JP2003140399A - イエロートナー及びイエロートナーの製造方法 - Google Patents

イエロートナー及びイエロートナーの製造方法

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JP2003140399A JP2001342812A JP2001342812A JP2003140399A JP 2003140399 A JP2003140399 A JP 2003140399A JP 2001342812 A JP2001342812 A JP 2001342812A JP 2001342812 A JP2001342812 A JP 2001342812A JP 2003140399 A JP2003140399 A JP 2003140399A
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yellow toner
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦帯電性、トランスペアレンシー透過性等
に優れ、粒度分布及び物性に関して再現性の良いイエロ
ートナーを提供することにある。 【解決手段】 スチレン−アクリル樹脂又はスチレン−
メタクリル樹脂を主体とするトナー結着樹脂中に、着色
剤としてビスアセトアセトアリリドに分類される顔料を
少なくとも含有しているイエロートナーであり、そのト
ナーのフロー式粒子像分析装置(FPIA)で測定され
る円形度が0.970以上1.000未満であることを
特徴とするイエロートナーである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真,静電記
録,静電印刷、あるいは、トナージェット記録等におけ
るイエロートナー及びイエロートナーの製造方法に関す
る。
【0002】さらに詳しくは、少なくとも重合性単量体
と着色剤を含有する単量体組成物を水系媒体中に希釈し
て単量体組成物の粒子を調製し、重合するイエロートナ
ー及びその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、デジタルフルカラー複写機やプリ
ンターが実用化され、解像力・階調性はもとより色むら
のない色再現性に優れた高画質画像が得られるようにな
ってきた。
【0004】デジタルフルカラー複写機においては、色
画像原稿をB(ブルー)・G(グリーン)・R(レッ
ド)の各色フィルターで色分解した後、オリジナル画像
に対応した20μm〜70μmのドット径からなる潜像
をY(イエロー)・M(マゼンタ)・C(シアン)・B
(ブラック)の各色現像剤を用い減色混合作用を利用し
て現像するが、白黒複写機と較べ多量の現像剤を感光体
から転写材に転写させる必要があることや、将来の更な
る高画質化に対応すべく、より微小ドットに対応した現
像剤の微小粒径化の要求が予想される。
【0005】しかし高画質化の要求に伴いトナー粒径を
小さくすると、フルカラー画像の解像力や鮮映度は確か
に満足のゆく方向となるが、微粒子化に伴って様々な影
響があることが分かってきた。
【0006】まず、トナー粒径を小さくするとそれだけ
着色剤の偏在により帯電特性が影響を受けやすくなると
いう問題が生じてくる。
【0007】したがって従来以上に色の分散が良好でバ
ランスのとれた色相及び分光反射特性と十分な彩度を有
するトナーが要求される。特に近年では、カラー画像を
用いたプレゼンテーション等の機会が飛躍的に増えてい
るため、紙上の分光反射特性のみならず、トランスペア
レンシー等の透過画像の分光特性が、反射画像と同等あ
るいはかなり近似したカラートナーが強く要求されてい
る。
【0008】また、近年さらなる電子写真技術の応用と
して鋼材・布等へ画像を再転写加工する動きが生じてい
るが、このような加工品の場合は、屋外で使用されやす
いというその用途から従来以上の耐熱・耐光性が必要と
される。
【0009】従来イエロートナー用の着色顔料としては
C.I.Pigment Yellow 12/13/
17等に代表されるようなアゾ系顔料、C.I.Pig
ment Yellow 74/97/98等に代表さ
れるようなモノアゾ系顔料等の使用が一般的であり、耐
候性に優れた顔料としてはC.I.PigmentYe
llow 93/94/95/180等に代表されるよ
うなポリアゾ系顔料等が開示されてきた。
【0010】しかし上記のような欲求を満足し、さらな
る画像特性帯電特性を向上させうる着色剤としては、未
だ満足のゆくものが得られていない。
【0011】一般にこれらカラートナーを製造する方法
としては、熱可塑性樹脂中に染料及び顔料の如き着色剤
及び荷電制御剤のような添加剤を溶融混合し、均一に分
散した後、微粉砕装置及び分級装置により粉砕及び分級
を行なって所望の粒径を有するトナーを製造する方法、
すなわち粉砕法が知られている。
【0012】この製造方法(粉砕法)によれば、かなり
優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、すなわち
トナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着
色剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置
で微粉砕し得るものでなくてはならない。この要請か
ら、樹脂着色剤分散体を充分に脆くせざるを得ないた
め、この分散体を実際に高速で微粉砕する際に、広い粒
径範囲の粒子群が形成され易く、特に、比較的大きな割
合の過度に微粉砕された粒子が、この粒子群に含まれる
という問題が生ずる。更に、このように高度に脆性の材
料は複写機等において実際に現像用に使用する際、更に
微粉砕化ないし粉化を受け易い。
【0013】さらに、これら粉砕法によるトナーにおい
ては、ワックスの如き離型剤を添加する場合に制約があ
る。すなわち、離型剤の分散性を十分なレベルとするた
めには、樹脂との混練温度において、ある程度の粘性
を保つ必要があること、離型剤の含有量を約5質量部
以下にすることなどである。このような制約のため、粉
砕法によるトナーの定着性には限界がある。
【0014】また、この混練−粉砕法においては、着色
剤等の固体微粒子を樹脂中に完全に均一分散させること
は簡単ではなく、分散の度合によってはトナーの組成に
分布が生じ、トナー現像特性の変動をきたす場合もあ
る。さらに、一般にトナーによって形成した画像の解像
度、ベタ部均一性、階調再現性等はトナーの特性、特に
その粒径に依存する割合が大きく、小粒径粒子ほど高品
質の画像が得られるため、最近のプリンタや高画質複写
機等は、小粒径トナーを使用することが多い。しかしな
がら、粉砕法によってトナー粒子を小粒径化するには粉
砕機の能力によって、体積平均粒径で約5.0μm程度
が限界である。
【0015】これに対して、少なくとも重合性単量体を
有する重合性単量体組成分を懸濁重合し、同時にトナー
粒子を得るトナーの製造方法(以後、重合トナー)が提
案されている(特公昭36−10231号公報)。この
懸濁重合法においては重合性単量体および着色剤(さら
に必要に応じて重合開始剤,架橋剤,その他添加剤)を
均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、
この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相(例え
ば水相)中に適当な撹拌機を用いて分散し同時に重合反
応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るもの
であり、上記粉砕法トナーで説明した項目の制約がな
く、種々の利点があるため、最近特に注目されてきた。
【0016】すなわち、このトナーの製造方法では、粉
砕工程を全く含まないため、トナー材料に特に脆性は必
要なく、トナー破断面への着色剤等の露出が生じないト
ナーの製造方法である。また、離型剤の含有量や分散性
に関して、重合トナーでは、トナー粒子内に離型剤成分
を内包化できるため、含有量を粉砕法トナーに比較して
増加でき、分散性をも同時に満足させることができる。
また着色剤の分散性も重合性単量体中に他の添加剤と共
に均一に溶解あるいは分散できるため、特に問題になる
こともない。さらには、分散・造粒条件によって所望の
粒径及び粒径分布コントロールが可能なため、小粒径ト
ナー化に対応できる利点を有する。
【0017】以上のことから、カラートナーは重合法に
よって得られたトナー粒子であることが好ましい。
【0018】しかしながら、この様な重合トナーも、以
下に述べる様な解決すべき問題点を有している。
【0019】すなわち、重合トナーにおいては、種々の
材料を重合性単量体系へ溶解あるいは分散させ重合性単
量体組成物として水系媒体中へ懸濁分散させるわけであ
るが、原材料の組合せや条件等によって重合性単量体組
成物粒子を安定に懸濁造粒し、さらに粒子合一の発生し
ない安定した条件で重合反応を完結させることは、技術
的に必ずしも容易ではない。
【0020】特に近年は、前述のように電子写真技術を
応用したシステムが、カラー化及びコンピューターの出
力としてプリンターという分野で急激に発展しているこ
ともあり、種々のシステムのプロセス構成が多様化し、
それに伴って要求されるトナーの物性も、従来からのポ
イントであった粒度分布、流動性及び摩擦帯電性のみな
らず、トナー形状、トナーの表面性等の制御まで細かく
要求される様になってきている。特に重合トナーの場合
は、実質上球形を有するため、カラー化の小型化、高速
化という高画質システムの流れに対応する必要性もあ
り、それに対応する為にトナーの形状を精密に制御し、
諸特性を向上させる検討が急務となっている。
【0021】このため、重合トナーの懸濁造粒・重合安
定性は、単に生産性のみならず、カラートナーの場合、
特にトナー物性に与える影響が非常に大きく重要な要素
であり、不安定な懸濁造粒・重合条件は、粒子合一・凝
集を発生させ、粒度分布,摩擦帯電性を著しく損ない、
その結果として粒子形態・表面状態の制御が不可能とな
る。
【0022】従来、懸濁造粒の安定性,重合中の粒子の
合一防止、生成粒子の粒度分布のシャープ化等の目的で
は、多くの提案がなされている。例えば、特開昭57−
42052号公報における分散剤とアニオン界面活性剤
併用で粒度分布を制御する方法、特開昭57−4164
9号,特公平1−55643号,特開平6−73101
号,特開平7−165847号公報等における水相重合
禁止剤添加での粒度調整方法など多数提案されている。
しかし、前者は界面活性剤が残留する等の欠点があり、
これによってトナー粒子の摩擦帯電性が不安定となり、
トナー粒子の現像特性が著しく低下する。後者は、副生
乳化重合微粒子除去が可能等の利点はあるが、それ以上
に微粒子として問題のあるマイクロサスペンション粒子
の削減には効果がないという問題があり、このマイクロ
サスペンション粒子の存在は、現像でのトナーの目詰り
や摩擦帯電の不均一を誘発し易いという欠点を有する。
【0023】一方、分散安定剤を改良し、前記重合トナ
ーの有する問題を解決しようという提案も数多い。例え
ば、特開平9−54457号,特開平7−49586号
公報等で代表される様に、一旦、生成した分散安定剤を
酸で可溶化後、アルカリで再析出させてアルカリ下で所
望の分散安定剤を得、これを使用して粒度分布のシャー
プな重合トナー粒子を得る方法等の提案があるが、トナ
ー粒子形態、表面性等までを含めた制御が要求される現
在、この提案では不十分であり、要求される物性全てを
満足できる提案は未だ見い出されていない。
【0024】また、特開平7−301949号公報等に
おいては、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水
溶液を混合することにより、直接、分散媒中にリン酸カ
ルシウムを生成する方法が記載されている。この方法は
優れた方法であるが、例えば工業的に使用されるリン酸
ナトリウムを用いた場合には、リン酸ナトリウムの製造
副生成物である水酸化ナトリウムがリン酸カルシウム中
に少量混じっているため、リン酸ナトリウム水溶液と塩
化カルシウム水溶液を混合し、リン酸カルシウム塩類を
分散媒中で生成させると、リン酸ナトリウム中に存在し
ている水酸化ナトリウムの影響により、水系媒体のpH
は10程度になり、この様なpHにおいて、重合性単量
体、着色剤及び荷電制御剤等を含有している重合性単量
体組成物の分散造粒を行うと、着色剤、荷電制御剤等が
強アルカリに分解、溶解及び変性しやすいため、トナー
粒子の製造に要する時間や温度等によっては、着色剤、
荷電制御剤等の添加剤が分解、溶解又は変性してしま
い、所望の荷電制御性や着色力を有するトナー粒子を製
造することは困難になる。また、着色剤、荷電制御剤等
の添加剤が部分的に溶解すると、重合性単量体組成物粒
子の均一な分散が阻害され、微粒子が増加したり、粒子
凝集が発生したりするため、得られるトナー粒子の粒度
分布が不均一なものになりやすい。特にアルカリに弱い
着色剤、荷電制御剤等の添加剤では、分解、溶解又は変
性が激しく、使用できないものもある。よってpHが1
0付近であるような水系媒体で、物性及び粒度分布にお
いて安定したトナー粒子を製造するためには厳しく製造
条件を管理する必要があり、更に用いる着色剤、荷電制
御剤等の添加剤も制限されていた。
【0025】この様に、重合トナーにおいて、懸濁造粒
及び重合中の粒子合一がなく、反応を通して粒子が安定
した状態で存在し、生成したトナー粒子が常に安定して
再現性の良いシャープな粒度分布と、均一な摩擦帯電能
を有し、さらには、トナーの形態あるいは表面状態の制
御を可能とする有効な手段は未だ見い出されていない。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述の
如き欠点を解決し、色の分散が良好で且つ環境安定性や
転写性に優れたイエロートナー及びその製造方法を提供
するものである。
【0027】すなわち、本発明の目的は、色の分散が良
好で十分な彩度を有し、優れた耐候性をもつトナーであ
り、且つ環境安定性や転写性に優れたイエロートナー及
びその製造方法を提供するものである。
【0028】さらに本発明の目的は、重合法イエロート
ナー及びその製造方法において、水系媒体中に懸濁造粒
した重合性単量体組成物が、イエロー粒子として常に安
定して分散し、重合反応中の粒子合一が発生しない再現
性の良いトナー及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0029】さらに本発明の目的は、生成するイエロー
トナー粒子が常に安定で再現性良くシャープな粒度分布
と均一摩擦帯電能を有するイエロートナー及びその製造
方法を提供することにある。
【0030】さらに本発明の目的は、イエロートナーの
トランスペアレンシー等の透過画像において紙上の分光
反射特性とほぼ同等の、イエロー色味再現性のすぐれた
イエロートナー及びイエロートナーの製造方法を提供す
ることにある。
【0031】さらに本発明の目的は、生成するトナー粒
子の形態あるいは表面状態を常に再現性良く制御するこ
とができるイエロートナー及びそのトナーの製造方法を
提供することにある。
【0032】さらに本発明の目的は、画像濃度が高く安
定で、カブリのない画像特性に優れたイエロートナー及
びそのトナーの製造方法を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明は、スチレン−ア
クリル樹脂又はスチレン−メタクリル樹脂を主体とする
トナー結着樹脂中に、着色剤としてビスアセトアセトア
リリドに分類される顔料を少なくとも含有しているイエ
ロートナーであり、そのトナーのフロー式粒子像分析装
置(FPIA)で測定される円形度が0.970以上
1.000未満であることを特徴とするイエロートナー
に関する。
【0034】また、本発明は、リン酸塩水溶液とカルシ
ウム塩水溶液とを混合して得られるリン酸カルシウム塩
類を含有する水系媒体のpHを4.0乃至6.0に調整
し、該水系媒体中に、少なくとも重合性単量体、着色
剤、カルボキシル基を有する極性重合体又は極性共重合
体及び重合開始剤を有する重合性単量体組成物を分散さ
せ、重合性単量体組成物の粒子を生成し、該水系媒体中
で、該粒子に含まれている重合性単量体を重合して、ト
ナー粒子を生成し、該水系媒体のpHを1.0乃至3.
0に調整して、リン酸カルシウム塩類を溶解した後にト
ナー粒子を分離するという工程を有するイエロートナー
の製造方法において、該重合性単量体がスチレンモノマ
ーとアクリル又はメタクリルモノマーを有し、該着色剤
がビスアセトアセトアリリドに分類される顔料を含有
し、得られたイエロートナーのフロー式粒子像分析装置
(FPIA)で測定される円形度が0.970以上1.
000未満であることを特徴とするイエロートナーの製
造方法に関する。
【0035】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る着色剤につい
て述べる。
【0036】本発明に用いられる着色剤の特徴は、ビス
アセトアセトアリリドに分類される、具体的には下記式
で示される如き顔料を用いることである。
【0037】
【化1】
【0038】近年の著しいコンピューターの普及に伴な
い、使用されるカラープリンターに対する要求は、従来
からの紙上の色再現に止まらずトランスペアレンシー上
の忠実な色再現にまで広がってきている。すなわち、カ
ラー画像を多用したプレゼンテーション等の機会が飛躍
的に増加しているため、トランスペアレンシーにおいて
は従来の紙上の特性と同等あるいはかなり近似した色空
間の広い、色バランスに優れた分光特性が強く望まれて
いる。
【0039】一方で、カラー画像における着色力アップ
の観点から着色剤の添加量をコスト的に見合う点まで増
加させていかねばならないが、重合法トナーでは造粒か
ら重合完了の過程で場合によって着色剤の静電凝集が発
生し、特にトランスペアレンシーの透過画像を得る際
に、紙上のイエローの色味とは異なった赤味の強いイエ
ローの透過画像が得られる傾向にあり、トランスペアレ
ンシーにおいて重要な解決すべき問題となっている。
【0040】また一方で、カラープリンターの出力画像
の色空間において、基準となる色再現範囲であるS−R
GBに対応した色空間再現性が求められており、特にイ
エローにおいてはグリーニッシュイエローの色再現が必
須となる傾向にある。
【0041】さらに出力画像の耐候性も要求項目の重要
なポイントとなっている。
【0042】これらの状況をふまえ、イエローの着色剤
を検討した結果、イエローの着色剤の中には、その化学
構造上の極性等の問題で、製造したイエロートナーの表
面に着色剤が偏析するものや、重合トナーの製造過程で
分解、溶出等がおこり重合トナーとして問題となるもの
も多い。さらに製造されたイエロートナーの中には、着
色剤中の添加物や、前述の極性等の影響で、トナーとし
ての環境特性が不安定となる場合もあった。
【0043】このため、本発明者は前述の条件をみたす
着色剤を鋭意検討したところ、着色剤としてビスアセト
アセトアリリドに分類される顔料を使用することで所望
の効果を得ることを見い出し、本発明に至った。
【0044】本発明の効果を得るためには、ビスアセト
アセトアリリドに分類される顔料をトナー結着樹脂成分
100質量部に対して3質量部以上10質量部以下、好
ましくは4質量部以上8質量部以下が、着色力、コスト
等の面で好ましい。
【0045】本発明におけるビスアセトアセトアリリド
に分類される顔料とは、詳しくはC.I.Pigmen
t Yellow 155に代表される顔料である。
【0046】本発明に用いるリン酸カルシウム塩類は、
重合法トナーにおいて水系媒体中で重合性単量体組成物
に対する分散剤としての役割を有する。
【0047】一般的に分散剤として考えられる物質とし
ては、例えば、無機化合物として、リン酸カルシウム、
ヒドロキシアパタイト、リン酸マグネシウム、リン酸ア
ルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸
化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等
が挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコ
ール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシ
プロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びそ
の塩、デンプン等があり、これらを水相に分散させて使
用される。
【0048】これら分散安定剤は、水系媒体中で均一に
分散して液滴として存在している重合性単量体組成物粒
子同士の凝集を防止し、さらにこれら液滴表面に一様に
吸着することにより、該液滴を安定化していると考えら
れる。これらの分散安定剤は、液滴中の重合性単量体の
重合反応終了後に酸、アルカリ処理や、熱水洗浄等を通
して可溶化され、トナー粒子から分離される。しかしな
がら、分散剤として使用できる上記物質の中には、トナ
ー粒子表面からの完全除去がその物質の溶解性,分子
量,粘性等の理由で困難な場合も多く、さらに、トナー
の粒子組成によっては、強アルカリ処理,熱水洗浄等の
工程で着色剤、荷電制御剤の一部が変性,分解,溶出し
たり、熱変形が発生したりするため、トナー粒子の表面
性,摩擦帯電性及び色味再現性等が損われ、トナーの現
像特性等が著しく低下する場合がある。
【0049】また、無機分散剤の中には、凝集作用が強
いため、液滴の重合反応中に粘度変化等が発生して液滴
としての安定性が低下した時に、逆に液滴の凝集・合一
などの不安定現像を促進させるものもあり、分散剤種の
選択は容易ではない。
【0050】本発明に用いるリン酸カルシウム塩類は、
前述の様な不具合を発生させず、酸処理・水洗浄のみで
容易にトナー粒子表面から除去することができ、この条
件下では着色剤,荷電制御剤等の分解・溶出も発生せ
ず、熱変形も考慮する必要がないため、分散剤として特
に有効である。
【0051】ここで述べるリン酸カルシウム塩類とは、
リン酸カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸二水
素カルシウム,ヒドロキシアパタイト等及びそれらの複
数の混合物であり、これらの塩類の結晶の大きさ,結晶
凝集物の粒径,酸に対する溶解度等の効果を考慮する
と、ヒドロキシアパタイト及びリン酸カルシウム塩が好
ましく、その中でもヒドロキシアパタイトが最も好まし
い。
【0052】これらのリン酸カルシウム塩類は、リン酸
塩水溶液とカルシウム塩水溶液とから、水系媒体中でリ
ン酸カルシウム塩類を生成させて使用する方法が、凝集
物の発生がなく、均一な微粒子結晶が得られるため分散
剤として使用する場合、最も効果がある。粉末状のリン
酸カルシウム塩類をそのまま用いる場合、粉体として強
い凝集体となってしまい易いため、凝集体として粒径が
不均一であり、水相への分散はかなり難しい。更にリン
酸カルシウム塩類を生成させる方法の利点としては、リ
ン酸カルシウム塩類に副生する水溶性の中性塩類が、重
合性単量体の水中への溶解防止効果と水系媒体の比重を
大きくする効果とを有することである。
【0053】本発明におけるリン酸カルシウム塩類生成
時のpH調整について説明する。
【0054】pH9.0乃至14.0の水系媒体中で、
重合性単量体、着色剤、荷電制御剤等を含有している重
合性単量体組成物の分散造粒を行うと、着色剤、荷電制
御剤等が強アルカリに分解、溶解及び変性しやすいた
め、トナー粒子の製造に要する時間や温度等によって
は、着色剤、荷電制御剤等が溶解してしまい、所望の荷
電制御性や着色力を有するトナー粒子を製造することは
困難である。また、水系媒体中で着色剤、荷電制御剤が
部分的に溶解すると、重合性単量体組成物粒子の均一な
分散が阻害され、微粒子が増加したり、粒子凝集が発生
したりするため、得られるトナー粒子の粒度分布が不均
一なものになりやすい。よって水系媒体のpHを調整す
ることなしに、トナー物性及び粒度分布において安定し
たイエロートナー粒子を製造するためには厳しい製造条
件の管理が必要であった。
【0055】また本発明者等の検討によると、水系媒体
のpHに応じて、水系媒体に含まれている分散剤である
リン酸カルシウム塩類の界面の電荷が変化することがわ
かった。リン酸カルシウム塩類の界面は、アルカリ領域
でネガ帯電、中性領域で等電位点を示すことが電位を測
定することで確認された。
【0056】本発明においては、リン酸カルシウム塩類
を生成するにあたって、その水系媒体のpHを4.0乃
至6.0、好ましくは4.5乃至6.0に調整すること
により、色味再現性、トナー物性及び粒度分布において
安定したイエロートナー粒子を容易に製造することが可
能となった。
【0057】本発明の製造方法により製造されるイエロ
ートナーは、重合性単量体組成物の水系媒体での造粒、
重合工程において、カルボキシル基を有する極性重合体
又は共重合体が親和性であるため、これらは液滴の外殻
に偏在し、他の組成物を包み込む、所謂コア/シェル構
造をとり、安定した摩擦帯電能を発現する。
【0058】しかしながら、アルカリ性条件下では、分
散剤の界面がネガに帯電しているために、ネガ性のカル
ボキシル基を有する極性重合体又は極性共重合体は電荷
的に反発するため、極性重合体又は極性共重合体成分が
安定して外殻に存在しにくく、重合中に液滴同士の凝集
等が発生し、粒度分布、粒子形態及び表面性、摩擦帯電
能等が制御しにくく、トナーの製造において再現性が悪
くなりやすい。
【0059】トナー粒子がコア/シェル構造をとってい
ることは、トナーの断層面を調べることにより確認する
ことができる。具体的には、常温硬化性のエポキシ樹脂
中にトナー粒子を十分分散させた後、温度40℃の雰囲
気中で2日間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニ
ウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施
した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄
片状のサンプルを切り出し、そのサンプルを透過電子顕
微鏡(TEM)で測定することによりトナーの断層形態
を確認することができる。後記の実施例で得られたトナ
ー粒子は、コア/シェル構造をとっていることが確認さ
れた。
【0060】従って、本発明ではかかる問題を解決する
ために、リン酸カルシウム塩類を生成するに当って、そ
の水系媒体のpHを4.0〜6.0(好ましくはpH
4.5〜6.0)に調整し、重合性単量体,ビスアセト
アセトアリリド系顔料(詳しくはC.I.Pigmen
t Yellow 155)に分類される顔料,カルボ
キシル基を含有する極性重合体又は極性共重合体及び開
始剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を該水系
媒体へ分散造粒し、重合性単量体組成物粒子を得てい
る。
【0061】ここでpHが4.0よりも低い条件では、
分散剤であるリン酸カルシウム塩類が急激に可溶化する
ため所定の分散剤濃度を維持することができず、分散剤
として使用する領域として好ましくない。
【0062】本発明におけるpH調整方法としては、例
えば、塩酸,硫酸,硝酸,リン酸等の水溶性無機酸が用
いられる。これらの無機酸は必要に応じて水で所定濃度
に希釈して使用しても良い。添加量はリン酸カルシウム
塩類が生成してきた時に、あるいはリン酸カルシウム塩
類が安定生成した後にpHが4.0〜6.0(好ましく
はpH4.5〜6.0)で安定する様に所定濃度の無機
酸を適宜調整して添加すれば良い。
【0063】さらに好ましいpH調整方法としては、リ
ン酸塩水溶液に所定量すなわりリン酸カルシウム塩類が
安定生成した後のpHが4.0〜6.0(好ましくはp
H4.5〜6.0)になる様な添加量の無機酸を予め添
加し、次いでカルシウム塩水溶液を加えてリン酸カルシ
ウム塩類を生成する方法が良い。
【0064】本発明のpH4.0〜6.0の領域におけ
るリン酸カルシウム塩類の界面電荷は、ポジ帯電で充分
安定している。この条件下ではポジ帯電の分散剤粒子
は、ネガ性のカルボキシル基を有する極性重合体又はそ
の共重合体を含む重合性単量体組成物表面に安定した静
電気力をもって吸着するため、重合性単量体組成物の造
粒及び重合における凝集・合一が防止され、生成トナー
粒子のシャープな粒度分布が再現性良く達成される。さ
らに生成トナー粒子においては、ネガ性極性重合体又は
極性共重合体がトナー粒子表面に常に安定して偏在し着
色剤はトナー内部に均一に分散し、コア−シェル構造を
とるため、トナー粒子の摩擦帯電能が高く、製造及び性
能再現性に優れたイエロートナーが得られる。
【0065】また、このpH領域において造粒した液滴
は、重合反応終了時まで荷電的に安定して水中に分散し
ているため、生成イエロートナーの形態はかなり真球に
近いものが安定して再現性良く得られる特徴がある。
【0066】この様にして生成したイエロートナー粒子
の円形度は、分散剤濃度、重合性組成物構成、特にカル
ボキシル基を有する極性重合体又は共重合体の分子量,
添加量,イエロー顔料量等での若干の変化はあるもの
の、フロー式粒子像分析装置(FPIA)で0.970
以上1.000未満である。また、この様にして生成し
たトナー粒子は、造粒、重合工程を通して安定している
ため従来問題となっていた反応槽内の汚れ、付着等も非
常に少なく、生産効率の上からも大きなメリットを有す
る。
【0067】生成したトナー粒子の形態,表面性は、ト
ナー粒子と組み合される電子写真システムによって、要
求される特性が異なるため、使用されるシステム構成に
従って任意に制御できることが望まれる。
【0068】一般に円形度の優れた真球に近い形態をも
ち、表面がなめらかなトナー粒子は、摩擦帯電能に優
れ、帯電が安定のため、トナー特性として電子写真シス
テムにおける転写性に優れる特徴を有する。
【0069】本発明においては、トナー粒子の形態,表
面性を真球に近い状態で常に安定して製造できることが
可能なため、この様に高転写性を要求される電子写真シ
ステムに合致したイエロートナー粒子を提供できる利点
を有する。
【0070】本発明において生成したイエロートナー粒
子は、そのままではリン酸カルシウム塩類を表面に吸着
した状態であるため、生成したトナー粒子を含有する水
系媒体のpHを1.0〜3.0に調整し、リン酸カルシ
ウム塩類を完全に溶解せしめ、トナー粒子をろ別し、さ
らに水洗を繰り返して乾燥しトナー粒子を得る。
【0071】ここで、リン酸カルシウム塩類のpHに対
する溶解性は、pH=3.0〜4.0を境界領域として
低pHの酸性領域において急激に可溶化し、pH3以下
の強酸性領域で100%可溶化されるため、トナー粒子
から分散剤粒子を完全に除去するためにはpH1.0〜
3.0での酸処理が必要である。
【0072】なお、この酸処理では前述の如くトナー組
成物中の着色剤及び荷電制御剤等は、アルカリ環境下の
様に変性あるいは可溶化することはなく、トナー特性に
大きく影響することはない。
【0073】本発明に使用される重合性単量体として
は、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−
エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸
n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−
クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エス
テル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メ
タクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メ
タクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエ
チルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド
等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独、又は
混合して使用し得る。
【0074】また、本発明での重合法トナーの単量体系
には、カルボキシル基を有する極性重合体、極性共重合
体を添加して重合する。
【0075】本発明に使用できる極性重合体、極性共重
合体を以下に例示する。
【0076】アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カル
ボン酸、その他不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸無水物
を用いた極性重合体又は極性共重合体、不飽和又は飽和
ポリエステル等が挙げられる。
【0077】これらの極性重合体あるいは極性共重合体
は、重合性単量体100質量部に対し1〜35質量部用
いられることが好ましく、5〜20質量部がさらに好ま
しい。35質量部を超えると、高粘度すぎて造粒が不安
定である。
【0078】重合開始剤としては、例えば、2,2’−
アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビ
ス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’
−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニ
トリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジ
アゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエ
チルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカ
ーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒ
ドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジク
シルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオ
キシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,
4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、
トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過
酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始
剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸
塩、過酸化水素などが使用される。
【0079】重合開始剤は重合性単量体100質量部に
対し0.5〜20質量部の添加量が好ましく、単独で又
は、併用しても良い。
【0080】また、本発明では分子量をコントロールす
るために、公知の架橋剤、連鎖移動剤を添加しても良
く、好ましい添加量としては重合性単量体100質量部
に対し0.001〜15質量部である。
【0081】好ましく用いられる架橋剤として、ジビニ
ルベンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導体で
ある芳香族ジビニル化合物、その他エチレングリコール
ジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレー
ト、トリエチレングリコールメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリルレ
ート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、
テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−
ブタンジオールジメタクリレートなどのジエチレン性カ
ルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニ
ルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンな
ど全てのジビニル化合物及び3個以上のビニル基を持つ
化合物等が単独又は混合物等で用いられる。
【0082】本発明においては、トナーの帯電性を制御
する目的でトナー粒子中に荷電制御剤を添加することが
できる。
【0083】負荷電制御剤としては、含金属サリチル酸
系化合物、含金属モノアゾ系染料化合物、スチレン−ア
クリル酸共重合体、イミダゾール誘導体、スチレン−メ
タクリル酸共重合体(N、N’−ジアリール尿素誘導
体)、カリークスアレーン等が挙げられる。
【0084】正荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂
肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモ
ニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の
四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホ
ニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリ
フェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化
剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タ
ングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没
食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高
級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチ
ルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等
のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、
ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレー
ト等のジオルガノスズボレート類;これらを単独あるい
は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0085】本発明において用いられる分散剤は、前述
の様に、リン酸カルシウム塩類であり、具体的には、リ
ン酸カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸二水素
カルシウム,ヒドロキシアパタイト等及びそれらの複数
の混合物である。この分散剤は重合性単量体100質量
部に対し0.2〜20質量部を使用することが好まし
い。
【0086】これら分散剤の微細な分散の為に、重合性
単量体100質量部に対し、0.001〜0.1質量部
の界面活性剤を使用してもよい。これは上記分散剤の所
期の作用を促進する為のものであり、その具体例として
は、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫
酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル
硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラリウル酸ナ
トリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウ
ムが挙げられる。
【0087】ヒドロキシアパタイトあるいはリン酸カル
シウムは、粉末状のものをそのまま用いてもよいが、リ
ン酸ナトリウムと塩化カルシウムの如き物質を用いて水
中にてヒドロキシアパタイトあるいはリン酸カルシウム
を生成させ、それを用いる方法が好ましい。この方法を
用いると、非常に細かい塩が得られ、安定した懸濁状態
となるので造粒性がよい。
【0088】本発明に用いられる離型性成分ならびに低
エネルギー定着成分としては、パラフィン・ポリオレフ
ィン系ワックス及び、これらの変性物、例えば、酸化物
やグラフト処理物の他、高級脂肪酸、およびその金属
塩、アミドワックス、また、エステル系ワックス、例え
ば、3級または/及び4級炭素を有し、2官能以上のア
ルコール化合物または、カルボン酸化合物から得られる
多官能ポリエステル化合物、1級または/及び2級炭素
を有し、2官能以上のアルコール化合物またはカルボン
酸化合物から得られる多官能ポリエステル化合物及び3
級または/及び4級炭素を有し、モノ官能のエステル化
合物などがあげられる。
【0089】重合性単量体と着色剤及び離型剤を有する
混合物を重合せしめることにより、直接的にトナー粒子
を得る重合法トナー製法においては、離型剤は、重合性
単量体100質量部に対し1〜40質量部、より好まし
くは3〜35質量部使用するのが好ましい。更に好まし
くは、5〜30質量部使用するのが好ましい。
【0090】本発明においてpHの調整に用いられる物
質としては水溶性無機酸として、塩酸、硫酸、硝酸、リ
ン酸等が用いられる。塩基物としては、水酸化アンモニ
ウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カル
シウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニ
ウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リ
ン酸ナトリウム等のアルカリ物及びその水和物又はその
水溶液が用いられる。なお、これらの物質は必要に応じ
て希釈し、特定濃度の水溶液として使用することができ
る。
【0091】本発明に使用できるトナーの外添剤として
は、例えば、アルミナ,酸化チタン,シリカ,酸化ジル
コニウム,酸化マグネシウムの如き酸化物の他に、炭化
ケイ素,チッ化ケイ素,チッ化ホウ素,チッ化アルミニ
ウム,炭酸マグネシウム,有機ケイ素化合物等が挙げら
れる。
【0092】さらに、上記微粉体は疎水化処理されてい
ることが、トナーの帯電量の温度や湿度の如き環境依存
性を少なくするため及びトナー表面からの遊離を防止す
るために良い。この疎水化処理剤としては、例えばシラ
ンカップリング剤,チタンカップリング剤,アルミニウ
ムカップリング剤の如きカップリング剤、シリコーンオ
イル,フッ素系オイル,各種変性オイルの如きオイルが
挙げられる。
【0093】これら公知の外添剤の中では、帯電安定
性,現像性,流動性,保存性向上のため、シリカ,アル
ミナ,チタニアあるいはその複酸化物等を選ぶことが好
ましい。なかでも、特にシリカが、出発材料あるいは温
度等の酸化条件により、ある程度任意に、一次粒子の合
一をコントロールできる点でより好ましい。例えば、か
かるシリカは硅素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相
酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシ
リカと称される乾式シリカ及びアルコキシド,水ガラス
等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能
であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノー
ル基が少なく、またNa2O,SO3 2-等の製造残滓の少
ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおい
ては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩
化チタン等他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合
物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物
の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含す
る。
【0094】外添剤の添加量は、トナー100質量部に
対して、トナーの帯電安定化、かさ密度安定化、高湿下
での放置安定性等のために0.1〜3質量部添加するこ
とが好ましく、これら外添剤は複数種組合せて使用する
ことができる。以下に、さらに別個に組合せて使用する
ことが好ましい外添剤について述べる。
【0095】転写性および/またはクリーニング性向上
のために一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が
50m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子
をさらに添加することも好ましい形態の一つである。例
えば球状シリカ粒子,球状ポリメチルシルセスキオキサ
ン粒子,球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
【0096】本発明のトナーにおいては、実質的な悪影
響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばポリフッ
化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビ
ニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化
硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;
例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などのケ
ーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック粉
末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤、ま
た、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤
として少量用いることもできる。
【0097】本発明の製造方法によるトナーは、通常一
成分及び二成分系現像剤として、いずれの現像剤にも使
用できる。たとえば、一成分系現像剤として用いる場合
には、ブレード及びファーブラシを用い、現像スリーブ
にて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着せし
めることで搬送せしめる方法がある。
【0098】一方、一般的に利用されている二成分系現
像剤として用いる場合には、本発明のトナーと共に、キ
ャリアを用い現像剤として使用する。本発明に使用され
るキャリアとしては特に限定されるものではないが、主
として、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガ
ン、クロム元素からなる単独及び複合フェライト状態で
構成される。飽和磁化、電気抵抗を広範囲にコントロー
ルできる点からキャリア形状も重要であり、たとえば球
状、扁平、不定形などを選択し、更にキャリア表面状態
の微細構造、たとえば表面凸凹性をもコントロールする
ことが好ましい。一般的には、上記無機酸化物を焼成、
造粒することにより、あらかじめ、キャリアコア粒子を
生成した後、樹脂にコーティングする方法が用いられて
いるが、キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合い
から、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密
度分散キャリアを得る方法や、さらには、直接無機酸化
物とモノマーとの混練物を水系媒体中にて懸濁重合せし
め真球状分散キャリアを得る重合キャリアを得る方法な
ども利用することが可能である。
【0099】上記キャリアの表面を樹脂等で被覆する系
は、特に好ましい。その方法としては、樹脂等の被覆材
を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに
付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来公
知の方法がいずれも適用できる。
【0100】キャリア表面への固着物質としてはトナー
材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレ
ン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ
化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジ
ターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルブ
チラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基
性染料及びそのレーキ、シリカ微粉末、アルミナ微粉末
などを単独或は複数で用いるのが適当であるが、必ずし
もこれに制約されない。
【0101】上記化合物の処理量は、一般には総量でキ
ャリア100質量部に対し0.1〜30質量部、好まし
くは0.5〜20質量部である。
【0102】これらキャリアの平均粒径は10〜100
μm、好ましくは20〜50μmを有することが好まし
い。
【0103】特に好ましい態様としては、Cu−Zn−
Feの3元系のフェライトであり、その表面をフッ素系
樹脂とスチレン系樹脂の如き樹脂の組み合せ、例えばポ
リフッ化ビニリデンとスチレン−メチルメタクリレート
樹脂;ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メチル
メタクリレート樹脂、フッ素系共重合体とスチレン系共
重合体;などを90:10〜20:80、好ましくは7
0:30〜30:70の比率の混合物としたもので、
0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%コー
ティングし、250メッシュパス、400メッシュオン
のキャリア粒子が70質量%以上ある上記平均粒径を有
するコートフェライトキャリアであるものが挙げられ
る。該フッ素系共重合体としてはフッ化ビニリデン−テ
トラフルオロエチレン共重合体(10:90〜90:1
0)が例示され、スチレン系共重合体としてはスチレン
−アクリル酸2−エチルヘキシル(20:80〜80:
20)、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メ
タクリル酸メチル(20〜60:5〜30:10〜5
0)が例示される。
【0104】上記コートフェライトキャリアは粒径分布
がシャープであり、本発明のトナーに対し好ましい摩擦
帯電性が得られ、さらに電子写真特性を向上させる効果
がある。
【0105】本発明におけるトナーと混合して二成分現
像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー
濃度として、2質量%〜15質量%、好ましくは4質量
%〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。ト
ナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低く実用不可と
なり、15質量%を超えるとカブリや機内飛散を増加せ
しめ、現像剤の耐用寿命を短める。
【0106】さらに、該キャリアの磁性特性は以下のも
のが良い。磁気的に飽和させた後の79.58kA/m
(1000エルステッド)における磁化の強さは30乃
至300emu/cm3であることが必要である。さら
に高画質化を達成するために、好ましくは100乃至2
50emu/cm3であることがよい。300emu/
cm3より大きい場合には、高画質なトナー画像が得ら
れにくくなる。30emu/cm3未満であると、磁気
的な拘束力も減少するためにキャリア付着を生じやす
い。
【0107】本発明のトナーの製造方法の要旨は以下の
如きである。
【0108】すなわち、重合性単量体中に、ビスアセト
アセトアリリド系顔料(詳しくはC.I.Pigmen
t Yellow 155)に分類される顔料を少なく
とも含有し、カルボキシル基を有する極性重合体又は極
性共重合体,離型剤,荷電制御剤,重合開始剤,その他
の添加剤を加え、メディア型ミル等によって均一に溶解
あるいは分散せしめた単量体系組成物を準備する。一方
で、リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液とを混合して
リン酸カルシウム塩類を生成するに当り、該リン酸カル
シウム塩類を含有する水系媒体のpHを塩酸,硫酸,硝
酸の如き水溶性無機酸の希釈液にてpHを4.0〜6.
0に調整する。pH調整では、希釈した酸は二液混合に
よってリン酸カルシウム塩類が生成した後で添加しても
良く、あるいは二液混合前のリン酸塩水溶液中あるいは
カルシウム塩水溶液中にあらかじめ添加し、その後カル
シウム塩水溶液あるいはリン酸塩水溶液を混合してリン
酸カルシウム塩類を析出させても良い。このリン酸カル
シウム塩類の生成はホモミキサー,ホモジナイザー等の
分散造粒機中で生成せしめることが有利であるが、別に
生成せしめておいたリン酸カルシウム塩類の水系分散液
を分散造粒機へ投入しても良い。
【0109】この様にしてpH調整したリン酸カルシウ
ム塩類を含有する水系媒体中に、前述の単量体系組成物
を投入し、分散せしめ造粒する。その後はpHと分散安
定剤であるリン酸カルシウム塩類の作用により単量体系
の粒子状態は安定に維持され、且つ単量体系の粒子の沈
降が防止される程度の撹拌を行うことで重合反応の進行
に伴っての粒子凝集・合一もなく、安定して重合され
る。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の
温度に設定して重合を行う。
【0110】また重合反応後半に昇温しても良く、更に
トナー定着時の臭いの原因等となる未反応重合性単量
体,副生物等を除去するために反応の後半又は終了時に
一部、水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成し
たトナー粒子はリン酸カルシウム塩類を除去するため
に、前述の塩酸,硫酸,硝酸の如き水溶性無機酸をさら
に添加してpHを1.0〜3.0として所定時間処理を
し、充分に水洗後トナー粒子を濾別して回収し、乾燥及
び必要に応じて分級することによりイエロートナー粒子
を得る。
【0111】本発明で用いたそれぞれの測定方法につい
て以下に述べる。
【0112】(1)トナー粒子の凝集・合一の判断基準
としての粒度分布の測定 測定装置としてはコールターカウンターTA−II型
(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積平均分
布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−
1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続し、
電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶
液を調製する。
【0113】測定法としては前記電解水溶液100〜1
50ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくアルキ
ルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに
測定試料を0.5〜50mg加える。試料を懸濁した電
解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、
前記コールターカウンターTA−II型により、アパー
チャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40
μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平
均分布を求める。
【0114】これら求めた体積平均分布、個数平均分布
より、重量平均粒径D4及び個数平均粒径D1を得る。
【0115】このD4,D1値より粒度分布幅としてD4
/D1を計算し、生成トナー粒子の凝集・合一の判断基
準とする。すなわち、D4/D1値が大きくなればトナー
粒子は二次凝集体を形成している、又は合一気味であ
り、D4/D1値が1.0に近づけば単分散の粒度分布に
近づくと判断できる。
【0116】(2)トナー粒子の摩擦帯電量 摩擦帯電量は常温/常湿(23℃/60%)の環境条件
下にトナー及びキャリアを一昼夜放置した後、ブローオ
フ法に基づき、次の要領で帯電量を測定した。
【0117】図1はトナーの摩擦電荷量を測定する装置
の説明図である。先ず、底に500メッシュのスクリー
ン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しよ
うとするトナーとキャリアの質量比1:49の混合物を
50〜100ml容量のポリエチレン製のビンに入れ、
5〜10分間手で振盪し、該混合物(現像剤)約0.5
〜1.5gを入れ金属製のフタ4をする。このときの測
定容器2全体の質量を秤りW1(g)とする。次に、吸
引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)
において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して
真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で充
分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去す
る。このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。
ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とす
る。また、吸引後の測定容器全体の質量を秤りW
2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(μC/g)
は下式の如く計算される。
【0118】
【数1】
【0119】(3)フロー式粒子像分析装置(FPI
A)での円形度の測定 本発明における円形度とは、粒子の形状を定量的に表現
する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東
亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−100
0を用いて測定を行い、下式より得られた値を円形度と
定義する。
【0120】具体的な測定方法としては、容器中の予め
不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤
として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォ
ン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.
1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音
波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度
を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナー
の形状を測定する。
【0121】
【数2】
【0122】本発明における円形度はトナー粒子の凹凸
の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.
000を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さ
な値となる。
【0123】(4)トナー粒子の製造再現性の評価 同じトナー処方、製造条件の下で5回繰り返してトナー
を作製し、各々の生成トナー粒子について粒度分布幅
(D4/D1)、摩擦帯電量、FPIAでの円形度、及び
転写効率を測定後、その標準偏差SDを求め、再現性の
パラメーターとした。
【0124】
【数3】
【0125】本パラメーターでは、数値が小さいほど、
粒度分布幅,摩擦帯電量,円形度転写効率のばらつきの
少ない製造再現性の優れたトナーの製造方法であること
を示す。
【0126】(5)トナー粒子の転写効率の測定 転写効率は、通常環境下において、感光体ドラム上に形
成されたトナー像(画像濃度1.4)を透明な粘着テー
プで採取し、その画像濃度(D1)をマクベス濃度計ま
たはカラー反射濃度計(例えばColor refle
ction densitometer X−RITE
404A manufacturedby X−Ri
te Co.)で測定する。次に再度トナー像を感光体
ドラム上に形成し、トナー像を記録材へ転写し、記録材
上に転写されたトナー像を透明な粘着テープで採取し、
その画像濃度(D2)を同様に測定する。得られた画像
濃度(D1)及び(D2)から以下の如く算出する。 転写効率(%)=(D2/D1)×100
【0127】(6)紙上及びトランスペアレンシー上画
像の色相再現性の測定 まず、通常環境下において紙上及びトランスペアレンシ
ー用フィルム上それぞれに、トナー乗り量0.6mg/
cm2に調整したベタ画像サンプルを二成分式カラー複
写機(キヤノン製フルカラー複写機 CLC700)を
用いて準備する。
【0128】紙上の色相測定は、CIE LABでの2
度視野、D65光源を使用したColor Reflec
tion Densitometer(X−RITE9
38Spectrodensitometer、X−R
ITE Co.製)にて行った。トランスペアレンシー
フィルム上の透過像の色相測定は、OHTプロジェクタ
ー(3M製Model♯9550)を通した実際の透影
像(OHTプロジェクターと透影スクリーン間距離2
m)を透影スクリーンから2m離したRadiomet
ric Spectrophotometer(PR−
650 Photo Research社製)によって
行った。
【0129】本発明での「色相再現性」とは、紙上(h
1 *)とトランスペアレンシー上(h 2 *)との色相角差を
下式の様に定義することで求め、色相角差(Δh*)が
少ないほど色相再現性“良”と判断した。
【0130】
【数4】
【0131】(7)耐候性の評価 通常環境下においてトナー乗り量0.6mg/cm2
調整したベタ画像サンプル(紙上)を二成分式カラー複
写機(キヤノン製フルカラー複写機 CLC700)を
用いて準備する。
【0132】これらの画像サンプルを以下の機器・条件
下で曝露し、継時的にサンプルの画像濃度をColor
Reflection Densitometer
(X−RITE938 Spectrodensito
meter、X−RITE Co.製)にて測定し、画
像濃度低下の大小にて耐候性を評価した。
【0133】従って画像濃度低下(ΔD)の少ないサン
プル程、耐候性は良好と判断する。
【0134】 測定機器 :Ultraviolet−ray A
uto FadeMeter テストスタイル:FAL−AU(Suga test
InstrumentsCo.Ltd) 光源 :Ultraviolet−ray C
arbon ArcLamp 温度/湿度 :63℃/50% 曝露時間 :160時間
【0135】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、これは本発明をなんら限定するものではない。なお
以下の配合における部数は、特に説明のない場合は質量
部である。
【0136】[実施例1]イオン交換水1000部に、
工業用グレードのリン酸ナトリウムで調製した0.1M
−リン酸ナトリウム水溶液510部、及び塩化カルシウ
ム水溶液添加後のpHが5.3となる様に1M−塩酸水
溶液を適当量投入し、60℃に加温した後、TK式ホモ
ミキサー(特殊機化工業製)を用いて12000rpm
にて撹拌した。これに工業用グレードの塩化カルシウム
にて調製した1.0M−塩化カルシウム水溶液75部を
徐々に添加し、リン酸カルシウム塩類であるヒドロキシ
アパタイトを含むpH=5.3の水系媒体を得た。
【0137】一方、 ・スチレン 80部 ・n−ブチルアクリレート単量体 20部 ・飽和ポリエステル樹脂 10部 ・C.I.Pigment Yellow 155 6部 ・ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 2部 ・マイクロクリスタリンワックス(s.p.=65℃) 15部 上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊
機化工業製)を用いて、12000rpmにて均一に溶
解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解し、重
合性単量体組成物を調製した。
【0138】前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物
を投入し、60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモ
ミキサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合
性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹
拌しつつ、70℃に昇温し、10時間反応させた。重合
反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、
塩酸を加えヒドロキシアパタイトを完全に溶解させ、ろ
過,水洗,乾燥して重合性粒子を得た。
【0139】次いで同処方,同製造条件にて、トータル
として5回繰り返して重合体粒子を得、その都度、粒度
分布幅(D4/D1)、摩擦帯電量、FPIAにおける円
形度、及び転写効率の各項目を測定し、それらの値の平
均値及び標準偏差SD値を求めた。さらに耐候性と色相
再現性についても測定した。この結果、各項目において
平均値が好ましい値を示し、標準偏差が小さい結果が得
られた。結果を表1に示す。
【0140】更に同処方で、例えば50〜60℃で造粒
後、同温度で3〜7時間重合を行ない、更に70〜90
℃へ昇温して、反応時間が合計10時間になるようにし
て重合を行なう等の種々の反応シーケンス(温度と時間
の組み合わせ)に従って、重合を行ない、トナー粒子の
重合転化率、生成分子量分布などを変化させた場合に
も、粒度分布幅、摩擦帯電能などに関して優れたトナー
が得られた。
【0141】また反応槽汚れに関しては以下のように評
価を行った。
【0142】(反応槽の汚れの評価)同処方、同条件で
5回繰り返して、トナー粒子を製造する際の反応槽の汚
れを調べ、以下の基準で評価した。 A:5回繰り返しの製造において特に問題なし。 B:5回繰り返しの製造において、汚れが発生する。 C:その都度、かなり汚れが発生する。
【0143】[実施例2]加える1M−塩酸水溶液の滴
下量を変えて生成するリン酸カルシウム塩類を含む水系
媒体のpHが4.1になる様に調整したこと以外は全て
実施例1と同様に重合体粒子を得、さらにトータルとし
て5回、この製造を繰り返して重合体粒子を得、各項目
での平均値、標準偏差を計算した。
【0144】この結果、各項目において平均値が好まし
い値を示し、標準偏差が小さい結果が得られた。また耐
候性、色相再現性に関しても好ましい結果が得られた。
結果はまとめて表1に示す。
【0145】[実施例3]加える1M−塩酸水溶液の滴
下量を変えて生成するリン酸カルシウム塩類を含む水系
媒体のpHが6.0になる様に調整したこと以外は全て
実施例1と同様に重合体粒子を得、さらにトータルとし
て5回、この製造を繰り返して重合体粒子を得、各項目
での平均値、標準偏差を計算した。
【0146】この結果、各項目において平均値が好まし
い値を示し、標準偏差が小さい結果が得られた。また耐
候性、色相再現性に関しても好ましい結果が得られた。
結果を表1に示す。
【0147】[比較例1]1M−塩酸水溶液を使用せ
ず、pH調整をしなかったこと、及びC.I.Pigm
ent Yellow 155 6部のかわりにC.
I.Pigment Yellow 17 8部を添加
したこと以外は全て実施例1と同様に重合体粒子を得
た。さらにトータルとして5回、同条件にてこの製造を
繰り返して重合体粒子を得、実施例1と同様な各項目で
の平均値、標準偏差及び耐候性、色相再現性について評
価した。
【0148】結果は、各項目の標準偏差が大きく、同処
方、同条件で製造をくり返した場合の生成トナー粒子の
再現性が実施例に比べ良くないことがわかった。
【0149】更に実施例1と同様にして、種々の反応シ
ーケンス(温度と時間の組み合わせ)に従って、重合を
行なった。その結果、特に低重合転化率に比較的高温度
で長時間反応させた場合に、生成粒子の凝集体が発生し
やすく、反応槽内の汚れ・付着なども増加し、トナー粒
子の粒度分布幅がかなり大きくなり、摩擦帯電能が不安
定なトナーが得られた。
【0150】また顔料添加量が多いため、トランスペア
レンシー上の不透明性や赤味傾向が大きく、色相再現性
に満足できる結果が得られなかった。
【0151】[比較例2]生成トナー粒子の酸洗浄時の
pHが3.8であったこと以外は全て実施例1と同様に
重合体粒子を得、さらにトータルとして5回、この条件
にて製造を繰り返して重合体粒子を得、実施例1と同様
の各項目での平均値、標準偏差及び耐候性、色相再現性
について評価した。その結果、摩擦帯電量、転写効率の
平均値が低く、標準偏差が大きいため、生成トナー粒子
の安定性、再現性が悪いことがわかった。
【0152】
【表1】
【0153】
【発明の効果】本発明によれば、造粒・重合安定性及び
再現性に優れたイエロートナー粒子を製造することがで
きる。さらに、生成したトナー粒子は、イエロー顔料の
分散性及びトランスペアレンシーの透過性に優れ、粒度
分布、摩擦帯電性、その粒子形態及び表面制御、転写効
率の上で安定性及び再現性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーの摩擦電荷量を測定する装置の説明図で
ある。
【符号の説明】
1 吸引機 2 測定容器 3 導電性スクリーン 4 フタ 5 真空計 6 風量調節弁 7 吸引口 8 コンデンサー 9 電位計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/08 G03G 9/08 361 9/087 325 384 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 AA15 AA21 AB06 CA04 CA21 CA28 DA04 EA01 EA10 4J002 BC071 BG031 EQ016 FD096 GS00 4J011 JA04 JB14 JB26 PB25 PC02 PC07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン−アクリル樹脂又はスチレン−
    メタクリル樹脂を主体とするトナー結着樹脂中に、着色
    剤としてビスアセトアセトアリリドに分類される顔料を
    少なくとも含有しているイエロートナーであり、そのト
    ナーのフロー式粒子像分析装置(FPIA)で測定され
    る円形度が0.970以上1.000未満であることを
    特徴とするイエロートナー。
  2. 【請求項2】 ビスアセトアセトアリリド系顔料がC.
    I.PigmentYellow 155に分類される
    顔料であることを特徴とする請求項1に記載のイエロー
    トナー。
  3. 【請求項3】 リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液と
    を混合して得られるリン酸カルシウム塩類を含有する水
    系媒体のpHを4.0乃至6.0に調整し、該水系媒体
    中に、少なくとも重合性単量体、着色剤、カルボキシル
    基を有する極性重合体又は極性共重合体及び重合開始剤
    を有する重合性単量体組成物を分散させ、重合性単量体
    組成物の粒子を生成し、 該水系媒体中で、該粒子に含まれている重合性単量体を
    重合して、トナー粒子を生成し、 該水系媒体のpHを1.0乃至3.0に調整して、リン
    酸カルシウム塩類を溶解した後にトナー粒子を分離する
    という工程を有するイエロートナーの製造方法におい
    て、 該重合性単量体がスチレンモノマーとアクリル又はメタ
    クリルモノマーを有し、 該着色剤がビスアセトアセトアリリドに分類される顔料
    を含有し、 得られたイエロートナーのフロー式粒子像分析装置(F
    PIA)で測定される円形度が0.970以上1.00
    0未満であることを特徴とするイエロートナーの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 リン酸カルシウム塩類がヒドロキシアパ
    タイトであることを特徴とする請求項3に記載のイエロ
    ートナーの製造方法。
  5. 【請求項5】 該重合性単量体組成物を分散する前の水
    系媒体のpHが4.5乃至6.0であることを特徴とす
    る請求項3又は4に記載のイエロートナーの製造方法。
  6. 【請求項6】 塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸よりなるグ
    ループから選択される水溶性無機酸により水系媒体のp
    Hを調整することを特徴とする請求項3乃至5のいずれ
    かに記載のイエロートナーの製造方法。
  7. 【請求項7】 ビスアセトアセトアリリド系顔料がC.
    I.PigmentYellow 155に分類される
    顔料であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか
    に記載のイエロートナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8507713B2 (en) 2009-04-17 2013-08-13 Canon Kabushiki Kaisha Pigment, method for manufacturing the same, pigment dispersion, and yellow toner

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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