JP2003149180A - 1次元または2次元検出器を用いた粉末x線回折データ測定方法 - Google Patents
1次元または2次元検出器を用いた粉末x線回折データ測定方法Info
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Abstract
管位置敏感検出器(PSPC)、イメージングプレー
ト、大型CCD検出器〕を用いたX線及び放射光粉末回
折データの測定に利用される。 【解決手段】 X線源として放射光の様な高エネルギー
X線を使用した場合において、回折計等の測定装置に取
り付けた検出器をX線検出単位(ピクセル)の間隔より
も細かく移動させ、ピクセル間を補間するデータを測定
し、それらのデータを合成することにより、検出器の検
出単位により制限されていた測定の空間分解能を向上さ
せるものである。
Description
以下のものがある。1次元及び2次元検出器〔例えは、
比例計数管位置敏感検出器(PSPC)、イメージング
プレート、大型CCD検出器〕を用いたX線及び放射光
粉末回折データの測定に利用される。
的な課題は、角度分解能と、データの統計精度の向上を
効率的に行うことである。統計精度の問題を解決するひ
とつの手段として、1次元及び2次元検出器の導入があ
る。これにより、粉末回折データ全体を計測するための
時間を短くすることができる一方、個々の計測点での測
定時間は、粉末回折データ全体を計測する時間と等しく
なるため、従来よりも、1桁以上、短くすることが可能
になり、飛躍的な統計精度の向上を効率的に行える。
線源として放射光の様に高い指向性を持つX線源を用い
て平行ビームによるX線回折実験を行うことが有効であ
る。しかし、データの角度分解能の向上により、逆に測
定する側の検出器の位置分解能、すなわち検出単位のサ
イズによる測定限界の制限を受けることになる。たとえ
ば、イメージングプレート等のデータの検出単位(ピク
セル)よりも細かい情報を得る事はできない。よって、
より細かな、すなわち分解能の高いデータを測定するた
めに、検出単位そのもののミクロ化及び、検出器を搭載
する回折計等の装置の大型化による検出単位の見かけの
分解能の向上が図られてきた。
回折角度に対する分解能であり、角度分解能が高いとは
粉末X線プロフィルの半値幅(強度が半分のところの幅
を回折角度で表したもの)の狭さで表現したもので、そ
の単位は角度である。
ーのメモリー作用を持つ光輝尽発光性物質をプラスティ
ックフィルムに塗布した、新しいX線フィルムである。
よって、PSPCやCCDの様に検出器の絶対位置に固
定された検出素子による計測と異なり、フィルム上(2
0cm×40cm)の任意の位置でのX線検出が可能
で、任意の位置に検出単位を設定できる。また、高い感
度と広い適正露光域を持つという優れた性能のため、現
在、最も汎用性の高い2次元検出器の一つとなってい
る。
線回折データの測定を例にとれば、 (1) 1990年初頭には検出単位であるピクセルサ
イズは100μm角の大きさであった。現在、技術開発
により50μm角から25μm角まで向上した。しかし
ながら、まだ銀塩フィルムの分解能〜10μm角に到達
するためには時間を要する。
回折装置を大型化し、測定距離を伸ばす事により見かけ
上の分解の向上を図る方法がある。しかし、距離を2倍
にしても、分解能は2倍あがるだけで、装置の大型化の
割に格段の向上が望めない。
能のX線源の登場により、検出器の分解能の向上の要望
が強くなってきている。以上のように、1次元及び2次
元検出器を用いたX線回折データの測定について分解能
を向上させるためには新たな発想による分解能向上が課
題となっていた。
いた場合の、位置分解能向上についての従来技術はX線
医療機器等に利用される放射線撮像装置で、2次元アレ
イセンサを画素幅の2分の1の距離だけ上下左右に位置
をずらして測定し2次元画像データを得るものがある
(特開平4−372892号公報)。
単位より小さなマスクを配し、マスクと検出器をお互い
に移動させて細かい2次元画像を得るもの(特開平6−
82305号公報)、X線干渉計における撮像装置にお
いて2次元検出器を微小距離移動して撮像データを合成
し、検出器個々の検出効率で補正を行い、空間分解能を
高めるもの(特開平11−51881号公報)、1次元
のX線検出器を微小距離移動させ細かい2次元画像を得
るもの(特開平1−10220号公報)がある。 同様
の技術は、その他に、多数個の放射線検出素子を一次元
状に配列した検出素子列を複数列並べた検出器アレイを
所定方向に移動させつつ、各素子の出力をフォトンカウ
ンティング方式に基づいてデータ収集することにより、
二次元状の放射線像を撮像するもの(特開平4−204
283号公報)、及びX線やγ線等の放射線をファンビ
ーム角をもって曝射するようにした放射線CT装置にお
いて、特に放射線源及び検出器を相対的に平行移動させ
るトランスレート動作と被検体の周りに回転移動させる
ローテート動作とを順次繰り繰り返すことにより、被検
体の断層画像を再構成するもの(特開平2−20125
3号公報)がある。
は2次元検出器を用いたX線撮像のための分解能を向上
させるための装置及び方法が提案されている。しかし、
これらの先行技術では、粉末X線回折データの測定にお
いて、以下の課題を解決しなければならない。
基づくX線である放射光の様に入射強度が不安定で変動
を伴うX線回折データの計測に対しては、測定強度が変
動し、従来技術ではデータ合成がうまくいかず、機能し
ない。
ームX線を用いることにより、非常に高分解能で形状の
複雑な回折データを測定する場合、検出素子の形状補正
及び検出効率の補正を伴う従来技術(特開平11−51
881号公報)は、上記1)の課題と相関が強くデータ
補正に任意性が残る。
の様な入射強度の経時減衰を本質的に有し、高い指向性
を持つ平行ビームX線を用いたことにより生じた課題を
解決しつつ、1次元又は2次元検出器を用いて、角度分
解能の高い粉末回折データを精度よく測定するため、1
次元又は2次元検出器を用いたX線粉末回折データの角
度分解能の向上を図ものである。
は、1次元検出器(PSPC)や2次元検出器(イメー
ジングプレート(IP))を固定又は移動してデータ測
定を行っていたが、本発明の方法では、X線源として放
射光の様な高い平行性を持つ平行ビームX線を使用した
高分解能粉末回折実験の場合において、回折計等の測定
装置に取り付けた検出器をX線検出単位(ピクセル)の
間隔よりも細かく移動させ、ピクセル間を補間するデー
タを測定し、それらのデータを合成することにより、検
出器の検出単位により制限されていた測定の空間分解能
(イメージジングプレートのピクセルの細かさ)を向上
させるものである。これにより、分解能向上のための装
置の大型化及び検出器の微小化がなくても、原理的に分
解能の向上を図ることができる。
空間分解能の向上の方法については、上記の類似の従来
技術があるが、本発明においては、最終データを合成す
る際に、粉末回折データのバックグランド強度をもと
に、個々のデータのスケーリングを行うことにより、上
記の従来技術における課題1)を解決した。本発明のこ
の技術により、放射光X線強度の変動を、データを合成
する時点で同時に補正することができる。特に、本発明
の方法の中で、バックグランドでの強度平均による、2
種類のデータの測定強度のスケーリングを行う技術は、
必要不可欠な技術的特徴点であり、加速器を用いたシン
クロトロン放射に基づく放射光の様に強度の時間経過に
よる減衰を本質的に有するX線を用いた実験では特に威
力を発揮するものである。
の検出器を採用することにより、非常に広い範囲の計測
(20cm×40cm)を一度に行え、任意に検出単位
の位置を設定しかつ、広い範囲にわたって一度に検出で
きる。更に、検出効率の補正を必要としない2次元検出
器の導入により、データ合成については、検出素子の形
状や検出効率の補正を必要とせず上記2)の課題を解決
している。
次元検出器の場合、移動方向とは垂直の方向のデータを
数ピクセル分積算したものを用いて、1次元の粉末回折
データとすることにより、積算ピクセル分だけデータの
統計精度が向上する。特に、本発明では、2次元検出器
を用いる場合、合成方向とは垂直の方向のデータ列につ
いては、粉末回折プロファイルの分解能を損なわない程
度で、数画素積算し強度の統計精度を上げることができ
る。これについては従来技術はない。
出器による測定に応用した例を図1に模式的に示す。こ
れはガウス分布を持つ強度分布を測定したものである。
この例では、検出器の最小検出単位(ピクセル)の大き
さは100μm角とし、その強度分布を発する発信源か
らの見込み角度が回折データ測定の際の角度分解能の単
位となる。
定した通常の測定の結果である。最小検出単位の大きさ
が検出限界、すなわち分解能となる。横軸の角度分解能
は発信源からの距離をa(m)とすると100/a(μ
rad)である。強度分布が角度分解能に比較して狭
いため、強度分布のプロファイルを■の点だけでは十分
に得る事ができないのがわかる。
るデータが得られるように、検出器を搭載した装置をス
テッピングモーター等で精度よく移動させ、データ2
(○)を測定する。
成する事により、一番下の補間合成データが得られる。
これにより、ガウス分布を持つ強度プロプァイルを、は
っきりと測定する事が可能である。
入射X線強度の減衰により図2(a)のように回折強度
データが相対的に変化して、2つのデータ合成が正しく
行えない。その場合は、2つのデータにおいて同じ強度
であるべきバックグランドの、比較的平らな部分の強度
の平均値から、データ1とデータ2の強度の割合を算出
し(図の場合は1.149:1.000)その比率で強
度のスケーリングをすることで、図2(b)の様に入射
X線強度データの変化を補正し2つのデータの合成がで
きる。この点が本発明による方法の独自技術である。
の方法をX線粉末回折実験への実際の応用例である。即
ち、大型放射光施設SPring−8のBL02B2で
データを測定したものである。この場合の検出器のピク
セルの大きさは50μm角である。データ1とデータ2
がお互いにデータ間を補間し、X線回折強度のプロファ
イルを本発明のアイデアにより詳細に測定できた事を示
している。
ng−8 BL02B2の粉末X線回折実験に本発明の
方法を応用した例である。試料はNIST(National i
nstitute of Standards & Technology)のLaB6 の標
準試料(Standard Reference Material 660)を用い、検
出器としてイメージングプレートを用いた。図のデータ
点がイメージングプレートのそれぞれのピクセルで測定
された回折X線の強度を表す。
統計精度をあげる手段に基づき、紙面の垂直方向に並ん
だピクセル方向に50ピクセル分強度を積算し、50倍
の強度を得ている。
定した回折プロファイルがデータ1である。次に、イメ
ージングプレートを1ピクセルの半分に対応する距離だ
け移動させて測定したものがデータ2である。このよう
に従来の測定技術では、データ1、データ2では回折プ
ロファイルの形をきれいに測定できていないのがわか
る。
ータは、回折プロファイルの形が詳細に表されており、
図1のとおりの発明の効果が明確に見て取れる。また、
粉末X線構造解析においては、このプロファイルで表さ
れた面積が、結晶構造決定に必要な積分反射強度とな
る。よって、正しい積分反射強度を測定する、すなわち
正しい結晶構造決定にとって本発明は重要な測定技術と
なる。
ータと、本発明に基づくデータ合成を行った測定データ
について、一般的な粉末X線構造解析であるリートベル
ト解析による構造決定の例を図5に示す。積分反射強度
Iobsと結晶構造モデルから計算された強度Icalとすると
構造解析の信頼度因子は100×|Ical-Iobs|/Iobsで表さ
れる。測定強度と計算強度の一致の度合いを表す指標で
ある。決定された結晶構造の信頼度因子(R1)はデー
タ合成を行わなかったものがR1=1.9%、本発明に
よる測定データがR1=1.5%である。
知られており、信頼度因子の値が低いほうが強度データ
の信頼性が高いことになる。標準試料を用いた構造解析
において信頼度因子が1.9%から1.5%へ2割弱向
上することは解析精度の飛躍的な向上を意味し、本発明
が、粉末X線回折データ測定の分解能の向上ならびに、
信頼性の向上に大きく貢献していることを示している。
よる方法での測定を行うための装置図である。ここで
は、イメージングプレート、もしくは湾曲型PSPCを
検出器としている。検出単位の大きさはこの図では10
0μmとしている。検出器は試料から散乱されたX線を
それぞれの検出単位で測定する。データ1を測定した
後、湾曲型の検出器を、試料周りに検出単位が50μm
ずれるように回転させる。そして、もう一度、測定を行
いデータ2を得る。その後、2つのデータを合成する。
検出器の形態は、目的により平面でも同様の取り扱いが
できる。
クセルに当たって測定され、中央の1本がピクセルとピ
クセルとの狭間にあたって測定されない。下図では、ピ
クセルの半分をずらしたため、中央の1本がピクセルに
当たって測定され、両端の2本はピクセルの狭間に当た
って測定されない。
の不安定なX線回折測定においても、測定装置に取り付
けた検出器をX線検出単位(ピクセル)の間隔の1/nだ
け細かく移動させながら、ピクセル間を補間するデータ
をn回測定し、入射強度変動をデータの一部を使って補
正した上で、それらのデータを合成することにより、検
出器の検出単位により制限されていた測定の空間分解能
をn倍向上させる、という本発明に特有の顕著な効果を
生ずる。
めの装置の大型化及び検出単位の微小化がなくても、分
解能の向上を図る事ができ、又2次元検出器の場合、移
動方向とは垂直の方向のデータを数ピクセル分積算した
ものを用いて、1次元の粉末回折データとすることがで
きるので、積算ピクセル分だけデータの統計精度が向上
する、という本発明に特有な顕著な効果を生ずる。
分布を測定した場合を示す図である。
データ2を示す図であり、(b)はスケーリングしたデ
ータを合成した結果を示す図である。
大型放射光施設SPring−8のBL02B2のデー
タから得られたX線回折強度のプロファイルを示す図で
ある。
LaB6を試料として使用することにより、粉末X線回
折実験に本発明の方法を応用して得られた回折X線の強
度を表す図である。
による測定データ(b)について、一般的な粉末X線構
造解析であるリートベルト解析による結晶構造決定の信
頼度因子を示す図である。
示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 1次元または2次元検出器を用い、線源
として指向性の高い平行ビームX線を用いた高分解能粉
末X線回折データ測定方法において、測定装置に取り付
けた検出器をX線検出単位(ピクセル)の間隔を任意の
数nで割った等間隔で細かく移動させ、ピクセル間をn
分割して補間するデータを測定し、移動前と移動後のn
種類のデータを合成することにより、検出器の検出単位
により制限されていた測定の位置分解能をn倍向上させ
ることを特徴とする方法。 - 【請求項2】 1次元または2次元検出器を用い、X線
源として高い指向性を持つ平行ビーム光源である放射光
を用いた高分解能粉末X線回折データ測定方法におい
て、測定装置に取り付けた検出器をX線検出単位(ピク
セル)の間隔を、任意の数nで割った等間隔で細かく移
動させ、ピクセル間をn分割して補間するデータを測定
し、それぞれのデータを合成する際に生ずる入射放射光
の減衰による強度データの相対的変化に対して、検出デ
ータのバックグランドの比較的平らな部分の測定強度の
平均値からそれぞれのデータ間の測定強度の割合を算出
し、その割合比率で測定強度のスケーリングをすること
によって合成データを得ることからなる、検出器の検出
単位により制限されていた測定の位置分解能をn倍向上
させることを特徴とする方法。 - 【請求項3】 1次元または2次元検出器を用い、X線
源として高い指向性を持つ平行ビーム光源である放射光
を用いた高分解能粉末X線回折データ測定方法におい
て、測定装置に取り付けた前記検出器をX線検出単位
(ピクセル)の間隔を、任意の数nで割った等間隔で細
かく移動させ、ピクセル間をn分割して補間するデータ
を測定し、それらのデータを合成する際に、合成方向と
は垂直の方向のデータ列について、粉末回折プロファイ
ルの分解能を損なわない程度で数画素積算して強度の統
計精度を上げることからなる、検出器の検出単位により
制限されていた測定の位置分解能をn倍向上させること
を特徴とする方法。 - 【請求項4】 上記nが1乃至10の整数である請求項1
乃至請求項3のいずれかに記載の方法。
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