JP2003138339A - 溶接継手 - Google Patents

溶接継手

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JP2003138339A
JP2003138339A JP2001334921A JP2001334921A JP2003138339A JP 2003138339 A JP2003138339 A JP 2003138339A JP 2001334921 A JP2001334921 A JP 2001334921A JP 2001334921 A JP2001334921 A JP 2001334921A JP 2003138339 A JP2003138339 A JP 2003138339A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼板の大入熱溶接部の溶接金属、溶接熱影響
部及びボンド部のすべてが高靭性を確保している溶接継
手を提供する。 【解決手段】 鋼板中には靭性に悪影響を与えない程度
のB添加とし、溶接金属部にはオーステナイト粒界から
生成するフェライトサイドプレートの析出を抑えられる
だけの十分なB添加を行い、溶接熱影響部にはTiNの
固溶によって生成される固溶Nを固定するのに必要最小
限のB量を溶接金属部からのBの拡散によってまかなう
ようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の大入熱溶接
継手に関するものである。本継手は溶接構造物に用いら
れるすべての大入熱溶接部に適用可能である。
【0002】
【従来の技術】構造物や船舶の大型化が進むにつれて、
使用鋼材の高強度・厚肉化が求められ、それらの施工に
高能率の溶接が適用されてきた。この施工コスト削減の
ために、たとえばサブマージアーク溶接、エレクトロガ
ス溶接及びエレクトロスラグ溶接などの大入熱溶接方法
の適用があげられる。一般に溶接入熱が大きくなると溶
接熱影響部の組織が粗大化し靭性が低下することが知ら
れており、その対策として鋼板中のTiNの微細分散に
よるオーステナイトの粗大化抑制や、フェライト変態核
としての利用技術が実用化されている。また、Tiの酸
化物を分散させる技術(特開昭57−51243号公
報)やBNのフェライト核生成能を組み合わせる技術
(特開昭62−170459号公報)も開発されてい
る。さらにはCa(特開昭60−204863号公報)
やREM(特公平4−14180号公報)を添加するこ
とによって硫化物の形態を制御し、より高い靭性が得ら
れることが明らかにされている。一方、溶接金属では大
入熱による緩冷却速度においても強度・靭性を確保する
ために合金元素の適正添加によってミクロ組織をアシキ
ュラーフェライトに調整する溶接材料の設計が各溶接方
法ごとになされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の溶接継手は鋼板
と溶接金属が別々に開発されてきた。鋼板と溶接金属の
相互関係としては継手の引張強度において硬さのマッチ
ングが検討されたのみである。靭性に関しては鋼板、溶
接金属それぞれが高靭性を達成するように検討されてき
た。しかし、融点近傍の熱サイクルを受ける鋼板溶接部
領域では、溶接金属と組成の異なる金属(鋼板)が高温
で溶融金属と接触しており、その相互関係については明
らかにされていない。溶接入熱が小さい場合は溶融金属
と鋼板との界面における元素の移動を考慮する必要はな
いが、大入熱になると、溶融金属と鋼板との高温におけ
る接触時間が長くなり、溶融金属と鋼板との界面におけ
る影響を無視することができなくなり、溶接熱影響部の
靭性に大きく影響を与える問題が生じる。よって溶接金
属及び鋼板の溶接熱影響部が単独では良好な靭性を示す
場合においても、実継手での溶接熱影響部が必ずしも良
好な靭性を示さない場合があるという問題があった。
【0004】大入熱溶接では従来から鋼板中に微細なT
iNを分散させてオーステナイト粒のピンニングによる
粗大化抑制能を利用して、継手部の高靭性を確保する技
術がある。さらに、高温にさらされる部位でのTiNの
溶解によって増加する固溶Nによる靭性の低下を抑える
ために、Bの添加によってBNとしてNを固定するか、
あるいはそれをフェライト生成核として利用する技術も
ある。しかし、多量のBを鋼板に添加するとTiNが溶
解しない領域ではかえって靭性の低下をもたらすことか
ら、余分な量を添加することができないという問題があ
った。また、固溶Nを固定するためにBを適正量添加し
た場合でも、溶接金属中に高B添加を行うと溶接熱影響
部の靭性が急激に低下したり、溶接金属中のB量を低減
すると溶接金属の靭性を確保することができないという
問題があった。
【0005】本発明は上記問題点を解決し、溶接金属及
び鋼板の溶接熱影響部が優れた靭性を有する大入熱溶接
継手を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは種々検討を重
ねた結果、入熱が70kJ/cm以上の大入熱溶接部に
おいて、溶接金属中に鋼板への添加量以上のBが存在す
る場合、高温での鉄中の拡散速度が速いBが溶接時に鋼
板側の溶接熱影響部へ拡散浸透することを新たに知見し
た。この知見を利用し、鋼板、溶接金属に添加するB量
をコントロールすることによって、溶接継手全体の高靭
性を確保できる技術を確立した。すなわち、鋼板中には
靭性に悪影響を与えない程度のB添加とし、溶接金属部
にはオーステナイト粒界から生成するフェライトサイド
プレートの析出を抑えられるだけの十分なB添加を行
い、溶接熱影響部にはTiNの固溶によって生成される
固溶Nを固定するのに必要最小限のB量を溶接金属部か
らのBの拡散によってまかなうことによりこの技術が可
能となった。また鋼板と溶接金属部のB量を制御するこ
とによって大入熱によってBの拡散距離が変化するもの
の、TiNの溶解する領域とのマッチングによって70
〜1100kJ/cmの入熱範囲において良好な靭性が
得られることも新たに見出した。すなわち本発明は、溶
接人熱70kJ/cm以上の大入熱溶接継手において C:0.03〜0.15質量% Si:0.05〜0.70質量% Mn:0.5〜2.0質量% P:0.03質量%以下 S:0.0005〜0.0050質量% Al:0.005〜0.1質量% Ti:0.004〜0.02質量% N:0.0020〜0.0070質量% B:10ppm以下 を含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる大入熱溶
接用鋼板と C:0.03〜0.12質量% Si:0.10〜0.80質量% Mn:0.8〜2.5質量% Al:0.02質量%以下 Ni:0.5〜4.0質量% Ti:0.005〜0.10質量% を含有し、選択元素として Cu:0.8質量%以下 Cr:1.5質量%以下 Mo:1.0質量%以下 V:0.10質量%以下 Nb:0.10質量%以下 から選ばれた1種又は2種以上を含有し、残部鉄及び不
可避的不純物よりなる溶接金属とが、次の(1)〜
(2)式によって規定されるB量を鋼板及び溶接金属に
含有することを特徴とする溶接継手を提供する。
【0007】 15≦BW≦55 ……(1) 20≦BW+3BP≦60 ……(2) 但し、 BW=溶接金属中のB量(ppm) BP=鋼板中のB量(ppm) である。
【0008】前記大入熱用鋼板がさらに選択元素として Nb:0.0510質量%以下 V:0.2質量%以下 Cu:1.0質量%以下 Ni:1.5質量%以下 Cr:0.7質量%以下 Mo:0.7質量%以下 Ca:0.0005〜0.0030質量% REM:0.0010〜0.00150質量% から選ばれた1種又は2種以上を含有すると好適であ
る。
【0009】次に鋼板の各成分の限定理由について説明
する。
【0010】C量は構造用鋼として必要な強度を得るた
めに下限を0.03質量%とし、溶接割れ性の観点から
上限を0.15質量%とした。
【0011】Siは製鋼上0.05質量%以上が必要で
あり、0.7質量%を超えると母材の靭性を劣化させる
とともに大入熱溶接熱影響部における島状マルテンサイ
トの生成による靭性の劣化が顕著になるので限定した。
【0012】Mnは母材の強度を確保するために0.5
質量%以上は必要であり、2.0質量%を超えると溶接
部の靭性を著しく劣化させるのでこれ以下とした。
【0013】Pは0.03質量%を超えると溶接部の靭
性を劣化させるので限定される。
【0014】Sは0.0005質量%未満では溶接熱影
響部においてフェライトの生成核となるMnSの析出量
が不足して靭性が低下する。0.0050質量%を超え
て添加すると固溶S量の増加によってかえって靭性の低
下を招く。
【0015】Alは鋼の脱酸上0.005質量%以上は
必要であり、0.1質量%を超えて添加すると母材の靭
性を低下させると同時に溶接金属部への希釈によって溶
接金属部の靭性を劣化させるので上限を0.1質量%と
した。
【0016】Tiは凝固時にTiNとなって析出し、溶
接熱影響部でのオ〜ステナイトの粗大化抑制やフェライ
ト変態核となって高靭性化に寄与する。0.004質量
%未満ではその絶対量が不足し、0.02質量%を超え
るとTiN粒子の粗大化によって期待する効果は得られ
ない。従って0.004〜0.02質量%とする。
【0017】Nは必要TiN量確保にとって重要な元素
であり、0.0020質量%未満では十分なTiN量が
不足し、0.0070質量%を超えると溶接熱サイクル
によってTiNが溶解する領域での固溶N量の増加によ
って靭性を著しく低下させるので不可である。
【0018】Bは鋼板の焼入れ性の向上に有効であるが
10ppmを越えると靭性が劣化するので10ppmを
上限とする。
【0019】さらに上記の基本成分系の他にフェライト
生成核として効果を発揮するB、Vあるいはそれに加え
て高張力化・厚肉化ないしはその他の効果を達成するた
めにNb、Ni、Cr、Mo、Cuのうち少なくとも1
種を含有させることが好ましい。
【0020】Nbは母材の強度・靭性及び継手の強度確
保のために添加するが、0、05質量%を超えて添加す
ると溶接熱影響部の靭性を劣化するので制限する。
【0021】Vは母材の強度靭性の向上及びVNとして
のフェライト生成核として働くが、0、2質量%を超え
るとかえって靭性の低下を招く。
【0022】Niは母材の高靭性を保ちつつ強度を上昇
するが、高価であるため上限を1.5質量%とした。
【0023】CuはNiと同様の働きがあるが、1、0
質量%を超えると熱間脆性を生じ、鋼板の表面性状を劣
化させる。
【0024】Cr、Moは母材の高強度化に有効な元素
であるが、多量に添加すると靭性に悪影響を与えるため
に上限を0.7質量%とした。
【0025】次に溶接金属組成の限定理由を示す。
【0026】Cは溶接金属の強度を確保するために0.
03質量%以上添加する必要があり、012質量%を超
えて添加すると高温割れの発生や焼入れ性過多による靭
性の低下を招く恐れがある。
【0027】Siは脱酸及び強度確保のために添加され
るが、0.10質量%未満では溶融金属の湯流れ性が低
下し、溶接欠陥が発生しやすくなる、また、0.80質
量%を超えると溶接金属の強度が過剰となり割れの発生
や靭性の低下を招く恐れがある。
【0028】Mnは溶接金属の強度を確保するために
0.8質量%以上の添加が必要で、2.5質量%を超え
ると焼入れ性が過多となり靭性の低下を起こす。
【0029】Alは脱酸のために必要であるが0.02
質量%を超えると介在物が多くなり靭性の低下を招くの
で制限する。
【0030】Niは溶接金属の強度靭性を確保するため
に添加が必要で、0.5質量%未満では効果がなく、
4.0質量%を超えると湯流れ性を著しく低下させる。
【0031】Tiは溶接金属中のNをTiNとして固定
したり、酸化物を形成してアシキュラーフェライトの生
成核として重要な働きをする。0.005質量%未満で
はその効果は十分に得られず、0.10質量%を超える
と固溶Tiの増加によって著しく靭性を低下させる。
【0032】また、溶接入熱によって焼入れ性を調整す
るための選択元素としてCu、Cr、Mo、V、Nbが
必要に応じて単独あるいは複合で利用できる。それぞれ
過剰に添加すると著しく靭性を低下させる恐れがあるた
め添加量を Cu:0.8質量%以下 Cr:1.5質量%以下 Mo:1.0質量%以下 V:0.10質量%以下 Nb:0.10質量%以下 に限定した。
【0033】Bは本発明で最も重要な添加元素である。
溶接金属中に添加したBは溶接金属の冷却中にオーステ
ナイト粒界に偏析する。このことによって粒界のエネル
ギーを下げ、オーステナイト粒界から生成するフェライ
トサイドプレートの析出を抑制する。フェライトサイド
プレートが析出すると靭性が劣化する。この析出を抑制
した結果、分散されたTiの酸化物からアシキュラーフ
ェライトが生成し、高靭性を確保する。これらの働きに
必要なB量は15ppm以上であり、55ppmを超え
て添加するとFe23(C,B)6のような鉄と炭素との
化合物を生成して靭性を著しく低下させる。一方、鋼板
には最大で10ppmのBが添加可能である。鋼板への
B添加は焼入れ性の向上には有効であるものの、10p
pmを超えると、溶接金属と同様に鉄と炭素との化合物
を生成したり、島状マルテンサイトの生成量が増加する
などのため、靭性が極めて劣化する。ただし、溶接熱影
響部においては、BはBNを形成し、固溶Nを低減し、
また、フェライト変態核として働く。溶接熱影響部の靭
性を高めるためには、鋼板への添加量の最大値である1
0ppm以上のBが必要であり、本発明ではBが溶接金
属側から溶接熱影響部に拡散し、靭性向上に有効に寄与
する。すなわち、鋼板に10ppm以下のBを添加し、
溶接金属と鋼板中に以下に示した下記の(1)、(2)
式を満足する組み合わせになるようにBを添加すると、
溶接金属、鋼板、溶接熱影響部ともに最適なB量が確保
され、継手として高靭性を達成することが可能である。
【0034】 15≦BW≦55 ……(1) 20≦BW+3BP≦60 ……(2) 但し、 BW=溶接金属中のB量(ppm) BP=鋼板中のB量(ppm) である。
【0035】ここで、式(2)でBW+3BPを規定した
理由は、次の通りである。溶接熱影響部のB量は鋼板中
のB量と溶接金属中からの拡散分の加算によって決定さ
れ、その拡散分は溶接入熱により変化する。そこで、実
験によって靭性に影響を与えるB量を検討した結果、上
記(2)式の範囲が好適であることを知見した。溶接熱
影響部のB量が不足した場合は固溶Nの十分な固定がで
きないため、溶接熱影響部は靭性が劣化するとともに、
BNの不足によってフェライト生成核が少なく、靭性に
すぐれたフェライトパーライト組織に均質化することが
できない。また、溶接熱影響部でBが過剰になった場合
は、焼入れ性が過多となり、組織がフェライトパーライ
トから上部ベイナイトとなり靭性を劣化させる。
【0036】以上のように鋼板及び溶接金属の化学組成
が限定された範囲において、B量をコントロールして溶
接金属中に添加することによって、大入熱溶接継手のす
べての部位で高靭性を確保することが可能である。
【0037】なお、本発明の鋼は銑鉄を転炉で鋼とした
後、RHで脱ガスを行い、連続鋳造又は造塊・分塊工程
を経て鋼片とする。これを再加熱し熱間圧延、あるいは
圧延後に加速冷却、直接焼入れ焼戻し、再加熱焼入れ焼
戻し、焼準、焼戻し処理して製造する。
【0038】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。図1は溶接継手を示す説明図であ
る。2枚の母材(鋼板)1は溶接金属2によって接続さ
れ、溶接継手を形成している。溶接金属に隣接する母材
は溶接熱影響部3を形成しており、溶接金属と熱影響部
の境界はボンド部4と呼ばれている。図中に記載したシ
ャルピー試験片5は、この溶接継手部から切り出してシ
ャルピー試験に用いるテストピースの切り出し位置を示
す例で、図示のシャルピー試験片5はノッチ6がボンド
部4の部分に位置しており、ボンド部の衝撃エネルギー
を測定する試験片である。図2は通常の溶接金属と大入
熱溶接の場合の冷却曲線の説明図である。温度上昇曲線
11のように温度上昇し、溶融点12に達した溶接金属
は、通常は冷却曲線14のように短時間に急激に温度低
下するが、大入熱溶接では、冷却曲線13に示すように
冷却時間が長い。図2に示すような800〜500℃に
おける冷却時間が長いと、溶接金属中の拡散しやすい成
分が熱影響部に拡散する。本発明はこの拡散を利用して
溶接部の靭性を向上させる点に特徴がある。
【0039】大入熱溶接では、冷却速度が遅いために、
制御圧延および制御冷却により微細化したフェライト・
パーライト微細のミクロ組織が粗大化する。このため破
壊する単位大きさが大きくなり、靭性が低下し、靭性の
確保が困難になる。そこで本発明では、大入熱溶接の冷
却速度が遅いことによってBが拡散する時間を確保する
ことができることに着目し、これを利用することとし
た。通常の溶接ではBの拡散は殆ど起こらず、溶接熱影
響部にBの影響が生じない。大入熱の場合は、オーステ
ナイト粒の成長を抑制して粒内組織を微細化するために
TiN粒子を分散させて高靭性を図るのが有効な手段の
一つであるが、TiNは1400〜1500℃近傍に加
熱されると溶け出し、フリーNの増加を来すことが問題
である。そこで本発明では、溶接熱影響部で固溶したT
iNから生じたフリーNを溶接金属から拡散するBを使
って、BNの形で固定し、それによって靭性を向上させ
る。また、このBNはフェライト変態の核になるので、
微細フェライトが析出しやすくなり高靭性を達成する。
【0040】図3は本発明の範囲を示すグラフで、横軸
に鋼板中のB量BP(ppm)を、縦軸に溶接金属中の
B量BW(ppm)をとって示したものである。本発明
の範囲は15≦BW≦55及びBP≦10の範囲で、かつ
W+3BP=60の線より下側、BW+3BP=20の線
より上側の領域である。図中に後述の好適な実施例を●
印で、比較例を×印で示してある。これらの点の近傍に
記載されている数字は、各点のBW及びBPを示すもの
で、例えば45.3は、BW=45,BP=3である。
【0041】図3のBW+BP=60の線より上方の領域
は熱影響部のBの値が高くなりボンド部の靭性が低くな
るので不適である。またBW+BP=20の線より下方の
領域では、Bの値が低く靭性改善の効果がない。
【0042】次に、具体的な例を挙げて本発明をさらに
詳細に説明する。表1示す組成の鋼を100kgの高周
波溶解炉にて溶製し、熱間圧延により150mmのスラ
ブを作製した。このスラブを用いて1150℃に1時間
加熱後、930℃以上で全圧下量の50%を圧延し、そ
の後、900℃から700℃の温度域にて20〜100
mm厚の鋼板に仕上げ、3〜20℃/sの冷却速度にて
加速冷却し、冷却停止温度を650℃から300℃とし
た。
【0043】作製した鋼板を用いて大入熱溶接継手を製
作した。入熱量が70〜600kJ/cmの範囲はエレ
クトロガス溶接、それ以上の入熱量の場合はエレクトロ
スラグ溶接を用いて、立て向きの突合せ溶接にて溶接を
行った。表2に作製した溶接金属の化学組成を示す。
【0044】溶接金属中に含まれるB量は、溶接材料中
から所定量を添加した結果であり、本実施例ではフラッ
クス入り溶接ワイヤのフラックス中にB23を添加する
ことによって、溶接金属中のB量を調整した。Bの添加
手段としてはこのほかに溶接ワイヤー中に所定量を含有
させてもよく、サブマージアーク溶接の場合にはワイヤ
あるいはフラックス中にB23を添加することによって
溶接金属中のB量を容易に目標値に合致するように調整
することができる。
【0045】作製した継手の溶接金属部、母材部、ボン
ド部の靭性をマイナス40℃シャルピー吸収エネルギー
にて評価した結果を表3に示した。同時に鋼板の強度お
よび継手の引張強度も示した。本発明で最も重要な因子
である鋼板中及び溶接金属中のB量が適正な範囲にある
発明例No.1〜13では、溶接金属部、母材部、ボン
ド部のいずれも良好な靭性を示している。一方、B量が
本発明の適正範囲を外れた比較例No.14〜18につ
いては低靭性部が認められる。比較例No.14では溶
接金属中のB量が過剰であり、溶接金属で低値を示し、
ボンド部においても溶接金属と鋼板金属とがそれぞれ5
0質量%含まれることにより低値となっている。No.
15は、溶接金属は良好であるが、鋼板の靭性が発明例
に比べて約半分となっており、ボンド部の靭性にも若干
影響し、良好な靭性は得られない。No.16はボンド
部でのB量が不足しているため、ボンド部の靭性が著し
く低下している。No.18では溶接金属、鋼板ともに
B添加範囲を逸脱しており、その結果として、継手全体
が低値を示している。
【0046】No.17、19、20、21は鋼板、溶
接金属ともに適正B量が添加されており良好な靭性を示
しているが、ボンド部ではB量が過剰となりボンド部の
靭性は著しく低くなっている。
【0047】
【発明の効果】以上の説明の通り、本発明によれば、一
定の成分範囲の鋼板および溶接金属からなる大入熱溶接
継手に、適正なB量を添加し、溶接熱影響部にも拡散さ
せて成分調整することにより、極めて良好な靭性を有す
る大入熱溶接継手を得ることができ、寄与するところが
非常に大である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接継手を示す断面図である。
【図2】冷却曲線の説明図である。
【図3】本発明の範囲を示すグラフである。
【符号の説明】
1 母材(鋼板) 2 溶接金属 3 熱影響部 4 ボンド部 5 シャルピー試験片 6 ノッチ 11 温度上昇曲線 12 最高温度点 13 冷却曲線 14 冷却曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B23K 103:04 B23K 103:04 (72)発明者 星野 俊幸 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 安田 功一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4E001 AA03 CA02 EA02 EA10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接入熱70kJ/cm以上の大入熱溶
    接継手において C:0.03〜0.15質量% Si:0.05〜0.70質量% Mn:0.5〜2.0質量% P:0.03質量%以下 S:0.0005〜0.0050質量% Al:0.005〜0.1質量% Ti:0.004〜0.02質量% N:0.0020〜0.0070質量% B:10ppm以下 を含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる大入熱溶
    接用鋼板と C:0.03〜0.12質量% Si:0.10〜0.80質量% Mn:0.8〜2.5質量% Al:0.02質量%以下 Ni:0.5〜4.0質量% Ti:0.005〜0.10質量% を含有し、選択元素として Cu:0.8質量%以下 Cr:1.5質量%以下 Mo:1.0質量%以下 V:0.10質量%以下 Nb:0.10質量%以下 から選ばれた1種又は2種以上を含有し、残部鉄及び不
    可避的不純物よりなる溶接金属とが、下記式によって規
    定されるB量を鋼板及び溶接金属に含有することを特徴
    とする溶接継手。 15≦BW≦55 ……(1) 20≦BW+3BP≦60 ……(2) 但し、 BW=溶接金属中のB量(ppm) BP=鋼板中のB量(ppm)
  2. 【請求項2】 前記大入熱用鋼板がさらに選択元素とし
    て Nb:0.05質量%以下 V:0.2質量%以下 Cu:1.0質量%以下 Ni:1.5質量%以下 Cr:0.7質量%以下 Mo:0.7質量%以下 Ca:0.0005〜0.0030質量% REM:0.0010〜0.0150質量% から選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴と
    する請求項1記載の溶接継手。
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