JP2003142225A - スパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ

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JP2003142225A
JP2003142225A JP2001335324A JP2001335324A JP2003142225A JP 2003142225 A JP2003142225 A JP 2003142225A JP 2001335324 A JP2001335324 A JP 2001335324A JP 2001335324 A JP2001335324 A JP 2001335324A JP 2003142225 A JP2003142225 A JP 2003142225A
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JP2001335324A
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Inventor
Yoshihisa Sugiyama
芳久 杉山
Yoshitaka Sugiura
義孝 杉浦
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CrやAl等の耐食性改善成分の含有量を増
加した耐熱合金により接地電極母材を構成した場合であ
っても、これに接合される貴金属耐消耗部の耐剥離性を
十分に確保でき、ひいては、より厳しい使用環境下でも
長期にわたり安定して使用できるスパークプラグを提供
する。 【解決手段】 スパークプラグ100において、接地電
極4の少なくとも側面部が、Crを21〜25質量%、
Alを1〜2質量%、Feを7〜20質量%、Niを5
8〜71質量%含有するNi合金からなる電極母材とさ
れる。また、貴金属耐消耗部32は、電極母材に対し溶
接部Wを介して接合される。該貴金属耐消耗部32を構
成する貴金属の800Kにおける線膨張率をα1、電極
母材の800Kにおける線膨張率をα2として、Δα≡
α2−α1が5.7×10−6/K以下となるように調
整される。そして、貴金属耐消耗部32の外径が0.6
mm以上1.5mm以下とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関に使用され
るスパークプラグに関する。
【0002】
【従来の技術】上述のようなスパークプラグにおいて
は、耐火花消耗性向上のために電極の先端にPtやIr
等を主体とする貴金属チップを溶接して耐消耗部を形成
したタイプのものが多数提案されている。特に、火花放
電時に負極性に設定されることの多い中心電極側の耐消
耗部は、火花の強いアタックを受けて消耗しやすいこと
から、貴金属化が進んでいる。
【0003】一方、近年の内燃機関は、厳しい排気ガス
規制に伴い、直噴エンジンに見られるようにリーンバー
ン化が進み、また、最適な燃焼を得るためにスパークプ
ラグの火花放電ギャップ形成部分を、従来よりもさらに
燃焼室内に突き出させる構造の採用も進んでいる。その
結果、スパークプラグの電極、特に燃焼室のより内側に
位置する接地電極は厳しい高温状態にさらされる。その
ため、接地電極側の耐熱性あるいは耐消耗性の改善も重
要な課題であり、貴金属発火部の形成はもとより、電極
自体の素材も、より耐熱性の高い金属に置換することが
試みられている。例えば、従来、接地電極の材質として
はNi基耐熱合金の一つであるインコネル600(英国
インコ社の商標名)が採用されていたが、さらに高いC
r及びFe含有量を有し、さらにAlを添加して高温強
度と高温耐酸化性とを一層向上させたインコネル601
の採用が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、接地電極側
の貴金属耐消耗部については、従来、貴金属チップを接
地電極に抵抗溶接により接合して形成することが多かっ
た。しかし、本発明者らが検討したところ、高融点の貴
金属チップを、インコネル601等のよりグレードの高
い耐熱合金に抵抗溶接した場合、前記したような厳しい
使用環境下では、抵抗溶接では接合強度を十分に確保す
ることが困難になることがわかった。具体的には、スパ
ークプラグ使用中における激しい熱サイクルが付加され
た場合、貴金属耐消耗部が接地電極から剥離して、正常
な着火が不能となる問題を生ずる。
【0005】インコネル601など、CrやAl等の耐
食性改善成分の含有量を増加した耐熱合金は、元来、耐
酸化性が高くなる分だけ溶接性は低下する傾向にある。
従って、上記のような接合強度低下の原因は、一見、こ
うした溶接性低下に起因した溶け不足にあるものと思わ
れる。しかしながら、本発明者らが検討したところによ
ると、本質的な原因はこのような溶け不足によるもので
はないことが判明した。
【0006】本発明は、CrやAl等の耐食性改善成分
の含有量を増加した耐熱合金により接地電極を構成した
場合であっても、これに接合される貴金属耐消耗部の耐
剥離性を十分に確保でき、ひいては、より厳しい使用環
境下でも長期にわたり安定して使用できるスパークプラ
グを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明に
係るスパークプラグは、接地電極の側面に固着された貴
金属耐消耗部を中心電極の先端面と対向させることによ
り火花放電ギャップを形成したスパークプラグにおい
て、接地電極の少なくとも側面を含む部分が、Crを2
1〜25質量%、Alを1〜2質量%、Feを7〜20
質量%、Niを58〜71質量%含有するNi合金から
なり、貴金属耐消耗部は、接地電極の側面に対し溶接部
を介して接合されるとともに、貴金属耐消耗部を構成す
る貴金属の800Kにおける線膨張率をα1、接地電極
の前記側面を含む部分をなすNi合金の800Kにおけ
る線膨張率をα2として、Δα≡α2−α1が5.7×
10−6/K以下となるように調整されてなり、かつ、
中心電極の中心軸線と直交する平面に対する貴金属耐消
耗部の正射投影図形と同一面積の円の直径として定義さ
れる、該貴金属耐消耗部の外径が0.6mm以上1.5
mm以下であることを特徴とする。
【0008】上記構成においては、スパークプラグ使用
時に特に高温となる、接地電極の側面部をなす素材(以
下、電極母材という)を、従来使用されていたインコネ
ル600等よりも、さらに高温強度及び耐酸化性に優れ
た上記組成のNi合金により構成する。その結果、より
高温環境での耐久性が増し、腐食や折損等の不具合が生
じにくくなる。
【0009】他方、このような組成の電極母材に貴金属
耐消耗部を接合形成する場合、本発明者らは、その耐剥
離性に影響する要因を詳細に検討したところ、電極母材
の溶接性低下に起因した溶け不足等よりも、耐消耗部を
構成する貴金属と電極母材との、線膨張率の不一致に起
因したものであることが明らかになってきた。そこで、
さらに検討を行なった結果、上記のように、貴金属耐消
耗部を構成する貴金属の800Kにおける線膨張率をα
1、電極母材の800Kにおける線膨張率をα2とし
て、Δα≡α2−α1が5.7以下となるように調整す
ることにより、接地電極側の貴金属耐消耗部の耐剥離性
を大幅に向上できることが判明した。
【0010】しかしながら、前記したようなリーンバー
ンあるいは直噴エンジンなどにおける高速・高負荷運転
時など、接地電極の到達温度がより高くなる使用環境下
においては、上記のような線膨張率差Δαの調整だけで
は、貴金属耐消耗部の耐剥離性を十分に確保すること
は、なお困難であることがわかった。そこで、前記した
定義による接地電極側の貴金属耐消耗部の外径を、0.
6mm以上1.5mm以下となすことにより、さらに耐
剥離性を向上でき、上記のような厳しい使用環境におい
ても貴金属耐消耗部の耐久性を十分に確保することがで
きるようになる。
【0011】電極母材をなすNi合金の組成に関して
は、Cr含有量を21〜25質量%とする。Cr含有量
が21質量%未満では、所期の高温耐酸化性及び高温強
度を確保することが困難となる。また、25質量%を超
えると材料の延性低下により、耐衝撃強度が低下するほ
か、加工性が悪化するので製造コストの高騰につなが
る。
【0012】また、Fe含有量を7〜20質量%とす
る。Fe含有量が7質量%未満では、所期の高温強度を
確保することが困難となる。また、20質量%を超える
と材料の延性低下により、耐衝撃強度が低下するほか、
加工性が悪化するので製造コストの高騰につながる。
【0013】さらに、Al含有量は1〜2質量%とす
る。Al含有量が1質量%未満では、所期の高温耐酸化
性を確保することが困難となる。また、2質量%を超え
ると、NiAl等の金属間化合物の形成により材料の
延性が低下し、耐衝撃強度が低下するほか、加工性が悪
化するので製造コストの高騰につながる。
【0014】Niは、上記各副成分以外の残部を構成す
る主成分元素であり、その含有量が58質量%未満で
は、所期の高温耐酸化性の確保が困難となる、他方、副
成分元素の下限値から、Niの含有量が71質量%を超
えることはありえない。
【0015】上記のような組成を有するNi合金とし
て、インコネル601を例示できる。その標準組成は、
Ni:60.5質量%、Cr:23質量%、Al:1.
5質量%、Fe:14.1質量%、Mn:0.5質量
%、Si:0.2質量%、C:0.05質量%である。
【0016】また、Δαが5.7×10−6/Kを超え
ると、激しい熱サイクルが加わったときに、貴金属耐消
耗部の耐剥離性を十分に確保できなくなる。電極母材の
800Kにおける線膨張率をα2は、前記した合金組成
範囲ではおおむね15.2〜15.4×10−6/Kの
範囲内に収まったものとなる(例えば、インコネル60
1の場合、15.3×10−6/K)。一方、貴金属耐
消耗部の800Kにおける線膨張率α1は、電極母材の
線膨張率α2よりも小さいが、その値は貴金属組成によ
り大きく変動する。従って、選定した電極母材(Ni合
金)のα1の値を考慮して、これになるべく近い線膨張
率α2を有するものとなるように、使用する貴金属の組
成を選定することになる。
【0017】貴金属耐消耗部は貴金属が主成分となって
いればよく(つまり、貴金属の含有量が50質量%以
上)、一般に貴金属と称される金属元素のうち、比較的
高融点であるもの(Pt、Ir、Rh、Ru等)であれ
ば、何れを主成分として用いてもよい。なお、Δαはゼ
ロとなることを妨げないが、耐消耗性を十分に確保でき
る貴金属組成を前提に考えた場合、Δαを0.8×10
−6/K以下とすることは事実上困難である。
【0018】α2をα1に近づけるという観点と、耐消
耗性確保の両立という観点においては、貴金属耐消耗部
はPtを主成分に構成することが望ましいといえる。な
お、Ptの800Kにおける線膨張率は10.3×10
−6/Kである。貴金属耐消耗部を、Ptを主体に構成
する場合、高温での耐消耗性をさらに向上させるため、
Irを含有させた2元又は3元以上のPt−Ir系合金
を採用することもできる。この場合、Irの含有量が大
きくなるほどα1が小さくなる(つまり、Δαは大きく
なる)ので、Δαが5.7×10−6/Kを超えない範
囲にてIrの含有量を選定する必要がある。この観点に
おいて、Pt−Ir系合金を使用する場合のIr含有率
は25質量%以下に設定することが望ましい。
【0019】次に、接地電極側の貴金属耐消耗部の外径
は、前述の通り、0.6mm以上1.5mm以下とす
る。貴金属耐消耗部の外径が1.5mmを超えると、所
期の耐剥離性を確保することが困難となる。これは、電
極母材と貴金属耐消耗部との接合面積が増加する結果、
昇温・冷却時の熱膨張・収縮による、接合界面に沿った
両者の変位差が大きくなって剥離を生じやすくなるため
であると考えられる。そこで、貴金属耐消耗部の前記外
径を1.5mm以下とすることにより、さらに耐剥離性
を向上でき、上記のような厳しい使用環境においても貴
金属耐消耗部の耐久性を十分に確保することができるよ
うになる。他方、貴金属耐消耗部の外径が0.6mm未
満では、貴金属耐消耗部の寿命を十分に確保できなくな
る。なお、本明細書において、貴金属耐消耗部の外径
は、中心電極の中心軸線と直交する平面に対する貴金属
耐消耗部の正射投影の外径により規定する。また、本発
明においては、貴金属耐消耗部の上記正射投影図形の形
状は円状とすることができるが、それ以外の形状となる
ことを当然妨げるもではなく、例えば正射投影図形の形
状が角状であってもよい。
【0020】また、貴金属耐消耗部の耐剥離性をさらに
向上させるには、貴金属耐消耗部の厚さをTとし、中心
電極の中心軸線と直交する平面への貴金属耐消耗部の投
影面積をSとして、S/Tが0.7以上4.5以下とな
るように、貴金属耐消耗部の寸法を調整することが望ま
しい。S/Tが0.7未満になると、貴金属耐消耗部の
厚さが相対的に大きくなりすぎる結果、冷熱サイクルが
付加されたとき、電極母材と貴金属耐消耗部との接合面
に作用する応力が大きくなり、貴金属耐消耗部の耐剥離
性向上の観点において不利に作用する。他方、S/Tが
4.5を超えることは、貴金属耐消耗部の厚さが相対的
に小さくなりすぎる結果、貴金属耐消耗部の寿命を十分
に確保できなくなる場合がある。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の、いくつかの実施
の形態を、図面を用いて説明する。図1(a)に示す本
発明の一例たるスパークプラグ100は、筒状の主体金
具1、先端部21が突出するようにその主体金具1の内
側に嵌め込まれた絶縁体2、先端に形成された中心電極
側貴金属耐消耗部31を突出させた状態で絶縁体2の内
側に設けられた中心電極3、及び主体金具1に一端が溶
接等により結合されるとともに他端側が側方に曲げ返さ
れて、その側面が中心電極3の先端部(ここでは、先端
面)と対向するように配置された接地電極4等を備えて
いる。また、接地電極4には接地電極側貴金属耐消耗部
32が形成されており、それら中心電極側貴金属耐消耗
部31と、接地電極側貴金属耐消耗部32との間の隙間
が火花放電ギャップgとされている。
【0022】絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化
アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、そ
の内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込む
ための孔部6を有している。また、主体金具1は、低炭
素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパーク
プラグ100のハウジングを構成するとともに、その外
周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロック
に取り付けるためのねじ部7が形成されている。
【0023】中心電極3及び接地電極4は、少なくとも
表層部をなす電極母材部分がNi合金で構成されてい
る。このうち、中心電極3側の電極母材はインコネル6
00等のNi合金により構成され、接地電極4側の電極
母材は、特許請求の範囲に記載した組成のNi合金(例
えばインコネル601)により構成されている。
【0024】図2(a)に示すように、中心電極3の先
端部3aはテーパ状に縮径されるとともにその先端面が
平坦に構成され、ここに中心電極側貴金属耐消耗部31
の、特許請求の範囲に記載した合金組成が得られるよう
に組成調整された円板状のチップを重ね合わせ、さらに
その接合面外縁部に沿ってレーザー溶接、電子ビーム溶
接、抵抗溶接等により溶接部Bを形成してこれを固着す
ることにより中心電極側貴金属耐消耗部31が形成され
る。
【0025】一方、接地電極側貴金属耐消耗部32は、
該金属耐消耗部32を形成するための円板状の貴金属チ
ップを、接地電極4の電極母材側面に重ね合わせて加圧
しつつ、電極間に挟み付けて通電加熱することにより、
図1(b)に示すように、該貴金属チップを電極母材に
食い込ませる形で接合する。貴金属チップと電極母材と
の間に拡散・合金化した溶接部Wが形成され、接地電極
側貴金属耐消耗部32となる。なお、接地電極側貴金属
耐消耗部32は、溶接部Wの領域(つまり、拡散・合金
化の影響を受けている部分の領域)を除いた貴金属構成
部分を意味するものとする(従って、接地電極側貴金属
耐消耗部32の厚さTも、この溶接部Wの領域を除いた
厚さということになる)。
【0026】接地電極側貴金属耐消耗部32(あるいは
その形成に用いる貴金属チップ)は、例えばPt−Ir
合金からなり、電極母材と間の前述の線膨張係数差Δα
(800K)が5.7×10−6/K以下となるよう
に、その組成が調整される。また、すでに定義したその
外径dは、0.6mm以上1.5mm以下に調整され
る。これにより、該貴金属チップに基づいて形成される
接地電極側貴金属耐消耗部32の、電極母材からの耐剥
離性が大幅に改善される。また、耐剥離性向上の観点か
ら、接地電極側貴金属耐消耗部32の厚さTと、中心電
極の中心軸線と直交する平面への投影面積をSとの比S
/Tを、0.7以上4.5以下とすることが望ましい。
【0027】なお、接地電極側貴金属耐消耗部32は、
図2(b)に示すように電極母材中に一部食い込む形で
形成されることが、耐剥離性を向上させる観点において
望ましい。この場合、貴金属チップを電極母材に食い込
ませつつ抵抗溶接することが容易となるように、電極母
材を貴金属チップよりも軟質のNi合金にて構成するこ
とが好都合である。
【0028】本発明において、接地電極4の電極母材に
使用する前記Ni合金は、表面に形成される不働態被膜
により耐酸化性の向上を図るものである。そして、Cr
の増量とAlの積極添加とにより、形成される不働態被
膜がより強固で安定なものとなる結果、高温耐酸化性が
より高められ電極の耐久性向上に寄与する。また、接地
電極4の長さを増すことができるので、貴金属耐消耗部
32の耐剥離性向上効果とも相俟って、従来、燃焼室中
央に近い位置にて火花放電させることが可能となり、燃
焼の安定化を図ることができる。
【0029】また、従来は、接地電極4の内部に、Cu
等のNiよりも熱伝導性に優れた金属よりなる放熱促進
部を埋設して電極熱引きを改善し、燃焼室内の温度が上
昇した場合でも電極温度は低く保つことにより耐久性の
確保を図っていた。しかし、電極母材として上記Ni合
金を採用することで、電極温度が多少上昇しても十分な
強度及び耐酸化性を確保できるので、放熱促進部の埋設
が必ずしも必要でなくなる。その結果、スパークプラグ
の製造コスト低減にも寄与する。他方、図2に示すよう
に、電極母材を上記Ni合金にて構成しつつも、接地電
極4の内部に放熱促進部4kを敢えて埋設することも可
能である。このようにすれば、さらに厳しい環境にも対
応できるスパークプラグを実現できる。
【0030】
【実施例】本発明の効果を確認するために、以下の実験
を行なった。 (実施例1)接地電極側の貴金属耐消耗部を形成するた
めの貴金属チップを、以下のように作製した。まず、所
定量のPtに対しIrを0〜30質量%の範囲にて配合
・溶解することにより、種々の組成を有するPt−Ir
合金及びPt金属インゴットを作製した。この合金を、
1500℃にて熱間鍛造し、次いで1300℃で熱間圧
延及び熱間スエージングし、さらに1200℃にて熱間
伸線することにより、直径10.5〜1.6mmの合金
線材を得た。これを長手方向に切断することで直径0.
5〜1.6mm、厚さ0.4mmの円板状のチップとし
た。これらチップを用いて、インコネル601製の接地
電極母材の側面(幅2.7mm)に抵抗溶接し、図1に
示す形態の接地電極側の接合構造を完成させた。なお、
抵抗溶接の条件は、通電電流値1000A、加圧荷重
2.45MPaに設定した。
【0031】なお、各組成の合金及びインコネル601
の800Kにおける線膨張率を測定するために、別途、
幅5mm、長さ5mm(L0)、高さ20mm(以上、
273Kでの値)の試験片を作製した。そして、公知の
ディラトメータを用いて長さ方向の寸法Lの温度変化を
測定するとともに、773K〜873Kでの寸法変化量
をΔLとし、これを温度幅ΔTで割った値をdL/dT
として、 α≡(1/L0)・dL/dT の値を、800Kでの線膨張率として算出した。その結
果、インコネル601の線膨張率α1は15.3×10
−6/Kであった。また、各合金の線膨張率α2につい
ては、Δα(=α1−α2)の形で表1に示している。
【0032】次に、中心電極3側については、組成がI
r−5質量%Ptであり、直径0.6mm厚さ0.8m
mの寸法を有する貴金属チップを、上記第二チップと同
様の方法により作製し、インコネル600製の中心電極
母材の先端面に全周レーザー溶接することにより接合し
た。そして、これら接地電極及び中心電極を用いて図1
に示す形態のスパークプラグ試験品を作成し、接地電極
側の貴金属耐消耗部の耐剥離性を評価した。
【0033】耐剥離性の評価方法は以下の通りである。
まず、スパークプラグの火花放電ギャップ側の先端部を
ガスバーナーにより1000℃に2分間加熱し、次いで
1分空冷するサイクルを1000回繰り返す。次に、試
験品を、接地電極の貴金属耐消耗部の中心軸線を通る面
にて切断・研磨して顕微鏡にて拡大観察するとともに、
貴金属耐消耗部と電極母材との界面の亀裂進展長を観察
視野上にて測定し、界面の全長で割った値を剥離進展率
として算出する。そして、その剥離進展率が50%を超
えたものを不良(×)、50%以下のものを良好(○)
として評価する。
【0034】表1は、貴金属耐消耗部の直径を0.9m
m、厚さTを0.4mmに固定し、材質を種々に変えた
ときの耐剥離性評価結果と、Δαの測定結果とともに示
すものである。また、表2は、貴金属耐消耗部の材質を
Pt−20質量%Irに固定し、厚さTを0.4mm、
直径を0.5〜1.6mmの種々の値とした場合の耐剥
離性評価結果を、前述のS/Tの値とともに示したもの
である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表1の結果から、Δαが5.7×10−6
/K以下となる場合に、耐剥離性が良好となっているこ
とがわかる。また、表2の結果から、貴金属耐消耗部の
直径が0.6〜1.5mm、S/Tが0.7〜4.5の
ときに耐剥離性が良好となっていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一実施例を示す正面
縦断面図及び要部拡大図。
【図2】図1のスパークプラグの、変形例を示す要部断
面図。
【符号の説明】
100 スパークプラグ 3 中心電極 4 接地電極 32 貴金属耐消耗部 g 火花放電ギャップ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接地電極(4)の側面(4c)に固着さ
    れた貴金属耐消耗部(32)を中心電極(3)の先端面
    (31a)と対向させることにより火花放電ギャップ
    (g)を形成したスパークプラグ(100)において、 前記接地電極(4)の少なくとも側面(4c)を含む部
    分が、Crを21〜25質量%、Alを1〜2質量%、
    Feを7〜20質量%、Niを58〜71質量%含有す
    るNi合金からなり、 前記貴金属耐消耗部(32)は、前記接地電極(4)の
    側面(4c)に対し溶接部(W)を介して接合されると
    ともに、 前記貴金属耐消耗部(32)を構成する貴金属の800
    Kにおける線膨張率をα1、前記接地電極(4)の前記
    側面(4c)を含む部分をなす前記Ni合金の800K
    における線膨張率をα2として、Δα≡α2−α1が
    5.7×10−6/K以下となるように調整されてな
    り、 かつ、前記中心電極(3)の中心軸線(O)と直交する
    平面に対する前記貴金属耐消耗部(32)の正射投影図
    形と同一面積の円の直径として定義される、該貴金属耐
    消耗部(32)の外径が0.6mm以上1.5mm以下
    であることを特徴とするスパークプラグ(100)。
  2. 【請求項2】 前記貴金属耐消耗部(32)の厚さをT
    とし、前記中心電極(3)の中心軸線(O)と直交する
    平面への前記貴金属耐消耗部(32)の正射投影面積を
    Sとして、S/Tが0.7以上4.5以下となるよう
    に、前記貴金属耐消耗部(32)の寸法が調整されてな
    る請求項1に記載のスパークプラグ。
JP2001335324A 2001-10-31 2001-10-31 スパークプラグ Pending JP2003142225A (ja)

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