JP2003146468A - 媒体搬送ベルト - Google Patents

媒体搬送ベルト

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JP2003146468A
JP2003146468A JP2001340069A JP2001340069A JP2003146468A JP 2003146468 A JP2003146468 A JP 2003146468A JP 2001340069 A JP2001340069 A JP 2001340069A JP 2001340069 A JP2001340069 A JP 2001340069A JP 2003146468 A JP2003146468 A JP 2003146468A
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JP
Japan
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resin
belt
medium carrying
carrying belt
medium
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Pending
Application number
JP2001340069A
Other languages
English (en)
Inventor
Taiji Nishikawa
泰司 西川
Hitoshi Nojiri
仁志 野尻
Koji Sezaki
好司 瀬崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001340069A priority Critical patent/JP2003146468A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低反りのため、給電ブラシやインクヘッドと
過度に接触せずまたベルトの位置ずれ制御が容易で、さ
らに、高吸着力、高絶縁性で、癖が小さいために吸着搬
送性に優れ、インクに対する耐性、撥水性、滑り性、高
表面硬度であるためにインククリーニング性に優れた媒
体搬送ベルトを提供する。 【解決手段】 本発明に係る媒体搬送ベルトは、高分子
材料により成形された管状物、導電性を有する電極パタ
ーン、1層以上の電極保護層で形成されており、電極保
護層内層および/または最外周層が樹脂または無機材料
に鱗片状フィラーを混合してなる複合樹脂または複合無
機材料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は媒体搬送ベルトに関
し、より詳しくは複写機やレーザービームプリンターあ
るいはファクシミリなどの電子写真装置に用いられる紙
やOHPフィルム等の搬送に用いられるベルト、又はイ
ンクジェットプリンター装置あるいはバブル(R)ジェッ
トプリンター装置の紙やOHPフィルムなどの搬送や乾
燥などに用いられるベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、複写機やレーザービームプリン
タなどの電子写真装置、インクジェットプリンター装置
あるいはバブルジェット(R)プリンター装置において、
紙、OHPシート等の搬送に用いられる、高分子材料か
らなる管状物、導電性を有する電極パターン層、1層以
上の電極保護層で形成されている媒体搬送ベルトが知ら
れている。
【0003】媒体搬送ベルトが、インクジェットプリン
ター装置あるいはバブルジェット(R)プリンター装置に
用いられる場合、ベルトの端部が反っていると、ベルト
端部が給電ブラシと接触し搬送の妨げになったり、ベル
トが左右にずれたとき位置補正を行えなかったりすると
いう問題があった。
【0004】また、紙を樹脂ベルトに載せて搬送する方
法は、紙とベルトとが滑ることが多く、安定した搬送を
実現することが困難であった。一方、樹脂ベルトを帯電
させて紙を吸着させる方法は、紙の吸着力が不足し、ベ
ルト上に紙を精度よく固定することができず、しかも搬
送している途中で紙の先端部が浮き上がってしまう等の
問題があった。特に、プリンタ−の高速度化を達成する
ためには、従来以上に、紙またはOHPフィルムなどの
印字媒体を精度よくベルトに吸着させ、かつその吸着力
を高める必要があり、さらに、使用環境が変化しても、
例えば高温・高湿下であっても、充分な紙の吸着力を確
保する必要があった。
【0005】また、インクジェットプリンター装置に用
いられる場合、ミスプリントで電極保護層表面にインク
が付着することがある。その結果、インクは導電性が高
いために、電極保護層で絶縁破壊する問題が生じた。ま
た、この付着インクが搬送用紙裏面に付着するのを防ぐ
ために、付着インクをブレード・ハケ・ウェブ等のクリ
ーニング部材で取り除く必要があり、特に、クリーニン
グ部材に水や溶剤等のクリーニング液を含ませて湿式で
クリーニングをすると効果的に洗浄できる反面、水や溶
剤は導電性が高いため絶縁破壊が増加した。
【0006】このような絶縁破壊を防止するために電極
保護層の厚みを増やしたり、傷がついて絶縁性が低くな
らないように表面硬度を高めたりすることが考えられ
る。しかし、厚みや表面硬度を高めると、ベルトに癖
(ここで癖とは、搬送停止中に、軸に接触している部分
でつく癖のことを指す)がつき、搬送を監視するとその
癖がインクヘッドと接触し(ベルトとインクヘッドの距
離は1mm程度)、画像形成ができなくなるという問題
があった。
【0007】以上のように、吸着力、絶縁性に優れ、癖
が小さいということは、優れた搬送性を実現するために
は非常に重要な事項である。またこれら特性のバランス
を取ることは非常に困難なことでもある。
【0008】また、先にも述べたようにミスプリントに
より電極保護層表面にインクが付着するため、電極保護
層はインク耐性に優れていなければならない。また、少
ない回数で効果的にクリーニングを実施するためには、
水が主成分であるインクをはじきやすいように、電極保
護層の表面の撥水性を高くする必要がある。また湿式ク
リーニングの場合には、クリーニング溶剤である水や溶
剤をはじく必要もある。さらに、長期間クリーニングを
行うと、ベルト表面に傷が入り絶縁性の悪化をきたす。
そのため、電極保護層表面のクリーニング部材に対する
滑り性を高め、硬度を高くする必要がある。以上のよう
に、インクに対する耐性、撥水性、滑り性、高表面硬度
に優れていることは、優れたインククリーニング性を実
現するためには非常に重要な事項である。またこれら特
性のバランスを取ることは非常に困難なことでもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、低反
りであるために給電ブラシやインクヘッドと過度に接触
せずまたベルトの位置ずれ制御が容易で、さらに、高吸
着力、高絶縁性で、癖が小さいために吸着搬送性に優
れ、インクに対する耐性、撥水性、滑り性、高表面硬度
であるためにインククリーニング性に優れている媒体搬
送ベルトを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、まず上記
特性のうち最も重要な課題である反りの改善を目指し、
検討を重ねた結果、低反りでさらに各種特性でバランス
のとれた本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明に係る媒体搬送ベルトの
要旨とするところは、高分子材料により成形された管状
物、導電性を有する電極パターンおよび少なくとも1層
の電極保護層をこの順に有する媒体搬送ベルトにおい
て、電極保護層が、樹脂または無機材料に鱗片状フィラ
ーを混合してなる複合樹脂または複合無機材料からなる
層を少なくとも含むことを特徴とする媒体搬送ベルトを
内容とする。
【0012】ここで、鱗片状フィラーとしては、窒化ホ
ウ素、雲母、黒鉛および二硫化モリブデンからなる群よ
り選択される1種類または2種類以上の組み合わせが好
ましく、窒化ホウ素または雲母を混合する場合の好まし
い配合量と、黒鉛または二硫化モリブデンを混合する場
合の好ましい配合量は、多少異なる。。
【0013】すなわち、前者の場合は、樹脂または無機
材料に鱗片状フィラーを混合してなる複合樹脂または複
合無機材料からなる層中における、窒化ホウ素および雲
母の合計含有量が1〜30vol%であることが好まし
く、後者の場合は、樹脂または無機材料に鱗片状フィラ
ーを混合してなる複合樹脂または複合無機材料からなる
層中における、黒鉛および二硫化モリブデンの電極保護
層中の合計含有量が1〜20vol%であることが好ま
しい。
【0014】また、前記高分子材料は、非熱可塑性ポリ
イミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレートおよびアラミドからな
る群より選択される1種類または2種類以上の組み合わ
せが好ましい。
【0015】さらに、また、樹脂に鱗片状フィラーを混
合してなる複合樹脂に用いる樹脂は、主鎖または側鎖に
−CH2−CF2−または−CH2−CHF−の少なくと
も一方の繰り返し単位を有する樹脂を含むことが好まし
い。
【0016】このような本発明の媒体搬送ベルトの一つ
の好ましい実施態様は、電極保護層の体積固有抵抗が1
9〜1015Ω・cmかつ誘電率が3.0以上である。
【0017】また、さらに、他の側面において、本発明
の媒体搬送ベルトの表面の一つの好ましい実施態様は、
荷重500gでの鉛筆硬度が、3B以上であり、また他
の側面においては、静摩擦係数が、0.4以下であり、
またさらに他の側面においては、水に対する接触角が、
80°以上である。。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る媒体搬送ベル
トの実施の形態を、図面に基づいて詳しく説明する。
【0019】本発明の媒体搬送ベルトは、高分子材料に
より成形された管状物、導電性を有する電極パターンお
よび少なくとも1層の電極保護層をこの順に配して構成
されている。この媒体搬送ベルトは、複写機やレーザー
ビームプリンターあるいはファクシミリなどの電子写真
装置における紙やOHPフィルムなどの搬送に用いられ
るベルト、又はインクジェットプリンター装置あるいは
バブルジェット(R)プリンター装置の紙やOHPフィル
ムなどの搬送や乾燥などに用いられるベルトである。
【0020】例えば、本発明の媒体搬送ベルトが図1及
び図2に示すような媒体搬送ベルト10である場合は、
高分子材料により成形された管状物12、導電性を有す
る電極パターン14が形成されるとともに、樹脂単体、
無機材料単体または樹脂、無機材料に添加剤を混合して
なる複合樹脂、複合無機材料等からなる電極保護層16
が形成されて構成されている。
【0021】管状物12を形成する高分子材料として
は、例えば、エンジニアリングプラスチックであり、具
体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド
46、ポリアミドMXD6、ポリカーボネート、ポリア
セタール、ポリフェニレンエーテル、PET(ポリエチ
レンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタ
レート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリ
アリレート、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフ
ィド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリ
エーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリア
ミドイミド、アラミド、非熱可塑性ポリイミド、熱可塑
性ポリイミド、フッ素樹脂、エチレンビニルアルコール
共重合体、ポリメチルペンテン、フェノール樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン、およ
びジアリルフタレート樹脂からなる群より選択される1
種類または2種類以上の組み合わせが好ましい。
【0022】これらの、樹脂の中でも、非熱可塑性ポリ
イミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレートおよびアラミドは、そ
の耐熱性と加工のしやすさのバランス、及びコストと性
能のバランス上、実用的な高分子材料であり、好まし
い。
【0023】これらの高分子材料の中でも、管状物の引
張弾性率が2000MPa以上となる材料や、ガラス転
移温度が150℃以上の特性を有する材料は、特に好ま
しく本発明に用いられる。高分子材料は、フィラーや繊
維等で強化して引張弾性率およびガラス転移温度を上記
の範囲にまで高めてもよい。ここで、「引張弾性率」
は、ASTMD882に準拠する方法で測定され、「ガ
ラス転移温度」は、JISK7121に準拠する方法で
測定される。引張弾性率が、2000MPa以上であれ
ば、ベルトを搬送ロールにかけたときの寸法安定性に優
れ、ベルトの厚みを薄くしても充分な搬送性を得ること
ができる。また、ガラス転移温度150℃以上であれ
ば、ベルト使用中に加わる熱履歴による寸法変化が少な
く、寸法精度に優れたベルトを得ることができる。
【0024】さらに、管状物の線膨張係数をXa、電極
保護層の線膨張係数をXbとした時、XaとXbの比が
0.1< Xb/Xa <10であるとよい。好ましく
は、0.2< Xb/Xa <5、さらに好ましくは0.
5< Xb/Xa <2.0である。管状物と電極保護層
の線膨張係数が、上記範囲内になるように選択すれば、
ベルト端部の反りを少なくすることができ、媒体搬送ベ
ルトに用いた場合に、紙やOHP等を充分に吸着させて
搬送しうる。一方、上記範囲外になると、ベルト端部の
反りが大きくなり、媒体搬送ベルトに用いた場合に、装
置内の部品、例えば、インクジェットヘッド、感光体、
搬送ロールと過剰に接触し、媒体搬送ベルトや装置内の
部品を傷めたり、画像形成ができなくなったりする。ま
た、端部での位置ずれ補正ができなくなる。さらに、ベ
ルトと部品の接触が過度の場合には回転させることも困
難になる。また、紙やOHP等の媒体とインクジェット
ヘッドや感光体の距離が中央部と端部で異なり、中央部
と端部の画像に差が生じる。
【0025】管状物12を形成する高分子材料は、管状
物の線膨張係数Xaが、1×10-5-1<Xa<10×
10-5-1である樹脂が好ましい。上記特性を有する高
分子材料を用いると、製造工程中やベルト使用中に加わ
る熱履歴による寸法変化が少なく、寸法精度に優れたベ
ルトを得ることができる。ここで、「線膨張係数」は、
測定器にTMA(SSC/520:セイコー電子工業
(株)製)を使用し、150℃から50℃における冷却
過程での寸法変化を測定したのち、単位温度の寸法変化
に算出しなおした値のことである。以下、本明細書で
「線膨張係数」というときはこの測定値のことをいう。
【0026】次に、本発明の媒体搬送ベルトに用いられ
る熱可塑性ポリイミド樹脂の一例を示す。熱可塑性ポリ
イミドフィルムは、従来の非熱可塑性(熱硬化性)ポリ
イミドフィルムとは異なり、耐熱性を有しつつ所定の高
温域で溶融流動性を有し、加工性に優れている。さら
に、耐熱性樹脂ベルトにおける継ぎ目部分の接着性が、
非熱可塑性ポリイミドフィルムと比較すると優れてい
る。本発明に係る熱可塑性ポリイミドは、化学構造式
が、一般式(1)化1、
【0027】
【化1】
【0028】(式中、m,nはポリマー鎖の各反復単位
モル分率に等しく、mは0.1〜0.9の範囲であり、
nは0.9〜0.1の範囲である。但し、mとnとの比
は0.01〜9.0である。A,Bはいずれも4価の有
機基であり、X,Yは2価の有機基を示す。)で表され
る構造が主成分であるものが好ましい。
【0029】さらに、酸二無水物として、熱可塑性を付
与するモノマーである一般式(1)中のAが一般式
(2)化2、
【0030】
【化2】
【0031】(式中、R1 およびR2 は2価の有機基を
示す。)で表される4価の有機基の群から選択される少
なくとも1種であることが好ましい。上記一般式(2)
に示される有機基を有する酸二無水物は、酸二無水物全
量に対し、10〜90モル%含むことが好ましい。
【0032】さらに、前記一般式(1)中のBが、群
(I)化3、
【0033】
【化3】
【0034】で表される4価の有機基の群(I群)から
選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0035】さらに、ジアミンとして、前記一般式
(1)中のX,Yが熱可塑性を付与するモノマーである
一般式(3)化4、
【0036】
【化4】
【0037】(式中、R3 は2価の有機基を示す。)、
及び群(II)化5
【0038】
【化5】
【0039】で表される2価の有機基の群(II群)から
選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0040】本発明の管状物の材料として用いられる熱
可塑性ポリイミドは、上記構造の酸二無水物およびジア
ミンを組み合わせた共重合体として用いることが好まし
い。
【0041】ここで、本発明の耐熱性樹脂ベルトに適用
し得る熱可塑性ポリイミドの製造方法の一例を示す。ま
ず、上記一般式(2)に示す分子鎖中にエステル基を有
する酸二無水物、及び上記I群に示す有機基を有する芳
香族酸二無水物から成る酸二無水物と、上記一般式
(3)を有するジアミン及び上記II群から選択される有
機基を有するジアミンとを有機溶媒中にて反応させ、ポ
リイミドの前駆体溶液であるポリアミド酸溶液を得る。
さらに加熱乾燥させてイミド化させることにより、ポリ
イミドが得られる。しかし、この実施形態は例示であっ
て、これに限定されない。
【0042】媒体搬送ベルトに用いられる管状物12を
形成する高分子材料は、例えば、上述の一般式(1)で
表わされる熱可塑性ポリイミドのみからなるフィルムを
用いてもよいが、熱可塑性ポリイミドに他の樹脂を添加
したものから成るフィルムを用いてもよい。この場合、
一般式(1)を主成分として、80wt%以上、好まし
くは90wt%以上含むことが好ましい。
【0043】また、本発明の媒体搬送ベルトに用いられ
る非熱可塑性ポリイミドフィルムとしては、一般式
(4)化6、
【0044】
【化6】
【0045】(但し、R4 は化7、
【0046】
【化7】
【0047】で表される4価の有機基であり、R5は水
素原子又は1価の置換基であり、m,nは整数であり、
n /m =0〜100の値をとる。)で表される構造式
の樹脂から成るフィルムを用いることができるが、これ
に限定されない。
【0048】非熱可塑性ポリイミドフィルムの中には、
熱硬化性ポリイミド樹脂あるいは反応硬化型ポリイミド
樹脂などとして表される樹脂を全て含む。非熱可塑性ポ
リイミドフィルムとして、たとえば非熱可塑性ポリイミ
ド樹脂のみから成るフィルムを用いてもよいが、非熱可
塑性ポリイミドフィルムに添加物を混合したものから成
るフィルムを用いてもよい。非熱可塑性ポリイミドフィ
ルムに添加物を混合するには、その前駆体に添加物が混
合される。
【0049】これらの樹脂をフィルムとし、単層または
2以上積層して本発明の媒体搬送ベルトに用いられる管
状物を製造する。
【0050】管状物12を形成する方法をより具体的に
説明する。例えば、非熱可塑性高分子材料フィルムの両
端部を熱可塑性材料で接合して管状に形成する方法や、
熱可塑性高分子材料フィルムの両端部を加熱して接合す
ることにより管状に形成する方法、あるいは非熱可塑性
高分子材料フィルムと熱可塑性高分子材料フィルムとを
それぞれの突き合わせ端部の位置をずらせて積層し且つ
管状にして、加熱接合することにより管状に形成する方
法を用いることができる。さらに、非熱可塑性高分子材
料あるいは熱可塑性高分子材料を、金型などにより直接
管状に成形する方法、ワニス状にして型の上に均一に塗
布する方法なども用いることができ、いずれの方法で管
状物12を成形してもよく、特に限定されない。また、
管状物12は、所定の電極パターン14および/または
電極保護層16を高分子材料フィルム上に形成させた後
で管状にすることで形成することもできる。
【0051】管状物の厚みは、50〜150μmが良
く、好ましくは60〜100μmであるのが良い。これ
らの範囲よりも薄いと、機械強度が弱く、長期搬送でフ
ィルムが裂けることがあるために好ましくない。また、
ベルトの位置ずれを駆動ローラのデーパにかかる圧力を
感知して制御する方法を用いた場合、ベルトの厚みが薄
いと、テーパに力が加わらずに制御不能となる。一方、
これら範囲よりも厚いと、癖つきが大きくなってインク
ヘッドや感光体と接触し、画像形成が困難となる。
【0052】上記形成された管状物12の表面に、所定
のパターンの電極14が形成される。図3に示すよう
に、電極パターン14は、その端部が交互に延び出さ
れ、端部に電圧を印加し得るように構成されている。電
極パターン14の形成は、例えば銀,銅,アルミニウ
ム,カーボンなどから選択される導電性ペーストを、管
状物12又は電極保護層16の表面にスクリーン印刷す
る方法、アルミニウムや銅などの金属箔や金属薄膜を管
状物12の表面に被着させた後エッチングすることによ
り、所定のパターンに形成する方法、あるいは所定のパ
ターンが形成されたマスクを介してアルミニウムなどの
金属を蒸着させることにより、所定のパターンに形成す
る方法等により形成される。また、管状物12の表面に
形成する代わりに、電極保護層16側に形成しても良
い。電極パターン14は、図示した形状に限定されるも
のではなく、たとえば櫛歯状に形成するとともに、その
櫛歯と櫛歯が噛み合ったパターンとすることができる。
電極パターン14の厚みは、電極パターン14による表
面の凹凸を考慮すると、10μm未満、好ましくは5μ
m未満とするのがよい。さらに、電極パターン14の線
幅やピッチは任意であり、種々設定することが可能であ
る。
【0053】電極パターン14が形成された管状物12
の外周表面上には、電極パターン14を外力から保護す
るためにさらに電極保護層16が形成されている。本発
明の媒体搬送ベルト電極保護層は1層で形成されても良
いし、2層以上で形成されても構わない。これら電極保
護層を構成する材料は、樹脂、無機材料に鱗片状フィラ
ーを配合してなる複合樹脂または複合無機材料が挙げら
れる。複合樹脂、複合無機材料に添加するその他の添加
剤としては、体積抵抗率、誘電率、弾性率等を制御する
添加剤も挙げられる。また、媒体搬送ベルト表面の硬
度、撥水性の改善、摩擦係数の低減をおこなうために、
電極保護層を2層以上とし、そのうちの少なくとも1層
を上記の鱗片状フィラーを含有する材料で形成してもよ
い。その場合は該材料を最外周層に適用することが好ま
しい。電極保護層の層厚は、全体の厚さとして、40〜
150μmが好ましく、特には50〜100μmであ
る。これらの範囲よりも薄いと、絶縁性が悪化するため
に好ましくない。一方、これら範囲よりも厚いと、癖つ
きが大きくなって画像形成が困難となる。
【0054】本発明の媒体搬送ベルトの電極保護層を構
成する複合樹脂の樹脂としては、熱可塑性樹脂、非熱可
塑性樹脂、ゴム、および熱可塑性エラストマーが挙げら
れる。この中には、熱硬化性樹脂、反応硬化性樹脂、あ
るいはアイオノマーとして知られている樹脂も含まれ
る。より具体的には、イソブチレン無水マレイン酸コポ
リマー、AAS(アクリロニトリル−アクリル−スチレ
ン共重合体)、AES(アクリロニトリル−エチレン−
スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリル−スチレ
ン共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体)、ACS(アクリロニトリル−塩
素化ポリエチレン−スチレン共重合体)、MBS(メチ
ルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)、
エチレン−塩ビ共重合体、EVA(エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体)、EVA系(エチレン−酢酸ビニル共重合
体系)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合
体)、ポリ酢酸ビニル、塩素化塩化ビニル、塩素化ポリ
エチレン、塩素化ポリプロピレン、カルボキシビニルポ
リマー、ケトン樹脂、ノルボルネン樹脂、プロピオン酸
ビニル、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレ
ン)、TPX(ポリメチルペンテン)、ポリブタジエ
ン、PS(ポリスチレン)、スチレン無水マレイン酸共
重合体、メタクリル、EMAA(エチレンメタクリル
酸)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVC
(ポリ塩化ビニル)、ポリ塩化ビニリデン、PVA(ポ
リビニルアルコール)、ポリビニルエーテル、ポリビニ
ルブチラール、ポリビニルホルマール、セルロース系、
ナイロン6、ナイロン6共重合体、ナイロン66、ナイ
ロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン
12、共重合ナイロン、ナイロンMXD、ナイロン4
6、メトキシメチル化ナイロン、アラミド、PET(ポ
リエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテ
レフタレート)、PC(ポリカーボネート)、POM
(ポリアセタール)、ポリエチレンオキシド、PPE
(ポリフェニレンエーテル)、変性PPE(ポリフェニ
レンエーテル)、PEEK(ポリエーテルエーテルケト
ン)、PES(ポリエーテルサルフォン)、PSO(ポ
リサルフォン)、ポリアミンサルフォン、PPS(ポリ
フェニレンサルファイド)、PAR(ポリアリレー
ト)、ポリパラビニールフェノール、ポリパラメチレン
スチレン、ポリアリルアミン、芳香族ポリエステル、液
晶ポリマー、PTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)、ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレ
ン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン)、EPE(テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル)、PCTFE(ポリク
ロロトリフルオロエチレン)、ECTFE(エチレン−
クロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリ
デンフルオライド系)、PVF(ポリビニルフルオライ
ド)、PU(ポリウレタン)、フェノール樹脂、ユリア
樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン樹脂、ビニルエステ
ル樹脂、不飽和ポリエステル、オリゴエステルアクリレ
ート、ジアリルフタレート、DKF樹脂、キシレン樹
脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、PI(ポリイミド
系)、PEI(ポリエーテルイミド)、PAI(ポリア
ミドイミド)、アクリルシリコーン、シリコーン、ポリ
(p−ヒドロキシ安息香酸)、マレイン酸樹脂、NR
(天然ゴム)、IR(イソプレンゴム)、SBR(スチ
レンブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、CR
(クロロプレンゴム)、IIR(イソブチレン・イソプ
レンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、EP
M(エチレンプロピレンゴム)、EPDM(エチレンプ
ロピレンジエンゴム)、CPE(塩素化ポリエチレンゴ
ム)、CSM(クロロスルフォン化ポリエチレンゴ
ム)、ACM(アクリルゴム)、エチレンアクリルゴ
ム、U(ウレタンゴム)、シリコーンゴム、フッ素ゴ
ム、四フッ化エチレンプロピレンゴム、CHR(エピク
ロルヒドリンゴム)、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴ
ム、ポリエーテル系特殊ゴム、液状ゴム、ノルボルネン
ゴム、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマ)、T
PU(ウレタン系熱可塑性エラストマ)、PVC(塩ビ
系熱可塑性エラストマ)、TPS(スチレン系熱可塑性
エラストマ)、TREE(ポリエステル系熱可塑性エラ
ストマ)、PA系(ポリアミドエラストマ)、PB系
(ブタジエンエラストマ)、軟質フッ素樹脂、フッ素系
エラストマ、弾性エポキシ樹脂等またはこれらの中から
選択される2種類以上の樹脂の組み合わせが挙げられ
る。
【0055】本発明の媒体搬送ベルトの電極保護層を構
成する複合樹脂の樹脂としては、特に好ましくは、主鎖
または側鎖に−CH2−CF2−、−CH2−CHF−の
繰り返し単位を含む樹脂、または主鎖または側鎖に−C
2−CCl2−、−CH2−CHCl−の繰り返し単位
を含む樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、ウレタン樹
脂,またはこれらの中から選択される2種類以上の樹脂
の組み合わせである。主鎖または側鎖に−CH2−CF2
−、−CH2−CHF−の繰り返し単位、または−CH2
−CCl2−、−CH2−CHCl−の繰り返し単位を含
む樹脂は吸水率が低く、高温高湿時の絶縁性が高くな
る。また、インクやクリーニング液が付着しても、樹脂
内に浸透しにくいために、クリーニングがしやすく、絶
縁性も高くなる。
【0056】本発明に用いられる、主鎖または側鎖に−
CH2−CF2−、−CH2−CHF−の繰り返し単位を
含む樹脂としては、PVDF(ポリビニリデンフルオラ
イド系)、PVF(ポリビニルフルオライド)、ビニリ
デンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系ゴム、
ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−
テトラフルオロエチレン系ゴム、ビニリデンフルオライ
ド−ペンタフルオロプロピレン系ゴム、ビニリデンフル
オライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロ
エチレン系ゴム、ビニリデンフルオライド−パーフルオ
ロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系ゴ
ム、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチ
レン系ゴム、フッ素ゴム(代表的には、ダイエルT−5
30,ダイエルT−630(ダイキン化学工業(株)
製)の熱可塑性フッ素ゴム)、軟質フッ素樹脂(代表的
には、セフラルソフトG150F100N,セフラルソ
フトG150F200等),フッ素系エラストマ等から
なる群より選択される1種類または2種類以上の組み合
わせが挙げられる。
【0057】また、主鎖または側鎖に−CH2−CCl2
−、−CH2−CHCl−の繰り返し単位を含む樹脂と
しては、PVC(ポリ塩化ビニル)、塩素化ポリエチレ
ン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエーテル、エチ
レン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレンー塩
化ビニル共重合体、アクリル変性ポリ塩化ビニル、クロ
ロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、塩素エラスト
マ等からなる群より選択される1種類または2種類以上
の組み合わせが挙げられる。
【0058】電極保護層を構成する複合樹脂の樹脂とし
て、好ましく用いられる、エポキシ樹脂、アミド樹脂、
ウレタン樹脂の樹脂は、管状物12を形成する高分子材
料に対する接着力に優れており、特にエポキシ樹脂、ア
ミド樹脂は絶縁性が高いために好ましい。また管状物と
の接着性に優れるために好ましい。
【0059】エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以
上のエポキシ基を含有する必要があり、エポキシ基以外
に、水酸基、アルコキシ基、ビニル基を含有していても
よい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD
型エポキシ樹脂、水添化ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラッ
ク型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂(住友化学工業
(株)製ESX220,ESX221,三井化学(株)製
VG3101等)、テトラフェニロールエタン型エポキ
シ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹
脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エチレングリコー
ル型エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、フ
タル酸トリグリシジルエステル、テトラヒロドフタル酸
ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシ
ジルエステル、アリサイクリックジエポキシアセター
ル、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビ
ニルシクロヘキセンジオキシド、ケイ素含有エポキシ樹
脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エ
ポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC7000,新日鉄化
学(株)製ESN185,ESN375,大日本インキ
(株)製HP4032H等)、トリグリシジルイソシア
ネート、ジグリシジルヒダントイン等が挙げられ、2種
以上組み合わせても用いることができる。
【0060】エポキシ樹脂には必要に応じてエポキシ硬
化剤が配合され、エポキシ硬化剤としては、アミン、ポ
リアミノアミド、シアナートエステル、フェノール樹
脂、酸無水物、カルボン酸、ジシアンジアミド、有機酸
ジヒドラジド、3級アミン、イミダゾール、ルイス酸、
ブレンステッド酸塩、ポリメルカプタン系硬化剤、ユリ
ア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート、ブロックイソ
シアネート、潜在性硬化剤等が挙げられ、アミン、ポリ
アミドイミド、フェノール樹脂、酸無水物、イミダゾー
ル等が好ましい。これらエポキシ樹脂硬化剤は単独で用
いても、2種以上組み合わせても用いることができる。
【0061】また、アミド樹脂としては、ナイロン6、
ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイ
ロン11、ナイロン12、透明ナイロン、可溶性ナイロ
ン、共重合ナイロン、ポリアミドエラストマ等からなる
群より選択される1種類または2種類以上の組み合わせ
が挙げられる。
【0062】さらにまた、ウレタン樹脂としては、エー
テルウレタン、エステルウレタン等からなる群より選択
される1種類以上または2種類以上の組み合わせが挙げ
られる。
【0063】また、本発明の媒体搬送ベルトの電極保護
層を構成する複合無機材料の無機材料としては、ゾル−
ゲル反応や有機反応等の化学反応を利用したハードコー
ト材料が挙げられる。具体的には、有機ケイ素系化合
物、有機チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物、
有機ジルコニウム系化合物、有機ホウ素系化合物等また
はこれらの中から選択される2種類以上の無機材料の組
み合わせが挙げられる。
【0064】さらに、無機材料に添加剤を加える場合、
加えられる無機添加剤としては、シリカ、アルミナ、ジ
ルコニア、チタニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホ
ウ素、ムライト、マグネシア、ステアタイト、フォルス
テライト、ジルコン、コージェライト、ガラス、マイカ
等のセラミック材料や粘土鉱物等が挙げられる。これら
の2種類以上の混合物でもよい。
【0065】本発明の媒体搬送ベルトは、表面の傷つき
防止やインククリーニング性を改善するために電極保護
層を2層以上とし、電極保護層内周層と最外周層として
形成しても良い。
【0066】例えば、図4に示すように、本発明の媒体
搬送ベルトは、高分子材料により成形された管状物12
の外周表面に、導電性を有する電極パターン14が形成
されるとともに、その電極パターン14上に電極保護層
内周層16が形成され、さらに最外周層20が形成され
て構成される。
【0067】傷つきを防止するためには、最外周層とし
て、シリコーン系、アクリル系の有機系ハードコート材
料やゾル−ゲル法を利用した有機ケイ素系化合物、有機
チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物、有機ジル
コニウム系化合物、有機ホウ素系化合物等またはこれら
の中から選択される2種類以上の無機系ハードコート材
料等が挙げられる。
【0068】インククリーニング性を改善するために、
最外周層として樹脂単体としては、PTFE、FEP、
PFA、FEPE(テトラフルオロエチレン―ヘキサフ
ルオロプロピレン―パーフルオロアルコキシビニルエー
テル共重合体)、ETFE、PCTFE、ECTFE、
PVDF、PVFであることが好ましい。さらにフッ素
系反応硬化型樹脂であることが好ましい。また、フッ素
系反応硬化型樹脂としては、主鎖にF原子を含みかつ反
応性基を有する高分子と硬化剤からなる樹脂であるとさ
らに好ましい。反応性基としては−OH、−COOH、
−NH2等が挙げられ、上記フッ素系反応硬化型樹脂組
み合わせ得る硬化剤としては、イソシアネート、ブロッ
クイソシアネート、エポキシ等が挙げられる。
【0069】さらに、インククリーニング性を改善する
ために、最外周層として樹脂単体としては、シリコーン
系樹脂であることが好ましく、ストレートシリコーン樹
脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコ
ーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリエステル
変性シリコーン樹脂等が挙げられる。鉛筆硬度を高くす
るために、比誘電率が2.7以下であるシリコーン樹脂
が好ましい。さらに、シリコーン系樹脂が、脱アルコー
ル硬化型、脱オキシム硬化型であると好ましく、特に脱
オキシム型が好ましい。ここで、「比誘電率」とは、J
ISK6911に基づいて測定される値である。以下、
本明細書で「比誘電率」というときはこの測定値のこと
をいう。
【0070】さらに、摩擦を下げ接触角を高めてインク
クリーニング性を改善するために、最外周層を構成する
樹脂に、フッ素樹脂添加剤、シリコーン樹脂添加剤等の
添加剤を添加すると良い。フッ素樹脂添加剤としてはP
TFE、FEP、PFA、FEPE、ETFE、PCT
FE、ECTFEといったものが挙げられる。これらの
添加剤の形状は球状、針状、板状のいずれであっても良
い。添加剤の含有割合は、最外周層を形成する全材料の
体積に対して、5vol%以上、好ましくは10vol
%以上、さらに好ましくは15vol%以上である。固
体状の添加剤を材料に混練する場合は、熱ロールや1軸
又は2軸混練機等を使用して、均一に混合するようにす
る。
【0071】この最外周層の厚みは、20μm以下、好
ましくは10μm以下、さらに好ましくは、5μm以下
である。厚みが20μm以上になると、そりが大幅に増
加しやすく、紙搬送の安定性を損ねるからである。
【0072】また、電極保護層の最外周層の吸水率は1
%以下、好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは
0.1%以下である。吸水率が1%以上になると、イン
クと接触したとき絶縁性が大幅に悪化し、紙搬送の安定
性を損ねるからである。ここで、吸水率は、JIS K
7209に基づいて測定される値である。より具体的
には、試験片のフィルムを50℃±2℃に保持した恒温
槽内で24±1時間乾燥し、デシケータで放冷したもの
の重量をW1とし、24時間蒸留水に浸した後、表面の
水滴をふき取ったものの重量をW2とし、吸水率(%)
=(W2−W1)/W1×100の式により算出する。以
下本明細書で吸水率というときはこの測定および計算方
法を用いる。
【0073】電極保護層の内周層および/または外周層
に添加する鱗片状フィラーとしては、窒化ホウ素、雲
母、黒鉛、二硫化モリブデン等が挙げられ、これら2種
類以上の混合物でもよい。これらの鱗片状フィラーのサ
イズは、長さは30μm以下、厚みは2μm以下のもの
が好ましく、さらに好ましくは、長さは10μm以下、
厚みは1μm以下のものである。厚みが薄いものほど、
また長さと厚みのアスペクト比が大きいほど、線膨張係
数を低下させる効果が高く、反りを低減できるために好
ましい。窒化ホウ素と雲母は体積抵抗値が高いために、
高充填しても電極保護層の体積抵抗値の大幅な低下を引
き起こさないために非常に好ましい。窒化ホウ素、雲母
の含有割合は、その層における全材料の体積に対して、
1〜30vol%であるのが好ましく、5〜25vol
%であるとさらに好ましい。黒鉛と二硫化モリブデンは
体積抵抗値が低いために、窒化ホウ素、雲母より少なく
配合するのがよく、含有割合は、その層における全材料
の体積に対して、1〜20vol%であるのが好まし
く、5〜15vol%であるとさらに好ましい。また配
合後の電極保護層の線膨張係数Xbが、管状物の線膨張
係数との比において、0.1< Xb/Xa <10の比
になるように調整すると反りを低減できるために好まし
く、電極保護層の線膨張係数Xbは、好ましくは、0.
1×10-5-1<Xb <100×10-5-1であるの
がよい。含有量が上記範囲よりも少ないと線膨張係数が
大きくなり、成形加工後の反りが大きくなるので好まし
くない。また含有量が上記範囲よりも多いと、フィルム
が脆くなり、成形加工中の取り扱いが難しくなるために
好ましくない。これら鱗片状フィラーが添加された複合
樹脂および複合無機材料が電極保護層の最外周層(1層
の場合はこの層を最外周層とする)に使用された場合
に、他の粒状、球状、繊維状フィラーを添加した場合よ
りも滑り性が高く、インククリーニング性に優れるため
に好ましい。また窒化ホウ素、雲母、黒鉛、二硫化モリ
ブデンは、シリカやアルミナのような金属酸化物とは異
なり、活性な酸素を有していないために、インクの付着
力が弱いので、インククリーニングが容易になるために
好ましい。
【0074】電極保護層の内周層または外周層の線膨張
係数を調整する添加剤としては、繊維状フィラーが挙げ
られる。具体的にはホウ酸アルミニウムウィスカー、炭
化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、チタン酸
カリウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカ
ー、酸化亜鉛ウィスカー、グラファイト、マグネシアウ
ィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、リン酸カルシウ
ムナトリウムウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカ
ー、二ホウ化チタンウィスカー、アルミナウィスカー、
クリソタイルウィスカー、ワラストナイトウィスカー、
ガラス繊維、チラノ繊維、炭化ケイ素繊維、ジルコニア
繊維、アルミナ繊維、炭素繊維が挙げられ、特に好まし
くはホウ酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウム
ウィスカーである。これらの2種類以上の混合物でもよ
い。これらの繊維状フィラーのサイズは、長さは50μ
m以下、径は5μm以下のものが好ましく、さらに好ま
しくは、長さは30μm以下、径は2μm以下のもので
ある。径が小さいものほど線膨張係数を低下させる効果
が高く好ましい。線膨張係数を調整する添加剤の含有割
合は、電極保護層を形成する全材料の体積に対して、5
vol%以上好ましくは10vol%以上である。これ
らは鱗片状フィラーと併用しても良い。固体状の添加剤
を材料に混練する場合は、三本ロール、熱ロールや1軸
又は2軸混練機等を使用して、均一に混合するようにす
る。
【0075】また、本発明の電極保護層は、さらに、吸
着搬送を良好に行うために、体積抵抗値は、好ましくは
109〜1015Ω・cmであり、より好ましくは1010
〜1014Ω・cmがよく、且つ誘電率は3.0以上であ
り、好ましくは5.0以上であることが好ましい。体積
抵抗値が109 Ω・cmを下回った場合は、隣り合う
電極14間の絶縁性が不足し、リーク電流が流れてしま
う。また、体積抵抗値が1015Ω・cmを上回った場合
は、電極保護層表面に、電荷が誘起されにくくなり、吸
着力は低くなる。また、電極に印加する電圧を取り去っ
た後でも、残留電荷が長く残り、紙を吸着したままとな
り好ましくない。一方、誘電率が3.0を下回ると、電
圧印加時にベルト表面の電荷が不足し、紙の吸着力が不
十分となるので好ましくない。
【0076】本発明において、電極保護層が2層以上で
構成される場合、電極保護層の最外周層の体積抵抗値
は、特に限定されないが、電極保護内周層がある場合に
は、電極保護内周層と等しいもしくは高いことが好まし
い。最外周層の体積抵抗値が、電極保護内周層の体積抵
抗値を下回った場合は、紙に電流が流れず、最外周層表
面に電荷が誘起されにくくなり、吸着力は低くなる。
【0077】電極保護層の内周層または外周層の体積抵
抗値を調整するために、樹脂に導電性粉末を添加するこ
とができる。用いられる導電性粉末としては、カーボン
粉末、グラファイト、金属粉末、金属酸化物粉末、導電
処理された金属酸化物、帯電防止剤などを挙げることが
できる。目的に応じてこれらの中から選択される少なく
とも1種以上の導電性粉末が用いられる。導電性粉末の
添加量は、目的とする電極保護層の体積抵抗値によって
適宜設定されるが、通常は電極保護層の最外周層または
電極保護内周層を形成する全体積に対して、2〜50v
ol%が好ましく、3〜30vol%がより好ましい。
導電性粉末の大きさは、目的に応じて適宜選択される
が、平均粒子径が通常50μm以下のものが好ましく、
平均粒子径が10μm以下のものがより好ましく、平均
粒子径が1μm以下のものがさらに好ましい。
【0078】また、電極保護層の内周層または外周層の
誘電率を調整するために、高誘電率粉末を用いることも
できる。用いられる高誘電率粉末としては、誘電率が5
0以上の無機粉末が用いられる。たとえば酸化チタン、
チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸鉛、ニ
オブ酸鉛、チタン酸ジルコン酸塩、磁性粉末などを挙げ
ることができる。より好ましくは誘電率が100以上の
無機粉体が用いられるのがよく、たとえばチタン酸バリ
ウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化チタン、磁性粉末を
挙げることができる。高誘電率粉末の形状は特に制限さ
れないが、たとえば球形、フレーク状、ウィスカー状な
どがあり、目的に応じてこれらの中から選ばれる、少な
くとも1種以上の高誘電率粉末が用いられる。また、高
誘電率粉末の大きさは特に制限はないが、たとえば球形
の場合は、その平均粒子径が通常50μm以下のものが
好ましく、平均粒子径が10μm以下のものがより好ま
しく、平均粒子径が1μm以下のものがさらに好まし
い。ウィスカー状の場合は、長さが100μm以下、径
が5μm以下のものを用いることができる。さらに、高
誘電率粉末の添加量は、目的とする電極保護層の最外周
層の誘電率によって適宜設定されるが、通常5〜50v
ol%が好ましく、10〜30vol%がより好まし
い。
【0079】ここで、本発明の媒体搬送ベルトは、傷つ
きを防止できるという点から、媒体搬送ベルト表面材料
の鉛筆硬度はB以上が好ましく、さらに好ましくはH以
上であるのが好ましい。ここで、「鉛筆硬度」とは、J
IS K 5400に基づいて測定される値である。以
下、本明細書で「鉛筆硬度」というときは、この測定値
のことをいう。
【0080】ここで、本発明の媒体搬送ベルトは、イン
ククリーニング性を向上するという観点から、媒体搬送
ベルト表面の表面粗さRaは0.5μm以下が好まし
く、さらに好ましくは0.2μm以下である。ここで、
「表面粗さ」とは、測定器に表面粗さ測定器SE350
0((株)小坂研究所製)を使用した。媒体搬送ベルト
10から電極パターンが形成されている部分の電極保護
層を、長さ30mm×巾3mmのサイズで切り取った部
分で測定される値である。以下、本明細書で「表面粗さ
Ra」というときはこの測定値のことをいう。
【0081】さらに、本発明の媒体搬送ベルトは、イン
ククリーニング性を向上させるという観点から、媒体搬
送ベルト表面の静摩擦係数が0.4以下、さらには0.
3以下であるのが好ましい。ここで、「静摩擦係数」と
は、JIS K 7125に基づいて、紙と媒体搬送ベ
ルト表面の間で測定される値である。以下、本明細書で
「静摩擦係数」というときはこの測定値のことをいう。
【0082】また、本発明の媒体搬送ベルトは、インク
クリーニング性を向上させる観点から、媒体搬送ベルト
表面の水での接触角が80゜以上であるのが好ましく、
さらに好ましくは100゜以上であるのがよい。ここ
で、「接触角」とは、JISR 3257に基づいて測
定される値であり、測定器に接触角計(CA−DT・A
型:協和界面化学(株)製)を使用して測定したのち、
所定の算出をした値のことである。以下、本明細書にお
いて、「水での接触角」というときはこの測定値のこと
をいう。
【0083】以上、本発明に係る媒体搬送ベルトの構成
の例を説明したが、次にこの媒体搬送ベルト10の製造
方法の例を示す。まず、ベースとなる高分子材料から構
成される管状物12を、キャスティング法によりシーム
レスベルトとして成形した後、その管状物12の外表面
に電極パターン14を形成する。さらに、その外周面に
交互に延び出す電極パターン14の端部を除き、電極保
護層16を、たとえばコーティング法などにより形成し
て、媒体搬送ベルト10を製造する。
【0084】また、まずポリイミド樹脂によりフィルム
を形成した後、そのフィルムの両端を接合してベルト状
にして管状物12を得た後、上述と同様に電極パターン
14と電極保護層16を形成して、媒体搬送ベルト10
を製造してもよい。あるいは、図3に示すように、ポリ
イミド樹脂により形成されたフィルム18の表面に電極
パターン14を形成した後、さらに二点鎖線で示すよう
に電極保護層16を形成し、その後、フィルム18の両
端を接合してベルト状にして媒体搬送ベルト10を製造
してもよい。さらに、ポリイミド樹脂により形成された
フィルム18の表面に電極パターン14を形成した後、
フィルム18の両端を接合してベルト状にし、その後、
さらに二点鎖線で示すように電極保護層16を形成して
媒体搬送ベルト10を製造することもできる。
【0085】これらの製造方法において、電極保護層1
6の形成方法は、例えば、その樹脂をワニス状としてお
き、そのワニスを電極パターン14の上に塗布等によっ
て電極保護層16を形成する。あるいは予め電極保護層
をフィルム状としておき、そのフィルムを一層または複
数層、電極パターン14上にラミネートするか巻き付け
ることによって電極保護層16を形成する方法がある。
また、このラミネート法または巻き付け法としては、熱
プレス法若しくは熱ロール法による熱圧着法を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。圧
力、温度等の条件は、用いる材料により,適宜選択でき
る。
【0086】また、本発明の媒体搬送ベルトは、反りを
低減するために、図4に示すように、管状物の内側に樹
脂層22を形成しても良い。樹脂層22の材料は、高分
子材料、無機材料のいずれであっても良く、特に好まし
くは電極保護層、最外層と同じ材料である。
【0087】本発明の媒体搬送ベルトの製造方法は、得
られる媒体搬送ベルトの目的に応じて適宜選択すること
ができ、また、管状物12の材質に応じて適宜選択され
る。また、他の媒体搬送ベルトの構造に対応させて、製
造方法は適宜設定され得る。
【0088】以上、本発明に係る媒体搬送ベルトを説明
したが、上述の実施形態は例示であり、これらに限定さ
れるものではないのはいうまでもない。その他、得られ
た媒体搬送ベルトの表面に種々の処理を施すことは任意
になし得ることであり、本発明はその趣旨を逸脱しない
範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、
変形を加えた態様で実施し得るものである。
【0089】
【実施例】本発明の媒体搬送ベルトの実施例を以下に示
す。本発明は、これらの実施例の態様に限定されない。
【0090】(吸着力) 媒体搬送ベルトの吸着力の測
定は次のようにおこなった。電極パターン14の電極間
に2kV(±1kV)の直流電圧を印加し、図5に示す
ように、常温常湿(NN:20℃・50%)、高温高湿
(HH:30℃・80%)の条件下A6判サイズの紙4
0をベルト10に吸着させた。その後、図中の矢印方向
に、ベルト10の面と平行な方向に紙40を引っ張り、
デジタルフォースゲージにて紙40が動く時の最大の力
を吸着力として測定した。
【0091】(絶縁性) 媒体搬送ベルトの絶縁性は次
のようにおこなった。電極パターン14の電極間に1k
Vの直流電圧を印加し、図5に示すように、常温常湿
(NN:20℃・50%)、高温高湿(HH:30℃・
80%)の条件下A5判サイズのアルミ箔40をベルト
10に吸着させた。その時、電極保護層で絶縁破壊した
ものを「×」、電極保護層で絶縁破壊しなかったものを
「○」と記した。
【0092】(癖評価) 媒体搬送ベルト10の癖評価
は次のようにおこなった。ベルトを2本のロール(直径
30mm)に張力4kgで架け渡した。ベルト中央部の
表面形状を変位センサーLK−080(キーエンス
(株))を用いて1cm毎に測定した。次に架け渡した
状態で一日放置し、ベルトを1/4回転させた後、変位
センサーを用いて、同様にして中央部のベルト表面形状
を測定した。初期と放置後で差をとり、ベルト中央部の
値を癖(mm)とした。
【0093】(反り評価) 媒体搬送ベルト10の反り
評価は次のようにおこなった。ベルトを垂直に立て、端
部が反りかえりなくまっすぐに立つものを「○」、端部
が反りかえって立つものまたは端部の反りかえりが強く
立てることもできないものを「×」とした。
【0094】(インククリーニング性) この媒体搬送
ベルト10のインククリーニング性の評価は次のように
行った。ベルトの電極保護層16にインクジェット用イ
ンク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)を垂ら
し、電極保護層16を布で拭き取り、外観を観察した。
1回の拭き取りでインクを取り除けなかったものを
「×」、1回の拭き取りでインクを拭き取れたものを
「○」とした。
【0095】(実施例1)厚み12.5μmの非熱可塑
性ポリイミドフィルム(アピカル12.5NPI(鐘淵
化学工業(株)製)の両面に4μmの熱可塑性ポリイミ
ド(ピクシオTPD(鐘淵化学工業(株)製:Tg15
0℃、原料にエステル基を有する酸無水物を使用してい
るため吸水率は1.5%以下)層を形成し、20μmの
ボンディングフィルムを得た(厚みばらつき2μm)。
このフィルムを430mm×3141mmの寸法に裁断
した後、フィルムの片面にエポキシ系銀ペーストを用い
て電極幅6mm、電極間距離3mm、厚み10μmの電
極パターン14を86本形成した。最終的に電極面が外
側になるように、このフィルムを外径250mmの金属
円筒に4周巻き付けた。次に、この電極パターン14上
に、軟質フッ素樹脂(セフラルソフトG150F20
0:セントラル硝子(株))に窒化ホウ素(デンカボロ
ンナイトライドSP1:デンカ(株))を20vol%
配合した複合樹脂からなる25μmフィルムを3周巻き
つけた後、熱プレスを用い200℃・50kg/cm2
の条件で貼り合わせ、本発明の媒体搬送ベルト10を得
た。
【0096】(実施例2)窒化ホウ素(SP1:デンカ
(株))を、雲母(ミクロマイカMK−100:コープ
ケミカル(株))に変更した以外は、実施例1と同様に
して媒体搬送ベルト10を得た。
【0097】(実施例3)窒化ホウ素(SP1:デンカ
(株))を20vol%配合するかわりに、黒鉛(OS
カーボンパウダーUFG5:オリエンタル産業(株))
を10vol%配合することに変更した以外は、実施例
1と同様にして媒体搬送ベルト10を得た。
【0098】(実施例4)窒化ホウ素(SP1:デンカ
(株))を20vol%配合するかわりに、二硫化モリ
ブデン(リキ・モリKM−13SMPowder:大東
潤滑(株))を10vol%配合することに変更した以
外は、実施例1と同様にして媒体搬送ベルト10を得た (実施例5)実施例1の構成に加えて、最外周層として
PVDF(KYNAR741:エルフィナ・ジャパン
(株):吸水率0.1%以下)からなる5μmのフィル
ムを巻き付けた以外は、実施例1と同様にして媒体搬送
ベルト10を得た。
【0099】(実施例6)実施例4の構成に加えて、最
外周層としてPVDF(KYNAR741:エルフィナ
・ジャパン(株):吸水率0.1%以下)からなる5μ
mのフィルムを巻き付けた以外は、実施例1と同様にし
て媒体搬送ベルト10を得た。
【0100】(実施例7)厚み20μmのボンディング
フィルムを430mm×3141mmの寸法に裁断した
後、フィルムの片面にエポキシ系銀ペーストを用いて電
極幅6mm、電極間距離3mm、厚み10μmの電極パ
ターン14を86本形成した。最終的に電極面が外側に
なるように、このフィルムを外径250mmの金属円筒
に4周巻き付けた。次に、この電極パターン14上に、
軟質フッ素樹脂にホウ酸アルミニウムウィスカー(アル
ボレックスYS4=メタクリロキシシラン処理品:径
0.5〜1.0μm、長さ10〜30μm:四国化成工
業(株))を20vol%配合した複合樹脂からなる2
5μmフィルムを2周巻きつけ、さらにPVDFに窒化
ホウ素を20vol%配合した複合樹脂からなる25μ
mフィルムを1周巻きつけた後、熱プレスを用い200
℃・50kg/cm2の条件で貼り合わせ、本発明の媒
体搬送ベルト10を得た。
【0101】(実施例8)厚み20μmのボンディング
フィルムを430mm×3141mmの寸法に裁断した
後、フィルムの片面にエポキシ系銀ペーストを用いて電
極幅6mm、電極間距離3mm、厚み10μmの電極パ
ターン14を86本形成した。最終的に電極面が外側に
なるように、このフィルムを外径250mmの金属円筒
に4周巻き付けた。次に、この電極パターン14上に、
軟質フッ素樹脂にホウ酸アルミニウムウィスカーを20
vol%配合した複合樹脂からなる25μmフィルムを
2周巻きつけ、さらにPVDFに二硫化モリブデンを1
0vol%配合した複合樹脂からなる25μmフィルム
を1周巻きつけた後、熱プレスを用い200℃・50k
g/cm2の条件で貼り合わせ、本発明の媒体搬送ベル
ト10を得た。
【0102】以上のようにして得られた実施例1〜8の
ベルトは、いずれも管状物の線膨張係数Xaは2.5
(×10-5-1)、電極保護層の線膨張係数Xbは2
5.0(×10-5-1)以下であり、Xb/Xaは1
0.0であり、いずれのサンプルも反りが小さかった。
なかでも、窒化ホウ素、雲母は体積抵抗値が高いため
に、添加剤の高充填化が可能であり、反りは非常に小さ
かった。実施例5、6では最外周層としてPVDF単体
が形成されているが、厚みが10μm以下であるため
に、反りは小さい。実施例7、8は最外周層としてPV
DF/窒化ホウ素、PVDF/二硫化モリブデンが形成
されているが、線膨張係数が小さいために、反りは小さ
い。
【0103】また、いずれのベルトにおいても電極保護
層の体積抵抗値が1011〜1013Ω・cmの範囲内に制
御されているために、NN吸着力、HH吸着力が2.0
kg以上で吸着搬送性に優れたものであった。癖は1.
0mm以下で、インクヘッドに接触しないレベルであっ
た。NN絶縁性、HH絶縁性は1kV以上で、搬送中に
印加する電圧(±1kV)以上であった。そのため、長
期の運転で長期間電圧が印加されてもまた装置トラブル
によって過電圧が印加されても十分な耐久性をしてい
た。また、インクやクリーニング液接触後の絶縁性も十
分高かった。
【0104】また、いずれのベルトにおいても電極保護
層の最外周層(電極保護層が1層の場合には電極保護層
を意味する。)の吸水率は0.5%以下(特に実施例
5、6では0.1%以下)、表面粗さは0.3μm以
下、水での接触角は80°以上、鉛筆硬度はB以上(特
に実施例5〜8ではHB以下)であり、インククリーニ
ング性にも優れていた。また、実施例5〜8の静摩擦係
数は0.35以下、特に実施例5、6では0.3以下
で、PVDF/ホウ酸アルミニウムウィスカー20vo
l%含有品の摩擦係数(0.35〜0.4)よりも小さ
く、クリーニング性は非常に優れていた。
【0105】また、管状物の弾性率は3GPa以上、電
極保護層の弾性率は1GPa(特に実施例5〜8では
1.5GPa以上)と非常に強度が高く、引き裂きや磨
耗による損傷が起こりにくいレベルであった。以上の主
要な物性は表1にまとめて示した。
【0106】
【表1】
【0107】(比較例1)軟質フッ素樹脂(セフラルソ
フトG150F200:セントラル硝子(株))に窒化
ホウ素(デンカボロンナイトライドSP1:デンカ
(株))を、PVDF(KYNAR741:エルフィナ
・ジャパン(株))樹脂単体に変更し、電極保護内周層
の厚みを75μmから125μmに変更した以外は実施
例1と同様にして媒体搬送ベルト10を得た。以上の主
要な物性は表1に示した。
【0108】電極保護層は線膨張係数が25.0(×1
-5-1)以上と非常に大きく、厚みも厚いために反り
が非常に大きいために、搬送性、位置制御が難しいレベ
ルであった。実施例と比較すると、吸着力が小さく、電
極保護層の厚みが厚いために癖つきが大きかった。
【0109】(比較例2)最外周層材料をPVDFに窒
化ホウ素を20vol%配合した複合樹脂からPVDF
(KYNAR741:エルフィナ・ジャパン(株))樹
脂単体に変更し、電極保護内周層の厚みを50μmから
100μmに変更した以外は、実施例7と同様にして媒
体搬送ベルト10を得た。以上の主要な物性は表1に示
した。
【0110】最外周層は線膨張係数が25.0(×10
-5-1)以上と非常に大きくが大きく、厚みも厚いため
に反りが非常に大きいために、搬送性、位置制御が難し
いレベルであった。実施例と比較すると、電極保護層の
厚みが厚いために癖つきが大きかった。
【0111】
【発明の効果】本発明に係る媒体搬送ベルトは、高分子
材料により成形された管状物、導電性を有する電極パタ
ーン、1層以上の電極保護層で形成されており、電極保
護層内層および/または最外周層が樹脂または無機材料
に鱗片状フィラーを混合してなる複合樹脂または複合無
機材料であるため、ベルトは低反りとなり、給電ブラシ
やインクヘッドと過度に接触せずまたベルトの位置ずれ
制御が容易で、さらに材料を最適化することにより、高
吸着力、高絶縁性で、癖が小さいために吸着搬送性に優
れ、インクに対する耐性、撥水性、滑り性、高表面硬度
であるためにインククリーニング性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る媒体搬送ベルトの斜視説明図であ
る。
【図2】図1に示す媒体搬送ベルトの要部拡大断面説明
図である。
【図3】図1に示す媒体搬送ベルトの製造方法の実施形
態を示す要部平面説明図である。
【図4】本発明に係る媒体搬送ベルトの他の実施形態を
示す要部拡大断面説明図である。
【図5】本発明に係る媒体搬送ベルトの吸着力の実験方
法を示す要部平面説明図である。
【符号の説明】
10,24:媒体搬送ベルト 12:管状物 14:電極パターン 16:電極保護層 18:フィルム 20:外周層 22:樹脂層 40:紙またはアルミ箔
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA16 HA29 HA30 HA33 3F049 BA14 LA02 LA05 LA07 LB02 LB03 LB08 3F101 LA02 LA07 LB03 LB08 4F100 AA01C AA09C AA14C AA37C AC05C AD11C AK01A AK01C AK17C AK41A AK42A AK47A AK49A AR00B BA03 BA10A BA10C CA23C DA11 DE02C JG01B JG04C JG05C JK12 JK16 JL04 JL06 YY00 YY00C

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料により成形された管状物、導
    電性を有する電極パターンおよび少なくとも1層の電極
    保護層をこの順に有する媒体搬送ベルトにおいて、電極
    保護層が、樹脂または無機材料に鱗片状フィラーを混合
    してなる複合樹脂または複合無機材料からなる層を少な
    くとも含むことを特徴とする媒体搬送ベルト。
  2. 【請求項2】 鱗片状フィラーが、窒化ホウ素、雲母、
    黒鉛および二硫化モリブデンからなる群より選択される
    1種類または2種類以上の組み合わせであることを特徴
    とする請求項1に記載の媒体搬送ベルト。
  3. 【請求項3】 樹脂または無機材料に鱗片状フィラーを
    混合してなる複合樹脂または複合無機材料からなる層中
    における、窒化ホウ素および雲母の合計含有量が1〜3
    0vol%であることを特徴とする請求項2に記載の媒
    体搬送ベルト。
  4. 【請求項4】 樹脂または無機材料に鱗片状フィラーを
    混合してなる複合樹脂または複合無機材料からなる層中
    における、黒鉛および二硫化モリブデンの電極保護層中
    の合計含有量が1〜20vol%であることを特徴とす
    る請求項2に記載の媒体搬送ベルト。
  5. 【請求項5】 高分子材料が、非熱可塑性ポリイミド、
    熱可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポ
    リエチレンナフタレートおよびアラミドからなる群より
    選択される1種類または2種類以上の組み合わせである
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の媒体
    搬送ベルト。
  6. 【請求項6】 電極保護層の体積固有抵抗が109〜1
    15Ω・cmかつ誘電率が3.0以上である請求項1〜
    5のいずれかに記載の媒体搬送ベルト。
  7. 【請求項7】 樹脂が、主鎖または側鎖に−CH2−C
    2−、−CH2−CHF−の繰り返し単位を有する樹脂
    を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    の媒体搬送ベルト。
  8. 【請求項8】 媒体搬送ベルト表面の鉛筆硬度が、B以
    上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記
    載の媒体搬送ベルト。
  9. 【請求項9】 媒体搬送ベルト表面の静摩擦係数が、
    0.4以下であることを特徴とする請求項1〜8のいず
    れかに記載の媒体搬送ベルト。
  10. 【請求項10】 媒体搬送ベルト表面の水に対する接触
    角が、80°以上であることを特徴とする請求項1〜9
    のいずれかに記載の媒体搬送ベルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010208803A (ja) * 2009-03-10 2010-09-24 Nitto Denko Corp 搬送用ベルト

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