JP3372683B2 - 静電荷像現像用カラートナー - Google Patents

静電荷像現像用カラートナー

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JP3372683B2 JP32980394A JP32980394A JP3372683B2 JP 3372683 B2 JP3372683 B2 JP 3372683B2 JP 32980394 A JP32980394 A JP 32980394A JP 32980394 A JP32980394 A JP 32980394A JP 3372683 B2 JP3372683 B2 JP 3372683B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真法,静電印刷法
などにおいて形成される静電荷像を現像する静電荷像現
像用カラートナーに関する。
【0002】さらに詳しくは、少なくとも離型剤,着色
剤を含有する単量体組成物を水性懸濁重合して得られた
マゼンタトナーに関する。
【0003】
【従来の技術】従来、電子写真プロセスを用いる現像剤
は、ポリエステル・スチレン−アクリル・エポキシ樹脂
等に着色剤や荷電制御剤さらには離型剤を加え溶融混練
し、均一に分散せしめた後、所定の粒度に粉砕しさらに
過剰の微/粗粉現像剤を分級器を用い除去する粉砕法に
よる製造方法が一般的である。
【0004】しかしながら、最近の更なる高画質化に伴
い現像剤を更に小粒径化することが必要になってきた。
【0005】もっとも、コールターカウンターにより測
定した粒度が7μm以下になるに従い、従来では問題に
ならなかった使用原材料の均一分散性や効率の高い粉砕
性、更にはシャープな粒度分布に現像剤を分級すること
が極めて難しくなる傾向にある。
【0006】これら粉砕法による現像剤の問題点を克服
するため、特公昭36−10231号、特公昭43−1
0799号及び特公昭51−14895号公報等により
懸濁重合法による現像剤の製造方法が提案されている。
懸濁重合法においては重合性単量体・着色剤・重合開始
剤、更に必要に応じて架橋剤・荷電制御剤・その他添加
剤を、均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とし
た後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続
相、たとえば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同
時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有する現像剤を得
る方法である。
【0007】この製造方法は、粉砕工程を経ないため現
像剤に脆性を付与せしめる必要がなく、更に従来の粉砕
法では使用することができなかった低軟化点物質を多量
に使用することができる等の材料の選択幅が広がる。ま
た現像剤粒子表面に疎水性の材料である離型剤や着色剤
等が露出しづらく、このため現像剤保持部材・感光体・
転写ローラー・定着器等への汚染が少ない等の特徴を有
し最近注目されている。
【0008】更に近年、デジタルフルカラー複写機やプ
リンターが実用化され、トナーにおいては画像忠実性,
離型性,色再現性等の特色をさらに向上させる必要が生
じてきた。
【0009】画像忠実性に求められる要求品質として、
デジタルフルカラー複写機においては白黒複写機と較べ
多量の現像剤を感光体から転写材に転写させる必要があ
ることや、将来の更なる高画質化に対応すべくより微小
ドットに対応した現像剤の微小粒径化の要求が予想され
る。
【0010】この点からも比較的容易に粒度分布がシャ
ープで微小粒径の現像剤が製造できる重合法は優れた特
性を有している。
【0011】また将来のプリンターや複写機の高速化や
フルカラー化に伴い、低温定着性の向上も重要な要素と
なる。
【0012】フルカラー複写機では、定着工程で多色ト
ナーが充分混合して色再現性やOHP画像の透明性を得
ることが必須であり、黒トナーと較べカラートナーは、
一般的にシャープメルトな低分子量樹脂が要望される。
【0013】また、一般的に黒トナーは、定着時の耐高
温オフセット性を向上させる為にポリエチレンワックス
やポリプロピレンワックス等の比較的離型性の高い結晶
性の材料を用いているが、カラートナーに上記のような
ワックスを用いた場合にはこの離型剤の結晶性の高さの
ためOHPに出力した際著しく透明性が阻害される。
【0014】このため、通常カラートナー構成成分とし
て離型剤を添加せずに加熱定着ローラーへシリコーンオ
イル等を均一塗布せしめることで、結果的に耐高温オフ
セット性の向上を図っている。しかしながら、このよう
にして得られた出力転写部材は、その表面に余分のシリ
コーオイル等が付着するため、ユーザーが使用する際に
不快感を生じ好ましくない。
【0015】このため、現像剤中に多量の低軟化点物質
を含有せしめたオイルレス定着用の現像剤の検討も行わ
れているが、低温定着性と透明性に優れ、同時に耐高温
オフセット性を示す現像剤は、未だ充分満足するものは
得られていない。
【0016】また、微小粒径のトナーになるほど粉砕法
では均一に離型剤を内包することが難しくなるため、微
小粒径における離型剤内包化が大きな課題となってきて
いる。
【0017】色再現性等の特色に求められる要求品質と
しては色調・彩度・着色力等のさらなる向上があり、着
色剤そのものの改質によってその多くが左右される。
【0018】特にマゼンタトナーは肌色等用いる色とし
ての需要が大きいこともあり、従来よりキナクリドン系
・チオインジゴ系・キサンテン系・モノアゾ系・ペリレ
ン系・ジケトピロロピロール系等数多くの顔料がトナー
用顔料として開示されてきた。
【0019】たとえば、特公昭49−46951号公報
には2,9−ジメチルキナクリドン顔料の記載が、特開
昭55−26574号公報にはチオインジゴ系顔料に関
して、特開昭59−57256号公報にはキサンテン系
染料に関して、特開平2−210459号公報にはジケ
トピロロピロール系顔料に関して、特公昭55−423
83号公報にはアントラキノン系染料について記載され
ている。
【0020】これらの着色剤は重合トナーにおいても結
着樹脂への溶融親和性,耐光性が良好で、一応帯電特性
・色調等の優れたトナーが得られる。しかしながら低温
定着性・透明性を満足した上で、より原稿に忠実な画像
を得るためには、より一層の画像耐久/環境安定性や、
離型剤との親和性、色調・彩度等の向上が望まれてい
る。
【0021】また、近年さらなる電子写真技術の応用と
して鋼材・布等へ画像を再転写加工する動きが生じてい
るが、このような加工品の場合は、屋外で使用されやす
いというその用途から従来以上の耐熱・耐光性が必要と
される。
【0022】これらの観点より特にジケトピロロピロー
ル系顔料は優れた耐熱特質を有するが、粒径が7μm以
下であるような重合法微粒子トナーに用いると、その極
性基の特性のためにトナー表面にでやすく、帯電性等に
未だ十分満足するものが得られていない。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述の
如き欠点を解決した静電荷像現像用カラートナーを提供
するものである。
【0024】すなわち、本発明の目的はOHP透明性に
優れ且つ環境安定性に優れた帯電特性を有する静電荷像
現像用カラートナーを提供するものである。
【0025】本発明の別の目的は耐熱耐光性に優れた静
電荷像現像用カラートナーを提供するものである。
【0026】本発明のさらなる目的は、極めて鮮明な色
彩が得られる静電荷像現像用カラートナーを提供するも
のである。
【0027】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の目的
は、少なくとも重合性単量体,ワックスおよび着色剤を
含む組成物を直接懸濁重合して得られるトナーにおい
て、該トナーの重量平均径が7μm以下であり、該ワッ
クスは炭素数が15以上の長鎖エステル部分を1個以上
有することを特徴とするエステルワックスを用い、且つ
該着色剤は下記構造式で示される骨格を有する化合物を
含有することで達成される。
【0028】
【化5】
【0029】[式中、Xおよび/またはYは、フェニル
基,ナフチル基等で示される芳香族基およびその誘導
体、またはピリジル基,フリル基,チオフェニル基等で
示されるヘテロ芳香族基およびその誘導体を示す。]
【0030】以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】本発明者らは鋭意検討の結果、トナー中に
ジケトピロロピロール系顔料と特定のエステル系ワック
スを含有させることで本発明の目的が達成されることを
見いだした。これは、ジケトピロロピロール系顔料の官
能基にワックス中のエステル基が親和性を有するため、
顔料が疎水性を有するワックスに取り込まれて、トナー
中に埋没してしまうために生じると考えている。
【0032】一般式(I)中のX,Yとしては、フェニ
ル基,ジフェニル基,ターフェニル基,ナフチル基で示
される芳香族基又はその置換誘導体や、ピリジル基,ピ
ラジニル基,トリアジニル基,フリル基,ピロリイル
基,チオフェニル基,キノリイル基,クマリニル基,ベ
ンズフラニル基,ベンズイミダゾリイル基,オキサゾリ
イル基,イソオキサゾリイル基,シンノリル基,キナゾ
リル基,キノキサリル基,フタラジニル基,フタラジン
ジオニル基,フタラミジル基,クロモニル基,ナフトラ
クタミル基,キノロニル基,o−スルホベンジミジル
基,マレインイミジル基,ナフタリジニル基,ベンジミ
ダゾロニル基,ベンゾキサゾロニル基,ベンズチアゾロ
ニル基,ベンズチアゾチオニル基,キナゾロニル基,キ
ノキサロニル基,フタラゾニル基,ジオキサピリミジニ
ル基,ピリドニル基,イソキノロニル基,イソキノリニ
ル基,イソチアゾリイル基,ベンジソキサゾリル基,ベ
ンジソチアゾリル基,インダゾロニル基,アクリジニル
基,アクリドニル基,キナゾリンジオニル基,キノキサ
リンジオニル基,ベンズオキサジンジオニル基,ベンズ
オキサジオニル基,ナフタリミジイル基等のヘテロ化合
物及びその置換誘導体が挙げられる。
【0033】上記置換誘導体における置換基の例として
は、着色剤の色味等の理由から適切なものを選択する必
要があり、本発明においては、メチル基,エチル基,n
−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブ
チル基,t−ブチル基,n−オクチル基,1,1,3,
3−テトラメチルブチル基等のアルキル基;メトキシ
基,エトキシ基,n−プロポキシ基,n−ブトキシ基,
t−ブトキシ基,n−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ
基;メトキシメトキシ基,エトキシエトキシ基,メトキ
シエトキシ基,エトキシメトキシ基等のアルコキシアル
コキシ基;メトキシメチル基,メトキシエチル基,エト
キシエチル基,n−プロポキシエチル基,n−ブトキシ
エチル基等のアルコキシアルキル基;ベンジル基,フェ
ネチル基,γ−フェニルプロピル基等のアラルキル基;
メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基,n−プ
ロポキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ア
セチルオキシ基,エチルカルボキシ基,n−プロピルカ
ルボキシ基等のアルキルカルボキシル基;水酸基,水素
原子及びフッ素原子,塩素原子,臭素原子等が挙げられ
る。
【0034】該一般式(I)で示される化合物の合成法
としては例えば、アルキル基,アリル基,シクロヘキシ
ル基等の基を有するコハク酸エステル1モルに対して、
一般式X,Yのニトリル付加物(X=CN,Y=CN)
を付加・縮合反応させて得ることが一般的であるが、何
らこれに限定されるべきものでは無い。また、色味を変
更するためや、分散性を更に上げる等の目的のために、
従来公知の顔料に用いられる公知の方法、例えばソルス
バーズに代表される分散剤の利用等が、本発明の着色剤
に使用可能である。
【0035】本発明に用いられるこれら着色剤の添加量
としては、着色力を得て且つ分散時の凝集を防ぐという
観点より、トナーに対して1〜9重量%、好ましくは2
〜5重量%である。
【0036】また、これら着色剤は一般公知の着色剤、
例えばC.I.ピグメントレッド122のごときキナク
リドン系顔料、C.I.ピグメントレッド57のごとき
アゾ系顔料、C.I.ソルベントレッド49のごときロ
ーダミン染料のレーキ顔料等と併用しても良い。
【0037】本発明においては炭素数が15以上の長鎖
エステル部分を1個以上有することを特徴とするエステ
ルワックスを、本発明の顔料に組み合わせることによっ
て帯電性の向上が達成される。
【0038】本発明のワックスは炭素数が15以上の長
鎖エステル部分を1個以上有することが必要である。
【0039】炭素数が15未満であると顔料の表面改質
はするものの、顔料の水相移行性を食い止めることがで
きず、トナーの帯電安定性が悪化する。
【0040】そして、この観点において本発明における
長鎖エステル部分の炭素数としては15以上30以下で
あることがより望ましい。
【0041】また、近年フルカラー両面画像の必要性も
増してきており、両面画像を形成せしめる際において
は、最初に表面に形成された転写紙上のトナー像が次に
裏面に画像を形成する時にも定着器の加熱部を再度通過
する可能性が有り、よりトナーの耐高温オフセット性を
十分に考慮する必要がある。その為にも本発明において
は、多量のエステルワックスの添加が必須となる。
【0042】そのため、本発明のエステルワックスとし
ては顔料の改質のほかに離型性,透明性も与える必要が
あり、エステルワックスをトナー中に5〜30重量%添
加することが好ましい。
【0043】仮に5重量%未満の添加では十分な改質性
を示さず、更に両面画像の定着時において裏面の画像が
オフセット現象を示す傾向がある。また30重量%を超
える場合は、トナーの製造時に、たとえば粉砕法による
製造において装置融着やトナーの融着が発生しやすく、
重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の
合一が起きやすく、ドラムに対しての耐衝撃力が低下す
るためフィルミングが発生し易くなる。
【0044】また本発明の顔料に対してエステルワック
スを添加し、改質する手段としては、あらかじめマスタ
ーバッチ化する等の公知の手段が使用できるが、改質
性,分散性,再凝集性等の効果を得るため、両者の添加
時には顔料100重量部に対してエステルワックス10
0〜3000重量部の比で添加することが望ましい。
【0045】本発明において、用いられるエステルワッ
クスとしてはASTM D3418−8に準拠し測定さ
れた主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が
好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物
質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセッ
ト性が弱くなりフルカラートナーには好ましくない。一
方極大ピークが、90℃を超えると定着温度が高くな
り、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難と
なり混色性の点から好ましくない。更に直接重合方法に
よりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を
行うため極大ピーク値の温度が高いと主に造粒中に低軟
化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましく
ない。
【0046】本発明の極大ピーク値の温度の測定には、
例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置
検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱
量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サン
プルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセッ
トし、昇温速度10℃/min.で測定を行った。
【0047】本発明に好ましい具体的なエステルワック
スの代表的化合物の構造式を以下に一般構造式・一般
構造式及び一般構造式として示す。
【0048】
【化6】
【0049】(a,b:0〜4迄の整数であり、a+b
=4 R1,R2:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基で
且つR1とR2との炭素数差が3以上 m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0に
なることはない。)
【0050】
【化7】
【0051】(a,b:0〜4迄の整数であり、a+b
=4,b≠0 R1:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基 m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0に
なることはない。)
【0052】
【化8】
【0053】(a,b:0〜3迄の整数であり、1≦a
+b≦3 R1,R2:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基で
且つR1とR2との炭素数差が3以上 R3 :水素原子,炭素数が1以上の有機基。但し、a
+b=2のとき、R3のどちらか一方は、炭素数が1以
上の有機基 k :1〜3迄の整数 m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0に
なることはない。)
【0054】本発明で好ましく用いられるエステルワッ
クスは、硬度0.5〜5.0を有するものが好ましい。
エステルワックスの硬度は直径20mmφで厚さが5m
mの円筒形状のサンプルを作製した後、島津製作所製ダ
イナミック超微小硬度計(DUH−200)を用いビッ
カース硬度を測定した値である。測定条件は、0.5g
の荷重で負荷速度が9.67mm/秒の条件で10μm
変位させた後15秒間保持し、得られた打痕形状を測定
しビッカース硬度を求める。本発明に好ましく用いられ
るエステルワックスの硬度は、0.5〜5.0の値を示
す。硬度が0.5未満の低軟化点物質では定着器の圧力
依存性及びプロセススピード依存性が大きくなり、耐高
温オフセット効果の発現が不十分となりやすく、他方
5.0を超える場合ではトナーの保存安定性に乏しく、
離型剤自身の自己凝集力も小さいため本発明の顔料に対
する改質性が不十分となりやすい。
【0055】具体的化合物としては、下記化合物が挙げ
られる。
【0056】
【化9】
【0057】更に本発明においては、透過型電子顕微鏡
(TEM)を用いたトナー断面層の観察で、該エステル
ワックスが外殻樹脂層で内包化されていることが顔料改
質の点より好ましい。
【0058】該エステルワックスを内包化する手段とし
ては、特開昭59−6287号公報のように懸濁重合粒
子を核としてシード重合する方法や、特開昭61−46
955号公報のようにエステルワックスと相溶性の悪い
極性の樹脂を添加する方法など多くの方法が開示されて
いるが、これら公知の方法によって本発明の方法で確認
できるものであるならばどのような手段を用いてもよ
い。
【0059】本発明者らはこれら公知の方法の中で極性
樹脂を添加する方法は該エステルワックスの偏在を促進
し、かつ公知のどの方法と組み合わせてもより効果を発
揮することを見い出したため、本発明においては極性物
質の添加は必須と考えている。
【0060】本発明に用いられる極性樹脂としては、ス
チレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共
重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂等一般的
に用いられている材料が好ましく用いられる。
【0061】該極性樹脂は、単量体と反応しうる不飽和
基を分子中に含まないものが特に好ましい。仮に不飽和
基を有する極性樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層
を形成する単量体と架橋反応が起きフルカラー用トナー
としては、極めて高分子量になり四色トナーの混色には
不利となり好ましくない。
【0062】本発明においてトナーの断層面を測定する
具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にト
ナーを十分分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日
間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要
により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダ
イヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサン
プルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナー
の断層形態を測定した。本発明においては、用いる低軟
化点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違
いを利用して材料間のコントラストを付けるため四三酸
化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。代表的な
一例を図1に示す。明らかに低軟化点物質が外殻樹脂で
内包化されていることが観測された。
【0063】さらに本発明においては高速複写時におけ
る転写性,現像性を確保するため、ルーゼックスで測定
した形状係数SF1が100〜130を示すことが好ま
しい。
【0064】本発明における形状係数を示すSF1と
は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いト
ナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情
報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置
(Luzex3)に導入し解析を行い、下式より算出し
た値を本発明ではSF1と定義した。
【0065】[SF1の定義式]
【0066】
【数1】
【0067】[式中、MXLNGは画像上現像剤の絶対
最大長を示し、AREAは現像剤の投影面積を示す。]
【0068】現像剤の形状係数SF1が130より大き
い現像剤形状は、球形から徐々に不定形に近づき、それ
につれて同時に転写効率が低下するためドラム上に転写
されずに残るトナーが多くなり、結果として高速複写時
にはフィルミングが発生し易くなる。
【0069】本発明のトナーの場合、実用上の耐フィル
ミング性および転写・現像性を確保する為にトナーの形
状係数SF1が100〜130、より好ましくは100
〜120の実質球形のトナーが好ましく、更に高画質化
のためより微小な潜像ドットを忠実に現像するために、
現像剤よりも微小粒径の、具体的にはコールターカウン
ターにより測定された重量平均径が7μm以下、より好
ましくは4μm〜7μmで個数変動係数が35%以下の
トナーが良い。
【0070】本発明のトナーに用いられる重合性単量体
としてはスチレン,o−メチルスチレン,m−メチルス
チレン,p−メチルスチレン,p−メトキシスチレン,
p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸
メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸n−ブチル,ア
クリル酸イソブチル,アクリル酸n−プロピル,アクリ
ル酸n−オクチル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸2
−エチルヘキシル,アクリル酸ステアリル,アクリル酸
2−クロルエチル,アクリル酸フェニル等のアクリル酸
エステル類、メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチ
ル,メタクリル酸n−プロピル,メタクリル酸n−ブチ
ル,メタクリル酸イソブチル,メタクリル酸n−オクチ
ル,メタクリル酸ドデシル,メタクリル酸2−エチルヘ
キシル,メタクリル酸ステアリル,メタクリル酸フェニ
ル,メタクリル酸ジメチルアミノエチル,メタクリル酸
ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その
他のアクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリル
アミド等の単量体が挙げられる。
【0071】これらの単量体は単独または混合して使用
し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレ
ン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使
用する事がトナーの現像特性及び耐久性の点から好まし
い。
【0072】なお、分子量をコントロールするために、
公知の架橋剤、連鎖移動剤を添加しても良く、好ましい
添加量としては、0.001〜15重量%である。
【0073】また、単量体系にさらに樹脂を添加して重
合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸
濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できない
アミノ酸、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グ
リシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の単量体成
分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあ
るいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、
ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重
合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等
の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体
の形で使用が可能となる。
【0074】その使用量としては、1〜20重量%が好
ましい。また、これら極性官能基を含む高分子重合体の
平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。
5,000未満、特に4,000以下では、本重合体が
表面付近に集中し易い事から、現像性、耐ブロッキング
性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。また、
単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異な
る分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分
子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得るこ
とが出来る。
【0075】また重合法において用いられる重合開始剤
としては、いずれか適当な重合開始剤、例えば、2,
2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,
1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等
のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキ
シド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピ
ルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシ
ド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロ
イルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられ
る。これら重合開始剤は、重合性単量体の0.5〜20
重量%の添加量が好ましく、単独で、又は、併用しても
良い。
【0076】重合法においては、分散安定剤として公知
の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用出来、中でも無
機分散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性に
より分散安定性を得ているので反応温度を変化させても
安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え
難いので、好ましく使用出来る。こうした無機分散剤の
例としては、燐酸カルシウム,燐酸マグネシウム,燐酸
アルミニウム,燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カル
シウム,炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ珪酸カルシ
ウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム等の無機塩、水酸
化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウ
ム,シリカ,ベントナイト,アルミナ等の無機酸化物が
挙げられる。
【0077】これらの無機分散剤は、重合性単量体10
0重量部に対して、0.2〜20重量部を単独で使用す
る事が望ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナー
の微粒化はやや苦手であるので、0.001〜0.1重
量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0078】界面活性剤としては、例えばドデシルベン
ゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペ
ンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、
オレイル酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられ
る。
【0079】これら無機分散剤を用いる場合には、その
まま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水
系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることが出来
る。例えば、硫酸カルシウムの場合、高速撹拌下、硫酸
ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合し
て、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出
来、より均一で細かな分散が可能となる。
【0080】本発明においては、トナーの帯電性を制御
する目的でトナー材料中に荷電制御剤を添加しておくこ
とが望ましい。これら荷電制御剤としては、例えば正荷
電制御剤としてニグロシン系染料,トリフェニルメタン
系染料,四級アンモニウム塩,グアニジン誘導体,イミ
ダゾール誘導体,アミン系及びポリアミン系化合物等が
挙げられ、負荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系
化合物,含金属モノアゾ系染料化合物,尿素誘導体,ス
チレン−アクリル酸共重合体,スチレン−メタクリル酸
共重合体等が挙げられる。これら荷電制御剤の添加量と
しては、0.1〜10重量%が好ましい。
【0081】各種トナー特性付与を目的とした添加剤と
しては、トナー中に、あるいはトナーに添加した時の耐
久性の点から、トナー粒子の体積平均径の1/10以下
の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、
電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めた
その平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした
添加剤としては、たとえば、以下のようなものが用いら
れる。
【0082】1)流動性付与剤:金属酸化物(酸化ケイ
素,酸化アルミニウム,酸化チタンなど)・カーボンブ
ラック・フッ化カーボンなど。それぞれ、疎水化処理を
行ったものが、より好ましい。
【0083】2)研磨剤:金属酸化物(チタン酸ストロ
ンチウム,酸化セリウム,酸化アルミニウム,酸化マグ
ネシウム,酸化クロムなど)・窒化物(窒化ケイ素な
ど)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシ
ウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)など。
【0084】3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニ
リデン,ポリテトラフルオロエチレンなど)・脂肪酸金
属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムな
ど)など。
【0085】4)荷電制御性粒子:金属酸化物(酸化
錫,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化ケイ素,酸化アルミニ
ウムなど)・カーボンブラックなど。
【0086】これら添加剤は、トナー粒子100重量部
に対し、0.1〜10重量部が用いられ、好ましくは、
0.1〜5重量部が用いられる。これら添加剤は、単独
で用いても、又、複数併用しても良い。
【0087】また現像剤にキャリアを使用する場合は従
来から公知のものが使える。例えば鉄、コバルト、ニッ
ケルなどの磁性物質、及びそれらの合金や混合物、ある
いはこれらの表面にコーティングを施したものである。
【0088】本発明の着色剤を含有するカラートナーの
一般的製造例を挙げる。
【0089】 重合性単量体中に離型剤,着色剤,荷
電制御剤,重合開始剤,その他の添加剤を加え、ホモジ
ナイザー,超音波分散機,ボールミル,サンドミル,ア
トライター等のメディア分散機等によって均一に溶解又
は分散せしめた単量体系を、公知の分散安定剤を含有す
る水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナ
イザー等により分散せしめる。
【0090】 好ましくは単量体液滴が所望のトナー
粒子のサイズ、一般に30μm以下の粒径を有するよう
に撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安
定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈
降が防止される程度の撹拌を行う。
【0091】なお、重合温度は40℃以上、一般的には
50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合
反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭い
の原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除
去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒
体を留去しても良い。
【0092】 反応終了後、生成したトナー粒子を洗
浄・濾過により回収し、乾燥する。
【0093】 場合により分級機で分級し、更に、分
級物中にシリカ等をヘンシェルミキサー等で分散する。
【0094】本発明における粒度分布測定について述べ
る。
【0095】測定装置としてはコールターカウンターT
A−II型(コールター社製)を用い、個数平均分布、
体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)
及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)
を接続し電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%Na
Cl水溶液を調製する。
【0096】測定法としては前記電解水溶液100〜1
50ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアル
キルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さら
に測定試料を0.5〜50mg加える。
【0097】試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約
1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンター
TA−II型により、アパチャーとして100μmアパ
チャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定し
て体積平均分布、個数平均分布を求める。これら求めた
体積平均分布,個数平均分布より、重量平均粒径を得
る。
【0098】また、耐光性については、JIS K−7
102(A法,FV形)に準拠して行なった。すなわ
ち、試験画像を水スプレーをかけない条件下でカーボン
アーク燈光を照射し、その変退色をブルースケールを用
いて測定し、評価した。
【0099】本発明における定着性、耐オフセット性、
混色領域及び透明性の評価方法は以下の通りである。
【0100】1)定着性、耐オフセット性、混色領域に
ついて まず、本発明のエステルワックスを含有したトナーに対
して、上記外添剤を適量外添し、現像剤を得る。得られ
た現像剤の未定着画像は市販の複写機によって作成す
る。
【0101】上記トナーが黒トナーの場合には、オイル
塗布機能のない熱ローラー外部定着器によって、定着性
及び耐オフセット性の評価をする。
【0102】さらにモノカラートナーまたはフルカラー
用トナーの場合には、オイル塗布機能のない熱ローラー
外部定着器の他、市販のフルカラー複写機であるCLC
−550(キヤノン製)の定着器を用い、若干のオイル
を均一に定着ローラーに塗布(例えば0.02g/A4
サイズ)し、定着性、耐オフセット性、混色領域の評価
をし、かつ、透明性評価のための定着画像を得る。
【0103】なお、この時のローラー材質としては、上
部、下部共にフッ素系のものを使用する。また、定着条
件としては、転写材がSK紙(日本製紙社製)の場合に
はニップ7.0mm、プロセススピード105mm/s
ecとし、転写材がOHPシート(複写機用ピクトリコ
トラペン/旭硝子社製)の場合には、ニップ6.0m
m、プロセススピード25mm/secとし、80℃か
ら230℃の温度範囲内で5℃おきに温調をかけて行
う。
【0104】定着性は定着画像(低温オフセットした画
像も含む)を50g/cm2の荷重をかけシルボン紙
[Lenz Cleaning Paper “das
per(R)”(Ozu Paper Co.Lt
d)]で擦り、擦り前後の濃度低下率が10%未満にな
る温度を定着開始点とする。
【0105】耐オフセット性は、目視でオフセットので
なくなる温度を低温オフセット始点とし、温度を上げ、
オフセットのでない最高温度を高温オフセット終点とす
る。
【0106】さらに混色領域は、非オフセット領域にあ
る画像をハンデイ光沢計グロスチェッカIG−310
(堀場製作所製)を用いてグロスを測定し、グロス値7
以上最高値までと定義し領域を決定する。
【0107】2)透明性について 得られた定着画像の単位面積あたりの各トナー量に対す
る透過率及び曇価(ヘイズ)を測定し、画像濃度1.5
における数値を用い、透明性を評価した。以下に透過率
とヘイズの測定方法を述べる。
【0108】透過率の測定は、島津自記分光光度計UV
2200(島津製作所社製)を使用し、OHPフィルム
単独の透過率を100%とし、 マゼンタトナーの場合:650nm シアントナーの場合:500nm イエロートナーの場合:600nm での最大吸収波長に於ける透過率を測定する。
【0109】また、ヘイズ測定は、ヘイズメーターND
H−300A(日本発色工業社製)を用いて測定した。
【0110】
【実施例】実施例をもって本発明を詳細に説明する。
【0111】実施例1 0.1MのNa3PO4水溶液と1MのCaCl2水溶液
を用意する。高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた
2リットル用四つ口フラスコ中に、イオン交換水710
重量部と0.1モル−Na3PO4水溶液450重量部を
添加し回転数を12000回転に調整し、65℃に加温
せしめた。ここに1.0モル−CaCl2水溶液68重
量部を徐々に添加し微小な難水溶性分散剤Ca3(P
42を含む分散媒系を調製した。一方分散質系は、 スチレン単量体 165重量部 n−ブチルアクリレート単量体 35重量部
【0112】
【化10】
【0113】 飽和ポリエステル 10重量部 (テレフタール酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA 酸価15,ピーク分子量6000) サリチル酸金属化合物 2重量部 化合物(4)(極大ピーク値64.4℃) 40重量部
【0114】上記混合物をアトライターを用い3時間分
散させた後、重合開始剤である2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加
した分散物を、分散媒中に投入し回転数を維持しつつ1
5分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽
根に撹拌器を変え、内温を80℃に昇温させ50回転で
重合を10時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却
し、希塩酸を添加し分散剤を除去せしめた。
【0115】更に洗浄し乾燥を行うことで、コールター
カウンターで測定したマゼンタトナーの重量平均径は6
μmで個数変動係数が28%であり、SF−1が105
であった。得られたマゼンタトナーの断層写真の模式図
を図1に示す。低軟化点物質である化合物(1)が外殻
樹脂で覆われた構造を示している。得られたトナーに疎
水化処理酸化チタンを2%外添し流動性に優れたトナー
を得た。
【0116】このトナー7重量部に対し、アクリル樹脂
コーティングされたフェライトキャリア93重量部を混
合し現像剤としてキヤノン製フルカラー複写機CLC5
00改造機にて画だし評価を行ったところ、23℃,6
0%の条件下、2万枚耐久後も現像性が低下することな
く安定した鮮明かつ良好なマゼンタ画像が得られた。
【0117】また複写物の耐光性も良好で7級であっ
て、定着性,OHP透明性にも優れたものであった。
【0118】更に複写耐久試験を、30℃,80%の高
温高湿下で1万枚行ったが、カブリ等は生じなかった。
【0119】比較例1 実施例1の処方のなかで着色剤を、キナクリドン系顔料
(C.I.Pig.Red202)3.5重量部に変更
した他は実施例1と同様の操作を行い、重量平均径5.
8μmのトナーを作製し評価を行った。実施例1と比較
すると彩度が劣り、くすんだ色調の画像が得られ、実用
レベルには達しなかった。
【0120】なお、耐光性は7級と変わらないものの、
100℃放置10日の耐熱試験においては実施例1より
劣るものであった。
【0121】比較例2 実施例1の処方のなかでエステルワックスの代わりにパ
ラフィンワックス(極大ピーク値73.1℃)50重量
部を用いた他は実施例1と同様の操作を行い、重量平均
径6.6μmのトナーを作製し評価を行った。実施例1
と比較すると23℃,60%の条件下では差異がないも
のの、30℃,80%の高温高湿下での1万枚耐久では
帯電性が得られなくなり、耐久につれてカブリ等が生じ
実用レベルには達しなかった。
【0122】また、OHP透明性が全くなく不透明な画
像であった。
【0123】実施例2 実施例1の処方のなかで着色剤を
【0124】
【化11】 に変更した他はすべて実施例1と同様の操作を行い、重
量平均径5.3μmのトナーを作製し評価を行った。す
ると実施例1と同様2万枚の耐久においても、高温高湿
下における1万枚の耐久においても、飛散,カブリ等の
生じない安定した鮮明かつ良好な画像が得られた。
【0125】また複写物の耐光性も良好で7級であっ
て、定着性,OHP透明性にも優れたものであった。
【0126】実施例3 実施例1の処方のなかで着色剤を
【0127】
【化12】 に変更した他はすべて実施例1と同様の操作を行い、重
量平均径6.7μmのトナーを作製し評価を行った。す
ると実施例1と同様2万枚の耐久においても、高温高湿
下における1万枚の耐久においても、飛散,カブリ等の
生じない安定した鮮明かつ良好な画像が得られた。
【0128】また複写物の耐光性も良好で6〜7級であ
って、定着性,OHP透明性にも優れたものであった。
【0129】実施例4 実施例1の処方のなかでエステルワックスの添加量を7
重量部とした他はすべて実施例1と同様の操作を行い、
重量平均径5.1μmのトナーを作製し評価を行った。
【0130】すると、実施例1と比較すると23℃,6
0%の条件下では差異がないものの、30℃,80%の
高温高湿下での1万枚耐久では徐々に帯電性が低下し、
実用レベルではあるものの耐久につれて画像濃度が若干
上昇する傾向が見られた。
【0131】実施例5 実施例1の処方のなかで造粒する時間を15分間から2
5分に変更し、重合1時間後に0.1モル−Na3PO4
水溶液45重量部および0.1モル−CaCl2水溶液
6.8重量部を添加することにより、重量平均径は、
6.4μmで個数変動係数が46%であり、SF−1が
132のトナーを得た。
【0132】得られたトナーを実施例1と同様に評価し
たところ、23℃,60%の条件下での2万枚の耐久で
実用レベルではあるものの、耐久につれてカブリが若干
発生してくる傾向が見られた。
【0133】
【発明の効果】本発明におけるトナーは、他の着色剤以
上に耐熱・耐光性に優れるだけでなく、ビシクロ[3,
3,1]ジピロール環構造に由来すると思われる特異な
分子構造を有しているために、従来よりも彩度の高い着
色力のあるトナーを得ることができる。
【0134】また本発明の着色剤は、耐アルカリ性,耐
酸性,耐溶剤性等にも優れているのでいわゆる重合法ト
ナーに特に好適である。特に、水系媒体中で重合しトナ
ーを製造する懸濁重合法においては、着色剤が水に対し
て親和性を持っていると、トナー表面に着色剤が露出
し、カブリ等の現象が生じ易いのだが、本発明のエステ
ルワックスとの組み合わせにより、帯電性,定着性,O
HP透明性にも優れたトナーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エステルワックスが外殻樹脂に内包化されてい
る、本発明トナーの断層面の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石山 孝雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−210459(JP,A) 特開 平1−185661(JP,A) 特開 昭60−247250(JP,A) 特開 平5−88409(JP,A) 特開 平5−197193(JP,A) 特開 昭61−279864(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08 - 9/09

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも重合性単量体,ワックスおよ
    び着色剤を含む組成物を直接懸濁重合して得られるトナ
    ーにおいて、 該トナーの重量平均径が7μm以下であり、該ワックス
    は炭素数が15以上の長鎖エステル部分を1個以上有す
    ることを特徴とするエステルワックスであり、且つ該着
    色剤は下記構造式で示される骨格を有することを特徴と
    する静電荷像現像用カラートナー。 【化1】 [式中、Xおよび/またはYは、フェニル基,ナフチル
    基等で示される芳香族基およびその誘導体、またはピリ
    ジル基,フリル基,チオフェニル基等で示されるヘテロ
    芳香族基およびその誘導体を示す。]
  2. 【請求項2】 該ワックスおよび該着色剤が、該トナー
    中の樹脂成分に対してそれぞれ5〜30重量%および1
    〜9重量%含有されることを特徴とする請求項1に記載
    の静電荷像現像用カラートナー。
  3. 【請求項3】 該エステルワックスが下記一般式で示さ
    れる物質のいずれかを主成分とすることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の静電荷像現像用カラートナー。 【化2】 (a,b:0〜4迄の整数であり、a+b=4 R1,R2:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基で
    且つR1とR2との炭素数差が3以上 m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0に
    なることはない。) 【化3】 (a,b:0〜4迄の整数であり、a+b=4,b≠0 R1:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基 m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0に
    なることはない。) 【化4】 (a,b:0〜3迄の整数であり、1≦a+b≦3 R1,R2:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基で
    且つR1とR2との炭素数差が3以上 R3 :水素原子,炭素数が1以上の有機基。但し、a
    +b=2のとき、R3のどちらか一方は、炭素数が1以
    上の有機基 k :1〜3迄の整数 m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0に
    なることはない。)
  4. 【請求項4】 該トナーの透過型電子顕微鏡(TEM)
    を用いたトナー断面層の観察で、該エステルワックスが
    外殻樹脂層で内包化され、ルーゼックスで測定した形状
    係数SF1が100〜130を示すことを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用カラー
    トナー。
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