JP2003147363A - カイラルネマチック液晶組成物の調製方法及び液晶表示素子 - Google Patents

カイラルネマチック液晶組成物の調製方法及び液晶表示素子

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JP2003147363A
JP2003147363A JP2001352817A JP2001352817A JP2003147363A JP 2003147363 A JP2003147363 A JP 2003147363A JP 2001352817 A JP2001352817 A JP 2001352817A JP 2001352817 A JP2001352817 A JP 2001352817A JP 2003147363 A JP2003147363 A JP 2003147363A
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chiral
nematic liquid
chiral nematic
crystal composition
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JP2001352817A
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Chiyoji Nozaki
千代志 野崎
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 選択反射波長の異なる複数のカイラルネマチ
ック液晶組成物それぞれで屈折率異方性、誘電率異方性
などの物性をほぼ等しくしながら選択反射波長を異なら
せることができるカイラルネマチック液晶組成物の調製
方法、及び選択反射波長が異なるカイラルネマチック液
晶組成物を含む少なくとも二つの液晶層を有し、屈折率
異方性、誘電率異方性などの物性が前記カイラルネマチ
ック液晶組成物間でほぼ同じである液晶表示素子を提供
する。 【解決手段】 例えば、ネマチック液晶Nにカイラル材
料C1を添加するに際して、カイラル材料C1として、
光学活性部位を有し旋光方向が互いに逆方向の鏡像異性
体S、Rの混合物を含むものを用いる。該混合物のうち
一方の鏡像異性体Sと、他方の鏡像異性体Rとの混合比
率を液晶組成物g1、r1それぞれで異ならせることに
より、液晶組成物g1、r1の選択反射波長をそれぞれ
異ならせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカイラルネマチック
液晶組成物の調製方法及び液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、基本的に一対の基板と
これら基板間に挟持された液晶層とを含んでいる。この
液晶層に駆動電圧を印加することで液晶分子の配列を制
御し、素子に入射される外光を変調して目的とする画像
の表示等を行う。
【0003】液晶表示方式は様々なものが提案されてい
る。
【0004】近年、ネマチック液晶にカイラル材料を添
加することにより、室温においてコレステリック相を示
すようにしたカイラルネマチック液晶組成物を用いた液
晶表示素子が研究されている。
【0005】このタイプの液晶表示素子は、例えば、カ
イラルネマチック液晶組成物の選択反射能を利用した低
消費電力駆動可能の反射型の液晶表示素子として用い得
ることが知られている。
【0006】この反射型液晶表示素子では高低のパルス
電圧を印加することにより液晶をプレーナ状態(着色状
態)とフォーカルコニック状態(透明状態)に切り替え
て表示を行なうことができる。
【0007】そして、かかるパルス電圧の印加を停止し
た後でも、プレーナ状態、フォーカルコニック状態、或
いはその混在状態が保持されるという、いわゆる双安定
性或いはメモリー性を示し、これにより、電圧の印加を
停止した後も表示が保たれるようにすることが可能であ
る。
【0008】また、この液晶表示素子のフルカラー表示
を実現する一つの方法として、赤色表示を行うR液晶
層、緑色表示を行うG液晶層及び青色表示を行うB液晶
層の少なくとも三つの液晶層を含む積層型液晶表示素子
を採用することができる。
【0009】いずれにしても、カイラルネマチック液晶
組成物はネマチック液晶にカイラル材料が添加され調製
されるときに所望の選択反射波長が得られるように選択
反射波長が調節される。
【0010】従来のカイラルネマチック液晶組成物の選
択反射波長の調節は、添加するカイラル材料の種類や添
加量を変えることで行っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カイラ
ルネマチック液晶組成物の選択反射波長がカイラル材料
の種類や添加量を変えることで調節された、選択反射波
長の異なる複数のカイラルネマチック液晶組成物におい
ては、カイラル材料の種類や添加量がカイラルネマチッ
ク液晶組成物それぞれで異なってしまい、これに伴って
屈折率異方性、誘電率異方性などの物性がカイラルネマ
チック液晶組成物それぞれで異なってしまうという問題
がある。
【0012】例えば、積層型液晶表示素子に用いる複数
のカイラルネマチック液晶組成物は、積層型液晶表示素
子において各液晶層を同時駆動するという観点からは、
なるべく液晶組成物の屈折率異方性、誘電率異方性など
の物性が揃っている方が各液晶層を駆動するときの電圧
の印加の仕方等の駆動パラメータを簡素化でき、それだ
け有利である。
【0013】そこで本発明は、選択反射波長の異なる複
数のカイラルネマチック液晶組成物を調製する方法であ
って、前記複数のカイラルネマチック液晶組成物それぞ
れで屈折率異方性、誘電率異方性などの物性をほぼ等し
くしながら選択反射波長を異ならせることができるカイ
ラルネマチック液晶組成物の調製方法を提供することを
課題とする。
【0014】また本発明は、第1のカイラルネマチック
液晶組成物を含む第1液晶層と、該第1のカイラルネマ
チック液晶組成物とは選択反射波長が異なる第2のカイ
ラルネマチック液晶組成物を含む第2液晶層との少なく
とも二つの液晶層を有する液晶表示素子であって、屈折
率異方性、誘電率異方性などの物性が前記第1及び第2
のカイラルネマチック液晶組成物間でほぼ同じである液
晶表示素子を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決するため研究を重ねたところ、次のことを見出した。
【0016】すなわち、コレステリック液晶相の選択反
射を示すカイラルネマチック液晶において、選択反射波
長を調節するために添加するカイラル材料に関して、カ
イラル材料の分子構造由来の物性を考察し、同一化学構
造式で示される鏡像異性体の混合物のR体とS体の組成
バランスに着目し、検討した結果、カイラル材料のカイ
ラルネマチック液晶組成物に対する全添加量を増減させ
なくてもこの鏡像異性体混合物のR体とS体の混合比率
(さらに言えばR体とS体のうちいずれかが過剰な状態
の鏡像異性体混合物のR体又はS体の過剰量)を調節す
ることで、カイラルネマチック液晶組成物の螺旋ピッチ
を変化させることができ、ひいてはカイラルネマチック
液晶組成物の選択反射波長を調節できることが判明し、
複数のカイラルネマチック液晶組成物それぞれで屈折率
異方性、誘電率異方性などの物性をほぼ等しくしながら
選択反射波長を異ならせることができることがわかっ
た。
【0017】なお、鏡像異性体は、二つの異性体が互い
に鏡像関係にあり、それぞれが同一の化学構造式で示さ
れるもので、R/S表示法に従ってR体又はS体のいず
れかが決定されるものである。また、鏡像異性体による
光の旋光性を右方向又は左方向のどちらか一方向に決定
する光学活性は、R体単体の場合、S体単体の場合又は
R体とS体の混合物でR体とS体のうちいずれかが過剰
な場合に現れる。
【0018】また、主骨格が同一の類似化学構造を有す
る旋光方向が互いに逆方向の光学活性物質の混合物につ
いても、この光学活性物質混合物のうち一方の光学活性
物質と他方の光学活性物質との混合比率を調節すること
で、カイラルネマチック液晶組成物の螺旋ピッチ、すな
わち選択反射波長を調節できることが判明し、複数のカ
イラルネマチック液晶組成物それぞれで屈折率異方性、
誘電率異方性などの物性をほぼ等しくしながら選択反射
波長を異ならせることができることがわかった。
【0019】本発明はかかる知見に基づくものであり、
前記課題を解決するため、次のカイラルネマチック液晶
組成物の調製方法及び液晶表示素子を提供する。 (1)カイラルネマチック液晶組成物の調製方法 (1−1)第1の調製方法 ネマチック液晶にカイラル材料を添加することで、選択
反射波長の異なる複数のカイラルネマチック液晶組成物
を調製する方法であり、前記ネマチック液晶に前記カイ
ラル材料を添加するに際して、前記カイラル材料とし
て、光学活性部位を有し旋光方向が互いに逆方向の鏡像
異性体の混合物を含むものを用い、前記鏡像異性体混合
物のうち一方の鏡像異性体と、該一方の鏡像異性体とは
旋光方向が逆方向の他方の鏡像異性体との混合比率を前
記複数のカイラルネマチック液晶組成物それぞれで異な
らせることにより、前記複数のカイラルネマチック液晶
組成物の選択反射波長をそれぞれ異ならせるカイラルネ
マチック液晶組成物の調製方法。 (1−2)第2の調製方法 ネマチック液晶にカイラル材料を添加することで、選択
反射波長の異なる複数のカイラルネマチック液晶組成物
を調製する方法であり、前記ネマチック液晶に前記カイ
ラル材料を添加するに際して、前記カイラル材料とし
て、旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイ
ラル材料を含む複数種類のカイラル材料を使用し、前記
複数種類のカイラル材料全体の合計添加量を前記複数の
カイラルネマチック液晶組成物それぞれで等しくすると
ともに、前記旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2種
類のカイラル材料のうち一方のカイラル材料と他方のカ
イラル材料との混合比率を前記複数のカイラルネマチッ
ク液晶組成物それぞれで異ならせることにより、前記複
数のカイラルネマチック液晶組成物の選択反射波長をそ
れぞれ異ならせるカイラルネマチック液晶組成物の調製
方法。 (2)液晶表示素子 (2−1)第1の液晶表示素子 第1のカイラルネマチック液晶組成物を含む第1液晶層
と、該第1のカイラルネマチック液晶組成物とは選択反
射波長が異なる第2のカイラルネマチック液晶組成物を
含む第2液晶層との少なくとも二つの液晶層を有してお
り、前記第1及び第2のカイラルネマチック液晶組成物
は、いずれもネマチック液晶にカイラル材料を添加して
調製されたものであり、それぞれのカイラル材料が光学
活性部位を有し旋光方向が互いに逆方向の鏡像異性体の
混合物を含んでおり、該鏡像異性体混合物のうち一方の
鏡像異性体と他方の鏡像異性体との混合比率が前記第1
及び第2のカイラルネマチック液晶組成物間で異なる液
晶表示素子。 (2−2)第2の液晶表示素子 第1のカイラルネマチック液晶組成物を含む第1液晶層
と、該第1のカイラルネマチック液晶組成物とは選択反
射波長が異なる第2のカイラルネマチック液晶組成物を
含む第2液晶層との少なくとも二つの液晶層を有してお
り、前記第1及び第2のカイラルネマチック液晶組成物
は、いずれもネマチック液晶にカイラル材料を添加して
調製されたものであり、それぞれのカイラル材料が旋光
方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル材料
を含む複数種類のカイラル材料からなり、該複数種類の
カイラル材料全体の合計添加量が前記第1及び第2のカ
イラルネマチック液晶組成物間で等しく、且つ、前記旋
光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル材
料のうち一方のカイラル材料と他方のカイラル材料との
混合比率が前記第1及び第2のカイラルネマチック液晶
組成物間で異なる液晶表示素子。
【0020】本発明に係る第1及び第2のカイラルネマ
チック液晶組成物の調製方法によると、前記第1の調製
方法では、前記カイラル材料として、光学活性部位を有
し旋光方向が互いに逆方向の鏡像異性体の混合物を含む
ものを用い、前記鏡像異性体混合物のうち一方の鏡像異
性体と、該一方の鏡像異性体とは旋光方向が逆方向の他
方の鏡像異性体との混合比率を前記複数のカイラルネマ
チック液晶組成物それぞれで異ならせるので、また、前
記第2の調製方法では、前記カイラル材料として、旋光
方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル材料
を含む複数種類のカイラル材料を使用し、前記複数種類
のカイラル材料全体の合計添加量を前記複数のカイラル
ネマチック液晶組成物それぞれで等しくするとともに、
前記旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイ
ラル材料のうち一方のカイラル材料と他方のカイラル材
料との混合比率を前記複数のカイラルネマチック液晶組
成物それぞれで異ならせるので、いずれにしても前記複
数のカイラルネマチック液晶組成物それぞれで螺旋ピッ
チ(すなわち選択反射波長)を調節でき、しかも前記複
数のカイラルネマチック液晶組成物それぞれで屈折率異
方性、誘電率異方性などの物性をほぼ等しくしたまま、
選択反射波長を異ならせることができる。
【0021】本発明に係る第1及び第2の液晶表示素子
によると、前記第1の液晶表示素子では、前記第1及び
第2のカイラルネマチック液晶組成物がいずれもネマチ
ック液晶にカイラル材料を添加して調製されたものであ
り、それぞれのカイラル材料が光学活性部位を有し旋光
方向が互いに逆方向の鏡像異性体の混合物を含んでお
り、該鏡像異性体混合物のうち一方の鏡像異性体と他方
の鏡像異性体との混合比率が前記第1及び第2のカイラ
ルネマチック液晶組成物間で異なるので、また、前記第
2の液晶表示素子では、前記第1及び第2のカイラルネ
マチック液晶組成物がいずれもネマチック液晶にカイラ
ル材料を添加して調製されたものであり、それぞれのカ
イラル材料が旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2種
類のカイラル材料を含む複数種類のカイラル材料からな
り、該複数種類のカイラル材料全体の合計添加量が前記
第1及び第2のカイラルネマチック液晶組成物間で等し
く、且つ、前記旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2
種類のカイラル材料のうち一方のカイラル材料と他方の
カイラル材料との混合比率が前記第1及び第2のカイラ
ルネマチック液晶組成物間で異なるので、いずれにして
もカイラルネマチック液晶組成物それぞれで選択反射波
長が調節されており、しかも屈折率異方性、誘電率異方
性などの物性は前記第1及び第2のカイラルネマチック
液晶組成物間でほぼ同じとなっている。
【0022】このように本発明の第1及び第2の液晶表
示素子では、前記第1及び第2のカイラルネマチック液
晶組成物の選択反射波長以外の物性は該第1及び第2の
カイラルネマチック液晶組成物間でほぼ同じにされてい
るため、前記第1及び第2の液晶層を駆動するための電
圧の印加の仕方等の駆動条件が該第1及び第2の液晶層
間で合わせ易くなる。
【0023】本発明に係る第1及び第2の液晶表示素子
のそれぞれは、例えば次の第1及び第2の製造方法のう
ちいずれによっても製造することができる。すなわち、 (3)液晶表示素子の製造方法 (3−1)第1の製造方法 第1のカイラルネマチック液晶組成物を含む第1液晶層
と、該第1のカイラルネマチック液晶組成物とは選択反
射波長が異なる第2のカイラルネマチック液晶組成物を
含む第2液晶層との少なくとも二つの液晶層を有する液
晶表示素子の製造方法であり、ネマチック液晶にカイラ
ル材料を添加することで、互いに選択反射波長の異なる
前記第1及び第2のカイラルネマチック液晶組成物を調
製する工程であって前記ネマチック液晶に前記カイラル
材料を添加するに際して、前記カイラル材料として、光
学活性部位を有し旋光方向が互いに逆方向の鏡像異性体
の混合物を含むものを用い、前記鏡像異性体混合物のう
ち一方の鏡像異性体と他方の鏡像異性体との混合比率を
前記第1及び第2のカイラルネマチック液晶組成物間で
異ならせることにより、該第1及び第2のカイラルネマ
チック液晶組成物の選択反射波長をそれぞれ異ならせる
カイラルネマチック液晶組成物調製工程と、前記カイラ
ルネマチック液晶組成物調製工程により調製された第1
及び第2のカイラルネマチック液晶組成物のうち第1の
カイラルネマチック液晶組成物を含む第1の液晶層及び
第2のカイラルネマチック液晶組成物を含む第2の液晶
層をそれぞれ形成する工程とを含む液晶表示素子の製造
方法。 (3−1)第2の製造方法 第1のカイラルネマチック液晶組成物を含む第1液晶層
と、該第1のカイラルネマチック液晶組成物とは選択反
射波長が異なる第2のカイラルネマチック液晶組成物を
含む第2液晶層との少なくとも二つの液晶層を有する液
晶表示素子の製造方法であり、ネマチック液晶にカイラ
ル材料を添加することで、互いに選択反射波長の異なる
前記第1及び第2のカイラルネマチック液晶組成物を調
製する工程であって前記ネマチック液晶に前記カイラル
材料を添加するに際して、前記カイラル材料として、旋
光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル材
料を含む複数種類のカイラル材料を使用し、前記複数種
類のカイラル材料全体の合計添加量を前記第1及び第2
のカイラルネマチック液晶組成物間で等しくするととも
に、前記旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類の
カイラル材料のうち一方のカイラル材料と他方のカイラ
ル材料との混合比率を前記第1及び第2のカイラルネマ
チック液晶組成物間で異ならせることにより、前記第1
及び第2のカイラルネマチック液晶組成物の選択反射波
長をそれぞれ異ならせるカイラルネマチック液晶組成物
調製工程と、前記カイラルネマチック液晶組成物調製工
程により調製された第1及び第2のカイラルネマチック
液晶組成物のうち第1のカイラルネマチック液晶組成物
を含む第1の液晶層と、第2のカイラルネマチック液晶
組成物を含む第2の液晶層とをそれぞれ形成する工程と
を含む液晶表示素子の製造方法。
【0024】本発明に係る第1のカイラルネマチック液
晶組成物の調製方法及び本発明に係る第1の液晶表示素
子並びに前記第1の液晶表示素子の製造方法のカイラル
ネマチック液晶組成物調製における前記カイラル材料全
体の合計添加量は、前記カイラルネマチック液晶組成物
それぞれで等しくすることが望ましい。こうすること
で、前記複数のカイラルネマチック液晶組成物の間で物
性差をさらに小さくするのに有利となる。
【0025】本発明に係る第2のカイラルネマチック液
晶組成物の調製方法及び本発明に係る第2の液晶表示素
子並びに前記第2の液晶表示素子の製造方法のカイラル
ネマチック液晶組成物調製において用いることができる
前記旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイ
ラル材料としては、代表例として、鏡像異性体、及び光
学活性基を含むアルキル基の炭素数の差が2個以内、且
つ、分子側鎖又は主鎖に結合された光学活性基を含まな
いアルキル基の炭素数の差が3個以内の、主骨格の化学
式が同一の化合物を挙げることができる。
【0026】本発明に係る第1及び第2のカイラルネマ
チック液晶組成物の調製方法において調製される複数の
カイラルネマチック液晶組成物の間での誘電率異方性の
差、或いは本発明に係る第1及び第2の液晶表示素子並
びに前記第1及び第2の液晶表示素子の製造方法により
得られる液晶表示素子における第1及び第2のカイラル
ネマチック液晶組成物間の誘電率異方性の差は小さいほ
どよいが、許容できる範囲として、それには限定されな
いが、0.3以内程度を例示できる。この場合、各カイ
ラルネマチック液晶組成物の駆動特性(例えば液晶への
電界印加立ち上がり時の応答性といった誘電率異方性に
かかわる駆動特性)を互いに近づけることができる。
【0027】本発明に係る第1及び第2のカイラルネマ
チック液晶組成物の調製方法において調製される複数の
カイラルネマチック液晶組成物の間での屈折率異方性の
差、或いは本発明に係る第1及び第2の液晶表示素子並
びに前記第1及び第2の液晶表示素子の製造方法により
得られる液晶表示素子における第1及び第2のカイラル
ネマチック液晶組成物間の屈折率異方性の差は小さいほ
どよいが、許容できる範囲として、それには限定されな
いが、0.02以内程度、より好適には0.002以内
程度を例示できる。この場合、各カイラルネマチック液
晶組成物の光学的特性(例えば視角依存性や散乱といっ
た屈折率異方性にかかわる光学的特性)を互いに近づけ
ることができる。
【0028】本発明に係る第1及び第2のカイラルネマ
チック液晶組成物の調製方法及び本発明に係る第1及び
第2の液晶表示素子並びに前記第1及び第2の液晶表示
素子の製造方法のカイラルネマチック液晶組成物調製に
おいて採用できるネマチック液晶は、カイラル材料を添
加して液晶分子の螺旋構造を形成させコレステリック液
晶相を発現し得るネマチック液晶であればいずれのもの
でもよい。高分子ネマチック液晶(主鎖型又は側鎖型の
高分子ネマチック液晶)を使用することもできる。
【0029】本発明に係る第1及び第2の液晶表示素子
並びに前記第1及び第2の液晶表示素子の製造方法にお
いては、前記少なくとも二つの液晶層は三つ以上の液晶
層であってもよい。例えば、赤色、緑色、青色をそれぞ
れ表示する、少なくとも三つの液晶層を含んでいてもよ
い。
【0030】本発明に係る第1及び第2の液晶表示素子
は、前記少なくとも二つの液晶層が積層されている積層
型液晶表示素子であってもよい。例えば、赤色、緑色、
青色をそれぞれ表示する、少なくとも三つの液晶層を積
層すると、フルカラー表示を行うことができる。
【0031】このように本発明の第1及び第2の液晶表
示素子は前記少なくとも二つの液晶層が積層されている
積層型液晶表示素子であってもよいが、必ずしも積層型
液晶表示素子である必要はない。例えば、平面状に前記
少なくとも二つの液晶層を並べた液晶表示素子であって
もよい。
【0032】前記第1及び第2の液晶表示素子の製造方
法は、前記少なくとも二つの液晶層を積層する工程をさ
らに含んでいてもよい。この場合、赤色、緑色、青色を
それぞれ表示する、少なくとも三つの液晶層を積層する
と、フルカラー表示を行うことができる液晶表示素子を
得ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。 <カイラルネマチック液晶組成物の調製方法>カイラル
ネマチック液晶組成物の調製では、ネマチック液晶にカ
イラル材料を添加することで、選択反射波長の異なる複
数のカイラルネマチック液晶組成物を、例えば、次のよ
うにして調製することができる。 (第1の調製方法例) ・ネマチック液晶にカイラル材料を添加するに際して、
カイラル材料として、光学活性部位を有し旋光方向が互
いに逆方向の鏡像異性体の混合物を含むカイラル材料
(ここでは鏡像異性体混合物のカイラル材料、すなわち
R体のカイラル材料とS体のカイラル材料との混合物)
を使用する。 ・鏡像異性体混合物のうち一方の鏡像異性体(ここでは
R体(又はS体)のカイラル材料)と、該一方の鏡像異
性体とは旋光方向が逆方向の他方の鏡像異性体(ここで
はS体(又はR体)のカイラル材料)との混合比率を複
数のカイラルネマチック液晶組成物それぞれで異ならせ
る。このとき、カイラル材料全体の合計添加量を複数の
カイラルネマチック液晶組成物それぞれで等しくしても
よい。 ・かくして、選択反射波長の異なる複数のカイラルネマ
チック液晶組成物が調製される。 (第2の調製方法例) ・ネマチック液晶にカイラル材料を添加するに際して、
カイラル材料として、旋光方向が互いに逆方向の少なく
とも2種類のカイラル材料(ここでは鏡像異性体のカイ
ラル材料、すなわちR体のカイラル材料とS体のカイラ
ル材料)を含む複数種類のカイラル材料を使用する。 ・複数種類のカイラル材料全体の合計添加量を複数のカ
イラルネマチック液晶組成物それぞれで等しくするとと
もに、旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカ
イラル材料のうち一方のカイラル材料と他方のカイラル
材料(ここではR体(又はS体)のカイラル材料とS体
(又はR体)のカイラル材料)との混合比率を複数のカ
イラルネマチック液晶組成物それぞれで異ならせる。 ・かくして、選択反射波長の異なる複数のカイラルネマ
チック液晶組成物が調製される。
【0034】この第1及び第2の調製方法例により得ら
れる複数のカイラルネマチック液晶組成物は、いずれも
ネマチック液晶にカイラル材料を添加することにより、
室温でコレステリック相を示し、所定の波長の光を選択
反射するように調製されたものである。
【0035】かかる複数のカイラルネマチック液晶組成
物は、いずれも母材となるネマチック液晶にカイラル材
料及び必要に応じて添加剤を添加し、混合することによ
り調製することができる。
【0036】いずれにしても、予め旋光方向が互いに逆
方向の複数のカイラル材料を混合してからネマチック液
晶に添加してもよいし、ネマチック液晶に逐次複数のカ
イラル材料を添加してもよい。
【0037】同じネマチック液晶を母材として使用し、
該ネマチック液晶に旋光方向が互いに異なる2種類のカ
イラル材料のうち一方を添加した液晶組成物と他方を前
記一方のものと等量添加した液晶混合物との2種類の液
晶組成物を予め調製しておき、これらの2種類の液晶組
成物を、カイラルネマチック液晶組成物ごとに比率を変
えて混合することで、複数のカイラルネマチック液晶組
成物を調製するようにしてもよい。
【0038】図1(A)〜図1(C)はそれぞれ赤色、
緑色、青色の光を選択反射できる三つのカイラルネマチ
ック液晶組成物(r1、g1、b1)〜(r3、g3、
b3)を調製した場合の、ネマチック液晶Nとカイラル
材料(R体のカイラル材料R、R1 、R2 、S体のカイ
ラル材料S、S1 、S2 )との混合割合の例を示す図で
ある。
【0039】図1(A)はネマチック液晶Nに添加する
カイラル材料として互いに旋光方向の異なる2種類のカ
イラル材料(カイラル材料Rとカイラル材料S)を用い
た二つのカイラルネマチック液晶組成物r1(赤色
用)、g1(緑色用)の調製例を示している。
【0040】このカイラルネマチック液晶組成物r1、
g1の調製では、いずれもネマチック液晶Nにカイラル
材料Rとカイラル材料Sを添加し、カイラル材料Rとカ
イラル材料Sとの混合比率(ここではカイラル材料R、
Sのうちのカイラル材料Rの過剰量)を二つのカイラル
ネマチック液晶組成物r1、g1それぞれで異ならせて
いる。そして、カイラル材料R、S全体C1の合計添加
量は二つのカイラルネマチック液晶組成物r1、g1そ
れぞれで等しくしている。
【0041】なお、青色の光を選択反射できるカイラル
ネマチック液晶組成物b1の調製では、ネマチック液晶
Nにカイラル材料R、SのうちRのみを添加している。
カイラルネマチック液晶組成物b1におけるカイラル材
料Rの添加量も、カイラルネマチック液晶組成物r1、
g1におけるカイラル材料全体C1の合計添加量と等し
くしている。
【0042】図1(B)はネマチック液晶Nに互いに旋
光方向の異なる2種類のカイラル材料R1 、S1 を添加
し、それに加えて他のカイラル材料R2 を添加した二つ
のカイラルネマチック液晶組成物r2(赤色用)、g2
(緑色用)の調製例を示している。
【0043】このカイラルネマチック液晶組成物r2、
g2の調製では、いずれもネマチック液晶Nにカイラル
材料R1 、S1 を添加し、さらにカイラル材料R2 を添
加し、カイラル材料R1 とカイラル材料S1 との混合比
率(ここではカイラル材料R 1 、S1 のうちのカイラル
材料R1 の過剰量)を二つのカイラルネマチック液晶組
成物r2、g2それぞれで異ならせている。そして、複
数種類のカイラル材料R1 、S1 、R2 全体C2の合計
添加量は二つのカイラルネマチック液晶組成物r2、g
2それぞれで等しくしている。
【0044】なお、青色の光を選択反射できるカイラル
ネマチック液晶組成物b2の調製では、ネマチック液晶
Nにカイラル材料R1 、S1 のうちR1 のみを添加し、
それに加えて他のカイラル材料R2 を添加している。カ
イラルネマチック液晶組成物b2におけるカイラル材料
1 、R2 全体の合計添加量も、カイラルネマチック液
晶組成物r2、g2におけるカイラル材料全体C2の合
計添加量と等しくしている。
【0045】また、図1(C)はネマチック液晶Nに添
加するカイラル材料として互いに旋光方向の異なる2種
類のカイラル材料を2組(カイラル材料R1 、S1 とカ
イラル材料R2 、S2 )用いた二つのカイラルネマチッ
ク液晶組成物r3(赤色用)、g3(緑色用)の調製例
を示している。
【0046】このカイラルネマチック液晶組成物r3、
g3の調製では、いずれもネマチック液晶Nにカイラル
材料R1 、S1 とカイラル材料R2 、S2 との2組のカ
イラル材料を添加し、カイラル材料R1 とカイラル材料
1 との混合比率(ここではカイラル材料R1 、S1
うちのカイラル材料R1 の過剰量)を二つのカイラルネ
マチック液晶組成物r3、g3それぞれで異ならせると
ともにカイラル材料R 2 とカイラル材料S2 との混合比
率(ここではカイラル材料R2 、S2 のうちのカイラル
材料R2 の過剰量)を二つのカイラルネマチック液晶組
成物r3、g3それぞれで異ならせている。そして、複
数種類のカイラル材料R1 、S1 、R2、S2 全体C3
の合計添加量は二つのカイラルネマチック液晶組成物r
3、g3それぞれで等しくしている。
【0047】なお、青色の光を選択反射できるカイラル
ネマチック液晶組成物b3の調製では、ネマチック液晶
Nにカイラル材料R1 、S1 のうちR1 のみを、カイラ
ル材料R2 、S2 のうちR2 のみを添加している。カイ
ラルネマチック液晶組成物b3におけるカイラル材料R
1 、R2 全体の合計添加量も、カイラルネマチック液晶
組成物r3、g3におけるカイラル材料全体C3の合計
添加量と等しくしている。
【0048】図1(A)〜図1(C)のいずれの場合
も、カイラル材料の全添加量はいずれのカイラルネマチ
ック液晶組成物でも同じに設定され、互いに旋光方向の
異なる2種類のカイラル材料RとS、R1 とS1 、R2
とS2 の混合比率を二つのカイラルネマチック液晶組成
物(r1とg1)〜(r3とg3)それぞれで異ならせ
ることによって、該二つのカイラルネマチック液晶組成
物(r1とg1)〜(r3とg3)の選択反射波長をそ
れぞれ異ならせている。
【0049】なお、複数のカイラルネマチック液晶組成
物の調製は、ここではカイラルネマチック液晶組成物
(r1とg1)〜(r3とg3)の調製であるが、カイ
ラルネマチック液晶組成物(g1とb1)〜(g3とb
3)及び(r1とb1)〜(r3とb3)並びに(r1
とg1とb1)〜(r3とg3とb3)を調製してもよ
い。
【0050】前記調製方法例では、カイラル材料とし
て、光学活性部位を有し旋光方向が互いに逆方向の鏡像
異性体のカイラル材料を用い、R体のカイラル材料Rと
S体のカイラル材料Sとの混合比率を二つのカイラルネ
マチック液晶組成物r1、g1それぞれで異ならせるの
で、或いは、カイラル材料として、旋光方向が互いに逆
方向の鏡像異性体のカイラル材料を使用し、複数種類の
カイラル材料全体C2、C3の合計添加量を二つのカイ
ラルネマチック液晶組成物r2〜r3、g2〜g3それ
ぞれで等しくするとともに、R体のカイラル材料R1
S体のカイラル材料S1 及びR体のカイラル材料R2
S体のカイラル材料S2 の混合比率を二つのカイラルネ
マチック液晶組成物r2〜r3、g2〜g3それぞれで
異ならせるので、いずれにしても二つのカイラルネマチ
ック液晶組成物r1とg1、r2とg2、r3とg3そ
れぞれで螺旋ピッチ(すなわち選択反射波長)を調節で
き、しかも二つのカイラルネマチック液晶組成物r1と
g1、r2とg2、r3とg3間で屈折率異方性、誘電
率異方性などの物性をほぼ等しくしたまま、選択反射波
長を異ならせることができる。
【0051】なお、カイラルネマチック液晶組成物b1
〜b3におけるカイラル材料全体の合計添加量はカイラ
ルネマチック液晶組成物r1〜r3、g1〜g3におけ
るカイラル材料全体の合計添加量と等しいので、三つの
カイラルネマチック液晶組成物(r1、g1、b1)〜
(r3、g3、b3)は、屈折率異方性、誘電率異方性
などの物性がいずれもほぼ等しく、選択反射波長がそれ
ぞれ異なっている。 <ネマチック液晶>ネマチック液晶としては、従来公知
の各種の材料を用いることができ、例えば、ベンジリデ
ンアニリン、アゾベンゼン、アゾキシベンゼン、シアノ
ビフェニル、シアノターフェニル、フェニルシクロヘキ
サン、ビフェニルシクロヘキサン、安息香酸エステル、
シクロヘキシルシクロヘキサン、シクロヘキシルカルボ
ン酸エステル、フェニルピリミジン、フェニルジオキサ
ン、シクロヘキシルエタン、シクロヘキセン、ジフルオ
ロフェニレン、トランなどの化学構造を有するネマチッ
ク液晶性化合物の1種又は2種以上の混合物を用いるこ
とができる。また、ネマチック相を形成する高分子液晶
であってもよい。 <カイラル材料>カイラル材料としては、光学活性部位
を有する従来公知の各種の化合物を用いることができ、
例えば、光学活性基として2−メチルブチル、2−メチ
ルブトキシ、4−メチルヘキシル基などを有する化合物
を挙げることができる。前記のネマチック液晶性化合物
と類似骨格を有する化合物であってもよい。カイラル材
料は液晶性であってもよいし、液晶性でなくても構わな
い。
【0052】光学活性部位を有し旋光方向が互いに逆方
向の鏡像異性体のカイラル材料として、R体及びS体の
両方を入手可能なカイラル材料を使用することが好まし
い。同一分子内に複数の光学活性部位を有した化合物で
あって、ネマチック液晶に添加した際に、旋光方向が互
いに逆になるような鏡像異性体が存在する化合物をカイ
ラル材料として使用してもよい。光学活性部位を有する
高分子化合物をカイラル材料として用いてもよい。
【0053】前記第2の調製方法例においては、カイラ
ル材料として鏡像異性体のカイラル材料を用いたが、鏡
像異性体ではなく、類似化学構造を持つ旋光方向が逆の
一組の光学活性物質の混合物をカイラル材料として用い
てもよい。この場合、光学活性基を含むアルキル基の炭
素数の差が2以内、且つ、分子側鎖又は主鎖に結合され
た光学活性基を含まないアルキル基の炭素数の差が3以
内の、主骨格の化学式が同一の化合物であることが好ま
しい。
【0054】なお、カイラル材料として、鏡像異性体や
構造類似化合物を用いることにより、複数のカイラルネ
マチック液晶組成物それぞれで物性をほぼ等しくするこ
とができる詳細な理由は明確ではないが、これら鏡像異
性体や構造類似化合物を用いると、いずれも混合される
二つのカイラル材料の化学構造がほぼ共通することにな
るために、該二つのカイラル材料間で旋光方向を互いに
打ち消しあってカイラルネマチック液晶組成物の螺旋ピ
ッチ(すなわち選択反射波長)を変更させる以外は、カ
イラルネマチック液晶組成物の屈折率異方性や誘電率異
方性などの物性への各カイラル材料の影響がほぼ同等に
なるためであると考えられる。 <他の添加剤>カイラル材料として鏡像異性体の混合物
を用いる場合、基本的には該鏡像異性体混合物(例えば
一定量の鏡像異性体混合物)中のR体又はS体どちらか
一方の過剰量の具合でカイラルネマチック液晶組成物そ
れぞれで物性をほぼ等しくしたまま、螺旋ピッチ(すな
わち選択反射波長)を制御できるのであるが、螺旋ピッ
チに依存した応答性を調節するために各カイラルネマチ
ック液晶組成物で粘度や弾性率等を制御可能な添加剤を
用いてもよい。この添加剤としては、例えば、液晶性化
合物、前記したカイラル材料とは別のカイラル材料、液
晶類似骨格を有する低分子化合物、などの低分子化合物
を挙げることができる。また、液晶相に高分子化合物を
分散させたり、ポリマーマトリクス内に液晶相を存在さ
せたりするために、カイラルネマチック液晶組成物中に
高分子化合物を共存させてもよい。この際、カイラルネ
マチック液晶組成物に重合性モノマーを添加して液晶セ
ル(液晶表示素子)作製時に重合させたり、はじめから
高分子化合物を添加したりしてもよい。画像表示におけ
る不要な散乱等をカットするための色素を添加してもよ
い。これらの添加剤の添加割合はカイラルネマチック液
晶組成物それぞれで等しくすることが好ましい。 <液晶表示素子> (液晶表示素子の1例)図2は反射型積層型液晶表示素
子の1例の断面構造を示す概略図である。
【0055】図2に示す液晶表示素子は、それぞれ青
色、緑色、赤色の光を選択反射できる三つの液晶表示素
子(液晶層)111B、111G、111Rをこの順序
で素子観察側から順に積層した3層積層型のフルカラー
液晶表示素子である。
【0056】各液晶層(111B、111G、111
R)は、いずれもそれぞれ間隔をおいて平行に並んだ複
数の帯状透明電極113、114が形成された一対の透
明基板112a、112b間に、カイラルネマチック液
晶組成物(116b、116g、116r)、スペーサ
117、シール壁120を挟持したものである。
【0057】各液晶層111B、111G、111Rに
おいては、電極113、114はいずれも基板112
a、112bに垂直な方向から見て互いに交差するよう
に向かい合わされている。電極113、114上に絶縁
膜118が、また絶縁膜118の上には配向制御膜11
9がそれぞれ設けられており、一対の透明基板112
a、112b間には樹脂構造物115が設けられてる。
但し、これらの絶縁膜118、配向制御膜119、樹脂
構造物115は、いずれも必要に応じて設ければよく、
省略してもよい。
【0058】光を入射させる側とは反対側の基板の外面
(裏面)には、必要性に応じて、可視光吸収層が設けら
れる。ここでは赤色液晶層111Rの背面側(基板11
2bの裏面)に黒色の可視光吸収層121が設けられて
いる。
【0059】この積層型液晶表示素子は、次のいずれか
のものである。すなわち、(a)カイラルネマチック液
晶組成物116b、116g、116rがいずれもネマ
チック液晶にカイラル材料を添加して調製されたもので
あり、それぞれのカイラル材料が光学活性部位を有し旋
光方向が互いに逆方向の鏡像異性体の混合物を含んでお
り、該鏡像異性体混合物のうち一方の鏡像異性体と他方
の鏡像異性体との混合比率がカイラルネマチック液晶組
成物116b、116g、116rそれぞれで異なる積
層型液晶表示素子A1。なお、前記カイラル材料全体の
合計添加量はカイラルネマチック液晶組成物116b、
116g、116rそれぞれで等しくてもよい。(b)
カイラルネマチック液晶組成物116b、116g、1
16rがいずれもネマチック液晶にカイラル材料を添加
して調製されたものであり、それぞれのカイラル材料が
旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル
材料を含む複数種類のカイラル材料からなり、該複数種
類のカイラル材料全体の合計添加量がカイラルネマチッ
ク液晶組成物116b、116g、116rそれぞれで
等しく、且つ、前記旋光方向が互いに逆方向の少なくと
も2種類のカイラル材料のうち一方のカイラル材料と他
方のカイラル材料との混合比率がカイラルネマチック液
晶組成物116b、116g、116rそれぞれで異な
る積層型液晶表示素子A2。なお、前記少なくとも2種
類のカイラル材料は、ここでは鏡像異性体、又は光学活
性基を含むアルキル基の炭素数の差が2個以内、且つ、
分子側鎖又は主鎖に結合された光学活性基を含まないア
ルキル基の炭素数の差が3個以内の、主骨格の化学式が
同一の化合物である。
【0060】図2に示す液晶表示素子A1、A2におい
ては、各液晶層111B、111G、111Rが、いず
れも駆動装置125により単純マトリクス方式で駆動さ
れる。
【0061】図3は駆動装置125の主要部である駆動
回路の1例のブロック図及び該駆動回路に接続された液
晶層111B、111G、111Rを示す図である。
【0062】図3に示す駆動回路は、全体の制御を行う
中央処理装置(CPU)と、画像データに各種の処理を
施す画像処理装置と、画像データを記憶する画像メモリ
と、駆動ICを制御するLCDコントローラとを有して
いる。また、信号電極(ここでは例えば透明電極11
4)に電圧を印加するための信号駆動IC(R)、IC
(G)、IC(B)と、走査電極(ここでは例えば透明
電極113)に電圧を印加するための走査駆動ICを備
えている。
【0063】図3に示すように、各液晶層111B、1
11G、111Rの信号電極にはそれぞれ各液晶層11
1B、111G、111R用の信号駆動IC(R)、I
C(G)、IC(B)が接続され、各液晶層111B、
111G、111Rの走査電極は電気的に液晶層111
B、111G、111Rの間で共通化され、各液晶層1
11B、111G、111R兼用の走査駆動ICが接続
されている。
【0064】LCDコントローラはCPUからの指示に
より、画像メモリを参照しながら各駆動ICを駆動す
る。
【0065】本駆動装置125においては、単純マトリ
クス方式の駆動によって表示動作が行われる。すなわ
ち、各液晶層111B、111G、111Rでは、走査
駆動ICによって所定の走査電極に選択電圧を印加する
とともに他の走査電極に非選択電圧を印加し、これに同
期して、選択されている走査電極上の各画素に対応する
画像データに基づいて信号駆動IC(R)、IC
(G)、IC(B)によって信号電極に信号電圧をそれ
ぞれ印加することにより、選択された走査電極上の各画
素に対して書込みが行われる。これを順に他の走査電極
に対しても繰り返すことで、画面全体への書込みが行わ
れる。かくして、フルカラー画像表示が行われる。
【0066】なお、走査駆動ICを各液晶層111B、
111G、111Rごとに独立して設けても構わない
が、各液晶層111B、111G、111Rに使用され
るカイラルネマチック液晶組成物116b、116g、
116rそれぞれで物性が近ければ、図3に示すように
液晶層111B、111G、111Rの間で走査電極を
電気的に共通化できる。走査電極を電気的に共通化する
ことで、それだけ走査駆動ICの数を少なくすることが
できる。なお、走査駆動ICを各液晶層111B、11
1G、111Rごとに独立して設け、信号電極を液晶層
111B、111G、111Rの間で電気的に共通化し
てもよい。
【0067】図2に示す液晶表示素子A1、A2による
と、液晶表示素子A1では、カイラルネマチック液晶組
成物116b、116g、116rがいずれもネマチッ
ク液晶にカイラル材料を添加して調製されたものであ
り、それぞれのカイラル材料が光学活性部位を有し旋光
方向が互いに逆方向の鏡像異性体の混合物を含んでお
り、該鏡像異性体混合物のうち一方の鏡像異性体と他方
の鏡像異性体との混合比率がカイラルネマチック液晶組
成物116b、116g、116rそれぞれで異なるの
で、また、液晶表示素子A2では、カイラルネマチック
液晶組成物116b、116g、116rがいずれもネ
マチック液晶にカイラル材料を添加して調製されたもの
であり、それぞれのカイラル材料が旋光方向が互いに逆
方向の少なくとも2種類のカイラル材料を含む複数種類
のカイラル材料からなり、該複数種類のカイラル材料全
体の合計添加量がカイラルネマチック液晶組成物116
b、116g、116rそれぞれで等しく、且つ、前記
旋光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル
材料のうち一方のカイラル材料と他方のカイラル材料と
の混合比率がカイラルネマチック液晶組成物116b、
116g、116rそれぞれで異なるので、カイラルネ
マチック液晶組成物の選択反射波長の調節が可能とな
り、しかも屈折率異方性、誘電率異方性などの物性はカ
イラルネマチック液晶組成物それぞれでほぼ同じにでき
る。
【0068】このように図2に示す液晶表示素子A1、
A2では、カイラルネマチック液晶組成物116b、1
16g、116rの選択反射波長以外の物性はカイラル
ネマチック液晶組成物116b、116g、116rそ
れぞれでほぼ同じにできるため、液晶層111B、11
1G、111Rを駆動するための電圧の印加の仕方等の
駆動条件が液晶層111B、111G、111Rの間で
合わせ易くなる。 (液晶表示素子の他の例)図4は反射型積層型液晶表示
素子の他の例の断面構造を示す概略図である。
【0069】図4に示す液晶表示素子は、それぞれ青
色、黄色の光を選択反射できる二つの液晶表示素子(液
晶層)111B、111Yを積層した2層積層型のモノ
クロ液晶表示素子である。
【0070】各液晶層111B、111Yの素子構造は
図2に示す素子中の液晶層と同様のものであり、図4に
おいて、図2の液晶層と基本的に同じ構成、作用を有す
る箇所には同じ参照符号を付してある。
【0071】各液晶層(111B、111Y)は、いず
れもそれぞれ間隔をおいて平行に並んだ複数の帯状透明
電極113、114が形成された一対の透明基板112
a、112b間に、カイラルネマチック液晶組成物(1
16b、116y)、スペーサ117、シール壁120
を挟持したものである。
【0072】各液晶層111B、111Yにおいては、
電極113、114はいずれも基板112a、112b
に垂直な方向から見て互いに交差するように向かい合わ
されている。電極113、114上に絶縁膜118が、
また絶縁膜18の上には配向制御膜119がそれぞれ設
けられており、一対の透明基板112a、112b間に
は樹脂構造物115が設けられてる。
【0073】光を入射させる側とは反対側の基板の外面
(裏面)には、必要性に応じて、可視光吸収層が設けら
れる。ここでは黄色液晶層111Yの背面側(基板11
2bの裏面)に黒色の可視光吸収層121が設けられて
いる。
【0074】図4に示す液晶表示素子は、両液晶層11
1B、111Yをともに選択反射状態にすることで白色
の表示を、両液晶層111B、111Yをともに透明状
態にすることで黒色の表示を行うことができる。
【0075】この積層型液晶表示素子は、次のいずれか
のものである。すなわち、(a)カイラルネマチック液
晶組成物116b、116yがいずれもネマチック液晶
にカイラル材料を添加して調製されたものであり、それ
ぞれのカイラル材料が光学活性部位を有し旋光方向が互
いに逆方向の鏡像異性体の混合物を含んでおり、該鏡像
異性体混合物のうち一方の鏡像異性体と他方の鏡像異性
体との混合比率がカイラルネマチック液晶組成物116
bと116y間で異なる積層型液晶表示素子B1。
(b)カイラルネマチック液晶組成物116b、116
yがいずれもネマチック液晶にカイラル材料を添加して
調製されたものであり、それぞれのカイラル材料が旋光
方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル材料
を含む複数種類のカイラル材料からなり、該複数種類の
カイラル材料全体の合計添加量がカイラルネマチック液
晶組成物116bと116y間で等しく、且つ、前記旋
光方向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル材
料のうち一方のカイラル材料と他方のカイラル材料との
混合比率がカイラルネマチック液晶組成物116bと1
16y間で異なる積層型液晶表示素子B2。
【0076】図4に示す液晶表示素子B1、B2におい
ては、各液晶層111B、111Yは、いずれも駆動装
置125’により単純マトリクス方式で駆動される。
【0077】図5は駆動装置125’の主要部である駆
動回路の1例のブロック図及び該駆動回路に接続された
液晶層111B、111Yを示す図である。
【0078】図5に示す駆動回路は、図3に示す駆動回
路と同様、全体の制御を行う中央処理装置(CPU)
と、画像データに各種の処理を施す画像処理装置と、画
像データを記憶する画像メモリと、駆動ICを制御する
LCDコントローラとを有している。また、信号電極
(ここでは例えば透明電極114)に電圧を印加するた
めの信号駆動ICと、走査電極(ここでは例えば透明電
極113)に電圧を印加するための走査駆動ICを備え
ている。
【0079】図5に示すように、各液晶層111B、1
11Yの信号電極及び走査電極はともに液晶層111
B、111Y間で電気的に共通化され、各液晶層111
B、111Y兼用の信号駆動IC及び走査駆動ICが接
続されている。
【0080】LCDコントローラはCPUからの指示に
より、画像メモリを参照しながら各駆動ICを駆動す
る。
【0081】本駆動装置125’においては、単純マト
リクス方式の駆動によって表示動作が行われる。すなわ
ち、各液晶層111B、111Yでは、走査駆動ICに
よって所定の走査電極に選択電圧を印加するとともに他
の走査電極に非選択電圧を印加し、これに同期して、選
択されている走査電極上の各画素に対応する画像データ
に基づいて信号駆動ICによって信号電極に信号電圧を
印加することにより、選択された走査電極上の各画素に
対して書込みが行われる。これを順に他の走査電極に対
しても繰り返すことで、画面全体への書込みが行われ
る。かくして、モノクロ画像表示が行われる。
【0082】図3に示すように、信号電極及び走査電極
のうちいずれか一方の電極のみを電気的に共通化するよ
うにしても構わないが、図4に示すようなモノクロ液晶
表示素子では各液晶層111B、111Yを同時に駆動
すればよいので走査電極及び信号電極ともに液晶層11
1B、111Y間で電気的に共通化ができる。走査電極
及び信号電極の両電極を電気的に共通化することで、そ
れだけ信号駆動IC及び走査駆動ICの数を少なくする
ことができる。
【0083】図4に示す液晶表示素子B1、B2による
と、図2に示す液晶表示素子A1、A2と同様の利点が
ある。
【0084】なお、図2(及び図4)に示す複数の液晶
層111B、111G、111R(111B、111
Y)を有する液晶表示素子A1、A2(B1、B2)は
積層型のものであるが、必ずしも積層型である必要はな
い。例えば、平面状に複数の液晶表示素子111B、1
11G、111R(111B、111Y)を並べたもの
であってもよい。 <実験例>以下、本発明に係るカイラルネマチック液晶
組成物の調製方法の具体的な実験例について、比較実験
例とともに説明する。
【0085】以下の実験例及び比較実験例においては、
ネマチック液晶として、NI点(等方相転移点)98.
7℃、誘電率異方性Δε(パルス周期1kHzのパルス
電圧に対する25℃でのΔε)27.1、屈折率異方性
△n(波長589nmの光に対する25℃での△n)
0.199のネマチック液晶Xを用いた。
【0086】カイラルネマチック液晶組成物の物性測定
については、次のようにして行った。すなわち、カイラ
ルネマチック液晶組成物の誘電率異方性△εは、セルギ
ャップが10μmの電極(10mm×10mmのITO
電極)付きガラスセルを使用し、液晶の分子軸方向の誘
電率ε//の測定には垂直配向膜をセル内側電極に形成し
たセルを用い、液晶の分子軸方向に直交する方向の誘電
率ε⊥の測定には水平配向膜をセル内側電極に形成した
セルを用い、それぞれのセルにパルス周期1kHzでパ
ルス振幅80V(液晶をホメオトロピック状態にするた
めの電圧値)、0.48V(予め指圧によりプレーナ状
態にセットした液晶層がプレーナ状態に維持される程度
の小さい電圧値)のパルス電圧を印加することでε//、
ε⊥を測定し、式Δε=ε//−ε⊥にて算出した。
【0087】選択反射波長及び光反射率は、前記水平配
向膜処理のセルを用い、指圧でプレーナ配列を形成させ
た後、分光側色計CM−3700d(ミノルタ社製)で
測定した。この場合、光反射率は部分拡散法による選択
反射波長ピークトップの値とした。
【0088】屈折率異方性△nは、常法に従いアッベ屈
折計で常光線に対する屈折率no、異常光線に対する屈
折率neを測定し、液晶の分子軸方向の屈折率n//と液
晶の分子軸に直交する方向の屈折率n⊥を求め、式Δn
=n//−n⊥にて算出した。また、螺旋ピッチは選択反
射波長λ0 、noより、式λ0 /noにて算出した。
【0089】なお、実験例及び比較実験例で用いたカイ
ラル材料の化学構造式は以下に示した通りであり、カイ
ラル材料R1011とS1011、カイラル材料R81
1とS811、及びカイラル材料MLC6247とML
C6248はいずれも鏡像異性体であり、互いに鏡像関
係にある。なお、各構造式において「*」印は光学活性
部位を示している。
【0090】
【化1】 (実験例1)前記ネマチック液晶Xに、液晶組成物全体
に対して33.47重量%の添加量となるようにカイラ
ル材料MLC6247(メルク社製)を添加し、よく攪
拌することにより、液晶組成物Aを調製した。
【0091】また、前記ネマチック液晶Xに、液晶組成
物全体に対して33.47重量%の添加量となるように
カイラル材料MLC6248(メルク社製)を添加し、
よく攪拌することにより、液晶組成物Bを調製した。
【0092】そして、前記液晶組成物Aと液晶組成物B
とを、それぞれ100:0、91.83:8.17、8
4.36:15.64の重量比で混合し、カイラルネマ
チック液晶組成物1、2、3を調製した。
【0093】こうして得られたカイラルネマチック液晶
組成物1〜3を、ガラスセルに等方相で毛管現象により
注入し、既述の方法で屈折率異方性、誘電率異方性、螺
旋ピッチ、選択反射波長及び光反射率を測定した。
【0094】その結果、カイラルネマチック液晶組成物
1の屈折率異方性△nは0.1514、誘電率異方性△
εは17.1、螺旋ピッチは304.7nm、選択反射
波長は480nm、反射率は69.9%であった。カイ
ラルネマチック液晶組成物2の△nは0.1508、△
εは16.8、螺旋ピッチは355.6nm、選択反射
波長は560nm、反射率は73.9%であった。カイ
ラルネマチック液晶組成物3の△nは0.1508、△
εは16.9、螺旋ピッチは431.7nm、選択反射
波長は680nm、反射率は74.0%であった。 (実施例2)前記ネマチック液晶Xに、液晶組成物全体
に対して7.0重量%の添加量となるようにカイラル材
料R1011(メルク社製)及び13.0重量%の添加
量となるようにカイラル材料R811(メルク社製)を
添加し、よく攪拌することにより、液晶組成物Cを調製
した。
【0095】また、前記ネマチック液晶Xに、液晶組成
物全体に対して7.0重量%の添加量となるようにカイ
ラル材料S1011(メルク社製)及び13.0重量%
の添加量となるようにカイラル材料S811(メルク社
製)を添加し、よく攪拌することにより、液晶組成物D
を調製した。
【0096】そして、前記液晶組成物Cと液晶組成物D
とを、それぞれ100:0、91.83:8.17、8
4.36:15.64の重量比で混合し、カイラルネマ
チック液晶組成物4、5、6を調製した。
【0097】こうして得られたカイラルネマチック液晶
組成物4〜6を、ガラスセルに等方相で毛管現象により
注入し、既述の方法で屈折率異方性、誘電率異方性、螺
旋ピッチ、選択反射波長及び光反射率を測定した。
【0098】その結果、カイラルネマチック液晶組成物
4の屈折率異方性△nは0.1701、誘電率異方性△
εは22.3、螺旋ピッチは300.7nm、選択反射
波長は480nm、反射率は67.6%であった。カイ
ラルネマチック液晶組成物5の△nは0.1708、△
εは22.2、螺旋ピッチは357nm、選択反射波長
は570nm、反射率は70%であった。カイラルネマ
チック液晶組成物6の△nは0.1708、△εは2
2.2、螺旋ピッチは413.4nm、選択反射波長は
660nm、反射率は66.2%であった。 (比較例1)前記ネマチック液晶Xに対して、カイラル
材料MLC6247(メルク社製)を液晶組成物全体に
対して、それぞれ33.50重量%、27.30重量
%、23.40重量%の割合となるように混合し、カイ
ラルネマチック液晶組成物7、8、9を調製した。
【0099】こうして得られたカイラルネマチック液晶
組成物7〜9を、ガラスセルに等方相で毛管現象により
注入し、既述の方法で屈折率異方性、誘電率異方性、螺
旋ピッチ、選択反射波長及び光反射率を測定した。
【0100】その結果、カイラルネマチック液晶組成物
7の屈折率異方性△nは0.1514、誘電率異方性△
εは16.7、螺旋ピッチは304.8nm、選択反射
波長は480nm、反射率は72%であった。カイラル
ネマチック液晶組成物8の△nは0.159、△εは1
9.9、螺旋ピッチは366.9nm、選択反射波長は
580nm、反射率は73.2%であった。カイラルネ
マチック液晶組成物9の△nは0.1581、△εは2
1.7、螺旋ピッチは422.4nm、選択反射波長は
670nm、反射率は72.8%であった。 (比較例2)前記ネマチック液晶Xに対して、カイラル
材料R1011(メルク社製)及びカイラル材料R81
1(メルク社製)を液晶組成物全体に対して、それぞれ
6.8重量%及び13.2重量%、3.8重量%及び1
6.54重量%、0.80重量%及び19.2重量%の
割合となるように混合し、カイラルネマチック液晶組成
物10、11、12を調製した。
【0101】こうして得られたカイラルネマチック液晶
組成物10〜12を、ガラスセルに等方相で毛管現象に
より注入し、既述の方法で屈折率異方性、誘電率異方
性、螺旋ピッチ、選択反射波長及び光反射率を測定し
た。
【0102】その結果、カイラルネマチック液晶組成物
10の屈折率異方性△nは0.1704、誘電率異方性
△εは22.3、螺旋ピッチは288.2nm、選択反
射波長は460nm、反射率は71.1%であった。カ
イラルネマチック液晶組成物11の△nは0.169
9、△εは22.6、螺旋ピッチは351nm、選択反
射波長は560nm、反射率は66.6%であった。カ
イラルネマチック液晶組成物12の△nは0.173
3、△εは22.7、螺旋ピッチは451.1nm、選
択反射波長は720nm、反射率は63.79%であっ
た。
【0103】このように、実験例1、2のカイラルネマ
チック液晶組成物では螺旋ピッチがカイラルネマチック
液晶組成物それぞれで異なっているにもかかわらず、誘
電率異方性△ε、屈折率異方性△nはほぼ同等の値とな
った。すなわち、カイラルネマチック液晶組成物それぞ
れで△εや△nなどの物性値を殆ど異ならせることなく
螺旋ピッチを異ならせ、任意の選択反射波長に調節でき
ることがわかる。一方、比較例1、2のカイラルネマチ
ック液晶組成物ではカイラルネマチック液晶組成物それ
ぞれで螺旋ピッチが異なると共に誘電率異方性△ε又は
屈折率異方性△n或いはその両方が異なっていた。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、選
択反射波長の異なる複数のカイラルネマチック液晶組成
物を調製する方法であって、前記複数のカイラルネマチ
ック液晶組成物それぞれで屈折率異方性、誘電率異方性
などの物性をほぼ等しくしながら選択反射波長を異なら
せることができるカイラルネマチック液晶組成物の調製
方法を提供することができる。
【0105】また本発明によると、第1のカイラルネマ
チック液晶組成物を含む第1液晶層と、該第1のカイラ
ルネマチック液晶組成物とは選択反射波長が異なる第2
のカイラルネマチック液晶組成物を含む第2液晶層との
少なくとも二つの液晶層を有する液晶表示素子であっ
て、屈折率異方性、誘電率異方性などの物性が前記第1
及び第2のカイラルネマチック液晶組成物間でほぼ同じ
である液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(A)〜図(C)のそれぞれは、赤色、緑
色、青色の光を選択反射できる三つのカイラルネマチッ
ク液晶組成物を調製した場合の、ネマチック液晶とカイ
ラル材料との混合割合の例を示す図である。
【図2】反射型積層型液晶表示素子の1例の断面構造を
示す概略図であり、それぞれ青色、緑色、赤色の光を選
択反射できる三つの液晶表示素子(液晶層)をこの順序
で素子観察側から順に積層した3層積層型のフルカラー
液晶表示素子を示す図である。
【図3】図2に示す液晶表示素子を駆動する駆動装置の
主要部である駆動回路の1例のブロック図及び該駆動回
路に接続された液晶層を示す図である。
【図4】反射型積層型液晶表示素子の他の例の断面構造
を示す概略図であり、それぞれ青色、黄色の光を選択反
射できる二つの液晶表示素子(液晶層)をこの順序で素
子観察側から順に積層した2層積層型のモノクロ液晶表
示素子を示すものである。
【図5】図4に示す液晶表示素子を駆動する駆動装置の
主要部である駆動回路の1例のブロック図及び該駆動回
路に接続された液晶層を示す図である。
【符号の説明】
A1、A2 3層積層型液晶表示素子 B1、B2 2層積層型液晶表示素子 C1 カイラル材料R、S全体 C2 カイラル材料R1 、S1 、R2 全体 C3 カイラル材料R1 、S1 、R2 、S2 全体 N ネマチック液晶 R、R1 、R2 R体のカイラル材料 S、S1 、S2 S体のカイラル材料 r1、g1、b1 カイラルネマチック液晶組成物 r2、g2、b2 カイラルネマチック液晶組成物 r3、g3、b3 カイラルネマチック液晶組成物 111B 青色の光を選択反射できる液晶表示素子(液
晶層) 111G 緑色の光を選択反射できる液晶表示素子(液
晶層) 111R 赤色の光を選択反射できる液晶表示素子(液
晶層) 111Y 黄色の光を選択反射できる液晶表示素子(液
晶層) 112a、112b 一対の透明基板 113、114 帯状透明電極 115 樹脂構造物 116b、116g、116r、116y カイラルネ
マチック液晶組成物 117 スペーサ 118 絶縁膜 119 配向制御膜 120 シール壁 121 黒色の可視光吸収層 125 駆動装置 125’ 駆動装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ネマチック液晶にカイラル材料を添加する
    ことで、選択反射波長の異なる複数のカイラルネマチッ
    ク液晶組成物を調製する方法であり、 前記ネマチック液晶に前記カイラル材料を添加するに際
    して、前記カイラル材料として、光学活性部位を有し旋
    光方向が互いに逆方向の鏡像異性体の混合物を含むもの
    を用い、前記鏡像異性体混合物のうち一方の鏡像異性体
    と、該一方の鏡像異性体とは旋光方向が逆方向の他方の
    鏡像異性体との混合比率を前記複数のカイラルネマチッ
    ク液晶組成物それぞれで異ならせることにより、前記複
    数のカイラルネマチック液晶組成物の選択反射波長をそ
    れぞれ異ならせることを特徴とするカイラルネマチック
    液晶組成物の調製方法。
  2. 【請求項2】前記カイラル材料全体の合計添加量を前記
    複数のカイラルネマチック液晶組成物それぞれで等しく
    する請求項1記載のカイラルネマチック液晶組成物の調
    製方法。
  3. 【請求項3】ネマチック液晶にカイラル材料を添加する
    ことで、選択反射波長の異なる複数のカイラルネマチッ
    ク液晶組成物を調製する方法であり、 前記ネマチック液晶に前記カイラル材料を添加するに際
    して、前記カイラル材料として、旋光方向が互いに逆方
    向の少なくとも2種類のカイラル材料を含む複数種類の
    カイラル材料を使用し、前記複数種類のカイラル材料全
    体の合計添加量を前記複数のカイラルネマチック液晶組
    成物それぞれで等しくするとともに、前記旋光方向が互
    いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル材料のうち一
    方のカイラル材料と他方のカイラル材料との混合比率を
    前記複数のカイラルネマチック液晶組成物それぞれで異
    ならせることにより、前記複数のカイラルネマチック液
    晶組成物の選択反射波長をそれぞれ異ならせることを特
    徴とするカイラルネマチック液晶組成物の調製方法。
  4. 【請求項4】第1のカイラルネマチック液晶組成物を含
    む第1液晶層と、該第1のカイラルネマチック液晶組成
    物とは選択反射波長が異なる第2のカイラルネマチック
    液晶組成物を含む第2液晶層との少なくとも二つの液晶
    層を有しており、 前記第1及び第2のカイラルネマチック液晶組成物は、
    いずれもネマチック液晶にカイラル材料を添加して調製
    されたものであり、それぞれのカイラル材料が光学活性
    部位を有し旋光方向が互いに逆方向の鏡像異性体の混合
    物を含んでおり、該鏡像異性体混合物のうち一方の鏡像
    異性体と他方の鏡像異性体との混合比率が前記第1及び
    第2のカイラルネマチック液晶組成物間で異なることを
    特徴とする液晶表示素子。
  5. 【請求項5】第1のカイラルネマチック液晶組成物を含
    む第1液晶層と、該第1のカイラルネマチック液晶組成
    物とは選択反射波長が異なる第2のカイラルネマチック
    液晶組成物を含む第2液晶層との少なくとも二つの液晶
    層を有しており、 前記第1及び第2のカイラルネマチック液晶組成物は、
    いずれもネマチック液晶にカイラル材料を添加して調製
    されたものであり、それぞれのカイラル材料が旋光方向
    が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル材料を含
    む複数種類のカイラル材料からなり、該複数種類のカイ
    ラル材料全体の合計添加量が前記第1及び第2のカイラ
    ルネマチック液晶組成物間で等しく、且つ、前記旋光方
    向が互いに逆方向の少なくとも2種類のカイラル材料の
    うち一方のカイラル材料と他方のカイラル材料との混合
    比率が前記第1及び第2のカイラルネマチック液晶組成
    物間で異なることを特徴とする液晶表示素子。
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