JPH07318698A - 電子線照射装置 - Google Patents

電子線照射装置

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JPH07318698A
JPH07318698A JP11076094A JP11076094A JPH07318698A JP H07318698 A JPH07318698 A JP H07318698A JP 11076094 A JP11076094 A JP 11076094A JP 11076094 A JP11076094 A JP 11076094A JP H07318698 A JPH07318698 A JP H07318698A
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electron
electron beam
beam irradiation
electric field
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JP11076094A
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Masatoshi Kodera
正俊 小寺
Takashi Fujisawa
高志 藤沢
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DKK Co Ltd
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Denki Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 径が大きく特に断面形状が単純でない試料の
場合であっても、一基の加速器により試料の全周から同
時に電子線を一回で照射し得て能率的な電子線照射を行
なうことができ、電子線照射技術の産業応用対象の範囲
を拡大できるような電子線照射装置を提供する。 【構成】 試料18の中心軸を取り囲む環状領域に沿っ
て複数の電子源(電子銃7)を配置し、これらの複数の
電子源7からそれぞれ放出される電子を試料18の中心
軸に向けて加速するための直流電場または高周波電場を
発生せしめるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、産業用電子線照射処理
を行なうために使用される電子線照射装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】低エネルギー電子線は、分子材料の架橋
反応による特性の改善や、重合反応の促進、異なる分子
間のグラフト反応による新材料の製造、医療用あるいは
包装用材料の表面滅菌等に広く使用されている。
【0003】従来より用いられている300KeV〜5
MeVの電子線照射装置としては、図4に示すような多
分割型の加速管40の上部に電子源41を置き、高電圧
電源42の直流電圧で電子を加速する方式が一般的であ
る。
【0004】加速管40で加速された電子は、交流の磁
場または電場によりビーム掃引スキャン装置43におい
て急速に方向を変えられ、扇状真空箱44の出口に張ら
れた金属薄膜45を通して大気中に取り出されて、大気
中を移動している試料46を照射するようになってい
る。
【0005】なお、上述のように電子線(電子ビーム)
の方向を変更させるのは、電子線が金属薄膜45を通過
する際の面積を大きくして、金属薄膜45の加熱密度を
小さくするためである。しかし、金属薄膜45にあたる
角度が過度に大きくなると、電子が金属薄膜45を通過
する距離が長くなり、これに伴いエネルギー損失が大き
くなるので、電子線を振る角度はあまり大きくすること
はできない。
【0006】また、5MeV以上の加速には、マイクロ
波等の高周波加速器が使用されるが、その場合も上記と
同じような電子線のスキャンニング法によって、電子線
を大気中に取り出すようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電子線
照射装置で処理できる試料46の形状は殆ど平面的なも
のに限られており、例えば円形や多角形等の二次元的表
面構造を持つ試料の場合は、その試料を電子線の下を繰
返し通過させることにより全周囲への電子線の照射を行
なう方式を採用しているのが実状である。このような方
式を採用している理由は、電子線照射装置に使用される
加速器の構造上の関係から、照射電子線が一定の方向の
平行ビームまたは小さな角度の発散ビームであるため、
図5に示すように二次元的状表面構造の試料46a,4
6b,46c等に電子線47を照射した場合に試料46
a,46b,46c等の後方部分(電子線47の下流部
分)に影を作ってしまい、この影の部分に電子線47が
照射されないからである。
【0008】そこで、この問題を回避するために、図6
に示すように磁石48を配設してその直流磁場により電
子線47を曲げて、試料46a等の側面や裏面の全てを
照射する方法が提案されている。しかし、この場合に
は、繰返し照射の場合と同じように特殊な照射搬送装置
を設置しなければならないという問題がある。その上
に、加速エネルギーごとに磁場強度を調整して、電子線
47の照射が試料46a等の側面や裏面に確実に行われ
るように常に注意しなければならず、その調整が非常に
面倒である。
【0009】なお、磁石48の代わりに凹面形状の金属
反射体を置いて、この金属反射体から反射してくる電子
線により試料の側面や裏面を照射する提案もあるが、こ
の場合には、反射率が1より小さく、電子のエネルギー
も変化しているので、試料の側面や裏面における照射線
量および照射深度が直接照射される部分より可成り小さ
くなることは避けられない。
【0010】また、図7に示すように複数基(例えば、
3つ)の加速装置50a,50b,50cを試料46の
周囲に配置して、試料46の全周を照射する方式も提案
されているが、この場合には、大きなスペースを必要と
し、しかもコストも高くなることから実用的でない。
【0011】一方、300KeV以下の電子線照射装置
では、図8に示すように円筒状カバー51の中心に高電
位に保たれた線状の電子源52を配置し、アース電位の
円筒状カバー51に向かって電子を直流電場にて膜状に
加速し、この加速した電子を金属薄膜から成る金属薄膜
窓53を通して大気中に取り出す方式も提案されてい
る。この場合は、電子線はスキャンなしで充分な広さに
広げられており、従って電子が金属薄膜窓53を通過す
る密度は小さく、発熱による金属薄膜の破壊が起きない
ようになっている。しかし、この場合も、試料46の側
面や裏面を照射するするためには、既述の300KeV
以上の照射装置と同様の問題点がある。
【0012】また、試料(被照射材料)の断面が二次元
的表面構造すなわち円形の断面を有する電線55等の場
合には、電線55の寸法等に応じて次のような方式で電
子線の照射を行うようにしている。すなわち、例えば細
い電線の絶縁被覆の耐熱性向上のための電子線照射の場
合には、図9(a),(b)に示すように電線55を一
対の巻取ドラム56,57間にクロス状に掛け渡して矢
印α及びβ方向に移動させながら照射領域58において
往復照射を行ない、やや太い電線の場合には、捻りを与
えながら電子線を照射して、電線の全周に一様な電子線
照射を行なうようにしている。
【0013】しかし、上述のような被照射材料の搬送お
よび電子線照射を行なうための装置としては、単に一方
向に走行させつつ電子線照射をすれば済むようなシート
状の被照射材料用の電子線照射装置とは異なる構造の搬
送照射装置を使用しなければならない。特に、被照射材
料の直径が更に太く、断面の形状が複雑である場合に
は、電子線照射装置の設計もより難しくなり、電子線照
射の回数も増加して時間もかかり、効率の良い処理を行
なうことが困難となる。
【0014】本発明は、このような種々の問題点に鑑み
てなされたものであって、その目的は、径が大きく特に
断面形状が単純でない試料の場合であっても、一基の加
速器により試料の全周から同時に電子線を一回で照射し
得て能率的な電子線照射を行なうことができ、電子線照
射技術の産業応用対象の範囲を拡大できるような電子線
照射装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では、試料の中心軸を取り囲む環状領域に
沿って複数の電子源を配置し、前記複数の電子源からそ
れぞれ放出される電子を前記試料の中心軸に向けて加速
するための直流電場または高周波電場を発生せしめるよ
うに構成している。
【0016】また、本発明では、前記複数の電子源が環
状の真空容器の中に配置されると共に、前記試料が前記
真空容器の中心部の大気中に置かれ、前記複数の電子源
からそれぞれ放出される電子の加速が真空に保たれた空
間で直流電場によりなされ、加速の終了した電子が前記
真空容器の金属薄膜窓を通って前記試料の全周に照射さ
れるようにしている。
【0017】また、本発明では、前記複数の電子源が外
導体と内導体とを有する1/2波長同軸共振器の中に配
置されると共に、前記試料が前記内導体の中心部の大気
中に置かれ、前記複数の電子源からそれぞれ放出される
電子の加速が前記1/2波長同軸共振器内の高周波電場
によりなされ、加速の終了した電子が前記内導体の金属
薄膜窓を通って前記試料の全周に照射されるようにして
いる。
【0018】また、本発明では、前記複数の電子源の各
々から前記試料に照射される電子線照射量を個々に変更
して非対称照射を行ない得るように構成している。
【0019】また、本発明では、断面形状が単純形状で
なく、二次元的な広がりを持つ試料を照射処理すること
を対象としている。
【0020】また、本発明では、前記試料が紐状または
パイプ状のものであり、その軸心方向に沿って移動され
つつ電子線照射されるようにしている。
【0021】
【作用】上述の構成によれば、複数の電子源からそれぞ
れ放出された電子線は加速電場により加速されて試料の
全周に照射されることとなり、一基の装置により1回の
操作で一部に影(電子線照射されない部分)を生じるこ
となく試料の全体の電子線照射がなされる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について図1〜図3を
参照して説明する。
【0023】図1及び図2は本発明に係る電子線照射装
置をそれぞれ示すものであって、図1の装置は直流電場
加速方式の電子線照射装置であり、図2の装置は高周波
電場加速方式の電子線照射装置である。
【0024】まず、図1に示す直流電場加速方式の電子
線照射装置1について説明すると、次の通りである。す
なわち、図1において2は環状の真空容器であって、こ
の真空容器2は、互いに同軸状に配設された円筒形状の
外壁3及び内壁4と、これらの外壁3及び内壁4の両端
部に配設された左右一対の円環状の側壁5,6とで構成
されている。そして、この真空容器2の内部には、電子
源としての複数の電子銃7を内蔵した環状電子源8が前
記外壁3及び内壁4間においてこれらに対して同軸状に
配置されている。
【0025】上述の環状電子源8は、互いに同軸状に配
設された外部カバーと内部カバーとから成る電子源カバ
ー10内に複数の電子銃7を所定の配列で配置したもの
である。すなわち、軸心を中心軸とする周方向に沿って
複数の電子銃7がほぼ等角度間隔で環状に配置固定され
ると共に、軸心方向に沿って複数の電子銃7がほぼ等間
隔で直列配置されている。そして、電子源カバー10の
内側壁には、複数の電子銃7の各々に対応する箇所に孔
(またはスロット)11がそれぞれ形成されており、電
子銃7から発射された電子がこれらの孔11を通って真
空容器2の中心軸に向かう方向に放出されるようになっ
ている。
【0026】また、真空容器2の内壁4には、前記孔1
1に対応する箇所に開口12がそれぞれ設けられてお
り、これらの開口12は金属薄膜にて大気を遮断し真空
を保つ金属薄膜窓13として構成されている。
【0027】一方、真空容器2の外壁3には、高電圧絶
縁碍子14を介して電極15が取付られ、直流電源16
からの負の直流電圧がリード線17及び電極15を介し
て電子源カバー9,10に供給され、電子源カバー10
が負電位となされるようになっている。一方、真空容器
2の内壁4はアース電位に保たれるように構成されてい
る。かくして、真空容器2内の真空空間には、高い負電
圧の電子源カバー10と、内壁4の金属薄膜窓13を構
成するアース電位の金属薄膜との間に軸対称の直流電場
が形成されるようになっている。
【0028】また、真空容器2の内壁4によって取り囲
まれた中心部(試料移動用空間部)4aは大気に連通さ
れており、この中心部4aの中心軸上に沿って電線等の
紐状の試料18が所定速度で移動されるようになってい
る。
【0029】次に、上述の構成の電子線照射装置1の作
用について説明する。まず、複数の電子銃7から放出さ
れた電子は電子源カバー10の孔またはスロット11を
通して引き出され、真空容器2内に形成されている直流
電場により、金属薄膜窓13に向かって加速される。こ
の際、電子源カバー10は、電子銃7の陰極と電子引き
出し電極との電位差並びに前記カバー10の幾何学的寸
法の適宜な設定により、電子光学系を構成して電子線
(ビーム)を金属薄膜窓13に導く役目を果たすと共
に、電子銃を強い電場から遮断して局所的に大きな電場
が発生するのを防止し、放電を起こり難くする機能を持
っている。
【0030】真空容器2内において直流電場にて加速さ
れた電子は、真空容器2の軸心(ひいては試料18の中
心軸)に向けて加速され、金属薄膜窓13に達してこれ
を通過する。この際、電子銃7とそれを収容する電子源
カバー10の幾何学的配置と電場の値とを適宜に選択す
ることにより、電子線を収束させ、金属薄膜窓13を通
過する電子線の割合を大きくすることができる。
【0031】なお、金属薄膜窓13には電子線の通過の
際のエネルギー損失を小さくするために、機械強度の許
す限りできるだけ薄い金属薄膜を使用するのであるが、
それでもエネルギー損失による発熱があり、金属薄膜が
高温となる。そこで、金属薄膜窓13を構成する材料と
して融点の高い金属を使用すると共に、気体の吹き付け
や薄膜に密着する金属部分の水冷を行なうようにし、こ
れにより過度の温度上昇を抑制する必要がある。また、
金属薄膜が電子線による加熱その他の原因により破損し
たときに、その金属薄膜の交換を容易に行い得るように
設計するのが望ましい。
【0032】加速された電子は、試料18を取り囲む真
空容器2に設けられた金属薄膜窓13を通過して大気中
に入り、空気の層を通って照射対象である試料18に衝
突する。すなわち、加速された電子は、金属薄膜窓13
を通過する際に金属薄膜内の金属分子により散乱されて
内壁4内の大気中に放出され、更にこの大気中の分子で
散乱されて急速に広がって試料18の表面に衝突する。
そのため、電子線が試料18に達したときには真空容器
2内を走っているときより遥かに大きなビーム断面を持
ち、電子線の間隔が狭ければ隣接の電子線と近接あるい
は重なり合って、試料18の表面の全周に亘ってほぼ一
様な線量の電子線照射がなされることとなる。この場
合、金属薄膜窓13の金属薄膜と試料18との間の距離
および電子線の本数(ビーム数)を適宜に選ぶことによ
り、試料18の表面に衝突するときの電子密度をほぼ一
様とし、試料18の表面に均等の線量を与えることが可
能である。
【0033】図3はこの種の直流電場加速方式の電子線
照射装置1の具体例を示すものであって、本装置1は2
00KeV照射器の例である。本例の場合には、真空容
器2の壁を加速電流量に応じて30〜50mmの鉄で構
成し、発生するX線の遮蔽を兼ねたものとなっている。
さらに、真空容器2の外径は約700mm,軸方向の長
さは約600mmであり、装置の設置場所を広くとらな
いで済む小型寸法のものである。
【0034】なお、多数の電子線照射装置1を使用する
場合には、共通の高電圧源からケーブルで加速電力を供
給するように構成できる。この場合の消費電力は必要線
量を与えるためのビーム電力が大部分を占め、全照射処
理工程の電力効率は高い。
【0035】ところで、直流電場加速方式の電子線照射
装置1にあっては、真空容器2内の電子軌道の収束が良
好であれば電子線(ビーム)が金属薄膜窓13を通過す
る割合が大きいが、それでも金属薄膜窓13以外の部分
に当たって失われる電子があり、それに起因して熱を発
生すると共に有害なX線が放出される。そのため、X線
の放出量を極力少なくすべく、電子の衝突が予想される
場所の冷却および放射線遮蔽を充分に考慮した設計が必
要である。
【0036】X線は金属薄膜や照射試料でも発生するか
ら、それらの遮蔽もしなければならないが、試料18が
原子番号の小さい元素で構成される場合はX線の発生量
は少ないので、金属隔膜から発生されるX線の遮蔽のみ
を考えれば良い。この場合の照射装置の構造は、X線の
遮蔽設計が容易であるという特徴がある。
【0037】次に、図2に示す高周波電場加速方式の電
子線照射装置20の構成について述べると、以下の通り
である。すなわち、本装置20は、図2に示すように、
両端を短絡した導体の同軸円筒(外導体21および内導
体22)から成る1/2波長同軸共振器23を具備して
おり、外導体21の外周側に同軸状に設けられた環状突
出部24内に、周方向および軸心方向に沿ってそれぞれ
等間隔に配置された複数の電子銃7から成る環状電子源
25が内蔵されている。
【0038】なお、図2において、26は上述の環状電
子源25のカバー(電子源カバー)、27は電子線取り
出し用の孔またはスロット、28は内導体22に形成さ
れた複数の電子線取出し用の開口、29はこれらの開口
28を気密に覆うように金属薄膜が配設されて成る金属
薄膜窓である。
【0039】また、試料30が中心軸に沿って移動され
る内導体22はアース電位に保たれ、外導体21には高
周波励振器31から高い高周波電圧が供給されるように
構成されている。かくして、共振モードが1/2波長共
振となる高周波で励振することにより、外導体21と内
導体22との間に高電圧が発生されてその間の空間に電
子線加速用の高周波電場が形成されるようになってい
る。
【0040】この高周波電場加速方式の電子線照射装置
20の場合も、既述の直流電場加速式の電子線照射装置
と同様に作動して試料30の表面への電子線照射を行な
う。すなわち、環状電子源25の複数の電子銃7から発
射された電子は孔またはスロット27を通って1/2波
長同軸共振器23の高周波電場内に至り、内導体22の
中心軸上を移動している試料30の中心軸に向けて加速
される。そして、加速された電子線が金属薄膜窓29を
通過して内導体22内の大気中に散乱され、試料30の
軸心を中心とする全周囲の表面に電子線がほぼ一様に照
射される。
【0041】なお、本例の如き高周波電場加速方式の電
子線照射装置20の場合には、環状電子源25は外導体
21の部分に配置され、ほぼアース電位に保たれるの
で、電子銃7への電力の供給や制御が直流電場加速方式
の場合より容易であるという利点がある。
【0042】また、電極の間の距離を同じとした場合に
は、高周波電圧のほうが直流電圧よりも放電しにくいの
で、電子をより高いエネルギーまで充分に加速できると
いう利点もある。
【0043】更に、直流電場加速方式では、電子源カバ
ー10の全ての面と真空容器2の壁との間隔を放電が発
生しない距離としなければならない関係上、真空容器2
の外径が大きくなってしまうが、高周波電場加速方式の
場合には上述のような制約がないので外導体21の外径
を比較的小さくすることが可能である。
【0044】しかし、他方では、高周波電場加速方式の
場合には1/2波長共振のために軸心方向に一定の長さ
が必要であるため、試料30の走行方向に沿って長くな
る可能性がある。また、高周波電場加速方式では直流電
場加速方式に比べてより高いエネルギーの加速が可能で
あるが、電力効率は直流電場加速方式に劣る。
【0045】従って、加速電場としては直流電場及び高
周波電場の何れでもよいが、それぞれの用途に必要な加
速エネルギー(電子線照射に必要な電子エネルギー)や
電流量、照射室のスペース等に応じて、適当なタイプを
選択するのが望ましい。
【0046】以上、本発明の実施例につき述べたが、本
発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の
技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能であ
る。
【0047】例えば、既述の実施例では、何れの場合も
試料18,30を大気中で移動させて電子線照射を行な
うようにしているが、これに限定されない。すなわち、
電子は大気中を走る際に空気の分子を励起してオゾンや
窒素酸化物を発生するが、それらの化合物の発生を防ぐ
必要があるときは、試料18,30を照射する部分の大
気を窒素等の不活性気体に置き換えて無酸素状態にする
ような対策を採るようにしてもよい。図1および図2に
示す装置1,20の構造は、このような対策を採るのに
適している。
【0048】また、照射が行われる場所の電子線量を加
速電圧と電流強度とのパラメータとして予め測定してお
くことにより、試料の照射処理で与えた電子線量を連続
的にモニターすることが可能である。更に、試料の走行
速度を照射電流量で制御したり、あるいはその逆の制御
を行なうことにより、試料に与える電子線量を高い精度
でコントロールすることも可能である。
【0049】更に、複数の電子銃7の各々から試料に照
射される電子線照射量を個々に変更して非対称照射を行
い得るように構成することも可能であり、必要に応じて
試料表面への線量付与を周囲の角度位置ごとに調整して
使用するようにしてもよい。
【0050】
【発明の効果】以上の如く、本発明は、試料の中心軸を
取り囲む環状領域に沿って複数の電子源を配置し、前記
複数の電子源からそれぞれ放出される電子を前記試料の
中心軸に向けて加速するための直流電場または高周波電
場を発生せしめるように構成したものであるから、照射
処理すべき試料の表面形状が不規則な二次元的な広がり
を有するものであったりその断面が大きいものであって
も、大がかりな繰返し照射用の搬送設備や複数の加速器
を必要とすることなく、一基の加速器にて試料の全周を
同時に照射処理することができる。従って、本発明によ
れば、構成が簡単で低コストの電子線照射装置でありな
がら、試料の全周への電子線照射を1回の操作にて迅速
に能率良く行なうことができる。
【0051】このため、従来の装置では電子線による処
理が困難あるいは非能率的とされてきた太いパイプ状の
試料や、断面の形状が単純でない二次元的な広がりを持
つ紐状の高分子試料の特性改善、あるいは医療材料の滅
菌等のための照射処理を容易に行なうことができ、ひい
ては電子線照射技術の産業応用対象の範囲を拡大でき
る。
【0052】また、本発明に係る電子線照射装置は、試
料の回りに電子銃等の電子源を複数配設するような構造
のため、装置の設置面積が少なくて済み、しかも電子線
照射中に発生するX線の自己遮蔽のための設計が容易で
使用電力も少ないことから、既存の工場内に容易に設置
できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した直流電場加速方式の電子線照
射装置を示すものであって、(a)は電子線照射装置の
水平断面図、(b)は電子線照射装置の垂直断面図であ
る。
【図2】本発明を適用した高周波電場加速方式の電子線
照射装置を示すものであって、(a)は電子線照射装置
の水平断面図、(b)は電子線照射装置の垂直断面図で
ある。
【図3】図1の直流電場加速方式の電子線照射装置の具
体例を示すものであって、(a)は電子線照射装置の水
平断面図、(b)は電子線照射装置の垂直断面図であ
る。
【図4】従来より一般的に用いられている300KeV
〜5MeVの産業用直流電子線照射装置の構成概念図で
ある。
【図5】平行な電子線が試料に照射された場合に試料の
一部に電子線が照射されない部分が生じることを説明す
るための説明図である。
【図6】磁場を利用して電子線を曲げることにより、径
の大きい試料の全周を同時に照射するようにした電子線
照射装置の提案例を説明するための説明図である。
【図7】複数個の電子線照射装置を使用して試料の全周
を同時に照射するようにした提案例を説明するためのも
のであって、(a)はその装置の平面図、(b)はその
装置の側面図である。
【図8】従来より用いられている300KeV以下の非
掃引型産業用直流電子線照射装置を示すものであって、
(a)はその装置の水平断面図、(b)は垂直断面図で
ある。
【図9】電線等の紐状の試料を往復照射してその全周を
照射処理するのに用いられる従来の電子線照射装置を示
すものであって、(a)はその装置の側面図、(b)は
その装置の平面図である。
【符号の説明】
1 直流電場加速方式の電子線照射装置 2 真空容器 7 電子源としての電子銃 8 環状電子源 10 電子源カバー 13 金属薄膜窓 16 直流電源 18 試料 20 高周波電場加速方式の電子線照射装置 21 外導体 22 内導体 23 1/2波長同軸共振器 25 環状電子源 26 電子源カバー 29 金属薄膜窓 30 試料 31 高周波励振器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の中心軸を取り囲む環状領域に沿っ
    て複数の電子源を配置し、前記複数の電子源からそれぞ
    れ放出される電子を前記試料の中心軸に向けて加速する
    ための直流電場または高周波電場を発生せしめるように
    構成したことを特徴とする電子線照射装置。
  2. 【請求項2】 前記複数の電子源が環状の真空容器の中
    に配置されると共に、前記試料が前記真空容器の中心部
    の大気中に置かれ、前記複数の電子源からそれぞれ放出
    される電子の加速が真空に保たれた空間で直流電場によ
    りなされ、加速の終了した電子が前記真空容器の金属薄
    膜窓を通って前記試料の全周に照射されるようにしたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電子線照射装置。
  3. 【請求項3】 前記複数の電子源が外導体と内導体とを
    有する1/2波長同軸共振器の中に配置されると共に、
    前記試料が前記内導体の中心部の大気中に置かれ、前記
    複数の電子源からそれぞれ放出される電子の加速が前記
    1/2波長同軸共振器内の高周波電場によりなされ、加
    速の終了した電子が前記内導体の金属薄膜窓を通って前
    記試料の全周に照射されるようにしたことを特徴とする
    請求項1に記載の電子線照射装置。
  4. 【請求項4】 前記複数の電子源の各々から前記試料に
    照射される電子線照射量を個々に変更して非対称照射を
    行ない得るように構成したことを特徴とする請求項1乃
    至請求項3の何れか1項に記載の電子線照射装置。
  5. 【請求項5】 前記試料の断面形状が単純形状でなく、
    二次元的な広がりを持つものであることを特徴とする請
    求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の電子線照射装
    置。
  6. 【請求項6】 前記試料が紐状またはパイプ状のもので
    あり、その軸心方向に沿って移動されつつ電子線照射さ
    れるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5
    の何れか1項に記載の電子線照射装置。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6327339B1 (en) 1999-03-25 2001-12-04 Kie Hyung Chung Industrial x-ray/electron beam source using an electron accelerator
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JP2012052909A (ja) * 2010-09-01 2012-03-15 Yazaki Corp 放電管

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