JP2003156068A - 多板クラッチ組立体 - Google Patents

多板クラッチ組立体

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JP2003156068A
JP2003156068A JP2001351832A JP2001351832A JP2003156068A JP 2003156068 A JP2003156068 A JP 2003156068A JP 2001351832 A JP2001351832 A JP 2001351832A JP 2001351832 A JP2001351832 A JP 2001351832A JP 2003156068 A JP2003156068 A JP 2003156068A
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JP
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clutch
plate
case
output shaft
assembly
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JP2001351832A
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English (en)
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Masaki Oguri
昌己 小栗
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組付時におけるクラッチプレート等の間隙調
整を省き得る多板クラッチ組立体を提供する。 【解決手段】 クラッチシリンダ56をトランスファケ
ース17と別体に形成し、多板クラッチ49とその周辺
部品を後輪出力軸15に一体的に組み付けクラッチ組立
体を形成する。多板クラッチ49のクラッチプレート5
0は締結部材54と接続され、軸受62を介してクラッ
チピストン51により軸方向に押圧される。クラッチピ
ストン51はクラッチシリンダ56内に配設され、クラ
ッチシリンダ56には後輪出力軸15を支持する軸受5
3が保持される。クラッチ組立体はその組立時にクラッ
チプレート50のクリアランス調整等の間隙調整が行わ
れ、ケース組付時におけるシム調整を省くことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多板クラッチとこれ
を駆動するための部品を一体に組み付けた多板クラッチ
組立体に関し、特に、車両用自動変速機に適用して有効
な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動変速機付の車両では変速
制御やトルク配分制御などを行うに際し、油圧式のアク
チュエータによって駆動される多板クラッチが多く使用
されている。たとえば、実開平7-26229号公報には、四
輪駆動車のセンターディファレンシャル装置とリヤドラ
イブ軸との間に、多板クラッチを使用したトランスファ
クラッチを搭載した自動変速機が示されている。この自
動変速機にあっては、トランスミッションケースを用い
て油圧シリンダを形成し、その中に押圧子を駆動するピ
ストンを収容している。この押圧子は、クラッチプレー
トと連結されており、ピストンを軸方向に移動させると
押圧子を介してクラッチプレートが圧接しトルク伝達が
行われる。
【0003】ドライブ側のクラッチプレートとドリブン
側のクラッチプレートを有する多板クラッチは、プレー
トを圧接された動力伝達時と圧接を解いた非伝達時があ
り、圧接を解いて動力を伝達しない時にはクラッチプレ
ート間には隙間が必要となる。その一方、隙間が大き過
ぎると、ピストンを作動させて動力伝達を行う際にクラ
ッチプレートを締結させるまでに時間がかかり、動作タ
イムラグが生じる。従って、クラッチプレート間のクリ
アランスは、動力の非伝達時の隙間を確保しつつ動作タ
イムラグを最小に規制する最適値に調整される必要があ
る。
【0004】ところが、一般的に個々の構成部品は製造
誤差を有しており、単に組み付けただけで適正なクリア
ランスを得るには、非常に厳しい公差管理を行わなけれ
ばならない。そこで、トランスミッションケース内にク
ラッチ組立体を構成する種々の部材を順次組み付けて、
トランスミッションケース内にクラッチ組立体が組み立
てられた後に、クラッチプレート間やクラッチプレート
と押圧子との間の軸方向のクリアランスを測定してい
る。そして、隙間ゲージによりそれらのクリアランスを
調整し、クラッチとしての動作性を確保している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように、トランスミッションケース内にクラッチ組立体
を構成する部材を組み込むようにしたのでは、トランス
ミッションを組み立てる前にケースおよびケース内の部
品の寸法を測定し、計算によってクリアランスの調整用
シム等を選択してクリアランスを調整するという細かな
人的作業が必要となる。かかる調整は非常に煩雑で工数
を要し、各々の自動変速機に対して行う必要があること
から、自動変速機の組立性が悪く、自動変速機組付上の
ネックとなるという問題があった。
【0006】本発明の目的は、組立性を良好にした多板
クラッチ組立体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の多板クラッチ組
立体は、駆動側部材と従動側部材を締結する多板クラッ
チを有し、ケース内に収容される多板クラッチ組立体で
あって、前記ケースに形成された突き当て面に当接する
突き当て面が形成され、前記ケースに固定されるクラッ
チシリンダと、前記クラッチシリンダに軸方向に摺動自
在に装着され油圧室を形成するクラッチピストンと、前
記クラッチピストンの締結力を前記多板クラッチに伝達
する締結部材とを有し、前記多板クラッチ、前記クラッ
チシリンダ、前記クラッチピストンおよび前記締結部材
を組み立てた状態で前記ケースに装着することを特徴と
する。
【0008】本発明の多板クラッチ組立体は、前記多板
クラッチが前記ケース内に収容される軸部材に固定され
たクラッチハブと、前記軸部材に回転自在に装着される
歯車に固定されたクラッチドラムとを有し、前記多板ク
ラッチを締結状態とすることにより前記軸部材と前記歯
車との間でトルクを伝達することを特徴とする。
【0009】本発明にあっては、多板クラッチとそれを
駆動するための油圧アクチュエータなどを軸部材と一体
に組み付けて変速機のケースとは別体のユニットを形成
したので、ユニット組立段階でクラッチプレートのクリ
アランス調整等を予め済ませることができ、これをケー
ス内に取り付けるだけで多板クラッチの組付作業を完了
することができる。すなわち、ケース内に組み付ける以
前に多板クラッチの寸法管理を行うことができ、したが
って、ケース組付時における間隙調整を行う必要がな
く、シム調整などの煩雑な作業を廃することが可能とな
る。このため、クラッチ組付作業が容易になると共に、
間隙調整済のユニットを組み込む形となるため、製品の
品質の安定化を図ることも可能となる。また、多板クラ
ッチのサブ組立体化により、部品点数削減と同様の効果
も得られ、製品コストの低減を図ることも可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0011】図1は本発明の一実施の形態である動力伝
達装置9を示すスケルトン図である。図1に示すよう
に、変速機10を有する動力伝達装置9はエンジン11
に連結され、トルクコンバータ12を介してエンジン1
1に連結する入力軸13と、入力軸13に平行であって
前輪に連結される前輪出力軸14と、入力軸13に平行
であって後輪に連結される後輪出力軸15とを有してい
る。入力軸13と前輪出力軸14と後輪出力軸15とは
車両の進行方向を向いて変速機ケース16に組み込ま
れ、この変速機10は縦置きに配置される四輪駆動用の
車両に適用することができる。なお、変速機ケース16
の一端部を形成するトランスファケース17には後輪出
力軸15が収容され、トランスファケース17に隣接す
るバイパスケース18には入力軸13の一端部が収容さ
れている。
【0012】入力軸13には、第1速と第2速の駆動歯
車21a,22aが一体に設けられ、第3速〜第6速の
駆動歯車23a〜26aが回転自在に設けられている。
前輪出力軸14には第1速と第2速の従動歯車21b,
22bが回転自在に設けられ、第3速〜第6速の従動歯
車23b〜26bが一体に設けられている。駆動歯車2
1a〜26aと従動歯車21b〜26bはそれぞれ噛み
合って前進用の変速歯車列を構成している。
【0013】前輪出力軸14には変速歯車列を第1速と
第2速との何れかに切り換える第1切換機構31が装着
され、入力軸13には変速歯車列を第4速と第5速との
何れかに切り換える第2切換機構32が装着され、さら
に変速歯車列を第6速に切り換える第3切換機構33が
装着されている。それぞれの切換機構31〜33は、シ
ンクロハブ31a〜33aに軸方向に摺動自在に設けら
れるシンクロスリーブ31b〜33bを、歯車21b,
22b,24a〜26aに一体に設けられるスプライン
21c,22c,24c〜26cに同期しながら係合さ
せるシンクロメッシュ機構となっている。
【0014】入力軸13にはバイパスクラッチ41が設
けられており、バイパスクラッチ41は、入力軸13に
固定されるクラッチハブ41aと、入力軸13に回転自
在に装着された第3速の駆動歯車23aに固定されるク
ラッチドラム41bとを有している。バイパスクラッチ
41は、クラッチハブ41aとクラッチドラム41bと
にそれぞれ交互に設けられた複数枚のバイパスクラッチ
プレート44を有し、これらを押圧することにより、バ
イパスクラッチ41は締結する係合状態となり入力軸1
3と第3速の駆動歯車23aとを連結することができ
る。
【0015】入力軸13には後退用の駆動歯車45aが
一体に設けられ、前輪出力軸14には後退用の従動歯車
45bがシンクロハブ31aとシンクロスリーブ31b
とを介して連結されている。入力軸13に対して平行に
配置されるアイドラ軸46には、アイドラ歯車45cが
回転自在に取り付けられ、アイドラ歯車45cがアイド
ラ軸46に沿って移動すると、駆動歯車45aと従動歯
車45bとに噛み合い係合する。このように駆動歯車4
5aと従動歯車45bとアイドラ歯車45cとは後退用
の変速歯車列となっている。さらに、アイドラ歯車45
cには変速歯車列を後退に切り換える第4切換機構34
が装着され、後退用の変速歯車列は、第4切換機構34
に設けられる切換部材34aを作動することにより切り
換える選択摺動式となっている。
【0016】前輪出力軸14の一端部にはドライブピニ
オン14aが設けられ、フロントディファレンシャル装
置47を介して前輪用のドライブシャフト(図示しな
い)に連結されている。前輪出力軸14の他端部には、
後輪出力軸15に駆動力を伝達するトランスファ駆動歯
車48aが設けられている。
【0017】トランスファケース17に収容される後輪
出力軸15には、トランスファ駆動歯車48aと噛み合
うトランスファ従動歯車48bが回転自在に取り付けら
れている。後輪出力軸15には多板クラッチ49が装着
されており、多板クラッチ49は後輪出力軸15に固定
されるクラッチハブ49aと、後輪出力軸15に回転自
在に装着されたトランスファ従動駆動側部材歯車48b
に固定されるクラッチドラム49bとを有し、多板クラ
ッチ49を係合状態とすることにより、前輪出力軸14
の駆動力が後輪出力軸15に伝達される。後輪出力軸1
5はリヤディファレンシャル装置(図示しない)を介し
て後輪のドライブシャフト(図示しない)に連結され
る。
【0018】次に、変速機10の変速動作について説明
すると、第1速への切り換えは、第1切換機構31のシ
ンクロスリーブ31bをスプライン21cと係合させる
ことによって行われる。このとき入力軸13の駆動力
は、入力軸13から駆動歯車21a、従動歯車21b、
および第1切換機構31を介して前輪出力軸14に伝達
される。シンクロスリーブ31bをスプライン22cに
係合すると、変速歯車列を第2速に切り換えることがで
きる。同様に第4速と第5速との切り換えは第2切換機
構32を作動させることによって行われ、第6速の切り
換えは第3切換機構33を作動させることにより行われ
る。
【0019】このような変速歯車列の切り換え時には、
バイパスクラッチ41を介して入力軸13の駆動トルク
が適宜前輪出力軸14に伝達されるようにバイパスクラ
ッチ41を制御しており、入力軸13から出力軸14に
トルクを伝達しながら切り換え動作を行うことができ
る。後退の切り換えは、第4切換機構34に設けられる
切換部材34aを作動することにより、後退用の駆動歯
車45aと従動歯車45bとがアイドラ歯車45cを介
して連結され、入力軸13の駆動力が前輪出力軸14に
回転方向を逆にして伝達される。
【0020】後輪出力軸15に装着される多板クラッチ
49は、解放状態に制御すると前輪と後輪とに伝達され
る駆動トルクの配分比を100:0として、後輪は駆動
されず前輪駆動車として走行することができる。一方、
多板クラッチ49を完全に締結される直結状態に制御す
ると前後輪への駆動トルク配分比は50:50となり、
四輪駆動車として走行することができる。解放状態と直
結状態との間で多板クラッチ49の締結力制御を行うこ
とにより、前後輪への駆動トルク配分比は100:0か
ら50:50の間で制御が可能となる。たとえば、急発
進時や、滑りやすい路面を走行するときなどには、前後
輪ともに駆動トルクを伝達することにより安定した走行
ができ、また定常走行時には前輪のみ駆動トルクを伝達
することにより燃料の消費を少なくすることができる。
【0021】図2は図1における動力伝達装置9の一部
を示す断面図である。図2に示すように、トランスファ
ケース17には前輪出力軸14に固定されるトランスフ
ァ駆動歯車48aが配置されている。トランスファケー
ス17には回転軸である後輪出力軸15が装着され、第
1の軸受52と第2の軸受53とにより回転自在に支持
されている。そして、後輪出力軸15には、トランスフ
ァ従動歯車48bがニードル軸受75に支持されて回転
自在に装着されトランスファ駆動歯車48aと噛み合う
こととなる。
【0022】多板クラッチ49は、これを駆動するため
の油圧アクチュエータであるクラッチシリンダ56およ
びクラッチピストン51等を、後輪出力軸15に一体に
組み付けた構成となっている。以下、クラッチ組立体の
構造について説明する。
【0023】トランスファ従動歯車48bに隣接して、
後輪出力軸15にはクラッチハブ49aが固定されてい
る。クラッチハブ49aの径方向外方にはスプライン9
1が形成されており、その間に複数のドライブプレート
50aが装着されている。クラッチハブ49aの径方向
外方にはクラッチドラム49bが配置されており、クラ
ッチドラム49bは、円筒部92と円板部93とからな
り、円板部93はトランスファ従動歯車48bに固定さ
れている。クラッチドラム49bの円筒部92の径方向
内方にはスプライン94が形成され、その間に複数のド
リブンプレート50bが装着されている。クラッチプレ
ート50である複数のドライブプレート50aとドリブ
ンプレート50bはそれぞれ交互に配置されている。ク
ラッチドラム49bの端部内側には、軸方向に摺動自在
に締結部材54が装着され、この締結部材54が軸方向
に摺動することにより、ドライブプレート50aとドリ
ブンプレート50bは互いに圧接されて締結される。
【0024】トランスファケース17には、トランスフ
ァケース17とは別体に設けられるクラッチシリンダ5
6が装着され、ねじ部材57によりトランスファケース
17に固定されている。クラッチシリンダ56は、トラ
ンスファケース17に接するまで径方向外方に形成され
る外側筒部56aと、径方向内方には後輪出力軸15に
近接して形成される内側筒部56bと、外側筒部56a
と内側筒部56bとの間に形成されトランスファケース
17に接する端壁部56cと、両筒部56a,56bと
反対側に軸方向に沿って延び内方に第2の軸受53が収
容される軸受保持部56dにより形成されている。ま
た、クラッチシリンダ56にはクラッチピストン51が
摺動自在に収容され、クラッチシリンダ56とクラッチ
ピストン51とにより油圧室58が形成されている。な
お、端壁部56cには図示しないクラッチ制御油路と連
通する連通孔(図示せず)が形成され、クラッチ制御油
路に案内される作動油を油圧室58に供給することがで
きるようになっている。
【0025】クラッチピストン51の径方向内方には軸
受支持部61が形成され、軸受支持部61に第3の軸受
62の内輪が嵌合し、締結部材54に第3の軸受62の
外輪が嵌合している。すなわち、クラッチピストン51
と締結部材54とは第3の軸受62を介して連結されて
いる。また、クラッチシリンダ56とクラッチピストン
51との間には、多板クラッチ49の締結を解除する解
放状態に向けて付勢されたリターン部材63が装着され
ている。さらに、クラッチピストン51の径方向外方に
は突出する回転制止部64が形成され、クラッチシリン
ダ56の径方向外方には回転制止部64に対応する切欠
部65が形成されている。回転制止部64と切欠部65
とが当接することにより、クラッチピストン51の回転
が規制され軸方向のみの摺動に動きが限定される。
【0026】このような多板クラッチ49の油圧室58
に作動油を供給することで、クラッチピストン51は第
3の軸受62を介して締結部材54を摺動させる。締結
部材54の摺動によりドライブプレート50aとドリブ
ンプレート50bとが締結され、クラッチドラム49b
の駆動力がクラッチハブ49aに伝達される。これによ
り、トランスファ従動歯車48bの駆動力が後輪出力軸
15に伝達されることとなる。また、クラッチシリンダ
56がトランスファケース17に固定され、クラッチピ
ストン51の回転が制止されることにより、静止状態に
保たれた油圧室58内の作動油は遠心力の影響を受ける
ことなくクラッチピストン51を制御することができ
る。
【0027】大径の第3の軸受62を介してクラッチピ
ストン51の動作を締結部材54に伝達することによ
り、締結部材54と第3の軸受62との接触面と、締結
部材54とクラッチプレート50との接触面との径方向
における距離を近づけることができ、締結部材54の曲
げ剛性を高めることができる。これにより、締結部材5
4に加わる曲げモーメントによるたわみ変形が小さくな
り、クラッチプレート50に与える面圧を均一にするこ
とができる。
【0028】さらに、回転制止部64をクラッチピスト
ン51の径方向外方に設けることにより、クラッチシリ
ンダ56の内側筒部56bを後輪出力軸15に近接して
設けることができ、クラッチピストン51の受圧面積を
トランスファケース17内において最大限に確保でき
る。クラッチシリンダ56をトランスファケース17と
別体に設けることで、クラッチシリンダ56に剛性の高
い材料を用いて内側筒部の肉厚を薄く製作することが可
能となり、クラッチピストン51の受圧面積をさらに確
保することができる。このようにして、高精度のクラッ
チ容量制御が可能となる。
【0029】また、トランスファ従動歯車48bと多板
クラッチ49との両側を第1の軸受52と第2の軸受5
3とにより支持しているため、多板クラッチ49の締結
および締結解除の際にクラッチドラム49bに加わる曲
げモーメントにより生じるたわみが、クラッチドラム4
9bに固定されるトランスファ従動歯車48bに伝わる
ことなく、トランスファ歯車48a,48bでの振動騒
音を抑制することができる。
【0030】上述した変速機10を組み立てるには、多
板クラッチ49はクラッチシリンダ56、クラッチピス
トン51などとともに、トランスファケース17への組
み付けに先立ち予め組み立てられ、1個のユニットとし
てトランスファケース17に組み込まれる。この場合、
後輪出力軸15にはまず、クラッチドラム49bが取り
付けられたトランスファ従動歯車48bが装着される。
トランスファ従動歯車48bにはニードル軸受75が取
り付けられており、後輪出力軸15に対し回転自在に装
着される。次に、クラッチハブ49aが後輪出力軸15
に取り付けられ、ドリブンプレート50bとドライブプ
レート50aが交互に装着される。
【0031】後輪出力軸15にはさらに、第2の軸受5
3が取り付けられたクラッチシリンダ56が装着され、
クラッチシリンダ56内にはクラッチピストン51が摺
動自在に収容されている。また、クラッチピストン51
には第3の軸受62が取り付けられ、その外方には締結
部材54が取り付けられる。さらに、クラッチシリンダ
56とクラッチピストン51との間には、リターン部材
63が装着される。
【0032】このようにして多板クラッチ49を含めた
クラッチ組立体が形成され、そのままユニットとしてト
ランスファケース17に組み付けられる。そこでは、ま
ずクラッチシリンダ56の突き当て面をトランスファケ
ース17の突き当て面96に当接させ、ねじ部材57に
よりトランスファケース17に固定する。次に、トラン
スファ歯車48a,48bを噛み合わせつつ、第1の軸
受52をバイパスケース18に取り付ける。そして、ト
ランスファケース17をバイパスケース18に取り付け
る。この際、クラッチ組立体は、既にクラッチプレート
50のクリアランス調整や、締結部材54とクラッチプ
レート50との間の間隙調整は済んでおり、トランスフ
ァケース17への組付時にはその調整を行う必要はな
い。したがって、組付時におけるシム調整などの煩雑な
作業を廃することができ、多板クラッチ組付作業が容易
になるのみならず、間隙調整済のユニットを組み込む形
となるため、製品の品質の安定化を図ることも可能とな
る。また、多板クラッチ49のサブ組立体化により、部
品点数削減と同様の効果も得られ、製品コストの低減を
図ることも可能となる。
【0033】本発明は前記実施の形態に限定されるもの
ではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能で
あることはいうまでもない。たとえば、前述の実施の形
態では多板クラッチ49に対して本発明を適用したが、
バイパスクラッチ41を本発明の構造とすることも可能
である。また、図示する変速機はトルクコンバータ式の
自動変速機であり縦置きの四輪駆動車用であるが、本発
明の多板クラッチ組立体は無段変速機などにも適用する
こともでき、横置き、さらには二輪駆動車用であっても
使用することができる。さらに、前述の実施の形態で
は、駆動側部材としてクラッチハブ49a、従動側部材
としてクラッチドラム49bを用いた例を示したが、ハ
ブ部材を従動側、ドラム部材を駆動側に使用することも
可能である。また、遊星歯車式の自動変速機に設けられ
るクラッチなどの摩擦係合部材に対しても本発明を適用
することができる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、多板クラッチとそれを
駆動するための油圧アクチュエータなどを軸部材と一体
に組み付けるようにし、変速機のケースとは別体のクラ
ッチ組立体を形成したので、これの組立段階でクラッチ
プレートのクリアランス調整等を予め済ませることがで
き、これをケース内に取り付けるだけで多板クラッチの
組付作業を完了することができる。すなわち、ケース内
に組み付ける以前に多板クラッチの寸法管理を行うこと
ができ、したがって、ケース組付時における間隙調整を
行う必要がなく、シム調整などの煩雑な作業を廃するこ
とが可能となる。このため、クラッチ組付作業が容易に
なると共に、間隙調整済のユニットを組み込む形となる
ため、製品の品質の安定化を図ることも可能となる。ま
た、多板クラッチのサブ組立体化により、部品点数削減
と同様の効果も得られ、製品コストの低減を図ることも
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である多板クラッチ組立
体を用いた変速機を示すスケルトン図である。
【図2】多板クラッチ組立体をトランスファケースに組
み付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 変速機 15 後輪出力軸(軸部材) 17 トランスファケース 49 多板クラッチ 49a クラッチハブ(駆動側部材) 49b クラッチドラム(従動側部材) 50 クラッチプレート 50a ドライブプレート 50b ドリブンプレート 51 クラッチピストン 53 軸受 54 締結部材 56 クラッチシリンダ 56d 軸受保持部 62 軸受 63 リターン部材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動側部材と従動側部材を締結する多板
    クラッチを有し、ケース内に収容される多板クラッチ組
    立体であって、 前記ケースに形成された突き当て面に当接する突き当て
    面が形成され、前記ケースに固定されるクラッチシリン
    ダと、 前記クラッチシリンダに軸方向に摺動自在に装着され油
    圧室を形成するクラッチピストンと、 前記クラッチピストンの締結力を前記多板クラッチに伝
    達する締結部材とを有し、 前記多板クラッチ、前記クラッチシリンダ、前記クラッ
    チピストンおよび前記締結部材を組み立てた状態で前記
    ケースに装着することを特徴とする多板クラッチ組立
    体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の多板クラッチ組立体にお
    いて、前記多板クラッチは前記ケース内に収容される軸
    部材に固定されたクラッチハブと、前記軸部材に回転自
    在に装着される歯車に固定されたクラッチドラムとを有
    し、前記多板クラッチを締結状態とすることにより前記
    軸部材と前記歯車との間でトルクを伝達することを特徴
    とする多板クラッチ組立体。
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