JP2002114393A - 媒体搬送ベルト - Google Patents

媒体搬送ベルト

Info

Publication number
JP2002114393A
JP2002114393A JP2000308263A JP2000308263A JP2002114393A JP 2002114393 A JP2002114393 A JP 2002114393A JP 2000308263 A JP2000308263 A JP 2000308263A JP 2000308263 A JP2000308263 A JP 2000308263A JP 2002114393 A JP2002114393 A JP 2002114393A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transport belt
resin
medium transport
salt
belt according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000308263A
Other languages
English (en)
Inventor
Taiji Nishikawa
泰司 西川
Hitoshi Nojiri
仁志 野尻
Koji Sezaki
好司 瀬崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2000308263A priority Critical patent/JP2002114393A/ja
Publication of JP2002114393A publication Critical patent/JP2002114393A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Delivering By Means Of Belts And Rollers (AREA)
  • Feeding Of Articles By Means Other Than Belts Or Rollers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一な吸着搬送性と優れたインククリーニン
グ性を備えた媒体搬送ベルトを提供する。 【解決手段】 高分子材料により成形された管状物の外
周表面に、導電性を有する電極パターンが形成されると
ともに、該電極パターン上に1層以上の電極保護層が形
成されている媒体搬送ベルトであって、電極保護層を樹
脂と金属塩からなる材料で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は媒体搬送ベルトに関
し、より詳しくは複写機やレーザービームプリンターあ
るいはファクシミリなどの電子写真装置に用いられる紙
やOHPフィルムなどの搬送に用いられるベルト、又は
インクジェットプリンター装置あるいはバブルジェット
(登録商標)プリンター装置の紙やOHPフィルムなど
の搬送や乾燥などに用いられるベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、複写機などの電子写真装置にお
いて、高分子材料により成形された管状物の外周表面
に、導電性を有する電極パターンが形成されるととも
に、その電極パターン上に電極保護層が形成されている
媒体搬送ベルトが知られている。
【0003】媒体搬送ベルトが、紙やOHPフィルムな
どの搬送や乾燥などに用いられる場合、プリンターの高
速度化を達成するためには、従来以上に、紙やOHPフ
ィルムなどの印字媒体を精度よく、ベルトに吸着させる
必要がある。また、媒体搬送ベルトはトナーやインクで
汚れるために、インククリーニング性に優れている必要
がある。
【0004】紙やOHPフィルムなどを吸着させるため
には、電極保護層の体積抵抗値を1E+9〜1E+15
Ω・cmの範囲に制御する必要がある。樹脂単体の体積
抵抗値が高く、体積抵抗値を調節するために樹脂にカー
ボンブラックや導電性フィラーが添加された時には、フ
ィラーによる表面の凹凸やフィラーと樹脂間にトナーや
インクが残り、インクのクリーニングが完全にはできな
い場合がある。特にカーボンブラックを添加すると表面
が黒くなり、インククリーニング性評価すら困難とな
る。また、カーボンブラックや導電性フィラーを添加し
て体積抵抗値を制御する場合、フィラーの分散が難しい
ため混練が不十分になりやすく、分散不良のため、体積
抵抗値のばらつきが大きくなり、吸着力が不均一になる
という問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら課題
を解決し、体積抵抗値の制御が容易で、吸着搬送性とイ
ンククリーニング性に優れた媒体搬送ベルトを提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る媒体搬送ベ
ルトの要旨とするところは、高分子材料により成形され
た管状物の外周表面に、導電性を有する電極パターンが
形成されるとともに、該電極パターン上に、金属塩を含
有する樹脂からなる電極保護層が1層以上形成されてい
ることにある。
【0007】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記金属
塩が、Li塩、Na塩、K塩、Rb塩、Cs塩、Be
塩、Mg塩、Ca塩、Sr塩、Ba塩からなる群より選
択される1種類または2種類以上の塩の組み合わせであ
ることにある。かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記L
i塩が、格子エネルギーが1100kJ/mol以下の
Li塩であることにある。
【0008】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記Na
塩が、格子エネルギーが800kJ/mol以下のNa
塩であることにある。
【0009】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記K塩
が、格子エネルギーが800kJ/mol以下のK塩で
あることにある。
【0010】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記Li
塩が、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSC
N、LiCFSOからなる群より選択される1種類
または2種類以上の塩の組み合わせであることにある。
【0011】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記Na
塩が、NaF、 NaCl、 NaBr、 NaI、 Na
SCN、 NaCFSOからなる群より選択される
1種類または2種類以上の塩の組み合わせであることに
ある。
【0012】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記K塩
が、KF、 KCl、 KBr、 KI、 KSCN、 K
CFSOからなる群より選択される1種類または2
種類以上の塩の組み合わせであることにある。
【0013】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記金属
塩が前記樹脂に対して1E−2mol/g以下の所定の
割合で含有されていることにある。
【0014】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記樹脂
の比誘電率が3以上であることにある。
【0015】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記樹脂
が、エポキシ樹脂、アミド樹脂、ウレタン樹脂からなる
群より選択される1種類または2種類以上の樹脂の組み
合わせであることにある。
【0016】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記樹脂
が、−CH−CF−、−CH−CHF−からなる
群より選択される1種類または2種類の構造を有する樹
脂から構成されることにある。
【0017】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記樹脂
が、−CH−CCl−、−CH−CHCl−から
なる群より選択される1種類または2種類の構造を有す
る樹脂から構成されることにある。
【0018】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記管状
物を形成する高分子材料が、非熱可塑性ポリイミド、熱
可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレートからなる群より選択される1種類
または2種類以上のプラスチックの組み合わせであるこ
とにある。
【0019】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記電極
保護層の上に、最外周層が形成されていることにある。
【0020】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記最外
周層の吸水率が1%以下であることにある。
【0021】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記最外
周層の厚みが20μm以下、望ましくは10μm以下で
あることにある。
【0022】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記媒体
搬送ベルトの表面が、水に対する接触角が80°以上で
あることにある。
【0023】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記媒体
搬送ベルトの表面の表面粗さRaが0.5μm以下であ
ることにある。
【0024】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記媒体
搬送ベルトの表面の鉛筆硬度がB以上であることにあ
る。
【0025】かかる媒体搬送ベルトにおいて、前記媒体
搬送ベルトの表面の静摩擦係数が0.4以下であること
にある。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の媒体搬送ベルトは、高分
子材料により成形された管状物の外周表面に、導電性を
有する電極パターンが形成されるとともに、該電極パタ
ーン上に、金属塩を含有する樹脂からなる1層以上の電
極保護層が形成されて構成されている。
【0027】次に、本発明に係る媒体搬送ベルトの態様
を図面に基づいて詳しく説明する。例えば、本発明の媒
体搬送ベルトが図1及び図2に示すような媒体搬送ベル
ト10である場合は、高分子材料により成形された管状
物12の外周表面に、導電性を有する電極パターン14
が形成されるとともに、その電極パターン14上に金属
塩を含有する樹脂からなる電極保護層16が形成されて
構成されている。
【0028】あるいは、本発明の媒体搬送ベルトが、図
3に示すような構成の媒体搬送ベルト24である場合
は、高分子材料により成形された管状物12の外周表面
に、導電性を有する電極パターン14が形成されるとと
もに、その電極パターン14上に金属塩を含有する樹脂
からなる電極保護層16が形成され、さらにその電極保
護層の上に機能性向上のための最外周層20が形成され
て構成されている。
【0029】さらに、図4に示すように、管状物12の
表面に形成された電極パターン14は、交互にその端部
が延び出され、電圧を印加し得るように構成されてい
る。電極パターン14は、銀,銅,アルミニウム,カー
ボンなどから成る導電性ペーストを管状物12又は電極
保護層16の表面にスクリーン印刷したり、アルミニウ
ムや銅などの金属箔や金属薄膜を管状物12の表面に被
着させた後、エッチングすることにより、所定のパター
ンに形成したり、あるいは所定のパターンが形成された
マスクを介してアルミニウムなどの金属を蒸着させるこ
とにより、所定のパターンに形成したりして構成され
る。
【0030】電極パターン14は図示した形状に限定さ
れるものではなく、たとえば櫛歯状に形成するととも
に、その櫛歯と櫛歯が噛み合ったパターンとすることが
できる。電極パターン14の厚みは電極パターン14に
よる表面の凹凸を考慮すると、10μmより薄く、好ま
しくは5μmより薄くするのがよい。さらに、電極パタ
ーン14の線幅やピッチは任意であり、種々設定するこ
とが可能である。
【0031】電極パターン14が形成された管状物12
の外周表面上には、上記のように、電極保護層16が形
成されて、電極パターン14が外力から保護されてい
る。電極保護層は1層で形成されても良いし、2層以上
で形成されても構わない。また、媒体搬送ベルト表面の
硬度を高めたり、撥水性を高めたり、摩擦係数を下げる
ために、電極保護層の上に最外周層を形成しても構わな
い。
【0032】本発明においては、媒体搬送ベルト10の
電極保護層16を構成する材料は、金属塩を含有する樹
脂からなる。これにより、この樹脂の体積抵抗値が過度
に高い場合でも、比誘電率が高ければ、金属塩の含有量
を調節することで樹脂の体積抵抗値を所定の望ましい値
にまで下げて調整することができる。また、同様に、こ
の材料の体積抵抗値が高い場合、この材料がフィラーを
含むことで比誘電率が高ければ、金属塩の含有量を調節
することで材料の体積抵抗値を所定の望ましい値にまで
下げて調整することができる。そのため、電極に電圧を
印加して生ずる吸着力を高めることが出来る。かつ、体
積抵抗値が材料のどこをとってもほぼ均一であるため、
電極に電圧を印加して生ずる吸着力が、電極保護層の周
面内の位置によってばらつかない。これらの理由によ
り、本発明の媒体搬送ベルトは、紙やOHPなどの媒体
を十分に吸着させて搬送できる。しかも、金属塩は樹脂
の中に分子オーダーのサイズで分散させて混入させるこ
とが出来るため、このような金属塩を含有する樹脂から
成る電極保護層は、一般のフィラーが添加された場合と
違って、表面にインクを著しくトラップするような凹凸
や隙間ができないので、本発明の媒体搬送ベルトは、イ
ンククリーニング性にも優れている。
【0033】また、樹脂に含有された金属塩は、その樹
脂の比誘電率が高いと解離が促進されるので、本発明の
媒体搬送ベルト10の電極保護層16を構成する樹脂と
しては、比誘電率が3以上の樹脂が良く、比誘電率が4
以上であることがさらに好ましい。
【0034】電極保護層の誘電率が高いことは、電極パ
ターン14に電圧を印加したときベルト表面の電荷の誘
起を促進するうえでも望ましいが、上述のように、本発
明においては、その金属塩の含有量を調節して、材料の
体積抵抗値を所定の望ましい値にまで下げて、電極保護
層の望ましい誘電率と体積抵抗値を同時に実現させるう
えでも望ましい。
【0035】本発明の媒体搬送ベルトの電極保護層に適
応し得る樹脂に含まれる金属塩としては、Li塩、Na
塩、K塩、Rb塩、Cs塩、Be塩、Mg塩、Ca塩、
Sr塩、Ba塩からなる群より選択される1種類または
2種類以上の塩の組み合わせであることが良く、 更
に、Li塩、Na塩、K塩からなる群より選択される1
種類または2種類以上の塩の組み合わせであることがよ
り好ましい。
【0036】Li塩では格子エネルギーが1100kJ
/mol以下のLi塩が好ましく、具体的には Li
F、LiCl、LiBr、LiI、LiSCN、LiC
SO といったものが挙げられる。
【0037】Na塩では格子エネルギーが800kJ/
mol以下のNa塩が好ましく、具体的にはNaF、
NaCl、 NaBr、 NaI、 NaSCN、 NaC
SOといったものが挙げられる。
【0038】K塩では格子エネルギーが800kJ/m
ol以下のK塩が好ましく、具体的にはKF、 KC
l、 KBr、 KI、 KSCN、 KCFSOとい
ったものが挙げられる。
【0039】これらの金属塩は、常温でイオンが解離し
やすく、材料に添加してその材料の電気特性を調整する
物質として優れている。即ち、少量の添加で材料の抵抗
値を下げることができ、かつ、材料中に特異的に抵抗値
の小さい個所が存在しないので絶縁性の低下も少ない。
ただし、格子エネルギーが小さすぎると、材料の抵抗値
に与える、添加量の影響が大きくなりすぎるので、 L
iF、LiCl、LiBr、 NaCl、 NaBr、
NaI、 KCl、 KBr、 KI、KSCNからなる
群より選択される1種類または2種類以上の塩の組み合
わせであることが最も好ましい。
【0040】金属塩の含有割合は、電極保護層を構成す
る樹脂の重量に対して、1E−2mol/g以下、好ま
しくは1E−3mol/g以下、さらに好ましくは1E
−4mol/g以下である。添加量が1E−2mol/
gをこえると絶縁性が悪化するために好ましくない。金
属塩は、電極保護層を構成する樹脂に所定の絶縁性が得
られるように決められた所定の割合で含有される。
【0041】金属塩を材料に混練する場合は、三本ロー
ル、熱ロールや1軸又は2軸混練機等を使用して、均一
に混合したり、樹脂を溶媒にとかし、攪拌機等を使用し
て均一に混合することができる。
【0042】本発明の媒体搬送ベルトの電極保護層に適
応し得る樹脂としては、上述のように、金属塩の添加に
より容易に電気伝導度を調節でき、紙等の媒体を強く吸
着できるようにするために、比誘電率が3以上の樹脂が
良く、比誘電率が4以上の樹脂がさらに好ましい。その
樹脂としては、比誘電率が3以上さらに好ましくは4以
上の熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、ゴム、および熱可
塑性エラストマーが挙げられる。この中には、比誘電率
が3以上さらに好ましくは4以上の熱硬化性樹脂、反応
硬化性樹脂、あるいはアイオノマーとして知られている
樹脂も含まれる。
【0043】より具体的には、比誘電率が3以上さらに
好ましくは4以上のイソブチレン無水マレイン酸コポリ
マー、AAS(アクリロニトリル−アクリル−スチレン
共重合体)、AES(アクリロニトリル−エチレン−ス
チレン共重合体)、AS(アクリロニトリル−スチレン
共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−
スチレン共重合体)、ACS(アクリロニトリル−塩素
化ポリエチレン−スチレン共重合体)、MBS(メチル
メタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)、エ
チレン−塩ビ共重合体、EVA(エチレン−酢酸ビニル
共重合体)、EVA系樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重
合体系)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合
体)、ポリ酢酸ビニル、塩素化ポリ塩化ビニール、塩素
化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、カルボキシビ
ニルポリマー、ケトン樹脂、ノルボルネン樹脂、プロピ
オン酸ビニル樹脂、PE(ポリエチレン)、PP(ポリ
プロピレン)、TPX、ポリブタジエン、PS(ポリス
チレン)、スチレン無水マレイン酸共重合体、メタクリ
ル樹脂、EMAA(エチレンメタクリル酸樹脂)、PM
MA(ポリメチルメタクリレート)、PVC(ポリ塩化
ビニール)、ポリ塩化ビニリデン、PVA(ポリビニル
アルコール)、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルホルマール、セルロース系樹脂、ナイ
ロン6、ナイロン6共重合体、ナイロン66、ナイロン
610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン1
2、共重合ナイロン、ナイロンMXD、ナイロン46、
メトキシメチル化ナイロン、アラミド、PET(ポリエ
チレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフ
タレート)、PC(ポリカーボネート)、POM(ポリ
アセタール)、ポリエチレンオキシド、PPE(ポリフ
ェニレンエーテル)、変性PPE(ポリフェニレンエー
テル)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、P
ES(ポリエーテルサルフォン)、PSO(ポリサルフ
ォン)、ポリアミンサルフォン、PPS(ポリフェニレ
ンサルファイド)、PAR(ポリアリレート)、ポリパ
ラビニールフェノール、ポリパラメチレンスチレン、ポ
リアリルアミン、芳香族ポリエステル、液晶ポリマー、
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE
(テトラフルオロエチレン−エチレン樹脂)、FEP
(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
樹脂)、EPE(テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル
樹脂)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル樹脂)、PCTFE(ポリク
ロロトリフルオロエチレン)、ECTFE(エチレン−
クロロトリフルオロエチレン樹脂)、PVDF(ポリビ
ニリデンフルオライド系樹脂)、PVF(ポリビニルフ
ルオライド)、PU(ポリウレタン)、フェノール樹
脂、ユリア樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン樹脂、ビ
ニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル、オリゴエステ
ルアクリレート、ジアリルフタレート、DKF樹脂、キ
シレン樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、PI(ポリイ
ミド系)、PEI(ポリエーテルイミド)、PAI(ポ
リアミドイミド)、アクリルシリコーン、シリコーン、
ポリ(p−ヒドロキシ安息香酸)、マレイン酸樹脂、N
R(天然ゴム)、IR(イソプレンゴム)、SBR(ス
チレンブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、C
R(クロロプレンゴム)、IIR(イソブチレン・イソ
プレンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、E
PM(エチレンプロピレンゴム)、EPDM(エチレン
プロピレンジエンゴム)、CPE(塩素化ポリエチレン
ゴム)、CSM(クロロスルフォン化ポリエチレンゴ
ム)、ACM(アクリルゴム)、エチレンアクリルゴ
ム、U(ウレタンゴム)、シリコーンゴム、フッ素ゴ
ム、四フッ化エチレンプロピレンゴム、CHR(エピク
ロルヒドリンゴム)、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴ
ム、ポリエーテル系特殊ゴム、液状ゴム、ノルボルネン
ゴム、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマ)、T
PU(ウレタン系熱可塑性エラストマ)、PVC(塩ビ
系熱可塑性エラストマ)、TPS(スチレン系熱可塑性
エラストマ)、TREE(ポリエステル系熱可塑性エラ
ストマ)、PA系樹脂(ポリアミドエラストマ)、PB
系(ブタジエンエラストマ)、軟質フッ素樹脂、フッ素
系エラストマ、弾性エポキシ樹脂等またはこれらの中か
ら選択される2種類以上の樹脂の組み合わせが挙げられ
る。
【0044】本発明の媒体搬送ベルトの電極保護層に用
いられる樹脂としては、特に好ましくは、比誘電率が3
以上さらに好ましくは4以上のエポキシ樹脂、アミド樹
脂、ウレタン樹脂、−CH−CF−、−CH−C
HF−の構造を有する樹脂、−CH−CCl−、−
CH−CHCl−の構造を有する樹脂またはこれらの
中から選択される2種類以上の樹脂の組み合わせが挙げ
られる。これらの構造を含む樹脂は高温高湿時の絶縁性
が高いので好ましい。
【0045】本発明の媒体搬送ベルトの電極保護層に適
応し得るエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上の
エポキシ基を含有する必要があり、エポキシ基以外に、
水酸基、アルコキシ基、ビニル基を含有しても差し支え
ない。
【0046】具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹
脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノール
AD型エポキシ樹脂、水添化ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ
ールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボ
ラック型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂(住友化学
工業(株)製ESX220、ESX221、三井化学
(株)製VG3101等)、テトラフェニロールエタン
型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エ
ポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキ
シ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エチレン
グリコール型エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエス
テル、フタル酸トリグリシジルエステル、テトラヒドロ
フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸
ジグリシジルエステル、アリサイクリックジエポキシア
セタール、アリサイクリックジエポキシカルボキシレー
ト、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ケイ素含有エポ
キシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレ
ン型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC7000、新
日鐵化学(株)製ESN185、ESN375、大日本
インキ(株)製HP4032H等)、トリグリシジルイ
ソシアネート、ジグリシジルヒダントイン等が挙げら
れ、2種以上組み合わせても用いることができる。
【0047】本発明の媒体搬送ベルトの電極保護層に適
応し得るエポキシ樹脂にはエポキシ硬化剤が必要であ
り、エポキシ硬化剤としては、アミン、ポリアミノアミ
ド、シアナートエステル、フェノール樹脂、酸無水物、
カルボン酸、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、
三級アミン、イミダゾール、ルイス酸、ブレンステッド
酸塩、ポリメルカプタン系硬化剤、ユリア樹脂、メラミ
ン樹脂、イソシアネート、ブロックイソシアネート、潜
在性硬化剤等が挙げられ、アミン、ポリアミドイミド、
フェノール樹脂、酸無水物、イミダゾールが好ましい。
これらエポキシ樹脂硬化剤は単独で用いても、2種以上
組み合わせても用いることができる。
【0048】また、本発明の媒体搬送ベルトの電極保護
層に適応し得るアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン
11,ナイロン12、透明ナイロン、可溶性ナイロン、
共重合ナイロン、ポリアミドエラストマー等からなる群
より選択される1種類または2種類以上の組み合わせが
挙げられる。
【0049】さらにまた、本発明の媒体搬送ベルトに適
応し得る電極保護層のウレタン樹脂としては、エーテル
ウレタン、エステルウレタン等からなる群より選択され
る1種類または2種類以上の組み合わせが挙げられる。
【0050】さらにまた、本発明の媒体搬送ベルトの電
極保護層に適応し得る、−CH−CF−、−CH
−CHF−の構造を有する樹脂としては、 PVDF
(ポリビニリデンフルオライド系)、PVF(ポリビニ
ルフルオライド)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフ
ルオロプロピレン系ゴム、ビニリデンフルオライド−ヘ
キサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系ゴ
ム、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレ
ン系ゴム、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプ
ロピレン−テトラフルオロエチレン系ゴム、ビニリデン
フルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テ
トラフルオロエチレン系ゴム、ビニリデンフルオライド
−クロロトリフルオロエチレン系ゴム、フッ素ゴム(代
表的には、ダイエルT−530、ダイエルT−630
(ダイキン化学工業(株)製)の熱可塑性フッ素ゴ
ム)、軟質フッ素樹脂(代表的には、セフラルソフトG
150F100N、セフラルソフトG150F200
等)、フッ素エラストマ等からなる群より選択される1
種類または2種類以上の組み合わせが挙げられる。
【0051】さらにまた、本発明の媒体搬送ベルトの電
極保護層に適応し得る、−CH−CCl−、−CH
−CHCl− の構造を有する樹脂としては、PVC
(ポリビニルクロライド)、PVDC(ポリ塩化ビニ
ル)、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩
素化ポリエーテル、エチレン−酢ビ−塩ビ共重合体、エ
チレン−塩化ビニル共重合体、アクリル変性ポリ塩化ビ
ニル、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム 、
塩素エラストマ等からなる群より選択される1種類また
は2種類以上の樹脂の組み合わせが挙げられる。
【0052】さらにまた、本発明の媒体搬送ベルトの電
極保護層に適応し得る樹脂は溶媒可溶性樹脂が好まし
い。樹脂と金属塩とを溶媒に溶かした状態で混練する
と、分子レベルでの均一な分散となり、体積抵抗値のば
らつきが小さくなるからである。
【0053】さらに、電極保護層を構成する材料には、
線膨張係数を調整する添加剤、体積抵抗率を調整する添
加剤、比誘電率を調整する添加剤などを添加しても良
い。
【0054】本発明においては、電極保護層の線膨張係
数を下げる為に、前述の電極保護層の樹脂に、線膨張係
数を調整する添加剤を添加することができる。線膨張係
数を調整する添加剤としては、粒状、球状、板状、フレ
ーク状、繊維状フィラーが挙げられ、特に好ましくは、
繊維状フィラーが挙げられる。具体的にはホウ酸アルミ
ニウムウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素
ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、塩基性硫酸
マグネシウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、グラフ
ァイト、マグネシアウィスカー、硫酸カルシウムウィス
カー、リン酸カルシウムナトリウムウィスカー、ホウ酸
マグネシウムウィスカー、二ホウ化チタンウィスカー、
アルミナウィスカー、クリソタイルウィスカー、ワラス
トナイトウィスカー、ガラス繊維、チラノ繊維、炭化ケ
イ素繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、炭素繊維が
挙げられ、特に好ましくはホウ酸アルミニウムウィスカ
ー、チタン酸カリウムウィスカーである。これらの2種
類以上の混合物でもよい。繊維状フィラーのサイズは、
長さは50μm以下、径は5μm以下のものが好まし
く、さらに好ましくは、長さは30μm以下、径は2μ
m以下のものである。径が小さいものほど線膨張係数を
低下させる効果が高く好ましい。線膨張係数を調整する
添加剤の含有割合は、電極保護層を形成する全材料の体
積に対して、5vol%以上好ましくは10vol%以
上である。固体状の添加剤を材料に混練する場合は、三
本ロール、熱ロールや1軸又は2軸混練機等を使用し
て、均一に混合したり、樹脂を溶媒にとかし、攪拌機等
を使用して均一に混合することができる。
【0055】本発明の媒体搬送ベルトを構成する電極保
護層の体積抵抗値は、好ましくは1E+9 〜1E+1
5Ω・cmであり、より好ましくは1E+10 〜1E
+14Ω・cmがよく、且つ比誘電率は3.0以上がよ
い。体積抵抗が1E+9 Ω・cmを下回った場合は、
隣り合う電極14間の絶縁性が不足し、リーク電流が流
れてしまう。また、体積抵抗が1E+15Ω・cmを上
回った場合は、電極に電圧を印加したとき、電極保護層
表面に電荷が誘起されにくくなり、紙やOHPフィルム
などの印字媒体を吸着する力は低くなる。また、電極に
印加する電圧を取り去った後でも、残留電荷が長く残
り、紙等を吸着したままとなり好ましくない。一方、比
誘電率が3.0を下回ると、電圧印加時にベルト表面の
電荷が不足し、紙等の吸着力が不十分となるので好まし
くない。
【0056】本発明における媒体搬送ベルトを構成する
電極保護層の体積抵抗値は、電極保護層を構成する材料
と同じ材料から100μmのフィルム(20cm×20
cm)を作成し、これを9分割した後、温度20℃およ
び湿度60%の条件で24時間放置後、東亜電波工業
(株)製SM−10を用いて9枚のフィルムを測定電圧
500Vでそれぞれ測定した値の平均値である。また、
体積抵抗値のばらつきは、最大測定値/最小測定値を求
め、この値が10を超えたものをばらつきあり「×」、
この値が10以下のものをばらつきなし「○」とした。
また、比誘電率は、対象となる材料樹脂から厚さ200
μm以上のフィルムを作成し、温度20℃および湿度6
0%の条件で24時間放置後、安藤電気(株)製AS−
4245を用いて、周波数1kHzで測定した値であ
る。
【0057】又、電極保護層の体積抵抗値を調整するた
めに、媒体搬送ベルトのインククリーニング性を悪化さ
せない範囲の少量であれば、電極保護層を形成する樹脂
に導電性粉末を添加することができる。用いられる導電
性粉末としては、カーボン粉末、グラファイト、金属粉
末、金属酸化物粉末、導電処理された金属酸化物、帯電
防止剤などを挙げることができ、目的に応じてこれらの
中から選ばれる少なくとも1種以上の導電性粉末が用い
られる。導電性粉末の添加量は、目的とする電極保護層
の体積抵抗によって適宜設定されるが、通常、電極保護
層を形成する全体積に対して、30vol%以下が好ま
しく、20vol%以下がより好ましい。導電性粉末の
大きさは、目的に応じて適宜選択されるが、平均粒子径
が通常50μm以下のものが好ましく、平均粒子径が1
0μm以下のものがより好ましく、平均粒子径が1μm
以下のものがさらに好ましい。
【0058】また、電極保護層の比誘電率を調整するた
めに、電極保護層を構成する材料に高誘電率粉末を添加
して用いることもできる。用いられる高誘電率粉末とし
ては、比誘電率が50以上の無機粉末が用いられ、たと
えば酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸カリウ
ム、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛、チタン酸ジルコン酸塩、
磁性粉末などを挙げることができる。より好ましくは比
誘電率が100以上の無機粉体が用いられるのがよく、
たとえばチタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸
化チタン、磁性粉末を挙げることができる。高誘電率粉
末の形状は特に制限されないが、たとえば球形、フレー
ク状、ウイスカー状などがあり、目的に応じてこれらの
中から選ばれる少なくとも1種以上の高誘電率粉末が用
いられる。また、高誘電率粉末の大きさは特に制限はな
いが、たとえば球形の場合は、その平均粒子径が通常5
0μm以下のものが好ましく、平均粒子径が10μm以
下のものがより好ましく、平均粒子径が1μm以下のも
のがさらに好ましい。ウイスカー状の場合は、長さが1
00μm以下、径が5μm以下のものを用いることがで
きる。さらに、高誘電率粉末の添加量は、目的とする比
誘電率によって適宜設定されるが、通常30vol%以
下が好ましく、20vol%以下がより好ましい。
【0059】ここで、本発明の媒体搬送ベルトは、傷つ
きを防止したり、インククリーニング性を改善するため
に、電極保護層の上に機能性向上のための最外周層を形
成しても良い。
【0060】傷つきを防止するための最外周層の材料と
しては、シリコーン系、アクリル系の有機系ハードコー
ト材料や、ゾル−ゲル法を利用した有機ケイ素系化合
物、有機チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物、
有機ジルコニウム系化合物、有機ホウ素系化合物等また
はこれらの中から選択される2種類以上の無機系ハード
コート材料等が挙げられる。
【0061】インククリーニング性を改善するための最
外周層の材料として、樹脂単体としては、PTFE、F
EP、PFA、FEPE(テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロプロピレン−フルオロアルコキシビニルエ
ーテル共重合体)、ETFE、PCTFE、ECTF
E、PVDF、PVFが好ましい。さらにフッ素系反応
硬化型樹脂であることが好ましく、フッ素系反応硬化型
樹脂としては、主鎖にF原子を含みかつ反応性基を有す
る高分子と硬化剤からなる樹脂であると良い。反応性基
としては、−OH、−COOH、−NH等が挙げら
れ、硬化剤としてはイソシアネート、ブロックイソシア
ネート、エポキシ等が挙げられる。
【0062】さらに、インククリーニング性を改善する
ための最外周層として、樹脂単体としては、シリコーン
系樹脂であることが好ましく、ストレートシリコーン樹
脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコ
ーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリエステル
変性シリコーン樹脂等が挙げられる。鉛筆硬度を高くす
るために、比誘電率が2.7以下であるシリコーン樹脂
が好ましい。さらに、シリコーン系樹脂が脱アルコール
硬化型、脱オキシム硬化型であると好ましく、特に脱オ
キシム型が好ましい。
【0063】さらに、摩擦を下げ接触角を高めてインク
クリーニング性を改善するために、その最外周層を形成
する材料にフッ素樹脂添加剤、シリコーン樹脂添加剤等
の添加剤を添加すると良い。フッ素樹脂添加剤としては
PTFE、FEP、PFA、FEPE、ETFE、PC
TFE、ECTFEといったものが挙げられる。これら
の添加剤の形状は球状、針状、板状のいずれであっても
良い。添加剤の含有割合は、最外周層を形成する全材料
の体積に対して、5vol%以上好ましくは10vol
%以上さらに好ましくは15vol%以上である。固体
状の添加剤を材料に混練する場合は、熱ロールや1軸又
は2軸混練機等を使用して、均一に混合したり、樹脂を
溶媒にとかし、攪拌機等を使用して均一に混合すること
ができる。
【0064】機能性向上のための最外周層の厚みは、2
0μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましく
は、5μm以下である。厚みが20μmをこえると、吸
着力の低下をまねき紙搬送の安定性を損ねる。その最外
周層の厚みが10μm以下であると吸着力の低下は無視
できる程度となり、紙搬送はきわめて安定する。その最
外周層の厚みが5μm以下であると紙搬送はさらに安定
する。その最外周層の厚みが0.1μm以下であると、
使用による磨耗が激しく実用できない。
【0065】また、機能性向上のための最外周層の吸水
率は、1%以下、好ましくは0.8%、さらに好ましく
は、0.5%以下である。吸水率が1%をこえると、イ
ンクと接触したと絶縁性が大幅に悪化し、紙搬送の安定
性を損ねるからである。ここで、吸水率は、JISK7
209に基づいて測定される値である。より具体的に
は、試験片のフィルムを50℃±2℃に保った恒温槽内
で24±1時間乾燥し、デシケーターで放冷したものの
重量をW1 とし、24時間蒸留水に浸した後、表面の
水滴を拭き取ったものの重量をW2 とし、吸水率
(%)=(W2 −W1)÷W1 ×100の式により算
出する。本明細書で吸水率というときはこの測定および
計算法を用いる。
【0066】また、本発明において、機能性向上のため
の最外周層の体積抵抗値は特に限定されないが、電極保
護層と等しいもしくは高いことが好ましい。機能性向上
のための最外周層の体積抵抗値が電極保護層の体積抵抗
値を下回った場合は、電極パターンに電圧を印加したと
き、紙に電流がほとんど流れず、媒体搬送ベルトの最外
周表面に、電荷が誘起されにくくなり、吸着力は低くな
る。
【0067】ここで、本発明の媒体搬送ベルトは、傷つ
きを防止できるという点から、媒体搬送ベルト表面材料
の鉛筆硬度はB以上がであるのが良く、さらに好ましく
はH以上であるのが良い。ここで、鉛筆硬度とはJIS
K5400に基づいて測定される値(荷重100g)で
ある。本明細書で鉛筆硬度というときはこの測定値のこ
とを言う。
【0068】ここで、本発明の媒体搬送ベルトは、イン
ククリーニング性を向上できるという点から、媒体搬送
ベルト表面の表面粗さRaは0.5μm以下であるのが
良く、さらに好ましくは0.2μm以下であるのが良
い。ここで、表面粗さとは、測定器に表面粗さ測定器S
E3500((株)小坂研究所製)を使用し、媒体搬送
ベルト10から電極パターンが形成されている部分の電
極保護層を長さ30mm×巾3mmのサイズで切り取っ
た部分で測定される値である。本明細書で表面粗さRa
というときはこの測定値のことを言う。
【0069】さらにまた、本発明の媒体搬送ベルトは、
インククリーニング性を向上させるという点から、媒体
搬送ベルト表面の静摩擦係数が0.4以下、さらには好
ましくは0.3以下であるのがよい。ここで、静摩擦係
数とは、JISK7125に基づいて紙と媒体搬送ベル
ト表面の間で測定される値である。本明細書で静摩擦係
数というときはこの測定値のことを言う。
【0070】またここで、本発明の媒体搬送ベルトは、
インククリーニング性を向上できるという点から、媒体
搬送ベルト表面の水での接触角が80゜以上であるのが
良く、さらに好ましくは100゜以上であるのがよい。
ここで、接触角とは、JISR3257に基づいて測定
される値であり、測定器に接触角計(CA−DT・A
型:協和界面化学(株)製)を使用して測定したのち、
所定の算出をした値のことである。本明細書で水での接
触角というときはこの測定値のことを言う。
【0071】以上、本発明に係る媒体搬送ベルトの構成
の例を説明したが、次にこの媒体搬送ベルト10(図
1)の製造方法の例を示す。まず、ベースとなる高分子
材料から成る管状物12をキャスティング法によりシー
ムレスベルトとして成形した後、その管状物12の外表
面に電極パターン14を形成する。さらに、その外周面
に交互に延び出す電極パターン14の端部を除いて電極
保護層16をたとえばコーティング法などにより形成し
て、媒体搬送ベルト10を製造するのである。
【0072】また、ポリイミド樹脂により予めフィルム
を形成した後、そのフィルムの両端を接合してベルト状
にして管状物12を得た後、上述と同様に電極パターン
14と電極保護層16を形成して媒体搬送ベルト10を
製造してもよい。あるいは、図4に示すように、ポリイ
ミド樹脂により形成されたフィルム18の表面に電極パ
ターン14を形成した後、さらに二点鎖線で示すように
電極保護層16を形成し、その後、フィルム18の両端
を接合してベルト状にして媒体搬送ベルト10を製造し
てもよい。さらに、ポリイミド樹脂により形成されたフ
ィルム18の表面に電極パターン14を形成した後、フ
ィルム18の両端を接合してベルト状にし、その後、さ
らに二点鎖線で示すように電極保護層16を形成して媒
体搬送ベルト10を製造することもできる。
【0073】これらの製造方法において、電極保護層1
6の形成方法は、その樹脂をワニス状としておき、その
ワニスを電極パターン14の上に塗布したりするなどに
よって電極保護層16を形成したり、あるいは予め電極
保護層をフィルム状としておき、そのフィルムを一層ま
たは複数層、電極パターン14上にラミネートするか巻
き付けることによって電極保護層16を形成したりする
方法がある。また、このラミネート法または巻き付け法
としては、熱プレス法若しくは熱ロール法による熱圧着
法を挙げることができるが、これらに限定されるもので
はない。
【0074】本発明の管状物12を形成する高分子材料
は、管状物の線膨張係数Xaが10<Xa<10(×1
−5−1)である樹脂が好ましい。ここで、線膨張
係数は、測定器にTMA(SSC/520:セイコー電
子工業(株)製)を使用し、150℃から50℃におけ
る冷却過程での寸法変化を測定したのち、単位温度の寸
法変化に算出し直した値のことである。本明細書で線膨
張係数というときはこの測定値のことを言う。
【0075】管状物12を形成する高分子材料として
は、例えば、エンジニアリングプラスチックであり、具
体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド
46、ポリアミドMXD6、ポリカーボネート、ポリア
セタール、ポリフェニレンエーテル、PET(ポリエチ
レンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタ
レート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリ
アリレート、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフ
ィド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリ
エーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリア
ミドイミド、アラミド、非熱可塑性ポリイミド、熱可塑
性ポリイミド、フッ素樹脂、エチレンビニルアルコール
共重合体、ポリメチルペンテン、フェノール樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン、およ
びジアリルフタレート樹脂からなる群より選択される1
種類または2種類以上のプラスチックの組み合わせが好
ましい。このうち、より好ましくは、限定はされない
が、例えば、引張弾性率が2000MPa以上の材料お
よび/またはガラス転移温度150℃以上の材料であり
得る。弾性率およびガラス転移温度を高めるためには、
高分子材料は、フィラーや繊維等で強化してもよい。こ
こで、引張弾性率は、ASTMD882に準拠する方法
で測定され、ガラス転移温度は、JISK7121に準
拠する方法で測定される。
【0076】このうち、熱可塑性ポリイミド樹脂として
は、ガラス転移温度Tgが150℃以上、より好ましく
は230℃以上のものが用いられ得る。媒体搬送ベルト
10は、複写機やレーザービームプリンターあるいはフ
ァクシミリなどの電子写真装置における紙やOHPフィ
ルムなどの搬送に用いられるベルト、又はインクジェッ
トプリンター装置あるいはバブルジェットプリンター装
置の紙やOHPフィルムなどの搬送や乾燥などに用いら
れるベルトである。したがって、ベルトの使用条件にお
いて、管状物12を構成する熱可塑性ポリイミド樹脂は
ガラス転移温度Tgが150℃以上、より好ましくは2
30℃以上を有することにより、ガラス転移温度Tg以
下で使用される熱可塑性ポリイミド樹脂は耐熱性樹脂と
して機能する。
【0077】次に、本発明の媒体搬送ベルトに用いられ
る熱可塑性ポリイミド樹脂の一例を示す。熱可塑性ポリ
イミドフィルムは、従来の非熱可塑性(熱硬化性)ポリ
イミドフィルムとは異なり、耐熱性を有しつつ所定の高
温域で溶融流動性を有し、加工性に優れている。さら
に、耐熱性樹脂ベルトにおける継ぎ目部分の接着性が、
非熱可塑性ポリイミドフィルムと比較すると優れてい
る。本発明に係る熱可塑性ポリイミドは化学構造式が一
般式(1)
【0078】
【化1】
【0079】(式中、m,nはポリマー鎖の各反復単位
モル分率に等しく、mは約0.1〜約0.9の範囲であ
り、nは約0.9〜約0.1の範囲である。但し、mと
nとの比は約0.01〜約9.0である。A,Bはいず
れも4価の有機基であり、X,Yは2価の有機基を示
す。)で表される構造が主成分であるものが好ましい。
さらに、酸二無水物として、熱可塑性を付与するモノマ
ーである一般式(1)中のAが一般式(2)
【0080】
【化2】
【0081】(式中、R1 およびR2 は2価の有機基
を示す。)で表される4価の有機基の群から選択される
少なくとも1種であることが好ましい。さらに、前記一
般式(1)中のBが、
【0082】
【化3】
【0083】で表される4価の有機基の群から選択され
る少なくとも1種であることが好ましい。さらに、ジア
ミンとして、前記一般式(1)中のX,Yが熱可塑性を
付与するモノマーである一般式(3)
【0084】
【化4】
【0085】(式中、R3 は2価の有機基を示
す。)、及び化5
【0086】
【化5】
【0087】で表される2価の有機基の群から選択され
る少なくとも1種であることが好ましい。
【0088】ここで、本発明の耐熱性樹脂ベルトに適用
し得る熱可塑性ポリイミドの製造方法の一例を示す。熱
可塑性ポリイミドは、まず、上記一般式(2)に示す分
子鎖中にエステル基を有する酸二無水物(好適には10
〜90モル%)及び上記化3に示す芳香族酸二無水物
(好適にはピロメリット酸二無水物)から成る酸二無水
物と、上記一般式(3)化4及び化5に示すジアミンと
を有機溶媒中にて反応させ、ポリイミドの前駆体溶液で
あるポリアミド酸溶液を得る。そして、さらに加熱乾燥
させてイミド化させることにより、ポリイミドが得られ
る。しかし、この実施形態は例示であって、これに限定
されない。
【0089】媒体搬送ベルトに用いられる管状物12を
形成ずる高分子材料は、例えば、上述の熱可塑性ポリイ
ミドのみからなるフィルムを用いてもよいが、熱可塑性
ポリイミドに他の樹脂を添加した混合物を混合したもの
から成るフィルムを用いてもよい。
【0090】また、本発明の媒体搬送ベルトに用いられ
る非熱可塑性ポリイミドフィルムとしては、一般式
(4)
【0091】
【化6】
【0092】(但し、R4 は
【0093】
【化7】
【0094】で表される4価の有機基であり、R5 は
水素原子又は1価の置換基であり、m,nは整数であ
り、n /m =0〜100の値をとる。)で表される構
造式の樹脂から成るフィルムを用いることができるが、
これに限定されない。
【0095】非熱可塑性ポリイミドフィルムの中には、
熱硬化性ポリイミド樹脂あるいは反応硬化型ポリイミド
樹脂などとして表される樹脂を全て含む。非熱可塑性ポ
リイミドフィルムとして、たとえば非熱可塑性ポリイミ
ド樹脂のみから成るフィルムを用いてもよいが、非熱可
塑性ポリイミドフィルムに添加物を混合したものから成
るフィルムを用いてもよい。非熱可塑性ポリイミドフィ
ルムに添加物を混合するには、その前駆体に添加物が混
合される。
【0096】管状物12を形成する方法をより具体的に
説明すれば、非熱可塑性高分子材料フィルムの両端部を
熱可塑性材料で接合して管状に形成する方法や、熱可塑
性高分子材料フィルムの両端部を加熱して接合すること
により管状に形成する方法、あるいは非熱可塑性高分子
材料フィルムと熱可塑性高分子材料フィルムとをそれぞ
れの突き合わせ端部の位置をずらせて積層し且つ管状に
して、加熱接合することにより管状に形成する方法を用
いることができる。さらに、非熱可塑性高分子材料ある
いは熱可塑性高分子材料を金型などにより直接管状に成
形する方法、ワニス状にして型の上に均一に塗布する方
法なども用いることができ、いずれの方法で管状物12
を成形してもよく、特に限定されない。また、管状物1
2は、所定の電極パターン14および/あるいは電極保
護層16を高分子材料フィルム上に形成させた後で管状
にすることで得ても良い。
【0097】以上、本発明に係る媒体搬送ベルトを説明
したが、更に、本発明の媒体搬送ベルトは、反りを低減
するために、管状物の内側に図3で示すような樹脂層2
2を形成しても良い。樹脂層22の材料は、高分子材
料、無機材料のいずれであっても良く、特に好ましくは
電極保護層、若しくは最外層と同じ材料である。
【0098】本発明の媒体搬送ベルトの製造方法は、得
られる媒体搬送ベルトの目的に応じて適宜選択すること
ができ、また、管状物12の材質に応じて適宜選択され
る。また、他の媒体搬送ベルトの構造に対応させて、製
造方法は適宜設定され得る。
【0099】本発明に係る媒体搬送ベルトの、上述の実
施形態は例示であり、これらに限定されるものではない
のは言うまでもない。その他、得られた媒体搬送ベルト
の表面に種々の処理を施すことは任意になし得ることで
あり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者
の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様
で実施し得るものである。
【0100】[実施例] (実施例1)厚み75μmの非熱可塑性ポリイミドフィ
ルム(アピカル75AH(鐘淵化学工業(株)製)にエ
ポキシ系銀ペーストを用いて、電極幅6mm、電極間距
離3mm、厚み10μmの電極パターン14を形成し
た。一方、DMFにKIをとかし、そのKIをとかした
DMFにPVDF樹脂(KYNAR711:エルフ・ア
トケム・ジャパン(株):比誘電率7〜9)を15wt
%溶解させた溶液を、離形紙に乾燥後の厚みが25μm
になるように塗布し、160℃、5分乾燥し、フィルム
を得た。KIは樹脂1gに対して5E−5mol/gが
配合された。上記の電極パターン14上に、このフィル
ム4枚を、熱プレスを用い200℃・10kg/cm2
の条件で貼り合わせ、厚み100μmの電極保護層を
形成した。得られたフィルムを管状に形成して、本発明
の媒体搬送ベルト10(図1)を作成した。電極保護層
の体積抵抗値は1.7E+12Ω・cmであり、抵抗の
ばらつきは少なかった。電極保護層表面の表面粗さはR
a<0.3μm、鉛筆硬度B、静摩擦係数0.3、水に
対する接触角80°であった。
【0101】この媒体搬送ベルト10の紙の吸着力を測
定するために、電極パターン14の電極間に2.0kV
の直流電圧を印加し、図5に示すように、常温常湿(N
N:20℃・50%)の条件下A5判サイズの紙40を
ベルト10に吸着させた。その後、図中の矢印方向に、
ベルト10の面と平行な方向に紙40を引っ張り、デジ
タルフォースゲージにて紙40が動く時の最大の力を吸
着力として測定した。その結果、表1に示したように、
本発明の媒体搬送ベルト10は、紙40のNN吸着力が
4.5kgに優れたものであった。
【0102】この媒体搬送ベルト10のインククリーニ
ング性の評価は次のように行った。ベルトの電極保護層
16にインクジェット用インク(シアン、マゼンタ、イ
エロー、ブラック)を垂らし、電極保護層16を布で拭
き取り、外観を観察した。インクのふき取りが目視で確
認できないものを「×」、インクのふき取りが目視で確
認できるものを「○」と記した。表1に示すように、本
発明の媒体搬送ベルトは、インククリーニング性は
「○」と良好であった。
【0103】(実施例2)電極保護層をPVDF/PM
MA樹脂(KYNAR711:エルフ・アトケム・ジャ
パン(株)50部と:スミペックスLG35:住友化学
(株)50部:比誘電率4〜5)とKSCN(樹脂1g
に対して5E−5mol/gを配合)からなるフィルム
で形成した以外は、実施例1と同様にして媒体搬送ベル
ト10を得た。表1に示したように電極保護層の体積抵
抗値は2.5E+13Ω・cmであり、抵抗のばらつき
は少なかった。電極保護層表面の表面粗さはRa<0.
3μm、鉛筆硬度B、静摩擦係数0.35、水に対する
接触角80°であった。
【0104】表1に示したように、NN吸着力、インク
クリーニング性に優れていた。
【0105】(実施例3)厚み75μmの非熱可塑性ポ
リイミドフィルム(アピカル75AH(鐘淵化学工業
(株)製)にエポキシ系銀ペーストを用いて、電極幅6
mm、電極間距離3mm、厚み10μmの電極パターン
14を形成した。この電極パターン14上に、厚み25
μmPVDF樹脂(KYNAR711:エルフ・アトケ
ム・ジャパン(株):比誘電率7〜9)/KI(樹脂1
gに対して5E−5mol/gを配合)からなるフィル
ム4枚を、熱プレスを用い200℃・10kg/cm2
の条件で貼り合わせ、厚み100μmの電極保護層を
形成した。この後、 PVDF系樹脂(KYNAR71
1:エルフ・アトケム・ジャパン(株)50部/セフラ
ルソフトG150F200:セントラル硝子(株)50
部)DMF溶液(8wt%)を塗布し150℃で乾燥し
て最外周層を形成した。得られたフィルムを管状に形成
して、本発明の媒体搬送ベルト10を作成した。表1に
示したように電極保護層の体積抵抗値は1.7E+12
Ω・cmであり、抵抗のばらつきは少なかった。最外周
層の表面粗さはRa<0.3μm、鉛筆硬度B、静摩擦
係数0.3、水に対する接触角80°であった。
【0106】表1に示したように、NN吸着力、インク
クリーニング性に優れていた。
【0107】(実施例4)最外周層をシリコーン系樹脂
(SR2411:東レ・ダウコーニングシリコーン
(株))で形成した以外は、実施例3と同様にして媒体
搬送ベルト10を得た。表1に示したように電極保護層
の体積抵抗値は1.7E+12Ω・cmであり、抵抗の
ばらつきは少なかった。電極保護層表面の表面粗さはR
a<0.3μm、鉛筆硬度B、静摩擦係数0.20、水
に対する接触角80°であった。
【0108】表1に示したように、NN吸着力、インク
クリーニング性に優れていた。
【0109】(実施例5)アミド樹脂(CM1021X
F:東レ(株):比誘電率4〜5)を熱ロールで融解
し、KSCNをその樹脂1gに対して5E−5mol/
gの比率でその溶融樹脂にそのまま添加して、さらに混
練し、この混練した樹脂を、厚みが25μmのフィルム
に押し出し加工した。このフィルムで形成した以外は、
実施例3と同様にして媒体搬送ベルト10を得た。表1
に示したように電極保護層の体積抵抗値は1.0E+1
3Ω・cmであり、抵抗のばらつきは少なかった。電極
保護層表面の表面粗さはRa<0.3μm、鉛筆硬度
B、静摩擦係数0.35、水に対する接触角80°であ
った。
【0110】表1に示したように、NN吸着力、インク
クリーニング性に優れていた。
【0111】(実施例6)トルエンとMEKの混合液か
ら成る溶媒にKSCNをとかし、そのKSCNをとかし
た溶媒にエポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹
脂エピコート1001とノボラック型フェノール樹脂P
SM−4327(群栄化学工業(株)の450対100
の混合物:比誘電率4〜5)を30wt%溶解させた溶
液を、離形紙に乾燥後の厚みが25μmになるように塗
布し、120℃、2分乾燥し、フィルムを得た。KSC
Nは樹脂1gに対して5E−5mol/gが配合され
た。電極保護層をこのフィルムで形成した以外は、実施
例3と同様にして媒体搬送ベルト10を得た。表1に示
したように電極保護層の体積抵抗値は7.0E+12Ω
・cmであり、抵抗のばらつきは少なかった。電極保護
層表面の表面粗さはRa<0.3μm、鉛筆硬度B、静
摩擦係数0.35、水に対する接触角80°であった。
【0112】表1に示したように、NN吸着力、インク
クリーニング性に優れていた。
【0113】(比較例1)電極保護層をPVDF系樹脂
(KYNAR711:エルフ・アトケム・ジャパン
(株))で形成した以外は、実施例1と同様にして媒体
搬送ベルト10を得た。表1に示したように、電極保護
層の体積抵抗値は>1.0E+14Ω・cmであり、抵
抗のばらつきは少なかった。
【0114】表1に示したように、インククリーニング
性に優れていたが、NN吸着力は小さいものであった。
【0115】(比較例2)電極保護層をPMMA系樹脂
(スミペックスLG35:住友化学(株)) とKI
(樹脂1gに対して5E−5mol/gを配合)で形成
した以外は、実施例1と同様にして媒体搬送ベルト10
を得た。表1に示したように、電極保護層の体積抵抗値
は>1.0E+14Ω・cmであり、抵抗のばらつきは
少なかった。
【0116】表1に示したように、インククリーニング
性に優れていたが、NN吸着力は小さいものであった。
【0117】(比較例3)電極保護層をPVDF系樹脂
(KYNAR711:エルフ・アトケム・ジャパン
(株):95vol%とMA220:三菱化学(株)カ
ーボンブラック5vol%)で形成した以外は、実施例
1と同様にして媒体搬送ベルト10を得た。表1に示し
たように、電極保護層の体積抵抗値は1.0E+13Ω
・cmであったが、抵抗のばらつきは大きかった。
【0118】表1に示したように、NN吸着力は大きい
ものであったが、インククリーニング性評価は非常に困
難で、十分にクリーニングできたかは不明であった。
【0119】
【表1】
【0120】
【発明の効果】本発明に係る媒体搬送ベルトは、高分子
材料により成形された管状物の外周表面に、導電性を有
する電極パターンが形成されるとともに、該電極パター
ン上に1層以上の電極保護層が形成され、必要に応じて
さらにその電極保護層の上に最外周層が形成されてい
る。本発明の媒体搬送ベルトは、電極保護層が金属塩を
含む樹脂からなる材料で構成されている。これにより、
この樹脂の体積抵抗値が過度に高い場合でも、比誘電率
が高ければ、金属塩の含有量を調節することで樹脂の体
積抵抗値を所定の望ましい値にまで下げて調整すること
ができる。また、同様に、この材料の体積抵抗値が高い
場合、この材料がフィラーを含むことで比誘電率が高け
れば、金属塩の含有量を調節することで材料の体積抵抗
値を所定の望ましい値にまで下げて調整することができ
る。そのため、電極に電圧を印加して生ずる吸着力を高
めることが出来る。かつ、体積抵抗値が材料のどこをと
ってもほぼ均一であるため、電極に電圧を印加して生ず
る吸着力が、電極保護層の周面内の位置によってばらつ
かない。これらの理由により、本発明の媒体搬送ベルト
は、紙やOHPなどの媒体を十分に吸着させて搬送でき
る。しかも、金属塩は樹脂の中に分子オーダーのサイズ
で分散させて混入させることが出来るため、このような
金属塩を含有する樹脂から成る電極保護層は、一般のフ
ィラーが添加された場合と違って、表面にインクを著し
くトラップするような凹凸や隙間ができないので、本発
明の媒体搬送ベルトは、インククリーニング性にも優れ
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る媒体搬送ベルトの斜視説明図であ
る。
【図2】図1に示す媒体搬送ベルトの要部拡大断面説明
図である。
【図3】本発明に係る媒体搬送ベルトの他の実施形態を
示す要部拡大断面説明図である。
【図4】図1に示す媒体搬送ベルトの製造方法の実施形
態を示す要部平面説明図である。
【図5】本発明に係る媒体搬送ベルトの吸着力の実験方
法を示す要部平面説明図である。
【符号の説明】
10,24:媒体搬送ベルト 12:管状物 14:電極パターン 16:電極保護層 18:フィルム 20:外周層 22:樹脂層 40:紙
フロントページの続き Fターム(参考) 3F049 AA03 AA06 BA11 BA14 LA02 LA05 LA07 LB03 LB08 3F101 LA02 LA05 LA07 LB03 LB08 4J002 AB011 AC011 AC021 AC071 AC081 AC091 BB031 BB061 BB081 BB121 BB241 BC031 BC061 BD031 BD061 BD101 BD121 BD141 BD151 BD181 BE021 BE031 BE041 BE061 BF021 BG061 BH011 BH021 BN061 BN151 BN161 CC031 CC161 CC181 CC191 CD051 CD061 CD081 CE001 CF061 CF071 CG011 CH071 CH091 CK011 CL001 CN021 CN031 DD036 DD056 DD066 DD076 DD086 DG016 DG046 GM01

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料により成形された管状物の外
    周表面に、導電性を有する電極パターンが形成されると
    ともに、該電極パターン上に、金属塩を含有する樹脂か
    らなる電極保護層が1層以上形成されていることを特徴
    とする媒体搬送ベルト。
  2. 【請求項2】 前記金属塩が、Li塩、Na塩、K塩、
    Rb塩、Cs塩、Be塩、Mg塩、Ca塩、Sr塩、B
    a塩からなる群より選択される1種類または2種類以上
    の塩の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記
    載の媒体搬送ベルト。
  3. 【請求項3】 前記Li塩が、格子エネルギーが110
    0kJ/mol以下のLi塩であることを特徴とする請
    求項2に記載の媒体搬送ベルト。
  4. 【請求項4】 前記Na塩が、格子エネルギーが800
    kJ/mol以下のNa塩であることを特徴とする請求
    項2に記載の媒体搬送ベルト。
  5. 【請求項5】 前記K塩が、格子エネルギーが800k
    J/mol以下のK塩であることを特徴とする請求項2
    に記載の媒体搬送ベルト。
  6. 【請求項6】 前記Li塩が、LiF、LiCl、Li
    Br、LiI、LiSCN、LiCFSOからなる
    群より選択される1種類または2種類以上の塩の組み合
    わせであることを特徴とする請求項2に記載の媒体搬送
    ベルト。
  7. 【請求項7】 前記Na塩が、NaF、 NaCl、 N
    aBr、 NaI、NaSCN、 NaCFSOから
    なる群より選択される1種類または2種類以上の塩の組
    み合わせであることを特徴とする請求項2に記載の媒体
    搬送ベルト。
  8. 【請求項8】 前記K塩が、KF、 KCl、 KBr、
    KI、 KSCN、KCFSOからなる群より選択
    される1種類または2種類以上の塩の組み合わせである
    ことを特徴とする請求項2に記載の媒体搬送ベルト。
  9. 【請求項9】 前記金属塩が前記樹脂に対して1E−2
    mol/g以下の所定の割合で含有されていることを特
    徴とする請求項1から8のいずれかに記載の媒体搬送ベ
    ルト。
  10. 【請求項10】 前記樹脂の比誘電率が3以上であるこ
    とを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の媒体
    搬送ベルト。
  11. 【請求項11】 前記樹脂が、エポキシ樹脂、アミド樹
    脂、ウレタン樹脂からなる群より選択される1種類また
    は2種類以上の樹脂の組み合わせであることを特徴とす
    る請求項1から10のいずれかに記載の媒体搬送ベル
    ト。
  12. 【請求項12】 前記樹脂が、−CH−CF−、−
    CH−CHF−からなる群より選択される1種類また
    は2種類の構造を有する樹脂から構成されることを特徴
    とする請求項1から10のいずれかに記載の媒体搬送ベ
    ルト。
  13. 【請求項13】 前記樹脂が、−CH−CCl−、
    −CH−CHCl−からなる群より選択される1種類
    または2種類の構造を有する樹脂から構成されることを
    特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の媒体搬
    送ベルト。
  14. 【請求項14】 前記管状物を形成する高分子材料が、
    非熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエチ
    レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートからな
    る群より選択される1種類または2種類以上のプラスチ
    ックの組み合わせであることを特徴とする請求項1から
    13のいずれかに記載の媒体搬送ベルト。
  15. 【請求項15】 前記電極保護層の上に、最外周層が形
    成されていることを特徴とする請求項1から14のいず
    れかに記載の媒体搬送ベルト。
  16. 【請求項16】 前記最外周層の吸水率が1%以下であ
    ることを特徴とする請求項15に記載の媒体搬送ベル
    ト。
  17. 【請求項17】 前記最外周層の厚みが20μm以下、
    望ましくは10μm以下であることを特徴とする請求項
    15または16に記載の媒体搬送ベルト。
  18. 【請求項18】 前記媒体搬送ベルトの表面が、水に対
    する接触角が80°以上であることを特徴とする請求項
    1から17のいずれかに記載の媒体搬送ベルト。
  19. 【請求項19】 前記媒体搬送ベルトの表面粗さRaが
    0.5μm以下であることを特徴とする請求項1から1
    8のいずれかに記載の媒体搬送ベルト。
  20. 【請求項20】 前記媒体搬送ベルトの表面材料の鉛筆
    硬度がB以上であることを特徴とする請求項1から19
    のいずれかに記載の媒体搬送ベルト。
  21. 【請求項21】 前記媒体搬送ベルトの表面の静摩擦係
    数が0.4以下であることを特徴とする請求項1から2
    0のいずれかに記載の媒体搬送ベルト。
JP2000308263A 2000-10-06 2000-10-06 媒体搬送ベルト Withdrawn JP2002114393A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000308263A JP2002114393A (ja) 2000-10-06 2000-10-06 媒体搬送ベルト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000308263A JP2002114393A (ja) 2000-10-06 2000-10-06 媒体搬送ベルト

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002114393A true JP2002114393A (ja) 2002-04-16

Family

ID=18788605

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000308263A Withdrawn JP2002114393A (ja) 2000-10-06 2000-10-06 媒体搬送ベルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002114393A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6652938B1 (en) Media transport belt
US6916393B2 (en) Multi-layered endless belt, medium conveying belt made of the same, production method thereof, and forming apparatus thereof
US8426026B2 (en) Intermediate transfer member comprising a toughened fluoroplastic composite surface layer
KR100941487B1 (ko) 다층 구조를 가지는 화상 형성 장치용 전사벨트
JP7319907B2 (ja) 電子写真機器用導電性ロール
JP2002114393A (ja) 媒体搬送ベルト
CN114728487A (zh) 成型体
JP2001130774A (ja) 媒体搬送ベルト
CN110178091B (zh) 电子照相设备用显影辊
JP2003146470A (ja) 媒体搬送ベルト
JP2002154697A (ja) 媒体搬送ベルトとその製造方法
JP2002104684A (ja) 媒体搬送ベルト
JP2002060083A (ja) 媒体搬送ベルト
JP2001125396A (ja) 転写ベルトおよび転写装置
JP2003146469A (ja) 媒体搬送ベルト及びその製造方法
JP2001310836A (ja) 媒体搬送ベルト
JP2002293445A (ja) 媒体搬送ベルト
JP2003146468A (ja) 媒体搬送ベルト
JP2000318865A (ja) 媒体搬送ベルト
JP5721529B2 (ja) 導電性エンドレスベルトおよびその製造方法
JPH08176390A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2023024836A (ja) 導電性ベルト、それを有する画像形成装置、及び導電性ベルトの製造方法
KR20010034795A (ko) 화상형성장치의 감광부의 전사층의 형성에 적합한용융압출재료
JP2000143028A (ja) 媒体搬送ベルト
JP2004138655A (ja) 定着若しくは転写定着用ポリイミド成形物

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20051104

A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080108