JP2003144187A - 分岐デキストリン液状物の製造方法 - Google Patents

分岐デキストリン液状物の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分解度が低く、なおかつ冷蔵により白濁を生
じない液状デキストリン製品を提供すること。 【解決手段】 澱粉液化液に枝付け酵素を作用させるこ
とによって、冷蔵により白濁を生じない分岐デキストリ
ン液状物を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分岐度が高い分岐
デキストリンを高濃度で含む分岐デキストリン液状物を
製造する方法、及び該方法により製造された分岐デキス
トリン液状物、及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】澱粉はぶどう糖のみによって構成される
多糖類で、糖の結合は殆どがα−1,4グリコシド結合
で直鎖をなしているが、3〜4%のα−1,6グリコシ
ド結合による分岐構造を持っている。そして、このα−
1,6分岐構造は澱粉分子内に均一に存在するものでは
なく、比較的局在している。この、分岐構造の局在して
いる部分はα−アミラーゼの分解を受け難く、したがっ
て、澱粉にα−アミラーゼを作用させると、α−アミラ
ーゼで分解し難いα−1,6グリコシド結合の局在した
大きな分子の成分と、細かく分解を受けたオリゴ糖の2
つの成分が生成する。
【0003】DE(澱粉分解率:澱粉の加水分解の程度
を表す指標で、澱粉中のα−1,4及びα−1,6結合
からなる全グリコシド結合のうち分解をうけた結合の割
合を100分率で示す。)20まで分解を受けた液化液
では、大きな分子の分子量は約20,000で、一方、
分解されたオリゴ糖の平均的な分子量は約1,000で
あり、分子量に大きな差がある。この大きな分子量の差
を利用して、2つの成分を分割し、α−1,6結合を多
く含む成分だけを集めたものが分岐デキストリン(β−
リミットデキストリンBLD)である。分岐デキストリ
ン(BLD)は、分岐構造を有するというその分子構造
に起因して、巨大分子であるにもかかわらず水に易溶
で、粘性が大きいという特性を有する。したがって、食
品に弾性を付与したり、保水性が良好であるなど食品素
材として注目されている。
【0004】本発明者らは、既に、特許第181569
8号(特公平1−54040号公報参照)によって、澱
粉にα−アミラーゼを作用させて得た糖化液をゲルろ過
剤に接触させることによって、分岐デキストリン類と直
鎖のオリゴ糖類とを分割して、分岐デキストリン類及び
直鎖オリゴ糖類を製造する方法を開示した。
【0005】通常のデキストリンは澱粉を酸、又は酵素
によって部分的に分解し、精製後噴霧乾燥した製品であ
り、食品産業のあらゆる場面で、粉末として、粘度の調
整、味の調整、粉末化基材等に使用されている。近年、
食品産業は厳しい品質管理を要求され、微生物は勿論の
こと微細な異物の混入も許されない状況にある。しか
し、粉末の原料を使う場合は、種々な異物混入の危険性
が生ずる。例えば粉末の入った紙袋に付着した異物のホ
ッパーへの落下、紙袋自体の破片や糸くずの混入、原料
投入時における虫などの投入口からの落下の危険性等で
ある。また、異物混入の危険性以外にも粉末製品の嫌わ
れる原因がある。例えば、粉末の飛散による作業場や空
気の汚染、作業員が粉末の付着や吸入を嫌うこと、空き
紙袋の廃棄の煩雑さ等、粉末原料が嫌われる原因は多
い。
【0006】それに対し液状の原料では、空気中に飛散
することは無く、特にタンク輸送の場合は配管を接続す
るだけで製品は外部とは全く接触することなく、必要な
量を正確に投入出来るので、作業は効率的で異物混入の
危険性も低減することができる。
【0007】このように、液状の製品が望まれる状況に
ありながら、市販されている液状のデキストリン製品
は、DEの高い一部の製品に限られている。DEが高け
れば、沈殿が生じにくく、老化し難いのに対して、DE
が低ければ、保存中に沈殿が生じ、老化して白濁してし
まうからである。
【0008】DEが低ければ、老化して白濁が生じてし
まう理由を、以下の表1によって説明する。表1は、澱
粉分解物である加工澱粉と水飴との特性を対比したもの
である。
【表1】澱粉分解物の分解度と性質 製品 加工澱粉 水飴 分解度 低い 高い 粘度 高い 低い 老化性 老化し易い 老化し難い 着色性 着色し難い 着色し易い 吸湿性 吸湿し難い 吸湿し易い 甘味度 甘くない 甘い
【0009】加工澱粉は、澱粉を加水分解したものであ
るが、分解度は低い。粘度が高く、着色し難く、吸湿し
難く、甘くないが、老化し易い。水飴は、分解度を高く
した甘味物質であり、粘度は低く、老化はしないが、色
がつき易く、吸湿性が強い。デキストリンは、そのよう
な加工澱粉と水飴との中間の性質を持っているものであ
り、粘度が高く、着色や、吸湿はし難く、甘くないもの
が求められる。このように、デキストリンに、高い粘
度、着色し難くさ、低い吸湿性、且つ低い甘味を求める
と、分解度を低くする必要があるので、必然的に老化し
易いデキストリンとなることは避けられないということ
になる。しかし、液状のデキストリン製品が保存中に、
老化して白濁したり、沈殿を生じれば商品として受け入
れられることはない。よって、デキストリンを製品化す
るためには、液状で、分解度が低く、かつ老化して白濁
を生じないデキストリンの開発が必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点を解決することを課題とする。すな
わち、本発明の課題は、分解度が低く、なおかつ白濁し
て老化することのないという相反する課題を解決した、
液状のデキストリン製品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために、鋭意研究した結果、保存中に沈殿
することによる白濁、老化を防止するためには、デキス
トリン製品中の分岐デキストリンの割合を高くすれば良
いことに着想した。その結果、デキストリン液状物にお
いて、分岐デキストリンの分岐度を増加することによっ
て、すなわち、分岐度の高いデキストリンを高比率で製
造することによって、デキストリン液状物の白濁、老化
が防止できることを見出し、本発明に至った。さらに、
分岐度の高いデキストリンを製造するために、α−1,
4グルコシド結合をα−1,6グルコシド結合に変換す
る枝付け酵素を応用することによって、本発明を完成し
た。
【0012】すなわち、本発明は、澱粉を加水分解して
得た澱粉液化液に枝付け酵素を作用させることを特徴と
する、冷蔵により白濁を生じない分岐デキストリン液状
物を製造する方法に関するものである。本発明は、クロ
マトグラフィーによる分画を組み合わせることによっ
て、分岐度の高いデキストリンをさらに高濃度で含有さ
せる、冷蔵により白濁を生じない分岐デキストリン液状
物の製造方法にも関するものである。
【0013】原料となる、澱粉液化液は、澱粉分解率5
〜20のコーンスターチ液化液であることが好ましい。
本発明はまた、このような方法で製造された、冷蔵によ
り白濁を生じない分岐デキストリン液状物、及びそれを
噴霧乾燥して得た粉末にも関する。さらに、本発明は、
冷蔵により白濁を生じない分岐デキストリン液状物、及
びそれを噴霧乾燥して得た粉末を含有する食品素材にも
関する。
【0014】本発明では、澱粉液化液に枝付け酵素を作
用させることによって、加水分解率が低いにもかかわら
ず、得られた液状デキストリン製品において、保存中
に、白濁、老化を防止することができるという効果を奏
することができた。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において、原料となる澱粉
液化液とは、澱粉をα−アミラーゼによって加水分解し
て得た液状物をいう。澱粉は、トウモロコシから得たコ
ーンスターチでも、馬鈴薯澱粉でも、甘藷澱粉、小麦澱
粉、米澱粉などいずれでも良いが、コーンスターチが最
も好ましい。
【0016】本発明において、枝付け酵素は、α−1,
4グルコシド結合をα−1,6グルコシド結合に変換す
る公知の酵素であり(WO00/58445参照)、例
えば、ノボザイム社SP1029−Dがある。SP10
29−Dは、公知の微生物Rhodothermus obamensisから
得られるものである。
【0017】本発明で、分岐デキストリン液状物という
とき、液状の分岐デキストリンを含む製品のことをい
い、該液状物は、例えば、食品工業で食品素材として用
いる場合に、パイプライン中を液体として輸送できるよ
うな性状のものをいう。
【0018】澱粉をα−アミラーゼで分解して、老化性
のなくなる限界のDEは澱粉の種類によって異なるが、
原料として最も多く使用されるコーンスターチの場合は
DE22前後である。これ以上分解を受けたデキストリ
ンは濃縮、冷蔵、冷凍しても溶液が老化することはな
い。逆に言えば、DE22以下の老化性のないデキスト
リンをコーンスターチから製造することは困難であるこ
とを示している。本発明者は、DEが低くても、老化性
のないデキストリンを得るために、枝付け酵素を使用し
て、デキストリンの分岐度を増加させることを着想し
た。
【0019】α−アミラーゼによる澱粉分解物(以後液
化液と称する)の糖組成を詳細に分析すると、大きな分
子の分岐デキストリンが徐々に分解を受けて減少し、小
分子のオリゴ糖が相対的に増加していることがわかる
(表2)。表2には、α−アミラーゼ分解物(液化液)
のDEと詳細な糖組成を示す。
【0020】
【表2】 DE11 DE15 DE20 DE25 DE30 単糖類 0.9 1.2 1.5 2.3 3.5 2糖類 1.8 3.4 5.3 7.9 9.9 3糖類 2.8 9.0 13.3 16.1 17.8 4糖類 2.1 4.0 4.8 5.4 5.5 5糖類 2.2 6.7 12.0 18.0 24.6 6糖類 2.3 8.8 11.9 15.1 16.4 7糖類 2.2 7.4 7.6 4.6 2.3 8糖類 1.7 3.8 1.8 1.0 2.2 9糖類 1.4 2.7 0.9 1.2 1.6 10糖類 1.3 2.1 0.6 1.0 1.4 11糖類 1.1 1.7 0.1 0.6 0.9 12糖類 0.9 1.4 - 0.5 0.4 13糖類 0.8 1.0 - - 0.2 14糖類 0.7 0.7 - - - 15糖類 0.7 0.4 - - - 16糖類 0.5 - - - - 分岐デキストリン 76.6 45.7 40.2 26.3 13.3
【0021】オリゴ糖に関していえば、分岐のない9糖
類ぐらいまでの糖は、老化性がないが、10糖類以上の
長さの分岐のない糖はミセルを形成して不溶性沈殿を生
じるために、老化性があるということが知られている。
分解物(液化液)に関していえば、そのDEが、22を
超えると、老化性がなくなる。表2において、老化性の
あるDE20の糖組成と、老化性のないDE25の糖組
成を比較すると、老化性のある10糖類以上の長さのオ
リゴ糖は、いずれにも殆ど含まれておらず、老化性はオ
リゴ糖によるのではなく、含まれる分岐デキストリン自
体の性質に由来するものであると考えられる。DEを上
げると、巨大な分岐デキストリンの分子が徐々に分解を
受けて、結晶性を有する直鎖部分を失って行くと共に老
化性を失うものと推定される。
【0022】表2から分かるように、老化性のない分岐
デキストリンを得ようとすると、DE25以上の液化液
から分岐デキストリンをクロマトグラフィーなどによっ
て分取することが必要であり、したがって、分岐デキス
トリンの回収率は、その液化液中の分岐デキストリンの
含有率に相当する26.3%かそれ以下にしか過ぎな
い。
【0023】α−1,4グルコシド結合をα−1,6グ
ルコシド結合に変換する枝付け酵素は、液化液に作用し
てオリゴ糖の糖組成には変化を与えずに、その老化性を
改善することが見出された。これによって、例えば、D
E20の液化液の老化性がなくなれば、表2から分かる
ように、これから分取出来る白濁しない分岐デキストリ
ンは40.2%に増加し、DE15の液化液の老化性が
なくなれば、これを分取して45.7%の白濁しない分
岐デキストリンが回収できることを示している。
【0024】本発明は、上記のような分析に基づいてな
されたもので、α−1,4グルコシド結合をα−1,6
グルコシド結合に変換する枝付け酵素を作用させること
で、液化液中の分岐デキストリンの分岐度を増加させ
て、もって結晶化を防止し、その結果、分解度の低い液
化液からも白濁しない分岐デキストリン液状物を得るこ
とができたものである。
【0025】さらに、このようにして得た分岐デキスト
リン液状物は、噴霧乾燥することによって粉末にするこ
とができる。本発明の白濁しない分岐デキストリン液状
物及びそれを噴霧乾燥して得た粉末は、食品産業のあら
ゆる場面で食品素材として用いることができる。特に、
粘度の調整剤、甘味などの味の調整剤、粉末化基材とし
て有用である。
【0026】以下に、実施例を示すが、本発明は、これ
によって限定されるものではない。
【実施例1】35%濃度のコーンスターチ液を炭酸カル
シュームを用いてpH6.3に調整し、耐熱性α−アミ
ラーゼ(ターマミル ノボザイム社製)0.1%を添加
した。この澱粉液を連続液化装置により瞬間的に蒸気と
混合して105℃まで昇温し、5分間105℃に保持し
た後、98℃に保ってDE14.5になるまで、α−ア
ミラーゼの反応を行った。このDE14.5のコーンス
ターチ液化液2Lに塩酸を添加してpH3.9に調整
し、98℃に15分保ってα−アミラーゼを失活させ
た。65℃に冷却後pH6.5に調整し、500mlづ
つに4分割し、それぞれに、ノボザイム社SP1029
−D(以後BEと記す)を固形物あたり0重量%、0.
3%重量、1.0重量%、3.0重量%加え、65℃に
おいて24時間作用させた。反応後精製して固形分50
%まで濃縮し、5℃に貯蔵して溶液の老化性を判定して
表3にまとめた。表3には、反応液のDEも合わせて示
した。
【0027】
【表3】 BE添加量 DE 保持時間 1日 3日 0% 14.5 固結 固結 0.5% 14.9 白濁 少しクリーム状 1.0% 14.9 ほぼ透明 わずかに白濁 3.0% 15.1 透明 透明 この結果から、BE添加量が1.0重量%になると老化
防止効果が出てきて、3.0重量%になると3日保存し
ても透明で、完全に老化防止ができることが分かる。
【0028】表4には、BE酵素使用量と反応後の糖組
成を示す。
【表4】 BE添加量 0% 0.5% 1% 3% 単糖類 1.0 % 0.9 % 0.9% 0.9% 2糖類 3.4 3.2 3.2 3.3 3糖類 5.9 5.8 5.9 5.8 4糖類 4.2 4.2 4.2 4.1 5糖類 5.1 5.0 5.1 5.4 6糖類 7.4 7.4 7.5 7.6 7糖類 30.1 29.8 28.5 28.3 デキストリン 42.9 43.7 44.7 44.6 レーン、エイノン法による還元力はBEの反応前後でほ
とんど変化なく、また、表4から分かるように、液体ク
ロマトグラフィーにより測定した糖組成にも変化が見ら
れなかった。
【0029】
【実施例2】DE8のコーンスターチ液化液を現場の工
程より採取し、塩酸を添加してpH4.0に調整し、1
5分間僅かに沸騰させてα−アミラーゼを失活させた。
65℃まで冷却後固形分当たり、BE1重量%及び3重
量%を添加し、65℃において40時間反応させた。反
応液は精製後50%濃度まで濃縮し、冷蔵庫に保存して
溶液の老化性を観察した。結果を表5に示した。
【0030】
【表5】 BE添加量 保持時間 1日 3日 1% 白濁 白濁 3% 透明 かすかに白濁 表5の結果から分かるように、澱粉分解率が低いDE8
の液化液でも、3%のBEを添加することによって、老
化を防止することができた。
【0031】工業的に製造される最も汎用性の高い分岐
デキストリン製品はDE8の製品である。それは、これ
以上DEが低くなって、粘度が上昇すると、輸送や貯蔵
のコストが高くなること、一方、DEが高くなると粘度
は低下するが、吸湿性が強くなり噴霧基材としての性能
が低下すること、また着色し易く、甘さも増して、素材
の味に影響を与えること等の理由による。実施例2はB
Eを使用することにより、DE8の老化性のないデキス
トリンが製造できることを示している。
【0032】
【実施例3】現場の製造工程よりコーンスターチ液化液
3Lを採取し、実験室で95℃に保ち、経時的にサンプ
ルを取り、DE11.4からDE19.7までの4種類
の液化液を調整した。α−アミラーゼを失活後pH6.
5に調整し、65℃でそれぞれ固形分の1%のBEを添
加し、40時間反応させた。反応後精製してヨード反応
を測定した。また、固形分50%まで濃縮し、5℃にお
ける老化性、及び5℃における粘度を観察した。対照と
してBE未添加の液化液も同様に精製、濃縮して、ヨー
ド反応、5℃老化性、及び5℃粘度を測定した。結果を
表6に示した。
【0033】
【表6】 液化液DE 11.4 14.1 17.5 19.7 糖組成 単糖類 0.6% 0.7% 0.9% 1.2% 2糖類 2.6 3.8 5.6 6.8 3糖類 4.2 6.3 8.5 9.3 4糖類 3.5 4.7 6.0 6.6 5糖類 3.9 5.5 7.1 7.9 6糖類 4.9 7.9 9.7 11.9 その他 80.3 71.1 62.2 56.3 ヨード反応 濃紫色 赤紫色 赤色 赤褐色 老化性 固結 クリーム状 白濁 少し白濁 粘度 測定不能 5700 cp 620 cp 300 cp BE反応後DE 11.1 13.8 17.7 19.8 ヨード反応 赤紫色 赤色 微褐色 黄色 老化性 クリーム状 少し白濁 透明 透明 粘度 2200 cp 730 cp 320 cp 270 cp 表6の結果から分かるように、BEを反応させた全ての
DEの液化液で老化性が改善され、粘度は低下するが、
完全に老化性が無くなる訳ではない。1%の酵素使用量
で老化性のないデキストリンを得る為には、DE17.
5以上の液化液を使用する必要があることを示す。
【0034】
【実施例4】現場の製造工程よりコーンスターチ液化液
2L(DE14.1,濃度35%,固形分約700g)を
採取し、α−アミラーゼを失活後、pH6.5に調整
し、BE7ml(1重量%)を添加した。65℃で40
時間作用させて、精製し、50%まで濃縮して老化性を
評価した。精製濃縮物のうち500mLをデキストリン
分離用の担体を充填したカラム(内径80mm高さ20
0cm)を用いて、クロマト分離を行なった。溶出分の
DEが8.5となる所でデキストリン部とオリゴ糖部に
2分割し、DE8.5の分岐デキストリンを得た。な
お、濃縮物をクロマト分離して、溶出させるとき、最初
にデキストリンが溶出して、最後に単糖類が溶出するこ
とになる。液体中の単糖類が100%であるとき、DE
=100、2糖類が100%であるときはDE=50、
3糖類が100%であるときはDE=33、デキストリ
ンが100%であるときにはDE=0であるから、クロ
マト分離を開始して、溶出を始めたときには、DE=
0、溶出を終えてクロマト分離が終了するときにはDE
=100ということになる。この実施例4で、溶出分の
DEが8.5となる所でデキストリン部とオリゴ糖部に
分割したということは、クロマト分離によって、溶出液
中のDEが8.5となるような時点で、デキストリン部
とオリゴ糖部に2分割したということである。分離した
分岐デキストリン画分の収率(原料固形分に対する固形
分量)は、83%であった。
【0035】表7に、BE反応前の液化液、BE反応
液、分離分岐デキストリン、及び対照として市販BLD
の分析値を示す。この対照市販BLDは、DE23のコ
ーンスターチ液化液からクロマトグラフィーによって分
画して得たDE8.5のデキストリン部分である。
【表7】 原料液化液 BE反応液 分離デキストリン 市販BLD 糖組成 単糖類 0.9 % 0.9 % 0.1 % 0.5 % 2糖類 3.2 3.3 0.9 0.6 3糖類 5.9 5.8 2.4 0.7 4糖類 4.2 4.2 2.3 0.7 5糖類 5.0 5.1 3.2 0.6 その他の糖類 37.1 36.1 36.0 11.9 デキストリン 43.7 44.6 55.1 85.0 DE 14.1 13.9 8.5 8.5 ヨード反応 赤紫色 黄褐色 黄褐色 黄色 老化性 クリーム状 透明 透明 透明 粘度 3500 cp 550 cp 840 cp 680 cp
【0036】この結果から、DE14.1の液化液を原
料として、枝付け酵素(SP 1029−D)を作用させ
て液化液の老化性を改善し、これからデキストリン部分
をクロマトグラフィーにより分離することによって、老
化性のない分岐デキストリンを得ることができることが
分かった。この分岐デキストリンは、濃縮液を冷蔵して
も白濁せずに、長期間保存することができた。DE23
の液化液からクロマトグラフィーで分離する分岐デキス
トリン製品(対照の市販BLD)の収率は40%に過ぎな
いのに比べ、枝付け酵素を作用させたDE14の液化液
からは約83%の収率で分岐デキストリンを分離するこ
とができた。
【0037】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、分岐デ
キストリンを高濃度で含有する、冷蔵により白濁を生じ
ないデキストリン液状物を、分解率の低い澱粉液化液か
ら製造することができる。枝付け酵素の利用は、分岐デ
キストリンのクロマトグラフィーという最も繊細でコス
トの掛かる工程の大幅な収率を上げることになり、BL
D製造工程の簡素化とコストの削減に大きく貢献するも
のである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 澱粉液化液に枝付け酵素を作用させるこ
    とを特徴とする、冷蔵により白濁を生じない分岐デキス
    トリン液状物を製造する方法。
  2. 【請求項2】 澱粉液化液に枝付け酵素を作用させて得
    た液状物を、さらにクロマトグラフィーにより分画する
    ことを特徴とする、冷蔵により白濁を生じない分岐デキ
    ストリン液状物を製造する方法。
  3. 【請求項3】 澱粉液化液をクロマトグラフィーにより
    分画して得た分岐デキストリンに枝付け酵素を作用させ
    ることを特徴とする、冷蔵により白濁を生じない分岐デ
    キストリン液状物を製造する方法。
  4. 【請求項4】 澱粉液化液が、澱粉分解率5〜20のコ
    ーンスターチ液化液である請求項1〜3のいずれかに記
    載の分岐デキストリン液状物を製造する方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの製造方法によ
    って得ることができる冷蔵により白濁を生じない分岐デ
    キストリン液状物。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の分岐デキストリン液状
    物を噴霧乾燥して得られた分岐デキストリン粉末。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載された分岐デキス
    トリンを含有する食品素材。
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