JP2003155300A - プロテインチップおよびその化学反応検出への使用 - Google Patents

プロテインチップおよびその化学反応検出への使用

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JP2003155300A JP2001350774A JP2001350774A JP2003155300A JP 2003155300 A JP2003155300 A JP 2003155300A JP 2001350774 A JP2001350774 A JP 2001350774A JP 2001350774 A JP2001350774 A JP 2001350774A JP 2003155300 A JP2003155300 A JP 2003155300A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンパク質相互間、またはタンパク質と他の
化学物質との結合、さらにはその結合の阻害を解析でき
るプロテインチップを提供すること。 【解決手段】 結晶性タンパク質封入体、好ましくは生
理活性を保持した状態でタンパク質を取り込ませた結晶
性タンパク質封入体からなるプロテインチップ。上記封
入体が、100nm〜10μmの大きさを持つ昆虫ウイ
ルスが形成するタンパク質結晶構造体である。多角体に
取り込ませたタンパク質に化学物質を相互作用させ、そ
の反応を検出するために使用するプロテインチップであ
る。化学物質がタンパク質分子、低分子化学物質、もし
くは高分子化学物質である。上記のプロテインチップの
化学反応検出への使用。基板の所定の位置に配置されて
いる。結晶性タンパク質封入体と化学物質の反応を、基
板の上下に発光素子と画像検出素子を配置することによ
り検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業の属する技術分野】本発明は、タンパク質相互
間、またはタンパク質と他の化学物質との結合、さらに
はその結合の阻害を解析できるプロテインチップおよび
それを用いた化学反応の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒトを始めとする様々な生物種におい
て、その生物種の全遺伝子情報の解析、すなわちゲノム
解析が急速なスピードで展開されつつある。すでに多く
の生物種でのゲノム解析が終了し、ヒトにおいてもその
99%が終了したと言われている。例えばヒトの場合、
体を構成する細胞のタンパク質は約10万種類からある
と考えられているのに対して、ヒトゲノムがコードする
遺伝子数は2万から3万の範囲にあるに過ぎないという
ことがわかってきた。このことは、一つの遺伝子が複数
のタンパク質を合成できるということを意味している。
言い換えると、ゲノム解析によって生命現象の全てが把
握できるという仮説が完全に否定されたということであ
る。
【0003】このため、研究者はゲノム解析からタンパ
ク質の網羅的な解析であるプロテオーム解析に研究の中
心を変換させつつある。プロテオーム解析は生物が合成
するタンパク質全てを分離し同定することを目的とする
が、タンパク質は遺伝子の場合と異なり、その構成単位
が20種類のアミノ酸からなり、さらにそのアミノ酸が
単に直線上に並んだ(一次構造)だけの情報では意味を
なさず、アミノ酸配列内での水素結合、疎水結合、共有
結合などによって複雑に折り畳まれた立体構造(二次構
造、三次構造)をとることによって初めて意味のあるタ
ンパク質として機能できることから、すべてのタンパク
質の機能と構造を解析することによって初めて意味のあ
る研究成果となる。しかし、一般にタンパク質は熱など
の外的要因によって非常に不安定であり、しかもその立
体構造が遺伝子と比べて遥かに複雑であることから、様
々なタンパク質の機能や構造を解析するための画一的な
技術の開発はまだ未着手の状態である。
【0004】このように、ある生物種が合成している全
タンパク質の分離・同定を行うプロテオーム解析に続い
て、それぞれのタンパク質の機能解析、構造解析が必要
となるが、現在のところ、この分離・同定については2
次元電気泳動法などを中心に行われているが、機能解析
や構造解析についてはほとんど進んでいないのが現状で
ある。この最大の理由がタンパク質が不安定な分子であ
ると同時に、非常に複雑な分子であるからである。
【0005】タンパク質分子が不安定であること、また
タンパク質分子の性質が非常に多岐に渡っていることな
どから、タンパク質分子の活性を保持した状態で基材に
安定に固定する画一的な技術がない。このため、現在の
プロテインチップは抗体分子を固定化し、その抗体が抗
原抗体反応によって結合した抗原を識別するという方法
に限定されている。しかし、抗原抗体反応に依存したプ
ロテインチップでは全タンパク質に対する抗体を準備す
る必要があること、またタンパク質の存在を確認したり
することに限定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、タンパク質
相互間、またはタンパク質と他の化学物質との結合、さ
らにはその結合の阻害を解析できるプロテインチップを
提供することを目的としている。また、本発明は、タン
パク質相互間、またはタンパク質と他の化学物質との結
合、さらにはその結合の阻害を解析できるプロテインチ
ップを用いた化学反応の検出方法の提供することを目的
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、結晶性タンパ
ク質封入体からなるプロテインチップを要旨としてい
る。
【0008】上記結晶性タンパク質封入体が、生理活性
を保持した状態でタンパク質を取り込ませた結晶性タン
パク質封入体であり、その場合、本発明は、生理活性を
保持した状態でタンパク質を取り込ませた結晶性タンパ
ク質封入体からなるプロテインチップである。
【0009】上記結晶性タンパク質封入体が、100n
m〜10μmの大きさを持つ昆虫ウイルスが形成するタ
ンパク質結晶構造体であり、その場合、本発明は、生理
活性を保持した状態でタンパク質を取り込ませた、10
0nm〜10μmの大きさを持つ昆虫ウイルスが形成す
る結晶性タンパク質封入体からなるプロテインチップで
ある。
【0010】多角体に取り込ませたタンパク質に化学物
質を相互作用させ、その反応を検出するために使用する
ものであり、その場合、本発明は、結晶性タンパク質封
入体、より具体的には生理活性を保持した状態でタンパ
ク質を取り込ませた、100nm〜10μmの大きさを
持つ昆虫ウイルスが形成する結晶性タンパク質封入体か
らなり、この結晶性タンパク質封入体に取り込ませたタ
ンパク質に化学物質を相互作用させ、その反応を検出す
るために使用するプロテインチップである。
【0011】化学物質がタンパク質分子、低分子化学物
質、もしくは高分子化学物質であり、その場合、本発明
は、結晶性タンパク質封入体、より具体的には生理活性
を保持した状態でタンパク質を取り込ませた、100n
m〜10μmの大きさを持つ昆虫ウイルスが形成する結
晶性タンパク質封入体からなり、結晶性タンパク質封入
体に取り込ませたタンパク質にタンパク質分子、低分子
化学物質、もしくは高分子化学物質である化学物質を相
互作用させ、その反応を検出するために使用するプロテ
インチップである。
【0012】結晶性タンパク質封入体に取り込ませたタ
ンパク質によって、他のタンパク質分子、低分子化学物
質、高分子化学物質などと結合するかどうか、またこれ
らの化学物質が結晶性タンパク質封入体に取り込ませた
タンパク質と他の化学物質との結合をどのように阻害す
るのかを解析することで化学反応を検出しており、その
場合、本発明は、結晶性タンパク質封入体、より具体的
には生理活性を保持した状態でタンパク質を取り込ませ
た、100nm〜10μmの大きさを持つ昆虫ウイルス
が形成する結晶性タンパク質封入体からなり、結晶性タ
ンパク質封入体に取り込ませたタンパク質にタンパク質
分子、低分子化学物質、もしくは高分子化学物質である
化学物質を相互作用させ、結晶性タンパク質封入体に取
り込ませたタンパク質によって、他のタンパク質分子、
低分子化学物質、高分子化学物質などと結合するかどう
か、またこれらの化学物質が結晶性タンパク質封入体に
取り込ませたタンパク質と他の化学物質との結合をどの
ように阻害するのかを解析することでその反応を検出す
るために使用するプロテインチップである。
【0013】また、本発明は、上記のいずれかのプロテ
インチップの化学反応検出への使用を要旨としている。
【0014】生理活性を保持した状態でタンパク質を取
り込ませた結晶性タンパク質封入体をプロテインチップ
として用い、結晶性タンパク質封入体に取り込ませたタ
ンパク質に化学物質を相互作用させ、その反応を検出し
ており、その場合、本発明は、生理活性を保持した状態
でタンパク質を取り込ませた結晶性タンパク質封入体を
プロテインチップとして用い、結晶性タンパク質封入体
に取り込ませたタンパク質に化学物質を相互作用させ、
その反応を検出することからなるプロテインチップの化
学反応検出への使用である。
【0015】結晶性タンパク質封入体が基板の指定され
た位置に、好ましくは基板のμl程度の容量を持つマイ
クロセルに配置されており、その場合、本発明は、結晶
性タンパク質封入体を、好ましくは生理活性を保持した
状態でタンパク質を取り込ませた結晶性タンパク質封入
体を、基板の指定された位置に、好ましくは基板のμl
程度の容量を持つマイクロセルに配置させてプロテイン
チップとして用い、結晶性タンパク質封入体に取り込ま
せたタンパク質に化学物質を相互作用させ、その反応を
検出することからなるプロテインチップの化学反応検出
への使用である。
【0016】結晶性タンパク質封入体を、基板の指定さ
れた位置に、生理活性を保持した状態で、レーザーマニ
ピュレーションを用いることにより配置、好ましくはレ
ーザーマイクロボンディングを用いて固定したものであ
り、その場合、本発明は、結晶性タンパク質封入体を、
好ましくは生理活性を保持した状態でタンパク質を取り
込ませた結晶性タンパク質封入体を、基板の指定された
位置に、好ましくは基板のμl程度の容量を持つマイク
ロセルに、生理活性を保持した状態で、レーザーマニピ
ュレーションを用いることにより配置、好ましくはレー
ザーマイクロボンディングを用いて固定させてプロテイ
ンチップとして用い、結晶性タンパク質封入体に取り込
ませたタンパク質に化学物質を相互作用させ、その反応
を検出することからなるプロテインチップの化学反応検
出への使用である。
【0017】本発明の上記の使用は、レーザーマニピュ
レーションとレーザーマイクロボンディングをもちい
て、1μm以下の大きさを持つ結晶性タンパク質封入体
を多数同時に補足し、配列・固定化することにより、微
小領域でより効率的に化学物質と反応させることを特徴
とする。
【0018】本発明の上記の使用は、結晶性タンパク質
封入体と化学物質の反応を、基板の上下に発光素子と画
像検出素子を配置することにより検出することを特徴と
する。また、レーザーマニピュレーション、レーザーマ
イクロボンディング、および画像解析装置をもちいて、
形状や蛍光スペクトルの異なる100nm〜10μmの
大きさを持つ結晶性タンパク質封入体に異なる生理活性
を持つタンパク質を包埋し、これらの違いにより結晶性
タンパク質封入体を選別しながら配列・固定したもので
あることを特徴とする。
【0019】さらにまた、レーザーマニピュレーション
とレーザーマイクロボンディングをもちいて、複数の異
なる性質を持つ結晶性タンパク質封入体を基板に配置
し、化学物質に同時に複数種類の反応させ、発光素子と
画像検出素子を用いて同時に検出することを特徴とす
る。
【0020】
【発明の実施の形態】昆虫ウイルスは1辺が100nm
〜10μmの多面体の構造物を感染細胞の中に形成す
る。この構造物は多角体と呼ばれており、ウイルスによ
ってコードされたポリへドリンと呼ばれるタンパク質が
結晶状に会合してできた結晶構造物である。ウイルスは
感染の後期になるとこの多角体に取り込まれる。多角体
は極めて強固な構造物であることから多角体の中に取り
込まれたウイルスは非常に長期間安定に保護される。こ
のため、この多角体が主要な2次感染源となる。多角体
は非常に安定な構造物であり、酸性や中性下においては
分解しないが、pH10以上のアルカリ条件下では急速
に溶解して多角体に取り込まれていたウイルスが放出さ
れる。特に、リン翅目昆虫などの消化管はpHが11ぐ
らいのアルカリ性であることから、昆虫が多角体を餌と
ともに食下すると消化管の中で多角体が溶解し、中に取
り込まれていたウイルスが放出され感染が生じる。この
多角体にウイルスではなくタンパク質分子だけを取り込
ませる手法を開発した(J.Virol.75,988-995:特願2000
-330645)。なお、この多角体を本発明では、結晶性タ
ンパク質封入体と称する。
【0021】本発明では、タンパク質を取り込ませた結
晶性タンパク質封入体を多数作製し、これをレーザーマ
ニュピレーションとレーザーマイクロボンディングによ
って基板の指定された位置に配列・固定し、結晶性タン
パク質封入体に取り込ませたタンパク質が他のタンパク
質分子、低分子化学物質、高分子化学物質などと結合す
るかどうか、またこれらの化学物質が多角体に取り込ま
せたタンパク質と他の化学物質との結合をどのように阻
害するのかなどを解析できる全く新しいプロテインチッ
プの開発に成功した。本発明は、これまで抗原抗体反応
のみに依存したプロテインチップとは異なり、結晶性タ
ンパク質封入体に多種多様なタンパク質を生理活性を保
持した状態で取り込ませることができることから、タン
パク質相互間、またはタンパク質と他の化学物質との結
合、さらにはその結合の阻害を解析でき、プロテインチ
ップとしての用途が極めて広くなる。
【0022】<タンパク質を取り込ませた結晶性タンパ
ク質封入体の作製>結晶性タンパク質封入体で包み込ま
れるタンパク質(目的タンパク質)は、いわゆる機能性
タンパク質であり、好ましくは結晶状態で存在する。目
的タンパク質は、酵素・抗原・蛍光発光、高屈折率、光
電変換等の光化学特性を有する光化学特性を有する機能
性タンパク質・電子伝達反応、酸化還元反応等の電子授
受反応の特性を有する機能性タンパク質が例示される。
より具体的には、紫外線を照射するとケイ光を発するケ
イ光タンパク質、生体触媒作用を示す酸素タンパク質、
免疫抗体タンパク質、インターフェロン、インターロイ
キンなどの生理活性タンパク質が例示される。
【0023】結晶性タンパク質封入体を構成するタンパ
ク質である多角体タンパク質は、ウィルスによってコー
ドされた外殻タンパク質であり、昆虫の多角体病ウィル
スによってコードされた多角体タンパク質である。例え
ば、昆虫の細胞質多角体病ウィルスコート外殻タンパク
質として、カイコ細胞質多角体病ウイルス(Bombyx mor
i cytoplasmic polyhedrosis virus,BmCPV)の外
殻タンパク質(viralcapsid protein VP3)が例示され
る。細胞質多角体病ウイルスはレオウイルス科(Reovir
idae)のサイボウイルス属(Cypovirus)に分類され
る。このウイルスは昆虫の中腸皮膜組織の円筒細胞に感
染し、感染した細胞の細胞質に多角体と呼ばれる大きな
タンパク質の結晶を産生するという特徴を持っている。
この多角体には多数のウイルス粒子が包埋されている。
また、多角体はウイルスがコードする多角体タンパク質
がウイルスの感染後期に発現され、結晶化したものであ
る。多角体の機能の一つに、ウイルス病の水平感染にお
いて外界からウイルス自身の感染力を保護することが挙
げられる。すなわち、多角体は非イオン性やイオン性の
界面活性剤、酸性や中性のpHの溶液にも全く溶解しな
い。また、紫外線照射を受けても、包埋されたウイルス
には影響が及ぼされない。さらに、細菌による腐敗によ
っても多角体は溶解しないため、その中のウイルスは保
護される。もう一つの機能として、ウイルスを目的の場
所(ウイルスが感染し、増殖できる細胞)まで確実に運
ぶということである。すなわち、昆虫に摂食された多角
体は強アルカリ性の消化液により溶解し、ウイルス粒子
が放出され感染が生じる。カイコ細胞質多角体病ウイル
ス(Bombyx mori cytoplasmic polyhedrosis virus,BmCP
V)のウイルスゲノムは10本に分節された二本鎖RNAであ
る(セグメント1から10でそれぞれS1からS10と表記す
る)。多角体を構成するタンパク質である多角体タンパ
ク質(ポリヘドリン、polyhedrin)はそのうちの最も小
さいS10にコードされており、分子量は30kDaである。Bm
CPVのウイルス粒子はVP1(151kDa),VP2(142kDa), VP
3(130kDa), VP4(67kDa), VP5(33kDa)の5種類の
タンパク質から構成されている。125Iを用いたBmCPVの
標識実験から、VP1とVP3がウイルスの外層を構成してい
るタンパク質であることがわかっている(Lewandowski
et al. (1972) J. Virol. 10, 1053-1070)。ウサギの
網状赤血球を用いたinvitro translation実験が行わ
れ、このウイルスの外層を構成するタンパク質であるVP
1とVP3はそれぞれS1とS4にコードされているものと推定
された(McCrae and Mertens (1983) in Double-Strand
ed RNA Viruses, Elsevier Biomedicals,35-41)。この
BmCPVの外層を構成するタンパク質の一つであるVP3をコ
ードしているS4の解析によって、S4の全長3,259塩基
で、14番目から16番目までの開始コドン(ATG)と3,185
番目から3,187番目までの終了コドン(TAA)を持つ一つ
の大きなopenreading frame(ORF)持つことがわかっ
た。このORFは1,057個のアミノ酸から構成されており、
VP3の分子量は約130kDaであると推定される。
【0024】細胞質多角体タンパク質分子を組み込んだ
ウイルスベクター及び機能性タンパク質分子を組み込ん
だウイルスベクターの調製方法を、細胞質多角体病ウイ
ルスとして、カイコ細胞質多角体病ウイルス(Bombyx m
ori cytoplasmic polyhedrosis virus)を用いた場合に
ついて説明する。多角体タンパク質分子を組み込んだウ
イルスベクターの調製は、例えばオートグラファ・キャ
リホルニカ・核多角体病ウイルス(Autographa califor
nica nucleopolyhedrovirus)由来のバキュロウイルス
ベクターに、公知方法[「ジャーナル・オブ・ジェネラ
ル・ビロロジー(J.Gen.Virol.)」,第74巻,第99
〜102ページ参照]を用いて、ポリヘドリン遺伝子を
組み込むことによって行われる。他方、機能性タンパク
質分子を組み込んだウイルスベクターの調製は、例えば
先ずカイコ細胞質多角体病ウイルス(BmCPV)の外
層構成タンパク質の一つであるVP3のC末端に機能性
タンパク質を連結した融合タンパク質をコードするキメ
ラ遺伝子を作製し、次いで前記のオートグラファ・キャ
リホルニカ・核多角体病ウイルス由来のバキュロウイル
スベクターに導入することによって行われる。次に、こ
のように調製した2種のウイルスベクターを昆虫の組織
細胞に感染させるには、この2種のウイルスベクターを
液体状で同時に昆虫細胞に接種し、室温で0.5〜3時
間放置して、ウイルスを細胞に十分に吸着させたのち、
ウイルス液を除去し、仔ウシ胎児血清を含む培養液を加
え、20〜30℃の温度で2〜10日間培養する。次い
で、この培養液から感染細胞を分離し、冷却下に摩砕
し、摩砕液からろ過又は遠心分離により多角体を含む固
形分を回収すれば、所望のタンパク質複合結晶体が得ら
れる。このようにして得られる結晶性タンパク質封入体
は、必要に応じ、さらに密度勾配法による分画、緩衝液
による洗浄などを行って精製することができる。このよ
うにして、結晶性タンパク質封入体に対し、質量比1/
10〜1/1000の範囲で機能性タンパク質微結晶を
含むタンパク質複合結晶体が得られる。この場合、機能
性タンパク質のN末端又はC末端に細胞質多角体病ウイ
ルスの外層を構成するタンパク質であるVP3のアミノ
酸配列を導入し、この融合タンパク質をバキュロウイル
スベクターで発現させるが、この際、細胞質多角体病ウ
イルスの多角体を発現するウイルスとともに、昆虫細胞
に感染させることにより、多角体中に融合タンパク質が
包理される。このために、バキュロウイルスベクターで
発現させた外来タンパク質、すなわち機能性タンパク質
が、細胞質多角体病ウイルスの構成タンパク質のN末端
又はC末端に挿入されるように、細胞質多角体病ウイル
スの構成タンパク質をコードするcDNAと外来タンパ
ク質遺伝子とを結合させる必要がある。この際、構成タ
ンパク質と外来タンパク質遺伝子のタンパク質をコード
するオープンリーディングフレームがインフレームにな
るようにすることが重要であり、このようにして細胞質
多角体病ウイルスの構成タンパク質と外来タンパク質を
1つの融合タンパク質として発現させる組み換えバキュ
ロウイルスが形成される。
【0025】<目的タンパク質を多角体タンパク質で包
み込んだ構造の結晶性タンパク質封入体>目的タンパク
質が細胞質多角体タンパク質結晶の中に分散状態で含ま
れるタンパク質複合結晶体である結晶性タンパク質封入
体。細胞内において、多角体タンパク質が結晶化する際
に、目的タンパク質を取り込んで、好ましくは結晶状態
で取り込んで、粒子状で産生されたものである。
【0026】<結晶性タンパク質封入体を産生するため
の細胞>タンパク質複合体を産生するために用いる細胞
は、ウイルスに感染できる細胞であれば特に制限される
ものではない。細胞は昆虫でも昆虫細胞よく、植物体で
も植物細胞でもよい。
【0027】<昆虫において産生された結晶性タンパク
質封入体>結晶性タンパク質封入体は、例えば多角体タ
ンパク質分子を組み込んだウイルスベクターと、機能性
タンパク質分子を組み込んだウイルスベクターを別々に
調製し、次いでこの2種のウイルスベクターを昆虫の組
織細胞に同時に感染させ、この2種のウイルスに感染し
た昆虫細胞中で結晶性タンパク質封入体を生成させたの
ち、この結晶性タンパク質封入体を結晶として取り出す
ことによって製造することができる。このように、細胞
質多角体病ウイルスと機能性タンパク質をコードしたウ
イルスとを同時に感染させることにより、一挙に機能性
タンパク質微結晶を内部に分散含有する結晶性タンパク
質封入体が得られる。上記の2種のウイルスベクターを
感染させるために用いる昆虫は、ウイルスに感染できる
細胞であれば特に制限されるものではないが、一般に、
鱗翅目(Lepidoptera)に属するもの、特にシヤクガ科
Geometridae)、ヤママユガ(Salurniidae)、カイコ
ガ科(Bombycidae)、ヒトリガ科(Arctiidae)、ヤガ
科(Noetuidae)に属するものが用いられる。入手が容
易で取り扱いやすい点で、カイコ(Bombyx mori L)、
ムガサン(Antheraea assamensis Helfer)、ネキリム
シ(Peridroma sp.)、アワヨトウ(Leucania unipunct
ata Howorth)などが通常用いられている。このVP3をコ
ードしているS4の1358番目と2711番目に存在する制限酵
素サイトXbaI間を欠落させたVP3/GFPのキメラ遺伝子(V
P3(XbaI)/GFP)を作製した。次に、Autographa californ
ica nucleopolyhedrovirus (AcNPV)由来のバキュロウ
イルスベクターに導入し、このVP3(XbaI)とGFPの融合タ
ンパク質を昆虫細胞Spodoptera Frugiperda由来のIPLB-
Sf21-AE(Sf21)で発現させた。その際、BmCPVの立方体
の多角体を形成するために、ポリヘドリン遺伝子を組み
込んだ組み換えAcNPV (AcCP-H)(Mori et al. (199
3) J. Gen. Virol. 74, 99-102)も同時にSf21細胞に接
種した。2つのウイルスに感染したSf21細胞から多角体
を精製し、この融合タンパク質が多角体の中に包埋され
アルカリ条件下において多角体が溶解するのと同時に放
出されるかどうかを緑色蛍光を用いて調べた。その結
果、VP3(XbaI)とGFPから成る融合タンパク質はVP3とGFP
から成る融合タンパク質の発現の場合と同様に、多角体
の溶解に伴って放出されたことから、この融合タンパク
質は多角体の中に特異的に取り込まれていることがわか
った。これにより、多角体と呼ばれる粒子内に目的とす
るタンパク質(目的タンパク質)を取り込ませる方法、
および、目的タンパク質をポリヘドリンと呼ばれるタン
パク質で包み込んだ結晶性タンパク質封入体を作製する
方法においてVP3を短くすることが可能であることを示
した。
【0028】本発明を、植物において産生された結晶性
タンパク質封入体を例に説明する。本発明の植物におい
て産生されたタンパク質複合結晶体は、外殻タンパク質
結晶と目的とするタンパク質微結晶との2種の結晶から
構成され、目的とするタンパク質微結晶は、外殻タンパ
ク質結晶中に分散した状態で含まれている。カイコ細胞
質多角体病ウイルス(BmCPV)の外層タンパク質の
一つであるVP3のアミノ酸配列のデータベースを用い
た解析から、このタンパク質は同じレオウイルス科(Re
oviridae)に分類されているオリザウイルス属(Oryzav
irus)やフィジウイルス属(Fijivirus)に分類されて
いる植物レオウイルスのウイルスキャプシッドタンパク
質との間で高い相同性が見られた〔Ikeda et al., (200
1) Journal of Virology 75, 988-995〕。このことよ
り、BmCPVのウイルスキャプシッドタンパク質やポ
リヘドリンを植物で発現させた場合、昆虫細胞と同じ様
な機能を持つタンパク質にプロセッシングされるものと
期待された。 <VP3/GFP多角体の植物での発現>そこで、この
VP3のC末端に、機能性タンパク質として緑色タンパ
ク質(green fluorescent protein,GFP)を連結
し、VP3とGFPから成る融合タンパク質(VP3/G
FP)をコードするキメラ遺伝子を作製した。VP3/
GFP−キメラ遺伝子を含むプラスミドpAcVP3/
GFPと植物発現ベクターであるTiプラスミドpIG
121を用いて3段階の過程で、CaMV 35Sプロ
モーターの下流にVP3/GFPキメラ遺伝子をもつTi
プラスミドベクターpIG 121-VP3/GFPを
構築した。一方、ポリヘドリン遺伝子をpBS(KS)-
HからKpn I-Sac I断片として切り出し、これ
をpIG 121のCaMV35Sプロモーターの下流
に挿入したベクターpIG 121-Hを構築した。アグ
ロバクテリウム法によりpIG 121-Hを導入して発
現を確認した植物(ジャガイモおよびベラドンナ)に、
pIG 121-VP3/GFPを導入することによっ
て、両遺伝子をもつ形質転換植物を得た。ポリヘドリン
およびGFPタンパク質が生成されていることをウエス
タンブロッティング法で確認すると共に、顕微鏡観察に
よって多角体が構築されていることを確認した(図面省
略)。さらに顕微鏡下でこの植物組織をアルカリ処理し
たところ、極めて短時間で多角体は溶解することが経時
的に観察され、アルカリ条件で溶解するという多角体の
特徴を確認することができた(図面省略)。なおこの
際、多角体の中から放出されたVP3/GFPキメラタ
ンパク質に基づく緑色蛍光も観察されたが、植物自身の
自家蛍光の妨害があるため、カイコ細胞のように明確な
ものではなかった。これにより、ポリヘドリン遺伝子お
よびVP3/GFPのキメラ遺伝子発現系を含んでいる
トランスジェニック植物において、多角体と呼ばれる粒
子内に目的とするタンパク質(目的タンパク質)を取り
込ませる方法、および、目的タンパク質をポリヘドリン
と呼ばれるタンパク質で包み込んだ結晶性タンパク質封
入体を作製する方法が開発されたことを示した。
【0029】<結晶性タンパク質封入体を応用した相互
作用するタンパク質の検出>細胞の機能と秩序は種々の
高分子物質の相互作用(タンパク質とタンパク質、DN
Aとタンパク質)に基づいて成り立っている。相互作用
するこれらの物質を検出する方法としてこれまでにファ
ーウエスタンブロット法やtwo-hybrid system法が開発
されている。これらの方法では、相互作用する分子を抗
体との反応やレポーター遺伝子の活性により間接的に検
出するので、特に相互作用するタンパク質を細胞内にあ
る自然な状態で、一段階で検出(必要により単離)する
ことが困難であるのが一般的である。組み換え多角体を
利用する本方法は、このような制約を解決しようとする
ものである。
【0030】不安定な機能性タンパク質結晶を安定なタ
ンパク質結晶中に閉じ込めて安定化する方法について、
昆虫の中腸皮膜組織の円筒細胞に感染し、感染した細胞
の細胞質に多角体と呼ばれる大きなタンパク質の結晶を
産生する細胞質多角体病ウイルスを利用することによ
り、上記の多角体病ウイルスタンパク質結晶中に種々機
能性タンパク質結晶を分散状態で閉じ込めた結晶性タン
パク質封入体を形成しうる。細胞質多角体病ウイルス由
来の多角体(細胞質多角体)に特定のタンパク質を取り
込ませることにより、このタンパク質に他のタンパク質
などの生体関連化学物質を結合させることができ、必要
により細胞質多角体に生体関連化学物質が結合した状態
で回収しうる。細胞質多角体にタンパク質を結晶状態で
取り込ませ、得られた細胞質多角体を核として、タンパ
ク質の結晶を作製しうる。細胞質多角体のタンパク質を
結晶状態で取り込ませることができるため、細胞質多角
体にタンパク質を取り込ませた状態で直接X線解析す
る、もしくはそれを核として結晶を成長させる。後者の
場合、通常、タンパク質の結晶を作製するためには結晶
の核があれば、容易に結晶を得ることができるため、こ
の細胞質多角体は結晶を作製するための重要な手法とな
る。細胞質多角体にタンパク質を取り込ませる際、その
タンパク質に緑色蛍光タンパク質などを融合タンパク質
として組込むことによって、発光などにより、そのタン
パク質が取り込まれている状態を容易に識別できる。細
胞質多角体に目的とするタンパク質が取り込まれている
かどうかを判定するには、多角体を回収し、アルカリ溶
液(pH11)中でこの多角体を溶解させ、その中に取
り込まれているタンパク質を取り出す。しかし、緑色蛍
光タンパク質などの発光するタンパク質とともに細胞質
多角体に入れることによって、細胞質多角体の発光の有
無により、目的とするタンパク質の取込みが確認でき
る。酵素などの有用なタンパク質を実用に供する場合
に、タンパク質の性能維持が重大な問題であった。すな
わち、タンパク質は、室温で保存あるは、放置すること
により、その機能である触媒活性を失うことが一般的で
あり、ゆえに、機能を維持したままの保存には、冷蔵庫
などの低温での放置あるいは保管が必要であった。その
性能維持のための技術は、このタンパク質の保存性の付
与、安定性の向上の課題を解決できる手法であり、室内
での温度条件にて、今までのタンパク質保存方法と比べ
て、優れて安定に機能を維持できることが、課題であ
る。上記方法は、安定性向上または保護または保存性向
上または、それら効果のいづれかの組み合わせた性能維
持効果をもたらした酵素などの有用な目的タンパク質を
提供することができる。また、酵素などの有用タンパク
質を水溶液中に存在させて、その機能を長期間維持させ
ることが課題である。そのための技術として、有用タン
パク質に保護タンパク質をコーティングする技術が必要
である。コーティングする技術は、有用タンパク質への
外界からの影響、すなわち、水分によるタンパク質の溶
解や、微生物などによる分解作用・捕食などの有用タン
パク質の機能を喪失させられる状況を回避できる。上記
方法は、保護タンパク質をコーティングした酵素などの
有用な目的タンパク質を提供することができる。また、
タンパク質は、機能を有した生体高分子であるが、さま
ざまな発色団、光吸収分子を内包しており、その光学的
特性や、電子特性などが期待されるところであるが、そ
のような用途に適用する場合において、アモルファス状
態である乾燥標品の状態ではなく、結晶状態のタンパク
質が必要と考えられ、そのような結晶状態のタンパク質
を造りだすことが課題である。そのための技術として、
まず、その結晶状態のタンパク質を供する技術が必要で
ある。一般に、タンパク質の結晶は、極めて、作製が困
難であり、結晶状態のタンパク質を容易に作製するこ
と、および、均質な結晶を作製することが、該技術の解
決するとする課題である。そこで、上記の方法は、酵素
などの有用な目的タンパク質を結晶状態で調製するこ
と、より詳細には細胞内で結晶化して産生するするタン
パク質を、目的タンパク質をコーティングするための保
護タンパク質とすることで、酵素などの有用な目的タン
パク質を結晶状態で調製することができる。また、上記
の方法は、遺伝子組み換え技術を利用して、酵素などの
有用な目的タンパク質を結晶状態で簡単に調製する方法
を提供することができる。細胞内で結晶化して産生する
するタンパク質を利用する技術は、タンパク質のまった
く新規な素材開発について、用途を開くためのきわめて
有効な技術である。しかしながら、これまでのように昆
虫ウイルス遺伝子発現ベクターであるバキュロウイルス
ベクターを用いて、昆虫細胞で多角体の作製やその中に
目的タンパク質を取り込ませる場合、多角体の中にバキ
ュロウイルスが混入する危険性がある。一方、多角体を
昆虫細胞から精製する場合においてもその試料中に同様
にバキュロウイルスが混入する危険性がある。目的タン
パク質を取り込ませた多角体を大量に必要とする場合、
昆虫細胞を何らかの方法で大量増殖させ、これに組み換
えバキュロウイルスベクターを感染させる必要があり、
莫大なコストが必要となる。しかし、植物において多角
体を作らせることも可能であることから、これに目的タ
ンパク質を取り込ませることにより、上記のようなウイ
ルス混入の危険性およびコストの問題点を解決できる。
本発明における細胞質多角体病ウイルス等のウイルスの
多角体タンパク質とは、細胞内で結晶化することによ
り、多角体と呼ばれる結晶性タンパク質封入体を形成す
る。この結晶化の際、この粒子に包み込まれる目的タン
パク質も同様に結晶状体で取り込まれる。このため、目
的タンパク質の結晶を得るために不可欠である結晶化の
ための核として、この粒子内に取り込まれた目的タンパ
ク質を利用できる。一度タンパク質分子を結晶性タンパ
ク質封入体に取り込ませておけば、長期間安定に維持で
き、また結晶性タンパク質封入体表面に位置したタンパ
ク質分子を用いてタンパク質を始めとする様々な化学物
質との結合やその結合の阻害反応を解析できる。なぜな
ら、多角体は本来その中に取り込んだウイルスを長期
間、その増殖能力を維持できる能力があるからである。
さらに、結晶性タンパク質封入体1個が光学顕微鏡で容
易に観察できることから、タンパク質分子を取り込ませ
た結晶性タンパク質封入体1個がプロテインチップの1
反応体として利用できる。また、結晶性タンパク質封入
体を基板の指定された位置に配置することが必要になる
わけであるが、このプロセスにおいて、結晶に包埋さら
たタンパク質の生理活性を落とさないために、結晶性タ
ンパク質封入体が塩濃度とpHの保たれた溶液中で非接
触に扱われる必要がある。本発明では、レーザーマニュ
ピレーションとレーザーマイクロボンディングを用いる
ことにより、この課題についても解決している。
【0031】
【作用】ところで、昆虫ウイルスは1辺が100nm〜
10μmの多面体の構造物を感染細胞の中に形成する。
この構造物は多角体と呼ばれており、ウイルスによって
コードされたポリへドリンと呼ばれるタンパク質が結晶
状に会合して出来た結晶構造物である。本発明では、こ
の多角体を結晶性タンパク質封入体と称する。ウイルス
は感染の後期になるとこの多角体に取り込まれ。多角体
は極めて強固な構造物であることから多角体の中に取り
込まれたウイルスは非常に長期間安定に保護される。こ
のため、この多角体が主要な2次感染源となる。 多角
体は非常に安定な構造物であり、酸性や中性下において
は分解しないが、pH10以上のアルカリ条件下では急
速に溶解して多角体に取り込まれていたウイルスが放出
される。特に、リン翅目昆虫などの消化管はpHが11
ぐらいのアルカリ性であることから、昆虫が多角体を餌
とともに食下すると消化管の中で多角体が溶解し、中に
取り込まれていたウイルスが放出され感染が生じる。こ
の多角体にウイルスではなくタンパク質分子だけを取り
込ませる手法を開発した(J.Virol.75,988-995:特願20
00-330645)。本発明では、タンパク質を取り込ませた
結晶性タンパク質封入体を多数作製し、これをレーザー
マニュピレーションとレーザーマイクロボンディングに
よって基板の指定された位置に配列・固定し、結晶性タ
ンパク質封入体に取り込ませたタンパク質が他のタンパ
ク質分子、低分子化学物質、高分子化学物質などと結合
するかどうか、またこれらの化学物質が結晶性タンパク
質封入体に取り込ませたタンパク質と他の化学物質との
結合をどのように阻害するのかなどを解析できる全く新
しいプロテインチップの開発に成功した。本発明は、こ
れまで抗原抗体反応のみに依存したプロテインチップと
は異なり、結晶性タンパク質封入体に多種多様なタンパ
ク質を生理活性を保持した状態で取り込ませることがで
きることから、タンパク質相互間、またはタンパク質と
他の化学物質との結合、さらにはその結合の阻害を解析
でき、プロテインチップとしての用途が極めて広くな
る。本発明においては、一度タンパク質分子を結晶性タ
ンパク質封入体に取り込ませておけば、長期間安定に維
持でき、また結晶性タンパク質封入体表面に位置したタ
ンパク質分子を用いてタンパク質を始めとする様々な化
学物質との結合やその結合の阻害反応を解析できる。さ
らに、結晶性タンパク質封入体1個が光学顕微鏡で容易
に観察できることから、タンパク質分子を取り込ませた
多角体1個がプロテインチップの1反応体として利用で
きる。また、多角体を基板の指定された位置に配置する
ことが必要になるわけであるが、このプロセスにおい
て、結晶に包埋さらたタンパク質の生理活性を落とさな
いために、結晶性タンパク質封入体が塩濃度とpHの保
たれた溶液中で非接触に扱われる必要がある。本発明で
は、レーザーマニュピレーションとレーザーマイクロボ
ンディングを用いることにより、この課題についても解
決している。
【0032】
【実施例】本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。
【0033】実施例1 本発明のプロテインチップの構成例を図1に示す。容器
(A)と容器(B)は一体で作製され、中央にμl程度
の容量のマイクロセルとそこにつづく100μm程度の
微小流路からなる。図1および図2に示すように、この
マイクロセル内に数10μm以下の結晶性タンパク質封
入体が指定された位置に配置される。
【0034】マイクロセルは透明な物質で作製されてお
り、発光素子(C)と検出素子(D)をマイクロセルの
上下に取り付けることにより、配列された結晶性タンパ
ク質封入体の状態変化が検出される。このプロテインチ
ップの使用例を図3に示す。微小流路を通じて化学物質
をマイクロセル内に注入し、結晶性タンパク質封入体と
化学物質を反応させる(a)。化学物質と反応した結晶
性タンパク質封入体は表面状態が変化するか、もしくは
剥離すると考えられる。その変化を発光素子と検出素子
により検出する。発光素子として、赤外光を発する素子
を用いることでタンパク質の固有振動を、可視光を発す
る素子を用いることで結晶性タンパク質封入体の有無も
しくは結晶性タンパク質封入体への付着物を、紫外光を
発する素子を用いることでタンパク質の蛍光を検出でき
る。
【0035】検出素子としてCCD,CMOSカメラ等
のイメージセンサーを用いることにより、配列された結
晶性タンパク質封入体の状態を個別に検出することがで
きる。ここで、検出素子のそれぞれの画素に対して異な
る結晶性タンパク質封入体を配置したと仮定すると、数
μlの化学物質により、最大数100万種類のタンパク
質の異なる反応を調べることができる。さらに、図4に
示すようにプロテインチップを注射針に配置することに
で、簡便に化学物質を調べることができる。
【0036】本発明に必要とされるマイクロセルはレー
ザー光造形による方法、貫通部を含む薄膜を基板に挟み
込む方法(特願2001-201128)等で作製することができ
る。
【0037】本発明ではこのマイクロセル内に結晶性タ
ンパク質封入体を指定された位置に配置することが必要
になるわけであるが、このプロセスにおいて、結晶に包
埋さらたタンパク質の生理活性を落とさないために、結
晶性タンパク質封入体が塩濃度とpHの保たれた溶液中
で非接触に扱われる必要がある。この様な課題を達成す
る結晶性タンパク質封入体の配列方法として、レーザー
トラッピングとレーザーマイクロボンディングを利用し
た方法が適している。
【0038】レーザートラッピングとは、レーザーを顕
微鏡対物レンズにより急激に絞り込み、光の放射圧によ
り微粒子を補足する技術である〔特開平2-91545,A.Ash
kin,J.M.Dziedzic,J.E.Bjorkholm,S.Chu:Opt.Lett.,Opt
ical Society of America,11,(1986),288〕。さらにこ
の技術は、ガルバノミラーなどのレーザー光線の方向を
制御する稼働ミラーと組み合わせることにより、微小物
体を移動・配列できる“ピンセット“として利用されて
いる〔K.Sasaki,M.Koshioka,H.Misawa,N.Kitamura,H.Ma
suhara,Jpn.J.Appl.Phys.,30(1991) L907.〕。この方法
を用いることにより、溶液中にある数100nm〜数1
0μm程度の大きさの結晶性タンパク質封入体を補足・
移動・配列することができる。
【0039】また、レーザーマイクロボンディンとは、
有機高分子固体をレーザーにより加熱・融解させ、そこ
で物質を融着させる方法である〔特開平11-277269,J.W
on,T.Inaba,H.Masuhara,H.Fujiwara,K.Sasaki,S.Miyawa
ki,and S.Sato,Appl.Phys.Lett.,75,1506(1999)〕。す
なわち、マイクロセル表面にあらかじめ高分子フィルム
を塗布しておけば、そこに結晶性タンパク質封入体を固
定することができる。ここで、レーザーマニピュレーシ
ョンは光吸収のないレーザー波長、レーザーマイクロボ
ンディングは光吸収のあるレーザー波長で起こるため、
レーザー波長を選ぶことによりこれらを同時におこなう
ことができる(特開平1-318258,特開平3-130106)。
【0040】本発明においては、レーザートラッピング
用としてマイクロセル、高分子フィルム、および結晶性
タンパク質封入体が吸収を持たない近赤外レーザーを、
レーザーマイクロボンディング用としてマイクロセル上
に塗布された高分子のみに吸収を持つ可視・紫外レーザ
ーを利用することができる。
【0041】図5にレーザートラッピングとレーザーマ
イクロボンディングを利用した結晶性タンパク質封入体
の配列と固定化の概要図を示す。倒立顕微鏡に配置した
マイクロセルに結晶性タンパク質封入体溶液を注入し、
トラッピング用レーザーにより結晶性タンパク質封入体
を補足・配列する(a)。次に、トラッピング用レーザー
と同軸に導入されたボンディング用レーザーにより、結
晶性タンパク質封入体を固定化する(b)。この方法を用
いることにより、結晶性タンパク質封入体を溶液中で非
接触に、かつ高分子フィルムと接していない部分に損傷
を与えることなく、マイクロセル上に固定することがで
きる。
【0042】図6に本発明のプロテインチップ作製にお
ける結晶性タンパク質封入体の配列と固定化のプロセス
を示す。マイクロセルに結晶性タンパク質封入体Aを含
む溶液を注入し、レーザートラッピングとレーザーマイ
クロボンディングを用いて配列・固定する(a,b)。つ
ぎに、洗浄用の溶液を注入して結晶性タンパク質封入体
Aを除去する(c)。その後に、異なる結晶性タンパク
質封入体Bを含む溶液を注入し、再び配列・固定・洗浄
を行う(d−f)。この過程を繰り返すことにより、複
数の種類の結晶性タンパク質封入体をマイクロセル上の
指定された任意の位置に配列することができる。図6に
は一度の配列・固定・洗浄で(a−cもしくはd−
f)、一種類の結晶性タンパク質封入体を配列する例を
示したが、形状や蛍光スペクトルの異なる結晶性タンパ
ク質封入体に異なる生理活性を持つタンパク質を包埋
し、同時に注入し、これらの違いにより結晶を選別しな
がら配列・固定することにより、一度の配列・固定・洗
浄で数種類の単一結晶性タンパク質封入体を同時に取り
扱うことができる(特願2001-235422)。
【0043】また、レーザートラッピングを用いること
により数100nm程度の結晶性タンパク質封入体を多
数同時に補足することも可能であり、図7に示すように
複数のナノメートル微粒子を同時に配列することができ
る。この方法により結晶性タンパク質封入体の表面積を
増やすことができ、微小領域でより効率的に化学物質と
結晶性タンパク質封入体を反応させることができると考
えられる。
【0044】図8にマイクロセル中で結晶性タンパク質
封入体をレーザートラッピングにより配列した例を示
す。トラッピング用のレーザーとしてNd3+:YAG
レーザー(1064nm,100mW)を用いた。レー
ザーの集光位置をガルバノミラーにより制御することに
より、約5μmの結晶性タンパク質封入体を縦3列、横
3列に並べることができた(a)。また単純に配列する
だけでなく、レーザーの集光位置を図中の矢印に従って
操作することにより、任意にその配列を組み替えること
ができる(b,c)。この様にレーザートラッピングを
用いることにより、結晶性タンパク質封入体の位置を数
μm程度の精度で正確に制御することができる。
【0045】次に、緑色蛍光タンパク質を取り込んだ結
晶性タンパク質封入体と取り込んでいない結晶性タンパ
ク質封入体を同様に配列した例を図9に示す。顕微蛍光
像(b)は顕微透過像(a)と同位置で撮影されてお
り、顕微蛍光像の白い部分は結晶性タンパク質封入体が
緑色に発光していることを示す。この例から明らかなよ
うに、顕微透過像で同様にみえる結晶性タンパク質封入
体の違いを顕微蛍光像で明確に区別でき、形状のみなら
ず蛍光スペクトルの違いからでも結晶性タンパク質封入
体の違いを認識し、選別・配列することができる。さら
にこの結果より、結晶性タンパク質封入体と化学物質を
反応させることによってどの多角体に結合したかを、紫
外線の発光素子を用いることによって蛍光像により、容
易に判定できることが示された。これらの結晶性タンパ
ク質封入体におけるレーザートラッピングの特徴を鑑
み、これまで抗原抗体反応のみに依存したプロテインチ
ップとは異なり、多角体に多種多様なタンパク質を生理
活性を保持した状態で取り込ませることができることか
ら、タンパク質相互間、またはタンパク質と他の化学物
質との結合、さらにはその結合の阻害を解析できる上述
の特徴を持つプロテインチップの作製は十分に可能であ
ると考えられる。
【0046】
【発明の効果】本発明は、タンパク質相互間、またはタ
ンパク質と他の化学物質との結合、さらにはその結合の
阻害を解析できるプロテインチップを提供することがで
きる。また、本発明は、タンパク質相互間、またはタン
パク質と他の化学物質との結合、さらにはその結合の阻
害を解析できるプロテインチップを用いた化学反応の検
出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロテインチップの構成例を示す図面
である。
【図2】プロテインチップ本体部分の構成例を示す図面
である。
【図3】プロテインチップによる検査の具体例を示す図
面である。
【図4】プロテインチップを注射針に配置した使用例を
示す図面である。
【図5】レーザートラッピングとレーザーマイクロボン
ディングによる結晶性タンパク質封入体の配列と固定化
の概要図(単一のマイクロメートル微結晶の配列)を示
す。
【図6】マイクロセルにタ結晶性タンパク質封入体の配
列と固定化のプロセスを示す。
【図7】レーザートラッピングとレーザーマイクロボン
ディングによる結晶性タンパク質封入体の配列と固定化
の概要図(複数のナノメートル微結晶の同時配列)を示
す。
【図8】レーザートラッピングによる結晶性タンパク質
封入体の配列と移動の実施例を示す。
【図9】レーザートラッピングによる結晶性タンパク質
封入体の蛍光像による判別と配列の実施例を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月19日(2001.11.
19)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 敬子 京都市左京区松ヶ崎修理式町1−2−C (72)発明者 増原 宏 大阪府東大阪市南鴻池町2−4−16 (72)発明者 細川 陽一郎 兵庫県神戸市北区道場町日下部719−8 Fターム(参考) 4H045 AA10 AA20 AA30 BA56 CA01 EA50 FA74

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性タンパク質封入体からなるプロテ
    インチップ。
  2. 【請求項2】 上記結晶性タンパク質封入体が、生理活
    性を保持した状態でタンパク質を取り込ませた結晶性タ
    ンパク質封入体である請求項1のプロテインチップ。
  3. 【請求項3】 上記結晶性タンパク質封入体が、100
    nm〜10μmの大きさを持つ昆虫ウイルスが形成する
    多角体、すなわち結晶性タンパク質封入体である請求項
    1または2のプロテインチップ。
  4. 【請求項4】 結晶性タンパク質封入体に取り込ませた
    タンパク質に化学物質を相互作用させ、その反応を検出
    するために使用する請求項1ないし4のいずれかのプロ
    テインチップ。
  5. 【請求項5】 化学物質がタンパク質分子、低分子化学
    物質、もしくは高分子化学物質である請求項4のプロテ
    インチップ。
  6. 【請求項6】 結晶性タンパク質封入体に取り込ませた
    タンパク質によって、他のタンパク質分子、低分子化学
    物質、高分子化学物質などと結合するかどうか、またこ
    れらの化学物質が多角体に取り込ませたタンパク質と他
    の化学物質との結合をどのように阻害するのかを解析す
    ることで化学反応を検出する請求項4または5のプロテ
    インチップ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかのプロテイ
    ンチップの化学反応検出への使用。
  8. 【請求項8】 生理活性を保持した状態でタンパク質を
    取り込ませた結晶性タンパク質封入体をプロテインチッ
    プとして用い、結晶性タンパク質封入体に取り込ませた
    タンパク質に化学物質を相互作用させ、その反応を検出
    する請求項7の使用。
  9. 【請求項9】 結晶性タンパク質封入体が基板の指定さ
    れた位置に配置されている請求項7または8の使用。
  10. 【請求項10】 基板のμl程度の容量を持つマイクロ
    セルに配置される請求項9の使用。
  11. 【請求項11】 結晶性タンパク質封入体を、基板の指
    定された位置に、生理活性を保持した状態で、レーザー
    マニピュレーションを用いることにより配置したもので
    ある請求項9または10の使用。
  12. 【請求項12】 結晶性タンパク質封入体を、基板の指
    定された位置に、レーザーマイクロボンディングを用い
    て固定したものである請求項9または10の使用。
  13. 【請求項13】 レーザーマニピュレーションとレーザ
    ーマイクロボンディングをもちいて、1μm以下の大き
    さを持つ結晶性タンパク質封入体を多数同時に補足し、
    配列・固定化することにより、微小領域でより効率的に
    化学物質と反応させることを特徴とする請求項9ないし
    12のいずれかの使用。
  14. 【請求項14】 結晶性タンパク質封入体と化学物質の
    反応を、基板の上下に発光素子と画像検出素子を配置す
    ることにより検出する請求項9ないし13のいずれかの
    使用。
  15. 【請求項15】 レーザーマニピュレーション、レーザ
    ーマイクロボンディング、および画像解析装置をもちい
    て、形状や蛍光スペクトルの異なる100nm〜10μ
    mの大きさを持つ結晶性タンパク質封入体に異なる生理
    活性を持つタンパク質を包埋し、これらの違いにより結
    晶性タンパク質封入体を選別しながら配列・固定したも
    のである請求項14の使用。
  16. 【請求項16】 レーザーマニピュレーションとレーザ
    ーマイクロボンディングをもちいて、複数の異なる性質
    を持つ結晶性タンパク質封入体を基板に配置し、化学物
    質に同時に複数種類の反応させ、発光素子と画像検出素
    子を用いて同時に検出する請求項14または15の使
    用。
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