記の陰極の直径より
    も大きいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1
    項に記載の電子線照射装置。
  8. 【請求項8】 前記の真空容器は前記の被照射体通路に
    実質的に取り囲まれて構成されていることを特徴とする
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子線照射装
    置。
  9. 【請求項9】 前記の被照射体通路は鉛直方向を向いて
    おり、前記の被照射体は前記の電子透過窓の近傍で自由
    落下することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1
    項に記載の電子線照射装置。
  10. 【請求項10】 前記の被照射体通路内又はこれに連通
    する部分に、前記の被照射体の通過を制御する機構を設
    けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に
    記載の電子線照射装置。
  11. 【請求項11】 前記の電子透過窓を含む面は、前記の
    被照射体通路と交叉するように、好適には直交するよう
    に、構成されていることを特徴とする請求項1乃至10
    のいずれか1項に記載の電子線照射装置。
  12. 【請求項12】 前記の電子透過窓は前記の被照射体か
    らその進行方向に見えないように構成されていることを
    特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電
    子線照射装置。
  13. 【請求項13】 前記の電子透過窓を構成する箔は複数
    の薄片に分割されており、それぞれの薄片が環状に配列
    されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれ
    か1項に記載の電子線照射装置。
  14. 【請求項14】 前記の被照射体通路内に、又は前記の
    被照射体通路と前記の電子透過窓との間に、前記の被照
    射体が電子透過窓に接触するの防止する接触防止手段を
    設けたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1
    項に記載の電子線照射装置。
  15. 【請求項15】 前記の電子透過窓から前記の被照射体
    通路の方向に流体を移送する手段を設けたことを特徴と
    する請求項1乃至14のいずれか1項に記載の電子線照
    射装置。
  16. 【請求項16】 前記の電子透過窓に入射する電子の軌
    道は、実質的に円錐状に形成されていることを特徴とす
    る請求項1乃至15のいずれか1項に記載の電子線照射
    装置。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至16のいずれか1項に記
    載の電子線照射装置を使用して低エネルギーの電子線を
    被照射体に照射することを特徴とする殺菌方法。
  18. 【請求項18】 低エネルギーの電子線の一部を被照射
    体の背面又は側面に回り込ませながら照射することによ
    って前記の被照射体を殺菌することを特徴とする被照射
    体の殺菌方法。
  19. 【請求項19】 前記の電子線が前記の被照射体の背面
    又は側面に回り込む程度又はその方向を時間的又は空間
    的に変化させたことを特徴とする請求項18に記載の殺
    菌方法。
  20. 【請求項20】 前記の被照射体が玄米、籾、小麦、そ
    ば、茶葉、香辛料、乾燥野菜等の食品原材料、又はその
    加工品、又はアブラナ科やマメ科等の植物の種子である
    ことを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項に
    記載の殺菌方法。
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