JP4059659B2 - 処置用シース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外科手術において、体腔内の病変部を観察や処置をする場合に使用される処置用シースに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、外科手術において、体腔内の病変部を観察や処置をする場合に処置用シースが使用される。この処置用シースとして、従来から公知の金属製の管状シースや、公知の管形状の透明シースや、特開平6−114113号公報や、USP4,769,005などがある。
【0003】
金属製の管状シース、すなわち不透明の管形状シースは従来から、例えば、脳神経外科における脳内血腫除去術などで次の通り使用される。すなわち、不透明の管形状シースに穿刺用鈍針を挿入して一体化した状態で、処置対象となる血腫腔内までシースと共に穿刺する。穿刺用鈍針とシースを脳内の目的の位置に挿入したのち、次に、術者は穿刺用鈍針のみを引き抜く。この状態で、脳内に挿入されているシースの基端部からシース内管路に内視鏡と吸引管を挿入し、シース挿入部の先端開口部から内視鏡観察下で血腫を吸引処置するようになっている。
【0004】
また、公知の透明シースはシースの材質を透明部材としたものである。この公知の透明シースを用いた場合には、シース挿入部の側部に発生した出血部を透明なシース壁部を透過して内視鏡によって観察することが可能となるため、出血部を容易に同定することが可能となる。
【0005】
また、特開平6−114113号公報にはカテーテルシースの外側部に予め複数個の側孔を設ける構成が示されている。この構成によれば、シース側部に発生した出血部を、シース自体を動かすことなく処置することが可能となる。
【0006】
USP4,769,005にはシース挿入部の側面部に処置孔が配設された構成のカテーテルガイドが示されている。このカテーテルガイドをシースとして応用した場合には、シースをはじめに脳内に挿入した状態のままで、シースの挿入部側部に位置する出血部を側面部の処置孔の開口部によって処置することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、脳神経外科における脳内血腫除去術などで従来の金属製の管状シースを使用した場合には内視鏡の視野はシース挿入部の先端開口部に制約されるので、内視鏡の視野が比較的狭い問題がある。
【0008】
また、術中に出血が発生した場合、血液によって内視鏡の観察が不能となるため、術者は止血作業を余儀なく行わなければならない。しかしながら、出血部位がシース挿入部の側部に存在している場合には、出血部位を内視鏡の視野に捉えるために、術者はシースを経験によって脳内で盲目的に、かつ慎重に動かし、シース挿入部の先端開口部を出血部に移動させる難しい作業が必要になる。そのため術者の疲労が増大し、如いては手術自体の効率が低下する問題がある。
【0009】
また、シースの材質を透明部材とした公知の透明シースを用いた場合には、シース挿入部の側部に発生した出血部を透明なシース部材を透過して内視鏡によって観察することが可能となるため、出血部を容易に同定することが可能となる。しかしながら、この場合でも出血部を処置するためには前述と同様に、シース挿入部の先端開口部を出血部まで移動させなければならない。そのため、前述と同様な問題がある。
【0010】
さらに、脳内血腫の場合には、もともと血腫や脳実質などの腔が存在しない体組織にシースを挿入し、このシースよって周囲の体組織を圧排することで腔としての空間を確保しているため、一旦シースを移動すると、移動前にシースによって確保されていた空間には再び体組織が脳圧によってその空間を埋めることになる。したがって、止血作業後に血腫部の処置を再開するためには、術者がもう一度シースを血腫腔内まで挿入する作業が必要となる。術者は慎重にこの作業を行う必要があり、前述の問題をさらに助長させることにつながっていた。
【0011】
また、特開平6−114113号公報に示されるカテーテルシースではシース側部に発生した出血部をシース外側部の側孔から処置することができるので、シース自体を動かすことなくシース側部の出血部を処置することができる。しかしながら、体内に挿入されたカテーテルシースの周囲には体組織が密着されているので、カテーテルシースの複数個の側孔部にはそれぞれ体組織が露出された状態となっている。そのため、術者がこのような複数個の側孔を備えたシースに、内視鏡や、吸引管などを挿入する場合には、慎重に挿入操作をしなければならず、内視鏡や、吸引管などを挿入する作業が煩雑となり、術者の疲労を増大させる問題がある。
【0012】
また、脳神経外科手術に用いられる一般的な2つのブレードを持つ開創器や、特開平6−114113号公報のカテーテルシースのシース側部にシースの軸方向に沿って延出されたスリット状の孔を設ける構成も考えられる。しかしながら、このようなスリット部を備えたシースの場合でも、前述の複数個の側孔を備えたシースの場合と同様に、シース内に内視鏡や、吸引管などを挿入する際、術者は慎重に挿入操作をしなければならず、内視鏡や、吸引管などを挿入する作業が煩雑となり、術者の疲労を増大させる問題がある。
【0013】
また、USP4,769,005によるカテーテルガイドをシースとして応用した場合には、シースをはじめに脳内に挿入した状態のままで、シースの挿入部側部に位置する出血部をシースの側面部の処置孔から処置することが可能となる。しかしながら、シースの側面部の処置孔としての開口部の近傍に出血部が位置していない場合には、シースの側面部の開口部を出血部の位置まで移動させるために、シース全体を移動させなければならず、金属製の管状シースを使用した場合と同様な問題がある。
【0014】
さらに、シース側部に配設された複数の開口部から所望の開口部を選択するためには、シースに挿入された内視鏡や吸引管を一度シースの外に取り出し、シースの基端部に配設されるキャップを回転することによって開口部を選択し、再び内視鏡や吸引管を挿入する操作を行う必要がある。そのため、この操作の都度、手術を中断することになるので、手術が煩雑化し、手術自体の作業効率を低下させる問題がある。
【0015】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、一度体腔内に挿入されたシースを移動させることなく、かつシース内に挿入されている内視鏡や処置具を取り出す必要もなく、シースの挿入部の周囲の病変部の処置が行え、内視鏡や吸引管の挿入操作性の良い処置用シースを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、体腔内に挿入される透明な管状の挿入部の周壁面に処置孔が形成された処置用シースにおいて、体腔内に挿入される前記シースを移動させることなく前記挿入部の周壁面の前記処置孔の位置を連続的に移動させる処置孔移動手段を設けたことを特徴とする処置用シースである。
そして、本請求項1の発明では、体腔内に挿入される前記シースを移動させることなく体腔内に挿入される透明な管状の挿入部の周壁面の処置孔の位置を処置孔移動手段によって連続的に移動させるようにしたものである。
【0017】
請求項2の発明は、前記挿入部は、筒壁部に第1の孔部を備えた外筒部材と、筒壁部に第2の孔部を備え、前記外筒部材に対して回動自在に支持された内筒部材とから構成され、前記処置孔移動手段は、前記外筒部材と前記内筒部材とを回動させることにより、前記第1の孔部と前記第2の孔部との重なり部分の位置を移動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の処置用シースである。
そして、本請求項2の発明では、外筒部材と内筒部材とを相対的に回動させて外筒部材の第1の孔部と、内筒部材の第2の孔部との重なり部分の位置を移動させることにより、内筒部材の内側から外筒部材の外側に通じる、すなわち処置作業を行うための処置孔の位置をシースの軸方向に連続的に移動できるようにしたものである。
【0018】
請求項3の発明は、前記処置孔移動手段は、前記挿入部の周壁面に前記挿入部の軸方向に沿ってスリット部を設け、このスリット部に沿って摺動可能なシート状部材に前記処置孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の処置用シースである。
そして、本請求項3の発明では、挿入部の周壁面のスリット部に沿ってシート状部材を摺動させることにより、シート状部材の処置孔を挿入部の軸方向に沿って移動できるようにしたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図5(A),(B)を参照して説明する。図1は手術台1の上の患者2の頭部に外科手術を行う際に本実施の形態の処置用シース3を使用している状態を示すものである。ここで、患者2の頭部には外科的切開による開頭がなされ、バーホール4が設けられている。そして、このバーホール4内に本実施の形態の処置用シース3が挿入されている。
【0020】
また、手術台1には公知の例えば特開平07−227398号公報で示されるような多関節アーム型の手術機器保持装置5の基端部が固定されている。この手術機器保持装置5の先端部には処置用シース3が取付けられている。そして、この処置用シース3には術部を観察するための公知の内視鏡6や、一般的に脳神経外科手術に用いられる公知の吸引管7などが挿入されるようになっている。
【0021】
また、本実施の形態の処置用シース3には体腔内に挿入される透明な管状の挿入部8が設けられている。この挿入部8には図2に示すように透明な材質で構成された外筒部材9と、透明な材質で構成された内筒部材10とが設けられている。ここで、外筒部材9の内部には内筒部材10が回動可能に挿入される状態で組み付けられて二重管構造の挿入部8が構成されている。
【0022】
また、内筒部材10には図3(A)に示すように挿入部8の先端部(同図中で下端部)外周面にはフランジ状の突起部11が突設されている。さらに、内筒部材10の他端部には大径なフランジ状の操作端部12が形成されている。この操作端部12の外周部には滑り止め用のローレット13が切ってある。
【0023】
また、図3(B)に示すように外筒部材9の基端部側の外周面には手術機器保持装置5との連結用のリング状の連結溝部14が形成されている。この連結溝部14には図4に示すように手術機器保持装置5の先端部に配設されたリング状の連結部材15が回動可能に嵌合されている。この連結部材15の周壁部にはねじ穴部16が貫通状態で形成されている。そして、このねじ穴部16に手術機器固定用の固定ねじ17が螺着されている。
【0024】
また、外筒部材9の両端部は内筒部材10の両端の突起部11と操作端部12とにそれぞれ当接された状態で組み付けられている。ここで、内筒部材10の両端の操作端部12から突起部11までの距離L1と、外筒部材9の両端面間の距離L2との関係はL1>L2となるように設定されている。さらに、内筒部材10の操作端部12と外筒部材9の端部との接合部間には回転重さ出し用のOリング18が予圧をもって装着されている。
【0025】
また、外筒部材9の周壁面には略直線状の第1のスリット孔(第1の孔部)19が外筒部材9の中心軸Oと平行に延設されている。さらに、外筒部材9の基端部の端面20にはマーカー21が配設されている。このマーカー21は外筒部材9の中心軸Oに対して、第1のスリット孔19と同じ方向に向けて配置されている。
【0026】
また、内筒部材10の周壁面には螺旋形状の第2のスリット孔(第2の孔部)22が設けられている。ここで、第2のスリット孔22の螺旋は内筒部材10の基端部から他端部にまで、内筒部材10の外周を1回転する状態で形成されている。すなわち、第2のスリット孔22を内筒部材10の外周に設けられたネジとして例えれば、内筒部材10の基端部から他端部までの距離をBとすると、リードBのネジが切られていることと同様な構成となっている。
【0027】
また、本実施形態では、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22と、外筒部材9の略直線状の第1のスリット孔19との重なり部分によって処置用シース3の処置孔としての開口部23が形成されている。そして、外筒部材9に対して内筒部材10の操作端部12を回動操作することにより、外筒部材9と内筒部材10とを相対的に回動させ、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22と、外筒部材9の略直線状の第1のスリット孔19との重なり部分の開口部23の位置を移動させる処置孔移動手段24が構成されている。
【0028】
次に、上記構成の本実施の形態の処置用シース3の作用について説明する。本実施の形態の処置用シース3の使用時には処置用シース3は手術機器保持装置5によって手術台1に固定維持される。
【0029】
ここで、図4に示すように患者の頭蓋骨25には予め外科的切開による開頭がなされ、バーホール4が設けられている。そして、処置用シース3の挿入部8は、バーホール4を通して脳組織26に挿入されている。このとき、処置用シース3は挿入部8の先端部が脳組織26内の病変部である血腫27の近傍まで挿入されている。なお、図4中で、参照符号28は処置用シース3の挿入部8が患者2の頭部のバーホール4に挿入された状態で処置用シース3の外側部に発生した出血部である。ここで、処置用シース3の基端部は患者の体外に配置され、この処置用シース3の基端部が手術機器保持装置5によって保持された状態で維持される。
【0030】
また、処置用シース3の内筒部材10と外筒部材9とが上記構成のように組み合わされた状態では、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22と、外筒部材9の略直線状の第1のスリット孔19との重なり部分のみが、処置用シース3の内部と外部を空間的につなぐ、本実施形態における処置孔としての開口部23を形成していることになる。
【0031】
また、本実施の形態の処置用シース3の使用中、処置用シース3の外側部の出血部28を止血する場合には、次の作業が行われる。ここで、処置用シース3の内筒部材10と外筒部材9は透明な材質によって構成されているため、術者は内視鏡6によって、処置用シース3の管内から、その外部の出血部28を内筒部材10と外筒部材9の筒壁部を透過して観察することができる。
【0032】
そのため、術者は出血部28の位置を確認した後、固定ねじ17を緩め、固定状態のリング状の連結部材15と外筒部材9の連結溝部14との間を回動可能な状態に切換える。これにより、手術機器保持装置5の連結部材15に対して処置用シース3を軸回り方向に回転できるようになる。
【0033】
その後、術者は連結部材15に対して処置用シース3を軸回り方向に回転させ、マーカー21を内視鏡6の観察方向に合わせる。これにより、外筒部材9の第1のスリット孔19は出血部28に向けた状態で配置されることとなる。ここで、内筒部材10は透明材質であるので、図4に示すように術者は透明な操作端部12を通してマーカー21を容易に確認できる。
【0034】
さらに、マーカー21を出血部28の方向に合わせた後、固定ねじ17を締め込むことでリング状の連結部材15と外筒部材9の連結溝部14との間は再び回転動作が規制された固定状態となる。
【0035】
この状態で、次に内筒部材10の操作端部12の外周のローレット13の部分を術者が手で持ち、回転させると、内筒部材10のみが軸回り方向に回転する。このとき、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22の回転動作にともない処置孔としての開口部23の位置は図5(A),(B)で示すように処置用シース3の軸方向に連続的に移動する。なお、内筒部材10と外筒部材9の相対的な回転によるいかなる位相においても、開口部23は処置用シース3の側面上に1つだけ現れる。この間、術者は出血部28を内視鏡6によって観察視野に捕らえながら作業を行うことができるので、開口部23が出血部28の位置に移動、配置されたことを確認できる。
【0036】
また、処置用シース3の処置孔としての開口部23が出血部28の位置に移動された後、術者はこの開口部23を介して出血部28の止血作業を行うことが可能となる。
【0037】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置用シース3によれば、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22と、外筒部材9の略直線状の第1のスリット孔19との重なり部分によって処置用シース3の処置孔としての開口部23を形成している。そして、外筒部材9に対して内筒部材10の操作端部12を回動操作することにより、外筒部材9と内筒部材10との間を相対的に回動させ、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22と、外筒部材9の略直線状の第1のスリット孔19との重なり部分の開口部23の位置を移動させることにより、処置作業を行うための処置孔の位置をシース3の軸方向に連続的に移動できるようにした。そのため、一度体腔内に挿入されたシース3を移動させることなく、かつシース3内に挿入されている内視鏡や処置具を取り出す必要もなく、シース3の挿入部8の周囲の出血部28などの病変部の処置が行える。
【0038】
さらに、固定ねじ17によって処置用シース3が手術機器保持装置5の連結部材15に固定された状態では、Oリング18からの押圧力によって内筒部材10は外筒部材9に圧接された状態に付勢されているので、内筒部材10が不用意に回転することもない。そのため、一度処置孔29を設定した後に、不用意に処置孔29が移動することも無く、作業性が良い。
【0039】
また、内筒部材10と外筒部材9の相対的な回転によるいかなる位相においても、開口部23は処置用シース3の側面上に1つだけなので、従来例のように複数の開口部が存在することによる内視鏡6やその他の器具類の慎重な挿入作業が求められることもなく、その挿入操作が容易となる。
【0040】
また、内筒部材10と外筒部材9は透明部材によって構成されているため、内視鏡6の観察視野を広く持つことができる。さらに、その構成が非常に単純であり安価に実現が可能である。
【0041】
なお、本実施形態では、外筒部材9の周壁面に直線形状の第1のスリット孔19、内筒部材10の周壁面に螺旋形状の第2のスリット孔22をそれぞれ設けた構成を示したが、これに限定されるものではなく、例えば外筒部材9に螺旋形状の第2のスリット孔22、内筒部材10に直線形状の第1のスリット孔19をそれぞれ設けてもよい。
【0042】
また、図6(A)〜(C)は第1の実施の形態(図1乃至図5(A),(B)参照)の処置用シース3の変形例を示すものである。本変形例は、第1実施の形態の内筒部材10と外筒部材9の二つのスリット孔を両方とも螺旋形状に変更したものである。
【0043】
すなわち、本変形例では図6(C)に示すように外筒部材9の周壁面に図6(B)に示す内筒部材10の第2のスリット孔22の螺旋形(例えば右ネジ状)の旋回方向とは逆向きに旋回する螺旋形状(例えば左ネジ状)の第3のスリット孔31が設けられている。これにより、図6(A)に示すように外筒部材9の螺旋形状の第3のスリット孔31と、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22との重なり部分によって処置用シース3の処置孔としての開口部32が形成されている。そして、外筒部材9に対して内筒部材10の操作端部12を回動操作することにより、外筒部材9と内筒部材10との間を相対的に回動させ、内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22と、外筒部材9の螺旋形状の第3のスリット孔31との重なり部分の開口部32の位置を処置用シース3の軸方向に移動させることができる。
【0044】
そこで、上記構成の本変形例によれば、外筒部材9の螺旋形状の第3のスリット孔31および内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22のリード角度を第1実施形態の内筒部材10の螺旋形状の第2のスリット孔22のリード角度と同一に設定することにより、第1実施形態の内筒部材10の回転角度Aでの開口部23の移動量をBとした場合に本変形例では内筒部材10の回転角度Aでの開口部32の移動量を、第1実施形態の開口部23の移動量Bの2倍の距離にすることができる。換言すれば、本変形例の開口部32を第1実施形態の開口部23と同じ距離だけ移動させるには、第1実施形態における処置用シース3の操作量の半分の操作量ですむので、操作量を軽減できる効果がある。
【0045】
また、図7乃至図10は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態では図7に示す処置用シース41が設けられている。この処置用シース41には透明な材質で構成された略円筒形状のシース本体42が設けられている。図9(A)に示すようにこのシース本体42の一方の端部には半径rの球形の閉塞端部43、他方には図9(B)に示す開口端部44がそれぞれ形成されている。
【0046】
また、このシース本体42には図10に示すように円筒体を幅Tのスリット幅で二つ割にした略C字状の断面形状の鞍状部材である2つのシース構成部材45a,45bが設けられている。
【0047】
さらに、このシース本体42の開口端部44には内半径rの連結リング46が設けられている。図8(A)に示すようにこの連結リング46の外周面には手術機器保持装置5との連結用のリング状の連結溝部47が形成されている。この連結溝部47には図7に示すように第1の実施の形態と同様に手術機器保持装置5の先端部に配設されたリング状の連結部材15が回動可能に嵌合されている。この連結部材15の周壁部に形成されているねじ穴部16には手術機器固定用の固定ねじ17が螺着されている。
【0048】
また、2つのシース構成部材45a,45bが向き合う状態で離間対向配置されている。そして、各シース構成部材45a,45bの開口端部44側が連結リング46の内側に挿入された状態で連結されている。
【0049】
また、図10に示すように各シース構成部材45a,45bの向かい合う端面にはガイド用の凸部48が突設されている。このガイド用の凸部48は各シース構成部材45a,45bの向かい合う端面全体に亙りそれぞれ延設されている。
【0050】
さらに、各シース構成部材45a,45bの向かい合う端面間には透明な軟質材料で構成される細長い移動シート部材49がスライド可能に配設されている。このシート部材49の両側部には図8(C)に示すように各シース構成部材45a,45bの凸部48と係合可能な凹部50がそれぞれ延設されている。そして、シート部材49は凹部50と凸部48との嵌合部にガイドされる状態で各シース構成部材45a,45bの向かい合う端面間に摺動可能に配設されている。
【0051】
また、シート部材49には本実施形態における処置孔部51が形成されている。このシート部材49の両端部は連結リング46から処置用シース41の外部に延出されている。そして、このシート部材49の両端の2つの延出部52a,52bのいずれか一方を引き抜き操作することにより、処置孔部51の位置を移動させる処置孔移動手段53が構成されている。
【0052】
次に上記構成の本実施の形態の処置用シース41の作用について説明する。本実施の形態の処置用シース41のシース本体42は透明な材質によって形成されているため、処置用シース41内に挿入される内視鏡6によって容易に処置用シース41の外部にある出血部を確認できる。
【0053】
また、処置用シース41の使用中、固定ねじ17を緩めることにより、手術機器保持装置5の連結部材15に対して処置用シース41が回動自在となる。そのため、この状態で術者は内視鏡6の観察下で処置用シース41を回動してシート部材49を出血部に重なるように回転配置することができる。
【0054】
さらに、固定ねじ17を締めこみ、処置用シース41を手術機器保持装置5の連結部材15に固定した後、図7に示すように処置用シース41の外側に延出されているシート部材49のいずれか一方の延出部52a(または52b)を引き抜き操作することにより、処置孔部51を出血部の位置まで移動させることができる。
【0055】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置用シース41によれば、処置用シース41の外側に延出されているシート部材49のいずれか一方の延出部52a(または52b)を引き抜き操作することにより、処置孔部51の位置をシース41の軸方向に連続的に移動することができる。そのため、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様に一度体腔内に挿入されたシース41を移動させることなく、かつシース41内に挿入されている内視鏡や処置具を取り出す必要もなく、シース41の周囲の出血部などの病変部の処置が行える効果がある。
【0056】
さらに、本実施の形態では特に、シート部材49に処置孔部51を形成したので、処置孔部51の形状を任意に製作できるという特有の効果がある。
【0057】
また、本実施の形態では処置用シース41の外側に延出されているシート部材49のいずれか一方の延出部52a(または52b)を引き抜き操作して孔部51が処置用シース41上に位置しない状態、すなわちシース41がシース41の先端部やその側部に開口部がない状態に、シート部材49を調整することができる。これにより、シース41は穿刺用鈍針としても使用することができるため、穿刺用鈍針の交換作業が不要となり、処置用シース41を使用した外科手術の作業効率をより一層高めることができる。
【0058】
また、図11乃至図13は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第2の実施の形態(図7乃至図10参照)の処置用シース41に図11に示すようにシート部材49の2つの延出部52a,52bを巻き取るリール装置61を設けたものである。
【0059】
このリール装置61には図12に示すように処置用シース41の連結リング46の両側に配置される一対の板状のフレーム部材62a,62bが設けられている。これらのフレーム部材62a,62bは連結リング46を挟んで向き合う状態で対向配置され、それぞれ固定ねじ63によって連結リング46に固定されている。
【0060】
また、フレーム部材62a,62bの両端部間には軸64a,64bがそれぞれ架設されている。これらの軸64a,64bは円柱形状の巻き取りドラム65a,65bの円柱中心軸に形成された貫通穴内に挿通されている。そして、ドラム65a,65bは各軸64a,64bを中心に回動自在に支持されている。
【0061】
さらに、各ドラム65a,65bの一端部には円盤状のつまみ部66a,66bが一体形成されている。これらのつまみ部66a,66bの外周部にはそれぞれ滑り止め用のローレット加工が施されている。そして、処置用シース41から延出されるシート部材49の二つの延出部52a,52bは、巻き取りドラム65a,65bにそれぞれ巻き付けられている。
【0062】
次に、上記構成の本実施の形態の処置用シース41の作用について説明する。本実施の形態の処置用シース41の使用時に処置孔部51の位置をシース41の軸方向に移動する場合にはリール装置61が使用される。このリール装置61のいずれか一方のつまみ部66aを術者が回転させると、ドラム65aが回転し、このドラム65aに巻き付けてあるシート部材49の延出部52aを巻き上げる。これにより、シート部材49上の処置孔部51の位置も移動する。
【0063】
また、他方のつまみ部66bを回転させれば同様な作用によって、ドラム65bが回転し、シート部材49の延出部52bを巻き上げる。これにより、シート部材49上の処置孔部51の位置を移動させることができる。
【0064】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態ではリール装置61のいずれか一方のつまみ部66a(または66b)によって処置用シース41の外側に延出されているシート部材49のいずれか一方の延出部52a(または52b)を引き上げ操作することにより、処置孔部51の位置をシース41の軸方向に連続的に移動することができる。そのため、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様に一度体腔内に挿入されたシース41を移動させることなく、かつシース41内に挿入されている内視鏡や処置具を取り出す必要もなく、シース41の周囲の出血部などの病変部の処置が行える効果がある。
【0065】
また、本実施の形態では第2の実施の形態と同様にシート部材49に処置孔部51を形成したので、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施の形態では、特に、シート部材49の2つの延出部52a,52bを巻き取るリール装置61を設けたので、第2の実施形態の効果に加え、処置用シース41から延出されるシート部材49の延出部52a,52bの巻上げ操作の微調整をより簡素化できる効果がある。
【0066】
また、図14乃至図17は本発明の第4の実施の形態を示すものである。本実施の形態は内視鏡下処置装置71と組み合わせて使用する処置用シース72を設けたものである。
【0067】
この内視鏡下処置装置71で使用される内視鏡6には例えば特開2001−187067号公報で示されるセンサーアーム73が取り付けられている。このセンサーアーム73にはLED74が取り付けられている。また、本実施形態における処置用シース72の基端部には後述する位置検出用のLED75が取り付けられている。
【0068】
さらに、本実施の形態の内視鏡下処置装置71には例えば、特開2001−187067号公報で示される位置情報検出用の撮影手段76が設けられている。この撮影手段76は図17に示す演算装置77に接続されている。これにより、特開2001−187067号公報や、特開平5−305073号公報で示される公知のナビゲーションシステムが構成されている。そして、本実施の形態においては、内視鏡6の観察位置情報および処置用シース72の位置情報を獲得可能な構成になっている。
【0069】
また、本実施の形態の処置用シース72は第3の実施の形態(図11乃至図13参照)の処置用シース41と略同様に構成されている。そのため、本実施形態において、第3の実施の形態の処置用シース41と共通する構成部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0070】
また、本実施の形態の手術機器保持装置5の先端部には手術機器保持部材78が配設されている。図16に示すようにこの保持部材78の先端部には円形状の連結孔部79が形成されている。そして、この連結孔部79には処置用シース72の連結リング46が回動自在に係合されている。
【0071】
さらに、図16に示すように保持部材78には公知のロータリーエンコーダ付きの第1のモーター80が配設されている。この第1のモーター80の回転出力軸81にはギヤ82が配設されている。
【0072】
また、連結リング46の図16中で下側の端面にはシース回転ギヤ83が固定されている。このシース回転ギヤ83は、アイドラギヤ84を介して、ギヤ82に噛合されている。ここで、アイドラギヤ84は固定ピン85によって保持部材78に回動自在に取付けられている。これにより、第1のモーター80によって駆動されるギヤ82の回転力がアイドラギヤ84を介してシース回転ギヤ83に伝達され、保持部材78の連結孔部79に対して処置用シース72が軸回り方向に回転駆動されるようになっている。
【0073】
また、本実施の形態の処置用シース72では第3の実施の形態のリール装置61の部分が次の通り変更されている。すなわち、本実施の形態ではリール装置61の巻き取りドラム65a,65bを回転駆動するロータリーエンコーダーを備えた公知の第2,第3のモーター86a,86bが設けられている。
【0074】
また、第1のモーター80および第2,第3の各モーター86a,86bは夫々図示しないケーブルを介して図17に示す制御回路87に接続されている。この制御回路87には術者の足元に配されるフットスイッチ88が図示しないケーブルを介して接続されている。さらに、この制御回路87にはナビゲーションシステムの演算装置77が接続されている。
【0075】
また、本実施の形態の処置用シース72にはリール装置61を覆うカバー89が設けられている。このカバー89は、フレーム部材62a,62bに固定ねじ90によって固定されている。このカバー89の中央部には処置用シース72の開口部と対応する形の孔91が形成されている。さらに、このカバー89の上部にはLED75が配設されている。
【0076】
次に、上記構成の本実施の形態の処置用シース72の作用について説明する。
【0077】
まず、リール装置61の使用時には第2のモーター86aまたは第3のモーター86bのいずれか一方を回転駆動することによってリール装置61の巻き取りドラム65a,65bのいずれか一方が回転し、シート部材49を巻き上げる。これにより、シート部材49上の処置孔部51の位置を処置用シース72の中心線方向に沿って移動させることができる。
【0078】
また、第1のモーター80の駆動時にはこの第1のモーター80によって駆動されるギヤ82の回転力がアイドラギヤ84を介してシース回転ギヤ83に伝達され、保持部材78の連結孔部79に対して処置用シース72がこの処置用シース72の挿入軸回り方向に回転駆動される。
【0079】
また、手術中、術者は処置用シース72の側面外部に位置する出血部28を内視鏡6によって、透明部材からなるシース構成部材45aまたは45bを透過して確認し、フットスイッチ88を押す。すると、ナビゲーションシステムの演算装置77から出力される内視鏡6と処置用シース72の位置情報を基に、第1のモーター80および第2,第3の各モーター86a,86bが制御回路87によって制御される。これにより、処置用シース72が挿入軸回り方向に回転駆動されるとともに、リール装置61の巻き取りドラム65a,65bのいずれか一方が回転してシート部材49を巻き上げ、シート部材49上の処置孔部51の位置を処置用シース72の中心線方向に沿って移動させることにより、内視鏡6の先端部で観察している方向にシート部材49上の処置孔部51が移動配置される。
【0080】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置用シース72では術者はフットスイッチ88を押すだけでシート部材49上の処置孔部51を目的の位置に配置することが可能となり、処置用シース72を使用した外科手術の作業効率をより一層高めることができる。
【0081】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 体腔内に挿入される透明な挿入部と、前記挿入部に備えられた処置孔とからなるシースにおいて、前記処置孔を移動させる処置孔移動手段を備えることを特長とするシース。
【0082】
(付記項2) 側部に孔を備えた外筒部材と、側部に孔を備え前記外筒部材に回動自在に支持された内筒部材とが、前記処置孔移動手段を構成することを特長とする付記項1のシース。
【0083】
(付記項3) 前記処置孔移動手段は、筒状部材と、前記筒状部材の長手方向に設けられたスリット部と、前記スリット部の端面に配設されたガイド部と、前記スリット部の間に設けられ、前記ガイド部に沿って摺動可能な、少なくとも1つ以上の孔を備えたシート状部材と、を備えること特長とする付記項1のシース。
【0084】
(付記項4) 外筒部材と内筒部材の少なくても一方の孔形状が、螺旋形状のスリットとなっていることを特長とする付記項2のシース。
【0085】
(付記項5) シース上のある位置を特定可能な入力手段と、前記入力手段の情報に基づき、シート状部材に配設された孔を移動できることを特長とした付記項3のシース。
【0086】
(付記項1〜5の従来技術) 本発明は外科手術において、体腔内の病変部を観察や処置をする場合に使用される処置用シースに関する。付記項1〜5に対する先行技術には、公知の金属製の管状シースや、公知の管形状の透明シースや、特開平6−114113や、USP4,769,005がある。
【0087】
(付記項1〜5が解決しようとする課題) 従来、例えば、脳神経外科における脳内血腫除去術などでは、金属製の、すなわち不透明の管形状シースに穿刺用鈍針を挿入し、処置対象となる血腫腔内までシースと共に穿刺する。穿刺用鈍針とシースを脳内の目的の位置に挿入した次に、術者は穿刺用鈍針のみを引き抜き、シースの基端部から内視鏡と吸引管をシース内管路に挿入し、シース挿入先端部の開口部から内視鏡観察下で血腫を吸引処置する。しかしながら、この方法によれば、内視鏡の視野はシース挿入先端部の開口部に制約される。また、出血が発生した場合、血液によって内視鏡の観察が不能となるため、術者は止血作業を余儀なく行わなければならない。しかしながら、出血部位がシース挿入部の側部に存在している場合では、出血部位を内視鏡の視野に捉えるために、術者はシースを経験によって盲目的かつ慎重に脳内で動かし、シース挿入先端部の開口部を出血部に移動させていた。そのため術者の疲労が増大し、如いては手術自体の効率が低下する問題があった。
【0088】
一方、シースの材質を透明部材とした公知の透明シースを用いると、シース挿入部の側部に発生した出血部を透明なシース部材を透過して内視鏡によって観察することが可能となるため、出血部を容易に同定することが可能となる。しかしながらこの方法によっても前述と同様に、出血部を処置するためにシース挿入先端部の開口部を出血部まで移動させなければならない。そのため、前述と同様な問題があった。これに加え、脳内血腫の場合、もともと血腫や脳実質などの体組織によって腔が存在しない空間にシースを挿入し、周囲の体組織に圧排することで腔を確保しているため、一旦シースを移動すると、移動前にシースによって確保されていた空間には再び体組織が脳圧によってその空間を埋めることになる。したがって、止血作業後に血腫部の処置再開するためには、術者がもう一度シースを血腫腔内まで挿入する作業が必要となる。術者は慎重にこの作業を行う必要があり、前述の問題をさらに助長させることにつながっていた。
【0089】
また、特開平6−114113に示されるカテーテルシースを応用した場合では、シース外側部に予め複数個の側孔を設ける構成となる。この構成によれば、シース側部に発生した出血部を、シース自体を動かすことなく処置することが可能となる。しかしながら、側孔部には体組織が露出しているため、術者がこのような複数個の側孔を備えたシースに、内視鏡や、吸引管などを挿入する際、慎重に挿入操作をしなければならず、作業が煩雑となり術者の疲労を増大させる問題となる。
【0090】
また、シースの長手方向に、かつシース側部にスリット状の孔を設ける構成が、脳神経外科手術に用いられる一般的な2つのブレードを持つ開創器や、前記特開平6−114113から容易に発想できる。しかしながら、このようなスリット部を具備するシースの場合でも、前述の複数個の側孔を具備するシースの場合と同様に、シース内に内視鏡や、吸引管などを挿入する際、術者は慎重に挿入操作をしなければならず、作業が煩雑となり術者の疲労を増大させる問題となる。
【0091】
USP4,769,005によるカテーテルガイドをシースとして応用した場合では、シースをはじめに脳内に挿入した状態のままで、シースの挿入部側部に位置する出血部を処置することが可能となる。しかしながら、シースの側面部に配設された処置孔としての開口部近傍に出血部が位置しない場合では、開口部を出血部に移動させなければならないため、シース自体を移動させなければならず、前述の管形状シースと同様な問題があった。
【0092】
さらに、シース側部に配設された複数の開口部から所望の開口部を選択するためには、シースに挿入された内視鏡や吸引管を一度取り出し、シース基部端に配設されるキャップを回転することによって開口部を選択し、再び内視鏡や吸引管を挿入するといった操作を行わなければならず、この操作の都度手術を中断することになり作業が煩雑化し、如いては手術自体の効率を低下させる問題があった。
【0093】
(付記項1〜5の目的) 付記項1〜5の目的は、前述の問題点を解決し、一度体腔内に挿入されたシースを移動させることなく、かつシース内に挿入されている内視鏡や処置具を取り出す必要もなく、シースの挿入部周囲の病変部の処置が行え、内視鏡や吸引管の挿入操作性の良い処置用シースを提供することである。
【0094】
(付記項2の作用) 前記第一の筒状部材と前記第二の筒状部材を回動可能に係合し、夫々の円筒部材の孔が重なっている部分が、第二の円筒部材の内側から第1の円筒部材の外側に通じる、すなわち処置作業を行うための処置孔を形成し、かつ前記2つの筒状部材の回動位置の位相によって、前記処置孔がシース長手方向に連続的に移動可能できることである。
【0095】
(付記項3の作用) 円筒部材の長手方向に設けられたスリット部にシート状部材を配設し、前記シート部材を摺動することによって、前記シート部材に設けられた処置孔を移動できることである。
【0096】
(付記項1〜5の効果) 付記項1〜5記載の構成によると、シースの処置孔を移動させる移動手段を備えたことにより、一度患部に挿入したシース自体を移動させることなくシース挿入部周辺の処置を行うことができるという特有の効果が得られる。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、一度体内に挿入されたシースを移動させることなく、かつシース内に挿入されている内視鏡や処置具を取り出す必要もなく、シースの挿入部の周囲の病変部の処置が行え、内視鏡や吸引管の挿入操作性の良い処置用シースが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の処置用シースの使用状態を示す概略構成図。
【図2】 第1の実施の形態の処置用シースを上面からみた状態を示す平面図。
【図3】 (A)は第1の実施の形態の処置用シースの外筒部材を示す斜視図、(B)は内筒部材を示す斜視図。
【図4】 第1の実施の形態の処置用シースを脳組織に挿入させた状態を示す縦断面図。
【図5】 第1の実施の形態の処置用シースにおける処置孔の位置をシースの軸方向に連続的に移動する動作を説明するもので、(A)は処置孔がシースの上部位置に配置されている状態を示す斜視図、(B)は処置孔がシースの下部位置に移動された状態を示す斜視図。
【図6】 第1の実施の形態の処置用シースの変形例を示すもので、(A)は外筒部材と内筒部材とを組み付けた状態を示す要部の斜視図、(B)は第1の実施の形態の処置用シースの外筒部材を示す斜視図、(C)は内筒部材を示す斜視図。
【図7】 本発明の第2の実施の形態の処置用シースを示す全体の斜視図。
【図8】 第2の実施の形態の処置用シースを構成する主要部品を示すもので、(A)は結合リングの斜視図、(B)は処置用シースのシース構成部材を示す斜視図、(C)は移動シート部材を示す斜視図。
【図9】 第2の実施の形態の処置用シースを示すもので、(A)は処置用シースの正面図、(B)は(A)のIXB−IXB線断面図。
【図10】 図9(A)のX−X線断面図。
【図11】 本発明の第3の実施の形態の処置用シースを示す要部の斜視図。
【図12】 第3の実施の形態の処置用シースを上面からみた状態を示す平面図。
【図13】 第3の実施の形態の処置用シースの縦断面図。
【図14】 本発明の第4の実施の形態における内視鏡下処置装置のシステム全体の斜視図。
【図15】 第4の実施の形態の処置用シースを示す要部の斜視図。
【図16】 第4の実施の形態の処置用シースの要部構成を示す縦断面図。
【図17】 第4の実施の形態における内視鏡下処置装置の概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
9 外筒部材
10 内筒部材
12 操作端部
19 第1のスリット孔(第1の孔部)
22 第2のスリット孔(第2の孔部)
23 開口部(処置孔)
24 処置孔移動手段
Claims (3)
- 体腔内に挿入される透明な管状の挿入部の周壁面に処置孔が形成された処置用シースにおいて、
体腔内に挿入される前記シースを移動させることなく前記挿入部の周壁面の前記処置孔の位置を連続的に移動させる処置孔移動手段を設けたことを特徴とする処置用シース。 - 前記挿入部は、筒壁部に第1の孔部を備えた外筒部材と、筒壁部に第2の孔部を備え、前記外筒部材に対して回動自在に支持された内筒部材とから構成され、
前記処置孔移動手段は、前記外筒部材と前記内筒部材との間を回動させることにより、前記第1の孔部と前記第2の孔部との重なり部分の位置を移動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の処置用シース。 - 前記処置孔移動手段は、前記挿入部の周壁面に前記挿入部の軸方向に沿ってスリット部を設け、このスリット部に沿って摺動可能なシート状部材に前記処置孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の処置用シース。
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