JP2003153907A - 処置用シース - Google Patents

処置用シース

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、一度体腔内に挿入されたシースを移
動させることなく、かつシース内に挿入されている内視
鏡や処置具を取り出す必要もなく、シースの挿入部の周
囲の病変部の処置が行え、内視鏡や吸引管の挿入操作性
の良い処置用シースを提供することを最も主要な特徴と
する。 【解決手段】外筒部材9に対して内筒部材10の操作端
部12を回動操作することにより、外筒部材9と内筒部
材10との間を相対的に回動させ、内筒部材10の螺旋
形状の第2のスリット孔22と、外筒部材9の略直線状
の第1のスリット孔19との重なり部分の開口部23の
位置を移動させる処置孔移動手段24を設けたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外科手術におい
て、体腔内の病変部を観察や処置をする場合に使用され
る処置用シースに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、外科手術において、体腔内の病
変部を観察や処置をする場合に処置用シースが使用され
る。この処置用シースとして、従来から公知の金属製の
管状シースや、公知の管形状の透明シースや、特開平6
−114113号公報や、USP4,769,005な
どがある。
【0003】金属製の管状シース、すなわち不透明の管
形状シースは従来から、例えば、脳神経外科における脳
内血腫除去術などで次の通り使用される。すなわち、不
透明の管形状シースに穿刺用鈍針を挿入して一体化した
状態で、処置対象となる血腫腔内までシースと共に穿刺
する。穿刺用鈍針とシースを脳内の目的の位置に挿入し
たのち、次に、術者は穿刺用鈍針のみを引き抜く。この
状態で、脳内に挿入されているシースの基端部からシー
ス内管路に内視鏡と吸引管を挿入し、シース挿入部の先
端開口部から内視鏡観察下で血腫を吸引処置するように
なっている。
【0004】また、公知の透明シースはシースの材質を
透明部材としたものである。この公知の透明シースを用
いた場合には、シース挿入部の側部に発生した出血部を
透明なシース壁部を透過して内視鏡によって観察するこ
とが可能となるため、出血部を容易に同定することが可
能となる。
【0005】また、特開平6−114113号公報には
カテーテルシースの外側部に予め複数個の側孔を設ける
構成が示されている。この構成によれば、シース側部に
発生した出血部を、シース自体を動かすことなく処置す
ることが可能となる。
【0006】USP4,769,005にはシース挿入
部の側面部に処置孔が配設された構成のカテーテルガイ
ドが示されている。このカテーテルガイドをシースとし
て応用した場合には、シースをはじめに脳内に挿入した
状態のままで、シースの挿入部側部に位置する出血部を
側面部の処置孔の開口部によって処置することが可能と
なる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】例えば、脳神経外科に
おける脳内血腫除去術などで従来の金属製の管状シース
を使用した場合には内視鏡の視野はシース挿入部の先端
開口部に制約されるので、内視鏡の視野が比較的狭い問
題がある。
【0008】また、術中に出血が発生した場合、血液に
よって内視鏡の観察が不能となるため、術者は止血作業
を余儀なく行わなければならない。しかしながら、出血
部位がシース挿入部の側部に存在している場合には、出
血部位を内視鏡の視野に捉えるために、術者はシースを
経験によって脳内で盲目的に、かつ慎重に動かし、シー
ス挿入部の先端開口部を出血部に移動させる難しい作業
が必要になる。そのため術者の疲労が増大し、如いては
手術自体の効率が低下する問題がある。
【0009】また、シースの材質を透明部材とした公知
の透明シースを用いた場合には、シース挿入部の側部に
発生した出血部を透明なシース部材を透過して内視鏡に
よって観察することが可能となるため、出血部を容易に
同定することが可能となる。しかしながら、この場合で
も出血部を処置するためには前述と同様に、シース挿入
部の先端開口部を出血部まで移動させなければならな
い。そのため、前述と同様な問題がある。
【0010】さらに、脳内血腫の場合には、もともと血
腫や脳実質などの腔が存在しない体組織にシースを挿入
し、このシースよって周囲の体組織を圧排することで腔
としての空間を確保しているため、一旦シースを移動す
ると、移動前にシースによって確保されていた空間には
再び体組織が脳圧によってその空間を埋めることにな
る。したがって、止血作業後に血腫部の処置を再開する
ためには、術者がもう一度シースを血腫腔内まで挿入す
る作業が必要となる。術者は慎重にこの作業を行う必要
があり、前述の問題をさらに助長させることにつながっ
ていた。
【0011】また、特開平6−114113号公報に示
されるカテーテルシースではシース側部に発生した出血
部をシース外側部の側孔から処置することができるの
で、シース自体を動かすことなくシース側部の出血部を
処置することができる。しかしながら、体内に挿入され
たカテーテルシースの周囲には体組織が密着されている
ので、カテーテルシースの複数個の側孔部にはそれぞれ
体組織が露出された状態となっている。そのため、術者
がこのような複数個の側孔を備えたシースに、内視鏡
や、吸引管などを挿入する場合には、慎重に挿入操作を
しなければならず、内視鏡や、吸引管などを挿入する作
業が煩雑となり、術者の疲労を増大させる問題がある。
【0012】また、脳神経外科手術に用いられる一般的
な2つのブレードを持つ開創器や、特開平6−1141
13号公報のカテーテルシースのシース側部にシースの
軸方向に沿って延出されたスリット状の孔を設ける構成
も考えられる。しかしながら、このようなスリット部を
備えたシースの場合でも、前述の複数個の側孔を備えた
シースの場合と同様に、シース内に内視鏡や、吸引管な
どを挿入する際、術者は慎重に挿入操作をしなければな
らず、内視鏡や、吸引管などを挿入する作業が煩雑とな
り、術者の疲労を増大させる問題がある。
【0013】また、USP4,769,005によるカ
テーテルガイドをシースとして応用した場合には、シー
スをはじめに脳内に挿入した状態のままで、シースの挿
入部側部に位置する出血部をシースの側面部の処置孔か
ら処置することが可能となる。しかしながら、シースの
側面部の処置孔としての開口部の近傍に出血部が位置し
ていない場合には、シースの側面部の開口部を出血部の
位置まで移動させるために、シース全体を移動させなけ
ればならず、金属製の管状シースを使用した場合と同様
な問題がある。
【0014】さらに、シース側部に配設された複数の開
口部から所望の開口部を選択するためには、シースに挿
入された内視鏡や吸引管を一度シースの外に取り出し、
シースの基端部に配設されるキャップを回転することに
よって開口部を選択し、再び内視鏡や吸引管を挿入する
操作を行う必要がある。そのため、この操作の都度、手
術を中断することになるので、手術が煩雑化し、手術自
体の作業効率を低下させる問題がある。
【0015】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的は、一度体腔内に挿入されたシースを移動
させることなく、かつシース内に挿入されている内視鏡
や処置具を取り出す必要もなく、シースの挿入部の周囲
の病変部の処置が行え、内視鏡や吸引管の挿入操作性の
良い処置用シースを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、体腔
内に挿入される透明な管状の挿入部の周壁面に処置孔が
形成された処置用シースにおいて、前記挿入部の周壁面
の前記処置孔の位置を移動させる処置孔移動手段を設け
たことを特徴とする処置用シースである。そして、本請
求項1の発明では、体腔内に挿入される透明な管状の挿
入部の周壁面の処置孔の位置を処置孔移動手段によって
移動させるようにしたものである。
【0017】請求項2の発明は、前記挿入部は、筒壁部
に第1の孔部を備えた外筒部材と、筒壁部に第2の孔部
を備え、前記外筒部材に対して回動自在に支持された内
筒部材とから構成され、前記処置孔移動手段は、前記外
筒部材と前記内筒部材とを回動させることにより、前記
第1の孔部と前記第2の孔部との重なり部分の位置を移
動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の
処置用シースである。そして、本請求項2の発明では、
外筒部材と内筒部材とを相対的に回動させて外筒部材の
第1の孔部と、内筒部材の第2の孔部との重なり部分の
位置を移動させることにより、内筒部材の内側から外筒
部材の外側に通じる、すなわち処置作業を行うための処
置孔の位置をシースの軸方向に連続的に移動できるよう
にしたものである。
【0018】請求項3の発明は、前記処置孔移動手段
は、前記挿入部の周壁面に前記挿入部の軸方向に沿って
スリット部を設け、このスリット部に沿って摺動可能な
シート状部材に前記処置孔を形成したことを特徴とする
請求項1に記載の処置用シースである。そして、本請求
項3の発明では、挿入部の周壁面のスリット部に沿って
シート状部材を摺動させることにより、シート状部材の
処置孔を挿入部の軸方向に沿って移動できるようにした
ものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
を図1乃至図5(A),(B)を参照して説明する。図
1は手術台1の上の患者2の頭部に外科手術を行う際に
本実施の形態の処置用シース3を使用している状態を示
すものである。ここで、患者2の頭部には外科的切開に
よる開頭がなされ、バーホール4が設けられている。そ
して、このバーホール4内に本実施の形態の処置用シー
ス3が挿入されている。
【0020】また、手術台1には公知の例えば特開平0
7−227398号公報で示されるような多関節アーム
型の手術機器保持装置5の基端部が固定されている。こ
の手術機器保持装置5の先端部には処置用シース3が取
付けられている。そして、この処置用シース3には術部
を観察するための公知の内視鏡6や、一般的に脳神経外
科手術に用いられる公知の吸引管7などが挿入されるよ
うになっている。
【0021】また、本実施の形態の処置用シース3には
体腔内に挿入される透明な管状の挿入部8が設けられて
いる。この挿入部8には図2に示すように透明な材質で
構成された外筒部材9と、透明な材質で構成された内筒
部材10とが設けられている。ここで、外筒部材9の内
部には内筒部材10が回動可能に挿入される状態で組み
付けられて二重管構造の挿入部8が構成されている。
【0022】また、内筒部材10には図3(A)に示す
ように挿入部8の先端部(同図中で下端部)外周面には
フランジ状の突起部11が突設されている。さらに、内
筒部材10の他端部には大径なフランジ状の操作端部1
2が形成されている。この操作端部12の外周部には滑
り止め用のローレット13が切ってある。
【0023】また、図3(B)に示すように外筒部材9
の基端部側の外周面には手術機器保持装置5との連結用
のリング状の連結溝部14が形成されている。この連結
溝部14には図4に示すように手術機器保持装置5の先
端部に配設されたリング状の連結部材15が回動可能に
嵌合されている。この連結部材15の周壁部にはねじ穴
部16が貫通状態で形成されている。そして、このねじ
穴部16に手術機器固定用の固定ねじ17が螺着されて
いる。
【0024】また、外筒部材9の両端部は内筒部材10
の両端の突起部11と操作端部12とにそれぞれ当接さ
れた状態で組み付けられている。ここで、内筒部材10
の両端の操作端部12から突起部11までの距離L1
と、外筒部材9の両端面間の距離L2との関係はL1>
L2となるように設定されている。さらに、内筒部材1
0の操作端部12と外筒部材9の端部との接合部間には
回転重さ出し用のOリング18が予圧をもって装着され
ている。
【0025】また、外筒部材9の周壁面には略直線状の
第1のスリット孔(第1の孔部)19が外筒部材9の中
心軸Oと平行に延設されている。さらに、外筒部材9の
基端部の端面20にはマーカー21が配設されている。
このマーカー21は外筒部材9の中心軸Oに対して、第
1のスリット孔19と同じ方向に向けて配置されてい
る。
【0026】また、内筒部材10の周壁面には螺旋形状
の第2のスリット孔(第2の孔部)22が設けられてい
る。ここで、第2のスリット孔22の螺旋は内筒部材1
0の基端部から他端部にまで、内筒部材10の外周を1
回転する状態で形成されている。すなわち、第2のスリ
ット孔22を内筒部材10の外周に設けられたネジとし
て例えれば、内筒部材10の基端部から他端部までの距
離をBとすると、リードBのネジが切られていることと
同様な構成となっている。
【0027】また、本実施形態では、内筒部材10の螺
旋形状の第2のスリット孔22と、外筒部材9の略直線
状の第1のスリット孔19との重なり部分によって処置
用シース3の処置孔としての開口部23が形成されてい
る。そして、外筒部材9に対して内筒部材10の操作端
部12を回動操作することにより、外筒部材9と内筒部
材10とを相対的に回動させ、内筒部材10の螺旋形状
の第2のスリット孔22と、外筒部材9の略直線状の第
1のスリット孔19との重なり部分の開口部23の位置
を移動させる処置孔移動手段24が構成されている。
【0028】次に、上記構成の本実施の形態の処置用シ
ース3の作用について説明する。本実施の形態の処置用
シース3の使用時には処置用シース3は手術機器保持装
置5によって手術台1に固定維持される。
【0029】ここで、図4に示すように患者の頭蓋骨2
5には予め外科的切開による開頭がなされ、バーホール
4が設けられている。そして、処置用シース3の挿入部
8は、バーホール4を通して脳組織26に挿入されてい
る。このとき、処置用シース3は挿入部8の先端部が脳
組織26内の病変部である血腫27の近傍まで挿入され
ている。なお、図4中で、参照符号28は処置用シース
3の挿入部8が患者2の頭部のバーホール4に挿入され
た状態で処置用シース3の外側部に発生した出血部であ
る。ここで、処置用シース3の基端部は患者の体外に配
置され、この処置用シース3の基端部が手術機器保持装
置5によって保持された状態で維持される。
【0030】また、処置用シース3の内筒部材10と外
筒部材9とが上記構成のように組み合わされた状態で
は、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22
と、外筒部材9の略直線状の第1のスリット孔19との
重なり部分のみが、処置用シース3の内部と外部を空間
的につなぐ、本実施形態における処置孔としての開口部
23を形成していることになる。
【0031】また、本実施の形態の処置用シース3の使
用中、処置用シース3の外側部の出血部28を止血する
場合には、次の作業が行われる。ここで、処置用シース
3の内筒部材10と外筒部材9は透明な材質によって構
成されているため、術者は内視鏡6によって、処置用シ
ース3の管内から、その外部の出血部28を内筒部材1
0と外筒部材9の筒壁部を透過して観察することができ
る。
【0032】そのため、術者は出血部28の位置を確認
した後、固定ねじ17を緩め、固定状態のリング状の連
結部材15と外筒部材9の連結溝部14との間を回動可
能な状態に切換える。これにより、手術機器保持装置5
の連結部材15に対して処置用シース3を軸回り方向に
回転できるようになる。
【0033】その後、術者は連結部材15に対して処置
用シース3を軸回り方向に回転させ、マーカー21を内
視鏡6の観察方向に合わせる。これにより、外筒部材9
の第1のスリット孔19は出血部28に向けた状態で配
置されることとなる。ここで、内筒部材10は透明材質
であるので、図4に示すように術者は透明な操作端部1
2を通してマーカー21を容易に確認できる。
【0034】さらに、マーカー21を出血部28の方向
に合わせた後、固定ねじ17を締め込むことでリング状
の連結部材15と外筒部材9の連結溝部14との間は再
び回転動作が規制された固定状態となる。
【0035】この状態で、次に内筒部材10の操作端部
12の外周のローレット13の部分を術者が手で持ち、
回転させると、内筒部材10のみが軸回り方向に回転す
る。このとき、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリッ
ト孔22の回転動作にともない処置孔としての開口部2
3の位置は図5(A),(B)で示すように処置用シー
ス3の軸方向に連続的に移動する。なお、内筒部材10
と外筒部材9の相対的な回転によるいかなる位相におい
ても、開口部23は処置用シース3の側面上に1つだけ
現れる。この間、術者は出血部28を内視鏡6によって
観察視野に捕らえながら作業を行うことができるので、
開口部23が出血部28の位置に移動、配置されたこと
を確認できる。
【0036】また、処置用シース3の処置孔としての開
口部23が出血部28の位置に移動された後、術者はこ
の開口部23を介して出血部28の止血作業を行うこと
が可能となる。
【0037】そこで、上記構成のものにあっては次の効
果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置用シース3
によれば、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔
22と、外筒部材9の略直線状の第1のスリット孔19
との重なり部分によって処置用シース3の処置孔として
の開口部23を形成している。そして、外筒部材9に対
して内筒部材10の操作端部12を回動操作することに
より、外筒部材9と内筒部材10との間を相対的に回動
させ、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22
と、外筒部材9の略直線状の第1のスリット孔19との
重なり部分の開口部23の位置を移動させることによ
り、処置作業を行うための処置孔の位置をシース3の軸
方向に連続的に移動できるようにした。そのため、一度
体腔内に挿入されたシース3を移動させることなく、か
つシース3内に挿入されている内視鏡や処置具を取り出
す必要もなく、シース3の挿入部8の周囲の出血部28
などの病変部の処置が行える。
【0038】さらに、固定ねじ17によって処置用シー
ス3が手術機器保持装置5の連結部材15に固定された
状態では、Oリング18からの押圧力によって内筒部材
10は外筒部材9に圧接された状態に付勢されているの
で、内筒部材10が不用意に回転することもない。その
ため、一度処置孔29を設定した後に、不用意に処置孔
29が移動することも無く、作業性が良い。
【0039】また、内筒部材10と外筒部材9の相対的
な回転によるいかなる位相においても、開口部23は処
置用シース3の側面上に1つだけなので、従来例のよう
に複数の開口部が存在することによる内視鏡6やその他
の器具類の慎重な挿入作業が求められることもなく、そ
の挿入操作が容易となる。
【0040】また、内筒部材10と外筒部材9は透明部
材によって構成されているため、内視鏡6の観察視野を
広く持つことができる。さらに、その構成が非常に単純
であり安価に実現が可能である。
【0041】なお、本実施形態では、外筒部材9の周壁
面に直線形状の第1のスリット孔19、内筒部材10の
周壁面に螺旋形状の第2のスリット孔22をそれぞれ設
けた構成を示したが、これに限定されるものではなく、
例えば外筒部材9に螺旋形状の第2のスリット孔22、
内筒部材10に直線形状の第1のスリット孔19をそれ
ぞれ設けてもよい。
【0042】また、図6(A)〜(C)は第1の実施の
形態(図1乃至図5(A),(B)参照)の処置用シー
ス3の変形例を示すものである。本変形例は、第1実施
の形態の内筒部材10と外筒部材9の二つのスリット孔
を両方とも螺旋形状に変更したものである。
【0043】すなわち、本変形例では図6(C)に示す
ように外筒部材9の周壁面に図6(B)に示す内筒部材
10の第2のスリット孔22の螺旋形(例えば右ネジ
状)の旋回方向とは逆向きに旋回する螺旋形状(例えば
左ネジ状)の第3のスリット孔31が設けられている。
これにより、図6(A)に示すように外筒部材9の螺旋
形状の第3のスリット孔31と、内筒部材10の螺旋形
状の第2のスリット孔22との重なり部分によって処置
用シース3の処置孔としての開口部32が形成されてい
る。そして、外筒部材9に対して内筒部材10の操作端
部12を回動操作することにより、外筒部材9と内筒部
材10との間を相対的に回動させ、内筒部材10の螺旋
形状の第2のスリット孔22と、外筒部材9の螺旋形状
の第3のスリット孔31との重なり部分の開口部32の
位置を処置用シース3の軸方向に移動させることができ
る。
【0044】そこで、上記構成の本変形例によれば、外
筒部材9の螺旋形状の第3のスリット孔31および内筒
部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22のリード角
度を第1実施形態の内筒部材10の螺旋形状の第2のス
リット孔22のリード角度と同一に設定することによ
り、第1実施形態の内筒部材10の回転角度Aでの開口
部23の移動量をBとした場合に本変形例では内筒部材
10の回転角度Aでの開口部32の移動量を、第1実施
形態の開口部23の移動量Bの2倍の距離にすることが
できる。換言すれば、本変形例の開口部32を第1実施
形態の開口部23と同じ距離だけ移動させるには、第1
実施形態における処置用シース3の操作量の半分の操作
量ですむので、操作量を軽減できる効果がある。
【0045】また、図7乃至図10は本発明の第2の実
施の形態を示すものである。本実施の形態では図7に示
す処置用シース41が設けられている。この処置用シー
ス41には透明な材質で構成された略円筒形状のシース
本体42が設けられている。図9(A)に示すようにこ
のシース本体42の一方の端部には半径rの球形の閉塞
端部43、他方には図9(B)に示す開口端部44がそ
れぞれ形成されている。
【0046】また、このシース本体42には図10に示
すように円筒体を幅Tのスリット幅で二つ割にした略C
字状の断面形状の鞍状部材である2つのシース構成部材
45a,45bが設けられている。
【0047】さらに、このシース本体42の開口端部4
4には内半径rの連結リング46が設けられている。図
8(A)に示すようにこの連結リング46の外周面には
手術機器保持装置5との連結用のリング状の連結溝部4
7が形成されている。この連結溝部47には図7に示す
ように第1の実施の形態と同様に手術機器保持装置5の
先端部に配設されたリング状の連結部材15が回動可能
に嵌合されている。この連結部材15の周壁部に形成さ
れているねじ穴部16には手術機器固定用の固定ねじ1
7が螺着されている。
【0048】また、2つのシース構成部材45a,45
bが向き合う状態で離間対向配置されている。そして、
各シース構成部材45a,45bの開口端部44側が連
結リング46の内側に挿入された状態で連結されてい
る。
【0049】また、図10に示すように各シース構成部
材45a,45bの向かい合う端面にはガイド用の凸部
48が突設されている。このガイド用の凸部48は各シ
ース構成部材45a,45bの向かい合う端面全体に亙
りそれぞれ延設されている。
【0050】さらに、各シース構成部材45a,45b
の向かい合う端面間には透明な軟質材料で構成される細
長い移動シート部材49がスライド可能に配設されてい
る。このシート部材49の両側部には図8(C)に示す
ように各シース構成部材45a,45bの凸部48と係
合可能な凹部50がそれぞれ延設されている。そして、
シート部材49は凹部50と凸部48との嵌合部にガイ
ドされる状態で各シース構成部材45a,45bの向か
い合う端面間に摺動可能に配設されている。
【0051】また、シート部材49には本実施形態にお
ける処置孔部51が形成されている。このシート部材4
9の両端部は連結リング46から処置用シース41の外
部に延出されている。そして、このシート部材49の両
端の2つの延出部52a,52bのいずれか一方を引き
抜き操作することにより、処置孔部51の位置を移動さ
せる処置孔移動手段53が構成されている。
【0052】次に上記構成の本実施の形態の処置用シー
ス41の作用について説明する。本実施の形態の処置用
シース41のシース本体42は透明な材質によって形成
されているため、処置用シース41内に挿入される内視
鏡6によって容易に処置用シース41の外部にある出血
部を確認できる。
【0053】また、処置用シース41の使用中、固定ね
じ17を緩めることにより、手術機器保持装置5の連結
部材15に対して処置用シース41が回動自在となる。
そのため、この状態で術者は内視鏡6の観察下で処置用
シース41を回動してシート部材49を出血部に重なる
ように回転配置することができる。
【0054】さらに、固定ねじ17を締めこみ、処置用
シース41を手術機器保持装置5の連結部材15に固定
した後、図7に示すように処置用シース41の外側に延
出されているシート部材49のいずれか一方の延出部5
2a(または52b)を引き抜き操作することにより、
処置孔部51を出血部の位置まで移動させることができ
る。
【0055】そこで、上記構成のものにあっては次の効
果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置用シース4
1によれば、処置用シース41の外側に延出されている
シート部材49のいずれか一方の延出部52a(または
52b)を引き抜き操作することにより、処置孔部51
の位置をシース41の軸方向に連続的に移動することが
できる。そのため、本実施の形態でも第1の実施の形態
と同様に一度体腔内に挿入されたシース41を移動させ
ることなく、かつシース41内に挿入されている内視鏡
や処置具を取り出す必要もなく、シース41の周囲の出
血部などの病変部の処置が行える効果がある。
【0056】さらに、本実施の形態では特に、シート部
材49に処置孔部51を形成したので、処置孔部51の
形状を任意に製作できるという特有の効果がある。
【0057】また、本実施の形態では処置用シース41
の外側に延出されているシート部材49のいずれか一方
の延出部52a(または52b)を引き抜き操作して孔
部51が処置用シース41上に位置しない状態、すなわ
ちシース41がシース41の先端部やその側部に開口部
がない状態に、シート部材49を調整することができ
る。これにより、シース41は穿刺用鈍針としても使用
することができるため、穿刺用鈍針の交換作業が不要と
なり、処置用シース41を使用した外科手術の作業効率
をより一層高めることができる。
【0058】また、図11乃至図13は本発明の第3の
実施の形態を示すものである。本実施の形態は第2の実
施の形態(図7乃至図10参照)の処置用シース41に
図11に示すようにシート部材49の2つの延出部52
a,52bを巻き取るリール装置61を設けたものであ
る。
【0059】このリール装置61には図12に示すよう
に処置用シース41の連結リング46の両側に配置され
る一対の板状のフレーム部材62a,62bが設けられ
ている。これらのフレーム部材62a,62bは連結リ
ング46を挟んで向き合う状態で対向配置され、それぞ
れ固定ねじ63によって連結リング46に固定されてい
る。
【0060】また、フレーム部材62a,62bの両端
部間には軸64a,64bがそれぞれ架設されている。
これらの軸64a,64bは円柱形状の巻き取りドラム
65a,65bの円柱中心軸に形成された貫通穴内に挿
通されている。そして、ドラム65a,65bは各軸6
4a,64bを中心に回動自在に支持されている。
【0061】さらに、各ドラム65a,65bの一端部
には円盤状のつまみ部66a,66bが一体形成されて
いる。これらのつまみ部66a,66bの外周部にはそ
れぞれ滑り止め用のローレット加工が施されている。そ
して、処置用シース41から延出されるシート部材49
の二つの延出部52a,52bは、巻き取りドラム65
a,65bにそれぞれ巻き付けられている。
【0062】次に、上記構成の本実施の形態の処置用シ
ース41の作用について説明する。本実施の形態の処置
用シース41の使用時に処置孔部51の位置をシース4
1の軸方向に移動する場合にはリール装置61が使用さ
れる。このリール装置61のいずれか一方のつまみ部6
6aを術者が回転させると、ドラム65aが回転し、こ
のドラム65aに巻き付けてあるシート部材49の延出
部52aを巻き上げる。これにより、シート部材49上
の処置孔部51の位置も移動する。
【0063】また、他方のつまみ部66bを回転させれ
ば同様な作用によって、ドラム65bが回転し、シート
部材49の延出部52bを巻き上げる。これにより、シ
ート部材49上の処置孔部51の位置を移動させること
ができる。
【0064】そこで、上記構成のものにあっては次の効
果を奏する。すなわち、本実施の形態ではリール装置6
1のいずれか一方のつまみ部66a(または66b)に
よって処置用シース41の外側に延出されているシート
部材49のいずれか一方の延出部52a(または52
b)を引き上げ操作することにより、処置孔部51の位
置をシース41の軸方向に連続的に移動することができ
る。そのため、本実施の形態でも第1の実施の形態と同
様に一度体腔内に挿入されたシース41を移動させるこ
となく、かつシース41内に挿入されている内視鏡や処
置具を取り出す必要もなく、シース41の周囲の出血部
などの病変部の処置が行える効果がある。
【0065】また、本実施の形態では第2の実施の形態
と同様にシート部材49に処置孔部51を形成したの
で、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。さら
に、本実施の形態では、特に、シート部材49の2つの
延出部52a,52bを巻き取るリール装置61を設け
たので、第2の実施形態の効果に加え、処置用シース4
1から延出されるシート部材49の延出部52a,52
bの巻上げ操作の微調整をより簡素化できる効果があ
る。
【0066】また、図14乃至図17は本発明の第4の
実施の形態を示すものである。本実施の形態は内視鏡下
処置装置71と組み合わせて使用する処置用シース72
を設けたものである。
【0067】この内視鏡下処置装置71で使用される内
視鏡6には例えば特開2001−187067号公報で
示されるセンサーアーム73が取り付けられている。こ
のセンサーアーム73にはLED74が取り付けられて
いる。また、本実施形態における処置用シース72の基
端部には後述する位置検出用のLED75が取り付けら
れている。
【0068】さらに、本実施の形態の内視鏡下処置装置
71には例えば、特開2001−187067号公報で
示される位置情報検出用の撮影手段76が設けられてい
る。この撮影手段76は図17に示す演算装置77に接
続されている。これにより、特開2001−18706
7号公報や、特開平5−305073号公報で示される
公知のナビゲーションシステムが構成されている。そし
て、本実施の形態においては、内視鏡6の観察位置情報
および処置用シース72の位置情報を獲得可能な構成に
なっている。
【0069】また、本実施の形態の処置用シース72は
第3の実施の形態(図11乃至図13参照)の処置用シ
ース41と略同様に構成されている。そのため、本実施
形態において、第3の実施の形態の処置用シース41と
共通する構成部分については、同一符号を付してその説
明を省略する。
【0070】また、本実施の形態の手術機器保持装置5
の先端部には手術機器保持部材78が配設されている。
図16に示すようにこの保持部材78の先端部には円形
状の連結孔部79が形成されている。そして、この連結
孔部79には処置用シース72の連結リング46が回動
自在に係合されている。
【0071】さらに、図16に示すように保持部材78
には公知のロータリーエンコーダ付きの第1のモーター
80が配設されている。この第1のモーター80の回転
出力軸81にはギヤ82が配設されている。
【0072】また、連結リング46の図16中で下側の
端面にはシース回転ギヤ83が固定されている。このシ
ース回転ギヤ83は、アイドラギヤ84を介して、ギヤ
82に噛合されている。ここで、アイドラギヤ84は固
定ピン85によって保持部材78に回動自在に取付けら
れている。これにより、第1のモーター80によって駆
動されるギヤ82の回転力がアイドラギヤ84を介して
シース回転ギヤ83に伝達され、保持部材78の連結孔
部79に対して処置用シース72が軸回り方向に回転駆
動されるようになっている。
【0073】また、本実施の形態の処置用シース72で
は第3の実施の形態のリール装置61の部分が次の通り
変更されている。すなわち、本実施の形態ではリール装
置61の巻き取りドラム65a,65bを回転駆動する
ロータリーエンコーダーを備えた公知の第2,第3のモ
ーター86a,86bが設けられている。
【0074】また、第1のモーター80および第2,第
3の各モーター86a,86bは夫々図示しないケーブ
ルを介して図17に示す制御回路87に接続されてい
る。この制御回路87には術者の足元に配されるフット
スイッチ88が図示しないケーブルを介して接続されて
いる。さらに、この制御回路87にはナビゲーションシ
ステムの演算装置77が接続されている。
【0075】また、本実施の形態の処置用シース72に
はリール装置61を覆うカバー89が設けられている。
このカバー89は、フレーム部材62a,62bに固定
ねじ90によって固定されている。このカバー89の中
央部には処置用シース72の開口部と対応する形の孔9
1が形成されている。さらに、このカバー89の上部に
はLED75が配設されている。
【0076】次に、上記構成の本実施の形態の処置用シ
ース72の作用について説明する。
【0077】まず、リール装置61の使用時には第2の
モーター86aまたは第3のモーター86bのいずれか
一方を回転駆動することによってリール装置61の巻き
取りドラム65a,65bのいずれか一方が回転し、シ
ート部材49を巻き上げる。これにより、シート部材4
9上の処置孔部51の位置を処置用シース72の中心線
方向に沿って移動させることができる。
【0078】また、第1のモーター80の駆動時にはこ
の第1のモーター80によって駆動されるギヤ82の回
転力がアイドラギヤ84を介してシース回転ギヤ83に
伝達され、保持部材78の連結孔部79に対して処置用
シース72がこの処置用シース72の挿入軸回り方向に
回転駆動される。
【0079】また、手術中、術者は処置用シース72の
側面外部に位置する出血部28を内視鏡6によって、透
明部材からなるシース構成部材45aまたは45bを透
過して確認し、フットスイッチ88を押す。すると、ナ
ビゲーションシステムの演算装置77から出力される内
視鏡6と処置用シース72の位置情報を基に、第1のモ
ーター80および第2,第3の各モーター86a,86
bが制御回路87によって制御される。これにより、処
置用シース72が挿入軸回り方向に回転駆動されるとと
もに、リール装置61の巻き取りドラム65a,65b
のいずれか一方が回転してシート部材49を巻き上げ、
シート部材49上の処置孔部51の位置を処置用シース
72の中心線方向に沿って移動させることにより、内視
鏡6の先端部で観察している方向にシート部材49上の
処置孔部51が移動配置される。
【0080】そこで、上記構成のものにあっては次の効
果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置用シース7
2では術者はフットスイッチ88を押すだけでシート部
材49上の処置孔部51を目的の位置に配置することが
可能となり、処置用シース72を使用した外科手術の作
業効率をより一層高めることができる。
【0081】さらに、本発明は上記実施の形態に限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種
々変形実施できることは勿論である。次に、本出願の他
の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。 記 (付記項1) 体腔内に挿入される透明な挿入部と、前
記挿入部に備えられた処置孔とからなるシースにおい
て、前記処置孔を移動させる処置孔移動手段を備えるこ
とを特長とするシース。
【0082】(付記項2) 側部に孔を備えた外筒部材
と、側部に孔を備え前記外筒部材に回動自在に支持され
た内筒部材とが、前記処置孔移動手段を構成することを
特長とする付記項1のシース。
【0083】(付記項3) 前記処置孔移動手段は、筒
状部材と、前記筒状部材の長手方向に設けられたスリッ
ト部と、前記スリット部の端面に配設されたガイド部
と、前記スリット部の間に設けられ、前記ガイド部に沿
って摺動可能な、少なくとも1つ以上の孔を備えたシー
ト状部材と、を備えること特長とする付記項1のシー
ス。
【0084】(付記項4) 外筒部材と内筒部材の少な
くても一方の孔形状が、螺旋形状のスリットとなってい
ることを特長とする付記項2のシース。
【0085】(付記項5) シース上のある位置を特定
可能な入力手段と、前記入力手段の情報に基づき、シー
ト状部材に配設された孔を移動できることを特長とした
付記項3のシース。
【0086】(付記項1〜5の従来技術) 本発明は外
科手術において、体腔内の病変部を観察や処置をする場
合に使用される処置用シースに関する。付記項1〜5に
対する先行技術には、公知の金属製の管状シースや、公
知の管形状の透明シースや、特開平6−114113
や、USP4,769,005がある。
【0087】(付記項1〜5が解決しようとする課題)
従来、例えば、脳神経外科における脳内血腫除去術な
どでは、金属製の、すなわち不透明の管形状シースに穿
刺用鈍針を挿入し、処置対象となる血腫腔内までシース
と共に穿刺する。穿刺用鈍針とシースを脳内の目的の位
置に挿入した次に、術者は穿刺用鈍針のみを引き抜き、
シースの基端部から内視鏡と吸引管をシース内管路に挿
入し、シース挿入先端部の開口部から内視鏡観察下で血
腫を吸引処置する。しかしながら、この方法によれば、
内視鏡の視野はシース挿入先端部の開口部に制約され
る。また、出血が発生した場合、血液によって内視鏡の
観察が不能となるため、術者は止血作業を余儀なく行わ
なければならない。しかしながら、出血部位がシース挿
入部の側部に存在している場合では、出血部位を内視鏡
の視野に捉えるために、術者はシースを経験によって盲
目的かつ慎重に脳内で動かし、シース挿入先端部の開口
部を出血部に移動させていた。そのため術者の疲労が増
大し、如いては手術自体の効率が低下する問題があっ
た。
【0088】一方、シースの材質を透明部材とした公知
の透明シースを用いると、シース挿入部の側部に発生し
た出血部を透明なシース部材を透過して内視鏡によって
観察することが可能となるため、出血部を容易に同定す
ることが可能となる。しかしながらこの方法によっても
前述と同様に、出血部を処置するためにシース挿入先端
部の開口部を出血部まで移動させなければならない。そ
のため、前述と同様な問題があった。これに加え、脳内
血腫の場合、もともと血腫や脳実質などの体組織によっ
て腔が存在しない空間にシースを挿入し、周囲の体組織
に圧排することで腔を確保しているため、一旦シースを
移動すると、移動前にシースによって確保されていた空
間には再び体組織が脳圧によってその空間を埋めること
になる。したがって、止血作業後に血腫部の処置再開す
るためには、術者がもう一度シースを血腫腔内まで挿入
する作業が必要となる。術者は慎重にこの作業を行う必
要があり、前述の問題をさらに助長させることにつなが
っていた。
【0089】また、特開平6−114113に示される
カテーテルシースを応用した場合では、シース外側部に
予め複数個の側孔を設ける構成となる。この構成によれ
ば、シース側部に発生した出血部を、シース自体を動か
すことなく処置することが可能となる。しかしながら、
側孔部には体組織が露出しているため、術者がこのよう
な複数個の側孔を備えたシースに、内視鏡や、吸引管な
どを挿入する際、慎重に挿入操作をしなければならず、
作業が煩雑となり術者の疲労を増大させる問題となる。
【0090】また、シースの長手方向に、かつシース側
部にスリット状の孔を設ける構成が、脳神経外科手術に
用いられる一般的な2つのブレードを持つ開創器や、前
記特開平6−114113から容易に発想できる。しか
しながら、このようなスリット部を具備するシースの場
合でも、前述の複数個の側孔を具備するシースの場合と
同様に、シース内に内視鏡や、吸引管などを挿入する
際、術者は慎重に挿入操作をしなければならず、作業が
煩雑となり術者の疲労を増大させる問題となる。
【0091】USP4,769,005によるカテーテ
ルガイドをシースとして応用した場合では、シースをは
じめに脳内に挿入した状態のままで、シースの挿入部側
部に位置する出血部を処置することが可能となる。しか
しながら、シースの側面部に配設された処置孔としての
開口部近傍に出血部が位置しない場合では、開口部を出
血部に移動させなければならないため、シース自体を移
動させなければならず、前述の管形状シースと同様な問
題があった。
【0092】さらに、シース側部に配設された複数の開
口部から所望の開口部を選択するためには、シースに挿
入された内視鏡や吸引管を一度取り出し、シース基部端
に配設されるキャップを回転することによって開口部を
選択し、再び内視鏡や吸引管を挿入するといった操作を
行わなければならず、この操作の都度手術を中断するこ
とになり作業が煩雑化し、如いては手術自体の効率を低
下させる問題があった。
【0093】(付記項1〜5の目的) 付記項1〜5の
目的は、前述の問題点を解決し、一度体腔内に挿入され
たシースを移動させることなく、かつシース内に挿入さ
れている内視鏡や処置具を取り出す必要もなく、シース
の挿入部周囲の病変部の処置が行え、内視鏡や吸引管の
挿入操作性の良い処置用シースを提供することである。
【0094】(付記項2の作用) 前記第一の筒状部材
と前記第二の筒状部材を回動可能に係合し、夫々の円筒
部材の孔が重なっている部分が、第二の円筒部材の内側
から第1の円筒部材の外側に通じる、すなわち処置作業
を行うための処置孔を形成し、かつ前記2つの筒状部材
の回動位置の位相によって、前記処置孔がシース長手方
向に連続的に移動可能できることである。
【0095】(付記項3の作用) 円筒部材の長手方向
に設けられたスリット部にシート状部材を配設し、前記
シート部材を摺動することによって、前記シート部材に
設けられた処置孔を移動できることである。
【0096】(付記項1〜5の効果) 付記項1〜5記
載の構成によると、シースの処置孔を移動させる移動手
段を備えたことにより、一度患部に挿入したシース自体
を移動させることなくシース挿入部周辺の処置を行うこ
とができるという特有の効果が得られる。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、一度体内に挿入された
シースを移動させることなく、かつシース内に挿入され
ている内視鏡や処置具を取り出す必要もなく、シースの
挿入部の周囲の病変部の処置が行え、内視鏡や吸引管の
挿入操作性の良い処置用シースが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の処置用シースの
使用状態を示す概略構成図。
【図2】 第1の実施の形態の処置用シースを上面から
みた状態を示す平面図。
【図3】 (A)は第1の実施の形態の処置用シースの
外筒部材を示す斜視図、(B)は内筒部材を示す斜視
図。
【図4】 第1の実施の形態の処置用シースを脳組織に
挿入させた状態を示す縦断面図。
【図5】 第1の実施の形態の処置用シースにおける処
置孔の位置をシースの軸方向に連続的に移動する動作を
説明するもので、(A)は処置孔がシースの上部位置に
配置されている状態を示す斜視図、(B)は処置孔がシ
ースの下部位置に移動された状態を示す斜視図。
【図6】 第1の実施の形態の処置用シースの変形例を
示すもので、(A)は外筒部材と内筒部材とを組み付け
た状態を示す要部の斜視図、(B)は第1の実施の形態
の処置用シースの外筒部材を示す斜視図、(C)は内筒
部材を示す斜視図。
【図7】 本発明の第2の実施の形態の処置用シースを
示す全体の斜視図。
【図8】 第2の実施の形態の処置用シースを構成する
主要部品を示すもので、(A)は結合リングの斜視図、
(B)は処置用シースのシース構成部材を示す斜視図、
(C)は移動シート部材を示す斜視図。
【図9】 第2の実施の形態の処置用シースを示すもの
で、(A)は処置用シースの正面図、(B)は(A)の
IXB−IXB線断面図。
【図10】 図9(A)のX−X線断面図。
【図11】 本発明の第3の実施の形態の処置用シース
を示す要部の斜視図。
【図12】 第3の実施の形態の処置用シースを上面か
らみた状態を示す平面図。
【図13】 第3の実施の形態の処置用シースの縦断面
図。
【図14】 本発明の第4の実施の形態における内視鏡
下処置装置のシステム全体の斜視図。
【図15】 第4の実施の形態の処置用シースを示す要
部の斜視図。
【図16】 第4の実施の形態の処置用シースの要部構
成を示す縦断面図。
【図17】 第4の実施の形態における内視鏡下処置装
置の概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
9 外筒部材 10 内筒部材 12 操作端部 19 第1のスリット孔(第1の孔部) 22 第2のスリット孔(第2の孔部) 23 開口部(処置孔) 24 処置孔移動手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体腔内に挿入される透明な管状の挿入部
    の周壁面に処置孔が形成された処置用シースにおいて、 前記挿入部の周壁面の前記処置孔の位置を移動させる処
    置孔移動手段を設けたことを特徴とする処置用シース。
  2. 【請求項2】 前記挿入部は、筒壁部に第1の孔部を備
    えた外筒部材と、筒壁部に第2の孔部を備え、前記外筒
    部材に対して回動自在に支持された内筒部材とから構成
    され、 前記処置孔移動手段は、前記外筒部材と前記内筒部材と
    の間を回動させることにより、前記第1の孔部と前記第
    2の孔部との重なり部分の位置を移動させるものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の処置用シース。
  3. 【請求項3】 前記処置孔移動手段は、前記挿入部の周
    壁面に前記挿入部の軸方向に沿ってスリット部を設け、
    このスリット部に沿って摺動可能なシート状部材に前記
    処置孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の処
    置用シース。
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